JP2005307126A - コーティング剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 涼感作用を充分に体感できると共に、その涼感作用を持続させることができるコーティング剤を提供する。
【解決手段】 コーティング剤は、ソルビトール等の糖アルコール、窒化ケイ素等の熱伝導性材料及び合成ゴムのエマルジョン等のバインダーを含有している。そして、コーティング剤は被コーティング材にコーティングされ、被コーティング材が涼感作用を発現することができるように構成されている。糖アルコール10〜70質量%と熱伝導性材料30〜90質量%とを含有する混合物が、バインダー100質量部に対して5〜40質量部配合されていることが好ましい。更に、コーティング剤には、シリカ(SiO2)等の吸湿性助剤が含まれていることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、発泡ポリウレタン樹脂等の被コーティング材に吸湿作用及び吸熱作用を発現させて涼感を与えることができるコーティング剤に関するものである。
従来より糖アルコールの一種が吸湿する際に吸熱を起こす作用を利用し、少量のキシリトールを配合した糸で織った生地又はキシリトールを繊維にコーティングした生地による肌着、或いは微量のキシリトールパウダーを配合したファンデーション等の化粧品が知られている。更には、水に溶解する際に吸熱反応するキシリトール等の化合物が靴内に付着された涼感靴が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2003−339407号公報(第2頁から第4頁)
ところで、吸熱量は糖アルコール量に比例するが、上記のような製品に占める素材の質量や体積が小さいことから、糖アルコールを配合できる量に制限がある。また、吸熱効果がキシリトールのみの吸熱作用に依存している。そのため、前記の従来技術では、充分な涼感作用を発揮することができなかった。一方、涼感作用を有する製品としては、涼感作用が充分に体感できること及び涼感作用の持続性があることが求められている。しかしながら、前記の従来技術では、そのような要求を満たすには到っていなかった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、涼感作用を充分に体感できると共に、その涼感作用を持続させることができるコーティング剤を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のコーティング剤は、糖アルコール、熱伝導性材料及びバインダーを含有し、被コーティング材にコーティングされて被コーティング材が涼感作用を発現するように構成されていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明のコーティング剤は、請求項1に記載の発明において、前記糖アルコール10〜70質量%と熱伝導性材料30〜90質量%とを含有する混合物が、バインダー100質量部に対して5〜40質量部配合されていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明のコーティング剤は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、更に、吸湿性助剤を含有することを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明のコーティング剤は、請求項3に記載の発明において、前記糖アルコール10〜70質量%と熱伝導性材料30〜90質量%との混合物100質量部当り吸湿性助剤1〜10質量部を含有する配合物が、バインダー100質量部に対して5〜40質量部配合されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1又は請求項2に記載の発明のコーティング剤は、糖アルコール、熱伝導性材料及びバインダーを含有している。このため、コーティング剤がコーティングされて得られる被コーティング材は、糖アルコールによって吸湿作用が発揮され、その際に糖アルコールが水に溶解することによって溶解熱に基づく吸熱作用が発揮される。しかも、熱伝導性材料によって熱伝導作用に基づく放熱が行われる。従って、両者の作用が相乗的に働く。その結果、涼感作用を充分に体感できると共に、その涼感作用を持続させることができる。
請求項3又は請求項4に記載の発明のコーティング剤によれば、吸湿性助剤が配合され、その吸湿性助剤によって糖アルコールの吸湿作用が補完され、吸熱作用が一層向上する。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のコーティング剤は、糖アルコール、熱伝導性材料及びバインダーを含有するものである。このコーティング剤は、被コーティング材の表面にコーティングされて乾燥され、得られた被コーティング材はその表面で吸熱性を示すと同時に熱伝導性を示す。従って、被コーティング材は、放熱性が良く、涼感作用を発現することができる。
糖アルコールはその性質により吸湿作用を発現し、その際に吸熱作用を発揮するもので、例えばソルビトール、キシリトール、エリスリトール等が用いられる。これらの糖アルコールのうち、水の溶解度及び溶解時における吸熱作用の大きいソルビトールが最も好ましい。糖アルコールは、1種類又は2種類以上混合して使用することもできる。糖アルコールの配合量は、コーティング剤中に好ましくは10〜70質量%である。この配合量が10質量%未満の場合、糖アルコールに基づく吸熱作用を充分に発揮することができない。一方、70質量部を越える場合、相対的に熱伝導性材料の配合量が少なくなって糖アルコールと熱伝導性材料との相乗作用を充分に発揮させることができなくなる。
熱伝導性材料は熱伝導率が高く、熱伝導作用を発揮できる物質である。この熱伝導性材料としては、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、鉄(Fe)等の金属、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ベリリウム(BeO)等の金属酸化物、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、ダイヤモンド等が挙げられる。熱伝導性材料の配合量は、コーティング剤中に好ましくは30〜90質量%である。この配合量が30質量%未満の場合には熱伝導性作用が不足し、90質量%を越える場合には相対的に糖アルコール等の成分の含有量が少なくなって吸熱作用が低下する傾向を示す。
バインダーはコーティング剤を被コーティング材の表面に密着させるためのもので、その種類は特に限定されない。バインダーとして例えば、合成ゴムのエマルジョン型接着剤、合成樹脂のエマルジョン型接着剤、合成ゴムの有機溶剤型接着剤、合成樹脂の有機溶剤型接着剤等が用いられる。合成ゴムとしては、ウレタンゴム、アクリルゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)等が挙げられる。合成樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が用いられる。溶剤としては、水のほか、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、エチルアルコール、酢酸エチル等の有機溶剤が用いられる。
バインダーの固形分濃度は5〜60質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。バインダーの濃度が5質量%未満の場合には、固形分が少なく、被コーティング材に対するコーティング剤の密着性が低下するとともに、乾燥にも時間を要することとなる。一方、その濃度が60質量%を越える場合には、濃度が高くなり過ぎてコーティング剤の粘度が上昇し、コーティングの作業性が低下する。
上記のコーティング剤を被コーティング材の表面にコーティングする場合のコーティング方法としては、ローラを用いてコーティングするロールコート法、スプレー法、カーテンコート法、浸漬法等が採用される。コーティング剤のコーティング量は、被コーティング材の種類、目的とする吸熱性能等に応じて適宜設定される。そして、コーティング剤を被コーティング材にコーティングした後、加熱又は室温にて水或は有機溶剤が揮散され、乾燥される。
コーティング剤は、前記糖アルコール10〜70質量%と熱伝導性材料30〜90質量%とを含有する混合物を、バインダー100質量部に対して5〜40質量部配合することにより調製される。糖アルコールの含有量が10質量%未満の場合には、糖アルコールに基づく吸湿作用を充分に発揮させることができず、コーティング剤に良好な涼感作用を持たせることができなくなる。一方、糖アルコールの含有量が70質量%を越える場合には、熱伝導性材料等を充分に配合することができず、コーティング剤に充分な涼感作用を持たせることができなくなる。熱伝導性材料の含有量が30質量%未満の場合には、熱伝導性材料に基づく熱伝導性が充分に発揮できず、放熱性能が不足してコーティング剤に充分な涼感作用を持たせることができなくなる。一方、熱伝導性材料の含有量が90質量%を越える場合には、糖アルコール等を充分に配合することができず、コーティング剤に充分な涼感作用を持たせることができなくなる。更に、糖アルコールと熱伝導性材料との混合物がバインダー100質量部に対して5質量部未満の場合、糖アルコールと熱伝導性材料の含有量が少量で、コーティング剤に充分な涼感作用を持たせることができなくなる。一方、その混合物がバインダー100質量部に対して40質量部を越える場合、バインダーの含有量が相対的に少量となり、被コーティング材に対する糖アルコール及び熱伝導性材料の密着性が低くなる。
コーティング剤中には、糖アルコールの吸湿性を補って吸湿性を一層向上させるために、更に吸湿性助剤を配合することが望ましい。そのような吸湿性助剤としては、シリカ(SiO2)、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、石膏、レーヨン、綿、羊毛(ウール)、木粉、セルロース、変性セルロース、でんぷん、変性でんぷん、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、その他の多孔質体等が挙げられる。前記シリカは吸湿性が高く、吸湿性助剤として好ましい。シリカには、JIS Z0701に規定されているA型とB型の2種類があるが、高湿度(湿度70%以上)で更に吸湿性能を発揮できるB型が好ましい。
吸湿性助剤の配合量は、前記糖アルコール10〜70質量%と熱伝導性材料30〜90質量%との混合物100質量部当り1〜10質量部であることが好ましい。そして、この配合物が、バインダー100質量部に対して5〜40質量部配合される。吸湿性助剤の配合量が前記混合物100質量部当り1質量部未満の場合には糖アルコールの吸湿性を充分に補うことができず、10質量部を越える場合には糖アルコール又は熱伝導性材料の配合量が少なくなって吸湿作用や熱伝導作用が低下する。
コーティング剤がコーティングされる対象物となる被コーティング材としては、布団、枕等の寝具類、座椅子、ソファ等の家具類、サポータ、防具等のスポーツ用具、自動車等の座席シート、パソコン、テレビ等の家庭用電化製品等が用いられる。これらの被コーティング材の多くには、発泡体(フォーム)が用いられる。そのような発泡体としては、ポリウレタン樹脂発泡体(ポリウレタンフォーム)、ポリオレフィン樹脂発泡体、メラミン樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体等が挙げられ、ポリウレタン樹脂発泡体が最もよく用いられる。そこで、このポリウレタン樹脂発泡体について説明する。
ポリウレタン樹脂発泡体は、ポリオール類とポリイソシアネート化合物とを触媒、発泡剤及び整泡剤の存在下に反応させて製造される。ポリオール類としては、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールが用いられる。ポリエステルポリオールは、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のポリオールと反応させることによって得られる縮合系ポリエステルポリオールのほか、ラクトン系ポリエステルポリオール及びポリカーボネート系ポリオールが挙げられる。ポリエーテルポリオールは、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、それらの変性体等が挙げられる。ポリエーテルポリオールは、ポリエステルポリオールに比べてポリウレタン樹脂発泡体が親水性を示すことから、吸湿作用の向上に寄与することができるため好ましい。
ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールと反応させるポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が用いられる。
発泡剤はポリウレタン樹脂を発泡させてポリウレタン樹脂発泡体とするためのもので、例えば水のほかペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、炭酸ガス等が用いられる。整泡剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリエーテルシロキサン、フェノール系化合物等が用いられる。
触媒はポリオール類とポリイソシアネート化合物とのウレタン化反応を促進するためのものであり、具体的にはN,N´,N´−トリメチルアミノエチルピペラジン、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン等の3級アミン、スズオクトエート等の有機金属化合物、酢酸塩、アルカリ金属アルコラート等が用いられる。その他必要に応じて、架橋剤、充填剤、安定剤、着色剤、難燃剤、可塑剤等が配合される。
さて、コーティング剤を調製する場合には、糖アルコールとして例えばソルビトール、熱伝導性材料として例えば窒化ホウ素及びバインダーとして合成ゴムのエマルジョンを混合し、ソルビトールと窒化ホウ素とを合成ゴムのエマルジョンに分散させることによって行なわれる。得られたコーティング剤を利用する場合には、コーティング剤をポリウレタンフォーム等の発泡体上にコーティングし、乾燥することにより涼感作用を発現する製品(被コーティング材)が得られる。
この製品は、コーティング剤中の糖アルコールの性質によって吸湿作用が発揮され、汗等の水分が吸水される際に吸熱作用が発揮される。更に、熱伝導性材料の性質によって熱伝導作用が発揮されて放熱が行われる。両者の作用が有機的かつ相乗的に働く。従って、製品の昇温時及び降温時において吸熱作用が効果的に作用する。加えて、コーティング剤に吸湿性助剤を配合することにより、糖アルコールのみでは充分ではない吸湿作用を補って水分が製品により多く吸水され、吸熱作用が助長される。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 実施形態のコーティング剤は、糖アルコール、熱伝導性材料及びバインダーを水に配合してなる水性組成物より構成されている。このため、糖アルコールによって吸湿作用が発揮され、その際に吸熱作用が発揮されると共に、熱伝導性材料によって熱伝導作用に基づく放熱が行われ、両者の作用が相乗的に働く。従って、コーティング剤がコーティングされた被コーティング材について、涼感作用を充分に体感できると共に、その涼感作用を持続させることができる。
・ コーティング剤に更に吸湿性助剤が配合されることにより、糖アルコールの吸湿作用が補完される。このため、そのような吸湿性助剤によって吸湿作用が高められ、吸熱作用が一層向上する。
・ よって、本実施形態のコーティング剤は、マットレス、布団、枕等の寝具類、椅子、ソファ等の家具類、シューズインソール(靴の中敷)、サポータ、防具等のスポーツ用具、自動車、電車、航空機等の座席シート、パソコン、プリンタ、テレビ、冷蔵庫等の家庭用電化製品等の広い分野に適用される。その結果、涼感作用を充分に体感できると共に、エネルギーの節約に貢献することができ、延いては二酸化炭素の排出抑制にも繋がるという効果を発揮することができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、前記実施形態を更に具体的に説明する。
(実施例1及び比較対照例1)
実施例1においては、糖アルコールとしてソルビトール4質量部及び熱伝導性材料として窒化ホウ素4質量部の混合粉末20質量部を、固形分55質量%の合成ゴム(ウレタンゴム)系エマルジョンよりなるバインダー100質量部に混合してコーティング剤を調製した。このコーティング剤を被コーティング材としてのポリウレタン樹脂発泡体上にロールコータを用いて塗工し、加熱乾燥して試験体を得た。
この試験体について、昇温時及び降温時における吸熱効果を次のような方法で測定した。すなわち、汗を想定して水2質量部を試験体に与え、昇温時における吸熱効果については、試験体の両側を36℃のヒータで挟んで試験体を室温(約23℃)から37℃(体温に相当する温度)まで昇温したときに、試験体の温度変化を熱伝対によって測定した。比較対照例1においては、コーティング剤をコーティングしない試験体について、実施例1と同様にして温度変化を測定した。その結果を図1に示した。一方、降温時における吸熱効果については、試験体を23℃の室温放置で36℃から約23℃まで降温したときに、試験体の温度変化を熱伝対によって測定した。その結果を図2に示した。
図1のグラフに示したように、実施例1では比較対照例1に比べて昇温過程において低い温度を示し、その差が次第に大きくなって比較対照例1で約37℃に達したときには約35℃に止まっており、約2℃低い温度を示した。図2のグラフに示したように、実施例1では比較対照例1に比べて降温過程において約1℃低い温度を示したが、その差が次第に小さくなって比較対照例1で約23℃に達したときにはほとんど差がなかった。
(実施例2)
実施例2では、実施例1において、ソルビトールを6質量部、窒化ホウ素を2質量部とした以外は実施例1と同様のコーティング剤を調製した。そして、このコーティング剤をポリウレタン樹脂発泡体上にロールコータを用いて塗工し、乾燥して試験体を得た。この試験体について、実施例1と同様にして昇温時及び降温時における試験体の温度変化を測定した。その結果を図1及び図2に示した。
図1のグラフに示したように、この実施例2では、昇温過程において実施例1よりも更に2℃低い温度を示した。但し、約35分経過後には実施例1とほぼ同じ温度を示した。一方、図2に示したように、降温時における試験体の温度変化は比較対照例1とほぼ同じであった。このことは、降温時にはソルビトールの含有量の影響は少なく、窒化ホウ素の影響が大きいことを示している。
(実施例3〜6)
実施例3においては、糖アルコールとしてソルビトール1質量部及び熱伝導性材料として窒化ホウ素5質量部の混合粉末20質量部を、固形分55質量%の合成ゴム(ウレタンゴム)系エマルジョンよりなるバインダー100質量部に混合してコーティング剤を調製した。汗を想定した水は4質量部とした。実施例4においては、実施例3のコーティング剤において、ソルビトールを3質量部に増加させてコーティング剤を調製し、また水の量を2質量部に減少させた。
実施例5においては、実施例3のコーティング剤に、吸湿性助剤としてB型シリカを0.5質量部を配合してコーティング剤を調製した。実施例6では、実施例5において、B型シリカの配合量を0.1質量部に減少させてコーティング剤を調製した。
これらのコーティング剤を実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂発泡体上にロールコータを用いて塗工し、加熱乾燥して試験体を得た。得られた試験体について、実施例1と同様にして昇温時における試験体の温度変化を測定した。その結果を図3に示した。
図3のグラフに示したように、実施例4の試験体は実施例3の試験体に比べて昇温時及び昇温後の温度が約0.5℃低い結果であった。実施例5の試験体は実施例4の試験体に比べて昇温時及び昇温後の温度が更に約0.5℃低い結果であった。加えて、実施例6の試験体は実施例5の試験体に比べて昇温時の温度はほとんど同じであったが、昇温後の温度が約0.5℃低い結果であった。従って、窒化ホウ素の含有量が一定の場合、ソルビトールの含有量を1質量部から3質量部に増加させた方が吸熱性能が高く、B型シリカの含有量は0から0.5質量部の間に吸熱に最も良好に関与するピークがあるものと考えられる。
尚、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ バインダーとして、無溶媒の接着剤を用いることができる。この場合、溶媒を乾燥する乾燥工程を省略することができる。
・ 被コーティング材として、ポリビニルアルコール等の親水性樹脂を含有させることもできる。
・ バインダーとして水溶性バインダーを少量含有させることができる。この場合、コーティング剤がコーティングされた被コーティング材の吸湿性の向上に寄与することができる。水溶性バインダーとしては、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、炭水化物及びその誘導体等が用いられる。
・ コーティング剤に、消臭性を有する物質を配合して消臭機能を発揮させたり、マイナスイオンを発生する物質を配合して健康を増進させる機能を発揮させたり、抗菌性を有する物質を配合して抗菌の機能を発揮させたりすることができる。
更に、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記糖アルコールはソルビトールである請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコーティング剤。このように構成した場合、水の溶解度及び溶解時における吸熱作用を向上させることができる。
・ 前記被コーティング材は、ポリオールとしてポリエーテルポリオールを用いて得られたポリエーテル系ポリウレタン樹脂発泡体である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコーティング剤。このように構成した場合には、ポリウレタン樹脂発泡体が親水性を示すことから、吸湿作用の向上に寄与することができる。
実施例1、実施例2及び比較対照例1における昇温時の被コーティング材の温度と時間との関係を示すグラフ。 実施例1、実施例2及び比較対照例1における降温時の被コーティング材の温度と時間との関係を示すグラフ。 実施例3〜6における昇温時の被コーティング材の温度と時間との関係を示すグラフ。

Claims (4)

  1. 糖アルコール、熱伝導性材料及びバインダーを含有し、被コーティング材にコーティングされて被コーティング材が涼感作用を発現するように構成されていることを特徴とするコーティング剤。
  2. 前記糖アルコール10〜70質量%と熱伝導性材料30〜90質量%とを含有する混合物が、バインダー100質量部に対して5〜40質量部配合されていることを特徴とする請求項1に記載のコーティング剤。
  3. 更に、吸湿性助剤を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコーティング剤。
  4. 前記糖アルコール10〜70質量%と熱伝導性材料30〜90質量%との混合物100質量部当り吸湿性助剤1〜10質量部を含有する配合物が、バインダー100質量部に対して5〜40質量部配合されていることを特徴とする請求項3に記載のコーティング剤。
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