JP3870674B2 - 車両用追従走行制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自車両前方の追従制御対象車両に追従して走行制御を行うようにした車両用追従走行制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用追従走行制御装置としては、例えば特開平7−40762号公報に記載されたものがある。この従来例には、3ビーム方式の固定式レーザーレーダ装置を使用して自車両が走行する車線上に存在する先行車両や隣接車線の割込車両等を検知するが、中央ビームと左右ビームとを用いた3ビーム方式を使用した場合には、高速道路等を走行する場合に路側リフレクタ、車間距離確認用表示板等に左右ビームが当たり、その反射ビームを認識することにより、停止物と誤判断することにより、定速走行制御が解除されることを防止するために、中央ビームと左右ビームにより車間距離を検出し、実車間距離から相対速度を算出すると共に、検出された一定値以下の実車間距離が左右のビームのみによって検出され、且つ相対速度と実車速とが同じであるときには、誤検出と判断して定速走行制御を継続するようにした車両の速度制御装置が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の車両用追従走行制御装置にあっては、追従制御対象車両の検出能力を上げるためには追従対象とする範囲を広げなければならず、誤認識とはトレードオフの関係にあり、現実的には走行路上のリフレクタ、キャッツアイ等の停止物を追従制御対象車両として誤認識するような場合もある。このため、誤認識による制動が発生する場合があり、運転者に違和感を与えたり、乗り心地が悪化するという未解決の課題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、走行路上のリフレクタ、キャッツアイ等の停止物を誤認識した場合に、運転者に違和感を与えたり、乗り心地を悪化させる制動状態に移行することを抑制できる車両用追従走行制御装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る車両用追従走行制御装置は、自車両の車速を検出する車速検出手段と、自車両前方の追従制御対象車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、目標車間距離を設定する目標車間距離設定手段と、該目標車間距離設定手段で設定した目標車間距離と前記車間距離検出手段で検出した車間距離との車間距離偏差を小さくするように自車両の駆動力及び制動力の何れかを制御する動力制御手段とを備えた車両用追従走行制御装置において、前記動力制御手段は、停止物を検出する停止状態検出手段と、前記停止状態検出手段で停止物を検出したときに、減速度の増加量を初期減速度制限値に制限して緩減速制御を開始し、停止物の検出を継続している場合に、前記初期減速度制限値を走行路脇に設置された静止物を検出する誤検出による停止物検出の可能性がある第1の所定時間が経過するまで維持し、当該第1の所定時間経過後に減速度制限値を増加させる停止検出時減速度制限手段とを備えていることを特徴としている。
【0006】
この請求項1に係る発明では、停止状態検出手段で、追従制御対象車両の停止状態を検出したときに、停止検出時減速度制限手段で、先ず、減速度の増加量を運転者に違和感を与えない程度の比較的小さな値に設定された初期減速度制限値に制限して緩減速制御を開始し、停止物の検出を継続している場合に、前記初期減速度制限値を維持し、走行路脇の静止物を検出する誤検出による停止物検出の可能性がある第1の所定時間経過した後に減速度制限値を増加させることにより、停止状態検出手段で路側に設置されたリフレクタ、キャッツアイ等を検出することにより追従制御対象車両が停止状態であると誤認識したときには初期減速度制限値で減速度を制限するが第1の所定時間が経過する前に誤認識による停止状態が解消されるのでその時点で通常の走行制御状態に復帰し、誤認識ではなく正規に追従制御対象車両が停止状態であることを検出したときには、その停止検出状態が第1の所定時間が経過するまで継続されることから、第1の所定時間経過後に初期減速度制限値から減速度制限値が増加されて、正規の減速停止制御に徐々に復帰する。
【0007】
また、請求項2に係る車両用追従走行制御装置は、請求項1に係る発明において、前記停止検出時減速度制限手段は、初期減速度制限値を前記第1の所定時間維持した後、第2の所定時間が経過する毎に所定制限加算値を減速度制限値に加算して新たな減速度制限値を算出するように構成されていることを特徴としている。
この請求項2に係る発明では、停止状態検出手段で、追従制御対象車両の停止状態を検出したときに、停止検出時減速度制限手段で、初期減速度制限値を第1の所定時間維持するので、路側のリフレクタやキャッツアイ等を誤認識している場合には、第1の所定時間内に停止状態の誤検出が終了することにより、通常の追従制御状態に復帰し、自車両が大きく減速されることを防止し、一方、実際に追従制追従制御対象車両の停止を検出するときには、停止検出状態が継続されることにより、第1の所定時間が経過した後に第2の所定時間が経過する毎に、減速度制限値が所定制限加算値つ増加することにより、正規の減速停止制御に徐々に復帰する。
【0008】
さらにまた、請求項3に係る車両用追従走行制御装置は、請求項1に係る発明において、前記停止検出時減速度制限手段は、初期減速度制限値を前記第1の所定時間維持した後、第2の所定時間が経過する毎に車間距離検出手段で検出した車間距離に基づいて算出した制限加算値を減速度制限値に加算して新たな減速度制限値を算出するように構成されていることを特徴としている。
【0009】
この請求項3に係る発明では、停止状態検出手段で追従制御対象車両の停止状態を継続して検出している場合に、初期減速度制限値を維持する第1の所定時間を経過したときに、車間距離が狭いときには、制限加算値を比較的大きな値として、減速度制限値を比較的急勾配で増加させ、車間距離が広いときには、車間距離の増加に応じて制限加算値を小さい値として、減速度制限値を比較的緩勾配で増加させることが可能となる。
【0010】
なおさらに、請求項4に係る車両用追従走行制御装置は、請求項1に係る発明において、前記停止検出時減速度制限手段は、初期減速度制限値を前記第1の所定時間維持した後、第2の所定時間が経過する毎に相対速度検出手段で検出した相対速度に基づいて算出した制限加算値を減速度制限値に加算して新たな減速度制限値を算出するように構成されていることを特徴としている。
【0011】
この請求項4に係る発明では、停止状態検出手段で追従制御対象車両の停止状態を継続して検出している場合に、初期減速度制限値を維持する第1の所定時間を経過したときに、追従制御対象車両との相対速度が大きいときには、制限加算値を比較的大きな値として、減速度制限値を比較的急勾配で増加させ、相対距離が小さいときには、制限加算値を小さい値として減速度制限値を比較的緩勾配で増加させることが可能となる。
【0012】
また、請求項5に係る車両用追従走行制御装置は、請求項1に係る発明において、前記停止検出時減速度制限手段は、初期減速度制限値を前記第1の所定時間維持した後、第2の所定時間が経過する毎に車間距離検出手段で検出した車間距離に基づいて算出した制限加算値と相対速度検出手段で検出した相対速度に基づいて算出した制限加算値とに基づいて制限加算値を算出し、算出した制限加算値を減速度制限値に加算して新たな減速度制限値を算出するように構成されていることを特徴としている。
【0013】
この請求項5に係る発明では、車間距離に基づいて算出した制限加算値と相対速度に基づいて算出した制限加算値とに基づいて制限加算値を算出するので、車間距離が小さく且つ相対速度が大きいときに減速度制限値を比較的急勾配で増加させることができ、車間距離が長く且つ相対速度が小さいときには減速度制限値を比較的緩勾配で増加させることが可能となる。
【0014】
さらに、請求項6に係る車両用追従走行制御装置は、請求項1に係る発明において、前記停止検出時減速度制限手段は、初期減速度制限を前記第1の所定時間維持した後、第2の所定時間が経過する毎に車速検出手段で検出した自車速に基づいて算出した制限加算値を減速度制限値に加算して新たな減速度制限値を算出するように構成されていることを特徴としている。
【0015】
この請求項6に係る発明では、停止状態検出手段で追従制御対象車両の停止状態を継続して検出している場合に、初期減速度制限値を維持する第1の所定時間を経過したときに、自車速が低いときには、制限加算値を比較的大きな値として、減速度制限値を比較的急勾配で増加させることができ、自車速が高いときには、自車速の増加に応じて制限加算値を小さい値として減速度制限値を比較的緩勾配で増加させることが可能となる。
【0016】
さらに、請求項7に係る車両用追従走行制御装置は、請求項2乃至6の何れかに係る発明において、前記停止検出時減速度制限手段は、前記第1の所定時間及び第2の所定時間の何れかを車速検出手段で検出した自車速に基づいて変更するように構成されていることを特徴としている。
この請求項7に係る発明では、停止検出時減速度制限手段で、初期減速度制限値を維持する第1の所定時間を車速検出手段で検出した自車速に基づいて変更するときには、市街地等を低速走行しているときに、第1の所定時間を短く設定して、減速度制限値の増加を早め、高速道路等を高速走行している場合には、第1の所定時間を長く設定して、減速度制限値の増加を遅らして、誤認識による過減速状態が生じることを防止する。また、減速度制限値を増加させる第2の所定時間を車速検出手段で検出した自車速に基づいて変更するときには、例えば自車速が低車速域であるときには第2の所定時間を短く設定して減速度制限値を比較的急勾配で増加させ、この低車速域より自車速が増加するときに、その増加量に応じて第2の所定時間を徐々に長く設定して減速度制限値が比較的緩勾配で増加させることが可能となる。
【0017】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、停止状態検出手段で、正規に又は誤認識によって追従制御対象車両の停止状態を検出したときに、停止検出時減速度制限手段で、減速度の増加量を運転者に違和感を与えない程度の比較的小さな値に設定された初期減速度制限値で制限して緩減速制御を開始し、停止物の検出を継続している場合に、走行路脇に設置された静止物を検出する誤検出の可能性がある第1の所定時間経過した後に減速度制限値を増加させるので、初期減速度制限値で減速を軽減している状態で、運転者に減速を必要とする状況になったことを認識させることができ、以後の運転者の判断による介入を促すことができると共に、走行路脇に設置された静止物を誤認識することによって追従制御対象車両の停止状態を検出したときには、車両の走行によって僅かな時間で誤認識状態が解消されるので、初期減速度制限値で減速度を制限している状態で誤認識状態が解消されたときには、通常の追従制御状態に復帰させて、大きな減速度を発生させて運転者に違和感を与えることを回避することができるという効果が得られる。
【0018】
また、請求項2に係る発明によれば、追従制御対象車両の停止状態を検出したときに、停止検出時減速度制限手段で、初期減速度制限値を第1の所定時間維持するので、路側のリフレクタやキャッツアイ等を誤認識している場合には、自車両が大きく減速されることを防止し、第1の所定時間が経過した後に第2の所定時間が経過する毎に、減速度制限値が所定制限加算値づつ増加することにより、運転者の制御対象車を認知してからの制御感覚に合わせた良好な減速停止制御を行うことができるという効果が得られる。
【0019】
さらに、請求項3に係る発明によれば、追従制御対象車両の停止状態を継続して検出している場合に、初期減速度制限値を維持する第1の所定時間を経過したときに、車間距離が狭いときには、制限加算値を比較的大きな値として、減速度制限値を比較的急勾配で増加させ、車間距離が広いときには、車間距離の増加に応じて制限加算値を小さい値として、減速度制限値を比較的緩勾配で増加させることが可能となり、運転者の制動感覚に合わせたより良好な減速停止制御を行うことができるという効果が得られる。
【0020】
さらにまた、請求項4に係る発明によれば、追従制御対象車両の停止状態を継続して検出している場合に、初期減速度制限値を維持する第1の所定時間を経過したときに、追従制御対象車両との相対速度が大きいときには、制限加算値を比較的大きな値として、減速度制限値を比較的急勾配で増加させ、車間距離が広いときには、車間距離の増加に応じて制限加算値を小さい値として減速度制限値を比較的緩勾配で増加させることが可能となり、運転者の制動感覚に合わせたより良好な減速停止制御を行うことができるという効果が得られる。
【0021】
なおさらに、請求項5に係る発明によれば、車間距離に基づいて算出した制限加算値と相対速度に基づいて算出した制限加算値とに基づいて制限加算値を算出するので、例えば両者の制限加算値の何れか大きい値を制限加算値として設定することにより、運転者の制動感覚に合わせたより良好な減速停止制御を行うことができるという効果が得られる。
【0022】
また、請求項6に係る発明によれば、追従制御対象車両の停止状態を継続して検出している場合に、初期減速度制限値を維持する第1の所定時間を経過したときに、自車速が低いときには、制限加算値を比較的大きな値として、減速度制限値を比較的急勾配で増加させることができ、自車速が高いときには、自車速の増加に応じて制限加算値を小さい値として減速度制限値を比較的緩勾配で増加させることが可能となり、運転者の制動感覚に合わせたより良好な減速停止制御を行うことができるという効果が得られる。
【0023】
さらに、請求項7に係る発明によれば、停止検出時減速制御手段で、初期減速度制限値を維持する第1の所定時間及び減速度制限値を増加させる第2の所定時間の何れかを車速検出手段で検出した自車速に基づいて変更するので、減速度制限値の増加を車速に基づいて調整することができ、運転者の制動感覚に合わせたより良好な減速停止制御を行うことができるという効果が得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態を示す概略構成図であって、図中、1FL,1FRは従動輪としての前輪、1RL,1RRは駆動輪としての後輪であって、後輪1RL,1RRは、エンジン2の駆動力が自動変速機3、プロペラシャフト4、最終減速装置5及び車軸6を介して伝達されて回転駆動される。
【0025】
前輪1FL,1FR及び後輪1RL,1RRには、夫々制動力を発生するディスクブレーキ7が設けられていると共に、これらディスクブレーキ7の制動油圧が制動制御装置8によって制御される。
ここで、制動制御装置8は、図示しないブレーキペダルの踏込みに応じて制動油圧を発生すると共に、追従制御用コントローラ20から供給される制動圧指令値PBDの大きさに応じた制動油圧を発生してディスクブレーキ7に供給するように構成されている。
【0026】
また、エンジン2には、その出力を制御するエンジン出力制御装置9が設けられている。このエンジン出力制御装置9は、エンジン出力の制御方法として、スロットルバルブ11の開度を調整してエンジン回転数を制御する方法と、アイドルコントロールバルブの開度を調整してエンジン2のアイドル回転数を制御する方法とが考えられるが、本実施形態では、スロットルバルブ11の開度を調整する方法が採用されている。
【0027】
さらに、自動変速機3には、その変速位置を制御する変速機制御装置10が設けられている。
一方、車両の前方側の車体下部には、先行車両との間の車間距離Lを検出する車間距離検出手段としてのレーダ装置で構成される車間距離センサ12が設けられている。この車間距離センサ12としては、例えばレーザ光を前方に掃射して先行車両からの反射光を受光することにより、先行車両と自車両との車間距離Lを計測するレーダ装置や電波や超音波を利用して車間距離Lを計測する距離センサを適用することができる。
【0028】
また、車両には、自動変速機3の出力側に配設された出力軸の回転速度を検出することにより、自車速Vsを検出する車速センサ13が配設され、さらにエンジン回転速度NE を検出するエンジン回転速度センサ14とトルクコンバータの出力回転速度NT を検出するトルクコンバータ出力回転速度センサ15、スロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ16及びブレーキペダルの踏込時にオン状態となるブレーキスイッチ17が配設されている。
【0029】
そして、車間距離センサ12、車速センサ13、エンジン回転速度センサ14、トルクコンバータ出力回転速度センサ15、スロットル開度センサ16及びブレーキスイッチ17の各出力信号が追従制御用コントローラ20に入力され、この追従制御用コントローラ20によって、車間距離センサ12で検出した車間距離L、車輪速度センサ13で検出した自車速Vs、エンジン回転速度センサ14で検出したエンジン回転速度NE 、トルクコンバータ出力回転速度センサ15で検出したトルクコンバータ出力回転速度NT 及びスロットル開度センサ16で検出したスロットル開度θに基づいて、制動制御装置8、エンジン出力制御装置9及び変速機制御装置10を制御することにより、先行車両との間に適正な車間距離を維持しながら追従走行する追従走行制御を行うと共に、追従制御対象車両の停止状態を検出したときに停止検出時減速度制限処理を行う。
【0030】
次に、上記実施形態の動作を追従制御用コントローラ20で実行する制御処理手順を示す図2のフローチャートを伴って説明する。
追従走行制御用コントローラ20では、図2に示す走行制御処理を所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込処理として実行する。
この走行制御処理は、先ず、ステップS1で、ブレーキペダルが踏込まれてブレーキ操作が行われているか否かをブレーキスイッチ17がオン状態であるか否かを判定し、これがオン状態であるときには、運転者がブレーキ操作を行っているものと判断して、そのまま追従走行制御を行うことなくタイマ割込処理を終了し、ブレーキスイッチ17がオフ状態であるときには運転者がブレーキ操作を行っていないものと判断してステップS2に移行する。
【0031】
このステップS2では、車間距離センサ12で検出した車間距離Lを読込むと共に、車速センサ13で検出した自車速Vsを読込み、次いでステップS3に移行して、車間距離センサ12で先行車を捕捉しているか否かを判定する。この判定は、車間距離Lが予め設定された設定車間距離L0 以下であるか否かを判定することにより行い、L>L0 であるときには、追従制御対象となる先行車がいないものと判断して、ステップS4に移行し、運転者が予め設定した目標車速V* に実際の自車速Vsが一致するように目標加減速度GV * を算出する。この目標加減速度GV * は、先ず、目標車速V* から自車速Vsを減算して車速偏差ΔVs(=V* −Vs)を算出し、この車速偏差ΔVsに基づいて下記(1)式の演算を行うことにより算出し、これを目標加減速度G* としてRAM等の記憶装置に形成した目標加減速度記憶領域に更新記憶し、次いでステップS5に移行して、後述する追従制御状態フラグFFを“0”にリセットし、次いでステップS6に移行して、減速度制限値GL として予め設定された車速制御状態の制限値GV に設定し、これを減速度制限値記憶領域に更新記憶してから後述するステップS23に移行する。
【0032】
V * =kPV・ΔVs+kIV・∫ΔVsdt+kDV・dΔVs/dt……(1)
この(1)式で右辺第1項、第2項及び第3項はPID制御におけるフィートバック項で、kPVは比例ゲイン、kIVは積分ゲイン、kDVは微分ゲインである。
一方、前記ステップS3の判定結果が、L≦L0 であるときには追従制御対象となる先行車が存在し、これを捕捉しているものと判断してステップS7に移行し、車間距離Lを微分して相対速度ΔVREを算出し、次いでステップS8に移行して、自車速Vsに相対速度ΔVREを加算して先行車車速Vt(=Vs+ΔVRE)を算出してからステップS9に移行する。
【0033】
このステップS9では、自車速Vsと自車が現在の先行車の後方L0 [m]の位置に到達するまでの時間T0 (車間時間)とから下記(2)式に従って先行車と自車との間の目標車間距離L* を算出する。
* =Vs×T0 +LS …………(2)
この車間時間という概念を取り入れることにより、車速が速くなるほど、車間距離が大きくなるように設定される。なお、LS は停止時車間距離である。
【0034】
次いで、ステップS10に移行して、目標車間距離L* から実際の車間距離Lを減算した距離偏差ΔL(=L* −L)を算出し、次いでステップS11に移行して、距離偏差ΔLに基づいて下記(3)式の演算を行って距離偏差用目標加減速度GL * を算出し、これを目標加減速度G* として目標加減速度記憶領域に更新記憶する。
【0035】
L * =kPL・ΔL+kIL・∫ΔLdt+kDL・dΔL/dt……(3)
この(3)式でも右辺第1項、第2項及び第3項はPID制御におけるフィートバック項であり、kPLは比例ゲイン、kILは積分ゲイン、kDLは微分ゲインである。
次いで、ステップS12に移行して、前記ステップS8で算出した先行車車速Vtが“0”近傍の停止閾値VTH未満であって停止物を検出している状態であるか否かを判定し、Vt≧VTHであるときには、先行車が走行状態であると判断してステップS13に移行し、減速度制限値GL として予め設定された追従制御状態の通常制限値GU に設定し、これを減速度制限値記憶領域に更新記憶し、次いでステップS14に移行して、追従走行状態であることを表す追従走行状態フラグFFを“1”にセットしてから後述するステップS23に移行する。
【0036】
また、前記ステップS12の判定結果が、Vt<VTHで停止物であると判断した場合には、ステップS15に移行し、前回の制御周期での判定結果が停止物であるか否かを判定し、前回の制御周期での判定結果が停止物でないときには、最初に停止物を検出した状態であるものと判断してステップS16に移行して、前述した追従制御状態フラグFFが“1”にセットされているか否かを判定し、これが“1”にセットされているときにはそのまま後述するステップS23に移行し、追従制御状態フラグFFが“0”にリセットされているときには、車速制御状態から停止物を検出する状態となったものと判断してステップS17に移行して、タイマを“0”に初期化すると共に、作動開始させてからステップS18に移行し、減速度制限値GL として比較的低い初期減速度制限値GL0に設定し、これを減速度制限値記憶領域に更新記憶してから後述するステップS23に移行する。
【0037】
一方、ステップS15の判定結果が前回の制御周期での判定結果が停止物であるときには、停止物の検出状態が継続されているものと判断して、ステップS19に移行し、タイマの計時が予め設定した第1の所定時間T1 を経過したか否かを判定し、第1の所定時間T1 を経過していないときには前記ステップS18に移行し、第1の所定時間T1 を経過したときにはステップS20に移行する。
【0038】
このステップS20では、現在の減速度制限値GL に予め所定値に設定された制限加算値ΔGを加算した値を新たな減速度制限値GL として設定してからステップS21に移行し、設定した減速度制限値GL が予め設定した上限値GLMAX以下であるか否かを判定し、GL ≦GLMAXであるときにはそのまま前記ステップS23に移行し、GL >GLMAXであるときにはステップS22に移行して、上限値GLMAXを減速度制限値GL に設定し、これを減速度制限値記憶領域に更新記憶してからステップS23に移行する。
【0039】
ステップS23では、目標加減速度記憶領域に記憶されている今回の目標加減速度G* (n) から前回の目標加減速度G* (n-1) を減算して目標加減速度変化量ΔG* を算出し、次いでステップS24に移行して、算出した目標加減速度変化量ΔG* が負であるか否かを判定することにより、減速状態であるか否かを判定し、ΔG* <0で減速状態であるときには、ステップS25に移行して、目標減速度変化量ΔG* が減速度制限値記憶領域に記憶されている減速度制限値GL の負値−GL 以下であるか否かを判定し、ΔG* ≦−GL であるときには目標加減速度変化量ΔG* を制限する必要があるものと判断してステップS26に移行する。
【0040】
このステップS26では、目標加減速度変化量ΔG* として減速度制限値GL の負値を設定し、これを目標加減速度変化量記憶領域に更新記憶してからステップS27に移行し、前回の目標加減速度G* (n-1) に目標加減速度変化量記憶領域に記憶されている目標加減速度変化量ΔG* を加算して、今回の目標加減速度G* (n) を算出し、これを目標加減速度記憶領域に更新記憶してから後述するステップS30に移行する。
【0041】
一方、ステップS24の判定結果が、ΔG* ≧0であるときには加速状態であると判断してステップS28に移行し、目標加減速度変化量ΔG* が加速度制限値GA 以下であるか否かを判定し、ΔG* ≦GA であるときには直接前記ステップS27に移行し、ΔG* >GA であるときには目標加減速度変化量ΔG* を制限する必要があるもの判断してステップS29に移行し、目標加減速度変化量ΔG* として予め設定された加速度制限値GA を設定し、これを目標加減速度変化量記憶領域に更新記憶してから前記ステップS27に移行する。
【0042】
ステップS30では、目標加減速度記憶領域に記憶されている目標加減速度G* に基づいて目標スロットル開度θ* を算出し、これら目標スロットル開度θ* をエンジン出力制御装置9に出力する。
次いで、ステップS31に移行して、実際のスロットル開度θ、エンジン回転速度NE 、目標加減速度G* 等に基づいて目標制動圧PB * を算出し、これを制動制御装置8に出力してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0043】
この図2の制御演算処理が動力制御手段に対応し、このうちステップS7,S8及びS12の処理が停止状態検出手段に対応し、ステップS15〜S22の処理が停止検出時減速度制限手段に対応している。
したがって、今、運転者が目標車速V* を設定した状態で、ブレーキペダルを解放したブレーキ非操作状態を維持することにより、自車両が走行制御状態にあるものとする。この走行制御状態で、車間距離センサ12で先行車を捕捉していないときには、図2の制御処理におけるステップS3からステップS4に移行して、目標車速V* と現在の自車速Vsとの車速偏差ΔVに基づいて前記(1)式の演算を行って車速制御用目標加減速度GV * を算出してからステップS5に移行して、追従制御状態フラグFFを“0”にリセットし、次いでステップS6に移行して、車速制御用の減速度制限値GV を減速度制限値GL として設定し、これを減速度制限値記憶領域に更新記憶してからステップS23に移行する。
【0044】
このとき、自車速Vsが運転者が設定した目標車速V* より低い場合には、車両を加速状態とするために、ステップS4で前回の目標加減速度GV * (n-1) より大きい値となる今回の目標加減速度GV * (n) が算出されるので、ステップS23で算出される目標加減速度変化量ΔG* が正となり、ステップS24からステップS28に移行し、目標加減速度変化量ΔG* が予め設定された加速度制限値GA 以下であるときにはそのままステップS27に移行し、目標加減速度変化量ΔG* が加速度制限値GA を越えているときにはステップS29に移行して、目標加減速度変化量ΔG* を加速度制限値GA に制限してからステップS27に移行する。
【0045】
そして、ステップS27で前回の目標加減速度G* (n-1) に目標加減速度変化量ΔG* を加算して今回の目標加減速度G* (n) を算出し、これを目標加減速度記憶領域に更新記憶してからステップS30に移行する。
したがって、このステップS30で加速度を表す正の目標加減速度G* を得るための比較的大きな目標スロットル開度θ* を算出すると共に、ステップS31に移行して目標制動圧PB * を算出する。
【0046】
このステップS31では、目標加減速度G* が加減速度推定値Gより大きくなるため、加減速度偏差ΔGが正となり、目標制動圧PB * が負値となることにより、制動制御装置8からディスクブレーキ7に対して制動圧を出力することはなく、ディスクブレーキ7で制動力を発揮しない非制動状態が継続され、スロットル開度の制御のみで自車速Vsが予め設定した目標車速V* まで加速する車速制御が行われる。
【0047】
その後、自車速Vsが目標車速V* に達すると、目標加減速度GV * と加減速度推定値Gとが略等しくなることにより、加減速度偏差ΔGが略“0”となり、目標制動圧PB * も“0”となり、この場合もディスクブレーキ7で制動力を発揮することはなく、スロットル開度の制御のみで自車速Vsが予め設定した目標車速V* まで加速する車速制御が行われる。
【0048】
さらに、自車速Vsが目標車速V* を超えたときには、目標加減速度GV * が負の小さい値となるが、これに応じて目標スロットル開度θ* が低下され、これに応じて加減速度推定値Gも負値となることにより、加減速度偏差ΔGが正又は“0”を維持することになり、目標制動圧PB * が負値又は“0”となることにより、ディスクブレーキ7で制動力を発揮することなく、スロットル開度の制御のみで自車速Vsが予め設定した目標車速V* まで減速する車速制御が行われる。
【0049】
この車速制御状態で、自車両の走行している走行レーンで自車両より低速で走行している追従制御対象車両としての先行車に追いつくことにより、車間距離センサ12で先行車を捕捉する状態となると、図2のステップS3からステップS7〜S11に移行し、相対速度ΔVRE、先行車車速Vt、目標車間距離L* 及び車間距離偏差ΔLを算出し、これらに基づいて減速度を表す負値の追従制御用目標加減速度GL * を算出し、これを加減速度記憶領域に更新記憶してからステップS12に移行し、先行車が走行しているので、ステップS13に移行し、比較的大きな値に設定された追従制御における通常の減速度制限値GU が減速度制限値GL として設定され、これが減速度制限値記憶領域に更新記憶されると共に、ステップS14で追従制御状態フラグFFが“1”にセットされる。
【0050】
このため、車間距離Lが大きい値であるので、目標加減速度G* は負値の小さい値となるが、前回の目標加減速度G* (n-1) が定速走行中で加速度を表す正値であってもさほど大きな値とはなっていないので、目標加減速度変化量ΔG* が極端に大きな値となることはなく、通常の減速度制限値GU 内の値となる。したがって、目標加減速度変化量ΔG* が前回の目標加減速度G* (n-1) に加算されることにより、ステップS11で算出された目標加減速度GL * と同一値の減速度を表す目標加減速度G* (n) が算出される。このため、ステップS30で目標加減速度G* に基づいて目標スロットル開度θ* が算出され、これがエンジン出力制御装置9に出力されることにより、スロットル開度が制御され、次いでステップS31に移行して、目標制動圧PB * が算出され、これが制動制御装置8に出力されることにより、目標車間距離L* を維持するようにディスクブレーキ7が制動状態に制御されて、減速制御状態となる。
【0051】
したがって、先行車との相対速度ΔVREが小さく、車間距離偏差ΔLが小さい場合には、ステップS11で算出される目標加減速度GL * が負で絶対値が小さい値となることから、ステップS30で目標スロットル開度θ* がエンジン回転速度NE に応じて20%以下の小さい値に設定され、これに応じてスロットルバルブ11が制御されることにより、エンジンブレーキが作動される。次いでステップS31で目標制動圧PB * が演算されるが、この状態では目標制動圧PB * が“0”又はこれに近い値となり、ディスクブレーキ7で発生される制動力は小さい値となる。
【0052】
これに対して、先行車との相対速度ΔVREが大きく、車間距離偏差ΔLが大きい場合には、目標加減速度GL * が負で絶対値が大きい値となることから、ステップS30で算出される目標スロットル開度θ* が全閉状態の“0”に設定され、最大のエンジンブレーキが作動される共に、ステップS31でエンジンブレーキでの制動力の不足分に相当する大きな値の目標制動圧PB * が算出され、これが制動制御装置8に出力されることにより、ディスクブレーキ7で大きな制動力が発生されて、実車間距離Lが目標車間距離L* に一致するように制動制御され、先行車に目標車間距離L* を維持して追従走行する状態となる。
【0053】
この追従走行状態から、先行車が赤信号等で減速しながら停止すると、これに応じて自車両も減速して行き、先行車が停止すると、ステップS12からステップS15に移行し、前回の制御周期では停止物を検出していないので、ステップS16に移行し、追従制御状態フラグFFが“1”にセットされているので、そのままステップS23に移行する。このため、減速度制限値記憶領域には、前回の制御周期における通常の減速度制限値GU がそのまま維持されることになり、ステップS11で算出される負の目標加減速度GL * に基づいて目標スロットル開度θ* 及び目標制動圧PB * が算出されて、エンジンブレーキ及びディスクブレーキ7での制動力による制動状態が継続されて、自車両も先行車に対して停止距離LS を保って停止状態となる。
【0054】
ところが、先行車を捕捉していない車速制御状態で、車間距離センサ12で走行路脇に設置された路側リフレクタ、車間距離確認用表示板、キャッツアイ等の静止物を検出することにより、車間距離Lが出力される状態となると、図2の制御処理において、ステップS3からステップS7〜S11に移行し、静止物を検出していることから“0”の先行車車速Vtが算出されると共に、静止物との車間距離Lに応じた減速度を表す比較的大きな負の追従制御用目標加減速度GL * が算出される。このため、ステップS12で停止している先行車と誤認識してステップS15に移行する。
【0055】
このとき、前回の制御周期では車速制御状態であり、停止検出状態ではないので、ステップS16に移行し、追従制御状態フラグFFが“0”にリセットされているので、ステップS17に移行して、タイマを初期化してから作動を開始させ、次いでステップS18に移行して、比較的小さい値に設定された初期減速度制限値GL0を減速度制限値GL として設定し、これが減速度制限値記憶領域に更新記憶される。
【0056】
このため、ステップS23で、目標加減速度G* が負の比較的大きな値の追従制御用目標加減速度GL * に設定されていることからステップS23で算出される目標加減速度変化量ΔG* が負の大きな値となるため、ステップS24からステップS25に移行し、減速度制限値GL が小さい値の初期減速度制限値GL0に設定されているので、ΔG* <−GL となり、ステップS26に移行して、小さい値の減速度制限値GL の負値−GL が目標加減速度変化量ΔG* として設定され、これが目標加減速度変化量記憶領域に更新記憶され、ステップS27で前回の目標加減速度G* (n-1) に目標加減速度変化量ΔG* が加算されて今回の目標加減速度G* (n) が算出される。この結果、前回が定速走行状態における加速状態であったときには、そのときの加速度を表す目標加減速度G* (n-1) から目標加減速度変化量ΔG* が減算されることになり、減速方向に向かい。前回が定速状態における減速状態であったときには、減速度の増加が初期減速度制限値GL0に抑制される。
【0057】
この結果、ステップS30で、変化量ΔG* が初期減速度制限値GL0に制限された目標加減速度G* に基づいてエンジンブレーキを作動させる目標スロットル開度θ* が算出され、次いでステップS31でエンジンブレーキでの制動力の不足分に相当する比較的小さな正の値でなる目標制動圧PB * が算出され、これが制動制御装置8に出力されることにより、ディスクブレーキ7で小さな制動力が発生され、緩やかに減速度が増加されて、停止検出時減速制御が開始される。
【0058】
その後、次の制御周期で、停止物の検出状態が継続している場合には、ステップS3からステップS7〜S12を経てステップS15に移行し、前回の制御周期では停止物を検出しているので、ステップS19に移行し、タイマが作動されたばかりであるので、ステップS18に移行して、減速度制限値GL として初期減速度GS0を設定する状態を継続することにより、緩減速状態が継続される。
【0059】
この緩減速状態を継続している間に、自車両が進行して、車間距離センサ12で今まで検出していた路肩リフレクタ、車間距離確認用表示板、キャッツアイ等の静止物が車間距離センサ12の検出範囲外となると、先行車を捕捉しない状態に復帰することになり、図2の追従制御処理において、ステップS3からステップS4に移行することにより、自車速Vsを運転者の設定した目標車速V* に一致させる車速制御状態に復帰する。
【0060】
一方、車速制御状態で、渋滞等で停止している先行車を検出した場合には、上記した路側リフレクタ、車間距離確認用表示板、キャッツアイ等の静止物を誤認識した場合と同様に、ステップS1〜S3、S7〜S12を経てステップS15に移行し、前回の制御周期で停止物を検出していないのでステップS16に移行し、追従制御状態フラグFFが“0”にリセットされているので、ステップS17に移行して、タイマを初期化してから作動させ、次いでステップS18に移行して、初期減速度制限値GS0を減速度制限値GL として設定し、これを減速度制限値記憶領域に更新記憶することにより、ステップS11で算出された追従制御用目標加減速度GL * の増加量が初期減速度制限値GS0に制限された停止検出時緩減速制御が開始され、運転者に減速制御が開始されたことを認識させることができる。そして、次の制御周期でも、ステップS15からステップS19を経てステップS18に移行して、追従制御用目標加減速度GL * の増加量が初期減速度制限値GS0に制限された停止検出時緩減速制御を維持する。
【0061】
その後、停止している先行車の検出状態が継続して、タイマの計時が第1の所定時間T1 を経過する状態となると、ステップS19からステップS20に移行することにより、現在の初期減速度制限値GS0に設定された減速度制限値GL に予め所定値に設定された制限加算値ΔGを加算して新たな減速度制限値GL を算出するので、減速度制限値GL が徐々に増加することになり、これが減速度制限値記憶領域に更新記憶されるので、ステップS26で算出される目標加減速度変化量ΔG* も徐々に大きな値となり、これに応じてステップS27で算出される今回の目標加減速度G* (n) の増加量が大きくなる。
【0062】
したがって、ステップS30で算出される目標加減速度G* の減速度が制限加算値ΔGだけ増加し、これに応じてステップS31で算出される目標制動圧PB * が増加されて、自車両の減速度が増加される。
その後、図2の追従制御処理が繰り返される毎に減速度制限値GL が制限加算値ΔGだけ増加することにより、ステップS31で算出される目標制動圧PB * が順次増加し、これに応じてディスクブレーキ7で発生する制動力が増加されて、自車両の減速度が増加される。そして、ステップS23で算出される目標加減速度変化量ΔG* が減速度制限値−GL を下回ることになると、目標加減速度変化量ΔG* がそのまま維持されて減速度変化制限が解除されることになり、このときの追従制御用目標加減速度GL * に基づいて目標制動圧PB * が算出されて、通常の減速制御状態に復帰する。
【0063】
また、減速度制限値GL が上限値GLMAXを超えると、ステップS21からステップS22に移行して、減速度制限値GL が上限値GLMAXに制限されることにより、追従制御用目標加減速度GL * が上限値GLMAXを越えたときだけ、上限値GLMAXに制限される最大減速度可能状態となり、この状態を維持して自車両を停止させる。
【0064】
この車速制御状態から停止検出時減速状態に移行することにより、初期減速度制限値GL0に基づく小さな減速度制限値で追従制御用目標加減速度を制限する停止検出時減速制御状態となったときに、この減速制御状態から運転者が前方の停止車両を認識して自らブレーペダルを踏込んで、制動動作を開始した場合には、ブレーキスイッチ17がオン状態となることにより、ステップS1からそのままタイマ割込処理を終了することになり、追従走行制御を行うことなく、運転者の制動操作に従うことになる。
【0065】
このように、上記第1の実施形態によると、先行車を捕捉しておらず、自車速を運転者の設定した目標車速V* に一致するように制御する車速制御状態から停止物を検出する状態となったときには、第1の所定時間T1 が経過するまでの間は比較的小さい値の初期減速度制限値GL0に設定された減速度制限値GL に基づいて追従制御用目標加減速度GL * の増加量を制限して緩減速制御を行い、第1の所定時間T1 が経過した後も停止物を継続して検出している場合には、制御周期毎に減速度制限値GL を所定値の制限加算値ΔGだけ増加するので、路側リフレクタ、車間距離確認用表示板、キャッツアイ等を停止している先行車として誤認識した場合には、自車両の進行によって誤認識が解消されることにより、初期減速度制限値GL0又はこれより僅かに増加した程度の比較的小さい減速度制限値GL で追従制御用目標加減速度GL * の増加量を制限している減速度制限状態から車速制御状態に復帰することになり、大きな車速変動を生じることがなく、運転者に違和感を与えることを回避することができる。
【0066】
一方、実際に停止している先行車を検出した場合には、第1の所定時間T1 経過後にも停止物の検出状態が継続されることにより、初期減速度制限値GS0の状態から減速度制限値GL が制御周期毎に所定値の制限加算値ΔGだけ増加されることを繰り返し、上限値GLMAXまで減速度制限値GL が増加されるので、停止している先行車に余裕を持って停止することができる。
【0067】
しかも、目標加減速度GL * そのものを制限するのではなく、目標加減速度GL * の変化量即ち増加量に対して制限を加えるようにしているので、減速制御を行う場合の減速度が一定値に抑制されることがなく、初期減速度制限値GL0に設定されている状態でも減速度は徐々にではあるが増加することになり、実際に停止している先行車を検出した場合に、減速度不足を生じることがなく、良好な減速度制御を行うことができる。
【0068】
なお、上記第1の実施形態においては、実際に先行車が停止している場合に、第1の所定時間T1 経過後に、停止検出時減速度制限値GL を上限値GSMAXまで増加させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、自車速Vsが“0”となったときに、そのときの減速度制限値GL を維持するか、予め設定した所定値の減速度減速度制限値GLTに切換えるようにしてもよい。
【0069】
次に、本発明の第2の実施形態を図3及び図4を伴って説明する。
この第2の実施形態では、停止検出時減速制御における第1の所定時間T1 経過後の減速度制限値GL の増加量をそのときの車間距離Lに基づいて設定するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態においては、追従制御用コントローラ20で実行する追従制御処理が、図3に示すように、前述した第1の実施形態における図2の処理において、ステップS19及びステップS20の間に、車間距離Lをもとに、予めROM等の記憶装置に格納された図4の制限加算値算出用制御マップを参照して制限加算値ΔGL を算出するステップS31が介挿され、ステップS20が、算出した制限加算値ΔGL を減速度制限値GL に加算して新たな減速度制限値GL を算出するように変更されていることを除いては図2と同様の処理を行い、図2との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0070】
ここで、図4の制限加算値算出用制御マップは、車間距離Lを横軸にとり、制限加算値ΔGL を縦軸にとり、車間距離センサ12で検出した車間距離Lが“0”から所定値LL までの車間距離が短い状態では、制限加算値ΔGL が最大値ΔGLMAXに維持され、車間距離が所定値LL を超えると、車間距離LL の増加に応じて制限加算値ΔGL が徐々に減少するように設定されている。
【0071】
この第2の実施形態によると、路側リフレクタ、車間距離確認用表示板、キャッツアイ等を停止している先行車として誤認識した場合や実際に停止している先行車を検出した時点で、前述した第1の実施形態と同様に、初期減速度制限値GL0に基づく減速度制限値GL が設定されて、停止検出時減速度制限処理が開始されるが、停止物の検出を第1の所定時間T1 が経過しても継続する場合に、ステップS19からステップS31に移行し、そのときの車間距離Lをもとに制限加算値算出用制御マップを参照して車間距離Lに応じた制限加算値ΔGL が算出され、次いでステップS20で減速度加算値ΔGL が現在の減速度制限値GL に加算されて新たな減速度制限値GL が算出されるので、停止物が停止している先行車である確率が高くなった時点で、そのときの車間距離Lが長く余裕がある場合には、小さな制限加算値ΔGL が算出されることにより、第1の所定時間T1 経過後に減速度制限値GL が緩勾配で連続的に緩やかに増加される。
【0072】
逆に、第1の所定時間T1 経過後の車間距離Lが所定値LL 以下であるときには、減速度加算値ΔGL が最大値ΔGLMAXに設定されることにより、第1の所定時間T1 経過後に減速度制限値GL が比較的急勾配で連続的に増加される。
したがって、車間距離Lに応じて制限加算値ΔGL を設定することにより、自車両の走行状態に応じて最適な制限加算値ΔGL を設定することができ、より安定した停止検出時減速度制限処理を行うことができる。
【0073】
次に、本発明の第3の実施形態を図5及び図6を伴って説明する。
この第3の実施形態では、上記第2の実施形態における車間距離Lに代えて相対速度ΔVREに基づいて減速度加算値ΔLRVを算出するようにしたものである。すなわち、第3の実施形態では、追従制御用コントローラ20で実行する追従制御処理が、図5に示すように、前述した第2の実施形態における図3の処理において、ステップS31の処理が省略され、これに代えて、相対速度ΔVREをもとに予めROM等の記憶装置に格納された図6に示す制限加算値算出用制御マップを参照して制限加算値ΔGRVを算出するステップS41が介挿されていることを除いては、図3と同様の処理を行い、図3との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0074】
ここで、図6の制限加算値算出用制御マップは、横軸に相対速度を、縦軸に減速度加算値ΔGRVを夫々とり、ステップS6で算出した相対速度ΔVREが負の所定値ΔVRES より小さいとき即ち停止物に対する自車速Vsが大きいときには、制限加算値ΔGRVが最大値ΔGRVMAX に維持され、相対速度ΔVREが所定値ΔVRES 以上となると、相対速度ΔVREの増加に応じて制限加算値ΔGRVが徐々に減少し、相対速度ΔVREが“0”を越えて僅かに正値となった時点で制限加算値ΔGRVが“0”となるように設定されている。
【0075】
この第3の実施形態によると、路側リフレクタ、車間距離確認用表示板、キャッツアイ等を停止している先行車として誤認識した場合や実際に停止している先行車を検出した時点で、前述した第1及び第2の実施形態と同様に、追従制御用目標加減速度GL * に基づく目標減速度G* の変化量が初期減速度制限値GL0に基づく減速度制限値GL によって制限され、停止検出時減速制御が開始されるが、停止物の検出を第1の所定時間T1 が経過しても継続する場合に、ステップS19からステップS41に移行し、そのときの相対速度ΔVREをもとに図6の制限加算値算出用制御マップを参照して相対速度ΔVREに応じた制限加算値ΔGRVが算出され、次いでステップS20で制限加算値ΔGRVが現在の減速度制限値GL に加算されて新たな減速度制限値GL が算出されるので、相対速度ΔVREが所定値ΔVRVS より小さいとき即ち停止物に対する自車速Vsが大きいときには、減速制御の余裕がないものと判断して、制限加算値ΔGL が最大値ΔGLMAXに設定されることにより、第1の所定時間T1 経過後に減速度制限値GL が比較的急勾配で連続的に増加されることにより、通常の追従制御状態に急速に復帰する停止検出時減速度制限処理が行われる。
【0076】
この停止検出時減速度制限処理によって、自車速Vsが減速することから相対速度ΔVREが正方向に向かい所定値ΔVRVS 以上となると、そのときの相対速度ΔVREが大きくなるにつれて小さな制限加算値ΔGRVが算出されることにより、減速度制限値GL の増加勾配が徐々に緩やかとなり、自車両の停止時には減速度加算値ΔGRVが小さい値となって、減速度の増加が抑制された状態となり、不用意な減速度の増加を抑制することができる。
【0077】
次に、本発明の第4の実施形態を図7を伴って説明する。
この第4の実施形態では、前述した第2の実施形態及び第3の実施形態で設定される制限加算値ΔGL 及びΔGRVの何れか大きい値を制限加算値ΔGS として設定するようにしたものである。
すなわち、第4の実施形態では、図7に示すように、前述した第2の実施形態における図3の処理において、ステップS31及びステップS20間に、第3の実施形態におけるステップS41と、ステップS31で算出する制限加算値ΔGL とステップS41で算出する制限加算値ΔGRVとの何れか大きい方を選択して制限加算値ΔGS として設定するステップS51とが介挿されていることを除いては図3と同様の処理を行い、図3との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0078】
この第4の実施形態によると、路側リフレクタ、車間距離確認用表示板、キャッツアイ等を停止している先行車として誤認識した場合や実際に停止している先行車を検出した時点で、前述した第1〜第3の実施形態と同様に、追従制御用目標加減速度GL * に基づく目標減速度G* の変化量が初期減速度制限値GL0に基づく減速度制限値GL によって制限され、停止検出時減速制御が開始されるが、停止物の検出を第1の所定時間T1 が経過しても継続する場合に、ステップS19からステップS31に移行し、そのときの車間距離Lをもとに図4の制限加算値算出用制御マップを参照して制限加算値ΔGL を算出し、次いでステップS41に移行し、そのときの相対速度ΔVREをもとに図6の制限加算値算出用制御マップを参照して車間距離Lに応じた制限加算値ΔGRVを算出し、次いでステップS51に移行して、算出された両制限加算値ΔGL 及びΔGRVの何れか大きい方を制限加算値ΔGS として設定し、これに応じて減速度制限値GL の増加量を制御する。
【0079】
このため、第1の所定時間T1 経過後に、例えば車間距離Lが比較的長くて、算出される制限加算値ΔGL が小さい場合でも、自車速Vsが速くて相対速度ΔVREが小さいときには、制限加算値ΔGRVが大きな値となることにより、この制限加算値ΔGRVが制限加算値ΔGS として選択されることにより、ステップS20で制限加算値ΔGS が減速度制限値GL に加算されるため、減速度制限値GL が比較的急勾配で連続的に増加される停止検出時減速度制限処理が行われる。
【0080】
この停止検出時減速度制限処理によって相対速度ΔVREが正方向に向かうと、これに基づく制限加算値ΔGRVが小さい値となり、一方、車間距離Lは停止物に近づくことにより、徐々に小さくなるため、この車間距離Lに基づく制限加算値ΔGL は徐々に大きくなり、制限加算値ΔGL が制限加算値ΔGRVを越えたときに、この制限加算値ΔGRVが選択されて制限加算値ΔGS に設定され、車間距離Lに応じた停止検出時減速度制限処理に切換えられる。
【0081】
したがって、停止検出時減速度制限処理が車間距離L及び相対速度ΔVREの双方を考慮して行われるので、より運転者の走行制御感覚に適合した自車両の走行状態に最適な停止検出時減速度制限処理を行うことができる。
次に、本発明の第5の実施形態を図8及び図9を伴って説明する。
この第5の実施形態においては、停止物を検出したときに初期減速度制限値GL0を維持する第1の所定時間T1 を自車速Vsに応じて変更することにより、減速度の増加勾配を制御するようにしたものである。
【0082】
すなわち、第5の実施形態では、図8に示すように、前述した第1の実施形態における図2の処理において、ステップS15とステップS19との間に、自車速Vsをもとに予めROM等の記憶装置に記憶された図9に示す所定時間算出用制御マップを参照して第1の所定時間T1 を算出するステップS61が介挿され、ステップS19で算出された第1の所定時間T1 が経過したか否かを判定するようにしたことを除いては、前述した図2と同様の構成を有し、図2との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0083】
ここで、所定時間算出用制御マップは、図9に示すように、横軸に自車速Vsをとり、縦軸に第1の所定時間T1 をとり、自車速Vsが“0”から市街地走行に相当する所定値V1 に達するまでの間は、第1の所定時間T1 が比較的小さい最小値T1MINを維持し、自車速Vsが所定値V1 を越えると、自車速Vsの増加に比例して第1の所定時間T1 が増加するように設定されている。
【0084】
この第5の実施形態によると、路側リフレクタ、車間距離確認用表示板、キャッツアイ等を停止している先行車として誤認識した場合や実際に停止している先行車を検出した時点で、前述した第1の実施形態と同様に、追従制御用目標加減速度GL * に基づく目標減速度G* の変化量が初期減速度制限値GL0に基づく減速度制限値GL によって制限され、停止検出時減速制御が開始されるが、この初期減速度制限値GL0を維持する第1の所定時間T1 が自車速Vsに応じて設定されるので、例えば市街地を高速道路に比較して低速で走行する場合には、第1の所定時間T1 が最小値T1MINに設定されることにより、タイマの計時が早めに第1の所定時間T1 に達することになるので、ステップS19からステップS20に移行して、減速度制限値GL の加算処理が早めに実行されることになり、例えば、見通しの悪いコーナーを通過中に停止している先行車を検出した場合でも、早めに減速度制限値の増加が開始されることにより、減速度を早めに増加させることができ、静止物の誤検出防止よりも制動制御を重視した安定した減速度制限処理を行うことができる。
【0085】
逆に、高速道路を高速走行している場合には、第1の所定時間T1 が大きな値に設定されるので、減速度制限値GL を初期減速度制限値GL0に維持する時間が長くなることにより、路側リフレクタ、車間距離確認用表示板、キャッツアイ等の静止物を誤検出したときに、初期減速度制限値GL0の増加を抑制して、運転者の感覚に合わせた停止検出時減速度制限処理を行うことができる。
【0086】
なお、上記第5の実施形態においては、前述した第1の実施形態に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、第2〜第4の実施形態においても、ステップS15及びステップS19間に第1の所定時間T1 を算出するステップS61を設けることにより、第5の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0087】
次に、本発明の第6の実施形態を図10及び図11を伴って説明する。
この第6の実施形態は、停止物を検出したときに初期減速度制限値GL0を維持する第1の所定時間T1 の時間経過後の減速度制限値の増加勾配を自車速Vsに応じて制御するようにしたものである。
すなわち、第6の実施形態では、図10に示すように、前述した第2の実施形態における図3の処理において、ステップS31の処理が省略され、これに代えて、自車速Vsをもとに予めROM等の記憶装置に格納された図11に示す制限加算値算出用制御マップを参照して制限加算値ΔGV を算出するステップS71が介挿されていることを除いては、図3と同様の処理を行い、図3との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0088】
ここで、図11の制限加算値算出用制御マップは、横軸に自車速Vsを、縦軸に減速度加算値ΔGV を夫々とり、自車速Vsが“0”から予め設定された所定値V1 に達するまでの間では、制限加算値ΔGV が最大値ΔGVMAXに維持され、自車速Vsが所定値V1 を越えると、自車速Vsのの増加に応じて制限加算値ΔGV が徐々に減少し、自車速Vsが所定値V1 に達すると制限加算値ΔGV が“0”となるように設定されている。
【0089】
この第6の実施形態によると、路側リフレクタ、車間距離確認用表示板、キャッツアイ等を停止している先行車として誤認識した場合や実際に停止している先行車を検出した時点で、前述した第1及び第4の実施形態と同様に、追従制御用目標加減速度GL * に基づく目標減速度G* の変化量が初期減速度制限値GL0に基づく減速度制限値GL によって制限され、停止検出時減速制御が開始されるが、停止物の検出を第1の所定時間T1 が経過しても継続する場合に、ステップS19からステップS71に移行し、そのときの自車速Vsをもとに図11の制限加算値算出用制御マップを参照して自車速Vsに応じた制限加算値ΔGV が算出され、次いでステップS20で制限加算値ΔGV が現在の減速度制限値GL に加算されて新たな減速度制限値GL が算出されるので、市街地走行時のように自車速Vsが所定値V1 未満で走行しているときには、見通しの悪いコーナーで停止している先行車を検出する場合のように、減速制御の余裕がない場合があると判断して、制限加算値ΔGL が最大値ΔGLMAXに設定されることにより、第1の所定時間T1 経過後に減速度制限値GL が比較的急勾配で連続的に増加され、通常の追従制御状態に急速に復帰する停止検出時減速度制限処理が行われ、安定した減速度制御を行うことができる。
【0090】
一方、高速道路を高速走行している場合には、制限加算値ΔGV が小さい値となることにより、減速度制限値GL の増加勾配が緩やかとなり、緩やかに減速しながら停止時減速度制限処理が行われ、自車速Vsが減少するに応じて制限加算値ΔGV が大きな値となるので、高速走行時の過剰な減速状態が発生することを防止して、運転者の制動感覚により適合した減速度制限処理を行うことができる。
【0091】
なお、上記第6の実施形態においては、制限加算値ΔGV を自車速Vsに応じて変更する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、前述した第2〜第4の実施形態で算出した制限加算値ΔGL 、ΔGRV及びΔGS の何れかに対して図12に示すように自車速Vsが所定値V1 に達するまでは“1”を維持し、自車速Vsが所定V1 を越えたときには、自車速Vsの増加に応じて減少する係数KV を乗算することにより、減速度制限値GL (=KV ・ΔGi ,i=L,RV,S)を算出して、より運転者の制動感覚に適合させるようにしてもよい。
【0092】
また、上記各実施形態においては、減速度制限値GL を増加させる制御周期が一定である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、この制御周期を車間距離L及び/又は相対車速ΔVRE、自車速Vs等に応じて制御することにより、前述した第2〜第4及び第6の実施形態と同様に減速度制限値GL の増加勾配を制御することができる。
【0093】
さらに、上記各実施形態においては、目標加減速度G* の変化量を抑制する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、目標加減速度G* そのものを制限するようにしてもよい。
さらにまた、上記各実施形態においては、先行車車速Vtが“0”近傍の閾値VTH以下であるときに先行車が停止状態であると判断するようにした場合について説明したが、先行車車速Vtが“0”であるときに先行車が停止状態であると判断するようにしてもよい。
【0094】
なおさらに、上記各実施形態においては、追従制御用コントローラ20でソフトウェアによる演算処理を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、関数発生器、比較器、演算器等を組み合わせて構成した電子回路でなるハードウェアを適用して構成するようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、ブレーキアクチュエータとしてディスクブレーキ7を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ドラムブレーキ等の他のアクチュエータを適用することができることは勿論、制動圧以外に電気的に制御されるブレーキアクチュエータを適用することもでき、この場合には、ステップS27で目標制動圧PB * に代えて、目標電流等の指令値を演算し、これを指令値に基づいてブレーキアクチュエータを制御する制動制御装置8に出力するようにすればよい。
【0095】
さらに、上記各実施形態においては、後輪駆動車に本発明を適用した場合について説明したが、前輪駆動車に本発明を適用することもでき、また回転駆動源としてエンジン2を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動モータを適用することもでき、さらには、エンジンと電動モータとを使用するハイブリッド仕様車にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の追従制御用コントローラにおける演算処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態を示す追従制御用コントローラにおける演算処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態に適用し得る制限加算値算出用制御マップを示す特性線図である。
【図5】本発明の第3の実施形態を示す追従制御用コントローラにおける演算処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態に適用し得る制限加算値算出用制御マップを示す特性線図である。
【図7】本発明の第4の実施形態を示す追従制御用コントローラにおける演算処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第5の実施形態を示す追従制御用コントローラにおける演算処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】第5の実施形態に適用し得る制限加算値算出用制御マップを示す特性線図である。
【図10】本発明の第6の実施形態を示す追従制御用コントローラにおける演算処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】第6の実施形態に適用し得る制限加算値算出用制御マップを示す特性線図である。
【図12】本発明の変形例を示す係数と自車速との関係を表す制御マップを示す特性線図である。
【符号の説明】
2 エンジン
3 自動変速機
7 ディスクブレーキ
8 制動制御装置
9 エンジン出力制御装置
10 変速機制御装置
11 スロットルバルブ
12 車間距離センサ
13 車速センサ
14 エンジン回転速度センサ
15 トルクコンバータ出力回転速度センサ
16 スロットル開度センサ
17 ブレーキスイッチ
20 追従制御用コントローラ

Claims (7)

  1. 自車両の車速を検出する車速検出手段と、自車両前方の追従制御対象車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、目標車間距離を設定する目標車間距離設定手段と、該目標車間距離設定手段で設定した目標車間距離と前記車間距離検出手段で検出した車間距離との車間距離偏差を小さくするように自車両の駆動力及び制動力の何れかを制御する動力制御手段とを備えた車両用追従走行制御装置において、前記動力制御手段は、停止物を検出する停止状態検出手段と、前記停止状態検出手段で停止物を検出したときに、減速度の増加量を初期減速度制限値に制限して緩減速制御を開始し、停止物の検出を継続している場合に前記初期減速度制限値を走行路脇に設置された静止物を検出する誤検出による停止物検出の可能性がある第1の所定時間が経過するまで維持し、当該第1の所定時間経過後に減速度制限値を増加させる停止検出時減速度制限手段とを備えていることを特徴とする車両用追従走行制御装置。
  2. 前記停止検出時減速度制限手段は、初期減速度を前記第1の所定時間維持した後、第2の所定時間が経過する毎に所定制限加算値を減速度制限値に加算して新たな減速度制限値を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用追従走行制御装置。
  3. 前記停止検出時減速度制限手段は、初期減速度制限値を前記第1の所定時間維持した後、第2の所定時間が経過する毎に車間距離検出手段で検出した車間距離に基づいて算出した制限加算値を減速度制限値に加算して新たな減速度制限値を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用追従走行制御装置。
  4. 前記停止検出時減速度制限手段は、初期減速度制限値を前記第1の所定時間維持した後、第2の所定時間が経過する毎に相対速度検出手段で検出した相対速度に基づいて算出した制限加算値を減速度制限値に加算して新たな減速度制限値を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用追従走行制御装置。
  5. 前記停止検出時減速度制限手段は、初期減速度制限値を前記第1の所定時間維持した後、第2の所定時間が経過する毎に車間距離検出手段で検出した車間距離に基づいて算出した制限加算値と相対速度検出手段で検出した相対速度に基づいて算出した制限加算値とに基づいて制限加算値を算出し、算出した制限加算値を減速度制限値に加算して新たな減速度制限値を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用追従走行制御装置。
  6. 前記停止検出時減速度制限手段は、初期減速度制限値を前記第1の所定時間維持した後、第2の所定時間が経過する毎に車速検出手段で検出した自車速に基づいて算出した制限加算値を減速度制限値に加算して新たな減速度制限値を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用追従走行制御装置。
  7. 前記停止検出時減速制御手段は、前記第1の所定時間及び第2の所定時間の何れかを車速検出手段で検出した自車速に基づいて変更するように構成されていることを特徴とする請求項2乃至6の何れかに記載の車両用追従走行制御装置。
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