JPH10165489A

JPH10165489A - 消臭剤及び消臭性繊維

Info

Publication number: JPH10165489A
Application number: JP8351808A
Authority: JP
Inventors: Toshiro Hirukawa; 敏郎蛭川; Hideki Fukaya; 秀貴深谷; Yoshiaki Matsushima; 良明松島; Noriyuki Yamamoto; 則幸山本
Original assignee: Toagosei Co Ltd
Current assignee: Toagosei Co Ltd
Priority date: 1996-12-12
Filing date: 1996-12-12
Publication date: 1998-06-23

Abstract

(57)【要約】【課題】種々の悪臭ガスに対する消臭能及び耐熱性に優
れた消臭剤及び消臭性繊維を提供する。【解決手段】１価又は２価の金属イオンを担持させた、
水に対して不溶性又は難溶性の４価金属リン酸塩からな
る無機陽イオン交換体及びハイドロタルサイト又はその
焼成物からなる無機陰イオン交換体からなる消臭剤、水
に対して不溶性又は難溶性で且つ水素イオンを有する４
価金属リン酸塩を更に含有する前記消臭剤及び前記消臭
剤を含有する消臭性繊維。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、種々の悪臭ガスに
対して優れた消臭能を有する消臭剤及びこれを含有させ
ることにより優れた消臭能を発揮させることができる消
臭性繊維に関する。本発明の消臭性繊維は、複合繊維、
織布、不織布等として各種繊維製品に利用することがで
き、衣料、シート、カバー、カーテン、絨毯等の各種繊
維製品の原料として有用である。

【０００２】

【従来の技術】近年、快適な生活に対する要求は急激に
高まっており、消臭の機能が非常に注目されている。悪
臭の原因となるガスとして、硫化水素、メルカプタン等
の硫黄系ガス、アルデヒドガス、アンモニアガス及び脂
肪族アミン系ガス等、種々のものがあり、これらの複数
のガスが悪臭の原因となることが往々にしてあり、これ
らの悪臭を一挙に消臭できるような消臭剤が望まれてい
る。一方、消臭剤として活性炭が古くから知られてお
り、芳香属第一級アミンを活性炭に添着させたものや、
活性炭の表面に酸又は塩基を担持させてｐＨ調整をした
ものなどが提案されている。また、鉄−フタロシアニン
錯体や、アミノ基やスルホン基を持つ高分子化合物も消
臭剤として知られている。しかし、これらの消臭剤は、
耐熱性が低いため、繊維用樹脂に練り込む処理や熱可塑
性樹脂又は熱硬化性樹脂からなるバインダーと共に加熱
して繊維に付着させる処理等の高温処理に曝されると消
臭能がなくなってしまうという問題がある。

【０００３】

【本発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の消
臭剤および消臭性繊維の欠点を改良した、種々の悪臭ガ
スに対する消臭能及び耐熱性に優れた消臭剤及び消臭性
繊維を提供することを課題とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するため鋭意検討した結果、イオン交換性が異なる
特定の無機イオン交換体を併用することが、極めて有効
であることを見出し、本発明を完成するに至った。即
ち、本発明は、１価又は２価の金属イオンを担持させ
た、水に対して不溶性又は難溶性の４価金属リン酸塩か
らなる無機陽イオン交換体及びハイドロタルサイト又は
その焼成物からなる無機陰イオン交換体からなることを
特徴とする消臭剤、水に対して不溶性又は難溶性で且つ
水素イオンを有する４価金属リン酸塩を更に含有するこ
とを特徴とする前記消臭剤及び前記消臭剤を含有する消
臭性繊維である。以下に本発明について詳細に説明す
る。

【０００５】○消臭剤

【０００６】本発明における無機陽イオン交換体は、１
価又は２価の金属イオンを担持させた、水に対して不溶
性又は難溶性の４価金属リン酸塩からなる〔以下、無機
陽イオン交換体（Ｍ）と略す〕。本発明における水に対
して不溶性又は難溶性の好ましい４価金属リン酸塩は、
下式〔１〕で表される化合物であり、本発明における好
ましい無機陽イオン交換体は下式〔１〕で表される化合
物に１価又は２価の金属イオンを担持させたものであ
る。Ｈ_aＭ_b（ＰＯ₄）_c・ｎＨ₂Ｏ〔１〕〔上式において、Ｍは４価金属であり、ａ，ｂ，ｃは式
（ａ＋４ｂ＝３ｃ）を満たす正数であり、ｎは０又は正
数である。〕上式〔１〕における好ましいＭは、ジルコニウム、チタ
ン、スズ等である。上式〔１〕においてａ＝２，ｂ＝
１，ｃ＝２である４価金属リン酸塩には、α型結晶、β
型結晶、γ型結晶等の層状構造を有する結晶質化合物と
非晶質化合物があり、上式〔１〕においてａ＝１，ｂ＝
２，ｃ＝３である４価金属リン酸塩には、ナシコン型結
晶等の結晶質化合物と非晶質化合物がある。上式〔１〕
で表される化合物の好ましい例として、以下の化合物が
あるＨ₂Ｚｒ（ＰＯ₄）₂ Ｈ₂Ｔｉ（ＰＯ₄）₂・２Ｈ₂ＯＨ₂Ｓｎ（ＰＯ₄）₂・Ｈ₂ＯＨＺｒ₂（ＰＯ₄）₃・Ｈ₂ＯＨＴｉ₂（ＰＯ₄）₃・Ｈ₂ＯＨＳｎ₂（ＰＯ₄）₃・３Ｈ₂Ｏ

【０００７】上式〔１〕で表される４価金属リン酸塩は
陽イオン交換性を有しており、上式〔１〕における水素
イオンとのイオン交換により、１価又は２価の金属イオ
ンを容易に上式〔１〕で表される４価金属リン酸塩に担
持させることができる。

【０００８】本発明における無機陽イオン交換体に担持
させることができる好ましい１価又は２価金属イオンの
具体例として、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシ
ウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バ
リウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケル及びコバルト等があ
る。これらの中でも、ナトリウム、カリウム、銅、亜鉛
が好ましい。無機陽イオン交換体に１価又は２価の金属
イオンを担持させるには、無機陽イオン交換体を、１価
又は２価の金属イオンの塩溶液に接触させ、１価又は２
価の金属イオンをイオン交換により担持させればよい。
１価又は２価の金属イオンの担持量は、無機陽イオン交
換体のイオン交換容量内であれば、自由に調整すること
ができるが、十分な消臭能を発揮させるには上記イオン
の担持量を、イオン交換容量の２５％（α型リン酸ジル
コニウムの場合、１．５ミリグラム当量／ｇ）以上、よ
り好ましくは５０％（α型リン酸ジルコニウムの場合、
３ミリグラム当量／ｇ）以上、更に好ましくは１００％
とするのが良い。種々の悪臭ガス、特にアンモニア、脂
肪族アミン等の塩基性悪臭ガスに対する消臭能を高める
ために、本発明における無機陽イオン交換体として、水
に対して不溶性又は難溶性で且つ水素イオンを有する４
価金属リン酸塩〔以下、無機陽イオン交換体（Ｈ）と略
す〕を併用することが好ましい。無機陽イオン交換体
（Ｈ）における水素イオンの効果が発揮できる範囲内
で、水素イオンを他の陽イオンと置換したものも用いる
ことができ、好ましい水素イオンの担持量は、イオン交
換容量の２５％（α型リン酸ジルコニウムの場合、１．
５ミリグラム当量／ｇ）以上、より好ましくは５０％
（α型リン酸ジルコニウムの場合、３ミリグラム当量／
ｇ）以上、更に好ましくは１００％である。

【０００９】本発明における無機陽イオン交換体（Ｍ）
と無機陽イオン交換体（Ｈ）は、紫外線を照射すること
により悪臭ガス、特にアンモニアガス、脂肪族アミンガ
ス等の塩基性悪臭ガスに対する消臭能を再生する機能を
有している。即ち、消臭能がなくなるまで消臭剤又は消
臭性繊維を一旦使用した後に、紫外線を照射して、消臭
剤又は消臭性繊維を再利用したり、或いは紫外線の照射
下で消臭を行うことにより、消臭剤又は消臭性繊維の寿
命を延長させることができる。紫外線照射による消臭能
の再生機能は、無機陽イオン交換体（Ｍ）よりも無機陽
イオン交換体（Ｈ）において強く発揮できる。

【００１０】これは、本発明における無機陽イオン交換
体（Ｍ）と無機陽イオン交換体（Ｈ）は光触媒機能を有
しており、この光触媒機能を無機陽イオン交換体（Ｈ）
において無機陽イオン交換体（Ｍ）より強く発揮できる
ためと推定される。紫外線は太陽光や蛍光灯の光にも含
まれているため、これらの光でも当然再生できる。

【００１１】本発明における無機陰イオン交換体は、ハ
イドロタルサイト化合物又はその焼成物である。ハイド
ロタルサイト化合物は下記一般式で表現され、ハイドロ
タルサイト構造を有する化合物であり、最も好ましい化
合物としてマグネシウム−アルミニウムハイドロタルサ
イトがある。Ｍ¹ _(1-x)Ｍ² _x（ＯＨ）₂Ａ^n- _(x/n)・ｍＨ₂Ｏ（Ｍ¹は２価の金属であり、Ｍ²は３価の金属であり、Ｘ
は０より大きく０．５以下の数であり、Ａ^n-は炭酸イオ
ン、硫酸イオン等のｎ価の陰イオンであり、ｍは正数で
ある。）ハイドロタルサイト焼成物は、ハイドロタルサイト化合
物を約５００℃以上で焼成し、炭酸根や水酸基が脱離す
ることにより得られる化合物である。

【００１２】本発明における無機陽イオン交換体（Ｍ）
と無機陰イオン交換体（Ａ）の好ましい配合割合は、後
者に対する前者の重量比として、１／９〜９／１であ
り、より好ましくは２／８〜８／２である。無機陽イオ
ン交換体（Ｈ）の好ましい配合割合は、無機陽イオン交
換体（Ｍ）と無機陰イオン交換体（Ａ）の合計重量に対
して、1/9〜9/1、より好ましくは2/8〜8/2である。

【００１３】上記の通り、本発明の消臭剤は、本来耐熱
性を有する無機物であるから、繊維に含有させる際に曝
される程度の高温によっては何ら消臭能が劣化しない。

【００１４】本発明における無機陽イオン交換体
（Ｍ）、無機陽イオン交換体（Ｈ）及び無機陰イオン交
換体は、いずれも通常粉体状で得られ、好ましい平均粒
径は0.01〜20μｍであり、より好ましくは0.01〜10μｍ
であり、さらに好ましくは0.01〜5μｍである。平均粒
径が0.01μｍ未満では、再凝集しやすく、取扱いが困難
であるといった問題があり好ましくない。また、20μｍ
より大きいと、後述する繊維用樹脂又はバインダーへの
分散性が低いため、均一に繊維に含有させることが困難
になる恐れがあり、溶融紡糸法にて消臭性繊維を製造す
る場合には、糸切れが発生するといった問題があり好ま
しくない。

【００１５】○消臭性繊維本発明の消臭性繊維は、上記の消臭剤を含有させた繊維
である。繊維としては、天然繊維及び合成繊維のいずれ
であっても良く、また、短繊維、長繊維、及び芯鞘構造
をもった複合繊維等いずれであっても良い。本発明の消
臭剤は、耐熱性に優れ、300 ℃の高温においても消臭性
能は失活しないので、消臭剤を繊維用樹脂に含有させる
際に消臭剤が高温に晒されても問題がなく、繊維用樹脂
としていかなる樹脂も使用可能である。好ましい天然繊
維の例として、パルプ、麻、綿、絹及び羊毛等があり、
好ましい合成繊維の例として、ポリエステル、ナイロ
ン、アクリル、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、
ポリビニリデン、ポリウレタン及びポリスチレン等があ
る。合成繊維の樹脂は、単独重合体であっても共重合体
であっても良く、共重合体とする場合、その各単量体成
分の重合割合は繊維に対する所望の特性に応じて任意に
制御することができる。繊維に消臭剤を含有させる方法
には特に制限はなく、例えば、消臭剤を予め配合した繊
維用樹脂を用いて、溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸等の
紡糸を行ったり、又消臭剤とバインダーを含有した水系
或いは有機系懸濁液を、塗布やディッピング等の方法で
繊維表面に付着させ、溶媒を除去することにより繊維表
面にコーティングしたりすることができる。尚、必要に
応じて、上記水系或いは有機系懸濁液に、消臭剤の分散
性を向上させるために界面活性剤、分散剤等を添加して
も良く、界面活性剤等はアニオン系、ノニオン系、カチ
オン系等いずれのものでも良い。また、繊維表面への付
着力を増すためのバインダーは、溶媒を除去した後に付
着力が出れば特に制限はない。繊維に含有させる消臭剤
の割合は、特に限定されないが、天然繊維又は合成繊維
用樹脂100 重量部（以下、単に部と略す）当たり好まし
くは0.1 〜20部であり、より好ましくは0.5 〜10部であ
る。また、繊維には所望により、艶消し剤、着色剤、酸
化防止剤、蛍光増白剤、安定剤、難燃剤、抗菌防臭剤、
防黴剤、芳香剤、赤外線吸収剤及び紫外線吸収剤等の各
種添加剤を含有させることができ、その含有量は常法に
従って適宜調整すれば良い。

【００１６】○用途本発明の消臭剤は、アンモニア、脂肪族アミン、硫化水
素、メチルメルカプタン、アセトアルデヒド等の種々の
悪臭に対する消臭効果に優れているので、活性炭等、従
来の消臭剤が使用されている種々の分野で利用可能であ
り、また、紫外線の照射により消臭効果が再生されるた
め、消臭効果が長時間持続するので消臭剤の取り替えが
困難な箇所に使用することができる。本発明の消臭繊維
は、例えば肌着、ストッキング、靴下、布団、布団カバ
ー、座布団、毛布、じゅうたん、カーテン、ソファー、
カーシート、エアーフィルター、マスク、ハンカチ、帽
子、マフラー、ワイシャツ、敷布、枕カバー、作業着、
テーブルクロス、暖簾、紙、段ボール、不織布、タオ
ル、寝具、パジャマ等を始めとして、多くの繊維製品に
使用できる。

【００１７】

【作用】本発明における消臭能は、無機イオン交換体の
吸着能に起因した性能と考えられ、無機陽イオン交換体
は、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、エチルメルカプタン、メチルメルカプタン等の塩基
性ガスに対する吸着能が高く、一方、無機陰イオン交換
体は、アセトアルデヒド、硫化水素、酢酸、塩酸等の酸
性ガスに対する吸着能が高いと考えられる。無機陽イオ
ン交換体と無機陰イオン交換体を併用することにより、
悪臭ガスに対する消臭能が向上するのは、以下の理由に
よると推定される。即ち、無機陽イオン交換体の塩基性
ガスに対する消臭能は、ｐＨが高いほど大きい。一方、
無機陰イオン交換体の酸性ガスに対する消臭能は、ｐＨ
が低いほど大きい。よって、無機陽イオン交換体が塩基
性ガスを吸着し、空気中の水分が関与すると、プロトン
が発生し、系のｐＨが低下する。それにより、無機陰イ
オン交換体の酸性ガスに対する吸着能が向上する。ま
た、逆に無機陰イオン交換体が酸性ガスを吸着し、空気
中の水分が関与すると、水酸化物イオンが発生し、系の
ｐＨが上昇する。それにより、陽イオン交換能を有する
無機化合物の塩基ガス吸着能が向上する。本発明におい
ては、これらの相乗作用により、悪臭ガス吸着能が向上
し、結果として総合的な消臭能として優れた能力を発揮
する。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例及び比較例
により具体的に説明する。

【００１９】

【実施例及び比較例】

（実施例１〜９及び比較例１〜４）本発明における特定
の無機陽イオン交換体及び無機陰イオン交換体を所定の
重量比で配合した各種の消臭剤（Ｅ１〜Ｅ９）を調製し
た（下記表２）。又、比較のため、従来の消臭剤（Ｒ１
〜Ｒ６）を調製した（下記表３）。これらの消臭剤を試
料として以下の実験１と実験２を実施し、消臭剤（Ｅ１
〜Ｅ９）に関する結果を下記表２に示し、消臭剤（Ｒ１
〜Ｒ６）に関する結果を下記表３に示した。

【００２０】（実施例１０〜１８及び比較例５〜８）ポ
リエステル又はナイロンからなる繊維用樹脂１００重量
部当たり、Ｅ１〜Ｅ９又はＲ１〜Ｒ４から選んだ消臭剤
一種を２０重量部配合してマスターバッチを予め作製
し、消臭剤の割合が全重量当たり２．５重量％となるよ
う、前記マスターバッチを同種の樹脂からなる繊維製品
用樹脂に配合し、常法により溶融紡糸することにより、
約２デニールの消臭性繊維を得た。上記のようにして得
た消臭性繊維を長さ約１０ｃｍに切断したものを試料と
して以下の実験１と実験２を実施し、消臭剤（Ｅ１〜Ｅ
９）を含有させた消臭性繊維に関する結果を下記表４に
示し、消臭剤（Ｒ１〜Ｒ６）を含有させた消臭性繊維に
関する結果を下記表５に示した。

【００２１】＜実験１＞（消臭能の評価試験）下記表１に示した６種のガスの各々について、試料（消
臭剤のとき0.02g 、消臭性繊維のとき0.5g）を入れた容
器（１リットル）にガスを注入した時から２時間後に、容器
中のガス濃度をガスクロマトグラフィー（島津製作所株
式会社製）又は検知管（ガステック株式会社製）を用い
て測定した。尚、容器にガスを注入した時のガス初期濃
度は下記表１に示した通りである。但し、ガス発生源が
液体である場合、約２時間放置して完全にガス化した後
に、消臭剤をガスと接触させた。ガス濃度の測定方法
は、ガスの種類と濃度によって適宜選択し、硫黄系悪臭
ガスとアンモニアガスについてはガスクロマトグラフィ
ーを用い（但し、アンモニアガスについては、低濃度の
とき検知管を用いた）、その他の悪臭ガスについては、
検知管を用いた。尚、測定機器の制限から、100ppmを越
える高濃度の場合は、測定可能な濃度に適宜希釈してガ
スクロマトグラフィーを行い、得られた測定値を希釈倍
率に従って原濃度に換算した。

【００２２】

【表１】

【００２３】＜実験２＞（紫外線照射による消臭能の再
生試験）同種の試料（消臭剤のとき0.02g 、消臭性繊維のとき0.
5g）を入れた容器を２つ用意し、それらの容器にアンモ
ニアガスを試料のアンモニア吸着能の上限まで注入し、
吸着を飽和させた（消臭能がなくなった）後、２つの試
料を各容器から取りだし、殺菌灯（日立 GL15）で紫外
線を８日間照射するものと、同じ期間紫外線を照射しな
いもの（遮光するもの）に分けて保管した。８日間の保
管後、各試料を別々の容器（１リットル）に入れ、それらの
容器にアンモニアガスを10ml注入し（容器内ガス初期濃
度：10000ppm）、２時間経過後、ガスクロマトグラフィ
ー（島津製作所株式会社製）又は検知管（ガステック株
式会社製）を用いて容器中のアンモニアガス濃度を測定
した。

【００２４】

【表２】

【００２５】

【表３】

【００２６】

【表４】

【００２７】

【表５】

【００２８】（実施例１９）消臭剤Ｅ１と消臭剤Ｅ５に
ついて、以下の実験３を行い、その結果を図１（消臭剤
Ｅ１）と図２（消臭剤Ｅ５）に示した。

【００２９】＜実験３＞（消臭能に対する紫外線照射の
影響）紫外線を照射している容器（１リットル）と紫外線を遮断し
ている容器（１リットル）に、同種の試料（消臭剤：0.02g
）を入れた。上記各容器にアンモニアガスを10ml注入
し（容器内ガス初期濃度：10000ppm）、２時間経過後
に、ガスクロマトグラフィー（島津製作所株式会社製）
又は検知管（ガステック株式会社製）で容器中のアンモ
ニアガス濃度を測定した後直ちに容器にアンモニアガス
を10ml注入する。このように、アンモニアガスの注入と
アンモニアガス濃度の測定を行うサイクルを４回（８時
間）繰り返した。

【００３０】（実施例２０）実施例No.10 で作製した消
臭剤Ｅ１含有消臭性繊維（繊維Ｅ１）と実施例No.14 で
作製した消臭剤Ｅ５含有消臭性繊維（繊維Ｅ５）につい
て、上記の実験３を行った結果、図１，図２と同様に、
紫外線の照射により消臭能の寿命を長くすることができ
る特性を示した（但し、試料として消臭性繊維0.5gを用
いた）。

【００３１】上記実験１〜実験３の結果を総括すると、
以下のようになる。・上記表２と表４に示した本発明の
消臭剤と消臭性繊維の消臭能評価結果において、「Ｎ
Ｄ」と表示した場合、全く或いは殆ど臭いがしなかっ
た。又、アンモニアガスに対する消臭試験で「ＮＤ」と
ならなかった実施例No. １〜４の場合も、ガス初期濃度
を500ppmに減少させると、試験結果は全て「ＮＤ」とな
った。・上記表２〜表５に示した結果から明らかなよう
に、従来の消臭剤（Ｒ１〜Ｒ６）及びこれを含有させた
消臭性繊維に比較して、本発明の消臭剤（Ｅ１〜Ｅ９）
及びこれを含有させた消臭性繊維は種々の悪臭ガスに対
して優れた消臭能を有しており、特に無機陽イオン交換
体（Ｈ）を併用した消臭剤（Ｅ５〜Ｅ９）において、ア
ンモニアガス等の塩基性悪臭ガスに対する消臭能が優れ
ている。・又、本発明の消臭剤及び消臭性繊維は、紫外
線の照射により、塩基性悪臭ガスの一種であるアンモニ
アガスに対する消臭能を再生する機能を有している。・
更に又、図１，図２に示した結果から明らかなように、
本発明の消臭剤は、紫外線の照射により、塩基性悪臭ガ
スの一種であるアンモニアに対する消臭能の寿命を長く
することができ、６時間以上経過した時の結果の比較か
ら、この紫外線照射による効果は、消臭剤Ｅ１より消臭
剤Ｅ５において強く発揮されることが明らかであり、こ
の結果は無機陽イオン交換体（Ｈ）が紫外線照射による
消臭能の再生を促進していることを示している。

【００３２】

【発明の効果】本発明の消臭剤は、耐熱性が高く、天然
繊維と合成繊維を問わず、多種多様の繊維に含有させる
ことができ、しかも、多種類の悪臭ガスに対する消臭能
に優れる。本発明の消臭剤を含有させた消臭性繊維は、
多種類の悪臭ガスに対する消臭能に優れた、複合繊維、
織布、不織布等の各種消臭性繊維製品として使用するこ
とができる。又、本発明の消臭剤及びこれを含有する消
臭性繊維は、紫外線の照射により、悪臭ガス、特にアン
モニア等の塩基性悪臭ガスに対する消臭能が再生でき、
消臭能の寿命を延長させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】消臭剤Ｅ１のアンモニアガスに対する消臭能を
示す図であり、丸印を結ぶ実線は紫外線照射下での結果
であり、三角印を結ぶ点線は紫外線遮断下での結果であ
る（以下の図２において、同様にして表示した）。

【図２】消臭剤Ｅ５のアンモニアガスに対する消臭能を
示す図である。

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号ＦＩＤ０６Ｍ 11/68 (72)発明者山本則幸愛知県名古屋市港区船見町１番地の１東亞合成株式会社名古屋総合研究所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】１価又は２価の金属イオンを担持させた、
水に対して不溶性又は難溶性の４価金属リン酸塩からな
る無機陽イオン交換体及びハイドロタルサイト又はその
焼成物からなる無機陰イオン交換体からなることを特徴
とする消臭剤。
【請求項２】水に対して不溶性又は難溶性で且つ水素イ
オンを有する４価金属リン酸塩を更に含有することを特
徴とする請求項１記載の消臭剤。
【請求項３】請求項１又は請求項２記載の消臭剤を含有
することを特徴とする消臭性繊維。