(実施の形態1)
図1は本発明の実施の一形態に係る撮像装置1の縦断面図であり、図2はその分解斜視図であり、図3はさらに細かく分解した斜視図である。この撮像装置1は、移動レンズユニットである1群ユニット2と、固定レンズユニットである2群ユニット3と、前記1群ユニット2を光軸方向に駆動する超音波リニアアクチュエータ4と、それらのユニット2,3および超音波リニアアクチュエータ4を収容する筐体5と、フィルタ6と、撮像素子7とを備えて構成される。
この撮像装置1は、携帯電話の端末装置に搭載され、前記撮像素子7は、CCDタイプやCMOSタイプのイメージセンサで構成されており、前記端末装置側のプリント基板に搭載される。また、前記フィルタ6は、その撮像素子7に一体に取付けられている赤外線カットフィルタから成る。このため、図2および図3を含めて、以降フィルタ6および撮像素子7は省略して示す。
前記ユニット2,3は、2群5枚の固定焦点のレンズユニットを構成し、前記超音波リニアアクチュエータ4は、オートフォーカスを実現するために1群ユニット2を駆動する。前記1群ユニット2は、3枚の光学素子21,22,23と、前記光学素子21,22,23を保持する保持部材24と、遮光板25,26と、後述する押圧部材30とを備えて構成される。2群ユニット3は、2枚の光学素子31,32と、遮光板33,34とを備えて構成され、前記光学素子31,32は、保持部材である後フレーム51に保持されている。
前記各光学素子21,22,23;31,32は、プラスチックレンズから成り、光路を形成するレンズ部211,221,231;311,321と、前記レンズ部211,221,231;311,321を外周側から保持する保持部212,222,232;312,322とを備え、それらが一体成型されて成る。そして、前記各レンズ部211,221,231,311,321間には、不要光を遮断するための前記遮光板25,26,33,34がそれぞれ設けられている。
移動レンズ群である前記1群ユニット2の駆動機構である前記超音波リニアアクチュエータ4は、たとえば本件出願人が先に特開2001−268951号公報などで提案した小型化に好適なアクチュエータであり、SIDM(Smooth Impact Drive Mechanism(登録商標))アクチュエータと称される。この超音波リニアアクチュエータ4は、軸方向に伸縮する圧電素子41の一端にロッド42が接続され、他端に錘43が接続され、前記圧電素子41の伸縮でロッド42が往復移動し、前記1群ユニット2の保持部材24が前記ロッド42に所定の摩擦力で係合していることで、前記1群ユニット2が光軸方向に移動されるようになっている。
詳しくは、前記超音波リニアアクチュエータ4の駆動メカニズムは、圧電素子41に矩形波を与えることで該圧電素子41の変位が三角波状に現われ、その矩形波のデューティを変えることで、振幅上昇時と下降時とで傾きが異なる三角波が発生することを利用するものである。たとえば、ロッド42をゆっくりと伸張させることで、そのロッド42に摩擦係合している1群ユニット2も移動し、前記所定の摩擦力を超える程、ロッド42を瞬時に縮小すると、1群ユニット2が伸張位置に取り残されるということを繰返し行うことで、前記1群ユニット2を前記ロッドの軸方向に移動させることが可能となっている。
前記錘43は、圧電素子41の伸縮による変位をロッド42側のみに発生させるためのもので、前記圧電素子41の他端が筐体5に取付けられるなどして、同様の機能を発揮できる場合には、省略されてもよい。また、保持部材24のロッド42への係合は、後述するようにして発生される摩擦力を用いて行われるが、磁力が用いられてもよい。
前記超音波アクチュエータ4の圧電素子41は、複数の圧電層が積層され、一対の側面に各圧電層の電極が共通に引出されて構成されている。その側面の電極411,412は、個別のリード線44,45を介して外部接続端子46,47にそれぞれ接続されている。前記外部接続端子46,47の先端461,471は、前記携帯電話の端末側のプリント基板に半田付けされ、或いは前記プリント基板に実装されたコネクタに嵌り込む。この超音波アクチュエータ4の取付けや配線引回しについては、後に詳述する。
前記筐体5は、樹脂成型品である前記後フレーム51と、その後フレーム51と組合わせられて箱体を形成する前フレーム52と、板金加工によって形成され、電磁シールド対策および外観上の部品である前カバー53とを備えて構成される。この筐体5の構造についても、後に詳述する。
図4は、図1の切断面線IV−IVにおける断面を拡大して示す図である。この図4は、前記1群ユニット2における光学素子21,22,23間の互いの接合およびその接合されて成るレンズブロックの保持部材24への接合構造を詳しく説明するための図である。この1群ユニット2の組立てでは、先ず、光学素子22,23間に遮光板26が挟み込まれて、該光学素子22,23が互いに胴付け接着され、さらに光学素子21,22間に遮光板25が挟み込まれて、光学素子21の調芯の後、該光学素子21,22が互いに胴付け接着されて、前記レンズブロックが完成する。
次に、そのレンズブロックが筒状の保持部材24へ光学素子21側から嵌め込まれ、保持部212の前端面212aが前記保持部材24の前端(物体)側に内向きのフランジ状に形成されている押え板241の後面(像側の面)241aに当接し、光学素子22の保持部222の外周面222aが前記保持部材24の筒部242の内周面242aに当接した状態で、最も後(像)側の光学素子23の保持部232の外周面232aと、前記筒部242の端面242bとの間が、接着剤27によって接着固定されて該1群ユニット2が完成する。
ここで注目すべきは、このように複数枚の光学素子21,22,23を相互に接合して成る1群ユニット2において、前記保持部212,222,232は、相互に隣接する光学素子21,22,23における前記レンズ部211,221,231同士の間隔を規定する当接面212b;222b,222c;232cと、予め定める間隔d1,d2を開けて対向する接着剤塗布面212d;222d,222e;232eとを有し、それらの境界に、前記接着剤塗布面212d;222d,222e;232eから前記当接面212b;222b,222c;232c側への接着剤28の侵入を防ぐために、周方向に延びる溝部212f;222f,222g;232gが形成されることである。相互に対向する前記当接面212b,222b;222c,232cは、径方向の幅がそれぞれW11,W12で環状に形成され、前記接着剤塗布面212d,222d;222e,232eは、径方向の幅がそれぞれW21,W22で環状に形成される。前記間隔d1,d2は、たとえば0.005〜0.01mmに設定され、前記幅W21,W22は、たとえば0.4mmに設定される。
このように構成することで、前記各保持部212,222,232において、相互に対向する接着剤塗布面212d,222d;222e;232eの少なくとも一方に接着剤28を塗布し、隣接する光学素子21,22,23を互いに押圧して、加熱や紫外線照射などで前記接着剤28を硬化させることで、光学素子21,22,23同士を胴付けによって、簡単かつ強固に接合することができる。さらに、前記の押圧の際に、参照符号28aで示すように、余剰となった接着剤は前記溝部212f;222f,222g;232gに流れ込み、これによって前記当接面212b;222b,222c;232cへの接着剤28のはみ出しを防止することができ、前記レンズ部21,22,23同士の間隔に余計な誤差が乗ることなく、光学性能を確保することができる。
また、前記保持部212,222,232において、前記当接面212b;222b,222c;232cを外周側、接着剤塗布面212d;222d,222e;232eを内周側に配置することで、前記保持部212,222,232の外周側で前記レンズ部211,221,231同士の間隔を規定することになり、内周側で規定するよりも、前記当接面212b,222b;222c,232cの間隔(スパン)が拡がり、製造誤差による前記間隔の誤差(傾きを含む)や偏心を、より小さくすることができるとともに、余剰分の接着剤28aの前記保持部212,222,232の外周側からのはみ出しを防止し、接合された光学素子21,22,23の保持部材24への組付けを、正確に行うことができる。
さらにまた、前記保持部212,222において、相互に対向する接着剤塗布面212d,222d;222e;232eのレンズ部211,221,231側にも、溝部212h,222hが形成される。こうして、前記保持部212,222の最内周付近にも前記溝部212h,222hを形成することで、参照符号28aで示す余剰分の接着剤の前記レンズ部211,221,231側へのはみ出しも防止することができ、光学性能を確保することができる。
また、前記保持部212に環状に形成される溝部212hに対して、対向する前記保持部222には、前記溝部212hに遊嵌する突起または突条222kが形成され、前記突起または突条222kの外径に対して、前記溝部212hの内径が所定寸法だけ大きく形成される。すなわち、光学素子21,22同士を胴付けするにあたって、それらの一方に参照符号28aで示す余剰接着剤が流れ込む前記溝部212hを大き目の環状に形成しておき、他方には小さ目に突起または突条222kを形成し、両者を接着する際に、前記突起または突条222kによって前記余剰接着剤28aが溝部212hから溢れないようにしつつ、前記突起または突条222kが溝部212hに嵌り込むようになっている。そしてこれらの突起または突条222kと溝部212hとの関係は、前記突起または突条222kの外径に対して、前記溝部212hの内径が所定寸法だけ大きく形成されており、隣接する光学素子21,22同士で光軸と直交方向にずれが許容されている。
したがって、前記ずれを調整することで、後に詳述するようにして光学素子21の調芯を行うことができ、その調芯後に前記接着剤28を硬化させて光学素子21,22同士を固定することで、従来用いていたような調芯用玉枠を廃止することができる。
さらにまた、前記光学素子21,22,23は、プラスチックレンズから成り、前記保持部212,222,232は、前記レンズ部211,221,231の外周縁の少なくとも一部分から延設される保持片から成り、それらは一体成型され、また上述のようにして保持部212,222,232同士で胴付けが行われる。ここで、レンズ部がガラスレンズから成る場合、保持部となる保持枠が別体で設けられることが多く、この保持枠が上記のようにして接着固定されることになるのに対して、上述のような光学素子21,22,23同士の胴付けを行うことで、光学素子21,22,23間の接着に、別部品の保持枠を用いる必要がなくなる。
一方、上述のような1群ユニット2において、また注目すべきは、複数枚の光学素子21,22,23を筒状の保持部材24で保持してレンズユニットを構成するにあたって、予め光学素子21,22,23同士を接着固定して前記のレンズブロックを構成しておくことで、保持部材24と嵌合する光学素子22と、接着する光学素子23とを分けることが可能になり、これを利用して、接着すべき光学素子23と保持部材24との間には、接着剤27の通常の厚盛りによる接着剤溜まり部27bに加えて、それらの間に微小間隔d3を形成することで、接着剤層27aを設けることである。
具体的には、前記プラスチックレンズから成る光学素子21,22,23を保持部材24に嵌め込む際、少なくとも1つの光学素子、好ましくは線膨張係数の小さい材料から成る光学素子22を筒状の保持部材24の内周面242aに嵌合、すなわち保持部材24の径方向に係合させる。これに対して、残余の光学素子21,23は、前記光学素子22に予め接合して前記レンズブロックを構成しておくことで、光軸合わせや傾き調整などの位置決めが行われている。そして、その残余の光学素子21,23における少なくとも一部の光学素子、好ましくは前記筒状の保持部材24に最後に嵌め込まれる後(像)側の光学素子23には、前記保持部材24の内周面242aと予め定める微小間隔d3を開けて平行となる外周面232aを形成しておき、それらの内周面242aと外周面232aとの間に接着剤27を充填して、前記レンズブロックを保持部材24に接着する。
こうして、前記光学素子23と前記保持部材24との間に充填された接着剤27は、前記内周面242aと外周面232aとの間は接着剤層27aを形成するとともに、前記筒部242の端面242bと外周面232aとの間は、接着剤溜まり部27bとなる。このように構成することで、レンズ押さえのような別部材を用いることなく、また前記レンズ押えやかしめのように奥行き方向に余分なスペースが発生することなく、相互に平行な保持部材24の内周面242aと光学素子23の外周面232aとの間の前記微小間隔d3に形成される前記接着剤層27aによって、そのせん断方向の保持力を利用して接着強度を向上することができる。これによって、振動・衝撃に対する信頼性を向上させつつ、小型・低背化することができる。
前記微小間隔d3は、0.1mm以下が好ましい。それは、前記0.1mm以下とすると、前記接着剤層27aにおいて、大きな剪断方向の保持力を発生させることができ、すなわち該接着剤層27aの接着を外すためには、大きな剪断力が必要になり、レンズブロックを保持部材24から外れ難くすることができるためである。
また、前記のように3枚の光学素子21,22,23を互いに接合するにあたって、中間の光学素子22と後(像)側の光学素子23との保持部222,232には、相互に嵌り合い、互いの光軸と直角方向の変位を阻止する光軸方向の段差222i,232iが設けられている。これによって、前記接着剤塗布面222e,232eを互いに接着するだけで、保持部222,232間の光軸と直角(径)方向の変位が阻止され、調芯を行うことができる。
一方、前記中間の光学素子22と前(物体)側の光学素子21との保持部222,212には、前記当接面222b,212bおよび接着剤塗布面222d,212dが互いの光軸と直角方向の変位を許容する平滑面を形成しており、前記光学素子22,21間は、前記溝部212hと突起または突条222kによって許容される範囲で調芯可能となっている。そこで、前記光学素子22,23が接着された後、この光学素子21を接着する際は、前記接着剤塗布面222d,212dに前記接着剤28として紫外線硬化性の接着剤が塗布され、調芯が行われた後、紫外線が照射されて接着剤28が固化される。
この光学素子22,23に対する光学素子21の接着時には、光学素子22,23は、前記光学素子24,25および撮像素子7に相当する部材と共に、一方の治具に仮組され、光学素子21が他方の治具に取付けられ、撮像素子7の撮像出力を確認しながら(光学的な性能を見ながら)、2つの治具の位置が調整されることで調芯が行われる。具体的には、物体側に置かれたチャートを前記の仮組の光学素子21〜25を通して撮像素子7で撮影し、撮影された像の状態(片ボケなど)に応じて光学素子21(他方の治具)を光軸に垂直な方向に移動させる。このようにして、所定の光学性能が得られるように調整しつつ、光学素子21,22,23を一体化することができる。
そして、前記レンズブロックとして一体化された光学素子21,22,23の内、上述のように中間の光学素子22を筒状の保持部材24の内周面242aに嵌合し、後(像)側の光学素子23の外周面232aを前記保持部材24の内周面242aに接着することで、前記振動および衝撃に対する信頼性を向上させることができる。また、上述のような3枚の光学素子21,22,23の構成において、調芯を行う場合、従来では、光学素子22,23を一体で保持する玉枠に対して、光学素子21は調芯用玉枠に保持され、位置調整の後、玉枠同士が接着されることになるが、本実施の形態では、上述のように光学素子21を光学素子22に胴付けによって接着するので、前記の調芯用玉枠を削減し、小型・低背化することができる。
上述の例では、前記保持部材24の前端(物体)側に抜け止めの押え板241が形成され、前記レンズブロックとして一体化された光学素子21,22,23は該保持部材24の後方(像側)から嵌め込まれたけれども、前記押え板241が後端(像)側に設けられ、光学素子21,22,23が前方(物体側)から嵌め込まれる場合、前方(物体)側の光学素子21が保持部材24に接着されることになる。
また、1群ユニット2を構成する光学素子21,22,23は3枚であったけれども、2枚や、4枚以上であってもよい。2枚で保持部材24の後方(像側)から嵌め込まれる場合、図5で示すように、前方(物体)側の光学素子21’が保持部材24’に嵌合し、後方(像側)の光学素子23’が保持部材24’に接着されることになる。また、光学素子が4枚以上の場合、少なくとも略中間の光学素子が保持部材24に嵌合していることが好ましい。
さらにまた、上述の実施の形態では、光学素子21,22,23は、レンズ部211,221,231と、その外周縁部から延びて形成される保持部212,222,232とを備えて構成される構成において、前記保持部212,222,232における当接面212b;222b,222c;232cと接着剤塗布面212d;222d,222e;232eとを区画するように前記溝部212f;222f,222g;232gが形成される例を示しているが、図6で示すように、単体レンズ20を、鏡筒や玉枠などの保持部材29などに接着する場合に用いられてもよい。
すなわち、レンズ部20aと、そのレンズ部20aの外周側に延在する外縁部20bとを有する前記単体レンズ20と、それを保持する保持部材29とを接合して成るレンズユニット2’において、前記保持部材29は、前記外縁部20bと当接して光軸方向の位置決めを行う当接面29aと、前記外縁部20bと予め定める間隔d4を開けて対向し、接着剤28’が塗布されるべき接着剤塗布面29bとを有し、その当接面29aと接着剤塗布面29bとの境界に、周方向に延びる溝部29cが形成される。このように構成してもまた、前記接着剤塗布面29bから前記当接面29a側への接着剤28’のはみ出しを防止することができ、前記単体レンズ20の保持部材29への取付けに余計な誤差が乗ることなく、光学性能を確保することができる。
一方、前記2群ユニット3では、後フレーム51に形成された嵌合孔511に光学素子32、遮光板34および光学素子31が順に嵌め込まれ、接着剤35によって接着固定される。ここで注目すべきは、固定レンズ群であり、後(像)側に撮像素子7を備える前記2群ユニット3において、後(像)側の光学素子32の保持部322には、その保持部材である後フレーム51との当接面323における周方向の一部において、段差324が形成されるとともに、外周面325には、その段差324に連なる切欠き326が形成されることである。これに対応して、前(物体)側の光学素子31の保持部312の外周面315にも、切欠き316が形成され、これらの段差324および切欠き326,316を通してのみ、該2群ユニット3と撮像素子7との間の空間8が、外部に連通している。
図7は、図1における参照符号αで示す部分を拡大して示す断面図である。また、図8(a)は前記光学素子32の正面図であり、図8(b)はその保持部322の周縁部付近を拡大して示す断面図である。後フレーム51の嵌合孔511には、後端(像)側に、内向きのフランジ(鍔)状に形成されている押え板511aが設けられており、前記光学素子32の保持部322の当接面323を保持する。したがって、この当接面323の一部に形成される段差324によって、前記押え板511aとの間には、間隔d5の隙間が形成されることになる。
また、プラスチックレンズから成る光学素子32,31は、射出成型によって成型された後に、ゲート位置には、バリ取りの工程でDカットが施される。このDカットによって前記切欠き326,316が形成され、そのDカットによる範囲を図8(a)において区間d6で示し、そのDカットによる径のバラツキの範囲を、図7および図8(b)では網掛けして示す。なお、図8では、前記段差324を強調して示している。そして、光学素子32,31を後フレーム51に組付けた後に、図9で示すように、前記Dカットの区間d6だけ、接着剤35を塗布せず、前記切欠き326,316による隙間317を外部に開放する。前記接着剤35に代えて、かしめや溶着が用いられる場合には、前記区間d6だけ、そのような固定(閉塞)を行わないようにすればよい。前記区間d6は、たとえば0.3〜0.8mm程度である。
ここで、レンズ交換のできない小型の撮像装置において、オートフォーカスやズームのための移動レンズ群の周囲は、該移動レンズ群の移動の障害とならないように外気に開放(外部と連通)しているが、動かない構成である固定レンズ群から、その像(背後)側に設けられる撮像素子の間の空間は、ゴミの侵入を防止するために、通常、密閉空間としたり、或いは温度や気圧の変化による前記空間内の空気の膨張・収縮に対応するために、その空間への通路にフィルタなどを設けたりして、前記外気の流入に制約が設けられている。
これに対して本実施の形態では、既存の部品である2群ユニットにおける光学素子32,31と、その保持部材である後フレーム51との構造を、上述のように工夫すること(クリアランスの見直し)で、図7において参照符号Fで示すような空気通路を形成し、前記温度や気圧の変化による前記空間8内の空気の膨張・収縮に対応する。すなわち、光学素子32の保持部322における段差324および切欠き326、ならびに光学素子31の保持部312における切欠き316を連通させることで、前記空気通路を形成する。そして、その空気通路の幅、高さ、径を前記ゴミの径よりも狭く形成しておく。具体的には、前記段差324による当接面323と押え板511aとの間隔d5を、画像のシミになるゴミの最小サイズである0.02mm以下に形成しておく。
このように構成することで、前記段差324および切欠326,316部分が、ゴミが侵入出来ないラビリンス構造を実現し、しかもその構造を、既存の構成部品で、部品点数の増加を招くことなく、かつ別部品も発生せず、簡単かつ低コストに実現することができる。
また、前記切欠き326,316に、光学素子32,31の射出成型時におけるゲート位置に形成されるDカットを利用することで、成型時のバリ取り等の工程で前記Dカットを形成することができ、工程の増加を無くすことができる。
なお、前記空気通路を形成する段差324および切欠き326,316の少なくとも一部分が前記のゴミの最小サイズより狭く形成されていればよい。また、同じ光学素子32に設けられる前記段差324と切欠326とは周方向に同じ位置、すなわち上述のように連通している必要があるが、光学素子32,31間で、前記切欠き326,316は、必ずしも周方向の位置が一致している必要はない。しかしながら、一致している方が、確実に空気の抜け道を形成することができる。
さらにまた、前記段差324および切欠326,316は、光学素子32,31と後フレーム51との何れに形成されてもよいが、上述のように光学素子32,31側に形成された場合、保持部材である後フレーム51のコア加工が容易になり、後フレーム51側に形成された場合、光学素子32,31のコア加工が容易になり、それぞれの部品の精度を向上することができる。
次に、筐体5の構成について説明する。図2および図3を参照して、この筐体5を構成する部材の内、前記前カバー53は、電磁シールドおよび外観(意匠)上設けられる板金加工品であり、フレーム51,52が組付けられた後、フレーム52側から被せられ、側壁531に設けられた係止爪531aがそれぞれ後フレーム51の側壁512に形成された係止凹部512aに嵌り込むことで、該後フレーム51に固定されるだけである。したがって、以下には、特にフレーム51,52の構造について詳述する。
前記フレーム51,52は、前述のように相互に組合わせられて箱体を形成し、その内部に前記1群ユニット2および2群ユニット3ならびに超音波リニアアクチュエータ4を少なくとも収容する。注目すべきは、これらのフレーム51,52は、前記箱体が光軸方向である前後に2分割された形状を有する樹脂成型品から成り、かつ前記箱体の側壁512,521は貫通孔が無い形状に形成され、これによって箱体内が気密に形成されることである(前記係止凹部512aは、貫通孔ではなく、底が閉塞された凹所である)。
図10は、前記1群ユニット2および2群ユニット3ならびに超音波リニアアクチュエータ4などを除き、フレーム51,52だけを組合わせた状態を示す斜視図である。また、図11は後フレーム51の図であり、(a),(b)は前面(物体)側から見た斜視図、(c)は後面(像)側から見た斜視図、(d)は前面(物体)側から見た正面図である。同様に、図12は前フレーム52の図であり、(a)は前面(物体)側から見た斜視図、(b),(c)は後面(像)側から見た斜視図、(d)は後面(像)側から見た正面図である。
上述の図10〜図12に、図1および図2も合わせて参照して、後フレーム51は、大略的に、矩形のベース513の外周側から前記側壁512が立設されるとともに、内周側には保持筒514が立設されて成る。前記保持筒514の内周側は、前記嵌合孔511となって、2群ユニット3を保持する。前記側壁512において、4面総ての側壁には、その後端(像)側に、前記前カバー53の係止爪531aが嵌り込む係止凹部512aが形成され、相互に平行な一対の側壁には、前フレーム52の側壁521に形成された係止孔521aに嵌り込む係止突起512bが形成されている。これによって、特別な固定の作業を行うことなく、嵌め込むだけで、該後フレーム51に、前フレーム52および前カバー53を取付けることができるようになっている。
また、前記後フレーム51には、複数の位置決め用のボス515が、適宜分散して配置されており、前フレーム52側の対応する位置決め孔525に嵌り込むことで、これらのフレーム51,52の光軸とは直交方向のずれが防止されている。
さらにまた、後フレーム51の1つの隅角部には、前記超音波リニアアクチュエータ4を収納するための収納凹部516が形成されるとともに、対角線上の隅角部には、前記1群ユニット2を案内する一対の案内壁517が形成されている。さらにまた、その収納凹部516から離れた側壁に、前記外部接続端子46,47に対応する取付け凹部518,519が形成されている。
前フレーム52は、矩形の前面板522の外周側から前記側壁521が立設されるとともに、内周側には前記1群ユニット2が外部に臨む開口523が形成されている。また、前フレーム52の1つの隅角部には、前記超音波リニアアクチュエータ4のロッド42の先端部が嵌り込む嵌合孔526が形成されるとともに、対角線上の隅角部には、前記1群ユニット2を案内する一対の案内壁527が形成されている。
そして、これらのフレーム51,52の組立てには、先ず、前述のように後フレーム52の嵌合孔511に光学素子32、遮光板34および光学素子31が順に嵌め込まれ、接着剤35によって接着固定されて2群ユニット3が完成される。次に、超音波リニアアクチュエータ4が後フレーム51の収納凹部516に組み込まれ、該超音波リニアアクチュエータ4の外部接続端子46,47が取付け凹部518,519に嵌め込まれるとともに、一対のリード線44,45が2群ユニット3の周囲を引回され、遮光板33で抑え込まれる。続いて、前述のようにして組立てられた1群ユニット2が超音波リニアアクチュエータ4のロッド42に係合された後、その先端部が前記嵌合孔526に嵌合されつつ、2つのフレーム51,52が組合わせられ、係止突起512bが係止孔521aに嵌り込むことで、フレーム51,52が相互に固定される。
しかしながら、この状態では、超音波リニアアクチュエータ4は、ロッド42の先端1点で固定されているだけで、圧電素子41側は変位可能である。これは、超音波リニアアクチュエータ4のフレーム51,52に対する取付け角(チルト角)を調整可能とするためで、調整後は、錘43の背面43aを、後フレーム51の前記ベース513に接着することで、圧電素子41を固定する。そのため、前記ベース513において、前記収納凹部516に連なる調整孔516aが形成されている。前記調整孔516aは錘43よりも小径に形成される。
図13は、そのような超音波リニアアクチュエータ4の取付け角(チルト角)の調整を行うとともに、接着を行う治具9の構造を示す断面図である。この治具9は、大略的に、第1の治具91と、第2の治具92と、接着剤充填手段93とを備えて構成される。前記第1の治具91は、前記2群ユニット3が取付けられた前記後フレーム51において、撮像素子7の取付け基準面となり、したがって撮像素子7の素子面と平行で、かつ該2群ユニット3の光軸と垂直に形成されているベース513の後面513aと当接する当接面911を有し、該後フレーム51を把持する。前記第2の治具92は、前記1群ユニット2の基準面となり、該1群ユニット2の光軸と垂直に形成されている前記押え板241の前面241bと当接し、前記第1の治具91側の当接面911と平行な当接面921を有する。
したがって、前記第2の治具92が1群ユニット2を吸着することで、該1群ユニット2の光軸の撮像素子7の素子面に対する角度を垂直に調整することができる。前記接着剤充填手段93は、前記調整孔516a付近に吐出口931を有し、上述のようにして1群ユニット2の光軸調整が行われた後、該吐出口931から錘43の後端面43aに向けて紫外線硬化性の接着剤48を吐出し、紫外線が照射されると、前記錘43がベース513に固定される。
こうして組立てられた後に、治具9から取外され、前カバー53を嵌め込んだ状態が図1となる。このような治具9を用いることで、移動レンズ群である1群ユニット2の傾き調整および超音波リニアアクチュエータ4の後フレーム51への接着固定を容易に行うことができる。
ここで、治具92において、前記超音波リニアアクチュエータ4のロッド42の先端部42aに当接し、該超音波リニアアクチュエータ4の取付け高さを規定する位置決めピン922は、その当接部分922aの形状が球形状に形成されている。したがって、前記当接部分922aは、ロッド42の先端部42aの中心と点当りとなり、傾き調整の安定化を図ることができる。
なお、前記撮像素子7を後フレーム51に組付けた後に、その撮像画像をモニタしながら、画質が最良となるところに、前記調整孔516aから錘43の背面43aを動かすという簡単な作業で、前記超音波リニアアクチュエータ4の傾き調整を行い、さらに2群ユニット3に対する撮像素子7の位置調整などを行った後、超音波リニアアクチュエータ4のフレームへの接着固定を行うようにしてもよい。その場合、複数群のレンズ構成で、移動レンズ群である1群ユニット2以外の性能劣化要因も含めてキャンセルすることができ、撮像装置トータルとしての性能出しが可能になる。
以上のように、オートフォーカスのために超音波リニアアクチュエータ4を用いて1群ユニット2を光軸方向に移動させるようにした撮像装置1において、該撮像装置1の概ね外形状を形成する前記フレーム51,52を、箱体を光軸方向の前後に2分割した形状で形成し、さらに前フレーム52の前面板522によって超音波リニアアクチュエータ4のロッド42の先端部を、後フレーム51のベース513によって、錘43を介して圧電素子42を保持することで、前記フレーム51,52の側壁512,521を気密、すなわち貫通孔の無い形状に形成することができる。これによって、ゴミの侵入を防ぐことができるとともに、前面からの耐押し強度等、フレーム51,52の剛性を高め、該フレーム51,52に掛かる圧力による超音波リニアアクチュエータ4の破壊を防止することもできる。
また、前フレーム52の前面板522には、前記超音波リニアアクチュエータ4のロッド42の先端部42aが嵌挿し、その先端部を該超音波リニアアクチュエータ4が所定範囲で傾倒(チルト)可能に支持する嵌合孔526を設け、後フレーム51のベース513には、前記錘43の背面43aに臨み、該背面43aより狭小に形成される調整孔516aを形成し、前記1群ユニット2の光軸の撮像素子7の素子面に対する角度が垂直となるように、前記錘43を調整孔516aに対して位置調整した後、前記調整孔516aに接着剤48を充填して前記錘43を固定するので、超音波リニアアクチュエータ4のフレーム51,52に対する取付け角を調整可能とし、移動レンズ群である1群ユニット2の傾き精度を部品精度に依存することなく向上することができる。また、前記嵌合孔526はロッド42の先端部42aによって、調整孔516aは錘43の背面43aおよび接着剤48によって、それぞれ閉塞されるので、ゴミが侵入することはなく、また嵌合孔526を閉塞するために、前記成型品(前フレーム52)に肉厚が不要となり、低背化を図ることができる。
また、超音波リニアアクチュエータ4のロッド42は、その先端側のみが前面板522に支持されるだけであるので、該ロッド42の長さは、大略的に、前フレーム52に支持される部分の長さに、1群ユニット2の移動長さを加えた長さに抑えることができ、すなわち軸支持部分が従来では2箇所のところが1箇所で済むので、その軸嵌合長分の長さだけ装置高さを低くすることが可能となり、低背化することができる。さらにまた、1群ユニット2の傾き調整を行うように調整孔516aを形成しても、その調整孔516aには接着剤48を充填して、錘43との間で閉塞するので、ゴミの侵入も防ぐことができる。
なお、超音波リニアアクチュエータ4のロッド42が後フレーム51のベース513に支持され、錘43が前フレーム52の前面板522に支持されてもよい。
ここで、図14に後フレーム51の成型時の様子を示す(便宜上、上下が逆転している)。前記フレーム51,52には、構造的に、前後(光軸)方向、すなわち金型の抜き方向とは直交方向にせり出す部材が形成されていない。したがって、フレーム51を成型する金型としては、固定コア94と、その固定コア94に対して前記抜き方向に近接離反可能な可動コア95とを設けるとともに、前記抜き方向とは直交方向に可動のスライドコア96を設けて、それぞれ矢符94a,95a,96aに型抜きすることになる。この際、前記係止凹部512aや係止突起512bを形成するにあたって、この図14で示すように、外部からのスライドコア96に形成させることで、可動コア95は、そのまま矢符95a、すなわち前後(光軸)方向に型抜きすることができる。
そして、図15のように左右2面のスライドコア961,962でフレーム51,52の側面を形成する場合、前記係止凹部512aや係止突起512bとなる部分で、型抜き時に引っ掛かる部分に、参照符号512a1で示すような、抜き方向96aに沿ったテーパ面を形成しておく。前記テーパ面512a1のフレーム51,52の側面との角度βは、45°以内である。これによって、左右2面のスライドコア961,962で、フレーム51,52の側面に凹凸を形成することができる(図11(d)で示す後フレーム51の正面図において、外部接続端子46,47に対応する取付け凹部518,519に顕著に表れている。)。
このように構成することで、型抜きが容易であるとともに、型構成上、中子が無く、前記のように側壁512,521に貫通孔が無い箱体を形成することができ、ゴミの侵入を防ぐことができるとともに、フレーム51,52の剛性を高めることができる。
図16には、図15のようなスライドコア961,962を用いて複数(図16の例では4)個のフレーム51を形成する例を示す。こうして、左右2面のスライドコア961,962だけでフレーム51,52の側面の凹凸を形成できることで、成型品(フレーム51,52)を相互に近付けて成型することができ、部品取れ数が上がり、コストを削減することができる。
なお、図17(a)で示すように、フレーム51’にフレーム52’や図示しない前記前フレーム53が、接着によって固定される場合、該フレーム51’,52’の側面に凹凸は無く、図17(b)で示すような前後に型抜きするコア97,98のみで成型することができ、さらに取れ数を増やすことができる。
一方、図18には、前フレーム52の成型時の様子を示す。前フレーム52には、その前面板522に、前記ロッド42の嵌合孔526が形成される。この嵌合孔526を可動コア100で形成し、また前面板522の裏面となる側には、前記嵌合孔526の外周にテーパ526aが形成されるようになっている。したがって、固定コア99と型締めし、成型を行った場合、タッチバリ(ヒゲ)は、形成されたとしても、フレーム52の外面側に形成されることになる。
したがって、図19で示すように、ロッド42を前記嵌合孔526に嵌合させる際には、バリの影響はなく、また気密なフレーム51,52内に侵入することなく、移動部材24の係合部243に噛み込んだりすることはない。これによって、超音波リニアアクチュエータ4は、円滑な動作を行うことができる。また、ロッド42は1箇所の嵌合孔526に嵌合させるだけでよく、さらにその入口にはテーパ526aが形成されているので、容易に組立てることができる。
また、図20および図21は、前記リード線44,45の引回しを説明するための図であり、図20は撮像装置1の断面図であり、図21は図20の切断面線XXI−XXIから見た断面図である。これらの図20および図21では、前記リード線44,45は、半田付けされるものとしている。前述のようなフレーム51,52の構成において、本実施の形態でまた注目すべきは、前記超音波リニアアクチュエータ4へのリード線44,45の引回しおよび外部接続端子46,47の取付け構造を工夫していることである。
具体的には、先ず、前記超音波アクチュエータ4の圧電素子41の電極411,412には、前記フレーム51,52中を引回される変形容易な個別のリード線44,45の一端441,451が、それぞれ参照符号481,491で示すように半田付けされる。前記リード線44,45の他端442,452は、外部接続端子46,47に、それぞれ参照符号482,492で示すように半田付けされる。
ここで、前記外部接続端子46,47は、板金によって、図3や図20で示すように、大略的にJ字形状に形成され、そのJ字の短片462,472に前記各リード線44,45の他端442,452がそれぞれ半田付けされる。また、前記J字の長片463,473の前記先端461,471が、外部の基板などに導電接続され、或いはコネクタなどに嵌り込む。
一方、前述のように、1群ユニット2および2群ユニット3ならびに超音波リニアアクチュエータ4を少なくとも収容するフレーム51,52は、箱体が2つに分割形成されて成り、前記外部接続端子46,47は、その屈曲部464,474が、前記2つに分割されたフレーム51,52の突き合わせ面519,529で挟持されるとともに、フレーム51の側壁512を該外部接続端子46,47の前記板金による弾発力によって、前記J字の内周面465,475で挟込むことで固定される。
このように構成することで、前記外部接続端子46,47やリード線44,45等、超音波リニアアクチュエータ4を駆動するための構成に、個々に汎用性の高い安価な部品を用いることで、インサート成型などに比べて、低コスト化を図ることができる。また、フレーム51の側壁512の肉厚は最小限でよく、また超音波リニアアクチュエータ4の電極411,412へのリード線44,45の接続方法は単なる半田付けで、前記参照符号481,491で示すその半田付け部分の投影面積を小さくすることができ、小型化を図ることができる。さらにまた、前記リード線44,45の自由な引回しを実現するにあたって、金属製の外部接続端子46,47を用いることで、フレキシブル基板に比べて、フレーム51,52の突き合わせ面520,530で挟み込んだ時に精度が出易く、このため気密を維持でき、ゴミの侵入にも強くなる。
さらにまた、1群ユニット2の駆動機構として、前記のような超音波リニアアクチュエータ4を用いることで、小型化に好適であるだけでなく、その駆動メカニズムが前述のとおり圧電素子41に矩形波を与えるだけで、その端子(電極)としては、参照符号411,412で示すように、2つでよい。したがって、前記のように個別の外部接続端子46,47にリード線44,45を用いても、端子数や線数は最小限で済み、これらを用いる上記のような構成に、特に好適である。
また、矩形のフレーム51,52の中央にレンズのユニット2,3を配置し、前記超音波リニアアクチュエータ4は、前記フレーム51,52の隅角部に設置されることになるので、前記外部接続端子46,47を、4つの側壁512の内、前記超音波リニアアクチュエータ4に隣接していない側壁5121に設けることで、これらの外部接続端子46,47と超音波リニアアクチュエータ4との位置関係が該撮像装置1の投影面内でほぼ最遠となるように配置することができる。これによって、超音波リニアアクチュエータ4を固定する際に、リード線44,45のコシの影響を最小とし、光学性能を確保し易くなる。
また、前述のように2つの電極411,412によって駆動することができ、前記電極411,412を圧電素子41の対向面に配置して成る超音波リニアアクチュエータ4を用い、それをフレーム51,52の隅角部に設置した場合、図21や図3で示すように、2本のリード線44,45は、該超音波リニアアクチュエータ4から相互に反対方向に引回され、対応する外部接続端子46,47に到達することになることを利用して、前記リード線44,45に絶縁被覆のない裸線を用いる。したがって、半田付けの工程での被覆除去の工程が省け、組立てを簡素化し、作業性を向上することができるとともに、該超音波リニアアクチュエータ4を固定する際に、前記被覆がない分、リード線44,45のコシをさらに小さくし、光学性能をより確保し易くなる。
さらに、前記リード線44,45を、固定レンズ群である2群ユニット3の周囲を引回すことで、該リード線44,45の引回しのために専用のスペースを確保する必要が無くなり、スペース効率を向上し、小型化することができる。また、固定レンズ群である2群ユニット3の周囲であるので、移動レンズ群である1群ユニット2の作動不良の虞はなく、また該リード線44,45自身にも断線などの故障の可能性が小さくなり、信頼性を向上することができる。
さらにまた、前記リード線44,45を、レンズへの有害光線の入射を遮断することを目的とした遮光板33によって、前記移動レンズ群である1群ユニット3が配置された空間から隔離しておくことで、前記1群ユニット2のリード線44,45との接触を防止することができ、信頼性を向上することができる。
また、前記外部接続端子46,47は、SUSなどの相対的に半田の濡れ性が悪い材料から成る基材に対して、前記半田付けが行われるJ字の短片462,472およびJ字の長片463,473における先端461,471部分には、半田メッキ、金メッキ、銀メッキ、ニッケルメッキ、亜鉛メッキの何れかの処理が施され、半田の濡れ性が良くされている。したがって、半田付け部分に良好な導電性を得ることができるとともに、半田付けが行われる部分以外への不所望な半田の回り込みによる他部品との干渉を防ぐことができ、信頼性を向上することができる。
さらにまた、前記外部接続端子46,47は磁性を有する材料で形成されることが好ましい。これによって、半田付けのための治具にセットし易くなり(吸着し)、作業性を向上することができる。本実施形態では、前記外部接続端子46,47に、オーステナイト系ステンレス(SUS304)を使用している。オーステナイト系ステンレスは一般的には非磁性材料であるが、本実施形態では、曲げ加工によって生じる微弱な磁気を利用している。前記外部接続端子46,47には、磁性材料であるフェライト系ステンレスを使用してもよい。なお、前記磁性を有する材料を基材として、上述のように、半田付けが行われる部分にメッキ処理が施されてもよい。
次に、1群ユニット2の保持構造について説明する。図22は前記1群ユニット2の正面図であり、図23はその分解斜視図である。図22には、前記超音波リニアアクチュエータ4のロッド42も示されている。この1群ユニット2は、前述のように胴付けされた光学素子21〜23等を保持する保持部材24に、押圧部材30が組付けられて構成され、前記ロッド42の軸線方向に移動される移動体となる。前記押圧部材30は、移動体本体である前記保持部材24に対向して、該保持部材24との間で前記ロッド42を抱え込み、該保持部材24を前記ロッド42に所定の摩擦力で係合させるものである。
前記保持部材24は、略矩形に形成され、その1つの隅角部付近は、該隅角部付近に配置された前記超音波リニアアクチュエータ4のロッド42への係合部243となり、対角線上の隅角部付近には、案内片244が形成されている。前記案内片244は、前記フレーム51,52における一対の案内壁517,527(図11,12参照)間に嵌り込み、これによって該保持部材24のロッド42回りの回転が阻止され、かつ前記ロッド42の軸線方向に移動可能となっている。一方、前記係合部243に隣り合う隅角部の一方には、前記押圧部材30の係合部となる前後一対のボス245が立設されている。
これに対して、注目すべきは、前記押圧部材30は、弾性を発揮する板ばね部材が板金加工によって略くの字状に形成されて成り、その略中央部分である前記くの字の屈曲点が係合部301となって、前記ボス245に係合して、参照符号Rで示すように揺動自在となることである。そして、この押圧部材30では、そのくの字の2辺を板ばね部材として使用し、一辺302の先端が前記ロッド42を矢符H1方向に押圧する押圧部302aとなり、もう一辺303の先端が前記保持部材24の当接部246に当接して、前記押圧部302aが前記ロッド42を押圧することで発生した矢符H2方向の反力を受ける受け部303aとなる。
このように構成することで、略中央部分で押圧部材30を支持しても、その揺動支点(係合部301)を超えて、該押圧部材30の略全長で弾性を発揮させることができ、該押圧部材30の力点(受け部303a)〜作用点(押圧部302a)の長さを長くすることができる。
ここで、一般に、板ばね部材のたわみ量は、固定点から作用点までの距離の3乗に比例し、力量に比例する。したがって、従来から広く用いられているように、保持部材に一端を固定し.他端でロッドを押圧するようにした板ばねの場合、固定点〜押圧点までの距離をL、発生する力をFとするとき、たわみ量yは、
y=L3×F/(3EI) (I:断面2次モーメント、E:ヤング率)
で表される。
これに対して、本実施の形態の場合、同じく固定点(係合部301)〜作用点(押圧部302a)までの距離をLとし、固定点(係合部301)〜反力支持部(受け部303a)までの距離をL1とすると、同じ力Fを発生させるときのたわみ量y1は、
y1=(L3+L12×L)×F/(3EI)
となる。
したがって、yとy1とを比較すると、L12は正の値であるので、L12×Lが加算されるだけ、y1の方が大きくなる。したがって、本実施の形態の方が、板波ばね部材に同じたわみ量に変化があった場合、前記距離が長い分、力量、すなわちロッド42に対する移動体の摩擦力(挟持力)Fの変化を小さくすることができる。こうして、押圧部材30のバネ感度を小さくし、超音波リニアアクチュエータ4の摩擦力(挟持力)のバラツキを抑え、駆動性能を安定化させることができる。
また、板ばね部材から成る押圧部材の略中央部分を揺動自在に支持するにあたって、図24で示す押圧部材30’のように、保持部材24’の周囲の部品レイアウトなどに対応して、直線状の板ばね部材が用いられてもよい。しかしながら、前記押圧部材30のように、略矩形に形成される保持部材24のほぼ2辺に亘るくの字の板ばね部材を用いることで、弾性を発揮する板ばね部分を長くすることができ、前記バネ感度を一層小さくすることができる。
さらにまた、前記押圧部材30における前記保持部材24への係合部301は、板状の保持部材24を厚み方向(前後)から挟み込む一対の係合片3011,3012を備えて成り、その係合片3011,3012に形成された係合孔3011a,3012aが、前記保持部材24の前後に立設された一対のボス245にそれぞれ係合することで、該押圧部材30は、前述のように、参照符号Rで示すように揺動自在に支持される。そして、前記ボス245が円柱状に形成され、前記係合孔3011a,3012aは前記ボスが緩やかに嵌り込む四角形に形成され、その四角形の対向する対の2辺V11,V12;V21,V22が、それぞれ前記押圧部材30における押圧部302a側の一辺302と、受け部303a側のもう一辺303辺と平行に配置される。
したがって、前記押圧部材30が弾発力を発揮し、前記くの字が閉じる方向、すなわち矢符H3で示す前記ボス245が係合孔3011a,3012aから外れようとする方向の力が作用すると、円柱状のボス245は、四角形の係合孔3011a,3012aの隣接した2辺V11,V21に当接するようになる。これによって、ボス245や係合孔3011a,3012aの公差が緩くても(多少ずれたり、形状が崩れていても)、押圧部材30が安定した弾発力を発揮することができる。
また、押圧部材30を保持部材24に互いの凸凹を係合させて取付けるので、取付けのための別部品が不要になり、組立を容易にできるとともに、一対の係合片3011,3012で保持部材24を挟み込むことで、安定した揺動動作を実現することもできる。また、前記ボス245は、保持部材24の内方側245aが円柱状となっているのに対して、外方側245bは案内斜面となっており、係合片3011,3012の該ボス245からの抜け止めを行いつつ、前記組立を容易に行うことができる。なお、係合片3011,3012にボス245が形成され、保持部材24に係合孔3011a,3012aが形成されてもよい。
また、前記保持部材24において、超音波リニアアクチュエータ4付近には、前記押圧部材30の押圧部302aが、前記超音波リニアアクチュエータ4のロッド42に係合して、該ロッド42の軸方向に移動することを規制する一対の規制部材2471,2472が設けられている。同様に、係合部301側にも、一対の規制部材2481,2482が設けられている。
このように構成することで、板ばね部材から成る前記押圧部材30において、前記係合部301から押圧部302a側の一辺302は、該押圧部302aが超音波リニアアクチュエータ4のロッド42に係合していることから、保持部材24の移動に伴い、捻れや撓みが生じる可能性があるのに対して、前記一辺302を移動方向の両側から保持する一対の規制部材2471,2472;2481,2482を設けることで、前記捻れや撓みを抑制し、超音波リニアアクチュエータ4の摩擦力(挟持力)Fの変動を抑えることができる。
上述の例では、前記一辺302の移動を規制する部材として、移動方向の両側から保持する一対の規制部材2471,2472;2481,2482を用いたけれども、たとえば前記一辺302に1ヶ所の係止孔を形成しておき、その係止孔に緩やかに嵌り込むピンなどが用いられてもよい。
続いて、1群ユニット2のロッド42に対する係合部分の構造について説明する。図25は、その係合部分の断面図であり、図22の切断面線XXV−XXVから見ている。前述の図22および図23を合わせて参照して、注目すべきは、前記ロッド42は円柱状に形成され、前記保持部材24における前記ロッド42への当接部である前記係合部243は、V字状の接触片243a,243bが、前記ロッド42の軸線方向に相互に間隔を開けて2組設けられて構成されることである。
前記接触片243a,243bは、ロッド42の外周を取り巻くように前記V字状に連続して形成されなくてもよく、図26の接触片243c,243dで示すように、実際にロッド42に接触する4点のチップから構成されてもよい。また、反対側には前記押圧部材が臨むので、ロッド42の周方向に180°未満の間隔を開けて配置されればよい。また、ロッド42は、角柱ではなく、円柱であればよく、軸直角断面が真円または楕円のいずれであってもよい。
さらにまた、前記V字状の接触片243a,243bや個別の接触片243c,243dは、ロッド42上を摺動するので、その材料としては、液晶ポリマー(LCP)またはポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)に添加物を加えて硬度を高くしたものを用いることが望ましい。前記添加物としては、ガラスファイバー、カーボンファイバー、酸化チタン、チタン酸カリウムを用いることが好ましい。前記ポリフェニレンサルファイド樹脂および液晶ポリマーは、流動性が良く、精密成形に好適であり、さらに添加物を加えて硬度を高くすることで駆動性能(速度)を向上することができる。
このように構成することで、前面からの投影面で見れば、図22で示すように、前記押圧部材30を含めて、前記ロッド42は3点で支持されることになる。これによって、保持部材24と押圧部材30との相対位置が若干ずれたとしても、前記押圧部材30は、前記ロッド42に対して、前記接触片243a,243bとは反対側で、各接触片243a,243bに対して、略均等に押圧力を発揮することになる。したがって、前記係合部243がロッド42の軸線方向に連続したU溝やV溝である場合のように、それぞれ面や一対の線での接触に比べて、4点での接触では、前記係合部243の成型や加工によるバラツキに対する許容量が大きくなり、保持部材24の摩擦力(挟持力)のバラツキを抑え、駆動性能を安定化させることができる。
好ましくは、前記各接触片243a,243bにおける前記ロッド42の軸線方向の長さ、すなわち接触長K1,K2が、係合部243の幅K0の1/3以下、したがって2組の接触片243a,243bの間隔K3が1/3以上とされる。このように構成することで、前記各接触片243a,243bはロッド42に点当りとなり、上記の効果を高めることができる。
また、図22で示すように、前記一対の接触片243a,243bの接触箇所の間隔θ1が、周方向に120°、すなわち前記一対の接触箇所における接線N1,N2同士が交差する角度θ2が60°となるように配置されてもよい。その場合、前記押圧部材30の押圧部302aが上述のように平板の板バネから成ることで、前記軸直角断面の3点が略120°間隔となり、前記押圧部材30からの押圧力を一対の接触片243a,243bの接触箇所に均等に与えることができる。
また、前記図26で示すように、押圧部材30’の押圧部302a’も、軸直角断面がV字状の板状体から形成されてもよい。この場合、押圧部302a’は、ロッド42に対して2線で当接することになる。したがって、押圧力を分散させることができる。
さらにまた、図27の押圧部302a''で示すように、前記ロッド42の軸線方向の中央部が隆起して、実際にロッド42に接触する接触部304が形成されてもよい。こうして押圧部302a''側も点接触とすることで、前記ロッド42の軸線方向に相互に間隔を開けて2組設けられる接触片243a,243bに対して、略均等に押圧力を与えることができる。
或いは、前記接触部304を、点(突起)ではなく、突条とし、その接触長を押圧部302a''の幅の1/2以下とすることで、上述のように2組の接触片243a,243bに略均等に押圧力を与えることができるとともに、単位面積当りの押圧力を小さくし、耐摩耗性を向上することもできる。
また、前述の図26で示すようなくの字の押圧部302a’において、一対の接触片305a,305bのそれぞれに、図28で示すように、ロッド42の軸線方向に相互に間隔を開けて、2組の接触片305c、305dを設けてもよい。この場合、保持部材24側で4点、それに対向して押圧部302a’側でも4点で、ロッド42の外周面を支持することになる。これによって、単位面積あたりの押圧力を小さくし、耐摩耗性を向上させることができる。
(実施の形態2)
図33は、本発明の実施の他の形態に係る撮像装置1''の透視斜視図である。この図33では、超音波リニアアクチュエータ4''以外の内部構造は省略している。また、図34および図35は、その図33で示す撮像装置1''における筐体5''を構成する後フレーム51''側の構成を角度を変えて見た斜視図である。さらにまた、図36は前記超音波リニアアクチュエータ4''の斜視図であり、図37はその平面図である。
注目すべきは、本実施の形態では、前後のフレーム52'',51''が、前述のフレーム52,51と異なる形状であり、また超音波リニアアクチュエータ4''の外部接続端子46'',47''の形状が前述の外部接続端子46,47と異なることである。したがって、この撮像装置1''において、前述の撮像装置1に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。
先ず、前述のフレーム51,52は、筐体5を前後(厚み)方向に略均等に分割した構造であったのに対して、本実施の形態のフレーム51'',52''では、前フレーム52''の側壁521''が延長されて該前フレーム52''が筒状に形成され、後フレーム51''の側壁512がカットされている。そして、固定レンズ群である前記2群ユニット3を収容する鏡筒である保持筒514の周囲に、超音波リニアアクチュエータ4''のリード線44,45を収容する凹溝514aが形成されている。そして、2つの外部接続端子46'',47''の一方、たとえば47''が対応する取付け凹部519に嵌め込まれた後、対応するリード線45が凹溝514a内に嵌め込まれ、超音波リニアアクチュエータ4''の錘43の部分が収納凹部516に嵌め込まれた後、他方のリード線44が凹溝514a内に嵌め込まれ、最後に外部接続端子46''が取付け凹部518に嵌め込まれ、余剰分のリード線が余剰空間に収納される。
したがって、前述の撮像装置1では、2群ユニット3の周囲を引回されるリード線44,45と1群ユニット2との干渉を防止するために、該リード線44,45が遮光板33で抑え込まれていたのに対して、本実施の形態では、前記凹溝514aが用いられることで、組立て時に前記遮光板33が浮き上がることを防止し、組立て性を向上することができる。
また、前述の図3で示すように、超音波リニアアクチュエータ4の圧電素子41やリード線44,45および外部接続端子46,47を、後フレーム51に対して光軸方向に(前方側から)組み込む方法では、リード線44,45を組立前にある程度曲げておく(癖付けしておく)必要があるのに対して、本実施の形態では、保持筒514の周囲を引き回す際に自然と組立時の形状に曲げられる(癖付けを行える)ので、これによってもまた、組立性を向上することができる。
また、そのように凹溝514aを形成するにあたって、前述のように前フレーム52''側の側壁521がカットされていることで、前述の図14で示すような型抜きによって、該凹溝514aを容易に形成することができる。なお、リード線44,45を押え込むことができれば、凹溝514aに限らず、ベース513との間でリード線44,45を挟み込む突起などが用いられてもよい。
また、本実施の形態の外部接続端子46'',47''は、板金加工されて成り、前記屈曲部として、厚み方向にクランク状に折り曲げられた段差部466,476を備えており、この段差部466,476が前後のフレーム52'',51''に挟み込まれる。具体的には、延長された前フレーム52''の側壁521''と、後フレーム51''のベース513との間に挟み込まれる。この外部接続端子46'',47''は、外部の基板などに導電接続される前記長片463,473と、それに連なる前記段差部466,476と、それに連なる立上げ部467,477と、その立上げ部467,477の先端がU字状に折り返された折返し部468,478とを備えて構成される。
そして、前記長片463,473が前記取付け凹部518,519に嵌り込み、立上げ部467,477と折返し部468,478との間で前記ベース513から立設された支持片513a,513bを挟み込むことで、前述のように前後のフレーム52'',51''の組立て時における該外部接続端子46'',47''の仮止めを行うことができ、個別に独立した外部接続端子46'',47''の後フレーム51''への組付けを、容易に行うことができる。また、前記立上げ部467,477と、長片463,473とは、前記段差部466,476の部分で、幅方向にもクランク状に形成され、この幅広の段差部466,476の部分が前記前フレーム52''の側壁521''と後フレーム51''のベース513との間に挟み込まれることで該外部接続端子46'',47''のがたつきが防止されている。
一方、前記リード線44,45の他端442,452が参照符号482,492で示すように半田付けされる際に、図36で示す圧電素子41の電極411,412の向きに応じて、一方の外部接続端子47''が、図38および図39で示す外部接続端子47'''との間で使い分けられる。これは、リード線44,45の両端441,451;442,452の半田付けが同時に行われるためである。
具体的には、たとえば、先ず外部接続端子46''の立上げ部467と折返し部468との間に治具を挟み込み、さらに圧電素子41を電極411側が上面となるように治具にセットした状態でリード線44の半田付けが行われた後、圧電素子41を電極412側が上面となるように裏返し、外部接続端子47''または47'''を治具にセットした状態でリード線45の半田付けが行われる。その際、リード線44,45の引出し方向が、角柱状の圧電素子41に対して、図36および図37で示すように、相互に離反方向となる場合は、外側となる電極411に対応する外部接続端子46''も外側に半田付けが行われ、内側となる電極412に対応する外部接続端子47''は、内側に半田付けが行われる。これに対して、図38および図39で示すように、リード線44,45の引出し方向が相互に外側の同方向となる場合は、外部接続端子46'',47'''は、共に外側に半田付けが行われる。
なお、内側に半田付けが行われる外部接続端子47''の場合は、該撮像装置1''の内側に面した折返し部478に半田付けが行われているが、外側に半田付けが行われる外部接続端子46'',47'''の場合は、外側に面した立上げ部467,477ではなく、その立上げ部467,477から直角方向に延設された半田付け部469,479に半田付けが行われている。これは、該外部接続端子46'';47'',47'''には、ストライプメッキが用いられ、前記長片463,473の先端461,471、折返し部478および半田付け部469,479に半田メッキが施されているためである。これによって、半田付け部469,479に参照符号482,492で示すように半田付けを行っても、その半田が前記段差部466,476にまで広がり、該段差部466,476と前フレーム52''の側壁521''との間の密着を阻害してしまうことを防止することができる。
また、前記半田付け部469,479によるリード線44,45の引回しに対応して、立上げ部467,477には、切欠き467a,477aが形成されている。これによって、前記リード線44,45の断線を防止することができる。