JP2004093687A - エレクトロクロミック素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】着色時の色が灰色のエレクトロクロミック素子を提供する。
【解決手段】透明ガラス基板10の上に下部電極膜を構成する下部ITO透明電極膜12が成膜されている。下部ITO透明電極膜12の上に、酸化発色層を構成するニッケル酸化物膜32、固体電解質層を構成する酸化タンタル膜16、還元発色層を構成する酸化タングステン・酸化チタン混合膜34、上部電極膜を構成する上部ITO透明電極膜20が順次積層成膜されている。着色時の色は灰色、消色時の色は無彩色を呈する。
【選択図】 図1
【解決手段】透明ガラス基板10の上に下部電極膜を構成する下部ITO透明電極膜12が成膜されている。下部ITO透明電極膜12の上に、酸化発色層を構成するニッケル酸化物膜32、固体電解質層を構成する酸化タンタル膜16、還元発色層を構成する酸化タングステン・酸化チタン混合膜34、上部電極膜を構成する上部ITO透明電極膜20が順次積層成膜されている。着色時の色は灰色、消色時の色は無彩色を呈する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、エレクトロクロミック(以下「EC」)素子に関し、灰色の着色時色(着色時の色)を実現したものである。
【0002】
【従来の技術】
EC素子は、EC現象を利用して着色、消色を可逆的に行う素子であって、防眩ミラー、調光ガラス、表示素子等に利用される。従来のEC素子の積層断面構造例を図2に示す。これは素子全体を透明に構成したものである。透明ガラス基板10の上に下部電極膜を構成するITO(Indium Tin Oxide)透明電極膜12が成膜され、その上に、酸化発色層を構成する酸化イリジウム・酸化スズ混合膜14、固体電解質層を構成する酸化タンタル膜16、還元発色層を構成する酸化タングステン膜18、上部電極膜を構成するITO透明電極膜20が順次積層成膜されている。下部ITO透明電極膜12の一端部には予めレーザエッチングにより分割線22が形成されて、該一端部の領域12aが電気的に分離されている。上部ITO透明電極膜20の一端部はこの下部ITO透明電極膜12の分離された領域12aに電気的に接続されている。基板10の両端部には、電極取り出し用クリップ電極24,26が装着されている。クリップ電極24は下部ITO透明電極膜12に電気的に接続され、クリップ電極26は上部ITO透明電極膜20に電気的に接続されている。上部ITO透明電極膜12の上には透明封止樹脂28が塗布され、そこに透明封止部材30として透明ガラス板が接着され、積層膜全体が封止されている。以上の構成によれば、クリップ電極24側を正極性、クリップ電極26側を負極性にして電圧を印加すると酸化発色層14および還元発色層18がともに着色し、逆電圧を印加する(あるいは短絡する)と両発色層14,18がともに消色する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のEC素子における酸化イリジウム・酸化スズ混合膜14および酸化タングステン膜18の着色時色はともに青色であり、素子全体としての着色時色も青色であった。このため、色を重視する(つまり、該EC素子を通して得られる影像に色相の変化が生じることを嫌う)用途には使用することができなかった。例えば、現行のデジタルカメラは、ND(Neutral Density)フィルタを内蔵し、入射光量が大きいときに、該NDフィルタをモータ駆動でCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子の前面に移動させて減光するように構成されている。このNDフィルタをEC素子で置き換えて減光できれば、モータ駆動が不要となるので、デジタルカメラの小型化および省電力化が図れる。ところが、前記従来のEC素子は着色時色が青色で、撮られた像の色も青みがかり、ホワイトバランスも取り難いため、このEC素子をNDフィルタの代わりに使うことはできなかった。
【0004】
この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、灰色の着色時色を実現したEC素子を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、還元発色層と酸化発色層を電解質層(固体、液体、ゲル等各種電解質を含む。)を挟んで対向配置した構造を有するEC素子において、前記還元発色層が酸化タングステンと酸化チタンを含有する材料で構成され、前記酸化発色層がニッケル酸化物を含有する材料で構成され、着色時の色が灰色(分光特性が可視光域でほぼ平坦な純粋な灰色に限らず、人間の目で見て灰色と認識できる程度のものを含む。この明細書全体を通じて同じ。)を呈するものである。この発明によれば、還元発色層を酸化タングステンと酸化チタンを含有する材料で構成し、酸化発色層をニッケル酸化物を含有する材料で構成することにより、灰色の着色時色が得られる。また、無彩色(分光特性が可視光域でほぼ平坦な純粋な無彩色に限らず、人間の目で見て無彩色と認識できる程度のものを含む。この明細書全体を通じて同じ。)でほぼ透明な消色時色(消色時の色)も容易に得られる。
【0006】
また、この発明は、2枚の板材の間に、第1の電極層、還元発色層、電解質層(固体、液体、ゲル等各種電解質を含む。)、酸化発色層、第2の電極層を積層配置し、前記2枚の板材および前記2層の電極層のうち、少なくとも一方側の板材および電極層の組み合わせが透明に構成されているEC素子において、前記還元発色層が酸化タングステンと酸化チタンを含有する材料で構成され、前記酸化発色層がニッケル酸化物を含有する材料で構成され、着色時の色が灰色を呈するものである。このEC素子は、例えば、前記2枚の板材および前記2層の電極層をいずれも透明に構成し、素子全体を厚み方向に透明に構成して、デジタルカメラの撮像素子の光軸上に配置する露出調整素子として構成することができる。また、前記2枚の板材および前記2層の電極層のうち、一方側の板材および電極層の組み合わせを透明に構成し、他方側の電極層を金属反射膜で構成して、反射率可変ミラーを構成することができる。
【0007】
また、この発明は、基材と、該基材の上に固定形成された第1の電極層と、該第1の電極膜の上に固定形成された酸化または還元発色層と、該酸化または還元発色層の上に固定形成された固体電解質層と、該電解質層の上に固定形成された還元または酸化発色層と、該還元または酸化発色層の上に固定形成された第2の電極層とを具備し、前記第1、第2の電極層の少なくとも一方が透明に構成されているEC素子において、前記還元発色層が酸化タングステンと酸化チタンを含有する材料で構成され、前記酸化発色層がニッケル酸化物を含有する材料で構成され、着色時の色が灰色を呈するものである。これによれば、全固体型EC素子が構成される。固体電解質層は無機材料で構成する場合は、例えばTa2O5を主成分として構成することができる。この全固体型EC素子は、例えば次のような様々な用途に適用することができる。
【0008】
(a)調光素子
前記基材を透明ガラス板等の透明板状部材で構成し、前記第1、第2の電極層をITO等の透明電極膜で構成し、前記第2の電極層の上に透明封止樹脂を介して透明ガラス板等の透明板状封止部材を接合し、素子全体を厚み方向に透明に構成する。これにより、灰色の着色時色を呈する調光素子(透過率可変素子)が構成される。この調光素子は、例えばカメラ用露出調整素子(NDフィルタ、絞り等)、サングラス、調光ガラス、サンルーフ等として構成することができる。いずれの場合も透過光の色を変えずに光の強さを調整することができる。
【0009】
(b)反射率可変ミラー
前記基材を透明ガラス板等の透明板状部材で構成し、前記第1の電極層をITO等の透明電極膜で構成し、前記第2の電極層を金属反射膜で構成し、該第2の電極層の上に封止樹脂を介して封止部材を接合する。これにより、前記基材側が表面側で、灰色の着色時色を呈する反射率可変ミラーが構成される。
あるいは、前記第1の電極層を金属反射膜で構成し、前記第2の電極層をITO等の透明電極膜で構成し、該第2の電極層の上に透明封止樹脂を介して透明ガラス板等の透明板状封止部材を接合する。これにより、前記透明板状封止部材側が表面側で、灰色の着色時色を呈する反射率可変ミラーが構成される。
【0010】
(c)表示素子
前記基材を透明ガラス板等の透明板状部材で構成し、前記第1、第2の電極層をITO等の透明電極膜で構成し、前記第2の電極層の上に透明封止樹脂を介して白色ガラス板等の不透明背景部材を接合する。これにより、前記基材側が表面側で、灰色の表示色を呈する表示素子が構成される。
あるいは、前記基材を白色ガラス板等の不透明背景部材で構成し、前記第1、第2の電極層をITO等の透明電極膜で構成し、前記第2の電極層の上に透明封止樹脂を介して透明ガラス板等の透明板状封止部材を接合する。これにより、前記透明板状封止部材側が表面側で、灰色の表示色を呈する表示素子が構成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
この発明のEC素子の実施の形態1を図1に示す。図2の従来構造と共通する部分には同一の符号を用いる。透明ガラス基板10の上に下部電極膜を構成するITO透明電極膜12が成膜され、その上に、酸化発色層を構成するニッケル酸化物膜32、固体電解質層を構成する酸化タンタル膜16、還元発色層を構成する酸化タングステンと酸化チタンの混合膜34、上部電極膜を構成するITO透明電極膜20が順次積層成膜されている。下部ITO透明電極膜12の一端部には予めレーザエッチングにより分割線22が形成されて、該一端部の領域12aが電気的に分離されている。上部ITO透明電極膜20の一端部はこの下部ITO透明電極膜12の分離された領域12aに電気的に接続されている。基板10の両端部には、電極取り出し用クリップ電極24,26が装着されている。クリップ電極24は下部ITO透明電極膜12に電気的に接続され、クリップ電極26は上部ITO透明電極膜20に電気的に接続されている。上部ITO透明電極膜12の上には透明液状封止樹脂28が塗布され、そこに透明封止部材30として透明ガラス板が接着され、該液状封止樹脂28が硬化されて、積層膜全体を封止している。以上の構成により、図1のEC素子は全体が厚み方向に透明に構成されている。
【0012】
図1のEC素子によれば、クリップ電極24側を正極性、クリップ電極26側を負極性にして電圧を印加すると酸化発色層32および還元発色層34がともに着色し、逆電圧を印加する(あるいは短絡する)と両発色層32,34がともに消色する。着色および消色時の各層の化学反応は例えば次式のとおりである。
【化6】
【0013】
図1のEC素子の製造工程の一例を順を追って説明する。
(1)ITO透明電極膜12が成膜された透明ガラス基板10を用意し、所望の形状にカットする。あるいは、所望の形状にカットされた透明ガラス基板10を用意し、ITO透明電極膜12を成膜する。
(2)透明ガラス基板10をレーザエッチングして分割線22を形成する。
(3)基板10を真空蒸着装置の真空チャンバー内に収容し、NiOまたはNiを蒸着材料(出発材料)とする真空蒸着法により、ニッケル酸化物膜32を成膜する。Niを蒸着材料とする場合は、蒸発したNiが真空チャンバー内の酸素と化合してニッケル酸化物となる。
(4)続けて、Ta2O5を蒸着材料とする真空蒸着法(正確には、高周波を印加したイオンプレーティング法)により、酸化タンタル膜16を成膜する。
(5)続けて、WO3およびTiO2をそれぞれ蒸着材料とする二元真空蒸着法により、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34を成膜する。この二元真空蒸着を行う際の真空蒸着装置内における各要素の配置例を図3に示す。回転する基板ホルダ11の下面には酸化タンタル膜16まで成膜された複数の基板10が成膜面を下に向けて保持されている。基板ホルダ11の下方には、るつぼ13,15が配置されている。るつぼ13には、蒸着材料17としてWO3が収容されている。るつぼ15には、蒸着材料19としてTiO2が収容されている。蒸着材料17,19は電子ビーム21,23が当てられてそれぞれ加熱され、蒸発する。蒸発した蒸着材料17,19は上昇し、混合されて基板10に堆積し、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34を形成する。るつぼ13,15の斜め上方には、膜厚計として水晶振動子25,27がそれぞれ配置されている。水晶振動子25の振動周波数の変化により、蒸着材料17の蒸発速度が監視される。水晶振動子27の振動周波数の変化により、蒸着材料19の蒸発速度が監視される。これら監視される蒸発材料17,19の蒸発速度に応じて電子ビーム21,23の出力を調整することにより、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34の酸化タングステンと酸化チタンの混合比が所定値に調整される。なお、以上の一連の成膜工程(3)〜(5)は、基板10を基板ホルダ11に保持したまま真空チャンバーの外に取り出さずに、蒸発源および成膜条件を順次切り換えながら連続的にして行うことができる。
(6)基板10を真空チャンバーから一旦取り出し、マスクパターンを換えて再び真空チャンバー内に収容し、ITOを蒸着材料とする真空蒸着法(正確には、高周波を印加したイオンプレーティング法)により、上部ITO透明電極膜20を成膜する。なお、以上の成膜工程(3)〜(6)のうち、工程(4)の酸化タンタル膜16の成膜を600Wの高周波を印加したイオンプレーティング法により行い、工程(6)の上部ITO透明電極膜20を400Wの高周波を印加したイオンプレーティング法により行った。他の工程(3)、(5)は、高周波を印加しないで行った。特に、工程(3)のニッケル酸化物膜32の成膜を、NiOペレットを出発材料として高周波を印加したイオンプレーティング法により行ったところ、初めから着色したニッケル酸化物膜が成膜されてしまい、高周波を印加しない方がよい(無色透明のニッケル酸化物膜を成膜できる)ことがわかった。
(7)成膜工程が終了したら、基板10を真空チャンバーから取り出し、クリップ電極24,26を装着する。
(8)透明液状封止樹脂28を塗布し、封止部材30として透明ガラス板を接着し、該液状封止樹脂28を硬化させて完成する。
【0014】
以上の製造工程により製造した図1のEC素子の測定特性を説明する。なお、この測定では、約4cm角のサンプルを使用した。各層の膜厚は、ITO透明電極膜12:約250nm、ニッケル酸化物膜32:約100nm、酸化タンタル膜16:約600nm、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34:約500nm、ITO透明電極膜20:約250nmとした。また、ニッケル酸化物膜32、酸化タンタル膜16、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34の成膜条件は次のとおりとした。ニッケル酸化物膜32は、純度99.9%以上のNiOを蒸着材料として使用し、基板温度120℃、酸素分圧3×10−4Torr、成膜速度0.75nm/秒で成膜した。酸化タンタル膜16は、純度99.9%以上のTa2O5を蒸着材料として使用し、基板温度120℃、酸素分圧3×10−4Torr、成膜速度0.67nm/秒で成膜した。酸化タングステン・酸化チタン混合膜34は、いずれも純度99.9%以上のWO3、TiO2を蒸着材料として使用し、基板温度120℃、酸素分圧1.6×10−4Torrで成膜した。なお、WO3とTiO2の蒸発速度比は実現しようとする酸化タングステンと酸化チタンの混合比に応じて設定する。例えば、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34に含まれるタングステン原子とチタン原子の原子数の合計値に対するチタン原子数の割合(at%:原子百分率)をW:Ti=72:28とする混合比に設定する場合は、、WO3とTiO2の蒸発速度比(水晶振動子25,27で計測される膜厚増大速度比)を約3:2に設定した。
【0015】
製造されたEC素子のニッケル酸化物膜32は結晶(多結晶)であった。酸化タングステン・酸化チタン混合膜34はアモルファスであった。NiOの蒸着過程でNiOの一部が他のニッケル酸化物{Ni(OH)2,Ni2O3,NiOOH等}に変化している可能性があるが、いずれにしてもニッケル酸化物膜32はNiOが主成分であると考えられる。同様に、WO3およびTiO2の二元蒸着過程でWO3の一部が他の酸化タングステン(タングステン酸化物)に変化し、TiO2の一部が他の酸化チタン(チタン酸化物)に変化している可能性があるが、いずれにしても酸化タングステン・酸化チタン混合膜34はWO3・TiO2混合物が主成分であると考えられる。なお、ニッケル酸化物膜32は、結晶、微結晶、アモルファスのいずれの状態であってもEC現象を呈するものと考えられる。酸化タングステン・酸化チタン混合膜34は結晶化させると着消色の効率が下がるので、アモルファスが望ましいと考えられる。
【0016】
図1のEC素子において還元発色層34の酸化タングステンと酸化チタンの混合比を様々に変化させた場合の分光透過率特性を図4に示す。図4に示されているTiの比率の数値(at%)は、X線光電子分光法(ESCA)で測定される、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34に含まれるタングステン原子とチタン原子の原子数の合計値に対するチタン原子数の割合を示したものである。なお、図4の測定では、着色時は、印加電圧を2.0Vとし、90秒印加した後の特性を測定した。また、消色時は、消色電圧を−2.0Vとし、90秒印加した後の特性を測定した。図4によれば、着色時は酸化タングステンと酸化チタンの混合比によって分光特性の特に長波長側が変化し、TiO2が少なくなるほど長波長側のレベルが下がって青みが強くなり、TiO2が多くなるほど長波長側のレベルが上がって青みが少なくなってくることがわかる。そして、チタン原子数の比率が5〜40at%(つまり、WとTiの原子数の比率が、W:Ti=95:5乃至60:40)の範囲では灰色を示した。特に、チタン原子数の比率が20〜30at%(つまり、WとTiの原子数の比率が、W:Ti=80:20乃至70:30)の範囲で分光特性が可視領域(400〜800nm)で平坦に近くなり、ほぼ純粋な灰色が得られた。なお、消色時はTiO2の混合比による分光特性の違いは少なく、人間の視感度のピーク位置(波長550nm)での透過率はいずれも80%以上(可視光域全体での平均透過率は約80%)得られ、無彩色でほぼ透明の透過色が得られた。
【0017】
次に、図1のEC素子において着色電圧を様々に変化させた場合の分光透過率特性および消色電圧を印加したときの分光透過率特性を図5に示す。なお、図5の測定では、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34に含まれるチタン原子数の比率を28at%(WとTiの原子数の比率が、W:Ti=72:28)とした。また、着色時は、着色電圧を90秒印加した後の特性を測定した。消色時は、消色電圧を−1.5Vとし、90秒印加した後の特性を測定した。図5によれば、着色時は、着色電圧が高いほど透過率が低くなりかつ特性が可視領域で平坦になって青みが少なくなってくることがわかる。そして、着色電圧が1.75Vより高くなると濃い着色時色が得られた。特に、着色電圧が2V以上では、透過率が可視領域のほぼ全域で10%近くまたはそれ以下まで下がり、特性がより平坦化されて、ほぼ純粋な灰色が得られた。したがって、着色時の印加電圧のピーク値は、1.75V以上、より好ましくは2V以上で、耐圧以下とするのが望ましい。消色時の特性も、可視領域で比較的平坦であり、無彩色でほぼ透明の透過色が得られた。消色時の透過率は人間の視感度のピーク位置で80%以上得られた。
【0018】
次に、図1のEC素子において着色電圧を様々に変化させた場合の着色時の応答速度特性を図6に示す。なお、図6の測定では、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34に含まれるチタン原子数の比率を28at%とした。また、透過率は人間の視感度のピーク位置(波長550nm)での値を測定した。図6によれば、応答速度特性は素子の面積によって異なり、素子面積が小さいほど速く、素子面積が大きいほど遅くなる。カメラ用露出調整素子として使用する場合は、素子面積は比較的小面積で済み、1.75V以上の着色電圧であれば、比較的瞬時に濃い着色濃度まで到達する。
【0019】
次に、図1のこの発明のEC素子と図2の従来のEC素子の分光透過率特性の違いを図7に示す。なお、図7の測定では、図1のEC素子は、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34に含まれるチタン原子数の比率を28at%とした。着色電圧は、図1のEC素子は2.0V、図2の従来のEC素子は1.5Vとし、いずれも30秒印加した。消色電圧は、いずれも−1.5Vとし、30秒印加した。図7によれば、着色時の透過色は、図2の従来のEC素子は青みが非常に強いのに対し、図1のEC素子は特性が可視領域で平坦で、灰色が得られた。また、消色時の透過色は、図2の従来のEC素子は、黄色付近のレベルが高いので、黄色みがかった色となるのに対し、図1のEC素子は無彩色でほぼ透明であった。また、図1のEC素子は、着色時の透過率が可視領域のほぼ全域で約20%、消色時の透過率が人間の視感度のピーク位置で約80%であった。この透過率80%という数値は、図2の従来のEC素子に比べて高く、見た目にも該従来のEC素子に比べて透明度が高かった。
【0020】
なお、図2の従来構造において、酸化発色層14の材料をニッケル酸化物(NiOが主成分)に変えただけでは灰色の着色時色は得られなかった。また、還元発色層18の材料を酸化タングステン・酸化チタン混合物(WO3・TiO2混合物が主成分)に変えただけでも灰色の着色時色は得られなかった。酸化発色層14の材料をニッケル酸化物(NiOが主成分)に変え、かつ還元発色層18の材料を酸化タングステン・酸化チタン混合物(WO3・TiO2混合物が主成分)に変えたら、灰色の着色時色が得られた。
【0021】
以上のように、図1のEC素子は、着色時には灰色の透過色が得られ、消色時には無彩色でほぼ透明の透過色が得られるので、EC素子を通して得られる影像に色相の変化が生じることを嫌う用途に特に好適である。図1のEC素子をデジタルカメラ(スチルカメラ、ビデオカメラ等)に使用する場合の光学系の主要部の配置例を図8に模式的に示す。レンズ36からCCD等の撮像素子42に至る光軸上に、モータ駆動によるメカ式絞り38および図1のEC素子によるNDフィルタ40が順次配列されている。EC素子NDフィルタ40は固定的に配置されている。別途搭載されている測光素子で測光される被写体の輝度が所定値以内のときはEC素子NDフィルタ40は消色されている。消色時はEC素子NDフィルタ40の可視光域平均透過率が約80%あるので、露出不足となることはない。また、透過色は無彩色でほぼ透明なので、撮影された画像が青みがかることはなく、ホワイトバランスも取り易い。被写体輝度が所定値よりも大きくなり、絞り38では適切な露出調整ができなくなると、EC素子NDフィルタ40に所定の着色電圧(例えば2.0V)を印加し着色状態にして減光する。着色時はEC素子NDフィルタ40の可視光域平均透過率が約20%であり、十分に減光することができる。また、透過色は灰色なので色再現性がよく、撮影された画像が青みがかることはない。その後被写体輝度が所定値よりも低下したら、EC素子NDフィルタ40に所定の消色電圧を印加(または両電極間を短絡)して、消色状態にする。このように、従来のモータ駆動式NDフィルタをEC素子NDフィルタ40で置き換えることにより、メカ構成が簡単になり、カメラの小型化、デザイン性向上、軽量化が図れる。また、モータ駆動が不要なので、省電力化が図れる。また、EC素子NDフィルタ40は着脱が不要であり、着脱操作の手間がかからない。また、EC素子NDフィルタ40は1眼レフカメラにも内蔵することができる。また、EC素子NDフィルタ40は全固体型なので、破損した場合の液の漏出等の問題がない。
【0022】
なお、以上の例ではEC素子NDフィルタ40の着色量の調整を着色、消色の1段階(オン/オフ)切り換え式にしたが、着色電圧の調整により2段階以上の切り換え式あるいは無段階切り換え式にして、着色量を2段階以上または無段階に調整する(着色電圧のピーク値を、例えば1.75V以上、より好ましくは2V以上とする。)こともできる。そしてそのように構成した場合は、EC素子NDフィルタ40で絞りの機能を兼ねてメカ式絞り38を無くすことも可能になり、メカ構成をより簡単にすることができる。
【0023】
なお、図1のEC素子はデジタルカメラだけでなくフィルム式カメラの露出調整素子として用いることもできる。また、図1のEC素子は、サングラス、調光ガラス、サンルーフ等に用いることもできる。
【0024】
(実施の形態2)
この発明の実施の形態2を図9に示す。これは、図1の実施の形態において、酸化発色層を構成するニッケル酸化物膜32と、還元発色層を構成する酸化タングステン・酸化チタン混合膜34の配置を入れ替えたものである。図1の実施の形態と共通する部分には同一の符号を用いる。
【0025】
(実施の形態3)
この発明の実施の形態3を図10に示す。これは、基板側を表面側とする車両用等の防眩ミラーを構成したものである。図1の実施の形態と共通する部分には同一の符号を用いる。透明ガラス基板10の上に下部電極膜を構成するITO透明電極膜12が成膜され、その上に、酸化発色層を構成するニッケル酸化物膜32、固体電解質層を構成する酸化タンタル膜16、還元発色層を構成する酸化タングステン・酸化チタン混合膜34、上部電極膜兼反射膜を構成するAl,Ni,Cr等の反射電極膜44が順次積層成膜されている。下部ITO透明電極膜12の一端部には予めレーザエッチングにより分割線22が形成されて、該一端部の領域12aが電気的に分離されている。上部電極膜兼反射膜44の一端部はこの下部ITO透明電極膜12の分離された領域12aに電気的に接続されている。基板10の両端部には、電極取り出し用クリップ電極24,26が装着されている。クリップ電極24は下部ITO透明電極膜12に電気的に接続され、クリップ電極26は上部電極膜兼反射膜44に電気的に接続されている。上部電極膜兼反射膜44の上には液状封止樹脂46が塗布され、そこに封止部材48としてガラス板、樹脂板、金属板等の板状部材が接着され、該液状封止樹脂46が硬化されて、積層膜全体を封止している。以上の構成により、図10のEC素子は透明ガラス基板10側を表面側とし、着色時は色が灰色で低反射率、消色時は色が無彩色で高反射率の防眩ミラーを構成する。
【0026】
(実施の形態4)
この発明の実施の形態4を図11に示す。これは、封止部材側を表面側とする車両用等の防眩ミラーを構成したものである。図1および図10の実施の形態と共通する部分には同一の符号を用いる。ガラス等の基板50の上に下部電極膜兼反射膜を構成する反射電極膜52が成膜され、その上に、酸化発色層を構成するニッケル酸化物膜32、固体電解質層を構成する酸化タンタル膜16、還元発色層を構成する酸化タングステン・酸化チタン混合膜34、上部電極膜を構成するITO透明電極膜20が順次積層成膜されている。反射電極膜52はそれよりも上層の積層工程で腐食しない金属材料を使用するのが望ましい。反射電極膜52の一端部には予めレーザエッチングにより分割線22が形成されて、該一端部の領域52aが電気的に分離されている。上部ITO透明電極膜20の一端部はこの反射電極膜52の分離された領域52aに電気的に接続されている。基板50の両端部には、電極取り出し用クリップ電極24,26が装着されている。クリップ電極24は反射電極膜52に電気的に接続され、クリップ電極26は上部ITO透明電極膜20に電気的に接続されている。上部ITO透明電極膜20の上には透明液状封止樹脂28が塗布され、そこに封止部材30として透明ガラス板が接着され、該液状封止樹脂28が硬化されて、積層膜全体を封止している。以上の構成により、図11のEC素子は透明封止樹脂28側を表面側とし、着色時は色が灰色で低反射率、消色時は色が無彩色で高反射率の防眩ミラーを構成する。
【0027】
(実施の形態5)
この発明の実施の形態5を図12に示す。これは、基板側を表面側とする表示素子を構成したものである。図1の実施の形態と共通する部分には同一の符号を用いる。透明ガラス基板10の上に下部電極膜を構成するITO透明電極膜12が成膜され、その上に、酸化発色層を構成するニッケル酸化物膜32、固体電解質層を構成する酸化タンタル膜16、還元発色層を構成する酸化タングステン・酸化チタン混合膜34、上部電極膜を構成するITO透明電極膜20が順次積層成膜されている。下部ITO透明電極膜12の一端部には予めレーザエッチングにより分割線22が形成されて、該一端部の領域12aが電気的に分離されている。上部ITO透明電極膜20の一端部はこの下部ITO透明電極膜12の分離された領域12aに電気的に接続されている。基板10の両端部には、電極取り出し用クリップ電極24,26が装着されている。クリップ電極24は下部ITO透明電極膜12に電気的に接続され、クリップ電極26は上部ITO透明電極膜20に電気的に接続されている。なお、上下ITO透明電極膜12,20は任意の文字、記号、絵等を表示するようにパターニングされている。上部ITO透明電極膜12の上には透明液状封止樹脂28が塗布され、そこに封止部材54として白色ガラス板等の不透明背景板が接着され、該液状封止樹脂28が硬化されて、積層膜全体を封止している。以上の構成により、図12のEC素子は透明ガラス基板10側を表面側とする表示素子を構成する。この場合、表示色は灰色になるので、従来の青色等の色相を有する表示に比べて違和感のない表示を行うことができる。また、セグメント方式あるいはドットマトリクス方式等の文字盤や時計等の表示装置を構成した場合に、消色部分が無彩色でほぼ透明になるので、表示を視認しやすい。
【0028】
(実施の形態6)
この発明の実施の形態6を図13に示す。これは、封止部材側を表面側とする表示素子を構成したものである。図1および図12の実施の形態と共通する部分には同一の符号を用いる。白色ガラス板等の不透明背景基板56の上に下部電極膜を構成するITO透明電極膜12が成膜され、その上に、酸化発色層を構成するニッケル酸化物膜32、固体電解質層を構成する酸化タンタル膜16、還元発色層を構成する酸化タングステン・酸化チタン混合膜34、上部電極膜を構成するITO透明電極膜20が順次積層成膜されている。下部ITO透明電極膜12の一端部には予めレーザエッチングにより分割線22が形成されて、該一端部の領域12aが電気的に分離されている。上部ITO透明電極膜20の一端部はこの下部ITO透明電極膜12の分離された領域12aに電気的に接続されている。基板56の両端部には、電極取り出し用クリップ電極24,26が装着されている。クリップ電極24は下部ITO透明電極膜12に電気的に接続され、クリップ電極26は上部ITO透明電極膜20に電気的に接続されている。なお、上下ITO透明電極膜12,20は任意の文字、記号、絵等を表示するようにパターニングされている。上部ITO透明電極膜12の上には透明液状封止樹脂28が塗布され、そこに封止部材30として透明ガラス板が接着され、該液状封止樹脂28が硬化されて、積層膜全体を封止している。以上の構成により、図13のEC素子は封止部材30側を表面側とする表示素子を構成する。この場合、表示色は灰色になるので、従来の青色等の色相を有する表示に比べて違和感のない表示を行うことができる。また、セグメント方式あるいはドットマトリクス方式等の文字盤や時計等の表示装置を構成した場合に、消色部分が無彩色でほぼ透明になるので、表示を視認しやすい。
【0029】
なお、実施の形態3〜6においても、酸化発色層を構成するニッケル酸化物膜32と、還元発色層を構成する酸化タングステン・酸化チタン混合膜34の配置を入れ替えることができる。また、前記各実施の形態では固体電解質層16をTa2O5膜で構成したが、他の無機固体電解質材料(例えば、SiO2、MgF2、Sb2O5、ZrO2等)を使用することもできる。
【0030】
(実施の形態7)
この発明の実施の形態7を図14に示す。これは、図1の構造において、液状封止樹脂28に代えて、固体状封止樹脂部材を使用したものである。下部ITO透明電極膜12付き透明ガラス基板10の上に酸化発色層32、固体電解質層、還元発色層34、上部ITO透明電極膜20の積層膜を成膜した後、固体状封止樹脂部材としてリング状封止樹脂部材55を該積層膜の周囲を取り囲んで配置し、該リング状封止樹脂部材55の下面を透明ガラス基板10に接着し、上面を封止部材30に接着して全体を一体化する。上部ITO透明電極膜20と封止部材30との間には、エアーギャップ(空気層)57が形成されていてもよい。
【0031】
(実施の形態8)
この発明の実施の形態8を図15に示す。これは、図1の構造において、固体電解質層16を、無機固体電解質材料に代えて、高分子固体電解質材料(導電性ポリマーシート)で構成したものである。図1の実施の形態と共通する部分には同一の符号を用いる。このEC素子は、上下ITO透明電極膜20,12の間に、ニッケル酸化物で構成される酸化発色層32,導電性ポリマーシート58、保護層60、酸化タングステン・酸化チタン混合物で構成される還元発色層34を積層して構成されている。保護層60は還元発色層34を構成する酸化タングステン・酸化チタン混合膜の保護用である。封止樹脂62は、酸化発色層32,導電性ポリマーシート58、保護層60、還元発色層34で構成される積層体の外周縁全周に塗布、硬化されて、該積層体を封止している。上部ITO透明電極膜20に電気的に接続されるクリップ電極26は、封止部材30側に取り付けられている。
【0032】
このEC素子の製造工程の一例を図16を参照して順を追って説明する。
(1)ITO透明電極膜が成膜された所定形状の2枚の透明ガラス板を、下部ITO透明電極膜12付き透明ガラス基板10、上部ITO透明電極膜20付き封止部材30としてそれぞれ用意する。
(2)基板10を真空蒸着装置内に収容し、NiOまたはNiを蒸着材料(出発材料)とする真空蒸着法により、ニッケル酸化物膜32を成膜する。
(3)基板10を真空蒸着装置から取り出し、封止部材30を真空蒸着装置内に収容し、WO3およびTiO2をそれぞれ蒸着材料とする二元真空蒸着法により、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34を成膜する。
(4)続けて、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34の表面に、該酸化タングステン・酸化チタン混合膜34の保護層60として、例えばTa2O5膜を成膜する。
(5)封止部材30を真空蒸着装置から取り出し、基板10と封止部材30にクリップ電極24,26をそれぞれ取り付ける。
(6)基板10と封止部材30を積層面どうしを対面させ、間に導電性ポリマーシート58を挟んで密着させる。
(7)積層体の外周縁全周に液状封止樹脂を塗布し、硬化させて該積層体を封止し、全体を一体化させて完成する。
【0033】
(実施の形態9)
この発明の実施の形態9を図17に示す。これは、図1の構造において、固体電解質層16に代えて、液体電解質層で構成したものである。図1の実施の形態と共通する部分には同一の符号を用いる。このEC素子は、上下ITO透明電極膜20,12の間に、ニッケル酸化物で構成される酸化発色層32,液体電解質層64、酸化タングステン・酸化チタン混合物で構成される還元発色層34を積層して構成されている。液体電解質層64には、スペーサ66が挟み込まれている。封止樹脂68は、酸化発色層32、液体電解質層64、還元発色層34で構成される積層体の外周縁全周に塗布、硬化されて、該積層体を封止している。上部ITO透明電極膜20に電気的に接続されるクリップ電極26は、封止部材30側に取り付けられている。
【0034】
このEC素子の製造工程の一例を図18を参照して順を追って説明する。
(1)ITO透明電極膜が成膜された所定形状の2枚の透明ガラス板を、下部ITO透明電極膜12付き透明ガラス基板10、上部ITO透明電極膜20付き封止部材30としてそれぞれ用意する。
(2)基板10を真空蒸着装置内に収容し、NiOまたはNiを蒸着材料(出発材料)とする真空蒸着法により、ニッケル酸化物膜32を成膜する。
(3)基板10を真空蒸着装置から取り出し、封止部材30を真空蒸着装置内に収容し、WO3およびTiO2をそれぞれ蒸着材料とする二元真空蒸着法により、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34を成膜する。
(4)封止部材30を真空蒸着装置から取り出し、基板10と封止部材30にクリップ電極24,26をそれぞれ取り付ける。
(5)基板10と封止部材30を積層面どうしを、間にスペーサ66を挟み込んで対面させ、液体電解質層64を形成するためのエアーギャップを形成する。
(6)積層体の外周縁に、液体注入口(図示せず)を残して液状封止樹脂68を塗布し、硬化させて全体を一体化させる。
(7)液体注入口から液体電解質を注入し、液体電解質層64を形成する。
(8)液体注入口を液状封止樹脂で塞ぎ、硬化させて完成する。
【0035】
なお、前記実施の形態では、酸化発色層を構成する酸化タングステン・酸化チタン混合膜をWO3およびTiO2をそれぞれ蒸着材料とする二元真空蒸着法で成膜したが、所定混合比のWO3・TiO2混合材を予め作製し、これをターゲット材(出発材料)としてスパッタ法により酸化タングステン・酸化チタン混合膜を成膜することもできる。また、前記実施の形態では、酸化発色層を構成するニッケル酸化物膜を真空蒸着法で成膜したが、NiOまたはNiをターゲット材(出発材料)とするスパッタ法により成膜することもできる。Niをターゲット材とする場合は、飛散したNiが真空チャンバー内の酸素と化合してニッケル酸化物となる。また、前記実施の形態では、酸化発色層をニッケル酸化物で構成したが、酸化発色層はニッケル酸化物を主成分として含んでいればよく、素子全体の着色時色が灰色から外れない範囲でニッケル酸化物以外の物質を添加させることもできる。また、前記実施の形態では還元発色層を酸化タングステン・酸化チタン混合物で構成したが、酸化タングステンを主成分とし酸化チタンを混合させた材料を含んでいればよく、素子全体の着色時色が灰色から外れない範囲で他の物質を添加させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1を示す図で、EC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図2】従来のEC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図3】酸化タングステン・酸化チタン混合膜を二元真空蒸着で成膜する際の真空蒸着装置内における各要素の配置例を示す模式図である。
【図4】図1のEC素子において還元発色層の酸化タングステンと酸化チタンの混合比を様々に変化させた場合の分光透過率特性を示す図である。
【図5】図1のEC素子において着色時の印加電圧を様々に変化させた場合の分光透過率特性を示す図である。
【図6】図1のEC素子において着色電圧を様々に変化させた場合の着色時の応答速度特性を示す図である。
【図7】図1のこの発明のEC素子と図2の従来のEC素子の分光透過率特性を示す図である。
【図8】図1のEC素子をデジタルカメラに使用する場合の光学系の主要部の配置例を示す模式図である。
【図9】この発明の実施の形態2を示す図で、EC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図10】この発明の実施の形態3を示す図で、EC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図11】この発明の実施の形態4を示す図で、EC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図12】この発明の実施の形態5を示す図で、EC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図13】この発明の実施の形態6を示す図で、EC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図14】この発明の実施の形態7を示す図で、EC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図15】この発明の実施の形態8を示す図で、EC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図16】実施の形態8のEC素子の製造方法を説明する模式図である。
【図17】この発明の実施の形態9を示す図で、EC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図18】実施の形態9のEC素子の製造方法を説明する模式図である。
【符号の説明】
10…透明ガラス基板、12…下部ITO透明電極膜、16…無機固体電解質層、20…上部ITO透明電極膜、28…透明封止樹脂、30…透明封止部材、32…酸化発色層、34…還元発色層、42…撮像素子、44,52…反射電極膜、46…封止樹脂、48…封止部材、50…基板、54…封止部材(不透明背景板)、56…不透明背景基板、58…導電性ポリマーシート(高分子固体電解質材料)、64…液体電解質層。
【発明の属する技術分野】
この発明は、エレクトロクロミック(以下「EC」)素子に関し、灰色の着色時色(着色時の色)を実現したものである。
【0002】
【従来の技術】
EC素子は、EC現象を利用して着色、消色を可逆的に行う素子であって、防眩ミラー、調光ガラス、表示素子等に利用される。従来のEC素子の積層断面構造例を図2に示す。これは素子全体を透明に構成したものである。透明ガラス基板10の上に下部電極膜を構成するITO(Indium Tin Oxide)透明電極膜12が成膜され、その上に、酸化発色層を構成する酸化イリジウム・酸化スズ混合膜14、固体電解質層を構成する酸化タンタル膜16、還元発色層を構成する酸化タングステン膜18、上部電極膜を構成するITO透明電極膜20が順次積層成膜されている。下部ITO透明電極膜12の一端部には予めレーザエッチングにより分割線22が形成されて、該一端部の領域12aが電気的に分離されている。上部ITO透明電極膜20の一端部はこの下部ITO透明電極膜12の分離された領域12aに電気的に接続されている。基板10の両端部には、電極取り出し用クリップ電極24,26が装着されている。クリップ電極24は下部ITO透明電極膜12に電気的に接続され、クリップ電極26は上部ITO透明電極膜20に電気的に接続されている。上部ITO透明電極膜12の上には透明封止樹脂28が塗布され、そこに透明封止部材30として透明ガラス板が接着され、積層膜全体が封止されている。以上の構成によれば、クリップ電極24側を正極性、クリップ電極26側を負極性にして電圧を印加すると酸化発色層14および還元発色層18がともに着色し、逆電圧を印加する(あるいは短絡する)と両発色層14,18がともに消色する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のEC素子における酸化イリジウム・酸化スズ混合膜14および酸化タングステン膜18の着色時色はともに青色であり、素子全体としての着色時色も青色であった。このため、色を重視する(つまり、該EC素子を通して得られる影像に色相の変化が生じることを嫌う)用途には使用することができなかった。例えば、現行のデジタルカメラは、ND(Neutral Density)フィルタを内蔵し、入射光量が大きいときに、該NDフィルタをモータ駆動でCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子の前面に移動させて減光するように構成されている。このNDフィルタをEC素子で置き換えて減光できれば、モータ駆動が不要となるので、デジタルカメラの小型化および省電力化が図れる。ところが、前記従来のEC素子は着色時色が青色で、撮られた像の色も青みがかり、ホワイトバランスも取り難いため、このEC素子をNDフィルタの代わりに使うことはできなかった。
【0004】
この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、灰色の着色時色を実現したEC素子を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、還元発色層と酸化発色層を電解質層(固体、液体、ゲル等各種電解質を含む。)を挟んで対向配置した構造を有するEC素子において、前記還元発色層が酸化タングステンと酸化チタンを含有する材料で構成され、前記酸化発色層がニッケル酸化物を含有する材料で構成され、着色時の色が灰色(分光特性が可視光域でほぼ平坦な純粋な灰色に限らず、人間の目で見て灰色と認識できる程度のものを含む。この明細書全体を通じて同じ。)を呈するものである。この発明によれば、還元発色層を酸化タングステンと酸化チタンを含有する材料で構成し、酸化発色層をニッケル酸化物を含有する材料で構成することにより、灰色の着色時色が得られる。また、無彩色(分光特性が可視光域でほぼ平坦な純粋な無彩色に限らず、人間の目で見て無彩色と認識できる程度のものを含む。この明細書全体を通じて同じ。)でほぼ透明な消色時色(消色時の色)も容易に得られる。
【0006】
また、この発明は、2枚の板材の間に、第1の電極層、還元発色層、電解質層(固体、液体、ゲル等各種電解質を含む。)、酸化発色層、第2の電極層を積層配置し、前記2枚の板材および前記2層の電極層のうち、少なくとも一方側の板材および電極層の組み合わせが透明に構成されているEC素子において、前記還元発色層が酸化タングステンと酸化チタンを含有する材料で構成され、前記酸化発色層がニッケル酸化物を含有する材料で構成され、着色時の色が灰色を呈するものである。このEC素子は、例えば、前記2枚の板材および前記2層の電極層をいずれも透明に構成し、素子全体を厚み方向に透明に構成して、デジタルカメラの撮像素子の光軸上に配置する露出調整素子として構成することができる。また、前記2枚の板材および前記2層の電極層のうち、一方側の板材および電極層の組み合わせを透明に構成し、他方側の電極層を金属反射膜で構成して、反射率可変ミラーを構成することができる。
【0007】
また、この発明は、基材と、該基材の上に固定形成された第1の電極層と、該第1の電極膜の上に固定形成された酸化または還元発色層と、該酸化または還元発色層の上に固定形成された固体電解質層と、該電解質層の上に固定形成された還元または酸化発色層と、該還元または酸化発色層の上に固定形成された第2の電極層とを具備し、前記第1、第2の電極層の少なくとも一方が透明に構成されているEC素子において、前記還元発色層が酸化タングステンと酸化チタンを含有する材料で構成され、前記酸化発色層がニッケル酸化物を含有する材料で構成され、着色時の色が灰色を呈するものである。これによれば、全固体型EC素子が構成される。固体電解質層は無機材料で構成する場合は、例えばTa2O5を主成分として構成することができる。この全固体型EC素子は、例えば次のような様々な用途に適用することができる。
【0008】
(a)調光素子
前記基材を透明ガラス板等の透明板状部材で構成し、前記第1、第2の電極層をITO等の透明電極膜で構成し、前記第2の電極層の上に透明封止樹脂を介して透明ガラス板等の透明板状封止部材を接合し、素子全体を厚み方向に透明に構成する。これにより、灰色の着色時色を呈する調光素子(透過率可変素子)が構成される。この調光素子は、例えばカメラ用露出調整素子(NDフィルタ、絞り等)、サングラス、調光ガラス、サンルーフ等として構成することができる。いずれの場合も透過光の色を変えずに光の強さを調整することができる。
【0009】
(b)反射率可変ミラー
前記基材を透明ガラス板等の透明板状部材で構成し、前記第1の電極層をITO等の透明電極膜で構成し、前記第2の電極層を金属反射膜で構成し、該第2の電極層の上に封止樹脂を介して封止部材を接合する。これにより、前記基材側が表面側で、灰色の着色時色を呈する反射率可変ミラーが構成される。
あるいは、前記第1の電極層を金属反射膜で構成し、前記第2の電極層をITO等の透明電極膜で構成し、該第2の電極層の上に透明封止樹脂を介して透明ガラス板等の透明板状封止部材を接合する。これにより、前記透明板状封止部材側が表面側で、灰色の着色時色を呈する反射率可変ミラーが構成される。
【0010】
(c)表示素子
前記基材を透明ガラス板等の透明板状部材で構成し、前記第1、第2の電極層をITO等の透明電極膜で構成し、前記第2の電極層の上に透明封止樹脂を介して白色ガラス板等の不透明背景部材を接合する。これにより、前記基材側が表面側で、灰色の表示色を呈する表示素子が構成される。
あるいは、前記基材を白色ガラス板等の不透明背景部材で構成し、前記第1、第2の電極層をITO等の透明電極膜で構成し、前記第2の電極層の上に透明封止樹脂を介して透明ガラス板等の透明板状封止部材を接合する。これにより、前記透明板状封止部材側が表面側で、灰色の表示色を呈する表示素子が構成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
この発明のEC素子の実施の形態1を図1に示す。図2の従来構造と共通する部分には同一の符号を用いる。透明ガラス基板10の上に下部電極膜を構成するITO透明電極膜12が成膜され、その上に、酸化発色層を構成するニッケル酸化物膜32、固体電解質層を構成する酸化タンタル膜16、還元発色層を構成する酸化タングステンと酸化チタンの混合膜34、上部電極膜を構成するITO透明電極膜20が順次積層成膜されている。下部ITO透明電極膜12の一端部には予めレーザエッチングにより分割線22が形成されて、該一端部の領域12aが電気的に分離されている。上部ITO透明電極膜20の一端部はこの下部ITO透明電極膜12の分離された領域12aに電気的に接続されている。基板10の両端部には、電極取り出し用クリップ電極24,26が装着されている。クリップ電極24は下部ITO透明電極膜12に電気的に接続され、クリップ電極26は上部ITO透明電極膜20に電気的に接続されている。上部ITO透明電極膜12の上には透明液状封止樹脂28が塗布され、そこに透明封止部材30として透明ガラス板が接着され、該液状封止樹脂28が硬化されて、積層膜全体を封止している。以上の構成により、図1のEC素子は全体が厚み方向に透明に構成されている。
【0012】
図1のEC素子によれば、クリップ電極24側を正極性、クリップ電極26側を負極性にして電圧を印加すると酸化発色層32および還元発色層34がともに着色し、逆電圧を印加する(あるいは短絡する)と両発色層32,34がともに消色する。着色および消色時の各層の化学反応は例えば次式のとおりである。
【化6】
【0013】
図1のEC素子の製造工程の一例を順を追って説明する。
(1)ITO透明電極膜12が成膜された透明ガラス基板10を用意し、所望の形状にカットする。あるいは、所望の形状にカットされた透明ガラス基板10を用意し、ITO透明電極膜12を成膜する。
(2)透明ガラス基板10をレーザエッチングして分割線22を形成する。
(3)基板10を真空蒸着装置の真空チャンバー内に収容し、NiOまたはNiを蒸着材料(出発材料)とする真空蒸着法により、ニッケル酸化物膜32を成膜する。Niを蒸着材料とする場合は、蒸発したNiが真空チャンバー内の酸素と化合してニッケル酸化物となる。
(4)続けて、Ta2O5を蒸着材料とする真空蒸着法(正確には、高周波を印加したイオンプレーティング法)により、酸化タンタル膜16を成膜する。
(5)続けて、WO3およびTiO2をそれぞれ蒸着材料とする二元真空蒸着法により、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34を成膜する。この二元真空蒸着を行う際の真空蒸着装置内における各要素の配置例を図3に示す。回転する基板ホルダ11の下面には酸化タンタル膜16まで成膜された複数の基板10が成膜面を下に向けて保持されている。基板ホルダ11の下方には、るつぼ13,15が配置されている。るつぼ13には、蒸着材料17としてWO3が収容されている。るつぼ15には、蒸着材料19としてTiO2が収容されている。蒸着材料17,19は電子ビーム21,23が当てられてそれぞれ加熱され、蒸発する。蒸発した蒸着材料17,19は上昇し、混合されて基板10に堆積し、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34を形成する。るつぼ13,15の斜め上方には、膜厚計として水晶振動子25,27がそれぞれ配置されている。水晶振動子25の振動周波数の変化により、蒸着材料17の蒸発速度が監視される。水晶振動子27の振動周波数の変化により、蒸着材料19の蒸発速度が監視される。これら監視される蒸発材料17,19の蒸発速度に応じて電子ビーム21,23の出力を調整することにより、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34の酸化タングステンと酸化チタンの混合比が所定値に調整される。なお、以上の一連の成膜工程(3)〜(5)は、基板10を基板ホルダ11に保持したまま真空チャンバーの外に取り出さずに、蒸発源および成膜条件を順次切り換えながら連続的にして行うことができる。
(6)基板10を真空チャンバーから一旦取り出し、マスクパターンを換えて再び真空チャンバー内に収容し、ITOを蒸着材料とする真空蒸着法(正確には、高周波を印加したイオンプレーティング法)により、上部ITO透明電極膜20を成膜する。なお、以上の成膜工程(3)〜(6)のうち、工程(4)の酸化タンタル膜16の成膜を600Wの高周波を印加したイオンプレーティング法により行い、工程(6)の上部ITO透明電極膜20を400Wの高周波を印加したイオンプレーティング法により行った。他の工程(3)、(5)は、高周波を印加しないで行った。特に、工程(3)のニッケル酸化物膜32の成膜を、NiOペレットを出発材料として高周波を印加したイオンプレーティング法により行ったところ、初めから着色したニッケル酸化物膜が成膜されてしまい、高周波を印加しない方がよい(無色透明のニッケル酸化物膜を成膜できる)ことがわかった。
(7)成膜工程が終了したら、基板10を真空チャンバーから取り出し、クリップ電極24,26を装着する。
(8)透明液状封止樹脂28を塗布し、封止部材30として透明ガラス板を接着し、該液状封止樹脂28を硬化させて完成する。
【0014】
以上の製造工程により製造した図1のEC素子の測定特性を説明する。なお、この測定では、約4cm角のサンプルを使用した。各層の膜厚は、ITO透明電極膜12:約250nm、ニッケル酸化物膜32:約100nm、酸化タンタル膜16:約600nm、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34:約500nm、ITO透明電極膜20:約250nmとした。また、ニッケル酸化物膜32、酸化タンタル膜16、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34の成膜条件は次のとおりとした。ニッケル酸化物膜32は、純度99.9%以上のNiOを蒸着材料として使用し、基板温度120℃、酸素分圧3×10−4Torr、成膜速度0.75nm/秒で成膜した。酸化タンタル膜16は、純度99.9%以上のTa2O5を蒸着材料として使用し、基板温度120℃、酸素分圧3×10−4Torr、成膜速度0.67nm/秒で成膜した。酸化タングステン・酸化チタン混合膜34は、いずれも純度99.9%以上のWO3、TiO2を蒸着材料として使用し、基板温度120℃、酸素分圧1.6×10−4Torrで成膜した。なお、WO3とTiO2の蒸発速度比は実現しようとする酸化タングステンと酸化チタンの混合比に応じて設定する。例えば、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34に含まれるタングステン原子とチタン原子の原子数の合計値に対するチタン原子数の割合(at%:原子百分率)をW:Ti=72:28とする混合比に設定する場合は、、WO3とTiO2の蒸発速度比(水晶振動子25,27で計測される膜厚増大速度比)を約3:2に設定した。
【0015】
製造されたEC素子のニッケル酸化物膜32は結晶(多結晶)であった。酸化タングステン・酸化チタン混合膜34はアモルファスであった。NiOの蒸着過程でNiOの一部が他のニッケル酸化物{Ni(OH)2,Ni2O3,NiOOH等}に変化している可能性があるが、いずれにしてもニッケル酸化物膜32はNiOが主成分であると考えられる。同様に、WO3およびTiO2の二元蒸着過程でWO3の一部が他の酸化タングステン(タングステン酸化物)に変化し、TiO2の一部が他の酸化チタン(チタン酸化物)に変化している可能性があるが、いずれにしても酸化タングステン・酸化チタン混合膜34はWO3・TiO2混合物が主成分であると考えられる。なお、ニッケル酸化物膜32は、結晶、微結晶、アモルファスのいずれの状態であってもEC現象を呈するものと考えられる。酸化タングステン・酸化チタン混合膜34は結晶化させると着消色の効率が下がるので、アモルファスが望ましいと考えられる。
【0016】
図1のEC素子において還元発色層34の酸化タングステンと酸化チタンの混合比を様々に変化させた場合の分光透過率特性を図4に示す。図4に示されているTiの比率の数値(at%)は、X線光電子分光法(ESCA)で測定される、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34に含まれるタングステン原子とチタン原子の原子数の合計値に対するチタン原子数の割合を示したものである。なお、図4の測定では、着色時は、印加電圧を2.0Vとし、90秒印加した後の特性を測定した。また、消色時は、消色電圧を−2.0Vとし、90秒印加した後の特性を測定した。図4によれば、着色時は酸化タングステンと酸化チタンの混合比によって分光特性の特に長波長側が変化し、TiO2が少なくなるほど長波長側のレベルが下がって青みが強くなり、TiO2が多くなるほど長波長側のレベルが上がって青みが少なくなってくることがわかる。そして、チタン原子数の比率が5〜40at%(つまり、WとTiの原子数の比率が、W:Ti=95:5乃至60:40)の範囲では灰色を示した。特に、チタン原子数の比率が20〜30at%(つまり、WとTiの原子数の比率が、W:Ti=80:20乃至70:30)の範囲で分光特性が可視領域(400〜800nm)で平坦に近くなり、ほぼ純粋な灰色が得られた。なお、消色時はTiO2の混合比による分光特性の違いは少なく、人間の視感度のピーク位置(波長550nm)での透過率はいずれも80%以上(可視光域全体での平均透過率は約80%)得られ、無彩色でほぼ透明の透過色が得られた。
【0017】
次に、図1のEC素子において着色電圧を様々に変化させた場合の分光透過率特性および消色電圧を印加したときの分光透過率特性を図5に示す。なお、図5の測定では、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34に含まれるチタン原子数の比率を28at%(WとTiの原子数の比率が、W:Ti=72:28)とした。また、着色時は、着色電圧を90秒印加した後の特性を測定した。消色時は、消色電圧を−1.5Vとし、90秒印加した後の特性を測定した。図5によれば、着色時は、着色電圧が高いほど透過率が低くなりかつ特性が可視領域で平坦になって青みが少なくなってくることがわかる。そして、着色電圧が1.75Vより高くなると濃い着色時色が得られた。特に、着色電圧が2V以上では、透過率が可視領域のほぼ全域で10%近くまたはそれ以下まで下がり、特性がより平坦化されて、ほぼ純粋な灰色が得られた。したがって、着色時の印加電圧のピーク値は、1.75V以上、より好ましくは2V以上で、耐圧以下とするのが望ましい。消色時の特性も、可視領域で比較的平坦であり、無彩色でほぼ透明の透過色が得られた。消色時の透過率は人間の視感度のピーク位置で80%以上得られた。
【0018】
次に、図1のEC素子において着色電圧を様々に変化させた場合の着色時の応答速度特性を図6に示す。なお、図6の測定では、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34に含まれるチタン原子数の比率を28at%とした。また、透過率は人間の視感度のピーク位置(波長550nm)での値を測定した。図6によれば、応答速度特性は素子の面積によって異なり、素子面積が小さいほど速く、素子面積が大きいほど遅くなる。カメラ用露出調整素子として使用する場合は、素子面積は比較的小面積で済み、1.75V以上の着色電圧であれば、比較的瞬時に濃い着色濃度まで到達する。
【0019】
次に、図1のこの発明のEC素子と図2の従来のEC素子の分光透過率特性の違いを図7に示す。なお、図7の測定では、図1のEC素子は、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34に含まれるチタン原子数の比率を28at%とした。着色電圧は、図1のEC素子は2.0V、図2の従来のEC素子は1.5Vとし、いずれも30秒印加した。消色電圧は、いずれも−1.5Vとし、30秒印加した。図7によれば、着色時の透過色は、図2の従来のEC素子は青みが非常に強いのに対し、図1のEC素子は特性が可視領域で平坦で、灰色が得られた。また、消色時の透過色は、図2の従来のEC素子は、黄色付近のレベルが高いので、黄色みがかった色となるのに対し、図1のEC素子は無彩色でほぼ透明であった。また、図1のEC素子は、着色時の透過率が可視領域のほぼ全域で約20%、消色時の透過率が人間の視感度のピーク位置で約80%であった。この透過率80%という数値は、図2の従来のEC素子に比べて高く、見た目にも該従来のEC素子に比べて透明度が高かった。
【0020】
なお、図2の従来構造において、酸化発色層14の材料をニッケル酸化物(NiOが主成分)に変えただけでは灰色の着色時色は得られなかった。また、還元発色層18の材料を酸化タングステン・酸化チタン混合物(WO3・TiO2混合物が主成分)に変えただけでも灰色の着色時色は得られなかった。酸化発色層14の材料をニッケル酸化物(NiOが主成分)に変え、かつ還元発色層18の材料を酸化タングステン・酸化チタン混合物(WO3・TiO2混合物が主成分)に変えたら、灰色の着色時色が得られた。
【0021】
以上のように、図1のEC素子は、着色時には灰色の透過色が得られ、消色時には無彩色でほぼ透明の透過色が得られるので、EC素子を通して得られる影像に色相の変化が生じることを嫌う用途に特に好適である。図1のEC素子をデジタルカメラ(スチルカメラ、ビデオカメラ等)に使用する場合の光学系の主要部の配置例を図8に模式的に示す。レンズ36からCCD等の撮像素子42に至る光軸上に、モータ駆動によるメカ式絞り38および図1のEC素子によるNDフィルタ40が順次配列されている。EC素子NDフィルタ40は固定的に配置されている。別途搭載されている測光素子で測光される被写体の輝度が所定値以内のときはEC素子NDフィルタ40は消色されている。消色時はEC素子NDフィルタ40の可視光域平均透過率が約80%あるので、露出不足となることはない。また、透過色は無彩色でほぼ透明なので、撮影された画像が青みがかることはなく、ホワイトバランスも取り易い。被写体輝度が所定値よりも大きくなり、絞り38では適切な露出調整ができなくなると、EC素子NDフィルタ40に所定の着色電圧(例えば2.0V)を印加し着色状態にして減光する。着色時はEC素子NDフィルタ40の可視光域平均透過率が約20%であり、十分に減光することができる。また、透過色は灰色なので色再現性がよく、撮影された画像が青みがかることはない。その後被写体輝度が所定値よりも低下したら、EC素子NDフィルタ40に所定の消色電圧を印加(または両電極間を短絡)して、消色状態にする。このように、従来のモータ駆動式NDフィルタをEC素子NDフィルタ40で置き換えることにより、メカ構成が簡単になり、カメラの小型化、デザイン性向上、軽量化が図れる。また、モータ駆動が不要なので、省電力化が図れる。また、EC素子NDフィルタ40は着脱が不要であり、着脱操作の手間がかからない。また、EC素子NDフィルタ40は1眼レフカメラにも内蔵することができる。また、EC素子NDフィルタ40は全固体型なので、破損した場合の液の漏出等の問題がない。
【0022】
なお、以上の例ではEC素子NDフィルタ40の着色量の調整を着色、消色の1段階(オン/オフ)切り換え式にしたが、着色電圧の調整により2段階以上の切り換え式あるいは無段階切り換え式にして、着色量を2段階以上または無段階に調整する(着色電圧のピーク値を、例えば1.75V以上、より好ましくは2V以上とする。)こともできる。そしてそのように構成した場合は、EC素子NDフィルタ40で絞りの機能を兼ねてメカ式絞り38を無くすことも可能になり、メカ構成をより簡単にすることができる。
【0023】
なお、図1のEC素子はデジタルカメラだけでなくフィルム式カメラの露出調整素子として用いることもできる。また、図1のEC素子は、サングラス、調光ガラス、サンルーフ等に用いることもできる。
【0024】
(実施の形態2)
この発明の実施の形態2を図9に示す。これは、図1の実施の形態において、酸化発色層を構成するニッケル酸化物膜32と、還元発色層を構成する酸化タングステン・酸化チタン混合膜34の配置を入れ替えたものである。図1の実施の形態と共通する部分には同一の符号を用いる。
【0025】
(実施の形態3)
この発明の実施の形態3を図10に示す。これは、基板側を表面側とする車両用等の防眩ミラーを構成したものである。図1の実施の形態と共通する部分には同一の符号を用いる。透明ガラス基板10の上に下部電極膜を構成するITO透明電極膜12が成膜され、その上に、酸化発色層を構成するニッケル酸化物膜32、固体電解質層を構成する酸化タンタル膜16、還元発色層を構成する酸化タングステン・酸化チタン混合膜34、上部電極膜兼反射膜を構成するAl,Ni,Cr等の反射電極膜44が順次積層成膜されている。下部ITO透明電極膜12の一端部には予めレーザエッチングにより分割線22が形成されて、該一端部の領域12aが電気的に分離されている。上部電極膜兼反射膜44の一端部はこの下部ITO透明電極膜12の分離された領域12aに電気的に接続されている。基板10の両端部には、電極取り出し用クリップ電極24,26が装着されている。クリップ電極24は下部ITO透明電極膜12に電気的に接続され、クリップ電極26は上部電極膜兼反射膜44に電気的に接続されている。上部電極膜兼反射膜44の上には液状封止樹脂46が塗布され、そこに封止部材48としてガラス板、樹脂板、金属板等の板状部材が接着され、該液状封止樹脂46が硬化されて、積層膜全体を封止している。以上の構成により、図10のEC素子は透明ガラス基板10側を表面側とし、着色時は色が灰色で低反射率、消色時は色が無彩色で高反射率の防眩ミラーを構成する。
【0026】
(実施の形態4)
この発明の実施の形態4を図11に示す。これは、封止部材側を表面側とする車両用等の防眩ミラーを構成したものである。図1および図10の実施の形態と共通する部分には同一の符号を用いる。ガラス等の基板50の上に下部電極膜兼反射膜を構成する反射電極膜52が成膜され、その上に、酸化発色層を構成するニッケル酸化物膜32、固体電解質層を構成する酸化タンタル膜16、還元発色層を構成する酸化タングステン・酸化チタン混合膜34、上部電極膜を構成するITO透明電極膜20が順次積層成膜されている。反射電極膜52はそれよりも上層の積層工程で腐食しない金属材料を使用するのが望ましい。反射電極膜52の一端部には予めレーザエッチングにより分割線22が形成されて、該一端部の領域52aが電気的に分離されている。上部ITO透明電極膜20の一端部はこの反射電極膜52の分離された領域52aに電気的に接続されている。基板50の両端部には、電極取り出し用クリップ電極24,26が装着されている。クリップ電極24は反射電極膜52に電気的に接続され、クリップ電極26は上部ITO透明電極膜20に電気的に接続されている。上部ITO透明電極膜20の上には透明液状封止樹脂28が塗布され、そこに封止部材30として透明ガラス板が接着され、該液状封止樹脂28が硬化されて、積層膜全体を封止している。以上の構成により、図11のEC素子は透明封止樹脂28側を表面側とし、着色時は色が灰色で低反射率、消色時は色が無彩色で高反射率の防眩ミラーを構成する。
【0027】
(実施の形態5)
この発明の実施の形態5を図12に示す。これは、基板側を表面側とする表示素子を構成したものである。図1の実施の形態と共通する部分には同一の符号を用いる。透明ガラス基板10の上に下部電極膜を構成するITO透明電極膜12が成膜され、その上に、酸化発色層を構成するニッケル酸化物膜32、固体電解質層を構成する酸化タンタル膜16、還元発色層を構成する酸化タングステン・酸化チタン混合膜34、上部電極膜を構成するITO透明電極膜20が順次積層成膜されている。下部ITO透明電極膜12の一端部には予めレーザエッチングにより分割線22が形成されて、該一端部の領域12aが電気的に分離されている。上部ITO透明電極膜20の一端部はこの下部ITO透明電極膜12の分離された領域12aに電気的に接続されている。基板10の両端部には、電極取り出し用クリップ電極24,26が装着されている。クリップ電極24は下部ITO透明電極膜12に電気的に接続され、クリップ電極26は上部ITO透明電極膜20に電気的に接続されている。なお、上下ITO透明電極膜12,20は任意の文字、記号、絵等を表示するようにパターニングされている。上部ITO透明電極膜12の上には透明液状封止樹脂28が塗布され、そこに封止部材54として白色ガラス板等の不透明背景板が接着され、該液状封止樹脂28が硬化されて、積層膜全体を封止している。以上の構成により、図12のEC素子は透明ガラス基板10側を表面側とする表示素子を構成する。この場合、表示色は灰色になるので、従来の青色等の色相を有する表示に比べて違和感のない表示を行うことができる。また、セグメント方式あるいはドットマトリクス方式等の文字盤や時計等の表示装置を構成した場合に、消色部分が無彩色でほぼ透明になるので、表示を視認しやすい。
【0028】
(実施の形態6)
この発明の実施の形態6を図13に示す。これは、封止部材側を表面側とする表示素子を構成したものである。図1および図12の実施の形態と共通する部分には同一の符号を用いる。白色ガラス板等の不透明背景基板56の上に下部電極膜を構成するITO透明電極膜12が成膜され、その上に、酸化発色層を構成するニッケル酸化物膜32、固体電解質層を構成する酸化タンタル膜16、還元発色層を構成する酸化タングステン・酸化チタン混合膜34、上部電極膜を構成するITO透明電極膜20が順次積層成膜されている。下部ITO透明電極膜12の一端部には予めレーザエッチングにより分割線22が形成されて、該一端部の領域12aが電気的に分離されている。上部ITO透明電極膜20の一端部はこの下部ITO透明電極膜12の分離された領域12aに電気的に接続されている。基板56の両端部には、電極取り出し用クリップ電極24,26が装着されている。クリップ電極24は下部ITO透明電極膜12に電気的に接続され、クリップ電極26は上部ITO透明電極膜20に電気的に接続されている。なお、上下ITO透明電極膜12,20は任意の文字、記号、絵等を表示するようにパターニングされている。上部ITO透明電極膜12の上には透明液状封止樹脂28が塗布され、そこに封止部材30として透明ガラス板が接着され、該液状封止樹脂28が硬化されて、積層膜全体を封止している。以上の構成により、図13のEC素子は封止部材30側を表面側とする表示素子を構成する。この場合、表示色は灰色になるので、従来の青色等の色相を有する表示に比べて違和感のない表示を行うことができる。また、セグメント方式あるいはドットマトリクス方式等の文字盤や時計等の表示装置を構成した場合に、消色部分が無彩色でほぼ透明になるので、表示を視認しやすい。
【0029】
なお、実施の形態3〜6においても、酸化発色層を構成するニッケル酸化物膜32と、還元発色層を構成する酸化タングステン・酸化チタン混合膜34の配置を入れ替えることができる。また、前記各実施の形態では固体電解質層16をTa2O5膜で構成したが、他の無機固体電解質材料(例えば、SiO2、MgF2、Sb2O5、ZrO2等)を使用することもできる。
【0030】
(実施の形態7)
この発明の実施の形態7を図14に示す。これは、図1の構造において、液状封止樹脂28に代えて、固体状封止樹脂部材を使用したものである。下部ITO透明電極膜12付き透明ガラス基板10の上に酸化発色層32、固体電解質層、還元発色層34、上部ITO透明電極膜20の積層膜を成膜した後、固体状封止樹脂部材としてリング状封止樹脂部材55を該積層膜の周囲を取り囲んで配置し、該リング状封止樹脂部材55の下面を透明ガラス基板10に接着し、上面を封止部材30に接着して全体を一体化する。上部ITO透明電極膜20と封止部材30との間には、エアーギャップ(空気層)57が形成されていてもよい。
【0031】
(実施の形態8)
この発明の実施の形態8を図15に示す。これは、図1の構造において、固体電解質層16を、無機固体電解質材料に代えて、高分子固体電解質材料(導電性ポリマーシート)で構成したものである。図1の実施の形態と共通する部分には同一の符号を用いる。このEC素子は、上下ITO透明電極膜20,12の間に、ニッケル酸化物で構成される酸化発色層32,導電性ポリマーシート58、保護層60、酸化タングステン・酸化チタン混合物で構成される還元発色層34を積層して構成されている。保護層60は還元発色層34を構成する酸化タングステン・酸化チタン混合膜の保護用である。封止樹脂62は、酸化発色層32,導電性ポリマーシート58、保護層60、還元発色層34で構成される積層体の外周縁全周に塗布、硬化されて、該積層体を封止している。上部ITO透明電極膜20に電気的に接続されるクリップ電極26は、封止部材30側に取り付けられている。
【0032】
このEC素子の製造工程の一例を図16を参照して順を追って説明する。
(1)ITO透明電極膜が成膜された所定形状の2枚の透明ガラス板を、下部ITO透明電極膜12付き透明ガラス基板10、上部ITO透明電極膜20付き封止部材30としてそれぞれ用意する。
(2)基板10を真空蒸着装置内に収容し、NiOまたはNiを蒸着材料(出発材料)とする真空蒸着法により、ニッケル酸化物膜32を成膜する。
(3)基板10を真空蒸着装置から取り出し、封止部材30を真空蒸着装置内に収容し、WO3およびTiO2をそれぞれ蒸着材料とする二元真空蒸着法により、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34を成膜する。
(4)続けて、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34の表面に、該酸化タングステン・酸化チタン混合膜34の保護層60として、例えばTa2O5膜を成膜する。
(5)封止部材30を真空蒸着装置から取り出し、基板10と封止部材30にクリップ電極24,26をそれぞれ取り付ける。
(6)基板10と封止部材30を積層面どうしを対面させ、間に導電性ポリマーシート58を挟んで密着させる。
(7)積層体の外周縁全周に液状封止樹脂を塗布し、硬化させて該積層体を封止し、全体を一体化させて完成する。
【0033】
(実施の形態9)
この発明の実施の形態9を図17に示す。これは、図1の構造において、固体電解質層16に代えて、液体電解質層で構成したものである。図1の実施の形態と共通する部分には同一の符号を用いる。このEC素子は、上下ITO透明電極膜20,12の間に、ニッケル酸化物で構成される酸化発色層32,液体電解質層64、酸化タングステン・酸化チタン混合物で構成される還元発色層34を積層して構成されている。液体電解質層64には、スペーサ66が挟み込まれている。封止樹脂68は、酸化発色層32、液体電解質層64、還元発色層34で構成される積層体の外周縁全周に塗布、硬化されて、該積層体を封止している。上部ITO透明電極膜20に電気的に接続されるクリップ電極26は、封止部材30側に取り付けられている。
【0034】
このEC素子の製造工程の一例を図18を参照して順を追って説明する。
(1)ITO透明電極膜が成膜された所定形状の2枚の透明ガラス板を、下部ITO透明電極膜12付き透明ガラス基板10、上部ITO透明電極膜20付き封止部材30としてそれぞれ用意する。
(2)基板10を真空蒸着装置内に収容し、NiOまたはNiを蒸着材料(出発材料)とする真空蒸着法により、ニッケル酸化物膜32を成膜する。
(3)基板10を真空蒸着装置から取り出し、封止部材30を真空蒸着装置内に収容し、WO3およびTiO2をそれぞれ蒸着材料とする二元真空蒸着法により、酸化タングステン・酸化チタン混合膜34を成膜する。
(4)封止部材30を真空蒸着装置から取り出し、基板10と封止部材30にクリップ電極24,26をそれぞれ取り付ける。
(5)基板10と封止部材30を積層面どうしを、間にスペーサ66を挟み込んで対面させ、液体電解質層64を形成するためのエアーギャップを形成する。
(6)積層体の外周縁に、液体注入口(図示せず)を残して液状封止樹脂68を塗布し、硬化させて全体を一体化させる。
(7)液体注入口から液体電解質を注入し、液体電解質層64を形成する。
(8)液体注入口を液状封止樹脂で塞ぎ、硬化させて完成する。
【0035】
なお、前記実施の形態では、酸化発色層を構成する酸化タングステン・酸化チタン混合膜をWO3およびTiO2をそれぞれ蒸着材料とする二元真空蒸着法で成膜したが、所定混合比のWO3・TiO2混合材を予め作製し、これをターゲット材(出発材料)としてスパッタ法により酸化タングステン・酸化チタン混合膜を成膜することもできる。また、前記実施の形態では、酸化発色層を構成するニッケル酸化物膜を真空蒸着法で成膜したが、NiOまたはNiをターゲット材(出発材料)とするスパッタ法により成膜することもできる。Niをターゲット材とする場合は、飛散したNiが真空チャンバー内の酸素と化合してニッケル酸化物となる。また、前記実施の形態では、酸化発色層をニッケル酸化物で構成したが、酸化発色層はニッケル酸化物を主成分として含んでいればよく、素子全体の着色時色が灰色から外れない範囲でニッケル酸化物以外の物質を添加させることもできる。また、前記実施の形態では還元発色層を酸化タングステン・酸化チタン混合物で構成したが、酸化タングステンを主成分とし酸化チタンを混合させた材料を含んでいればよく、素子全体の着色時色が灰色から外れない範囲で他の物質を添加させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1を示す図で、EC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図2】従来のEC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図3】酸化タングステン・酸化チタン混合膜を二元真空蒸着で成膜する際の真空蒸着装置内における各要素の配置例を示す模式図である。
【図4】図1のEC素子において還元発色層の酸化タングステンと酸化チタンの混合比を様々に変化させた場合の分光透過率特性を示す図である。
【図5】図1のEC素子において着色時の印加電圧を様々に変化させた場合の分光透過率特性を示す図である。
【図6】図1のEC素子において着色電圧を様々に変化させた場合の着色時の応答速度特性を示す図である。
【図7】図1のこの発明のEC素子と図2の従来のEC素子の分光透過率特性を示す図である。
【図8】図1のEC素子をデジタルカメラに使用する場合の光学系の主要部の配置例を示す模式図である。
【図9】この発明の実施の形態2を示す図で、EC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図10】この発明の実施の形態3を示す図で、EC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図11】この発明の実施の形態4を示す図で、EC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図12】この発明の実施の形態5を示す図で、EC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図13】この発明の実施の形態6を示す図で、EC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図14】この発明の実施の形態7を示す図で、EC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図15】この発明の実施の形態8を示す図で、EC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図16】実施の形態8のEC素子の製造方法を説明する模式図である。
【図17】この発明の実施の形態9を示す図で、EC素子の積層断面構造を示す模式図である。
【図18】実施の形態9のEC素子の製造方法を説明する模式図である。
【符号の説明】
10…透明ガラス基板、12…下部ITO透明電極膜、16…無機固体電解質層、20…上部ITO透明電極膜、28…透明封止樹脂、30…透明封止部材、32…酸化発色層、34…還元発色層、42…撮像素子、44,52…反射電極膜、46…封止樹脂、48…封止部材、50…基板、54…封止部材(不透明背景板)、56…不透明背景基板、58…導電性ポリマーシート(高分子固体電解質材料)、64…液体電解質層。
Claims (17)
- 還元発色層と酸化発色層を電解質層を挟んで対向配置した構造を有するエレクトロクロミック素子において、
前記還元発色層が酸化タングステンと酸化チタンを含有する材料で構成され、
前記酸化発色層がニッケル酸化物を含有する材料で構成され、
着色時の色が灰色を呈するエレクトロクロミック素子。 - 2枚の板材の間に、第1の電極層、還元発色層、電解質層、酸化発色層、第2の電極層を積層配置し、前記2枚の板材および前記2層の電極層のうち、少なくとも一方側の板材および電極層の組み合わせが透明に構成されているエレクトロクロミック素子において、
前記還元発色層が酸化タングステンと酸化チタンを含有する材料で構成され、
前記酸化発色層がニッケル酸化物を含有する材料で構成され、
着色時の色が灰色を呈するエレクトロクロミック素子。 - 前記2枚の板材および前記2層の電極層がいずれも透明に構成され、素子全体が厚み方向に透明に構成されてなり、デジタルカメラの撮像素子の光軸上に露出調整素子として配置されている請求項2記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記2枚の板材および前記2層の電極層のうち、一方側の板材および電極層の組み合わせが透明に構成され、他方側の電極層が金属反射膜で構成されてなり、反射率可変ミラーを構成している請求項2記載のエレクトロクロミック素子。
- 基材と、
該基材の上に固定形成された第1の電極層と、
該第1の電極膜の上に固定形成された酸化または還元発色層と、
該酸化または還元発色層の上に固定形成された固体電解質層と、
該電解質層の上に固定形成された還元または酸化発色層と、
該還元または酸化発色層の上に固定形成された第2の電極層と
を具備し、前記第1、第2の電極層の少なくとも一方が透明に構成されているエレクトロクロミック素子において、
前記還元発色層が酸化タングステンと酸化チタンを含有する材料で構成され、
前記酸化発色層がニッケル酸化物を含有する材料で構成され、
着色時の色が灰色を呈するエレクトロクロミック素子。 - 前記基材が透明板状部材で構成され、前記第1、第2の電極層が透明電極膜で構成され、前記第2の電極層の上に透明封止樹脂を介して透明板状封止部材が接合され、素子全体が厚み方向に透明に構成されてなり、デジタルカメラの撮像素子の光軸上に露出調整素子として配置されている請求項5記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記基材が透明板状部材で構成され、前記第1の電極層が透明電極膜で構成され、前記第2の電極層が金属反射膜で構成され、該第2の電極層の上に封止樹脂を介して封止部材が接合されてなり、前記基材側を表面側とする反射率可変ミラーを構成している請求項5記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記還元発色層は酸化タングステンと酸化チタンを主成分とする混合物の膜であり、または、酸化タングステンが主成分で酸化チタンが添加されている混合物の膜であり、前記酸化発色層はニッケル酸化物を主成分とする膜である請求項1から7のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記還元発色層に含まれるタングステン原子の原子数がチタン原子の原子数よりも多い請求項1から8のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記還元発色層に含まれるタングステン原子とチタン原子の原子数の合計値に対するチタン原子数の割合が5〜40%、好ましくは20〜30%である請求項9記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記酸化タングステンはWO3が主成分であり、前記酸化チタンはTiO2が主成分であり、前記ニッケル酸化物はNiOが主成分である請求項1から10のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記ニッケル酸化物はNi(OH)2を含有する請求項1から11のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記還元発色層はアモルファスであり、前記酸化発色層は結晶または微結晶またはアモルファスである請求項1から12のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記還元発色層はWO3およびTiO2をそれぞれ出発材料とする二元蒸着により形成される膜の成分を含み、前記酸化発色層はNiOを出発材料とする蒸着により形成される膜の成分を含む請求項1から14のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
- 着色時の印加電圧のピーク値が1.75V以上、より好ましくは2V以上である請求項1から15のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
- 消色時の色が無彩色を呈する請求項1から16のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
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