JP2004106724A - 走行車速制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】Stop&Go制御やACC等の複数の制御から最適な制御を運転者が選択することができる。
【解決手段】コントローラは、車両の走行状態又は走行環境のうちの少なくとも一方の情報に基づいて最適な先行車追従制御の候補を運転者に報知する。具体的には、先行車を新たに検出したときに(ステップS3)、自車速が制限車速上限に達してなく、且つ車間時間が増加していないことを条件に(ステップS4及びステップS5)、ACCの開始を促すための第2のLED27dを点灯或いは点滅させる動作をするようになる(ステップS6)。また、自車速が制限車速上限に達してないが、車間時間が増加している場合には(ステップS4及びステップS5)、Stop&Go制御の開始或いは選択を促すための第1のLED27cを点灯或いは点滅させる動作をするようになる(ステップS7)。
【選択図】 図5
【解決手段】コントローラは、車両の走行状態又は走行環境のうちの少なくとも一方の情報に基づいて最適な先行車追従制御の候補を運転者に報知する。具体的には、先行車を新たに検出したときに(ステップS3)、自車速が制限車速上限に達してなく、且つ車間時間が増加していないことを条件に(ステップS4及びステップS5)、ACCの開始を促すための第2のLED27dを点灯或いは点滅させる動作をするようになる(ステップS6)。また、自車速が制限車速上限に達してないが、車間時間が増加している場合には(ステップS4及びステップS5)、Stop&Go制御の開始或いは選択を促すための第1のLED27cを点灯或いは点滅させる動作をするようになる(ステップS7)。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、先行車両と一定の車間距離を保ちながら走行する追従走行制御を実行する走行速度制御装置に関し、特に、Stop&Go制御(渋滞時の自動追従速度制御)やACC(adaptive cruise control)を行う走行速度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
先行車追従制御或いは車間距離制御として、Stop&Go制御(渋滞時の自動追従速度制御)やACC(adaptive cruise control)等といった技術がある。
ここで、Stop&Go制御では、予め設定した目標車速を上限とし、自車速が比較的低速域であるとき、先行車に対し所定の相対位置関係(具体的には目標車間時間)を維持して追従するとともに、先行車の停止時に自車両の停止を行うことができるようになっている。例えば、特許文献1には、そのような技術としての渋滞追従制御装置が開示されており、所定の上限速度内で渋滞時に先行車に追従できるようになっている。
【0003】
一方、ACCでは、自車速が高車速域であるときに実行され、予め設定した目標車速を上限とし、先行車に対し所定の相対位置関係を維持して追従するが、前記Stop&Go制御と異なり、先行車の停止時に自車両を停止させる制御を行わないようになっている。
このようにStop&Go制御とACCとでは、制御対象としている車度域が異なっており、このようなことから、車速域等に応じてStop&Go制御とACCとの間で切り換えを行う必要があり、この場合、一方の制御を一旦解除し、その後、運転者の意図(具体的には運転者によるスイッチ操作)により、他方の制御を開始することになる。
【0004】
ここで、それぞれの制御が対象としている車速域がそのように別々ではあるが、制御対象の車速域の一部にて重複しているのが一般的な構成である。例えば、Stop&Goでは0km/h〜50km/hを制御対象の車速域としており、ACCでは30km/h〜100km/hを制御対象の車速域としており、30km/h〜50km/hで制御対象の車速域が重複している。このように重複する車速域において、例えば、Stop&Go制御を一旦解除し、その後、ドライバーの意図等により、ACCを制御開始させることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−205367号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のStop&Go制御やACC等といった制御内容が異なる複数の制御が搭載されており、制御を開始させるためには運転者による選択が必要な構成になっている場合、運転者はその選択の判断に戸惑うことがある。すなわち、各制御はそれぞれ車速域や走行環境等に応じて最適に先行車に追従することができるように構成されているのであり、一の制御を開始させるには、運転者が車速域或いは走行環境等に基づいて適合する制御を判断しなければならなく、運転者はその選択の判断に戸惑ってしまう。これでは、運転者にとって却って煩雑なものになり、また、円滑に制御を開始させることができなくなる。
【0007】
そして、Stop&Go制御やACCの場合では次のような特有の問題がある。
すなわち、Stop&Go制御では、追従対象である先行車を検出していることが前提の技術であり、先行車が存在する場合にその先行車を制御目標として追従するようになっている。このようなことから、先行車が存在しない場合、Stop&Go制御では、制御目標がなくなるので制御を実行できなくなる。
【0008】
例えば、先行車が車線変更等により自車線上から他車線へ移動した場合や自車両が車線変更した場合には、先行車を見失うことになるので、Stop&Go制御は解除される。さらに、車線変更等した先行車のその先をもともと走行していた車両(以下、先々行車という。)が存在し、自車両の前方の先行車が移動した後に、その先の先々行車を検出した場合でも、Stop&Go制御の解除は維持される。また、同様な関係から、自車両が車線変更し、変更した車線に新たに先行車を検出しても、Stop&Go制御の解除は維持される。
【0009】
このようなことから、先行車を見失った後に新たに先行車を検出した場合、Stop&Go制御やACCのいずれかの追従制御によりその先行車に追従することができるようになるが、その制御開始には、運転者によるスイッチ操作が必要になる。すなわち、先行車が存在しない状態から先行車が存在する状態になったとき、再度追従制御を開始させるには、Stop&Go制御又はACCの選択を運転者がしなければならなくなる。しかし、Stop&Go制御或いはACCを実行させるかを運転者が制御に適合する車速域或いは走行環境等に基づいて判断しなければならなく、このようなことから即座に判断しかねる場合もある。例えば、前述したように、Stop&Go制御とACCとでは制御対象の車速域の一部にて重複しており、そのような重複する自車速の速度域であった場合は、運転者はどちらの制御が適しているかを判断してから一方の制御を開始しなければならず、このようなことから、運転者が即座に判断しかねる場合もあり、また、これが運転者にとって煩雑なものにもなってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、前述の問題に鑑みてなされたものであり、Stop&Go制御やACC等の複数の制御から最適な制御を運転者が選択することができる走行車速制御装置の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述の問題を解決するために、本発明では、制御内容が異なる複数の先行車追従制御のうちの一の先行車追従制御を、運転者の選択により選択可能としている走行速度制御装置において、車両の走行状態又は走行環境のうちの少なくとも一方の情報に基づいて最適な先行車追従制御の候補を最適候補報知手段により運転者に報知する。
【0012】
【発明の効果】
本発明によれば、車両の走行状態又は走行環境のうちの少なくとも一方の情報に基づいた最適な先行車追従制御の候補を参照することで、運転者は判断に戸惑うことなく最適な先行車追従制御を選択することができ、円滑に制御を開始させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態は、Stop&Go制御(渋滞時の自動追従速度制御)やACC(adaptivecruise control)といった複数の先行車追従制御を切り換えて制御することができる車両である。
【0014】
図1は本発明の実施の形態を示す概略構成図であって、図中、1FL,1FRは従動輪としての前輪1RL,1RRは駆動輪としての後輪であって、後輪1RL,1RRは、エンジン2の駆動力が自動変速機3、プロペラシャフト4、最終減速装置5及び車軸6を介して伝達されて回転駆動される。また、図2は車両の各構成部を制御するコントローラ20及びこのコントローラ20により制御等される各構成部を示す。
【0015】
図1に示すように、前輪1FL,1FR及び後輪1RL,1RRには、夫々制動力を発生するディスクブレーキ7が設けられていると共に、これらディスクブレーキ7の制動油圧が制動制御装置8により制御される。
制動制御装置8は、図示しないブレーキペダルの踏み込みに応じて制動油圧を発生すると共に、コントローラ20から供給される制動圧指令値PBDの大きさに応じた制動油圧を発生してディスクブレーキ7に供給するように構成されている。さらに、制動制御装置8は、VDC(Vehicle Dynamics Control)等のように、目標のヨーレートと図2に示すヨーレートセンサ22の実測ヨーレートとに基づいて車両の横滑りを自動的に制御するようにも構成されている。
【0016】
また、エンジン2には、その出力を制御するエンジン出力制御装置9が設けられている。エンジン出力制御装置9は、エンジン出力の制御方法として、スロットルバルブの開度を調整してエンジン回転数を制御する方法と、アイドルコントロールバルブの開度を調整してエンジン2のアイドル回転数を制御する方法とが考えられるが、本実施形態では、スロットルバルブの開度を調整する方法が採用されている。
【0017】
また、図示しないステアリングホイールには、図2に示すステアリングセンサ23が取付けられており、このステアリングセンサ23からの出力信号に基づいて図2に示す操舵量測定部25によって操舵量を測定し、その測定した操舵量に基づいてコントローラ20が前輪1FL,1FRを転舵する。
一方、車両の前方側の車体下部には、先行車両との間の車間距離Lを検出するレーダ装置で構成される車間距離センサ12(図2で示す前方認識部24に含まれる部分)が設けられている。この車間距離センサ12としては、例えばレーザ光を前方に掃射して先行車両からの反射光を受光することにより、先行車両と自車両との車間距離Lを計測するレーダ装置や電波や超音波を利用して車間距離Lを計測する距離センサを適用することができる。
【0018】
また、車両には、図2に示すように、運転者に対して速度表示等を行う表示部21、音声或いは音により運転者に種々の情報を報知するための音声発生部26、及びスイッチ及びLED(Light Emiting Diode)の機能を果すLED内蔵スイッチ27が設けられている。
ここで、LED内蔵スイッチ27のスイッチについては、Stop&Go制御とACCとを切り換えるためのものであり、内蔵されているLEDはそのようなスイッチ操作に連動してStop&Go制御やACCの選択状態を表示したり、Stop&Go制御やACCのうち最適な制御を運転者に報知するためのものである。そして、LED内蔵スイッチ27のスイッチの操作状態がシステム操作スイッチ部29により検出されるようになっており、また、LED内蔵スイッチ27におけるLEDの発光駆動がLED駆動部28により制御されるようになっている。このLED内蔵スイッチ27の構成等については後で詳述する。
【0019】
また、車両には、自動変速機3の出力側に配設された出力軸の回転数を検出することにより、自車速VSを検出する車速センサ13(図2で示す自車速測定部13)が配設されている。そして、車間距離センサ12及び車速センサ13の各出力信号がコントローラ20に入力され、このコントローラ20によって、車間距離センサ12で検出した車間距離L、車速センサ13で検出した自車速に基づいて、制動制御装置8、エンジン出力制御装置9及び変速機制御装置を制御することにより、Stop&Go制御やACCを行っている。
【0020】
ここで、Stop&Go制御では、予め設定した目標車速を上限とし、自車速が比較的定速域であるとき、先行車に対し所定の相対位置関係(具体的には目標車間時間)を維持して追従するようになっている。すなわち、Stop&Go制御では、制御目標として「目標車間時間」と「目標車速」とを予め設定し、その予め設定した目標車速を上限として、アクセル制御やブレーキ制御により目標車間時間を一定にするように走行速度を制御している。また、Stop&Go制御では、先行車の停止時には、自車両も停止させるようになっている。さらに、前述のStop&Go制御では、先行車が加速していくような場合でも自車両を先行車に追従させて、先行車の車速が制御上限車速を超えたときには、Stop&Go制御を自動的に解除することなく、目標速度を制御上限車速として定速走行するようになっている。そして、Stop&Go制御では、先行車への追従を制御条件としていることから、例えば、先行車が車線変更等により自車線上から他車線へ移動した場合や自車両が車線変更した場合等、追従対象である先行車を見失った場合には、追従制御を解除するようになっている。例えば、このようなStop&Go制御としては、特開平10−205367号公報に開示されている渋滞追従制御装置によるものが挙げられる。
【0021】
一方、ACCでは、自車速が高車速域であるときに実行され、予め設定した目標車速を上限とし、先行車に対し所定の相対位置関係を維持して追従するが、前記Stop&Go制御と異なり、先行車の停止時に自車両を停止させる制御を行わない。
そして、このようなStop&Go制御とACCとは、運転者による前記LED内蔵スイッチ27の操作により切り換えられ、作動するようになっている。
【0022】
前記LED内蔵スイッチ27は、具体的には、図3に示すように構成されている。すなわち、LED内蔵スイッチ27は、四角柱形状の本体27aが支持点27bに支持されて回動自在にされているいわゆるシーソー型スイッチの形態をなしている。そして、LED内蔵スイッチ27は、本体27aのそれぞれ端部に位置するように第1及び第2のLED27c,27dを内蔵している。このように、LED内蔵スイッチ27は、いわゆるLED内蔵のモーメンタリの3ポジションタイプのスイッチを構成している。
【0023】
このようなLED内蔵スイッチ27が、図3中(A)に示すように、同図において右側が押された場合、ACC選択状態になる。すなわち、この場合、コントローラ20は、システム操作スイッチ部29の検出結果によりACCが選択されたと判定し、LED駆動部28によりその押された側に設けられている第2のLED27d(同図において右側のLED)を点灯させるともに、ACCを開始する。
【0024】
また、図3中(B)に示すように、LED内蔵スイッチ27が、同図において左側が押された場合、Stop&Go制御の選択状態になる。すなわち、この場合、コントローラ20は、システム操作スイッチ部29の検出結果によりStop&Go制御が選択されたと判定し、LED駆動部28によりその押された側に設けられている第1のLED27c(同図において左側のLED)を点灯させるともに、Stop&Go制御を開始する。
【0025】
また、図3中(C)に示すように、LED内蔵スイッチ27が中立状態とされている場合、ACC及びStop&Go制御のいずれも選択されていない無選択状態になる。すなわち、この場合、コントローラ20は、システム操作スイッチ部29の検出結果によりACC及びStop&Go制御のいずれも選択されていないと判定し、第1及び第2のLED27c,27dを消灯状態にする。
【0026】
このように前記LED内蔵スイッチ27の操作によりStop&Go制御とACCが切り換えることで作動するようになっている。
さらに、LED内蔵スイッチ27は、Stop&Go制御及びACCのいずれの制御も実行されていない状態において、Stop&Go制御及びACCのうちから車両の走行状態に応じて最適な一の制御を運転者に報知するようにも構成されている。すなわち例えば、図4に示すように、コントローラ20は、そのような最適な一の制御がACCである場合には、LED駆動部28により第1のLED27cを消灯状態にしつつ第2のLED27dを点灯或いは点滅させることで、車両の走行状態に最適な一の制御がACCである旨を運転者に報知するようになっている。
【0027】
図5は、Stop&Go制御とACCのうちから車両の走行状態や走行環境の情報に基づいて最適な一の制御を選択して運転者に報知するために行うコントローラ20による処理手順を示す。例えば、コントローラ20はマイクロコンピュータとその周辺機器を備え、このような処理手順をマイクロコンピュータのソフトウェア形態により実現している。また、車両の走行状態や走行環境の情報とは、具体的には、自車両の車速、先行車の車速、又は自車両と先行車との相対位置関係の情報である。
【0028】
先ず、ステップS1において、コントローラ20は、ACCによる制御中であるか否かを判定する。例えば、コントローラ20は、システム操作スイッチ部29によりLED内蔵スイッチ27の操作状態をみて、ACCによる制御中であるか否かを判定する。すなわち、コントローラ20は、LED内蔵スイッチ27が図3中(A)に示すような操作状態であればACCによる制御中であると判定する。
【0029】
ここで、コントローラ20は、ACCによる制御中でない場合、ステップS2に進み、今度は、Stop&Go制御による制御中であるか否かを判定する。例えば、コントローラ20は、システム操作スイッチ部29によりLED内蔵スイッチ27の操作状態をみて、Stop&Go制御による制御中であるか否かを判定する。すなわち、コントローラ20は、LED内蔵スイッチ27が図3中(B)に示すような操作状態であればStop&Go制御による制御中であると判定する。
【0030】
ここで、コントローラ20は、Stop&Go制御による制御中でない場合、ステップS3に進む。例えば、Stop&Go制御による制御中でない場合とは、先行車が車線変更等により自車線上から他車線へ移動した場合や自車両が車線変更した場合に、先行車を見失った場合である。
ステップS3では、コントローラ20は、先行車検出中であるか否かを判定する。例えば、コントローラ20は、前方認識部24の検出結果から(例えば、車間距離センサ12の検出結果を利用して、)先行車があるか否かを判定する。例えば、Stop&Go制御が解除されている状態であっても、前方認識部24は有効に作動しており、これにより、先行車移動後の新規の先行車(以下、新規先行車という。)を検出して、車間時間や相対速度等の計測は可能になっている。このように、コントローラ20は、Stop&Go制御が解除されている状態であっても先行車の検出をし、先行車有無の判定を行うことができるようになっている。
【0031】
なお、前記新規先行車としては、例えば、先行車が車線変更等により他車線へ移動した場合に、その車線変更等した先行車のその先をもともと走行していた先々行車や、自車両が車線変更し、変更した車線をもともと走行していた車両等が挙げられる。
ここで、コントローラ20は、先行車検出中である場合、ステップS4に進み、先行車検出中でない場合、再びステップS1からの処理を開始する。
【0032】
ステップS4では、コントローラ20は、自車速がStop&Go制御の制限車速上限、すなわちStop&Go制御の目標車速に達しているか否かを判定する。ここで、コントローラ20は、自車速がStop&Go制御の制限車速上限に達している場合、ステップS5に進み、自車速がStop&Go制御の制限車速上限に達していない場合、ステップS8に進む。
【0033】
ステップS5では、コントローラ20は、車間時間が増加しているか否かを判定する。ここで、コントローラ20は、車間時間が増加している場合、前記ステップS6に進み、車間時間が増加していない場合、ステップS7に進む。
ステップS6では、コントローラ20は、ACCの制御開始或いは選択を促す。すなわち、前記図4に示すように、第1のLED27cを消灯状態にしつつ第2のLED27dを点灯或いは点滅させる。
【0034】
また、ステップS7では、コントローラ20は、Stop&Go制御の制御開始或いは選択を促す。すなわち、前述のACCの制御開始或いは選択を促す処理の場合とは逆に、第2のLED27dを消灯状態にしつつ第1のLED27cを点灯或いは点滅させる。
一方、前記ステップS4において自車速が制限車速上限に達していない場合に進むステップS8では、コントローラ20は、先行車が加速中か否かを判定する。具体的には、次のようにして先行車の加速度の値を得て先行車が加速中か否かを判定している。
【0035】
前方認識部24で現在時刻t1で測定された先行車との相対速度Vr1と自車速Vs1とから、現在の先行車の車速Vt1を下記(1)式により得ることができる。
Vt1=Vs1−Vr1 ………(1)
ここで、相対速度Vr1の符号は目車から離れる方向が負となるように定義している。そして、次回の時刻t2の測定では、先行車との相対速度Vr2と自車速Vs2とから、現在の先行車の車速Vt2を下記(2)式として得ることができる。
【0036】
Vt2=Vs2−Vr2 ………(2)
よって、制御周期或いは計測周期を△Tとすれば、先行車の加速度Atを下記(3)式により得ることができる。
At=(Vt2−Vt1)/△T ………(3)
このような(3)式によれば、先行車が加速している場合、先行車の加速度Atは正の値として得ることができるようになる。
【0037】
コントローラ20は、このように得た先行車の加速度の値に基づいて、先行車が加速している場合、ステップS11に進み、先行車が加速していない場合、ステップS9に進む。
ステップS9では、コントローラ20は、自車速がStop&Go制御の制御車速内であり、且つ先行車の車速がStop&Go制御の制御車速内であるか否かを判定する。なお、この場合、自車速と先行車とがそれぞれStop&Go制御の制御車速内であれば十分であり、このとき、自車速と先行車とが同一速度である必要はない。
【0038】
ここで、コントローラ20は、自車速と先行車の車速との両方がStop&Go制御の制御車速内である場合、ステップS10に進み、自車速と先行車の車速との両方がStop&Go制御の制御車速内でない場合、前記ステップS6に進む。
ステップS10では、コントローラ20は、前記ステップS7の場合と同様に、Stop&Go制御の制御開始或いは選択を促す。すなわち、第2のLED27dを消灯状態にしつつ第1のLED27cを点灯或いは点滅させる。
【0039】
また、前記ステップS8において先行車が加速している場合に進むステップS11では、コントローラ20は、先行車の将来の車速を予測して、予測先行車車速Veを得て、この予測先行車車速VeがStop&Go制御の制御車速上限に達しているか否かを判定する。
例えば、先行車の加速度がAtのとき、制御周期或いは計測周期を△Tとすると、先行車に対する予測先行車車速Veを下記(4)式により得ることができる。
【0040】
Ve=At×ΔT ………(4)
ここで、先行車の加速度Atは、例えば前記(1)式〜(3)式によって得られる値である。
コントローラ20は、このように得た先行車の予測先行車車速VeがStop&Go制御の制御車速上限に達する場合(予測先行車車速Ve>制御車速上限)、ステップS12の進み、先行車の予測先行車車速Veが制御車速上限に達していない場合(予測先行車車速Ve≦制御車速上限)、前記ステップS10に進む。
【0041】
ステップS12では、コントローラ20は、前記ステップS6の場合と同様に、ACCの制御開始或いは選択を促す。すなわち、第1のLED27cを消灯状態にしつつ第2のLED27dを点灯或いは点滅させる。
以上のように、コントローラ20は、Stop&Go制御とACCのうちから車両の走行状態に応じて最適な一の制御を選択して運転者に報知するための処理を行っている。
【0042】
なお、以上の処理において、ステップS5の処理は、自車両に対する先行車の離脱傾向を検出する離脱傾向検出手段を実現しており、ステップS6の処理は、追従対象となる先行車を検出し(ステップS3)、且つその先行車の検出をしたときの自車速が制御上限速度(Stop&Go制御の制御上限速度)に達し(ステップS4)、且つ離脱傾向を検出したとき(ステップS5)、前記制御上限速度よりも大きい自車速で先行車への追従制御が実施可能な先行車追従制御を最適な先行車追従制御の候補として報知する最適候補報知手段を実現している。ここで、制御上限速度よりも大きい自車速で先行車への追従制御が実施可能な先行車追従制御とはACCである。
【0043】
また、ステップS8は、自車両に対する先行車の離脱傾向を検出する離脱傾向検出手段を実現しており、ステップS6は、追従対象となる先行車を検出し(ステップS3)、且つ離脱傾向を検出せず(ステップS8)、且つその先行車を検出したときの自車速が前記制御上限速度に達しないとき(ステップS9)、先行車に追従して自車速が制御上限速度に達したときに当該先行車への追従を止める先行車追従制御を最適な先行車追従制御の候補として報知する最適候補報知手段を実現している。ここで、先行車に追従して自車速が制御上限速度に達したときに当該先行車への追従を止める先行車追従制御とはStop&Go制御であり、また、先行車への追従を止めるとは具体的には追従走行から定速走行になることである。
【0044】
以上のような処理により、ACC及びStop&Go制御の制御中でなく(ステップS1及びステップS2)、先行車を検出したときに(ステップS3)、自車速が制限車速上限に達してなく、且つ車間時間が増加していないことを条件に(ステップS4及びステップS5)、ACCの開始を促すための第2のLED27dを点灯或いは点滅させる動作をするようになる(ステップS6)。また、ここで、自車速が制限車速上限に達してないが、車間時間が増加している場合には(ステップS4及びステップS5)、Stop&Go制御の開始或いは選択を促すための第1のLED27cを点灯或いは点滅させる動作をするようになる(ステップS7)。
【0045】
また、ACC及びStop&Go制御の制御中でなく(ステップS1及びステップS2)、先行車を検出したときに(ステップS3)、自車速が制限車速上限に達してないが、先行車が加速してなく、且つ自車速と先行車の車速との両方がStop&Go制御の制御車速内であることを条件に(ステップS4、ステップS8及びステップS9)、Stop&Go制御の開始或いは選択を促すための第1のLED27cを点灯或いは点滅させる動作をするようになる(ステップS10)。また、ここで、先行車が加速してないが、自車速と先行車の車速との両方がStop&Go制御の制御車速内でない場合には(ステップS8及びステップS9)、ACCの開始を促すための第2のLED27dを点灯或いは点滅させる動作をするようになる(ステップS6)。
【0046】
また、ACC及びStop&Go制御の制御中でなく(ステップS1及びステップS2)、先行車を検出したときに(ステップS3)、自車速が制限車速上限に達していないが、先行車が加速している場合には(ステップS4及びステップS8)、先行車の予測先行車車速Veが制御車速上限に達していないことを条件に(ステップS11)、Stop&Go制御の開始或いは選択を促すための第1のLED27cを点灯或いは点滅させる動作をするようになる(ステップS10)。また、ここで、先行車の予測先行車車速Veが制御車速上限に達している場合には(ステップS11)、ACCの開始を促すための第2のLED27dを点灯或いは点滅させる動作をするようになる(ステップS12)。
【0047】
以上のような本発明の効果は次のようになる。
自車速又は先行車の検出或いはその先行車の車速といった車両の走行状態又は走行環境のうちの少なくとも一方の情報に基づいて最適な先行車追従制御の候補を運転者に報知することで、その報知を参照して、運転者は最適な先行車追従制御を選択(具体的にはLED内蔵スイッチ27による選択)をすることができる。
【0048】
これにより、車両の走行状態や走行環境等に応じて最適に先行車に追従することができるように各先行車追従制御が構成されていても、運転者はそのような報知を参照することで、現時点或いは将来の車両の走行状態や走行環境等に適合する制御を容易に判断することができ、運転者はなんの煩雑さもなく即座に最適な先行車追従制御を選択し、円滑に制御を開始させることができる。
【0049】
また、先行車の車線変更等により先行車を見失い、その後、新規先行車を検出したタイミングで最適な先行車追従制御の候補を運転者に報知することで、新規先行車を制御目標として制御が作動可能な状態にある場合に、運転者は、最適な先行車追従制御の選択をすることができるようになる。すなわち例えば、Stop&Go制御が実行中である場合には、先行車を見失った場合、自動的にその制御を解除するのであるが、その解除後に、新規先行車を検出したタイミングで最適な先行車追従制御の候補を運転者に報知することで、運転者は、新規先行車を制御目標として制御が作動可能なタイミングで最適な先行車追従制御の選択をすることができるようになる。
【0050】
また、前述したように、先行車を見失い、Stop&Go制御を解除し、その後に新規先行車を検出した場合において、自車速がStop&Go制御の制御上限車速であり、新規先行車との車間時間が増加方向であるとき、ACCの開始を促している。
ここで、例えば、Stop&Go制御の制御上限車速が50km/hであるような場合に、先行車が50km/h以上の速度で定速走行を行う場合でも、先行車の加速度は0である。しかし、Stop&Go制御の制御上限車速が50km/hであることから、Stop&Go制御では、50km/hで先行車への追従制御を止め、50km/hで自車両を定速走行させるため、先行車との車間時間は広がるようになる。
【0051】
よって、新規先行車を検出した場合において、自車速がStop&Go制御の制御上限車速にあり、新規先行車との車間時間が増加方向ならば、Stop&Go制御を実施しても制御上限車速で定速走行することは予測できることであり、このようなことから、新規先行車を検出した場合において、自車速がStop&Go制御の制御上限車速であり、新規先行車との車間時間が増加方向である場合には、その制限上限車速で新規先行車を追従対象として追従可能なACCの開始を促している。これにより、運転者は、最適な制御としてACCを選択することができる。
【0052】
なお、ここでは、新規先行車との車間時間が増加方向から先行車の離脱傾向を判断しているが、基本的には、新規先行車が加速しているか否かからも先行車の離脱傾向の判断はできる。しかし、前述したように、Stop&Go制御の制御上限車速が50km/hであるような場合に、先行車が50km/h以上の車速で定速走行を行う場合でも、先行車の加速度は0である。このようなことから、自車両は制御上限車速の50km/hで定速走行になる一方で、先行車は自車両から次第に離れていってしまう。よって、先行車の離脱傾向を新規先行車が加速しているか否かで判断した場合、先行車の加速が0であり、離脱傾向がないと判断して、Stop&Go制御を実施しても制御上限車速で定速走行することなく先行車に追従していくと予測したのにも関わらず、実際にStop&Go制御を開始させたとき制御上限車速で定速走行し、先行車が次第に離れていってしまうことになる。このようなことから、先行車の加速度に基づいて直接的に先行車の逸脱傾向を検出するのではなく、現時点の状況或いは他の情報である車間時間から自車両に対する先行車の将来の離脱傾向を検出するようにしている。
【0053】
また、前述したように、新規先行車の検出時点での速度が、Stop&Go制御の制御車速域内であり、先行車が加速してなく、かつ、自車速と先行車の車速との両方がStop&Go制御の制御車速域内であるとき、Stop&Go制御の開始或いは選択を促している。このようにすることで、一般に交通状況に応じて運転者がStop&Go制御を行うか否かを判断するところを補助し、Stop&Go制御の開始或いは選択を促すことができる。
【0054】
また、制御上限速度で定速走行を行う構成になっているStop&Go制御では、たとえ新規先行車の検出時点での速度が制御上限速度以下の制御速度域内であっても、先行車が加速していくことでそれに追従して自車速が制御上限車速に達し、定速走行に移行することになる。このようなことから、先行車が加速していないことを条件とすることで、先行車が加速していくことでそれに追従して自車速が制御上限車速に達し、定速走行に移行してしまうことを防止することができる。
【0055】
また、前述したように、新規先行車が加速しており、その新規先行車の予測先行車車速VeがStop&Go制御の制御上限車速よりも大きくなることが予測される場合、ACCの開始を促し、その一方で、新規先行車が加速しているが、その新規先行車の予測先行車車速VeがStop&Go制御の制御上限車速に達しないことが予測される場合、Stop&Go制御の開始或いは選択を促している。
【0056】
前述したように、Stop&Go制御では制御上限速度で定速走行を行う構成になっているので、先行車の車速が未だ制御上限速度に達していなければ、Stop&Go制御を開始させれば先行車への追従制御を行うようになる。しかし、予測先行車車速Veは近い将来の先行車の車速、或いはそのような先行車に追従する自車両の車速を示すものであり、このような予測先行車車速VeがStop&Go制御の制御上限車速よりも大きい場合、Stop&Go制御を開始させれば、近い将来において実際の自車速が制御上限車速に達し、制御上限車速で定速走行に移行してしまう。この場合、先行車にさらに追従していくには、運転者は、せっかく選択したStop&Go制御を解除して、新たにACCを選択する操作をしなければならない。これでは、運転者にとって煩雑になる。
【0057】
このようなことから、新規先行車の予測先行車車速VeがStop&Go制御の制御上限車速よりも大きくなることが予測される場合、制御上限車速に達する前に運転者に予めACCの選択を促すので、これを参照して運転者がACCを選択することで、ACCの開始がよりスムーズに行えるようになる。その一方で、新規先行車の予測先行車車速VeがStop&Go制御の制御上限車速に達しないことが予測される場合、運転者にStop&Goの選択を促すので、これを参照して運転者は、選択したStop&Go制御により定速走行に移行するようなことなく、先行車に追従させることができる。
【0058】
なお、このような選択は、Stop&Go制御とACCとで制御対象としている車速域が一部にて重複しているので実現できるのである。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、前述の実施の形態として実現されることに限定されるものではない。
すなわち、前述の実施の形態では、LEDを点灯させて、Stop&Go制御やACCの開始或いは選択を運転者に促しているが、これに限定されないことはいうまでもない。例えば、音声発生部26による音声或いは音の出力、又は表示部21によるその旨の表示により、Stop&Go制御やACCの開始或いは選択を運転者に促すようにしてもよい。
【0059】
また、前述の実施の形態では、ステップS5において車間時間を基準に判定を行っているいるが、相対距離を基準に判定を行ってもよい。この場合、先行車から自車両が離れるような値を相対距離が示す場合(例えば、相対距離の値が負の値を示す場合)、ステップS6に進み、ACCの開始を運転者に促すようにする。
【0060】
また、前述の実施の形態では、車両の走行状態や走行環境の情報に基づいて最適な先行車追従制御の候補を運転者に報知するための処理について図5を用いて具体的に説明したが、図5に示す処理手順や処理内容により実現することに限定されないことはいうまでものではない。
また、前述の実施の形態では、実施する車速制御がACC(adaptive cruise control)やStop&Go制御(渋滞時の自動追従速度制御)である場合について説明しているが、これに限定されることなく、他の先行車追従制御であってもよい。さらに、運転者の選択により選択可能な先行車追従制御が2つであることに限定されるものでもなく、3以上の先行車追従制御を選択可能である場合に本発明を適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】図1のコントローラ等からなる構成を示すブロック図である。
【図3】LED内蔵スイッチの状態を示す図であり、(A)はStop&Go制御を選択した状態であり、(B)はACCを選択した状態であり、(C)は無選択の状態である。
【図4】ACCの開始を運転者に促すときのLED内蔵スイッチの状態を示す図である。
【図5】前記コントローラの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 エンジン
8 制動制御装置
9 エンジン出力制御装置
12 車間距離センサ
13 車速センサ
20 コントローラ
21 表示部
24 前方認識部
26 音声発生部
27 LED内蔵スイッチ
27c,27d LED
28 LED駆動部
29 システム操作スイッチ
【発明の属する技術分野】
本発明は、先行車両と一定の車間距離を保ちながら走行する追従走行制御を実行する走行速度制御装置に関し、特に、Stop&Go制御(渋滞時の自動追従速度制御)やACC(adaptive cruise control)を行う走行速度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
先行車追従制御或いは車間距離制御として、Stop&Go制御(渋滞時の自動追従速度制御)やACC(adaptive cruise control)等といった技術がある。
ここで、Stop&Go制御では、予め設定した目標車速を上限とし、自車速が比較的低速域であるとき、先行車に対し所定の相対位置関係(具体的には目標車間時間)を維持して追従するとともに、先行車の停止時に自車両の停止を行うことができるようになっている。例えば、特許文献1には、そのような技術としての渋滞追従制御装置が開示されており、所定の上限速度内で渋滞時に先行車に追従できるようになっている。
【0003】
一方、ACCでは、自車速が高車速域であるときに実行され、予め設定した目標車速を上限とし、先行車に対し所定の相対位置関係を維持して追従するが、前記Stop&Go制御と異なり、先行車の停止時に自車両を停止させる制御を行わないようになっている。
このようにStop&Go制御とACCとでは、制御対象としている車度域が異なっており、このようなことから、車速域等に応じてStop&Go制御とACCとの間で切り換えを行う必要があり、この場合、一方の制御を一旦解除し、その後、運転者の意図(具体的には運転者によるスイッチ操作)により、他方の制御を開始することになる。
【0004】
ここで、それぞれの制御が対象としている車速域がそのように別々ではあるが、制御対象の車速域の一部にて重複しているのが一般的な構成である。例えば、Stop&Goでは0km/h〜50km/hを制御対象の車速域としており、ACCでは30km/h〜100km/hを制御対象の車速域としており、30km/h〜50km/hで制御対象の車速域が重複している。このように重複する車速域において、例えば、Stop&Go制御を一旦解除し、その後、ドライバーの意図等により、ACCを制御開始させることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−205367号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のStop&Go制御やACC等といった制御内容が異なる複数の制御が搭載されており、制御を開始させるためには運転者による選択が必要な構成になっている場合、運転者はその選択の判断に戸惑うことがある。すなわち、各制御はそれぞれ車速域や走行環境等に応じて最適に先行車に追従することができるように構成されているのであり、一の制御を開始させるには、運転者が車速域或いは走行環境等に基づいて適合する制御を判断しなければならなく、運転者はその選択の判断に戸惑ってしまう。これでは、運転者にとって却って煩雑なものになり、また、円滑に制御を開始させることができなくなる。
【0007】
そして、Stop&Go制御やACCの場合では次のような特有の問題がある。
すなわち、Stop&Go制御では、追従対象である先行車を検出していることが前提の技術であり、先行車が存在する場合にその先行車を制御目標として追従するようになっている。このようなことから、先行車が存在しない場合、Stop&Go制御では、制御目標がなくなるので制御を実行できなくなる。
【0008】
例えば、先行車が車線変更等により自車線上から他車線へ移動した場合や自車両が車線変更した場合には、先行車を見失うことになるので、Stop&Go制御は解除される。さらに、車線変更等した先行車のその先をもともと走行していた車両(以下、先々行車という。)が存在し、自車両の前方の先行車が移動した後に、その先の先々行車を検出した場合でも、Stop&Go制御の解除は維持される。また、同様な関係から、自車両が車線変更し、変更した車線に新たに先行車を検出しても、Stop&Go制御の解除は維持される。
【0009】
このようなことから、先行車を見失った後に新たに先行車を検出した場合、Stop&Go制御やACCのいずれかの追従制御によりその先行車に追従することができるようになるが、その制御開始には、運転者によるスイッチ操作が必要になる。すなわち、先行車が存在しない状態から先行車が存在する状態になったとき、再度追従制御を開始させるには、Stop&Go制御又はACCの選択を運転者がしなければならなくなる。しかし、Stop&Go制御或いはACCを実行させるかを運転者が制御に適合する車速域或いは走行環境等に基づいて判断しなければならなく、このようなことから即座に判断しかねる場合もある。例えば、前述したように、Stop&Go制御とACCとでは制御対象の車速域の一部にて重複しており、そのような重複する自車速の速度域であった場合は、運転者はどちらの制御が適しているかを判断してから一方の制御を開始しなければならず、このようなことから、運転者が即座に判断しかねる場合もあり、また、これが運転者にとって煩雑なものにもなってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、前述の問題に鑑みてなされたものであり、Stop&Go制御やACC等の複数の制御から最適な制御を運転者が選択することができる走行車速制御装置の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述の問題を解決するために、本発明では、制御内容が異なる複数の先行車追従制御のうちの一の先行車追従制御を、運転者の選択により選択可能としている走行速度制御装置において、車両の走行状態又は走行環境のうちの少なくとも一方の情報に基づいて最適な先行車追従制御の候補を最適候補報知手段により運転者に報知する。
【0012】
【発明の効果】
本発明によれば、車両の走行状態又は走行環境のうちの少なくとも一方の情報に基づいた最適な先行車追従制御の候補を参照することで、運転者は判断に戸惑うことなく最適な先行車追従制御を選択することができ、円滑に制御を開始させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態は、Stop&Go制御(渋滞時の自動追従速度制御)やACC(adaptivecruise control)といった複数の先行車追従制御を切り換えて制御することができる車両である。
【0014】
図1は本発明の実施の形態を示す概略構成図であって、図中、1FL,1FRは従動輪としての前輪1RL,1RRは駆動輪としての後輪であって、後輪1RL,1RRは、エンジン2の駆動力が自動変速機3、プロペラシャフト4、最終減速装置5及び車軸6を介して伝達されて回転駆動される。また、図2は車両の各構成部を制御するコントローラ20及びこのコントローラ20により制御等される各構成部を示す。
【0015】
図1に示すように、前輪1FL,1FR及び後輪1RL,1RRには、夫々制動力を発生するディスクブレーキ7が設けられていると共に、これらディスクブレーキ7の制動油圧が制動制御装置8により制御される。
制動制御装置8は、図示しないブレーキペダルの踏み込みに応じて制動油圧を発生すると共に、コントローラ20から供給される制動圧指令値PBDの大きさに応じた制動油圧を発生してディスクブレーキ7に供給するように構成されている。さらに、制動制御装置8は、VDC(Vehicle Dynamics Control)等のように、目標のヨーレートと図2に示すヨーレートセンサ22の実測ヨーレートとに基づいて車両の横滑りを自動的に制御するようにも構成されている。
【0016】
また、エンジン2には、その出力を制御するエンジン出力制御装置9が設けられている。エンジン出力制御装置9は、エンジン出力の制御方法として、スロットルバルブの開度を調整してエンジン回転数を制御する方法と、アイドルコントロールバルブの開度を調整してエンジン2のアイドル回転数を制御する方法とが考えられるが、本実施形態では、スロットルバルブの開度を調整する方法が採用されている。
【0017】
また、図示しないステアリングホイールには、図2に示すステアリングセンサ23が取付けられており、このステアリングセンサ23からの出力信号に基づいて図2に示す操舵量測定部25によって操舵量を測定し、その測定した操舵量に基づいてコントローラ20が前輪1FL,1FRを転舵する。
一方、車両の前方側の車体下部には、先行車両との間の車間距離Lを検出するレーダ装置で構成される車間距離センサ12(図2で示す前方認識部24に含まれる部分)が設けられている。この車間距離センサ12としては、例えばレーザ光を前方に掃射して先行車両からの反射光を受光することにより、先行車両と自車両との車間距離Lを計測するレーダ装置や電波や超音波を利用して車間距離Lを計測する距離センサを適用することができる。
【0018】
また、車両には、図2に示すように、運転者に対して速度表示等を行う表示部21、音声或いは音により運転者に種々の情報を報知するための音声発生部26、及びスイッチ及びLED(Light Emiting Diode)の機能を果すLED内蔵スイッチ27が設けられている。
ここで、LED内蔵スイッチ27のスイッチについては、Stop&Go制御とACCとを切り換えるためのものであり、内蔵されているLEDはそのようなスイッチ操作に連動してStop&Go制御やACCの選択状態を表示したり、Stop&Go制御やACCのうち最適な制御を運転者に報知するためのものである。そして、LED内蔵スイッチ27のスイッチの操作状態がシステム操作スイッチ部29により検出されるようになっており、また、LED内蔵スイッチ27におけるLEDの発光駆動がLED駆動部28により制御されるようになっている。このLED内蔵スイッチ27の構成等については後で詳述する。
【0019】
また、車両には、自動変速機3の出力側に配設された出力軸の回転数を検出することにより、自車速VSを検出する車速センサ13(図2で示す自車速測定部13)が配設されている。そして、車間距離センサ12及び車速センサ13の各出力信号がコントローラ20に入力され、このコントローラ20によって、車間距離センサ12で検出した車間距離L、車速センサ13で検出した自車速に基づいて、制動制御装置8、エンジン出力制御装置9及び変速機制御装置を制御することにより、Stop&Go制御やACCを行っている。
【0020】
ここで、Stop&Go制御では、予め設定した目標車速を上限とし、自車速が比較的定速域であるとき、先行車に対し所定の相対位置関係(具体的には目標車間時間)を維持して追従するようになっている。すなわち、Stop&Go制御では、制御目標として「目標車間時間」と「目標車速」とを予め設定し、その予め設定した目標車速を上限として、アクセル制御やブレーキ制御により目標車間時間を一定にするように走行速度を制御している。また、Stop&Go制御では、先行車の停止時には、自車両も停止させるようになっている。さらに、前述のStop&Go制御では、先行車が加速していくような場合でも自車両を先行車に追従させて、先行車の車速が制御上限車速を超えたときには、Stop&Go制御を自動的に解除することなく、目標速度を制御上限車速として定速走行するようになっている。そして、Stop&Go制御では、先行車への追従を制御条件としていることから、例えば、先行車が車線変更等により自車線上から他車線へ移動した場合や自車両が車線変更した場合等、追従対象である先行車を見失った場合には、追従制御を解除するようになっている。例えば、このようなStop&Go制御としては、特開平10−205367号公報に開示されている渋滞追従制御装置によるものが挙げられる。
【0021】
一方、ACCでは、自車速が高車速域であるときに実行され、予め設定した目標車速を上限とし、先行車に対し所定の相対位置関係を維持して追従するが、前記Stop&Go制御と異なり、先行車の停止時に自車両を停止させる制御を行わない。
そして、このようなStop&Go制御とACCとは、運転者による前記LED内蔵スイッチ27の操作により切り換えられ、作動するようになっている。
【0022】
前記LED内蔵スイッチ27は、具体的には、図3に示すように構成されている。すなわち、LED内蔵スイッチ27は、四角柱形状の本体27aが支持点27bに支持されて回動自在にされているいわゆるシーソー型スイッチの形態をなしている。そして、LED内蔵スイッチ27は、本体27aのそれぞれ端部に位置するように第1及び第2のLED27c,27dを内蔵している。このように、LED内蔵スイッチ27は、いわゆるLED内蔵のモーメンタリの3ポジションタイプのスイッチを構成している。
【0023】
このようなLED内蔵スイッチ27が、図3中(A)に示すように、同図において右側が押された場合、ACC選択状態になる。すなわち、この場合、コントローラ20は、システム操作スイッチ部29の検出結果によりACCが選択されたと判定し、LED駆動部28によりその押された側に設けられている第2のLED27d(同図において右側のLED)を点灯させるともに、ACCを開始する。
【0024】
また、図3中(B)に示すように、LED内蔵スイッチ27が、同図において左側が押された場合、Stop&Go制御の選択状態になる。すなわち、この場合、コントローラ20は、システム操作スイッチ部29の検出結果によりStop&Go制御が選択されたと判定し、LED駆動部28によりその押された側に設けられている第1のLED27c(同図において左側のLED)を点灯させるともに、Stop&Go制御を開始する。
【0025】
また、図3中(C)に示すように、LED内蔵スイッチ27が中立状態とされている場合、ACC及びStop&Go制御のいずれも選択されていない無選択状態になる。すなわち、この場合、コントローラ20は、システム操作スイッチ部29の検出結果によりACC及びStop&Go制御のいずれも選択されていないと判定し、第1及び第2のLED27c,27dを消灯状態にする。
【0026】
このように前記LED内蔵スイッチ27の操作によりStop&Go制御とACCが切り換えることで作動するようになっている。
さらに、LED内蔵スイッチ27は、Stop&Go制御及びACCのいずれの制御も実行されていない状態において、Stop&Go制御及びACCのうちから車両の走行状態に応じて最適な一の制御を運転者に報知するようにも構成されている。すなわち例えば、図4に示すように、コントローラ20は、そのような最適な一の制御がACCである場合には、LED駆動部28により第1のLED27cを消灯状態にしつつ第2のLED27dを点灯或いは点滅させることで、車両の走行状態に最適な一の制御がACCである旨を運転者に報知するようになっている。
【0027】
図5は、Stop&Go制御とACCのうちから車両の走行状態や走行環境の情報に基づいて最適な一の制御を選択して運転者に報知するために行うコントローラ20による処理手順を示す。例えば、コントローラ20はマイクロコンピュータとその周辺機器を備え、このような処理手順をマイクロコンピュータのソフトウェア形態により実現している。また、車両の走行状態や走行環境の情報とは、具体的には、自車両の車速、先行車の車速、又は自車両と先行車との相対位置関係の情報である。
【0028】
先ず、ステップS1において、コントローラ20は、ACCによる制御中であるか否かを判定する。例えば、コントローラ20は、システム操作スイッチ部29によりLED内蔵スイッチ27の操作状態をみて、ACCによる制御中であるか否かを判定する。すなわち、コントローラ20は、LED内蔵スイッチ27が図3中(A)に示すような操作状態であればACCによる制御中であると判定する。
【0029】
ここで、コントローラ20は、ACCによる制御中でない場合、ステップS2に進み、今度は、Stop&Go制御による制御中であるか否かを判定する。例えば、コントローラ20は、システム操作スイッチ部29によりLED内蔵スイッチ27の操作状態をみて、Stop&Go制御による制御中であるか否かを判定する。すなわち、コントローラ20は、LED内蔵スイッチ27が図3中(B)に示すような操作状態であればStop&Go制御による制御中であると判定する。
【0030】
ここで、コントローラ20は、Stop&Go制御による制御中でない場合、ステップS3に進む。例えば、Stop&Go制御による制御中でない場合とは、先行車が車線変更等により自車線上から他車線へ移動した場合や自車両が車線変更した場合に、先行車を見失った場合である。
ステップS3では、コントローラ20は、先行車検出中であるか否かを判定する。例えば、コントローラ20は、前方認識部24の検出結果から(例えば、車間距離センサ12の検出結果を利用して、)先行車があるか否かを判定する。例えば、Stop&Go制御が解除されている状態であっても、前方認識部24は有効に作動しており、これにより、先行車移動後の新規の先行車(以下、新規先行車という。)を検出して、車間時間や相対速度等の計測は可能になっている。このように、コントローラ20は、Stop&Go制御が解除されている状態であっても先行車の検出をし、先行車有無の判定を行うことができるようになっている。
【0031】
なお、前記新規先行車としては、例えば、先行車が車線変更等により他車線へ移動した場合に、その車線変更等した先行車のその先をもともと走行していた先々行車や、自車両が車線変更し、変更した車線をもともと走行していた車両等が挙げられる。
ここで、コントローラ20は、先行車検出中である場合、ステップS4に進み、先行車検出中でない場合、再びステップS1からの処理を開始する。
【0032】
ステップS4では、コントローラ20は、自車速がStop&Go制御の制限車速上限、すなわちStop&Go制御の目標車速に達しているか否かを判定する。ここで、コントローラ20は、自車速がStop&Go制御の制限車速上限に達している場合、ステップS5に進み、自車速がStop&Go制御の制限車速上限に達していない場合、ステップS8に進む。
【0033】
ステップS5では、コントローラ20は、車間時間が増加しているか否かを判定する。ここで、コントローラ20は、車間時間が増加している場合、前記ステップS6に進み、車間時間が増加していない場合、ステップS7に進む。
ステップS6では、コントローラ20は、ACCの制御開始或いは選択を促す。すなわち、前記図4に示すように、第1のLED27cを消灯状態にしつつ第2のLED27dを点灯或いは点滅させる。
【0034】
また、ステップS7では、コントローラ20は、Stop&Go制御の制御開始或いは選択を促す。すなわち、前述のACCの制御開始或いは選択を促す処理の場合とは逆に、第2のLED27dを消灯状態にしつつ第1のLED27cを点灯或いは点滅させる。
一方、前記ステップS4において自車速が制限車速上限に達していない場合に進むステップS8では、コントローラ20は、先行車が加速中か否かを判定する。具体的には、次のようにして先行車の加速度の値を得て先行車が加速中か否かを判定している。
【0035】
前方認識部24で現在時刻t1で測定された先行車との相対速度Vr1と自車速Vs1とから、現在の先行車の車速Vt1を下記(1)式により得ることができる。
Vt1=Vs1−Vr1 ………(1)
ここで、相対速度Vr1の符号は目車から離れる方向が負となるように定義している。そして、次回の時刻t2の測定では、先行車との相対速度Vr2と自車速Vs2とから、現在の先行車の車速Vt2を下記(2)式として得ることができる。
【0036】
Vt2=Vs2−Vr2 ………(2)
よって、制御周期或いは計測周期を△Tとすれば、先行車の加速度Atを下記(3)式により得ることができる。
At=(Vt2−Vt1)/△T ………(3)
このような(3)式によれば、先行車が加速している場合、先行車の加速度Atは正の値として得ることができるようになる。
【0037】
コントローラ20は、このように得た先行車の加速度の値に基づいて、先行車が加速している場合、ステップS11に進み、先行車が加速していない場合、ステップS9に進む。
ステップS9では、コントローラ20は、自車速がStop&Go制御の制御車速内であり、且つ先行車の車速がStop&Go制御の制御車速内であるか否かを判定する。なお、この場合、自車速と先行車とがそれぞれStop&Go制御の制御車速内であれば十分であり、このとき、自車速と先行車とが同一速度である必要はない。
【0038】
ここで、コントローラ20は、自車速と先行車の車速との両方がStop&Go制御の制御車速内である場合、ステップS10に進み、自車速と先行車の車速との両方がStop&Go制御の制御車速内でない場合、前記ステップS6に進む。
ステップS10では、コントローラ20は、前記ステップS7の場合と同様に、Stop&Go制御の制御開始或いは選択を促す。すなわち、第2のLED27dを消灯状態にしつつ第1のLED27cを点灯或いは点滅させる。
【0039】
また、前記ステップS8において先行車が加速している場合に進むステップS11では、コントローラ20は、先行車の将来の車速を予測して、予測先行車車速Veを得て、この予測先行車車速VeがStop&Go制御の制御車速上限に達しているか否かを判定する。
例えば、先行車の加速度がAtのとき、制御周期或いは計測周期を△Tとすると、先行車に対する予測先行車車速Veを下記(4)式により得ることができる。
【0040】
Ve=At×ΔT ………(4)
ここで、先行車の加速度Atは、例えば前記(1)式〜(3)式によって得られる値である。
コントローラ20は、このように得た先行車の予測先行車車速VeがStop&Go制御の制御車速上限に達する場合(予測先行車車速Ve>制御車速上限)、ステップS12の進み、先行車の予測先行車車速Veが制御車速上限に達していない場合(予測先行車車速Ve≦制御車速上限)、前記ステップS10に進む。
【0041】
ステップS12では、コントローラ20は、前記ステップS6の場合と同様に、ACCの制御開始或いは選択を促す。すなわち、第1のLED27cを消灯状態にしつつ第2のLED27dを点灯或いは点滅させる。
以上のように、コントローラ20は、Stop&Go制御とACCのうちから車両の走行状態に応じて最適な一の制御を選択して運転者に報知するための処理を行っている。
【0042】
なお、以上の処理において、ステップS5の処理は、自車両に対する先行車の離脱傾向を検出する離脱傾向検出手段を実現しており、ステップS6の処理は、追従対象となる先行車を検出し(ステップS3)、且つその先行車の検出をしたときの自車速が制御上限速度(Stop&Go制御の制御上限速度)に達し(ステップS4)、且つ離脱傾向を検出したとき(ステップS5)、前記制御上限速度よりも大きい自車速で先行車への追従制御が実施可能な先行車追従制御を最適な先行車追従制御の候補として報知する最適候補報知手段を実現している。ここで、制御上限速度よりも大きい自車速で先行車への追従制御が実施可能な先行車追従制御とはACCである。
【0043】
また、ステップS8は、自車両に対する先行車の離脱傾向を検出する離脱傾向検出手段を実現しており、ステップS6は、追従対象となる先行車を検出し(ステップS3)、且つ離脱傾向を検出せず(ステップS8)、且つその先行車を検出したときの自車速が前記制御上限速度に達しないとき(ステップS9)、先行車に追従して自車速が制御上限速度に達したときに当該先行車への追従を止める先行車追従制御を最適な先行車追従制御の候補として報知する最適候補報知手段を実現している。ここで、先行車に追従して自車速が制御上限速度に達したときに当該先行車への追従を止める先行車追従制御とはStop&Go制御であり、また、先行車への追従を止めるとは具体的には追従走行から定速走行になることである。
【0044】
以上のような処理により、ACC及びStop&Go制御の制御中でなく(ステップS1及びステップS2)、先行車を検出したときに(ステップS3)、自車速が制限車速上限に達してなく、且つ車間時間が増加していないことを条件に(ステップS4及びステップS5)、ACCの開始を促すための第2のLED27dを点灯或いは点滅させる動作をするようになる(ステップS6)。また、ここで、自車速が制限車速上限に達してないが、車間時間が増加している場合には(ステップS4及びステップS5)、Stop&Go制御の開始或いは選択を促すための第1のLED27cを点灯或いは点滅させる動作をするようになる(ステップS7)。
【0045】
また、ACC及びStop&Go制御の制御中でなく(ステップS1及びステップS2)、先行車を検出したときに(ステップS3)、自車速が制限車速上限に達してないが、先行車が加速してなく、且つ自車速と先行車の車速との両方がStop&Go制御の制御車速内であることを条件に(ステップS4、ステップS8及びステップS9)、Stop&Go制御の開始或いは選択を促すための第1のLED27cを点灯或いは点滅させる動作をするようになる(ステップS10)。また、ここで、先行車が加速してないが、自車速と先行車の車速との両方がStop&Go制御の制御車速内でない場合には(ステップS8及びステップS9)、ACCの開始を促すための第2のLED27dを点灯或いは点滅させる動作をするようになる(ステップS6)。
【0046】
また、ACC及びStop&Go制御の制御中でなく(ステップS1及びステップS2)、先行車を検出したときに(ステップS3)、自車速が制限車速上限に達していないが、先行車が加速している場合には(ステップS4及びステップS8)、先行車の予測先行車車速Veが制御車速上限に達していないことを条件に(ステップS11)、Stop&Go制御の開始或いは選択を促すための第1のLED27cを点灯或いは点滅させる動作をするようになる(ステップS10)。また、ここで、先行車の予測先行車車速Veが制御車速上限に達している場合には(ステップS11)、ACCの開始を促すための第2のLED27dを点灯或いは点滅させる動作をするようになる(ステップS12)。
【0047】
以上のような本発明の効果は次のようになる。
自車速又は先行車の検出或いはその先行車の車速といった車両の走行状態又は走行環境のうちの少なくとも一方の情報に基づいて最適な先行車追従制御の候補を運転者に報知することで、その報知を参照して、運転者は最適な先行車追従制御を選択(具体的にはLED内蔵スイッチ27による選択)をすることができる。
【0048】
これにより、車両の走行状態や走行環境等に応じて最適に先行車に追従することができるように各先行車追従制御が構成されていても、運転者はそのような報知を参照することで、現時点或いは将来の車両の走行状態や走行環境等に適合する制御を容易に判断することができ、運転者はなんの煩雑さもなく即座に最適な先行車追従制御を選択し、円滑に制御を開始させることができる。
【0049】
また、先行車の車線変更等により先行車を見失い、その後、新規先行車を検出したタイミングで最適な先行車追従制御の候補を運転者に報知することで、新規先行車を制御目標として制御が作動可能な状態にある場合に、運転者は、最適な先行車追従制御の選択をすることができるようになる。すなわち例えば、Stop&Go制御が実行中である場合には、先行車を見失った場合、自動的にその制御を解除するのであるが、その解除後に、新規先行車を検出したタイミングで最適な先行車追従制御の候補を運転者に報知することで、運転者は、新規先行車を制御目標として制御が作動可能なタイミングで最適な先行車追従制御の選択をすることができるようになる。
【0050】
また、前述したように、先行車を見失い、Stop&Go制御を解除し、その後に新規先行車を検出した場合において、自車速がStop&Go制御の制御上限車速であり、新規先行車との車間時間が増加方向であるとき、ACCの開始を促している。
ここで、例えば、Stop&Go制御の制御上限車速が50km/hであるような場合に、先行車が50km/h以上の速度で定速走行を行う場合でも、先行車の加速度は0である。しかし、Stop&Go制御の制御上限車速が50km/hであることから、Stop&Go制御では、50km/hで先行車への追従制御を止め、50km/hで自車両を定速走行させるため、先行車との車間時間は広がるようになる。
【0051】
よって、新規先行車を検出した場合において、自車速がStop&Go制御の制御上限車速にあり、新規先行車との車間時間が増加方向ならば、Stop&Go制御を実施しても制御上限車速で定速走行することは予測できることであり、このようなことから、新規先行車を検出した場合において、自車速がStop&Go制御の制御上限車速であり、新規先行車との車間時間が増加方向である場合には、その制限上限車速で新規先行車を追従対象として追従可能なACCの開始を促している。これにより、運転者は、最適な制御としてACCを選択することができる。
【0052】
なお、ここでは、新規先行車との車間時間が増加方向から先行車の離脱傾向を判断しているが、基本的には、新規先行車が加速しているか否かからも先行車の離脱傾向の判断はできる。しかし、前述したように、Stop&Go制御の制御上限車速が50km/hであるような場合に、先行車が50km/h以上の車速で定速走行を行う場合でも、先行車の加速度は0である。このようなことから、自車両は制御上限車速の50km/hで定速走行になる一方で、先行車は自車両から次第に離れていってしまう。よって、先行車の離脱傾向を新規先行車が加速しているか否かで判断した場合、先行車の加速が0であり、離脱傾向がないと判断して、Stop&Go制御を実施しても制御上限車速で定速走行することなく先行車に追従していくと予測したのにも関わらず、実際にStop&Go制御を開始させたとき制御上限車速で定速走行し、先行車が次第に離れていってしまうことになる。このようなことから、先行車の加速度に基づいて直接的に先行車の逸脱傾向を検出するのではなく、現時点の状況或いは他の情報である車間時間から自車両に対する先行車の将来の離脱傾向を検出するようにしている。
【0053】
また、前述したように、新規先行車の検出時点での速度が、Stop&Go制御の制御車速域内であり、先行車が加速してなく、かつ、自車速と先行車の車速との両方がStop&Go制御の制御車速域内であるとき、Stop&Go制御の開始或いは選択を促している。このようにすることで、一般に交通状況に応じて運転者がStop&Go制御を行うか否かを判断するところを補助し、Stop&Go制御の開始或いは選択を促すことができる。
【0054】
また、制御上限速度で定速走行を行う構成になっているStop&Go制御では、たとえ新規先行車の検出時点での速度が制御上限速度以下の制御速度域内であっても、先行車が加速していくことでそれに追従して自車速が制御上限車速に達し、定速走行に移行することになる。このようなことから、先行車が加速していないことを条件とすることで、先行車が加速していくことでそれに追従して自車速が制御上限車速に達し、定速走行に移行してしまうことを防止することができる。
【0055】
また、前述したように、新規先行車が加速しており、その新規先行車の予測先行車車速VeがStop&Go制御の制御上限車速よりも大きくなることが予測される場合、ACCの開始を促し、その一方で、新規先行車が加速しているが、その新規先行車の予測先行車車速VeがStop&Go制御の制御上限車速に達しないことが予測される場合、Stop&Go制御の開始或いは選択を促している。
【0056】
前述したように、Stop&Go制御では制御上限速度で定速走行を行う構成になっているので、先行車の車速が未だ制御上限速度に達していなければ、Stop&Go制御を開始させれば先行車への追従制御を行うようになる。しかし、予測先行車車速Veは近い将来の先行車の車速、或いはそのような先行車に追従する自車両の車速を示すものであり、このような予測先行車車速VeがStop&Go制御の制御上限車速よりも大きい場合、Stop&Go制御を開始させれば、近い将来において実際の自車速が制御上限車速に達し、制御上限車速で定速走行に移行してしまう。この場合、先行車にさらに追従していくには、運転者は、せっかく選択したStop&Go制御を解除して、新たにACCを選択する操作をしなければならない。これでは、運転者にとって煩雑になる。
【0057】
このようなことから、新規先行車の予測先行車車速VeがStop&Go制御の制御上限車速よりも大きくなることが予測される場合、制御上限車速に達する前に運転者に予めACCの選択を促すので、これを参照して運転者がACCを選択することで、ACCの開始がよりスムーズに行えるようになる。その一方で、新規先行車の予測先行車車速VeがStop&Go制御の制御上限車速に達しないことが予測される場合、運転者にStop&Goの選択を促すので、これを参照して運転者は、選択したStop&Go制御により定速走行に移行するようなことなく、先行車に追従させることができる。
【0058】
なお、このような選択は、Stop&Go制御とACCとで制御対象としている車速域が一部にて重複しているので実現できるのである。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、前述の実施の形態として実現されることに限定されるものではない。
すなわち、前述の実施の形態では、LEDを点灯させて、Stop&Go制御やACCの開始或いは選択を運転者に促しているが、これに限定されないことはいうまでもない。例えば、音声発生部26による音声或いは音の出力、又は表示部21によるその旨の表示により、Stop&Go制御やACCの開始或いは選択を運転者に促すようにしてもよい。
【0059】
また、前述の実施の形態では、ステップS5において車間時間を基準に判定を行っているいるが、相対距離を基準に判定を行ってもよい。この場合、先行車から自車両が離れるような値を相対距離が示す場合(例えば、相対距離の値が負の値を示す場合)、ステップS6に進み、ACCの開始を運転者に促すようにする。
【0060】
また、前述の実施の形態では、車両の走行状態や走行環境の情報に基づいて最適な先行車追従制御の候補を運転者に報知するための処理について図5を用いて具体的に説明したが、図5に示す処理手順や処理内容により実現することに限定されないことはいうまでものではない。
また、前述の実施の形態では、実施する車速制御がACC(adaptive cruise control)やStop&Go制御(渋滞時の自動追従速度制御)である場合について説明しているが、これに限定されることなく、他の先行車追従制御であってもよい。さらに、運転者の選択により選択可能な先行車追従制御が2つであることに限定されるものでもなく、3以上の先行車追従制御を選択可能である場合に本発明を適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】図1のコントローラ等からなる構成を示すブロック図である。
【図3】LED内蔵スイッチの状態を示す図であり、(A)はStop&Go制御を選択した状態であり、(B)はACCを選択した状態であり、(C)は無選択の状態である。
【図4】ACCの開始を運転者に促すときのLED内蔵スイッチの状態を示す図である。
【図5】前記コントローラの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 エンジン
8 制動制御装置
9 エンジン出力制御装置
12 車間距離センサ
13 車速センサ
20 コントローラ
21 表示部
24 前方認識部
26 音声発生部
27 LED内蔵スイッチ
27c,27d LED
28 LED駆動部
29 システム操作スイッチ
Claims (10)
- 制御内容が異なる複数の先行車追従制御のうちの一の先行車追従制御を、運転者の選択により選択可能としている走行速度制御装置において、
車両の走行状態又は走行環境のうちの少なくとも一方の情報に基づいて最適な先行車追従制御の候補を運転者に報知する最適候補報知手段を備えたことを特徴とする走行車速制御装置。 - 前記複数の先行車追従制御のうちの少なくとも一の先行車追従制御が、先行車に追従して自車速が制御上限速度に達したときに当該先行車への追従を止めるものであり、
前記自車両に対する先行車の離脱傾向を検出する離脱傾向検出手段を備えるとともに、前記最適候補報知手段は、追従対象となる先行車を検出し、且つその先行車の検出をしたときの自車速が前記制御上限速度に達する又は達し、且つ前記離脱傾向検出手段が前記離脱傾向を検出したとき、前記制御上限速度よりも大きい自車速で先行車への追従制御が実施可能な先行車追従制御を前記最適な先行車追従制御の候補とすることを特徴とする請求項1記載の走行車速制御装置。 - 前記離脱傾向検出手段は、現時点の状況から前記自車両に対する先行車の将来の離脱傾向を検出することを特徴とする請求項2記載の走行速度制御装置。
- 前記離脱傾向検出手段は、先行車の加速を前記離脱傾向として検出することを特徴とする請求項2又は3に記載の走行速度制御装置。
- 前記最適候補報知手段は、現時点での自車速から将来の自車速を予測して、この予測した自車速が制御上限速度に達することを検出することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の走行速度制御装置。
- 前記複数の先行車追従制御のうちの少なくとも一の先行車追従制御が、先行車に追従して自車速が制御上限速度に達したときに当該先行車への追従を止めるものであり、
前記最適候補報知手段は、追従対象となる先行車を検出し、且つその先行車を検出したときの自車速が前記制御上限速度に達しないとき、前記一の先行車追従制御を前記最適な先行車追従制御の候補とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の走行車速制御装置。 - 前記自車両に対する先行車の離脱傾向を検出する離脱傾向検出手段を備え、
前記最適候補報知手段は、前記離脱傾向検出手段が前記離脱傾向を検出していないとき、前記一の先行車追従制御を前記最適な先行車追従制御の候補とすることを特徴とする請求項6記載の走行車速制御装置。 - 前記最適候補報知手段は、追従対象となる先行車を検出したとき、前記報知を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の走行車速制御装置。
- 前記複数の先行車追従制御のうち少なくとも一の先行車追従制御が、追従対象の先行車を検出できなくなったときに当該制御を解除するものであり、
前記最適候補報知手段は、前記一の先行車追従制御の制御中に先行車追従を検出できなくなり当該制御を解除した後に、新たに追従対象となる先行車を検出したとき、前記報知を行うことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の走行車速制御装置。 - 前記最適候補報知手段は、自車両の車速、先行車の車速、又は自車両と先行車との相対位置関係のうちの少なくとも一の情報に基づいて選択した最適な先行車追従制御の候補を報知することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の走行車速制御装置。
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JP2002273046A JP2004106724A (ja) | 2002-09-19 | 2002-09-19 | 走行車速制御装置 |
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JP2002273046A Pending JP2004106724A (ja) | 2002-09-19 | 2002-09-19 | 走行車速制御装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008305319A (ja) * | 2007-06-11 | 2008-12-18 | Toyota Motor Corp | 運転支援装置案内システム、表示装置 |
JP2014119256A (ja) * | 2012-12-13 | 2014-06-30 | Daihatsu Motor Co Ltd | 先行車発進報知装置 |
-
2002
- 2002-09-19 JP JP2002273046A patent/JP2004106724A/ja active Pending
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