JP2004101392A - 双音さ型振動ジャイロセンサ - Google Patents

双音さ型振動ジャイロセンサ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明はコリオリ力を利用した角速度センサにおいて、水平横置きタイプの双音さ型の構造とし、回転の検出モードに面内非対称屈曲2次モードを利用し、また支持面積を広くとることができるようにしたので、耐振動性、耐衝撃性に優れた高精度な角速度センサを提供することを目的とする。
【解決手段】二本のアーム部と前記アーム部に形成した駆動用電極と前記アーム部の両端を支持する双音さ支持部とが一体となった双音さ型振動ジャイロセンサにおいて、前記双音さ支持部に接続する検出部と、前記検出部に形成された検出電極と、前記検出部の支持固定部とを備え、回転時に前記アーム部に働くコリオリ力を双音さ支持部を介して検出部に伝え、検出部に面内非対称屈曲2次モードの屈曲振動を生起せしめたことを特徴とする双音さ型振動ジャイロセンサ。
【選択図】         図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コリオリ力を利用した振動ジャイロセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
物体の回転を検出するセンサーとして、コリオリ力を応用した音さ型振動ジャイロセンサーが広く使われている。特に水平横置き型と呼ばれる音さ型振動ジャイロセンサは薄型化、及び小型化しやすいため、カメラの手振防止用やカーナビゲーションシステム用等、その応用範囲は広い。
近年、車両の走行制御用途向けに水平横置きタイプの音さ型振動ジャイロセンサが研究されるようになってきた。車両の走行制御はまさに車両全体の安全性を左右する生命線であり、この用途向けの振動ジャイロセンサには、特に耐振動衝撃性能に優れ高精度のものが要求される。
【0003】
水平横置きタイプの音さ型振動ジャイロセンサの従来例が以下の文献に紹介されている。(N.Shiratori,Y.Tomikawa and K.Onishi,“Experimental Investigation of Flatly Supported Vibratory Gyro−Sensor Using QuartzCrystal Trident−Type Tuning Fork Resonator”,Transducers’99,No.3P2.26,pp.967−968,(1999).)
この文献で紹介されているものは3脚音さ型振動ジャイロと呼ばれているタイプである。一般に3脚音さ型振動ジャイロは、3本の音さアームの一端を固定しアームの他端をフリーにした片持ち支持構造となっている。
【0004】
また、特開平11−281372号公報において水平横置き型の音さ型振動ジャイロセンサが例示されている。この音さ型振動ジャイロセンサは振動子の重心を一点で支持する構造となっている。
このように、従来の水平横置き型の音さ型振動ジャイロセンサは一点支持、或いは片持ち支持といった支持構造をとっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の水平横置き型の音さ型振動ジャイロセンサは一点支持、あるいは片持ち支持といった構造であり取付部分の面積も狭い。このため、外から振動や衝撃が加わるとセンサの支持部分に振動や衝撃が集中しやすいため、車両走行時のように長時間に渡り多大な振動と衝撃が加わる厳しい環境条件下においては、破損する怖れも高い。また、センサ全体を小型化するとさらに支持部分に衝撃が集中しやすくなるという問題点を抱えている。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、耐振動衝撃性に優れ、かつ高精度で小型化にも対応可能な水平横置き型の音さ型振動ジャイロセンサを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決する為に本発明に係わる請求項1記載の発明は、二本のアーム部と前記アーム部の表面に形成した駆動用電極と前記アーム部の両端を支持する第1、第2の双音さ支持部とが一体となった双音さ型振動ジャイロセンサにおいて、前記第1、第2の双音さ支持部にそれぞれ接続する第1、第2の検出部と、前記第1、第2の検出部のそれぞれに形成された第1、第2の検出電極と、前記第1、第2の検出部のそれぞれの一端を支持する第1、第2の支持固定部とを備え、前記アーム部と前記駆動用電極と前記第1、第2の双音さ支持部と前記第1、第2の検出部と前記第1、第2の検出電極と前記第1、第2の支持固定部とが一体になり回転角速度を検出する双音さ型振動ジャイロセンサであって、該双音さ型振動ジャイロセンサの回転時に前記アーム部に働くコリオリ力によって該アーム部に面内非対称屈曲2次モードの屈曲振動を生起せしめ、前記面内非対称屈曲2次モードの屈曲振動を前記第1、第2の双音さ支持部を介して前記第1、第2の検出部に伝え、前記第1、第2の検出電極から回転角速度の検出信号を出力するようにしたものである。
従って本構成で耐振動、耐衝撃性に優れた効果がある。
【0008】
本発明に係わる請求項2記載の発明は、請求項1において前記双音さ型振動ジャイロセンサの素材として主面の法線方向が結晶軸のZ軸となるようにカットした水晶を用いると共に、前記第1、第2の検出部を短冊状にしたものである。
従って、本構成で耐振動、耐衝撃性に優れ、高精度とする効果がある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図示した実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は本発明に係わる双音さ型振動ジャイロセンサの外観図を示したものである。
なお、図1の紙面と平行な面が水平面(取付面)となっている。
図1に示した双音さ型振動ジャイロセンサは、基板主面の法線方向が結晶Z軸方向となるようにカットしたZ板水晶薄片を双音さ形状に加工し、その表面に所定の電極を形成したものであって、一対の短冊状のアーム部1a、1bと前記アーム部1a、1bの表面に形成した駆動電極2a、2bとを有する駆動部3と、前記駆動部3の両端を支持する第1,第2の双音さ支持部4、5と、第1の検出電極6a、6bを有し前記第1の双音さ支持部4を介して前記アーム部1a、1bの振動を検出する第1の検出部7と、第2の検出電極8a、8bを有し前記第2の双音さ支持部5を介して前記アーム部1a、1bの振動を検出する第2の検出部9と、前記第1の検出部7の一端を支持すると共に前記第1の検出電極6a、6bに接続する一対の引き出し電極10a、10bを有する第1の支持固定部11と、前記第2の検出部9の一端を支持すると共に前記第2の検出電極8a、8bに接続する一対の引き出し電極12a、12bとを有する第2の支持固定部13とを備えている。ここで、図1において図示した前記駆動電極と第1、第2の検出電極と引き出し電極の電極パターンは裏面にも同様な電極パターンが形成され、側面のパターンを介して接続されている。
また、第1、第2の支持固定部は接着材等でセンサのパッケージ等の取り付け面(水平面)に固定されて使用することとなるが、ここでは図示を省略する。
【0010】
図1に示した双音さ型振動ジャイロセンサは次のように動作する。
まず、非回転時の状態を考える。駆動用電極2a、2b間に駆動信号を与えると、図2(a)に示すようにアーム部1a、1bは面内対称屈曲1次振動モードと呼ばれる屈曲振動(駆動モード)が発生する。このときアーム部1a、1bは互いに図中左右対称に振動する。
そこで、この駆動モードで振動している双音さ型振動ジャイロセンサに結晶Z軸周りの角速度(回転)を与える。すると、アーム部1a、1bのそれぞれには一方がY方向(図中上向き)、他方がY方向(図中下向き)のコリオリ力が働く。この結果、前記左右相反するコリオリ力によってアーム部1a、1bは図2(b)に示すような面内非対称屈曲2次モードと呼ばれる屈曲振動(検出モード)が発生する。
【0011】
このとき第1,第2の双音さ支持部4、5にはそれぞれモーメントが発生するので第1,第2の検出部7、9はこれに対応してX方向に振動する。その結果、前記振動に対応して第1の検出部7に設けられた検出電極6a、6b間、及び第2の検出部9に設けられた検出電極8a、8b間にはそれぞれ極性が互いに反転する二つの検出電圧が発生する。
よって、第1、第2の検出部7、9は非回転時(駆動モード時)にはX方向の振動成分がほとんど発生せず、回転時(検出モード時)にのみX方向の振動成分を発生するので、第1、第2の検出部7、9から出力する前記二つの検出電圧の差動成分を検出信号とすれば、回転角速度に比例した電圧を検出信号として得ることができる。なお、回転方向が逆になると検出信号の極性が反転する。
【0012】
次に、本発明に係わる双音さ型振動ジャイロセンサをシミュレーションした結果について説明する。図3〜図5は図1に示した形状のものを汎用解析ソフトであるANSYS Rev.6.0(ANSYS Inc)を用いてシミュレーションを行った結果を示したものである。
図3は双音さ型振動ジャイロセンサの検出部7、9の幅W3(横軸)に対する共振周波数(縦軸)の変化を示したものである。ここで、共振周波数とは駆動電極2a、2bに印加する駆動信号の周波数を一定振幅で変化させたときに、アーム部1a、1bが最も良く振動する周波数のことをいい、このとき振動の振幅が最大となる。
【0013】
図3において実線Aは駆動モード時(非回転時)の共振周波数を、実線Bは検出モード(回転時)の共振周波数のシミュレーション結果を示している。図3が示すように検出電極W3の幅に比例して検出モードの共振周波数が変化し、またW3=0.358[mm]付近で駆動モードと検出モードの共振周波数が一致していることが分かった。
【0014】
次に図3のシミュレーション結果から、駆動モードと検出モードにおける共振周波数が少し異なるように検出部幅をW3=0.356[mm]とし、共振周波数の差すなわち離調周波数をfΔ=57.9[Hz]として選択した。これは、駆動モードと検出モードの二つの振動が混在して発生しないように考慮している。
そこで、回転角速度をΩz=1[rad/sec]一定で駆動信号の周波数を変化させたとき、駆動周波数(横軸)に対する検出電圧の差動成分(縦軸)の振幅、位相特性をシミュレーションした結果を図4に示す。
【0015】
図4において実線Cは振幅特性を、実線Dは位相特性のシミュレーション結果を示している。ここで、振幅特性の縦軸の値は検出電圧の差動成分(Vo1−Vo2)の駆動信号振幅値(Vi)に対する電圧比(Vo1−Vo2)/Viとして表示している。
図4が示すように、駆動周波数fdr=32408[Hz]のとき、検出信号(差動成分)の最大値が得られた。
【0016】
次に、Z軸周りの回転角速度Ωz(横軸)に対する検出信号(縦軸)の変化についてシミュレーションした結果を図5に示す。ここで、検出電極幅W3=0.356[mm]、及び駆動信号周波数fdr=32408[Hz]としている。
図5のシミュレーション結果が示すように、検出信号は回転角速度Ωzに比例し、回転方向が反転するとそれに応じて検出信号の極性も反転していることが分かる。
【0017】
従って、図3〜5のシミュレーション結果から、双音さ型の振動ジャイロセンサを水平横置きタイプの角速度センサとして利用可能なことが分かった。また、以上説明したように、双音さ型の振動ジャイロセンサは支持固定部を二つ備える構造であり支持面積を広くとることができるので、外部からの振動や衝撃が特定の部位に集中しにくい構造とすることができる。よって、従来の片持ち型や一点支持型といった構造のものよりも耐振動性、耐衝撃性に優れたものとすることができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように、コリオリ力を利用した角速度センサにおいて、水平横置きタイプの双音さ型の構造とし、回転の検出モードに面内非対称屈曲2次モードを利用し、また支持面積を広くとることができるようにしたので、自動車等で利用する上で必要とされる耐振動性、耐衝撃性に優れた高精度な角速度センサを提供する上で著効を奏す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る双音さ型振動ジャイロセンサの外観図。
【図2】本発明に係る双音さ型振動ジャイロセンサの屈曲振動の様子を示した図。
【図3】本発明に係る双音さ型振動ジャイロセンサのシミュレーション結果。
【図4】本発明に係る双音さ型振動ジャイロセンサのシミュレーション結果。
【図5】本発明に係る双音さ型振動ジャイロセンサのシミュレーション結果。
【符号の説明】
1a、1b…アーム部
2a、2b…駆動電極
3…駆動部
4、5…双音さ支持部
6a、6b…第1の検出電極
7…第1の検出部
8a、8b…第1の検出電極
9…第2の検出部
10a、10b…第1の引出電極
11…第1の支持固定部
12a、12b…第2の引出電極
13…第2の支持固定部

Claims (2)

  1. 二本のアーム部と前記アーム部の表面に形成した駆動用電極と前記アーム部の両端を支持する第1、第2の双音さ支持部とが一体となった双音さ型振動ジャイロセンサにおいて、前記第1、第2の双音さ支持部にそれぞれ接続する第1、第2の検出部と、前記第1、第2の検出部のそれぞれに形成された第1、第2の検出電極と、前記第1、第2の検出部のそれぞれの一端を支持する第1、第2の支持固定部とを備え、前記アーム部と前記駆動用電極と前記第1、第2の双音さ支持部と前記第1、第2の検出部と前記第1、第2の検出電極と前記第1、第2の支持固定部とが一体になり回転角速度を検出する双音さ型振動ジャイロセンサであって、該双音さ型振動ジャイロセンサの回転時に前記アーム部に働くコリオリ力によって該アーム部に面内非対称屈曲2次モードの屈曲振動を生起せしめ、前記面内非対称屈曲2次モードの屈曲振動を前記第1、第2の双音さ支持部を介して前記第1、第2の検出部に伝え、前記第1、第2の検出電極から回転角速度の検出信号を出力するようにしたことを特徴とする双音さ型振動ジャイロセンサ。
  2. 前記双音さ型振動ジャイロセンサの素材として主面の法線方向が結晶軸のZ軸となるようにカットした水晶を用いると共に、前記第1、第2の検出部を短冊状にしたことを特徴とする請求項1記載の双音さ型振動ジャイロセンサ。
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