JP2004090281A - 熱転写による表面改質複合シートの製法 - Google Patents

熱転写による表面改質複合シートの製法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004090281A
JP2004090281A JP2002251763A JP2002251763A JP2004090281A JP 2004090281 A JP2004090281 A JP 2004090281A JP 2002251763 A JP2002251763 A JP 2002251763A JP 2002251763 A JP2002251763 A JP 2002251763A JP 2004090281 A JP2004090281 A JP 2004090281A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
film
composite sheet
sheet
roll
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002251763A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Hirano
平野 弘幸
Hiroshi Kuriaki
栗秋 廣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Chemicals Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Chemicals Corp filed Critical Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority to JP2002251763A priority Critical patent/JP2004090281A/ja
Priority to TW93105211A priority patent/TWI247639B/zh
Publication of JP2004090281A publication Critical patent/JP2004090281A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】簡便に、且つ連続的に外観、意匠性の良好な表面保護性能、表面反射防止性能、又は帯電防止性能を付与した樹脂複合シートを提供する。
【解決手段】押出シート成形時に、表面保護性能、表面反射防止性能、又は帯電防止性能を有した薄膜層が形成されたフィルムを特定の条件で連続的に供給し、該薄膜層をシート表面に転写して樹脂複合シートとする。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂シートの表面改質に関し、電気・電子製品、車輌内外装用部品、内外装建材、ディスプレイ等の分野に使用される樹脂シートに要求される、耐擦傷性、耐汚染性、耐溶剤性等の表面保護性能を、樹脂シートの外観、及び意匠性を損なわずに連続的に押出シート生産時に付与し、更には前述の用途の中で特に映像機器の前面板、額縁面板、間仕切り板に代表される透明性樹脂の使用分野において要求の強い表面反射防止、帯電防止性能を付与する押出複合シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、樹脂シートの表面改質は樹脂シート原板を準備し、これに塗布、蒸着等の二次加工によって、耐擦傷性等の機能を有する表面層を形成することが実施されてきた。
特開平5−57235には、プラスチック成形物等の表面にアクリレート系他の単官能並びに多官能性モノマーを電子線により硬化した塗膜を形成し耐擦傷性、耐汚染性を持たせる技術が、また特開2001−232728には樹脂シートの表面にオルガノシロキサン樹脂の硬化塗膜層を形成し耐擦傷性、耐溶剤性を向上する技術が開示されている。
【0003】
これらの技術は、一般的に樹脂シート原板のクリーニング、乾燥、下地処理等の前処理が必要で、その結果工程が複雑となり、且つ外観、意匠性を損なう塵埃の混入を防止し、連続生産のためには大掛かりな設備が必要となることから実施が困難であった。
一方連続生産への対応として、熱可塑性樹脂の押出シート成形時に予め樹脂フィルムの片面に耐擦傷性、反射防止性、帯電防止性等の機能を有する表面層を形成し、他の片面に粘着層を設けた樹脂フィルムを準備し連続的にラミネートする方法があり、特開平11−309813にはそれに用いることができる粘着層付きハードコートフィルムが開示されている。
【0004】
また粘着層を設けずに樹脂フィルムの材質を押出シートと同種の樹脂か、親和性の高い樹脂を選択して溶融温度以上の温度領域で直接押出シートに熱ラミネートする方法が多数提案されており、例えば特開2001−039808にはアクリルフィルム積層体が、特開平6−270225には溶融押出されたポリカーボネート(以下PCと言う)シートにアクリルフィルムを熱ラミネートする方法が開示されており、これらのフィルムの押出シートにラミネートする面とは反対側の表面に各種の機能を有する表面層を形成することで所期の目的である耐擦傷性、反射防止性、帯電防止性等を有する押出複合シートを得ることが可能となる。
【0005】
しかしながら前者の粘着層を設けたフィルムの場合には、この粘着層が温度変化、湿度変化の所謂環境変化の影響を受け、長期に渡る使用で変色、剥がれ等の外観不良を起こし易く、また後者の直接熱ラミネートする場合には、フィルム溶融時の変形の影響で、前記の各種機能を有する表面層にクラックが発生して外観を損ねたり、所期の性能が得られない場合があり、また得られた製品表面に波打ち等の変形が発生する現象を回避する事が困難であった。
【0006】
前述の特開平5−57235には、硬化性樹脂組成物を物品に塗膜として塗布するほかに、これをフィルムに適用し反対面に付けた粘着層で物品に添着したり、或いは転写層の最外層として用いることが示されているが、転写方法に関して具体的な条件は示されていない。
特開平5−162230には、帯電防止層を設けた転写フィルムを加熱状態で圧着し帯電防止機能を有する化粧材を得る方法が示され、この化粧材の製造方法の工程図として押出機の状況が示されているが、これにも具体的な条件は何ら示されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、樹脂シートの表面に保護層、または反射防止層、帯電防止層を形成するに際し、簡便に、且つ連続的に実施でき、環境変化の影響を受け難く、外観、意匠性の良好な表面保護性能、表面反射防止性能、帯電防止性能を付与した樹脂シートを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため本発明者らは鋭意検討の結果、押出シート成形時に薄膜層が形成されたフィルムを連続的に供給し、この薄膜層を押出シート表面に転写するに際し、良好な表面保護性能、表面反射防止性能、帯電防止性能を付与した樹脂シートとするには、特定の条件が必須である事を見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明は、
(1)離型性を有するベースフィルム面上に、硬化樹脂からなる薄膜層A、及び接着層Bの順に形成されてなる転写フィルムを、0.01〜0.1kg/cm(フィルム供給ロールの幅方向の単位長さ当たり)の緊張下で連続的に供給し、60〜200℃に加熱されたロールを1〜10kg/cm(ロールの幅方向の単位長さ当たり)の線圧で加圧しながら、接着層Bを介して薄膜層Aを熱可塑性樹脂の押出シート表面の少なくとも片面に転写し、その後ベースフィルムを剥離することを特徴とする、押出複合シートの製造方法。
【0009】
(2)薄膜層Aが、表面硬度3H以上であることを特徴とする、(1)に記載の押出複合シートの製造方法。
(3)薄膜層Aが、表面反射率3%以下であることを特徴とする、(1)〜(2)に記載の押出複合シートの製造方法。
(4)薄膜層Aが、表面抵抗値1010Ω以下であることを特徴とする、(1)〜(3)に記載の押出複合シートの製造方法。
(5)熱可塑性樹脂がアクリル系樹脂、MS系樹脂、又はPC系樹脂である事を特徴とする、(1)〜(4)に記載の押出複合シートの製造方法。
(6)熱可塑性樹脂が2mm厚さで80%以上の全光線透過率である事を特徴とする、(1)〜(5)に記載の押出複合シートの製造方法に係わる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の離型性を有するベースフィルムは、その表面に形成された硬化樹脂からなる薄膜層に対して離型性を有し、たるみ、亀裂等の不具合がない自己保持性を有する強度のものを指す。例えばポリエチレンテレフタレート(以下PETと言う)、ポリエチレン(以下PEと言う)、ポリプロピレン(以下PPと言う)、PC、セルロースアセテート等の単独あるいはこれらの複合フィルム状物を指しており、それらの表面に離型処理を施したものも含まれる。ベースフィルムの厚さとしては通常5〜150μmの範囲、好ましくは10〜100μmの範囲のものを使用するのが、皺やクラック等の無い薄膜層を形成した転写フイルムの製造と、転写により外観の良い複合シートを得ることが出来るので好ましい。
【0011】
本発明の硬化樹脂からなる薄膜層は、ジアクリレート、トリアクリレート、ジメタクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、アルキッドアクリレート、シリコンアクリレート、ポリエステルウレタンアクリレート等から選ばれるアクリレート系硬化樹脂、又はアルコキシシラン、オルガノポリシロキサン等から選ばれるシリコーン系硬化樹脂が好ましく、これらを硬化剤と共に溶剤に溶解し、グラビヤコート法、ロールコート法、リバースロール法などの通常の方法で前記ベースフィルムの片面に塗布、乾燥し、加熱又は紫外線を照射することで硬化させて形成する方法が推奨される。
【0012】
こうして形成された該薄膜層Aは、表面硬度(JIS−K5400手かき法で測定した値)3H以上が好ましく、厚さは1〜10μmの範囲から適宜選択されるが、1μm未満の場合には十分な性能が発現せず、また10μmを超えると硬化不良が生じたり、硬化後の塗膜の割れが発生する場合があるので好ましくない。
尚、このベース樹脂薄膜と接着層Bの中間に密着性、可撓性を向上のために公知のエポキシ化合物の中間薄膜を、1〜10μmの範囲で形成せしめてもよい。
【0013】
本発明において用いる接着層Bとしては、一般のアクリル系、酢酸ビニル系、塩化ビニル系、スチレン−ブタジエン系、ポリエステル系、エチレン−酢酸ビニル系、ウレタン系などの樹脂の単独またはこれらの混合物を主成分とするエマルジョン系樹脂や有機溶剤型樹脂から適宜選択使用される。
接着層Bは、前記樹脂を水や有機溶剤で希釈した塗液をグラビヤ印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法で薄膜上に塗布乾燥し形成される。接着層の厚さとしては、通常0.3〜20μmの範囲から被転写シートの表面状態などに応じて適宜選択される。
【0014】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、押出シート成形が可能な熱可塑性樹脂から選ばれるが、例をあげるとアクリル、スチレン、アクリル−スチレン共重合体(以下MSと言う)、塩化ビニル、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、PET、PC系樹脂の単独、及びそれらの混合物はベースフィルムから薄膜層を転写した際に薄膜層との密着性が比較的大きく有利であり、PE、PP、ポリビニリデンフロライド等はベースフィルムから薄膜層を転写した際に薄膜層との密着性が相対的に小さく推奨されない。
【0015】
これらの樹脂には、その特性を損なわない範囲に於いて他の成分、例えば着色顔料、着色染料、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等を含有させる事が出来る。
中でも、映像機器の前面板、額縁面板、間仕切り板等に要求される高い透明性と十分な機械強度、及び耐久性を持ち、表面精度の高い押出シートが得られるアクリル系樹脂、MS系樹脂、PC系樹脂は表面保護、表面反射防止、帯電防止の各種機能付加に際して好適の熱可塑性樹脂として推奨される。
【0016】
ここで高い透明性とは、JIS−K7105で測定される全光線透過率が2mm厚さで80%以上、より好ましくは同85%以上のものを言う。
アクリル系樹脂としては、メタクリル酸メチルを主体とする樹脂が挙げられ、これにはメチルメタクリレートの単独重合体又はメチルメタクリレートとメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシアクリレート、無水マレイン酸、もしくはα−メチルスチレンなどの共重合可能なモノマーのいずれか一つ以上との共重合体が含まれる。これらは単独で用いてもよいし、ブレンドしてもよい。
【0017】
アクリル系樹脂の衝撃強度を向上する為に、アクリル系重合体芯材料のまわりにブチルアクリレートを主成分とする弾性層、及びメチルメタクリレートを主成分とする非弾性層を交互に生成させる多段階逐次重合法により製造されるゴム弾性体をアクリル系樹脂にブレンドしたものも、本発明のアクリル系樹脂に含まれる。
MS系樹脂は、アクリル−スチレン共重合体、さらに詳しくはメタクリル酸メチルとスチレンの共重合体であり、メタクリル酸メチルとスチレンを主成分として前述のアクリル系樹脂にて例示した共重合可能なモノマーとの多元共重合体も含まれ、これらは単独で用いてもよいし、ブレンドしてもよい。
【0018】
MS系樹脂の衝撃強度を向上する為に、アクリル系重合体芯材料のまわりにブチルアクリレートを主成分とする弾性層、及びメチルメタクリレートを主成分とする非弾性層を交互に生成させる多段階逐次重合法により製造されるゴム弾性体、又はブタジエン系ゴム弾性体をMS系樹脂にブレンドしたものも、本発明のMS系樹脂に含まれる。
PC系樹脂としては、ビスフェノールAタイプに代表される芳香族ポリカーボネート、及び芳香環は有しているが水酸基が直接芳香環に結合していないタイプの芳香族−脂肪族ポリカーボネートが挙げられる。
【0019】
熱可塑性樹脂シート表面に転写フィルムの表面に形成された薄膜層を転写し複合シートとする方法としては、両者を別々に準備し、適正な加熱条件の元に加圧しバッチ形式で転写する熱プレス法と、熱可塑性樹脂を押出シート成形する際に、その工程内に於いて連続的にロール巻き転写フィルムを供給し、ロールで熱と圧力をかけながら転写する方法が挙げられるが、後者の方が前記の熱プレスで一体化する方法に比較し、少なくとも基材シートの洗浄工程は不要で工程が簡単となり、また連続生産が容易であることから量産性に優れ、気泡及び空気中の塵埃の巻き込みによる凹凸欠陥等が実質的に無い外観品質の優れた複合シートが安定的に得られ、工業的により有用である。
【0020】
更に詳しく説明すると、押出機、シートダイ、ポリッシングロール、引き取りロールからなる通常のシート押出設備で、ポリッシングロールと引き取りロールの間に加熱圧着ロールを具備し、まずロール状原反より転写フィルムを繰り出すが、この時フィルム供給ロールを通して緊張下に加熱圧着ロールに供給し、押出成形されたシートの片面、又は両面に転写する。
この際、シートに連続的に転写するのに、転写フィルムのテンションを0.01〜0.1kg/cm(フィルム供給ロールの幅方向の単位長さ当たり)の緊張下、60〜200℃に加熱されたロールのロール圧1〜10kg/cm(ロールの幅方向の単位長さ当たり)の線圧で転写することにより、転写接合面での歪みが少なく、均一に積層できるので好ましい。転写フィルムのテンションが0.01kg/cm未満ではフィルムに皺が入り易く、又0.1kg/cmを越えると転写フィルムの伸びにより薄膜にクラックが入り易く好ましく無い。
【0021】
加熱圧着ロールの温度は60℃未満の場合、転写された薄膜と基材シートの密着性が低く、200℃を超えると基材シート表面が荒れたり、うねりが大きくなり好ましく無い。
加熱圧着ロールのロール圧1kg/cm未満ではエアーを巻き込み易く、同10kg/cmを越えると光学的歪みが生じ好ましく無い。
尚、フィルム供給ロールをエキスパンダーロール、スパイラルロール方式のロールにする事により、ラミネート時のフィルム皺を良好に防止する事も可能となり、好都合である。
【0022】
熱可塑性樹脂シートの厚みは、用途により適宜決められるが0.5〜5mmの範囲のものが通常使用される。
押出シートを製造する際に、該ベースフィルム面上に薄膜層、接着層の順に形成された面を押出シート面側になるようにベースフィルムを連続的に供給する。こうして得られる硬化樹脂の薄膜層を転写しベースフィルムを剥離した熱可塑性樹脂の押出複合シートは、外観が良好で、転写された薄膜の密着性も良好であり、耐擦傷性などに優れている。
尚、ベースフィルムの剥離は押出工程内でも良いし、押出複合シートを実際に使用する前でも良い。
本発明の、表面反射防止性能に優れた転写フィルムを得る一例としては、次の方法による。
すなわち、先ずベースフィルム上に前述の硬化樹脂の薄膜層を形成し、その後に多孔質アルキルアルコキシシラン脱水縮合膜を形成する。
【0023】
アルキルアルコキシシランとポリエーテルと有機溶媒とを含む溶液を塗布し、アルキルアルコキシシランの一部または全部を脱水縮合させた塗布膜とし、その後前記ポリエーテルを塗布膜から有機溶媒により溶出させ、多孔質化し、最終的に厚さ0.3〜3μmの多孔質膜とする。
この脱水縮合反応を促進させる触媒として、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸水溶液や、酢酸などの有機酸水溶液などを添加することが出来る。
使用する有機溶媒としては、ポリエーテルを溶解する各種アルコール、ケトン、エーテル類を用いることが出来る。
こうして得られた多孔質アルキルアルコキシシラン脱水縮合膜の表面反射率は3%以下で、これに前述のアクリル系接着層を順次形成することで、転写フィルムとする。この転写フィルムの薄膜層を樹脂シート面に転写する事で、表面反射防止性能に優れた複合シートとする事が出来る。
【0024】
ここで表面反射防止性能とは、表面で反射される光の割合が低い状態を言い、表面で反射される光の割合が低いほど、映像機器の前面板、額縁面板等の用途に使用される樹脂シートの表面に映る外光を低減することが可能となる。
さらに本発明の表面抵抗値が1010Ω以下の帯電防止性能に優れた転写フィルムを得る方法を例示すると、先ずベースフィルム上に前述の表面保護性能を有する薄膜を形成し、その後アクリル系透明塗料に酸化錫微紛末を添加しボールミルにより分散させ、これをMEKで希釈した溶液を塗布して乾燥し、厚さ0.5〜5μmの帯電防止薄膜を形成後、アクリル系接着剤層を順次形成する。
こうして得られた転写フィルムの薄膜層を樹脂シート面に転写する事で、帯電防止性能に優れ、空気中の塵埃等の付着を防止できる複合シートとする事が出来る。該薄膜層は、表面保護、表面反射防止、帯電防止の各機能が複合された構成でもよい。
【0025】
以下、実施例、比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
尚、各実施例、比較例で用いた評価及び試験方法は次の通りである。
(1)外観の判定:表面の平滑状態、及びその他外観を損なう異常が無いかどうかを目視判定する。
良好な場合を○、異常のある場合×としてその状態を記録する。
(2)密着性の判定:JIS−K5400碁盤目テープ試験法に準拠し行う。すなわち、貼り合わせたフィルム面に、カッターを用いて1mm方形で100升の碁盤目を付け、これにセロハンテープを接着後、手で強く引き剥がし、貼り合わせたフィルムの剥離の有無を判定する。100升全てに剥離が起こらない場合を良好とし、1升でも剥離した場合は不良とする。
(3)全光線透過率:JIS−K7105に準拠して測定する。
(4)表面硬度:JIS−K5400手かき法に準拠して測定する。
(5)表面反射率:株式会社日立製作所製UV3100を使用して測定し可視光波長域での最低反射率を記録する。
(6)表面抵抗値:JIS−K6911に準拠して測定する。
【0026】
【実施例1〜3】
熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂(デルペット70H、透明/旭化成株式会社製品)、MS樹脂(エスチレンMS600、透明/新日鉄化学株式会社製品)、又はPC樹脂(パンライトK−1300、透明/帝人化成株式会社製品)を使用し、押出機(スクリュー径50mmφ、L/D=32、単軸)、シートダイ、及び冷却と艶付け用のポリッシングロール3本から成るユニットと、引き取りロールを用い常法により押し出しシート成形を行い、幅300mmの押出シートを作成する。
尚、使用した前記各樹脂のシート押出時の樹脂温度は、アクリル樹脂の場合260℃、MS樹脂の場合230℃、PC樹脂の場合290℃に調整した。シートダイ吐出口とポリッシングロールの間隔、及びポリッシングロールと引き取りロールの回転速度を調整し、シートの厚みは1.5mmを目標に調整し、シート押出速度は1m/分であった。熱可塑性樹脂シート各々の表面硬度はアクリル樹脂が2H、MS樹脂がH、PC樹脂がBで、表面抵抗値はいずれも1016Ωを超えていた。
【0027】
一方、厚さ50μmのPETフィルムの片面に、ジエチレングリコールジメタクリレート20部、エポキシアクリレート10部、ベンゾインイソプロピルエーテル1部、トルエン40部、メチルエチルケトン(以下MEKと言う)20部、イソプロピルアルコール10部からなる溶液をリバースロール法にて塗布、及び乾燥後、UVランプを照射して硬化し、厚さ3.5μmの硬化樹脂膜を形成する。
この硬化樹脂膜上に、脂環式エポキシ化合物セロキサイド2021(ダイセル株式会社製)75部、1,4−シクリヘキサンジメチロールジビニルエーテル3部、フェノールノボラックエポキシ樹脂(旭チバ株式会社製)15部、光カチオン重合開始剤(ユニオンカーバイド株式会社製)4部からなる塗料を塗布し、水銀灯を照射することで硬化させ、厚さ1.5μmの中間膜を形成し、この中間膜上に、アクリル系塗料(樹脂分20部、トルエン50部、MEK30部)を塗布、乾燥して厚さ1μmの接着層を形成する事で転写フィルムを得る。
【0028】
尚、この転写フィルムは、ベースフィルムを巻き出しロールから塗布部、乾燥部等の加工部を経て巻き取りロールに供する加工装置によりロール巻き形態で準備する。
前記ポリッシングロールと引き取りロールの中間に、塵埃を除去する目的で除電エヤー供給器(株式会社キーエンス製SJ−R036)、及び押出シートを加熱する為の遠赤外パネルヒーターを設置し、シート表面温度を100℃に保ちながら、接着層がシート面側に位置するようにして、前記のロール巻き形態の転写フィルムを、フィルム供給ロール、熱圧着ロールを介して連続的に供給し、シートの片面に貼付する。
【0029】
ここでの熱圧着ロールは、金属ロールの表面にショア硬さHs60のシリコーンゴムを3mm厚さでライニングしている。
貼付段階でのフィルム供給は0.03kg/cm(フィルム供給ロールの幅方向の単位長さ当たり)の緊張応力(テンション)下とし、熱圧着ロールの温度は170℃、熱圧着ロールの圧力は6kg/cm(ロールの幅方向の単位長さ当たり)の線圧で加圧しながら実施した。
この貼付シートを長さ60cmに切断してベースフィルムを剥ぎ取り、得られた押出複合シートは、全光線透過率が高く、表面凹凸等外観を損なう欠陥の実質的に無い、常法によって得られるアクリル樹脂、MS樹脂、PC樹脂各シートと同等の良好な外観を有している。
又、転写面側の表面硬度が複合シートとする前に比べ大幅に高くなっており、耐擦傷性が良好な表面保護性能に優れた押出複合シートとなっている。結果を表1に示す。
【0030】
【実施例4】
厚さ40μmのPETフィルムの片面に、実施例1〜3と同様に硬化樹脂膜を形成し、この上に以下のようにして厚さ0.8μmの多孔質アルキルアルコキシシラン脱水縮合膜を形成する。
すなわち、モノメチルトリエトキシシラン100部に、エタノールとブタノールの容積比で1対2の混合物200部を加え混合し、さらにこの溶液に水60部とりん酸を3部加えて混合し、その後エタノールとブタノールの容積比で1対2の混合物200部とポリエチレングリコール(PEG#1540/日本油脂株式会社製品)80部を追加して良く攪拌し、塗布溶液とする。
【0031】
この塗布溶液をロールコート法で前記硬化樹脂膜に塗布し、乾燥後にエタノール中に浸漬することでポリエチレングリコールを塗布膜から溶出除去して乾燥し、この上にアクリル系塗料(樹脂分30部、トルエン40部、MEK30部)を塗布、乾燥して厚さ2μmの接着層を形成する事で転写フィルムを得る。このフィルムの薄膜形成側の反射率は0.8%であった。
この転写フィルムを実施例1〜3と同様にアクリル樹脂シートの押出時に貼付した後、ベースフィルムを剥ぎ取って得られた押出複合シートは、表面凹凸等外観を損なう欠陥の実質的に無い、常法によって得られるアクリル系樹脂シートと同等の良好な外観を有しており、前光線透過率92%、転写面側の表面反射率は2%で、外光の映りこみが少ない映像機器、額縁等に適した複合シートとなっている。
【0032】
【実施例5】
厚さ50μmのPETフィルムの片面に、実施例1〜3と同様に硬化樹脂膜を形成し、この上に以下のようにして厚さ2μmの導電性を有する帯電防止薄膜、及び接着剤層を形成する。固形分濃度18%のアクリル系透明塗料100部に対して酸化錫微紛末30部をボールミルにより分散させ、これをMEKで希釈した溶液を塗布して乾燥し帯電防止薄膜を形成後、アクリル系接着剤層を順次形成する。尚、該帯電防止薄膜の表面抵抗値は10Ωであった。
この転写フィルムを実施例1〜3と同様にアクリル樹脂シートの押出時に貼付した後、ベースフィルムを剥ぎ取って得られた押出複合シートは、表面凹凸等外観を損なう欠陥の実質的に無い、常法によって得られるアクリル系樹脂シートと同等の良好な外観を有している。又、得られた押出複合シートの転写面側の表面抵抗値はもとのアクリル樹脂に比べ格段に低い10Ωであり、十分な帯電防止性能を有している。結果を表1に示す。
【0033】
【比較例1〜2】
熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂、転写フィルムの緊張応力(テンション)を0.005、又は0.2kg/cm(フィルム供給ロールの幅方向の単位長さ当たり)する他は、実施例1〜3と同じくして、複合シートを得て評価する。
得られた複合シートは、外観が不良であった。
【0034】
【比較例3〜4】
熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂、圧着ゴムロール温度を50℃、220℃とする他は、実施例1〜3と同じくして、複合シートを得て評価する。結果を表1に示す。
得られた複合シートは、密着性又は外観が不良で実用に供し得るものではなかった。
【0035】
【比較例5〜6】
熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂、加熱圧着ゴムロールのロール圧を0.5、又は15とする他は、実施例1〜3と同じくして、複合シートを得て評価する。得られた複合シートは、表1に示す様にロール圧が低い場合には転写面にエヤーの巻き込による斑点状の不良があり、高い場合には光を透過して観察すると像に歪みを生じ好ましくなかった。
【0036】
【表1】
Figure 2004090281
【0037】
【発明の効果】
本発明は、樹脂シートの表面に保護層、反射防止層、又は帯電防止層を形成させ高機能化するに際し、連続生産により合理的に生産が可能で、外観の良好な押出複合シートを提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】転写フィルムの層構成例を示す。
【図2】押出シートへの転写模式図を示す。

Claims (6)

  1. 離型性を有するベースフィルム面上に、硬化樹脂からなる薄膜層A、及び接着層Bの順に形成されてなる転写フィルムを、0.01〜0.1kg/cm(フィルム供給ロールの幅方向の単位長さ当たり)の緊張下で連続的に供給し、60〜200℃に加熱されたロールを1〜10kg/cm(ロールの幅方向の単位長さ当たり)の線圧で加圧しながら、接着層Bを介して薄膜層Aを熱可塑性樹脂の押出シート表面の少なくとも片面に転写し、その後ベースフィルムを剥離することを特徴とする、押出複合シートの製造方法。
  2. 薄膜層Aが、表面硬度3H以上であることを特徴とする、請求項1に記載の押出複合シートの製造方法。
  3. 薄膜層Aが、表面反射率3%以下であることを特徴とする、請求項1〜2に記載の押出複合シートの製造方法。
  4. 薄膜層Aが、表面抵抗値1010Ω以下であることを特徴とする、請求項1〜3に記載の押出複合シートの製造方法。
  5. 熱可塑性樹脂がアクリル系樹脂、MS系樹脂、又はPC系樹脂である事を特徴とする、請求項1〜4に記載の押出複合シートの製造方法。
  6. 熱可塑性樹脂が2mm厚さで80%以上の全光線透過率である事を特徴とする、請求項1〜5に記載の押出複合シートの製造方法。
JP2002251763A 2002-08-29 2002-08-29 熱転写による表面改質複合シートの製法 Pending JP2004090281A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002251763A JP2004090281A (ja) 2002-08-29 2002-08-29 熱転写による表面改質複合シートの製法
TW93105211A TWI247639B (en) 2002-08-29 2004-02-27 Surface modified composite sheet

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002251763A JP2004090281A (ja) 2002-08-29 2002-08-29 熱転写による表面改質複合シートの製法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004090281A true JP2004090281A (ja) 2004-03-25

Family

ID=32058264

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002251763A Pending JP2004090281A (ja) 2002-08-29 2002-08-29 熱転写による表面改質複合シートの製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004090281A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005082614A1 (ja) * 2004-02-26 2005-09-09 Asahi Kasei Chemicals Corporation 表面改質複合シート
WO2007052579A1 (ja) * 2005-11-02 2007-05-10 Nippon Shokubai Co., Ltd. 転写法により機能性を付与された熱可塑性樹脂シートおよびその製造方法
JP2007160605A (ja) * 2005-12-12 2007-06-28 Panefuri Kogyo Kk 表面に光沢性を有する樹脂成形品の製造方法及びこの方法で製造された樹脂成形品
JP2013063616A (ja) * 2011-09-20 2013-04-11 Dainippon Printing Co Ltd 抗アレルゲン性能を有する化粧シートの製造方法、及び転写シート
TWI605930B (zh) * 2016-11-10 2017-11-21 Hong-Di Lin TPU film affixed to the plastic sheet of the device
JP2019144396A (ja) * 2018-02-20 2019-08-29 大日本印刷株式会社 表示装置用積層体の製造方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005082614A1 (ja) * 2004-02-26 2005-09-09 Asahi Kasei Chemicals Corporation 表面改質複合シート
WO2007052579A1 (ja) * 2005-11-02 2007-05-10 Nippon Shokubai Co., Ltd. 転写法により機能性を付与された熱可塑性樹脂シートおよびその製造方法
JP2007160605A (ja) * 2005-12-12 2007-06-28 Panefuri Kogyo Kk 表面に光沢性を有する樹脂成形品の製造方法及びこの方法で製造された樹脂成形品
JP2013063616A (ja) * 2011-09-20 2013-04-11 Dainippon Printing Co Ltd 抗アレルゲン性能を有する化粧シートの製造方法、及び転写シート
TWI605930B (zh) * 2016-11-10 2017-11-21 Hong-Di Lin TPU film affixed to the plastic sheet of the device
JP2019144396A (ja) * 2018-02-20 2019-08-29 大日本印刷株式会社 表示装置用積層体の製造方法
JP7102768B2 (ja) 2018-02-20 2022-07-20 大日本印刷株式会社 表示装置用積層体の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3763482B2 (ja) プラスチック液晶パネル用の転写箔
JP7404637B2 (ja) 加飾シート及びこれを利用した樹脂成形品の製造方法
JP5659539B2 (ja) インキ組成物及びこれを用いた加飾シート
JP5633247B2 (ja) 加飾シート
JPH0557120B2 (ja)
JP2004090281A (ja) 熱転写による表面改質複合シートの製法
JP5732779B2 (ja) 加飾シート
JP4173348B2 (ja) 加飾シートおよび加飾品
JPH06248579A (ja) スウェード調化粧シートの製造方法
JPH08248404A (ja) 反射防止用転写箔
JPH03130199A (ja) ハードコート転写箔
JP5659538B2 (ja) インキ組成物及びこれを用いた加飾シート
JP2005193514A (ja) 表面改質複合シート
JPS63132096A (ja) 転写シ−ト
JP2521737B2 (ja) ハ−ドコ−トプラスチツクパネルおよびその製造方法
JPH07276568A (ja) 鏡面光沢化粧シ−ト
JP2005193471A (ja) 複合樹脂シートの製造方法
JP6991605B1 (ja) インサート成形用ハードコートフィルムおよびインサート成形品の製造方法
TWI247639B (en) Surface modified composite sheet
JP2004291439A (ja) 水圧転写用フィルム及びそれを用いた水圧転写体の製造方法
JP6467784B2 (ja) 転写フィルムおよび加飾成形品
JP2006123392A (ja) 水圧転写フィルムの製造方法
JP2548938B2 (ja) 転写シ−ト
JPS63178036A (ja) 機能性パネルおよびその製造方法
JPS61114898A (ja) 転写シ−ト及びこれを用いる表面硬化層の形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050729

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070921

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071002

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090303