JP2004107528A - 着色発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法 - Google Patents
着色発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】発泡性スチレン系樹脂粒子,染料及び発泡剤を,密閉容器内にて,発泡性スチレン系樹脂粒子の発泡温度よりも低い温度で攪拌することにより,上記発泡性スチレン系樹脂粒子に染料を含浸させて着色発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法である。上記染料の含浸にあたっては,上記密閉容器内の水分量が上記発泡性スチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.001〜2重量部で,かつ沸点が100℃以上又は不揮発性の可塑剤の存在下で行う。また,上記可塑剤のSP値は,12MPa1/2〜17MPa1/2または20MPa1/2〜25MPa1/2である。
【選択図】 なし
Description
【技術分野】
本発明は発泡性スチレン系樹脂粒子に染料を含浸させて着色発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形したスチレン系発泡体は,断熱材,包装緩衝材等に用いられている。
上記スチレン系発泡体は,発泡性スチレン系樹脂粒子をスチームで予備発泡させ,ついで,この予備発泡粒子をスチーム孔を有する型内に充填し,スチームにより加熱して二次発泡させて成形する。通常,染料を添加していない上記スチレン系発泡体は白色であるが,商品の差別化等を目的として,上記スチレン系発泡体を着色することが行われている。例えば,魚用クーラーとしては青色に,アメリカン冷凍ステーキ用容器としては茶色に着色されたスチレン系発泡体が使用されている。
【0003】
従来,樹脂粒子に染料としての着色剤を含有させる方法としては,主として次の3つの方法が知られている。
(1)樹脂と着色剤とを押出機にて溶融混練し,ストランド状に押出し,これをペレット化する方法。
(2)発泡性樹脂粒子と着色剤とをブレンダーにて混合し,表面に着色剤を付着させる方法。
(3)発泡性樹脂粒子を水に懸濁させこの液中に染料と着色助剤を加えて行う方法。
【0004】
しかし,上記(1)の方法では着色した樹脂ペレットを製造する際,色変更の度に押出機を清掃する必要があり,また各色の樹脂ペレットの在庫管理等が繁雑になるという問題があった。
また,上記(2)の方法は,比較的容易に着色剤を含有させることができるが,色落ちにより成形設備が汚染したり,また,発泡性樹脂粒子の表面に均一に着色剤を付着することができずに色ムラが発生し易いという問題があった。
また,上記(3)の方法では,水に懸濁させた染料は粒子中に全て吸収されずに水中に残存するおそれがある。そのため,染料を多く必要とし,コストが高くなるという問題があった。また,染料を懸濁する水を大量に用いるため,設備が大型化すると共に,着色水の廃液が大量に発生するという問題があった。
【0005】
上記(1)〜(3)の問題を解決するために,第4の方法としてスチレン系樹脂粒子と染料とを,ブタン,ペンタン,ネオペンタン等の発泡剤とともに分散させ,着色したスチレン系樹脂粒子を製造する方法が提案されている(特許文献1及び2参照)。この方法によれば,水を用いないため,大型の設備を用いる必要がなく,また,成形設備を汚染させることなくスチレン系樹脂粒子を着色することができる。
【0006】
【特許文献1】
特開昭59−56433号公報
【特許文献2】
特開平8−319366号公報
【0007】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記第4の方法においては,発泡性スチレン系樹脂粒子に染料を含浸させる際に,発泡性スチレン系樹脂粒子が帯電する。そのため,上記発泡性スチレン系樹脂粒子の着色に色ムラが発生するという問題があった。
【0008】
また,上記特許文献1に開示された方法では染料の含浸性が不充分であるという問題があった。そのため,着色させた発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形すると,該発泡性スチレン系樹脂粒子の表面に残存した染料が,発泡性スチレン系樹脂粒子同士の融着を妨げるという問題があった。それ故,上記発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して作製したスチレン系発泡体の強度が低下するという問題があった。
【0009】
一方,上記特許文献2に開示された方法においては,トルエン,キシレン,ベンゼン等の芳香族炭化水素を用いることにより,染料の含浸性を向上させている。しかし,着色させた発泡性スチレン系樹脂粒子が凝結し易いという問題があった。
【0010】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,発泡性スチレン系樹脂粒子に色ムラを発生させることなく染料を含浸させることができ,かつ染料含浸時に樹脂粒子同士が凝結しにくく,発泡成形時の融着性に優れた着色発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法を提供しようとするものである。
【0011】
【課題の解決手段】
本発明は,発泡性スチレン系樹脂粒子,染料及び発泡剤を,密閉容器内にて,発泡性スチレン系樹脂粒子の発泡温度よりも低い温度で攪拌することにより,上記発泡性スチレン系樹脂粒子に染料を含浸させて着色発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法において,
上記染料の含浸にあたっては,上記密閉容器内の水分量が上記発泡性スチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.001〜2重量部で,かつ沸点が100℃以上又は不揮発性の可塑剤の存在下で行い,
また,上記可塑剤のSP値は,12MPa1/2〜17MPa1/2または20MPa1/2〜25MPa1/2であることを特徴とする着色発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法にある(請求項1)。
【0012】
本発明においては,上記染料の含浸時に密閉容器内に水を含有している。
そのため,上記発泡性スチレン系樹脂粒子の表面が帯電することを防止することができる。それ故,上記染料を色ムラなく含浸させることができる。
また,上記密閉容器内の水分量は,上記発泡性スチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.001〜2重量部と非常に少ない。そのため,上記した従来の水中懸濁による着色方法のように,水の体積を考慮して大きな密閉容器を用いる必要はなく,設備が大型化することはない。
【0013】
また,本発明においては,上記特定範囲のSP値を有する,沸点100℃以上又は不揮発性の可塑剤を上記密閉容器内に存在させて染料の含浸を行っている。そのため,染料含浸時における樹脂粒子同士の凝結を防止すると共に,上記染料の含浸性を向上させることができる。
特に本発明においては,ポリスチレンのSP値(約18.5)前後の上記特定範囲のSP値を有する可塑剤を用いている。そのため,上記可塑剤がポリスチレンと適度な相溶性を有し,樹脂粒子同士の凝結を発生させることなく,染料の含浸性を向上させることができる。
【0014】
また,本発明においては,発泡性スチレン系樹脂粒子の表面に余分な染料が残留することを防止することができる。そのため,上記着色発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形するときには,該着色発泡性スチレン系樹脂粒子が互いに強固に融着し易くなる。
【0015】
このように,本発明によれば,発泡性スチレン系樹脂粒子に色ムラを発生させることなく染料を含浸させることができ,かつ染料含浸時に樹脂粒子同士が凝結しにくく,発泡成形時の融着性に優れた着色発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法を提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明(請求項1)においては,上記密閉容器中の水分量は,上記発泡性スチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.001〜2重量部である。
上記水分量が0.001重量部未満の場合には,上記染料を発泡性スチレン系樹脂粒子に含浸させる際に,上記発泡性スチレン系樹脂粒子が帯電しやすく,着色発泡性スチレン系樹脂粒子に色ムラが発生するおそれがある。一方,2重量部を超える場合には,上記着色発泡性スチレン系樹脂粒子が互いに凝結し易くなる。
【0017】
また,上記染料の含浸時における密閉容器内の温度は,発泡性スチレン系樹脂粒子の発泡温度よりも低い温度,つまり発泡性スチレン系樹脂粒子が発泡しない温度とする。上記発泡温度よりも高い温度で加熱すると,上記発泡性スチレン系樹脂粒子が発泡を開始してしまい,着色発泡性スチレン系樹脂粒子を作製することができない。ここで,上記発泡温度は,発泡性スチレン系樹脂粒子が発泡を開始する温度のことであり,発泡性スチレン系樹脂粒子中の発泡剤の含有量により異なるが一般的には,60〜80℃である。
【0018】
上記可塑剤としては,SP値が12MPa1/2〜17MPa1/2または20MPa1/2〜25MPa1/2で,かつ沸点が100℃以上または不揮発性の有機化合物を用いる。より好ましくはSP値が13MPa1/2〜16MPa1/2または21MPa1/2〜24MPa1/2のものが良い。
【0019】
上記可塑剤のSP値が12MPa1/2未満または25MPa1/2を超える場合には染料の含浸性の向上効果が充分に得られなくなるおそれがある。
一方,SP値が17MPa1/2を超える場合または20MPa1/2未満の場合には,上記着色発泡性スチレン系樹脂粒子の表面の可塑化が大きくなりすぎて,樹脂粒子同士が凝結し易くなるおそれがある。
また,上記可塑剤としては,沸点が100℃以上又は不揮発性のものを用いる。沸点が100℃未満のものを用いた場合,又は揮発性のものを用いた場合には,上記発泡性スチレン系樹脂粒子に染料を充分に含浸させることができなくなるおそれがある。
【0020】
上記可塑剤としては,例えば流動パラフィン(15.7),ジイソブチルケトン(16.0),グリセリントリステアレート(16.3),酢酸(20.7),シクロペンタノン(21.3),ブチルアルコール(21.5),アセトフェノン(21.7),シクロヘキサノール(23.3),ジエチレングリコール(24.8)等がある。上記かっこ内の値は各可塑剤のSP値を表す。
また,これらの可塑剤は,単独で又は混合して使用することができる。
【0021】
上記SP値とは分子間の凝集エネルギー密度の平方根に相当するもので,この値は物理的に1cm3の液体を蒸発させるのに必要なエネルギー量を表している。一般に,プラスチックと溶剤のSP値が近いほどプラスチックの溶解や膨潤が起り易くなる。
なお,上記SP値は下記の式で算出することができる。
SP=(△E/V)1/2
△E:蒸発エネルギー(J/mol),V:分子容(m3/mol)
SP値の算出方法については「プラスチックデータブック」(工業調査会)の1−2−28に記載されている。
【0022】
また,上記発泡性スチレン系樹脂粒子としては,発泡剤を含有するスチレン系樹脂粒子を用いることができる。
発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法としては,例えば特開平7−79376号及び特開平8−253510号に開示されている方法がある。
即ち,まず重合開始剤及び懸濁剤の存在下にて,スチレン系単量体を水性媒体中に分散させる。その後,重合反応を開始し,該重合反応の前後または途中で発泡剤を添加し,発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法である。
【0023】
また,他の製造方法としては,押出機内にてスチレン系樹脂と揮発性発泡剤とを溶融混練し,押出機先端のダイの細孔より押出し,直ちに水中へ導入し急冷し,未発泡の状態で粒子化し,発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法がある。また,押出機中でスチレン系樹脂を溶融混練し,ストランドカット,ホットカット,水中カット等の方法により0.5〜5mg/個の大きさの粒子とし,得られたスチレン系樹脂の樹脂粒子を密閉容器中に,懸濁剤の存在下で水性媒体に分散させる。その後,揮発性発泡剤を樹脂粒子に含浸させて,発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法がある(特開2000−178373号)。
【0024】
上記染料の含浸の際に用いる発泡剤としては,沸点が90℃以下のプロパン,ノルマルブタン,イソブタン,ノルマルペンタン,イソペンタン,ネオペンタン,ヘキサン等の脂肪族炭化水素,又はシクロブタン,シクロペンタン等の脂環族炭化水素等がある。
沸点が90℃を超える場合には,上記染料を含浸させる際に,発泡性スチレン系樹脂粒子が互いに凝結するおそれがある。さらに好ましくは,沸点が60℃以下の脂肪族炭化水素や脂環族炭化水素がよい。また,これらの発泡剤は,単独で又は混合して使用することができる。また,上記染料含浸時に用いる発泡剤は,既に発泡性スチレン系樹脂粒子に含有されている発泡剤と同じものでも異なるものでも良い。
【0025】
また,染料含浸時に用いる上記発泡剤の添加量は,発泡性スチレン系樹脂粒子100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましい。
上記発泡剤の添加量が1重量部未満の場合には,発泡性スチレン系樹脂粒子に染料が完全に含浸されないおそれがある。一方,10重量部を超える場合には,発泡性スチレン系樹脂粒子が互いに凝結するおそれがある。更に好ましくは2〜5重量部がよい。
【0026】
また,上記染料としては,アゾ系染料,アントラキノン系染料,アジン系染料,キノリン系染料等がある。上記染料の量は発泡性スチレン系樹脂粒子100重量部に対し,0.001〜1重量部であることが好ましい。上記染料の量が0.001重量部未満の場合には,上記発泡性スチレン系樹脂粒子に所望の着色を施すことができなくなるおそれがある。一方,1重量部を超える場合には,発泡性スチレン系樹脂粒子に染料が充分に含浸されないおそれがある。
【0027】
また,上記染料の粒子径は100メッシュ篩を通過するものであることが好ましい。100メッシュ篩を通過しない染料では,発泡性スチレン系樹脂粒子への含浸性が悪くなるおそれがある。
【0028】
また,上記密閉容器は,密閉可能で,例えば容器内の攪拌,混合が可能,かつ加熱可能であるものを用いることが好ましい。このような密閉容器としては,例えば攪拌装置付きオートクレーブ及び密閉可能なミキサー等がある。
【0029】
また,上記発泡剤は,上記密閉容器内に染料,可塑剤,及び水が混合された後,あるいは発泡性スチレン系樹脂粒子の表面に染料が被覆された後に添加することが好ましい。
この場合には,上記染料を発泡性スチレン系樹脂粒子に,より一層色ムラなく含浸させることができる。
また,上記染料,可塑剤,及び水は,上記発泡性スチレン系樹脂粒子を密閉容器内に投入する前に,あらかじめ発泡性スチレン系樹脂粒子に混合あるいは被覆させておくこともできる。
また,上記発泡剤は,加熱前,加熱中,または所定温度到達後のいずれの状態で添加しても良いし,複数回に分けて添加しても良い。
【0030】
次に,上記水分量は,発泡性スチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.005〜1重量部であることが好ましい(請求項2)。
この場合には,上記発泡性スチレン系樹脂粒子にほぼ均一な着色を施すことができる。さらに好ましくは,0.01〜0.5重量部がよい。
【0031】
次に,上記発泡性スチレン系樹脂粒子としては,ゲル透過クロマトグラフィー法(GPC法)により測定した重量平均分子量(Mw)が18万〜40万であるものを用いることが好ましい(請求項3)。
上記重量平均分子量が18万未満の場合には,得られる発泡成形体の強度が低下するおそれがある。一方,重量平均分子量が40万を越える場合には,発泡性が低下し,目標の発泡倍率(例えば50〜60倍)まで発泡させることが困難になるおそれがある。また,成形時に発泡性スチレン系樹脂粒子同士が融着し難くなり,成形品強度が低下するおそれがある。より好ましくは20万〜38万,さらに好ましくは22万〜35万である。
【0032】
次に,上記可塑剤の量は,上記発泡性スチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.0005〜1重量部であることが好ましい(請求項4)。
0.0005重量部未満の場合には,発泡性スチレン系樹脂粒子に染料を充分に含浸させることができないおそれがある。一方,1重量部を超える場合には,着色発泡性スチレン系樹脂粒子の表面の可塑化が大きくなりすぎて,凝結が発生するおそれがある。より好ましくは,0.01〜0.5重量部がよい。
【0033】
次に,上記可塑剤の融点は70℃以下であることが好ましい(請求項5)。
上記可塑剤の融点が70℃を超える場合には,上記発泡性スチレン系樹脂粒子に染料を充分に含浸させることができなくなるおそれがある。
【0034】
次に,上記染料の含浸は,帯電防止剤の存在下にて行うことが好ましい(請求項6)。
この場合には,染料含浸処理中における,発泡性スチレン系樹脂粒子同士の帯電をさらに抑制することができる。そのため,色ムラが一層少ない着色発泡性スチレン系樹脂粒子を作製することができる。
【0035】
上記帯電防止剤としては,例えば,ヒドロキシアルキルアミン,ヒドロキシアルキルモノエーテルアミン,グリセリン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン系界面活性剤;アルキルスルホン酸塩,アルキルベンゼンスルホン酸塩,アルキルホスフェート等のアニオン系界面活性剤;テトラアルキルアンモニウム塩,トリアルキルベンジルアンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤等がある。
【0036】
このような帯電防止剤の具体例としては,例えばN,N−ビス(ヒドロキシエチル)ドデシルアミン,N,N−ビス(ヒドロキシエチル)テトラデシルアミン,N,N−ビス(ヒドロキシエチル)ヘキサデシルアミン,N,N−ビス(ヒドロキシエチル)オクタデシルアミン,N−ヒドロキシエチル−N−(2−ヒドロキシテトラデシル)アミン,N−ヒドロキシエチル−N−(2−ヒドロキシヘキサデシル)アミン,N−ヒドロキシエチル−N−(2−ヒドロキシオクタデシル)アミン,N−ヒドロキシプロピル−N−(2−ヒドロキシテトラデシル)アミン,N−ヒドロキシブチル−N−(2−ヒドロキシテトラデシル)アミン,N−ヒドロキシペンチル−N−(2−ヒドロキシテトラデシル)アミン,N−ヒドロキシペンチル−N−(2−ヒドロキシヘキサデシル)アミン,N−ヒドロキシペンチル−N−(2−ヒドロキシオクタデシル)アミン,N,N−ビス(2―ヒドロキシエチル)ドデシルアミン,N,N−ビス(2―ヒドロキシエチル)テトラデシルアミン,N,N−ビス(2―ヒドロキシエチル)ヘキサデシルアミン,N,N−ビス(2―ヒドロキシエチル)オクタデシルアミン,グリセリンモノステアレート,グリセリンジステアレート,ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム,ポリエチレングリコール,ポリオキシエチレンオレイルエーテル,ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド,ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド,ラウリルベタイン,ステアリルベタイン等がある。また,これらの帯電防止剤は,単独または混合して使用することもできる。
【0037】
また,上記帯電防止剤の量は,発泡性スチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.001〜1重量部であることが好ましい。
0.001重量部未満の場合には,染料を含浸させる工程で発泡性スチレン系樹脂粒子の帯電が多く,染料を発泡性スチレン系樹脂粒子に色ムラなく含浸させることが困難になるおそれがある。一方,1重量部を越える場合には,発泡成形したときに表面外観が悪くなるおそれがある。より好ましくは,0.005〜0.2重量部が良い。
【0038】
また,上記帯電防止剤は,発泡性スチレン系樹脂粒子を密閉容器内に投入する前に,あらかじめ発泡性スチレン系樹脂粒子に被覆しておくことができる。また,あらかじめ被覆する代わりに,密閉容器内に発泡性スチレン系樹脂粒子を投入し,染料,可塑剤,発泡剤と共に帯電防止剤を混合させることもできる。
【0039】
次に,上記染料の含浸時における上記密閉容器内の温度は20〜80℃であることが好ましい(請求項7)。
上記密閉容器内の温度が80℃を超える場合には,発泡性スチレン系樹脂粒子が発泡を開始するおそれがあり,所望の着色発泡性スチレン系樹脂粒子を得ることができないおそれがある。一方,20℃未満の場合には,発泡性スチレン系樹脂粒子に染料が充分に含浸されないおそれがある。
【0040】
また,染料を発泡性スチレン系樹脂粒子に含浸させる時間は0.5時間以上であることが好ましい。
0.5時間未満の場合には,上記発泡性スチレン系樹脂粒子に染料を充分に含浸させることができないおそれがある。
なお,染料の含浸時間を短縮させるには,密閉容器内の温度をできるだけ高くすると良い。
【0041】
【実施例】
次に,本発明の実施例にかかる着色発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する例について示す。
本例の着色発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法は,発泡性スチレン系樹脂粒子,染料及び発泡剤を,密閉容器内にて,発泡性スチレン系樹脂粒子の発泡温度よりも低い温度で攪拌することにより,上記発泡性スチレン系樹脂粒子に染料を含浸させて着色発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法である。
【0042】
上記染料の含浸にあたっては,上記密閉容器内の水分量が上記発泡性スチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.001〜2重量部で,かつ沸点が100℃以上又は不揮発性の可塑剤の存在下で行う。
また,上記可塑剤のSP値は,12MPa1/2〜17MPa1/2または20MPa1/2〜25MPa1/2である。
【0043】
以下,本例の着色発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法につき詳細に説明する。
本例においては,まず以下の方法により,3種類の発泡性スチレン系樹脂粒子A〜Cを準備した。
(発泡性スチレン系樹脂粒子A)
撹拌機付きの50リットルのオートクレーブに,イオン交換水18リットルと,難水溶性の無機系懸濁剤としての第3リン酸カルシウム(太平化学産業株式会社製)63gと,界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(東京化成工業株式会社製)0.54gとを投入した。
【0044】
次いで,撹拌下に重合開始剤としてのベンゾイルパーオキサイド(日本油脂株式会社製,純度75%)45g(純品換算で33.75g)とt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート27gと,有機臭素化合物としての1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカン108gと,可塑剤として硬化牛脂180gを溶解させたスチレンモノマー18kgとを投入した。
【0045】
次に,撹拌下で30分間室温のまま放置した後,1時間半かけて90℃まで昇温し,更に6時間半かけて100℃まで昇温した。この間,90℃到達後から5時間後に,ブタン1.7kgをオートクレーブに圧入した。その後さらに,110℃まで3時間かけて昇温し,そのまま攪拌下にて110℃を5時間保持した。続いて,4時間かけて30℃まで冷却し,発泡性スチレン系樹脂粒子を作製した。
【0046】
さらに,上記発泡性スチレン系樹脂粒子を遠心分離機にて脱水し,流動乾燥装置で表面付着水分を除去した。その後,目開きが0.7mmと1.4mmの篩いで篩い分け,粒子径が0.7〜1.4mmの発泡性スチレン系樹脂粒子Aを得た。
【0047】
(発泡性スチレン系樹脂粒子B)
撹拌機付きの50リットルのオートクレーブに,イオン交換水20リットルと,難水溶性の無機系懸濁剤としての第3リン酸カルシウム(太平化学産業株式会社製)80gと,界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(東京化成工業株式会社製)0.8gとを投入した。
次いで,撹拌下に,重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート45gとt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート27gと,可塑剤としてシクロヘキサン270gと硬化牛脂135gを溶解させたスチレンモノマー18kgとを投入した。
【0048】
次に,撹拌下で30分間室温のまま放置した後,1時間半かけて90℃まで昇温し,更に5時間半かけて100℃まで昇温した。この間,90℃到達後から4時間後にブタン1.7kgをオートクレーブに圧入した。その後さらに,100℃から110℃まで1時間半かけて昇温し,そのまま攪拌下にて110℃を2時間保持した。続いて,4時間かけて30℃まで冷却し,発泡性スチレン系樹脂粒子を作製した。
【0049】
さらに,上記発泡性スチレン系樹脂粒子を遠心分離機にて脱水し,流動乾燥装置で表面付着水分を除去した。その後,目開きが0.7mmと1.4mmの篩いで篩い分け,粒子径が0.7〜1.4mmの発泡性スチレン系樹脂粒子Bを得た。
【0050】
(発泡性スチレン系樹脂粒子C)
撹拌機付きの50リットルのオートクレーブに,イオン交換水18リットルと,難水溶性の無機系懸濁剤としての第3リン酸カルシウム(太平化学産業株式会社製)63gと,界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(東京化成工業株式会社製)0.54gとを投入した。
次いで,撹拌下に,重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートを45gとt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート27gと,可塑剤としてフタル酸−ジ−2−エチルヘキシル180gを溶解させたスチレンモノマー18kgとを投入した。
【0051】
次に,撹拌下で30分間室温のまま放置した後,1時間半かけて90℃まで昇温し,更に5時間かけて110℃まで昇温した。この間,90℃到達後から3時間半後にブタン1.7kgをオートクレーブに圧入した。その後さらに,そのまま攪拌下にて110℃を4時間保持した。続いて,4時間かけて30℃まで冷却し,発泡性スチレン系樹脂粒子を作製した。
【0052】
さらに,上記発泡性スチレン系樹脂粒子を遠心分離機にて脱水し,流動乾燥装置で表面付着水分を除去した。その後,目開きが0.7mmと1.4mmの篩いで篩い分け,粒子径が0.7〜1.4mmの発泡性スチレン系樹脂粒子Cを得た。
【0053】
次に,以下のようにして,上記発泡性スチレン系樹脂粒子A〜Cを着色し,着色発泡性スチレン系樹脂粒子を作製し,さらに該着色発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形した。
【0054】
(実施例1)
上記発泡性スチレン系樹脂粒子としての発泡性スチレン系樹脂粒子A500g(100重量部)と,青色染料としてのオリエント化学工業製「Oil Blue 630」(Solvent Blue 36)0.5g(0.1重量部)と,上記可塑剤としての流動パラフィン(SP値15.7,沸点250℃以上,融点−5℃)0.5g(0.1重量部)と,水0.5g(0.1重量部)と,帯電防止剤としてのN,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン0.5g(0.1重量部)とを,内容積が約3Lの撹拌装置付きのオートクレーブ内に入れて10分間撹拌混合した。
次いで,30分かけて70℃まで昇温し,発泡剤としてペンタン(ノルマルペンタン約80%,イソペンタン約20%の混合物)15g(3重量部)を上記オートクレーブ内に添加した。添加後,更に70℃にて3時間撹拌を続け,その後冷却して,青色の着色発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
【0055】
次に,上記着色発泡性スチレン系樹脂粒子を30Lのバッチ式発泡機により,嵩密度33g/リットルに発泡させ,予備発泡粒子を得た。続いて,得られた予備発泡粒子を1日間室温で放置(熟成)し,25×75×300mmの金型内に充填し0.07MPaのスチーム吹き込み圧で20秒間加熱成形し,発泡成形体を得た。
【0056】
(実施例2)
本例では,実施例1における水の添加量を0.025g(0.005重量部)に,また,青色染料の添加量を1.0g(0.2重量部)に変え,他は実施例1と同様にして,青色の着色発泡性スチレン系樹脂粒子を作製した。さらに,実施例1と同様にして,得られた着色発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して発泡成形体を得た。
【0057】
(実施例3)
本例では,実施例1における水の添加量を4.0g(0.8重量部)に,また青色染料の添加量を2.5g(0.5重量部)に変え,他は実施例1と同様にして,青色の着色発泡性スチレン系樹脂粒子を作製した。さらに,実施例1と同様にして,得られた着色発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して発泡成形体を得た。
【0058】
(実施例4)
本例では,実施例1における水の添加量を7.5g(1.5重量部)に,また青色染料の添加量を5.0g(1.0重量部)に変え,他は実施例1と同様にして,青色の着色発泡性スチレン系樹脂粒子を作製した。さらに,実施例1と同様にして,得られた着色発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して発泡成形体を得た。
【0059】
(実施例5)
本例では,実施例1における可塑剤としての流動パラフィンの量を0.0025g(0.0005重量部)に,上記青色染料0.5g(0.1重量部)を赤色染料0.5g(0.1重量部)に,また上記発泡剤としてのペンタン15g(3重量部)をブタン(ノルマルブタン約70%とイソブタン約30%の混合物)15g(3重量部)に変え,他は実施例1と同様にして,赤色の着色発泡性スチレン系樹脂粒子を作製した。さらに,実施例1と同様にして,得られた着色発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して発泡成形体を得た。なお,上記赤色染料としては,オリエント化学工業製「OPLAS RED 330」(Solvent Red 111)を用いた。
【0060】
(実施例6)
本例では,実施例1における可塑剤としての流動パラフィンの量を6.0g(1.2重量部)に,上記帯電防止剤としてのN,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミンの量を0.1g(0.02重量部)に,上記青色染料0.5g(0.1重量部)を黄色染料0.5g(0.1重量部)に,また上記発泡剤としてのペンタン15g(3重量部)をペンタン(ノルマルペンタン約80%とイソペンタン約20%との混合物)7.5g及びブタン(ノルマルブタン約70%とイソブタン約30%の混合物)7.5gの混合物15g(3重量部)に変え,他は実施例1と同様にして,黄色の着色発泡性スチレン系樹脂粒子を作製した。さらに,実施例1と同様にして,得られた着色発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して発泡成形体を得た。なお,黄色染料としては,オリエント化学工業製「OPLAS YELLOW 136」(Solvent Yellow 33)を用いた。
【0061】
(実施例7)
本例では,実施例1における可塑剤としての流動パラフィン0.5g(0.1重量部)をグリセリントリステアレート(SP値16.3,沸点250℃以上,融点65−69℃)0.5g(0.1重量部)に,上記帯電防止剤としてのN,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミンの量を0.25g(0.05重量部)に,また上記発泡剤としてのペンタン15g(3重量部)をブタン(ノルマルブタン約70%,イソブタン約30%の混合物)5g(1重量部)に変え,他は実施例1と同様にして,青色の着色発泡性スチレン系樹脂粒子を作製した。さらに,実施例1と同様にして,得られた着色発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して発泡成形体を得た。
【0062】
(実施例8)
本例では,実施例1における可塑剤としての流動パラフィン0.5g(0.1重量部)を酢酸(SP値20.7,沸点118℃,融点16.7℃)0.5g(0.1重量部)に,上記帯電防止剤としてのN,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミンの量を1.0g(0.2重量部)に,また上記発泡剤としてのペンタン15g(3重量部)をブタン(ノルマルブタン約70%,イソブタン約30%の混合物)10g(2重量部)に変え,他は実施例1と同様にして,青色の着色発泡性スチレン系樹脂粒子を作製した。さらに,実施例1と同様にして,得られた着色発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して発泡成形体を得た。
【0063】
(実施例9)
本例では,実施例1における可塑剤としての流動パラフィン0.5g(0.1重量部)をアセトフェノン(SP値21.7,沸点202℃,融点59℃)0.5g(0.1重量部)に,上記帯電防止剤としてのN,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミンの量を2.5g(0.5重量部)に,上記発泡性スチレン系樹脂粒子としての発泡性スチレン系樹脂粒子Aを発泡性スチレン系樹脂粒子Bに,また発泡剤としてのペンタン15g(3重量部)をブタン(ノルマルブタン約70%,イソブタン約30%の混合物)25g(5重量部)に変え,他は実施例1と同様にして,青色の着色発泡性スチレン系樹脂粒子を作製した。さらに,実施例1と同様にして,得られた着色発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して発泡成形体を得た。
【0064】
(実施例10)
本例では,実施例1における可塑剤としての流動パラフィン0.5g(0.1重量部)をn−ブタノール(SP値23.3,沸点118℃,融点−114℃)0.5g(0.1重量部)に,上記帯電防止剤としてのN,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミンの量を4.0g(0.8重量部)に,上記発泡性スチレン系樹脂粒子としての発泡性スチレン系樹脂粒子Aを発泡性スチレン系樹脂粒子Cに,また上記発泡剤としてのペンタン15g(3重量部)をブタン(ノルマルブタン約70%,イソブタン約30%の混合物)35g(7重量部)に変え,他は実施例1と同様にして,青色の着色発泡性スチレン系樹脂粒子を作製した。さらに,実施例1と同様にして,得られた着色発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して発泡成形体を得た。
【0065】
(実施例11)
本例では,実施例1における帯電防止剤を添加せずに,他は実施例1と同様にして,青色の着色発泡性スチレン系樹脂粒子を作製した。さらに実施例1と同様にして,得られた着色発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して発泡成形体を得た。
【0066】
次に,上記実施例1〜11にて得られた着色発泡性スチレン系樹脂粒子につき,帯電状態,凝結量,染料の含浸性を下記の方法によって評価した。また,実施例1〜11にて得られた発泡成形体の色ムラ及び融着度合いについて評価した。
【0067】
(帯電状態)
上記着色発泡性スチレン系樹脂粒子の作製後に,上記オートクレーブの内壁に付着した着色発泡性スチレン系樹脂粒子の数を計測した。オートクレーブの内壁に付着した着色発泡性スチレン系樹脂粒子数が全着色発泡性スチレン系樹脂粒子数の1/20未満の場合を◎とし,1/20以上から1/10未満の場合を○とし,1/10以上の場合を×として評価した。その結果を表1に示す。
【0068】
(凝結量)
上記着色発泡性スチレン系樹脂粒子を目開き1.7mmのJIS篩でふるい,篩上に残留した着色発泡性スチレン系樹脂粒子の数を,篩いにかけた全発泡性スチレン系樹脂粒子の数で除算し,凝結量として算定した。その結果を表1に示す。
【0069】
(含浸性)
上記着色発泡性スチレン系樹脂粒子を白色紙に指で押しつけ,白色紙への染料の移行性を目視にて観察した。白色紙上に着色が全く観察されない場合を◎とし,白色紙上に着色がほとんど観察されない場合を○とし,白色紙上に着色がはっきりと観察された場合を×として評価した。その結果を表1に示す。
【0070】
(色ムラ)
上記発泡成形体の色ムラ(濃淡の差があるところ)を目視にて評価した。上記発泡成形体における色ムラが5個未満の場合を◎とし,5個以上から20個未満の場合を○とし,20個を超える場合を×として評価した。その結果を表1に示す。
【0071】
(融着度)
上記発泡成形体を切断し,その断面において発泡粒子の界面に生じた裂けを目視にて観察した。上記発泡粒子の全ての界面で裂けが発生している場合を0とし,発泡粒子の界面で裂けが全く生じていない場合を1として評価した。なお,評価は0から1における,0.1毎の10段階にて行った。その結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
表1より知られるごとく,本例(実施例1〜11)の製造方法により得られた着色発泡性スチレン系樹脂粒子は,色ムラが少なく,染料の含浸性が良好で,かつ凝結も非常に少なかった。また,上記着色発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形した発泡成形体は,融着が高かった。
また,実施例1〜11の着色発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法においては,装置を染料で汚染することはなく,また特別に大きな装置を用いる必要もない。
【0074】
このように,本例によれば,発泡性スチレン系樹脂粒子に色ムラを発生させることなく染料を含浸させることができ,かつ染料含浸時に樹脂粒子同士が凝結しにくく,発泡成形時の融着性に優れた着色発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法を提供することができる。
【0075】
次に,比較のために以下に示す比較例1〜5を行った。
(比較例1)
本例では,実施例1における水及び帯電防止剤を添加せずに,他は実施例1と同様にして,青色の着色発泡性スチレン系樹脂粒子を作製した。さらに,実施例1と同様にして,得られた着色発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して発泡成形体を得た。
【0076】
(比較例2)
本例では,実施例1における帯電防止剤を添加せず,また水の添加量を15g(3重量部)に変え,他は実施例1と同様にして,青色の着色発泡性スチレン系樹脂粒子を作製した。さらに,実施例1と同様にして,得られた着色発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して発泡成形体を得た。
【0077】
(比較例3)
本例では,実施例1における可塑剤及び帯電防止剤を添加せずに,他は実施例1と同様にして,青色の着色発泡性スチレン系樹脂粒子を作製した。さらに,実施例1と同様にして,得られた着色発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して発泡成形体を得た。
【0078】
(比較例4)
本例では,実施例1における帯電防止剤を添加せず,また可塑剤としての流動パラフィンをトルエン(SP値18.2,融点−95℃)0.5g(0.1重量部)に変え,他は実施例1と同様にして,青色の着色発泡性スチレン系樹脂粒子を作製した。さらに,実施例1と同様にして,得られた着色発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して発泡成形体を得た。
【0079】
(比較例5)
本例では,実施例1における帯電防止剤を添加せず,また可塑剤としての流動パラフィンをエタノール(SP値26.0,融点−114.5℃)0.5g(0.1重量部)に変え,他は実施例1と同様にして,青色の着色発泡性スチレン系樹脂粒子を作製した。さらに,実施例1と同様にして,得られた着色発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して発泡成形体を得た。
【0080】
次に,上記実施例1〜11の着色発泡性スチレン系樹脂粒子と同様の方法により,上記比較例1〜5にて作製した着色発泡性スチレン系樹脂粒子の帯電状態,染料の含浸性,及び凝結量を評価した。また,上記実施例1〜11の発泡成形体と同様の方法により,上記比較例1〜5にて得られた発泡成形体の色ムラ及び融着度を評価した。その結果を表2に示す。
【0081】
【表2】
【0082】
表2より知られるごとく,比較例1にて得られる着色発泡性スチレン系樹脂粒子は,色ムラが発生した。また比較例2及び4の着色発泡性スチレン系樹脂粒子においては,着色発泡性スチレン系樹脂粒子同士の凝結が多く発生していた。また,比較例3及び5においては,染料の含浸性が不充分であり,また発泡成形体の融着が低かった。さらに,比較例1〜5において得られる発泡成形体は,色ムラが多く外観に問題があった。
Claims (7)
- 発泡性スチレン系樹脂粒子,染料及び発泡剤を,密閉容器内にて,発泡性スチレン系樹脂粒子の発泡温度よりも低い温度で攪拌することにより,上記発泡性スチレン系樹脂粒子に染料を含浸させて着色発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法において,
上記染料の含浸にあたっては,上記密閉容器内の水分量が上記発泡性スチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.001〜2重量部で,かつ沸点が100℃以上又は不揮発性の可塑剤の存在下で行い,
また,上記可塑剤のSP値は,12MPa1/2〜17MPa1/2または20MPa1/2〜25MPa1/2であることを特徴とする着色発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。 - 請求項1において,上記水分量は,発泡性スチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.005〜1重量部であることを特徴とする着色発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 請求項1または2において,上記発泡性スチレン系樹脂粒子としては,ゲル透過クロマトグラフィー法(GPC法)により測定した重量平均分子量(Mw)の値が18万〜40万の間にあるものを用いることを特徴とする着色発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項において,上記可塑剤の量は,上記発泡性スチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.0005〜1重量部であることを特徴とする着色発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項において,上記可塑剤の融点は70℃以下であることを特徴とする着色発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項において,上記染料の含浸は,帯電防止剤の存在下にて行うことを特徴とする着色発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項において,上記染料の含浸時における上記密閉容器内の温度は20〜80℃であることを特徴とする着色発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
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