JP2004098942A - 空気通路切替装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロータリードアの回動操作時に発生する摺動音を低減するために、摺動音の音圧変化を測定したところ、音圧ピークが発生するタイミングがあることを見いだした。
【解決手段】ケースシールリブ14の端部に案内平面部16を設けた。この案内平面部16は、フィルム部材4の回動時においてフィルム開口端部15aを内側(ロータリードア3側)へスムーズにもぐり込ませる傾斜面であり、当接進入角度は45°以下に設けられる。当接進入角度を45°以下に設けられることで、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14に進入する際の角度が浅くなり、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14の端部にぶつかることによって発生していた音圧ピークを低減できる。
【選択図】 図1
【解決手段】ケースシールリブ14の端部に案内平面部16を設けた。この案内平面部16は、フィルム部材4の回動時においてフィルム開口端部15aを内側(ロータリードア3側)へスムーズにもぐり込ませる傾斜面であり、当接進入角度は45°以下に設けられる。当接進入角度を45°以下に設けられることで、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14に進入する際の角度が浅くなり、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14の端部にぶつかることによって発生していた音圧ピークを低減できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルム部材を備えたロータリードアによって、ケースに形成されたケース開口部(空気通路)の開閉を行う空気通路切替装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の空気通路切替装置は、ケース開口部を有したケースと、円弧状の円周壁にドア開口部を有するロータリードアと、円周壁の外面に取り付けられ、フィルム開口部を有するフィルム部材とを具備し、フィルム部材がケース開口部の周囲のケースシールリブに押し付けられた状態でロータリードアが回動操作される(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−25945号公報(第2〜9頁、図1〜図17)
【特許文献2】
特開平9−188125号公報(第2〜11頁、図1〜図19)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この種の空気通路切替装置は、フィルム部材がケースシールリブに押し付けられているため、ロータリードアを回動操作すると、フィルム部材がケースに擦れて、摺動音が発生する。
ロータリードアの回動操作時に発生する摺動音を低減するために、摺動音をロータリードアの回動操作時間(タイミング)ごとに音圧変化を測定したところ、音圧ピークが発生するタイミングがあることが解明された。
この音圧ピークを発生するタイミングを解析したところ、フィルム部材とケースとの摺動音、およびロータリードアを駆動させる操作機構(例えば、リンク機構)の作動音、およびロータリードアの操作スピード変化による音圧変化とは別の音源であることを見いだした。
【0005】
この音源は、図1(a)に示すように、ロータリードア3を矢印α方向に回動操作して、フィルム部材4によってケース開口部8、9、10を閉塞する際に、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14の端部にぶつかることによって発生するものであった。
従来、ケースシールリブ14の端部には、フィルム開口端部15aがぶつかった際に、ぶつかったフィルム開口端部15aをケースシールリブ14の内面(ロータリードア3側の面)に案内するためだけのR部J1 が設けられていた。
しかし、このR部J1 は、上述のように、フィルム開口端部15aをケースシールリブ14の内面に案内するだけが目的であり、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14に進入する当接進入角度が約55°に設けられていたが、上述したようにフィルム開口端部15aがケースシールリブ14の端部にぶつかることによって、音圧ピークが発生するものであった。
【0006】
一方、樹脂製のフィルム部材4では、フィルム開口部15は打ち抜き加工によって形成される。すると、図6(a)に示すように、フィルム開口端部15aには、駄肉による凸部J2 が発生していた。この駄肉による凸部J2 が、ケースシールリブ14の端部にぶつかることによって、音圧ピークが発生することも突き止めた。
【0007】
さらに、従来では、ロータリードア3の両端の円弧部に沿ってパッキン部材12を配置するとともに、ドア開口部の回動方向の端部のみにパッキン部材13を配置して、複数のドア開口部の周囲をまとめてシールしていた(符号12、13は図3参照)。
このように設けられると、図7(a)に示すように、フィルム開口部15は円弧状にはならずに平面部となり、平面部と円弧部との境に屈曲部が形成されてしまう。この屈曲部は、フィルム開口端部15aに形成されるものであるため、図7(b)の実線に示すように、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14のR部J1 に進入する当接進入角度が実質的に大きくなる結果となり、このことが音圧ピークを発生させる要因になっていることも突き止めた。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィルム部材に形成されたフィルム開口端部が、ケースシールリブへ進入する際に発生する音を低減できる空気通路切替装置の提供にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1の手段〕
請求項1の手段を採用する空気通路切替装置は、フィルム開口端部が当接するケースシールリブの端部に、フィルム開口端部をケースシールリブにスムーズにもぐり込ませる案内平面部が設けられ、この案内平面部は、フィルム開口端部と当接してフィルム開口端部をケースシールリブに進入させる当接進入角度が約45°以下に設けられたことを特徴とする。
この結果、ロータリードアを回動操作してフィルム部材によってケース開口部を閉塞する際、案内平面部によってフィルム開口端部がケースシールリブに進入する際の当接進入角度が浅くなるため、フィルム開口端部がケースシールリブへ進入する際に発生する音を低減できる。
【0010】
〔請求項2の手段〕
請求項2の手段を採用する空気通路切替装置は、当接進入角度が30°〜45°の範囲に設けられたことを特徴とする。
このように、当接進入角度を45°以下にすることにより、フィルム開口端部がケースシールリブに進入する際の角度が浅くなるとともに、当接進入角度を30°以上にすることにより、案内平面部の幅(ロータリードアおよびフィルム部材の回動方向の幅)が大きくなりすぎて、ケースシールリブとフィルム部材とが接触するシール幅(ロータリードアおよびフィルム部材の回動方向の幅)が狭くなる不具合を回避できる。また、案内平面部の幅(ロータリードアおよびフィルム部材の回動方向の幅)の増加によってケースシールリブの厚さが薄くなる不具合も回避できる。
【0011】
〔請求項3の手段〕
請求項3の手段を採用する空気通路切替装置は、ロータリードアを回動操作してフィルム部材によってケース開口部を閉塞する際にケースシールリブと当接するフィルム開口端部に、ケースシールリブにスムーズにもぐり込ませる傾斜平面あるいはR面よりなる面取り部が設けられたことを特徴とする。
この結果、ロータリードアを回動操作してフィルム部材によってケース開口部を閉塞する際、面取り部によってフィルム開口端部がケースシールリブに進入する際の当接進入角度が浅くなるため、フィルム開口端部がケースシールリブへ進入する際に発生する音を低減できる。
【0012】
〔請求項4の手段〕
請求項4の手段を採用する空気通路切替装置は、ロータリードアとフィルム部材との間に、フィルム開口部の周縁を円周壁に対して略平行な円弧状に保つパッキン部材が配置されたことを特徴とする。
この結果、フィルム開口部も円弧状になり、フィルム開口端部がケースシールリブに進入する際の当接進入角度が浅くなるため、フィルム開口端部がケースシールリブへ進入する際に発生する音を低減できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、3つの実施例と変形例を用いて説明する。
[第1実施例の構成]
第1実施例を図1〜図5を参照して説明する。この実施例は、本発明を車両用空調装置の吹出口切替装置に適用したものであり、その吹出口切替装置の構成を図2を参照して説明する。
【0014】
吹出口切替装置は、空調ダクトの下流部分を構成するケース1と、円弧状の円周壁2を有するロータリードア3と、円周壁2の外面に取り付けられたフィルム部材4とを具備する。
【0015】
(ケース1の説明)
ケース1は、空気冷却手段(例えば、冷凍サイクルのエバポレータ)、空気加熱手段(例えば、ヒータコア)が内部に配置された空調ダクトの下流部分を構成するものであり、3つの吹出口(フット吹出口、フェイス吹出口、デフロスタ吹出口:図示しない)のそれぞれにダクト5、6、7(フットダクト5、フェイスダクト6、デフロスタダクト7)を介して連通する3つのケース開口部8、9、10(フット吹出開口部8、フェイス吹出開口部9、デフロスタ吹出開口部10)を備える。
【0016】
ここで、ロータリードア3の回動方向において、最も車両後方側に位置するフット吹出開口部8は、車室内計器盤の下方に配設され、乗員の足元に向けて空調風(主に温風)を吹き出すためのフット吹出口(図示しない)にフットダクト5によって連通されている。
ロータリードア3の回動方向の中間に位置するフェイス吹出開口部9は、車室内計器盤の左右およびセンター付近に配設され、乗員の上半身に向けて空調風(主に冷風)を吹き出すためのフェイス吹出口(図示しない)にフェイスダクト6によって連通されている。
ロータリードア3の回動方向において、最も車両前方側に位置するデフロスタ吹出開口部10は、車室内計器盤の上面に配設され、フロントガラスやサイドガラスの内面に向けて空調風(主に温風)を吹き出すためのデフロスタ吹出口(図示しない)にデフロスタダクト7によって連通されている。
【0017】
3つのケース開口部8、9、10は、ロータリードア3の回動する領域内に、ロータリードア3の回動方向(円周方向)に沿って隣接して並ぶように設けられている。従って、3つのケース開口部8、9、10は、円弧面上に形成されている。
また、3つのケース開口部8、9、10は、車両の左右方向を長手方向とした略長方形状に形成されている。
【0018】
そして、車両用空調装置が作動すると、送風機(図示しない)が作動して内気あるいは外気が空調ダクトの上流に吸い込まれ、空気冷却手段および空気加熱手段で温度調整された所望の吹出空気温度の空調風が、3つのケース開口部8、9、10を介して各吹出口から車室内に吹き出されるようになっている。
なお、本実施例では、3つのケース開口部8、9、10の開閉選択によって、後述する5つの吹出モードを選択することができるようになっている。
【0019】
(ロータリードア3の説明)
ロータリードア3は、図3の斜視図に示されるように、略180°の円弧範囲を持つ半円筒状の円周壁2を有し、この円周壁2には、軸方向に複数並んで形成され、上述した3つのケース開口部8、9、10の何れか1つと連通可能なドア開口部11が形成されている。各ドア開口部11は、ロータリードア3の回動方向を長手方向とした略長方形状を呈するものであり、各ドア開口部11の回動方向の両端部は略く字型に形成されている。
なお、図3中の符号11aは、常にサイドフェイス吹出口(図示しない)に連通可能なサイドフェイス用のケース開口部である。
【0020】
また、図3の斜視図に示すように、各ドア開口部11の回動方向の両端には、軸方向に沿うパッキン部材12が貼着されるとともに、ロータリードア3の円周壁2の両端円弧部にもパッキン部材13が貼着されるものであり、これらパッキン部材12、13の復元力と、ロータリードア3の内側から受ける風圧によって、フィルム部材4がケース開口部8、9、10の周囲のケースシールリブ14に押し付けられる構造になっている。
【0021】
このロータリードア3は、ロータリードア3の回転軸3aがケース1の壁部に回転可能に支持されており、手動操作あるいはアクチュエータ(電動モータ、負圧アクチュエータ等)によって回動操作される。
【0022】
(フィルム部材4の説明)
フィルム部材4は、可撓性(柔軟性)があって、通気性がなく、しかも摩擦抵抗の小さい樹脂材料(例えば、ポリエチレンフタレート)で形成された薄い膜状部材であり、図4の斜視図に示されるように、ロータリードア3の円周壁2の外周面に配置されるもので、回動方向の両端がロータリードア3に取り付けられている。
このフィルム部材4には、ロータリードア3に形成された各ドア開口部11のそれぞれと同じ開口形状を有する複数のフィルム開口部15が形成されており、各ドア開口部11と各フィルム開口部15が連通するようになっている。
【0023】
(吹出口切替装置の作動説明)
車両用空調装置が作動し、空気冷却手段および空気加熱手段で温度調整された空調風は、ロータリードア3の内周側に至り、ドア開口部11およびフィルム開口部15を通って、このフィルム開口部15とラップする3つのケース開口部8、9、10のいずれか1つまたは複数から各吹出口に至り、車室内へ吹き出される。
この時、フィルム部材4は、パッキン部材12、13および風圧によって外周側へ膨らむ力を受け、閉塞すべきケース開口部8、9、10の周囲のケースシールリブ14に圧接することで、閉塞すべきケース開口部8、9、10をフィルム部材4によって閉塞する。従って、閉塞すべきケース開口部8、9、10から風漏れを生じることなく、確実に閉塞できる。
【0024】
ロータリードア3の回動に伴う吹出モードの切替動作については、特開平9−188125号公報等に詳述されているので、ここでは簡単に説明する。
使用者が吹出モードの切替動作を行うと、手動もしくはアクチュエータによって、ロータリードア3が図2中の矢印A方向(反時計回り)あるいは矢印B方向(時計回り)に回動する。そして、ロータリードア3の回動により、5つの吹出モードが選択される。
【0025】
まず、フェイスモード時は、図2に示す位置に、ロータリードア3がフィルム部材4とともに回動しており、その結果、フィルム部材4のフィルム開口部15がフェイス吹出開口部9に完全にラップする。これにより、ケース1内の空気は、ドア開口部11、フィルム開口部15、フェイス吹出開口部9を通ってフェイスダクト6に流入し、フェイス吹出口から車室内に吹き出される。
そして、ロータリードア3が、図2の状態から反時計回りに所定角度だけ順に回動することにより、バイレベルモード、フットモード、フットデフモード、デフロスタモードの順に吹出モードが切り替えられる。
【0026】
[第1実施例の特徴]
吹出口切替装置は、従来技術の項でも説明したように、フィルム部材4がケースシールリブ14に押し付けられているため、ロータリードア3を回動操作すると、フィルム部材4がケース1に擦れて、摺動音が発生する。
ロータリードア3の回動操作時に発生する摺動音を低減するために、摺動音をロータリードア3の回動操作時間(タイミング)ごとに音圧変化を測定したところ、音圧ピークが発生するタイミングがあることが解明された。
この音圧ピークを発生するタイミングを解析したところ、図1(a)に示すように、ロータリードア3を矢印α方向に回動操作して、フィルム部材4によってケース開口部8、9、10を閉塞する際に、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14の端部にぶつかることによって音圧ピークが発生していることが判った。
【0027】
そこで、この実施例では、図1(b)に示すように、ケースシールリブ14の端部に案内平面部16を設けた。
この案内平面部16は、フィルム部材4の回動時においてフィルム開口端部15aを内面側(ロータリードア3側)へスムーズにもぐり込ませる傾斜であり、フィルム開口端部15aと当接する部分の進入角(当接進入角度)は、好ましくは30°〜45°の範囲に設けられるものである。
【0028】
このように、当接進入角度を45°以下にすることにより、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14に進入する際の角度が浅くなり、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14の端部にぶつかることによって発生していた音圧ピークを低減できる。
また、当接進入角度を30°以上にすることにより、案内平面部16の幅(ロータリードア3およびフィルム部材4の回動方向の幅)が大きくなりすぎて、ケースシールリブ14とフィルム部材4とが接触するシール幅(ロータリードア3およびフィルム部材4の回動方向の幅)が狭くなる不具合を回避できる。さらに、案内平面部16の幅(ロータリードア3およびフィルム部材4の回動方向の幅)の増加によってケースシールリブ14の厚さが薄くなる不具合も回避できる。
【0029】
騒音低減効果の実例を、図5のグラフを参照して説明する。
この図5のグラフは、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14の端部にぶつかった時の騒音(音圧レベル)を示すものであり、図5中の破線は、従来技術を採用した吹出口切替装置(ケースシールリブ14の端部はR形状で、当接進入角度が約55°)の音圧レベルを示し、図5中の実線は、この実施例を採用した吹出口切替装置におけるの音圧レベルを示すものである。
この図5から読み取れるように、本実施例を採用することにより、周波数の広い範囲に亘って騒音レベルを下げることができる。
【0030】
[第2実施例]
従来技術の項でも説明したように、フィルム部材4のフィルム開口部15は、打ち抜き加工によって形成される。すると、図6(a)に示すように、フィルム開口端部15aには、駄肉による凸部J2 が発生し、この駄肉による凸部J2 が、ケースシールリブ14の端部にぶつかることによって騒音が発生していた。
そこで、この第2実施例は、ケース開口部8、9、10を閉塞する際にケースシールリブ14と当接するフィルム開口端部15aに、図6(b)に示すようにR面よりなる面取り部21を設ける、あるいは図6(c)に示すように傾斜平面よりなる面取り部21を設け、フィルム開口端部15aをケースシールリブ14にスムーズにもぐり込ませるものである。
【0031】
この第2実施例のように設けることによって、第1実施例と同様、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14の端部にぶつかる時の衝撃が和らぐため、騒音が抑えられる。
なお、この面取り部21(R面や傾斜平面)は、フィルム部材4にフィルム開口部15を打ち抜き加工する際に、同時にプレス加工によって形成されるものであるが、フィルム開口部15を形成した後、刃物等によって面取り加工して形成しても良い。
【0032】
[第3実施例]
従来技術の項、および第1実施例(図3参照)でも説明したように、既存の技術では、複数のドア開口部11の周囲をパッキン部材12、13によってまとめてシールしていたため、図7(a)に示すように、フィルム開口部15は円弧状にはならずに平面部となってしまう。この平面部と円弧部との境に形成される屈曲部は、フィルム開口端部15aに形成されるものであるため、図7(b)の実線に示すように、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14のR部J1 に当接する際における当接進入角度が実質的に大きくなる結果となり、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14の端部にぶつかる時の衝撃が大きくなって騒音が発生する不具合があった。
【0033】
そこで、この第3実施例は、図8に示すように、各ドア開口部11の周囲にパッキン部材31を配置し、図7(c)に示すように、各フィルム開口部15も円弧状に保つようにしたものである。
このように設けることにより、図7(b)の破線に示すように、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14に進入する際の当接進入角度が浅くなるため、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14の端部にぶつかる時の衝撃が和らぎ、騒音が抑えられる。
【0034】
[変形例]
上記の実施例では、本発明を吹出口切替装置に適用した例を示したが、内外気切替装置、エアミックスドア等に本発明を適用しても良い。
また、車両の空調装置に限らず、空気通路を開閉するための各種装置に広く適用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルム開口端部がケースシールリブに当接する状態を示す要部断面図である(第1実施例)。
【図2】吹出口切替装置の要部断面図である(第1実施例)。
【図3】ロータリードアの斜視図である(第1実施例)。
【図4】フィルム部材が取り付けられたロータリードアの斜視図である(第1実施例)。
【図5】騒音の改善度合を示すグラフである(第1実施例)。
【図6】フィルム開口端部の断面図である(第2実施例)。
【図7】フィルム開口部およびその開口部の端部の形状の説明図である(第3実施例)。
【図8】パッキン部材の配置状態を示すロータリードアの斜視図である(第3実施例)。
【符号の説明】
1 ケース
2 円周壁
3 ロータリードア
4 フィルム部材
8 フット吹出開口部(ケース開口部)
9 フェイス吹出開口部(ケース開口部)
10 デフロスタ吹出開口部(ケース開口部)
11 ドア開口部
14 ケースシールリブ
15 フィルム開口部
15a フィルム開口端部
16 案内平面部
21 面取り部
31 パッキン部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルム部材を備えたロータリードアによって、ケースに形成されたケース開口部(空気通路)の開閉を行う空気通路切替装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の空気通路切替装置は、ケース開口部を有したケースと、円弧状の円周壁にドア開口部を有するロータリードアと、円周壁の外面に取り付けられ、フィルム開口部を有するフィルム部材とを具備し、フィルム部材がケース開口部の周囲のケースシールリブに押し付けられた状態でロータリードアが回動操作される(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−25945号公報(第2〜9頁、図1〜図17)
【特許文献2】
特開平9−188125号公報(第2〜11頁、図1〜図19)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この種の空気通路切替装置は、フィルム部材がケースシールリブに押し付けられているため、ロータリードアを回動操作すると、フィルム部材がケースに擦れて、摺動音が発生する。
ロータリードアの回動操作時に発生する摺動音を低減するために、摺動音をロータリードアの回動操作時間(タイミング)ごとに音圧変化を測定したところ、音圧ピークが発生するタイミングがあることが解明された。
この音圧ピークを発生するタイミングを解析したところ、フィルム部材とケースとの摺動音、およびロータリードアを駆動させる操作機構(例えば、リンク機構)の作動音、およびロータリードアの操作スピード変化による音圧変化とは別の音源であることを見いだした。
【0005】
この音源は、図1(a)に示すように、ロータリードア3を矢印α方向に回動操作して、フィルム部材4によってケース開口部8、9、10を閉塞する際に、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14の端部にぶつかることによって発生するものであった。
従来、ケースシールリブ14の端部には、フィルム開口端部15aがぶつかった際に、ぶつかったフィルム開口端部15aをケースシールリブ14の内面(ロータリードア3側の面)に案内するためだけのR部J1 が設けられていた。
しかし、このR部J1 は、上述のように、フィルム開口端部15aをケースシールリブ14の内面に案内するだけが目的であり、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14に進入する当接進入角度が約55°に設けられていたが、上述したようにフィルム開口端部15aがケースシールリブ14の端部にぶつかることによって、音圧ピークが発生するものであった。
【0006】
一方、樹脂製のフィルム部材4では、フィルム開口部15は打ち抜き加工によって形成される。すると、図6(a)に示すように、フィルム開口端部15aには、駄肉による凸部J2 が発生していた。この駄肉による凸部J2 が、ケースシールリブ14の端部にぶつかることによって、音圧ピークが発生することも突き止めた。
【0007】
さらに、従来では、ロータリードア3の両端の円弧部に沿ってパッキン部材12を配置するとともに、ドア開口部の回動方向の端部のみにパッキン部材13を配置して、複数のドア開口部の周囲をまとめてシールしていた(符号12、13は図3参照)。
このように設けられると、図7(a)に示すように、フィルム開口部15は円弧状にはならずに平面部となり、平面部と円弧部との境に屈曲部が形成されてしまう。この屈曲部は、フィルム開口端部15aに形成されるものであるため、図7(b)の実線に示すように、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14のR部J1 に進入する当接進入角度が実質的に大きくなる結果となり、このことが音圧ピークを発生させる要因になっていることも突き止めた。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィルム部材に形成されたフィルム開口端部が、ケースシールリブへ進入する際に発生する音を低減できる空気通路切替装置の提供にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1の手段〕
請求項1の手段を採用する空気通路切替装置は、フィルム開口端部が当接するケースシールリブの端部に、フィルム開口端部をケースシールリブにスムーズにもぐり込ませる案内平面部が設けられ、この案内平面部は、フィルム開口端部と当接してフィルム開口端部をケースシールリブに進入させる当接進入角度が約45°以下に設けられたことを特徴とする。
この結果、ロータリードアを回動操作してフィルム部材によってケース開口部を閉塞する際、案内平面部によってフィルム開口端部がケースシールリブに進入する際の当接進入角度が浅くなるため、フィルム開口端部がケースシールリブへ進入する際に発生する音を低減できる。
【0010】
〔請求項2の手段〕
請求項2の手段を採用する空気通路切替装置は、当接進入角度が30°〜45°の範囲に設けられたことを特徴とする。
このように、当接進入角度を45°以下にすることにより、フィルム開口端部がケースシールリブに進入する際の角度が浅くなるとともに、当接進入角度を30°以上にすることにより、案内平面部の幅(ロータリードアおよびフィルム部材の回動方向の幅)が大きくなりすぎて、ケースシールリブとフィルム部材とが接触するシール幅(ロータリードアおよびフィルム部材の回動方向の幅)が狭くなる不具合を回避できる。また、案内平面部の幅(ロータリードアおよびフィルム部材の回動方向の幅)の増加によってケースシールリブの厚さが薄くなる不具合も回避できる。
【0011】
〔請求項3の手段〕
請求項3の手段を採用する空気通路切替装置は、ロータリードアを回動操作してフィルム部材によってケース開口部を閉塞する際にケースシールリブと当接するフィルム開口端部に、ケースシールリブにスムーズにもぐり込ませる傾斜平面あるいはR面よりなる面取り部が設けられたことを特徴とする。
この結果、ロータリードアを回動操作してフィルム部材によってケース開口部を閉塞する際、面取り部によってフィルム開口端部がケースシールリブに進入する際の当接進入角度が浅くなるため、フィルム開口端部がケースシールリブへ進入する際に発生する音を低減できる。
【0012】
〔請求項4の手段〕
請求項4の手段を採用する空気通路切替装置は、ロータリードアとフィルム部材との間に、フィルム開口部の周縁を円周壁に対して略平行な円弧状に保つパッキン部材が配置されたことを特徴とする。
この結果、フィルム開口部も円弧状になり、フィルム開口端部がケースシールリブに進入する際の当接進入角度が浅くなるため、フィルム開口端部がケースシールリブへ進入する際に発生する音を低減できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、3つの実施例と変形例を用いて説明する。
[第1実施例の構成]
第1実施例を図1〜図5を参照して説明する。この実施例は、本発明を車両用空調装置の吹出口切替装置に適用したものであり、その吹出口切替装置の構成を図2を参照して説明する。
【0014】
吹出口切替装置は、空調ダクトの下流部分を構成するケース1と、円弧状の円周壁2を有するロータリードア3と、円周壁2の外面に取り付けられたフィルム部材4とを具備する。
【0015】
(ケース1の説明)
ケース1は、空気冷却手段(例えば、冷凍サイクルのエバポレータ)、空気加熱手段(例えば、ヒータコア)が内部に配置された空調ダクトの下流部分を構成するものであり、3つの吹出口(フット吹出口、フェイス吹出口、デフロスタ吹出口:図示しない)のそれぞれにダクト5、6、7(フットダクト5、フェイスダクト6、デフロスタダクト7)を介して連通する3つのケース開口部8、9、10(フット吹出開口部8、フェイス吹出開口部9、デフロスタ吹出開口部10)を備える。
【0016】
ここで、ロータリードア3の回動方向において、最も車両後方側に位置するフット吹出開口部8は、車室内計器盤の下方に配設され、乗員の足元に向けて空調風(主に温風)を吹き出すためのフット吹出口(図示しない)にフットダクト5によって連通されている。
ロータリードア3の回動方向の中間に位置するフェイス吹出開口部9は、車室内計器盤の左右およびセンター付近に配設され、乗員の上半身に向けて空調風(主に冷風)を吹き出すためのフェイス吹出口(図示しない)にフェイスダクト6によって連通されている。
ロータリードア3の回動方向において、最も車両前方側に位置するデフロスタ吹出開口部10は、車室内計器盤の上面に配設され、フロントガラスやサイドガラスの内面に向けて空調風(主に温風)を吹き出すためのデフロスタ吹出口(図示しない)にデフロスタダクト7によって連通されている。
【0017】
3つのケース開口部8、9、10は、ロータリードア3の回動する領域内に、ロータリードア3の回動方向(円周方向)に沿って隣接して並ぶように設けられている。従って、3つのケース開口部8、9、10は、円弧面上に形成されている。
また、3つのケース開口部8、9、10は、車両の左右方向を長手方向とした略長方形状に形成されている。
【0018】
そして、車両用空調装置が作動すると、送風機(図示しない)が作動して内気あるいは外気が空調ダクトの上流に吸い込まれ、空気冷却手段および空気加熱手段で温度調整された所望の吹出空気温度の空調風が、3つのケース開口部8、9、10を介して各吹出口から車室内に吹き出されるようになっている。
なお、本実施例では、3つのケース開口部8、9、10の開閉選択によって、後述する5つの吹出モードを選択することができるようになっている。
【0019】
(ロータリードア3の説明)
ロータリードア3は、図3の斜視図に示されるように、略180°の円弧範囲を持つ半円筒状の円周壁2を有し、この円周壁2には、軸方向に複数並んで形成され、上述した3つのケース開口部8、9、10の何れか1つと連通可能なドア開口部11が形成されている。各ドア開口部11は、ロータリードア3の回動方向を長手方向とした略長方形状を呈するものであり、各ドア開口部11の回動方向の両端部は略く字型に形成されている。
なお、図3中の符号11aは、常にサイドフェイス吹出口(図示しない)に連通可能なサイドフェイス用のケース開口部である。
【0020】
また、図3の斜視図に示すように、各ドア開口部11の回動方向の両端には、軸方向に沿うパッキン部材12が貼着されるとともに、ロータリードア3の円周壁2の両端円弧部にもパッキン部材13が貼着されるものであり、これらパッキン部材12、13の復元力と、ロータリードア3の内側から受ける風圧によって、フィルム部材4がケース開口部8、9、10の周囲のケースシールリブ14に押し付けられる構造になっている。
【0021】
このロータリードア3は、ロータリードア3の回転軸3aがケース1の壁部に回転可能に支持されており、手動操作あるいはアクチュエータ(電動モータ、負圧アクチュエータ等)によって回動操作される。
【0022】
(フィルム部材4の説明)
フィルム部材4は、可撓性(柔軟性)があって、通気性がなく、しかも摩擦抵抗の小さい樹脂材料(例えば、ポリエチレンフタレート)で形成された薄い膜状部材であり、図4の斜視図に示されるように、ロータリードア3の円周壁2の外周面に配置されるもので、回動方向の両端がロータリードア3に取り付けられている。
このフィルム部材4には、ロータリードア3に形成された各ドア開口部11のそれぞれと同じ開口形状を有する複数のフィルム開口部15が形成されており、各ドア開口部11と各フィルム開口部15が連通するようになっている。
【0023】
(吹出口切替装置の作動説明)
車両用空調装置が作動し、空気冷却手段および空気加熱手段で温度調整された空調風は、ロータリードア3の内周側に至り、ドア開口部11およびフィルム開口部15を通って、このフィルム開口部15とラップする3つのケース開口部8、9、10のいずれか1つまたは複数から各吹出口に至り、車室内へ吹き出される。
この時、フィルム部材4は、パッキン部材12、13および風圧によって外周側へ膨らむ力を受け、閉塞すべきケース開口部8、9、10の周囲のケースシールリブ14に圧接することで、閉塞すべきケース開口部8、9、10をフィルム部材4によって閉塞する。従って、閉塞すべきケース開口部8、9、10から風漏れを生じることなく、確実に閉塞できる。
【0024】
ロータリードア3の回動に伴う吹出モードの切替動作については、特開平9−188125号公報等に詳述されているので、ここでは簡単に説明する。
使用者が吹出モードの切替動作を行うと、手動もしくはアクチュエータによって、ロータリードア3が図2中の矢印A方向(反時計回り)あるいは矢印B方向(時計回り)に回動する。そして、ロータリードア3の回動により、5つの吹出モードが選択される。
【0025】
まず、フェイスモード時は、図2に示す位置に、ロータリードア3がフィルム部材4とともに回動しており、その結果、フィルム部材4のフィルム開口部15がフェイス吹出開口部9に完全にラップする。これにより、ケース1内の空気は、ドア開口部11、フィルム開口部15、フェイス吹出開口部9を通ってフェイスダクト6に流入し、フェイス吹出口から車室内に吹き出される。
そして、ロータリードア3が、図2の状態から反時計回りに所定角度だけ順に回動することにより、バイレベルモード、フットモード、フットデフモード、デフロスタモードの順に吹出モードが切り替えられる。
【0026】
[第1実施例の特徴]
吹出口切替装置は、従来技術の項でも説明したように、フィルム部材4がケースシールリブ14に押し付けられているため、ロータリードア3を回動操作すると、フィルム部材4がケース1に擦れて、摺動音が発生する。
ロータリードア3の回動操作時に発生する摺動音を低減するために、摺動音をロータリードア3の回動操作時間(タイミング)ごとに音圧変化を測定したところ、音圧ピークが発生するタイミングがあることが解明された。
この音圧ピークを発生するタイミングを解析したところ、図1(a)に示すように、ロータリードア3を矢印α方向に回動操作して、フィルム部材4によってケース開口部8、9、10を閉塞する際に、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14の端部にぶつかることによって音圧ピークが発生していることが判った。
【0027】
そこで、この実施例では、図1(b)に示すように、ケースシールリブ14の端部に案内平面部16を設けた。
この案内平面部16は、フィルム部材4の回動時においてフィルム開口端部15aを内面側(ロータリードア3側)へスムーズにもぐり込ませる傾斜であり、フィルム開口端部15aと当接する部分の進入角(当接進入角度)は、好ましくは30°〜45°の範囲に設けられるものである。
【0028】
このように、当接進入角度を45°以下にすることにより、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14に進入する際の角度が浅くなり、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14の端部にぶつかることによって発生していた音圧ピークを低減できる。
また、当接進入角度を30°以上にすることにより、案内平面部16の幅(ロータリードア3およびフィルム部材4の回動方向の幅)が大きくなりすぎて、ケースシールリブ14とフィルム部材4とが接触するシール幅(ロータリードア3およびフィルム部材4の回動方向の幅)が狭くなる不具合を回避できる。さらに、案内平面部16の幅(ロータリードア3およびフィルム部材4の回動方向の幅)の増加によってケースシールリブ14の厚さが薄くなる不具合も回避できる。
【0029】
騒音低減効果の実例を、図5のグラフを参照して説明する。
この図5のグラフは、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14の端部にぶつかった時の騒音(音圧レベル)を示すものであり、図5中の破線は、従来技術を採用した吹出口切替装置(ケースシールリブ14の端部はR形状で、当接進入角度が約55°)の音圧レベルを示し、図5中の実線は、この実施例を採用した吹出口切替装置におけるの音圧レベルを示すものである。
この図5から読み取れるように、本実施例を採用することにより、周波数の広い範囲に亘って騒音レベルを下げることができる。
【0030】
[第2実施例]
従来技術の項でも説明したように、フィルム部材4のフィルム開口部15は、打ち抜き加工によって形成される。すると、図6(a)に示すように、フィルム開口端部15aには、駄肉による凸部J2 が発生し、この駄肉による凸部J2 が、ケースシールリブ14の端部にぶつかることによって騒音が発生していた。
そこで、この第2実施例は、ケース開口部8、9、10を閉塞する際にケースシールリブ14と当接するフィルム開口端部15aに、図6(b)に示すようにR面よりなる面取り部21を設ける、あるいは図6(c)に示すように傾斜平面よりなる面取り部21を設け、フィルム開口端部15aをケースシールリブ14にスムーズにもぐり込ませるものである。
【0031】
この第2実施例のように設けることによって、第1実施例と同様、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14の端部にぶつかる時の衝撃が和らぐため、騒音が抑えられる。
なお、この面取り部21(R面や傾斜平面)は、フィルム部材4にフィルム開口部15を打ち抜き加工する際に、同時にプレス加工によって形成されるものであるが、フィルム開口部15を形成した後、刃物等によって面取り加工して形成しても良い。
【0032】
[第3実施例]
従来技術の項、および第1実施例(図3参照)でも説明したように、既存の技術では、複数のドア開口部11の周囲をパッキン部材12、13によってまとめてシールしていたため、図7(a)に示すように、フィルム開口部15は円弧状にはならずに平面部となってしまう。この平面部と円弧部との境に形成される屈曲部は、フィルム開口端部15aに形成されるものであるため、図7(b)の実線に示すように、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14のR部J1 に当接する際における当接進入角度が実質的に大きくなる結果となり、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14の端部にぶつかる時の衝撃が大きくなって騒音が発生する不具合があった。
【0033】
そこで、この第3実施例は、図8に示すように、各ドア開口部11の周囲にパッキン部材31を配置し、図7(c)に示すように、各フィルム開口部15も円弧状に保つようにしたものである。
このように設けることにより、図7(b)の破線に示すように、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14に進入する際の当接進入角度が浅くなるため、フィルム開口端部15aがケースシールリブ14の端部にぶつかる時の衝撃が和らぎ、騒音が抑えられる。
【0034】
[変形例]
上記の実施例では、本発明を吹出口切替装置に適用した例を示したが、内外気切替装置、エアミックスドア等に本発明を適用しても良い。
また、車両の空調装置に限らず、空気通路を開閉するための各種装置に広く適用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルム開口端部がケースシールリブに当接する状態を示す要部断面図である(第1実施例)。
【図2】吹出口切替装置の要部断面図である(第1実施例)。
【図3】ロータリードアの斜視図である(第1実施例)。
【図4】フィルム部材が取り付けられたロータリードアの斜視図である(第1実施例)。
【図5】騒音の改善度合を示すグラフである(第1実施例)。
【図6】フィルム開口端部の断面図である(第2実施例)。
【図7】フィルム開口部およびその開口部の端部の形状の説明図である(第3実施例)。
【図8】パッキン部材の配置状態を示すロータリードアの斜視図である(第3実施例)。
【符号の説明】
1 ケース
2 円周壁
3 ロータリードア
4 フィルム部材
8 フット吹出開口部(ケース開口部)
9 フェイス吹出開口部(ケース開口部)
10 デフロスタ吹出開口部(ケース開口部)
11 ドア開口部
14 ケースシールリブ
15 フィルム開口部
15a フィルム開口端部
16 案内平面部
21 面取り部
31 パッキン部材
Claims (4)
- ケース開口部を有したケースと、
円弧状の円周壁を有するとともに、この円周壁に前記ケース開口部と連通可能なドア開口部を有し、前記円周壁が前記ケース開口部と対向する状態で前記ケース内において回動可能に配置されたロータリードアと、
前記円周壁の外面に取り付けられ、前記ドア開口部と連通するフィルム開口部が形成された可撓性を有するフィルム部材と、を具備し、
前記ロータリードアが回動する際に、前記フィルム部材が前記ケース開口部の周囲のケースシールリブに押し付けられて、このケースシールリブに前記フィルム部材が摺動する空気通路切替装置において、
前記ロータリードアを回動操作して前記フィルム部材によって前記ケース開口部を閉塞する際にフィルム開口端部が当接する前記ケースシールリブの端部には、
前記フィルム開口端部を前記ケースシールリブにスムーズにもぐり込ませる案内平面部が設けられ、
この案内平面部は、前記フィルム開口端部と当接し、前記フィルム開口端部を前記ケースシールリブに進入させる当接進入角度が約45°以下に設けられたことを特徴とする空気通路切替装置。 - 請求項1に記載の空気通路切替装置において、
前記当接進入角度は、30°〜45°の範囲に設けられたことを特徴とする空気通路切替装置。 - ケース開口部を有したケースと、
円弧状の円周壁を有するとともに、この円周壁に前記ケース開口部と連通可能なドア開口部を有し、前記円周壁が前記ケース開口部と対向する状態で前記ケース内において回動可能に配置されたロータリードアと、
前記円周壁の外面に取り付けられ、前記ドア開口部と連通するフィルム開口部が形成された可撓性を有するフィルム部材と、を具備し、
前記ロータリードアが回動する際に、前記フィルム部材が前記ケース開口部の周囲のケースシールリブに押し付けられて、このケースシールリブに前記フィルム部材が摺動する空気通路切替装置において、
前記ロータリードアを回動操作して前記フィルム部材によって前記ケース開口部を閉塞する際に前記ケースシールリブと当接するフィルム開口端部には、前記ケースシールリブにスムーズにもぐり込ませる傾斜平面あるいはR面よりなる面取り部が設けられたことを特徴とする空気通路切替装置。 - ケース開口部を有したケースと、
円弧状の円周壁を有するとともに、この円周壁に前記ケース開口部と連通可能なドア開口部を有し、前記円周壁が前記ケース開口部と対向する状態で前記ケース内において回動可能に配置されたロータリードアと、
前記円周壁の外面に取り付けられ、前記ドア開口部と連通するフィルム開口部が形成された可撓性を有するフィルム部材と、を具備し、
前記ロータリードアが回動する際に、前記フィルム部材が前記ケース開口部の周囲のケースシールリブに押し付けられて、このケースシールリブに前記フィルム部材が摺動する空気通路切替装置において、
前記ロータリードアと前記フィルム部材との間には、前記フィルム開口部の周縁を前記円周壁に対して略平行な円弧状に保つパッキン部材が配置されたことを特徴とする空気通路切替装置。
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JP2002265790A JP2004098942A (ja) | 2002-09-11 | 2002-09-11 | 空気通路切替装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008064362A (ja) * | 2006-09-06 | 2008-03-21 | Showa Denko Kk | 積層型熱交換器 |
JP2011509871A (ja) * | 2008-01-18 | 2011-03-31 | ヴァレオ シシュテマス アウトモティヴォス リミターダ | 自動車の乗員室の空調システムで中央および側面の空気出口を閉鎖可能にするフラップ |
KR101200271B1 (ko) * | 2009-09-28 | 2012-11-12 | 한라공조주식회사 | 차량용 공조장치 |
WO2013108517A1 (ja) * | 2012-01-17 | 2013-07-25 | シャープ株式会社 | 自走式電子機器および自走式イオン発生器 |
JP2013146306A (ja) * | 2012-01-17 | 2013-08-01 | Sharp Corp | 自走式電子機器および自走式イオン発生器 |
CN104787068A (zh) * | 2015-04-21 | 2015-07-22 | 南京老山暖通设备有限公司 | 标准动车组格栅式压力波保护阀 |
-
2002
- 2002-09-11 JP JP2002265790A patent/JP2004098942A/ja active Pending
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