JP2004092226A - 排水集合管 - Google Patents

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Abstract

【課題】排水性能の向上を図った排水集合管を提供すること。
【解決手段】縦軸心を有する筒状胴部1の側面に側部開口部2を有し、該側部開口部2に横枝管接続部3が設けられ、前記胴部1の上下開口部に上部立管接続部4と下部立管接続部5が設けられた排水集合管において、前記側部開口部2の上方の胴部内面に、上方から流下する排水が前記側部開口部2に逆流しないようにする逆流防止部8が、胴部径内方向に突出成形され、前記逆流防止部8の上方の胴部内面に、該胴部1の軸中心より前記側部開口部2を見たとき左側に、上方から流下する排水を胴部軸心側へ偏流させる軸心偏流部9が、胴部1の径内方向に突出成形され、該軸心偏流部9の突出量B1は、前記逆流防止部8の突出量B2よりも大きくされている。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高層集合住宅等の排水配管に用いられる排水集合管に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の排水集合管は、縦軸心を有する筒状胴部の側面に側部開口部を有し、該側部開口部に横枝管接続部が設けられ、前記胴部の上下開口部に上部立管接続部と下部立管接続部が設けられたものである。
この排水集合管を高層集合住宅等の排水配管に用いるとき、排水能力以外で要求される諸条件として、次のようなものがある。
1)枝管流入部の通過球径が58mm以上(便器の設計基準)であること。
2)枝管流入部に汚物が詰まることがないこと。
3)洗濯排水性能が優れていること。
4)立管を流下する排水が、枝管に逆流しないこと。
5)横枝管が、床面から10mm以上浮かないこと。
6)軽量、コンパクトであること。
7)胴部を止水テスト用のプラグが通過可能であること。(通過球径は87mm以上が好ましい。)
前記要求の内、「4)立管を流下する排水が、枝管に逆流しないこと。」という要求を達成するために、次の手段が考えられる。
イ)枝管流入部の開口部の上に庇を設けて、開口部の方へ水が向かわないようにする(例えば、特開2001−26956号公報参照)。
ロ)胴部の内径を充分大きいものとして、流下水が開口部まで届かないようにする(例えば、特開平6−117000号公報参照)。
ハ)枝管流入部の下側を十分大きなものとし、開口部へ向かった水を下へ流す(例えば、特開2001−227019号公報参照)。
【0003】
しかし、前記ロ)の方法では、本体が大きくなってしまうため、前記6)の条件を満たすことができない。
更に、内径を大きくした後、又内径を絞る必要があるが、逆流がない程度にまで内径を大きくした場合には、前記5)の条件を満たす形状を達成するのが困難である。
前記ハ)の方法では、枝管流入部の下側が大きくなってしまうため、前記5)の条件を満たすことが困難になる。また、前記6)の達成も困難になる。
【0004】
従って、前記イ)のような「庇」を設けるのが適当である。
しかし、前記特開2001−26956号公報に記載のような庇を設けると、この庇により、流下水に旋回力が付与され、前記3)の条件を満たさなくなる。
すなわち、洗剤を含んだ排水に旋回性を付与すると、横主管内において泡立ち、該泡が管内通気空間を塞ぎ、洗濯排水性能を低下させるおそれのあるものであった。
そこで、本願出願人は、特開2002−155556号公報に記載のごとく、旋回性を付与しない方法によるものとして、径内方向へ所定量突出する庇部を設けた排水集合管を提案した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記特開2002−155556号公報に記載の排水集合管をさらに改良し、前記諸条件を満たすべく、さらに性能の向上を図った排水集合管を提供するとを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的のため、本発明は、次の手段を講じた。即ち、本発明の特徴とするところは、縦軸心を有する筒状胴部の側面に側部開口部を有し、該側部開口部に横枝管接続部が設けられ、前記胴部の上下開口部に上部立管接続部と下部立管接続部が設けられた排水集合管において、前記側部開口部の上方の胴部内面に、上方から流下する排水が前記側部開口部に逆流しないようにする逆流防止部が、胴部径内方向に突出成形され、前記逆流防止部の上方の胴部内面に、該胴部の軸中心より前記側部開口部を見たとき左側に、上方から流下する排水を胴部軸心側へ偏流させる軸心偏流部が、胴部の径内方向に突出成形され、該軸心偏流部の突出量は、前記逆流防止部の突出量よりも大きくされている点にある。
【0007】
前記横枝管接続部には、横枝管から側部開口部に流入する排水を、前記胴部の軸中心より前記側部開口部を見たとき、左側に偏流させる側部偏流部が設けられているのが好ましい。
前記側部偏流部は、前記胴部の軸中心より前記側部開口部を見たとき、前記側部開口部の右側を閉鎖する壁面により構成されているのが好ましい。
前記軸心偏流部の上面は、上部傾斜面と下部傾斜面とを有し、該上部傾斜面は、前記下部傾斜面よりも上下方向に長く且つ急な傾斜面とされているのが好ましい。
【0008】
胴部の軸中心より前記側部開口部を見たとき、前記逆流防止部の下縁が水平状とされており、前記側部偏流部の壁面の端縁が垂直状として側部開口部の右縁を形成しており、側部開口部のその他の縁は、円弧状に形成されているのが好ましい。
前記胴部の軸中心より前記側部開口部を見たとき、前記横枝管接続部の左側側面は、左側方へ膨らまされているのが好ましい。
前記横枝管接続部の内面下部は、所定半径のアール部又は面取り部を介して前記胴部に接続されているのが好ましい。
【0009】
前記胴部の内径は、立管の内径と同じとされているのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1〜4に示す如く、本発明に係わる排水集合管は、縦軸心を有する筒状胴部1の側面に側部開口部2を有し、該側部開口部2に横枝管接続部3が設けられ、前記胴部1の上下開口部に上部立管接続部4と下部立管接続部5が設けられている。
図3に示すように、横枝管接続部3は受け口式とされ、横枝管6が挿入接続される。上部立管接続部4も受け口式とされ、立管7が挿入接続される。下部立管接続部5は、差し口式とされ、立管7の受け口が接合される。図3の状態において、横枝管6と床スラブ間の距離は、10mm以下とされている。また、前記胴部1の内径は、立管7の内径と同じとされている。なお、「同じ」とは完全同一を指すのではなく略同じものも含む概念である。
【0011】
このように胴部1の径を立管7と同じとすることにより、前記条件6)の軽量コンパクト化の要求を満たすことができる。
図5〜9にも示すように、前記側部開口部2の上方の胴部内面に、上方から流下する排水が前記側部開口部2に逆流しないようにする逆流防止部8が、胴部径内方向に庇状に突出成形されている。
前記逆流防止部8は、胴部1の軸中心より前記側部開口部2を見たとき、軸心を介して左右両側に対称状に設けられている。この逆流防止部8の下縁は、水平状とされている。逆流防止部8の上縁は、円弧状とされている(図7参照)。
【0012】
前記逆流防止部8の上方の胴部内面に、該胴部1の軸中心より前記側部開口部2を見たとき、軸心より左側位置に、上方から流下する排水を胴部軸心側へ偏流させる軸心偏流部9が、胴部1の径内方向に庇状に突出成形されている。そして、この軸心偏流部9の突出量(B1)は、前記逆流防止部8の突出量(B2)よりも大きくされている。逆流防止部8の突出量(B2)は、胴部内周面より約6mm程度であり、10mm未満とされており、軸心偏流部9の突出量(B1)は、胴部内周面より約17mm程度であり、10mmから20mmの範囲が好ましい(4インチ立管用)(図5参照)。10mmより小さいと排水能力を発揮する効果が低く、20mmより大きいと詰まりの問題が発生する。
【0013】
軸心偏流部9の突出量は、前記条件7)のテスト用プラグが通過可能なものとされている。
なお、「B1/立管内径=10%〜20%」が適当である。この実施の形態では、約17%とされている。
胴部1の軸中心より前記側部開口部2を見たとき、前記軸心偏流部9の上縁は水平状とされ、軸心偏流部9の右縁は垂直状とされ、同左縁は下方が左側へ偏位する傾斜縁とされ、下縁は前記逆流防止部の上縁に沿った円弧状とされている(図7参照)。
【0014】
前記軸心偏流部9の上面は、上部傾斜面10と下部傾斜面11とを有し、該上部傾斜面10は、前記下部傾斜面11よりも上下方向に長く且つ急な傾斜面とされている
また実験の結果、前記軸心偏流部9を、胴部1の軸中心より前記側部開口部2を見たとき、左側に配置するのが最も排水性能が良好となった。排水性能の面から、前記上部傾斜面10の縦軸心に対する傾斜角度θ1は、10°〜30°の範囲であればよく、25°が最も好ましい。また、下部傾斜面の縦軸心に対する傾斜角度θ2は、40°〜70°の範囲であればよく、57°が最も好ましい。
【0015】
前記横枝管接続部3には、横枝管6から側部開口部2に流入する排水を、前記胴部1の軸中心より前記側部開口部2を見たとき、左側に偏流させる側部偏流部12が設けられている。この側部偏流部12は、前記胴部1の軸中心より前記側部開口部2を見たとき、前記側部開口部2の右側を閉鎖する壁面により構成されている
しかして、胴部1の軸中心より前記側部開口部2を見たとき、前記逆流防止部8の下縁が水平状とされ、前記側部偏流部12の壁面の端縁が垂直状として側部開口部2の右縁を形成しており、側部開口部2のその他の縁は、円弧状に形成されている(図7参照)。
【0016】
このように、前記側部偏流部12を設けて横枝管6から流入する排水を、横向きに指向させているので、便器などからの大量の排水に対しても、立管7から流下する排水とスムーズに合流することになる。
前記胴部1の軸中心より前記側部開口部2を見たとき、前記横枝管接続部3の左側側面は、左側方へ膨らまされた膨出部13とされている(図8,9参照)。
このように膨らませることにより、前記条件1)のテスト球を通過可能としている。
【0017】
そして、前記横枝管接続部3の内面下部は、所定半径のアール部14を介して前記胴部1に接続されている。前記アール部14の半径Rは、約20mmとされている(図5,6参照)。
このような小さな半径Rのアール部14を設けることにより、前記条件5)の床面からの高さを低くすることができる。なお、このアール部14は、傾斜面の面取り部であっても良い。
上記構成の排水集合管によれば、側部開口部2の上方に、逆流防止部8と軸心偏流部9とを上下に隔てて設け、逆流防止機能と排水性能発揮という2つの機能を分担させたので、前記従来のものに比べ、排水性能が良好になり、前記諸条件を満たすことができた。
【0018】
尚本発明は、前記実施の形態のものに限定されるものではなく、下部立管接続部等はフランジ接続形式のものであっても良い。
以下、本件発明に至った各種実験例を次表に示す。
以下の表に示す「枝管上部」とは、軸心偏流部9と逆流防止部8に係わる事項であり、「枝管流入部 側部」とは、横枝管接続部3の側部偏流部12と側方膨出部13に係わるものであり、「枝管流入部 下部」とは、アール部14に係わるものである。
【0019】
尚、これら表における「左右」は、枝管接続部の開口側より見た場合をいい、従って、胴部の軸中心より側部開口部を見た場合とは逆である。
【0020】
【表1】
Figure 2004092226
【0021】
枝管流入部の落とし込みの条件は、従来継手の方が有利であるにもかかわらず、試作品1の方が排水能力が高い。このことから、側部開口部の上方に、軸心偏流部9を付けることで、排水能力は大幅に向上することが分かる。
【0022】
【表2】
Figure 2004092226
【0023】
試作品3は、軸心偏流部9に代えて旋回羽根としたものである。旋回羽根とした方が、排水能力は高いが、洗濯排水性能が大幅に低下する。旋回羽根形状を小さくしたり、旋回羽根の角度を変更したりした試作品もテストしたが、洗濯性能が上がらないため、本発明では、旋回羽根は不採用とした。
【0024】
【表3】
Figure 2004092226
【0025】
試作品6は、軸心偏流部9を左右両側に設けたものであり、試作品2の片側に設けたものよりも排水能力が劣る。本発明では、軸心偏流部9を片側に設けることとした。
【0026】
【表4】
Figure 2004092226
【0027】
試作品7は、側部偏流部12を設けたものであり、設けないものに比べて排水能力が向上していることが分かる。
【0028】
【表5】
Figure 2004092226
【0029】
側部膨出部13を設けると、排水能力が向上する。また、通過球径を大きくすることができる。
【0030】
【表6】
Figure 2004092226
【0031】
逆流防止部8を軸心偏流部9よりも下方に設ける方が排水能力が高いことが分かる。
【0032】
【表7】
Figure 2004092226
【0033】
この表より、アール部14を有する方が排水能力が高いことが分かる。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のものに比べ、排水性能が向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係わる排水集合管の正面図である。
【図2】図2は、図1に示す排水集合管の平面図である。
【図3】図3は、同左側面図である。
【図4】図4は、上部立管接続部側より見た斜視図である。
【図5】図5は、図1のA−A線断面図である。
【図6】図6は、図1のB−B線断面図である。
【図7】図7は、図3のC−C線断面図である。
【図8】図8は、図5のD−D線断面図である。
【図9】図9は、図6のE−E線断面図である。
【符号の説明】
1 胴部
2 側部開口部
3 横枝管接続部
4 上部立管接続部
5 下部立管接続部
8 逆流防止部
9 軸心偏流部
10 上部傾斜面
11 下部傾斜面
12 側部偏流部
13 膨出部
14 アール部

Claims (8)

  1. 縦軸心を有する筒状胴部の側面に側部開口部を有し、該側部開口部に横枝管接続部が設けられ、前記胴部の上下開口部に上部立管接続部と下部立管接続部が設けられた排水集合管において、
    前記側部開口部の上方の胴部内面に、上方から流下する排水が前記側部開口部に逆流しないようにする逆流防止部が、胴部径内方向に突出成形され、
    前記逆流防止部の上方の胴部内面に、該胴部の軸中心より前記側部開口部を見たとき左側に、上方から流下する排水を胴部軸心側へ偏流させる軸心偏流部が、胴部の径内方向に突出成形され、
    該軸心偏流部の突出量は、前記逆流防止部の突出量よりも大きくされていることを特徴とする排水集合管。
  2. 前記横枝管接続部には、横枝管から側部開口部に流入する排水を、前記胴部の軸中心より前記側部開口部を見たとき、左側に偏流させる側部偏流部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の排水集合管。
  3. 前記側部偏流部は、前記胴部の軸中心より前記側部開口部を見たとき、前記側部開口部の右側を閉鎖する壁面により構成されていることを特徴とする請求項2記載の排水集合管。
  4. 前記軸心偏流部の上面は、上部傾斜面と下部傾斜面とを有し、該上部傾斜面は、前記下部傾斜面よりも上下方向に長く且つ急な傾斜面とされていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の排水集合管。
  5. 胴部の軸中心より前記側部開口部を見たとき、前記逆流防止部の下縁が水平状とされており、前記側部偏流部の壁面の端縁が垂直状として側部開口部の右縁を形成しており、側部開口部のその他の縁は、円弧状に形成されていることを特徴とする請求項3又は4記載の排水集合管。
  6. 前記胴部の軸中心より前記側部開口部を見たとき、前記横枝管接続部の左側側面は、左側方へ膨らまされていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の排水集合管。
  7. 前記横枝管接続部の内面下部は、所定半径のアール部又は面取り部を介して前記胴部に接続されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の排水集合管。
  8. 前記胴部の内径は、立管の内径と同じとされていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一つに記載の排水集合管。
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