JP2004090257A - 表皮付き成形品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ウレタン表皮12の裏面には、基材14を成形するための樹脂材料Pと相溶性を有する微小寸法の樹脂小片20が、半埋込状態で散在的に多数付着されている。これにより前記基材14を成形するに際し、溶融状態の樹脂材料Pとの接触により溶融した各々の樹脂小片20が該樹脂材料Pと相溶状態で硬化することで、成形後の基材14の表面に突出した多数の凸部が形成され、これら凸部がウレタン表皮12の裏面へ突入した状態となることで所要の耐剥離強度が得られる。
【選択図】 図7
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、表皮付き成形品およびその製造方法に関し、更に詳細には、ウレタン材料から成形されるウレタン表皮を、樹脂材料から成形される基材の表面に被着して構成される表皮付き成形品と、この表皮付き成形品を好適に成形するための製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば乗用車等の車両における乗員室内には、インストルメントパネル、フロアコンソール、ドアパネル、アームレストおよびピラーガーニッシュ等、種々の車両内装部材が装備されている。これら車両内装部材は、それ自体の色やデザインおよび質感等が乗員室内の雰囲気や質感等に大きく影響を及ぼすものであるから、高級車となる程に車格に応じて高い質感が要求される。そこで前記車両内装部材では、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)等のオレフィン系の樹脂素材から所要形状に成形された基材の表面に、適宜の樹脂素材等から成形された表皮を被着した所謂「表皮付き成形品」として構成することで、この表皮を外部に露出させることで質感向上を図るようになっている。
【0003】
ここで、従来の表皮付き成形品に実施される前記表皮は、例えば(a)真空成形技術に基いて樹脂シートから真空成形したもの、(2)パウダースラッシュ成形技術に基いて樹脂粉末からスラッシュ成形したもの、等が好適に採用されていた。しかしながら近年に至っては、成形性(形状再現性)、成形コストおよび成形品質等の面から有利とされるウレタンスプレー成形技術に基き、ウレタン材料からスプレー成形したウレタン製の表皮が好適に採用されつつある。
【0004】
図10〜図13は、ウレタンスプレー成形技術に基いて成形した表皮を使用し、前記表皮付き成形品を製造する方法を例示した概略説明図である。この製造方法は、先ず図10に示すように、表皮成形型30に形成した表皮成形面32に、スプレーガン34によりウレタン材料Uを吹付け塗布して所要厚のウレタン表皮(表皮)12を成形する。そして、ウレタン表皮12の成形が完了したら、図11に示すように、予備成形された該ウレタン表皮12を表皮成形型30から脱型した後、図12に示すように、前記予備成形されたウレタン表皮12を基材成形型40における第1成形型42の成形面44に装着セットし、成形面44にセットした前記ウレタン表皮12の裏面(上面)12aに、注入ノズル50により所定量の樹脂材料Pを注入する。更に図13に示すように、前記樹脂材料Pが硬化する前に、前記第1成形型42と対をなす第2成形型46を該第1成形型42に型閉めすることで、前記ウレタン表皮12の裏側に画成されるキャビティ48に前記樹脂材料Pを充填させる。そして、前記樹脂材料Pを前記ウレタン表皮12の裏面12aに密着した状態で硬化させることで、成形後の基材14の表面14aに該ウレタン表皮12が被着された表皮付き成形品10が成形される(図14)。
【0005】
なお前述した製造方法は、公知技術である「スタンピング・プレス・モールド(SPM)成形技術」に基いて基材14の成形を行なうようになっているが、この基材14の成形は、公知技術である「インジェクション成形技術」に基いて行なうことも可能となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記オレフィン系の樹脂材料Pから成形された基材14と、ウレタン材料Uから成形されたウレタン表皮12とは、周知の如く、特性上から基本的には殆ど相互に接着しないため、これら基材14とウレタン表皮12との間に充分な耐剥離強度が得られない問題がある。しかも図15に示すように、基材14の表面14aとウレタン表皮12の裏面12aとが平面状に接触しているため、両者14,12の耐剥離強度はかなり低いものとなっている。そして、前述したSPM成形技術において樹脂材料Pをウレタン表皮12の裏面12aに押圧しつつ基材14を成形する場合であっても、両者12,14の耐剥離強度の向上は殆ど期待できず、例えば前記ウレタン表皮12に適宜の外力が作用するだけで該ウレタン表皮12が基材14から剥離してしまう。
【0007】
そこで、前記基材14の成形に先立って前記ウレタン表皮12の裏面12aに適宜の接着剤を塗布しておき、このもとで該基材14の成形作業を行なうことで、成形後の基材14の表面14aにウレタン表皮12の裏面12aを被着する方法が採用されている。しかしながら、基材14とウレタン表皮12との接着に使用される前記接着剤は、場合によって該ウレタン表皮12に変質、変色、変形等を発生させて劣化を促進させてしまい、これが該ウレタン表皮12の表側まで及ぶようになると表皮付き成形品10の質感低下を招来するという新たな問題が発生していた。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、前述した課題を好適に解決するべく提案されたもので、接着剤等を使用することなく、基材の表面にウレタン表皮を所要の耐剥離強度で被着させ得るよう構成した表皮付き成形品と、この表皮付き成形品を好適に製造するための製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため本発明は、成形型の表皮成形面に吹付け塗布したウレタン材料から成形されるウレタン表皮と、前記成形型または別の成形型のキャビティ内にセットした前記ウレタン表皮の裏側へ充填した樹脂材料から成形される基材とからなり、前記樹脂材料を前記ウレタン表皮の裏面に密着させた状態で硬化させ、成形後の基材の表面に該ウレタン表皮を被着させるようにした表皮付き成形品において、
前記ウレタン表皮の裏面へ半埋込状態で散在的に多数付着され、前記樹脂材料と相溶性を有する微小寸法の樹脂小片を有し、
前記溶融状態の樹脂材料との接触により溶融した前記樹脂小片が該樹脂材料と相溶状態で硬化することで、該基材の表面が該ウレタン表皮の裏面に所要の耐剥離強度で被着されるよう構成したことを特徴とする。
【0010】
同じく前記課題を解決し、所期の目的を達成するため別の発明は、成形型の表皮成形面に吹付け塗布したウレタン材料から成形されるウレタン表皮と、前記成形型または別の成形型のキャビティ内にセットした前記ウレタン表皮の裏側へ充填した樹脂材料から成形される基材とからなり、前記樹脂材料を前記ウレタン表皮の裏面に密着させた状態で硬化させ、成形後の基材の表面に該ウレタン表皮を被着させるようにした表皮付き成形品の製造方法において、
前記ウレタン表皮の成形に際し、前記表皮成形面に吹付け塗布した前記ウレタン材料の硬化前に、前記樹脂材料と相溶性を有する微小寸法の樹脂小片を、該ウレタン材料の裏面へ半埋込状態で散在的に多数付着させ、
前記基材の成形に際し、前記溶融状態の樹脂材料との接触により前記樹脂小片を溶融させて、これら樹脂材料と樹脂小片とを相溶状態で硬化させ、
これにより、成形後の前記基材の表面を前記ウレタン表皮の裏面に所要の耐剥離強度で被着させるようにしたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る表皮付き成形品およびその製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、従来技術の説明に際して図10〜図15に既出の部材、部位と同一の部材、部位については、同一の符号を付して説明する。
【0012】
図8は、好適実施例に係る製造方法により成形した表皮付き成形品10の概略断面図、図9は、図8に示した表皮付き成形品10のA部分拡大断面図である。実施例の表皮付き成形品10は、後述すると共に図1〜図6に示した製造方法により製造されるもので、ウレタン材料Uから成形されるウレタン表皮12を、オレフィン系の樹脂材料Pから成形される基材14の表面14aに被着して構成されている。
【0013】
前記ウレタン表皮12は、後述すると共に図1に示すように、表皮成形型30における表皮成形面32に、スプレーガン34によりウレタン材料Uを所要厚に吹付け塗布することで成形される。ここで前記ウレタン材料Uとしては、所要の色に着色された無発泡タイプおよび発泡タイプ等があり、車両内装部材の表皮としての使用を前提とすれば耐久性に優れた無発泡ソフトタイプが好適に使用される。なお、無着色のウレタン材料Uを使用する場合は、該ウレタン材料Uを吹付けるに先立ち、前記表皮成形面32に所要色のウレタン塗料等を予め吹付けておく必要がある。
【0014】
前記基材14は、後述すると共に図5および図6に示すように、基材成形型40におけるキャビティ48内に前記成形されたウレタン表皮12をセットしたもとで、このウレタン表皮12の裏側へ充填した樹脂材料Pから成形される。なお前記樹脂材料Pは、例えばポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)等のオレフィン系の樹脂素材が好適に使用される。
【0015】
そして実施例の表皮付き成形品10では、成形後の基材14の表面14aに多数の凸部16が一体的に突設されており、これら凸部16が前記ウレタン表皮12の裏面12aへ突入した状態となるようになっている。従って、前記各々の凸部16がウレタン表皮12の裏面12aに食い込んだ状態となるため、所謂「定着効果(アンカー効果)」により被着力が増大するようになり、基材14の表面14aと該ウレタン表皮12の裏面12aとの間に所要の耐剥離強度が得られる構造となっている。これら凸部16は、後述すると共に図4に示すように、基材14の成形に先立ち、前記樹脂材料Pと相溶性を有しかつ微小寸法に形成された樹脂小片20を、予めウレタン表皮12の裏面へ半埋込状態で散在的に多数付着しておくことで、これら多数の樹脂小片20が溶融・硬化して形成されたものである。
【0016】
ここで前記樹脂小片20は、(a)微小寸法の粉体、(b)微小寸法の粒体、(c)不織布等を解繊した短繊維、等が好適に採用可能である。そして、前記樹脂小片20が前記(a)または(b)とされる場合には、冷凍粉砕または常温粉砕等の方法で粉砕したオレフィン系の樹脂素材が使用され、その粒径は好適には100〜250μm程度とされている。すなわち、樹脂小片20の粒径がこれより小さい場合には、ウレタン表皮12の裏面12aへの埋込量(食込み量)が小さくなるため、適切な定着効果が得られなくなる。また、樹脂小片20の粒径がこれより大きい場合には、ウレタン表皮12の裏面12aへの埋込量(食込み量)が大きくなるため適切な定着効果は得られるものの、ウレタン表皮12に対する該樹脂小片20の食込み量が大きくなり、該ウレタン表皮12の実質的厚みが小さくなる不都合が生ずる。
【0017】
このように実施例の表皮付き成形品10では、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系の樹脂素材を材質とする樹脂材料Pから前記基材14を形成してあるにも拘らず、該基材14に一体的に突設した前記多数の凸部16がウレタン表皮12の裏面12aに食い込むことによる定着効果を利用することにより、接着剤を使用しなくとも、成形後の該基材14の表面14aに前記ウレタン表皮12の裏面12aを所要の耐剥離強度をもって被着させることが可能となる。また、基材14に対するウレタン表皮12の被着に際して接着剤を使用しないため、該ウレタン表皮12における変質、変色、変形、劣化等の発生が防止され、これによる当該表皮付き成形品10の質感低下が好適に回避される。
【0018】
次に、前述した実施例の表皮付き成形品10を成形するための製造方法につき、図面を参照しながら説明する。
【0019】
実施例の表皮付き成形品10を構成する前記ウレタン表皮12を成形するための前記表皮成形型30は、図1に示すように、基本的には図10に示した従来のものと同一構成とされているため、同一部位、部分は同一の符号で指示する。そして、本革のシボ模様等を再現した凹状の表皮成形面32が、上方へ開口した状態で設けられている。また表皮成形面32の裏側には、該表皮成形面32を適宜温度(ウレタン表皮12の成形に最適とされる温度)に加熱・保温可能な加熱パイプ36が敷設されている。
【0020】
一方、実施例の表皮付き成形品10を構成する前記基材14を成形するための基材成形型40は、図5および図6に示すように、例えば前述したスタンピング・プレス・モールド(SPM)成形技術を実施し得る構造となっており、基本的には図12および図13に示した従来のものと同一構成とされているため、同一部位、部分は同一の符号で指示する。この基材成形型40は、前記予備成形されたウレタン表皮12を装着セット可能な成形面44を設けた第1成形型42と、この第1成形型42と対をなして該第1成形型42に型閉め可能な第2成形型46とから構成されている。そして、前記第1成形型42に第2成形型46を型閉めした際には、前記ウレタン表皮12の裏面12aに臨んだキャビティ48が内部に画成されるようになっている。
【0021】
このような表皮成形型30および基材成形型40を夫々使用して実施例の表皮付き成形品10を製造するに際しては、先ず表皮成形工程として、該表皮成形型30を利用してウレタン表皮12の予備成形を行なう。ここで、表皮成形工程の前準備として、前記加熱パイプ36により前記表皮成形面32を、所定温度(前記ウレタン表皮12の成形に最適とされる温度であって、例えば65℃程度)に加熱保温しておく。
【0022】
成形準備が完了したら、図1に示すように、表皮成形型30における表皮成形面32の上方へスプレーガン34を到来させたもとで、このスプレーガン34により表皮成形面32に所要量のウレタン材料Uを吹付け塗布し、所要厚のウレタン表皮(表皮)12を成形する。表皮成形面32に吹付け塗布されたウレタン材料Uは、該表皮成形面32が前述したように加熱されていることにより、徐々に硬化するようになる。
【0023】
前記ウレタン表皮12の成形に際し、前記表皮成形面32に対する前記ウレタン材料Uの吹付け塗布が完了したら、引続いて樹脂小片の吹付け工程として、図2に示すように、表皮成形型30における表皮成形面32の上方へ粉体塗装機(吹付手段)52を到来させたもとで、この粉体塗装機52によりウレタン材料Uの裏面全域に所要量の樹脂小片20を散在的に多数付着させる。このとき、前記粉体塗装機52による樹脂小片20の吹付けタイミングは、少なくとも前記ウレタン材料Uが完全に硬化する前の適時とされる。すなわち、硬化前のウレタン材料Uに対して吹付けられた多数の樹脂小片20は、該ウレタン材料Uの裏面へ適宜の半埋込状態で散在的に付着するようになる(図3)。
【0024】
従って、樹脂小片20の吹付け作業が完了すると共に、ウレタン材料Uが完全に硬化してウレタン表皮12の成形が完了した際には、図4に示すように、当該ウレタン表皮12における裏面12aの全域に、該樹脂小片20が半埋込状態で散在的に多数付着された状態となっている。なお各々の樹脂小片20は、定着効果によりウレタン表皮12の裏面12aに付着しており、この裏面12aから容易に脱落することはない。前記樹脂小片20の吹付け付着が完了し、かつウレタン材料Uが完全に硬化してウレタン表皮12の成形が完了したら、予備成形された該ウレタン表皮12を表皮成形型30から脱型する。
【0025】
次に基材成形工程として、前記基材成形型40を利用して基材14の成形を行なう。先ず、前記基材成形型40の第2成形型46を第1成形型42から開放させ、該第1成形型42の成形面44に前記予備成形したウレタン表皮12を装着セットしたもとで、図5に示すように、成形されたウレタン表皮12の上方へ注入ノズル50を到来させ、この注入ノズル50により所定量の樹脂材料Pを該ウレタン表皮12の裏面12a(上面)に注入する。そして樹脂材料Pの注入が完了したら、図6に示すように、前記第2成形型46を第1成形型42に型閉めして、前記ウレタン表皮12の裏側に画成されたキャビティ48の内部全体に前記樹脂材料Pを充填させる。この際に、第2成形型46を第1成形型42に対して所要の締付力で型締めすることで前記樹脂材料Pに所要の押圧力が加わり、該樹脂材料Pは前記ウレタン表皮12の裏面12aに密着した状態で徐々に硬化するようになる。
【0026】
ここで、前記樹脂材料Pの充填および硬化過程において、前記多数の樹脂小片20は、前記溶融状態の樹脂材料Pと接触するようになると(図7(a))、該樹脂材料Pの熱によりそれ自体が徐々に溶融し始め(図7(b))、適宜時間経過後には殆どの樹脂小片20が略完全に溶融するようになる(図7(c))。この際に各々の樹脂小片20は、前述したように、前記樹脂材料Pと相溶性を有しているため、これら樹脂材料Pと樹脂小片20とは相溶状態で徐々に硬化するようになる。
【0027】
従って、前記樹脂材料Pが硬化したことにより成形された基材14の表面14aには、前記各々の樹脂小片20が硬化して形成された多数の凸部16が、該表面14aから突出した状態で一体的に形成されるに至る(図8,図9)。そして、基材14の表面14aに突出した各々の凸部16が、前記ウレタン表皮12の裏面12aへ食い込んだ突入状態となるため、成形後の基材14とウレタン表皮12との間に定着効果が好適に得られ、接着剤を使用しなくとも、該基材14の表面14aに前記ウレタン表皮12の裏面12aを所要の耐剥離強度をもって被着させることが可能となる。
【0028】
このように実施例の表皮付き成形品の製造方法では、ウレタン表皮12の成形工程と基材14の成形工程との間に樹脂小片20の吹付け工程を追加するだけで、ウレタン表皮12の裏面12aに多数付着された該樹脂小片20と樹脂材料Pとを相溶状態で硬化させ、これにより基材14の表面14aとウレタン表皮12の裏面12aとの耐剥離強度を大幅に高め得る。従って、基材14がオレフィン系の樹脂材料Pから形成されていても、接着剤を使用することなく該基材14の表面14aにウレタン表皮12を被着することを可能とし得る。
【0029】
なお前記実施例では、表皮成形型30によりウレタン表皮12の予備成形を行なうと共に、基材成形型40により基材14の成形を行なう場合を例示したが、本願の表皮付き成形品の製造方法は、ウレタン表皮12の予備成形および基材14の成形を単一の成形型で行なうようにした場合にも対応し得る。この場合には、成形型における第1成形型の表皮成形面にウレタン材料Uを吹付け塗布すると共に、このウレタン材料Uの硬化前に樹脂小片20の吹付けを行ない、次いで成形されたウレタン表皮12の裏面12aに樹脂材料Pを注入した後に、第1成形型に対して第2成形型を型締めしてウレタン表皮12の裏面12aで基材14を成形する。
【0030】
また前記実施例では、SPM成形技術に基いて基材14を成形する場合を例示したが、該基材14は、前記樹脂小片20を裏面12aに多数付着したウレタン表皮12をセットしたもとで、インジェクション成形技術(中高圧、低圧を含む)に基いて成形するようにしてもよい。
【0031】
また前記樹脂小片20は、ポリエチレンやポリプロピレンに限定されるものではなく、基材14を成形するための樹脂材料Pと相溶性があるものであれば、これ以外のものでもよい。
【0032】
更に、本願が対象とする表皮付き成形品は、前述した車両内装部材に限定されるものではなく、家具や日用品等、合成樹脂製の基材の表面にウレタン製のウレタン表皮を被着して構成される全てのものが対象とされる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係る表皮付き成形品によれば、オレフィン系の樹脂材料から基材を形成してあるにも拘らず、定着効果を利用することにより、接着剤を使用しなくとも成形後の基材の表面にウレタン表皮の裏面を所要の耐剥離強度をもって被着させることが可能となる利点がある。従って、基材に対するウレタン表皮の被着に際して接着剤を使用していないため、該ウレタン表皮における変質、変色、変形、劣化等の発生が防止され、これによる当該表皮付き成形品の質感低下が好適に回避される等の有益な効果を奏する。
【0034】
同じく、別の発明に係る表皮付き成形品の製造方法によれば、ウレタン表皮の成形工程と基材の成形工程との間に樹脂小片の吹付け工程を追加するだけで、ウレタン表皮の裏面に多数付着された該樹脂小片と材料材料とを相溶状態で硬化させ、これにより基材の表面とウレタン表皮の裏面との耐剥離強度を大幅に高め得る利点がある。従って、基材がオレフィン系の樹脂材料から形成されていても、接着剤を使用することなく該基材の表面にウレタン表皮を被着することを可能とし得る等の有益な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】好適実施例に表皮付き成形品を成形する際の表皮成形工程として、表皮成形型の表皮成形面にウレタン材料を吹付け塗布している状態を示した説明断面図である。
【図2】樹脂小片の吹付け工程として、表皮成形面に吹付け塗布したウレタン材料が硬化する前に、該ウレタン材料に樹脂小片を吹付けている状態を示した説明断面図である。
【図3】図2に示した樹脂小片の吹付け状態を拡大して示した説明図である。
【図4】表皮成形型により成形されたウレタン表皮の部分断面図であって、硬化したウレタン表皮の裏面に多数の樹脂小片が半埋込状態で付着している状態を示している。
【図5】裏面に多数の樹脂小片を付着したウレタン表皮を基材成形型における第1成形型にセットしたもとで、該ウレタン表皮の裏側に基材を成形するための樹脂材料を注入している状態を示した説明断面図である。
【図6】樹脂材料の注入完了後に第1成形型に対して第2成形型を型閉めすることで、ウレタン表皮の裏側に画成されたキャビティ内へ該樹脂材料を充填させた状態を示した説明断面図である。
【図7】(a)は、ウレタン表皮の裏側に画成されたキャビティ内へ樹脂材料が充填された初期段階を示した部分断面図、(b)は、溶融状態の樹脂材料との接触により各々の樹脂小片が溶融し始めた状態を示した部分断面図、(c)は、各々の樹脂小片が略完全に溶融して樹脂材料と相溶した状態を示した部分断面図である。
【図8】図1〜図5の製造工程により成形された本実施例の表皮付き成形品を示した概略断面図である。
【図9】図8のA部拡大図であって、基材の表面に形成された多数の凸部がウレタン表皮の裏面に突入した状態となることで、定着効果により基材とウレタン表皮との耐剥離強度の向上を図るようにしたことを示している。
【図10】従来の表皮付き成形品を成形する際の表皮成形工程として、表皮成形型の表皮成形面にウレタン材料を吹付け塗布している状態を示した説明断面図である。
【図11】表皮成形面に吹付け塗布したウレタン材料が完全に硬化した後、成形されたウレタン表皮を表皮成形型から脱型する状態を示した説明断面図である。
【図12】図11に示したウレタン表皮を基材成形型における第1成形型にセットしたもとで、該ウレタン表皮の裏側に基材を成形するための樹脂材料を注入している状態を示した説明断面図である。
【図13】樹脂材料の注入完了後に第1成形型に対して第2成形型を型閉めすることで、ウレタン表皮の裏側に画成されたキャビティ内へ該樹脂材料を充填させた状態を示した説明断面図である。
【図14】図10〜図13の製造工程により成形された従来の表皮付き成形品を示した概略断面図である。
【図15】図14のB部拡大図であって、基材の表面とウレタン表皮の裏面とが平面状に接触することで、定着効果が充分に得られないために基材とウレタン表皮との耐剥離強度の向上を図り得ないことを示している。
【符号の説明】
12 ウレタン表皮
14 基材
16 凸部
20 樹脂小片
32 表皮成形面
48 キャビティ
52 粉体塗装機(吹付手段)
P 樹脂材料
U ウレタン材料
Claims (9)
- 成形型の表皮成形面(32)に吹付け塗布したウレタン材料(U)から成形されるウレタン表皮(12)と、前記成形型または別の成形型のキャビティ(48)内にセットした前記ウレタン表皮(12)の裏側へ充填した樹脂材料(P)から成形される基材(14)とからなり、前記樹脂材料(P)を前記ウレタン表皮(12)の裏面に密着させた状態で硬化させ、成形後の基材(14)の表面に該ウレタン表皮(12)を被着させるようにした表皮付き成形品において、
前記ウレタン表皮(12)の裏面へ半埋込状態で散在的に多数付着され、前記樹脂材料(P)と相溶性を有する微小寸法の樹脂小片(20)を有し、
前記溶融状態の樹脂材料(P)との接触により溶融した前記樹脂小片(20)が該樹脂材料(P)と相溶状態で硬化することで、該基材(14)の表面を該ウレタン表皮(12)の裏面に所要の耐剥離強度で被着させるよう構成した
ことを特徴とする表皮付き成形品。 - 前記多数の樹脂小片(20)は、前記樹脂材料(P)と相溶状態で硬化するに際し、成形後の基材(14)の表面に突出した多数の凸部(16)として形成され、これら凸部(16)が前記ウレタン表皮(12)の裏面へ突入した状態となることで所要の耐剥離強度が得られる請求項1記載の表皮付き成形品。
- 前記樹脂小片(20)は、微小寸法の粉体または粒体とされる請求項1または2記載の表皮付き成形品。
- 前記樹脂小片(20)の粒径は100〜250μm程度である請求項3記載の表皮付き成形品。
- 前記樹脂小片(20)は、不織布等を解繊した短繊維とされる請求項1または2記載の表皮付き成形品。
- 前記樹脂材料(P)および樹脂小片(20)は、オレフィン系の樹脂素材を材質とする請求項1〜5の何れかに記載の表皮付き成形品。
- 成形型の表皮成形面(32)に吹付け塗布したウレタン材料(U)から成形されるウレタン表皮(12)と、前記成形型または別の成形型のキャビティ(48)内にセットした前記ウレタン表皮(12)の裏側へ充填した樹脂材料(P)から成形される基材(14)とからなり、前記樹脂材料(P)を前記ウレタン表皮(12)の裏面に密着させた状態で硬化させ、成形後の基材(14)の表面に該ウレタン表皮(12)を被着させるようにした表皮付き成形品の製造方法において、
前記ウレタン表皮(12)の成形に際し、前記表皮成形面(32)に吹付け塗布した前記ウレタン材料(U)の硬化前に、前記樹脂材料(P)と相溶性を有する微小寸法の樹脂小片(20)を、該ウレタン材料(U)の裏面へ半埋込状態で散在的に多数付着させ、
前記基材(14)の成形に際し、前記溶融状態の樹脂材料(P)との接触により前記樹脂小片(20)を溶融させて、これら樹脂材料(P)と樹脂小片(20)とを相溶状態で硬化させ、
これにより、成形後の前記基材(14)の表面を前記ウレタン表皮(12)の裏面に所要の耐剥離強度で被着させるようにした
ことを特徴とする表皮付き成形品の製造方法。 - 前記溶融状態の樹脂材料(P)との接触により溶融させた前記多数の樹脂小片(20)を該樹脂材料(P)と相溶状態で硬化させることで、成形後の基材(14)の表面に突出した多数の凸部(16)を形成し、これら凸部(16)を前記ウレタン表皮(12)の裏面へ突入した状態とすることで所要の耐剥離強度を得るようにした請求項7記載の表皮付き成形品の製造方法。
- 前記多数の樹脂小片(20)は、適宜の吹付手段(52)により、前記ウレタン材料(U)の裏側外面に散在的に多数付着させるようになっている請求項7または8記載の表皮付き成形品の製造方法。
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