本発明は、内壁や天井を構成する際に、補強を要する部位に下地板を容易に取り付け得ると共に取り付けた下地板の表面がスタッドの表面と同一平面となるように構成し、或いはランナーに嵌め込まれたとき該ランナーの表面と同一平面となるように構成したスタッドと、このスタッドと下地板,ランナーを用いた壁又は天井の構造に関するものである。
建物の間仕切壁や外壁に沿った内壁を構成する場合、縦材と横材を組み合わせて構成した木製の下地パネルを床部と天井部との間で固定し、この下地パネルに石膏ボードに代表される壁面の主構成材を固定し、更に、この主構成材に内装仕上を施すのが一般的である。このような構造では、間仕切壁を構成する場合には一対の木製の木下地パネルを対峙させて配置すると共に夫々固定することとなる。この技術では、木下地パネルが横材を有することから縦方向に配置される柱を回避することが出来ないため、外壁に沿って配置したときに柱を回避するような場合には、木下地パネルの縦材の外側にしゃくり部を形成しておき、このしゃくり部にジョイント合板を嵌め込んで接続することが行われている(例えば特許文献1参照)。このジョイント合板は単に木下地パネルを接続する機能のみを有するものであり、幅寸法も柱を回避し得る程度である。
最近では間仕切壁を構成する場合、床部と天井部に於ける予め設定された位置に薄い鋼板を溝型に成形した一対のランナーを設置し、このランナーに薄い鋼板を角形に成形したスタッドを嵌め込み、スタッドの両面に石膏ボードを取り付けることが行われている(例えば特許文献2参照)。この構造では、一対のランナーに所定のピッチで複数のスタッドを設置することで内装壁の下地を構成することが可能であり、成形された鋼材が充分な強度を有することから、木製の下地を利用する場合と比較して横材等の材が不要となり極めて有利である。またこの構造は天井を構成する場合にも、天井部に於ける所定高さ位置にランナーを設置すると共に該ランナーに野縁としてのスタッドを嵌め込み、更にスタッドに石膏ボードを取り付けるようにして適用される。
上記ランナーは厚さが約1mm程度の薄い鋼板によって構成されており、スタッドも同様に厚さが約1mm程度の薄い鋼板によって構成されている。またスタッドの外形寸法は、ランナーの内法寸法よりも僅かに小さく形成されており、ランナーに対してスタッドを円滑に嵌め込むことが可能なように構成されている。このように、スタッド,ランナー共に薄い鋼板によって構成されるため、極めて軽量な下地を構成することが可能であり、且つロールフォーミングを含む合理的な工程で製造することが出来る。
一方、天井や壁面にシャンデリアや冷暖房器具等の比較的重量のある設備を設置することがあるが、この場合、石膏ボードに荷重を負担させることが出来ないため、荷重を負担するために例えば所定の厚さを持った合板からなる下地板をスタッドに取り付け、この合板に前記設備を設置するのが一般的である。
上記下地板をスタッドに取り付けた構造について図9,図10により説明する。図に於いて、スタッド51は軽量形鋼からなる角パイプとして構成されている。このスタッド51に厚さ9mm,12mmの合板を取り付ける場合、図10(a),(b)に示すように、予め合板52の厚さに対応した段差を有する受け片53a,54aと、スタッド51に対する取付片53b,54bを設けた接続金物53,54を選択してスタッド51に添わせて固定し、その後、受け片53a,54aに合板52の端部を釘やタッピングビス等を用いて取り付け、更に、図示しない石膏ボードを連続して取り付けている。尚、接続金物54に於ける54cは、合板52を厚さ方向に挟持するための挟持片である。
特開平05−179776号公報
特開2000−027339号公報
上記段落0004に記載した如く、スタッドの外形寸法がランナーの内法寸法よりも僅かに小さい寸法を有することから、スタッドをランナーに嵌め込んだとき、ランナーの表面がスタッドの表面よりも材料の厚さ分室内側に入り込むことになる。このため、スタッドからランナーにかけて壁面や天井面の主構成材となる石膏ボードを取り付けると、この石膏ボードがスタッドの表面からランナーの表面にわたる際に僅かに(約1mm程度)室内側に入り込んで傾斜することになる。特に、構成された壁にドアや引き戸或いは窓等の開口部が形成されている場合、これらの開口部の枠体が直線性を有することから、開口部の床面に近い部位や、開口部が窓である場合には窓枠の下側に形成される壁の上端部位のように、居住者に見える部位では傾斜が強調されることになり、美観上好ましくないため何らかの処置をする必要が生じるという問題がある。
また、従来のスタッドは石膏ボード等の壁面や天井面の主構成材を取り付けることを目的としており、単純な角パイプで充分な機能を発揮していた。しかし、天井や壁にある程度の重量を持った設備(例えば空調設備)を設置しようとした場合、段落0006に記載したように、その都度、合板や接続金物を選択して取り付ける必要が生じ作業性が劣る。特に、最近では天井や壁に重量物を設置する頻度が増加しており、何らかの対策をとる必要が生じている。
また重量物を設置する部位に該重量物を支持するための補強用の下地板を設置する場合、スタッドに下地板を直接取り付けたとき、該下地板とスタッドの間に段差が形成されることとなり好ましいことではない。このため、部品点数を増加させることなく、下地板を合理的に設置するための解決策が求められているのが実情である。
本発明の目的は、ランナーに取り付けたスタッドからなる下地面に、天井面や壁面の主構成材を取り付けたとき、該主構成材の表面に傾斜が形成されることなく、或いは天井や壁に重量を持った設備を設置する際に接続金物を用いることなく、下地板を取り付けることが出来るスタッドと、このスタッドを用いて構成した天井又は壁の構造を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係るスタッドは、壁又は天井に適用されるスタッドであって、スタッドと該スタッドに接合された下地板又はランナーとからなる下地面が同一平面となるように、スタッドの下地板又はランナーと重なる部位に下地板又はランナーの厚さと略等しい凹部を形成したものである。
また他の下地用スタッドは、壁又は天井に適用されるスタッドであって、長手方向に連続する少なくとも二つの隅部に壁又は天井に適用される下地板を取り付けたときスタッドの外面と下地板の表面とが同一面となるように該下地板の厚さと略等しい凹部を形成したものである。
更に他のスタッドは、壁又は天井に適用されるスタッドであって、少なくとも長手方向の一方の端部にランナーに嵌合したときスタッドの外面とランナーの外面が同一面となるように該ランナーの厚さと略等しい凹部を形成したものである。
更に、他のスタッドは、壁又は天井に適用されるスタッドであって、長手方向に連続する少なくとも二つの隅部に下地板を取り付けたときスタッドの外面と下地板の表面とが同一面となるように該下地板の厚さと略等しい凹部を形成すると共に、少なくとも長手方向の一方の端部にランナーに嵌合したときスタッドの外面とランナーの外面が同一面となるように該ランナーの厚さと略等しい凹部を形成したものである。
また本発明に係る壁又は天井の構造は、所定位置に設けたランナーにスタッドを取り付けると共に該スタッドに壁面又は天井面の主構成材を取り付けて構成した構造であって、少なくとも長手方向の一方の端部にランナーに嵌合したときスタッドの外面とランナーの外面が同一面となるように該ランナーの厚さと略等しい凹部が形成されたスタッドを有し、所定位置に設けたランナーに凹部を嵌合させてスタッドを取り付けると共に該スタッドに壁面又は天井面の主構成材を取り付けたものである。
上記壁又は天井の構造に於いて、スタッドに壁又は天井の下地板を取り付けたときスタッドの外面と下地板の表面とが同一面となるようにスタッドの下地板を取り付ける取付部分に下地板の厚さと略等しい凹部を形成し、所定位置に設けたランナーに凹部を嵌合させて取り付けたスタッドの取付部分に下地板を取り付けることが好ましい。
本発明に係るスタッドでは、スタッドに下地板又はランナーを取り付けたとき、これらの表面をスタッドの表面と同一平面とすることが出来る。このため、スタッドのランナーに対応する部位や、下地板の取付部位であっても、下地面に壁面又は天井面の主構成材(例えば石膏ボード、以下単に「主構成材」という)を取り付けたとき、該主構成材の室内側の面、或いは天井下地の天井部の隅部が傾斜するようなことがない。このため、壁に開口部が形成されている場合であっても、凹凸が形成されることがなく、美観を向上させることが出来る。
またスタッドの長手方向の少なくとも連続した二つの隅部に下地板を受け入れる凹部を形成することによって、天井や壁を部分的に高い強度で構成する場合、特別な金物を用いることなく施工することが出来る。このため、作業性を向上させることが出来、且つ接続に要する金物が不要となる分コストを削減することが出来る。
またスタッドに下地板を取り付けたとき、該下地板の表面に凹凸が形成されることがない。このため、天井や壁の仕上がり品質を向上させることが出来る。また下地板を介してスタッドどうしを容易に接続することが出来るため、天井や壁の所望の部位の強度を他の部位よりも高くする場合、簡単に高強度を実現することが出来る。
またスタッドをランナーに取り付けたとき、ランナーの表面とスタッドの表面とが同一平面となり、壁や天井の仕上がり品質を向上させることが出来る。特に、スタッド,ランナーに主構成材を取り付けたときに、該主構成材の表面が全面にわたって平坦な面となり、部分的な傾斜が形成されることがなく、美観を向上することが出来る。
またスタッドを薄い鋼板を成形して構成することによって、充分な強度と剛性を有し且つ軽量化をはかることが可能な天井或いは壁の下地を構成することが出来る。
また本発明に係る下地構造では、内装壁の表面、或いは天井面を平坦な面とすることが出来、且つ重量物を設置する部位には充分な強度を持った主構成材を取り付けることが出来る。このため、壁の床面の近傍や窓の下側、或いは天井の壁面の近傍に傾斜が生じることがなく、美観を向上させた壁面或いは天井面を構成することが出来る。
以下、本発明に係るスタッドの好ましい実施の形態について説明する。本発明のスタッドは比較的に薄い鋼板を成形して構成され、天井や壁に設置したランナーに所定のピッチ(例えば建物に設定されたモジュール寸法の整数倍のピッチ)で配置されるものである。そしてランナーに取り付けられたとき、天井や壁の下地板を取り付ける機能を有するものである。
また本発明に係る壁又は天井の構造は、スタッドに取り付けられた下地板,ランナーの表面をスタッドの表面と同一平面とするものであり、スタッドに取り付けた下地板,ランナーの表面及びスタッドの表面に石膏ボード等の内装壁の主構成材を取り付けたとき、この主構成材の表面を全面にわたって同一平面とし、これにより、主構成材の傾斜や、傾斜に伴う美観の低下を防止することが可能となる。
このため、本発明のスタッドは、下地板又はランナーと重なる部位にこれらの厚さと略等しい凹部が形成されている。本発明に於いて、代表的な下地板としては壁や天井に重量物を設置する際に用いられる合板や合成樹脂板等の板材からなる下地板があり、ランナーとしては床部及び天井部或いは天井から所定寸法下がった位置に設けられ薄い鋼板(軽鉄)を溝型に成形して構成されたランナーがある。
そして、スタッドの所定位置に形成された凹部に対応する下地板或いはランナーを取り付けたとき、スタッドの表面からなる主構成材の取付面と下地板,ランナーの表面とによって構成される下地面が同一平面となるものである。
スタッドの寸法は特に限定するものではないが、幅寸法は壁や天井の主構成材となる石膏ボード等を取り付ける作業を容易に行うことが可能な寸法であることが好ましく、奥行き寸法は間仕切壁の下地としての厚さに対応した寸法或いは外壁に沿った内壁の下地としての厚さに対応した寸法であることが好ましく、長さは壁の下地として機能させる場合には床部から天井部までの高さに対応した寸法、天井の下地として機能させる場合には予め設定された範囲の天井を構成するのに必要な寸法であることが好ましい。
スタッドに重量物を支持する下地板を取り付ける場合、該スタッドには少なくとも連続した二つの隅部に下地板を受け入れる凹部が形成されており、天井や壁に重量を持った設備を設置する際に、合板等からなる下地板を凹部に嵌め込むことで、特別な金物を必要とせずに施工することが可能となる。特に、スタッドに形成された凹部に下地板を取り付けたとき、下地板の表面とスタッドの表面が同一平面となる。このため、スタッドに石膏ボード等の主構成材を取り付ける際に、スタッドと下地板との間に段差が生じることがなく、スタッド及び下地板の表面を利用することで、全面にわたって平坦面とすることが可能であり、且つ下地板を利用して重量物を設置することが可能である。
またスタッドにランナーを取り付ける場合、該スタッドには少なくとも長手方向の一方の端部にランナーの厚さと略等しい凹部が形成されている。このため、ランナーにスタッドを嵌め込んだとき、スタッドの表面とランナーの表面が同一平面となる。従って、スタッドからランナーにかけて石膏ボード等の主構成材を取り付ける際にスタッドとランナーとの間に段差が生じることがなく、主構成材の表面を全面にわたって平坦面とすることが可能となる。
前述したように本発明では、スタッドに壁や天井に重量物を設置する際に用いられる下地板、床部及び天井部或いは天井から所定寸法下がった位置に設けられるランナーを取り付けて下地面を構成することになる。以下、下地板である場合と、ランナーである場合とに分けて説明する。
下地板を取り付ける場合、スタッドの連続した二つの隅部に下地板の厚さと略等しい凹部(以下「補強凹部」という)が形成されている。スタッドに形成される補強凹部は、少なくとも連続した二つの隅部に形成されることが必要であるが、作業性の向上をはかる上では4つの隅部に夫々補強凹部を形成しておくことが好ましい。このように全ての隅部に補強凹部を形成することによって、スタッドの方向性を考慮することなく作業を進めることが可能となる。
また連続した二つの隅部を対として、異なる深さの補強凹部を形成しても良い。このように、連続した二つの隅部毎に深さの異なる補強凹部を形成することによって、異なる厚さの下地板に対応することが可能となる。
補強凹部の幅寸法は特に限定するものではなく、該補強凹部に嵌め込んだ下地板を釘やビス等の固定具によって容易に且つ確実に固定しておくことが可能な寸法が確保されていれば良い。この補強凹部の幅寸法は、スタッドの取付ピッチや下地板の幅寸法に応じて適宜設定することが好ましい。
スタッドの隅部に形成される補強凹部は、下地板を配置すべき位置に形成しても良いが、長手方向に連続して形成しておくことが好ましい。このように、スタッドの全長にわたって補強凹部を形成しておくことで、下地板の設置位置の自由度を高めることが可能である。またスタッドの全長にわたって補強凹部を形成することで、該スタッドをロールフォーミングのように、薄い鋼板を巻き付けたコイルを巻き戻しつつ成形ロールを通過させることで、連続的に製造することが可能となる。このように、ロールフォーミング加工で成形したスタッドでは、高い寸法精度と成形精度を保証することが可能である。
下地板は、設置すべき重量物の形態や重量等の条件を考慮して最適なものを選択することが好ましい。また下地板の厚さは特に限定するものではなく、例えば合板の場合、9mm,12mm等の厚さを持つものが規格化されている。従って、スタッドの隅部に形成される凹部も下地板の厚さと同様の値を持って形成されていることが好ましい。
ランナーを取り付ける場合、スタッドの少なくとも長手方向の一方の端部であってランナーに嵌合する部位に、ランナーを構成する材料の厚さと略等しい寸法を持った凹部(以下「ランナー凹部」という)が形成されている。スタッドの長手方向に沿ったランナー凹部の寸法は特に限定するものではないが、溝型に成形されたランナーのフランジ部の長さと略等しいか或いは大きい寸法であれば良い。
ランナー凹部は、スタッドの少なくとも長手方向の一方の端部に形成されるが、該端部に於けるスタッドの全周にわたって形成する必要はない。例えば、スタッドが間仕切壁の下地を構成するものである場合、ランナー凹部は対向する2面に形成されていれば良く、またスタッドが外壁に沿った内壁の下地である場合、ランナー凹部は内壁に面した1面に形成されていれば良い。従って、全周にわたってランナー凹部が形成されていても、全く問題がないことは当然である。
ランナーは薄い鋼板(軽鉄)を溝型に成形して構成される。このランナーの幅寸法は特に限定するものではないが、間仕切壁や外壁に沿った内壁の下地の厚さに対応した寸法であることが好ましい。間仕切壁や外壁に沿った内壁の下地を構成する場合、一方のランナーは床部に、他方のランナーは天井部に配置されて夫々固定される。床部に配置されたランナーは床スラブの上面に配置されて該スラブに固定され、天井部に配置されたランナーは上階の床部を構成するスラブの下面、或いは梁の下面に配置されて夫々固定される。また天井を構成する場合、壁勝ち、天井勝ちによって構造上の違いは生じるものの、予め設定された居室の床面及び居室の床面から天井までの高さ寸法に対応する位置に水平に配置され、壁の下地に、或いは上階のスラブから吊り下げた支持部材,梁に固定される。
スタッドの長手方向の一方の端部にランナー凹部を形成した場合、他方の端部はランナー凹部を形成してもしなくても良い。即ち、間仕切壁や外壁に沿った内壁の下地を構成する場合、床部に配置されたランナーにランナー凹部を嵌合させてスタッドを取り付けることによって、該スタッドの他方の端部は天井部に配置されたランナーに嵌合されることとなる。従って、スタッドから天井部に配置されたランナーにかけて取り付けた主構成材が僅かな傾斜を形成したとしても、目視では傾斜が判らず美観を損なうことはない。このため、少なくともスタッドの長手方向の一方の端部にランナー凹部が形成されていれば、内壁の下地として充分に満足することが可能である。
またスタッドを天井の下地とした場合には、ランナーが居室の天井の隅部に配置されるため、スタッドの両端部をランナーに嵌合させて取り付けることになる。このため、長手方向の両端部にランナー凹部を形成下スタッドを天井部に配置されたランナーに取り付けることで、ランナーとスタッドとによって構成された天井の下地面は同一平面となり、このランナーとスタッドに天井の主構成材となる石膏ボードを取り付けたとき、該石膏ボードはランナーに対応する部位であって平面を確保することが可能となる。
尚、天井を構成するスタッドの場合、ほとんどが数本のスタッドを長手方向に接合して1本の長いスタッドを形成して使用するため、この長いスタッドの両端部分に配置されるスタッドの片側にのみランナー凹部を形成すれば良い。
次に本発明の第1実施例に係るスタッドの構成について図を用いて説明する。図1はスタッドの一部を示す斜視図である。図2はスタッドに下地板を取り付けた状態を説明する図である。
図1に示すように、スタッドAは、断面が十字状の筒状の部材からなり、対向する面に夫々取付面1,1及び2,2が形成され、各面1,2の隅部には夫々補強凹部3が形成されている。前記取付面1,2は、スタッドAを天井或いは壁に於ける所定の位置に配置したとき、何れかの面に石膏ボード等の主構成材が取り付けられるものである。
本実施例に於いて、補強凹部3はスタッドAの4つの隅部に形成されており、該補強凹部3の深さは、想定される下地板Bの厚さに対応した値を有している。特に、補強凹部の深さは9mm又は12mmに設定されている。
スタッドAの長さは限定するものではなく、天井或いは壁に於ける最適な長さを持って形成される。
図2に示すように、上記の如く構成された複数のスタッドAを天井或いは壁に所定のピッチで取り付けておき、予め設定されたスタッドAの間に下地板Bを取り付けることで、高い強度を持った下地を構成することが可能であり、冷暖房設備や、照明器具等の重量を有する設備を設置する下地を構成することが可能となる。
スタッドAに下地板Bを取り付ける場合、釘やタッピングビス等を利用することが可能であり、これらを用いることで、確実な固定を実現することが可能である。またスタッドAに取り付けた下地板Bの表面は、スタッドAの取付面1と同一面となり、これらの面に更に図示しない石膏ボード等の主構成材を取り付ける場合であっても、取付面1と下地板Bとの凹凸が生じることがない。
次に本発明の第2実施例に係るスタッドの構成について図により説明する。図3は本実施例に係るスタッドCを説明する模式斜視図である。図4はスタッドCをランナーに嵌合させた状態を説明する図である。
図3に示すように、スタッドCの長手方向の両端部分にランナー凹部5が形成されている。ランナー凹部5の深さはランナー6の材料厚さと略等しい値を有しており、本実施例ではランナー凹部5は取付面1又は2に対して約1mmの段差を有して形成されている。ランナー凹部5はスタッドCの全周(取付面1,2を含む周囲)に形成される必要はなく、対向する二つの面に互いに同じ仕様で形成されていれば良い。
図4に示すように、スタッドCに形成されたランナー凹部5は、フランジ6aとウエブ6bとを有する溝型に形成されたランナー6に嵌合される。従って、ランナー凹部5の寸法はランナー6のフランジ6aの内法寸法と略等しく形成されている。そして、スタッドCのランナー凹部5をランナー6に嵌合させることで、取付面1又は2(本実施例では取付面2)とランナー6のフランジ6aの外表面6cが同一平面内に配置される。
従って、スタッドCの取付面2からランナー6の外表面6cにわたって壁或いは天井の主構成材となる石膏ボードを取り付けたとき、この石膏ボードは全面にわたって平坦な面となり、良好な壁或いは天井の下地を構成することが可能となる。
次に本発明の第3実施例に係るスタッドの構成について図により説明する。図5は本実施例に係るスタッドDを説明する三面図である。尚、図に於いてスタッドDの材料の厚さは示していない。
図5に示すように、スタッドDは、4つの隅部に夫々補強凹部3が、スタッドDの全長にわたって形成されており、この補強凹部3を形成することによって断面が十字状の筒状に形成されている。スタッドDの対向する面に夫々取付面1,1及び2,2が形成されている。またスタッドDの長手方向の両端部分にランナー凹部5が形成されている。
本実施例に係るスタッドDでは、前述のスタッドA,Cの機能を合わせ持つことが可能となる。このため、壁や天井の下地としてスタッドDを用いることによって、壁や天井に重量物を設置する際の下地として用いることが可能となり、且つスタッドDの取付面2と下地板Bを同一平面内に配置すると共にスタッドDの取付面2とランナー6の外表面6cとを同一平面内に配置することが可能となる。
次に、本発明に係る下地構造について図により説明する。図6は開口部を有する壁の下地構造を説明する図である。図7は隣接する2本のスタッドを互いに接続する際の構成例を説明する図であり、図6のVII矢視部の拡大図である。尚、図6に於蹴る(a)〜(d)は(a)のa−a〜d−d矢視図である。
図に示す下地構造は、出入口となる開口部10を有する間仕切壁の下地を構成するものである。本実施例のスタッドEは、断面形状に於ける各隅部に長手方向に沿って補強凹部3が形成されており、長手方向の一方の端部(下端)にのみランナー凹部5が形成されている。
床スラブ11に於ける間仕切壁の下端部分に対応する位置にランナー6が配置されると共に該床スラブ11に固定されている。また天井部に於ける間仕切壁の上端部分に対応する位置に上部ランナー12が配置されると共に図示しない天井部に固定されている。床スラブ11に固定されたランナー6は一対のフランジ6aの外表面6c間の寸法がスタッドEの取付面2間の寸法と略等しい寸法を持って形成され(図4参照)ており、上部ランナー12は一対のフランジ12aの内法寸法がスタッドEの取付面2間の寸法よりも僅かに大きい寸法を持って形成されている。
各ランナー6,12の間に所定のピッチで複数のスタッドEが配置されており、夫々のスタッドEはタッピングビス等を利用して上下両端部分で各ランナー6,12に取り付けられている。開口部10に対応する部位では、スタッドEは該開口部10の幅を規定する位置に配置されて各ランナー6,12に取り付けられている。
間仕切壁を構成するスタッドEの天井側(上端側、天井裏)であって上部ランナー12のフランジ12aに到達するまでの間に下地板Bが配置され、スタッドEの隅部分に形成した補強凹部3に嵌め込まれた状態で、タッピングビス等によって固定されている。これにより、間仕切壁の天井側には高い強度を発揮することによって重量物を支持し得る領域が形成されることとなる。特に、補強凹部3が下地板Bの厚さと略等しい深さを持って形成されているため、下地板Bの表面はスタッドEの取付面2と同一平面内に位置することになる。尚、前記下地板Bを壁内配線や壁内配管等を固定するために用いることも可能である。
開口部10の周囲には一対の縦枠10aと横枠10bが配置されており、縦枠10aは開口部10を規定するスタッドEの取付面1に固定され、横枠10bは縦枠10aの上端に載置された状態で対応する位置に固定されている。そして、これらの枠10a,10bにドア或いはサッシを取り付けることで目的の開口部10が構成される。
開口部10の横枠10bの上部にはランナー6が配置されると共に該横枠10bに固定される。また横枠10bの上部に配置されたランナー6と、該ランナー6と対向する上部ランナー12との間に、これらのランナー6,12間の距離と略等しい長さに切断されたスタッドEが配置され、上下両端部が夫々対応するランナー6,12に取り付けられている。
上記の如く、ランナー6,上部ランナー12にスタッドEを取り付けたとき、該スタッドEの下端部分にランナー凹部5が形成されているため、スタッドEの下端部分に於ける取付面2とランナー6の外表面6cとは同一平面となる。これに対し、スタッドEの上端部分にはランナー凹部5が形成されていないため、上部ランナー12がフランジ12aの肉厚分段差が形成されることになる。
間仕切の開口部10を除く面には、石膏ボード等の主構成材13が配置され、スタッドEの取付面2,ランナー6の外表面6c,上部ランナー12の外表面12cに対し、タッピングビス等の固定具によって取り付けられている。スタッドE,各ランナー6,12に取り付けられた主構成材13は、上端部分に於ける上部ランナー12に対向する部位では該上部ランナー12のフランジ12aの肉厚分、室内側に突出して傾斜するものの、下端部分に於けるランナー6に対応する部位では全く平坦な面となる。
このため、取り付けられた主構成材13に傾斜が生じることがなく、開口部10の近傍を縦枠10aを定規として視認しても、該縦枠10aに沿った平坦な面からなる壁面を構成することが可能となる。従って、縦枠10aと主構成材13との間に隙間が形成されることがなく、良好な納まりを実現することが可能である。
開口部10の縦枠10aに沿って配置されたスタッドEと、該スタッドEに近接して且つ開口部10の横枠10bの左右側の端部に配置されたスタッドEは、互いに図7に示すような構造で接続されている。即ち、隣接したスタッドEの補強凹部3に跨がって金属板或いは合成樹脂板からなる接続プレート15が配置され、この接続プレート15をタッピングビス等の固定具によって夫々のスタッドEの補強凹部3に固定することで接続されている。
隣接する2本のスタッドEを接続する場合、上記構造にのみ限定するものではないが、対峙して配置された2本のスタッドEでは、補強凹部3が対向して配置されるため、接続プレート15を用いて接続することが簡単な構造と簡単は部品で良いことから有利である。
図8は柱を挟んで間仕切壁の下地を構成するスタッドと外壁に沿った内壁を構成するスタッドとを接続する際の構成例を説明する図である。図に示すように、柱16を挟んで直交する二方向に、間仕切壁の下地を構成するスタッドEと、外壁に沿って形成される内壁の下地を構成するスタッドFが配置されている。
スタッドFは外壁に沿った内壁を構成する下地の専用部品として形成されている。即ち、外壁に沿った内壁では、主構成材13を取り付ける面は一方のみに限定されるため、スタッドFは間仕切壁の厚さ分の寸法は不要となる。このため、スタッドFは断面が凸字状に形成されており、凸の突端に取付面2が形成されると共に両隅に補強凹部3が形成されている。また長手方向の一方の端部にはランナー凹部5が形成されている。このスタッドFを設置するためのランナー(図示せず)は溝型に形成されるものの、フランジ間の寸法はランナー6,12と比較して略半分の値を有している。
スタッドE,Fは、柱16から予め設定された距離離隔して且つ間仕切壁と外壁に沿った内壁の端部に配置されている。従って、スタッドE,Fは略一定距離離隔して配置されることになる。各スタッドE,Fに形成された補強凹部3に跨がって接続部材17が配置され、この接続部材17をタッピングビス等の固定具によって夫々のスタッドE,Fの補強凹部3に固定することで互いに接続されている。
接続部材17は取付片17aと接続片17bを有し、金属板或いは合成樹脂板からなるW字状に形成された部材として構成されており、取付片17aをスタッドE,Fの補強凹部3に固定したとき、接続片17bが各スタッドE,Fの取付面2の延長線から回避し得るように構成されている。
従って、柱16を挟んで配置されたスタッドE,Fによって間仕切壁の下地及び外壁に沿った内壁の下地を構成し、これらのスタッドE,Fの取付面2に主構成材13を取り付けたとき、二方向の主構成材13によって構成された入隅部は直角に交差した良好な面を形成することが可能である。
上記の如く構成された本発明のスタッドは、鉄骨造の建物や鉄筋コンクリート造の建物に於ける新築時或いはリフォーム時の間仕切工事の際に利用することが可能である。
また本発明の下地構造は、上記スタッドを利用することによって、構成された間仕切壁の壁面や外壁に沿った内壁の壁面を平坦な面として構成することが可能であり、新築時或いはリフォーム時の間仕切工事の際に利用すると有利である。
第1実施例に係るスタッドの一部を示す斜視図である。
スタッドに下地板を取り付けた状態を説明する図である。
第2実施例に係るスタッドCを説明する模式斜視図である。
スタッドCをランナーに嵌合させた状態を説明する図である。
第3実施例に係るスタッドDを説明する三面図である。
開口部を有する壁の下地構造を説明する図である。
隣接する2本のスタッドを互いに接続する際の構成例を説明する図であり、図6のVII矢視部の拡大図である。
柱を挟んで間仕切壁の下地を構成するスタッドと外壁に沿った内壁を構成するスタッドとを接続する際の構成例を説明する図である。
従来のスタッドに合板を取り付けた構造を説明する図である。
従来用いられていた接続金物の例を説明する図である。
符号の説明
A,C,D,E,F スタッド
B 下地板
1,2 取付面
3 補強凹部
5 ランナー
6 ランナー凹部
6a フランジ
6b ウエブ
6c 外表面
10 開口部
10a 縦枠
10b 横枠
11 床スラブ
12 上部ランナー
12a フランジ
13 主構成材
15 接続プレート
16 柱
17 接続部材
17a 取付片
17b 接続片