JP2004077921A - ズーム光学系及びそれを用いた撮像装置 - Google Patents

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Tetsuo Nagata
永田 哲生
Tetsuei Takeyama
武山 哲英
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Abstract

【課題】形状可変素子を用いているにも拘わらず収差変動の少ない高性能のズーム光学系及びそれを用いた撮像装置を提供すること。
【解決手段】物体側から順に、負パワーを有する第1群G1と、正パワーを有する第2群G2と、正パワーを有する第3群G3とからなり、第2群G2と第3群G3を移動させることにより変倍を行い、それによる焦点ずれを、第1群G1中に設けた形状可変ミラー(形状可変素子)Mの反射面を介して補正することが出来るように構成されている。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、形状可変素子を含むズーム光学系とそれを用いた電子撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ズーム光学系は、変倍作用を有するバリーエータ群と、変培にともなう像面ずれ及び収差を補償するコンペンセータ群と、被写体に焦点をあわせるためのフォーカシング群等から成っている。これらの群はレンズで構成されていることが多いが、近年、フォーカシングを形状可変ミラーを用いて行わせるようにしたものが提案されている(特開2002−122779号公報、特開2002−122719号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ズーム光学系において、形状可変ミラーを用いてフォーカシングを行うようにすれば、従来のようにフォーカシングのための機械的な機構を用いる必要が無くなる。そのため、装置全体を小型且つ軽量化することが出来るという利点はあるが、フォーカシング時のミラー面の変形により収差変動が生じ易いという問題点がある。
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、形状可変ミラーを用いているにも拘わらず収差変動の少ない高性能のズーム光学系及びそれを用いた撮像装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明によるズーム光学系は、フォーカシング作用を有する形状可変素子と、変倍時に移動可能で且つ変倍作用もしくは像面の移動を補正するコンペンセート作用を有する2つのレンズ群と、を含んでいる。
本発明によれば、前記形状可変素子より像側にある全てのレンズ群の最も広角端での倍率をβDMWとしたとき、以下の条件式を満足することを特徴としている。
0.40 < |βDMW|  < 1.0   (1−1)
また、本発明によれば、前記レンズ群を構成するレンズの少なくとも1つの回転対称なレンズ面が光軸に対して偏心していることを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】
実施例の説明に先立ち、本発明の作用を説明する。なお、形状可変素子としては、形状可変ミラーや液晶レンズ等があるが、ここでは、形状可変ミラーを例にして説明する。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、フォーカシング作用を形状可変ミラーの反射面に持たせることで、メカ的な駆動機構は変倍レンズ群のみとなる。そのためフォーカシングのためのモーター及び駆動回路などを使用する必要がなく、非常に鏡枠構造が簡易的となる。この結果、撮像装置全体として、小型化、低コスト化が可能となる。
さらに形状可変ミラーは静電駆動で、形状を瞬間的に変化させることが可能であることから、フォーカシングが非常に高速でできる。また、消費電力が非常に小さく、動作音が静かなズーム光学系を実現できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、広角端における倍率を規定し、形状可変素子を適切な変形量でフォーカシングすることが可能な条件を規定したものである。|βDMW|が条件式(1−1)の下限を下回ると倍率が小さいため、フォーカシングに必要な形状可変ミラーの変軽量が大きくなり、消費電力が増大し好ましくない。さらに変軽量が増大すると形状可変ミラーが光軸に対して偏心した位置に配置されているため、非対称な偏心収差、特に非対称コマ収差の発生量が大きくなり好ましくない。また、上限を上回ると倍率が大きいため、形状可変ミラーの小さい変軽量でフォーカシングすることが可能であるが、その他の製造誤差に対しても敏感になり、製造難易度が高くなってしまう。
なお、好ましくは、下記の条件を満足するのがよい。
0.50 < |βDMW| < 0.9   (1−2)
0.55 < |βDMW| < 0.8   (1−3)
|βDMW|が上記範囲内であれば、形状可変ミラーの変形量をより適切にすることが可能である。
【0009】
請求項3に記載の発明によれば、形状可変ミラーの偏心収差を補正することが可能となり、高性能なズーム光学系を提供することが可能となる。
【0010】
また、本発明によれば、上記形状可変ミラーが、回転非対称な曲面形状すなわち自由曲面を有していることを特徴としている。この構成をとることで、形状可変ミラーで発生する偏心収差を非常に小さくすることが可能となる。
【0011】
また、本発明によれば、ズーム光学系が、形状可変ミラーと変倍機能を有する変倍群を有し、形状可変ミラーが、ピント合わせ機能を有し、且つ変倍群の前方に配置されていることを特徴としている。
この特徴により、ズーミングによるピントズレをなくすことが可能となる。
形状可変ミラーは、変倍を主に行うレンズ群の前方に配置されるのが望ましい。この点について説明する。形状可変ミラーをピント合わせに用いる場合、物体距離の変化とともに、形状可変ミラーのパワーを変化させることになる。ここで形状可変ミラーが変倍群より後方にあると、物点距離が同一でもズーミングしたとき、前記形状可変ミラーより物体側にあるレンズ郡の倍率が高くなる。そのため、広角側と比較して、変倍の倍率分、反射面の変形量が大きく必要になってくる。反射面の変形量が大きくなりすぎると、偏心収差が大きく発生し好ましくない。そこで、本発明のように形状可変ミラーが変倍群よりも前方(物体側)にあれば、該ミラーより物体側のレンズのズーミングによる倍率変化がない。例えば、物点距離を無限遠から至近までフォーカシングした場合、広角端から望遠端まで、面の同じ変形量でフォーカシングすることができる。これは、光学性能の面において有利な点を有するということである。また、形状可変ミラーの制御上、考え方がシンプルになるという点でも有利である。このように、本発明では撮像系を設計しやすいことから、上記構成を採用している。
【0012】
また、本発明によれば、形状可変ミラーが、所定の第1状態から無限遠にある物体にフォーカスした第2状態、該第2状態から最短距離にある物体にフォーカスした第3状態、該第3状態から前記第1状態とは別の所定の第4状態に変形可能であって、広角端において前記第1状態から前記第2状態に変化したときの像面の移動量、及び前記第3状態から前記第4状態に形状が変化したときの像面の移動量をZfとしたとき、下記条件を満足することを特徴としている。
4・Fno・P  < Zf < 30・Fno・P    (2−1)
ただし、P=√(Px・Py)で、Pxは撮像素子の1画素のx方向の寸法、Pyは撮像素子の1画素のy方向の寸法、Fnoは撮影光学系のFナンバーである。
上記条件式(2−1)は、CCDなどの撮像素子を用いて、適切にコントラスト方式でフォーカシングを行うための条件式で、像のぼかし量を規定したものである。通常、オートフォーカスでピントを探すときは、ピント位置前後に像をぼかし、コントラストのピークを探し、ピント位置を検出する。
Zfが、この条件式の下限を下回ると像のぼかし量が足りず、特に低コントラストの被写体や、暗い場所においてコントラストを検出することが困難となる。また、上限を上回ると、必要以上にデフォーカスさせるため、形状可変ミラーの最大変形量が大きく必要となり、偏心収差の発生量が大きくなる。
この場合、下記範囲内であれば、オートフォーカスの精度が上がるのでなお良い。
5・Fno・P  < Zf < 25・Fno・P    (2−2)
6・Fno・P  < Zf < 20・Fno・P    (2−3)
【0013】
また、本発明によれば、ズーム光学系は、フォーカシングを行うに際し、形状可変ミラーの最大変形量をmd(μm)、広角端における光学系の焦点距離をfw、望遠端における光学系の焦点距離をftとしたときに、以下の条件式を満足することを特徴としている。
0.1  ≦ |md/√(fw×ft)| < 5.0  (3−1)
上記条件式(3−1)は形状可変ミラーの最大変形量を規定したもので、焦点距離で規格化してある。上記条件式を満足することで、形状可変ミラーの変形量を適正な範囲に抑えることができる。
|md/√(fw×ft)|の値が上記条件式の下限を下回ると、変形量が不足し、最短撮影距離を長くせざるを得ない。あるいは光学系の形状可変ミラーより像側のレンズ群の倍率を上げる必要があるが、その場合他のレンズ等の製造精度が厳しくなる。また、上限を上回ると、変形量が大きくなりすぎて偏心収差の発生量が増大し、所望の光学性能を満足することが難しくなる。
なお、下記の範囲であればより好ましい。
0.3  ≦ |md/√(fw×ft)| < 4.0   (3−2)
0.5  ≦ |md/√(fw×ft)| < 3.0   (3−3)
【0014】
また、本発明によれば、ズーミングのいずれかの状態で、光軸と撮像面とのなす角度θiが下記の条件式を満足することを特徴としている。
0.2 < θi  < 4.0              (4−1)
上記条件式(4−1)は、光軸と撮像面との成す角度を規定したもので、レンズ系の非対称な像面湾曲を適切に補正するための条件を示している。θiの大きさが、この条件式の下限を下回ると、非対称な像面湾曲及び像面の倒れ等が補正不足で、所望の光学性能を満足することが難しくなる。また、上限を上回ると、中心光と周辺光(上下あるいは左右)とで入射角に大きく差がでる。そのためセンサの中心部と周辺部とでシェーディング特性が異なり、左右あるいは上下での光量低下が大きくなり好ましくない。
下記範囲内であれば、さらに非対称な像面湾曲、及び非対称な周辺光量低下を防ぐことが可能である。
0.2 < θi  < 3.0             (4−2)
0.2 < θi  < 2.0             (4−3)
【0015】
また、本発明によれば、ズーム光学系は、少なくとも1つ以上の屈折面が、回転非対称な面即ち自由曲面で構成されていることを特徴としている。
形状可変ミラーで発生する偏心収差を、すべてのズーム時、すべての物点距離で無収差とすることはできない。そのため、その偏心収差をコンペンセートする補正素子として、もう1つの回転非対称な面即ち自由曲面を用いることで、非常に良好な結像性能を得ることが可能となる。
【0016】
また、本発明によれば、ズーム光学系は、形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、各レンズ面にシフトを加え、そのシフト量をδとしたとき、以下の条件式を満足することを特徴としている。
0.001 ≦ |δ/√(fw×ft)| < 0.5  (5−1)
上記条件式(5−1)は、光学系のレンズ面のシフト量を規定するもので、光学系の中で最も偏心量の大きな面に対する条件を規定したものである。|δ/√(fw×ft)|の値が、この条件式の下限を下回ると、偏心収差を補正することができなくなる。また、上限を上回ると、レンズ面自身で非常に大きな偏心収差を発生してしまう。
なお、下記条件を満たすように構成することで、さらに適切に偏心収差を補正することが可能となる。
0.010 ≦ |δ/√(fw×ft)| < 0.2  (5−2)
【0017】
また、本発明によれば、ズーム光学系は、物体側から順に、変倍時固定の負のパワーを有する第1群、変倍時可動で正のパワーを有する第2群、変倍時可動の第3群で少なくとも構成され、前記第1群に形状可変ミラーを配置し、前記第1群の形状可変ミラーより物体側にある負のレンズ群のパワーをf1a、、前記第1群の形状可変ミラーより像側に配置した正レンズ群のパワーをf1bとしたとき、以下の条件式を満足することを特徴としている。
−0.5 < f1a  / f1b  < −0.03       (6−1)
上記条件式(6−1)は、第1群の形状可変ミラー前後のレンズ群のパワーを規定したものである。
形状可変ミラーは半導体プロセスで製造する場合を考えると、有効径が小さいほど、安価に生産することが可能である。そこで上記形状可変ミラーよりも物体側の負レンズ群のパワーを強くすることで、特に広角端の軸外光線高を低く抑えている。このように本発明では、上記形状可変ミラーに入射する光線のエリアを小さくすることができるため、低価格化を実現することが可能となる。f1a/f1bの値が、この条件式の下限を下回ると、形状可変ミラーより物体側の負レンズ群のパワーが非常に弱くなる。この場合、形状可変ミラーの広角端での軸外光線高を小さくすることはできない。その結果形状可変ミラーの大型化をまねくとともに、その形状可変ミラーで発生する偏心収差を小さく抑えることができず好ましくない。また、上限を上回ると、形状可変ミラーを小さくすることは可能である。しかしながら、その負レンズ群で発生する、回転対称な収差、特にコマ収差や倍率色収差を補正することが難しくなり好ましくない。
さらに、下記の条件式の範囲内であれば、形状可変素子の小型化、低価格化、及び良好な性能の確保を達成できて好ましい。
−0.3 < f1a  / f1b  < −0.05      (6−2)
−0.2 < f1a  / f1b  < −0.07      (6−3)
【0018】
また、本発明によれば、ズーム光学系は、上記第2群が主に変倍作用を有し、該第2群のパワーが下記条件式を満足することを特徴としている。
0.5 < f2 / √(fw×ft) < 5.0   (7−1)
上記条件式(7−1)は変倍群の焦点距離を規定したものである。f2/√(fw×ft)の値が、この条件式の下限を下回ると、焦点距離が短くなる。この場合、第2群内の個々のレンズのパワーを強める必要があるが、特に軸上マージナル光線が高い位置にあるため、球面収差の補正が困難になる。また色収差を第2群内で補正することが難しくなり、ズーミングによる収差変動が大きくなる。また、上限を上回ると、焦点距離が長くなるため、全長を短縮化できず、装置の大型化を招く。
さらに、下記条件を満たせば、小型、高性能のズーム光学系を提供でき、好都合である。
1.0 < f2 / √(fw×ft) < 4.0  (7−2)
1.5 < f2 / √(fw×ft) < 3.0  (7−3)
【0019】
また、本発明によれば、ズーム光学系は、上記第2群の前側主点位置から、上記第2群の最も物体側の面までの距離をSD、上記第2群から最終レンズ群までの広角端の倍率をβ2Wとしたとき、下記の条件式のいずれかもしくは両方を満足することを特徴としている。
0.2 < |β2W| < 0.8           (8−1)
0.5 < SD/fw < 5.0          (9−1)
上記条件式(8−1)は倍率を規定したものであり、上記条件式(9−1)は第2群の主点の位置を規定したものである。これらの条件式は、極力光学系の全長を短くするための条件式である。
説明を簡単にするために2群ズームレンズで説明する。負正の2群ズームでは、近軸的には、バリエータの焦点距離をfV、倍率をηとしたときに、物体から像面までの距離IOは
IO=fV( −η −(1/η)−2  )
で与えられる。η=−1とした場合に、ズーム光学系の全長を最も小さくできるため、上記バリエーターは、広角端から望遠端の間で倍率−1を挟むことが望ましい。そのため、広角端の倍率を上記条件式の範囲内にすることで、全長を短くすることが可能となる。
また、上記条件式から変倍群の焦点距離fVを短くすることによっても全長を短くすることが可能となる。しかし、単純にfVを小さくしても、本発明のズーム光学系は、形状可変ミラーを挿入するための間隔と、第1群と第2群の間にズーミングに必要な空気間隔とが夫々必要であり、所望の倍率で、前記第1群で形成する物体の像(虚像)を、変倍群でリレーして結像させることは難しい。そのため、上記条件式を満足することで、変倍群の主点位置をなるべく物体側に持っていくことができる。その結果、所望の倍率で、変倍群の焦点距離を小さくすることができ、結果的に全長を短くすることが可能となる。
また、主点位置を極力物体側にすることで、第2群の焦点距離を短くすることが可能となり、上記条件式(8−1),(9−1)の範囲内であれば、小型化が可能となる。
さらに、下記条件式を満たせば、より高性能で小型のズームレンズを提供することが可能となる。
0.2 < |β2W| < 0.8         (8−2)
0.2 < |β2W| < 0.8         (8−3)
1.0 < SD/fw < 4.0        (9−2)
1.5 < SD/fw < 3.0        (9−3)
【0020】
さらに、本発明は、撮像装置が、上記のズーム光学系を用いていることを特徴としている。これにより、可動のレンズを極めて少なくすることができ、また、小型で消費電力が極めて少なくて済み、且つ作動音が静かな撮像装置を提供することができる。
【0021】
なお、上述のような負レンズ群前置型のズームレンズでは、変倍群として正レンズを移動させるものが主流であるが、これにより、広角ズームレンズが可能となる。さらに、上記負レンズ群に形状可変ミラーを配置すれば、形状可変ミラーを小さくすることが可能で、低価格化等のメリットがある。また、正レンズ群前置型のズームレンズにしても良いが、その場合、変倍群としては負レンズ群が好ましく、そのような構成にすることで、高変倍なズームレンズを達成することが可能となる。
【0022】
また、形状可変ミラーの反射面をレンズの製作誤差による光学性能の劣化を補正するような形状に変形するように構成してもよい。このようにすれば、不良品の数を極端に減らすことができ、製作コストを抑えることができる。
【0023】
また、ズーム時において、絞り面を独立に移動させて、絞り面をできる限り形状可変ミラーの反射面近くに配置するようにしてもよい。このようにすれば、形状可変ミラーの反射面の光線有効径を小さくすることができるため好ましい。
【0024】
また、形状可変ミラーの反射面の偏心方向に対して、撮像素子の短辺方向が平行になるように配置しても良い。このようにすれば、形状可変ミラーの反射面の光線有効径を小さくすることができ、かつ、収差補正上も有利なため望ましい。一方、デジタルカメラ等でデザイン上のメリット等の為には、形状可変ミラーの反射面の偏心方向に対して撮像素子の長辺方向が平行になるように配置するのが好ましい。
【0025】
その他、形状可変ミラーの反射面がコンペンセータ作用のみを有するようにし、その他のレンズ群を介してパンフォーカスとなるようにズーム光学系を構成してもよい。このようにすれば、小型化、低コスト化できるので良い。
【0026】
以下、図面を参照して、本発明に係るズーム光学系の実施例について説明する。
先ず、各実施例に亘って共通の事項について述べることにする。すべての実施例は、形状可変ミラーにフォーカシングの機能をもたせたズーム光学系を示しており、像面の撮像素子の画素ピッチを2.5μm、水平及び垂直の画素数をそれぞれ1600画素、1200画素、像面サイズ3.0×4.0mmとしている。
【0027】
各レンズデータ中、“ASP”は非球面、“FFS”は自由曲面、“DM”は形状可変ミラーを表す。データに記載されていない非球面、自由曲面等に関する項は0である。また、“W”、“S”、“T”はそれぞれ広角端、中間状態、望遠端を表す。可変の間隔Di(i=1、2、3)は、順に広角端、中間状態、望遠端での値を表す。屈折率、アッベ数はともにd線(波長587.56nm)に対するものを表記してある。長さの単位はmm、角度の単位はdegである。また、各実施例ともに最像面側に2枚の平行平板を挿入しているが、これは撮像素子のカバーガラス、IRカットフィルタ、ローパスフィルタである。
【0028】
各実施例では、物体面における座標系のZ軸を、物体中心を通り、物体面に垂直な直線で定義している。このZ軸と直交する方向をY軸とし、このY軸、Z軸と右手直交座標系を構成する軸をX軸としている。
偏心面は、その座標系の原点から、その面の面頂位置のシフト(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向をそれぞれX、Y、Z)と、その面の中心軸のX軸、Y軸、Z軸それぞれを中心とするティルト(それぞれα、β、γ(deg))で与えられる。偏心を行うときの座標系の原点は、偏心を行う面をk面としたとき、k−1面の面頂位置からZ軸方向に面間隔の分だけ移動した点とする。偏心の順序は、Xシフト、Yシフト、Zシフト、αティルト、βティルト、γティルトの順である。なお、その場合、αとβの正はそれぞれの軸の正方向に対して反時計回りを、γの正はZ軸の正方向に対して時計回りを意味している。
【0029】
なお、以下の実施例において、偏心はディセンタアンドリターン(以下DAR)とディセンタオンリー(以下DEO)の2種類がある。DARによる偏心では、k面が偏心しているとき、k+1面以降の座標系が、k−1面の座標系と一致する。k+1面の面頂位置は、k−1面の面頂位置からZ軸方向に面間隔の分だけ移動した点として定義されている。一方、DEOでは、k面が偏心しているとき、k+1面以降の座標系は、偏心後のk面の座標系と一致する。k+1面の面頂位置は、偏心後のk面の面頂位置からZ軸方向に面間隔の分だけ移動した点として定義されている。
【0030】
また形状可変ミラーの形状データは、物点距離無限時と至近時、またフォーカス方式としてコントラスト方式を用いているため、最も変形の大きい形状の時(遠点余裕と近点余裕)の形状を示している。
形状可変ミラーは、所定の第1状態から無限遠にある物体にフォーカスした第2状態、該第2状態から最短距離にある物体にフォーカスした第3状態、該第3状態から前記第1状態とは別の所定の第4状態に変形する。この変形に伴って、像面(物体の像位置)も変化する。前記条件式(2−1)を満足するように変化する。条件式(2−1)において、像面の移動量Zfを広角端で規定したのは、広角端で像面の移動量が大きいからである。図1は、3倍ズームレンズを例にとって、上記の第1状態乃至第4状態と形状可変ミラーの反射面(大きさ:10×7mmの楕円)の変形量との関係を示している。ここで、横軸は反射面の変形量である。また、Tは望遠時、Sは中間状態、Wは広角端である。各ズーム状態において、第1状態は反射面が平面の状態である。そして、第2状態は物体が無限遠にあるときにフォーカスした時の変形量、第3状態は物体がある至近の位置にあるときにフォーカシングした時の変形量、第4状態は至近物体のコントラストを検出するために必要な最大変形量を示している。
【0031】
なお、非球面形状は、光軸方向をZ、光軸に直行する方向をYにとり、円錐係数をk、非球面係数をa、b、c、dとしたとき、次式(c)で表される。
Z=(Y/r)/[1+{1−(1+k)・(Y/r)2}1/2]+ay4+by6+cy8+dy10     …(c)
【0032】
実施例1
図2は、本発明に係るズーム光学系の第1実施例の光軸に沿う断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間状態、(c)は望遠端の状態を示している。
この実施例は、物体側から順に、負パワーを有する第1群G1と、正パワーを有する第2群G2と、正パワーを有する第3群G3とを配置してなる2倍ズーム光学系で、第1群G1を固定し、第2群G2と第3群G3を移動させることによりズーミングを行い、それにより生じる焦点ずれを、第1群G1中に設けられた形状可変ミラーMの反射面を変形させることで、補正することができるように構成されている。
また、このズーム光学系は、焦点距離が4.42〜8.85、開放Fnoが2.8〜4.7、撮影至近距離が300、像面(撮像素子)が光軸に対してチルトに設計されている。
なお、図2において物体面は図示されていない。また基準面から測ったときの間隔d,d〜dも図示を省略している。
【0033】
図3乃至8は、本実施例のズーム光学系の広角端、中間状態及び望遠端ごとの各波長域における横収差図を示している。図3は広角端で物点距離無限遠時の横収差図、図4は中間状態で物点距離無限遠時の横収差図、図5は望遠端で物点距離無限遠時の横収差図、図6は広角端で物点距離300mm時の横収差図、図7は中間状態で物点距離300mm時の横収差図、図8は望遠端で物点距離300mm時の横収差図である。
【0034】
また、図3において、(a)はX方向画角がゼロ、Y方向画角がゼロを通る主光線のY方向の横収差、(b)はX方向画角がゼロ、Y方向画角がゼロを通る主光線のX方向の横収差、(c)はX方向画角がゼロ、Y負方向最大画角を通る主光線のY方向の横収差、(d)はX方向画角がゼロ、Y負方向最大画角を通る主光線のX方向の横収差、(e)はX正方向最大画角、Y負方向最大画角を通る主光線のY方向の横収差、(f)はX正方向最大画角、Y負方向最大画角を通る主光線のX方向の横収差、(g)はX正方向最大画角、Y負方向画角がゼロを通る主光線のY方向の横収差、(h)はX正方向最大画角、Y方向画角がゼロを通る主光線のX方向の横収差、(i)はX正方向最大画角、Y方向最大画角を通る主光線のY方向の横収差、(j)はX正方向最大画角、Y方向最大画角を通る主光線のX方向の横収差、(k)はX正方向画角がゼロ、Y正方向最大画角を通る主光線のY方向の横収差、(l)はX方向画角がゼロ、Y正方向最大画角を通る主光線のX方向の横収差を、それぞれ示している。
【0035】
第1実施例の数値データは下記の通りである。
Figure 2004077921
Figure 2004077921
【0037】
Figure 2004077921
【0038】
Figure 2004077921
【0039】
Figure 2004077921
【0040】
実施例2
図9は、本発明に係るズーム光学系の第2実施例の光軸に沿う断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間状態、(c)は望遠端の状態を示している。
この実施例は、物体側から順に、負パワーを有する第1群G1と、正パワーを有する第2群G2と、正パワーを有する第3群G3とを配置してなる2倍ズーム光学系で、第1群G1を固定し、第2群G2と第3群G3を移動させることによりズーミングを行い、それにより生じる焦点ずれを、第1群G1中に設けられた形状可変ミラーMの反射面を変形させることで、補正することができるように構成されている。
また、、このズーム光学系は、焦点距離が4.43〜8.86、開放Fnoが2.8〜4.7、撮影至近距離が180、像面(撮像素子)が光軸に対してチルトに設計されている。なお、形状可変ミラーは90度反射ではない。
【0041】
第2実施例の数値データは下記の通りである。
Figure 2004077921
【0042】
Figure 2004077921
【0043】
Figure 2004077921
【0044】
Figure 2004077921
【0045】
Figure 2004077921
【0046】
実施例3
図10は、本発明に係るズーム光学系の第3実施例の光軸に沿う断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間状態、(c)は望遠端の状態を示している。
この実施例は、物体側から順に、負パワーを有する第1群G1と、正パワーを有する第2群G2と、負パワーを有する第3群G3と、正パワーを有する第4群G4とを配置してなる3倍ズーム光学系で、第1群G1と第4群G4を固定し、第2群G2と第3群G3を移動させることによりズーミングを行い、それにより生じる焦点ずれを、第1群G1中に設けられた形状可変ミラーMの反射面を変形させることで、補正することができるように構成されている。
また、このズーム光学系は、焦点距離が4.43〜13.31、開放Fnoが2.4〜5.1、撮影至近距離が180、像面(撮像素子)が光軸に対してチルトに設計されている。なお、形状可変ミラーは90度反射ではない。
【0047】
第3実施例の数値データは下記の通りである。
Figure 2004077921
【0048】
Figure 2004077921
【0049】
Figure 2004077921
【0050】
Figure 2004077921
【0051】
Figure 2004077921
【0052】
実施例4
図11は、本発明に係るズーム光学系の第4実施例の光軸に沿う断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間状態、(c)は望遠端の状態を示している。
この実施例は、物体側から順に、負パワーを有する第1群G1と、正パワーを有する第2群G2と、負パワーを有する第3群G3と、正パワーを有する第4群G4とを配置してなる3倍ズーム光学系で、第1群G1と第4群G4を固定し、第2群G2と第3群G3を移動させることによりズーミングを行い、それにより生じる焦点ずれを、第1群G1中に設けられた形状可変ミラーMの反射面を変形させることで、補正することができるように構成されている。
また、、このズーム光学系は、焦点距離が4.43〜13.05、開放Fnoが2.4〜4.9、撮影至近距離が300、像面(撮像素子)が光軸に対してチルトに設計されている。
【0053】
第4実施例の数値データは下記の通りである。
Figure 2004077921
Figure 2004077921
【0054】
Figure 2004077921
【0055】
Figure 2004077921
【0056】
Figure 2004077921
【0057】
Figure 2004077921
【0058】
実施例5
図12は、本発明に係るズーム光学系の第5実施例の光軸に沿う断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間状態、(c)は望遠端の状態を示している。
この実施例は、物体側から順に、負パワーを有する第1群G1と、正パワーを有する第2群G2と、負パワーを有する第3群G3と、正パワーを有する第4群G4とを配置してなる3倍ズーム光学系で、第1群G1と第4群G4を固定し、第2群G2と第3群G3を移動させることによりズーミングを行い、それにより生じる焦点ずれを、第1群G1中に設けられた形状可変ミラーMの反射面を変形させることで、補正することができるように構成されている。なお、第1レンズに自由曲面が使用されている。
また、、このズーム光学系は、焦点距離が4.42〜13.16、開放Fnoが2.4〜4.9、撮影至近距離が300、像面(撮像素子)が光軸に対してチルトに設計されている。
【0059】
第5実施例の数値データは下記の通りである。
Figure 2004077921
Figure 2004077921
【0060】
Figure 2004077921
【0061】
Figure 2004077921
【0062】
Figure 2004077921
【0063】
Figure 2004077921
【0064】
実施例6
図13は、本発明に係るズーム光学系の第6実施例の光軸に沿う断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間状態、(c)は望遠端の状態を示している。
この実施例は、物体側から順に、負パワーを有する第1群G1と、正パワーを有する第2群G2と、負パワーを有する第3群G3と、正パワーを有する第4群G4とを配置してなる3倍ズーム光学系で、第1群G1と第4群G4を固定し、第2群G2と第3群G3を移動させることによりズーミングを行い、それにより生じる焦点ずれを、第1群G1中に設けられた形状可変ミラーMの反射面を変形させることで、補正することができるように構成されている。なお、第1レンズと第9レンズに自由曲面が使用されている。
また、、このズーム光学系は、焦点距離が4.60〜13.16、開放Fnoが2.4〜4.9、撮影至近距離が300に設計されている。
【0065】
第6実施例の数値データは下記の通りである。
Figure 2004077921
Figure 2004077921
【0066】
Figure 2004077921
【0067】
Figure 2004077921
【0068】
Figure 2004077921
【0069】
Figure 2004077921
【0070】
実施例7
図14は、本発明に係るズーム光学系の第7実施例の光軸に沿う断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間状態、(c)は望遠端の状態を示している。
この実施例は、物体側から順に、負パワーを有する第1群G1と、正パワーを有する第2群G2と、正パワーを有する第3群G3と、正パワーを有する第4群G4とを配置してなる3倍ズーム光学系で、第1群G1と第4群G4を固定し、第2群G2と第3群G3を移動させることによりズーミングを行い、それにより生じる焦点ずれを、第1群G1中に設けられた形状可変ミラーMの反射面を変形させることで、補正することができるように構成されている。
また、、このズーム光学系は、焦点距離が4.42〜13.26、開放Fnoが2.8〜5.4、撮影至近距離が300、第2レンズが光軸に対してチルトに設計されている。
【0071】
第7実施例の数値データは下記の通りである。
Figure 2004077921
Figure 2004077921
【0072】
Figure 2004077921
【0073】
Figure 2004077921
【0074】
Figure 2004077921
【0075】
なお、各実施例における前記各条件式の値は下表に示す通りである。
Figure 2004077921
【0076】
以上説明した本発明によるズーム光学系は、フィルムカメラ、デジタルカメラ、テレビカメラ、携帯端末用のカメラ、監視カメラ、ロボットの眼、電子内視鏡等に適用可能である。
また、上述のズーム光学系では、レンズ群中に反射面を有する構成のズーム光学系について説明したが、反射面を有しない構成のズーム光学系についても可変形状面を備えた光学素子、例えば、可変焦点レンズ等を用いて構成すれば、小型化、低コスト化、省電力化、作動音の静音化等の効果を達成することが可能である。更に、可変形状面を有しない可変焦点ミラーを上記実施例に用いても良い。なお、可変焦点ミラーについては、その一例を図40を用いて後述する。
【0077】
次に、本発明のズーム光学系に適用可能な可変ミラー、可変焦点レンズの構成例について説明する。
【0078】
図15は本発明のズーム光学系に適用可能な可変ミラーとして光学特性可変ミラーを用いたデジタルカメラのケプラー式ファインダーの概略構成図である。本実施例の構成は、もちろん、銀塩フィルムカメラにも使うことができる。まず、光学特性可変形状鏡409について説明する。
【0079】
光学特性可変形状鏡409は、アルミコーティングされた薄膜(反射面)409aと複数の電極409bからなる光学特性可変形状鏡(以下、単に可変形状鏡という。)であり、411は各電極409bにそれぞれ接続された複数の可変抵抗器、412は可変抵抗器411と電源スイッチ413を介して薄膜409aと電極409b間に接続された電源、414は複数の可変抵抗器411の抵抗値を制御するための演算装置、415,416及び417はそれぞれ演算装置414に接続された温度センサー、湿度センサー及び距離センサーで、これらは図示のように配設されて1つの光学装置を構成している。
【0080】
なお、対物レンズ902、接眼レンズ901、及び、プリズム404、二等辺直角プリズム405、ミラー406及び可変形状鏡の各面は、平面でなくてもよく、球面、回転対称非球面の他、光軸に対して偏心した球面、平面、回転対称非球面、あるいは、対称面を有する非球面、対称面を1つだけ有する非球面、対称面のない非球面、自由曲面、微分不可能な点又は線を有する面等、いかなる形状をしていてもよく、さらに、反射面でも屈折面でも光に何らかの影響を与え得る面ならばよい。以下、これらの面を総称して拡張曲面という。
【0081】
また、薄膜409aは、例えば、P.Rai−choudhury編、Handbook of MichrolithoGraphy, MichromachininG and Michrofabrication, Volume 2:MichromachininG and Michrofabrication,P495,FiG.8.58, SPIE PRESS刊やOptics Communication, 140巻(1997年)P187〜190に記載されているメンブレインミラーのように、複数の電極409bとの間に電圧が印加されると、静電気力により薄膜409aが変形してその面形状が変化するようになっており、これにより、観察者の視度に合わせたピント調整ができるだけでなく、さらに、レンズ901,902及び/又はプリズム404、二等辺直角プリズム405、ミラー406の温度や湿度変化による変形や屈折率の変化、あるいは、レンズ枠の伸縮や変形及び光学素子、枠等の部品の組立誤差による結像性能の低下が抑制され、常に適正にピント調整並びにピント調整で生じた収差の補正が行われ得る。
なお、電極409bの形は、例えば図17、18に示すように、薄膜409aの変形のさせ方に応じて選べばよい。
【0082】
本実施例によれば、物体からの光は、対物レンズ902及びプリズム404の各入射面と射出面で屈折され、可変形状鏡409で反射され、プリズム404を透過して、二等辺直角プリズム405でさらに反射され(図29中、光路中の+印は、紙面の裏側へ向かって光線が進むことを示している。)、ミラー406で反射され、接眼レンズ901を介して眼に入射するようになっている。このように、レンズ901,902、プリズム404,405、及び、可変形状鏡409によって、本実施例の光学装置の観察光学系を構成しており、これらの各光学素子の面形状と肉厚を最適化することにより、物体面の収差を最小にすることができるようになっている。
【0083】
すなわち、反射面としての薄膜409aの形状は、結像性能が最適になるように演算装置414からの信号により各可変抵抗器411の抵抗値を変化させることにより制御される。すなわち、演算装置414へ、温度センサー415、湿度センサー416及び距離サンサー417から周囲温度及び湿度並びに物体までの距離に応じた大きさの信号が入力され、演算装置414は、これらの入力信号に基づき周囲の温度及び湿度条件と物体までの距離による結像性能の低下を補償すべく、薄膜409aの形状が決定されるような電圧を電極409bに印加するように、可変抵抗器411の抵抗値を決定するための信号を出力する。このように、薄膜409aは電極409bに印加される電圧すなわち静電気力で変形させられるため、その形状は状況により非球面を含む様々な形状をとり、印加される電圧の極性を変えれば凸面とすることもできる。なお、距離センサー417はなくてもよく、その場合、固体撮像素子408からの像の信号の高周波成分が略最大になるように、デジタルカメラの撮像レンズ403を動かし、その位置から逆に物体距離を算出し、可変形状鏡を変形させて観察者の眼にピントが合うようにすればよい。
【0084】
また、薄膜409aをポリイミド等の合成樹脂で製作すれば、低電圧でも大きな変形が可能であるので好都合である。なお、プリズム404と可変形状鏡409を一体的に形成してユニット化することができる。
【0085】
また、図示を省略したが、可変形状鏡409の基板上に固体撮像素子408をリソグラフィープロセスにより一体的に形成してもよい。
【0086】
また、レンズ901,902、プリズム404,405、ミラー406は、プラスチックモールド等で形成することにより任意の所望形状の曲面を容易に形成することができ、製作も簡単である。なお、本実施例の撮像装置では、レンズ901,902がプリズム404から離れて形成されているが、レンズ901,902を設けることなく収差を除去することができるようにプリズム404,405、ミラー406、可変形状鏡409を設計すれば、プリズム404,405、可変形状鏡409は1つの光学ブロックとなり、組立が容易となる。また、レンズ901,902、プリズム404,405、ミラー406の一部あるいは全部をガラスで作製してもよく、このように構成すれば、さらに精度の良い撮像装置が得られる。
【0087】
なお、図15の例では、演算装置414、温度センサー415、湿度センサー416、距離センサー417を設け、温湿度変化、物体距離の変化等も可変形状鏡409で補償するようにしたが、そうではなくてもよい。つまり、演算装置414、温度センサー415、湿度センサー416、距離センサー417を省き、観察者の視度変化のみを可変形状鏡409で補正するようにしてもよい。
【0088】
図16は本発明のズーム光学系にかかる可変ミラーとして適用可能な可変形状鏡409の他の実施例を示す概略構成図である。
本実施例の可変形状鏡は、薄膜409aと電極409bとの間に圧電素子409cが介装されていて、これらが支持台423上に設けられている。そして、圧電素子409cに加わる電圧を各電極409b毎に変えることにより、圧電素子409cに部分的に異なる伸縮を生じさせて、薄膜409aの形状を変えることができるようになっている。電極409bの形は、図17に示すように、同心分割であってもよいし、図18に示すように、矩形分割であってもよく、その他、適宜の形状のものを選択することができる。図16中、424は演算装置414に接続された振れ(ブレ)センサーであって、例えばデジタルカメラの振れを検知し、振れによる像の乱れを補償するように薄膜409aを変形させるべく、演算装置414及び可変抵抗器411を介して電極409bに印加される電圧を変化させる。このとき、温度センサー415、湿度センサー416及び距離センサー417からの信号も同時に考慮され、ピント合わせ、温湿度補償等が行われる。この場合、薄膜409aには圧電素子409cの変形に伴う応力が加わるので、薄膜409aの厚さはある程度厚めに作られて相応の強度を持たせるようにするのがよい。
【0089】
図19は本発明のズーム光学系にかかる可変ミラーとして適用可能な可変形状鏡409のさらに他の実施例を示す概略構成図である。
本実施例の可変形状鏡は、薄膜409aと電極409bの間に介置される圧電素子が逆方向の圧電特性を持つ材料で作られた2枚の圧電素子409c及び409c’で構成されている点で、図16に示された実施例の可変形状鏡とは異なる。すなわち、圧電素子409cと409c’が強誘電性結晶で作られているとすれば、結晶軸の向きが互いに逆になるように配置される。この場合、圧電素子409cと409c’は電圧が印加されると逆方向に伸縮するので、薄膜409aを変形させる力が図16に示した実施例の場合よりも強くなり、結果的にミラー表面の形を大きく変えることができるという利点がある。
【0090】
圧電素子409c,409c’に用いる材料としては、例えばチタン酸バリウム、ロッシエル塩、水晶、電気石、リン酸二水素カリウム(KDP)、リン酸二水素アンモニウム(ADP)、ニオブ酸リチウム等の圧電物質、同物質の多結晶体、同物質の結晶、PbZrOとPbTiOの固溶体の圧電セラミックス、二フッ化ポリビニール(PVDF)等の有機圧電物質、上記以外の強誘電体等があり、特に有機圧電物質はヤング率が小さく、低電圧でも大きな変形が可能であるので、好ましい。なお、これらの圧電素子を利用する場合、厚さを不均一にすれば、上記実施例において薄膜409aの形状を適切に変形させることも可能である。
【0091】
また、圧電素子409c,409c’の材質としては、ポリウレタン、シリコンゴム、アクリルエラストマー、PZT、PLZT、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の高分子圧電体、シアン化ビニリデン共重合体、ビニリデンフルオライドとトリフルオロエチレンの共重合体等が用いられる。
圧電性を有する有機材料や、圧電性を有する合成樹脂、圧電性を有するエラストマー等を用いると可変形状鏡面の大きな変形が実現できてよい。
【0092】
なお、図16、20の圧電素子409cに電歪材料、例えば、アクリルエラストマー、シリコンゴム等を用いる場合には、圧電素子409cを別の基板409c−1と電歪材料409c−2を貼り合わせた構造にしてもよい。
【0093】
図20は本発明のズーム光学系にかかる可変ミラーとして適用可能な可変形状鏡409のさらに他の実施例を示す概略構成図である。
本実施例の可変形状鏡は、圧電素子409cが薄膜409aと電極409dとにより挟持され、薄膜409aと電極409d間に演算装置414により制御される駆動回路425を介して電圧が印加されるようになっており、さらにこれとは別に、支持台423上に設けられた電極409bにも演算装置414により制御される駆動回路425を介して電圧が印加されるように構成されている。したがって、本実施例では、薄膜409aは電極409dとの間に印加される電圧と電極409bに印加される電圧による静電気力とにより二重に変形され得、上記実施例に示した何れのものよりもより多くの変形パターンが可能であり、かつ、応答性も速いという利点がある。
【0094】
そして、薄膜409a、電極409d間の電圧の符号を変えれば、可変形状鏡を凸面にも凹面にも変形させることができる。その場合、大きな変形を圧電効果で行ない、微細な形状変化を静電気力で行なってもよい。また、凸面の変形には圧電効果を主に用い、凹面の変形には静電気力を主に用いてもよい。なお、電極409dは電極409bのように複数の電極から構成されてもよい。この様子を図20に示した。なお、ここでは、圧電効果と電歪効果、電歪をすべてまとめて圧電効果と呼んでいる。従って、電歪材料も圧電材料に含むものとする。
【0095】
図21は本発明のズーム光学系にかかる可変ミラーとして適用可能な可変形状鏡409のさらに他の実施例を示す概略構成図である。
本実施例の可変形状鏡は、電磁気力を利用して反射面の形状を変化させ得るようにしたもので、支持台423の内部底面上には永久磁石426が、頂面上には窒化シリコン又はポリイミド等からなる基板409eの周縁部が載置固定されており、基板409eの表面にはアルミニウム等の金属コートで作られた薄膜409aが付設されていて、可変形状鏡409を構成している。基板409eの下面には複数のコイル427が配設されており、これらのコイル427はそれぞれ駆動回路428を介して演算装置414に接続されている。したがって、各センサー415,416,417,424からの信号によって演算装置414において求められる光学系の変化に対応した演算装置414からの出力信号により、各駆動回路428から各コイル427にそれぞれ適当な電流が供給されると、永久磁石426との間に働く電磁気力で各コイル427は反発又は吸着され、基板409e及び薄膜409aを変形させる。
【0096】
この場合、各コイル427はそれぞれ異なる量の電流を流すようにすることもできる。また、コイル427は1個でもよいし、永久磁石426を基板409eに付設しコイル427を支持台423の内部底面側に設けるようにしてもよい。また、コイル427はリソグラフィー等の手法で作るとよく、さらに、コイル427には強磁性体よりなる鉄心を入れるようにしてもよい。
【0097】
この場合、薄膜コイル427の巻密度を、図22に示すように、場所によって変化させることにより、基板409e及び薄膜409aに所望の変形を与えるようにすることもできる。また、コイル427は1個でもよいし、また、これらのコイル427には強磁性体よりなる鉄心を挿入してもよい。
【0098】
図23は本発明のズーム光学系にかかる可変ミラーとして適用可能な可変形状鏡409のさらに他の実施例を示す概略構成図である。
本実施例の可変形状鏡では、基板409eは鉄等の強磁性体で作られており、反射膜としての薄膜409aはアルミニウム等からなっている。この場合、薄膜コイルを設けなくてもすむから、構造が簡単で、製造コストを低減することができる。また、電源スイッチ413を切換え兼電源開閉用スイッチに置換すれば、コイル427に流れる電流の方向を変えることができ、基板409e及び薄膜409aの形状を自由に変えることができる。図24は本実施例におけるコイル427の配置を示し、図25はコイル427の他の配置例を示しているが、これらの配置は、図21に示した実施例にも適用することができる。なお、図26は、図21に示した実施例において、コイル427の配置を図25に示したようにした場合に適する永久磁石426の配置を示している。すなわち、図26に示すように、永久磁石426を放射状に配置すれば、図21に示した実施例に比べて、微妙な変形を基板409e及び薄膜409aに与えることができる。また、このように電磁気力を用いて基板409e及び薄膜409aを変形させる場合(図21及び図23の実施例)は、静電気力を用いた場合よりも低電圧で駆動できるという利点がある。
【0099】
以上いくつかの可変形状鏡の実施例を述べたが、ミラーの形を変形させるのに、図20の例に示すように、2種類以上の力を用いてもよい。つまり静電気力、電磁力、圧電効果、磁歪、流体の圧力、電場、磁場、温度変化、電磁波等のうちから2つ以上を同時に用いて可変形状鏡を変形させてもよい。つまり2つ以上の異なる駆動方法を用いて光学特性可変光学素子を作れば、大きな変形と微細な変形とを同時に実現でき、精度の良い鏡面が実現できる。また、形状可変鏡の変形する部分の外形は、軸上光線の入射面に平行な方向に長い形状とするのが好ましく、このように構成すれば、収差補正に有利な楕円面に近い形状に変形させやすいという利点がある。上記入射面に長い形状としては、トラック形状、多角形、楕円等が利用できる。
【0100】
図27は本発明のさらに他の実施例に係る、ズーム光学系を用いた撮像装置に適用可能な可変ミラーとして可変形状鏡409を用いた撮像系、例えば携帯電話のデジタルカメラ、カプセル内視鏡、電子内視鏡、パソコン用デジタルカメラ、PDA用デジタルカメラ等に用いられる撮像系の概略構成図である。
本実施例の撮像系は、可変形状鏡409と、レンズ902と、固体撮像素子408と、制御系103とで一つの撮像ユニット104を構成している。本実施例の撮像ユニット104では、レンズ102を通った物体からの光は可変形状鏡409で集光され、固体撮像素子408の上に結像する。可変形状鏡409は、光学特性可変光学素子の一種であり、可変焦点ミラーとも呼ばれている。
【0101】
本実施例によれば、物体距離が変わっても可変形状鏡409を変形させることでピント合わせをすることができ、レンズをモータ等で駆動する必要がなく、小型化、軽量化、低消費電力化の点で優れている。また、撮像ユニット104は本発明の撮像系としてすべての実施例で用いることができる。また、可変形状鏡409を複数用いることでズーム、変倍の撮像系、光学系を作ることができる。
なお、図27では、制御系103にコイルを用いたトランスの昇圧回路を含む制御系の構成例を示している。特に積層型圧電トランスを用いると、小型化できてよい。昇圧回路は本発明のすべての電気を用いる可変形状鏡、可変焦点レンズに用いることができるが、特に静電気力、圧電効果を用いる場合の可変形状鏡、可変焦点レンズに有用である。
【0102】
図28は本発明のズーム光学系に係る形状可変ミラーとして適用可能なさらに他の実施例に係る、マイクロポンプ180で流体161を出し入れし、ミラー面を変形させる可変形状鏡188の概略構成図である。本実施例によれば、ミラー面を大きく変形させることが可能になるというメリットがある。
マイクロポンプ180は、例えば、マイクロマシンの技術で作られた小型のポンプで、電力で動くように構成されている。
マイクロマシンの技術で作られたポンプの例としては、熱変形を利用したもの、圧電材料を用いたもの、静電気力を用いたものなどがある。
【0103】
図29は本発明のズーム光学系に用いる形状可変ミラーに適用可能なマイクロポンプの一実施例を示す概略構成図である。本実施例のマイクロポンプ180では、振動板181は静電気力、圧電効果等の電気力により振動する。図29では静電気力により振動する例を示しており、図中、182,183は電極である。また、点線は変形した時の振動板181を示している。振動板181の振動に伴い、2つの弁184,185が開閉し、流体161を右から左へ送るようになっている。
【0104】
本実施例の形状可変ミラー188では、反射膜189が流体161の量に応じて凹凸に変形することで、形状可変ミラーとして機能する。形状可変ミラー188は流体161で駆動される。駆動流体としては、シリコンオイル、空気、水、ゼリー、等の有機物、無機物を用いることができる。
【0105】
なお、静電気力、圧電効果を用いた形状可変ミラー、可変焦点レンズなどにおいては、駆動用に高電圧が必要になる場合がある。その場合には、例えば図27に示すように、昇圧用のトランス、あるいは圧電トランス等を用いて制御系を構成するとよい。
また、反射用の薄膜409aは、変形しない部分にも設けておくと、形状可変ミラーの形状を干渉計等で測定する場合に、基準面として使うことができ便利である。
【0106】
図30は本発明にかかるズーム光学系に適用可能な可変焦点レンズの原理的構成を示す図である。この可変焦点レンズ511は、第1,第2の面としてのレンズ面508a,508bを有する第1のレンズ512aと、第3,第4の面としてのレンズ面509a,509bを有する第2のレンズ512bと、これらレンズ間に透明電極513a,513bを介して設けた高分子分散液晶層514とを有し、入射光を第1,第2のレンズ512a,512bを経て収束させるものである。透明電極513a,513bは、スイッチ515を介して交流電源516に接続して、高分子分散液晶層514に交流電界を選択的に印加するようにする。なお、高分子分散液晶層514は、それぞれ液晶分子517を含む球状、多面体等の任意の形状の多数の微小な高分子セル518を有して構成し、その体積は、高分子セル518を構成する高分子および液晶分子517がそれぞれ占める体積の和に一致させる。
【0107】
ここで、高分子セル518の大きさは、例えば球状とする場合、その平均の直径Dを、使用する光の波長をλとするとき、例えば、
2nm≦D≦λ/5                      …(10)
とする。すなわち、液晶分子517の大きさは、2nm程度以上であるので、平均の直径Dの下限値は、2nm以上とする。また、Dの上限値は、可変焦点レンズ511の光軸方向における高分子分散液晶層514の厚さtにも依存するが、λに比べて大きいと、高分子の屈折率と液晶分子517の屈折率との差により、高分子セル518の境界面で光が散乱して高分子分散液晶層514が不透明になってしまうため、後述するように、好ましくはλ/5以下とする。可変焦点レンズが用いられる光学製品によっては高精度を要求しない場合もあり、そのときDはλ以下でよい。なお、高分子分散液晶層514の透明度は、厚さtが厚いほど悪くなる。
【0108】
また、液晶分子517は、例えば、一軸性のネマティック液晶分子を用いる。この液晶分子517の屈折率楕円体は、図31に示すような形状となり、
ox=noy=n                     …(11)
である。ただし、nは常光線の屈折率を示し、noxおよびnoyは、常光線を含む面内での互いに直交する方向の屈折率を示す。
【0109】
ここで、図30に示すように、スイッチ515をオフ、すなわち高分子分散液晶層514に電界を印加しない状態では、液晶分子517が様々な方向を向いているので、入射光に対する高分子分散液晶層514の屈折率は高く、屈折力の強いレンズとなる。これに対し、図32に示すように、スイッチ515をオンとして高分子分散液晶層514に交流電界を印加すると、液晶分子517は、屈折率楕円体の長軸方向が可変焦点レンズ511の光軸と平行となるように配向するので、屈折率が低くなり、屈折力の弱いレンズとなる。
【0110】
なお、高分子分散液晶層514に印加する電圧は、例えば、図33に示すように、可変抵抗器519により段階的あるいは連続的に変化させることもできる。このようにすれば、印加電圧が高くなるにつれて、液晶分子517は、その楕円長軸が徐々に可変焦点レンズ511の光軸と平行となるように配向するので、屈折力を段階的あるいは連続的に変えることができる。
【0111】
ここで、図30に示す状態、すなわち高分子分散液晶層514に電界を印加しない状態での、液晶分子517の平均屈折率nLC’は、図31に示すように屈折率楕円体の長軸方向の屈折率をnとすると、およそ
(nox+noy+n)/3≡nLC’                …(12)
となる。また、上記(11)式が成り立つときの平均屈折率nLCは、nを異常光線の屈折率nと表して、
(2n+n)/3≡nLC                 …(13)
で与えられる。このとき、高分子分散液晶層514の屈折率nは、高分子セル518を構成する高分子の屈折率をnとし、高分子分散液晶層514の体積に占める液晶分子517の体積の割合をffとすると、マックスウェル・ガーネットの法則により、
=ff・nLC’+(1−ff)n            …(14)
で与えられる。
【0112】
したがって、図33に示すように、レンズ512aおよび512bの内側の面、すなわち高分子分散液晶層514側の面の曲率半径を、それぞれRおよびRとすると、可変焦点レンズ511の焦点距離fは、
1/f=(n−1)(1/R−1/R)          …(15)
で与えられる。なお、RおよびRは、曲率中心が像点側にあるとき、正とする。また、レンズ512aおよび512bの外側の面による屈折は除いている。つまり、高分子分散液晶層514のみによるレンズの焦点距離が、(15)式で与えられる。
【0113】
また、常光線の平均屈折率を、
(nox+noy)/2=n’                   …(16)
とすれば、図32に示す状態、すなわち高分子分散液晶層514に電界を印加した状態での、高分子分散液晶層514の屈折率nは、
=ff・n’+(1−ff)n             …(17)
で与えられるので、この場合の高分子分散液晶層514のみによるレンズの焦点距離fは、
1/f=(n−1)(1/R−1/R)         …・(18)
で与えられる。なお、高分子分散液晶層514に、図32におけるよりも低い電圧を印加する場合の焦点距離は、(15)式で与えられる焦点距離fと、(18)式で与えられる焦点距離fとの間の値となる。
【0114】
上記(15)および(18)式から、高分子分散液晶層514による焦点距離の変化率は、
|(f−f)/f|=|(n−n)/(n−1)|      …(19)
で与えられる。したがって、この変化率を大きくするには、|n−n|を大きくすればよい。ここで、
−n=ff(n’−nLC’)                …(20)
であるから、|n’−nLC’|を大きくすれば、変化率を大きくすることができる。実用的には、nが、1.3〜2程度であるから、
0.01≦|n’−nLC’|≦10             …(21)
とすれば、ff=0.5のとき、高分子分散液晶層514による焦点距離を、0.5%以上変えることができるので、効果的な可変焦点レンズを得ることができる。なお、|n’−nLC’|は、液晶物質の制限から、10を越えることはできない。
【0115】
次に、上記(10)式の上限値の根拠について説明する。「Solar EnerGy Materials and Solar Cells」31巻,Wilson and Eck,1993, Eleevier Science Publishers B.v.発行の第197 〜214 頁、「Transmission variation usinG scatterinG/transparent switchinG films 」には、高分子分散液晶の大きさを変化させたときの透過率τの変化が示されている。そして、かかる文献の第206 頁、図6には、高分子分散液晶の半径をrとし、t=300μm、ff=0.5、n =1.45、nLC=1.585、λ=500nmとするとき、透過率τは、理論値で、r=5nm(D=λ/50、D・t=λ・6μm(ただし、Dおよびλの単位はnm、以下も同じ))のときτ≒90%となり、r=25nm(D=λ/10)のときτ≒50%になることが示されている。
【0116】
ここで、例えば、t=150μmの場合を推定してみると、透過率τがtの指数関数で変化すると仮定して、t=150μmの場合の透過率τを推定してみると、r=25nm(D=λ/10、D・t=λ・15μm)のときτ≒71%となる。また、t=75μmの場合は、同様に、r=25nm(D=λ/10、D・t=λ・7.5μm)のときτ≒80%となる。
【0117】
これらの結果から、
D・t≦λ・15μm                     …(22)
であれば、τは70%〜80%以上となり、レンズとして十分実用になる。したがって、例えば、t=75μmの場合は、D≦λ/5で、十分な透過率が得られることになる。
【0118】
また、高分子分散液晶層514の透過率は、nの値がnLC’の値に近いほど良くなる。一方、n’とnとが異なる値になると、高分子分散液晶層514の透過率は悪くなる。図30の状態と図32の状態とで、平均して高分子分散液晶層514の透過率が良くなるのは、
=(n’+nLC’)/2                  …(23)
を満足するときである。
【0119】
ここで、可変焦点レンズ511は、レンズとして使用するものであるから、図30の状態でも、図32の状態でも、透過率はほぼ同じで、かつ高い方が良い。そのためには、高分子セル518を構成する高分子の材料および液晶分子517の材料に制限があるが、実用的には、
’≦n≦nLC’                      …(24)
とすればよい。
【0120】
上記(23)式を満足すれば、上記(22)式は、さらに緩和され、
D・t≦λ・60μm                      …(25)
であれば良いことになる。なぜなら、フレネルの反射則によれば、反射率は屈折率差の2乗に比例するので、高分子セル518を構成する高分子と液晶分子517との境界での光の反射、すなわち高分子分散液晶層514の透過率の減少は、およそ上記の高分子と液晶分子517との屈折率の差の2乗に比例するからである。
【0121】
以上は、n’≒1.45、nLC’≒1.585の場合であったが、より一般的に定式化すると、
D・t≦λ・15μm・(1.585−1.45)/(n−n …(26)
であればよい。ただし、(n−nは、(nLC’−nと(n’−nとのうち、大きい方である。
【0122】
また、可変焦点レンズ511の焦点距離変化を大きくするには、ffの値が大きい方が良いが、ff=1では、高分子の体積がゼロとなり、高分子セル518を形成できなくなるので、
0.1≦ff≦0.999                   …(27)
とする。一方、ffは、小さいほどτは向上するので、上記(26)式は、好ましくは、
4×10−6〔μm〕≦D・t≦λ・45μm・(1.585−1.45)/(n−n…(28)
とする。なお、tの下限値は、図30から明らかなように、t=Dで、Dは、上述したように2nm以上であるので、D・tの下限値は、(2×10−3μm)、すなわち4×10−6〔μm〕となる。
【0123】
なお、物質の光学特性を屈折率で表す近似が成り立つのは、「岩波科学ライブラリー8 小惑星がやってくる」向井正著,1994,岩波書店発行の第58頁に記載されているように、Dが10nm〜5nmより大きい場合である。また、Dが500λを越えると、光の散乱は幾何学的となり、高分子セル518を構成する高分子と液晶分子517との界面での光の散乱がフレネルの反射式に従って増大するので、Dは、実用的には、
7nm≦D≦500λ                      …(29)
とする。
【0124】
図34は図33に示す可変焦点レンズ511を用いたデジタルカメラ用の撮像光学系の構成を示すものである。この撮像光学系においては、物体(図示せず)の像を、絞り521、可変焦点レンズ511およびレンズ522を介して、例えばCCDよりなる固体撮像素子523上に結像させる。なお、図34では、液晶分子の図示を省略してある。
【0125】
かかる撮像光学系によれば、可変抵抗器519により可変焦点レンズ511の高分子分散液晶層514に印加する交流電圧を調整して、可変焦点レンズ511の焦点距離を変えることより、可変焦点レンズ511およびレンズ522を光軸方向に移動させることなく、例えば、無限遠から600mmまでの物体距離に対して、連続的に合焦させることが可能となる。
【0126】
図35は本発明にかかるズーム光学系に適用可能な可変焦点回折光学素子の一例の構成を示す図である。
この可変焦点回折光学素子531は、平行な第1,第2の面532a,532bを有する第1の透明基板532と、光の波長オーダーの溝深さを有する断面鋸歯波状のリング状回折格子を形成した第3の面533aおよび平坦な第4の面533bを有する第2の透明基板533とを有し、入射光を第1,第2の透明基板532,533を経て出射させるものである。第1,第2の透明基板532,533間には、図30で説明したと同様に、透明電極513a,513bを介して高分子分散液晶層514を設け、透明電極513a,513bをスイッチ515を経て交流電源516に接続して、高分子分散液晶層514に交流電界を印加するようにする。
【0127】
かかる構成において、可変焦点回折光学素子531に入射する光線は、第3の面533aの格子ピッチをpとし、mを整数とすると、
psinθ=mλ                       …(30)
を満たす角度θだけ偏向されて出射される。また、溝深さをh、透明基板33の屈折率をn33とし、kを整数とすると、
h(n−n33)=mλ                    …(31)
h(n−n33)=kλ                    …(32)
を満たせば、波長λで回折効率が100%となり、フレアの発生を防止することができる。
【0128】
ここで、上記(31)および(32)式の両辺の差を求めると、
h(n−n)=(m−k)λ                …(33)
が得られる。したがって、例えば、λ=500nm、n=1.55、n=1.5とすると、
0.05h=(m−k)・500nm
となり、m=1,k=0とすると、
h=10000nm=10μm
となる。この場合、透明基板533の屈折率n33は、上記(37)式から、n33=1.5であればよい。また、可変焦点回折光学素子531の周辺部における格子ピッチpを10μmとすると、θ≒2.87°となり、Fナンバーが10のレンズを得ることができる。
【0129】
かかる可変焦点回折光学素子531は、高分子分散液晶層514への印加電圧のオン・オフで光路長が変わるので、例えば、レンズ系の光束が平行でない部分に配置して、ピント調整を行うのに用いたり、レンズ系全体の焦点距離等を変えるのに用いることができる。
【0130】
なお、この実施形態において、上記(31)〜(33)式は、実用上、
0.7mλ≦h(n−n33)≦1.4mλ           …(34)
0.7kλ≦h(n−n33)≦1.4kλ           …(35)
0.7(m−k)λ≦h(n−n)≦1.4(m−k)λ   …(36)
を満たせば良い。
【0131】
また、ツイストネマティック液晶を用いる可変焦点レンズもある。図36および図37は、この場合の可変焦点眼鏡550の構成を示すものであり、可変焦点レンズ551は、レンズ552および553と、これらレンズの内面上にそれぞれ透明電極513a,513bを介して設けた配向膜539a,539bと、これら配向膜間に設けたツイストネマティック液晶層554とを有して構成し、その透明電極513a,513bを可変抵抗器519を経て交流電源516に接続して、ツイストネマティック液晶層554に交流電界を印加するようにする。
【0132】
かかる構成において、ツイストネマティック液晶層554に印加する電圧を高くすると、液晶分子555は、図37に示すようにホメオトロピック配向となり、図36に示す印加電圧が低いツイストネマティック状態の場合に比べて、ツイストネマティック液晶層554の屈折率は小さくなり、焦点距離が長くなる。
【0133】
ここで、図36に示すツイストネマティック状態における液晶分子555の螺旋ピッチPは、光の波長λに比べて同じ程度か十分小さくする必要があるので、例えば、
2nm≦P≦2λ/3                    …(37)
とする。なお、この条件の下限値は、液晶分子の大きさで決まり、上限値は、入射光が自然光の場合に、図36の状態でツイストネマティック液晶層554が等方媒質として振る舞うために必要な値であり、この上限値の条件を満たさないと、可変焦点レンズ551は偏光方向によって焦点距離の異なるレンズとなり、これがため二重像が形成されてぼけた像しか得られなくなる。
【0134】
図38(a)は、本発明にかかるズーム光学系に適用可能な可変偏角プリズムの構成を示すものである。この可変偏角プリズム561は、第1,第2の面562a,562bを有する入射側の第1の透明基板562と、第3,第4の面563a,563bを有する出射側の平行平板状の第2の透明基板563とを有する。入射側の透明基板562の内面(第2の面)562bは、フレネル状に形成し、この透明基板562と出射側の透明基板563との間に、図30で説明したと同様に、透明電極513a,513bを介して高分子分散液晶層514を設ける。透明電極513a,513bは、可変抵抗器519を経て交流電源516に接続し、これにより高分子分散液晶層514に交流電界を印加して、可変偏角プリズム561を透過する光の偏角を制御するようにする。なお、図38(a)では、透明基板562の内面562bをフレネル状に形成したが、例えば、図38(b)に示すように、透明基板562および563の内面を相対的に傾斜させた傾斜面を有する通常のプリズム状に形成することもできるし、あるいは図35に示した回折格子状に形成することもできる。回折格子状に形成する場合には、上記の(30)〜(36)式が同様にあてはまる。
【0135】
かかる構成の可変偏角プリズム561は、例えば、TVカメラ、デジタルカメラ、フィルムカメラ、双眼鏡等のブレ防止用として有効に用いることができる。この場合、可変偏角プリズム561の屈折方向(偏向方向)は、上下方向とするのが望ましいが、さらに性能を向上させるためには、2個の可変偏角プリズム561を偏向方向を異ならせて、例えば図39に示すように、上下および左右の直交する方向で屈折角を変えるように配置するのが望ましい。なお、図38および図39では、液晶分子の図示を省略してある。
【0136】
図40は本発明にかかるズーム光学系に適用可能な可変焦点レンズを応用した可変焦点ミラーを示すものである。この可変焦点ミラー565は、第1,第2の面566a,566bを有する第1の透明基板566と、第3,第4の面567a,567bを有する第2の透明基板567とを有する。第1の透明基板566は、平板状またはレンズ状に形成して、内面(第2の面)566bに透明電極513aを設け、第2の透明基板567は、内面(第3の面)567aを凹面状に形成して、該凹面上に反射膜568を施し、さらにこの反射膜568上に透明電極513bを設ける。透明電極513a,513b間には、図30で説明したと同様に、高分子分散液晶層514を設け、これら透明電極513a,513bをスイッチ515および可変抵抗器519を経て交流電源516に接続して、高分子分散液晶層514に交流電界を印加するようにする。なお、図40では、液晶分子の図示を省略してある。
【0137】
かかる構成によれば、透明基板566側から入射する光線は、反射膜568により高分子分散液晶層514を折り返す光路となるので、高分子分散液晶層514の作用を2回もたせることができると共に、高分子分散液晶層514への印加電圧を変えることにより、反射光の焦点位置を変えることができる。この場合、可変焦点ミラー565に入射した光線は、高分子分散液晶層514を2回透過するので、高分子分散液晶層514の厚さの2倍をtとすれば、上記の各式を同様に用いることができる。なお、透明基板566または567の内面を、図35に示したように回折格子状にして、高分子分散液晶層514の厚さを薄くすることもできる。このようにすれば、散乱光をより少なくできる利点がある。
【0138】
なお、以上の説明では、液晶の劣化を防止するため、電源として交流電源516を用いて、液晶に交流電界を印加するようにしたが、直流電源を用いて液晶に直流電界を印加するようにすることもできる。また、液晶分子の方向を変える方法としては、電圧を変化させること以外に、液晶にかける電場の周波数、液晶にかける磁場の強さ・周波数、あるいは液晶の温度等を変化させることによってもよい。以上に示した実施形態において、高分子分散液晶は液状ではなく固体に近いものもあるので、その場合はレンズ512a,512bの一方、透明基板532、レンズ538、レンズ552,553の一方、図38(a)における透明基板563、図38(b)における透明基板562,563の一方、透明基板566,567の一方はなくてもよい。なお、本願では図40のような、形状の変化しない可変焦点ミラーも、可変形状鏡の中に含めるものとする。
【0139】
図41は本発明のズーム光学系に適用可能な可変焦点レンズのさらに他の実施例に係る、可変焦点レンズ140を用いた撮像ユニット141の概略構成図である。撮像ユニット141は本発明の撮像系として用いることができる。
本実施例では、レンズ102と可変焦点レンズ140とで、撮像レンズを構成している。そして、この撮像レンズと固体撮像素子408とで撮像ユニット141を構成している。可変焦点レンズ140は、透明部材142と圧電性のある合成樹脂等の柔らかい透明物質143とで、光を透過する流体あるいはゼリー状物質144を挟んで構成されている。
【0140】
流体あるいはゼリー状物質144としては、シリコンオイル、弾性ゴム、ゼリー、水等を用いることができる。透明物質143の両面には透明電極145が設けられており、回路103’を介して電圧を加えることで、透明物質143の圧電効果により透明物質143が変形し、可変焦点レンズ140の焦点距離が変わるようになっている。
従って、本実施例によれば、物体距離が変わった場合でも光学系をモーター等で動かすことなくフォーカスができ、小型、軽量、消費電力が少ない点で優れている。
【0141】
なお、図41中、145は透明電極、146は流体をためるシリンダーである。また、透明物質143の材質としては、ポリウレタン、シリコンゴム、アクリルエラストマー、PZT、PLZT、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の高分子圧電体、シアン化ビニリデン共重合体、ビニリデンフルオライドとトリフルオロエチレンの共重合体等が用いられる。
圧電性を有する有機材料や、圧電性を有する合成樹脂、圧電性を有するエラストマー等を用いると可変焦点レンズ面の大きな変形が実現できてよい。
可変焦点レンズには透明な圧電材料を用いるとよい。
【0142】
なお、図41の例で、可変焦点レンズ140は、シリンンダー146を設けるかわりに、図42に示すように、支援部材147を設けてシリンダー146を省略した構造にしてもよい。
支援部材147は、間に透明電極145を挟んで、透明物質143の一部の周辺部分を固定している。本実施例によれば、透明物質143に電圧をかけることによって、透明物質143が変形しても、図43に示すように、可変焦点レンズ140全体の体積が変わらないように変形するため、シリンダー146が不要になる。なお、図42、43中、148は変形可能な部材で、弾性体、アコーディオン状の合成樹脂または金属等でできている。
【0143】
図41、42に示す実施例では、電圧を逆に印加すると透明物質143は逆向きに変形するので凹レンズにすることも可能である。
なお、透明物質143に電歪材料、例えば、アクリルエラストマー、シリコンゴム等を用いる場合は、透明物質143を透明基板と電歪材料を貼り合わせた構造にするとよい。
【0144】
図44は本発明のズーム光学系に適用可能な可変焦点レンズのさらに他の実施例に係る、マイクロポンプ160で流体161を出し入れし、レンズ面を変形させる可変焦点レンズ167の概略構成図である。
マイクロポンプ160は、例えば、マイクロマシンの技術で作られた小型のポンプで、電力で動くように構成されている。流体161は、透明基板163と、弾性体164との間に挟まれている。図中、165は弾性体164を保護するための透明基板で、設けなくてもよい。
マイクロマシンの技術で作られたポンプの例としては、熱変形を利用したもの、圧電材料を用いたもの、静電気力を用いたものなどがある。
【0145】
そして、図29で示したようなマイクロポンプ180を、例えば、図44に示す可変焦点レンズに用いるマイクロポンプ160のように、2つ用いればよい。
【0146】
なお、静電気力、圧電効果を用いた可変焦点レンズなどにおいては、駆動用に高電圧が必要になる場合がある。その場合には、昇圧用のトランス、あるいは圧電トランス等を用いて制御系を構成するとよい。
特に積層型圧電トランスを用いると小型にできてよい。
【0147】
図45は本発明にかかるズーム光学系に適用可能な光学特性可変光学素子の他の実施例であって圧電材料200を用いた可変焦点レンズ201の概略構成図である。
圧電材料200には透明物質143と同様の材料が用いられており、圧電材料200は、透明で柔らかい基板202の上に設けられている。なお、基板202には、合成樹脂、有機材料を用いるのが望ましい。
本実施例においては、2つの透明電極59を介して電圧を圧電材料200に加えることで圧電材料200は変形し、図45において凸レンズとしての作用を持っている。
【0148】
なお、基板202の形をあらかじめ凸状に形成しておき、かつ、2つの透明電極59のうち、少なくとも一方の電極の大きさを基板202と異ならせておく、例えば、一方の透明電極59を基板202よりも小さくしておくと、電圧を切ったときに、図46に示すように、2つの透明電極59が対向する所定部分だけが凹状に変形して凹レンズの作用を持つようになり、可変焦点レンズとして動作する。
このとき基板202は、流体161の体積が変化しないように変形するので、液溜168が不要になるというメリットがある。
【0149】
本実施例では、流体161を保持する基板の一部分を圧電材料で変形させて、液溜168を不要としたところに大きなメリットがある。
なお、図44の実施例にも言えることであるが、透明基板163,165はレンズとして構成しても、或いは平面で構成してもよい。
【0150】
図47は本発明にかかるズーム光学系に適用可能な光学特性可変光学素子のさらに他の実施例であって圧電材料からなる2枚の薄板200A,200Bを用いた可変焦点レンズの概略構成図である。
本実施例の可変焦点レンズは、薄板200Aと200Bの材料の方向性を反転させることで、変形量を大きくし、大きな可変焦点範囲が得られるというメリットがある。
なお、図47中、204はレンズ形状の透明基板である。
本実施例においても、紙面の右側の透明電極59は基板202よりも小さく形成されている。
【0151】
なお、図45〜図47の実施例において、基板202、薄板200,200A,200Bの厚さを不均一にして、電圧を掛けたときの変形のさせかたをコントロールしてもよい。
そのようにすれば、レンズの収差補正等もすることができ、便利である。
【0152】
図48は本発明にかかるズーム光学系に適用可能な可変焦点レンズのさらに他の実施例を示す概略構成図である。
本実施例の可変焦点レンズ207は、例えばシリコンゴムやアクリルエラストマー等の電歪材料206を用いて構成されている。
本実施例の構成によれば、電圧が低いときには、図48に示すように、凸レンズとして作用し、電圧を上げると、図49に示すように、電歪材料206が上下方向に伸びて左右方向に縮むので、焦点距離が伸びる。従って、可変焦点レンズとして動作する。
本実施例の可変焦点レンズによれば、大電源を必要としないので消費電力が小さくて済むというメリットがある。
【0153】
図50は本発明にかかるズーム光学系に適用可能な光学特性可変光学素子のさらに他の実施例であってフォトメカニカル効果を用いた可変焦点レンズの概略構成図である。
本実施例の可変焦点レンズ214は、透明弾性体208,209でアゾベンゼン210が挟まれており、アゾベンゼン210には、透明なスペーサー211を経由して光が照射されるようになっている。
図50中、212,213はそれぞれ中心波長がλ,λの例えばLED、半導体レーザー等の光源である。
【0154】
本実施例において、中心波長がλの光が図51(a)に示すトランス型のアゾベンゼンに照射されると、アゾベンゼン210は、図51(b)に示すシス型に変化して体積が減少する。このため、可変焦点レンズ214の形状はうすくなり、凸レンズ作用が減少する。
一方、中心波長がλの光がシス型のアゾベンゼン210に照射されると、アゾベンゼン210はシス型からトランス型に変化して、体積が増加する。このため、可変焦点レンズ214の形状は厚くなり、凸レンズ作用が増加する。
このようにして、本実施例の光学素子214は可変焦点レンズとして作用する。
また、可変焦点レンズ214では、透明弾性体208,209の空気との境界面で光が全反射するので外部に光がもれず、効率がよい。なお、レンズとして利用する光の波長は可視光に限らず赤外光等でもよい。また、アゾベンゼン210としては、アゾベンゼンと他の液体の混合物を用いてもよい。
【0155】
図52は本発明にかかるズーム光学系に適用可能な形状可変ミラーのさらに他の実施例を示す概略構成図である。本実施例では、デジタルカメラに用いられるものとして説明する。なお、図52中、411は可変抵抗器、414は演算装置、415は温度センサー、416は湿度センサー、417は距離センサー、424は振れセンサーである。
本実施例の形状可変ミラー45は、アクリルエラストマー等の有機材料からなる電歪材料453と間を隔てて分割電極409bを設け、電歪材料453の上に順に電極452、変形可能な基板451を設け、さらにその上に入射光を反射するアルミニウム等の金属からなる反射膜450を設けて構成されている。
このように構成すると、分割電極409bを電歪材料453と一体化した場合に比べて、反射膜450の面形状が滑らかになり、光学的に収差を発生させにくくなるというメリットがある。
なお、変形可能な基板451と電極452の配置は逆でも良い。
また、図52中、449は光学系の変倍、あるいはズームを行なう釦であり、可変形状鏡45は、釦449を使用者が押すことで反射膜450の形を変形させて、変倍あるいは、ズームをすることができるように演算装置414を介して制御されている。
なお、アクリルエラストマー等の有機材料からなる電歪材料のかわりに既に述べたチタン酸バリウム等の圧電材料を用いてもよい。
【0156】
最後に、本発明で用いる用語の定義を述べておく。
【0157】
光学装置とは、光学系あるいは光学素子を含む装置のことである。光学装置単体で機能しなくてもよい。つまり、装置の一部でもよい。
【0158】
光学装置には、撮像装置、観察装置、表示装置、照明装置、信号処理装置等が含まれる。
【0159】
撮像装置の例としては、フィルムカメラ、デジタルカメラ、ロボットの眼、レンズ交換式デジタル一眼レフカメラ、テレビカメラ、動画記録装置、電子動画記録装置、カムコーダ、VTRカメラ、電子内視鏡等がある。デジカメ、カード型デジカメ、テレビカメラ、VTRカメラ、動画記録カメラなどはいずれも電子撮像装置の一例である。
【0160】
観察装置の例としては、顕微鏡、望遠鏡、眼鏡、双眼鏡、ルーペ、ファイバースコープ、ファインダー、ビューファインダー等がある。
【0161】
表示装置の例としては、液晶ディスプレイ、ビューファインダー、ゲームマシン(ソニー社製プレイステーション)、ビデオプロジェクター、液晶プロジェクター、頭部装着型画像表示装置(head mounted display:HMD)、PDA(携帯情報端末)、携帯電話等がある。
【0162】
照明装置の例としては、カメラのストロボ、自動車のヘッドライト、内視鏡光源、顕微鏡光源等がある。
【0163】
信号処理装置の例としては、携帯電話、パソコン、ゲームマシン、光ディスクの読取・書込装置、光計算機の演算装置等がある。
【0164】
なお、本発明のズーム光学系は小型軽量であるので、電子撮像装置、信号処理装置、特に、デジタルカメラ、携帯電話の撮像系に用いると効果がある。
【0165】
撮像素子は、例えばCCD、撮像管、固体撮像素子、写真フィルム等を指す。また、平行平面板はプリズムの1つに含まれるものとする。観察者の変化には、視度の変化を含むものとする。被写体の変化には、被写体となる物体距離の変化、物体の移動、物体の動き、振動、物体のぶれ等を含むものとする。
【0166】
拡張曲面の定義は以下の通りである。
球面、平面、回転対称非球面のほか、光軸に対して偏心した球面、平面、回転対称非球面、あるいは対称面を有する非球面、対称面を1つだけ有する非球面、対称面のない非球面、自由曲面、微分不可能な点、線を有する面等、いかなる形をしていても良い。反射面でも、屈折面でも、光になんらかの影響を与えうる面ならば良い。
本発明では、これらを総称して拡張曲面と呼ぶことにする。
【0167】
光学特性可変光学素子とは、可変焦点レンズ、形状可変ミラー、面形状の変わる偏光プリズム、頂角可変プリズム、光偏向作用の変わる可変回折光学素子、つまり可変HOE,可変DOE等を含む。
【0168】
可変焦点レンズには、焦点距離が変化せず、収差量が変化するような可変レンズも含むものとする。形状可変ミラーについても同様である。
要するに、光学素子で、光の反射、屈折、回折等の光偏向作用が変化しうるものを光学特性可変光学素子と呼ぶ。
【0169】
情報発信装置とは、携帯電話、固定式の電話、ゲームマシン、テレビ、ラジカセ、ステレオ等のリモコンや、パソコン、パソコンのキーボード、マウス、タッチパネル等の何らかの情報を入力し、送信することができる装置を指す。
撮像装置のついたテレビモニター、パソコンのモニター、ディスプレイも含むものとする。
情報発信装置は、信号処理装置の中に含まれる。
【0170】
以上説明したように、本発明のズーム光学系は、特許請求の範囲に記載した発明の他に、次に示すような特徴も備えている。
【0171】
(1)前記形状可変素子より像側にある前記レンズ群の最も広角端での倍率をβDMWとしたとき、以下の何れかの条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズーム光学系。
0.50 < |βDMW| < 0.9
0.55 < |βDMW| < 0.8
【0172】
(2)形状可変素子と変倍機能を有する変倍群を有し、形状可変素子が、ピント合わせ機能を有し、且つ変倍群の前方に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか又は上記(1)に記載のズーム光学系。
【0173】
(3)形状可変素子が、所定の第1状態から無限遠にある物体にフォーカスした第2状態、該第2状態から最短距離にある物体にフォーカスした第3状態、該第3状態から前記第1状態とは別の所定の第4状態に変形可能であって、広角端において前記第1状態から前記第2状態に変化したときの像面の移動量、及び前記第3状態から前記第4状態に形状が変化したときの像面の移動量をZfとしたとき、下記条件を満足することを特徴とする請求項1乃至3の何れか又は上記(1)又は(2)に記載のズーム光学系。
4・Fno・P  < Zf < 30・Fno・P
ただし、P=√(Px・Py)で、Pxは撮像素子の1画素のx方向の寸法、Pyは撮像素子の1画素のy方向の寸法、Fnoは撮影光学系のFナンバーである。
【0174】
(4)形状可変素子が、所定の第1状態から無限遠にある物体にフォーカスした第2状態、該第2状態から最短距離にある物体にフォーカスした第3状態、該第3状態から前記第1状態とは別の所定の第4状態に変形可能であって、広角端において前記第1状態から前記第2状態に変化したときの像面の移動量、及び前記第3状態から前記第4状態に形状が変化したときの像面の移動量をZfとしたとき、下記条件の何れかを満足することを特徴とする請求項1乃至3の何れか又は上記(1)又は(2)に記載のズーム光学系。
5・Fno・P  < Zf < 25・Fno・P
6・Fno・P  < Zf < 20・Fno・P
ただし、P=√(Px・Py)で、Pxは撮像素子の1画素のx方向の寸法、Pyは撮像素子の1画素のy方向の寸法、Fnoは撮影光学系のFナンバーである。
【0175】
(5)フォーカシングを行うに際し、形状可変素子の最大変形量をmd(μm)、広角端における光学系の焦点距離をfw、望遠端における光学系の焦点距離をftとしたときに、下記条件式の何れかを満足することを特徴とする請求項1乃至3又は上記(1)乃至(4)の何れかに記載のズーム光学系。
0.1  ≦ |md/√(fw×ft)| < 5.0
0.3  ≦ |md/√(fw×ft)| < 4.0
0.5  ≦ |md/√(fw×ft)| < 3.0
【0176】
(6)ズーミングのいずれかの状態で、光軸と撮像面とのなす角度θiが下記条件式の何れかを満足することを特徴とする請求項1乃至3又は上記(1)乃至(5)の何れかに記載のズーム光学系。
0.2  < θi  < 4.0
0.2  < θi  < 3.0
0.2 < θi  < 2.0
【0177】
(7)少なくとも1つ以上の屈折面が、回転非対称な面即ち自由曲面で構成されていることを特徴とする請求項1乃至3又は上記(1)乃至(6)の何れかに記載のズーム光学系。
【0178】
(8)形状可変素子によって発生する偏心収差を補正するために、各レンズ面にシフトを加え、そのシフト量をδとしたとき、下条件式の何れかを満足することを特徴とする請求項3又は上記(1)乃至(7)の何れかに記載のズーム光学系。
0.001 ≦ |δ/√(fw×ft)| < 0.5
0.010 ≦ |δ/√(fw×ft)| < 0.2
【0179】
(9)物体側から順に、変倍時固定の負のパワーを有する第1群、変倍時可動で正のパワーを有する第2群、変倍時可動の第3群で少なくとも構成され、前記第1群に形状可変素子を配置し、前記第1群の形状可変素子より物体側にある負のレンズ群のパワーをf1a、、前記第1群の形状可変素子より像側に配置した正レンズ群のパワーをf1bとしたとき、下記条件式の何れかを満足することを特徴とする請求項1乃至3又は上記(1)乃至(8)の何れかに記載のズーム光学系。
−0.5 < f1a  / f1b  < −0.03
−0.3 < f1a  / f1b  < −0.05
−0.2 < f1a  / f1b  < −0.07
【0180】
(10)前記第2群が主に変倍作用を有し、該第2群のパワーが下記条件式の何れかを満足することを特徴とする請求項1乃至3又は上記(1)乃至(9)の何れかに記載のズーム光学系。
0.5 < f2 / √(fw×ft) < 5.0
1.0 < f2 / √(fw×ft) < 4.0
1.5 < f2 / √(fw×ft) < 3.0
【0181】
(11)ズーム光学系は、前記第2群の前側主点位置から、前記第2群の最も物体側の面までの距離をSD、上記第2群から最終レンズ群までの広角端の倍率をβ2Wとしたとき、下記条件式の何れかもしくは組合せの何れかを満足することを特徴とする上記(10)に記載のズーム光学系。
0.2 < |β2W|  < 0.8
0.5 < SD/fW  < 5.0
0.2 < |β2W|  < 0.8
1.0 < SD/fW  < 4.0
0.2 < |β2W|   < 0.8
1.5 < SD/fW  < 3.0
【0182】
(12)前記形状可変素子が、回転非対称な曲面形状すなわち自由曲面を有していることを特徴とする
請求項1乃至3の何れか又は上記(1)乃至(11)の何れかに記載のズーム光学系。
【0183】
(13)請求項1乃至3の何れか又は上記(1)乃至(11)の何れかに記載のズーム光学系を用いた撮像装置。
【0184】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明によれば、形状可変素子を用いているにも拘わらず、収差の良く補正された高変倍なズーム光学系を提供することができる。また、本発明によれば、レンズの可動群が少なく、非常に小型で消費電力が極めて少なく、動作音が静かな撮像装置を提供することができる、
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のズーム光学系に用いられる形状可変素子(形状可変ミラー)の変形量を説明するための図である。
【図2】本発明にかかる第1実施例のズーム光学系のレンズ構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間状態、(c)は望遠端の状態を示している。
【図3】第1実施例のズーム光学系の物体距離無限遠の場合の広角端での各波長域における横収差を表す収差図である。
【図4】第1実施例のズーム光学系の物体距離無限遠の場合の中間状態での各波長域における横収差を表す収差図である。
【図5】第1実施例のズーム光学系の物体距離無限遠の場合の望遠端での各波長域における横収差を表す収差図である。
【図6】第1実施例のズーム光学系の物体距離300mmの場合の広角端での各波長域における横収差を表す収差図である。
【図7】第1実施例のズーム光学系の物体距離300mmの場合の中間状態での各波長域における横収差を表す収差図である。
【図8】第1実施例のズーム光学系の物体距離300mmの場合の望遠端での各波長域における横収差を表す収差図である。
【図9】本発明にかかる第2実施例のズーム光学系のレンズ構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間状態、(c)は望遠端の状態を示している。
【図10】本発明にかかる第3実施例のズーム光学系のレンズ構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間状態、(c)は望遠端の状態を示している。
【図11】本発明にかかる第4実施例のズーム光学系のレンズ構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間状態、(c)は望遠端の状態を示している。
【図12】本発明にかかる第5実施例のズーム光学系のレンズ構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間状態、(c)は望遠端の状態を示している。
【図13】本発明にかかる第6実施例のズーム光学系のレンズ構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間状態、(c)は望遠端の状態を示している。
【図14】本発明にかかる第7実施例のズーム光学系のレンズ構成を示す光軸に沿う断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間状態、(c)は望遠端の状態を示している。
【図15】本発明のズーム光学系に適用可能な形状可変素子として光学特性可変ミラーを用いたデジタルカメラのケプラー式ファインダーの概略構成図である。
【図16】本発明のズーム光学系に適用可能な形状可変素子としての光学特性可変ミラーの他の実施例を示す概略構成図である。
【図17】図16の形状可変素子に用いる電極の一形態を示す説明図である。
【図18】図16の形状可変素子に用いる電極の他の形態を示す説明図である。
【図19】本発明のズーム光学系に適用可能な形状可変素子としての光学特性可変ミラーのさらに他の実施例を示す概略構成図である。
【図20】本発明のズーム光学系に適用可能な形状可変素子としての光学特性可変ミラーのさらに他の実施例を示す概略構成図である。
【図21】本発明のズーム光学系に適用可能な形状可変素子としての光学特性可変ミラーのさらに他の実施例を示す概略構成図である。
【図22】図21の実施例に用いる薄膜コイルの巻密度の状態を示す説明図である。
【図23】本発明のズーム光学系に適用可能な形状可変素子としての光学特性可変ミラーのさらに他の実施例を示す概略構成図である。
【図24】図23の実施例に用いるコイルの一配置例を示す説明図である。
【図25】図23の実施例に用いるコイルの他の配置例を示す説明図である。
【図26】図21に示した実施例においてコイルの配置を図25に示したようにした場合に適する永久磁石の配置を示す説明図である。
【図27】本発明のズーム光学系に適用可能な形状可変素子を用いた撮像系、例えば、携帯電話のデジタルカメラ、カプセル内視鏡、電子内視鏡、パソコン用デジタルカメラ、PDA用デジタルカメラ等に用いられる撮像系の概略構成図である。
【図28】本発明のズーム光学系に適用可能な形状可変素子のさらに他の実施例で、マイクロポンプで流体を出し入れしてミラー面を変形させるようにした形状可変ミラーの概略構成図である。
【図29】本発明のズーム光学系に用いる形状可変素子に適用可能なマイクロポンプの一実施例の概略構成図である。
【図30】本発明のズーム光学系に適用可能な形状可変素子としての可変焦点レンズの原理的構成を示す図である。
【図31】一軸性のネマティック液晶分子の屈折率楕円体を示す図である。
【図32】図30に示す可変焦点レンズの高分子分散液晶層に電界を印加した状態を示す図である。
【図33】図30に示す可変焦点レンズの高分子分散液晶層への印加電圧を可変にする場合の一例の構成を示す図である。
【図34】図33に示す可変焦点レンズを用いたデジタルカメラ用の撮像光学系の構成を示す図である。
【図35】本発明のズーム光学系に適用可能な形状可変素子としての可変焦点回折光学素子の一例の構成を示す図である。
【図36】ツイストネマティック液晶を用いる可変焦点レンズを有する可変焦点眼鏡の構成を示す図である。
【図37】図36に示すツイストネマティック液晶層への印加電圧を高くしたときの液晶分子の配向状態を示す図である。
【図38】本発明にかかるズーム光学系に適用可能な形状可変素子としての可変偏角プリズムの2つの例の構成を示す図である。
【図39】図38に示す可変偏角プリズムの使用態様を説明するための図である。
【図40】本発明ズーム光学系に適用可能な可変焦点レンズを応用した可変焦点ミラーを示す図である。
【図41】本発明のズーム光学系に適用可能な可変焦点レンズのさらに他の実施例を用いた撮像ユニットの概略構成図である。
【図42】図41の実施例における可変焦点レンズの変形例を示す説明図である。
【図43】図42の可変焦点レンズが変形した状態を示す説明図である。
【図44】本発明のズーム光学系に適用可能な可変焦点レンズのさらに他の実施例で、マイクロポンプで流体を出し入れしてレンズ面を変形させるようにした可変焦点レンズの概略構成図である。
【図45】本発明のズーム光学系に適用可能な形状可変素子の他の実施例であって、圧電材料を用いた可変焦点レンズの概略構成図である。
【図46】図45に示した可変焦点レンズの変形例の状態説明図である。
【図47】本発明のズーム光学系に適用可能な形状可変素子のさらに他の実施例であって、圧電材料からなる2枚の薄板を用いた可変焦点レンズの概略構成図である。
【図48】本発明のズーム光学系に適用可能な可変焦点レンズのさらに他の実施例を示す概略構成図である。
【図49】図48の実施例に係る可変焦点レンズの状態説明図である。
【図50】本発明のズーム光学系に適用可能な形状可変素子のさらに他の実施例であって、フォトメカニカル効果を用いた可変焦点レンズの概略構成図である。
【図51】図50の実施例に係る可変焦点レンズに用いるアゾベンゼンの構造を示す説明図であり、(a)はトランス型、(b)はシス型を示している。
【図52】本発明のズーム光学系に適用可能な形状可変素子としての形状可変ミラーのさらに他の実施例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
G1                          第1群
G2                          第2群
G3                          第3群
G4                          第4群
M                           形状可変ミラー(形状可変素子)
188                         形状可変鏡(形状可変素子)
140,167,201,207,214,511,551 可変焦点レンズ(形状可変素子)
161                         流体
163,165,204,532,533,562,563,566,567透明基板
59,145,513a,513b            透明電極
512a,512b,522,552,553       レンズ
103                         制御系
103’                        回路
104,141                     撮像ユニット
142                         透明部材
143                         圧電性のある透明物質
144                         流体あるいはゼリー状物質
146                         シリンダー
147                         支援部材
148                         変形可能な部材
160,180                     マイクロポンプ
164                         弾性体
168                         液溜
181                         振動板
182,183,409b,409d,452       電極
184,185                     弁
189,450                     反射膜
200                         圧電材料
200A,200B                   薄板
202                         透明で柔らかい基板
206,409c−2                  電歪材料
208,209                     透明弾性体
210                         アゾベンゼン
211                         スペーサー
212,213                     光源
403                         撮像レンズ
404                         プリズム
405                         二等辺直角プリズム
406                         ミラー
408,523                     固体撮像素子
409                         光学特性形状可変鏡
409a                        薄膜
409c,409c’                  圧電素子
409c−1,409e                 基板
411                         可変抵抗器
412                         電源
413                         電源スイッチ
414                         演算装置
415                         温度センサー
416                         湿度センサー
417                         距離センサー
423                         支持台
424                         振れセンサー
425,428                     駆動回路
426                         永久磁石
427                         コイル
449                         釦
451                         変形可能な基板
453                         電歪材料
508a,532a,562a,566a         第1の面
508b,532b,562b,566b         第2の面
509a,533a,563a,567a         第3の面
509b,533b,563b,567b         第4の面
514    高分子分散液晶層
515    スイッチ
516    交流電源
517    液晶分子
518    高分子セル
519    可変抵抗器
521    絞り
531    可変焦点回折光学素子
539a,539b     配向膜
550    可変焦点眼鏡
554    ツイストネマティック液晶層
555    液晶分子
561    可変偏角プリズム
565    可変焦点ミラー
568    反射膜
901    接眼レンズ
902    対物レンズ

Claims (3)

  1. フォーカシング作用を有する形状可変素子と、変倍時に移動可能で且つ変倍作用もしくは像面の移動を補正するコンペンセート作用を有する2つのレンズ群と、を含むズーム光学系。
  2. 前記形状可変素子より像側にある全てのレンズ群の最も広角端での倍率をβDMWとしたとき、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズーム光学系。
    0.40 < |βDMW|  < 1.0
  3. 前記レンズ群を構成するレンズの少なくとも1つの回転対称なレンズ面が光軸に対して偏心していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のズーム光学系。
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