JP5506009B2 - 圧電素子およびその製造方法、振動板ならびに振動波駆動装置 - Google Patents

圧電素子およびその製造方法、振動板ならびに振動波駆動装置 Download PDF

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本発明は電気−機械エネルギー変換素子である圧電素子およびその製造方法、圧電素子を備えた振動板および振動波駆動装置に関する。
電気エネルギーを機械エネルギーに変換し、またはその逆に、機械エネルギーを電気エネルギーに変換することができる電気−機械エネルギー変換機能を有する圧電素子が様々な分野で利用されている。圧電材料には、チタン酸バリウムやジルコン酸チタン酸鉛等の圧電セラミックス、ポリフッ化ビニリデン系の圧電ポリマー等が知られているが、構造部品や機械部品としては圧電セラミックスが広く用いられている。
圧電セラミックスを用いた電気−機械エネルギー変換素子としての圧電素子では、一般的に、圧電セラミックスの2つの対向する表面に電極を形成し、これらの電極間に所定の電圧を印加して自発分極の向きを一定方向に揃えるための分極処理を施すことにより、圧電性を発現させる。圧電素子に外部から力や歪みを与えることにより、圧電素子に設けられた電極間に電圧を発生させたり、圧電素子に設けられた電極間に電圧を与えることにより圧電素子に振動を発生させたりすることができる。
振動を発生させる圧電素子の具体例としては、圧電ブザーや超音波モータに組み込まれる振動素子が挙げられる。これらは圧電素子の振動を金属等からなる振動板に伝達するために、圧電素子が振動板に接着剤を用いて貼り付けられた構造を有している。
図6に一般的な圧電ブザーの斜視図を示す。この圧電ブザー120は、圧電セラミックス板121の表裏面にそれぞれ電極122(裏面側は図示せず)が設けられた圧電素子123が、金属からなる振動板124に貼り付けられ、圧電素子123の露出表面に形成された電極122と振動板124に対してそれぞれハンダ125によりリード線126が接続された構造を有している。なお、図6では圧電セラミックス板121と電極122を区別するために電極122をドットでハッチング表示している。
振動板124にリード線126を取り付けるのは、圧電素子123の振動板124側の電極(図示せず)が振動板124と部分的に接触しており、これらの間に導通が確保されているからであり、振動板124を導通に利用することにより、圧電素子123への給電のための構造をシンプルで省スペースなものとすることができる。
しかしながら、振動板が絶縁材料である場合には、振動板側に位置する電極を外部に露出させるための引き回し手段を設けることが必要になる。そこで、図7に示す構造を有する圧電素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。図7Aは圧電素子130の上面図であり、図7Bはその下面図であり、図7Cは図7Aに示される矢視A−A線の断面図である。
この圧電素子130は、圧電セラミックス131における2つの対向する表面(つまり、表裏面)にそれぞれ表面電極132,133が形成され、表面電極132が形成された面から表面電極133が形成された面へ、表面電極132から圧電セラミックス131の端面を経由して延びた引き回し電極134が形成された構造を有している。表面電極132が設けられた面を絶縁体に接着した場合に、表面電極133と引き回し電極134を用いて、図示しない外部電源との接続が可能になる。なお、図7Aでは、表面電極133,引き回し電極134と圧電セラミックス131と区別するために、表面電極133と引き回し電極134をドットでハッチング表示しており、図7Bについては、下面全体が電極であることを示すために、表面電極132と引き回し電極134をドットでハッチング表示している。
しかし、引き回し電極は、一般的に圧電セラミックスのエッジの部分で膜厚が薄くなりやすく、この部分で抵抗が大きくなったり、断線が起こりやすくなったりするという問題がある。また、圧電セラミックスが例えば0.5mm以下のような薄板形状の場合には、均一膜厚の引き出し電極を形成するための適切な塗布方法がない。引き回し電極の膜厚を一定にするために、エッジにテーパを設ける手段も考えられるが、加工コストが嵩む上に生産性が低下するという問題があり、また、特に薄板形状の圧電セラミックスに対してこのようなテーパを設けることは、引き回し電極の膜厚を一定にすることができるということを保証するものでもない。
このような問題を回避する電極としてスルーホール電極が考えられる。圧電セラミックスの製造には、一般的に粉体プレス成形法が用いられるが、プレス成形法ではスルーホールの形成は容易ではない。また、プレス成形法では、得られる圧電セラミックスの内部に微小な空隙や空孔などの欠陥が残り易く、角部の欠けや圧電体の割れも起こりやすいという欠点がある。
一方、スルーホール電極は、内部電極や表面電極と一緒にグリーンシートを同時焼成して製造される積層型圧電素子に用いられている(例えば、特許文献2参照)。圧電セラミックスは一般的に1000℃以上の高温で焼成する必要があるため、スルーホール電極と内部電極等には、このような焼成温度に耐える銀・パラジウム電極材や白金電極材が用いられる。
しかしながら、同時焼成法では反りや変形が起こりやすく、また、表面電極やスルーホールに小さな凹凸が生じやすいために、得られた圧電素子をそのまま振動板等に密着して貼り付けると、接着層が厚くなって圧電素子の振動が振動板に伝わり難くなり、また圧電素子を振動板に接着するために押し付けた際に圧電素子が破壊する等の問題が生じる。そこで、圧電セラミックスの表面を研削加工または研磨加工し、その加工面に銀ペーストを塗布し、焼成して、表面電極を形成している。
ところが、表面電極に銀を用いると、スルーホールに充填またはスルーホール内壁に塗布された銀・パラジウム電極とこの表面電極の銀とが反応して、黒色化し、スルーホール部分が凸状を呈することがわかった。例えば厚さが0.5mm以下という薄い圧電素子では、このような凸部があると、接着層が厚くなることにより、前述した所望の振動特性が得られなくなるという問題が生じる。
特開2001−298344号公報 特開平6−120580号公報
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、圧電セラミックスに信頼性に優れたスルーホール電極が形成されてなる圧電素子およびその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、このような圧電素子を備えた振動板と振動波駆動装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点によれば、2つの対向する面を有する圧電体に、その一方の面から他方の面への電気的導通を得るためのスルーホール電極が設けられた圧電素子の製造方法であって、圧電材料を成形してなるグリーンシートの所定位置に貫通孔を設け、その貫通孔に第1の導体ペーストを充填し、その後、複数のグリーンシートを前記貫通孔がつながるように重ねて接着し、焼成する工程と、得られた焼成体において前記貫通孔によって形成されたスルーホール電極が露出した2つの対向する面を平坦化する工程と、こうして平坦化された面にそれぞれ第2の導体ペーストを塗布し、前記焼成工程での焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、前記平坦化された面に前記スルーホール電極と導通する表面電極を設ける工程とを有し、前記第1の導体ペーストは銀とパラジウムを含み、これらの合計重量に占めるパラジウムの重量百分率をW とすると、10%≦W ≦30%であり、前記第2の導体ペーストは銀とパラジウムを含み、これらの合計重量に占めるパラジウムの重量百分率をW とすると、0≦W −W <20の関係が満たされていることを特徴とする圧電素子の製造方法が提供される。
本発明の第2の観点によれば、2つの対向する面を有する圧電体に、その一方の面から他方の面への電気的導通を得るためのスルーホール電極が設けられた圧電素子の製造方法であって、圧電材料を成形してなるグリーンシートの所定位置に貫通孔を設け、その貫通孔に第1の導体ペーストを充填し、その後、複数のグリーンシートを前記貫通孔がつながるように重ねて接着し、焼成する工程と、
得られた焼成体において前記貫通孔によって形成されたスルーホール電極が露出した2つの対向する面を平坦化する工程と、こうして平坦化された面にそれぞれ第2の導体ペーストを塗布し、前記焼成工程での焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、前記平坦化された面に前記スルーホール電極と導通する表面電極を設ける工程とを有し、前記第1の導体ペーストに含まれる導電物質は銀とパラジウムであり、前記第2の導体ペーストに含まれる導電物質は銀と白金であることを特徴とする圧電素子の製造方法が提供される。
また、第1の導体ペーストとして銀とパラジウムを導電物質として含み、第2の導体ペーストとして銀と白金を導電物質として含むものを用いることも好ましい。この場合、さらに、第1の導体ペーストにおいて銀とパラジウムの合計重量に占めるパラジウムの重量百分率は10%以上30%以下であることが好ましく、第2の導体ペーストにおいて銀と白金の合計重量に占める白金の重量百分率は0.2%以上3%以下であることが好ましい。
複数のグリーンシートを貫通孔がつながるように重ねる際には、貫通孔が形成されていないグリーンシートの上に、貫通孔が形成された所定数のグリーンシートを積み重ねて、これを接着し、こうして得られた積層体を焼成する際に、貫通孔の形成されていないグリーンシートを鉛直方向下側に配置して焼成することが好ましい。このような処理方法において、貫通孔が形成されていないグリーンシートの上に貫通孔が形成された所定数のグリーンシートを積み重ねた後に、さらにその上に貫通孔が形成されていないグリーンシートを積み重ねて、これを接着し、焼成することも好ましい。
本発明の第3の観点によれば、板状形状を有し、その一方の主面から他方の主面へと電気的に導通するスルーホール電極を有する圧電体と、前記圧電体の一方の主面に、前記スルーホール電極と導通するように設けられた第1の表面電極と、前記圧電体の他方の主面に、前記スルーホール電極と導通するように設けられた第2の表面電極およびこの第2の表面電極と絶縁されるように設けられた第3の表面電極とを有し、前記第1,第2の表面電極において前記スルーホール電極と接合されている部分の突起高さが5μm以下であり、前記スルーホール電極は銀とパラジウムを含み、これらの合計重量に占めるパラジウムの重量百分率をW とすると、10%≦W ≦30%であり、前記第1,第2の表面電極は銀とパラジウムを含み、これらの合計重量に占めるパラジウムの重量百分率をW とすると、0≦W −W <20の関係が満たされていることを特徴とする圧電素子が提供される。また、板状形状を有し、その一方の主面から他方の主面へと電気的に導通するスルーホール電極を有する圧電体と、前記圧電体の一方の主面に、前記スルーホール電極と導通するように設けられた第1の表面電極と、前記圧電体の他方の主面に、前記スルーホール電極と導通するように設けられた第2の表面電極およびこの第2の表面電極と絶縁されるように設けられた第3の表面電極とを有し、前記第1,第2の表面電極において前記スルーホール電極と接合されている部分の突起高さが5μm以下であり、前記スルーホール電極は銀とパラジウムを含み、これらの合計重量に占めるパラジウムの重量百分率は10%以上30%以下であり、前記第1、第2の表面電極は銀と白金を含み、これらの合計重量に占める白金の重量百分率が0.2%以上3%以下であることを特徴とする圧電素子を提供する。
本発明によれば、グリーンシートを用いて圧電セラミックスを製造する際にスルーホール電極を形成することにより導通信頼性の高いスルーホール電極を形成し、スルーホールが露出した面とスルーホールを平坦化した後に白金またはパラジウムを含む電極材を用いて表面電極を形成することによりスルーホール電極が凸状になることを抑制することができる。これにより、圧電素子を振動板等の被接着体に貼り付ける際に接着層を薄くして、圧電素子から被振動体への振動伝達効率を高めることができ、また、接着時における圧電素子の破壊を防止することができる。また、グリーンシートを用いた焼成法を用いることにより、空孔等の欠陥が少なく比重の大きい圧電セラミックスを得ることができるので、チッピング等の欠けや割れも起こり難くなる。さらに、表面電極にはスルーホール電極に用いる電極材と比べて、高価なパラジウムや白金の含有量の少ない電極材料を用いることができるので、そのコストを低減することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1に圧電素子10の斜視図を示し、図2に圧電素子10にフレキシブルプリント配線基板21が取り付けられた状態での断面図を示す。図3には、フレキシブルプリント配線基板21が取り付けられた圧電素子10を振動板22に取り付けてなる振動波駆動装置30の概略斜視図を示す。
圧電素子10は、圧電セラミックスからなる圧電体12と、圧電体12の2つの対向する面(ここでは主面たる表裏面)の一方に設けられた表面電極13a,13bと、他方の面に設けられた表面電極14と、表面電極13bと表面電極14とを電気的に接続するスルーホール電極15を備えている。
表面電極13a,13bは電気的に絶縁されており、圧電体12において表面電極13a,14間に挟まれた部分が分極されている。
後述するように圧電体12は複数枚のグリーンシートを積層一体化して焼成することにより得られる。そのため、図2では1枚のグリーンシートに由来する層を圧電体12中に破線で示している。但し、圧電体12において各圧電層は判別できないほどに一体化し緻密化している。
フレキシブルプリント配線基板21は、例えば、ポリイミドからなる基材に銅配線が形成されているものであり、表面電極13a,13bにそれぞれ独立して外部電源(図示せず)と電気的接続が可能な配線(図示せず)を備えている。表面電極13a,13bに所定の電圧を印加することにより、結果的に表面電極13a,14間に所定の電圧が印加される。圧電素子10へのフレキシブルプリント配線基板21の接着には樹脂接着剤が用いられる。
振動板22への圧電素子10の接着にも樹脂接着剤が用いられる。図示しない外部電源から表面電極13a,13bに所定の高周波電圧を印加することにより結果的に表面電極13a,14に高周波電圧が印加され、圧電体12に振動を発生させることができる。この振動により、振動板22に接した移動体23に力が加えられ、この移動体23を振動板22の面内で移動させたり、振動板22上で跳ねさせたりする等して動かすことができる。
具体的に、圧電素子10としては、長さ30mm×幅4mm×厚さ0.25mmの形状のものが挙げられる。振動板22には絶縁性で振動減衰の少ない無機材料、例えば、アルミナ等のセラミックスやガラスが用いられる。前記形状の圧電素子10が取り付けられる振動板22としては、縦40mm×横60mm×厚さ0.5mmの形状のものが挙げられる。しかし、これら寸法はこのような値に限定されるものではない。
次に、圧電素子10の製造方法について説明する。ここでは、長さ30mm×幅4mm×厚さ0.25mmの形状を有する圧電素子10を製造するものとして、説明することとする。
最初に、圧電セラミック粉末(例えば、ジルコン酸チタン酸鉛系圧電セラミックス粉末)を、ドクターブレード法,カレンダロール法等の公知のシート成形方法を用いて成形し、厚さが40〜150μm程度の長尺状グリーンシートを製造する。
この長尺状グリーンシートから、圧電素子10が製造されるまでの焼成収縮や切断しろ等を考慮して、パンチング等により適切な大きさのグリーンシートを複数枚得て、各グリーンシートに、例えば直径φ0.2mmの貫通孔を所定位置に形成する。
ここで、グリーンシートの大きさは、後に切断処理を行うことにより複数個の圧電素子を取ることができる大きさとしてもよい。その場合、最終的に得られる圧電素子の形状と大きさを考慮して、貫通孔を設ける位置を決定する。貫通孔の形成には、例えば、レーザーを用いることができる。貫通孔の穴径はφ0.2mmに限定されるものではなく、後述する第1の導体ペーストの収縮を考慮して設定され、φ0.05mm〜φ0.5mmとすることができる。
続いて、グリーンシートに形成された貫通孔に、スクリーン印刷やインクジェット印刷,シリンダによる注入法等の方法により、スルーホール電極15を形成するための第1の導体ペーストを充填する。このとき、貫通孔の周囲の一定範囲に、第1の導体ペーストの塗布膜を形成することが好ましい。このような塗布膜を、貫通孔への第1の導体ペーストの充填と同時に行うためには、スクリーン印刷法が好適である。このような塗布膜を形成することにより、複数のグリーンシートを重ねたときに、貫通孔の位置が多少ずれてしまった場合にも、この第1の導体ペーストに由来して形成されるスルーホール電極15に電極切れが発生することを防止することができる。
この第1の導体ペーストは、後にグリーンシートと同時焼成される。一般的に、圧電セラミックスを成形してなるグリーンシートの焼成温度は、圧電セラミックスの化学組成と粉体粒径とでほぼ決まり、例えば、平均粒径が0.4μm〜1.2μm程度のジルコン酸チタン酸鉛系圧電セラミックスでは、大凡、1000℃〜1200℃である。第1の導体ペーストには、このような焼成温度に耐えることができる電極材料を用いる必要があり、好ましくは導電物質として銀(Ag)とパラジウム(Pd)を含むものが用いられる。
銀とパラジウムは全組成範囲において固溶する、所謂、全固溶という特性を示すので、銀とパラジウムの状態図(相図)から、焼成温度において溶融せず、しかも製造コストを考えて可能な限りパラジウム含有量が少ない組成を予想することできる。焼成温度が1000℃〜1200℃の場合には、銀とパラジウムの合計重量に占めるパラジウムの重量百分率をW{=[Pd/(Ag+Pd)]×100(%)}としたときに、10%≦W≦30%である組成が好適に用いられる。
なお、第1の導体ペーストは、導電物質としての銀およびパラジウムと、有機バインダとしてのエチルセルロースと、焼成時の収縮率調整のための圧電セラミックス粉末(グリーンシートの成形に用いたものと同じ)と、溶剤としてのα−テルピネオールとを、三本ロールで混練することにより製造することができる。銀粉末およびパラジウム粉末としては、例えば、平均粒径が約1μmの球形の共沈粉を用いることができる。但し、有機バインダや溶剤はこのような物質に限定されるものではない。
また、第1の導体ペーストを構成する各物質の重量百分率は、例えば、銀とパラジウムの合計量が65%、圧電セラミックス粉末が10%、有機バインダが5%、溶剤が20%とすることができ、適宜、貫通孔への充填が容易となる粘度に調節するために溶剤を添加して再混練する等の微調整が行われる。有機バインダと溶剤は、焼成時の昇温時に焼失する。第1の導体ペーストに含まれる圧電セラミックス粉末は、グリーンシートに形成された貫通孔の壁面に対して焼結接合した場合には、スルーホール電極にアンカー効果をもたらす。
続いて、複数枚のグリーンシートを貫通孔の位置で合わせて、焼成後の厚さが例えば0.36mmとなるように、焼成収縮を考慮した厚さに積層する。このとき、貫通孔が形成されていないグリーンシートを、積層方向端の一方または両方に重ねることが好ましい。こうしてグリーンシートを積み重ねたものを、熱プレス装置を用いて一体化する。一般的に熱圧着と呼ばれるこの処理は、グリーンシートどうしを接着する手法の1つであることは周知の通りである。グリーンシートどうしを接着することができる限りにおいて、その手法は制限されない。
図4に、グリーンシートを熱圧着させて得られる積層体の断面図を示す。この図4に示された積層体20は、貫通孔17が形成されていないグリーンシート16bの上に、貫通孔17が形成された所定数のグリーンシート16aを積み重ね、これを熱圧着したものである。互いにつながった貫通孔17の内部には第1の導体ペースト18が充填された状態となっている。
貫通孔17の周囲の一定範囲に第1の導体ペースト18の塗布膜を形成している場合に、その部分が第1の導体ペースト18の鍔部19となる。図4ではこの鍔部19を厚く明瞭に描いているが、例えば、グリーンシート16aの厚さが40μm〜150μmであるのに対して、この鍔部19の厚さは1〜10μm程度である。
積層体20の最上部のグリーンシート16aの上にさらに貫通孔17が形成されていないグリーンシート16bが積み重ねられて、熱圧着されていてもよい。 なお、積層前の個々のグリーンシートにおいて、第1の導体ペーストがグリーンシートの表面より極端に高く露出するように貫通孔に充填されていると、熱圧着時に貫通孔近傍部分でのグリーンシートどうしの接着が妨げられるおそれがある。このような状態とならないように、第1の導体ペーストの充填量の上限を制御することが好ましい。
こうして得られた積層成形体を所定温度で焼成する。この焼成処理により、複数枚のグリーンシートが一体化した圧電セラミックスからなる圧電体12が得られる。また、グリーンシートに形成された貫通孔が連通してスルーホールとなり、貫通孔に充填された第1の導体ペーストどうしも接合されて焼成され、連続したスルーホール電極15が形成される。このスルーホール電極15は圧電体12の表裏面に露出する。
貫通孔を備えていないグリーンシートが1枚だけ重ねられている場合には、この焼成工程においては、そのグリーンシートを下側にして、焼成する。貫通孔を備えていないグリーンシートを用いることにより、焼成時に貫通孔内に充填された第1の導体ペーストが貫通孔の下側開口部から垂れたり、流れ落ちたりすることを防止することができる。
この焼成時には、積層成形体全体が三次元的に収縮し、同時にスルーホールの穴径と長さも短くなり、またスルーホールに充填された第1の導体ペーストに由来する電極材料も収縮する。前述した通り、第1の導体ペーストに圧電セラミックス粉末を含有させたり、配合組成を変化させたりすることで電極材料の収縮率を調整することができるが、焼成時に電極切れ(つまり、スルーホールの内部に空洞や未充填部が形成されることが生じること)のないように、グリーンシートに形成された貫通孔に充填する第1の導体ペーストの充填量の下限が設定されている必要がある。
図5に焼成により得られる圧電体12の断面図を示す。この図5には、先の熱圧着工程において貫通孔を備えていないグリーンシートが1枚のみ積層され、熱圧着され、焼成されて得られた焼成体において、スルーホール電極15が露出している面側におけるスルーホール電極15近傍の構造が示されている。
圧電体12の表面には焼成後には多少の凹凸が存在するが、スルーホール電極15の端面は、その表面に露出して見えるように凸状であり、その高さhは0<h≦0.1mmの関係を満たしていることが好ましい。先に説明した熱圧着時のグリーンシートどうしの接着を妨げない充填量で、しかも、焼成時の電極切れが起こらないようにするためには、第1の導体ペーストに由来する電極材料はグリーンシートより焼成収縮が小さい(つまり、収縮しない)ことが好ましい。
上述した通りのグリーンシートを積層,一体化して焼成することにより圧電セラミックスを製造する方法は、従来、積層型圧電アクチュエータのような内部電極を有する圧電素子の製造に用いられているものであるが、その場合には、圧電セラミックス層は内部電極を介して接合されるために、圧電セラミックス層間の接合強度はあまり高いものではなく、圧電セラミックス層ごとの緻密性もたかいものではない。また、圧電セラミックスの一般的な製造方法である粉体プレス成形法や押出成形法では、内部に微小な空隙や空孔などの欠陥が残って比重が小さく、また機械的強度も小さく、さらに圧電体の角部に欠けが生じたり、圧電体に割れが生じたりし易くなる等の欠点がある。
これに対して、上述したように、内部電極を設けることなくグリーンシートを積層,一体化して焼成することにより圧電セラミックスを製造する方法では、グリーンシートどうしが接着され、その境界を判別することができないほどに緻密で、内部に微小な空隙や空孔が少なく、比重の大きな圧電セラミックスを得ることができる。例えば、粉体プレス成形法では比重が約7.6のものを得るのが限界であるのに対し、グリーンシートを積層,一体化して焼成する方法では、比重が約7.8の圧電セラミックスを得ることができる、この差は、空隙や空孔の少ない圧電セラミックスが得られていることを示している。
緻密で欠陥の少ない圧電セラミックスでは、切断加工時やハンドリング時に角部が欠けるという問題の発生も極めて少なくなる。これにより製造歩留が向上し、生産コストを下げることができる。また、欠陥の少ない圧電セラミックスは、所定の高周波電圧を印加して振動させる場合に、より大きな電力を投入しても割れの発生が抑えられるという特徴を有している。
このように薄いグリーンシートを多数枚積層して一体化し、焼成することで板状の圧電セラミックスを製造する方法は、スルーホールが形成し易いばかりでなく、緻密で信頼性に優れた圧電セラミックスの製造に適している。
さて、こうして得られた圧電体12の表裏面を、例えば、遊離砥粒を用いる両面ラップ加工機により同時にラッピング(研磨)し、圧電体12の厚みが約0.36mmであったものを厚さ0.25mmまで削り込む。先に貫通孔が形成されていないグリーンシートを用いている場合には、そのグリーンシートに由来する部分を全てラッピングにより除去する。このような両面ラッピングを行うことにより、均一な厚さの圧電体12を短時間で得ることができる。なお、このような圧電体12の厚さ調整加工は、片面ずつ行ってもよく、その際に研削加工機を使用してもよい。
図5に示す破線B−Bは、ラッピング加工により現れる面の高さを示している。両面ラップ加工によりスルーホール電極15もまたラッピングされるので、スルーホール電極15の端面(露出面)は圧電体12の表裏面と同一平面に位置する。
切断機を用いて、スルーホールの位置を考慮して、長さ30mm×幅4mmで切り出す。こうして切り出した圧電体12の表裏面にそれぞれ、スクリーン印刷により表面電極13a,13,14を形成するための第2の導体ペーストを、先に図1に示した通りのパターンで印刷する。圧電体12の表裏面は両面ラッピングにより平坦化されているので、印刷膜厚を一定にすることができ、しかもスルーホール電極15とのコンタクトを確実に行うことができる。
なお、図1に示されるように、第2の導体ペースト印刷領域を圧電体12の外周よりも一定距離だけ内側としているのは、圧電体12の外周一杯に第2の導体ペーストを塗布すると、圧電体12の側面にペーストが流れ出して、反対側の面の印刷電極と導通するおそれがあるからであり、こうして側面に付着したペーストを除去する手間を省くためである。
印刷された第2の導体ペーストを所定温度で乾燥させた後、所定温度に加熱することにより、第2の導体ペーストに含まれる固形成分を圧電体12に焼き付ける。こうして形成される表面電極13a,13b,14の厚さは、例えば3μm〜5μmとされる。
ここで使用される第2の導体ペーストとしては銀とパラジウムを含み、これらの合計重量に占めるパラジウムの重量百分率をW{=[Pd/(Ag+Pd)]×100(%)}としたときに、0≦W−W<20の関係が満たされるものが好適に用いられ、これによりスルーホール電極15の突起高さを低く抑えることができる。
また、第2の導体ペーストには、銀とパラジウムを圧電体12の表面に焼き付けるためのガラスフリットが固形成分として含まれていることが、形成される表面電極13a,13b,14の圧電体12への密着強度を高める観点から好ましい。ガラスフリットを含む導電ペーストの焼成温度は、ガラスフリットの組成で焼き付け温度が決まる。ガラスフリットとしてホウケイ酸鉛系ガラスを用いることで、焼き付け温度を650℃〜800℃に設定することができる。
なお、パラジウムのコストは銀に比べると20倍〜30倍にもなることから、電極材料コストを低く抑える観点から、振動板への接着に支障が生じない範囲で、パラジウムの含有率をできるだけ少なくすることが好ましい。また、そのためには、低温での焼き付けが可能となるようにガラスフリットの組成を調節することが好ましい。さらに、パラジウムは空気中で酸化/還元反応を起こすために、パラジウム含有量を少なくすることは表面電極に酸化/還元反応に起因する凹凸の発生を抑制し、電極の電気抵抗を下げる点でも有利である。
第2の導体ペーストは、具体的には、導電物質として銀とパラジウムの合金粉と、ガラスフリット粉末と、有機バインダとしてのエチルセルロースと、溶剤としのα−テルピネオールとを、重量百分率で、導電物質が70%、ガラスフリットが5%、有機バインダが5%、溶剤が20%となるように秤量し、これらを3本ロール等で混練し、作製することができる。銀とパラジウムの合金粉としては平均粒径が約1μmのもの、ガラスフリット粉末としては平均粒径が数μmのものを使用することができ、銀とパラジウムの合金粉に代えて、銀とパラジウムそれぞれの粉末を混合して用いてもよい。溶剤量の加減によりペーストの粘度を微調整することができる。
第2の導体ペーストとしては、パラジウムの代わりに白金(Pt)を含むものを用いることができ、銀と白金の全重量に占める白金の重量百分率をW{=[Pt/(Ag+Pt)]×100(%)}としたときに、W=0.3%〜3%の関係が満たされるものが好適に用いられる。W<0.3%の場合にはスルーホール電極15の突起高さを低く抑えることができず、一方、W>3%の場合には、白金は銀に比べて極めて高価であるので、ペーストコストが高くなるという問題が生じる。
銀と白金を含む第2の導体ペーストの調製方法は、上述した銀とパラジウムを含む導体ペーストの調製方法と同じである。すなわち、銀と白金を混合した粉末(例えば、平均粒径が0.5μmの銀粉末と、平均粒径が0.3μmの白金粉末)と、ガラスフリットと、有機バインダ(例えば、エチルセルロース)と、溶剤(例えば、α−テルピネオール)を所定比となるように秤量し、それらを三本ロール等で混練することにより製造することができる。
白金のコストは銀に比べ数十倍から百倍にもなるが、パラジウムと比較すると銀に対する混合比を極めて少なくすることができるため、パラジウムを用いる場合よりもコスト高にはならない。また、白金はパラジウムとは異なり、酸化/還元反応を起こさないために、凹凸の少ない滑らか表面電極を形成することができる。このことは、圧電素子にフレキシブルプリント配線基板を貼り付けたり、圧電素子を振動板に貼り付けたりする際に好ましい特性となる。また、白金はパラジウムのように電気抵抗を大きくすることがないので、表面電極での不要な熱の発生が抑えられ、投入した電力を効率的に振動エネルギーに変換することができるようになるので、振動板をより大きく振動させることができるようになる。
このような第2の導体ペーストを用いて表面電極13a,13b,14を形成した後、圧電体12を分極処理する。この分極処理は、圧電体12をそのキュリー温度以下の所定温度に保持された絶縁油中等に浸し、表面電極13aと表面電極14との間に所定の電圧を所定時間印加することにより行われ、例えば、絶縁油の温度を120℃、印加電圧を3kV/mm、電圧印加時間を30分とする。圧電体12の分極処理は高温乾燥機等を用いて、空気中で行うこともできる。こうして圧電体12に圧電性を発現させることにより圧電素子10が得られる。製造された圧電素子10に樹脂接着剤を用いてフレキシブルプリント配線基板21を接着し、さらにこの圧電素子10を振動板22に樹脂接着剤を用いて接着することにより、振動波駆動装置30を製造することができる。
次に、第1の導体ペーストの組成と第2の導体ペーストの組成との関係について、実施例を参照しながら、詳細に説明する。
第1の導体ペーストとしてW=30%の銀・パラジウムペーストを用いた場合について説明する。上述した圧電素子10の製造方法に従うことを条件として、グリーンシート積層成形体の焼成温度を1200℃とし、得られた圧電体に両面ラッピングを施した試料を所定数作製した。各試料のラッピング加工面に、W=0%,10%,20%,30%で調製された第2の導体ペーストをスクリーン印刷し、750℃で焼成することにより、表面電極を形成した。スルーホール電極が形成されている部分が他の平坦な領域よりもどの程度突出しているかを接触式表面粗さ計を用いて測定した結果を表1に示す。
Figure 0005506009
スルーホール電極の突起高さは、W=0%の試料1では7〜12μm、W=10%の試料2では4〜9μm、W=20%の試料3では2〜5μm、W=30%の試料4では0〜2μmであった。
このように、第2の導体ペーストとしてパラジウムを所定量含むものを用いることにより、スルーホール電極の突起が抑制されることが確認された。これは、第2の導体ペーストの焼き付け温度がグリーンシートの焼成温度よりも低温であり、パラジウムの含有量が増えることで銀の拡散が抑制されたためと考えられる。
圧電素子を振動板に接着して振動波駆動装置を構成する場合、通常、圧電素子から振動板への振動伝達が効率よく行われ、しかもこれらの間の接着強度が確保されるように、接着層の厚さは約5μmとされる。
そのため、W=0%である試料1の圧電素子を用いて構成した振動波駆動装置では、圧電素子に形成されたスルーホール電極の突起高さが7〜12μmであるために接着層は通常よりも厚くなり、振動板の振動の減衰が通常より大きくなった。また、W=10%である試料2の圧電素子を用いて構成した振動波駆動装置では、圧電素子に形成されたスルーホール電極の突起高さは4〜9μmであるため、接着層が通常よりも厚くなる場合もあり、振動板の振動の減衰も通常より大きくなることがあった。
これに対して、W=20%,30%である試料3,4の圧電素子をそれぞれ用いて構成した振動波駆動装置では、圧電素子に形成されたスルーホール電極の突起高さが5μm以下であるために、接着層の厚さを通常厚さとすることができ、そのため振動板の振動の減衰も問題のないレベルであった。
第1の導体ペーストとしてW=20%の銀・パラジウムペーストを用いた場合について説明する。上述した圧電素子10の製造方法に従うことを条件として、グリーンシート積層成形体の焼成温度を1100℃とし、得られた圧電体に両面ラッピング加工を施した試料を所定数作製した。各試料のラッピング加工面に、W=0%,5%,10%,20%で調製された第2の導体ペーストをスクリーン印刷し、750℃で焼成することにより、表面電極を形成し、スルーホール電極の突起高さを測定した。その結果を表1に併記する。
スルーホール電極の突起高さは、W=0%の試料5では4〜8μm、W=5%の試料6では3〜6μm、W=10%の試料7では1〜4μm、W=20%の試料8では0〜2μmであった。
=0,5%である試料5,6の圧電素子を用いて構成した振動波駆動装置では、圧電素子に形成されたスルーホール電極の突起高さが5μmを超えることがあり、そのため接着層が厚くなって、振動板の振動の減衰が通常より大きくなることがあった。一方、W=10,20%である試料7,8の圧電素子を用いて構成した振動波駆動装置では、接着層を通常の厚さとすることができ、そのため振動板の振動の減衰も問題のないレベルであった。
第1の導体ペーストとしてW=10%の銀・パラジウムペーストを用いた場合について説明する。上述した圧電素子10の製造方法に従うことを条件として、グリーンシート積層成形体の焼成温度を1000℃とし、得られた圧電体に両面ラッピング加工を施した試料を所定数作製した。各試料のラッピング加工面に、W=0%,5%,10%で調製された第2の導体ペーストをスクリーン印刷し、750℃で焼成することにより、表面電極を形成し、スルーホール電極の突起高さを測定した。その結果を表1に併記する。
スルーホール電極の突起高さは、W=0%の試料9では3〜5μm、W=5%の試料10では1〜3μm、W=10%の試料11では0〜2μmであった。これらの試料9〜11の圧電素子を用いて構成した振動波駆動装置では、接着層を通常の厚さとすることができ、そのため振動板の振動の減衰も問題のないレベルであった。
上述の通り、0≦W−W<20の関係が満たされていれば、スルーホール電極の突起高さは低く抑制されることが確認された。
上述した圧電素子10の製造方法に従うことを条件として、第1の導体ペーストとしてW=30%の銀・パラジウムペーストを用い、積層成形体の焼成温度を1200℃とし、得られた圧電体に両面ラッピング加工を施した試料を所定数作製した。一方、銀と白金の全重量に占める白金の重量百分率をW{=[Pt/(Ag+Pt)]×100(%)}としたときに、W=0%,0.1%,0.2%,0.3%,0.5%,1.0%,3.0%となる第2の導体ペーストを作製した。各試料のラッピング加工面に、これらの所定の重量百分率Wに調製されたペーストをスクリーン印刷し、750℃で焼成することにより、表面電極を形成し、スルーホール電極の突起高さを測定した。その結果を表2に示す。
Figure 0005506009
スルーホール電極の突起高さは、W=0%の試料12では8〜11μm、W=0.1%の試料13では7〜9μm、W=0.2%の試料14では2〜4μm、W=0.3%の試料15では1〜3μm、W=0.5%の試料16では1〜2μm、W=1.0%の試料17では1〜2μm、W=3.0%の試料18では0〜1μmとなった。
先に述べた通り、圧電素子を振動板に接着する場合の接着層の厚さは約5μmであるから、これよりもスルーホール電極の突起高さが低くなる圧電素子を得るためには、0.2%≦W≦3%のペーストを用いればよいことがわかる。但し、この条件は、スルーホール電極におけるW=30%の場合に得られた結果であって、スルーホール電極におけるW<30%の場合には、W<0.2%のものを用いることもできる。
このように、白金はその含有率が少なくても、スルーホール電極と銀との反応,拡散を抑えてスルーホール電極の突起を低く抑える効果を示すことが確認された。なお、銀粉末と白金粉末としては粒径の小さい粉末を用いる方が両者の混合分散が容易であるが、平均粒径は0.2μm〜1.2μmであれば、実用上、支障はない。
以上、本発明の実施の形態および実施例について具体例を挙げながら説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。例えば、表面電極13aはスルーホール電極15とは導通しないので、表面電極13aの形成には、導電物質が銀100%の導体ペーストを用いることができ、これにより電極材料コストを下げることができる。但し、スクリーン印刷に用いる版を代える等の作業が必要になる。
また、表面電極を形成するための第2の導体ペーストには圧電体への密着性を促進させるようなビスマス酸化物、鉛酸化物、酸化銅など金属酸化物を添加してもよい。導体ペーストを製造するための有機バインダと溶剤はそれぞれ上述したエチルセルロース,α−テルピネオールに限定されるものではなく、ペーストを製造することができ、焼成時や焼き付け時に消失するものであればよい。有機バインダや溶剤を変更した場合には、所望の粘度を有するペーストを得るために、ペースト製造に用いられる各種原料の組成比は、適宜変更される。
本発明の実施形態に係る圧電素子の斜視図。 図1に示す圧電素子の断面図。 図1に示す圧電素子を用いた振動波駆動装置の斜視図。 グリーンシートの積層状態を示す断面図。 図1に示す圧電素子の製造段階でのスルーホール近傍の断面図。 公知の圧電ブザーの斜視図。 公知の圧電素子の上面図。 図7Aに示す圧電素子の下面図。 図7Aに示す圧電素子の断面図。
符号の説明
10…圧電素子、12…圧電体、13a,13b,14…表面電極、15…スルーホール電極、16a…グリーンシート(貫通孔有り)、16b…グリーンシート(貫通孔無し)、17…貫通孔、18…第1の導体ペースト、19…第1の導体ペーストの鍔部、20…積層体、21…フレキシブルプリント配線基板、22…振動板、23…移動体、30…振動波駆動装置。

Claims (9)

  1. 2つの対向する面を有する圧電体に、その一方の面から他方の面への電気的導通を得るためのスルーホール電極が設けられた圧電素子の製造方法であって、
    圧電材料を成形してなるグリーンシートの所定位置に貫通孔を設け、その貫通孔に第1の導体ペーストを充填し、その後、複数のグリーンシートを前記貫通孔がつながるように重ねて接着し、焼成する工程と、
    得られた焼成体において前記貫通孔によって形成されたスルーホール電極が露出した2つの対向する面を平坦化する工程と、
    こうして平坦化された面にそれぞれ第2の導体ペーストを塗布し、前記焼成工程での焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、前記平坦化された面に前記スルーホール電極と導通する表面電極を設ける工程とを有し、
    前記第1の導体ペーストは銀とパラジウムを含み、これらの合計重量に占めるパラジウムの重量百分率をWとすると、10%≦W≦30%であり、
    前記第2の導体ペーストは銀とパラジウムを含み、これらの合計重量に占めるパラジウムの重量百分率をWとすると、0≦W−W<20の関係が満たされていることを特徴とする圧電素子の製造方法。
  2. 2つの対向する面を有する圧電体に、その一方の面から他方の面への電気的導通を得るためのスルーホール電極が設けられた圧電素子の製造方法であって、
    圧電材料を成形してなるグリーンシートの所定位置に貫通孔を設け、その貫通孔に第1の導体ペーストを充填し、その後、複数のグリーンシートを前記貫通孔がつながるように重ねて接着し、焼成する工程と、
    得られた焼成体において前記貫通孔によって形成されたスルーホール電極が露出した2つの対向する面を平坦化する工程と、
    こうして平坦化された面にそれぞれ第2の導体ペーストを塗布し、前記焼成工程での焼成温度よりも低い温度で焼成することにより、前記平坦化された面に前記スルーホール電極と導通する表面電極を設ける工程とを有し、
    前記第1の導体ペーストに含まれる導電物質は銀とパラジウムであり、前記第2の導体ペーストに含まれる導電物質は銀と白金であることを特徴とする圧電素子の製造方法。
  3. 前記第1の導体ペーストは、銀とパラジウムの合計重量に占めるパラジウムの重量百分率が10%以上30%以下であり、
    前記第2の導体ペーストは、銀と白金の合計重量に占める白金の重量百分率が0.2%以上3%以下であることを特徴とする請求項2に記載の圧電素子の製造方法。
  4. 前記複数のグリーンシートを前記貫通孔がつながるように重ねる際に、前記貫通孔が形成されていないグリーンシートの上に、前記貫通孔が形成された所定数のグリーンシートを積み重ねて、これらを接着し、
    こうして得られた積層体を焼成する際に、前記貫通孔の形成されていないグリーンシートを鉛直方向下側に配置して焼成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の圧電素子の製造方法。
  5. 前記貫通孔が形成されていないグリーンシートの上に、前記貫通孔が形成された所定数のグリーンシートを積み重ね、その上にさらに前記貫通孔が形成されていないグリーンシートを積み重ねて、これらを接着することを特徴とする請求項4に記載の圧電素子の製造方法。
  6. 板状形状を有し、その一方の主面から他方の主面へと電気的に導通するスルーホール電極を有する圧電体と、
    前記圧電体の一方の主面に、前記スルーホール電極と導通するように設けられた第1の表面電極と、
    前記圧電体の他方の主面に、前記スルーホール電極と導通するように設けられた第2の表面電極およびこの第2の表面電極と絶縁されるように設けられた第3の表面電極とを有し、
    前記第1第2の表面電極において前記スルーホール電極と接合されている部分の突起高さが5μm以下であり、
    前記スルーホール電極は銀とパラジウムを含み、これらの合計重量に占めるパラジウムの重量百分率をW とすると、10%≦W ≦30%であり、
    前記第1,第2の表面電極は銀とパラジウムを含み、これらの合計重量に占めるパラジウムの重量百分率をW とすると、0≦W −W <20の関係が満たされていることを特徴とする圧電素子。
  7. 板状形状を有し、その一方の主面から他方の主面へと電気的に導通するスルーホール電極を有する圧電体と、
    前記圧電体の一方の主面に、前記スルーホール電極と導通するように設けられた第1の表面電極と、
    前記圧電体の他方の主面に、前記スルーホール電極と導通するように設けられた第2の表面電極およびこの第2の表面電極と絶縁されるように設けられた第3の表面電極とを有し、
    前記第1,第2の表面電極において前記スルーホール電極と接合されている部分の突起高さが5μm以下であり、
    前記スルーホール電極は銀とパラジウムを含み、これらの合計重量に占めるパラジウムの重量百分率は10%以上30%以下であり、
    前記第1第2の表面電極は銀と白金を含み、これらの合計重量に占める白金の重量百分率が0.2%以上3%以下であることを特徴とする圧電素子。
  8. 絶縁体に、請求項6又は7に係る圧電素子が貼り付けられてなることを特徴とする振動板。
  9. 請求項に記載の振動板を備え、前記振動板を駆動することによりその振動板に接触した物体を動かすことを特徴とする振動波駆動装置。
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