JP2004090656A - 可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。 - Google Patents
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Abstract
【課題】可逆的感熱記録媒体の発色記録状態にある前記可逆性感熱記録媒体の記録を消去しようとするとき、画像品質上全く問題にならないレベルまで十分に消色した状態が短時間に得られるような記録方法および消去方法を提供すること
【解決手段】支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を含む記録層を備え、該記録層が、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成する可逆性感熱記録媒体に形成された発色記録を消去する方法において、消色温度への加熱を低温から高温へ非連続かつ段階的に行うことを特徴とする可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
【選択図】なし
【解決手段】支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を含む記録層を備え、該記録層が、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成する可逆性感熱記録媒体に形成された発色記録を消去する方法において、消色温度への加熱を低温から高温へ非連続かつ段階的に行うことを特徴とする可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
【選択図】なし
Description
本発明は電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物間の発色反応を利用した可逆的感熱記録媒体の記録の消去方法に関するものであり、より詳しくは、発色記録状態と消色状態が良好に繰返し形成できる記録の消去方法及び繰返し劣化後の可逆的感熱記録媒体の再生方法に関するものである。
従来、電子供与性呈色性化合物(以下、発色剤とも言う)と電子受容性化合物(以下、顕色剤とも言う)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広く知られ、電子計算機のアウトプット、ファクシミリ、自動券売機、科学計測機のプリンター、CRT医療計測用プリンター等に広く応用されている。しかし、従来の製品は、いずれもその発色が不可逆的なもので、発色と消色を交互に繰返し行わせることができない。一方、特許公報によれば、発色と消色を可逆的に行わせるものも提案されており、例えば、a)顕色剤として没食子酸とフロログルシノールを組合せたものを用いる特許文献1(特開昭60−193691号公報)、b)顕色剤にフェノールフタレインやチモールフタレイン等の化合物を用いる特許文献2(特開昭61−237684号公報)、c)発色剤と顕色剤とカルボン酸エステルの均質相溶体を記録層に含有する特許文献3(特開昭62−138556号)、特許文献4(特開昭62−138568号)及び特許文献5(特開昭62−140881号)、d)顕色剤に没食子酸と高級脂肪族アミンとの塩を用いる特許文献6(特開平2−188294号公報)、e)顕色剤にビス(ヒドロキシフェニル)酢酸又は酪酸と高級脂肪族アミンとの塩を用いる特許文献7(特開平2−188293号公報)等が開示されている。しかしながら、以下に示した従来の可逆的感熱記録媒体には種々の問題が残されており、未だ充分満足し得るものではない。
本出願人は先に顕色剤として長鎖脂肪族基を持つ有機リン酸やカルボキシル化合物、フェノール化合物、ヒドロキシホスホン酸等の化合物を用い、これを発色剤としてのフルオラン化合物等と組合せることによって、その発色と消色を加熱のみで容易に行わせることができ、しかもその発色状態と消色状態を常温において保持することが可能で、且つ消色温度が発色温度よりも低く、その上、画像の形成及び消去を温度変化により何度も繰り返すことのできる可逆的熱発色性組成物、及びこれを記録層に含有する可逆的感熱記録媒体を提案した特許文献8(特願平3−355078)。この可逆的感熱記録媒体は多数回の繰返し使用においても発色濃度低下等の問題を起こさず、従来技術からは考えられないほど多数回の使用が可能である。しかし、該記録媒体の記録消去には若干の問題があり、特に消色温度等の消色条件が適正でないと、消色時間を長くしても充分な記録消去ができない場合が多いことが分かった。この場合の消色不良は新しい印字の判読が困難になる程のものでなく、無色に近い軽度の消色不良であるが、より鮮明度の高い良好な画像を得るため、記録方法および消去方法を改善する必要があった。
特開昭60−193691号公報
特開昭61−237684号公報
特開昭62−138556号
特開昭62−138568号
特開昭62−140881号
特開平2−188294号公報
特開平2−188293号公報
特願平3−355078号公報
本発明は可逆的感熱記録媒体の発色記録状態にある前記可逆性感熱記録媒体の記録を消去しようとするとき、画像品質上全く問題にならないレベルまで十分に消色した状態が短時間に得られるような記録方法および消去方法を提供することをその課題とする。
本発明者等は前記課題を解決すべく発色状態の形成条件と消色条件を詳細に検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明によれば以下に上げる(1)〜(8)の記録方法および記録の消去方法が提供される。
特徴とする可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
特徴とする可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
(1)支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を含む記録層を備え、該記録層が、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成する可逆性感熱記録媒体に形成された発色記録を消去する方法において、消色温度への加熱を低温から高温へ非連続かつ段階的に行うことを特徴とする可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
(2)消色温度への加熱を、異なる温度の複数の熱源に低温側から順次可逆性感熱記録媒体を接触または接近させ、低温から高温へ非連続かつ段階的に行うことを特徴とする上記(1)記載の可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
(3)消色温度への加熱を、同一温度の熱源と可逆性感熱記録媒体の距離を非連続かつ段階的に小さくすることにより、低温から高温へ非連続かつ段階的に行うことを特徴とする上記(1)記載の可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
(4)支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を含む記録層を備え、該記録層が、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成する可逆性感熱記録媒体に形成された発色記録を消去する方法において、消色温度への加熱を低温から高温へ連続的かつ段階的に行うことを特徴とする可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
(5)消色温度への加熱を、異なる温度の複数の熱源に低温側から順次可逆性感熱記録媒体を接触または接近させ、低温から高温へ連続的かつ段階的に行うことを特徴とする上記(4)記載の可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
(3)消色温度への加熱を、同一温度の熱源と可逆性感熱記録媒体の距離を非連続かつ段階的に小さくすることにより、低温から高温へ非連続かつ段階的に行うことを特徴とする上記(1)記載の可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
(4)支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を含む記録層を備え、該記録層が、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成する可逆性感熱記録媒体に形成された発色記録を消去する方法において、消色温度への加熱を低温から高温へ連続的かつ段階的に行うことを特徴とする可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
(5)消色温度への加熱を、異なる温度の複数の熱源に低温側から順次可逆性感熱記録媒体を接触または接近させ、低温から高温へ連続的かつ段階的に行うことを特徴とする上記(4)記載の可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
(6)消色温度への加熱を、同一温度の熱源と可逆性感熱記録媒体の距離を連続的かつ段階的に小さくすることにより、低温から高温へ連続的かつ段階的に行うことを特徴とする上記(4)記載の可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
(7)支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を含む記録層を備え、該記録層が、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成する可逆性感熱記録媒体に形成された発色記録を消去する方法において、消色温度からの平均降温速度を20℃/秒以下にすることを特徴とする可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
(8)可逆性感熱記録媒体を一定温度の熱源に接近または接触して消色温度に加熱した後、熱源と可逆性感熱記録媒体との距離を連続的に大きくすることにより、消色温度からの平均降温速度を20℃/秒以下にすることを特徴とする上記(7)の可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
(8)可逆性感熱記録媒体を一定温度の熱源に接近または接触して消色温度に加熱した後、熱源と可逆性感熱記録媒体との距離を連続的に大きくすることにより、消色温度からの平均降温速度を20℃/秒以下にすることを特徴とする上記(7)の可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を含む記録層をもち、加熱溶融によって発色記録状態を形成し、発色記録温度より低温に加熱すると記録の消えた状態を形成する可逆性感熱記録媒体に対し、本発明の記録方法および記録の消去方法を適用することにより、従来の方法に比べより完全な消色状態の形成が可能になり、これによって鮮明な画像が繰り返し安定して形成できるようになる。
まず本発明に使用される可逆的感熱記録媒体の記録層に含まれる可逆的熱発色性組成物の発色・消色現象について説明する。
まず本発明に使用される可逆的感熱記録媒体の記録層に含まれる可逆的熱発色性組成物の発色・消色現象について説明する。
図1は前記した可逆的熱発色性組成物の発色濃度と温度との関係を示す。この図の横軸は温度を示し、縦軸は濃度を示している。図中Aは室温で消色状態にある組成物を示し、Bは加熱・溶融して発色した状態の組成物を示す。また、Cは室温で発色状態にある組成物を示す。組成物Aを室温から昇温していくと、混合・溶融(共融)し始める温度T1で濃度が上がり、発色状態の組成物Bに変化する。この組成物Bを急冷すると、発色状態を維持したまま室温に戻って組成物Cに変化する(図中の実線の経路)。発色状態の組成物Cを再び室温から昇温させると温度T2で濃度が低下し、ついには消色状態となり組成物Dに変化する。組成物Dを冷却し降温すると、そのまま消色状態の組成物Aに戻る(図中の鎖線の経路)。図1に示された温度T1は組成物の発色開始温度であり、T2は組成物の消色開始温度である。またT2からT1までの温度が組成物の消色温度領域となる。図1からも分るように、本発明で使用される組成物が示す発色・消色現象の特徴は溶融して発色する温度より低い温度領域に消色温度範囲があり、組成物を室温で発色した状態からこの範囲に加熱すると消色することである。又、発色と消色の現象を繰り返して生起させ得ることである。なお、図1は本発明で使用される組成物の代表的な発色と消色の仕方を示したものであり、発色開始温度及び消色開始温度は用いる材料の組合せで異なる。また、溶融して発色している状態の組成物Bの濃度と、その状態から冷却して得た発色状態の組成物Cの濃度は必ずしも一致するものではなく、異なる場合もある。
図1に示された発色状態Cは、顕色剤分子と発色剤分子とが相互作用した状態のまま規則的な凝集構造をとっており、このような構造を形成するために発色状態は室温で安定に保たれる。この発色状態を昇温していくと、図1に示された温度T2で規則的な凝集構造の崩壊が起こる。そして、温度T2は顕色剤分子が単独で凝集して結晶化することのできる温度であり、発色剤分子と顕色剤分子間の結合力と顕色剤分子間の凝集力を比較すると後者の方が強いため、顕色剤分子は発色剤分子から離れて単独の結晶を形成し、これによって消色状態が形成される。このような発色状態からの昇温で消色が起こる温度の領域は、前記の凝集構造が崩壊する温度から顕色剤と発色剤の両者が溶融して発色するまでの温度領域であるが、この領域は発色剤や顕色剤の種類によって異なり、かなり広い場合もあるが狭い場合もある。
以上のように発色状態からの消色は基本的に顕色剤が単独で結晶化することによって起こるものであるが、その結晶化のしやすさは発色状態の分子集合構造と関係している。良好な消色状態が速やかに形成されるためには、均一で密度の高い結晶生成が必要である。発色状態の分子集合構造は発色時の加熱冷却の条件、例えば加熱温度や冷却の速度などによって変化する。詳細な検討の結果、このうちとくに加熱温度の違いが消色性に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。例えば図2は代表的な顕色剤であるオクタデシルホスホン酸とロイコ染料を組み合わせた可逆性感熱記録媒体の記録時の加熱温度と発色濃度の関係および一定条件で加熱し消色させたときの濃度の関係について示している。図の実線は発色濃度であり、破線は消色後の濃度である。この記録媒体では発色は約80℃以上で起こり、発色濃度は約90℃で飽和することを示している。80℃から150℃までの様々な温度で発色させた記録媒体を消色温度範囲である70℃で消色したときの消色濃度は、発色の立上り温度である80℃から90℃で発色させた記録媒体では高く十分な消色が起きていないのに対し、飽和発色濃度となる90℃以上で発色させたものは十分に低い消色濃度が得られ、良好な消色状態が形成できることがわかる。他の組合せの可逆性感熱記録媒体でも同様な結果が得られ、飽和発色濃度を呈する温度で加熱することによって、消色性のよい発色状態の形成が可能になる。
発色記録の形成には通常サーマルヘッドが用いられるが、この場合の印字条件も発色状態を変化させ、消色性に影響を及ぼす。図3は印字エネルギーに対する発色濃度と消色濃度の関係を示している。十分な熱エネルギーが印加され、その記録媒体ではこれ以上濃度が上がらない領域(飽和発色濃度領域)に達した記録媒体では、消色後の濃度は十分に低下し、記録しなかった地肌部分の濃度と同レベルまで消色するのに対し、飽和発色濃度よりやや低い発色濃度の領域では、消色後の濃度がやや高く消し残りができることがわかる。このような不十分な熱エネルギーで印字した部分を飽和発色濃度領域で印字した部分と同じレベルまで消色させるためには、消色時間をかなり長くしなければならない。したがって、サーマルヘッドで飽和発色濃度を呈するだけの十分な熱エネルギーを印加して記録することによって、消色性のよい発色状態が形成できる。良好な消色状態を得るためには、消色時の加熱条件も重要である。前述のように消色は、発色状態における分子集合状態が熱運動によって崩壊し、より安定な顕色剤単独の結晶を生成することによってロイコ染料をはじきだすことによって起こるものである。ここでは十分な結晶の成長が必要であり、それには消色温度への昇温の条件が重要である。様々な昇温条件を検討した結果、同一の温度で消色する場合でも昇温の速度によって、得られる消色濃度は大きく変化し、昇温速度はある程度以上遅い方が良好な消色状態が形成できることが明らかになった。具体的には、消色温度への平均昇温速度を30℃/秒以下にすることによって十分な消色状態が得られる。これ以上の昇温速度では地肌濃度レベルまで消色させるのは困難である。
このような消色時の昇温速度を達成するための具体的な方法には次のような方法がある。消色では全面を均一に加熱するため、一般にヒートローラーや面状ヒーターあるいは加熱した金属板やブロックが用いられるが、これらの熱源に発色記録した可逆性感熱記録媒体を一気に接触させるのではなく、その間の距離を連続的に狭めていくことにより、上記の条件に合致した昇温速度が得られる。このとき所定の消色温度まで到達すれば、熱源に対して記録媒体が最終的に接触してもよいし、しなくてもよい。具体的には例えば図4(a)のように一定温度の平面状の熱源に徐々に接近するように記録媒体を搬送させる方法や、図4(b)のように直線状に搬送される記録媒体に対し、傾斜を持つ熱源を設置する方法がある。この場合熱源は記録媒体の片側だけにあってもよいし、両側にあってもよい。また、消色時の昇温速度を遅くするために記録媒体の支持体裏面側から加熱する方法も効果的である。裏面側からの加熱ではまず支持体の温度が上昇し、さらに支持体上に設置された記録層に熱が伝わることになるため、記録層の温度上昇速度は記録層側から加熱するより遅くなり、良好な消色状態が得られる条件が達成しやすい。この場合も記録媒体を熱源に対して接触させてもよいし、させなくてもよい。ただし、消色時の昇温を遅くするためには、熱源に接触させるより非接触で加熱する方が効果的である。非接触では記録媒体と熱源との間に空気層があるため直接熱が伝わらず、良好な消色条件が得られやすい。非接触で加熱する場合、記録層側からでも支持体側からでも、あるいは両側からでもよいが、支持体裏面から加熱すれば昇温はもっとも遅くなる。
発色状態から顕色剤を均一に高密度で結晶化させ良好な消色状態を得るためには、消色時の昇温を消色温度まで一度に上げるのではなく、複数回にわたり処理温度を上げながら加熱処理することも好ましい。このような非連続かつ段階的な消色処理における記録層の温度変化の様子を図5に示す。記録層はいったん消色温度範囲の中の低温域の温度に加熱されたのち、消色温度範囲より低い温度まで冷却し、再び加熱され一回目より高い消色温度に上がり、その後室温まで冷却される。このような処理により、例えば二回目の加熱温度で始めから二回分の合計時間処理した場合より、低い消色濃度が得られる。実際にこのような加熱処理を行うためには、例えば図6(a)のように異なる温度に加熱した熱源を間隔を開けて設置し、記録媒体を低温側から搬送するか、図6(b)のように、同一温度の熱源との距離を近づけたり離したりするように搬送するか、図6(c)のようにヒートブロックの形状によって距離が非連続かつ段階的に小さくなるようにすればよい。このような段階的な昇温は低温から高温への連続的に行うことによっても同様に効果的な消色が可能になる。図7に連続的かつ段階的な消色処理による記録層の温度変化の様子を示す。記録層はまず消色温度範囲内の低温域の温度に加熱された後、続いてはじめより高い消色温度範囲内の温度に加熱される。このような段階的な処理によると始めから二段目の温度に加熱したときより、良好な消色状態が得られる。段階的な加熱を行う具体的な方法としては、例えば図8(a)のように加熱温度の異なる熱源を隣接して設置し、記録媒体を低温側から搬送するか、図8(b)のように同一温度の熱源との距離を段階的に近づけるように搬送するか、図8(c)のようにヒートブロックの形状によって距離が段階的に小さくなるようにすればよい。
良好な消色状態を得るためには、顕色剤が十分に結晶化する必要がある。そのための加熱条件として消色温度範囲内で加熱温度を変動させる方法がある。図9はこのような消色処理による記録層の温度変化の様子を示したものである。消色温度範囲内で温度を変動させると、一定温度で同じ時間処理したときより消色濃度を低下させることができる。加熱温度を変動させる具体的な方法としては、例えば図10(a)のように消色温度内の異なる温度に加熱したヒートローラーの間を搬送する方法や、(b)のようにヒートブロックの形状によって記録媒体との距離を連続的に変化させる方法がある。さらに発色状態から顕色剤が単独で結晶化した消色状態を形成するとき、加熱状態からの降温速度によっても形成される状態が変化し、その結晶消色の程度に差が現れる。降温速度は遅いことが好ましく、平均の降温速度が20℃/秒以下であると良好な消色状態が得られる。これ以上の降温速度では同一の温度で同じ時間処理しても消色濃度がやや高くなり、消し残りが認められる。このような条件の降温速度を得るには、例えば図11(a)、(b)に示すように、所定温度の熱源に接近または接触して消色温度に加熱した後、徐々に熱源との距離を大きくするように記録媒体を搬送するか、熱源の形状を工夫すればよい。
本発明で使用する可逆的熱発色性組成物に用いられる顕色剤は、基本的には分子内に発色剤を発色させることができる顕色能を示す構造と、分子間の凝集力をコントロールする長鎖構造部分を併せ持つ化合物であり、炭素数12以上の脂肪族基を持つ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、あるいはフェノール化合物、又は炭素数10〜18の脂肪族基を持つメルカプト酢酸の金属塩、あるいは炭素数16以上の脂肪族基を持つ酸性リン酸エステル等である。脂肪族基は直鎖状又は分枝状のアルキル基、アルケニル基が包含され、ハロゲン、アルコキシ基、エステル基等の置換基を持っていてもよい。以下、顕色剤について具体的に例示する。
(a)有機リン酸化合物、下記一般式(1)で表わされる化合物が用いられる。
R1−PO(OH)2 (1)
(但し、R1は炭素数12以上の脂肪族基を表わす)
一般式(1)で表わされる有機リン酸化合物の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
(a)有機リン酸化合物、下記一般式(1)で表わされる化合物が用いられる。
R1−PO(OH)2 (1)
(但し、R1は炭素数12以上の脂肪族基を表わす)
一般式(1)で表わされる有機リン酸化合物の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
ドデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、エイコシルホスホン酸、ドコシルホスホン酸、テトラコシルホスホン酸、ヘキサコシルホスホン酸、オクタコシルホスホン酸等。有機リン酸化合物として下記一般式(2)で表わされるα−ヒドロキシアルキルホスホン酸も好ましく使用される。
(ただし、R2は炭素数11〜29の脂肪族基である)
一般式(2)で表わされるα−ヒドロキシアルキルホスホン酸を具体的に示すと、α−ヒドロキシドデシルホスホン酸、α−ヒドロキシテトラデシルホスホン酸、α−ヒドロキシヘキサデシルホスホン酸、α−ヒドロキシオクタデシルホスホン酸、α−ヒドロキシエイコシルホスホン酸、α−ヒドロキシドコシルホスホン酸、α−ヒドロキシテトラコシルホスホン酸等が挙げられる。有機リン酸化合物としては、下記一般式(3)で表わされる酸性有機リン酸エステルも使用される。
一般式(2)で表わされるα−ヒドロキシアルキルホスホン酸を具体的に示すと、α−ヒドロキシドデシルホスホン酸、α−ヒドロキシテトラデシルホスホン酸、α−ヒドロキシヘキサデシルホスホン酸、α−ヒドロキシオクタデシルホスホン酸、α−ヒドロキシエイコシルホスホン酸、α−ヒドロキシドコシルホスホン酸、α−ヒドロキシテトラコシルホスホン酸等が挙げられる。有機リン酸化合物としては、下記一般式(3)で表わされる酸性有機リン酸エステルも使用される。
(式中、R3は炭素数16以上の脂肪族基を、R4は水素原子又は炭素数1以上の脂肪族基を表わしている)
一般式(3)で表わされる酸性有機リン酸エステルを具体的に示すと、ジヘキサデシルホスフェート、ジオクタデシルホスフェート、ジエイコシルホスフェート、ジドコシルホスフェート、モノヘキサデシルホスフェート、モノオクタデシルホスフェート、モノエイコシルホスフェート、モノドコシルホスフェート、メチルヘキサデシルホスフェート、メチルオクタデシルホスフェート、メチルエイコシルホスフェート、メチルドコシルホスフェート、アミルヘキサデシルホスフェート、オクチルヘキサデシルホスフェート、ラウリルヘキサデシルホスフェート等が挙げられる。
(b)脂肪族カルボン酸化合物、下記一般式(4)で表わされるα−ヒドロキシ脂肪酸が好ましく用いられる。
一般式(3)で表わされる酸性有機リン酸エステルを具体的に示すと、ジヘキサデシルホスフェート、ジオクタデシルホスフェート、ジエイコシルホスフェート、ジドコシルホスフェート、モノヘキサデシルホスフェート、モノオクタデシルホスフェート、モノエイコシルホスフェート、モノドコシルホスフェート、メチルヘキサデシルホスフェート、メチルオクタデシルホスフェート、メチルエイコシルホスフェート、メチルドコシルホスフェート、アミルヘキサデシルホスフェート、オクチルヘキサデシルホスフェート、ラウリルヘキサデシルホスフェート等が挙げられる。
(b)脂肪族カルボン酸化合物、下記一般式(4)で表わされるα−ヒドロキシ脂肪酸が好ましく用いられる。
R5−CH(OH)−COOH (4)
(但し、R5は炭素数12以上の脂肪族基を表わす)
一般式(4)で表わされるα−ヒドロキシ脂肪族カルボン酸化合物としては、例えば以下のものが挙げられる。α−ヒドロキシドデカン酸、α−ヒドロキシテトラデカン酸、α−ヒドロキシヘキサデカン酸、α−ヒドロキシオクタデカン酸、α−ヒドロキシペンタデカン酸、α−ヒドロキシエイコサン酸、α−ヒドロキシドコサン酸、α−ヒドロキシテトラコサン酸、α−ヒドロキシヘキサコサン酸、α−ヒドロキシオクタコサン酸等。脂肪族カルボン酸化合物としては、ハロゲン元素で置換された炭素数12以上の脂肪族基を備えた脂肪族カルボン酸化合物で、その少なくともα位またはβ位の炭素にハロゲン元素を持つものも好ましく用いられる。このような化合物の具体例としては、例えば以下のものを挙げることができる。
(但し、R5は炭素数12以上の脂肪族基を表わす)
一般式(4)で表わされるα−ヒドロキシ脂肪族カルボン酸化合物としては、例えば以下のものが挙げられる。α−ヒドロキシドデカン酸、α−ヒドロキシテトラデカン酸、α−ヒドロキシヘキサデカン酸、α−ヒドロキシオクタデカン酸、α−ヒドロキシペンタデカン酸、α−ヒドロキシエイコサン酸、α−ヒドロキシドコサン酸、α−ヒドロキシテトラコサン酸、α−ヒドロキシヘキサコサン酸、α−ヒドロキシオクタコサン酸等。脂肪族カルボン酸化合物としては、ハロゲン元素で置換された炭素数12以上の脂肪族基を備えた脂肪族カルボン酸化合物で、その少なくともα位またはβ位の炭素にハロゲン元素を持つものも好ましく用いられる。このような化合物の具体例としては、例えば以下のものを挙げることができる。
2−ブロモヘキサデカン酸、2−ブロモヘプタデカン酸、2−ブロモオクタデカン酸、2−ブロモエイコサン酸、2−ブロモドコサン酸、2−ブロモテトラコサン酸、3−ブロモオクタデカン酸、3−ブロモエイコ酸、2,3−ジブロモオクタデカン酸、2−フロルドデカン酸、2−フロルテトラデカン酸、2−フロルヘキサデカン酸、2−フロルオクタデカン酸、2−フロルエイコサン酸、2−フロルドコサン酸、2−ヨードヘキサデカン酸、2−ヨードオクタデカン酸、3−ヨードヘキサデカン酸、3−ヨードオクタデカン酸、パーフロルオクタデカン酸等。脂肪族カルボン酸化合物としては炭素鎖中にオキソ基を持つ炭素数12以上の脂肪族基を持つ脂肪族カルボン酸化合物で、その少なくともα位、β位またはγ位の炭素がオキソ基となっているものも用いられる。このような化合物の具体例としては、例えば以下のものを挙げることができる。
2−オキソドデカン酸、2−オキソテトラデカン酸、2−オキソヘキサデカン酸、2−オキソオクタデカン酸、2−オキソエイコサン酸、2−オキソテトラコサン酸、3−オキソドデカン酸、3−オキソテトラデカン酸、3−オキソヘキサデカン酸、3−オキソオクタデカン酸、3−オキソエイコサン酸、3−オキソテトラコサン酸、4−オキソヘキサデカン酸、4−オキソヘプタデカン酸、4−オキソオクタデカン酸、4−オキソドコサン酸等。脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(5)で表わされる二塩基酸も用いられる。
(但し、R6は炭素数12以上の脂肪族基を表わし、Xは酸素原子又はイオウ原子を表わし、nは1又は2を表わすが、Xnが−SO2−基であっても良い)
一般式(5)で表わされる二塩基酸の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。ドデシルリンゴ酸、テトラデシルリンゴ酸、ヘキサデシルリンゴ酸、オクタデシルリンゴ酸、エイコシルリンゴ酸、ドコシルリンゴ酸、テトラコシルリンゴ酸、ドデシルチオリンゴ酸、テトラデシルチオリンゴ酸、ヘキサデシルチオリンゴ酸、オクタデシルチオリンゴ酸、エイコシルチオリンゴ酸、ドコシルチオリンゴ酸、テトラコシルチオリンゴ酸、ドデシルジチオリンゴ酸、テトラデシルジチオリンゴ酸、ヘキサデシルジチオリンゴ酸、オクタデシルジチオリンゴ酸、エイコシルジチオリンゴ酸、ドコシルジチオリンゴ酸、テトラコシルジチオリンゴ酸、ドデシルスルホンブタン二酸、テトラデシルスルホンブタン二酸、ヘキサデシルスルホンブタン二酸、オクタデシルスルホンブタン二酸、エイコシルスルホンブタン二酸、ドコシルスルホンブタン二酸等。脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(6)で表わされる二塩基酸も用いられる。
一般式(5)で表わされる二塩基酸の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。ドデシルリンゴ酸、テトラデシルリンゴ酸、ヘキサデシルリンゴ酸、オクタデシルリンゴ酸、エイコシルリンゴ酸、ドコシルリンゴ酸、テトラコシルリンゴ酸、ドデシルチオリンゴ酸、テトラデシルチオリンゴ酸、ヘキサデシルチオリンゴ酸、オクタデシルチオリンゴ酸、エイコシルチオリンゴ酸、ドコシルチオリンゴ酸、テトラコシルチオリンゴ酸、ドデシルジチオリンゴ酸、テトラデシルジチオリンゴ酸、ヘキサデシルジチオリンゴ酸、オクタデシルジチオリンゴ酸、エイコシルジチオリンゴ酸、ドコシルジチオリンゴ酸、テトラコシルジチオリンゴ酸、ドデシルスルホンブタン二酸、テトラデシルスルホンブタン二酸、ヘキサデシルスルホンブタン二酸、オクタデシルスルホンブタン二酸、エイコシルスルホンブタン二酸、ドコシルスルホンブタン二酸等。脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(6)で表わされる二塩基酸も用いられる。
(ただし、R7,R8,R9は水素原子又は脂肪族基を表わし、このうち少なくとも一つは炭素数12以上の脂肪族基である)
一般式(6)で表わされる二塩基酸の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。ドデシルブタン二酸、トリデシルブタン二酸、テトラデシルブタン二酸、ペンタデシルブタン二酸、オクタデシルブタン二酸、エイコシルブタン二酸、ドコシルブタン二酸、2,3−ジヘキサデシルブタン二酸、2,3−ジオクタデシルブタン二酸、2−メチル−3−ドデシルブタン二酸、2−メチル−3−テトラデシルブタン二酸、2−メチル−3−ヘキサデシルブタン二酸、2−エチル−3−ドデシルブタン二酸、2−プロピル−3−ドデシルブタン二酸、2−オクチル−3−ヘキサデシルブタン二酸、2−テトラデシル−3−オクタデシルブタン二酸等。脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(7)で表わされる二塩基酸も用いられる。
一般式(6)で表わされる二塩基酸の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。ドデシルブタン二酸、トリデシルブタン二酸、テトラデシルブタン二酸、ペンタデシルブタン二酸、オクタデシルブタン二酸、エイコシルブタン二酸、ドコシルブタン二酸、2,3−ジヘキサデシルブタン二酸、2,3−ジオクタデシルブタン二酸、2−メチル−3−ドデシルブタン二酸、2−メチル−3−テトラデシルブタン二酸、2−メチル−3−ヘキサデシルブタン二酸、2−エチル−3−ドデシルブタン二酸、2−プロピル−3−ドデシルブタン二酸、2−オクチル−3−ヘキサデシルブタン二酸、2−テトラデシル−3−オクタデシルブタン二酸等。脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(7)で表わされる二塩基酸も用いられる。
(ただし、R10,R11は水素原子又は脂肪族基を表わし、このうち少なくとも一つは炭素数12以上の脂肪族基である)
一般式(7)で表わされる二塩基酸の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。ドデシルマロン酸、テトラデシルマロン酸、ヘキサデシルマロン酸、オクタデシルマロン酸、エイコシルマロン酸、ドコシルマロン酸、テトラコシルマロン酸、ジドデシルマロン酸、ジテトラデシルマロン酸、ジヘキサデシルマロン酸、ジオクタデシルマロン酸、ジエイコシルマロン酸、ジドコシルマロン酸、メチルオクタデシルマロン酸、メチルエイコシルマロン酸、メチルドコシルマロン酸、メチルテトラコシルマロン酸、エチルオクタデシルマロン酸、エチルエイコシルマロン酸、エチルドコシルマロン酸、エチルテトラコシルマロン酸等。脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(8)で表わされる二塩基酸も用いられる。
一般式(7)で表わされる二塩基酸の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。ドデシルマロン酸、テトラデシルマロン酸、ヘキサデシルマロン酸、オクタデシルマロン酸、エイコシルマロン酸、ドコシルマロン酸、テトラコシルマロン酸、ジドデシルマロン酸、ジテトラデシルマロン酸、ジヘキサデシルマロン酸、ジオクタデシルマロン酸、ジエイコシルマロン酸、ジドコシルマロン酸、メチルオクタデシルマロン酸、メチルエイコシルマロン酸、メチルドコシルマロン酸、メチルテトラコシルマロン酸、エチルオクタデシルマロン酸、エチルエイコシルマロン酸、エチルドコシルマロン酸、エチルテトラコシルマロン酸等。脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(8)で表わされる二塩基酸も用いられる。
(ただし、R12は炭素数12以上の脂肪族基を表わし、nは0または1を表わし、mは1,2または3を表わし、nが0の場合、mは2または3であり、nが1の場合はmは1又は2を表わす)
一般式(8)で表わされる二塩基酸の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。2−ドデシル−ペンタン二酸、2−ヘキサデシル−ペンタン二酸、2−オクタデシル−ペンタン二酸、2−エイコシル−ペンタン二酸、2−ドコシル−ペンタン二酸、2−ドデシル−ヘキサン二酸、2−ペンタデシル−ヘキサン二酸、2−オクタデシル−ヘキサン二酸、2−エイコシル−ヘキサン二酸、2−ドコシル−ヘキサン二酸等。脂肪族カルボン酸化合物としては、長鎖脂肪酸によりアシル化されたクエン酸などの三塩基酸も用いられる。その具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
一般式(8)で表わされる二塩基酸の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。2−ドデシル−ペンタン二酸、2−ヘキサデシル−ペンタン二酸、2−オクタデシル−ペンタン二酸、2−エイコシル−ペンタン二酸、2−ドコシル−ペンタン二酸、2−ドデシル−ヘキサン二酸、2−ペンタデシル−ヘキサン二酸、2−オクタデシル−ヘキサン二酸、2−エイコシル−ヘキサン二酸、2−ドコシル−ヘキサン二酸等。脂肪族カルボン酸化合物としては、長鎖脂肪酸によりアシル化されたクエン酸などの三塩基酸も用いられる。その具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
フェノール化合物としては、下記一般式(9)で表わされる化合物が用いられる。
(ただし、Yは−S−,−O−,−CONH−,−NHCO−,−NHCONH−,−NHSO2−,−CH=CH−CONH−又は−COO−を表わし、R13は炭素数12以上の脂肪族基を表わし、nは1,2または3の整数である)。一般式(9)で表わされるフェノール化合物の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。p−(ドデシルチオ)フェノール、p−(テトラデシルチオ)フェノール、p−(ヘキサデシルチオ)フェノール、p−(オクタデシルチオ)フェノール、p−(エイコシルチオ)フェノール、p−(ドコシルチオ)フェノール、p−(テトラコシルチオ)フェノール、p−(ドデシルオキシ)フェノール、p−(テトラデシルオキシ)フェノール、p−(ヘキサデシルオキシ)フェノール、p−(オクタデシルオキシ)フェノール、p−(エイコシルオキシ)フェノール、p−(ドコシルオキシ)フェノール、p−(テトラコシルオキシ)フェノール、p−ドデシルカルバモイルフェノール、p−テトラデシルカルバモイルフェノール、p−ヘキサデシルカルバモイルフェノール、p−オクタデシルカルバモイルフェノール、p−エイコシルカルバモイルフェノール、p−ドコシルカルバモイルフェノール、p−テトラコシルカルバモイルフェノール、没食子酸ヘキサデシルエステル、没食子酸オクタデシルエステル、没食子酸エイコシルエステル、没食子酸ドコシルエステル、没食子酸テトラコシルエステル等。
例えば、4'−ヒドロキシトリデカンアニリド、4'−ヒドロキシヘプタデカンアニリド、4'−ヒドロキシノナデカンアニリド、3'−ヒドロキシノナデカンアニリド、4'−ヒドロキシドコサンアニリドなど、
例えば、4−(N−ドデシルスルホニルアミノ)フェノール、4−(N−オクタデシルスルホニルアミノ)フェノールなど、
例えばN−(4−ヒドロキシフェニル)−N'−ドデシルウレア、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N'−オクタデシルウレア、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N'−ドコシルウレアなど、
例えば、N−ドデシル−p−ヒドロキシシンナムアミド、N−テトラデシル−p−ヒドロキシシンナムアミド、N−オクタデシル−p−ヒドロキシシンナムアミド、N−ドコシル−p−ヒドロキシシンナムアミド、N−オクタコシル−p−ヒドロキシシンナムアミド。
(d)メルカプト酢酸の金属塩、一般式(10)で表わされるアルキル又はアルケニルメルカプト酢酸の金属塩が用いられる。
(R14−S−CH2−COO)2M (10)
(ただし、R14は炭素数10〜18の脂肪族基を表わし、Mはスズ、マグネシウム、亜鉛又は銅を表わす)
一般式(10)で表わされるメルカプト酢酸金属塩の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
(R14−S−CH2−COO)2M (10)
(ただし、R14は炭素数10〜18の脂肪族基を表わし、Mはスズ、マグネシウム、亜鉛又は銅を表わす)
一般式(10)で表わされるメルカプト酢酸金属塩の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
デシルメルカプト酢酸スズ塩、ドデシルメルカプト酢酸スズ塩、テトラデシルメルカプト酢酸スズ塩、ヘキサデシルメルカプト酢酸スズ塩、オクタデシルメルカプト酢酸スズ塩、デシルメルカプト酢酸マグネシウム塩、ドデシルメルカプト酢酸マグネシウム塩、テトラデシルメルカプト酢酸マグネシウム塩、ヘキサデシルメルカプト酢酸マグネシウム塩、オクタデシルメルカプト酢酸マグネシウム塩、デシルメルカプト酢酸亜鉛塩、ドデシルメルカプト酢酸亜鉛塩、テトラデシルメルカプト酢酸亜鉛塩、ヘキサデシルメルカプト酢酸亜鉛塩、オクタデシルメルカプト酢酸亜鉛塩、デシルメルカプト酢酸銅塩、ドデシルメルカプト酢酸銅塩、テトラデシルメルカプト酢酸銅塩、ヘキサデシルメルカプト酢酸銅塩、オクタデシルメルカプト酢酸銅塩等が挙げられる。
本発明で使用される可逆的熱発色性組成物は、基本的に前記顕色剤に対して発色剤を組合わせることによって構成されるものである。本発明で用いる発色剤は電子供与性を示すものであり、それ自体無色あるいは淡色の染料前駆体であり、特に限定されず、従来公知のもの、例えばトリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、ロイコオーラミン系化合物、インドリノフタリド系化合物などが用いられる。その発色剤の具体例を以下に示す。本発明に用いる好ましい発色剤として下記一般式(11)又(12)の化合物がある。
但し、R15は水素又は炭素数1〜4のアルキル基、R16は炭素数1〜6のアルキル基、シクロヘキシル基又は置換されていてもよいフェニル基を示す。フェニル基に対する置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基又はハロゲン等が示される。R17は水素、炭素数1〜2のアルキル基、アルコキシ基又はハロゲンを表わす。R18は水素、メチル基、ハロゲン又は置換されていてもよいアミノ基を表わす。アミノ基に対する置換基は、アルキル基、置換されていてもよいアリール基やアラルキル基等であり、ここでの置換基はアルキル基、ハロゲン、アルコキシ基等である。このような発色剤の具体例としては、例えば次の化合物が挙げられる。
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−トリクロルメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−メチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−クロルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−ブロモアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロルアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(o−フロルアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロルメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p−アセチルアニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(ジ−p−メチルベンジルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−クロルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−クロルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−クロルアニリノ)フルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロル−6−ジプロピルアミノフルオラン、3−クロル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロル−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロル−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロルアニリノ)−3−クロル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフロルメチルアニリノ)−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロルアニリノ)−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、その他。
本発明において好ましく用いられる他の発色剤の具体例を示すと以下の通りである。2−アニリノ−3−メチル−6−(N−2−エトキシプロピル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロルアニリノ)−6−(N−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロルアニリノ)−6−(N−n−パルミチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロルアニリノ)−6−(ジ−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−ベンゾイルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−メトキシベンゾイルアミノ)−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メトキシ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−4−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p−トルイジノ)−3−(t−ブチル)−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−メトキシカルボニルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アセチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフロルメチルアニリノ)フルオラン、4−メトキシ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−クロル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−4−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−ベンジル−p−トリフロルメチルアニリノ)−4−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ピロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)フルオラン、2−メシジノ−4',5'−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロルメチルアニリノ)−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、2−(α−ナフチルアミノ)−3,4−ベンゾ−4'−ブロモ−6−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、2−ピペリジノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−N−n−プロピル−p−トリフロルメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、2−(ジ−N−p−クロルフェニル−メチルアミノ)−6−ピロリジノフルオラン、2−(N−n−プロピル−m−トリフロルメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、2−(ジ−N−p−クロルフェニル−メチルアミノ)−6−ピロリジノフルオラン、2−(N−n−プロピル−m−トリフロルメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−n−オクチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジアリルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エトキシエチル−N−エチルアミノ)フルオラン、ベンゾロイコメチレンブルー、2−〔3,6−ビス(ジエチルアミノ)〕−6−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、2−〔3,6−ビス(ジエチルアミノ)〕−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、3,3−ビス(p−ジメチルアニリノ)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアニリノ)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアニリノ)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアニリノ)フタリド、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−ヒドロキシ−4,5−ジクロルフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロルフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメトキシアニリノ)−3−(2−メトキシ−5−クロルフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアニリノ)−3−(2−メトキシ−5−ニトロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジエチルアニリノ)−3−(2−メトキシ−5−トリル)フタリド、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアニリノ)−3−(2−ヒドロキシ−4−クロル−5−メトキシフェニル)フタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3')−6'−ジメチルアミノフタリド、6−クロル−8−メトキシ−ベンゾインドリノースピロピラン、6−ブロモ−2−メトキシ−ベンゾインドリノースピロピラン等。
本発明で使用する記録媒体の記録層に形成される前記の可逆的熱発色性組成物は、基本的にはアルキル鎖構造部分を持つ前記顕色剤と発色剤とを組合せた組成物であり、個々の顕色剤に対して好ましい発色剤が存在する。この可逆的熱発色性組成物に用いる顕色剤と発色剤の組合せは、両者を溶融温度以上に加熱して得られる発色状態組成物を、溶融温度より低温へ加熱したときに起る消色のし易さ(消色性)と、発色状態の色調等の特性で適当に選択される。このうち消色性はその組合せで得られる発色状態組成物の示差熱分析(DTA)、又は示差走査熱量分析(DSC)における昇温過程に現れる発熱ピークの有無で判断できる。この発熱ピークは前記組成物を特徴づける消色現象と対応するものであり、消色性の良好な組合せを選択する基準となる。本発明で使用される可逆的熱発色性組成物は、発色剤と顕色剤の割合を使用する化合物の物性によって適切な比率にする必要がある。その範囲はおおむねモル比で発色剤1に対し顕色剤が1から20の範囲であり、好ましくは2から10の範囲である。この範囲より顕色剤が少なくても多くても発色状態の濃度が低くなり、実用上の問題となる。また、上記の好ましい範囲にあっても発色剤と顕色剤の割合で消色特性は変化し、比較的顕色剤が多い場合には消色開始温度が低くなり、比較的少ない場合には消色が温度に対してシャープになる。従って、この割合は用途や目的に応じて適当に選択しなければならない。
本発明で使用される可逆的感熱記録媒体は、前記の組成物を含む記録層を支持体上に設けたものであり、該記録媒体の基本的構成は最下層に支持体を備え、その上に記録層及び保護層を順次積層したものであるが、支持体と記録層の間には記録層の組成物が支持体へ浸透するのを防ぐアンダーコート層を、記録層と保護層の間には接着性向上等を目的とする中間層を存在させるのが好ましい。ここで用いられる支持体は紙、合成紙、プラスチックフィルム或いはこれらの複合体、ガラス板等であり、記録層を保持できるものであればよい。記録層は前記の可逆的熱発色性組成物が存在すればどのような態様のものでも良いが、通常はバインダー樹脂内に顕色剤と発色剤とを充分良く分散して記録層とするのが良く、この方法で長寿命の可逆的感熱記録媒体を得ることができる。顕色剤及び発色剤は、そのまま或いはマイクロカプセル中に内包して用いることができる。顕色剤、発色剤のマイクロカプセル化はコアセルベーション法、界面重合法、インサイチュ重合法など公知の方法で行うことができる。なお、顕色剤や発色剤は単独でも2種以上混合して使用してもよい。
本発明で使用される可逆的感熱記録媒体では必要に応じて、塗布特性或いは記録特性の向上を目的に、通常の感熱記録紙に用いられている種々の添加剤、例えば分散剤、界面活性剤、高分子カチオン系導電剤、填料、発色画像安定剤、酸化防止剤、光安定化剤、滑剤等を記録層に加えることもできる。記録層の形成は発色剤と顕色剤とをバインダー樹脂と共に水又は有機溶剤に均一に分散もしくは溶解して、これを支持体上に塗布・乾燥する公知の方法で行えばよい。記録層のバインダー樹脂の主要な役割は、発色・消色の繰り返しで可逆的熱発色性組成物が凝集するのを防止し、該組成物が均一に分散した状態を保持することである。そして、発色時の熱印加で該組成物が凝集することが多いから、バインダー樹脂には耐熱性の高いものを使うのが望ましい。
このようなバインダー樹脂として、例えばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、アクリル酸共重合体、マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、塩素化塩化ビニル樹脂、前記バインダー樹脂の混合物等が用いられる。保護層は熱印加時の熱と圧力による表面の変形や変色を防ぐから、多数回使用時には保護層設置が好ましい。保護層にはポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のほか、紫外線硬化樹脂や電子線硬化樹脂等の種々の硬化性樹脂が使用される。これらは単独又は2種以上混合して使用されるが、保護層形成用樹脂に硬化剤を加えて設層し、該層を設層後に硬化させてもよい。
アンダーコート層は断熱性向上、支持体と記録層間の接着性向上、記録層内組成物の支持体への浸透防止等の目的で設置される。該層の主な役割の一つは印加熱エネルギーを無駄なく記録の形成や消去に利用するための断熱性向上であり、断熱用アンダーコート層設置で発色や消色をシャープに行うことができる。該層は支持体上に有機又は無機材質の微小中空体粒子を塗工して設けられるが、該層を設ける代りに断熱性支持体を使っても断熱性向上が可能である。中間層は記録層と保護層間の接着性向上や、記録層の発色性組成物が保護層へ移行するのを防止する等の多様な目的で設けられるが、特に保護層に耐熱性や耐摩擦性の高い硬化性樹脂を使用することが多いため、接着性向上用中間層の設層は利点が多く、該層の設置で記録媒体の耐久性が向上する場合が多い。アンダーコート層及び中間層の形成用バインダー樹脂には、前記の記録層形成用バインダー樹脂のほか、メチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、カゼイン、でん粉等が使用される。
実施例
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお実施例中の部及び%は重量基準である。
実施例1
厚さ100μmのポリエステルフィルム上に下記組成よりなる記録層塗布液を0.8mmのワイヤーバーを用いて塗布し、直ちに150℃で乾燥し発色状態の記録層を形成した。次に70℃の恒温槽中で10分間加熱処理し、初期消色状態とした。
記録層塗布液 オクタデシルホスホン酸 17部 3−ジブチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン 5部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(ユニオンカーバイド社製: VYHH) 33部 3,4−ジヒドロ−2H−ピラン 225部 1,3−ジシクロヘキシル−2−(2,5−ジクロロフェニル)
グアニジン 0.5部この記録層上に下記の保護層塗布液を0.1mmのワイヤーバーを用いて塗布し、70℃で3分間乾燥後、80W/cmの紫外線ランプを照射して硬化させ保護層を形成した。
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお実施例中の部及び%は重量基準である。
実施例1
厚さ100μmのポリエステルフィルム上に下記組成よりなる記録層塗布液を0.8mmのワイヤーバーを用いて塗布し、直ちに150℃で乾燥し発色状態の記録層を形成した。次に70℃の恒温槽中で10分間加熱処理し、初期消色状態とした。
記録層塗布液 オクタデシルホスホン酸 17部 3−ジブチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン 5部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(ユニオンカーバイド社製: VYHH) 33部 3,4−ジヒドロ−2H−ピラン 225部 1,3−ジシクロヘキシル−2−(2,5−ジクロロフェニル)
グアニジン 0.5部この記録層上に下記の保護層塗布液を0.1mmのワイヤーバーを用いて塗布し、70℃で3分間乾燥後、80W/cmの紫外線ランプを照射して硬化させ保護層を形成した。
保護層塗布液 ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂の75%酢酸ブチル溶 液(大日本インキ化学社製:ユニディックC7−157) 150部 炭酸カルシウム(白石カルシウム社製:カルライトSA) 2部 ポリエチレンワックス 1部 メチルエチルケトン 50部 2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン 8部このようにして作製した可逆的感熱記録媒体を80℃から150℃の範囲の温度に加熱したホットプレート上に10秒間のせたのち、裏面を氷水に接触させて急冷し、発色させた。各温度で発色させた記録媒体を消色温度である70℃のオーブン中で1分間消色させた。各発色温度に対する発色濃度と消色処理後の濃度を図2に示す。この記録媒体の飽和発色温度は92℃以上であり、これ以上の温度で発色させた記録媒体の発色濃度は2.10〜2.15である。これらは消色処理後いずれも0.16まで濃度が低下した。しかし、発色濃度が立ち上がる80〜90℃の温度で発色させた記録媒体は消色処理後も十分には濃度が低下していない。例えば85℃と90℃で発色させたものは発色濃度が1.37と1.96のように低いにもかかわらず、消色処理後もそれぞれ0.96、0.50までしか低下しなかった。以上のよう飽和発色濃度を呈する温度で発色させることにより、良好な消色が可能になることがわかる。
実施例2
実施例1で記録層塗布液に用いたオクタデシルホスホン酸の代りにドコシルホスホン酸を用い、初期消色状態とするための熱処理温度を85℃とした以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。実施例1と同様にして飽和発色温度を調べると100℃以上であった。この飽和発色温度以上で発色させた記録媒体は、85℃で1分間消色処理するといずれも1.95から0.12まで濃度が低下し、良好な消色状態が得られた。しかし、発色の立上り部分の温度である97℃で発色させると、同じ消色処理で1.02から0.49までしか濃度が低下しなかった。
実施例1で記録層塗布液に用いたオクタデシルホスホン酸の代りにドコシルホスホン酸を用い、初期消色状態とするための熱処理温度を85℃とした以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。実施例1と同様にして飽和発色温度を調べると100℃以上であった。この飽和発色温度以上で発色させた記録媒体は、85℃で1分間消色処理するといずれも1.95から0.12まで濃度が低下し、良好な消色状態が得られた。しかし、発色の立上り部分の温度である97℃で発色させると、同じ消色処理で1.02から0.49までしか濃度が低下しなかった。
実施例3
実施例1で記録層塗布液に用いたオクタデシルホスホン酸の代りにヘキサデシルホスホン酸を用い、初期消色状態とするための熱処理温度を60℃とした以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。このようにして作製した可逆性感熱記録媒体をサーマルヘッドを用いて発色させた。サーマルヘッドに印加するパルスの幅を1msecとし、電圧を変化させて印字したときの印加エネルギーに対する発色濃度を測定した結果が図3である。この記録媒体のこの印字条件における飽和発色エネルギーは40mJ/cm2以上であることがわかる。各印加エネルギーで発色させた記録媒体を60℃で1分間消色処理したのち濃度を測定し、図3に示した。飽和発色エネルギーで発色させた記録媒体は濃度が約1.8から0.25まで低下しているのに対し、発色の立上り部分の35mJ/cm2で印字すると、濃度は1.56から0.30までしか低下しなかった。以上のように飽和発色濃度を呈するエネルギーを印加して発色させることによって、良好な消色状態が得られることがわかる。
実施例1で記録層塗布液に用いたオクタデシルホスホン酸の代りにヘキサデシルホスホン酸を用い、初期消色状態とするための熱処理温度を60℃とした以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。このようにして作製した可逆性感熱記録媒体をサーマルヘッドを用いて発色させた。サーマルヘッドに印加するパルスの幅を1msecとし、電圧を変化させて印字したときの印加エネルギーに対する発色濃度を測定した結果が図3である。この記録媒体のこの印字条件における飽和発色エネルギーは40mJ/cm2以上であることがわかる。各印加エネルギーで発色させた記録媒体を60℃で1分間消色処理したのち濃度を測定し、図3に示した。飽和発色エネルギーで発色させた記録媒体は濃度が約1.8から0.25まで低下しているのに対し、発色の立上り部分の35mJ/cm2で印字すると、濃度は1.56から0.30までしか低下しなかった。以上のように飽和発色濃度を呈するエネルギーを印加して発色させることによって、良好な消色状態が得られることがわかる。
実施例4
実施例1の記録媒体について実施例3と同様にして飽和発色エネルギーを求めると50mJ/cm2以上であった。この範囲である55mJ/cm2で印字すると発色濃度は1.86であり、これを70℃で1分間消色処理すると0.18まで消色した。しかし、飽和発色エネルギーより低い45mJ/cm2で印字すると、発色濃度は1.65と低いにもかかわらず、0.21までしか消色しなかった。
実施例5
実施例1の可逆性感熱記録媒体を130℃のホットプレートで加熱し、氷水で急冷し発色させた。発色濃度は1.80であった。この記録媒体を室温から消色温度である70℃まで平均の昇温速度が約10、20および40℃/秒となるように三つの条件で昇温し、70℃ですぐに放冷した。これらの消色処理によってそれぞれ消色濃度0.22、0.25、0.96が得られた。以上のように昇温速度のおそい方がよく消色し、とくに良好な消色のためには、30℃/秒以下の速度が好ましいことがわかる。
実施例1の記録媒体について実施例3と同様にして飽和発色エネルギーを求めると50mJ/cm2以上であった。この範囲である55mJ/cm2で印字すると発色濃度は1.86であり、これを70℃で1分間消色処理すると0.18まで消色した。しかし、飽和発色エネルギーより低い45mJ/cm2で印字すると、発色濃度は1.65と低いにもかかわらず、0.21までしか消色しなかった。
実施例5
実施例1の可逆性感熱記録媒体を130℃のホットプレートで加熱し、氷水で急冷し発色させた。発色濃度は1.80であった。この記録媒体を室温から消色温度である70℃まで平均の昇温速度が約10、20および40℃/秒となるように三つの条件で昇温し、70℃ですぐに放冷した。これらの消色処理によってそれぞれ消色濃度0.22、0.25、0.96が得られた。以上のように昇温速度のおそい方がよく消色し、とくに良好な消色のためには、30℃/秒以下の速度が好ましいことがわかる。
実施例6
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を70℃のホットプレートに記録層側から約5mm/秒の速度で近づけて接触させ5秒間加熱した。この消色処理によって濃度は0.26まで低下した。一方、ホットプレートに対して一気に接触させ5秒間加熱すると、濃度は0.32までしか低下しなかった。このように記録媒体と熱源との距離を連続的に減少させることにより昇温速度を遅くすることによって、良好な消色が可能になることがわかる。
実施例7
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を70℃のホットプレートに支持体裏面側から一気に接触させ5秒間加熱した。この消色処理によって濃度は0.25まで低下した。記録層表面側から接触したときには、0.32までしか低下しないことから、支持体裏面側からの加熱が良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を70℃のホットプレートに記録層側から約5mm/秒の速度で近づけて接触させ5秒間加熱した。この消色処理によって濃度は0.26まで低下した。一方、ホットプレートに対して一気に接触させ5秒間加熱すると、濃度は0.32までしか低下しなかった。このように記録媒体と熱源との距離を連続的に減少させることにより昇温速度を遅くすることによって、良好な消色が可能になることがわかる。
実施例7
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を70℃のホットプレートに支持体裏面側から一気に接触させ5秒間加熱した。この消色処理によって濃度は0.25まで低下した。記録層表面側から接触したときには、0.32までしか低下しないことから、支持体裏面側からの加熱が良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例8
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を75℃のホットプレートに記録層表面側を約1mmの距離まで一気に接近させ、5秒間加熱した。この消色処理によって濃度は0.25まで低下した。70℃のホットプレートにじかに接触させたときは0.32までしか低下しないことから、熱源に対して接触させず、非接触で加熱することが良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例9
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を75℃のホットプレートに支持体裏面側を約1mmの距離まで一気に接近させ、5秒間加熱した。この消色処理によって濃度は0.16まで低下した。70℃のホットプレートにじかに接触させたときは0.32までしか低下しないことから、熱源に対して記録層側を接触させず、裏面から非接触で加熱することが良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を75℃のホットプレートに記録層表面側を約1mmの距離まで一気に接近させ、5秒間加熱した。この消色処理によって濃度は0.25まで低下した。70℃のホットプレートにじかに接触させたときは0.32までしか低下しないことから、熱源に対して接触させず、非接触で加熱することが良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例9
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を75℃のホットプレートに支持体裏面側を約1mmの距離まで一気に接近させ、5秒間加熱した。この消色処理によって濃度は0.16まで低下した。70℃のホットプレートにじかに接触させたときは0.32までしか低下しないことから、熱源に対して記録層側を接触させず、裏面から非接触で加熱することが良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例10
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を55℃のホットプレートに支持体裏面側を3秒間接触させた。いったん室温に戻し濃度を測定すると1.65であった。次に70℃のホットプレートに支持体裏面側を3秒間接触させて加熱したところ、濃度は0.21まで低下した。一方、始めから70℃のホットプレートに支持体裏面を6秒間接触させた場合には0.24までしか低下しなかった。この結果から、低温から高温への非連続かつ段階的な加熱が、良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例11
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を70℃のホットプレートに支持体裏面側から約2mmまで接近させて3秒間加熱した。いったん室温に戻し濃度を測定すると1.58であった。次に支持体裏面側を3秒間接触させて加熱したところ、濃度は0.18まで低下した。始めから支持体裏面側を6秒間接触させた場合には0.24までしか低下しなかったことから、記録媒体と熱源との距離を非連続かつ段階的に減少させて、低温から高温へ非連続かつ段階的に加熱することが良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を55℃のホットプレートに支持体裏面側を3秒間接触させた。いったん室温に戻し濃度を測定すると1.65であった。次に70℃のホットプレートに支持体裏面側を3秒間接触させて加熱したところ、濃度は0.21まで低下した。一方、始めから70℃のホットプレートに支持体裏面を6秒間接触させた場合には0.24までしか低下しなかった。この結果から、低温から高温への非連続かつ段階的な加熱が、良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例11
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を70℃のホットプレートに支持体裏面側から約2mmまで接近させて3秒間加熱した。いったん室温に戻し濃度を測定すると1.58であった。次に支持体裏面側を3秒間接触させて加熱したところ、濃度は0.18まで低下した。始めから支持体裏面側を6秒間接触させた場合には0.24までしか低下しなかったことから、記録媒体と熱源との距離を非連続かつ段階的に減少させて、低温から高温へ非連続かつ段階的に加熱することが良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例12
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を55℃のホットプレートに支持体裏面側を3秒間接触させ、続いて70℃のホットプレートに同様に3秒間接触させて加熱したところ、濃度は0.20まで低下した。始めから70℃のホットプレートに6秒間接触させた場合には0.24までしか低下しなかったことから、低温から高温への連続的かつ段階的な加熱が良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例13
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を70℃のホットプレートに支持体裏面側を約2mmまで接近させ3秒間加熱し、続いて3秒間接触させて加熱したところ、濃度は0.18まで低下した。始めから支持体裏面側を6秒間接触させた場合には0.24までしか低下しなかったことから、記録媒体と熱源との距離を連続的かつ段階的に減少させて、低温から高温へ連続的かつ段階的に加熱することが良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を55℃のホットプレートに支持体裏面側を3秒間接触させ、続いて70℃のホットプレートに同様に3秒間接触させて加熱したところ、濃度は0.20まで低下した。始めから70℃のホットプレートに6秒間接触させた場合には0.24までしか低下しなかったことから、低温から高温への連続的かつ段階的な加熱が良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例13
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を70℃のホットプレートに支持体裏面側を約2mmまで接近させ3秒間加熱し、続いて3秒間接触させて加熱したところ、濃度は0.18まで低下した。始めから支持体裏面側を6秒間接触させた場合には0.24までしか低下しなかったことから、記録媒体と熱源との距離を連続的かつ段階的に減少させて、低温から高温へ連続的かつ段階的に加熱することが良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例14
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を60℃のホットプレートに支持体裏面側を2秒間接触させ、続いて70℃のホットプレートに1秒間接触させ、続いて60℃に1秒間、さらに続いて70℃に1秒間接触させて加熱したところ、濃度は0.20まで低下した。始めから70℃に5秒間接触した場合には0.25までしか低下しなかったことから、温度の異なる熱源に連続的に接触させて加熱温度を変動させることが、良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例15
実施例1の可逆的感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を75℃のホットプレートに支持体裏面側を約2mmまで接近させ2秒間加熱し、続いてこれを約1mmまで接近させ1秒間加熱し、続いて再び約2mmまで離し1秒間加熱し、さらに続いて再び約1mmまで接近させ1秒間加熱したところ、濃度は0.18まで低下した。始めから70℃のホットプレートに支持体裏面を5秒間接触した場合には0.25までしか低下しないことから、記録媒体と一定温度の熱源との距離を連続的に変化させることにより、消色温度範囲内で加熱温度を変動させることが、良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を60℃のホットプレートに支持体裏面側を2秒間接触させ、続いて70℃のホットプレートに1秒間接触させ、続いて60℃に1秒間、さらに続いて70℃に1秒間接触させて加熱したところ、濃度は0.20まで低下した。始めから70℃に5秒間接触した場合には0.25までしか低下しなかったことから、温度の異なる熱源に連続的に接触させて加熱温度を変動させることが、良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例15
実施例1の可逆的感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を75℃のホットプレートに支持体裏面側を約2mmまで接近させ2秒間加熱し、続いてこれを約1mmまで接近させ1秒間加熱し、続いて再び約2mmまで離し1秒間加熱し、さらに続いて再び約1mmまで接近させ1秒間加熱したところ、濃度は0.18まで低下した。始めから70℃のホットプレートに支持体裏面を5秒間接触した場合には0.25までしか低下しないことから、記録媒体と一定温度の熱源との距離を連続的に変化させることにより、消色温度範囲内で加熱温度を変動させることが、良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例16
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を70℃のホットプレートに支持体裏面側を接触させて5秒間加熱し、その後、平均約10℃/秒で室温まで降温させた。このとき濃度は0.22まで低下した。一方、降温の速度を平均約30℃/秒とすると、濃度は0.26までしか低下しなかった。この結果から、消色温度への加熱後の平均降温速度を20℃/秒以下とすることが、良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例17
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を70℃のホットプレートに支持体裏面を接触させて5秒間加熱した後、約5mm/秒の速度で記録媒体をホットプレートから離し、室温まで降温した。このとき濃度は0.20まで低下した。このように消色温度へ加熱した後、記録媒体と熱源との距離を徐々に広げて室温まで降温することは、良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を70℃のホットプレートに支持体裏面側を接触させて5秒間加熱し、その後、平均約10℃/秒で室温まで降温させた。このとき濃度は0.22まで低下した。一方、降温の速度を平均約30℃/秒とすると、濃度は0.26までしか低下しなかった。この結果から、消色温度への加熱後の平均降温速度を20℃/秒以下とすることが、良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
実施例17
実施例1の可逆性感熱記録媒体を実施例5と同様に発色させた。この記録媒体を70℃のホットプレートに支持体裏面を接触させて5秒間加熱した後、約5mm/秒の速度で記録媒体をホットプレートから離し、室温まで降温した。このとき濃度は0.20まで低下した。このように消色温度へ加熱した後、記録媒体と熱源との距離を徐々に広げて室温まで降温することは、良好な消色状態の形成に有効であることがわかる。
Claims (8)
- 支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を含む記録層を備え、該記録層が、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成する可逆性感熱記録媒体に形成された発色記録を消去する方法において、消色温度への加熱を低温から高温へ非連続かつ段階的に行うことを特徴とする可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
- 消色温度への加熱を、異なる温度の複数の熱源に低温側から順次可逆性感熱記録媒体を接触または接近させ、低温から高温へ非連続かつ段階的に行うことを特徴とする請求項1記載の可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
- 消色温度への加熱を、同一温度の熱源と可逆性感熱記録媒体の距離を非連続かつ段階的に小さくすることにより、低温から高温へ非連続かつ段階的に行うことを特徴とする請求項1記載の可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
- 支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を含む記録層を備え、該記録層が、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成する可逆性感熱記録媒体に形成された発色記録を消去する方法において、消色温度への加熱を低温から高温へ連続的かつ段階的に行うことを特徴とする可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
- 消色温度への加熱を、異なる温度の複数の熱源に低温側から順次可逆性感熱記録媒体を接触または接近させ、低温から高温へ連続的かつ段階的に行うことを特徴とする請求項4記載の可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
- 消色温度への加熱を、同一温度の熱源と可逆性感熱記録媒体の距離を連続的かつ段階的に小さくすることにより、低温から高温へ連続的かつ段階的に行うことを特徴とする請求項4記載の可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
- 支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を含む記録層を備え、該記録層が、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成する可逆性感熱記録媒体に形成された発色記録を消去する方法において、消色温度からの平均降温速度を20℃/秒以下にすることを特徴とする可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
- 可逆性感熱記録媒体を一定温度の熱源に接近または接触して消色温度に加熱した後、熱源と可逆性感熱記録媒体との距離を連続的に大きくすることにより、消色温度からの平均降温速度を20℃/秒以下にすることを特徴とする請求項7の可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003353157A JP2004090656A (ja) | 2003-10-14 | 2003-10-14 | 可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003353157A JP2004090656A (ja) | 2003-10-14 | 2003-10-14 | 可逆性感熱記録媒体の記録の消去方法。 |
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JP13375595A Division JPH08324113A (ja) | 1995-05-31 | 1995-05-31 | 可逆性感熱記録媒体の記録方法および記録の消去方法 |
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JP (1) | JP2004090656A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2018193680A1 (ja) * | 2017-04-17 | 2018-10-25 | 株式会社 日立産機システム | レーザーマーキング用塗料及びそれを用いたレーザーマーキング方法 |
-
2003
- 2003-10-14 JP JP2003353157A patent/JP2004090656A/ja active Pending
Cited By (2)
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WO2018193680A1 (ja) * | 2017-04-17 | 2018-10-25 | 株式会社 日立産機システム | レーザーマーキング用塗料及びそれを用いたレーザーマーキング方法 |
JP2018178001A (ja) * | 2017-04-17 | 2018-11-15 | 株式会社日立産機システム | レーザーマーキング用塗料及びそれを用いたレーザーマーキング方法 |
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