JP2004099513A - クラゲのコラーゲン回収方法及びクラゲのコラーゲン回収システム - Google Patents
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Abstract
【課題】クラゲ類をさらに効率よく処理し、かつ、より付加価値の高いコラーゲンを効率よく抽出、回収できるクラゲのコラーゲン回収方法及びクラゲのコラーゲン回収システムを提供すること。
【解決手段】洗浄工程1で洗浄されたクラゲを、ホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断化工程2で10mm角以下の大きさに裁断して、pH6.0乃至8.0の緩衝液中に入れ可溶化することによりコラーゲンを抽出し3a、緩衝液中に抽出したコラーゲンをコラーゲン析出又は分離工程3bで例えば塩析装置により析出させ、析出されたコラーゲンを脱水処理したのちコラーゲンの安定化処理工程4で凍結又は凍結乾燥して保管する。
【選択図】 図1
【解決手段】洗浄工程1で洗浄されたクラゲを、ホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断化工程2で10mm角以下の大きさに裁断して、pH6.0乃至8.0の緩衝液中に入れ可溶化することによりコラーゲンを抽出し3a、緩衝液中に抽出したコラーゲンをコラーゲン析出又は分離工程3bで例えば塩析装置により析出させ、析出されたコラーゲンを脱水処理したのちコラーゲンの安定化処理工程4で凍結又は凍結乾燥して保管する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クラゲから有用物質であるコラーゲンをより効率的により高収率に取り出すクラゲのコラーゲン回収方法及びクラゲのコラーゲン回収システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
主として夏期に大量に発生するクラゲは、臨海部の工場や発電所における冷却水用の取水口へ海水取り込みの流れに乗って近づき、上記冷却水の取水口に異物流入を防ぐために設備されているフェンスに収集され、フェンスを塞いでしまう。この結果、このフェンスの閉塞に伴って上記取水口の水位は、下がり、冷却水の取水量が低下してしまい工場や発電所の操業や発電の効率を、低げざるを得なくなる。このため、これらの工場や発電所では、取水口付近のクラゲを捕獲・除去することにより、冷却水の取水量の確保を図っている。
【0003】
このようにして捕獲・除去されて水揚げされるクラゲは、その殆どがミズクラゲであり、食用に適したビゼンクラゲやエチゼンクラゲの近縁種とは異なっている。従って、特にミズクラゲについては、有効利用が図られておらず、そのまま廃棄処理されているのが実状である。
【0004】
従来、上記捕獲されたクラゲを有効利用する技術には、次のような方法が提案されている。その一つの提案は、クラゲを粉砕して液状化あるいは細片とした後に、このクラゲのpHを4.0乃至8.5に調整し、温度を30乃至35℃に調整したのち、析出剤又は凝集剤を添加してタンパク質を析出(凝集)した後に脱水を行い、さらに加熱乾燥させることによりクラゲの有効利用する技術である。(例えば特許文献1参照。)。
【0005】
この様な技術においては、クラゲを粉砕あるいは細片化しただけで、有用物質の析出処理や析出物の回収を行っており、クラゲの体成分の大部分を含むタンパク質を分解・可溶化処理していないため、処理系内には、体成分のうち可溶化されていない未反応部分が多く含まれている。このような未反応部分は、有用物質の抽出効率を低下させている課題がある。さらに、そのまま回収したタンパク質は、飼料等として利用することは可能であるが、さらに、高価で価値のある有効物質が抽出されてないという課題がある。
【0006】
これらの課題を解決する提案は、飼料用タンパク質より価値のあるクラゲのコラーゲンを効率よく抽出する方法である。この方法は、クラゲを破砕・細断して断片にし、酵素を遊離し、温度例えば25℃乃至55℃で上記断片に酵素を作用させてクラゲを分解、可溶化したのち付加価値の高いコラーゲンを効率よく抽出する技術である。(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
さらに、他の提案は、クラゲを破砕し、クラゲ中に含まれるタンパク質成分を水に溶解させ、この溶解したタンパク質を泡沫分離手段により吸着させて水から分離し、タンパク質吸着泡沫を濃縮精製してコラーゲンを回収する技術である。(例えば、特許文献3参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−217737号公報(第2頁[0004]、[0005]、図1)。
【特許文献2】
特開2001−178492号公報([0006]〜[0007]、図1)。
【特許文献3】
特開2002−143824号公報([0008]、図1、図8)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献3に記載された提案は、クラゲからコラーゲンを取り出す工程数が多く、実際に工業化を実現するために設備費が高価となり、処理コストが高価となるなどの課題があった。工場や発電所などからは、捕獲・除去されるクラゲ類をさらに効率よく処理でき、有効な再利用を目指した付加価値の高いコラーゲンを安価に回収でき、設備費も安価な回収技術の開発が求められている。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、クラゲ類をさらに効率よく処理でき、かつ、より付加価値の高いコラーゲンを効率よく安価に抽出、回収できるクラゲのコラーゲン回収方法及びクラゲのコラーゲン回収システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段によりクラゲ類をさらに効率よく処理し、かつ、より付加価値の高いコラーゲンを効率よく抽出、回収できるクラゲのコラーゲン回収方法及びクラゲのコラーゲン回収システムを提供するものである。
【0012】
すなわち、本発明のクラゲのコラーゲン回収方法は、クラゲを微細化する第1の工程と、前記微細化されたクラゲをpH6.0乃至8.0の緩衝液中で抽出処理する第2の工程と、前記pH6.0乃至8.0の緩衝液中からコラーゲンを取り出す第3の工程とを具備してなることを特徴とする。この発明によればクラゲ類から従来のコラーゲン回収方法よりさらに効率よく処理でき、かつ、より付加価値の高いコラーゲンを効率よく、高収率で抽出でき、低コストで回収することができる。さらに、クラゲをpH6.0乃至8.0の緩衝液中で抽出処理するので、温度制御が容易になり、かつ、クラゲ体内から遊離した各種酵素の作用によりコラーゲンの変性、分解を防ぐことができ、コラーゲンの低分子化を避けることができる。
【0013】
さらに、本発明のクラゲのコラーゲン回収方法は、クラゲを微細化する第1の工程と、前記微細化されたクラゲを中性溶媒中で抽出処理する第2の工程と、前記中性溶媒中からコラーゲンを取り出す第3の工程とを具備してなることを特徴とする。この発明によれば、クラゲ類から従来のコラーゲン回収法よりさらに効率よく処理し、かつ、より付加価値の高いコラーゲンを効率よく、高収率で抽出でき、低コストで回収することができる。さらに、クラゲを中性溶媒中で処理するので、温度制御が容易になり、かつ、クラゲ体内から遊離した各種酵素の作用によりコラーゲンの変性、分解を防ぐことができ、コラーゲンの低分子化を避けることができる。
【0014】
さらに、本発明のクラゲのコラーゲン回収方法は、クラゲを微細化する第1の工程と、前記微細化されたクラゲをリン酸系の中性緩衝液中で抽出処理する第2の工程と、前記中性緩衝液中からコラーゲンを取り出す第3の工程とを具備してなることを特徴とする。この発明によれば、クラゲをリン酸系の中性緩衝液中で処理するので、クラゲからコラーゲンを効率よく抽出することができる。
【0015】
さらに、本発明のクラゲのコラーゲン回収方法は、クラゲを微細化する第1の工程と、前記微細化されたクラゲを溶媒中で抽出処理する第2の工程と、前記溶媒中からコラーゲンを取り出す第3の工程と、前記第3の工程により取り出されたコラーゲンを凍結する第4の工程とを具備してなることを特徴とする。この発明によれば、クラゲ類から従来のコラーゲン回収方法よりさらに効率よく処理でき、かつ、より付加価値の高いコラーゲンを効率よく、高収率で抽出でき、低コストで回収することができる。さらに、抽出されたコラーゲンは、高分子から低分子に変化し易いが、凍結するので高分子の状態で保存することができる。
前記第1の工程、前記第2の工程及び前記第3の工程でのクラゲ処理温度は、4℃以下にすることにより収率よくコラーゲンを取り出すことができる。
前記微細化されたクラゲの砕片の大きさは、10mm角以下に処理することにより、クラゲからコラーゲンの抽出効率を向上させることができる。
前記第2の工程でコラーゲンが抽出され、前記第3の工程で、前記コラーゲンが析出又は分離されるので、クラゲからコラーゲンを高収率で得ることができる。
【0016】
前記リン酸系の中性緩衝液として、リン酸水素二ナトリウム−リン酸二水素カリウム緩衝液又はリン酸水素二ナトリウム−クエン酸緩衝液を使用することにより、クラゲから高収率でコラーゲンを抽出することができる。
【0017】
前記凍結する第4の工程は、前記凍結したのち凍結乾燥することにより、長期間にわたってコラーゲンを高分子の状態で保存することができる。
【0018】
前記第2の工程は、温度4℃から溶媒の凝固点より0.5℃低い温度の間で処理するので、クラゲからコラーゲンを安価な設備で、高収率に得ることができる。
さらに、本発明のクラゲのコラーゲン回収システムは、クラゲを微細化する処理装置と、前記微細化されたクラゲを溶媒中で抽出処理してコラーゲンを取り出すためのコラーゲン取り出し装置と、前記コラーゲンを凍結する凍結装置とを具備してなることを特徴とする。この発明によれば、クラゲからコラーゲンを安価な装置により構成することができ、設備費を安価にできる。さらに、安価な装置により効率よく抽出し回収することができる。
微細化されたクラゲの砕片の大きさ10mm角以下とは、クラゲの砕片の形状が方形状に限定するものではなく、円形や形状がくずれたものなどいずれでもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明者らはクラゲ類、特に発電所や工場用取水路で除去・水揚げされるミズクラゲ等のクラゲに含まれる有用物質の検索を行い、ミズクラゲ等には体内にコラーゲンを多量に有し、このクラゲ由来のコラーゲンは、現在利用されている天然可溶性コラーゲン、不溶性コラーゲン、及び牛・豚の骨,皮等を酸,アルカリ,酵素等で分解した可溶化コラーゲン等とは異なる性質を有していることを見出した。
【0020】
すなわち、現在利用されているコラーゲンは、2本の異種ポリペプチド鎖よりなるコラーゲンのサブユニット構造(α1・α1・α2)を有し、かつ、結合糖含有量が約1重量%結合したものであるのに対して、クラゲ類由来のコラーゲンは、3本の異種ポリペプチド鎖からなるラセン構造(サブユニット:α1・α2・α3)を有しており、かつ、コラーゲン中には糖が3〜5重量%以上結合しているという特徴的な構造を有している。そして、適度な保湿性と放湿性を維持しつつ、皮膚閉塞能を有するため皮膚保水効果に優れている。
【0021】
さらに発明者らは、クラゲから抽出したコラーゲンには、ニキビ等の原因とされる微生物Propionibacterium acnesに対して抗菌作用を有することを見出した。
さて、クラゲは一般に、体成分のうち水分が95〜96%を占めているが、それ以外の成分としては、タンパク質1.7%,炭水化物0.9%,脂質0.0%,灰分2.1%程度であり、水分以外ではその殆どをタンパク質が占めている。また、このタンパク質の殆どが体を構成するコラーゲンであり、このコラーゲンを効率よく抽出し高収率で回収することにより、現状で廃棄されているクラゲは、有用物質の原料として有効に活用され、工業化が可能となる。
そこで、本発明者らは、クラゲからコラーゲンを効率よく抽出でき、低コストで、高収率に回収することができる技術の工業化を目的とした開発を鋭意進めた結果、クラゲの体の構成成分であるコラーゲン等の有用物質の抽出を極めて容易に行えるクラゲのコラーゲン回収方法を見出した。この発明の特徴は、クラゲからコラーゲンの抽出を、pH6.0乃至8.0の緩衝液中で行うことであり、このときのクラゲの温度を4℃から溶媒の凝固点より0.5℃低い温度の間にすることである。
【0022】
次に、本発明のクラゲのコラーゲン回収方法及びクラゲのコラーゲン回収システムの実施形態を図面を参照して説明する。先ず、図1を参照してコラーゲン回収方法の実施形態を説明する。図1において、1は洗浄工程、2はホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断化工程、3aはコラーゲン抽出工程、3bはコラーゲン析出又は分離工程、4はコラーゲンの安定化処理工程であり、この実施形態は以上の工程の順番に行う。第1の工程、第2の工程、第3の工程及び第4の工程でのクラゲ処理温度は、4℃以下にすることにより収率よくコラーゲンを取り出すことができる。
【0023】
先ず、例えば発電所の取水口から捕獲したクラゲは、洗浄工程1にて洗浄される。洗浄工程1は、クラゲを洗浄し、クラゲに付着している異物や汚れを除去する。クラゲの洗浄は、例えばクラゲに水道水を噴射することにより行われる。このことにより、最終産物への異物の混入やコラーゲンを取り出すための装置内における配管の目詰まり等を解消し、後の工程の各種操作を効率よく行うことが可能となる。
【0024】
次に、洗浄されたクラゲをホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断化工程2に移す。ホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断化工程2は、クラゲを温度4℃以下例えば凍結させてホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断し、10mm角以下の大きさに微細化処理することにより、後の工程におけるクラゲからコラーゲンを抽出する効率を向上させる。
【0025】
10mm角以下の大きさに微細化処理されたクラゲは、クラゲからコラーゲンを抽出するのに好適な条件下で処理するためのコラーゲン抽出工程3aに移される。コラーゲン抽出工程3aは、10mm角以下の大きさに処理されたクラゲをpH6.0乃至8.0の緩衝液中で処理することにより、クラゲの体成分のうちコラーゲンを容易に抽出できる。コラーゲンを抽出するための溶媒として最適例は、中性の緩衝液、中性溶媒、pH6.5乃至7.5の緩衝液であり、リン酸系の緩衝液である。コラーゲンの抽出処理を中性溶媒すなわちpH6.5乃至7.5の範囲で処理を行うことにより、温度制御が容易になり、かつ、クラゲ体内から遊離した各種酵素等の作用によるコラーゲンの変性・分解を防ぐことが可能となる。これによって、コラーゲンの低分子化を避け、より付加価値の高い高分子コラーゲンを効率よく抽出することが可能となる。コラーゲン抽出工程3aの処理は、クラゲの温度が4℃から中性溶媒の凝固点より0.5℃低い温度の間で行うことにより、コラーゲンを高収率で得ることができる。
【0026】
コラーゲンが抽出された溶液は、溶媒中からコラーゲンを取り出すためのコラーゲン析出又は分離工程3bが行われる。コラーゲン析出又は分離工程3bは、溶媒中に抽出したコラーゲンを効率よく析出、又は溶媒中に抽出したコラーゲンを溶媒中から効率よく分離する処理を行う。コラーゲン析出又は分離工程3bの温度は、4℃以下が望ましい。
【0027】
コラーゲン析出又は分離工程3bにより得られたコラーゲンは、コラーゲンの安定化処理工程4が行われる。コラーゲンの安定化処理工程4は、得られたコラーゲンが高分子であるが、常温雰囲気になると低分子に変化し易いため、高分子状態を維持するための処理を行う。コラーゲンの安定化処理工程4は、例えば析出、あるいは、分離されたコラーゲンを凍結又は凍結乾燥してコラーゲンを安定して保管可能な状態にする。
【0028】
次に、各工程での処理法についてさらに具体的に説明する。
洗浄工程1におけるクラゲの洗浄法としては、捕獲・水揚げされたクラゲから、後段の処理に影響を与える異物や汚れを洗浄・除去できる方法であれば如何なる方法を採用することも可能であり、例えばベルトコンベア上での放水による洗浄等を採用することも可能である。なお、上記実施形態では、クラゲ自体についても海から水揚げ直後の個体について説明したが、塩漬けや凍結乾燥等によって脱水処理を施されたものや、凍結後解凍した個体等を用いた場合においても、本発明を用いれば効率よくクラゲコラーゲンを抽出することが可能である。クラゲが大量に発生した場合、廃棄せず、塩漬けや冷凍保存や凍結乾燥保存することによりクラゲのコラーゲン回収システムの処理能力に応じて長時間にわたってコラーゲンの抽出処理をすることができる。
【0029】
ホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断化工程2におけるクラゲのホモジネート・破砕・細断法としては、クラゲを効率よく10mm角以下の大きさに微細化処理する方法であれば如何なる方法を採用することも可能であり、例えば回転刃破砕装置や2軸破砕機,シュレッダー装置,圧力差による破砕装置、ミキサ等の装置を適宜選択して利用することが可能である。ホモジネート装置は、クラゲをミキサなどにより掻き混ぜることにより10mm角以下の大きさにするクラゲの処理法である。破砕は、例えば凍結されたクラゲを破砕機に入れて10mm角以下の大きさにするクラゲの処理法である。細断処理は、クラゲを細断器に入れて10mm角以下の大きさに細断するクラゲの処理法である。
【0030】
ホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断化工程2後のクラゲの大きさは、コラーゲン抽出工程3aにおけるコラーゲン抽出の効率に影響を及ぼす。すなわち、ホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断後のクラゲの大きさが、大きくなってしまうとコラーゲン抽出工程3aにおける処理時間が長くなり、コラーゲン抽出・回収の効率を著しく低下させる。ホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断処理は、処理後のクラゲを平均的な大きさにおいて、10mm角以下、好ましくは5mm角以下まで、さらに好ましくは、ホモジネートのように数百μm以下まで破砕し微細化することが望ましい。
【0031】
コラーゲン抽出工程3aは、ホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断されたクラゲと中性溶媒を混合し、クラゲの体構成成分であるコラーゲンを効率よく抽出する工程である。処理に用いる溶媒のpHは6.5乃至7.5の中性域の緩衝液が好ましい。溶媒としては、クラゲコラーゲンを効率よく抽出可能な中性溶媒であれば、如何なるものも採用することができる。例えば、さまざまな緩衝液を用いることが可能である。発明者らは特にリン酸を含む緩衝液、すなわち、リン酸水素二ナトリウム−リン酸二水素カリウム緩衝液やリン酸水素二ナトリウム−クエン酸緩衝液を用いた場合に極めて好適な結果を得ている。これら緩衝液によるコラーゲンの抽出の作用機構は、明らかでないが、リン酸の存在がコラーゲンの抽出効率に好影響を与えている可能性がある。また、処理温度はクラゲ由来の各種酵素の影響を受けにくい4℃以下が適しており、好ましくは4℃から抽出に用いる中性溶媒の凝固点より0.5℃低い温度の間において処理を行うことが適している。コラーゲン抽出処理槽内でクラゲをより均一に可溶化するためには、必要に応じてコラーゲン抽出工程3aにおいて攪拌操作を加えることが有効である。攪拌の方法は、処理槽内の均一化を達成できる方法で、かつその他の条件に影響を与えない方法であれば、如何なる方法を用いても構わない。
【0032】
コラーゲン抽出工程3aにより抽出された溶媒中のコラーゲンは、コラーゲン析出又は分離工程3bにて溶媒中からコラーゲンが取り出される。コラーゲン析出又は分離工程3bは、コラーゲン抽出工程3aの処理液を濾過し、溶媒中に抽出したコラーゲンを効率よく析出、あるいは、分離する方法であれば、如何なる方法を採用することも可能である。溶媒中からコラーゲンを取り出すコラーゲン析出又は分離工程3bは、例えば、塩析,有機溶媒による沈殿法,等電点沈殿,水溶性高分子を用いた沈殿法,遠心法,限外濾過法,膜濾過法,イオン交換クラマトグラフィー法,吸着クロマトグラフィー法,分配クロマトグラフィー法,ゲル濾過クロマトグラフィー法,アフィニティークロマトグラフィー法,等電点クロマトグラフィー法等の方法を抽出対象や処理条件等によって適宜選択することができる。また、これらの2以上の組み合わせによる方法も選択することが可能である。
【0033】
塩析においては、クラゲ由来のタンパク質を塩析する場合、作用機構は明らかではないが、用いる塩としてNaClを用いた場合に最も効率よく回収可能であることが知られており、発明者らもクラゲ由来のコラーゲンをNaClを用いて塩析した場合に好適な結果を得ている。また、何れの処理を行うにあたっても、コラーゲンの分解を抑えるために、コラーゲン析出又は分離工程3bは、4℃以下の環境下で進めることが好ましい。さらに好ましくは、4℃から抽出液の凝固点より0.5℃低い温度の間で行うことが望ましい。濾過法に関しては、処理残渣を取り除ける方法であれば、如何なる方法も採用することが可能である。例えば、500μm以下の孔径のメッシュやフィルターを用いることで、効率よく処理を行うことが可能である。
【0034】
コラーゲンの安定化処理工程4は、回収したコラーゲンを安定に保存可能な状態にすることが可能であれば、如何なる方法も採用することができる。例えば、回収したコラーゲンの凍結や凍結後の凍結乾燥などは長期にわたって安定に保存が可能となる。また、低温条件下で高濃度のNaCl溶液中に保管することも可能である。
【0035】
本発明のクラゲ由来のコラーゲンの抽出方法は、以上の五つの工程を具備することを特徴としている。
【0036】
次に、クラゲのコラーゲン回収システムの実施形態を図2を参照して説明する。この実施形態のクラゲのコラーゲン回収システム11は、クラゲからコラーゲンを効率よく、高収率で抽出することができる安価な設備である。
【0037】
このクラゲのコラーゲン回収システム11は、ベルトコンベア12と、クラゲを洗浄する噴射ノズル13と、クラゲをホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断する装置例えば破砕機14と、スクリューコンベア15と、クラゲを中性緩衝液と作用させコラーゲンを抽出する溶媒槽16と、コラーゲンを析出又は分離する装置例えば塩析装置17と、一時貯蔵部18と、凍結又は凍結乾燥機19とから構成されている。
【0038】
ベルトコンベア12は、大量に発生する発電所の取水口から捕獲されたクラゲを破砕機14に搬送するためのものである。ベルトコンベア12により搬送されているクラゲは、異物が付着した状態であるため搬送時間を利用して水洗いされる。この水洗いは、噴射ノズル13からクラゲを洗浄するための水圧に調整された水道水をクラゲに噴射することにより行われる。ベルトコンベア12の搬送機構には、水道水の噴射エリアで予め定められた時間停止させる機構を設けてもよい。
【0039】
噴射ノズル13は、ベルトコンベア12上に載置されたクラゲを洗浄するための洗浄水を噴射するためのものである。クラゲに付着した異物や菌類を洗い落とすために噴射ノズル13には、噴射される洗浄水を間欠的に流す機構を設けてもよいし、噴射ノズル13を左右に回動させる機構を設けてもよいし、洗浄水に超音波を印加する機構を設けてもよい。ベルトコンベア12は、クラゲから洗い落とされた異物がベルトコンベア12から分離例えば落下するようにベルトコンベア12を網状にすることが望ましい。
【0040】
破砕機14は、ベルトコンベア12により移されたクラゲを10mm角以下の大きさ例えば5mm角に破砕するためのもので、例えば回転刃破砕装置である。回転刃破砕装置141は、洗浄されたクラゲを収容する処理槽142の底部に図示しないモーターの回転軸に結合された回転刃143が設けられた装置である。回転刃破砕装置141は、回転刃143の回転数を調整することによりクラゲを10mm角以下の大きさに破砕することができる。処理槽142に搬入されたクラゲは、4℃以下の温度例えば凍結されたのち、回転刃143が回転され、凍結されたクラゲが10mm角以下の大きさに破砕される。回転刃破砕装置141には、搬入されたクラゲを4℃以下の温度にするための図示しない冷蔵機構が組み込まれている。
【0041】
回転刃破砕装置141により破砕されたクラゲは、処理槽142の側壁面に設けられた取出口144から取り出され、スクリューコンベア15により溶媒槽16に移される。溶媒槽16内には、図示しないモーターに接続された回転軸161と結合した攪拌翼162が設けられている。溶媒槽16には、溶媒貯蔵槽163から不足した溶媒を自動的に補充する機能付き送液ポンプ164を介してパイプ165が配管されている。溶媒槽16の底部には、抽出されたコラーゲンを含む抽出液を塩析装置17に移すためのパイプ167が送液ポンプ168、フィルター169を介して設けられている。さらに、溶媒槽16には、溶媒槽16に搬入されたクラゲを4℃から溶媒の凝固点より0.5℃低い温度の間にするための図示しない冷蔵機構が設けられている。このような構成の溶媒槽16は、溶媒中に搬入されたクラゲを攪拌翼162を回転させながら可溶化してコラーゲンを抽出させる。
【0042】
抽出されたコラーゲン溶液は、塩析装置17にパイプ167を介して移送される。このとき、フィルター169は、抽出されたコラーゲン溶液中に含まれる異物を除去する。塩析装置17には、塩を含む溶液例えばNaCl溶液のNaCl溶液貯蔵槽171からNaCl溶液を自動的に補充する機能付き送液ポンプ172を介してパイプ173が配管されている。塩析装置17内には、コラーゲン溶液とNaCl溶液とを攪拌するための攪拌翼174が回転軸175に接続されて設けられている。塩析装置17には、コラーゲン溶液を4℃からNaClを含むコラーゲン溶液の凝固点より0.5℃低い温度の間にするための図示しない冷蔵機構が設けられている。塩析装置17の底部には、パイプ177を介して脱水機178に接続されている。塩析装置17は、コラーゲン溶液からコラーゲン成分を析出させ、パイプ177を介して析出されたコラーゲンを脱水機178に出力する。
脱水機178は、脱水したコラーゲンを出力する。このコラーゲンは、凍結又は凍結乾燥機19にて凍結又は凍結乾燥されて保管される。
【0043】
次に、図2のクラゲのコラーゲン回収システム11を参照してコラーゲンの抽出方法を説明する。発電所の取水口で捕獲されたクラゲは、走行中のベルトコンベア12に載置すると、クラゲが噴射ノズル13から噴射される洗浄水により洗浄される。洗浄されたクラゲは、破砕機14に移されて、4℃以下の温度例えば凍結されたのち、大きさ10mm角以下に破砕されて、溶媒槽16に移される。溶媒槽16に移されたクラゲは、溶媒例えば中性緩衝液と作用してクラゲを可溶化しクラゲ体内のコラーゲンを抽出する。抽出されたコラーゲンを含む抽出液は、塩析装置17に移送されてNaCl溶液と作用してコラーゲンを析出する。析出されたコラーゲンは、脱水機178で脱水され、脱水されたコラーゲンは凍結又は凍結乾燥されて保管される。
【0044】
【実施例】
以下、例示的ではあるが限定的ではない実施例を説明することによって本発明をより深く理解することができる。
【0045】
(実施例1)
図2に示すクラゲのコラーゲン回収システム11を作製し、クラゲからコラーゲンを抽出する試験を行った。洗浄されたミズクラゲ200kgは、ホモジネート装置により10mm角以下の大きさに破砕処理される。破砕処理されたミズクラゲは、pH6.0乃至8.0の緩衝液として0.1mol/Lリン酸水素二ナトリウム−クエン酸緩衝液(pH7.0)1m3を添加した内容積3m3の溶媒槽16に添加し、4℃以下の温度例えば1℃恒温下で回転速度例えば120rpmの条件下で撹拌してコラーゲンの抽出処理を30分間行った。
【0046】
30分後にコラーゲンの抽出処理液を孔経500μmのフィルター169で濾過した後、塩析装置17にて1℃恒温下においてNaCl溶液による塩析処理を施しコラーゲンを析出させ粗精製処理を行った。粗精製したコラーゲンを脱水機178にてフィルタープレスによって脱水し、直後に凍結又は凍結乾燥機19で−20℃で冷凍した。
【0047】
本実施例によって回収した物質の重さは、0.56kgであり、その殆どがコラーゲンであった。この試験は、図2のクラゲのコラーゲン回収システム数nを3ライン設置し(以下n=3と記す)、各ラインにおいて200kgのミズクラゲを3回コラーゲンの回収プロセスを実行し、評価した。このコラーゲン回収プロセスの実行と評価をこの明細書では試験と定義し、この試験を3回繰り返し実施し同様な結果を得た。
【0048】
(実施例2)
実施例1で抽出したコラーゲン抽出液をGAM寒天培地に200μL塗布し、培地表面を乾燥させた。この寒天培地にPropionibacterium acnesJCM6425株の懸濁液50μLを接種した。接種後寒天培地を37℃,微好気条件下(細菌培養用パウチ袋中にて)で静置培養を行った。培養経過中、培地の変化を経時的に観察した。
【0049】
培養開始6日目を過ぎても、寒天培地上にPropionibacterium acnesJCM6425株の生育は観察されなかった。すなわち、得られたコラーゲンは、良好な抗菌作用のあることがわかった。
なお、以下の実施例・比較例の説明では、実施例1と同一工程あるいは同一条件、同一装置の説明等については説明の重複を避けた。
【0050】
(実施例3)
pH6.5に調整した0.1mol/Lリン酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム緩衝液1m3を用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、試験は3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.54kgであった。高分子のタンパク質が減少したが、その殆どが良質のコラーゲンで抗菌作用を呈した。
【0051】
(実施例4)
pH7.5に調整した0.1mol/LTris−HCl緩衝液1m3を用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、試験は3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.53kgであった。高分子のタンパク質が減少したが、その殆どが良質のコラーゲンで抗菌作用を呈した。
【0052】
(実施例5)
pH6に調整した0.1mol/Lクエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液1m3を用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、試験は3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.45kgであった。高分子のタンパク質が減少したが、その殆どが良質のコラーゲンで抗菌作用を呈した。
【0053】
(実施例6)
pH8に調整した0.1mol/Lリン酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム緩衝液1m3を用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、試験は3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.40kgであった。高分子のタンパク質が減少したが、その殆どが良質のコラーゲンで抗菌作用を呈した。
【0054】
(実施例7)
ミズクラゲ200kgを10mm角の大きさに破砕処理したクラゲを中性緩衝液中に入れて実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.3kgで、そのほとんどはコラーゲンであった。このコラーゲンは、良好な抗菌作用を呈した。
【0055】
(実施例8)
全ての処理についてミズクラゲの温度を4℃で行ったこと以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、試験は3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.52kgで、そのほとんどが高分子のタンパク質で抗菌作用を呈した。
【0056】
(比較例1)
pH9に調整した0.1mol/Lホウ酸―水酸化ナトリウム緩衝液1m3を用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、試験は3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.1kgであったが、低分子のタンパク質のみでコラーゲンは含まれておらず回収することができなかった。
【0057】
(比較例2)
pH5に調整した0.2mol/L酢酸―酢酸ナチリウム緩衝液1m3を用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、試験は3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.05kgであったが、低分子のタンパク質のみでコラーゲンは含まれておらず回収することができなかった。
【0058】
(比較例3)
ミズクラゲ200kgを破砕処理することなく使用した以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.1kg以下であったが、コラーゲンは含まれておらず回収することができなかった。コラーゲンの抽出には、破砕処理が必要であることがわかった。
【0059】
(比較例4)
ミズクラゲ200kgを20mm角の大きさに破砕処理したクラゲを中性緩衝液中に入れて実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.1kg以下であったが、コラーゲンは含まれておらず回収することができなかった。コラーゲンの抽出には、10mm角以下の大きさに破砕処理が必要であることがわかった。
【0060】
(比較例5)
全ての処理についてミズクラゲの温度を12℃で行ったこと以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、試験は3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.3kgであったが、低分子のタンパク質のみでコラーゲンは含まれておらず回収することができなかった。
【0061】
(比較例6)
全ての処理についてミズクラゲの温度を温度調節せず室温(28℃乃至33℃)で行ったこと以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、試験は3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.3kgであったが、低分子のタンパク質のみでコラーゲンは含まれておらず回収することができなかった。
【0062】
(比較例7)
実施例1の抽出液をGAM寒天培地に塗布しなかった以外は実施例2と同様の試験を比較例1〜6で得られたタンパク質について実施した。培養開始4日目に寒天培地表面にPropionibacterium acnesJCM6425株の生育を観察した。また、培養開始6日目以降には、寒天培地表面にやや厚みを持ったPropionibacterium acnesJCM6425株の菌層が生じていた。抗菌作用を呈しないことがわかった。
【0063】
上記実施例と比較例の結果より、本発明によるクラゲのコラーゲン回収方法を用いれば、クラゲ由来のコラーゲンを従来提案されていた技術に比べ、効率よくクラゲコラーゲンを粗抽出することが可能となることを容易に理解できる。
また、実施例2と比較例7の結果より、本発明を用いてなされたクラゲ由来のコラーゲンの抽出方法によって抽出されたクラゲのコラーゲンは、ニキビの原因とされる微生物Propionibacterium acnesに対して抗菌作用を有していることが容易に理解できる。
【0064】
以上説明したように、上記実施形態によればクラゲ由来のコラーゲンは、ニキビの原因となる微生物Propionibacterium acnesに対する抗菌性も有しており、化粧品や医薬品等の原材料としても付加価値の高い原材料となる。
そして、本発明のクラゲコラーゲン回収方法とその装置を用いれば、付加価値の高いコラーゲンを効率よく抽出することが可能となり、工業的な価値は極めて大である。
上記実施形態では、クラゲとして廃棄されていたミズクラゲの実施形態について説明したが、クラゲであれば他のクラゲのビゼンクラゲやエチゼンクラゲなどでも、コラーゲンを抽出できることは説明するまでもないことである。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によればクラゲ類をさらに効率よく処理し、かつ、より付加価値の高いコラーゲンを効率よく抽出でき、回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクラゲのコラーゲン回収方法を説明するための工程図。
【図2】本発明のクラゲのコラーゲン回収システムを工程順に説明するための製造装置の配置図。
【符号の説明】
1…洗浄工程、 2…ホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断化工程、
3a…コラーゲン抽出工程、 3b…コラーゲン析出又は分離工程、
4…コラーゲンの安定化処理工程、 11…コラーゲン回収システム、
12…ベルトコンベア、 13…噴射ノズル、 14…破砕機、 15…スクリューコンベア、 16…溶媒槽、 17…塩析装置、 18…一時貯蔵部、 19…凍結又は凍結乾燥機、 141…回転刃破砕装置、 142…処理槽、 143…回転刃、 144…取出口、 161…回転軸、 162,174…攪拌翼、 163…溶媒貯蔵槽、 164,168,172…送液ポンプ、 165,167,173,177…パイプ、 169…フィルター、 171…溶液貯蔵槽、 175…回転軸、 178…脱水機。
【発明の属する技術分野】
本発明は、クラゲから有用物質であるコラーゲンをより効率的により高収率に取り出すクラゲのコラーゲン回収方法及びクラゲのコラーゲン回収システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
主として夏期に大量に発生するクラゲは、臨海部の工場や発電所における冷却水用の取水口へ海水取り込みの流れに乗って近づき、上記冷却水の取水口に異物流入を防ぐために設備されているフェンスに収集され、フェンスを塞いでしまう。この結果、このフェンスの閉塞に伴って上記取水口の水位は、下がり、冷却水の取水量が低下してしまい工場や発電所の操業や発電の効率を、低げざるを得なくなる。このため、これらの工場や発電所では、取水口付近のクラゲを捕獲・除去することにより、冷却水の取水量の確保を図っている。
【0003】
このようにして捕獲・除去されて水揚げされるクラゲは、その殆どがミズクラゲであり、食用に適したビゼンクラゲやエチゼンクラゲの近縁種とは異なっている。従って、特にミズクラゲについては、有効利用が図られておらず、そのまま廃棄処理されているのが実状である。
【0004】
従来、上記捕獲されたクラゲを有効利用する技術には、次のような方法が提案されている。その一つの提案は、クラゲを粉砕して液状化あるいは細片とした後に、このクラゲのpHを4.0乃至8.5に調整し、温度を30乃至35℃に調整したのち、析出剤又は凝集剤を添加してタンパク質を析出(凝集)した後に脱水を行い、さらに加熱乾燥させることによりクラゲの有効利用する技術である。(例えば特許文献1参照。)。
【0005】
この様な技術においては、クラゲを粉砕あるいは細片化しただけで、有用物質の析出処理や析出物の回収を行っており、クラゲの体成分の大部分を含むタンパク質を分解・可溶化処理していないため、処理系内には、体成分のうち可溶化されていない未反応部分が多く含まれている。このような未反応部分は、有用物質の抽出効率を低下させている課題がある。さらに、そのまま回収したタンパク質は、飼料等として利用することは可能であるが、さらに、高価で価値のある有効物質が抽出されてないという課題がある。
【0006】
これらの課題を解決する提案は、飼料用タンパク質より価値のあるクラゲのコラーゲンを効率よく抽出する方法である。この方法は、クラゲを破砕・細断して断片にし、酵素を遊離し、温度例えば25℃乃至55℃で上記断片に酵素を作用させてクラゲを分解、可溶化したのち付加価値の高いコラーゲンを効率よく抽出する技術である。(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
さらに、他の提案は、クラゲを破砕し、クラゲ中に含まれるタンパク質成分を水に溶解させ、この溶解したタンパク質を泡沫分離手段により吸着させて水から分離し、タンパク質吸着泡沫を濃縮精製してコラーゲンを回収する技術である。(例えば、特許文献3参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−217737号公報(第2頁[0004]、[0005]、図1)。
【特許文献2】
特開2001−178492号公報([0006]〜[0007]、図1)。
【特許文献3】
特開2002−143824号公報([0008]、図1、図8)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献3に記載された提案は、クラゲからコラーゲンを取り出す工程数が多く、実際に工業化を実現するために設備費が高価となり、処理コストが高価となるなどの課題があった。工場や発電所などからは、捕獲・除去されるクラゲ類をさらに効率よく処理でき、有効な再利用を目指した付加価値の高いコラーゲンを安価に回収でき、設備費も安価な回収技術の開発が求められている。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、クラゲ類をさらに効率よく処理でき、かつ、より付加価値の高いコラーゲンを効率よく安価に抽出、回収できるクラゲのコラーゲン回収方法及びクラゲのコラーゲン回収システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段によりクラゲ類をさらに効率よく処理し、かつ、より付加価値の高いコラーゲンを効率よく抽出、回収できるクラゲのコラーゲン回収方法及びクラゲのコラーゲン回収システムを提供するものである。
【0012】
すなわち、本発明のクラゲのコラーゲン回収方法は、クラゲを微細化する第1の工程と、前記微細化されたクラゲをpH6.0乃至8.0の緩衝液中で抽出処理する第2の工程と、前記pH6.0乃至8.0の緩衝液中からコラーゲンを取り出す第3の工程とを具備してなることを特徴とする。この発明によればクラゲ類から従来のコラーゲン回収方法よりさらに効率よく処理でき、かつ、より付加価値の高いコラーゲンを効率よく、高収率で抽出でき、低コストで回収することができる。さらに、クラゲをpH6.0乃至8.0の緩衝液中で抽出処理するので、温度制御が容易になり、かつ、クラゲ体内から遊離した各種酵素の作用によりコラーゲンの変性、分解を防ぐことができ、コラーゲンの低分子化を避けることができる。
【0013】
さらに、本発明のクラゲのコラーゲン回収方法は、クラゲを微細化する第1の工程と、前記微細化されたクラゲを中性溶媒中で抽出処理する第2の工程と、前記中性溶媒中からコラーゲンを取り出す第3の工程とを具備してなることを特徴とする。この発明によれば、クラゲ類から従来のコラーゲン回収法よりさらに効率よく処理し、かつ、より付加価値の高いコラーゲンを効率よく、高収率で抽出でき、低コストで回収することができる。さらに、クラゲを中性溶媒中で処理するので、温度制御が容易になり、かつ、クラゲ体内から遊離した各種酵素の作用によりコラーゲンの変性、分解を防ぐことができ、コラーゲンの低分子化を避けることができる。
【0014】
さらに、本発明のクラゲのコラーゲン回収方法は、クラゲを微細化する第1の工程と、前記微細化されたクラゲをリン酸系の中性緩衝液中で抽出処理する第2の工程と、前記中性緩衝液中からコラーゲンを取り出す第3の工程とを具備してなることを特徴とする。この発明によれば、クラゲをリン酸系の中性緩衝液中で処理するので、クラゲからコラーゲンを効率よく抽出することができる。
【0015】
さらに、本発明のクラゲのコラーゲン回収方法は、クラゲを微細化する第1の工程と、前記微細化されたクラゲを溶媒中で抽出処理する第2の工程と、前記溶媒中からコラーゲンを取り出す第3の工程と、前記第3の工程により取り出されたコラーゲンを凍結する第4の工程とを具備してなることを特徴とする。この発明によれば、クラゲ類から従来のコラーゲン回収方法よりさらに効率よく処理でき、かつ、より付加価値の高いコラーゲンを効率よく、高収率で抽出でき、低コストで回収することができる。さらに、抽出されたコラーゲンは、高分子から低分子に変化し易いが、凍結するので高分子の状態で保存することができる。
前記第1の工程、前記第2の工程及び前記第3の工程でのクラゲ処理温度は、4℃以下にすることにより収率よくコラーゲンを取り出すことができる。
前記微細化されたクラゲの砕片の大きさは、10mm角以下に処理することにより、クラゲからコラーゲンの抽出効率を向上させることができる。
前記第2の工程でコラーゲンが抽出され、前記第3の工程で、前記コラーゲンが析出又は分離されるので、クラゲからコラーゲンを高収率で得ることができる。
【0016】
前記リン酸系の中性緩衝液として、リン酸水素二ナトリウム−リン酸二水素カリウム緩衝液又はリン酸水素二ナトリウム−クエン酸緩衝液を使用することにより、クラゲから高収率でコラーゲンを抽出することができる。
【0017】
前記凍結する第4の工程は、前記凍結したのち凍結乾燥することにより、長期間にわたってコラーゲンを高分子の状態で保存することができる。
【0018】
前記第2の工程は、温度4℃から溶媒の凝固点より0.5℃低い温度の間で処理するので、クラゲからコラーゲンを安価な設備で、高収率に得ることができる。
さらに、本発明のクラゲのコラーゲン回収システムは、クラゲを微細化する処理装置と、前記微細化されたクラゲを溶媒中で抽出処理してコラーゲンを取り出すためのコラーゲン取り出し装置と、前記コラーゲンを凍結する凍結装置とを具備してなることを特徴とする。この発明によれば、クラゲからコラーゲンを安価な装置により構成することができ、設備費を安価にできる。さらに、安価な装置により効率よく抽出し回収することができる。
微細化されたクラゲの砕片の大きさ10mm角以下とは、クラゲの砕片の形状が方形状に限定するものではなく、円形や形状がくずれたものなどいずれでもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明者らはクラゲ類、特に発電所や工場用取水路で除去・水揚げされるミズクラゲ等のクラゲに含まれる有用物質の検索を行い、ミズクラゲ等には体内にコラーゲンを多量に有し、このクラゲ由来のコラーゲンは、現在利用されている天然可溶性コラーゲン、不溶性コラーゲン、及び牛・豚の骨,皮等を酸,アルカリ,酵素等で分解した可溶化コラーゲン等とは異なる性質を有していることを見出した。
【0020】
すなわち、現在利用されているコラーゲンは、2本の異種ポリペプチド鎖よりなるコラーゲンのサブユニット構造(α1・α1・α2)を有し、かつ、結合糖含有量が約1重量%結合したものであるのに対して、クラゲ類由来のコラーゲンは、3本の異種ポリペプチド鎖からなるラセン構造(サブユニット:α1・α2・α3)を有しており、かつ、コラーゲン中には糖が3〜5重量%以上結合しているという特徴的な構造を有している。そして、適度な保湿性と放湿性を維持しつつ、皮膚閉塞能を有するため皮膚保水効果に優れている。
【0021】
さらに発明者らは、クラゲから抽出したコラーゲンには、ニキビ等の原因とされる微生物Propionibacterium acnesに対して抗菌作用を有することを見出した。
さて、クラゲは一般に、体成分のうち水分が95〜96%を占めているが、それ以外の成分としては、タンパク質1.7%,炭水化物0.9%,脂質0.0%,灰分2.1%程度であり、水分以外ではその殆どをタンパク質が占めている。また、このタンパク質の殆どが体を構成するコラーゲンであり、このコラーゲンを効率よく抽出し高収率で回収することにより、現状で廃棄されているクラゲは、有用物質の原料として有効に活用され、工業化が可能となる。
そこで、本発明者らは、クラゲからコラーゲンを効率よく抽出でき、低コストで、高収率に回収することができる技術の工業化を目的とした開発を鋭意進めた結果、クラゲの体の構成成分であるコラーゲン等の有用物質の抽出を極めて容易に行えるクラゲのコラーゲン回収方法を見出した。この発明の特徴は、クラゲからコラーゲンの抽出を、pH6.0乃至8.0の緩衝液中で行うことであり、このときのクラゲの温度を4℃から溶媒の凝固点より0.5℃低い温度の間にすることである。
【0022】
次に、本発明のクラゲのコラーゲン回収方法及びクラゲのコラーゲン回収システムの実施形態を図面を参照して説明する。先ず、図1を参照してコラーゲン回収方法の実施形態を説明する。図1において、1は洗浄工程、2はホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断化工程、3aはコラーゲン抽出工程、3bはコラーゲン析出又は分離工程、4はコラーゲンの安定化処理工程であり、この実施形態は以上の工程の順番に行う。第1の工程、第2の工程、第3の工程及び第4の工程でのクラゲ処理温度は、4℃以下にすることにより収率よくコラーゲンを取り出すことができる。
【0023】
先ず、例えば発電所の取水口から捕獲したクラゲは、洗浄工程1にて洗浄される。洗浄工程1は、クラゲを洗浄し、クラゲに付着している異物や汚れを除去する。クラゲの洗浄は、例えばクラゲに水道水を噴射することにより行われる。このことにより、最終産物への異物の混入やコラーゲンを取り出すための装置内における配管の目詰まり等を解消し、後の工程の各種操作を効率よく行うことが可能となる。
【0024】
次に、洗浄されたクラゲをホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断化工程2に移す。ホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断化工程2は、クラゲを温度4℃以下例えば凍結させてホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断し、10mm角以下の大きさに微細化処理することにより、後の工程におけるクラゲからコラーゲンを抽出する効率を向上させる。
【0025】
10mm角以下の大きさに微細化処理されたクラゲは、クラゲからコラーゲンを抽出するのに好適な条件下で処理するためのコラーゲン抽出工程3aに移される。コラーゲン抽出工程3aは、10mm角以下の大きさに処理されたクラゲをpH6.0乃至8.0の緩衝液中で処理することにより、クラゲの体成分のうちコラーゲンを容易に抽出できる。コラーゲンを抽出するための溶媒として最適例は、中性の緩衝液、中性溶媒、pH6.5乃至7.5の緩衝液であり、リン酸系の緩衝液である。コラーゲンの抽出処理を中性溶媒すなわちpH6.5乃至7.5の範囲で処理を行うことにより、温度制御が容易になり、かつ、クラゲ体内から遊離した各種酵素等の作用によるコラーゲンの変性・分解を防ぐことが可能となる。これによって、コラーゲンの低分子化を避け、より付加価値の高い高分子コラーゲンを効率よく抽出することが可能となる。コラーゲン抽出工程3aの処理は、クラゲの温度が4℃から中性溶媒の凝固点より0.5℃低い温度の間で行うことにより、コラーゲンを高収率で得ることができる。
【0026】
コラーゲンが抽出された溶液は、溶媒中からコラーゲンを取り出すためのコラーゲン析出又は分離工程3bが行われる。コラーゲン析出又は分離工程3bは、溶媒中に抽出したコラーゲンを効率よく析出、又は溶媒中に抽出したコラーゲンを溶媒中から効率よく分離する処理を行う。コラーゲン析出又は分離工程3bの温度は、4℃以下が望ましい。
【0027】
コラーゲン析出又は分離工程3bにより得られたコラーゲンは、コラーゲンの安定化処理工程4が行われる。コラーゲンの安定化処理工程4は、得られたコラーゲンが高分子であるが、常温雰囲気になると低分子に変化し易いため、高分子状態を維持するための処理を行う。コラーゲンの安定化処理工程4は、例えば析出、あるいは、分離されたコラーゲンを凍結又は凍結乾燥してコラーゲンを安定して保管可能な状態にする。
【0028】
次に、各工程での処理法についてさらに具体的に説明する。
洗浄工程1におけるクラゲの洗浄法としては、捕獲・水揚げされたクラゲから、後段の処理に影響を与える異物や汚れを洗浄・除去できる方法であれば如何なる方法を採用することも可能であり、例えばベルトコンベア上での放水による洗浄等を採用することも可能である。なお、上記実施形態では、クラゲ自体についても海から水揚げ直後の個体について説明したが、塩漬けや凍結乾燥等によって脱水処理を施されたものや、凍結後解凍した個体等を用いた場合においても、本発明を用いれば効率よくクラゲコラーゲンを抽出することが可能である。クラゲが大量に発生した場合、廃棄せず、塩漬けや冷凍保存や凍結乾燥保存することによりクラゲのコラーゲン回収システムの処理能力に応じて長時間にわたってコラーゲンの抽出処理をすることができる。
【0029】
ホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断化工程2におけるクラゲのホモジネート・破砕・細断法としては、クラゲを効率よく10mm角以下の大きさに微細化処理する方法であれば如何なる方法を採用することも可能であり、例えば回転刃破砕装置や2軸破砕機,シュレッダー装置,圧力差による破砕装置、ミキサ等の装置を適宜選択して利用することが可能である。ホモジネート装置は、クラゲをミキサなどにより掻き混ぜることにより10mm角以下の大きさにするクラゲの処理法である。破砕は、例えば凍結されたクラゲを破砕機に入れて10mm角以下の大きさにするクラゲの処理法である。細断処理は、クラゲを細断器に入れて10mm角以下の大きさに細断するクラゲの処理法である。
【0030】
ホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断化工程2後のクラゲの大きさは、コラーゲン抽出工程3aにおけるコラーゲン抽出の効率に影響を及ぼす。すなわち、ホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断後のクラゲの大きさが、大きくなってしまうとコラーゲン抽出工程3aにおける処理時間が長くなり、コラーゲン抽出・回収の効率を著しく低下させる。ホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断処理は、処理後のクラゲを平均的な大きさにおいて、10mm角以下、好ましくは5mm角以下まで、さらに好ましくは、ホモジネートのように数百μm以下まで破砕し微細化することが望ましい。
【0031】
コラーゲン抽出工程3aは、ホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断されたクラゲと中性溶媒を混合し、クラゲの体構成成分であるコラーゲンを効率よく抽出する工程である。処理に用いる溶媒のpHは6.5乃至7.5の中性域の緩衝液が好ましい。溶媒としては、クラゲコラーゲンを効率よく抽出可能な中性溶媒であれば、如何なるものも採用することができる。例えば、さまざまな緩衝液を用いることが可能である。発明者らは特にリン酸を含む緩衝液、すなわち、リン酸水素二ナトリウム−リン酸二水素カリウム緩衝液やリン酸水素二ナトリウム−クエン酸緩衝液を用いた場合に極めて好適な結果を得ている。これら緩衝液によるコラーゲンの抽出の作用機構は、明らかでないが、リン酸の存在がコラーゲンの抽出効率に好影響を与えている可能性がある。また、処理温度はクラゲ由来の各種酵素の影響を受けにくい4℃以下が適しており、好ましくは4℃から抽出に用いる中性溶媒の凝固点より0.5℃低い温度の間において処理を行うことが適している。コラーゲン抽出処理槽内でクラゲをより均一に可溶化するためには、必要に応じてコラーゲン抽出工程3aにおいて攪拌操作を加えることが有効である。攪拌の方法は、処理槽内の均一化を達成できる方法で、かつその他の条件に影響を与えない方法であれば、如何なる方法を用いても構わない。
【0032】
コラーゲン抽出工程3aにより抽出された溶媒中のコラーゲンは、コラーゲン析出又は分離工程3bにて溶媒中からコラーゲンが取り出される。コラーゲン析出又は分離工程3bは、コラーゲン抽出工程3aの処理液を濾過し、溶媒中に抽出したコラーゲンを効率よく析出、あるいは、分離する方法であれば、如何なる方法を採用することも可能である。溶媒中からコラーゲンを取り出すコラーゲン析出又は分離工程3bは、例えば、塩析,有機溶媒による沈殿法,等電点沈殿,水溶性高分子を用いた沈殿法,遠心法,限外濾過法,膜濾過法,イオン交換クラマトグラフィー法,吸着クロマトグラフィー法,分配クロマトグラフィー法,ゲル濾過クロマトグラフィー法,アフィニティークロマトグラフィー法,等電点クロマトグラフィー法等の方法を抽出対象や処理条件等によって適宜選択することができる。また、これらの2以上の組み合わせによる方法も選択することが可能である。
【0033】
塩析においては、クラゲ由来のタンパク質を塩析する場合、作用機構は明らかではないが、用いる塩としてNaClを用いた場合に最も効率よく回収可能であることが知られており、発明者らもクラゲ由来のコラーゲンをNaClを用いて塩析した場合に好適な結果を得ている。また、何れの処理を行うにあたっても、コラーゲンの分解を抑えるために、コラーゲン析出又は分離工程3bは、4℃以下の環境下で進めることが好ましい。さらに好ましくは、4℃から抽出液の凝固点より0.5℃低い温度の間で行うことが望ましい。濾過法に関しては、処理残渣を取り除ける方法であれば、如何なる方法も採用することが可能である。例えば、500μm以下の孔径のメッシュやフィルターを用いることで、効率よく処理を行うことが可能である。
【0034】
コラーゲンの安定化処理工程4は、回収したコラーゲンを安定に保存可能な状態にすることが可能であれば、如何なる方法も採用することができる。例えば、回収したコラーゲンの凍結や凍結後の凍結乾燥などは長期にわたって安定に保存が可能となる。また、低温条件下で高濃度のNaCl溶液中に保管することも可能である。
【0035】
本発明のクラゲ由来のコラーゲンの抽出方法は、以上の五つの工程を具備することを特徴としている。
【0036】
次に、クラゲのコラーゲン回収システムの実施形態を図2を参照して説明する。この実施形態のクラゲのコラーゲン回収システム11は、クラゲからコラーゲンを効率よく、高収率で抽出することができる安価な設備である。
【0037】
このクラゲのコラーゲン回収システム11は、ベルトコンベア12と、クラゲを洗浄する噴射ノズル13と、クラゲをホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断する装置例えば破砕機14と、スクリューコンベア15と、クラゲを中性緩衝液と作用させコラーゲンを抽出する溶媒槽16と、コラーゲンを析出又は分離する装置例えば塩析装置17と、一時貯蔵部18と、凍結又は凍結乾燥機19とから構成されている。
【0038】
ベルトコンベア12は、大量に発生する発電所の取水口から捕獲されたクラゲを破砕機14に搬送するためのものである。ベルトコンベア12により搬送されているクラゲは、異物が付着した状態であるため搬送時間を利用して水洗いされる。この水洗いは、噴射ノズル13からクラゲを洗浄するための水圧に調整された水道水をクラゲに噴射することにより行われる。ベルトコンベア12の搬送機構には、水道水の噴射エリアで予め定められた時間停止させる機構を設けてもよい。
【0039】
噴射ノズル13は、ベルトコンベア12上に載置されたクラゲを洗浄するための洗浄水を噴射するためのものである。クラゲに付着した異物や菌類を洗い落とすために噴射ノズル13には、噴射される洗浄水を間欠的に流す機構を設けてもよいし、噴射ノズル13を左右に回動させる機構を設けてもよいし、洗浄水に超音波を印加する機構を設けてもよい。ベルトコンベア12は、クラゲから洗い落とされた異物がベルトコンベア12から分離例えば落下するようにベルトコンベア12を網状にすることが望ましい。
【0040】
破砕機14は、ベルトコンベア12により移されたクラゲを10mm角以下の大きさ例えば5mm角に破砕するためのもので、例えば回転刃破砕装置である。回転刃破砕装置141は、洗浄されたクラゲを収容する処理槽142の底部に図示しないモーターの回転軸に結合された回転刃143が設けられた装置である。回転刃破砕装置141は、回転刃143の回転数を調整することによりクラゲを10mm角以下の大きさに破砕することができる。処理槽142に搬入されたクラゲは、4℃以下の温度例えば凍結されたのち、回転刃143が回転され、凍結されたクラゲが10mm角以下の大きさに破砕される。回転刃破砕装置141には、搬入されたクラゲを4℃以下の温度にするための図示しない冷蔵機構が組み込まれている。
【0041】
回転刃破砕装置141により破砕されたクラゲは、処理槽142の側壁面に設けられた取出口144から取り出され、スクリューコンベア15により溶媒槽16に移される。溶媒槽16内には、図示しないモーターに接続された回転軸161と結合した攪拌翼162が設けられている。溶媒槽16には、溶媒貯蔵槽163から不足した溶媒を自動的に補充する機能付き送液ポンプ164を介してパイプ165が配管されている。溶媒槽16の底部には、抽出されたコラーゲンを含む抽出液を塩析装置17に移すためのパイプ167が送液ポンプ168、フィルター169を介して設けられている。さらに、溶媒槽16には、溶媒槽16に搬入されたクラゲを4℃から溶媒の凝固点より0.5℃低い温度の間にするための図示しない冷蔵機構が設けられている。このような構成の溶媒槽16は、溶媒中に搬入されたクラゲを攪拌翼162を回転させながら可溶化してコラーゲンを抽出させる。
【0042】
抽出されたコラーゲン溶液は、塩析装置17にパイプ167を介して移送される。このとき、フィルター169は、抽出されたコラーゲン溶液中に含まれる異物を除去する。塩析装置17には、塩を含む溶液例えばNaCl溶液のNaCl溶液貯蔵槽171からNaCl溶液を自動的に補充する機能付き送液ポンプ172を介してパイプ173が配管されている。塩析装置17内には、コラーゲン溶液とNaCl溶液とを攪拌するための攪拌翼174が回転軸175に接続されて設けられている。塩析装置17には、コラーゲン溶液を4℃からNaClを含むコラーゲン溶液の凝固点より0.5℃低い温度の間にするための図示しない冷蔵機構が設けられている。塩析装置17の底部には、パイプ177を介して脱水機178に接続されている。塩析装置17は、コラーゲン溶液からコラーゲン成分を析出させ、パイプ177を介して析出されたコラーゲンを脱水機178に出力する。
脱水機178は、脱水したコラーゲンを出力する。このコラーゲンは、凍結又は凍結乾燥機19にて凍結又は凍結乾燥されて保管される。
【0043】
次に、図2のクラゲのコラーゲン回収システム11を参照してコラーゲンの抽出方法を説明する。発電所の取水口で捕獲されたクラゲは、走行中のベルトコンベア12に載置すると、クラゲが噴射ノズル13から噴射される洗浄水により洗浄される。洗浄されたクラゲは、破砕機14に移されて、4℃以下の温度例えば凍結されたのち、大きさ10mm角以下に破砕されて、溶媒槽16に移される。溶媒槽16に移されたクラゲは、溶媒例えば中性緩衝液と作用してクラゲを可溶化しクラゲ体内のコラーゲンを抽出する。抽出されたコラーゲンを含む抽出液は、塩析装置17に移送されてNaCl溶液と作用してコラーゲンを析出する。析出されたコラーゲンは、脱水機178で脱水され、脱水されたコラーゲンは凍結又は凍結乾燥されて保管される。
【0044】
【実施例】
以下、例示的ではあるが限定的ではない実施例を説明することによって本発明をより深く理解することができる。
【0045】
(実施例1)
図2に示すクラゲのコラーゲン回収システム11を作製し、クラゲからコラーゲンを抽出する試験を行った。洗浄されたミズクラゲ200kgは、ホモジネート装置により10mm角以下の大きさに破砕処理される。破砕処理されたミズクラゲは、pH6.0乃至8.0の緩衝液として0.1mol/Lリン酸水素二ナトリウム−クエン酸緩衝液(pH7.0)1m3を添加した内容積3m3の溶媒槽16に添加し、4℃以下の温度例えば1℃恒温下で回転速度例えば120rpmの条件下で撹拌してコラーゲンの抽出処理を30分間行った。
【0046】
30分後にコラーゲンの抽出処理液を孔経500μmのフィルター169で濾過した後、塩析装置17にて1℃恒温下においてNaCl溶液による塩析処理を施しコラーゲンを析出させ粗精製処理を行った。粗精製したコラーゲンを脱水機178にてフィルタープレスによって脱水し、直後に凍結又は凍結乾燥機19で−20℃で冷凍した。
【0047】
本実施例によって回収した物質の重さは、0.56kgであり、その殆どがコラーゲンであった。この試験は、図2のクラゲのコラーゲン回収システム数nを3ライン設置し(以下n=3と記す)、各ラインにおいて200kgのミズクラゲを3回コラーゲンの回収プロセスを実行し、評価した。このコラーゲン回収プロセスの実行と評価をこの明細書では試験と定義し、この試験を3回繰り返し実施し同様な結果を得た。
【0048】
(実施例2)
実施例1で抽出したコラーゲン抽出液をGAM寒天培地に200μL塗布し、培地表面を乾燥させた。この寒天培地にPropionibacterium acnesJCM6425株の懸濁液50μLを接種した。接種後寒天培地を37℃,微好気条件下(細菌培養用パウチ袋中にて)で静置培養を行った。培養経過中、培地の変化を経時的に観察した。
【0049】
培養開始6日目を過ぎても、寒天培地上にPropionibacterium acnesJCM6425株の生育は観察されなかった。すなわち、得られたコラーゲンは、良好な抗菌作用のあることがわかった。
なお、以下の実施例・比較例の説明では、実施例1と同一工程あるいは同一条件、同一装置の説明等については説明の重複を避けた。
【0050】
(実施例3)
pH6.5に調整した0.1mol/Lリン酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム緩衝液1m3を用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、試験は3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.54kgであった。高分子のタンパク質が減少したが、その殆どが良質のコラーゲンで抗菌作用を呈した。
【0051】
(実施例4)
pH7.5に調整した0.1mol/LTris−HCl緩衝液1m3を用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、試験は3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.53kgであった。高分子のタンパク質が減少したが、その殆どが良質のコラーゲンで抗菌作用を呈した。
【0052】
(実施例5)
pH6に調整した0.1mol/Lクエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液1m3を用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、試験は3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.45kgであった。高分子のタンパク質が減少したが、その殆どが良質のコラーゲンで抗菌作用を呈した。
【0053】
(実施例6)
pH8に調整した0.1mol/Lリン酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム緩衝液1m3を用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、試験は3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.40kgであった。高分子のタンパク質が減少したが、その殆どが良質のコラーゲンで抗菌作用を呈した。
【0054】
(実施例7)
ミズクラゲ200kgを10mm角の大きさに破砕処理したクラゲを中性緩衝液中に入れて実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.3kgで、そのほとんどはコラーゲンであった。このコラーゲンは、良好な抗菌作用を呈した。
【0055】
(実施例8)
全ての処理についてミズクラゲの温度を4℃で行ったこと以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、試験は3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.52kgで、そのほとんどが高分子のタンパク質で抗菌作用を呈した。
【0056】
(比較例1)
pH9に調整した0.1mol/Lホウ酸―水酸化ナトリウム緩衝液1m3を用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、試験は3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.1kgであったが、低分子のタンパク質のみでコラーゲンは含まれておらず回収することができなかった。
【0057】
(比較例2)
pH5に調整した0.2mol/L酢酸―酢酸ナチリウム緩衝液1m3を用いた以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、試験は3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.05kgであったが、低分子のタンパク質のみでコラーゲンは含まれておらず回収することができなかった。
【0058】
(比較例3)
ミズクラゲ200kgを破砕処理することなく使用した以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.1kg以下であったが、コラーゲンは含まれておらず回収することができなかった。コラーゲンの抽出には、破砕処理が必要であることがわかった。
【0059】
(比較例4)
ミズクラゲ200kgを20mm角の大きさに破砕処理したクラゲを中性緩衝液中に入れて実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.1kg以下であったが、コラーゲンは含まれておらず回収することができなかった。コラーゲンの抽出には、10mm角以下の大きさに破砕処理が必要であることがわかった。
【0060】
(比較例5)
全ての処理についてミズクラゲの温度を12℃で行ったこと以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、試験は3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.3kgであったが、低分子のタンパク質のみでコラーゲンは含まれておらず回収することができなかった。
【0061】
(比較例6)
全ての処理についてミズクラゲの温度を温度調節せず室温(28℃乃至33℃)で行ったこと以外は、実施例1と同様の試験を行った。試験はn=2で行い、試験は3回繰り返し実施した。本実施例によって回収した物質は0.3kgであったが、低分子のタンパク質のみでコラーゲンは含まれておらず回収することができなかった。
【0062】
(比較例7)
実施例1の抽出液をGAM寒天培地に塗布しなかった以外は実施例2と同様の試験を比較例1〜6で得られたタンパク質について実施した。培養開始4日目に寒天培地表面にPropionibacterium acnesJCM6425株の生育を観察した。また、培養開始6日目以降には、寒天培地表面にやや厚みを持ったPropionibacterium acnesJCM6425株の菌層が生じていた。抗菌作用を呈しないことがわかった。
【0063】
上記実施例と比較例の結果より、本発明によるクラゲのコラーゲン回収方法を用いれば、クラゲ由来のコラーゲンを従来提案されていた技術に比べ、効率よくクラゲコラーゲンを粗抽出することが可能となることを容易に理解できる。
また、実施例2と比較例7の結果より、本発明を用いてなされたクラゲ由来のコラーゲンの抽出方法によって抽出されたクラゲのコラーゲンは、ニキビの原因とされる微生物Propionibacterium acnesに対して抗菌作用を有していることが容易に理解できる。
【0064】
以上説明したように、上記実施形態によればクラゲ由来のコラーゲンは、ニキビの原因となる微生物Propionibacterium acnesに対する抗菌性も有しており、化粧品や医薬品等の原材料としても付加価値の高い原材料となる。
そして、本発明のクラゲコラーゲン回収方法とその装置を用いれば、付加価値の高いコラーゲンを効率よく抽出することが可能となり、工業的な価値は極めて大である。
上記実施形態では、クラゲとして廃棄されていたミズクラゲの実施形態について説明したが、クラゲであれば他のクラゲのビゼンクラゲやエチゼンクラゲなどでも、コラーゲンを抽出できることは説明するまでもないことである。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によればクラゲ類をさらに効率よく処理し、かつ、より付加価値の高いコラーゲンを効率よく抽出でき、回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクラゲのコラーゲン回収方法を説明するための工程図。
【図2】本発明のクラゲのコラーゲン回収システムを工程順に説明するための製造装置の配置図。
【符号の説明】
1…洗浄工程、 2…ホモジネート及び/又は破砕及び/又は細断化工程、
3a…コラーゲン抽出工程、 3b…コラーゲン析出又は分離工程、
4…コラーゲンの安定化処理工程、 11…コラーゲン回収システム、
12…ベルトコンベア、 13…噴射ノズル、 14…破砕機、 15…スクリューコンベア、 16…溶媒槽、 17…塩析装置、 18…一時貯蔵部、 19…凍結又は凍結乾燥機、 141…回転刃破砕装置、 142…処理槽、 143…回転刃、 144…取出口、 161…回転軸、 162,174…攪拌翼、 163…溶媒貯蔵槽、 164,168,172…送液ポンプ、 165,167,173,177…パイプ、 169…フィルター、 171…溶液貯蔵槽、 175…回転軸、 178…脱水機。
Claims (11)
- クラゲを微細化する第1の工程と、
前記微細化されたクラゲをpH6.0乃至8.0の緩衝液中で抽出処理する第2の工程と、
前記pH6.0乃至8.0の緩衝液中からコラーゲンを取り出す第3の工程とを具備してなることを特徴とするクラゲのコラーゲン回収方法。 - クラゲを微細化する第1の工程と、
前記微細化されたクラゲを中性溶媒中で抽出処理する第2の工程と、
前記中性溶媒中からコラーゲンを取り出す第3の工程と
を具備してなることを特徴とするクラゲのコラーゲン回収方法。 - クラゲを微細化する第1の工程と、
前記微細化されたクラゲをリン酸系の中性緩衝液中で抽出処理する第2の工程と、
前記中性緩衝液中からコラーゲンを取り出す第3の工程と
を具備してなることを特徴とするクラゲのコラーゲン回収方法。 - クラゲを微細化する第1の工程と、
前記微細化されたクラゲを溶媒中で抽出処理する第2の工程と、
前記溶媒中からコラーゲンを取り出す第3の工程と、
前記第3の工程により取り出されたコラーゲンを凍結する第4の工程と
を具備してなることを特徴とするクラゲのコラーゲン回収方法。 - 前記第1の工程、前記第2の工程及び前記第3の工程でのクラゲ処理温度は、4℃以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のクラゲのコラーゲン回収方法。
- 前記微細化されたクラゲの砕片の大きさは、10mm角以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のクラゲのコラーゲン回収方法。
- 前記第2の工程でコラーゲンが抽出され、前記第3の工程で、前記コラーゲンが析出又は分離されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のクラゲのコラーゲン回収方法。
- 前記リン酸系の緩衝液は、リン酸水素二ナトリウム−リン酸二水素カリウム緩衝溶液又はリン酸水素二ナトリウム−クエン酸緩衝液であることを特徴とする請求項3記載のクラゲのコラーゲン回収方法。
- 前記凍結する第4の工程は、前記凍結したのち凍結乾燥することを特徴とする請求項4記載のクラゲのコラーゲン回収方法。
- 前記第2の工程は、温度4℃から溶媒の凝固点より0.5℃低い温度の間で処理することを特徴とする請求項5項記載のクラゲのコラーゲン回収方法。
- クラゲを微細化する処理装置と、
前記微細化されたクラゲを溶媒中で抽出処理してコラーゲンを取り出すためのコラーゲン取り出し装置と、
前記コラーゲンを凍結する凍結装置と、
を具備してなることを特徴とするクラゲのコラーゲン回収システム。
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