JP2017101357A - プライマー性消臭剤及びそれを用いた消臭性有機繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂製バインダーを使用しないか、又は、樹脂製バインダーの使用量を大幅に減少させることにより、衣類等に使用される繊維に十分な消臭性を付与することができ、風合いを損なわないプライマー性消臭剤を提供する。また、繊維の燃焼性を大幅に減ずることのできるプライマー性消臭剤を提供する。
【解決手段】(A)酸化亜鉛と(B)アミノ酸を、水性溶媒中で(A):(B)=1:3〜1:20の質量比で混合して反応させることで得られるアミノ酸亜鉛錯体含有溶液に、有機繊維を接触させた後、該有機繊維を乾燥又は乾燥キュアして水分を除去することにより、該有機繊維に固着された状態プライマー性消臭剤を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル等の有機繊維の表面に固着したプライマー性消臭剤に関し、更に詳しくは、樹脂製のバインダーを使用しなくても(或いは極少量の使用で)固着性に優れたプライマー性消臭剤に関する。
また、本発明は、該プライマー性消臭剤が固着されている消臭性有機繊維、該プライマー性消臭剤を製造するためのアミノ酸亜鉛錯体含有溶液、該プライマー性消臭剤の製造方法に関する。
有機繊維等の布帛は、日常生活で発生する様々な臭気に対する消臭性能が求められ、消臭性を付与した衣類用等の布帛として、いくつかの提案がなされている。
例えば、特許文献1には、消臭性と難燃性を同時に備えた布帛が開示されている。特許文献1では、難燃剤、消臭剤、合成樹脂バインダー、架橋剤及び風合い改良剤を混合分散させた加工剤を布帛と接触させ、布帛に消臭性を付与している。
特許文献1では、加工剤含有成分が多い欠点があるともに、合成樹脂バインダーを使用しているため、燃焼性が高くなり、難燃剤も併用する必要があるという問題がある。
特許文献2には、有機繊維(特にポリエステル繊維)を含む布帛に、金属水酸化物とアミン化合物を含む消臭剤を、合成樹脂バインダーを介して付着させる方法が開示されており、合成樹脂バインダーとして弱酸基を有する樹脂を用いると、アミン化合物のアルデヒド類に対する消臭効果が阻害されないことが開示されている。
特許文献2では、合成樹脂バインダーの酸価が限定されている。
特許文献3には、二酸化ケイ素と酸化亜鉛との複合物とポリヒドラジド化合物を、ウレタン樹脂からなるバインダー樹脂とともにポリエステル繊維布帛の裏面に付与した消臭性車両内装材用布帛が開示されている。
しかしながら、特許文献3では、バインダーを使用していることから燃焼性が高まるため、難燃剤を使用することが記載されている。
特許文献3では、ポリヒドラジド化合物として金属と配位結合したポリヒドラジド化合物との錯体を形成する金属錯体が記載され、金属の例としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属等が記載されているが、アミノ酸亜鉛錯体については記載されていない。
特許文献1〜3のような、有機繊維に消臭性成分を付着させ悪臭を除去する従来技術では、消臭性成分に樹脂製のバインダーを併用して、基材である有機繊維との付着性を高めて、消臭性繊維としている。特に、有機繊維(化学繊維)は、天然素材である綿等と比較し、消臭性成分の付着量が一般的に低く、このため、消臭性成分と繊維(基材)とを接合する樹脂製バインダーが必要となる。
樹脂製バインダーを使用することにより、消臭性成分の繊維への付着量は多くなるものの、布への風合いが損なわれたり、消臭性成分が樹脂製バインダーの中に埋没し、十分に消臭性を発揮しなくなったりといった問題が起こりえるので、樹脂製バインダーの使用量を減らす傾向にある。しかし、特に化学繊維と馴染みの薄い消臭性成分(例えば、酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物等)を繊維上に付着させる場合、一定量の樹脂製バインダーの使用は必須である。
また、樹脂製バインダーの使用量を多くすると布への風合いを損ねるだけでなく、繊維(布)の燃焼性が上昇する傾向にある。特許文献1〜3等の従来技術では、繊維の燃焼性を下げるために、難燃剤の併用が必要である。
このため、衣類用等に使用される繊維として、十分な消臭性を有し、風合いにも問題の無い繊維の開発が望まれている。
特開2012−072509号公報 特開2010−180515号公報 特開2011−001679号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、樹脂製バインダーを使用しないか、又は、樹脂製バインダーの使用量を大幅に減少させても、衣類等に使用される繊維に十分な消臭性を付与することができ、風合いを損なわないプライマー性消臭剤を提供することにある。
また、本発明の課題は、繊維(基材)の燃焼性を大幅に減ずることのできるプライマー性消臭剤を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の比率で酸化亜鉛とアミノ酸を混合して反応させることで生成したアミノ酸亜鉛錯体含有溶液に有機繊維を接触させ、乾燥又は乾燥キュアさせることによって、有機繊維表面に固着した状態のプライマー性消臭剤が得られることを見出した。また、該プライマー性消臭剤は、有機繊維上に強力に固着した状態になるため、樹脂製のバインダーを使用しなくても済み(或いは極少量の使用で済み)、その結果、繊維の風合いが保たれることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)酸化亜鉛と(B)アミノ酸を、水性溶媒中で(A):(B)=1:3〜1:20の質量比で混合して反応させることで得られるアミノ酸亜鉛錯体含有溶液に、有機繊維を接触させた後、該有機繊維を乾燥又は乾燥キュアして水分を除去することにより、該有機繊維に固着された状態で得られるものであることを特徴とするプライマー性消臭剤を提供するものである。
また、本発明は、上記のプライマー性消臭剤が固着されていることを特徴とする消臭性有機繊維を提供するものである。
また、本発明は、上記のプライマー性消臭剤を製造するために用いられることを特徴とするアミノ酸亜鉛錯体含有溶液を提供するものである。
また、本発明は、有機繊維に固着されたプライマー性消臭剤の製造方法であって、(A)酸化亜鉛と(B)アミノ酸を、水性溶媒中で(A):(B)=1:3〜1:20の質量比で混合して反応させることで得られるアミノ酸亜鉛錯体含有溶液に、該有機繊維を接触させた後、該有機繊維を乾燥又は乾燥キュアして水分を除去することを特徴とするプライマー性消臭剤の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、衣類等の繊維に十分な消臭性を付与することのできるプライマー性消臭剤を提供することができる。本発明のプライマー性消臭剤は、硫化水素、アンモニア、酢酸、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等の多様な臭気(多様な化学物性を有する臭気の原因物質)に対して消臭効果を発揮する。
本発明のプライマー性消臭剤は、有機繊維表面に対しての固着性に優れる。このため、従来の繊維用消臭剤のように、消臭剤と繊維との付着性を高める目的で樹脂製バインダーを使用する必要は無い(又は、樹脂製バインダーを使用するにしても、使用量を大幅に減少させることができる)。
このため、本発明では、風合いの低下による柔軟剤の添加を少量にすることができる。
また、特許文献1〜3等に記載のように、消臭性成分に樹脂製バインダーを併用する場合、該樹脂製バインダーに燃焼性がある等のため「処理された有機繊維」の燃焼性が増大する。そのため、難燃剤を添加する等の対策が必要となるが、本発明では、樹脂製バインダーを使用しなくてもよいので、このような問題が起こらない。すなわち、難燃剤を添加する必要がなく、難燃剤の添加に起因する種々の障害も起こり得ない。
更に、従来の繊維用消臭剤では、消臭剤と繊維との付着性を高めるために、樹脂製バインダーの使用が必須であり、樹脂製バインダーを使用すると、消臭性成分が樹脂製バインダーの中に埋没し、十分に消臭性能を発揮できない場合があったが、樹脂製バインダーの使用が必須でない本発明においては、プライマー性消臭剤は遺憾無く消臭性能を発揮することができる。
また、本発明のプライマー性消臭剤は、他の消臭剤と相性が良いという利点がある。
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、任意に変形して実施することができる。
本発明のプライマー性消臭剤は、(A)酸化亜鉛と(B)アミノ酸を、水性溶媒中で(A):(B)=1:3〜1:20の質量比で混合して反応させることで得られるアミノ酸亜鉛錯体含有溶液に、有機繊維を接触させた後、該有機繊維を乾燥又は乾燥キュアして水分を除去することにより、該有機繊維に固着された状態で得られる。
本発明のプライマー性消臭剤は、樹脂製バインダーを使用しなくても、有機繊維表面に固着された状態となり、後述の実施例で示すように、水洗しても有機繊維表面から離脱しにくい。
<アミノ酸亜鉛錯体含有溶液>
アミノ酸亜鉛錯体含有溶液は、(A)酸化亜鉛と(B)アミノ酸を特定の比率で水性溶媒中において混合して反応させて得られるアミノ酸亜鉛錯体を主成分とするものである。
<<(A)酸化亜鉛>>
酸化亜鉛は、化粧品や医薬品等の原料として使用される人体に無害な物質であり、消臭作用の他に抗菌作用を有している。
酸化亜鉛は、非水溶性であるが、(B)アミノ酸と特定比率で混合して反応させることにより、水溶性のアミノ酸亜鉛錯体を形成し、水等の水性溶媒に溶解する。
<<(B)アミノ酸>>
(B)アミノ酸は、分子内にアミノ基(−NH)とカルボキシル基(−COOH)を分子内に有し、これらの官能基の存在により、アンモニア、酢酸、ホルムアルデヒド等に対して、消臭効果を発揮する。
(B)アミノ酸の例としては、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、サルコシン、グルタミン酸やこれらの塩等が挙げられ、D体、L体、ラセミ体の何れも使用可能である。
入手の容易さやコスト、消臭性能等の観点から、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、サルコシンが好ましく、グリシンが特に好ましい。
(B)アミノ酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
(A)酸化亜鉛と(B)アミノ酸を特定の比率で水性溶媒中において混合して反応させることで得られるアミノ酸亜鉛錯体含有溶液は、プライマー性消臭剤を製造するために用いられるものである。
酸化亜鉛は、通常、難水溶性であるが、アミノ酸がある程度の量共存する場合、亜鉛にアミノ酸が配位したアミノ酸亜鉛錯体を形成し、水性溶媒に溶解するようになる。
本発明において、水性溶媒中において混合して反応させる際の(A)酸化亜鉛と(B)アミノ酸の質量比は、(A):(B)=1:3〜1:20の範囲であることが好ましく、1:6〜1:9の範囲であることがより好ましい。
アミノ酸の比率が上記範囲より少ないと、錯体形成が不十分となり、(A)酸化亜鉛が十分に水性溶媒に溶解しない場合がある。また、形成されたアミノ酸亜鉛錯体の周囲を余剰のアミノ酸が取り囲むことで「水性溶媒に対する溶解性」と「アンモニアやアルデヒドに対する消臭性能」を発揮していると考えられるが、それらの性能が十分に得られない場合がある。
一方、アミノ酸の比率が上記範囲より多いと、錯体形成していない余剰のアミノ酸が多くなり、アミノ酸が無駄になると共に、相対的に(酸化)亜鉛の含有量が減少したり、アミノ酸亜鉛錯体が過剰のアミノ酸に埋没したりすることとなる。その結果、亜鉛や酸化亜鉛が有している「硫化水素等の硫黄系悪臭ガスに対する消臭性能」を十分に発揮できなくなる場合がある。
アミノ酸亜鉛錯体溶液の調製方法としては、所定濃度の酸化亜鉛の懸濁液と所定濃度のアミノ酸水性溶液を予め調製し、両者を所定の併用割合となるように混合する;酸化亜鉛の微粒子とアミノ酸とを所定の割合で混合した後、混合物を水性媒体に溶解して所定濃度にする;所定濃度のアミノ酸水性溶液に亜鉛化合物の微粒子をアミノ酸に対して所定の割合で添加・混合し、所定の濃度とする;等の方法があるが、これらに限定されるものではない。
本発明においては、(A)酸化亜鉛と(B)アミノ酸とを前記の質量比で混合して反応させるのであり、混合した(A)酸化亜鉛と(B)アミノ酸は、化学量論的に反応しているとは限らない(反応している状態には限定されない)。その化学的な形態(構造)は明らかではないが、アミノ酸亜鉛錯体の周囲を(余剰の)アミノ酸が囲んでいる状態で水性溶媒に溶解していると考えられ、その構造によって本発明の前記効果(種々の化学物質に対する消臭性、水性溶媒に対する溶解性、有機繊維に対する固着性等)を発揮するようになる。
なお、本発明のプライマー性消臭剤、その前段階のアミノ酸亜鉛錯体含有溶液(該溶液中のアミノ酸亜鉛錯体)、該プライマー性消臭剤が固着された消臭性有機繊維の化学的な形態(構造)は、何れも直接特定することが不可能であるか又はおよそ実際的でない。
アミノ酸亜鉛錯体を含有するアミノ酸亜鉛錯体含有溶液を、有機繊維に接触させた後、水分を除去することにより、該有機繊維に固着された状態のプライマー性消臭剤が得られる。
本発明のプライマー性消臭剤は、従来方法のように、樹脂製バインダーを使用しなくても、疎水性の有機繊維表面に固着した状態になり、水洗を繰り返しても、消臭性能を十分に発揮する量が固着したままとなる。
本発明のプライマー性消臭剤は、水溶性のアミノ酸亜鉛錯体を含有するアミノ酸亜鉛錯体含有溶液から水分を除去して得られるものであり、疎水性の有機繊維の表面から容易に脱離しないことは、意外な知見である。
<<水性媒体>>
本発明のプライマー性消臭剤の媒体としては、水性媒体を用いることが好ましい。水性溶媒の例としては、イオン交換水、水道水等の水や、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒;等が例示できる。消臭性能の観点等から、水性溶媒は、水が好ましい。
また、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を使用する場合、水溶性有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等のグリコール;これらのグリコールの低級アルキルエーテル等のグリコールモノエーテル;等が挙げられる。
これらの混合溶媒は、添加剤(例えば香料等)の溶解性に優れる場合がある。
水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を使用する場合、水溶性有機溶媒の比率の下限は、3質量%以上が好ましく、5質量%以上が特に好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
<<他の成分>>
アミノ酸亜鉛錯体含有溶液には、他の成分として、樹脂製バインダー、界面活性剤、pH調整剤、香料、酸化防止剤、防カビ剤・殺菌剤、紫外線吸収剤等を添加剤として含有させることができる。
これらの成分は、酸化亜鉛とアミノ酸が、均一に溶解した後で溶液に添加してもよいし、酸化亜鉛とアミノ酸が錯体形成する前に、酸化亜鉛の懸濁液や、アミノ酸の水性溶液に予め添加しておいてもよい。
アミノ酸亜鉛錯体含有溶液は、プライマー性消臭剤の有機繊維上への固着率を上げるために、樹脂製バインダーを含有していてもよい。
その場合、樹脂製バインダーとしては、市販の繊維加工用バインダーが使用でき、特に限定されない。具体的には例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコン系樹脂が挙げられ、中でもウレタン系樹脂が好ましい。
また、アミノ酸亜鉛錯体含有溶液中に、樹脂製バインダーを含有する場合、含有比率の下限は、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、含有比率の上限は、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
含有比率の下限が上記以上であると、十分な固着性が得られる。含有比率の上限が上記以下であると、得られる消臭性有機繊維の風合いが良くなる傾向にある。
しかしながら、後述の実施例の結果から明らかなように、固着率が上がったからといって、消臭率に優れるわけではなく、むしろ、樹脂製バインダーの使用により、プライマー性消臭剤の消臭性能に悪影響を与える可能性がある。
本発明のプライマー性消臭剤によれば、樹脂製バインダーを使用しなくても、消臭性能を発揮するために十分な量を有機繊維の表面に固着させることができる。
このため、本発明のプライマー性消臭剤は、樹脂製バインダーを含有しないことが好ましい。すなわち、アミノ酸亜鉛錯体含有溶液には樹脂製バインダーを含有させない方がよい。樹脂製バインダーを含有すると難燃性に劣るようになる場合がある。
界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤等が例示できる。
pH調整剤としては、炭酸塩、水酸化塩、リン酸塩、リン酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩等の無機酸塩;クエン酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類が例示できる。
中でも、亜硫酸塩又は亜硫酸水素塩は、アセトアルデヒドの消臭効果が高く、また、アミノ酸と併用すると、アセトアルデヒド以外の悪臭も同時に除去する作用があり、pH調整剤として最適である。
香料としては、精油等の天然香料や、合成香料が例示できる。
酸化防止剤としては、アスコルビン酸ナトリウム、BHT(ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン)、オイゲノール、イソオイゲノール、チモール等が例示できる。
防カビ剤・殺菌剤としては、塩化ベンザルコニウム、オイゲノール、オクタノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム等が例示できる。
紫外線吸収剤としては、タンニン、サポニン、桂皮酸エステル、サリチル酸エステル等が例示できる。
<有機繊維>
本発明のプライマー性消臭剤は、前記アミノ酸亜鉛錯体含有溶液を有機繊維に接触させた後、有機繊維を乾燥又は乾燥キュアして水分を除去することによって得られる。
アミノ酸亜鉛錯体含有溶液は、錯体を形成せずに余った余剰のアミノ酸を有し、余剰のアミノ酸の構造からアミノ基、カルボキシル基の存在によりアンモニア、酸などが消臭され、アミノ酸亜鉛錯体により硫黄系ガス、特に硫化水素が消臭される。有機繊維表面にはアミノ酸亜鉛錯体が固着し、その周囲に余剰のアミノ酸が存在すると推測される。
本発明において使用される有機繊維は、天然繊維、合成繊維、再生繊維、半合成繊維等が例示できる。中でも、合成繊維、再生繊維、半合成繊維等の化学繊維が好ましい。
本発明において使用される有機繊維としては、更に具体的には、ポリエステル繊維、ポリアクリル繊維、ナイロン繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維が挙げられる。本発明のプライマー性消臭剤は固着性に優れるため、綿、絹等の天然繊維よりも一般に固着されにくいとされている合成繊維に対して、よりその効果(長所)を発揮する。
このうち、合成繊維の中では比較的消臭性成分が固着しやすい等の観点から、ポリエステル繊維が特に好ましい。
また、本発明において使用される有機繊維としては、ポリエステル単独で構成される繊維は勿論、ポリエステル繊維とそれ以外の繊維(例えば天然繊維、合成繊維)の混紡手法により得られた繊維であってもよい。
ポリエステル繊維の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等を挙げることができるが、中でもポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、本発明において使用される有機繊維の形態としては、特に限定はなく、織物、編物、不織布等を挙げることができる。
<プライマー性消臭剤及び消臭性有機繊維>
本発明のプライマー性消臭剤は、前記したアミノ酸亜鉛錯体含有溶液を、前記した有機繊維に接触させた後、有機繊維を乾燥又は乾燥キュアして水分を除去することにより有機繊維に固着された状態で得られる。
本発明のプライマー性消臭剤が固着されている有機繊維は、硫化水素、アンモニア、酢酸、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等の臭気が発生しやすい環境下に置かれても、これらの臭気を消臭しやすく(吸収しやすく)放出しにくい、消臭性有機繊維である。
「接触」とは、有機繊維をアミノ酸亜鉛錯体含有溶液の中に含浸させる、アミノ酸亜鉛錯体含有溶液を有機繊維にスプレー塗布させる、等の方法が考えられるが、これらに限定されるものではない。均一性の観点から、有機繊維をアミノ酸亜鉛錯体含有溶液の中に含浸させるのが好ましい。
有機繊維をアミノ酸亜鉛錯体含有溶液に接触させた後、乾燥又は乾燥キュアして水分を除去することにより、有機繊維表面に、固着されたプライマー性消臭剤が得られる。
「乾燥」とは有機繊維を加熱して水分を除去すること、「乾燥キュア」とは有機繊維を乾燥した後、更に高温に加熱して、樹脂等の加工剤を繊維表面に固着させることをいう。
アミノ酸亜鉛錯体含有溶液が、樹脂製バインダーを含有する場合は、「乾燥キュア」させるのが好ましい。
「乾燥」の温度の下限は、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましい。上限は、140℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。また、乾燥の温度は、100℃が最も好ましい。
上記範囲内であると、乾燥に時間がかかり過ぎることが無く、また、得られるプライマー性消臭剤の性能に悪影響が出にくい。
「乾燥」の時間の下限は、5分以上が好ましく、10分以上がより好ましく、20分以上が特に好ましい。上限は、2時間以下が好ましく、1時間以下がより好ましく、30分以下が特に好ましい。
上記範囲内は、十分に水分を除去するために必要かつ十分な時間の範囲である。
「乾燥キュア」の場合、まず、上記温度及び時間の範囲内で乾燥した後、更に高温に加熱する(キュアする)。
更に高温に加熱する(キュアする)場合の温度は、120℃以上140℃以下が好ましく、時間は、1分以上10分以下が好ましい。
上記範囲内であると、樹脂製バインダーを十分に有機繊維表面に固着することができ、また、得られるプライマー性消臭剤の悪影響が出にくい。
例えば、本発明のプライマー性消臭剤、及び、消臭性有機繊維は、以下のようにすることにより製造することができる。
すなわち、有機繊維をアミノ酸亜鉛錯体含有溶液に含浸或いはスプレーし、乾燥或いは乾燥キュアすることにより製造することができる。より具体的には、アミノ酸亜鉛錯体含有溶液に有機繊維布を含浸し、70℃〜130℃で5分〜1時間乾燥させ水分を除去する。より好ましくは、100℃で10分から30分乾燥させる。
有機繊維に対するプライマー性消臭剤の固着量(乾燥重量)の下限は、1g/m以上であることが好ましく、2g/m以上であることが特に好ましい。上限は、40g/m以下であることが好ましく、20g/m以下であることが特に好ましい。
固着量(乾燥重量)の下限が上記以上であると、十分な消臭効果が得られる。固着量(乾燥重量)の上限が上記以下であると、得られる消臭性有機繊維の風合いが良くなる傾向にある。
固着量(乾燥重量)が上記範囲内であっても消臭性有機繊維の風合いが悪い場合、消臭性有機繊維に柔軟剤を添加することができる。
柔軟剤としては、ふんわり感を必要とする場合は、界面活性剤(陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤等)を適宜添加することができる。しっとり感を必要とする場合は、保湿剤(グリセリン、ポリエチレングリコール等)を添加することができる。
有機繊維をアミノ酸亜鉛錯体含有溶液の中に含浸させる場合、固着量(乾燥重量)を上記範囲にするためには、使用するアミノ酸亜鉛錯体含有溶液の濃度を調整する等により、固着量(乾燥重量)を上記範囲にする。
酸化亜鉛とアミノ酸の反応により得られたアミノ酸亜鉛錯体含有溶液の原液に含浸すれば、固着量(乾燥重量)は当然多くなり、原液を希釈した溶液に含浸すれば固着量(乾燥重量)は減少する。
アミノ酸亜鉛錯体含有溶液に、有機繊維を接触させ、水分を除去した後、有機繊維を水洗し、乾燥する工程を経ることで、真に(強固に)有機繊維表面に固着するプライマー性消臭剤の量を測定することができ、固着量(乾燥重量)を上記範囲内にしやすくなり、消臭性能や風合いの優れた消臭性有機繊維を得やすくなる。
具体的には、例えば、以下のような方法により測定する。
(1)樹脂製バインダーを使用しないケース
10cm角に裁断した有機繊維をアミノ酸亜鉛錯体含有溶液(原液或いは希釈溶液)に含浸後、有機繊維を軽く絞り、70℃で1時間乾燥させ、秤量しプライマー性消臭剤の固着量を測定する。ついで、有機繊維を流水中で軽く水洗し、水分を除去するため70℃で乾燥し、秤量する。水洗を2回繰り返し、プライマー性消臭剤の固着量を測定する。
(2)樹脂製バインダーを使用するケース
上記(1)において、アミノ酸亜鉛錯体含有溶液に有機繊維を含浸後、70℃で1時間乾燥させた後、更に、100〜130℃で5分間キュアする工程を加える。それ以外は上記(1)と同様の操作を行う。
本発明のプライマー性消臭剤が、樹脂製バインダーを必要とせず、有機繊維上に強く固着し、優れた消臭機能を発揮するメカニズムについて、その詳細は必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。
本発明のプライマー性消臭剤は、アミノ酸亜鉛錯体が、有機繊維の表面に、余剰のアミノ酸を介して接着していると推定される。アミノ酸亜鉛錯体は、有機繊維の表面に、プライマーとして接着していると同時に、消臭剤の役割を果たすため、本発明のプライマー性消臭剤は、特に硫化水素等に消臭効果が高いと推測される。
また、プライマー性消臭剤は、アミノ酸亜鉛錯体同士の間に、余剰のアミノ酸が存在するため、余剰のアミノ酸のカルボキシル基により、アンモニア等に対しても、消臭性を発揮するものと推測される。
本発明のプライマー性消臭剤は、上記のように、アミノ酸亜鉛錯体と、余剰のアミノ酸の両方の存在により、消臭性能を発揮し、また、有機繊維の表面に強固に固着しているものと思われるが、水溶性のアミノ酸は、水洗の際等に有機繊維の表面から流出すると思われる。本発明のプライマー性消臭剤という「物」を、例えば、アミノ酸亜鉛錯体とその周囲に存在する余剰のアミノ酸の比率といった特性から直接特定することは不可能であるか又はおよそ実際的でない。
また、プライマー性消臭剤の有機繊維表面への固着の仕方(例えば、最も安定に固着する際のアミノ酸亜鉛錯体と周囲の余剰のアミノ酸の空間的な配置)は、有機繊維の種類や表面状態等にも依存すると考えられ、この点からも、本発明のプライマー性消臭剤という「物」をその構造や特性で直接特定することは、不可能であるか又はおよそ実際的でない。
このため、本明細書においては、原料となる酸化亜鉛とアミノ酸の質量比を含めた製造方法により、本発明のプライマー性消臭剤を、特定している。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
[実施例1]
<プライマー性消臭剤の作製及び水洗後固着率の測定>
酸化亜鉛1gとグリシン4gを200mLコニカルビーカーに入れ、イオン交換水95gを添加し、70℃で30分間加熱攪拌してアミノ酸亜鉛錯体含有溶液を得た。
上記アミノ酸亜鉛錯体含有溶液15mLを採取し、10cm角に裁断した白色無地ポリエステル布(乾燥重量は1.071g)を均一に含浸させた。
含浸後、上記ポリエステル布を、70℃で1時間乾燥させた。その後、水分除去後の上記ポリエステル布の乾燥重量を測定した結果、1.257gであったことから、ポリエステル布に固着された状態のプライマー性消臭剤の量は186mgと算出された。
その後、プライマー性消臭剤が固着されたポリエステル布を、水道水の流水中で軽く水洗し、70℃で1時間乾燥し、秤量した結果、重量は1.169gであったことから、ポリエステル布に残存したプライマー性消臭剤の量は98mgと算出された。
下記式(1)で定義される1回目水洗後固着率は、53%であった。
Figure 2017101357
ポリエステル布を、再度水道水の流水中で軽く水洗し、70℃で1時間乾燥し、秤量した結果、重量は1.129gであり、ポリエステル布に残存したプライマー性消臭剤の量は58mgと算出された。
下記式(2)で定義される2回目水洗後固着率は、31%であった。すなわち、本発明のプライマー性消臭剤は、樹脂製バインダーなしでもポリエステル布に十分に固着していることがわかった。
Figure 2017101357
<消臭試験(硫化水素)>
除去対象ガス注入口、圧力調整口、検知管測定口及び予備口を備えた容量3Lのガラス製セパラブルフラスコを用意し、それぞれのガス注入口から注射器を用いて、硫化水素ガスを所定の初期濃度になるように個別に注入して、10秒間攪拌した。その後、10分間静置して硫化水素濃度をガステック検知管にて測定したところ、30ppmだった。
次いで、1回目水洗浄し、70℃で1時間乾燥し、プライマー性消臭剤が固着した状態のポリエステル布をセパラブルフラスコの中に投入し、2時間経過した後のセパラブルフラスコ内の硫化水素濃度をガステック検知管で測定し、下記式(3)により消臭率(%)を算出した。
Figure 2017101357
<消臭試験(アンモニア)>
上記<消臭試験(硫化水素)>において、使用するガスをアンモニアとし、初期濃度を50ppmにした点以外は、同様にして、消臭率(%)を算出した。
[比較例1]
200mLコニカルビーカーにイオン交換水96gを入れ、次いで繊維処理剤であるテトラブタン酸1g及びクエン酸ソーダ3gを加え、室温下で1時間攪拌して無色透明溶液を得た。
白色無地ポリエステル布を使用して、実施例1と同様の処理をした。また、処理後のポリエステル布に対して、実施例1と同様の方法で、消臭試験をした。
実施例1と比較例1の結果を表1に示す。
Figure 2017101357
実施例1では、樹脂製バインダーを使用しなくても、2回の洗浄後にプライマー性消臭剤は十分にポリエステル布に固着した状態となっていることがわかる。
一方、繊維処理剤を使用した比較例1では、1回目の洗浄後に乾燥して得られたポリエステル布への付着量は46%と高いものの、2回目洗浄後の付着率(残存率)は4.9%と低かった。
また、消臭試験の結果については、実施例1では硫化水素の場合38%、アンモニアの場合40%、比較例1では硫化水素の場合7%、アンモニアの場合25%であった。何れのガスの場合も、実施例1のプライマー性消臭剤は比較例1の場合よりも高い消臭性を示した。
以上より、酸化亜鉛とアミノ酸を特定比率で反応させて得たアミノ酸亜鉛錯体含有溶液は、有機繊維の表面に強固に固着し、また、様々な臭気に対して消臭性能を発揮することがわかった。
[比較例2]
酸化亜鉛1gを200mLコニカルビーカーに入れ、イオン交換水99gを添加し、10分間攪拌して乳白色の懸濁溶液を得た。
上記懸濁溶液15mLを採取し、10cm角に裁断した白色無地ポリエステル布(乾燥重量は1.087g)を均一に含浸させた。
含浸後、上記白色無地ポリエステル布を、70℃で1時間乾燥させた。その後、水分除去後の上記ポリエステル布の乾燥重量を測定した結果、1.090gであったことから、ポリエステル布に固着された状態の酸化亜鉛の量はわずか3mgであった。酸化亜鉛はポリエステル布に固着しにくいことがわかる。
極少量の酸化亜鉛が固着したポリエステル布に対して、実施例1と同様に1回目の水洗処理をし、1回目水洗後固着率を算出した。また、1回目の水洗処理後、乾燥したポリエステル布について消臭試験を実施した。
[比較例3]
グリシン4gを200mLコニカルビーカーに入れ、イオン水96gを添加し、透明溶液を得た。
上記透明溶液(グリシン4%水溶液)15mLを採取し、10cm角に裁断した白色無地ポリエステル布(乾燥重量は1.051g)を均一に含浸させた。
含浸後、上記白色無地ポリエステル布を、70℃で1時間乾燥させた。その後、水分除去後の上記ポリエステル布の乾燥重量を測定した結果、1.099gであったことから、ポリエステル布に固着された状態のグリシンの量は48mgであった。
グリシンが固着したポリエステル布に対して、実施例1と同様に1回目の水洗処理をし、1回目水洗後固着率を算出した。
1回目水洗後、乾燥した後にポリエステル布に固着していたグリシンの量はわずか1mgであり、1回目水洗後固着率は、わずか2%であった。水洗により大半の(98%の)グリシンが流出してしまった。
また、1回目の水洗処理後、乾燥したポリエステル布について消臭試験を実施した。
[実施例2]
グリシンの量を8g、イオン交換水を91gに変更した点以外は、実施例1と同様にして、1回目水洗後固着率を算出し、1回目の水洗処理後、乾燥したポリエステル布について消臭試験を実施した。
[実施例3]
酸化亜鉛1gとグリシン20gを200mLコニカルビーカーに入れ、イオン交換水79gを添加し、70℃で30分間加熱攪拌してアミノ酸亜鉛錯体含有溶液を得た。
上記アミノ酸亜鉛錯体含有溶液を10倍に希釈した溶液15mLを採取し、10cm角に裁断した綿−ポリエステル混紡布を均一に含浸させた。
含浸後、上記綿−ポリエステル混紡布を、70℃で1時間乾燥させた。
グリシンが固着した綿−ポリエステル混紡布に対して、実施例1と同様に1回目の水洗処理をし、1回目水洗後固着率を算出した。
また、1回目の水洗処理後、乾燥した綿−ポリエステル混紡布について消臭試験を実施した。
[実施例4]
酸化亜鉛1g、グリシン4g、ウレタン樹脂バインダー(村山化学研究所製PUR−1370)0.5gを200mLコニカルビーカーに入れ、イオン交換水94gを添加し、70℃で30分間加熱攪拌して樹脂製バインダー含有溶液を得た。
実施例1と同様にして、樹脂製バインダー含有溶液にポリエステル布を含浸させ、70℃で1時間乾燥させた後、130℃で2分間キュアした。
実施例1と同様にして、1回目水洗後固着率を算出し、1回目の水洗処理後、乾燥したポリエステル布について消臭試験を実施した。
[実施例5]
グリシンをアラニンに変更した点以外は、実施例1と同様にして、1回目水洗後固着率を算出し、1回目の水洗処理後、乾燥したポリエステル布について消臭試験を実施した。
[実施例6]
グリシンをサルコシンに変更した点以外は、実施例1と同様にして、1回目水洗後固着率を算出し、1回目の水洗処理後、乾燥したポリエステル布について消臭試験を実施した。
[実施例7]
グリシンをフェニルアラニンに変更した点以外は、実施例1と同様にして、1回目水洗後固着率を算出し、1回目の水洗処理後、乾燥したポリエステル布について消臭試験を実施した。
[実施例8]
ポリエステル布をポリアクリル布に変更した点以外は、実施例1と同様にして、1回目水洗後固着率を算出し、1回目の水洗処理後、乾燥したポリアクリル布について消臭試験を実施した。
[実施例9]
ポリエステル布を木綿布に変更した点以外は、実施例1と同様にして、1回目水洗後固着率を算出し、1回目の水洗処理後、乾燥した木綿布について消臭試験を実施した。
[比較例4]
グリシンをサルコシンに変更した点以外は、比較例3と同様にして、1回目水洗後固着率を算出し、1回目の水洗処理後、乾燥したポリエステル布について消臭試験を実施した。
[比較例5]
グリシンをフェニルアラニンに変更した点以外は、比較例3と同様にして、1回目水洗後固着率を算出し、1回目の水洗処理後、乾燥したポリエステル布について消臭試験を実施した。
実施例1〜9及び比較例1〜5の結果を、表2及び表3に示す。
Figure 2017101357
Figure 2017101357
表2及び表3から、本発明のプライマー性消臭剤(実施例1〜9)は、有機繊維に対する固着性が高く、水洗した後も十分な量が有機繊維表面に残り、多様な悪臭に対して消臭効果を発揮することがわかる。
一方、繊維処理剤を使用した比較例1や、酸化亜鉛とアミノ酸の一方のみを使用した比較例2〜5では、何れも、消臭性能が低く、特に、硫化水素に対しては、ほとんど消臭効果を示さなかった。
また、アミノ酸亜鉛錯体含有溶液にウレタン樹脂バインダーを添加した実施例4は、他の実施例(実施例1〜3、5〜9)と比較して、溶液に含浸後に乾燥した後にポリエステル布表面上に残存したプライマー性消臭剤の量は多く、1回目水洗後固着率も高い値を示したが、消臭率(特に硫化水素の消臭率)は、他の実施例よりも劣っていた。
本発明のプライマー性消臭剤を用いた消臭性有機繊維は、消臭性に優れ、難燃剤の添加が不要なため加工も容易であるため、衣類、寝具類、カーテン、自動車用シート、インテリア関係等に広く利用されるものである。

Claims (11)

  1. (A)酸化亜鉛と(B)アミノ酸を、水性溶媒中で(A):(B)=1:3〜1:20の質量比で混合して反応させることで得られるアミノ酸亜鉛錯体含有溶液に、有機繊維を接触させた後、該有機繊維を乾燥又は乾燥キュアして水分を除去することにより、該有機繊維に固着された状態で得られるものであることを特徴とするプライマー性消臭剤。
  2. 上記有機繊維は化学繊維である請求項1に記載のプライマー性消臭剤。
  3. 上記有機繊維はポリエステル繊維である請求項1又は請求項2に記載のプライマー性消臭剤。
  4. 上記水性溶媒は水である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載のプライマー性消臭剤。
  5. 上記有機繊維と上記アミノ酸亜鉛錯体含有溶液を接触させた後、70℃以上130℃以下で乾燥又は乾燥キュアして水分を除去したものである請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載のプライマー性消臭剤。
  6. 上記(B)アミノ酸は、グリシン、アラニン、フェニルアラニン及びサルコシンの群から選ばれる少なくとも1種のアミノ酸である請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載のプライマー性消臭剤。
  7. 上記(B)アミノ酸は、グリシンである請求項6に記載のプライマー性消臭剤。
  8. 樹脂製バインダーを含有しないものである請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載のプライマー性消臭剤。
  9. 請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載のプライマー性消臭剤が固着されていることを特徴とする消臭性有機繊維。
  10. 請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載のプライマー性消臭剤を製造するために用いられることを特徴とするアミノ酸亜鉛錯体含有溶液。
  11. 有機繊維に固着されたプライマー性消臭剤の製造方法であって、(A)酸化亜鉛と(B)アミノ酸を、水性溶媒中で(A):(B)=1:3〜1:20の質量比で混合して反応させることで得られるアミノ酸亜鉛錯体含有溶液に、該有機繊維を接触させた後、該有機繊維を乾燥又は乾燥キュアして水分を除去することを特徴とするプライマー性消臭剤の製造方法。
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