JP2004095592A - 積層型電子部品の製法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】素子本体成形体23が、内部電極パターン3を一対のセラミックグリーンシート1、5で挟持してなるシート積層体7に、熱処理により分解する飛散物質シート13を積層する工程と、該飛散物質シート積層体を成形型14で打抜加工してシート積層体7に貫通孔9を形成すると同時に、貫通孔9にシート状飛散物質11を充填する工程と、シート積層体7上の飛散物質シート13を剥離する工程と、複数のシート積層体7を交互に位置をずらして積層する工程と、該積層体を切断して、対向する側面にシート状飛散物質11が充填された凹溝21を内部電極パターン3一層おきに形成する工程とを具備して形成される。
【選択図】図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型電子部品の製法に関し、特にセラミックスと内部電極とが交互に積層された素子本体の対向する側面に、内部電極端が露出する凹溝を交互に形成し、凹溝が形成された側面に、内部電極と交互に接続する外部電極が形成された積層型電子部品の製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、同時焼成タイプの積層型電子部品の製法として、特開平6−151999号公報に記載されるようなものが知られている。
【0003】
この公報に開示された積層型電子部品は、先ず、内部電極パターンが一対のグリーンシートで挟持された複数のシート積層体にそれぞれ複数の貫通孔を形成し、これらの貫通孔にポリビニルアルコールからなる飛散物質をメタルマスクを用いて充填し、ポリビニルアルコールが充填された複数のシート積層体を、交互に位置をずらして積層し、この積層体を貫通孔で切断して素子本体成形体を作製するとともに、この素子本体成形体の側面に、内部に飛散物質が設けられた凹溝を、内部電極パターン一層置きに形成する。
【0004】
この後、素子本体成形体を所定温度で脱バインダ処理し、焼成することにより凹溝を有する素子本体を作製し、この素子本体の凹溝内にセラミック製の絶縁材料を充填し、この凹溝が形成された素子本体の側面にAgからなる導電性ペーストを塗布し、焼き付けることにより、積層型圧電素子を作製していた。
【0005】
このような製法では、従来のダイシングなどにより一つ一つ溝加工をすることなく、凹溝を一挙に形成することができ、製造工程を簡略化できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に記載された積層型圧電素子では、シート積層体の貫通孔にポリビニルアルコールからなる飛散物質をメタルマスクを用いて印刷充填していたため、その位置制御が困難であり、例えば、貫通孔を形成する成形型と、メタルマスクの位置合わせが異なる場合には、貫通孔内部だけでなく、貫通孔周辺のシート積層体表面に塗布印刷されるという問題があった。このため、シート積層体が積層された積層体が変形したり、貫通孔周辺が膨らんだりし、さらにこの積層体を切断して素子本体成形体を作製すると、凹溝が変形し、焼成後に凹溝変形、素子本体におけるクラックやデラミネーションが発生するという問題があった。
【0007】
また、メタルマスクによる貫通孔への飛散物質充填では、貫通孔への充填量を制御するのが困難であり、貫通孔への飛散物質の充填不足や充填過剰が発生し、充填不足の場合には貫通孔の変形が発生し、充填過剰の場合には、上記と同様、凹溝変形、素子本体におけるクラックやデラミネーションが発生するという問題があった。
【0008】
さらに、メタルマスクによる貫通孔への飛散物質充填では、メタルマスクをシート積層体上に載置し、このメタルマスク上のペーストをブレードで塗布するという作業が必要となり、製造工程が多いという問題があった。
【0009】
本発明は、凹溝を一挙にかつ確実に形成できるとともに、工程を簡略化できる積層型電子部品の製法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型電子部品の製法は、複数のセラミックグリーンシートと複数の内部電極パターンを積層してなる素子本体成形体を作製する工程と、該素子本体成形体を熱処理して、セラミックスと内部電極とが交互に積層され、かつ対向する側面に、内部電極端が露出する凹溝が交互に形成された素子本体を作製する工程と、前記凹溝が形成された素子本体の対向する側面に、前記内部電極と交互に接続する外部電極をそれぞれ形成する工程とを具備する積層型電子部品の製法であって、前記素子本体成形体が、内部電極パターンを一対のセラミックグリーンシートで挟持してなるシート積層体に、熱処理により分解する飛散物質シートを積層する工程と、該飛散物質シート積層体を成形型で打抜加工して前記シート積層体に貫通孔を形成すると同時に、前記貫通孔にシート状飛散物質を充填する工程と、前記シート積層体上の飛散物質シートを剥離する工程と、前記貫通孔にシート状飛散物質が充填された複数のシート積層体を、交互に位置をずらして積層する工程と、該積層体を前記貫通孔部分で積層方向に切断して、対向する側面にシート状飛散物質が充填された凹溝を前記内部電極パターン一層おきに形成する工程とを具備して形成されることを特徴とする。
【0011】
このような製法では、飛散物質シートとシート積層体を積層して打ち抜く際に、貫通孔を形成する成形型の押出量を調整することにより、シート積層体への貫通孔の作製と同時に、該貫通孔にシート状飛散物質を充填収容でき、一回の打抜加工により、小さなシート積層体の貫通孔内のみに、シート状飛散物質を確実に精度良く充填することができ、飛散物質の貫通孔からのはみ出しによる積層不良を防止することができる。
【0012】
また、飛散物質シートの厚みをシート積層体の厚みと同一に制御することにより、貫通孔内のみに、シート積層体の厚みとほぼ同一厚みのシート状飛散物質を充填することができ、これにより、シート積層体表面の凹凸、シート積層体が積層された積層体の変形や、素子本体成形体の作製後における凹溝の変形、焼成後の凹溝変形、素子本体のクラックやデラミネーションの発生を防止できる。
【0013】
また、本発明の積層型圧電素子の製法は、シート状飛散物質が貫通孔に収納されたシート積層体を加圧して、前記シート積層体と前記シート状飛散物質との厚み差を小さくする工程を具備することを特徴とする。
【0014】
このような積層型圧電素子の製法では、シート積層体とシート状飛散物質が一体化され、積層工程におけるシート状飛散物質の外れを防止して、取り扱いを簡易化できるとともに、この工程でグリーンシートとシート状飛散物質の厚みに差が生じているシート積層体を除くことができ、加圧一体化する際に生じる厚み差による段差を防止することが可能であるため、シート積層体とシート状飛散物質の収縮率を同等にすることが可能となり、シート積層体とシート状飛散物質の収縮差に伴う積層界面の空隙、もしくは変形を防止することが可能となる。
【0015】
さらに、本発明の積層型圧電素子の製法は、シート状飛散物質が、低温域で分解飛散する低温分解有機物と、高温域で分解飛散する高温分解有機物とを含有することを特徴とする。
【0016】
このような製法では、素子本体成形体の凹溝内に設けられる飛散物質が、低温域で分解飛散する低温分解有機物と、高温域で分解飛散する高温分解有機物とを含有するため、脱バイ〜焼成(熱処理)工程における低温時においては低温分解有機物と高温分解有機物により、また高温時には高温分解有機物により、凹溝を形成するグリーンシートが固化するまで凹溝形状を保持でき、これにより、凹溝の変形を防止できるとともに、凹溝におけるクラックや積層界面のデラミネショーンなどの欠陥がない寸法通りの凹溝を確実にかつ一挙に形成できる。
【0017】
また、本発明の積層型電子部品の製法では、低温分解有機物が高分子樹脂であり、高温分解有機物が固形物であることを特徴とする。従来の積層型電子部品の製法のように貫通孔(凹溝)内が高分子樹脂で充填される場合、シート積層体を複数積層し、加熱加圧して一体化する場合に、グリーンシートよりも貫通孔内の高分子樹脂が軟化し、積層方向における収縮(寸法変化)が大きいため、凹溝を形成するグリーンシートが貫通孔側へ変形し、凹溝底面におけるグリーンシートにクラックが発生したり、変形が生じ易いが、本発明では、高分子樹脂のみならず、高温で分解する固形物を用いたため、貫通孔内における飛散物質の積層方向における収縮を、貫通孔周辺のシート積層体に近づけることができ、凹溝の変形やクラックの発生をさらに抑制できる。
【0018】
また、本発明の積層型電子部品の製法では、低温分解有機物が、セラミックグリーンシートに用いられるバインダ樹脂と同一であることを特徴とする。これにより、加熱加圧時における飛散物質の積層方向への収縮をグリーンシートにさらに近づけることができ、また、低温域での脱脂状態をグリーンシートに近づけることができ、凹溝近傍におけるクラックやデラミネーションを抑制できる。
【0019】
さらに、本発明の積層型電子部品の製法では、高温分解有機物が、カーボンビーズ及び/又はカーボンファイバーであることを特徴とする。このような製法では、有機物製のフィラーをカーボンビーズ及び/又はカーボンファイバーにすることにより、低温分解有機物が分解した後でも、凹溝内にカーボンビーズ及び/又はカーボンファイバーが分散した状態で残留しており、凹溝を形成するグリーンシートの倒れに伴うクラックを確実に防止することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1乃至図7は本発明の積層型電子部品の製法を説明するための工程図で、先ず、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3などの圧電体セラミックスの仮焼粉末と、アクリル樹脂や、ブチラール樹脂などの有機高分子からなる有機バインダーと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、例えばスリップキャステイング法により、厚み50〜250μmのセラミックグリーンシートを作製する。
【0021】
このグリーンシートを所定の寸法に打ち抜いた後、図1(a)に示すようにグリーンシート1の片面に、内部電極となる、例えば、銀−パラジウム、Cuを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法により1〜10μmの厚みに印刷し、乾燥させて内部電極パターン3を形成する。
【0022】
この後、内部電極パターン3上に、図1(b)に示すように、作製したグリーンシート5を、内部電極パターン3を挟むように重ね、加圧してシート積層体7を作製する。尚、図1(a)のように、広いグリーンシート1の中央部に導電性ペーストを塗布し、この導電性ペーストを覆うようにグリーンシート5を積層し、これをカットして、図1(b)に示すようなシート積層体7を作製する。このようなシート積層体7を多数形成する。
【0023】
次に打ち抜き装置を用いて、図2、図3(a)に示すように、複数のシート積層体7にそれぞれ多数の貫通孔9を規則的に整列した状態で形成するとともに、これらの貫通孔9にシート状飛散物質11を充填する。これらの貫通孔9は、凹溝の大きさによって寸法は異なってくるが、例えば幅2mm、長さ10mm程度の大きさの長方形形状とする。
【0024】
具体的に説明すると、先ず、図3(b)に示すように、シート積層体7の上面に飛散物質シート13に積層し、飛散物質シート積層体を作製する。飛散物質シート13は、シート積層体7の厚みと同一厚みとされている。
【0025】
飛散物質シート13が積層された飛散物質シート積層体を、図3(c)に示すように、貫通孔9を形成するために作製した成形型14により、押出量を制御して打ち抜き加工し、この後、シート積層体7の表面に積層された飛散物質シート13を剥離することにより、図3(c)に示したように、貫通孔9内にシート状飛散物質11が収納されたシート積層体7を作製できる。
【0026】
即ち、飛散物質シート13の厚みがシート積層体7の厚みと同一とされており、成形型14の雄型の下面は、シート積層体7の上面までしか下降しないように制御されている。ここで、成形型14が下降すると、シート状飛散物質13、シート積層体7の一部が押し出され、飛散物質シート13の上面がシート積層体7の上面の位置となるまで押し出され、これにより、貫通孔9の形成とシート状飛散物質11の貫通孔9への充填が同時に行われる。
【0027】
シート積層体7の貫通孔9にシート状飛散物質11を収納し、シート積層体7表面に残存する飛散物質シート13を除去した後、シート積層体7を表面から加圧してシート積層体7とシート状飛散物質11との厚み差を小さくすることが望ましい。特に厚みさは5μm以下とすることが望ましい。これにより、複数のシート積層体7を積層し、加圧一体化する際に、シート積層体7とシート状飛散物質11の収縮率を同等にすることが可能となり、シート積層体7とシート状飛散物質11の収縮差に伴う積層界面の空隙、もしくは変形を防止することが可能となる。
【0028】
飛散物質シート13は、脱バイ〜焼成時(熱処理時)に飛散する物質からなるもので、低温域で分解飛散する低温分解有機物と、高温域で分解飛散する高温分解有機物とを含有しており、高温分解有機物と、低温分解有機物と、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、グリーンシート1と同様に、例えばスリップキャステイング法により、厚み50〜250μmにて作製される。
【0029】
低温分解有機物としては、アクリル樹脂や、ブチラール樹脂などの有機高分子樹脂等があるが、本発明では、シート積層体7の加熱加圧して一体化する時におけるシート状飛散物質11の積層方向への収縮をグリーンシート1に近づけることができ、シート積層体7とシート状飛散物質11の収縮差に伴う積層界面の空隙、もしくは変形を防止するために、また、低温域でのシート状飛散物質の脱脂時の重量変化をグリーンシート1に近づけることができ、凹溝近傍におけるクラックやデラミネーションを抑制できるという点から、セラミックグリーンシート1に用いられるバインダ樹脂を、低温分解有機物として用いることが望ましい。
【0030】
特に、シート積層体7同士の加熱圧着時の接着力、及び脱バイ時の易分解性の点からアクリル樹脂が望ましい。尚、本発明では、低温分解有機物とは、600℃までに分解飛散する有機物である。
【0031】
また、高温分解有機物としては、フェノール粉末、アクリルビーズ、カーボンビーズ、もしくはカーボンファイバーがある。焼成温度近くまで、残留するという点、及びアクリル樹脂やブチラール樹脂などの有機高分子樹脂と混合してシート状飛散物質11の作製が容易という点から、高温分解有機物としては、カーボンビーズ、もしくはカーボンファイバーが望ましい。尚、本発明においては、750℃でも分解せずに残留する有機物である。
【0032】
低温分解有機物と高温分解有機物の混合比率は、高温分解有機物100重量部に対して低温分解有機物を25〜60重量部であることが望ましく、特に収縮を合致させるという点から、低温分解有機物は35〜45重量部であることが望ましい。
【0033】
この後、そして、図4に示すように、貫通孔9にシート状飛散物質11が充填されたシート積層体7を、交互に位置をずらして積層し、その後、50〜200℃で加熱を行いながら加圧して一体化し、図4に示すような積層体を作製する。
【0034】
この後、積層体を、図4(a)、(b)で示す一点鎖線で、即ち、貫通孔9で切断して、図5に示すように、内部にシート状飛散物質11が充填された凹溝21が、対向する側面に内部電極パターン3が一層置きに形成された、素子本体成形体23を作製する。
【0035】
この素子本体成形体23は、対向する側面に内部電極パターン3一層置きに凹溝21が形成されており、これらの凹溝21の底面には内部電極パターン3端が露出し、さらに凹溝21内には熱処理により分解するシート状飛散物質11が充填されている。
【0036】
その後、大気中において400〜800℃で5〜40時間の脱バイを行なう。この際、シート状飛散物質11が分解飛散し、素子本体成形体23の対向する側面に凹溝21が形成される。その後、900〜1200℃で2〜5時間で本焼成が行われ、図6に示すように、圧電体27と内部電極29が交互に積層された素子本体31が作製される。この素子本体31は柱状で、対向する側面には、底面に内部電極29端が露出する凹溝21が、一側面において内部電極29毎に交互に形成されている。
【0037】
この後、例えば、素子本体31の凹溝21が形成された側面において、凹溝21以外の素子本体31の側面に露出した内部電極29およびこの内部電極29の近傍の圧電体27表面に、銀ガラス導電性ペーストを塗布乾燥し、この銀ガラス導電性ペーストに金属板33を押圧するように荷重を加えた状態で700〜950℃で熱処理することにより、銀ガラス導電性ペースト中のガラスが溶融し、溶融したガラス中に存在する銀成分が内部電極29の端部に集合し、図7に示すように、素子本体31の側面から突出する突起状導電性端子35が形成されるとともに、該突起状導電性端子35の先端部に金属板からなる外部電極33を接合する。
【0038】
この後、凹溝21内に絶縁樹脂39を充填し、また、内部電極29端が露出している素子本体31の他の側面にも絶縁樹脂を被覆して、積層型圧電素子を作製できる。
【0039】
以上のような積層型圧電素子の製法では、飛散物質シート13とシート積層体7を積層して打ち抜く際に、貫通孔9を形成する成形型14の雄型の押出量を調整することにより、シート積層体7への貫通孔9の形成と同時に、該貫通孔9にシート状飛散物質11を充填収容でき、一回の打抜加工により、小さなシート積層体7の貫通孔9内のみに、シート状飛散物質11を確実に精度良く充填することができ、飛散物質の貫通孔9からのはみ出しによる積層不良を防止することができるとともに、飛散物質シート13の厚みをシート積層体7の厚みと同一に制御することにより、貫通孔9内のみに、シート積層体7の厚みと同一厚みのシート状飛散物質11を、シート状飛散物質11の上下面がシート積層体7の上下面と一致するように充填することができ、これにより、シート積層体7表面の凹凸、シート積層体7が積層された積層体の変形、素子本体成形体23の作製後における凹溝21の変形、焼成後の凹溝変形、素子本体31のクラックやデラミネーションの発生を防止できる。
【0040】
また、素子本体成形体23の凹溝21内に充填されたシート状飛散物質11が、低温域で分解飛散する低温分解有機物と、高温域で分解飛散する高温分解有機物とを含有するため、脱バイ〜焼成工程における低温時においては低温分解有機物と高温分解有機物により、また高温時には高温分解有機物により、凹溝21を形成するグリーンシート1が固化するまで形状を保持でき、これにより、凹溝21の変形を防止できるとともに、凹溝21におけるクラックや積層界面のデラミネショーンなどの欠陥がない寸法通りの凹溝を確実にかつ一挙に形成できる。本発明の積層型電子部品の製法は、積層型圧電トランス、積層型コンデンサ、積層型圧電アクチュエータ等の積層型電子部品の製法に好適に用いられる。
【0041】
【実施例】
チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3からなる圧電体セラミックスの仮焼粉末と、有機高分子からなるバインダーと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、スリップキャステイング法により、厚み150μmのセラミックグリーンシートを作製した。
【0042】
このグリーンシートの片面に内部電極となる銀−パラジウムを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法により5μmの厚みに印刷し、導電性ペーストを乾燥して内部電極パターンを形成した後、さらにこの内部電極パターン表面に前記グリーンシートを積層し、図1(b)に示すような、内部電極パターンをグリーンシートで挟持した厚み355μmのシート積層体を複数作製した。
【0043】
この後、表1に示すような低温分解有機物と高温分解有機物を、高温分解有機物100重量部に対して低温分解有機物40重量部の割合で混合し、これを表1に示すようにシート状に成形して、シート積層体の厚みと同一厚みの飛散物質シートを形成し、これを図3(b)に示すように、シート積層体表面に積層した。
【0044】
この後、図3(c)に示すように、成形型により、飛散物質シートが積層された飛散物質シート積層体に貫通孔を形成するとともに、この貫通孔内にシート状飛散物質を充填した。成形型は、その押出量が飛散物質シートの厚み量とされ、これにより、シート積層体の貫通孔内に容易にかつ確実にシート状飛散物質を充填することができ、しかも充填された飛散物質のシート積層体からの盛り上がりもなく、また充填不足もなく、さらに不要な貫通孔周辺における飛散物質の塗布もなかった。
【0045】
この後、貫通孔内に充填されていない部分の飛散物質シートをシート積層体から剥離した。シート積層体の貫通孔は、長方形形状(幅2mm、長さ10mm)とした。
【0046】
その後、貫通孔内にシート状飛散物質が充填されたシート積層体表面を加圧して、シート積層体とシート状飛散物質との厚み差を±5μm以下とした。
【0047】
尚、アクリル樹脂は500℃程度、アクリルビーズは500℃程度、カーボンビーズは800℃程度、カーボンファイバーは800℃程度で分解飛散するものである。
【0048】
そして、図4に示すように、貫通孔の位置を交互にずらして積層し、その後、150℃で加熱を行いながら加圧して一体化し、図4に一点鎖線で示す部分を切断して、内部に飛散物質が設けられた凹溝を、前記内部電極パターン一層置きに形成した、図5に示すような素子本体成形体を作製した。
【0049】
【表1】
【0050】
素子本体成形体は、対向する側面に内部電極パターン一層置きに凹溝が形成されており、これらの凹溝の底面には内部電極パターン端が露出し、さらに凹溝内に熱処理により分解する飛散物質が充填されていた。これら各素子本体成形体の断面を観察した結果、凹溝の変形はなかった。
【0051】
その後、800℃で5時間の脱バイを行ない、飛散物質を分解飛散させ、図6に示すように、素子本体成形体の対向する2側面に凹溝を形成した。この素子本体成形体の凹溝の形成状態を観察した。その結果、本発明の試料では、溝部の変形は全くなかった。
【0052】
その後、1100℃で5時間で本焼成を行い、素子本体を得た。この後、素子本体の対向する側面に外部電極を形成し、積層型圧電素子を作製した。素子本体の凹溝の形成状態を観察したところ、本発明の積層型圧電素子では、凹溝部の変形がなく、寸法通りの凹溝を確実にかつ一挙に形成できていることを確認した。また、接合界面を観察しても、クラックやデラミネーションも発生していなかった。
【0053】
一方、比較例として、試料No.1の飛散物質をゾル状とし、上記成形型を用いてシート積層体に貫通孔を形成し、この貫通孔にメタルマスクを用いて飛散物質を充填する以外は、上記と同様にしてシート積層体を作製し、このシート積層体を積層して素子本体成形体を作製し、これを熱処理して素子本体を作製した。
【0054】
シート積層体の貫通孔内への飛散物質の充填性を確認したところ、貫通孔内への充填性が不十分で貫通孔周辺のシート積層体上にも飛散物質がはみ出して塗布された部分もあり、また、貫通孔内への飛散物質充填不足の部分、貫通孔内に盛り上がって充填されている部分も存在し、シート積層体の貫通孔内のみに、シート状飛散物質を確実に精度良く充填することが困難であった。
【0055】
また、シート積層体が積層された積層体の一部が変形しており、素子本体成形体の作製後における凹溝変形、焼成後の凹溝変形が一部見られた。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の積層型電子部品の製法では、飛散物質シートとシート積層体を積層して打ち抜く際に、貫通孔を形成する成形型の押出量を調整することにより、シート積層体への貫通孔の作製と同時に、該貫通孔にシート状飛散物質を充填収容でき、一回の打抜加工により、小さなシート積層体の貫通孔内のみに、シート状飛散物質を確実に精度良く充填することができ、飛散物質の貫通孔からのはみ出しによる積層不良を防止することができ、さらに飛散物質シートの厚みをシート積層体の厚みと同一に制御することにより、貫通孔内のみに、シート積層体の厚みとほぼ同一厚みのシート状飛散物質を充填することができ、これにより、シート積層体表面の凹凸、シート積層体が積層された積層体の変形、素子本体成形体の作製後における凹溝の変形、焼成後の凹溝変形、素子本体のクラックやデラミネーションの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型電子部品の製法に用いられるシート積層体の工程図であり、(a)はグリーンシート上に内部電極パターンを形成した平面図、(b)は内部電極パターンをグリーンシートで挟持した断面図である。
【図2】シート積層体の貫通孔内にシート状飛散物質が充填された状態を示す平面図である。
【図3】(a)は貫通孔に飛散物質が充されたシート積層体を示す断面図、(b)(c)はシート状飛散物質を貫通孔に充填する工程図である。
【図4】(a)は飛散物質が充填されたシート積層体を交互に位置をずらして積層した状態を示す断面図、(b)はその平面図である。
【図5】素子本体成形体の断面図である。
【図6】素子本体の断面図である。
【図7】積層型電子部品の断面図である。
【符号の説明】
1、5・・・グリーンシート
3・・・内部電極パターン
7・・・シート積層体
9・・・貫通孔
11・・・シート状飛散物質
13・・・飛散物質シート
14・・・成形型
21・・・凹溝
23・・・素子本体成形体
27・・・圧電体
29・・・内部電極
31・・・素子本体
33・・・外部電極
Claims (6)
- 複数のセラミックグリーンシートと複数の内部電極パターンを積層してなる素子本体成形体を作製する工程と、該素子本体成形体を熱処理して、セラミックスと内部電極とが交互に積層され、かつ対向する側面に、内部電極端が露出する凹溝が交互に形成された素子本体を作製する工程と、前記凹溝が形成された素子本体の対向する側面に、前記内部電極と交互に接続する外部電極をそれぞれ形成する工程とを具備する積層型電子部品の製法であって、前記素子本体成形体が、内部電極パターンを一対のセラミックグリーンシートで挟持してなるシート積層体に、熱処理により分解する飛散物質シートを積層する工程と、該飛散物質シート積層体を成形型で打抜加工して前記シート積層体に貫通孔を形成すると同時に、前記貫通孔にシート状飛散物質を充填する工程と、前記シート積層体上の飛散物質シートを剥離する工程と、前記貫通孔にシート状飛散物質が充填された複数のシート積層体を、交互に位置をずらして積層する工程と、該積層体を前記貫通孔部分で積層方向に切断して、対向する側面にシート状飛散物質が充填された凹溝を前記内部電極パターン一層おきに形成する工程とを具備して形成されることを特徴とする積層型電子部品の製法。
- シート状飛散物質が貫通孔に充填されたシート積層体を加圧して、前記シート積層体と前記シート状飛散物質との厚み差を小さくする工程を具備することを特徴とする請求項1記載の積層型電子部品の製法。
- シート状飛散物質が、低温域で分解飛散する低温分解有機物と、高温域で分解飛散する高温分解有機物とを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の積層型電子部品の製法。
- 低温分解有機物が高分子樹脂であり、高温分解有機物が固形物であることを特徴とする請求項3記載の積層型電子部品の製法。
- 低温分解有機物が、セラミックグリーンシートに用いられるバインダ樹脂と同一であることを特徴とする請求項3又は4記載の積層型電子部品の製法。
- 高温分解有機物が、カーボンビーズ及び/又はカーボンファイバーであることを特徴とする請求項3乃至5のうちいずれかに記載の積層型電子部品の製法。
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