JP2004083129A - 折り曲げ罫線入りプラスチックシート及びそのプラスチックシート用罫線刃 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プラスチックシート1の折り曲げ部分に付設される折り曲げ罫線2を、プラスチックシート1の肉厚Aに応じた割合の深さを有する溝部3,4を、折り曲げ罫線2の底面部2bに形成すると共に、その溝部3,4よりも小さい溝部5…を、溝部3,4上面に沿って長手方向に対して略連続して形成する。一方、折り曲げ罫線2を付設するプラスチックシート用罫線刃6を、プラスチックシート1の肉厚Aに応じた割合の高さを有する刃部7,8を、罫線刃6の頂面部6bに形成すると共に、その刃部7,8よりも小さい刃部9…を、刃部7,8下面に沿って長手方向に対して略連続して形成している。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば化粧品や文具、玩具、食品等の物品が収容される容器を組立てるときに用いられるプラスチックシートの折り曲げ性及び折り曲げ強度を略同時に満たし得る折り曲げ罫線入りプラスチックシート及びそのプラスチックシート用罫線刃に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述の折り曲げ罫線が付設されたプラスチックシートとしては、例えば凹状刃部と凸状刃部とが刃先頂面部に形成された罫線刃を押し付けて、浅い溝部と深い溝部とからなる折り曲げ罫線を折り曲げ部分に形成した特許文献1の折り曲げ罫線入りプラスチックシートと、側面から見て略半円形状の凹状刃部と、略真っ直ぐな凸状刃部とが刃先頂面部に形成された罫線刃を押し付けて、側面から見て略半円形状の浅い溝部と、略真っ直ぐな深い溝部とからなる折り曲げ罫線を折り曲げ部分に形成した特許文献2の折り曲げ罫線入りプラスチックシートと、小さい凹凸が刃部に形成された罫線刃をプラスチックシートの折り曲げ部分に押し付けて、その小さい凹凸を折り曲げ罫線の内面全体に形成する特許文献3の罫線付設方法とがある。
【0003】
【特許文献1】
実公平4−9345号公報。
【0004】
【特許文献2】
特開2001−293777号公報。
【0005】
【特許文献3】
特開平6−23835号公報。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1及び特許文献2の折り曲げ罫線入りプラスチックシートは、罫線刃により付設される折り曲げ罫線の底部肉厚を薄くすると、プラスチックシートの折り曲げ特性が向上するが、肉厚の薄い部分が長手方向に対して連続していると、プラスチックシートを折り曲げ罫線に沿って折り曲げたとき、例えば裂け目や大きな孔等が折り曲げ罫線の底部に発生しやすい。また、罫線刃をプラスチックシートに強く押し付けて、折り曲げ罫線底部の薄肉部分を故意に開口すると、その部分から、例えばゴミや水分等の異物が侵入するため、包装容器に収容される物品の商品価値や衛生度が損なわれる。且つ、溝部の段差が大きく、角部が鋭角であるため、折り曲げ部分の手触り感が悪く、布や皮等が引っ掛かりやすい。一方、罫線刃を深く食込ませて、溝部の肉厚を薄くすると、プラスチックシートが面方向に対して押し広げられるので、分子密度が高くなる。シート及び引っ張り伸び率の小さいシートは、折り曲げ罫線が裂けてしまうことがあり、伸び率の小さい生分解性プラスチックシートには形成することができない。且つ、折り曲げ部分に歪や反り、波打ち等が発生するため、見栄え及び外観が悪くなる。また、プラスチックシートを製函機により容器形態に組立てる場合、停滞したり、詰まったりするため、組立て作業を機械的に行うことが困難であるという問題点を有している。
【0007】
また、特許文献3の罫線付設方法は、小さい凹凸を折り曲げ罫線の内面全体に形成するが、罫線刃の刃先に生じる接触抵抗が大きくなるため、折り曲げ罫線を付設するとき大きな押圧力が必要であり、付設作業に手間及び時間が掛かる。また、刃先に対して抵抗が均等に付与されにくく、罫線刃の角度や位置が変異しやすいため、折り曲げ罫線を一定の深さに形成することが困難であり、良好な折り曲げ特性及び柔軟性が得られないという問題点を有している。
【0008】
この発明は上記問題に鑑み、プラスチックシートに付設される折り曲げ罫線の溝部上面に沿って、該溝部よりも小さい凸状部を長手方向に対して複数形成することにより、良好な折り曲げ特性及び柔軟性が得られ、手触り感及び外観性がよく、折り曲げ作業が機械的に行える折り曲げ罫線入りプラスチックシート及びそのプラスチックシート用罫線刃の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、所定角度で傾斜し相互に対峙する一対の側面部と、該側面部の一端側と連続する幅狭の底面部とからなる凹状の折り曲げ罫線が付設されたプラスチックシートであって、上記折り曲げ罫線よりも浅い溝部及び該浅い溝部よりも深い溝部を、該折り曲げ罫線の底面部に沿って長手方向に対して複数形成すると共に、上記溝部よりも小さい凸状部を、上記溝部上面に沿って長手方向に対して複数形成した折り曲げ罫線入りプラスチックシート。及び、プラスチックシートの折り曲げ部分に対して凹状の折り曲げ罫線を付設するときに用いられ、所定角度で傾斜し相互に対峙する一対の側面部と、該側面部の一端側と連続する幅狭の頂面部とを有するプラスチックシート用罫線刃であって、上記折り曲げ罫線よりも浅い刃部及び該浅い刃部よりも深い刃部を、上記罫線刃の頂面部に沿って長手方向に対して複数形成すると共に、上記刃部よりも小さい凹状部を、上記刃部下面に沿って長手方向に対して複数形成したプラスチックシート用罫線刃であることを特徴とする。
【0010】
上述のプラスチックシートは、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)、生分解性プラスチック等の単体又は複合したプラスチックで形成され、且つ、例えば約0.1mm〜約1mmの範囲に含まれる所定の肉厚A(例えば略0.3mm)に形成した透明又は半透明のシートで構成される。また、折り曲げ罫線の凸状部は、例えば凸状の溝部5や凹部、突起等で構成することができる。また、罫線刃の凹状部は、例えば凹状の刃部9や凹部、窪み部等で構成することができる。つまり、折り曲げ罫線2を、プラスチックシート1の折り曲げ部分に付設する場合、単一枚数又は複数枚数の罫線刃6を、プラスチックシート1の各折り曲げ部分に対して、そのプラスチックシート1の材質や肉厚、強度、硬度等に応じた圧力で押し付け及び所定温度に加熱しながら押し付けて、プラスチックシートに付設される折り曲げ罫線の溝部上面に、その溝部よりも小さい凸状部を長手方向に対して複数形成する。
【0011】
上述の折り曲げ罫線2を構成する溝部3,4及びプラスチックシート用罫線刃6を構成する刃部7,8の各部B,C,D,E,F,G,θ1,θ2,Xを、プラスチックシート1の肉厚Aに応じて下記の数値に設定することができる。例えば溝部3,4及び刃部7,8の長さB,Cを、プラスチックシート1の肉厚Aに対して略30%〜略400%の範囲に含まれる長さ(例えば略0.8mm)に設定し、溝部4の深さD及び刃部8の高さDを、プラスチックシート1の肉厚Aに対して略10%〜略50%の範囲に含まれる深さ及び高さ(例えば略0.15mm)に設定し、溝部5及び刃部9のピッチ間隔Eを、プラスチックシート1の肉厚Aに対して略0.05mm〜略0.5mmの範囲に含まれる間隔(例えば略0.2mm)に設定し、溝部5の深さF及び刃部9の高さFを、上述の溝部4よりも浅く及び刃部8よりも低くて、プラスチックシート1の肉厚Aに対して略5%〜略30%の範囲に含まれる深さ及び高さ(例えば略0.08mm)に設定し、溝部4及び刃部8の幅Gを、プラスチックシート1の肉厚Aに対して略0%〜略100%の範囲に含まれる幅(例えば略0.05mm)に設定し、溝部3及び刃部7の幅Hを、プラスチックシート1の肉厚Aに対して略5%〜略200%の範囲に含まれる幅(例えば略0.15mm)に設定する。
【0012】
且つ、折り曲げ罫線2の角度θ1及び罫線刃6の角度θ2を、プラスチックシート1の折り曲げ部分及び肉厚Aに応じて略15度〜略130度の範囲に含まれる角度に設定し、溝部4の肉厚Xを、例えば略0μm〜略10μmの範囲に含まれる厚さとなるように形成する。例えばプラスチックシート1の前面部1aと、側面部1bと、後面部1cと、接合部1dとの折り曲げ部分に形成される折り曲げ罫線2の角度θ1及び罫線刃6の角度θ2を、プラスチックシート1の肉厚Aに応じて所定方向に対して折り曲げが許容される角度(例えば略43度)に設定し、折込み部1eと、上面部1f及び下面部1gとの折り曲げ部分に形成される折り曲げ罫線2の角度θ1及び罫線刃6の角度θ2を、内側及び外側に対して折り曲げが許容される角度(例えば略75度)に設定する。
【0013】
上述のB,C,D,E,F,G,θ1,θ2,Xを設定値よりも大きくすると、プラスチックシート1に付設される折り曲げ罫線2の手触り感及び折り曲げ特性が悪くなる。また、設定値よりも小さくすると、刃先の強度が低下し、折り曲げ罫線2を付設するのに充分な効果が得られなくなるので、上述の範囲に含まれる数値に設定するのが好ましい。
【0014】
且つ、ピッチ間隔Eを設定値よりも大きくすると、プラスチックシート1の折り曲げ特性が悪くなる。また、ピッチ間隔Eを設定値よりも小さくすると、刃先の強度が低下し、折り曲げ罫線2を付設するのに充分な効果が得られなくなるので、上述の範囲に含まれる数値に設定するのが好ましい。
【0015】
且つ、罫線刃6の角度θ2を大きくすると、折り曲げ罫線2を付設するときに大きな加圧力が必要となり、加工が難しい。プラスチックシート1に反りや波打ち等が発生し、プラスチックシート1の折り曲げ特性が悪くなり、機械的に折り曲げることが困難となる。また、角度θ2を設定値よりも小さくすると、刃先の強度が低下し、寿命が短くなるので、上述の範囲に含まれる数値に設定するのが好ましい。
【0016】
上述の範囲に含まれる所定の数値であれば、プラスチックシート1の肉厚Aや材質、強度、硬度等に応じて、折り曲げ罫線2の溝部3,4,5及び罫線刃6の刃部7,8,9の幅や長さ、深さ、高さ、間隔(ピッチ)、角度等を変更し、所望する配列及び組み合わせに設定することができる。また、折り曲げ罫線2の溝部3,4,5及び罫線刃6の刃部7,8,9を、例えば側面及び正面、平面、底面から見て滑らかな曲面形状や略半円形状、略円弧形状、略扇形状、曲率半径或いは略台形状、略四角形状、略三角形状、略多角形状等の何れか特定の形状又は複数を組み合わせた形状に形成することができる。
【0017】
且つ、折り曲げ罫線2の溝部5及び罫線刃6の刃部9を、例えば略同一又は異なる幅及び交差する状態に形成するか、梨地模様や小さい凹凸、略縄形状、略鎖形状等の特異形状に形成することができる。
【0018】
実施の形態として、上記小さい凸状部を、上記浅い溝部及び又は深い溝部に形成することができる。また、上記浅い溝部及び深い溝部を、異なる深さ又は略同等となる深さに形成することができる。また、上記溝部及び凸状部を、上記プラスチックシートの肉厚に略応じて所定の大きさに形成することができる。また、上記溝部及び凸状部を、上記折り曲げ罫線の長手方向から見て滑らかな曲面形状に形成することができる。
【0019】
且つ、上記小さい凹状部を、上記浅い刃部及び又は深い刃部に形成することができる。また、上記浅い刃部及び深い刃部を、異なる深さ又は略同等となる深さに形成することができる。また、上記刃部及び凹状部を、上記プラスチックシートの肉厚に略応じて所定の大きさに形成することができる。また、上記刃部及び凹状部を、上記罫線刃の長手方向から見て滑らかな曲面形状に形成することができる。
【0020】
【作用及び効果】
この発明によれば、プラスチックシートに付設される折り曲げ罫線の溝部上面に、その溝部よりも小さい凸状部を長手方向に対して複数形成するので、プラスチックシートに付与される面方向の応力が小さく、歪や反り、波打ち等が発生したり、その部分に印刷された塗膜が剥離するのを防止することができる。且つ、溝部の段差が小さく、滑らかであるため、プラスチックシートの折り曲げ部分に手が接触しても、ザラツキ感が殆んどなく、触り心地が良い。また、布や皮等が引っ掛からず、折り曲げ部分の外観が美しく、意匠的に優れている。
【0021】
且つ、罫線刃の刃部よりも小さい凹状部を複数押し付けて、プラスチックシートの分子密度が高くなる部分を分散させるので、折り曲げ罫線を付設するときに要する罫線刃の押圧力及び接触抵抗が大幅に軽減され、伸び率の小さい生分解性プラスチックシートであっても、折り曲げ罫線を簡単且つ容易に加工することができ、プラスチックシートの肉厚に応じて良好な折り曲げ特性及び柔軟性が得られる。また、プラスチックシートを鋭角に折り曲げても裂け目や大きな孔等が発生せず、若し、孔が発生しても極小に抑えられるため、異物が侵入しにくく、商品価値や衛生度が損なわれるのを防止することができる。
【0022】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
【0023】
図面は、物品が収容される包装容器に用いられる折り曲げ罫線入りプラスチックシート及び折り曲げ罫線を付設するプラスチックシート用罫線刃を示し、図1に於いて、このプラスチックシート1は、例えば約0.3mm程度の厚さを有する透明又は半透明のプラスチック製シートで構成され、プラスチック製のシートを、包装容器(図2参照)を展開した形状に型抜き又は型抜き後、正面から見て略矩形を有する前面部1aの両側縁部に連設した左右側面部1bと、一方の側面部1bの右側縁部に連設した後面部1cと、後面部1cの右側縁部に連設した接合部1dと、側面部1bの上下縁部に連設した折込み部1e…と、前面部1aの上縁部に連設した上面部1f及び下縁部に連設した下面部1gと、上面部1f及び下面部1gに連設した折込み部1hとの折り曲げ部分に、後述する罫線刃6により凹状の折り曲げ罫線2を形成する。また、容器形態に組立てられたプラスチックシート1を吊設するための孔部(図示省略)を、後面部1cの上縁部に連設した支持部(図示省略)に設けてもよい。
【0024】
上述のプラスチックシート1の折り曲げ部分に付設される折り曲げ罫線2は、図3乃至図6に示すように、所定角度で傾斜し相互に対峙する一対の側面部2aと、側面部2a,2aの一端側と連続する底面部2bとで長手方向から見て略V字状に形成され、折り曲げ罫線2の底面部2bよりも浅く、側面から見て略円弧形状又は略半円形状の溝部3を、折り曲げ罫線2の底面部2bに沿って長手方向に対して所定間隔に隔てて複数形成し、その溝部3よりも深く、側面から見て略円弧形状又は略半円形状の溝部4を、浅い溝部3,3間の底面部2bに沿って長手方向に対して1個又は複数個形成している。
【0025】
且つ、溝部3,4よりも浅くて小さく、長手方向(正面)から見て略直線形状で、側面から見て滑らかな曲面形状(例えば略円弧形状、略半円形状等)の凸状溝部5を、溝部3,4上面に沿って長手方向に対して略連続的又は所定間隔に隔てて形成及び長手方向に対して略直交して横長に形成すると共に、溝部3から溝部4に向けて配列した溝部5…を、長手方向(又は前後方向)に対して徐々に小さく及び幅狭となる順に配列している。
【0026】
且つ、底面部2bの肉厚Xを、例えば略0μm〜略10μmの範囲に含まれる所定の厚さに形成する。また、溝部3,4の数を、例えば2個や3個以上等の複数に変更してもよい。なお、プラスチックシート1の肉厚Aや材質、強度、硬度等に応じた折り曲げ罫線2を後述する罫線刃6で付設し、その折り曲げ罫線2を、罫線刃6の刃部7,8,9の組み合わせや深さ、刃数等で変更することもできる。
【0027】
且つ、溝部3,4の長さB,Cを、略0.8mmに設定し、溝部4の深さDを、略0.15mmに設定し、溝部5のピッチ間隔Eを、略0.2mmに設定し、溝部5の深さFを、略0.08mmに設定し、溝部4の幅Gを、略0.1mmに設定し、溝部3の幅Hを、略0.15mmに設定している。
【0028】
且つ、プラスチックシート1の組立て作業を機械的に行う場合、前面部1aと、側面部1bと、後面部1cと、接合部1dとの折り曲げ部分に形成される折り曲げ罫線2の角度θ1を、プラスチックシート1の肉厚Aに応じて所定方向に対して折り曲げが許容される角度(例えば略43度)に設定し、折込み部1eと、上面部1f及び下面部1gとの折り曲げ部分に形成される折り曲げ罫線2の角度θ1を、内側及び外側に対して折り曲げが許容される角度(例えば略75度)に設定する。
【0029】
一方、上述の折り曲げ罫線2を付設するときに用いられるプラスチックシート用罫線刃6は、図4、図7、図8に示すように、所定角度で傾斜し相互に対峙する一対の側面部6aと、側面部6a,6aの一端側と連続する幅狭の頂面部6bとで長手方向から見て略V字状に形成され、罫線刃6の頂面部6bよりも食込み量が浅く、側面から見て略円弧形状又は略半円形状の刃部7を、罫線刃6の頂面部6bに沿って長手方向に対して所定間隔に隔てて複数形成し、その刃部7よりも食込み量が深く、側面から見て略円弧形状又は略半円形状の刃部8を、浅い刃部7,7間の頂面部6bに沿って長手方向に対して複数形成している。また、深い刃部8の刃数を、例えば4枚以下又は4枚以上に変更してもよい。
【0030】
且つ、刃部7,8よりも浅くて小さく、長手方向(正面)から見て略直線形状で、側面から見て滑らかな曲面形状(例えば略円弧形状、略半円形状等)の凹状刃部9を、刃部7,8下面に沿って長手方向に対して略連続的又は所定間隔に隔てて形成及び長手方向に対して略直交して横長に形成すると共に、刃部7から刃部8に向けて配列した刃部9…を、長手方向(又は前後方向)に対して徐々に小さく及び幅狭となる順に配列している。その刃部7,8を、例えば円柱ヤスリやワイヤー等の切削手段により所定形状に切削加工する。つまり、刃部7,8の長さB,Cを、略0.8mmに設定し、刃部7の高さDを、略0.15mmに設定し、刃部9のピッチ間隔Eを、略0.2mmに設定し、刃部9の高さFを、略0.08mmに設定し、刃部8の幅Gを、略0.1mmに設定し、刃部7の幅Hを、略0.15mmに設定している。なお、罫線刃6の刃先底面図は、図5に示す折り曲げ罫線2と略同一であるので、その図示を省略する。
【0031】
且つ、プラスチックシート1の前面部1aと、側面部1bと、後面部1cと、接合部1dとの折り曲げ部分に対して折り曲げ罫線2を形成する罫線刃6の刃先角度θ2を、各部1a,1b,1cが所定方向に対して折り曲げ許容される角度(例えば略43度)に設定し、折込み部1eと、上面部1f及び下面部1gとの折り曲げ部分に対して折り曲げ罫線2を形成する罫線刃6の刃先角度θ2を、各部1e,1f,1gが内側及び外側に対して折り曲げが許容される角度(例えば略75度)に設定している。また、実施例では、罫線刃6の肉厚Hを、例えば略0.7mmに設定しているが、この数値に限定されるものではなく、略0.7mm以下及び略0.7mm以上の肉厚Hに変更することもできる。
【0032】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、上述の罫線刃6を用いて、プラスチックシート1に折り曲げ罫線2を付設する方法及びその折り曲げ罫線2が付設されたプラスチックシート1の組立て方法を説明する。
【0033】
先ず、折り曲げ罫線2を付設する場合、プラスチック製のシートを、型本体に取り付けられた型抜き刃で型抜きするとき又は型抜きした後、図7に示す罫線刃6を、図1及び図4に示すように、プラスチックシート1の前面部1aと、側面部1bと、後面部1cと、接合部1dとの折り曲げ部分と、折込み部1eと、上面部1fと、下面部1gとの折り曲げ部分とに、そのプラスチックシート1の肉厚Aや材質、強度、硬度等に応じた圧力で押し付けて、図3、図5、図6に示す折り曲げ罫線2を、プラスチックシート1の各折り曲げ部分に形成する。
【0034】
一方、折り曲げ罫線2が付設されたプラスチックシート1を、図2に示す側面から見て略矩形の容器形態に組立てる場合、前面部1aと、側面部1bと、後面部1cと、接合部1dと、折込み部1e…と、上面部1f及び下面部1gとを折り曲げ罫線2に沿って所定の方向及び角度に折り曲げ、一方の側面部に連設した接合部1dと、他方の側面部1bとを接着剤で接着固定し、下縁側の折込み部1eと、上面部1f及び下面部1gとを内側に折り曲げて閉塞する。
【0035】
且つ、物品を収容するとき、上縁側の折込み部1eと、上面部1f及び下面部1gとを一旦外側に折り曲げて開放し、物品を収容してから閉塞するので、自動製函機(図示省略)による組立て作業及び自動収容機(図示省略)による物品の収容作業が容易に行える。また、接合部1dを、例えば溶着や高周波溶着等により接合固定してもよい。
【0036】
以上のように、プラスチックシート1に付設される折り曲げ罫線2の溝部3,4よりも小さく且つ浅い溝部5…を、溝部3,4上面に沿って長手方向に対して複数形成するので、プラスチックシート1に付与される面方向の応力が小さく、歪や反り、波打ち等が折り曲げ部分に発生したり、その部分に印刷された塗膜が剥離するのを防止することができる。且つ、溝部3,4よりも溝部5の方が小さく浅いため、プラスチックシート1の折り曲げ部分に手が接触しても、ザラツキ感が殆んどなく、触り心地が良い。また、布や皮等が引っ掛からず、折り曲げ部分の外観が美しく、意匠的に優れている。
【0037】
且つ、罫線刃6の刃部7,8よりも小さい刃部9…を押し付けて、プラスチックシート1の分子密度が高くなる部分を分散させるので、折り曲げ罫線2を付設するときに要する罫線刃6の押圧力及び接触抵抗が大幅に軽減され、伸び率の小さい生分解性プラスチックシートであっても、折り曲げ罫線2を簡単且つ容易に加工することができ、プラスチックシート1の肉厚Aに応じて良好な折り曲げ特性及び柔軟性が得られる。また、プラスチックシート1を鋭角に折り曲げても裂け目や大きな孔等が発生せず、若し、孔が発生しても極小に抑えられるため、異物が侵入しにくく、商品価値や衛生度が損なわれるのを防止することができる。
【0038】
且つ、折り曲げ罫線2の底面部2b両側部を中心として折り曲げるので、従来例のような折り曲げ罫線の底面中央部を1箇所折り曲げるよりも裂けにくく、長い溝部3の肉厚が従来例の折り曲げ罫線よりも大きいため、折り曲げるのに必要な強度が確保され、組立て及び展開が何回でも繰り返し行えると共に、プラスチックシート1の折り曲げ作業及び組立て作業を機械的に行うことができる。
【0039】
図9は、折り曲げ罫線2及び罫線刃6の他の例を示し、溝部5及び刃部9を、溝部4及び刃部8よりも深い及び略同等となる深さの溝部3及び刃部7に形成している。その溝形状と略対応する罫線刃6を用いて、プラスチックシート1に折り曲げ罫線2を形成するので、前述の実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。また、溝部3及び刃部7を、溝部4及び刃部8よりも浅い溝部3及び刃部7に形成してもよい。
【0040】
図10は、折り曲げ罫線2及び罫線刃6のその他の例を示し、溝部3及び刃部7を、側面から見て略三角形状に形成し、溝部5及び刃部9を、その溝部3…間の溝部4及び刃部7…間の刃部8に形成している。その溝形状と略対応する罫線刃6を用いて、プラスチックシート1に折り曲げ罫線2を形成するので、前述の実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0041】
図11は、折り曲げ罫線2及び罫線刃6のその他の例を示し、溝部5及び刃部9を、側面から見て略台形状を有する溝部3,4及び刃部7,8の両方に形成している。その溝形状と略対応する罫線刃6を用いて、プラスチックシート1に折り曲げ罫線2を形成するので、前述の実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。また、溝部5を、溝部3,4の何れか一方に形成し、刃部9を、刃部7,8の何れか一方に形成するだけでもよい。
【0042】
図12は、折り曲げ罫線2及び罫線刃6のその他の例を示し、溝部5を、溝部3の頂部及び溝部4の谷部に形成し、刃部9を、刃部7の上端中央部及び刃部8の下端中央部に形成している。その溝形状と略対応する罫線刃6を用いて、プラスチックシート1に折り曲げ罫線2を形成するので、前述の実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0043】
図13は、折り曲げ罫線2及び罫線刃6のその他の例を示し、図中の(イ)は、溝部5及び刃部9を、罫線付設方向(又は長手方向)に対して所定角度に交差する状態に形成している。図中の(ロ)は、溝部5及び刃部9を、例えばダイヤモンド形状や略平行四辺形等の所定角度に交差する状態に形成している。図中の(ハ)は、例えば梨地模様や小さい凹凸等の特異形状を有する凸状の溝部5及び凹状の刃部9を、罫線付設方向(又は長手方向)に対して多数形成している。その(イ)、(ロ)、(ハ)の溝形状と略対応する罫線刃6を用いて、プラスチックシート1に折り曲げ罫線2を形成するので、前述の実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。また、溝部5及び刃部9を、例えば略縄形状や略鎖形状等の特異形状に形成することもできる。
【0044】
図14、図15、図16、図17は、折り曲げ罫線2及び罫線刃6のその他の例を示し、溝部3,4,5及び刃部7,8,9を、長手方向(正面)から見て及び短手方向(側面)から見て滑らかな曲面形状(例えば略円弧形状、略半円形状等)及び所定の曲率半径に形成している。且つ、平面から見た折り曲げ罫線2の溝部3,4,5及び底面から見た罫線刃6の刃部7,8,9を、滑らかな曲面形状(例えば略楕円形状、略流線形状等)に形成している。その溝形状と略対応する罫線刃6を用いて、プラスチックシート1に折り曲げ罫線2を形成するので、前述の実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。また、溝部5及び刃部9の両端部を滑らかな曲面形状に形成してもよい。
【0045】
図18は、折り曲げ罫線2及び罫線刃6のその他の例を示し、折り曲げ罫線2の溝部3,4間に形成した溝部5…及び罫線刃6の刃部7,8間に形成した刃部9…を、長手方向と略平行する方向に対して滑らかな曲面形状(例えば略楕円形状、略流線形状等)に形成すると共に、溝部3から溝部4に向けて配列した溝部5…及び刃部7から刃部8に向けて配設した刃部9…を、長手方向(又は前後方向)に対して徐々に小さく及び幅狭となる順に配列(例えば略円形状から略楕円形状となる順)している。その溝形状と略対応する罫線刃6を用いて、プラスチックシート1に折り曲げ罫線2を形成するので、前述の実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0046】
なお、前述の折り曲げ罫線2を加工する他の方法として、例えば所定温度に加熱された罫線刃6をプラスチックシート1の折り曲げ部分に押し付けて加工するか、略円板状や略ループ状の回転罫線刃(図示省略)をプラスチックシート1に押し付けながら回転させて加工することもできる。
【0047】
且つ、折り曲げ罫線2を、例えばピロー型包装容器や略三角形状、略楕円形状等の様々な容器を構成するプラスチックシート1に付設するか、プラスチックシート1の折り曲げ部分に対して複数条平行して形成してもよく、実施例の容器形態に組立てられるプラスチックシート1のみに用途が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】折り曲げ罫線入りプラスチックシートを示す展開図。
【図2】プラスチックシートを容器形態に組立てた状態を示す斜視図。
【図3】プラスチックシートに形成した折り曲げ罫線を示す斜視図。
【図4】折り曲げ罫線の溝形状及び罫線刃の刃部形状を示す側面図。
【図5】プラスチックシートに形成した溝部の配列状態を示す平面図。
【図6】折り曲げ罫線の溝形状を示す縦断端面図。
【図7】折り曲げ罫線を付設する罫線刃を示す斜視図。
【図8】罫線刃の刃先形状を示す縦断端面図。
【図9】折り曲げ罫線及び罫線刃の他の例を示す側面図。
【図10】折り曲げ罫線及び罫線刃のその他の例を示す側面図。
【図11】折り曲げ罫線及び罫線刃のその他の例を示す側面図。
【図12】折り曲げ罫線及び罫線刃のその他の例を示す側面図。
【図13】折り曲げ罫線及び罫線刃のその他の例を示す説明図。
【図14】折り曲げ罫線及び罫線刃のその他の例を示す断面図。
【図15】プラスチックシートに形成した略楕円形状の溝部を示す平面図。
【図16】略楕円形状を有する溝部の配列状態を示す斜視図。
【図17】略楕円形状を有する刃部の配列状態を示す斜視図。
【図18】溝部及び刃部の他の配列状態を示す説明図。
【符号の説明】
1…プラスチックシート
2…折り曲げ罫線
2b…底面部
3,4,5…溝部
6…罫線刃
6b…頂面部
7,8,9…刃部
Claims (10)
- 所定角度で傾斜し相互に対峙する一対の側面部と、該側面部の一端側と連続する幅狭の底面部とからなる凹状の折り曲げ罫線が付設されたプラスチックシートであって、
上記折り曲げ罫線よりも浅い溝部及び該浅い溝部よりも深い溝部を、該折り曲げ罫線の底面部に沿って長手方向に対して複数形成すると共に、
上記溝部よりも小さい凸状部を、上記溝部上面に沿って長手方向に対して複数形成した
折り曲げ罫線入りプラスチックシート。 - 上記小さい凸状部を、上記浅い溝部及び又は深い溝部に形成した
請求項1記載の折り曲げ罫線入りプラスチックシート。 - 上記浅い溝部及び深い溝部を、異なる深さ又は略同等となる深さに形成した
請求項1又は2記載の折り曲げ罫線入りプラスチックシート。 - 上記溝部及び凸状部を、上記プラスチックシートの肉厚に略応じて所定の大きさに形成した
請求項1,2又は3記載の折り曲げ罫線入りプラスチックシート。 - 上記溝部及び凸状部を、上記折り曲げ罫線の長手方向から見て滑らかな曲面形状に形成した
請求項1,2又は3記載の折り曲げ罫線入りプラスチックシート。 - プラスチックシートの折り曲げ部分に対して凹状の折り曲げ罫線を付設するときに用いられ、所定角度で傾斜し相互に対峙する一対の側面部と、該側面部の一端側と連続する幅狭の頂面部とを有するプラスチックシート用罫線刃であって、上記折り曲げ罫線よりも浅い刃部及び該浅い刃部よりも深い刃部を、上記罫線刃の頂面部に沿って長手方向に対して複数形成すると共に、
上記刃部よりも小さい凹状部を、上記刃部下面に沿って長手方向に対して複数形成した
プラスチックシート用罫線刃。 - 上記小さい凹状部を、上記浅い刃部及び又は深い刃部に形成した
請求項6記載のプラスチックシート用罫線刃。 - 上記浅い刃部及び深い刃部を、異なる深さ又は略同等となる深さに形成した
請求項6又は7記載のプラスチックシート用罫線刃。 - 上記刃部及び凹状部を、上記プラスチックシートの肉厚に略応じて所定の大きさに形成した
請求項6,7又は8記載のプラスチックシート用罫線刃。 - 上記刃部及び凹状部を、上記罫線刃の長手方向から見て滑らかな曲面形状に形成した
請求項6,7又は8記載のプラスチックシート用罫線刃。
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