JP2004109710A - レンズ枠、鏡胴、及びカメラ - Google Patents

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JP2004109710A JP2002274142A JP2002274142A JP2004109710A JP 2004109710 A JP2004109710 A JP 2004109710A JP 2002274142 A JP2002274142 A JP 2002274142A JP 2002274142 A JP2002274142 A JP 2002274142A JP 2004109710 A JP2004109710 A JP 2004109710A
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Abstract

【課題】可変焦点装置としてのズームレンズ鏡胴を小型化、高倍率化するために、レンズ枠に対して複数のレンズを組み付ける際におけるレンズ間の偏芯を調整する調芯工程をなくするか、或いは必要最小限に抑えることによって、生産性の向上、コストダウンを図ることができる。
【解決手段】一つの光軸に沿って配置された2個以上のレンズL1、L2を保持するレンズ枠1において、レンズ枠本体2と、レンズ保持部材3と、から成り、レンズ保持部材は、一つのレンズを固定的に保持する保持部6と、他のレンズを可動状態で保持する弾性保持部5と、を備えている。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複数組のレンズを個別に進退させることにより焦点距離を異ならせるようにしたズームレンズ鏡胴に用いられるレンズ枠の改良に関し、特に複数のレンズを保持したレンズ枠を組み立てる際に、偏芯調芯工程を不要、或いは簡略化することができるレンズ枠、ズームレンズ鏡胴、及びカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、撮影レンズの焦点距離が最短であるときの広角状態と、最長であるときの望遠状態とを選択的に切り替えることができるズームレンズ鏡胴等の可変焦点装置を備えたカメラが普及している。この種のカメラとしては、例えばデジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩カメラ等が知られている。
ズームレンズ鏡胴は、例えば、軸心を中心として回転自在に支持された円筒状のカム部材の内部に光軸方向に沿って複数組の撮影レンズを夫々軸方向へ独立して進退自在に支持した構成を備えている。具体的には、例えば、各撮影レンズ(群)を支持する各レンズ枠の外周から外径方向へ突設させたカムフォロアを、カム部材の内周面に形成した光軸と斜行する複数のカム溝(螺旋溝)内に夫々係合させることにより、カム部材の回転に伴って各レンズ枠が光軸方向へ移動するように構成されている。
ところで、この種の可変焦点装置を備えたカメラに対するユーザーのニーズは多岐に渡ってきており、特にカメラ形状の小型化と、高倍率化が強く求められている。このニーズに答えるために、ズームレンズ鏡胴の小型化、高倍率化が進んでおり、その結果、高度な組立精度が求められている。高度な組立精度を実現するために、一つのレンズ枠に取り付けられる複数のレンズ間の偏芯を調整する「調芯工程」が広く行われている。
しかし、この調芯工程を実施した場合、調芯工程なしで組立てる場合と比較して、工数の増大をもたらすことが明らかである。
具体的には、例えば、調芯工程なしでレンズ枠に対して第1及び第2のレンズを組み込む場合は、レンズ枠に対する第2のレンズの組込み→第2のレンズの固定→第1のレンズの組み込み→第1のレンズの固定(接着、熱カシメ、押え環などによる固定)→完成、という手順となる。
これに対し、例えば、第2のレンズに対して第1のレンズを調芯して組立てる場合は、レンズ枠に対する第2のレンズの組み込み→第2のレンズの固定→第1のレンズの組み込み→第2のレンズに対して第1のレンズの偏芯状態(位置)を確認する→第2のレンズに対して第1のレンズの芯を合わせる→第1のレンズを、偏芯調整後の位置を維持しながら接着などの手段で固定する→完成、という手順となる。
この調芯工程を実施する場合、第2のレンズに対して第1のレンズの芯を合わせる作業と、第1のレンズの位置を維持しながら接着などの手段でレンズ枠に固定する作業が、調芯なしの工程と比較して余計な工程となり、これらの作業が調芯工程の作業工数を増やす原因となっている。
このように従来は、一つのレンズ枠に複数のレンズを取り付ける際には、必ず複数のレンズ間の調芯工程が必要とされている。
即ち、従来のレンズ枠にあっては、レンズと、レンズ枠のレンズ受け部との間に、必ず調整のためのクリアランス(調整シロ)が設けられている。このような構造を有するレンズ枠に複数のレンズを組み付ける場合に、調整工程なしに十分な光学性能を確保することは不可能であり、鏡胴の組立工程では、必ずレンズ枠に対する調芯工程が必要とされてきた。
複数のレンズ間の調芯方法として、初期の組付け状態で所定の光学性能が確保されていればそのまま次工程へ流し、光学性能が確保できていない場合に、先に取り付けた第2のレンズ群に対して第1のレンズ群を回転させることで偏芯を減らし、光学性能を確保する方法がある。
しかし、この調芯方法は、レンズと、その外周を支持するレンズ枠との間の僅かなガタを利用した回転による調整方法であり、調整代が極めて僅少であるため、回転調整によって所定の光学性能を確保し得る場合が少なくなる。
【0003】
更に、具体的な従来例について説明する。
特開2001−51175「レンズ鏡胴並びにその製造方法及びそのレンズ玉の位置決め装置」ソニー(株)(特許文献1)には、平板状ベースを貫通するレンズ室部内にレンズ玉を挿入してから、レンズ室部を包囲するようにレンズ室部周縁から突設された複数の第1リブ部と、第2リブ部を熱カシメすることによってレンズを固定するようにした鏡胴が開示されている。この鏡胴は、若干の間隙を保持してレンズ玉を挿入して形成されるレンズ鏡胴であるため、レンズ玉とレンズ枠との間には間隙があり、調芯工程の後レンズ玉の固定を熱カシメにて行う点から見ても、全てのレンズ枠について偏芯調整が必要なことは明らかである。特開平11−271587「レンズ鏡胴およびこれを備えた光学機器」キャノン(株)(特許文献2)は、基準鏡胴部材に対し鏡胴光軸に直交する面内にて位置調整可能な可動レンズ保持部材を有するレンズ鏡胴に関する発明であり、可動レンズ保持部材を外部2ヶ所に設けた偏芯部材にて偏芯調整する構造を有する。また、可動レンズ保持部材は、一体成形された弾性部分を備え、ある方向(一方向)へ向けて付勢しておくことで、偏芯部材と可動レンズ保持部材間の偏芯調整シロのガタ取りを行うことが可能である。また、この付勢部材は、可動レンズ保持部材に一体成形されていることで、調芯作業の作業性を向上させる。
しかしながら、初期状態において可動レンズ保持部材と、相対する基準鏡胴内に具備されている「バリエーター移動環(最前部のレンズ保持枠)」や「RR移動環(最後部のレンズ保持枠)」との関係は言及されていない。本公報の請求の範囲及び実施例より推測すると、可動レンズ保持部材は初期状態において、相対する光学系の光軸に対して精度良く位置しているわけではない。また、可動レンズ保持部は一体成形された付勢部材により或る位置に付勢された状態になっているが、付勢された位置は相対する光学系の光軸に対し精度良く位置しているわけではない。従って、本公報記載の発明においても、調芯工程においては、調芯精度の確認後、レンズの芯を出す作業が必要になると考えられる。
特開2001−296463「レンズ枠構造」ニコン(株)(特許文献3)は、簡単な枠構造により光軸に対する傾き調整と、光軸と直交する方向へのシフト調整が可能なレンズ保持枠の構造に関するものである。この発明でも、光軸に対するシフト方向への調整の為に、レンズ保持枠の外周と基準枠の内周との間にはクリアランスがあり、この光学系のレンズ保持枠についても、調芯工程においては必ずシフト調整が必要とされる構造となっている。
【特許文献1】特開2001−51175
【特許文献2】特開平11−271587
【特許文献3】特開2001−296463
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のズームレンズ鏡胴が備えるレンズ枠にあっては、レンズと、レンズ枠のレンズ受け部との間に、必ず調整のためのクリアランス(調整シロ)、その他の調芯を必要とする構造が設けられている。このような構造を有するレンズ枠に複数の複数のレンズを順次組み付ける場合に、調整工程なしに十分な光学性能を確保することは不可能であり、鏡胴の組立工程では、必ずレンズ枠に対する調芯工程が必要とされる。このため、製造工数の増大による生産性の低下、コストアップといった問題が発生していた。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、ズームレンズ鏡胴に対する小型化、高倍率化の要請を満たすために、レンズ枠に対して複数のレンズを組み付ける際におけるレンズ間の偏芯を調整する調芯工程が必要とされる現状を改善して、調芯工程をなくするか、或いは必要最小限に抑えることによって、生産性の向上、コストダウンを図るものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、一つの光軸に沿って配置された2個以上のレンズを保持するレンズ枠において、レンズ枠本体と、レンズ保持部材と、から成り、前記レンズ保持部材は、一つのレンズを固定的に保持する保持部と、他のレンズを可動状態で保持する弾性保持部と、を備えていることを特徴とする。
これによれば、レンズ枠の一部によって固定的に保持した第2のレンズに対して、第1のレンズを同じレンズ枠に設けた弾性保持部により可動的に保持することで、従来必要とされた第1のレンズの調芯シロを省略することができる。つまり、弾性保持部により第1のレンズ外周を密着保持するので、調芯シロが省略可能となっている。そのため、第1のレンズの初期組み付け時に、光軸と直交するシフト方向へのガタが存在しない場合にはそのまま第1レンズをレンズ枠に固定して完成する。一方、弾性保持部で第1のレンズを可動的に保持しているので、第1のレンズは、必要な場合にだけ、弾性保持部に対し、外力を与えることで、第1のレンズを光軸に対して垂直なシフト方向へ移動させることができる。
つまり、第1のレンズが調整不要の場合は、そのまま第1のレンズが保持され組付けが完成するので、偏芯調整工程が不要となり、調整が必要な場合のみ調整をすれば良い。従って、調整が不要なレベルで第1のレンズと第2のレンズの光学系が完成されている場合は、調整工程を省略することができる。従って、工数低減により、単位時間あたりの生産量を高め、コストダウンを図ることができる。
請求項2の発明は、請求項1において、前記弾性保持部は、外力によりシフト方向に移動が可能であることを特徴とする。
これによれば、弾性保持部を介して保持しているレンズを、光軸と直交する方向にシフト移動することにより、第1のレンズと第2のレンズとの位置関係を、組み付け後に精度良く調整できるので、高精度に偏芯調整されたレンズ枠を完成することができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記弾性保持部を、前記レンズの外周に沿った円周方向に少なくとも3箇所以上設けたことを特徴とする。
これによれば、レンズの外周を3カ所以上、弾性保持部により保持することにより、調芯をしない場合においても、第1のレンズをバランス良く保持させることができる。つまり、第1のレンズを、弾性保持部へ組み付けた時点で、光軸方向へのシフト調整をしなくても、第2のレンズに対して第1のレンズの光軸位置を精度良く保持できる確率を高めることができ、調芯工程を省略できるレンズ枠の生産数量を上げることで、調芯工程の工数を低減でき、コストダウンが図れる。
【0006】
請求項4の発明は、請求項1、2又は3において、前記弾性保持部を、該レンズの外周に沿った円周方向に略等分に配置したことを特徴とする。
これによれば、弾性保持部を円周方向に略等分に配置することにより、第2のレンズに対し、第1のレンズの光軸位置を精度良く保持することができ、調芯をしない場合においても、第1のレンズをバランス良く保持させることができる。従って、第1のレンズを、弾性保持部へ組み付けた時点で、光軸方向へのシフト調整をしなくても、第2のレンズに対し第1のレンズの光軸位置を精度良く保持できる確率を高めることができる。調芯工程を省略できるレンズ枠の生産数量を上げられることで、調芯工程の工数を低減できコストダウン効果を向上できる。請求項5の発明は、請求項1乃至4において、前記各弾性保持部が前記レンズ外周を支持する部分には、夫々突起部が設けられていることを特徴とする。
これによれば、各弾性保持部の突起部の円弧状の先端部間にてレンズ外周部を保持するようにしたので、弾性保持部と調芯される第1のレンズの外周部との接触面積をできるだけ少なくでき、弾性保持部は第1のレンズを精度良く保持することができる。
請求項6は請求項1乃至5において、前記弾性保持部の弾性変位量は、0≦Δx≦0.03(mm)であることを特徴とする。
このように弾性保持部の弾性変位量を0≦ΔX≦0.03mmとしたことにより、組み付け後に第2のレンズに対して第1のレンズが精度良く組付けられた場合には、第1のレンズを調整なしに保持できることとなる。また、0.03mmよりも大きな変位量が加わった場合に、第2のレンズと第1のレンズとの間で、光軸と直交する方向に対する傾き方向に対して偏芯が発生するのを防止することができる。
また、弾性保持部の変位量を0≦ΔX≦0.03mmと制限することで、光軸方向と直交する方向以外の、枠の変形などによる傾き成分の偏芯が発生することを防止できるので、偏芯調整を高精度に実施できる。
【0007】
請求項7の発明は、請求項1乃至6において、前記レンズ保持部材は、前記レンズ枠本体に対してモールド成形により一体化されていることを特徴とする。
弾性保持部をレンズ枠本体と一体成形することで、弾性機能の為の新たな機能部品の追加や、部品点数の増加による構成の複雑化、弾性機能を有する構成部分の大型化を防止することができる。つまり、最小の部品点数で実現でき、簡単な構成で、同機能を有していながらも小型のレンズ枠を提供することができる。しかも、弾性保持部がレンズ枠の他の部位に対してアンダーカット形状と成らないように構成することにより、金型構造を単純化して一方向へ型抜きすることが可能となり、金型費用の高コスト化を防止できる。
請求項8の発明は、請求項1乃至7において、前記弾性保持部によって保持されているレンズを、シフト方向に自在に作動させるためのレンズシフト移動部材を備えたことを特徴とする。
これによれば、レンズ枠に設けられている弾性保持部を、光軸に対してシフト方向に移動できるレンズシフト移動部材を設けることで、レンズ枠の外周部分から外力をかけることで第1のレンズをシフト調整できる。
請求項9の発明は、請求項8において、前記レンズシフト移動部材を前記レンズ枠本体に対して固着手段により固定することを特徴とする。
これによれば、レンズシフト移動部材に固着スペースを設けることで、レンズ枠のスペースを効率良く利用することを可能とするものである。このレンズシフト移動部材に固着スペースを設け、レンズ枠のスペースを効率良く利用することで、調芯可能なレンズ枠の小型化ができる。
請求項10の発明は、請求項9において、前記固着手段を、前記レンズ移動部材の周方向に沿った2カ所以上に設けたことを特徴とする。
これによれば、固着スペースを2個所以上設けることで、より強固に固着することができる。2箇所以上の固着スペースを設けることで調芯後、高精度に調整された第1のレンズを安定した状態で維持することができる。
【0008】
請求項11の発明は、請求項9において、前記固着手段は、前記レンズ移動部材の周方向に沿って等間隔にて配置されていることを特徴とする。
固着手段を略等分に設けることで、より安定した状態で固着することができる。略等分に固着スペースを設けることで、調芯後高精度に調整された第1のレンズを安定した状態で維持することができる。
請求項12の発明は、前記固着手段は、少なくとも接着、又は熱カシメによる固着手段、或いは接着と熱カシメを併用した固着手段であることを特徴とする。請求項9の固着スペースを、接着又は熱カシメ、又は接着と熱カシメの併用により、より安定した状態で固着することができる。また、この固着部分は、接着または熱カシメ、または両者の併用、いずれの方法にも対応できる形状にすることで、固着手段に自由度をもたせることができる。
請求項13の発明は、請求項8乃至12において、前記レンズシフト移動部材は、片面に突状のリブを備えていることを特徴とする。
前記レンズシフト移動部材の片面に中心から径方向へ延びるリブを周方向に沿って所定ピッチで設けることで、レンズ枠上をスライドさせる時の接触面積を減らし、安定した調整を可能とする。この結果、レンズシフト移動部材による調芯工程の作業性を向上させることができる。
請求項14の発明に係るズームレンズ鏡胴は、請求項1乃至請求項13の何れか一項に記載のレンズ枠を備えたことを特徴とする。
これによれば、レンズ間の光軸の位置関係を高精度に調整されたレンズ枠をズームレンズに用いることで、高精度なズームレンズ鏡胴を提供することができる。特に、レンズ枠の部品点数を増やすことなく、レンズ枠を高精度に調芯できることで、より小型のズームレンズ光学系を設計することが可能となり、ズームレンズ鏡胴の小型化を実現することができる。
請求項15の発明に係るカメラは、請求項14に記載のズームレンズ鏡胴を備えたことを特徴とする。
これによれば、小型ズームレンズ鏡胴をカメラに搭載することで、従来と比較し、より小型のズームレンズ鏡胴を搭載したカメラを提供することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した実施の形態に基づいて詳細に説明する。
なお、以下の実施形態は一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図1(a)は本発明の一実施形態に係るレンズ枠の平面図、(b)は要部斜視図、(c)はレンズを保持した状態の平面図、(d)はA−A断面図である。
このレンズ枠1は、例えばズームレンズ鏡胴等の可変焦点装置に装備される。ズームレンズ鏡胴は、例えば、回転自在に支持された円筒状のカム部材の内部に光軸方向に沿って複数組の撮影レンズを軸方向へ独立して進退自在に支持した構成を備えている。具体的には、各撮影レンズ(群)を支持する各レンズ枠の外周から外径方向へ突設させたカムフォロアを、カム部材の内周面に形成した光軸と斜行する複数のカム溝(螺旋溝)内に夫々係合させることにより、カム部材の回転に伴って各レンズ枠が光軸方向へ移動するように構成されている。
本発明のレンズ枠1は、一つの光軸に沿って配置された2個以上のレンズL1、L2を保持するレンズ枠であり、レンズ枠本体2と、各レンズL1、L2を保持するレンズ保持部材3と、を備えている。レンズ枠本体2とレンズ保持部材3は、例えばポリカーボネイト等の弾性を有した樹脂材料から成り、モールド成形によって一体成形されたものである。
本発明のレンズ枠1の概要は次の通りである。即ち、第2のレンズL2の光軸調整が不可能な第2のレンズ保持部6(固定的な保持部)の他に、第1のレンズL2の光軸調整が可能な第1のレンズ保持部5(弾性保持部)を設けることで、2つのレンズ間の調芯工程を省略、又は簡易化することを可能としたものである。即ち、本発明では、レンズ枠1に対して、第2のレンズL2、第1のレンズL1の順序で、順次組付けを行った直後に、第2のレンズL2と第1のレンズL1の組立て結果を評価し、両者の芯を合わせる調整が不要であると評価された場合には、第2のレンズL2に対して第1のレンズL1の芯を合わせる作業を省略する。また、両レンズL2、L1の芯を合わせる作業が必要であると評価された場合には、第2のレンズL2と第1のレンズL1の芯を合わせる作業を実施する。本発明では、以上のような手順、内容により、部品点数を増やすことなく、調芯工程の工数削減を実現するものである。
【0010】
以下、レンズ枠1の構成を詳細に説明する。
レンズ枠本体2は、ズームレンズ鏡胴を構成する図示しない円筒状のカム部材の内周面によって外周面を支持されることにより、支持したレンズを光軸方向に進退させるための略環状の支持手段であり、レンズ枠本体2はレンズ保持部材3を一体的に支持している。レンズ枠本体2は、所定の周方向ピッチにて外径方向への張り出し部10と、スペース11とを交互に配置した構成を備えている。(なお、レンズ枠本体2は、ズームレンズ鏡胴を構成する図示しない固定筒状体に固定される固定レンズ枠であってもよい。)
レンズ保持部材3は、第1のレンズ保持部5と、第2のレンズ保持部6とを備えている。第1のレンズ保持部5は、図1(c)(d)に示すように、第1のレンズL1の外周面と背面を夫々支持する手段であり、第1のレンズL1の外周面を支持するために張り出し部10間のスペース11内に径方向へ弾性変形可能に配置された弾性保持部20と、各弾性保持部20の内径側に突設されて第1のレンズL1の背面を支持する環状の第1のレンズ背面支持部(第1のレンズスラスト基準面)30と、を備えている。
弾性保持部20は、各張り出し部10との間にスリット21を介して外径方向へ弾性変形可能、且つ光軸方向前方(図面では上方)に突設された平面形状がコ字状の支柱22と、支柱22の凹所内に一体化されて先端の円弧状部を内径側へ突出させた突起部23と、を備えている。各弾性保持部20は、周方向に所定のピッチにて配置され、夫々の形状、寸法は同一となるように設定される。各弾性保持部20を構成するかまぼこ形状の突起部23の円弧状の先端部により第1のレンズL1の外周面に弾性的に圧接することによりレンズを保持するように構成されている。従って、各突起23の先端間を結ぶ円形の線23aは、第1のレンズの外周基準となる。また、支柱22よりも突起部23の突出長を短くすることにより、突起部23の上面と支柱22の凹所上部との間に形成される空間を第1のレンズの接着剤塗布部24として活用する。
【0011】
第1のレンズ背面支持部30は、円周状に配置された各弾性保持部20の内径側に同心円状に配置された環状突起であり、その平坦な上面を第1のレンズスラスト基準面30aとして、第1のレンズL1の背面を支持して光軸方向の位置決めを行う。
次に、第2のレンズ保持部6は、第2のレンズL2の背面を支持して光軸方向位置決めを行う第2のレンズ止め部40と、第2のレンズL2の外周面に接して径方向位置決めを行う第2のレンズの外周基準面41と、第2のレンズの外周基準面41を所定の周方向ピッチにて切り欠くことにより形成される第2のレンズの接着剤塗布部42と、を備えている。
次に、このレンズ枠1に対して、第2のレンズと第1のレンズを順次組み付ける手順を説明する。
まず、第2のレンズL2の組み付け工程では、第2のレンズL2をレンズ枠1の中心部内に挿入して、内径側に張り出した第2のレンズ止め部40上に第2のレンズの背面外周縁部を載置し、これと同時に第2のレンズの外周基準面41により外周面を保持する。第2のレンズ組み付け後は、外周基準面41に設けられた第2のレンズの接着剤塗布部42に接着剤を充填して固定を完了する。
次に、第1のレンズ組み付け工程では、第1のレンズのスラスト基準面30aを備えた第1のレンズ背面支持部30により第1のレンズL1の背面を支持するとともに、各突起部23の円弧状先端から成る第1のレンズの外周基準23aにより外周面を保持するように組み付ける。
上述のように、第1のレンズの外周基準23aは、弾性保持部20に設けられた突起部23の先端部分を結んだ円周状の線となるように設定されており、少ない接触面積により第1のレンズL1の外周面を安定して弾性的に支持することができる。
【0012】
なお、モールド成形によって成形されたレンズ枠1の各部の寸法精度は十分に高いため、細部まで、かなり高い寸法精度で、第1及び第2のレンズ保持部5、6を形成することができる。しかし、成形に伴う種々の要因(金型の追い込み限度、樹脂材料のばらつき、成形ばらつき)から100%の精度を確保することは不可能であるため、第2のレンズ保持部に保持された第2のレンズに対して、第1のレンズ保持部に保持された第1のレンズの芯が一致していないこともある。このため、本発明では、このような場合に備えて、第1のレンズ保持部5を構成する弾性保持部20を個別に弾性変形可能に構成し、シフト方向(径方向)への微調整を可能としたものである。
即ち、このレンズ枠1においては、予め位置決めされた第2のレンズL2に対して、第1のレンズL1を弾性保持部20により保持することで、従来技術では必須とされた第1のレンズの調芯シロ(調芯時に第1のレンズをシフト調整するのに必要なスペース)を省略することができる。このレンズ枠1は、全ての弾性保持部20によって、組み付けられた第1のレンズL1の外周を弾性的に圧接保持するため、調芯シロが省略可能な構成である。そのため、第1のレンズの初期組み付け後において、光軸に対して直交するシフト方向のガタが存在しない状態を実現できる。また、弾性保持部20により第1のレンズをシフト可能な状態で保持することにより、第1のレンズは必要な場合にだけ弾性保持部20に対し、外力を与えることで、第1のレンズを光軸に対して垂直なシフト方向へ移動することができる。
つまり、第2のレンズに対して光軸が一致しているために第1のレンズが調整不要の場合は、そのまま第1のレンズが保持されるので、偏芯調整工程が不要となる。一方、光軸が不一致の場合、即ち第1のレンズの調整が必要な場合のみ調芯を行えばよい。従って、既に調整が不要なレベルで第1のレンズと第2のレンズの光学系が完成されている場合は、調整工程を省略することができる。
したがって、工数低減により、単位時間当りの生産量を高めることができる。また、単位時間当りの生産量を上げることで、調芯に必要な設備(設備投資)を最低限に抑えることができる。以上のような効果により、1ユニット当りの生産コストを下げることができる。
なお、上記実施形態では、弾性保持部20を8個設けた例を示したが、弾性保持部材20を少なくとも3箇所設けて、レンズを保持することにより、調芯をしない場合においても、第1のレンズをバランス良く保持することが可能となる。従って、第1のレンズを、弾性保持部に対して組み付けた時点で、光軸方向へのシフト調整をしなくても、第2のレンズに対して第1のレンズの光軸位置を精度良く保持できる確率を高めることができ、調芯工程を省略して、レンズ枠の生産数量を上げることで、調芯工程の工数を低減できコストダウンができる。特に、各弾性保持部20を等ピッチにて設けることにより、光軸位置を精度よく確保できる効果は更に向上する。
【0013】
図4(a)及び(b)は第1のレンズ保持部5の構成及び動作を示す断面図であり、第1のレンズL1は弾性保持部20を構成する各突起部23の先端により外周部を保持されている。弾性保持部20は、図4(b)に示すように、B部を略支点として±ΔXの範囲で変位することが可能な弾性構造となっている。具体的には、例えば、弾性保持部20の弾性変位量は、0≦Δx≦0.03(mm)となるように設定するのが好ましい。
このように弾性保持部20の弾性変位量を0≦ΔX≦0.03mmとする意味は次の通りである。まず、弾性変位量ΔX0を以上としているのは、組み付け後に第2のレンズL2に対して第1のレンズL1が精度良く組みつけられた場合は、第1のレンズL1を調整なしに保持できるようにすることを意味する。また、0.03mm以下としているのは、それよりも大きな変位量を加えた場合に、第2のレンズと第1のレンズとの間で、光軸に直交する方向に対する傾き方向に対して偏芯が発生するのを防止するためである。
実施例でも説明したが、第1のレンズ枠をモールド成形で、かつ第2のレンズの外周基準面41と、第1のレンズの弾性保持部20を同じ方向に抜いた場合、通常第2のレンズの外周基準面41を基準にして、第1のレンズの弾性保持部(突起部頂点23を結んだ円周)の同軸度は、φ0.02mm以下で成形可能である。また、通常、単品レンズの持つ偏芯量をφ0.01mm以下と想定すれば、第1のレンズの弾性保持部は最大積み上げでも、φ0.03mm以下の変位量があれば十分である。
つまり、弾性保持部の変位量を0≦ΔX≦0.03mmと制限することで、光軸方向と直交する方向以外の、枠の変形などによる傾き成分の偏芯が発生することを防止できるので、偏芯調整を高精度に実施できる。
【0014】
次に、図3(a)(b)及び(c)は、本発明の他の実施形態に係るレンズ枠の構成を示す平面図、及び縦断面図であり、この実施形態に係るレンズ枠の特徴的な構成は、レンズ枠本体2を構成する張り出し部10の平坦な上面(前面)に環状のレンズシフト移動部材50を配置して、このレンズシフト移動部材50をシフト方向(径方向)へ移動した際に弾性保持部20を同方向へ所要距離だけ弾性変形させて、第1のレンズL1の芯を第2のレンズL2の芯と一致させるようにした点にある。
即ち、平板状の薄板を円形環状に成形した形状のレンズシフト移動部材50は、その内周縁が各弾性保持部20の外周面と密着するように寸法設定されており、図3(b)のようにシフト前の状態では弾性保持部20に対して影響を与えることがないが、図3(c)のように所定のシフト方向へ変位させた場合には、弾性保持部20を同方向へ変形させて保持した第1のレンズL1をシフトさせることができる。
符号55は、開口56を有した円筒状の付勢部材であり、この付勢部材56を矢印方向へバネ付勢してその先端縁によって第1のレンズL1の前面外周部を押さえ込み、背面支持部30の支持面に圧接させることにより、第1のレンズが背面支持部30から浮きを起こすことを防止する。レンズシフト移動部材50によるシフト時に、この付勢部材56を併用することにより、第1のレンズL1を安定して所望方向へ所望距離だけシフトさせて第2のレンズLの光軸と一致させる調芯作業を行うことが可能となる。
即ち、レンズ枠1の弾性保持部20は、外力をかけない状態においては図3(b)のように初期状態を維持している。この状態から、第1のレンズL1をΔXだけシフト方向へ動かしたい場合には、図3(c)に示すようにレンズシフト移動部材50により外力をかけることで、移動が可能となる。
つまり、第1のレンズL1が理想的に光軸と直交する方向にシフト移動可能となるように、この実施形態では、調芯装置側に、第1のレンズをレンズ枠の第1のレンズスラスト基準面30に対し付勢をかけられる付勢部材56を設けており、第1のレンズがレンズシフト移動部材50でシフト方向に外力をかけられた際であっても、第1のレンズl1が、第1のレンズスラスト基準面30aをスラスト方向の基準面として、光軸と直交する方向にだけ移動するようにしている。
【0015】
なお、実際の工程では、レンズ枠1と同じ光軸上に調芯観察光学系57が配置されており、第2のレンズL2の光軸に対し、第1のレンズL1の光軸が適切な位置にくるように、ΔXの量を移動させる。
また、組立直後において第2のレンズL2に対し第1のレンズL1が適切な位置に既にある場合は、レンズシフト移動部材50による調整を行う必要はない。従って、この場合には図3(a)の状態で完成する。
上記の如き構成、機能を備えたレンズシフト移動部材50を弾性保持部20の外周位置に設けることで、レンズ枠1の光軸方向の位置に、この第1のレンズを移動させる部材を設ける必要がなくなる。そのため、光軸方向の位置に調芯作業を行うワーキングスペースを設けることが可能となる。また、鏡胴が半完成の状態で、光軸方向より第1のレンズを移動することができない場合でも、外周方向より第1のレンズをシフト移動させることができる。したがって、調芯作業に自由度を持たせることができ、的確な工程設定ができる。
なお、上記各実施形態では、弾性保持部20を、レンズ枠の周方向に沿って、8個配置した例を示したが、同様の構成で最低3箇所以上弾性保持部20を設ければ本発明の目的とする機能は実施可能である。
また、弾性保持部20により第1のレンズをバランス良く保持する為には、円周方向に略等分で保持することが望ましい。
【0016】
次に、図1(b)、図2(a)(b)にも示したように、本発明では突起部23により第1のレンズ外周部を保持することで、弾性保持部20とレンズ外周部との接触部分を点又は線接触とし、接触面積をできるだけ少なくするのが狙いである。また、この突起部23は、このレンズ枠を一体成形するにあたって、一方向に型を抜くことが可能なように、図1(b)のように光軸方向に線接触となるかまぼこ形状をしている。
つまり、レンズ枠をモールドにより成形する場合には、高精度を確保することが可能であるため、調芯を行わなくても図3(b)の状態でそのまま完成させることができるが、少ない率で寸法ばらつきに起因したガタが生じることがあり、この場合にはシフト調整によって調芯を行うようにしている。この際、第1のレンズL1の外周部を保持する弾性保持部20が径方向へ弾性変形可能な構成となっているため、シフト調整が容易となる。しかも、突起23の頂部を結んだ外周基準23aは第1のレンズ外周部と点接触、或いは線接触するため、シフト移動に際しての抵抗、ずれの発生率が大幅に低減されることとなる。
【0017】
次に、上記実施形態において、第2のレンズL2に対する第1のレンズL1の光軸位置が偏芯している場合に、これを調芯して一致させるためには、型の偏芯分と、レンズの偏芯分をシフト移動させればよい。
例えば、第2のレンズの外周基準面41と、第1のレンズの外周基準23aとなる突起部23とを備えたレンズ枠1を、モールド一体成形した場合に、この2つの部分を、同じ方向に型を抜けるような構造(アンダーカットがない構造)で構成すれば、第2のレンズの外周基準面41に対する第1のレンズの外周基準23a(突起部23の頂点を結んだ円周)は、同軸度でφ0.01〜φ0.02mmの範囲での成形が可能である。また、レンズ単品の偏芯量はφ0.01mm程度と想定している。
この場合、第2のレンズL2に対して第1のレンズL1が偏芯していたとしても、型の偏芯分とレンズの偏芯分だけシフト移動できれば、偏芯を解消することができる。
型の同軸ズレによる偏芯分φ0.02mmと、レンズの偏芯分φ0.01mmとを、Max値で積み上げて、φ0.03mm以下の偏芯調整が可能であれば、通常の光学系の場合には十分対応可能である。
尚、必要以上に弾性保持部20に外力などで変位をかけすぎると、第2のレンズと第1のレンズとの間で、光軸と直交する方向に対して傾き成分の偏芯が発生するので、注意を要する。
本発明においては、上記各図に示した如きレンズ枠の形状としたので、モールド成形に際して使用する金型構成は、可動型及び固定型の構成にて十分成形が可能である。突起部23についても、図1(b)に示すように光軸方向に平行な形状であれば、アンダーカット形状になることなく、一方向に抜くことが可能である。
また、レンズ本体2とレンズ保持部材3とから成るレンズ枠1をモールド一体成形で構成したことにより、弾性機能の為の新たな機能部品の追加や、部品点数の増加による構成の複雑化、弾性機能を有する構成部分の大型化を防止することができる。つまり、最小の部品点数で実現でき、簡単な構成で、同機能を有した小型のレンズ枠を提供することができる。
【0018】
次に、図3の実施形態においては、レンズシフト移動部材50を径方向(光軸と直交する方向)へ移動させて第1のレンズL1を所定の狙い位置に移動させる構成を示したが、移動完了後にレンズシフト移動部材を固定するための構成例について以下に説明する。
即ち、図4(a)乃至(e)は、レンズシフト移動部材の固定構造を示す要部斜視図、C視図、固着部の拡大断面図である。なお、図1、図2、図3と同一部分には同一符号を付して重複した説明は省略する。
図4に示した実施形態に係るレンズ枠1は、レンズ枠本体2を構成する各張り出し部10の上面に固定ボス60が一個ずつ突設されており、各張り出し面10の上面に載置される環状のレンズシフト移動部材50には各固定ボス60を嵌合させる固着穴51が対応する位置関係で貫通形成されている。固着ボス60のボス径に対し、固着穴51の穴径は、ΔXで0.03mm移動可能な量+α(外径でφ0.2mm以上)の余裕を持たせてある(図5(b)参照)。
固着穴51と固定ボス60との間を、接着、熱カシメ等の固着方法で固定することで、レンズシフト移動部材50を張り出し部10の上面に固定することができる。尚、同工程においては同時に図1(b)に示した第1のレンズの接着剤塗布部24に接着剤を塗布し、第1のレンズL1の外周と各弾性保持部20とを固着する。
なお、固着穴51に対して固定ボス60を嵌合した箇所は、固着スペース61であり、図4(a)の例では全ての張り出し部10上に固着スペース61を設けており、図5(a)の例では円周方向に4箇所の固着スペース61を90度間隔で配置した例を示している。
この実施形態においては、図4(a)、図5(a)に夫々示すように、各張り出し部10上面に跨って、できるだけバランス良くレンズシフト移動部材50を固定する為、固着スペース61を円周方向に等分で配置し、各固着スペース61にて固定している。
【0019】
図4(c)(d)(e)は、夫々固着スペース内において、固着ボスと固着穴を用いた固着を行う方法を示している。
まず、図4(c)の固着構造は、レンズ枠1の固着ボス60の外周部分とレンズシフト移動部材50の固着穴51との隙間に、接着剤65を塗布して硬化接着する場合を示している。
図4(d)の固着構造では、レンズ枠1の固着ボス60を熱カシメヒーターチップ66等を用いて、レンズシフト移動部材50に対して熱カシメする。
図4(e)では、図4(c)の例により、接着剤65により接着された部分を、図4(d)の例のように熱カシメするようにした接着後熱カシメの例を示している。尚、図4(e)の場合、接着と熱カシメとを同じ位置で実施できる点が特徴的である。また、接着と熱カシメによる固着は、同時に同じ工程で行う必要は無く、図4(c)で示した接着後、別工程で熱カシメを行っても良い。
接着、熱カシメにはそれぞれ利点がある。接着は比較的狭いスペースでも実施可能なこと等が特徴であり、また公知の接着剤でも種々の特性のものがあり、適宜選択することができる。熱カシメは比較的短い時間で実施できる点が利点である。この実施形態例では、接着及び熱カシメ、いずれの方法をも選択可能とする固着部の形状であるため、固着工程設定の自由度を上げることができる。したがって効率の良い工程設定を選択することができる。
また図4(e)に示したように接着と熱カシメの併用が可能なので、調芯工程直後は接着による固着→次工程で熱カシメによる補強、と言った工程を分けた設定も可能である。そのため、調芯装置上で固着する場合に、レンズシフト移動部材50の固着は、最低限の強度を保証できるところで接着工程を終了することで、調芯装置の占有時間を短縮し、調芯装置によって調芯可能な数量を上げることができる。また、強度向上の為の熱カシメは、次工程にて熱カシメだけの専用治具などで行うことで、十分な固着強度を確保することができる。
また、接着と熱カシメを同じ位置で実施可能なので、それぞれの固着手段に専用のスペースを設けた場合と比較し、スペース効率が2倍あり、レンズ枠を小型化することができる。
【0020】
次に、図6(a)乃至(d)は、レンズシフト移動部材の他の実施形態の構成図、及び組付け状態を示す要部断面図である。
この実施形態に係るレンズシフト移動部材50は、レンズシフト移動部材50とレンズ枠本体2の各張り出し部10の上面とが接する面側に、径方向へ延びるリブ52を所定の周方向ピッチにて配置した構成が特徴的である。
リブ52の厚み(突出厚)は、例えば0.1mm前後を想定しており、レンズシフト移動部材50に外力を与えてシフトさせる場合、このリブ52を利用して張り出し部10の上面で任意の方向に円滑にスライドさせてシフト移動させることができる。
なお、上記各実施形態に示したレンズ枠1は、例えばズームレンズ鏡胴に適用することができ、図7は鏡胴に適用した場合の分解斜視図である。
このズームレンズ鏡胴70は、鏡胴枠71と、鏡胴枠71内に配置さえるレンズ枠72、レンズ枠73、レンズ枠74、その他の図示しない部材を備えており、各レンズ枠を光軸方向に移動させることにより、焦点距離を可変にすることができる。各レンズ枠72、73、74は、夫々レンズ(群)Lを保持している。上記各実施形態において示した調芯構造を備えたレンズ枠1の構造は、何れのレンズ枠72、73、74に対して適用しても差し支えないが、図7ではレンズ枠73に適用した場合を示している。
本発明のレンズ枠1の調芯構造を備えたレンズ枠73は、支持した複数のレンズ間の光軸位置のずれを組み付け時に調整することにより、簡単な調芯作業によって偏芯を調整することができる。
次に、図8は、本発明のレンズ枠1を備えたズームレンズ鏡胴70をカメラ75に適用した例を示している。適用可能なカメラとしては、デジタルカメラ、銀塩カメラ、ビデオカメラ等を例示できる。
また、このズームレンズ鏡胴70は、レンズ交換が可能なカメラ及びレンズ交換ができないカメラのいずれに対しても実施可能である。
【0021】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、可変焦点装置としてのズームレンズ鏡胴を小型化、高倍率化するために、レンズ枠に対して複数のレンズを組み付ける際におけるレンズ間の偏芯を調整する調芯工程をなくするか、或いは必要最小限に抑えることによって、生産性の向上、コストダウンを図ることができる。
即ち、請求項1の発明によれば、レンズ枠を、レンズ枠本体と、レンズ保持部材と、から構成し、レンズ保持部材を、一つのレンズを固定的に保持する保持部と、他のレンズを可動状態で保持する弾性保持部と、から構成したので、従来必要とされた第1のレンズの調芯シロを省略することができる。このため、第1のレンズが調整不要の場合は、そのまま第1のレンズが保持されるので、偏芯調整工程が不要となり、調整が必要な場合のみ調整をすれば良い。従って、工数低減により、単位時間あたりの生産量を高め、コストダウンを図ることができる。
請求項2の発明では、弾性保持部を介して保持しているレンズを、光軸と直交する方向にシフト移動することにより、第1のレンズと第2のレンズとの位置関係を、組み付け後に精度良く調整できるので、高精度に偏芯調整されたレンズ枠を完成することができる。
請求項3の発明によれば、レンズの外周を3カ所以上、弾性保持部により保持することにより、調芯をしない場合においても、第1のレンズをバランス良く保持させることができる。
請求項4の発明によれば、弾性保持部を円周方向に略等分に配置することにより、第2のレンズに対し、第1のレンズの光軸位置を精度良く保持することができ、調芯をしない場合においても、第1のレンズをバランス良く保持させることができる。
請求項5の発明によれば、各弾性保持部の突起部の円弧状の先端部間にてレンズ外周部を保持するようにしたので、弾性保持部と調芯される第1のレンズの外周部との接触面積をできるだけ少なくでき、弾性保持部は第1のレンズを精度良く保持することができる。
請求項6は弾性保持部の弾性変位量を0≦ΔX≦0.03mmとしたので、第1のレンズを調芯なしに組付け完了したり、調芯する場合でも第1のレンズをシフト方向へ移動させることにより、偏芯が発生するのを防止することができる。請求項7の発明によれば、弾性保持部をレンズ枠本体と一体成形することで、弾性機能の為の新たな機能部品の追加や、部品点数の増加による構成の複雑化、弾性機能を有する構成部分の大型化を防止することができる。
【0022】
請求項8の発明によれば、レンズ枠に設けられている弾性保持部を、光軸に対してシフト方向に移動できるレンズシフト移動部材を設けることで、レンズ枠の外周部分から外力をかけることで第1のレンズをシフト調整できる。
請求項9の発明によれば、レンズシフト移動部材に固着スペースを設けることで、レンズ枠のスペースを効率良く利用することが可能となる。
請求項10の発明によれば、固着スペースを2個所以上設けることで、より強固に固着することができる。
請求項11の発明によれば、固着手段を略等分に設けることで、より安定した状態で固着することができる。
請求項12の発明によれば、接着又は熱カシメ、又は接着と熱カシメの併用により、より安定した状態で固着することができる。
請求項13の発明によれば、レンズシフト移動部材の片面に中心から径方向へ延びるリブを周方向に沿って所定ピッチで設けることで、レンズ枠上をスライドさせる時の接触面積を減らし、安定した調整を可能とする。
請求項14の発明によれば、レンズ間の光軸の位置関係を高精度に調整されたレンズ枠をズームレンズに用いることで、高精度なズームレンズ鏡胴を提供することができる。
請求項15の発明によれば、小型ズームレンズ鏡胴をカメラに搭載することで、従来と比較し、より小型のズームレンズ鏡胴を搭載したカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)乃至(d)は、本発明の一実施形態に係るレンズ枠の平面図、要部斜視図、レンズを保持した状態の平面図、A−A断面図。
【図2】(a)及び(b)は、図1のレンズ枠の要部構成、及び動作説明図。
【図3】(a)(b)及び(c)は、本発明の他の実施形態に係るレンズ枠の構成を示す平面図、及び縦断面図。
【図4】(a)乃至(e)は、レンズシフト移動部材の固定構造を示す要部斜視図、C視図、固着部の拡大断面図。
【図5】(a)及び(b)は、本発明の実施形態に係るレンズ枠の平面図、及び要部拡大図。
【図6】(a)乃至(d)は、レンズシフト移動部材の他の実施形態の構成図、及び組付け状態を示す要部断面図。
【図7】本発明のレンズ枠をズームレンズ鏡胴に適用した例の説明図。
【図8】本発明のレンズ枠を備えたズームレンズ鏡胴をカメラに適用した例を示す図。
【符号の説明】
1 レンズ枠、L1、L2 レンズ、2 レンズ枠本体、3 レンズ保持部材、5 第1のレンズ保持部(弾性保持部)、6 第2のレンズ保持部(固定的な保持部)、10 張り出し部、11 スペース、20 弾性保持部材、21 スリット、22 支柱、23 突起部、23a 第1のレンズの外周基準、24 接着剤塗布部、30 第1のレンズ背面支持部、40 第2のレンズ止め部、41 第2のレンズの外周基準面、42 第2のレンズの接着剤塗布部、50 レンズシフト移動部材、51 固着穴、55 付勢部材、56 開口、60 固定ボス、61 固着スペース、70 ズームレンズ鏡胴、71  鏡胴枠、72 レンズ枠、73 レンズ枠、74 レンズ枠。

Claims (15)

  1. 一つの光軸に沿って配置された2個以上のレンズを保持するレンズ枠において、レンズ枠本体と、レンズ保持部材と、から成り、
    前記レンズ保持部材は、一つのレンズを固定的に保持する保持部と、他のレンズを可動状態で保持する弾性保持部と、を備えていることを特徴とするレンズ枠。
  2. 前記弾性保持部は、外力によりシフト方向に移動が可能であることを特徴とする請求項1に記載のレンズ枠。
  3. 前記弾性保持部を、前記レンズの外周に沿った円周方向に少なくとも3箇所以上設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ枠。
  4. 前記弾性保持部を、該レンズの外周に沿った円周方向に略等分に配置したことを特徴とする請求項1、2又は3に記載のレンズ枠。
  5. 前記各弾性保持部が前記レンズ外周を支持する部分には、夫々突起部が設けられていることを特徴とする請求項1、2、3又は4の何れか一項に記載のレンズ枠。
  6. 前記弾性保持部の弾性変位量は、0≦Δx≦0.03(mm)であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のレンズ枠。
  7. 前記レンズ保持部材は、前記レンズ枠本体に対してモールド成形により一体化されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載のレンズ枠。
  8. 前記弾性保持部によって保持されているレンズを、シフト方向に自在に作動させるためのレンズシフト移動部材を備えたことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載のレンズ枠。
  9. 前記レンズシフト移動部材を前記レンズ枠本体に対して固着手段により固定することを特徴とする請求項8に記載のレンズ枠。
  10. 前記固着手段を、前記レンズ移動部材の周方向に沿った2カ所以上に設けたことを特徴とする請求項9に記載のレンズ枠。
  11. 前記固着手段は、前記レンズ移動部材の周方向に沿って等間隔にて配置されていることを特徴とする請求項9に記載のレンズ枠。
  12. 前記固着手段は、少なくとも接着、又は熱カシメによる固着手段、或いは接着と熱カシメを併用した固着手段であることを特徴とするレンズ枠。
  13. 前記レンズシフト移動部材は、片面に突状のリブを備えていることを特徴とする請求項8乃至12の何れか一項に記載のレンズ枠。
  14. 請求項1乃至請求項13の何れか一項に記載のレンズ枠を備えたことを特徴とするズームレンズ鏡胴。
  15. 請求項14に記載のズームレンズ鏡胴を備えたことを特徴とするカメラ。
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