JP5717975B2 - 振動体及び振動波アクチュエータ - Google Patents

振動体及び振動波アクチュエータ Download PDF

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本発明は、セラミックス基板上に圧電素子を接合した振動体及びその振動体を備えた振動波アクチュエータに関する。
カメラなどのデジタル機器では、圧電素子を利用した多種多様のアクチュエータが現在使用されている。
これは、圧電素子は小型化が可能で電気的な制御により機械的な出力が容易に得られることが大きな理由である。
この振動源である圧電素子としては、一般に、単一の板状の圧電素子や多数の圧電層を積層し成形一体化した後に焼成された積層圧電素子が使われている。
特に、積層圧電素子は、多層化により低い印加電圧で大きな変形歪や大きな力が得られるという利点がある。
図6に、このような利点を備えた特許文献1におけるリニア型振動波(超音波)アクチュエータ30の外観斜視図を示す。
このリニア型振動波アクチュエータ30は、振動体31、及び加圧接触されたリニアスライダ36を有している。
振動体31は、積層圧電素子35と駆動板(基板)32を有し、積層圧電素子35は圧電層と電極層が交互に複数積層化され、駆動板32は金属からなり、接着剤により積層圧電素子35と接着されている。
駆動板32は、矩形状に形成された板部と、この板部の上面に対して凸状に形成された2つの突起部33a、33bを有している。
突起部33の先端面には、接触部34a、34bが形成されている。接触部34a、34bは、被駆動体としてのリニアスライダ36と直接接触する部材であるため、耐磨耗性を有している。
このリニア型振動波アクチュエータ30は、2つの曲げ振動モードを励起し、突起部33a、33bに楕円運動を生起させる。この楕円運動は、振動体31に対して加圧状態で接触されているリニアスライダ36に対して、振動体31との間に相対的な移動運動力を発生させる。
この相対的な移動運動力により、リニアスライダ36は、リニア(直線)駆動されることとなる。
このような積層圧電素子を製造する場合は、初めに、圧電材料粉末と有機バインダから、ドクターブレード法などの方法により圧電層となるグリーンシートを作り、このグリーンシート上の所定位置に電極材料ペーストを印刷して電極層とする。
そして、このグリーンシートを所定の枚数平面状に重ね、加圧して積層化する。この後、圧電層と電極層を同時焼成により一体化し、分極処理を行い、最終的に機械加工を行うことにより、所定の寸法に仕上げられる。
一方、セラミックスからなる基板の少なくとも一方の面上に、電極材料と圧電材料が順次層状に積層され、熱処理によって一体化されてなる一体積層構造を有する圧電電歪膜型アクチュエータが知られている。
図7に、特許文献2おける圧電層と電極層を有する圧電素子41と、振動板としてのセラミックスからなる基板42とを同時に焼成して一体化した振動体40の構成を説明する図を示す。
圧電素子41の電極層44と基板42との間には、圧電層45と同一成分または主成分が同一の化合物層としての圧電層43を接合層として介在させ、焼成により圧電素子41と基板42が接合している。
特開2004−304887号公報 特開2009−124791号公報
上記した従来例における振動波アクチュエータにおいては、つぎのような課題を有している。
すなわち、上記特許文献1のものでは、積層圧電素子と金属の駆動板(基板)32からなる振動体31は、樹脂からなる接着剤で接着されている。
しかし、樹脂からなる接着剤は比較的柔らかいため、振動体の振動減衰は大きく、特に小型化するほど振動体31の振動減衰の影響が大きくなり、小型の振動波アクチュエータの効率を低下させる主因となっていた。
一般に効率が悪いと、例えば電池駆動によるアクチュエータでは駆動時間が短くなることが報告されている。
また、さらに効率が悪くなるとさらなる発熱が起こり、樹脂からなる接着剤の強度低下により積層素子が金属の駆動板(基板)から剥がれる恐れが生じる。
また、小型化した場合に、接着層の厚さのばらつきや接着による位置精度が小型の振動波アクチュエータの性能に与える影響が大きくなり、小型の振動波アクチュエータの性能のばらつきも大きくなることが生じる。
さらに、従来の積層圧電素子の製造方法では、圧電材料粉末から作るグリーンシート成形や積層プレス、機械加工など製造装置の設備投資額も大きく、製造コストが高くなる一因となっていた。
このようなことから、積層圧電素子の製造と同時に、接着剤を用いずに基板に積層圧電素子を直接固定し接合することが望まれていた。
しかしながら、基板が金属で構成される場合、圧電素子の圧電層と電極層を同時焼成して一体化を行なう温度では、金属の酸化や溶融が生じるとともに高融点金属を用いても金属を構成する元素が圧電層や電極層に拡散する。
そのため、圧電層は拡散した元素のため本来の圧電活性を持ち得ない化学組成になってしまっていた。
また、金属より耐熱性の高いセラミックスからなる基板では、金属のように元素の拡散は起らないものの、貴金属である電極層とセラミックスとの化学反応が少なく、接合強度がかなり低くなる。
そのため、工程上の熱履歴により、初めから圧電素子がセラミックスからなる基板から剥離していたり、振動による剥離が起こり易くなったりして、安定した振動エネルギーを出力できなかった。
これらに対して、特許文献2では、圧電素子41の電極層44とセラミックス基板42との間に、圧電層45と同一成分、又は主成分が同一の化合物層としての圧電層43を介在させ、圧電素子41とセラミックス基板42の接合を図ることが可能である。
しかしながら、このような特許文献2によっても、振動波アクチュエータの出力を上げるために、振動体に大きな振幅を発生させると、圧電素子41は基板42から剥離を起こす恐れがある。
本発明は、上記課題に鑑み、安価な構成で、小型化に伴う振動の減衰を抑制して振動効率を向上させることができ、従来よりも大きく安定した振動エネルギーを出力することが可能となる振動体とその振動体を備えた振動波アクチュエータの提供を目的とする。
本発明は、つぎのように構成した振動体とその振動体を備えた振動波アクチュエータを提供する。
本発明の振動体は、セラミックス基板に、一つまたは複数の圧電層と電極層とを有する圧電素子を固定し、前記圧電素子の振動エネルギーによって前記セラミックス基板を振動させ、振動を出力する振動体であって、
前記セラミックス基板と前記圧電素子の前記一つの圧電層又は前記複数の圧電層の一つとの間に二酸化ケイ素と前記圧電層の成分との化合物を含有する領域を備え、
前記二酸化ケイ素と前記圧電層の成分との化合物を含有する領域を介し、前記セラミックス基板に前記圧電素子が固定されていることを特徴とする。
本発明によれば、安価な構成で、小型化に伴う振動の減衰を抑制して振動効率を向上させることができ、従来よりも大きく安定した振動エネルギーを出力することが可能となる振動体とその振動体を備えた振動波アクチュエータを提供することができる。
本発明の実施例1に係る振動体の構成を説明する図である。(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。 本発明の実施例2に係る振動体の構成を説明する図である。(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。 本発明の実施例3に係る振動体の構成を説明する図である。(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。 本発明の実施例4に係る振動体の構成を説明する図である。(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。 本発明の実施例5に係る振動体の構成を説明する図である。(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。 本発明の実施例1〜4に係る振動体を組込んだリニア型振動波アクチュエータの駆動機構を説明する図である。 従来のリニア型振動波アクチュエータの構成を説明する図である。 従来の振動体の構成を説明する図である。
本発明は、セラミックス基板と圧電素子とを固定する際に、圧電素子が固定される側のセラミックス基板の表面部(セラミックス基板の最表面だけでなく、最表面から一定の深さの領域を意味する)と圧電素子との間に二酸化ケイ素(シリカ、化学式SiO)を含有する領域を備える。そして、当該二酸化ケイ素を含有する領域が、セラミックス基板と反応して二酸化ケイ素を含んだ化合物(ガラス相)を形成し、セラミックス基板と圧電素子とを接合する。
本発明において、上記二酸化ケイ素を含有する領域を有するセラミックス基板を接合に用いることにより、安定し、かつ高い強度を示す接合が可能となるように構成したものである。
本発明において、上記二酸化ケイ素を含有する領域は、セラミックス基板と圧電素子との界面に設けられる。
その際、セラミックス基板の表面部(セラミックス基板の最表面及び最表面から一定の深さの領域)に所定の分布状態で形成しても良い。
本発明によれば、振動体は従来よりも大きな振幅での振動が可能となり、大きな振動エネルギーを出力可能となる。
また、振動体のセラミックス基板は、安価な二酸化ケイ素を用いてその表面を改質するため、低コストで、かつ高精度な製造が可能となる。
本発明において、セラミックス基板と圧電素子との間に形成する二酸化ケイ素を含有する領域(層)の厚さについては本発明の効果を奏する限り特に制限はない。
しかし、二酸化ケイ素を含有する領域の厚さが薄すぎると接合の機械強度が不十分となり、厚すぎるとセラミックス基板界面での収縮率や弾性率の差異による平行亀裂の発生、或いは振動の伝達特性が変化する場合がある。
本発明者らの知見によれば、セラミックス基板と圧電素子との間に形成する二酸化ケイ素を含有する領域の厚さは1μm以上10μm以下が好ましい。
本発明においてセラミックス基板と圧電素子との間に形成する二酸化ケイ素を含有する領域中の二酸化ケイ素の濃度については、本発明の効果を奏する限り特に制約はないが、本発明者らの知見によれば、純粋な二酸化ケイ素(純度100%)でも良く、また他の元素を含有する場合には、他の元素に対して0.2重量%以上の濃度を有すれば良い。純粋な二酸化ケイ素(純度100%)を二酸化ケイ素を含有する層として用いる場合には、例えば平均粒径0.05μmの二酸化ケイ素粒子を用いてセラミックス基板表面に所定の厚さで塗布又は吹き付け等により形成することができる。
本発明において上記二酸化ケイ素粒子の平均粒径は、動的光散乱法粒子径分布測定法により求めることができる。
本発明者らの知見によれば、二酸化ケイ素が存在する領域として、セラミックス基板と圧電素子との間の二酸化ケイ素を含有する領域に加えて、セラミックス基板中(セラミックス基板内部)に二酸化ケイ素が含まれることも許容され得る。その場合、セラミックス基板中の含有量については以下の範囲を満たすことが望ましい。
セラミックス基板の表面部(表面側)の二酸化ケイ素の濃度については、レーザーアブレーションICP質量分析法を用いて、スポット径を10μmに設定して基板の断面(最表面から10μmの範囲)を測定した場合は、つぎのような濃度であることが望ましい。
すなわち、二酸化ケイ素が、他の元素に対して0.2〜1.0重量%の濃度であることが望ましい。
また、セラミックス基板の表面部(内部側)における二酸化ケイ素の濃度については、レーザーアブレーションICP質量分析法を用いて、スポット径を10μmに設定して基板の断面(深さ40μmから50μmの範囲)を測定した場合に、二酸化ケイ素が、他の元素に対して0.1〜0.5重量%の濃度であることが望ましい。
そして、上記濃度の関係は、上記濃度範囲の関係を満たした状態で、セラミックス基板の表面部の二酸化ケイ素濃度がセラミックス基板の内部よりも高くなるように分布している。
このように本発明は、少なくとも圧電素子が固定される側のセラミックス基板の表面側が、セラミックス基板の内部側よりも二酸化ケイ素の濃度が高くなるように分布させることができる。
分布のさせ方は、連続的であっても段階的であっても良い。さらに上記二酸化ケイ素の濃度が他の元素に対して0.5〜0.2重量%の場合には、セラミックス基板の表面と内部とで均一な濃度となるように分布させても良い。
本発明において、セラミックス基板の二酸化ケイ素の存在する領域の深さは、濃度が0.1重量%以下であれば表面から深さ約50μm以上(例えば100μm)の深さでも良い。
但し、圧電素子とセラミックス基板との良好な接合の観点から、セラミックス基板の本来の機械的な性質を維持するには50μm以下が、より望ましい。
同様に、二酸化ケイ素と接する圧電素子の内部にも、機械的特性及び圧電特性に大きな悪影響を与えない範囲で二酸化ケイ素が含有されることも許容され得る。要するに本願発明は、圧電素子が固定される側の前記セラミックス基板の表面部と、圧電素子との間に二酸化ケイ素を含有する領域を備え、当該二酸化ケイ素を含有する領域を介し、前記セラミックス基板に前記圧電素子が固定されていることが重要である。
そして、セラミックス基板の表面部に二酸化ケイ素を含有させる場合には、接合(固着)強度及び使用時の剥離等による性能低下抑制、及び機械的性質維持の観点から上記の濃度の範囲内で二酸化ケイ素を分布させることが好ましい。
従ってセラミックス基板と圧電素子とを熱処理等により接合する際に、二酸化ケイ素がセラミックス基板内部、或いは圧電素子内部に一定量拡散することは許容され得る。
本発明において、セラミックス基板と圧電素子との間に二酸化ケイ素(シリカ、化学式SiO)を含有する領域を形成する方法としては以下の方法を採用することができる。
(1)セラミックス基板を二酸化ケイ素粒子と接触させ、1500℃以上の温度で熱処理することによりセラミックス基板表面部に二酸化ケイ素を含有する領域を形成し、その後、圧電素子と接合させる。
セラミックス基板を二酸化ケイ素粒子と接触させる方法としては、溶剤とバインダとで混合した二酸化ケイ素の粒子をセラミックス基板に塗布又はスプレーにより吹き付ける方法がある。
また、溶剤とバインダとで混合した二酸化ケイ素の粒子にセラミックス基板又は圧電素子を浸漬する方法がある。
或いは、二酸化ケイ素粒子(粉末)中にセラミック基板を埋め込む等の方法がある。
(2)ケイ素を含むセラミック材料(炭化ケイ素、窒化ケイ素)を、セラミックス基板材料として用いて、800℃以上の酸化雰囲気中で熱処理を行うことで、セラミックス基板の表面部に二酸化ケイ素を含有する領域を形成し、その後、圧電素子と接合させる。
以下、本発明を実施するための形態を、以下の実施例により説明するが、本発明はこの記載によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1として、本発明を適用した振動体の構成例について、図1を用いて説明する。
図1(a)、(b)、(c)は、それぞれ振動体の正面図、側面図、平面図である。なお、図1(b)は、図1(c)の矢印で示した破線位置での断面を示している。
図1に示す振動体1aは、リニア駆動する振動波アクチュエータに適用することを想定したものである。この振動体1aは、板状のセラミックス基板2と圧電素子15とを有している。
このセラミックス基板2と圧電素子15は、後述するように同時焼成により接合(固定)され一体化されたものである。
すなわち、振動エネルギー発生源として機能する圧電素子15と、その振動エネルギーを出力する振動板(駆動板)として機能するセラミックス基板2とは、接着剤による接着層を介することなく接合(固定)され一体化されている。
本発明において、「接着層」とは、樹脂からなる接着剤の層を意味しており、「接合層」とは、無機材料からなり、セラミックス基板と反応することにより、セラミックス基板と接合を形成する層を意味する。
圧電素子15においては、圧電層3、電極層4、圧電層5、電極層6、圧電層7が順次積層されている。二つの曲げ振動を振動体に起こさせるために、電極層4は、2つに分割され、分割体は互いに離間状態で配備されている。
同様に、電極層6は、2つに分割され、分割体は互いに離間状態で配備されている。
また、圧電層5は、電極層4の全面を覆い、圧電層7は電極層6の全面を覆っている。
電極層4、6と外部(制御部等)との電気的な導通は、圧電層5、7に孔(ホール)8を形成し、その孔8を介して導電線9を電極層4、6の上に導入してハンダ等に固定することにより、図られている。
電極層4、6には、圧電素子15の振動を制御する制御部等から交番信号が供給され、
この交番信号により圧電層5が伸縮して歪む。そして、その伸縮が機械的な振動エネルギーとしてセラミックス基板2が振動し、そのセラミックス基板2の振動は、被駆動体(図5のリニアスライダ14参照)を駆動する駆動力として利用される。
セラミックス基板2は、長さ12mm、幅5mm、厚さ0.3mmであり、圧電層3の厚さは約6μm、圧電層5の厚さは約12μm、圧電層7の厚さは約6μm、電極層4、6の厚さは約5μmである。導通用の孔8は直径1mmである。
つぎに、本実施例における振動体1aの製造方法の一例について説明する。
セラミック基板2は、次のようにして製造される。
純度99.5%のアルミナ粉末を用いて、プレス成形用の成形バインダと共にプレス成形用の顆粒を造粒する。この顆粒を金型に充填し、プレス装置により厚さ0.8〜0.9mmの板状の成形体を作る。
その後、溶剤(例えば、エタノール)とバインダ(例えば、ポリビニルアルコール)とで混合した二酸化ケイ素(例えば、気相法により合成した日本アエロジル社製フュームドシリカ:平均粒径0.05μm、濃度 5重量%)の粒子を、この成形体の表面にスプレー(例えば、塗装吹き付け用エアガンで0.3MPa)にて吹き付ける。
その後、温度約1600℃で焼成してセラミックを作る。焼成の時に、アルミナの成形体は焼成により収縮し結晶粒子は成長する。
その際に、表面の二酸化ケイ素の粒子は結晶の内部や結晶の粒界に拡散する。二酸化ケイ素の濃度と分布は、用いる二酸化ケイ素を含有する溶液の濃度とスプレーの回数や成形体との距離を変えて制御することができる。
そして、本来のセラミックス基板の内部には二酸化ケイ素は実質的に存在しないようにできる。ここで、「基板の内部には二酸化ケイ素は実質的に存在しない」とは、基板の内部(表面から一定の深さよりも深い領域)には、二酸化ケイ素が全く存在しない場合だけでなく、振動体に機械的な悪影響を与えない範囲で微量存在する場合も含む。この結果、本来の基板とほぼ同じ機械的な性質を有する。この板状の焼成済みのセラミックスを研削加工、切断加工により所定の寸法にセラミックス基板2に仕上げる。二酸化ケイ素の存在する領域は圧電素子15を形成する側で、セラミックス基板2の表面から深さ約50μmまでとした。
上記の製造法によれば、二酸化ケイ素の存在する領域はセラミックス基板の表面ほど濃度が高く、内部に向かい徐々に濃度は低くなる。
つまり、圧電素子が固定される側のセラミックス基板の表面部に、該圧電素子の固定側(セラミックス基板表面部の表面側)ほど濃度が高くなるように二酸化ケイ素が分布する領域を形成し、これを介して固定することにより、強固に接合(固着)することが可能となる。
本発明において上記「セラミックス基板の表面部」とはセラミックス基板の最表面だけでなく、最表面から一定の深さの領域を意味する。また「セラミックス基板の表面部の表面側」とはセラミックス基板の表面部のうち最表面側の領域を意味し、「セラミックス基板の表面部の内部側」とはセラミックス基板の表面部のうち基板の内部側の領域を意味する。
このように、セラミックス基板中に存在する二酸化ケイ素の濃度傾斜が存在することにより、接合強度や機械的な性質はセラミックス基板表面から内部に向かい緩やかに軽減することになる。
この結果、使用時の圧電素子部分の振動により発生するせん断応力を分散させることが期待でき、これまで課題であった使用時の剥離等による性能低下を抑制することが可能になる。本実施例において、圧電素子とセラミックス基板との接合には、二酸化ケイ素の存在する領域は表面から深さ約50μm以上の深さでも良いが、セラミックス基板の本来の機械的な性質を維持するにはこの程度が望ましい。
次に、圧電材料粉末と、有機溶剤と有機バインダからなる有機ビヒクルを混合して作った厚膜形成可能な圧電材料ペーストを、セラミックス基板2の片面の表面にスクリーン印刷法で印刷塗布する。
そして、この塗布された圧電材料ペーストを約150℃で10分間加熱することにより、有機溶剤を除去して乾燥させた圧電層3を形成する。
この後、銀とパラジウムを主成分とする導電材料粉末等からなる導電材料ペーストを乾燥済みの圧電層3の上にスクリーン印刷法で塗布、乾燥し電極層4を形成する。
こうして、順次塗布と乾燥を繰り返し圧電層5、電極層6、圧電層7を形成する。
なお、導電材料ペーストは、導電材料粉末と、有機溶剤と有機バインダからなる有機ビヒクルを混合して作る。
本実施例においては、上記圧電層3、5、7を形成するための圧電材料としては、次のものを使用した。
すなわち、鉛を含んだペロブスカイト型の結晶構造を有するジルコン酸鉛とチタン酸鉛(PbZrO−PbTiO)を主成分とし、複数の金属元素からなる化合物を少量添加して固溶させた三成分系や多成分系の圧電材料粉末を使用した。
この圧電層3、5、7は、化合物層として形成されている。そして、接合層としての圧電層3は、セラミックス基板2と電極層4を結合するために設けている。
電極層4を形成する導電材料である銀とパラジウムは、セラミックス基板との接合力が弱い。
そのため、圧電層3が無い場合には、導電材料粉末の焼成時の粉末の焼結による収縮や焼成後の熱膨張差により、セラミックス基板2から電極層4が最初から剥離したり、圧電素子15の振動により剥離する場合がある。
そこで、本実施例では、つぎのように形成するようにした。
圧電層3の鉛とセラミックス基板2の表面や表面の結晶粒界にある二酸化ケイ素とが焼成時に反応して、低温度で溶融する酸化鉛と二酸化ケイ素を含んだ化合物(ガラス相)を、セラミックス基板2の表面近傍の結晶粒の内部や結晶粒の粒界に形成する。
この結果、圧電素子15とセラミックス基板2は強固に結合することが可能となる。
また、圧電層5と圧電層3、7とは、その目的に合わせて、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛(PbZrO−PbTiO)の主成分以外の成分を変更することも可能である。また、その厚さも圧電層5と圧電層3、7とで異なるようにしても良い。
圧電層5は、分極処理が施され圧電活性部として変位を発生させる層であり、その化学組成が振動波アクチュエータの性能に直接影響する。一方、圧電層3と圧電層7は、圧電活性部でなく圧電非活性部となる。
上記の圧電活性部とは、圧電層と対向する電極を有し、電極間に電圧を印加して分極処理を施した後に、交流電圧を電極間に供給した時に振動体を変形させる振動エネルギーを発生する圧電層の部位をいう。
一方、圧電非活性部は、対向する電極を有さず、電極間に電圧を印加出来ない圧電層や、交流電圧を電極間に供給出来ない(つまり、振動体を変形させる振動エネルギーを発生しない)圧電層の部位をいう。
ここで、電極層4、6を形成するための導電材料ペーストとしては、導電材料の他に予め圧電材料粉末を10重量%添加したものを使用した。
但し、添加する圧電材料粉末は、圧電層5と同一成分か、または主成分が同じジルコン酸鉛とチタン酸鉛(PbZrO−PbTiO)であっても、同様の効果が得られる。
また、圧電層5、7には、スクリーン印刷の版に予め細工を施して孔8(未印刷部)を形成できるようにし、電極層4、6は、非印刷部を介して2分割し、印刷部を離間して配置できるようにしてある。
このようにして形成したセラミックス基板2上の重ねられた圧電層3、5、7と電極層4、6は、未焼成状態である。
そこで、電気炉を用いて200℃〜500℃で加熱して有機バインダを除去した後、酸化鉛雰囲気中で1100℃〜1200℃で焼成した。
このように、圧電層3、5、7、電極層4、6、及びセラミックス基板2を同時に焼成して、圧電素子とセラミックス基板との接合(固定)を同時に行い、圧電素子とセラミックス基板とを一体化した。
また本実施例においては、予め、電極層4、6に圧電粉末を混ぜることで、導電材料粉末の焼成による収縮を抑制して剥離力を小さくした。
さらに、圧電層3、5、7と電極層4、6とにそれぞれ混合されたほぼ同一成分の圧電粉末の接触部が反応して、圧電層3、5、7と電極層4、6が固く結合する。
また、電極層4、6の銀も圧電層3、5、7にも拡散し、それぞれの圧電層と電極層は結合をさらに強め、一体化された圧電素子として機能することが可能となる。
さらに、圧電層3、5、7は比較的軟質なので、セラミックス基板2と電極層4、6の熱膨張の違いにより発生する応力の緩衝材としても機能し剥離を防止する。
基板として好ましいセラミックスとして、まず初めに、アルミナ(酸化アルミニウム)を選定した。アルミナは、他のセラミックスと比べて入手し易く安価である。そして、振動体として振動時の振動の減衰が少ないという特徴を有している。
但し、純度の低いアルミナは機械的な強度も低くなり振動の減衰も大きく、振動体としては高純度のアルミナが望ましい。
しかし、99.5%以上の高純度のアルミナを使用した場合には、圧電素子としての焼成温度では鉛との反応が全く起らず接合は不可能であった。
そこで、前述のように本実施例では、セラミックス基板2の表面や表面近傍の結晶基板の結晶粒界で、二酸化ケイ素と鉛との反応を進めることで、セラミックス基板2と圧電層3とが良好に結合させることが可能となった。
このような構成とすることで、高純度のアルミナセラミックス基板の表面のごく近接した領域のみで、圧電層を構成する鉛が二酸化ケイ素と化合物を形成して安定な結合を起こすことができるようになった。
また、アルミナセラミックス自体は、機械部品としてはやや脆い性質もあり、必要に応じてガラス成分以外の他の成分を添加しても良い。
例えば、酸化ジルコニアは機械的な強度と電気的な絶縁性を向上させることができ、添加物として好ましい。
この場合、特開2006−74850号公報のように、酸化ジルコニアを5〜40重量%添加して基板とすることが望ましい。
なお、セラミックス基板の表面や表面近傍の結晶粒界に二酸化ケイ素の濃度を高める方法はとくに前述以外の以下の方法でも良い。
例えば、焼結したセラミックス基板を二酸化ケイ素粉末と接触(具体的には粉末への埋め込み)させ、約1500℃以上で熱処理することで表面や表面近傍の結晶粒界に二酸化ケイ素の濃度を高めることができる。
さらに、効率的な方法として、前述した成形体を二酸化ケイ素粉末の中に埋め込み、約1600℃で焼成することにより同様な効果が期待できる。
この方法は、前述の方法よりも二酸化ケイ素の進入も少なくごく表面だけの二酸化ケイ素の濃度を高めることが可能である。
また、温度や保持時間により濃度の高い領域を広がらせることが可能である。この場合はセラミックス基板の表と裏の両面で二酸化ケイ素の濃度を高めるが厚さに比べ濃度の高い領域は少ないので問題はない。
この方法によれば、このセラミックス基板においては表面ほど二酸化ケイ素の濃度が高く基板の内部になるほど濃度は低くなる。
本来のセラミックス基板の内部には、二酸化ケイ素は存在せず本来のセラミックス基板とほぼ同じ機械的な性質を保つことができる。
この方法は、前述した方法と比較して、セラミックス基板2の表面に弾性率がセラミックス基板より低くガラス相より高い層(鉱物名ムライト)が微量生成し、振動時に発生する応力に対しての変形がガラス相より大きくなる傾向を示す。
この結果、圧電層と接合するために存在する層として、セラミックス基板と圧電素子部との振動体としての振動特性の向上が期待できる。
また、図1に示すように、圧電層5は電極層4を覆い、圧電層7は電極層6を覆い、特に電極層4、6の端部まで完全に覆うようにし、絶縁性の保護層として電極層4、6が表面に露出しないようにしている。
このように圧電層5、7による電極層4、6の保護層を設けることで、外部からの機械的な力による電極層4、6の剥離を防止することができた。
また、例えば異物が接触した際のショートや高湿度下での電流リーク、電極層4、6と圧電層5、7の隙間への水分の侵入を防ぎ、電極層4、6の剥離を防止することができた。
なお、実施例1では、対向する電極層4、6とで挟まれた圧電層5が圧電活性部となる。
前述のように、圧電層3、5、7、電極層4、6、及びセラミックス基板2を同時に焼成して一体化した後、圧電層5、7の孔8を介して電極層4、6に導電線9をハンダ等で接合し、電極層4、6の間に電圧を印加、圧電層5に分極処理を施した。
分極処理の条件は、温度120〜150℃のオイル中で、電極層4をグランド(G)とし、電極層6をプラス(+)として、所定の電圧約35V(3KV/mm相当)を印加して、約30分かけて分極処理を行った。
また、圧電層3、5、7、及び電極層4、6を形成する圧電材料ペーストや導電材料ペーストは、エチルセルロースのような有機バインダとテルピネオールのような有機溶剤を用いた有機ビヒクルを3本ロールで混練して作った。
スクリーン印刷法では本例では圧電層の厚さは12μmとしたが、厚さ約2、3μmから約30μmまでの厚膜である圧電層や電極層を高精度に作ることができる。版には分割した電極や圧電層に孔(未印刷部)を設けることも可能である。
また、スクリーン印刷法は、従来例であるグリーンシートによる積層に比べて、より薄くて高精度な厚さの層の形成が容易であるばかりでなく、塗布位置を高精度に制御可能であり、焼結後の機械加工も必要としない。
さらに、従来の製造設備もより安価である。これらの結果、振動体の製造コストも安価となる。
図6は、実施例1に係る振動体1aを組込んだリニア型振動波アクチュエータの構成を示す図である。
リニア駆動の原理は従来例と同じである。セラミックス基板2には突起部13が設けられている。リニアスライダ14は加圧された状態で突起部13に接触し、圧電素子15の振動で突起部13に励起された楕円運動により、リニアスライダ14が移動する。
すなわち、本リニア型振動波アクチュエータは、圧電素子15を駆動動力源としてリニアスライダ14を往復駆動している。
[実施例2]
実施例2として、上記実施例1とは異なる形態の振動体の構成例について、図2を用いて説明する。
図2(a)、(b)、(c)は、それぞれ振動体の正面図、側面図、平面図である。なお、図2(b)は、図2(c)の矢印で示した破線位置での断面図を示している。
実施例1では、電極層で挟まれた圧電層は1つであったが、実施例2では、電極層で挟まれた圧電層は2つとなっている。その他の基本的構成は実施例1とほぼ同様である。
すなわち、実施例2では、実施例1に対して圧電層と電極層を1層ずつ加えた積層型圧電素子16となっている。
換言すれば、実施例2では、圧電活性部である圧電層を2層とすることにより、圧電層が1層である実施例1よりも、低電圧化を図っている。
なお、圧電活性部である圧電層を3層以上にし、更なる低電圧化を図ることも可能である。
実施例2に係る振動体1bは、具体的には、板状の焼成したセラミックス基板2の上に、積層型圧電素子16として圧電層3、電極層4、圧電層5a、電極層6a、圧電層5b、電極層6b、圧電層7が順次重ねられている。
圧電層3は圧電素子16とセラミックス基板との接合のために設けた接合層である。
圧電層5aは電極層4を全体的に覆い、圧電層5bは電極層6aを全体的に覆い、圧電層7は電極層6bを全体的に覆っている。
電極層4、6bは、導電材料ペーストまたは導電材を充填した孔10で電気的に導通し、孔11に接合した導電線9で外部電源と導通可能となっている。
電極層6aは、導電材料ペーストを充填した孔12に接合した導電線9で外部(制御部等)と導通可能となっている。
振動体1bは、例えば、セラミックス基板は長さ12mm幅5mm、厚さ0.3mmであり、圧電層3の厚さは約6μm、圧電層5a、5bの厚さは約12μm、圧電層7の厚さは約6μm、電極層4、6a、6bの厚さは約5μmである。孔10、11の径は、配線を考慮して直径1mmとなっている。なお、本実施例では、圧電層5a、5bが圧電活性部となる。
実施例1とは、孔10、11、12には、電極層4、6a、6bを形成した導電材料ペーストとほぼ同じ成分の導電材料ペーストが充填されている構成が異なる。
本実施例においては、孔10、11、12を形成した後、電極層4、6a、6bを形成する前後で、スクリーン印刷法などで孔10、11、12に導電材料ペーストを充填し、積層圧電素子16と同時にセラミックス基板2を焼成して一体化する。
また、別の製造方法として、積層圧電素子16を焼成した後に、熱硬化する接着剤と導電粉末を混ぜた導電材料ペーストを孔10、11、12に充填しても良い。
図6は、実施例1と同じように。実施例2に係る振動体1bを組込んだリニア型振動波アクチュエータの構成を示す図である。
リニア駆動の原理は従来例と同じである。
振動体1bには、突起部13が設けられている。リニアスライダ14は加圧された状態で突起部13に接触し、圧電素子16の振動で突起部13に励起された楕円運動により、リニアスライダ14が移動する。
すなわち、本リニア型振動波アクチュエータは、圧電素子16を駆動動力源としてリニアスライダ14を往復駆動している。
なお、本発明は、実施例1、実施例2に限定されることなく、例えば、電極層と外部電源との導通は導電線を用いて行ったが、導電線の代わりにフレキシブル回路基板や導電材料ペーストで電極層と外部電源との導通を図っても良い。
[実施例3]
実施例3として、上記各実施例とは異なる形態の振動体の構成例について、図3を用いて説明する。
図3(a)、(b)、(c)は、それぞれ振動体の正面図、側面図、平面図である。なお、図3(b)は、図3(c)の矢印で示した破線位置での断面を示している。
図3に示す振動体1cは、リニア駆動する振動波アクチュエータに適用することを想定したものである。
この振動体1cは、板状のセラミックス基板2と圧電素子15−2とを有している。
最近は環境を考慮して鉛のない圧電材料が注目されている。実施例1では、圧電材料は、鉛を含んだジルコン酸鉛とチタン酸鉛を使用した。
これに対して、本実施例では鉛を含まないビスマスを含むチタン酸ビスマスナトリウム(Bi0.5Na0.5Ti)Oを主成分とし、チタン酸バリウム(BaTiO)や複数の金属元素からなる化合物を添加して固溶させた圧電材料を使用した。
本実施例では、圧電層や電極層の構成は実施例1と同じで、セラミックス基板2と圧電素子15−2は、後述するように同時焼成により接合(固定)され一体化されたものである。
すなわち、振動エネルギー発生源として機能する圧電素子15−2と、その振動エネルギーを集積する振動板として機能するセラミックス基板2とは、接着剤の接着層を介することなく固定されて一体化されている。
圧電素子15−2においては、圧電層3−2、電極層4−2、圧電層5−2、電極層6−2、圧電層7−2が順次積層されている。
電極層4−2は、2つに分割され、分割体は互いに離間状態で配備されている。同様に、電極層6−2は、2つに分割され、分割体は互いに離間状態で配備されている。
圧電層3−2は圧電素子15−2とセラミックス基板2との接合のために設けた接合層である。
また、圧電層5−2は、電極層4−2の全面を覆い、圧電層7−2は電極層6−2の全面を覆っている。
電極層4−2、6−2と外部(制御部等)との電気的な導通は、圧電層5−2、7−2に孔(ホール)8を形成し、その孔8を介して導電線9を電極層4−2、6−2上に導入してハンダ等に固定することにより、図られている。
電極層4−2、6−2には、圧電素子15−2の振動を制御する制御部等から交番信号が供給され、この交番信号により圧電層5−2が伸縮し(歪み)、その伸縮が機械的な振動エネルギーとして外部に放出される。
この振動エネルギーによりセラミックス基板2が振動し、そのセラミックス基板2の振動は、被駆動体(図6のリニアスライダ14参照)を駆動する駆動力として利用される。
セラミックス基板2は、長さ12mm、幅5mm、厚さ0.3mmであり、圧電層3−2の厚さは約6μm、圧電層5−2の厚さは約12μm、圧電層7−2の厚さは約6μm、電極層4−2、6−2の厚さは約5μmである。導通用の孔8は直径1mmである。
次に、振動体1cの製造方法は実施例1と同様にセラミック基板を作る。
そして、作った板状の焼成済みのセラミックスを研削加工、切断加工により所定の寸法にセラミックス基板2に仕上げる。
圧電材料粉末と、有機溶剤と有機バインダからなる有機ビヒクルを混合して作った厚膜形成可能な圧電材料ペーストを、セラミックス板の片面の表面にスクリーン印刷法で印刷塗布する。
そして、この塗布された圧電材料ペーストを約150℃で10分間加熱することにより、有機溶剤を除去して乾燥させて、圧電層3−2を形成する。
この後、銀とパラジウムを主成分とする導電材料粉末等からなる導電材料ペーストを乾燥済みの圧電層3−2の上にスクリーン印刷法で塗布、乾燥し電極層4−2を形成する。
こうして、順次塗布と乾燥を繰り返し圧電層5−2、電極層6−2、圧電層7−2を形成する。なお、導電材料ペーストは、導電材料粉末と、有機溶剤と有機バインダからなる有機ビヒクルを混合して作る。
圧電層3−2は圧電素子とセラミックス基板との接合のために設けている接合層である。圧電層3−2、5−2、7−2を形成するための圧電材料としては、チタン酸ビスマスナトリウムを主成分とし、チタン酸バリウムや複数の金属元素からなる化合物を少量添加して固溶させた圧電材料を使用した。
圧電層3−2、5−2、7−2は、化合物層として形成されている。圧電層5−2は、分極処理が施され圧電活性部として変位を発生させる層であり、その化学組成が直接振動波アクチュエータの性能に影響する。
一方、圧電層3−2と圧電層7−2は、圧電活性部でなく圧電非活性部となる。なお、後述のように、少なくとも圧電素子15−2は、セラミックス基板2に固定される面とその反対側の面が、非活性部で形成されている。
また、圧電層5−2と圧電層3−2、7−2とは、その目的に合わせて、主成分以外の成分を変更することも可能である。
また、その厚さも圧電層5−2と圧電層3−2、7−2とで異なるようにしても良い。
ここで、電極層4−2、6−2を形成するための導電材料ペーストとしては、導電材料の他に予め圧電材料粉末を10重量%添加したものを使用した。
但し、添加する圧電材料粉末は、圧電層5−2と同一成分か、または主成分が同じチタン酸ビスマスナトリウムであっても同様の効果が得られる。
また、圧電層5−2、7−2には、スクリーン印刷の版に予め細工を施して孔8(未印刷部)を形成できるようにし、電極層4−2、6−2は、非印刷部を介して2分割し、離間して配置できるようにしてある。
このようにして形成したセラミックス基板2上の複数の積層化された圧電層3−2、5−2、7−2と電極層4−2、6−2は、未焼成状態である。
そこで、電気炉を用いて200℃〜500℃で加熱して有機バインダを除去した後、焼成用セラミック容器に入れて大気中で1100℃〜1200℃で焼成した。
このようにして、圧電層3−2、5−2、7−2、電極層4−2、6−2、及びセラミックス基板2を同時に焼成して一体化した。換言すれば、圧電素子の製造と、圧電素子とセラミックス基板との接合(固定)を同時に行った。
電極層4−2を形成する導電材料としての銀とパラジウムはセラミックス基板とは、接合力が弱い。
そのため、接合層としての圧電層3−2が無い場合には、導電材料粉末の焼成時の粉末の焼結による収縮と焼成後の熱膨張により最初からセラミックス基板2から電極層4−2が剥離したり、圧電素子15−2の振動により剥離する場合がある。
ビスマスは鉛と同じような性質を有しており、一般にビスマスや鉛はその化合物が低融点となる。
本実施例においては、チタン酸ビスマスナトリウム(Bi0.5Na0.5Ti)Oを主成分とした圧電層のビスマス元素が、次のように酸化ビスマスと二酸化ケイ素のガラス相を形成する。
すなわち、セラミックス基板2の表面または表面の結晶粒界にある二酸化ケイ素と焼成時に反応して、セラミックス基板2の粒の内部や粒の粒界に、低温度で溶融する酸化ビスマスと二酸化ケイ素のガラス相を形成する。
この結果、圧電層3−2とセラミックス基板2は結合する。
ここで、予め、電極層4−2に圧電粉末を混ぜることで、導電材料粉末の焼成による収縮を抑制して剥離力を小さくした。
さらに、圧電層3−2と電極層4−2とにそれぞれ混合されたほぼ同一成分の圧電粉末の接触部が反応して、圧電層3−2と電極層4−2が固く結合する。
また、電極層の銀は圧電層にも拡散し圧電層と電極層は結合し一体化した圧電素子として機能する。
さらに、圧電層3−2、5−2、7−2は比較的軟質なので、セラミックス基板2と電極層4−2、6−2の熱膨張の違いにより発生する応力の緩衝材としても機能する。
これらの結果、セラミックス基板2と電極層や圧電層からなる圧電素子は一体化する。
実施例1と同様に基板の好ましいセラミックスとして、アルミナ(酸化アルミニウム)やジルコニアを添加したアルミナ、また、炭化ケイ素も好ましい。
また、圧電層5−2は電極層4−2を覆い、圧電層7−2は電極層6−2を覆い、特に電極層4−2、6−2の端部まで完全に覆うようにし、絶縁性の保護層として電極層4−2、6−2が表面に露出しないようにしている。
前述のように、圧電層3−2、5−2、7−2、電極層4−2、6−2、及びセラミックス基板2を同時に焼成して一体化した。
そして、このように一体化した後、圧電層5−2、7−2の孔8を介して電極層4−2、6−2に導電線9をハンダ等で接合し、電極層4−2、6−2の間に電圧を印加、圧電層5−2に分極処理を施した。
分極処理の条件は、温度100〜130℃のオイル中で、電極層4−2をグランド(G)とし、電極層6−2をプラス(+)として、所定の電圧約25V(2V/mm相当)を印加して、約30分かけて分極処理を行った。
図6は、実施例1と同じように、実施例3に係る振動体1cを組込んだリニア型振動波アクチュエータの構成を示す図である。
また、鉛を含まずビスマスを含む圧電材料として、ビスマス層状強誘電体である圧電材料(例えば、チタン酸ビスマス(BiTi12)があるが、これらも同様にセラミックス基板2との接合が可能である。
[実施例4]
実施例4として、上記各実施例とは異なる形態の振動体の構成例について、図4を用いて説明する。
図4(a)、(b)、(c)は、それぞれ振動体の正面図、側面図、平面図である。なお、図4(b)は、図4(c)の矢印で示した破線位置での断面を示している。
図4に示すように、本実施例における振動体1dは、リニア駆動する振動波アクチュエータに適用することを想定したものである。
この振動体1dは、板状の基板2と圧電素子15−3とを有している。
前述の実施例1とは基板や圧電素子の材料は同じであるが、一つの電極層にはガラス粉末を含むことが異なる。この電極層のガラス粉末は二酸化ケイ素の含む領域の接合を強化する機能を有するものである。
上記構成とすることにより、実施例1で用いた、電極層4とセラミックス基板2との間に設けた圧電層3に相当する圧電層は本実施例で用いてはいない。
この基板2と圧電素子15−3は、前述するように同時焼成により接合(固定)され一体化されたものである。
すなわち、振動エネルギー発生源として機能する圧電素子15−3と、その振動エネルギーを集積する振動板として機能する基板2は一体化されている。
圧電素子15−3においては、電極層4−3、圧電層5−3、電極層6−3、圧電層7−3が順次積層されている。
電極層4−3は、2つに分割され、分割体は互いに離間状態で配備されている。同様に、電極層6−3は、2つに分割され、分割体は互いに離間状態で配備されている。
また、圧電層5−3は、電極層4−3の全面を覆い、圧電層7−3は電極層6−3の全面を覆っている。
電極層4−3、6−3と外部(制御部等)との電気的な導通は、圧電層5−3、7−3に孔(ホール)8を形成し、その孔8を介して導電線9を電極層4−3、6−3の上に導入してハンダ等に固定することにより、図られている。
電極層4−3、6−3には、圧電素子15−3の振動を制御する制御部等から交番信号が供給され、この交番信号により圧電層5−3が伸縮し(歪み)、その伸縮が機械的な振動エネルギーとして外部に放出される。
この振動エネルギーにより基板2が振動し、その基板2の振動は、被駆動体(図6のリニアスライダ14参照)を駆動する駆動力として利用される。
基板2は、長さ12mm、幅5mm、厚さ0.3mmであり、圧電層5−3の厚さは約12μm、圧電層7−3の厚さは約6μm、電極層4−3、6−3の厚さは約5μmである。導通用の孔8は直径1mmである。
つぎに、振動体1dの製造方法を説明する。
実施例1と同じセラミックス基板2を用いる。
そして、銀とパラジウムを主成分とする導電材料粉末とガラス粉末、有機溶剤と有機バインダからなる有機ビヒクルを混合して作った厚膜形成可能なガラス粉末を含んだ導電材料ペーストを、基板2の片面の表面にスクリーン印刷法で印刷塗布する。
そして、約150℃で10分間ほど加熱することにより有機溶剤を除去して乾燥させ、電極層4−3とする。
ガラス粉末としては、二酸化ケイ素、酸化ボロンを含み、その他必要に応じて、酸化ビスマス、アルミナ、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物を混ぜる。その後、一度溶融させ、溶融したガラスを平均粒径1〜2μmに微粉砕したガラス粉末(ガラスフリットとも呼ぶ)を使用した。
このガラス粉末を、圧電材料粉末の重量に対して、0.2重量%から数重量%添加してペーストとした。
二酸化ケイ素、酸化ボロンの配合比率を変えることでガラスの軟化点を変えることができ、圧電素子の焼成温度に適した軟化点にすることができる。
また、添加元素を選ぶことでセラミックス基板との反応を増すことも可能である。
次に、圧電材料粉末と、有機溶剤と有機バインダからなる有機ビヒクルを混合して作った厚膜形成可能な圧電材料ペーストを、電極層4−3の表面にスクリーン印刷法で印刷塗布する。
そして、この塗布された圧電材料ペーストを約150℃で10分間ほど加熱することにより、有機溶剤を除去して乾燥させて、圧電層5−3を形成する。
次に、銀とパラジウムを主成分とする導電材料粉末と有機溶剤と有機バインダからなる有機ビヒクルを混合して作った厚膜形成可能な導電材料ペーストを圧電層5−3の表面にスクリーン印刷法で印刷塗布し電極層6−3とした。
この電極層6−3には電極層4−3のようにガラス粉末は含まない。
そして、圧電層5−3と同じ圧電材料ペーストを、電極層4−3の表面にスクリーン印刷法で印刷塗布する。
そして、この塗布された圧電材料ペーストを約150℃で10分間ほど加熱することにより、有機溶剤を除去して乾燥させて、圧電層7−3を形成する。
圧電層5−3、7−3を形成するための圧電材料としては、ペロブスカイト型の結晶構造を有するジルコン酸鉛とチタン酸鉛(PbZrO−PbTiO)を主成分とする。そして、複数の金属元素からなる化合物を少量添加して固溶させた三成分系や多成分系の圧電材料粉末を使用した。
すなわち、圧電層5−3、7−3は、化合物層として形成されている。
ここで、電極層4−3、6−3を形成するための導電材料ペーストには、さらに圧電層5−3と同一成分か、または主成分が同じジルコン酸鉛とチタン酸鉛(PbZrO−PbTiO)の圧電材料粉末を10重量%添加したものを使用した。
また、圧電層5−3、7−3には、スクリーン印刷の版に予め細工を施して孔8(未印刷部)を形成できるようにし、電極層4−3、6−3は、非印刷部を介して2分割し、離間して配置できるようにしてある。
このようにして形成したセラミックス基板2上の複数の積層化された圧電層5−3、7−3と電極層4−3、6−3は、未焼成状態である。
そこで、電気炉を用いて200℃〜500℃で加熱して有機バインダを除去した後、鉛雰囲気中で1100℃〜1200℃で焼成した。
すなわち、圧電層5−3、7−3、電極層4−3、6−3、及びセラミックス基板2を同時に焼成して一体化し、圧電素子とセラミックス基板との接合(固定)を同時に行った。
ここで、導電材料としての銀とパラジウムだけではセラミックス基板2とは、接合力が弱い。
そこで、電極層4−3には、導電材料粉末にガラス粉末を添加した。
ガラス粉末をあらかじめ混ぜてあり、焼成時に、ガラス粉末は溶融しつつ、基板2や圧電層5−3との接合界面に集まり、焼成後にはセラミックス基板2と圧電層5−3と強く結合することができるようにした。
電極層4−3に添加した、二酸化ケイ素や酸化ボロンを主成分とした接合用のガラス粉末は溶融して、セラミックス基板2の表面または表面の粒界相にある二酸化ケイ素と焼成時に反応して、低温度で溶融するガラス相を形成する。
この結果、このガラス相により、圧電層とセラミックス基板は安定してかつ強固な接合力を有する接合が可能となる。
しかしながら、電極層4−3に添加した二酸化ケイ素や酸化ボロンを主成分としたガラス粉末は溶融して、圧電層5−3にも侵入する。
一般に、圧電材料にガラスが混ざると、ガラス相は強誘電性(圧電性)を有しないので本来の圧電特性を劣化させる。
このため、たとえば、実施例2のように複数の圧電層を設けて、ガラスの進入のより少ない圧電層により圧電素子の特性を上げるようにしても良い。
また、電極層4−3、電極層6−3を形成するための導電材料ペーストとしては、導電材料の他にあらかじめ、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛(PbZrO−PbTiO)を主成分とした圧電材料粉末を10重量%添加したものを使用した。実施例1と同じように、圧電層5−3、7−3、電極層4−3、6−3、及びセラミックス基板2を同時に焼成して一体化した。
このようにて一体化した後、圧電層5−3、7−3の孔8を介して電極層4−3、6−3に導電線9をハンダ等で接合し、電極層4−3、6−3の間に電圧を印加、圧電層5−3に分極処理を施した。
分極処理の条件は、温度120〜150℃のオイル中で、電極層4−3をグランド(G)とし、電極層6−3をプラス(+)として、所定の電圧約35V(3KV/mm相当)を印加して、約30分かけて分極処理を行った。
本実施例では、ガラス粉末が添加された電極層を介して前記セラミック基板と接合するように構成した。
すなわち、実施例1と異なり圧電層の接合層を設けることなく、セラミックス基板に接する電極層にガラス粉末を添加することで、セラミックス基板と圧電素子の接合を可能にしている。
この接合においても、表面や表面近傍の結晶粒界での酸化シリコンの濃度を高めたセラミックス基板2は、圧電素子との接合力をより上げることができる。
図6は、実施例4に係る振動板1dを組込んだリニア型振動波アクチュエータの構成を示す図である。
[実施例5]
実施例5として、上記各実施例とは異なる形態の振動体の構成例について、図5を用いて説明する。
図5(a)、(b)、(c)は、それぞれ振動体の正面図、側面図、平面図である。
なお、図5(b)は、図5(c)の矢印で示した破線位置での断面を示している。
図5に示すように、本実施例における振動体1eは、リニア駆動する振動波アクチュエータに適用することを想定したものである。
この振動体1eは、板状の基板2’と圧電素子15−4とを有している。基板2’の圧電素子15−4側の表面には二酸化ケイ素の層17が形成されている。
前述の実施例1では基板2がアルミナ基板であったが、本実施例では基板2’は炭化ケイ素を主成分とするセラミックスからなる点が異なる。しかし、その他の圧電層や電極層、製造方法、条件などは実施例1と同じである。
この基板2’と圧電素子15−4は、前述の実施例1と同じように同時焼成により接合(固定)され一体化されたものである。すなわち、振動エネルギー発生源として機能する圧電素子15−4と、その振動エネルギーを集積する振動板として機能する基板2’は、直接固定されて一体化されている。
圧電素子15−4においては、電極層4−4、圧電層5−4、電極層6−4、圧電層7−4が順次積層されている。電極層4−4は、2つに分割され、分割体は互いに離間状態で配備されている。同様に、電極層6−4は、2つに分割され、分割体は互いに離間状態で配備されている。
また、圧電層5−4は、電極層4−4の全面を覆い、圧電層7−4は電極層6−4の全面を覆っている。
電極層4−4、6−4と外部(制御部等)との電気的な導通は、圧電層5−4、7−4に孔(ホール)8を形成し、その孔8を介して導電線9を電極層4−4、6−4の上に導入してハンダ等に固定することにより、図られている。
電極層4−4、6−4には、圧電素子15−4の振動を制御する制御部等から交番信号が供給され、この交番信号により圧電層5−4が伸縮し(歪み)、その伸縮が機械的な振動エネルギーとして外部に放出される。
この振動エネルギーにより基板2’が振動し、その基板2’の振動は、被駆動体(図6のリニアスライダ14参照)を駆動する駆動力として利用される。
基板2’は、長さ12mm、幅5mm、厚さ0.3mmであり、圧電層5−4の厚さは約12μm、圧電層7−4の厚さは約6μm、電極層4−4、6−4の厚さは約5μmである。導通用の孔8は直径1mmである。
つぎに、振動体1eの製造方法を説明する。
炭化ケイ素は化学的安定性は高く、硬度も高く耐磨耗性に優れ、熱膨張係数が小さく熱伝導率が高いので熱衝撃にも強く、圧電素子と一体焼結する振動板として適している。
炭化ケイ素基板表面へ二酸化ケイ素層の形成は炭化ケイ素自身を800℃以上の大気中で酸化させると、その表面に数から数十ミクロンの厚さの二酸化ケイ素が生成する。
このため、製造時に生成する数から数百オングストロ−ムの厚さの二酸化ケイ素を有する炭化ケイ素からなる基板の表面には、圧電層と強固に接合するのに十分な二酸化ケイ素の高い濃度の層を形成することが可能となる。
つまり、炭化ケイ素を用いた場合は外部から二酸化ケイ素を添加することなく、自己の酸化現象による二酸化ケイ素を利用して、圧電層とセラミックス基板が強固に接合することが可能である。
本実施例では表面の二酸化ケイ素の層の厚さは数μから10μmとした。厚さはこれよりも厚くても直ちに本発明の機能がなくなるわけではないが、厚くすると酸化する時間もかかる。そして、二酸化ケイ素の層と炭化ケイ素の界面での収縮率や弾性率の差異による平行亀裂の発生など起こり易く好ましくない。
また、薄すぎると圧電素子の鉛との反応が少なくなり接合の機械強度が劣るため、上記範囲が好ましい。
このように炭化ケイ素からなる基板2’を用いることで、圧電素子が固定される側のセラミックス基板の表面部と、圧電素子との間に高純度の二酸化ケイ素を含有する領域である二酸化ケイ素の層17を形成することができる。
焼成時には、この二酸化ケイ素の層17と圧電層の主成分である鉛が反応して、セラミックス基板2’に前記圧電素子圧電素子15−4を固定することが容易にできる。
炭化ケイ素はアルミナと比べで耐熱性や耐蝕性、耐磨耗性などのほか機械的な特性が大きく異なるので、炭化ケイ素からなる基板を使った振動体は、振動波アクチュエータの応用や適用範囲を広げるものである。
図6は、実施例5に係る振動板1eを組込んだリニア型振動波アクチュエータの構成を示す図である。
1a、1b、1c、1d、1e:振動体
2、2’:基板
3、5、7、5a、5b、3−2、5−2、
5−3、5−4、7−2、7−3:圧電層
4、6、6a、6b、4−2、4−3、4−4、6−2、6−3、6−4:電極層
8、10、11、12:孔
15、15−2、15−3、15−4:圧電素子
16:積層型圧電素子

Claims (10)

  1. セラミックス基板に、一つまたは複数の圧電層と電極層とを有する圧電素子を固定し、前記圧電素子の振動エネルギーによって前記セラミックス基板を振動させ、振動を出力する振動体であって、
    前記セラミックス基板と前記圧電素子の前記一つの圧電層又は前記複数の圧電層の一つとの間に二酸化ケイ素と前記圧電層の成分との化合物を含有する領域を備え、
    前記二酸化ケイ素と前記圧電層の成分との化合物を含有する領域を介し、前記セラミックス基板に前記圧電素子が固定されていることを特徴とする振動体。
  2. 前記セラミック基板の、前記圧電素子が固定される側の表面部が前記二酸化ケイ素と前記圧電層の成分との化合物を含有する領域を含むことを特徴とする請求項1に記載の振動体。
  3. 前記セラミックス基板の表面部における前記二酸化ケイ素と前記圧電層の成分との化合物を含有する領域において、前記セラミックス基板の表面部の表面側の二酸化ケイ素の濃度が、前記セラミックス基板の表面部の内部側の二酸化ケイ素の濃度よりも高いことを特徴とする請求項2に記載の振動体。
  4. 前記圧電素子は、粉末を焼結して形成された接合層を有し、前記接合層が前記セラミックス基板に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の振動体。
  5. 前記接合層は、前記圧電素子の圧電層と主成分が同じ材料によって形成されていることを特徴とする請求項4に記載の振動体。
  6. 前記圧電素子の圧電層は、鉛またはビスマスを含んだ圧電材料によって形成されていることを特徴とする請求項5に記載の振動体。
  7. 前記圧電素子は、ガラス粉末が添加された電極層を有し、前記電極層が前記セラミックス基板に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の振動体。
  8. 前記セラミックス基板は、アルミナまたは炭化ケイ素を主成分とするセラミックスによって形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の振動体。
  9. 前記セラミックス基板は、内部に二酸化ケイ素が実質的に存在しない領域を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の振動体。
  10. 請求項1乃至のいずれか1項記載の振動体を備えていることを特徴とする振動波アクチュエータ。
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