JP2004092797A - 動力伝達装置及び駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】入力される動力を相手機械に伝達可能な動力伝達装置300において、変速機構が同一で、且つ動力伝達特性を相異ならせた動力伝達機構100、200を動力伝達系路上で並列に備えた。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンベア等に適用される動力伝達装置及び駆動装置に関し、特に、高いセルフロック機能を有しながら、同時に、回転効率の向上を図ることのできる動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ウィンチ、シートシャッター等の巻上装置やコンベア等に適用される動力伝達装置として、被駆動装置(相手機械)側から加えられる逆方向の回転を防止する逆転防止機能を備えた動力伝達装置が知られている。これら逆転防止機能を有する動力伝達装置の中には、逆転防止用ボルトやブレーキ等を用いて逆転防止機能を実現するものも多く提案されているが、装置本体とは別に、逆転防止機能を実現するための特別な機構を必要とするため、装置の大型化やコスト高になってしまうという問題があった。このような問題を解消するものとして、セルフロック機能、すなわち、動力伝達機構自体に逆転防止機能を持たせた動力伝達装置も種々提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、セルフロック機能を高めることを目的として、単純に動力伝達装置を構成する部材の回転抵抗を大きくしたのでは、逆転防止機能の向上は図れるものの、同時に、正方向への回転抵抗も増大する結果となり、装置全体の回転効率が悪くなってしまうという問題がある。従って、動力伝達装置をモータによって頻繁に作動されるような用途で使用する場合には、大容量のモータが必要であると共に、消費電力が大きくなってしまうという問題がある。
【0004】
一方、動力伝達装置を構成する部材の回転抵抗を低くすることによって、装置全体の回転効率を高くすることが可能であるが、セルフロック機能性と回転円滑性は表裏の関係にあるため、単純に回転抵抗を小さくし、回転効率を高くしたのでは、当然に逆方向に回転し易い構造となってしまい、セルフロック機能は低くなってしまう。
【0005】
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであって、高いセルフロック機能を有しながら、同時に、装置全体の回転効率の向上を図る等、目的によって様々な態様の設計の可能な動力伝達装置及び駆動装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、入力される動力を相手機械に伝達可能な動力伝達装置において、変速機構が同一で、且つ動力伝達特性を相異ならせた動力伝達構造を動力伝達系路上並列に備えることにより、上記課題を解決したものである。
【0007】
なお、本発明において「変速機構が同一」とは、単に変速構成(スケルトン)が機構学的に同一なだけでなく、変速比(歯車類なら歯数比、ローラ類ならば有効径比)も同一であることを意味している。
【0008】
例えば、以下(A)、(B)は、「変速機構が同一」の例である。
【0009】
(A)第1、第2変速機構とも平行軸歯車機構で、第1変速機構は、歯数比が1:2で、第2変速機構は、例えばピッチ円径、歯幅、歯厚モジュール、歯形、硬度、表面粗さあるいは回転支持の仕方等が異なっていたとしても、結果として歯数比が1:2で同一である場合、
(B)第1変速機構が単純遊星歯車機構で、第2変速機構がこれと同一のスケルトンの単純遊星ローラ機構であり、且つ第2変速機構が、第1変速機構の各歯車の歯数比と同一の各ローラの有効径比を有している場合。
【0010】
なお、ピッチ円径(歯車の大きさ)、歯幅、歯厚、モジュール、歯形、硬度、表面粗さ、あるいは回転支持の仕方の差別化は、本発明で言う動力伝達性の要素(例えば回転系の回転抵抗、剛性、あるいはバックラッシ等)を差別化するための構成として機能し得る。
【0011】
又、本発明において、「動力伝達系路上で並列に備える」とは、共通の(同一の)部材の間に、動力の伝達され得る系路が複数存在するということである。ちなみに、「動力伝達系路上で直列に備える」とは、ある系路を経た後に他の系路を通ることを言う。
【0012】
本発明によれば、セルフロック機能性や回転円滑性等の動力伝達特性を相異ならせた動力伝達機構を動力伝達系路上で並列に備えたため、動力伝達装置に入力される動力を、動力伝達特性の相異なる動力伝達経路を介して相手機械に伝達することが可能となる。従って、組み合わせる動力伝達機構の各々の特性によって、動力伝達装置全体の特性を変えることができ、相手機械の制御に適した特性を得ることができる。
【0013】
例えば、前記並列に備えられる動力伝達機構を、入力軸と出力軸との間に配置され、僅少の歯数差を有する第1外歯歯車及び第1内歯歯車を備えた第1内接噛合遊星歯車機構と、同じ入力軸と出力軸との間に配置され、僅少の歯数差を有する第2外歯歯車及び第2内歯歯車を備えた第2内接噛合遊星歯車機構とで構成し、前記第1内接噛合遊星歯車機構を、回転抵抗が大きく、剛性が低く、且つ、バックラッシ量の小さい、セルフロック機能性重視の機構とすると共に、前記第2内接噛合遊星歯車機構を、回転抵抗が小さく、剛性が高く、且つ、バックラッシ量の大きい、回転円滑性重視の機構とすれば、高いセルフロック機能を有しながら、同時に、装置全体の回転効率の向上を図ることができる動力伝達装置が提供可能となる。
【0014】
本発明では、具体的にどのようにして動力伝達特性の差異を持たせるかについては特に限定されないが、前記相異ならせられる動力伝達特性の要素を、各々の動力伝達機構における回転系の回転抵抗、剛性、バックラッシのうちの少なくとも1つとすることにより、動力伝達特性の差異を具現してもよい。
【0015】
例えば、前記第1及び第2外歯歯車を、前記入力軸に、該入力軸の外周に設けられた偏心体を介して揺動自在に組込むと共に、該偏心体と前記第1及び第2外歯歯車とのそれぞれの摺動部の摺動態様に差異を持たせることで、前記第1及び第2内接噛合遊星歯車機構の回転抵抗の差異を具現してもよい。
【0016】
又、前記第1及び第2内接噛合遊星歯車機構の剛性にそれぞれ差異を持たせてもよく、例えば、前記第1及び第2内歯歯車の内歯をそれぞれ複数個の円筒状のピンで構成すると共に、該円筒状のピンの保持態様に差異を持たせることにより、前記第1及び第2内接噛合遊星歯車機構の剛性の差異を具現するか、前記第1及び第2外歯歯車にそれぞれ形成された内ピン孔に遊嵌し、且つ、自身の一端が前記出力軸又は該出力軸と一体化された部材によって片持ち支持された内ピンを介して、前記第1及び第2外歯歯車の自転成分を該出力軸に伝達可能な構成とすることにより、前記出力軸側に配置された方の外歯歯車の剛性を高くすることができる。
【0017】
更に、前記入力軸及び前記出力軸に対する前記第1内接噛合遊星歯車機構のバックラッシ量及び前記第2内接噛合遊星歯車機構のバックラッシ量にそれぞれ差異を具現するようにしてもよい。
【0018】
なお、モータと動力伝達装置とを有する駆動装置において、前記動力伝達装置として前述の動力伝達装置を使用すると共に、該動力伝達装置と前記モータを結合して一体化してもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態の例を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態の例に係る動力伝達装置300の側断面図である。
【0021】
動力伝達装置300は、入力軸302と出力軸306と、第1の動力伝達機構である第1内接噛合遊星歯車機構100と、第2の動力伝達機構である第2内接噛合遊星歯車機構200と、を備えている。該動力伝達装置300は、入力軸302から入力される動力を、前記第1、第2内接噛合遊星歯車機構100、200及び出力軸306を介して図示せぬ相手機械に伝達が可能である。
【0022】
前記入力軸302は、軸受330、332によって回転自在に両持ち支持されており、軸心L1を中心に回転可能である。
【0023】
前記出力軸306は、軸受334、336によって回転自在に支持されており、前記入力軸302と同じ軸心L1を中心に回転可能である。
【0024】
又、これら入力軸302及び出力軸306の間には、変速機構が同一で、且つ、動力伝達特性を相異ならせた第1内接噛合遊星歯車機構100と第2内接噛合遊星歯車機構200が並列に配置されている。
【0025】
図2、図3は、それぞれ第1内接噛合遊星歯車機構100及び第2内接噛合遊星歯車機構200を示した図であり、図2は図1中におけるII−II線に沿う断面図、図3は図1中におけるIII−III線に沿う断面図である。
【0026】
図1、図2に示すように、第1内接噛合遊星歯車機構100は、僅少の歯数差を有する第1外歯歯車102及び第1内歯歯車104と、偏心体106と、滑り軸受(摺動部)110とを備えている。
【0027】
該偏心体106は、軸心L1に対して偏心した外周を有している。又、偏心体106は、前記入力軸302の軸受330、332間の外周に、後述する第2内接噛合遊星歯車機構200の偏心体206と所定位相差(この例では180°)をもって設けられている。
【0028】
前記第1内歯歯車104は、ケーシング312の内周面に複数形成された円弧溝312aに円筒状の外ピン104aが嵌合した構造で、これら外ピン104aが内歯を形成している。又、該第1内歯歯車104の外周方向には、ケーシング312にリング状の溝108が形成されている。
【0029】
前記第1外歯歯車102は、外周にトロコイド歯形や円弧歯形等の外歯を有しており、前記第1内歯歯車104の外ピン104aと内接噛合している。又、該第1外歯歯車102は、該第1外歯歯車102と偏心体106の間に設けられた滑り軸受110を介して偏心体106に嵌合され、該偏心体106の回転に伴なって揺動回転可能である。更に、第1外歯歯車102には内ローラ孔102aが複数個設けられ、内ピン308及び内ローラ310が、各ローラ孔102aを貫通している。なお、図1に示すように該内ピン308の一端308aは、前記出力軸306によって片持ち支持されている。
【0030】
一方、図1、図3に示すように、第2内接噛合遊星歯車機構200は、僅少の歯数差を有する第2外歯歯車202及び第2内歯歯車204と、偏心体206と、ころ軸受(摺動部)210とを備えている。
【0031】
該偏心体206は、軸心L1に対して偏心した外周を有している。又、偏心体206は、前記入力軸302の軸受330、332間の外周に前記第1内接噛合遊星歯車機構100の偏心体106と所定位相差をもって設けられている。
【0032】
前記第2内歯歯車204は、ケーシング312の内周面に複数形成された円弧溝312aに外ピン204aが嵌合した構造で、これら外ピン204aが内歯を形成している。
【0033】
前記第2外歯歯車202は、外周にトロコイド歯形や円弧歯形等の外歯を有しており、前記第2内歯歯車204の円筒状の外ピン204aと内接噛合している。又、該第2外歯歯車202は、該第2外歯歯車202と偏心体206の間に設けられたころ軸受210を介して偏心体206に嵌合され、該偏心体206の回転に伴なって揺動回転可能である。更に、第2外歯歯車202には内ローラ孔202aが複数個設けられ、内ピン308及び内ローラ310が、各ローラ孔202aを貫通している。
【0034】
図1に示すように、内ピン308及び内ローラ310は、第1外歯歯車102の各ローラ孔102a及び第2外歯歯車202の各ローラ孔202aをそれぞれ貫通しており、第1外歯歯車102及び第2外歯歯車202の自転成分を該内ピン308を介して前記出力軸306に伝達可能である。なお、第2外歯歯車202は第1外歯歯車102よりも出力軸306側、即ち、該出力軸306に片持ち支持された内ピン308の一端308aに近い位置に配置されている。
【0035】
又、第1内接噛合遊星歯車機構100における偏心体106と滑り軸受110との隙間S11、滑り軸受110と第1外歯歯車102との隙間S12、内ピン310と内ローラ308との隙間S13、内ローラ310と第1外歯歯車102との隙間S14、第1外歯歯車102と第1内歯歯車104との隙間S15は、第2内接噛合遊星歯車機構200における偏心体206ところ軸受210との隙間S21、ころ軸受210と第2外歯歯車202との隙間S22、内ピン308と内ローラ310との隙間S23、内ローラ310と第2外歯歯車202との隙間S24、第2外歯歯車202と第2内歯歯車204との隙間S25よりもそれぞれ小さく設計されている(S11<S21,S12<S22,S13<S23,S14<S24,S15<S25)。なお、必ずしも全ての隙間の大小関係はこうである必要がなく和がそうなっていれば良い。
【0036】
即ち、入力軸302及び出力軸306に対する第1内接噛合遊星歯車機構100のバックラッシ量は、第2内接噛合遊星歯車機構200のバックラッシ量よりも小さくなっている。
【0037】
次に、動力伝達装置300の作用について説明する。
【0038】
入力軸302が軸心L1を中心に回転すると、該入力軸302の外周に設けられた偏心体106、206がそれぞれ回転する。該偏心体106、206の回転により、第1、第2外歯歯車102、202も入力軸302の周りで揺動回転を行なおうとするが、第1、第2内歯歯車104、204によってその自転が拘束されているため、第1、第2外歯歯車102、202は、第1、第2内歯歯車104、204に内接しながらほとんど揺動のみを行なうことになる。
【0039】
この第1、第2外歯歯車の回転は、内ローラ孔102a、202a及び内ピン308の隙間によってその揺動成分が吸収され、自転成分のみが出力軸306を介して相手機械へと伝達される。
【0040】
上記実施形態に係る動力伝達装置300は、変速機構が同一の動力伝達機構である、第1内接噛合遊星歯車機構100及び第2内接噛合遊星歯車機構200を並列に備えると共に、各々の動力伝達機構における第1、第2外歯歯車102、202や第1、第2内歯歯車104、204等の回転部材(回転系)の▲1▼回転抵抗、▲2▼剛性、▲3▼バックラッシを動力伝達特性の要素とし、各要素に差異を設けることにより、第1内接噛合遊星歯車機構100と第2内接噛合遊星歯車機構200の動力伝達特性の差異を具現したものである。
【0041】
即ち、「回転抵抗」については、第1内接噛合遊星歯車機構100の第1外歯歯車102と偏心体106との摺動部には滑り軸受110を配置する一方で、第2内接噛合遊星歯車機構200の第2外歯歯車202と偏心体206との摺動部にはころ軸受210を配置することにより、第1内接噛合遊星歯車機構100と第2内接噛合遊星歯車機構200の回転抵抗に差異を設けている。このように、各動力伝達機構の回転抵抗に差異を設けているため、第1内接噛合遊星歯車機構100は回転抵抗が大きく、逆転防止機能性が高いという特性を有するのに対して、第2内接噛合遊星歯車機構200は回転抵抗が小さく、回転円滑性が高いという特性を有している。
【0042】
又、「剛性」については、第1内接噛合遊星歯車機構100の第1内歯歯車104の外周方向には、ケーシング312にリング状の溝108を形成する一方で、第2内接噛合遊星歯車機構200の第2内歯歯車204の外周方向には当該溝を形成せず、該外ピン204aの全体をケーシング312の内周面に複数形成された円孤溝312aで直接保持することにより、第1内接噛合遊星歯車機構100と第2内接噛合遊星歯車機構200の回転系の剛性に差異を設けている。即ち、第1内歯歯車104の外ピン104aに対して、ケーシング312側への力が加えられた場合には、リング状の溝108が形成されているため、該外ピン104aは、ケーシング312側へ撓むことができるのに対して、第2内歯歯車204の外ピン204aはケーシング312側への撓みが制限されている。更に、第2外歯歯車202を第1外歯歯車102よりも出力軸306側、即ち、該出力軸306に片持ち支持された内ピン308の一端308aに近い位置に配置することにより、第1内接噛合遊星歯車機構100と第2内接噛合遊星歯車機構200の剛性に差異を設けている。このように、各動力伝達機構の剛性に差異を設けているため、第1内接噛合遊星歯車機構100は全体的に伝達トルクに対する各部材の変形量が大きく(剛性が低く)、動力伝達性が低いという特性を有するのに対して、第2内接噛合遊星歯車機構200は全体的に伝達トルクに対する各部材の変形量が小さく(剛性が高く)、動力伝達性が高いという特性を有している。
【0043】
更に、「バックラッシ」については、第1内接噛合遊星歯車機構100における偏心体106と滑り軸受110との隙間S11、滑り軸受110と第1外歯歯車102との隙間S12、内ピン310と内ローラ308との隙間S13、内ローラ310と第1外歯歯車102との隙間S14、第1外歯歯車102と第1内歯歯車104との隙間S15は、第2内接噛合遊星歯車機構200における偏心体206ところ軸受210との隙間S21、ころ軸受210と第2外歯歯車202との隙間S22、内ピン308と内ローラ310との隙間S23、内ローラ310と第2外歯歯車202との隙間S24、第2外歯歯車202と第2内歯歯車204との隙間S25よりもそれぞれ小さく設計することにより、第1内接噛合遊星歯車機構100と第2内接噛合遊星歯車機構200のバックラッシ量に差異を設けている。このように、各動力伝達機構のバックラッシ量に差異を設けているため、第1内接噛合遊星歯車機構100は、該入力軸302の動き(トルクの変動)に対しても、又、出力軸306の動き(トルクの変動)に対する反応が早いという特性を有するのに対して、第2内接噛合遊星歯車機構200は、当該バックラッシ量が大きく、入力軸302及び出力軸306の双方の動き(トルクの変動)に対して反応が遅いという特性を有する。
【0044】
従って、動力伝達装置300は、回転抵抗が大きく、剛性が低く、且つ、バックラッシ量の小さい、セルフロック機能性重視の動力伝達機構である第1内接噛合遊星歯車機構100と、回転抵抗が小さく、剛性が高く、且つ、バックラッシ量の大きい、回転円滑性重視の動力伝達機構である第2内接噛合遊星歯車機構200とを並列に備えていることになる。その結果、動力伝達装置300の起動直後には、入力軸302に対するバックラッシ量の小さい第1内接噛合遊星歯車機構100が早く反応して主として動力の伝達を行なうが、該第1内接噛合遊星歯車機構100は第2内接噛合遊星歯車機構200に比べ剛性が低いため、作用するトルクが大きくなると反力を支えきれなくなり、より剛性の高い第2内接噛合遊星歯車機構200の方が主として動力の伝達を行なうことになる。第2内接噛合遊星歯車機構200は回転抵抗が小さいため、動力伝達装置300全体の回転効率の向上を図ることができる。
【0045】
又、図示せぬ相手機械から出力軸306に対して逆方向の回転負荷が加えられた場合には、出力軸306に対するバックラッシ量の小さい第1内接噛合遊星歯車機構100が早く反応して主として逆方向への負荷を受けることになるが、該第1内接噛合遊星歯車機構100は回転抵抗が大きいため、動力伝達装置300は装置全体として高いセルフロック機能性を有する。出力軸306側から掛かるトルクは通常の運転時のトルクに較べれば小さいため、剛性の低い第1内接噛合遊星歯車機構100のみで十分反力を提供できる。
【0046】
図4は、動力伝達装置300をモータ400と結合して一体化した駆動装置500を、走行台車の車輪600の駆動に適用した実施例を示した図である。
【0047】
動力伝達装置300を備えた駆動装置500は高いセルフロック機能性を有し、走行台車の車輪600が逆方向へ回転するのを防止することができるため、走行台車の車輪600を止めておくブレーキ等の装置が不要で、低コスト化や小型化が可能である。しかも、通常の駆動時には高い回転円滑性を有するため、動力伝達装置300を駆動するモータ400の小型化や消費電力の削減が可能である。
【0048】
なお、上記実施形態においては、並列に備えられる動力伝達機構を、2つの第1、第2内接噛合遊星歯車機構100、200としたが、本発明はこれに限定されず、3つ以上の内接噛合遊星歯車機構を備えていてもよく、又、内接噛合遊星歯車機構以外の動力伝達機構であってもよい。
【0049】
又、第1内接噛合遊星歯車機構100と第2内接噛合遊星歯車機構200とで相異ならせた動力伝達特性の要素を、回転抵抗、剛性及びバックラッシの3つの要素としたが、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、相異ならせられる動力伝達特性の要素は、各々の動力伝達機構における回転系の回転抵抗、剛性、バックラッシのうちの少なくとも1つであってもよく、更には、動力伝達特性の差異を具現する他の要素であってもよい。
【0050】
例えば、用途によってバックラッシの低減については重要視されるが、セルフロック機能についてはそれ程重要視されないような場合は、一方の動力伝達機構についてはできる限りバックラッシを低減し、且つそのことによって運転の円滑性が阻害されないように剛性を低くしておき、他方の動力伝達機構については、動力伝達の円滑性と運転効率の向上を意図してバックラッシを大きく、且つ剛性の高い特性とする。どちらの機構も回転抵抗については同一でよく、可能な範囲で低減しておく。
【0051】
このように設計すると、起動直後は一方の動力伝達機構がバックラッシほぼ零で直ちに反応し、作用するトルクが上昇するにつれ、より剛性の高い他方の動力伝達機構に動力伝達の高い他方の動力伝達機構に動力伝達の主役を移行させることができる。一方の動力伝達機構は、運転中適宜に変形できるので、バックラッシがほぼ零の状態で組付けられていても、回転円滑性を阻害しない。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、高いセルフロック機能を有しながら、同時に装置全体の回転効率の向上を図る等、目的によって様々な態様の設計の可能な動力伝達装置及び駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る動力伝達装置の側断面図
【図2】図1におけるII−II線に沿う断面図
【図3】図1におけるIII−III線に沿う断面図
【図4】本発明の実施形態の例に係る動力伝達装置を走行台車の車輪駆動に適用した実施例を示した図
【符号の説明】
100・・・第1内接噛合遊星歯車機構
102・・・第1外歯歯車
102a、202a・・・内ローラ孔
104・・・第1内歯歯車
104a、204a・・・外ピン
106、206・・・偏心体
108・・・リング状溝
110・・・すべり軸受
200・・・第2内接噛合遊星歯車機構
202・・・第2外歯歯車
204・・・第2内歯歯車
210・・・ころ軸受
300・・・動力伝達装置
302・・・入力軸
306・・・出力軸
308・・・内ピン
310・・・内ローラ
312・・・ケーシング
Claims (7)
- 入力される動力を相手機械に伝達可能な動力伝達装置において、
変速機構が同一で、且つ動力伝達特性を相異ならせた動力伝達機構を動力伝達系路上並列に備えた
ことを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1において、
前記相異ならせられる動力伝達特性の要素が、各々の動力伝達機構における回転系の回転抵抗、剛性、バックラッシのうちの少なくとも1つである
ことを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1又は2において、
前記並列に備えられる動力伝達機構が、入力軸と出力軸との間に配置され、僅少の歯数差を有する第1外歯歯車及び第1内歯歯車を備えた第1内接噛合遊星歯車機構と、同じ入力軸と出力軸との間に配置され、僅少の歯数差を有する第2外歯歯車及び第2内歯歯車を備えた第2内接噛合遊星歯車機構とで構成される
ことを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項3において、
前記第1及び第2外歯歯車を、前記入力軸に、該入力軸の外周に設けられた偏心体を介して揺動自在に組込むと共に、該偏心体と前記第1及び第2外歯歯車とのそれぞれの摺動部の摺動態様に差異を持たせることで、前記第1及び第2内接噛合遊星歯車機構の回転抵抗の差異を具現する
ことを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項3又は4において、
前記第1及び第2内歯歯車の内歯をそれぞれ複数個の円筒状のピンで構成すると共に、該円筒状のピンの保持態様に差異を持たせることにより、前記第1及び第2内接噛合遊星歯車機構の剛性の差異を具現する
ことを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項5において、
前記第1及び第2外歯歯車にそれぞれ形成された内ピン孔に遊嵌され、且つ、自身の一端が前記出力軸又は該出力軸と一体化された部材によって片持ち支持された内ピンを介して、前記第1及び第2外歯歯車の自転成分を該出力軸に伝達可能な構成とすることにより、前記出力軸側に配置された方の外歯歯車の剛性を高くする
ことを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項3において、
前記第1内接噛合遊星歯車機構を、その回転系の回転抵抗が大きく、剛性が低く、且つ、バックラッシ量の小さい機構とすると共に、
前記第2内接噛合遊星歯車機構を、その回転系の回転抵抗が小さく、剛性が高く、且つ、バックラッシ量の大きい機構とした
ことを特徴とする動力伝達装置。
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