JP2004115964A - 清涼性を有する布帛 - Google Patents
清涼性を有する布帛 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004115964A JP2004115964A JP2002281735A JP2002281735A JP2004115964A JP 2004115964 A JP2004115964 A JP 2004115964A JP 2002281735 A JP2002281735 A JP 2002281735A JP 2002281735 A JP2002281735 A JP 2002281735A JP 2004115964 A JP2004115964 A JP 2004115964A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fabric
- hydration
- substance
- negative heat
- oxide
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
- Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
Abstract
【課題】耐洗濯性に優れた清涼機能を有する布帛を提供する。
【解決手段】ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ズルシトールなどの糖アルコール、尿素、グリシンなどの水和熱が負である物質と、層状ケイ酸塩、ハイドロタルサイト類化合物、ハイドロタルサイト類焼成物、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、4価金属リン酸塩、リン酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の無機化合物との複合体を布帛に担持させることにより、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【選択図】 なし
【解決手段】ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ズルシトールなどの糖アルコール、尿素、グリシンなどの水和熱が負である物質と、層状ケイ酸塩、ハイドロタルサイト類化合物、ハイドロタルサイト類焼成物、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、4価金属リン酸塩、リン酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の無機化合物との複合体を布帛に担持させることにより、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、清涼性を有する布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,清涼性を有する布帛が多く提案されている。これは、繊維の形状や織り方に工夫をこらして人体から発生する汗を衣服外へ放出する方法、吸水性の高い繊維を肌側に用いて人体から発生する汗を衣服外へ放出する方法、繊維表面にアルミニウムなどを蒸着して太陽光を反射する方法、酸化チタンなどの可視光反射物資を繊維に練り込んで太陽光を反射させる方法などがある。
【0003】
チタン酸アルカリ金属またはチタン酸アルカリ土類金属の微粒子を含有する繊維の裏面に太陽光反射層を有する布帛が提案されている(例えば、特許文献1参照)が、本質的な改善に到っていない。
繊維表面から中空部への連結部を有する中空部内に非水溶性の吸水性ポリマーを充填した繊維が提案されている。繊維表面の水分を低減させることにより清涼感を高めることができる(例えば、特許文献2参照)が、これも積極的に保冷性能を示すものではない。
太陽光遮蔽物質を3質量%以上含み,かつ鞘部の太陽光遮蔽物質含有量が0.8質量%以下である単フイラメントからなるポリエステルマルチフイラメント糸であって、その単フィラメント間に5%以上の糸長差を有し,かつ,嵩高度が200%以上である清涼性繊維が提案されている(例えば、特許文献3参照)が、これとて基本的には前述のものと同様である。
これらは、いずれも断熱によるものであり、積極的に清涼性を示すものではない。
【0004】
中空繊維の中空部にメントール類成分を含む吸水性ポリマーを担持させた清涼感を有する繊維構造体が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、この繊維はメントールを用いて清涼感を出していることから、熱を直接コントロールするものではない。
【0005】
積極的に清涼性を示す布帛として、キシリトール添加加工した布帛が提案されている(商品名ベリークールウェア(ヨネックス(株)製)や商品名クールプラス(ダイワタオル協同組合)など)。これらは、キシリトールが負の水和熱を有することにより、汗などの水分を吸収して温度を低下させることが出来ることを活用したものである。しかし、キシリトールは水溶性物質であるため、洗濯時に溶出してしまい、清涼効果の持続性に問題がある。
【0006】
○先行文献
【特許文献1】
特開平05−279938号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平09−095864号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開平08−158186号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】
特開2000−34679号公報(特許請求の範囲)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐洗濯性に優れた清涼機能を有する布帛を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、層状ケイ酸塩、ハイドロタルサイト類化合物、ハイドロタルサイト類焼成物、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、4価金属リン酸塩、リン酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の無機化合物と、水和熱が負である物質との複合体を布帛に担持させることにより、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
○水和熱が負である物質
本発明に用いる水和熱が負である物質は、負の水和熱を持った物質であれば特に限定はない。水和という言葉は、ここでは溶解とか吸湿といった意味も含む。また水和熱という言葉は、溶解熱、吸湿熱、湿潤熱といった言葉も含む。
水和熱が負である物質は、糖アルコール、尿素、グリシンから選ばれる少なくとも1種以上のものである。
水和熱が負である物質の好ましい具体例として、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ズルシトールなどの糖アルコール、尿素、グリシンなどが挙げられ、更に好ましくは、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ズルシトールなどの糖アルコール、尿素であり、特に好ましくはエリスリトール、キシリトール、ズルシトール、尿素である。
【0011】
○無機化合物
本発明に用いる無機化合物は、層状ケイ酸塩、ハイドロタルサイト類化合物、ハイドロタルサイト焼成物、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、4価金属リン酸塩、リン酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上のものである。
【0012】
層状ケイ酸塩の具体例とし粘土鉱物がある。モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイトなどのスメクタイト族、バームキュライト族、イライト、白雲母、金雲母、黒雲母などの雲母族、マーガライト、クリントナイトなどの脆雲母族、スドーアイトなどの緑泥石族、カオリナイト、ハロイサイトなどのカオリン類、アンチゴライトなどの蛇紋石族などが挙げられる。その他の好ましい層状ケイ酸塩として以下のものがある。即ち、マガディアイト、ケニヤアイト、カネマイト、マカタイト、アイラーアイトなどの層状ナトリウム珪酸塩、トバモライトなどの層状カルシウム珪酸塩、および水酸イオンなどの陰イオンをフッ素イオンで置換せしめた合成雲母などがある。
【0013】
ハイドロタルサイト類化合物、下記一般式[1]で表現され、ハイドロタルサイト構造を有する化合物であり、最も好ましい化合物としてアルミニウムマグネシウムハイドロタルサイトがある。
M1(1−X)M2X(OH)2An− (X/n)・mH2O [1]
一般式[1]のM1は、2価の金属であり、M2は、3価の金属であり、Xは、0より大きく0.5以下の数であり、An−は炭酸イオン、硫酸イオンなどのn価の陰イオンであり、mは正数である。
【0014】
ハイドロタルサイト類焼成物は、ハイドロタルサイト類化合物を約500℃以上で焼成し、炭酸根や水酸基が脱離することにより得られる化合物である。
酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウムは、無水物、水和物とも含む。
【0015】
4価金属リン酸塩の具体例として、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、リン酸スズなどがある。これらの化合物には、α型結晶、β型結晶、γ型結晶、ナシコン型結晶など、種々の結晶系を有する結晶質のものと非晶質のものがあるが、いずれも本発明に含まれる。
リン酸カルシウムは、ヒドロキシアパタイト、3リン酸カルシウムなどが挙げられ、結晶質、非晶質いづれでもかまわない。
【0016】
これら無機化合物は、水和熱が負である物質と、水素結合、ファンデアワールス結合、配位結合などにより複合体を作り、水和熱が負である物質の水に対する溶解性を低下させることができる。
これらの無機化合物のうち、層状ケイ酸塩、ハイドロタルサイト類化合物、ハイドロタルサイト類焼成物、酸化亜鉛および4価金属リン酸塩が、水和熱が負である物質の水溶解性の低下効果が高く好ましく、層状ケイ酸塩、ハイドロタルサイト類化合物、ハイドロタルサイト類焼成物および4価金属リン酸塩が特に好ましい。
【0017】
○水和熱が負である物質と無機化合物との複合体
水和熱が負である物質と上記記載の無機化合物とが、最終的に布帛に担持されたときに、これらについて上記記載の結合ができていれば、複合体の作製方法は特に限定されない。
【0018】
水和熱が負である物質の水溶液に上記記載の無機化合物を添加して複合体とさせる方法、乾式で水和熱が負である物質と上記記載の無機化合物とを混合・加熱して複合体とさせる方法などが挙げられる。得られた複合体は、繊維後加工用バインダーに添加して、布帛に担持してやればよい。
【0019】
また、繊維後加工用バインダーに水和熱が負である物質と上記記載の無機化合物とを添加し、これを用いて布帛に後加工してもよい。すなわち、事前に複合体としておかなくても、バンイダー添加時、バインダー後加工時、バインダーの加熱硬化時など、工程のいずれかの段階で複合体となり、布帛に担持していればよい。
【0020】
上記記載の無機化合物と水和熱が負である物質との複合体における配合割合は、上記記載の無機化合物100質量部に対して、水和熱が負である物質が1〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜75質量部であり、20〜60質量部が特に好ましい。1質量部未満では清涼効果が乏しく、逆に100質量部より多く添加しても複合体とならない物が残ることがあり、水和熱が負である物質の耐水性向上の効果がない場合がある。
【0021】
○布帛への加工
本発明に用いる布帛は特に限定されない。具体例として、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリエチレン、ポリビニル、ポリビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、アセテート、綿、ウール、麻などであり、より好ましくは綿、ウール、麻などである。
【0022】
布帛への加工方法に特に制限はないが、バインダーを含有した水系或いは有機系懸濁液に本発明の複合体を分散させ、塗布やディッピングなどの方法で布帛に付着させ、溶媒を除去することにより布帛に複合体をコーティングする方法が一般的である。バインダー樹脂は、溶媒を除去した後、布帛に付着力が出れば特に制限はなく、アクリル系、ウレタン系などを用いることができる。布帛への添着量は特に制限はない。添着量が多いほど清涼性は向上するが、あまり多すぎると、粉落ちしたり、布帛の肌触りを悪化させるので、複合体として、0.5〜5g/m2が好ましく、1〜4g/m2が特に好ましい。
バインダー樹脂の量も特に限定はないが、複合体100質量部に対して、バインダー樹脂固形分が30〜300質量部が好ましく、更に40〜200質量部が好ましい。
【0023】
尚、必要に応じて、上記水系或いは有機系懸濁液に、複合体の分散性を向上させるために界面活性剤、分散剤などを添加しても良く、界面活性剤などはアニオン系、ノニオン系、カチオン系などいずれのものでも良い。
【0024】
本発明の複合体を担持した布帛は、清涼性且つ対洗濯性にも優れることから清涼性を必要とするものに使用することができる。例えば、夏用の衣服、敷布、タオルなどや発熱時の清涼性付与(例えば氷嚢の代用や冷湿布など)などに使用することができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明をさらに具体的に説明する。
【0026】
○複合体の作製
表1に示した水和熱が負である物質40質量部を水500質量部に溶解させ、ついで無機化合物100質量部を添加し2時間攪拌した。ろ過により複合体を回収し、100℃で6時間乾燥することにより複合体1〜3を得た。
また表2に示した水和熱が負である物質50質量部と無機化合物100質量部を乾式で混合し、ついで所定温度で2時間加熱することにより複合体4〜5を得た。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
<実施例1>
イオン交換水100質量部に対して、複合体1を4.3質量部、アクリル系バインダー(東亞合成(株)製KB−4900、固形分45質量%)6.7質量部を添加し、良く撹拌して懸濁液を調製した。この懸濁液に対し綿100%布帛をディッピングし、絞り率70%でピックアップし、150℃で乾燥し試験布帛を得た。
【0030】
<実施例2〜5>
実施例1の複合体をそれぞれ複合体2〜5に代えた以外は、実施例1と同様に操作し、試験布帛を得た。
【0031】
<比較例1>
複合体1の代わりに、キシリトールを用いた以外は実施例1と同様に行ない、比較例1とした試験布帛を得た。
【0032】
○評価試験
実施例1〜5および比較例1で得られた試験布帛を用いてアンダーシャツを作製し、男性パネル5名(A,B,C,D,E)により着用試験を実施した。
・洗濯
試験布帛を用いて作製したアンダーシャツについて、[洗濯5分間+すすぎ2分間+脱水2分間]を1セットとした洗濯操作を10回繰り返して行った(洗濯後)。
・着用試験
洗濯前および洗濯後のアンダーシャツによる着用試験は、30℃、60%RH環境下に30分間滞在して、清涼性を官能評価することにより行なった。その結果を表3に示した。評価は、
○:清涼性を感じる
△:清涼性をやや感じる
×:清涼性を感じない
とした。
【0033】
【表3】
【0034】
水和熱が負である物質としてキシリトールを用いた実施例2と比較例1とでは、洗濯前の評価に差が認められなかったが、洗濯を行うことにより、比較例1の布帛で作製したアンダーシャツの清涼性は失われたが実施例2の布帛で作製したアンダーシャツの清涼性は残存していた。このことから、本発明の有用性が明らかである。また、他の実施例の布帛で作製したアンダーシャツの清涼性も、比較例1に比べ耐洗濯性に優れていることが明らかである。
【0035】
【発明の効果】
水和熱が負である物質と特定の無機化合物との複合体を布帛に担持させたものは、清涼性に優れる。しかも耐洗濯性にも優れるため、洗濯により清涼性の低下が少ない。夏用の衣料など、清涼性が求められる衣服やタオルなどに有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、清涼性を有する布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,清涼性を有する布帛が多く提案されている。これは、繊維の形状や織り方に工夫をこらして人体から発生する汗を衣服外へ放出する方法、吸水性の高い繊維を肌側に用いて人体から発生する汗を衣服外へ放出する方法、繊維表面にアルミニウムなどを蒸着して太陽光を反射する方法、酸化チタンなどの可視光反射物資を繊維に練り込んで太陽光を反射させる方法などがある。
【0003】
チタン酸アルカリ金属またはチタン酸アルカリ土類金属の微粒子を含有する繊維の裏面に太陽光反射層を有する布帛が提案されている(例えば、特許文献1参照)が、本質的な改善に到っていない。
繊維表面から中空部への連結部を有する中空部内に非水溶性の吸水性ポリマーを充填した繊維が提案されている。繊維表面の水分を低減させることにより清涼感を高めることができる(例えば、特許文献2参照)が、これも積極的に保冷性能を示すものではない。
太陽光遮蔽物質を3質量%以上含み,かつ鞘部の太陽光遮蔽物質含有量が0.8質量%以下である単フイラメントからなるポリエステルマルチフイラメント糸であって、その単フィラメント間に5%以上の糸長差を有し,かつ,嵩高度が200%以上である清涼性繊維が提案されている(例えば、特許文献3参照)が、これとて基本的には前述のものと同様である。
これらは、いずれも断熱によるものであり、積極的に清涼性を示すものではない。
【0004】
中空繊維の中空部にメントール類成分を含む吸水性ポリマーを担持させた清涼感を有する繊維構造体が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、この繊維はメントールを用いて清涼感を出していることから、熱を直接コントロールするものではない。
【0005】
積極的に清涼性を示す布帛として、キシリトール添加加工した布帛が提案されている(商品名ベリークールウェア(ヨネックス(株)製)や商品名クールプラス(ダイワタオル協同組合)など)。これらは、キシリトールが負の水和熱を有することにより、汗などの水分を吸収して温度を低下させることが出来ることを活用したものである。しかし、キシリトールは水溶性物質であるため、洗濯時に溶出してしまい、清涼効果の持続性に問題がある。
【0006】
○先行文献
【特許文献1】
特開平05−279938号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平09−095864号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開平08−158186号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】
特開2000−34679号公報(特許請求の範囲)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐洗濯性に優れた清涼機能を有する布帛を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、層状ケイ酸塩、ハイドロタルサイト類化合物、ハイドロタルサイト類焼成物、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、4価金属リン酸塩、リン酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の無機化合物と、水和熱が負である物質との複合体を布帛に担持させることにより、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
○水和熱が負である物質
本発明に用いる水和熱が負である物質は、負の水和熱を持った物質であれば特に限定はない。水和という言葉は、ここでは溶解とか吸湿といった意味も含む。また水和熱という言葉は、溶解熱、吸湿熱、湿潤熱といった言葉も含む。
水和熱が負である物質は、糖アルコール、尿素、グリシンから選ばれる少なくとも1種以上のものである。
水和熱が負である物質の好ましい具体例として、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ズルシトールなどの糖アルコール、尿素、グリシンなどが挙げられ、更に好ましくは、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ズルシトールなどの糖アルコール、尿素であり、特に好ましくはエリスリトール、キシリトール、ズルシトール、尿素である。
【0011】
○無機化合物
本発明に用いる無機化合物は、層状ケイ酸塩、ハイドロタルサイト類化合物、ハイドロタルサイト焼成物、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、4価金属リン酸塩、リン酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上のものである。
【0012】
層状ケイ酸塩の具体例とし粘土鉱物がある。モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイトなどのスメクタイト族、バームキュライト族、イライト、白雲母、金雲母、黒雲母などの雲母族、マーガライト、クリントナイトなどの脆雲母族、スドーアイトなどの緑泥石族、カオリナイト、ハロイサイトなどのカオリン類、アンチゴライトなどの蛇紋石族などが挙げられる。その他の好ましい層状ケイ酸塩として以下のものがある。即ち、マガディアイト、ケニヤアイト、カネマイト、マカタイト、アイラーアイトなどの層状ナトリウム珪酸塩、トバモライトなどの層状カルシウム珪酸塩、および水酸イオンなどの陰イオンをフッ素イオンで置換せしめた合成雲母などがある。
【0013】
ハイドロタルサイト類化合物、下記一般式[1]で表現され、ハイドロタルサイト構造を有する化合物であり、最も好ましい化合物としてアルミニウムマグネシウムハイドロタルサイトがある。
M1(1−X)M2X(OH)2An− (X/n)・mH2O [1]
一般式[1]のM1は、2価の金属であり、M2は、3価の金属であり、Xは、0より大きく0.5以下の数であり、An−は炭酸イオン、硫酸イオンなどのn価の陰イオンであり、mは正数である。
【0014】
ハイドロタルサイト類焼成物は、ハイドロタルサイト類化合物を約500℃以上で焼成し、炭酸根や水酸基が脱離することにより得られる化合物である。
酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウムは、無水物、水和物とも含む。
【0015】
4価金属リン酸塩の具体例として、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、リン酸スズなどがある。これらの化合物には、α型結晶、β型結晶、γ型結晶、ナシコン型結晶など、種々の結晶系を有する結晶質のものと非晶質のものがあるが、いずれも本発明に含まれる。
リン酸カルシウムは、ヒドロキシアパタイト、3リン酸カルシウムなどが挙げられ、結晶質、非晶質いづれでもかまわない。
【0016】
これら無機化合物は、水和熱が負である物質と、水素結合、ファンデアワールス結合、配位結合などにより複合体を作り、水和熱が負である物質の水に対する溶解性を低下させることができる。
これらの無機化合物のうち、層状ケイ酸塩、ハイドロタルサイト類化合物、ハイドロタルサイト類焼成物、酸化亜鉛および4価金属リン酸塩が、水和熱が負である物質の水溶解性の低下効果が高く好ましく、層状ケイ酸塩、ハイドロタルサイト類化合物、ハイドロタルサイト類焼成物および4価金属リン酸塩が特に好ましい。
【0017】
○水和熱が負である物質と無機化合物との複合体
水和熱が負である物質と上記記載の無機化合物とが、最終的に布帛に担持されたときに、これらについて上記記載の結合ができていれば、複合体の作製方法は特に限定されない。
【0018】
水和熱が負である物質の水溶液に上記記載の無機化合物を添加して複合体とさせる方法、乾式で水和熱が負である物質と上記記載の無機化合物とを混合・加熱して複合体とさせる方法などが挙げられる。得られた複合体は、繊維後加工用バインダーに添加して、布帛に担持してやればよい。
【0019】
また、繊維後加工用バインダーに水和熱が負である物質と上記記載の無機化合物とを添加し、これを用いて布帛に後加工してもよい。すなわち、事前に複合体としておかなくても、バンイダー添加時、バインダー後加工時、バインダーの加熱硬化時など、工程のいずれかの段階で複合体となり、布帛に担持していればよい。
【0020】
上記記載の無機化合物と水和熱が負である物質との複合体における配合割合は、上記記載の無機化合物100質量部に対して、水和熱が負である物質が1〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜75質量部であり、20〜60質量部が特に好ましい。1質量部未満では清涼効果が乏しく、逆に100質量部より多く添加しても複合体とならない物が残ることがあり、水和熱が負である物質の耐水性向上の効果がない場合がある。
【0021】
○布帛への加工
本発明に用いる布帛は特に限定されない。具体例として、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリエチレン、ポリビニル、ポリビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、アセテート、綿、ウール、麻などであり、より好ましくは綿、ウール、麻などである。
【0022】
布帛への加工方法に特に制限はないが、バインダーを含有した水系或いは有機系懸濁液に本発明の複合体を分散させ、塗布やディッピングなどの方法で布帛に付着させ、溶媒を除去することにより布帛に複合体をコーティングする方法が一般的である。バインダー樹脂は、溶媒を除去した後、布帛に付着力が出れば特に制限はなく、アクリル系、ウレタン系などを用いることができる。布帛への添着量は特に制限はない。添着量が多いほど清涼性は向上するが、あまり多すぎると、粉落ちしたり、布帛の肌触りを悪化させるので、複合体として、0.5〜5g/m2が好ましく、1〜4g/m2が特に好ましい。
バインダー樹脂の量も特に限定はないが、複合体100質量部に対して、バインダー樹脂固形分が30〜300質量部が好ましく、更に40〜200質量部が好ましい。
【0023】
尚、必要に応じて、上記水系或いは有機系懸濁液に、複合体の分散性を向上させるために界面活性剤、分散剤などを添加しても良く、界面活性剤などはアニオン系、ノニオン系、カチオン系などいずれのものでも良い。
【0024】
本発明の複合体を担持した布帛は、清涼性且つ対洗濯性にも優れることから清涼性を必要とするものに使用することができる。例えば、夏用の衣服、敷布、タオルなどや発熱時の清涼性付与(例えば氷嚢の代用や冷湿布など)などに使用することができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明をさらに具体的に説明する。
【0026】
○複合体の作製
表1に示した水和熱が負である物質40質量部を水500質量部に溶解させ、ついで無機化合物100質量部を添加し2時間攪拌した。ろ過により複合体を回収し、100℃で6時間乾燥することにより複合体1〜3を得た。
また表2に示した水和熱が負である物質50質量部と無機化合物100質量部を乾式で混合し、ついで所定温度で2時間加熱することにより複合体4〜5を得た。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
<実施例1>
イオン交換水100質量部に対して、複合体1を4.3質量部、アクリル系バインダー(東亞合成(株)製KB−4900、固形分45質量%)6.7質量部を添加し、良く撹拌して懸濁液を調製した。この懸濁液に対し綿100%布帛をディッピングし、絞り率70%でピックアップし、150℃で乾燥し試験布帛を得た。
【0030】
<実施例2〜5>
実施例1の複合体をそれぞれ複合体2〜5に代えた以外は、実施例1と同様に操作し、試験布帛を得た。
【0031】
<比較例1>
複合体1の代わりに、キシリトールを用いた以外は実施例1と同様に行ない、比較例1とした試験布帛を得た。
【0032】
○評価試験
実施例1〜5および比較例1で得られた試験布帛を用いてアンダーシャツを作製し、男性パネル5名(A,B,C,D,E)により着用試験を実施した。
・洗濯
試験布帛を用いて作製したアンダーシャツについて、[洗濯5分間+すすぎ2分間+脱水2分間]を1セットとした洗濯操作を10回繰り返して行った(洗濯後)。
・着用試験
洗濯前および洗濯後のアンダーシャツによる着用試験は、30℃、60%RH環境下に30分間滞在して、清涼性を官能評価することにより行なった。その結果を表3に示した。評価は、
○:清涼性を感じる
△:清涼性をやや感じる
×:清涼性を感じない
とした。
【0033】
【表3】
【0034】
水和熱が負である物質としてキシリトールを用いた実施例2と比較例1とでは、洗濯前の評価に差が認められなかったが、洗濯を行うことにより、比較例1の布帛で作製したアンダーシャツの清涼性は失われたが実施例2の布帛で作製したアンダーシャツの清涼性は残存していた。このことから、本発明の有用性が明らかである。また、他の実施例の布帛で作製したアンダーシャツの清涼性も、比較例1に比べ耐洗濯性に優れていることが明らかである。
【0035】
【発明の効果】
水和熱が負である物質と特定の無機化合物との複合体を布帛に担持させたものは、清涼性に優れる。しかも耐洗濯性にも優れるため、洗濯により清涼性の低下が少ない。夏用の衣料など、清涼性が求められる衣服やタオルなどに有用である。
Claims (3)
- 層状ケイ酸塩、ハイドロタルサイト類化合物、ハイドロタルサイト類焼成物、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、4価金属リン酸塩、リン酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の無機化合物と、水和熱が負である物質との複合体を、布帛に担持させたことを特徴とする清涼性を有する布帛。
- 水和熱が負である物質が、糖アルコール、尿素、グリシンから選ばれる少なくとも1種以上のものである請求項1記載の清涼性を有する布帛。
- 無機化合物が層状ケイ酸塩、ハイドロタルサイト類化合物、ハイドロタルサイト類焼成物、酸化亜鉛、4価金属リン酸塩から選ばれる少なくとも1種以上のものである請求項1記載の清涼性を有する布帛。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002281735A JP2004115964A (ja) | 2002-09-26 | 2002-09-26 | 清涼性を有する布帛 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002281735A JP2004115964A (ja) | 2002-09-26 | 2002-09-26 | 清涼性を有する布帛 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004115964A true JP2004115964A (ja) | 2004-04-15 |
Family
ID=32276107
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002281735A Pending JP2004115964A (ja) | 2002-09-26 | 2002-09-26 | 清涼性を有する布帛 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004115964A (ja) |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005307126A (ja) * | 2004-04-26 | 2005-11-04 | Inoac Corp | コーティング剤 |
JP2007070744A (ja) * | 2005-09-05 | 2007-03-22 | Toray Ind Inc | 繊維構造物 |
KR100893630B1 (ko) | 2007-07-24 | 2009-04-20 | 벤텍스 주식회사 | 복합 냉감성 원단 |
KR101028476B1 (ko) | 2010-12-01 | 2011-04-08 | (주)에브리데이해피인터내셔널 | 발냉 기능성 직물의 제조방법 및 그에 의하여 제조되는 발냉 기능성 직물 |
JP2013019091A (ja) * | 2011-06-14 | 2013-01-31 | Ohara Palladium Kagaku Kk | 繊維仕上げ用エマルジョン組成物及びその製造方法 |
JP2014023675A (ja) * | 2012-07-26 | 2014-02-06 | Suminoe Textile Co Ltd | 涼感カ−ペット |
CN104562714A (zh) * | 2014-12-15 | 2015-04-29 | 浙江雅雪染整有限公司 | 一种针织棉凉感面料的加工方法 |
WO2015124016A1 (zh) * | 2014-02-24 | 2015-08-27 | 香港纺织及成衣研发中心有限公司 | 一种具有表面冷却功能的织物及其制备方法 |
US20160061510A1 (en) * | 2014-09-02 | 2016-03-03 | Dae Up Sohn | Endothermic Towel |
JP2017101357A (ja) * | 2015-12-03 | 2017-06-08 | 理研香料ホールディングス株式会社 | プライマー性消臭剤及びそれを用いた消臭性有機繊維 |
CN111074544A (zh) * | 2020-01-18 | 2020-04-28 | 中原工学院 | 不同阴离子插层的镁铝水滑石阻燃改性黄麻织物的制备方法及应用 |
CN112680820A (zh) * | 2020-12-23 | 2021-04-20 | 杭州宏达装饰布织造有限公司 | 一种散热梭织面料及其制备方法 |
-
2002
- 2002-09-26 JP JP2002281735A patent/JP2004115964A/ja active Pending
Cited By (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005307126A (ja) * | 2004-04-26 | 2005-11-04 | Inoac Corp | コーティング剤 |
JP2007070744A (ja) * | 2005-09-05 | 2007-03-22 | Toray Ind Inc | 繊維構造物 |
KR100893630B1 (ko) | 2007-07-24 | 2009-04-20 | 벤텍스 주식회사 | 복합 냉감성 원단 |
KR101028476B1 (ko) | 2010-12-01 | 2011-04-08 | (주)에브리데이해피인터내셔널 | 발냉 기능성 직물의 제조방법 및 그에 의하여 제조되는 발냉 기능성 직물 |
JP2013019091A (ja) * | 2011-06-14 | 2013-01-31 | Ohara Palladium Kagaku Kk | 繊維仕上げ用エマルジョン組成物及びその製造方法 |
JP2014023675A (ja) * | 2012-07-26 | 2014-02-06 | Suminoe Textile Co Ltd | 涼感カ−ペット |
WO2015124016A1 (zh) * | 2014-02-24 | 2015-08-27 | 香港纺织及成衣研发中心有限公司 | 一种具有表面冷却功能的织物及其制备方法 |
US11150005B2 (en) * | 2014-09-02 | 2021-10-19 | Dae Up Sohn | Endothermic towel |
US20160061510A1 (en) * | 2014-09-02 | 2016-03-03 | Dae Up Sohn | Endothermic Towel |
CN104562714A (zh) * | 2014-12-15 | 2015-04-29 | 浙江雅雪染整有限公司 | 一种针织棉凉感面料的加工方法 |
JP2017101357A (ja) * | 2015-12-03 | 2017-06-08 | 理研香料ホールディングス株式会社 | プライマー性消臭剤及びそれを用いた消臭性有機繊維 |
CN111074544A (zh) * | 2020-01-18 | 2020-04-28 | 中原工学院 | 不同阴离子插层的镁铝水滑石阻燃改性黄麻织物的制备方法及应用 |
CN111074544B (zh) * | 2020-01-18 | 2022-06-24 | 中原工学院 | 不同阴离子插层的镁铝水滑石阻燃改性黄麻织物的制备方法及应用 |
CN112680820A (zh) * | 2020-12-23 | 2021-04-20 | 杭州宏达装饰布织造有限公司 | 一种散热梭织面料及其制备方法 |
CN112680820B (zh) * | 2020-12-23 | 2022-08-12 | 杭州宏达装饰布织造有限公司 | 一种散热梭织面料及其制备方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2004115964A (ja) | 清涼性を有する布帛 | |
JP3201023B2 (ja) | 抗菌性合成繊維の製造方法 | |
JP7190577B2 (ja) | ゼオライトおよびその製造方法 | |
PT98654B (pt) | Processo para a preparacao de composicoes detergentes em particulas | |
Nakahira et al. | Synthesis and evaluation of various layered octacalcium phosphates by wet-chemical processing | |
KR101007888B1 (ko) | 산화물 형태의 하이드로탈사이트 및 그의 제조방법 | |
DE60208777T2 (de) | Flüssigwaschmittel mit verbesserter alpha-amylase-enzymstabilität | |
CN110078943A (zh) | 层状矿化的纳米几丁质复合水凝胶、制备方法及复合材料 | |
JP6965553B2 (ja) | 微粒子状繊維用消臭剤 | |
JP3270156B2 (ja) | 無機ビルダー | |
JP2810942B2 (ja) | 抗菌性と吸水性を有していて反復洗濯をするふきん等の製造方法 | |
JP2005029915A (ja) | 無機複合機能性付与剤、およびそれを用いた機能性繊維製品 | |
CN111607958A (zh) | 一种提高聚丙烯无纺布亲水渗透性的处理方法 | |
TW202140374A (zh) | 磷酸鋯粒子及使用其之鹼性氣體除臭劑和彼等之製造方法 | |
JPH07109672A (ja) | 抗菌性繊維製品の製造方法 | |
Peng et al. | Synthesis of hydroxyapatite nanoparticles with tailorable morphologies and carbonate substitutions using a wet precipitation method | |
JP3760487B2 (ja) | 金属イオン交換体の製造方法 | |
KR20120025859A (ko) | 친환경 에너지절약형 복합 단열재 조성물 | |
WO2005012631A1 (ja) | 遠赤外線効果羽毛製品 | |
JP2004161652A (ja) | 機能性付与剤および機能性布帛 | |
TW202003375A (zh) | 微粒子狀纖維用除臭劑 | |
JPH08205985A (ja) | 抗菌性敷物の製造方法 | |
KR20080042633A (ko) | 기능성 은나노 황토조성물 pp방적사 | |
JP4373601B2 (ja) | 自己発熱性ビルダー | |
JP2781865B2 (ja) | 消臭性シート |