JPH08254717A - エレクトロクロミック調光装置 - Google Patents

エレクトロクロミック調光装置

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JPH08254717A
JPH08254717A JP7059285A JP5928595A JPH08254717A JP H08254717 A JPH08254717 A JP H08254717A JP 7059285 A JP7059285 A JP 7059285A JP 5928595 A JP5928595 A JP 5928595A JP H08254717 A JPH08254717 A JP H08254717A
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oxide
glass
light control
film
layer
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JP7059285A
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English (en)
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Junichi Nagai
順一 永井
Tetsuya Seike
哲也 清家
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AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
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    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/01Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour 
    • G02F1/15Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on an electrochromic effect
    • G02F1/1514Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on an electrochromic effect characterised by the electrochromic material, e.g. by the electrodeposited material
    • G02F1/1523Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on an electrochromic effect characterised by the electrochromic material, e.g. by the electrodeposited material comprising inorganic material
    • G02F1/1525Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on an electrochromic effect characterised by the electrochromic material, e.g. by the electrodeposited material comprising inorganic material characterised by a particular ion transporting layer, e.g. electrolyte

Abstract

(57)【要約】 【目的】高プロトン伝導性の電解質層とし、透過率又は
反射率の変化幅を大きくする。 【構成】透明基板1のソーダライムシリカガラス上に透
明導電膜2として10Ω/□のITOをコートし、酸化
発色型酸化物3としてNiOをコートし、カチオン伝導
層4としてSbO2.4 をDCマグネトロン反応性スパッ
タ法を用いて成膜した。成膜速度は0.47nm/秒、
膜厚は648nmであった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、全固体型のエレクトロ
クロミック(EC)調光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトロクロミズムを応用した公知の
調光装置で耐候性の優れた装置はすべて無機系材料に基
づく全固体型であり、(1)ガラス/ITO/IrO
2 :Sn/Ta25 /WO3 /ITO/接着樹脂/ガ
ラス(透過型装置)、(2)ガラス/ITO/IrO
2 :Sn/Ta25 /WO3 /Al/接着樹脂/ガラ
ス(反射型装置)、(3)ガラス/ITO/NiO/T
25 /WO3 /Al/接着樹脂/ガラス(反射型装
置)、等のタイプがあげられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】いずれも、WO3 を還
元発色層とし、電解質がTa25 のプロトン電解質層
であり、これらは以下のような欠点があった。
【0004】(1)Ta25 /WO3 の界面の付着力
が弱く、剥離しやすい。 (2)Ta25 はPVD法による成膜では水和物を形
成しにくく、高プロトン伝導性にすることが困難であ
る。したがって、EC調光装置の透過率又は反射率の変
化幅を大きくできない。さらに、(3)Ta25 は電
子ビーム蒸着、スパッタ法による成膜のいずれの方法に
よる成膜でも成膜速度が遅い。
【0005】本発明の目的は、従来技術の前述の課題を
解消しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、透明基板上に
形成された透明導電膜の上に酸化発色型酸化物、電解質
としてのカチオン伝導層、還元発色型酸化物、透明導電
膜が順次形成されてなる全固体型のエレクトロクロミッ
ク調光装置において、(1)酸化発色型酸化物が酸化ニ
ッケル又は酸化コバルトのp型半導体であり、(2)カ
チオン伝導層が赤外反射スペクトルで3300(1/c
m)付近にピークをなすOH基を有するもので、プロト
ン伝導性のSbOc (1.3≦c≦2.7)、又はリチ
ウム伝導性のLid MOe (0.01≦d≦1.0、
1.3≦e≦2.7、MはNb、Sb、B、P、Si、
Ge、Al、Ce、La、Zrの群から選ばれる1種の
元素)で表される少なくとも1種の含リチウム酸化物で
あり、(3)還元発色型酸化物が酸化タングステン、酸
化モリブデン、又は酸化チタンであることを特徴とする
エレクトロクロミック調光装置を提供する。
【0007】図1は本発明のEC調光ガラスの断面構成
を示す。透明基板1はガラス又はPMMA(ポリメチル
メタアクリレート)、PET(ポリエチレンテレフタレ
ート)等のプラスチック等の透明媒質からなり、透明導
電膜2はITO(In23:Sn)、SnO2 :F、
ZnO:Ga等からなる。
【0008】酸化発色型酸化物3はNiOa (0.9≦
a≦1.1)、CoOb (0.9≦b≦1.1)等のp
型半導体であり、特にNiO、CoOが高着色効率、高
耐久性という点で好ましい。NiOはOH- の移動によ
りエレクトロクロミック性を発現するが、このとき電解
質がLiNbO3 であれば、NiOのエレクトロクロミ
ック性が活性化されやすく好ましい。
【0009】電解質としてのカチオン伝導層4は赤外反
射スペクトルで3300(1/cm)付近にピークをな
すOH基を有するもので、プロトン伝導性のSbOc
(1.3≦c≦2.7)、又はリチウム伝導性のLid
MOe (0.01≦d≦1.0、1.3≦e≦2.7、
MはNb、Sb、B、P、Si、Ge、Al、Ce、L
a、Zrの群から選ばれる1種の元素)で表される少な
くとも1種の含リチウム酸化物であり、Sb23 ・n
2 O、Sb25 ・nH2 O、Sb613・nH2
O、Sb24 ・nH2 O(n=0.01〜5)等で示
されるSbOc 水和酸化物、又はLiNbO3 ・nH2
O(n=0.01〜10)がカチオンの伝導度が高いた
め好ましい。
【0010】還元発色型酸化物5はWO3 、MoO3
はTiO2 からなり、透明導電膜6はITO、SnO
2 :F、ZnO:Ga等であり、透明接着性樹脂7はエ
チレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルア
セタール、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹
脂、ポリウレタン樹脂等の樹脂等である。
【0011】8はガラス等からなる対向面側の透明基板
であり、周辺シール9は酸化発色型酸化物3〜透明接着
性樹脂7の層を大気中の水分、湿気から守るためのもの
で、透湿性の小さなエポキシ樹脂、ブチルゴム等を単独
一重シール又は複数使用して二重シールとしたものであ
る。
【0012】導電性のバスバー電極10はAl、Cu、
Ti、ステンレス等の導電性の金属からなるか、又は導
電性ペーストを塗付焼成したものが用いられ、導電膜2
とオーミック接触し導電膜2に電流を流したり導電膜2
から電流を受けるために使用される。導電性のバスバー
電極11もバスバー電極10と同様な材質、役割であ
る。
【0013】
【作用】本発明では、電気化学的酸化還元により着消色
を示すEC材料を用いて調光を行う。EC調光ガラスの
断面図である図1において、バスバー電極11に対しバ
スバー電極10を+1.5Vになるように直流電圧を印
加すると、酸化発色型酸化物3(例えばNiOの場合)
に正電位、還元発色型酸化物5層(例えばWO3の場合)
に負電位が印加され、各層で以下のEC反応が生ず
る。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】酸化発色型酸化物3と還元発色型酸化物5
が同時に着色するため、素子全体ではこのときグレイ系
のニュートラルな発色を呈する。電解質層であるカチオ
ン伝導層4(例えばSbOc の場合)、下記化3のよう
にH+ が伝導する。
【0017】
【化3】
【0018】H+ が伝導し還元発色型酸化物5層に注入
され、OH- がH+ とは逆方向に伝導して酸化発色型酸
化物3層に注入されると推測される。
【0019】印加電圧の極性を逆にするか又は導電性バ
スバー10と12をショートすることにより、前記EC
反応が逆方向に進み、もとの透明な状態に戻る。EC調
光ガラスの透過率と注入電気量には一定の関係があり、
注入電気量により、任意の透過率に制御できる。着色状
態は回路をオープンにしてもある期間保持されるメモリ
特性を有する。
【0020】
【実施例】以下に本発明の実施例(例1〜3)及び比較
例(例4)を示す。
【0021】[例1]LiNbO2.9 電解質系EC調光
装置 [例1−a]LiNbO2.9 電解質の作成及び評価 図1の透明基板1としてソーダライムシリカガラスを用
い、その上に透明導電膜2として10Ω/□のITOを
コートした。その上に含リチウム酸化物膜のLiNbO
3 をRFマグネトロン反応性スパッタ法を用いて成膜し
た。
【0022】このLiNbO2.9 は、直径6インチのL
iNbO3 ターゲットを用い、ArとO2 の混合ガス
(Ar:O2 =4:1)で全圧20ミリトル(mTor
r)とし、投入パワーは500Wとした。成膜速度は
0.071nm/秒、膜厚は341.6nmであった。
【0023】図2はLiNbO2.9 /ITO/ガラスの
LiNbO2.9 膜面からの入射角70°、P偏光による
赤外反射スペクトルを示す。図中3300(1/cm)
付近の吸収は吸着水のO−Hの分子振動に基づき、90
0(1/cm)付近の吸収はNb−Oの格子振動によ
る。また1500(1/cm)付近の吸収はH−O−H
の分子振動に基づき、このピークがあるということは、
かなりバルキーな水が膜内に存在していることを示す。
【0024】この吸着水は、図1の透明導電膜6層の成
膜工程で、真空中、250℃、30分で焼成しても大半
が安定に残留するため、このようにして形成されたLi
NbO2.9 はリチウム−プロトン電解質として熱的に安
定である。
【0025】[例1−b]LiNbO2.9 電解質系EC
調光装置の製造及び評価 透明基板1のガラス(30×30cm)上に透明導電膜
2としてシート抵抗10Ω/□のITOをコートした。
表1の成膜条件で、NiOを原料として電子ビーム蒸着
法で酸化発色型酸化物3としてNiOを成膜し、順次ス
パッタ法で、カチオン伝導層4としてLiNbO2.9
(LiNbO3 ターゲット使用、RFスパッタ法) 、還
元発色型酸化物5としてWO3 膜(Wターゲット使用、
DCスパッタ法) 、透明導電膜6としてITO膜(IT
Oターゲット使用、DCスパッタ法) を成膜し、5層構
成のEC調光装置を作成した。
【0026】透明接着性樹脂7としてEVA膜(250
μm)を用いて透明基板8のガラスと真空加熱により合
わせガラス化し、エポキシ樹脂シールで周辺シール9を
行い、セラソルザ(旭硝子社製、商品名)でバスバー電
極10及びバスバー電極11を形成し、EC調光ガラス
を作成した。
【0027】図5にこのEC調光ガラスの室温でのサイ
クル駆動試験の結果を示す。サイクル駆動試験直後消色
時の透過率が少し下がるが、その後は透過率変化は20
〜60%の間で安定に作動し、着色透過率の室温による
ドリフトはほとんど見られない。7万回駆動後も装置に
はなんら外観上の劣化は見られなかった。
【0028】図6はこのEC調光ガラスの60℃でのサ
イクル駆動試験の結果を示す。10万回経過後も透過率
30〜75%の間で安定にサイクル駆動しており、外観
上の劣化は見られなかった。
【0029】また、強エネルギーキセノンウエザーメー
ター(スガ試験機社製、型式XEL−1WN)内に本E
C調光ガラスを投入し、透明基板1面から連続紫外線照
射試験を行ったが、2000時間経過後も正常に動作
し、さらに外観上なんら劣化は生じなかったため、前記
耐久性試験の結果も含め本EC本調光ガラスは優れた特
性を有するといえる。
【0030】[例2]SbO2.4 電解質系EC調光装置 [例2−a]SbO2.4 電解質の作成及び評価 図1の透明基板1としてソーダライムシリカガラスを使
用し、その上に透明導電膜2として10Ω/□のITO
をコートした。その上に、カチオン伝導層4としてSb
2.4 をDCマグネトロン反応性スパッタ法を用いて成
膜した。このSbO2.4 は、直径6インチのSbターゲ
ットを用い、ArとO2 の混合ガス(Ar:O2 =1:
1)で分圧20mTorrとし、投入パワーは100W
で成膜した。成膜速度は0.47nm/秒、膜厚は64
8nmであった。
【0031】図3、4はSbO2.4 /ITO/ガラスの
SbO2.4 膜面からの入射角70°、P偏光による赤外
反射スペクトルを示す。ただし、図3は成膜直後のスペ
クトル、図4はその膜を図1の透明導電膜6層の成膜工
程で、真空中、250℃、30分で焼成したときのスペ
クトルである。図中3300(1/cm)付近の吸収は
吸着水のO−Hの分子振動に基づき、900(1/c
m)付近の吸収はSb−Oの格子振動による。O−Hの
吸収が真空焼成後も残存するということは、吸着水が熱
的に安定に膜内にあるということを意味し、SbO2.4
膜は、Ta25に比べより良好なプロトン電解質であ
るといえる。
【0032】[例2−b]SbO2.4 電解質EC調光系
装置の製造及び評価 透明基板1のガラス(30×30cm)上に透明導電膜
2としてシート抵抗10Ω/□のITOをコートした。
この透明導電性基板に、表2の成膜条件で、NiOを原
料として電子ビーム蒸着法で酸化発色型酸化物3として
NiOを成膜し、順次スパッタ法で、カチオン伝導層4
としてSbO2.4 膜(Sbターゲット使用、DCスパッ
タ法) 、還元発色型酸化物5としてWO3 膜(Wターゲ
ット使用、DCスパッタ法) 、透明導電膜6としてIT
O膜(ITOターゲット使用、DCスパッタ法) を成膜
し、5層構成のEC調光装置を作成した。
【0033】透明接着性樹脂7としてEVA膜(250
μm)を用いて透明基板8のガラスと真空加熱により合
わせガラス化し、エポキシ樹脂シールで周辺シール9を
行い、セラソルザ(旭硝子社製、商品名)でバスバー電
極10及びバスバー電極11を形成し、EC調光ガラス
を作成した。
【0034】図7にこのEC調光ガラスの60℃でのサ
イクル駆動試験の結果を示す。サイクル駆動試験直後着
色透過率が少し上がるが、その後は透過率変化は15〜
70%の間で安定に作動し、着色透過率の室温によるド
リフトはほとんど見られない。12万回駆動後も素子に
は何等外観上の劣化は見られなかった。
【0035】また、図8に示すように強エネルギーキセ
ノンウエザーメーター(スガ試験機社製、型式XEL−
1WN)内に本EC調光ガラスを投入し、1面から連続
紫外線照射試験を行ったが、2000時間経過後も正常
に動作し、さらに外観上なんら劣化は生じなかったた
め、前記耐久性試験の結果も含め本EC調光ガラスは優
れた特性を有するといえる。
【0036】本EC調光ガラスの着消色に伴う光学特性
を図9〜11に示す。図9は透過率T(%)、図10は
図1で透明基板1の面からの反射率R+ (%)、図11
は図1で透明基板8の面からの反射率R- (%)を示
す。図9〜11でTv (%)は可視光透過率を示す。表
3に、これらの光学データを可視光、太陽光透過率及び
反射率でまとめて示す。表中添字「v 」は可視光、
E 」は太陽光、「+ 」は透明基板1面から、「- 」は
透明基板8面からを示す。
【0037】[例3]駆動システム 本発明における駆動電圧は±1.5Vであり、図12の
ように種々の駆動システムが考えられる。例えば、
(1)乾電池(1.5V)と極性切り替えトグルスイッ
チ使用(a)、(2)太陽電池(出力電圧0.7〜0.
8V)の直列接続(a)、(3)商用電源でコントロー
ラを駆動(b、c)、が、代表的な駆動方法である。ま
た、外光強度検出センサや室内照度・温度検出センサと
駆動電源を組合わせ、コントローラにより最適な温熱環
境条件、省エネルギー条件をつくりだすEC調光システ
ムの構成も可能である。
【0038】EC調光ガラスの透過率が電気で外部制御
できるため、種々のEC調光システムの構築がコンピュ
ータ制御により可能となる。また、シースルーの太陽電
池と組合わせ太陽エネルギーの有効利用(EC駆動電力
供給及び昼光による自然光の取り込み)を図ることもで
きる。このとき、EC調光ガラスは図1の1の面を室外
側にすることが耐候性の点で好ましい。
【0039】本発明のEC調光ガラスには先に述べたよ
うに、所定の透過率まで通電した後、回路をオープンに
してもしばらくの間は着色状態のメモリ特性があるため
透過率は保持されるが、他の2次電池同様自己放電があ
るため徐々に消色する。例えば20%まで着色し回路を
オープンにすると、図13の点線のように55分後には
透過率は40%になってしまうが、パルス電圧を5分毎
にかけることにより図13の実線のように20〜22%
の範囲で透過率を制御保持できる。
【0040】また、本発明のEC調光ガラスは単独でも
使用できるが、表3に示すように着色時に熱線吸収特性
があるため、省エネルギーの観点からは図14に示すよ
うに図1の調光ガラスと低輻射(low−e)層を有す
るガラスで複層ガラス化することが好ましい。図14
(a)は特に暑い地域、暑い気候の場合に適するシステ
ムで、EC調光層が着色時吸収した熱エネルギーが再輻
射で室内側に流入するのを防止できるため、冷房負荷を
軽減できる。
【0041】また図14(b)は特に寒い地域、寒い気
候の場合に適するシステムで、EC調光層が着色時吸収
した熱エネルギーが再輻射で室外に流出するのを防ぎ室
内側へ輻射させかつ室内からの熱を室外へ流出させるの
を防止できるため、暖房負荷を軽減できる。いずれの場
合でも太陽光の昼光も同時に制御できるため、本発明の
EC調光ガラスを用いれば、冷暖房負荷及び照明負荷を
軽減できる。
【0042】[例4]TaO2.5 電解質系EC調光装置 [例4−a]TaO2.5 電解質の作成及び評価 図1の透明基板1としてソーダライムシリカガラスを用
い、その上に透明導電膜2として10Ω/□のITOを
コートした。その上にTaO2.5 をDCマグネトロン反
応性スパッタ法を用いて成膜した。この酸化物薄膜Ta
2.5 は、直径6インチのTaターゲットを用い、O2
ガスで全圧20mTorrで、投入パワーは100〜3
00Wで成膜した。
【0043】図15はTaO2.5 /ITO/ガラスのT
aO2.5 膜面からの入射角70°、P偏光による赤外反
射スペクトルを示す。同図中のスペクトル(a)及び
(b)はそれぞれ投入パワーを100W及び300Wと
したときのスペクトルで、成膜速度は夫々0.079n
m/秒及び0.26nm/秒、膜厚は夫々570nm及
び566.6nmであった。図中3300(1/cm)
付近の吸収は吸着水のO−Hの分子振動に基づき、90
0(1/cm)付近の吸収はTa−Oの格子振動による
もので、低パワー(スペクトル(a))で成膜した方が
吸着水が多いことがわかる。
【0044】しかし、この吸着水は、図1の透明導電膜
6層の成膜工程で、真空中、250℃、30分で焼成す
ると大半が散逸するため、このようにして形成されたT
aO2.5 はプロトン電解質として熱的に安定とはいえな
い。また、低パワーほど吸着水が多くなるということは
成膜速度が遅いということであり、工業的には成膜コス
トの増加につながるため、有利とはいえない。
【0045】[例4−b]TaO2.5 電解質系EC調光
装置の製造及び評価 図1の透明基板1としてガラス(30×30cm)を用
い、その上に透明導電膜2としてシート抵抗10Ω/□
のITOをコートした。その透明導電性基板に、表4の
成膜条件でNiOを原料として電子ビーム蒸着法で酸化
発色型酸化物3としてNiOを成膜し、順次スパッタ法
で、カチオン伝導層4としてTaO2.5膜(Taターゲ
ット使用、DCスパッタ法)、還元発色型酸化物5とし
てWO3膜(Wターゲット使用、DCスパッタ法) 、透
明導電膜6としてITO膜(ITOターゲット使用、D
Cスパッタ法) を成膜し、5層構成のEC調光装置を作
製した。
【0046】透明接着性樹脂7としてEVA膜(250
μm)を用いて透明基板8のガラスと真空加熱により合
わせガラス化し、エポキシ樹脂シールで周辺シール9を
行い、セラソルザ(旭硝子社製、商品名)でバスバー電
極10及びバスバー電極11を形成し、EC調光ガラス
を作成した。
【0047】図16にこのEC調光ガラスの室温でのサ
イクル駆動試験の結果を示す。作製直後透過率変化は4
0〜50%の間であるが、サイクル駆動に伴い30〜6
5%の範囲で透過率変化を示す。7万回駆動後も素子に
はなんら外観上の劣化は見られなかったが、同図に示す
ように着色透過率が室温の変化と連動してドリフトする
現象が見られた。
【0048】合わせガラス化する前のEC装置を室内中
で観察すると屡々膜が剥離する現象が見られ、分析の結
果、TaO2.5 膜とWO3 膜の間でこの剥離が生じてい
た。また本EC調光ガラスは60℃の雰囲気にさらされ
ると電圧印加しても応答しなくなり、例1や例2の高温
耐久性試験や耐候性試験にはかけられなかった。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【発明の効果】本発明のEC調光装置は、電解質層とし
て機能するカチオン伝導層が従来(TaO2.5 )に比べ
て高プロトン(又は高リチウム)伝導性であるため、E
C調光装置の透過率又は反射率の変化幅を大きくでき
る。さらに、本発明の電解質層であるカチオン伝導層は
電子ビーム蒸着、スパッタ法等の成膜方法により成膜す
る場合、成膜速度が従来よりも早くなるという効果も有
する。
【0054】また、本発明のEC調光装置は全固体型で
あるため軽量化、輸送時の取扱の良さ、施工簡易化に適
し、調光窓等の各種調光機器への応用がきわめて容易に
行え、建物、車両等の窓における太陽光エネルギーの入
射量制御を容易に行える。さらに電力ピークカット、省
エネルギー効果、アメニティ向上などの優れた効果も有
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のEC調光ガラスの断面図。
【図2】本発明の実施例を示し、LiNbO2.9 /IT
O/ガラスの赤外光反射特性のグラフ。
【図3】本発明の実施例を示し、SbO2.4 /ITO/
ガラスの成膜直後の赤外光反射特性のグラフ。
【図4】本発明の実施例を示し、SbO2.4 /ITO/
ガラスの真空焼成後の赤外光反射特性のグラフ。
【図5】本発明の実施例を示し、LiNbO2.9 電解質
使用のEC調光ガラスを室温で駆動試験したときの透過
率変化のグラフ。
【図6】本発明の実施例を示し、LiNbO2.9 電解質
使用のEC調光ガラスを60℃で駆動試験したときの透
過率変化のグラフ。
【図7】本発明の実施例を示し、SbO2.4 電解質使用
のEC調光ガラスを60℃で駆動試験したときの透過率
変化のグラフ。
【図8】本発明の実施例を示し、SbO2.4 電解質使用
のEC調光ガラスを耐候性駆動試験をしたときの透過率
変化のグラフ。
【図9】本発明の実施例を示し、SbO2.4 電解質使用
のEC調光ガラスの透過スペクトルのグラフ。
【図10】本発明の実施例を示し、SbO2.4 電解質使
用のEC調光ガラスの反射スペクトルのグラフ(図1の
左面からの反射)。
【図11】本発明の実施例を示し、SbO2.4 電解質使
用のEC調光ガラスの反射スペクトルのグラフ(図1の
右面からの反射)。
【図12】本発明の実施例を示し、(a)透過率の手動
調整システム、(b)透過率の自動制御システム、
(c)質内外の光熱環境条件を最適化するための透過率
の自動制御システム、のブロック図。
【図13】本発明の実施例を示し、EC調光制御方法を
説明するためのグラフ。
【図14】本発明の実施例を示し、(a)高温地域用調
光システム、(b)高温地域用調光システム、を示す断
面図。
【図15】比較例を示し、TaO2.5 /ITO/ガラス
の赤外光反射特性のグラフ。
【図16】比較例を示し、TaO2.5 電解質使用のEC
調光ガラスを室温で駆動試験したときの透過率変化のグ
ラフ。
【符号の説明】
1:透明基板 2:透明導電膜 3:酸化発色型酸化物 4:カチオン伝導層 5:還元発色型酸化物 6:透明導電膜 7:透明接着性樹脂 8:透明基板 9:周辺シール 10:バスバー電極 11:バスバー電極

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板上に形成された透明導電膜の上に
    酸化発色型酸化物、電解質としてのカチオン伝導層、還
    元発色型酸化物、透明導電膜が順次形成されてなる全固
    体型のエレクトロクロミック調光装置において、(1)
    酸化発色型酸化物が酸化ニッケル又は酸化コバルトのp
    型半導体であり、(2)カチオン伝導層が赤外反射スペ
    クトルで3300(1/cm)付近にピークをなすOH
    基を有するもので、プロトン伝導性のSbOc (1.3
    ≦c≦2.7)、又はリチウム伝導性のLid MOe
    (0.01≦d≦1.0、1.3≦e≦2.7、MはN
    b、Sb、B、P、Si、Ge、Al、Ce、La、Z
    rの群から選ばれる1種の元素)で表される少なくとも
    1種の含リチウム酸化物であり、(3)還元発色型酸化
    物が酸化タングステン、酸化モリブデン、又は酸化チタ
    ンであることを特徴とするエレクトロクロミック調光装
    置。
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