JP2004097583A - 2成分混合タイプのプレフィルドシリンジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プレフィルドシリンジは、第1バレル1と、この第1バレル1に挿着されて溶解液室13を画設するガスケット部材2と、第1バレル1に挿着されたプランジャ状容器Pを含んでなる。ガスケット部材2は軸上に貫通孔23を有しており、この貫通孔23の基端側に、ラバーシャフト24が被着された穿刺針22を備えている。プランジャ状容器Pは、第2バレル3と、第1ガスケット4と、第2バレル3に挿着されて薬剤室32を画設する第2ガスケット5とを含んでなる。プランジャ状容器Pを前進させると、穿刺針22により第1ガスケット4が刺通され、溶解液室13と薬剤室32が液体連通するとともに、第1バレル1と第2バレル3が係合する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2成分混合タイプのプレフィルドシリンジに関する。本発明のプレフィルドシリンジは、無菌的に2成分を混合した後に、必要ならばさらに他の成分を吸入して混合することが可能である。
【0002】
【従来の技術】
注射剤には、液剤状態では化学的に不安定な薬剤が多く、このような薬剤は使用する直前に溶解液(薬液を含む)と混合する必要がある。プレフィルドシリンジは、このような液剤状態では化学的に不安定な薬剤を、用時にシリンジ内に予め充填された溶解液と無菌的に混合して薬液として使用できるようにしたものであり、薬剤と溶解液の混合操作が容易であり、また、ガラスやゴムの破片などの異物の混入がないことから、近年、多用されている。
【0003】
プレフィルドシリンジとしては、従来、主として1液タイプのものと2液タイプのものが使用されているが、従来の2液タイプのものは、薬液の混合後にガスケットを引くことが出来ないものであり、他の薬液を吸入して混合することができないものであった。従って、医療現場では、例えば、患者によってはビタミンやその他の薬剤を連続して投与する必要が生じることがあるが、このような場合、一回の投与で済ませることができず不便であり、また、2度注射を行うため患者の苦痛も大きかった。
【0004】
そこで、上記の問題を解決するものとして、薬液の混合後にガスケットを引くことが出来、他の薬液を吸入して混合することのできるプレフィルドシリンジが提案されている(特許文献1)。このものは、その内腔に第一のガスケットが挿着された第一のシリンジと、その先端部が第一のガスケットに嵌合されると共にその内腔に第二のガスケットが挿着された第二のシリンジとからなり、第一のガスケット内で第二のシリンジを回動させることにより、第一のガスケットに設けられた孔部と第二のシリンジの先端部に設けられた孔部を合わせ、第一のガスケットの内空間と第二のガスケットの内空間を連通させている。
しかしながら、このものは、恐らくはコスト面および孔部の位置合わせが面倒なためか、まだ実用化されていない。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−337321号公報(段落番号0008−0034、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、如上の事情に鑑みてなされたもので、無菌的に2成分を混合した後に、必要ならばさらに他の成分を吸入して混合することが可能な、操作性の良い2成分混合タイプのプレフィルドシリンジを、リーズナブルな価格で提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するために、鋭意検討の結果、溶解液の充填された通常のプレフィルドシリンジにプランジャ機能を備えた薬剤容器を挿着し、両容器の間に連通手段を介在させて、この連通手段で両容器を液体連通できるようにすればよいことに想到し、本発明を完成した。すなわち本発明は、先端に先端チップを有し基端にフランジを有する第1バレルと、この第1バレルの内腔に液密かつ摺動可能に挿着され、この内腔の先端側に溶解液室を画設するガスケット部材と、このガスケット部材に隣接して前記第1バレルの内腔にスライド可能に挿着されたプランジャ状容器を含んでなり、前記ガスケット部材は、軸上にこのガスケット部材を貫通する貫通孔を有するとともに、その基端にこの貫通孔に挿着された穿刺針を備えており、この穿刺針は前記貫通孔と連通する薬液通路を有し、この薬液通路は穿刺針に被着されたラバーシャフトによって閉鎖されており、前記プランジャ状容器は、先端に口部を有する第2バレルと、この第2バレルの口部に冠着されて該口部を密封すると共に、前記第1バレルの内腔を区画しかつこの内腔を摺動可能な第1ガスケットと、前記第2バレルの内腔に液密かつ摺動可能に挿着され、この内腔の先端側に薬剤室を画設する、基端にプランジャ結合手段が設けられた第2ガスケットを含んでなり、前記プランジャ状容器を前進させたときに、前記ガスケット部材の穿刺針により前記第1ガスケットが刺通され、前記溶解液室と薬剤室が液体連通するようにされるとともに、プランジャ状容器の前進が停止される位置で第1バレルと第2バレルが係合するようにされてなる2成分混合タイプのプレフィルドシリンジに関する。
ここで、プランジャ状容器の前進が停止される位置で第1バレルと第2バレルが係合するようにするためには、例えば、第2バレルの基端外周にストッパーを設け、プランジャ状容器の前進が停止される位置で該ストッパーと第1バレルが係合するようにすればよい。この構成により、ラバーシャフトによるキックバックを防止することができ、また、第2ガスケットの後退時にプランジャ状容器が後退することがないようにすることができる。本発明のプレフィルドシリンジでは、第2バレル内の無菌性を保つために、第2バレルの基端の開口を滅菌紙で閉鎖してもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
図1は本発明のプレフィルドシリンジの一実施例を示す縦断面図である。また、図2は図1に示すプレフィルドシリンジの使用状況の説明図である。
図1に示すように、本発明のプレフィルドシリンジは、第1バレル1と、この第1バレル1に挿着されて溶解液室13を画設するガスケット部材2と、第1バレル1に挿着されたプランジャ状容器Pを含んでなる。ガスケット部材2は軸上に貫通孔23を有しており、この貫通孔23の基端側に、ラバーシャフト24が被着された穿刺針22を備えている。プランジャ状容器Pは、第2バレル3と、第1ガスケット4と、第2バレル3に挿着されて薬剤室32を画設する第2ガスケット5とを含んでなる。プランジャ状容器Pを前進させると、穿刺針22により第1ガスケット4が刺通され、溶解液室13と薬剤室32が液体連通するとともに、プランジャ状容器Pの前進が停止される位置で第1バレル1と第2バレル3が係合するようになっている。
【0009】
第1バレル1は、ポリプロピレンやポリエチレン、環状ポリオレフィン、メチルペンテン樹脂等の耐薬品性を有する透明なプラスチック、またはガラスから形成された筒状部材であり、先端にノズル状の先端チップ11が設けられており、注射針(図示していない)を接続することができるようになっている。また、第1バレル1の基端は開放されており、その外周には注射時に指を懸けるためのフランジ12が設けられている。
第1バレル1の内腔には、その開放端からガスケット部材2、プランジャ状容器Pがこの順序で挿着されており、ガスケット部材2により第1バレル1の先端側に溶解液室13が画設されている。
【0010】
ガスケット部材2は、ガスケット部21とその基端に設けられた穿刺針22からなる。ガスケット部21は、一般に天然ゴムや、合成ゴムの例えばブチルゴムやイソプレンゴム、あるいはエラストマーなどのゴム弾性材料で形成されており、その軸上にこのガスケット部材2を貫通する貫通孔23が設けられている。この貫通孔23は、その先端側が狭く基端側が広く形成されており、広い基端側には穿刺針22の基端側部分224が挿着されている。穿刺針22は、プラスチックの例えばポリプロピレンやABS樹脂、ポリスチレンなどで形成された管状部材であり、例えば図1に示すように、中間部に円板状のハブ223が設けられており、このハブ223に関して先端側が穿刺部222になっている。穿刺針22には穿刺部222から基端部分224を通り貫通孔23と連通する薬液通路221が設けられており、この薬液通路221は穿刺部222に被せられたラバーシャフト24によって閉鎖されている。尚、ラバーシャフト24の形成材料としては、イソプレンゴムや天然ゴム、エラストマー等が採用可能である。
【0011】
ガスケット部材2は第1バレル1の内腔に液密かつ摺動可能に挿着されており、第1バレル1の内腔の先端側は、このガスケット部材2によって液密に区画されて溶解液室13になっている。この溶解液室13は、内部に溶解液が充填された後、先端チップ11に密閉手段の例えばゴムキャップ8等を被せることにより密閉される。
ガスケット部21の先端側は通常円錐状に形成されており、溶解液室13内に収容された溶解液(図示していない)へのゴム成分の溶出を防ぐために、好ましくはポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂でラミネートされている。
【0012】
第1バレル1の内腔には、ガスケット部材2の穿刺針22に近接して更にプランジャ状容器Pがスライド可能に挿着されている。このプランジャ状容器Pは、第2バレル3と、この第2バレル3の先端に冠着された第1ガスケット4、および第2バレル3の内腔に挿着された第2ガスケット5から構成されている。第2バレル3は、第1バレル1と同様の材料で形成された筒状部材であって、その先端が縮径されて口部31に形成されており、その基端は開放されている。第1ガスケット4は、この第2バレル3の口部31に冠着されてこの口部31を密封すると共に、第1バレル1の内腔を区画しており、第1バレル1の内腔を摺動可能である。尚、第1ガスケット4による第1バレル1の内腔の区画が気密になっていない場合には問題はないが、区画が気密な場合には、プランジャ状容器Pを前進させる際、ガスケット部材2と第1ガスケット4の間のエアーを逃す必要がある。そのためには、例えば、ガスケット部21の内腔にエアー抜きの溝を設ければよい。また、第1バレル1の内腔に軽く密着するようにし、摺動させたときに気密性が失われるようにしてもよい。
【0013】
第2ガスケット5は、第2バレル3の内腔に液密かつ摺動可能に挿着されている。そして、この第2ガスケット5によって液密に区画されて、第2バレル3の内腔の先端側は薬剤室32になっており、この薬剤室32は、内部に薬剤が収納された後、口部31が第1ガスケット4で密閉される。第1ガスケット4および第2ガスケット5はガスケット部材2のガスケット部21と同様の材料で形成されている。第2ガスケット5の先端側は第2バレル3の先端側形状に合わせて例えば図1では平面状に形成されており、その基端にはプランジャ結合手段51が設けられている。プランジャ結合手段51は図1ではその内壁に雌ネジが形成された凹部になっている。
第2バレル3の基端の外周には、ラバーシャフト24によるキックバックが起こらないように、また、第2ガスケット5を後退させた時にプランジャ状容器Pが後退することがないように、短筒状のストッパー6が設けられており、プランジャ状容器Pの前進が停止される位置でストッパー6と第1バレル1が係合するようになっている。例えば、図1では、ストッパー6の外壁に設けた環状リブ61と第1バレル1の基端内壁に設けた環状溝13が係合するようになっている。図示していないが、ストッパー6の内壁に環状溝を設け、第1バレル1の基端内壁に環状リブを設けて、環状溝と環状リブが係合するようにしてもよい。また、第2バレル3内の無菌性を保つために、第2バレル3の基端の開口を滅菌紙7で閉鎖してもよい。
上記のような構成では、プランジャ状容器Pを前進させたときに、穿刺針22により第1ガスケット4が刺通されて溶解液室13と薬剤室32が液体連通するとともに、プランジャ状容器Pの前進が停止される位置でストッパー6と第1バレルが係合する。
【0014】
次に、本発明のプレフィルドシリンジの使用について図2を用いて説明する。
先ず図1に示すようなプレフィルドシリンジを用意し(図2a)、プランジャ状容器Pを前進させる。するとガスケット部材2の穿刺針22で第1ガスケット4が刺通され、穿刺針22が薬剤室32に突き出した状態になり、薬液通路221、貫通孔23を介して溶解液室13と薬剤室32が液体連通する(図2b)。この状態で更にプランジャ状容器Pを前進させると、溶解液室13の溶解液が薬剤室32に移行し、プランジャ状容器Pの第2ガスケット5が後退する。プランジャ状容器Pは、ガスケット部材2が第1バレル1の先端狭窄部に突き当たってその前進が阻止される位置で、その前進が停止される。このとき、第2バレル3後端のストッパー6の環状リブ61と第1バレル1の後端の環状溝14が係合し、プランジャ状容器Pは第1バレル1に固定され、図2cの状態になる。次いで、この状態でプレフィルドシリンジを十分に振って溶解液と薬液を混合した後、滅菌紙7を剥がして、第2ガスケット5のプランジャ結合手段51にプランジャ9を結合し(図2c参照)、先端チップ11からゴムキャップ8を外して注射針(図示していない)を接続すればよい。
【0015】
【発明の効果】
以上述べたことから明らかなように、本発明を採用することにより、操作性の良い2成分混合型プレフィルドシリンジを提供することができる。また、薬液調製後の薬液の注出および吸入を第2ガスケットの前進・後退で行うことが出来るので、無菌的に2成分を混合した後に、必要ならばさらに他の成分を吸入して混合することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の2成分混合型プレフィルドシリンジの一実施例を示す縦断面図である。
【図2】図1に示すプレフィルドシリンジの使用状況の説明図である。
【符号の説明】
1 第1バレル
11 先端チップ
12 フランジ
13 溶解液室
14 環状溝
2 ガスケット部材
21 ガスケット部
22 穿刺針
221 薬液通路
222 穿刺部
223 ハブ
224 基端側の部分
23 貫通孔
24 ラバーシャフト
3 第2バレル
31 口部
32 薬剤室
4 第1ガスケット
5 第2ガスケット
51 プランジャ結合手段
6 ストッパー
61 環状リブ
7 滅菌紙
8 ゴムキャップ
9 プランジャ
P プランジャ状容器
Claims (3)
- 先端に先端チップを有し基端にフランジを有する第1バレルと、該第1バレルの内腔に液密かつ摺動可能に挿着され、該内腔の先端側に溶解液室を画設するガスケット部材と、該ガスケット部材に隣接して前記第1バレルの内腔にスライド可能に挿着されたプランジャ状容器を含んでなり、前記ガスケット部材は、軸上に該ガスケット部材を貫通する貫通孔を有するとともに、その基端に該貫通孔に挿着された穿刺針を備えており、該穿刺針は前記貫通孔と連通する薬液通路を有し、該薬液通路は穿刺針に被着されたラバーシャフトによって閉鎖されており、前記プランジャ状容器は、先端に口部を有する第2バレルと、該第2バレルの口部に冠着されて該口部を密封すると共に、前記第1バレルの内腔を区画しかつ該内腔を摺動可能な第1ガスケットと、前記第2バレルの内腔に液密かつ摺動可能に挿着され、該内腔の先端側に薬剤室を画設する、基端にプランジャ結合手段が設けられた第2ガスケットを含んでなり、前記プランジャ状容器を前進させたときに、前記ガスケット部材の穿刺針により前記第1ガスケットが刺通され、前記溶解液室と薬剤室が液体連通するようにされるとともに、プランジャ状容器の前進が停止される位置で第1バレルと第2バレルが係合するようにされてなる2成分混合タイプのプレフィルドシリンジ。
- 第2バレルの基端外周にストッパーが設けられ、プランジャ状容器の前進が停止される位置で該ストッパーと第1バレルが係合するようにされてなる請求項1に記載のプレフィルドシリンジ。
- 第2バレルの基端の開口が滅菌紙で閉鎖されてなる請求項1または2に記載のプレフィルドシリンジ。
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