JP2004119247A - 電子機器の燃料電池格納構造及び携帯型電子機器 - Google Patents

電子機器の燃料電池格納構造及び携帯型電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料電池を搭載しても機器を小型に構成することができる電子機器の燃料電池格納構造。
【解決手段】デジタルカメラ10の筐体12内に収容される回路基板14のプリント配線板18に、メタノール直接型燃料電池24のセル26を搭載するとともに、プリント配線板18の周縁部18Aは筐体12の内壁面12Bに固着して、筐体12内に、燃料を貯蔵する燃料室38と廃液を回収する廃液室40とを区画して設ける。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタノール等の水素燃料を燃料電池本体に供給して発電する(メタノール直接型)燃料電池を携帯型電子機器に搭載する場合の電子機器の燃料電池格納構造及び携帯型電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器に用いる大容量の電源として、高い発電効率が得られる燃料電池が注目されている。中でも、燃料となる液体のメタノールと気体の酸素とを、電池本体を構成するセルに直接供給して発電するメタノール直接型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)は、メタノールを水素に改質する触媒改質器やCO濃度制御用の反応器等が不要であり、小型・軽量化に適していることから、携帯型電子機器への利用が期待されている。
【0003】
この燃料電池を携帯型電子機器に用いるため小型化させる技術としては、水素燃料を貯蔵する燃料タンクを直方体形状とするもの(例えば、特許文献1参照)や、水素燃料を水及び水と反応して水素を発生する物質とに分け燃料自体の容量を小さくしてタンク内の隔離された各室に貯蔵するもの(例えば、特許文献2参照)、あるいは、ノート型PC等の携帯型情報機器において、燃料電池本体をディスプレイに内蔵し燃料タンクはディスプレイの上端部に取り付けるものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−64567号公報(第3‐4頁、第1図、第2図)
【特許文献2】
特開平10−64572号公報(第3頁、第1図、第2図)
【特許文献3】
特開2002−49440公報(第4‐6頁、第1図、第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した何れの従来例においても、機器とは別体の燃料タンクを用いている。また、燃料電池を携帯型電子機器へ利用する場合、発電に伴い生成される水を回収するための廃液タンクも考慮する必要がある。そのため、それらのタンクを含んで構成される燃料電池を携帯型電子機器に搭載すると、タンクが嵩張り機器全体が大型化して、携帯性が損なわれる問題がある。
【0006】
本発明は上記事実を考慮して、燃料電池を搭載しても機器を小型に構成することができる電子機器の燃料電池格納構造及び携帯型電子機器を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、電気部品を収容する電子機器の筐体と、この筐体内に配置され、一部が筐体内壁で形成される燃料室と廃液室とを区画して設ける隔壁と、前記筐体内に設けられ、前記燃料室からの燃料を発電に用いて前記電気部品へ給電し、発電に伴う廃液を前記廃液室へ排出する燃料電池本体と、を有することを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明では、電子機器の外郭を構成して電気部品を収容する筐体内に隔壁を配置し、この隔壁により、一部が筐体内壁により形成される燃料室と廃液室とを筐体内に区画して設ける。燃料室には、例えば、メタノール等の燃料を貯蔵し、燃料電池本体はその燃料を用いて発電し電気部品へ給電する。また、発電に伴い生成される水等の廃液は、廃液室へ排出されて回収される。なお、燃料電池による発電には、上記燃料の他に酸素が必要であるが、その酸素は、燃料室とは別に設けた空気室から取り入れたり、燃料電池本体と機器外部とを連通させる吸気用の連通部を設けその連通部を介して大気を取り入れるなどにより、燃料電池本体へ供給することができる。また、発電に伴い発生する二酸化炭素等についても、燃料電池本体と機器外部とを連通させる排気用の連通部を設けることで機器外部へ排出することができる。
【0009】
このように、電子機器の筐体内に、筐体内壁を一部用いて形成される燃料室と廃液室とを設けて、筐体に燃料貯蔵タンク及び廃液回収タンクとしての機能を持たせることにより、電子機器に燃料電池を搭載しても機器全体を小型に構成することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の電子機器の燃料電池格納構造において、前記隔壁が前記電気部品の取付基板であることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明では、電気部品が搭載されるプリント配線板等の取付基板を上記の隔壁として用いることにより、専用の隔壁を設ける場合に比べて、機器全体をより小型に構成することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の電子機器の燃料電池格納構造において、前記燃料電池本体は前記取付基板に搭載され、前記電気部品とは取付基板に形成された導電パターンで電気的に接続されていることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の発明では、燃料電池本体を取付基板に搭載することで実装密度が向上するとともに、取付基板に形成された導電パターンにより電気部品と電気的に接続することで、給電経路が短縮されて抵抗を抑えることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の電子機器の燃料電池格納構造において、前記燃料電池本体のプロトン導電膜は前記取付基板に取り付けられて前記燃料室と前記廃液室との境界部に配置されていることを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の発明では、取付基板に搭載された燃料電池本体は、プロトン導電膜を取付基板に取り付けて燃料室と廃液室との境界部に配置し、プラス電極(アノード)は取付基板の燃料室面側に、マイナス電極(カソード)は取付基板の廃液室面側にそれぞれ配設することにより、取付基板の廃液室面側を電源+、燃料室面側を電源GNDとした、取付基板を挟むような電源部を配することができる。これにより、電源+とGND間を低インピーダンス化することができて、ノイズ除去作用を高めるなど電気特性の良好な回路構成とすることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項記載の電子機器の燃料電池格納構造において、前記電気部品が前記燃料室又は前記廃液室に面しており、電気部品の室内側表面は防液膜で覆われていることを特徴としている。
【0017】
請求項5に記載の発明では、燃料室又は前記廃液室に面する電気部品の室内側表面を、液漏れを防ぐ防液膜で覆うことにより、燃料や廃液から電気部品を保護することができる。
【0018】
また、請求項6に記載の携帯型電子機器では、駆動電源に用いる燃料電池を、請求項1〜請求項5の何れか1項記載の電子機器の燃料電池格納構造により格納することにより、機器を小型に構成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態では、本発明を、メタノール直接型燃料電池を駆動電源とするデジタル電子スチルカメラ(以下、単に「デジタルカメラ」という)に適用した場合について説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
図1〜図3には、本発明の第1の実施形態に係るデジタルカメラの外観が示されており、図4及び図5には、そのデジタルカメラの平面視断面が示されている。また図6には、デジタルカメラの構成がブロック図で示されている。
【0021】
(デジタルカメラの全体構造)
図1〜図3に示されるように、本実施形態のデジタルカメラ10は箱型のコンパクトタイプとされ、カメラ本体の外郭を構成する筐体12を備えている。筐体12上面の一側端部にはシャッタボタン200が設けられており、前面の他側部上隅近傍にはフラッシュライト90が配置されている。また、筐体12前面の略中央部には、撮影レンズ16を組み込んだ円筒状のレンズ鏡胴17が設けられており、この撮影レンズ16は、ステッピングモータ等の駆動源により駆動されて焦点位置を変更するオートフォーカス(AF)機構を備えたズームレンズとなっている。
【0022】
図2に示されるように、筐体12の背面には、一側部上隅近傍にファインダ202が設けられており、他側部寄りに、画像や各種情報等をカラー表示するLCD74が配置されている。ファインダ202の下方には、近距離撮影時に設定するマクロボタン204、強制的にフラッシュライト90を発光させる強制フラッシュボタン206、及び、LCD74に表示され各種設定画面内のカーソルを移動させる十字カーソルボタン208が設けられ、LCD74の周囲には、LCD74に表示する画像の切り替え等の各種設定を行う設定ボタン210、212、214、及び、撮影条件等に関する各種設定を行う設定ボタン216、218、220が配置されている。
【0023】
(筐体及びその内部構造)
筐体12は、薄肉の金属板又は樹脂材料等で製作された薄型矩形箱状の液密構造とされており、図4に示されるように、内部に、デジタルカメラ10を動作させる回路基板14が収容されている。
【0024】
回路基板14は、銅箔からなる導電パターンが配線されたプリント配線板18と、プリント配線板18上に実装された多数の電気部品20とを備えており、それら電気部品20が導電パターンに電気的に接続されて電気回路を構成している。また、プリント配線板18の所定位置には貫通孔22が形成されており、この貫通孔22に、メタノール直接型燃料電池24の電池本体となるセル26が取り付けられている。
【0025】
図5に示されるように、セル26は、電子導電体であるアノード28、カソード30の2つの電極の間に、イオン導電体であるプロトン導電膜(電解質膜)32が挟まれた構造とされている。プロトン導電膜32は、貫通孔22の内周面に、プリント配線板18の板面と略平行な向きに固着されて、貫通孔22を塞いでいる。アノード28は、プリント配線板18の後面18B側に配設されて、プロトン導電膜32の後面と接しており、カソード30は、プリント配線板18の前面18C側に配設されてプロトン導電膜32の前面と接している。また、カソード30は、端部にプリント配線板18の前面18C上に配線された導電パターン34が接続されて、回路基板14に設けられた、電圧調整器(Voltage Regulator IC)等を含んで構成される電源回路36と電気的に接続されている。アノード28も同様に、端部にプリント配線板18の後面18B上に配線された導電パターン35が接続されて、回路基板14に設けられた電気回路を構成する電気部品20と電気的に接続されている。
【0026】
このように、メタノール直接型燃料電池24のセル26を搭載したプリント配線板18は、図4に示されるように、筐体12内の前後方向略中間部に前後方向と垂直な向きに配置されて、板端の周縁部18Aが筐体12の内壁面12Bに固着されている。これにより、筐体12内がプリント配線板18に仕切られて、筐体12内の前側と後側とにそれぞれ密閉空間が形成されている。
【0027】
筐体12の内壁面12Bとプリント配線板18の後面18Bとによって形成される後側の密閉空間は、セル26による発電に用いる燃料(メタノール水溶液)を貯蔵する燃料室38とされている。また、筐体12の内壁面12Bとプリント配線板18の前面18Cとによって形成される前側の密閉空間は、燃料電池による発電に伴い生成される廃液(水)を回収するための廃液室40とされている。したがって、セル26のプロトン導電膜32は燃料室38と廃液室40との境界部に配置されており、アノード28は燃料室38内に臨んで燃料極とされ、カソード30は廃液室40内に臨んで後述する大気が供給される空気極とされる。
【0028】
また、筐体12の内壁面12B、プリント配線板18の後面18Bと前面18C、各電気部品20の表面、及び、アノード28とカソード30のそれぞれの表面には、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気絶縁性に優れたシリコーン樹脂等からなるコート剤42がコーティングされて被覆されている。このコーティングが施されることにより、プリント配線板18の周縁部18Aと筐体12の内壁面12Bとの固着部に間隙や亀裂が生じている場合でも、その間隙等はコート剤42にコーキングされて、燃料室38及び廃液室40の気密性(液密性)が保たれる。したがって、コーティングと相俟ってプリント配線板18が液密隔壁としての役割を果たしている。
【0029】
ただし、アノード28は、コート剤42に形成された開口部44により、一部が燃料室38と連通されている。さらに、筐体12の外壁面(背面)12Aに形成された貫通孔46とコート剤42とにより排気管48が構成されて、その排気管48を介して機器外部50とも一部連通されている。またカソード30についても、コート剤42に形成された開口部52により、一部が廃液室40と連通されている。さらに、筐体12の外壁面(前面)12Aに形成された貫通孔54とコート剤42とにより吸気管56が構成されて、その吸気管56を介して機器外部50とも一部連通されている。
【0030】
(デジタルカメラの主要構成)
図6に示されるように、本実施形態のデジタルカメラ10は、被写体像を結像させるための撮影レンズ16の光軸後方に配設され絞り機能を備えるシャッタ60と、光学像を電気信号(アナログ信号)に変換する撮像素子(CCD(ChargeCoupled Device))62と、A/Dコンバータ等の信号処理回路部を有して撮像素子62からの出力信号に基づき被写体像を示すデジタル画像データを生成するアナログフロントエンド64と、撮像素子62及びアナログフロントエンド64を駆動するためのタイミング信号や制御信号を生成するタイミング発生器66と、マイクロプロセッサを有してデジタル画像データに所定の画素補間処理や色変換処理等を行う画像処理部68と、デジタル画像データを一時的に記憶する高速アクセス可能なSDRAM(Synchronous DRAM)等の高速演算用メモリ70と、デジタル画像データを蓄積する、電気的に記録・消去可能なフラッシュPROM等の画像蓄積用メモリ72と、撮影した画像を表示するLCD74と、外部機器と情報を通信する通信部76と、CPU(中央演算処理装置)を有してデジタルカメラ10の全体的な動作を司る主制御部78と、各種パラメータやプログラム等を記憶したROM80と、機器のステイタスを表示するステイタスLCD82、ステイタスLCD82を照明するバックライト83と、撮影レンズ16のズームモータ(図示省略)を駆動制御するズーム制御部84と、撮影レンズ16の焦点調整モータ(図示省略)を駆動制御する測距制御部86と、シャッタ60及びシャッタ60に含まれる絞り(図示省略)を駆動制御する露光制御部88と、フラッシュライト90と、シャッタボタン200及び各種設定ボタン204〜220からなる操作スイッチ群92とを備えている。
【0031】
また、メタノール直接型燃料電池24のセル26が接続された電源回路36は、主制御部58に接続されている。なお、LCD74は、撮像素子62による連続的な撮像によって得られた動画像(スルー画像)を表示してファインダとして使用することができる。
【0032】
これにより、撮像素子62は、撮影レンズ16により結像された光学像(被写体像)を電気信号に変換してアナログフロントエンド64に出力する。アナログフロントエンド64は、入力された信号をA/Dコンバータによりデジタル画像データに変換すると共に、微弱なCCD出力信号を最適なレベルに合わせ込む信号の増幅、及び信号処理の過程で発生するノイズ成分の除去等を行って画像処理部68に出力する。
【0033】
画像処理部68は、内蔵しているラインバッファにアナログフロントエンド64から順次入力されるデジタル画像データを蓄積して、一旦、高速演算用メモリ(SDRAM)70に格納する。高速演算用メモリ70に格納されたデジタル画像データは、主制御部78によって読み出され、これらに光源種に応じたデジタルゲインをかけることでホワイトバランス調整を行なうと共に、ガンマ処理及びシャープネス処理を行なって8ビットのデジタル画像データを生成し、更にYC信号処理して輝度信号Yとクロマ信号Cr、Cb(以下、「YC信号」という)を生成し、YC信号を再び高速演算用メモリ70に格納する。また、LCD74をファインダとして使用する場合には、生成したYC信号をLCD74に順次出力することで、LCD74にスルー画像がモニタ表示される。
【0034】
撮影においては、撮影者は、光学ファインダ202を通し、又はLCD74に表示されるスルー画像を視認してフレームを決め、シャッタボタン200を押圧操作する。シャッタボタン200が押されると、主制御部78は、高速演算用メモリ70に格納されたYC信号を、画像処理部68を介して画像蓄積用メモリ(Flash)72に記憶するとともに、撮影した静止画像をLCD74に表示する。
【0035】
一方、主制御部78に制御される露光制御部88は、シャッタ60及びシャッタ60に含まれる絞りを駆動させるためのタイミング信号をシャッタ60に出力し、タイミング発生器66は、撮像素子62を駆動させるためのタイミング信号を撮像素子62に、アナログフロントエンド64を駆動させるためのタイミング信号をアナログフロントエンド64に、各々出力する。
【0036】
また、本実施形態の撮影レンズ16は、複数枚のレンズを有し、焦点距離の変更(変倍)が可能なズームレンズとして構成されており、図示しないレンズ駆動機構を備えている。レンズ駆動機構には、ズームモータ及び焦点調整モータが含まれており、ズームモータは、主制御部78の制御下でズーム制御部84から供給された駆動信号によって駆動され、焦点調整モータは、主制御部78の制御下で測距制御部86から供給された駆動信号によって駆動される。
【0037】
主制御部78は、光学ズーム倍率を変更する際にはズームモータを駆動制御して撮影レンズ16の焦点距離を変化させる。また、主制御部78は、撮像素子62による撮像によって得られた画像のコントラストが最大となるように上記焦点調整モータを駆動制御することによって合焦制御を行う。すなわち、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、合焦制御として、読み取られた画像のコントラストが最大となるようにレンズの位置を設定する、所謂TTL(Through The Lens)方式を採用しており、オートフォーカス・フレームによって示される撮影位置に被写体が位置した状態でシャッタボタン200を半押しすることによって、自動的に合焦制御が為されるように構成されている。
【0038】
(実施形態の作用)
次に、図4及び図5を参照して、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の作用を説明する。
【0039】
デジタルカメラ10の初期状態では、燃料室38内に燃料としてのメタノール水溶液が充填されており、廃液室40内は空の状態とされている。ここで、セル26のアノード28に、開口部44を介してメタノール水溶液が供給され、カソード30に、吸気管56を介して大気(酸素)が供給されると、電気化学的な反応により発電される。詳細には、燃料極となるアノード28において、燃料として供給されたメタノール水溶液(CHOH+HO)の水素が水素イオン(H)と電子(e)とに解離し、電子は導電パターン34から電気回路を通って、また水素イオンはプロトン導電膜32を通って空気極となるカソード30にそれぞれ到達し、電気回路に電流が流れる。また電子と水素とがカソード30に供給された酸素(O)と反応して水(HO)が生成される。さらにアノード28では、水素イオンが電離したメタノール水溶液から二酸化炭素(CO)が排出される。したがって、アノード28での二酸化炭素は排気管48から機器外部50へ排出され、カソード30で生成された廃液としての水は、開口部52を通り廃液室40へ排出されて回収される。
【0040】
燃料極 : CHOH+HO → CO+6H+6e
空気極 : 3/2O+6H+6e → 3H
また、このメタノール直接型燃料電池24による発電では、カソード30に接続された導電パターン34側が電池電圧電位となり、アノード28に接続された導電パターン35側がGND電位となって、生成された電気は電源回路36により適正電圧に調整されて主制御部78等の電気回路に送られる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態のデジタルカメラ10では、筐体12内に、筐体12の内壁面12Bを一部用いて形成した燃料室38と廃液室40とを設けて、筐体12に燃料貯蔵タンク及び廃液回収タンクとしての機能を持たせたことにより、デジタルカメラ10にメタノール直接型燃料電池24を搭載しても機器全体を小型に構成することができる。
【0042】
また、本実施の形態では、電気部品20が搭載されたプリント配線板18を隔壁として用いたことにより、専用の隔壁を設ける場合に比べて、機器全体をより小型に構成することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、セル26をプリント配線板18に搭載したことで実装密度が向上するとともに、プリント配線板18に形成された導電パターン34、35により電源回路36や電気部品20と直接接続したことで、給電経路が短縮されて抵抗を抑えることができる。
【0044】
また、本実施の形態では、プリント配線板18に搭載したセル26は、プロトン導電膜32をプリント配線板18に取り付けて燃料室38と廃液室40との境界部に配置し、アノード28はプリント配線板18の燃料室38面側に、カソード30はプリント配線板18の廃液室40面側にそれぞれ配設したことにより、プリント配線板18の廃液室40面側(後面前面18C側)を電源+、燃料室38面側(前面18C)を電源GNDとした、プリント配線板18を挟むような電源部を配することができる。これにより、電源+とGND間を低インピーダンス化することができて、ノイズ除去作用を高めるなど電気特性の良好な回路構成とすることができる。
【0045】
また、本実施の形態では、燃料室38及び廃液室40に面する電気部品20の室内側表面をコート剤42で被覆したことにより、燃料や廃液から電気部品20を保護することができる。
【0046】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態は、筐体内を複数の回路基板で仕切ることにより、筐体内に区画して設ける室数を増やしたものであるが、上記第1の実施形態と同一構成については同じ符合を付してその説明を省略する。
【0047】
図7及び図8に示されるように、第2の実施形態に係るデジタルカメラ100は、第1の実施形態と同じシャッタボタン200や各種設定ボタン、LCD等が設けられたカメラ本体101と、撮影レンズ16を備えてカメラ本体101の一側面に着脱可能とされたレンズユニット128とにより構成されている。なお、このレンズユニット128は、カメラ本体101に装着されると、不図示のコネクターが接続されてカメラ本体101と電気的に接続されるようになっている。
【0048】
カメラ本体101の筐体102は、第1の実施形態と同様の液密構造とされており、内部に、前後方向に所定の間隔で配列された2枚の回路基板104、106が収納されている。各回路基板104、106のプリント配線板108、110には、第1の実施形態と同様に、貫通孔22にセル26がそれぞれ取り付けられており、そのプリント配線板108、110は、筐体102の内壁面102Aにそれぞれ固着されて、筐体102内に、区画された3つの密閉空間を形成している。
【0049】
それら密閉空間のうち、筐体102内の前側に位置するプリント配線板108の前面108Aと筐体102の内壁面102Aとにより形成される前側空間、及び、筐体102内の後側に位置するプリント配線板110の後面110Bと筐体102の内壁面102Aとにより形成される後側空間は、それぞれ廃液室112、114とされている。また、廃液室112、114との間に位置して、プリント配線板108の後面108B及びプリント配線板110の前面110Aと、筐体102の内壁面102Aとにより形成される中央部空間は、燃料室116とされている。なお、この燃料室116の容積は、廃液室112、114の合計容積とほぼ等しくなるようにされている。
【0050】
各セル26の燃料室116内に配置されたそれぞれのアノード28を被覆するコート剤42には、対向する開口部118、120が形成されている。各アノード28は、それぞれの開口部118、120に各基端部が接続されるとともに、筐体102の一方の側面に形成された貫通孔122に先端部が接続されたT字型の排気管124によって、機器外部50と連通されている。
【0051】
これにより、本実施形態のデジタルカメラ100は、筐体12内に分離・収容された各回路基板104、106がそれぞれメタノール直接型燃料電池を備えた構成となり、その各燃料電池から給電されるようになる。また、回路基板104、106を中継基板や配線等により電気的に接続すれば、2つの燃料電池からなる高電圧電源や大電流電源を構成することができる。
【0052】
例えば、プリント配線板108の前面108A側にあるカソード30に接続された導電パターン34と、プリント配線板110の前面110A側にあるアノード28に接続された導電パターン35とを不図示の中継基板又は配線等で接続すると、上記カソード30とアノード28との間には、第1の実施形態で説明した1層のメタノール直接型燃料電池24に比べて2倍の電圧が発生する。これは、第1実施形態の1層電池を直列に繋げたことに他ならず、この電圧を取り出すことにより、上記1層電池に比べて2倍の電圧が得られる高電圧電源を構成することができる。
【0053】
一方、プリント配線板108の後面108B側にあるアノード28に接続された導電パターン35と、プリント配線板110の前面110A側にあるアノード28に接続された導電パターン35とを不図示の中継基板又は配線等で接続し、プリント配線板108の前面108A側にあるカソード30に接続された導電パターン34と、プリント配線板110の後面110B側にあるカソード30に接続された導電パターン34とを不図示の中継基板又は配線等で接続して、各セル26のアノード28、カソード30間から電源をとる構成にすると、これは、第1実施形態の1層電池を並列に繋げたことになるので、その1層電池に比べて2倍の電流が得られる大電流電源を構成することができる。
【0054】
なお、本実施形態では、燃料室を1室、廃液室を2室として説明したが、逆に、燃料室を2室、廃液室を1室としてもよい。さらには、本実施形態のような2枚のプリント配線板を用いての3室・2層電池構成に限らず、4室の2層電池構成、あるいは、3層以上の電池構成としてもよい。その場合は、燃料室と廃液室とを交互に配列することで構成可能である。
【0055】
以上、本発明を上述した特定の実施形態により詳細に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能である。
【0056】
例えば、第1及び第2の実施形態では、筐体内のほぼ全スペースを燃料室又は廃液室とした構成であるが、それら燃料室及び廃液室は、筐体内の一部を区画して設けることもできる。その場合、回路基板に搭載される電気部品は、燃料や廃液に触れないよう配置することも可能である。
【0057】
筐体内に燃料室と廃液室とを区画して設ける隔壁については、回路基板を構成するプリント配線板に限らず、例えば、単に部品を固定するために設けた部品固定用基板や、筐体を補強するために筐体に一体的に、あるいは別体として設けたリブや補強板等を用いることもできる。またその場合も、燃料電池のセルを隔壁に同一平面状に取り付けることで、セルの各電極面と対応して配設する燃料室及び廃液室を無駄のないレイアウトにすることができる。また、燃料の補給や廃液の排出・回収については、筐体の外壁面に燃料室又は廃液室と連通するドレン口をそれぞれ設け、それらのドレン口から行うようにしてもよい。
【0058】
また、電気部品を保護するとともに燃料室及び廃液室のシール機能を果たすコート剤については、第1及び第2実施形態のような全面コーティングに限らず、必要部のみコーティングを施すこともできる。例えば、通常、基板表面にはレジスト層が形成され基板表面上に配線された導電パターンはそのレジスト層に被覆されているため、レジスト層を耐水性、耐薬品性を有する材料で形成することにより、プリント配線板上で部品が搭載されていない部分のコーティングを省き、部品搭載部のみに部分的にコーティングするようなこともできる。また、コーティング以外に、通常のICやLSIを樹脂封止する場合と同様、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気絶縁性を有する、例えばエポキシ系半導体封止材料等を用いて、全体又は部分的に樹脂封止してもよい。
【0059】
また、プリント配線板と筐体内壁面との固着部については、室内の圧力変化や温度変化等の条件により、必要に応じて、Oリング等のシール部材を用いシール性を高めることができる。さらに、筐体は分割構造としてもよく、その場合も、筐体の接合部にシール部材等を設けることで、簡単且つ確実に液密構造を得ることができる。
【0060】
また、画像等を表示するLCDについては、カメラの小型化・薄型化等を考慮した場合、バックライトの不要な有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子等の他の表示手段に置き換えるようにしてもよい。
【0061】
また本発明は、上述したデジタルカメラ以外に、PDAや携帯電話機等の携帯型電子機器、あるいはレンズ付きフィルム等にも適用することができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明の電子機器の燃料電池格納構造及び携帯型電子機器は上記構成としたので、燃料電池を搭載しても機器を小型に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るデジタルカメラを正面側から見た外観図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るデジタルカメラを背面側から見た外観図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るデジタルカメラの正面図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】図4における燃料電池付近を示す拡大断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るデジタルカメラを正面側から見た外観図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るデジタルカメラを示す平面視断面図である。
【符号の説明】
10    デジタルカメラ(携帯型電子機器)
12    筐体
14    回路基板
18    プリント配線板(取付基板/隔壁)
20    電気部品
22    貫通孔(境界部)
24    メタノール直接型燃料電池(燃料電池)
26    セル(燃料電池本体)
32    プロトン導電膜
34、35 導電パターン
36    電源回路(電気部品)
38    燃料室
40    廃液室
42    コート剤(防液膜)

Claims (6)

  1. 電気部品を収容する電子機器の筐体と、
    この筐体内に配置され、一部が筐体内壁で形成される燃料室と廃液室とを区画して設ける隔壁と、
    前記筐体内に設けられ、前記燃料室からの燃料を発電に用いて前記電気部品へ給電し、発電に伴う廃液を前記廃液室へ排出する燃料電池本体と、
    を有することを特徴とする電子機器の燃料電池格納構造。
  2. 前記隔壁が前記電気部品の取付基板であることを特徴とする請求項1記載の電子機器の燃料電池格納構造。
  3. 前記燃料電池本体は前記取付基板に搭載され、前記電気部品とは取付基板に形成された導電パターンで電気的に接続されていることを特徴とする請求項2記載の電子機器の燃料電池格納構造。
  4. 前記燃料電池本体のプロトン導電膜は、前記取付基板に取り付けられて前記燃料室と前記廃液室との境界部に配置されていることを特徴とする請求項3記載の電子機器の燃料電池格納構造。
  5. 前記電気部品が前記燃料室又は前記廃液室に面しており、電気部品の室内側表面は防液膜で覆われていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項記載の電子機器の燃料電池格納構造。
  6. 請求項1〜請求項5の何れか1項記載の電子機器の燃料電池格納構造により格納された燃料電池を駆動電源に用いていることを特徴とする携帯型電子機器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2871333A1 (fr) * 2004-06-02 2005-12-09 Antig Tech Co Ltd Carte a circuit electronique integrant une pile a combustible
JP2006332025A (ja) * 2005-04-28 2006-12-07 Hitachi Ltd 燃料電池ユニットおよび電子機器
JP2011000586A (ja) * 2010-07-28 2011-01-06 Casio Computer Co Ltd 反応装置

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