JP2005266128A - 光学系及びそれを備えた光学装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】変倍比が大きく、結像性能が良く、消費電力が小さく、音が静かで、応答時間が短く、機械的構造が簡単でコストダウンに寄与する可変ミラー、可変焦点レンズ等の光学特性可変光学素子を含む光学系及びそれを備えた光学装置を提供する。
【解決手段】複数の回転対称な光学面と、反射型の光学特性可変光学素子409とからなり、反射型の光学特性可変光学素子409が2つの前記回転対称な光学面の間の光路に配置され、反射型の光学特性可変光学素子409による光軸の偏向角θが次の式(1)を満足することを特徴としている。
10° < θ < 67° …(1)
但し、nprは反射型の光学特性可変光学素子に対向する光学面を有する光学素子の屈折率である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、可変ミラー、可変焦点レンズ、可変焦点回折光学素子、可変偏角プリズム、等の光学特性可変光学素子、及びこれらの光学特性可変光学素子を含む光学系を備えた、例えば、デジタルカメラ、テレビカメラ、内視鏡、眼鏡、ビデオプロジェクター、望遠鏡、カメラのファインダー、携帯電話の撮像装置(携帯電話のデジタルカメラ、携帯電話のテレビカメラ)、光情報処理装置、光インターコネクション装置等の各種光学装置に関するものである。
従来のレンズは、ガラスを研磨して製造したレンズを用いており、レンズ自体で焦点距離を変化させることができないため、例えば、カメラのピント合わせあるいは変倍のためにレンズ群を光軸方向に移動させるために、機械的構造が複雑になっている。
そして、レンズ群の一部を移動させるためにモータ、等を用いていたため、消費電力が大きい、音がうるさい、応答時間が長く、レンズの移動に時間がかかる等の欠点があった。
また、ブレ防止を行なう場合でも、レンズをモータ、ソレノイド等で機械的に移動させるため、消費電力が大きい、機械的構造が複雑でコストアップにつながる、等の欠点があった。
これらの課題を解決するために、例えば、次の特許文献1〜4に可変ミラーを用いたレンズが、提案されている。
特開2000−298237号公報 特開2002−189173号公報 特開2003−29150号公報 特開2003−302578号公報
しかし、特許文献1〜4に記載の可変ミラーを用いたレンズでは、変倍光学系として構成した場合、変倍比が小さい、可変ミラーの変形に伴う収差変動が残る、具体性に欠ける、製造しにくい等の欠点があった.
本発明は例えばこれらの問題点に鑑みてなされたものであり、変倍比が大きく、結像性能が良く、消費電力が小さく、音が静かで、応答時間が短く、機械的構造が簡単でコストダウンに寄与する可変ミラー、可変焦点レンズ等の光学特性可変光学素子を含む光学系及びそれを備えた光学装置等を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明による光学系は、複数の回転対称な光学面と、1つあるいは複数の反射型の光学特性可変光学素子とからなり、前記反射型の光学特性可変光学素子が2つの前記回転対称な光学面の間の光路に配置され、前記反射型の光学特性可変光学素子による光軸の偏向角θが次の式(1)又は式(2)を満足することを特徴としている。
10° < θ < 67° …(1)
10° < θ/npr < 67° …(2)
但し、nprは反射型の光学特性可変光学素子に対向する光学面を有する光学素子の屈折率である。
また、本発明による光学系は、複数の回転対称な透過型光学面と、反射型の光学特性可変光学素子を備え、前記反射型の光学特性可変光学素子が2つの前記回転対称な透過型光学面の間の光路に配置され、次の式(11")を満足することを特徴としている。
0.7< |L/fw| < 50 …(11")
但し、L=L1+L2+・・・Ln・・・+LBであり、前記光学特性可変光学素子を挟んで前後に位置する面であり、かつ、同一の透過面を構成しない2つの前記回転対称な透過型光学面の間の光路内において、L1は物体側から第1番目の反射面と該第1番目の反射面から物体側に最も近い透過型光学面までの距離、L2は第1番目の反射面から第2番目の反射面までの距離、Lnは第n−1番目の反射面から第n番目の反射面までの距離、LBは最も後方の反射面と該最も後方の反射面から像側に最も近い透過型光学面までの距離である。但し、該像側に最も近い透過型光学面が移動する場合には該光学面が前記光学特性可変光学素子に最も近付いたときの距離である。fwは光学系の焦点距離であり、焦点距離の変化する光学系の場合には最も短い状態(焦点距離の絶対値の小さい状態)の焦点距離である。
また、本発明による光学系は、回転非対称な光学面を含む複数の光学面と、反射型の光学特性可変光学素子を備え、前記反射型の光学特性可変光学素子が2つの前記光学面の間の光路に配置され、前記反射型の光学特性可変光学素子による光軸の偏向角θが次の式(1)を満足することを特徴としている。
10° < θ < 67° …(1)
また、本発明による光学系は、回転非対称な光学面を含む複数の光学面と、反射型の光学特性可変光学素子を備え、前記反射型の光学特性可変光学素子が2つの前記回転対称な光学面の間の光路に配置され、次の式(11")を満足することを特徴としている。
0.7< |L/fw| < 50 …(11")
但し、L=L1+L2+・・・Ln・・・+LBであり、前記光学特性可変光学素子を挟んで前後に位置する面であり、かつ、同一の透過面を構成しない2つの前記透過型光学面の間の光路内において、L1は物体側から第1番目の反射面と該第1番目の反射面から物体側に最も近い透過型光学面までの距離、L2は第1番目の反射面から第2番目の反射面までの距離、Lnは第n−1番目の反射面から第n番目の反射面までの距離、LBは最も後方の反射面と該最も後方の反射面から像側に最も近い透過型光学面までの距離である。但し、該像側に最も近い透過型光学面が移動する場合には該光学面が前記光学特性可変光学素子に最も近付いたときの距離である。fwは光学系の焦点距離であり、焦点距離の変化する光学系の場合には最も短い状態(焦点距離の絶対値の小さい状態)の焦点距離である。
また、本発明による光学装置は、上記本発明のいずれかの光学系を含むことを特徴としている。
本発明によれば、変倍比が大きく、結像性能が良く、消費電力が小さく、音が静かで、応答時間が短く、機械的構造が簡単でコストダウンに寄与する可変ミラー、可変焦点レンズ等の光学特性可変光学素子を含む光学系及びそれを備えた光学装置が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる可変ミラー409を用いたズーム撮像光学系の概略構成図である。
本実施形態のズーム撮像光学系809は、物体側から順に、凹レンズ801と、ミラー802と、反射型の光学特性可変光学素子としての可変ミラー409と、レンズ系803と、撮像素子408とで構成されている。
凹レンズ801、ミラー802、レンズ系803は、回転対称な光学面を備えて構成されている。
本実施形態のズーム撮像光学系809では、物体側から入射した光軸800上の光(つまり軸上主光線)は、凹レンズ801を経てミラー802でφだけ偏向されて可変ミラー409に入射する。
可変ミラー409によって光軸800はθだけ偏向されて後群のレンズ系803へ入射する。
レンズ系803は、レンズ群804と、レンズ群805と、レンズ群806と、レンズ群807と、フィルター群808とで構成され、レンズ群804とレンズ群806が、独立して光軸方向(つまり、図の左右方向)に移動可能であり、これにより変倍(ズーミング)が行われるようになっている。また、光軸は、可変ミラー409とミラー802の2つの反射面により折り曲げられ交叉している。
なお、ミラー802は、可変ミラーで構成してもよい。
810は明るさ絞りである。
また、ズーム撮像光学系809は、可変ミラー409の変形のみでフォーカシングが可能なように構成されている。
このように構成したので、フォーカシング時にレンズを駆動する必要がないので、消費電力が非常に小さく、動作音が静かで、機械的構造が簡単な、コンパクトかつ低コストの光学系及び光学装置を実現できる。
なお、可変ミラー409の反射面の形状は、自由曲面にするのがよい。自由曲面にすれば、収差補正が容易にでき有利である。
図1のズーム撮像光学系809において、可変ミラー409が平面から曲面に変形すると、ミラー面の反射によって偏心収差が発生し、特に、可変ミラー409の変形量が大きい近点合焦時に偏心収差は増大して発生するので、遠点から近点まで良好な光学性能を得るために、レンズあるいは撮像面(撮像素子408の表面)に、シフトあるいはティルトの偏心を加えて固定している。これにより、フォーカシング時の偏心収差の発生をバランスさせている。
また、図1のズーム撮像光学系809は、偏心収差を補正するために、少なくとも1つの回転対称なレンズ、あるいはレンズ群、あるいは撮像面が、Z軸に対してシフト又はティルトの偏心をして配置されている。
このように配置すると、形状可変ミラーはそのパワーが強くなるにつれて偏心収差の残存量が増大するが、そのような場合でも、良好な光学性能を得ることが可能となる。なお、本発明の光学装置及び光学装置に適用する光学系における偏心とは、シフト及びティルトのことを指す。
可変ミラー409は、前記レンズ群あるいは撮像面に加えたシフト及びティルトの偏心と合わせて、フォーカシング時の収差のバランスが良くなるように、回転非対称な形状に変形するように制御される。
なお、レンズ群あるいは撮像面にシフト及びティルトを加えるのではなく、可変ミラー409が単独で偏心収差を補正するように、可変ミラー409の反射面の形状を変形させるようにしてもよい。
また、図1のズーム撮像光学系809によれば、可変ミラー409は、フォーカシングする物体距離が近くなるにつれて正のパワーが大きくなるように構成されている。
このように構成したので、遠点から近点までの広範囲で良好にフォーカスすることができる。なお、本明細書において、パワーの符号は、収束作用を持つ場合をプラス、発散作用を持つ場合をマイナスとして定義する。つまり、形状可変ミラーでは凹面の変形量が大きいほど正のパワーを持つことになる。
また、可変ミラー409は、正のパワーのみを持つことができるように構成しても良い。
このように構成すれば、機械的構造や電気的構造が簡単になり、低コストの形状可変ミラーを提供することができる。
なお、可変ミラー409は、変形により正のパワーと負のパワーの両方を持つことができるように構成してもよい。
このように構成すると、形状可変ミラーの偏心収差の発生を抑制し、且つ、良好な光学性能を得ることができる。即ち、形状可変ミラーは、パワーが増大するにつれて変形量が大きくなり、それにより偏心収差が発生し、光学性能が劣化してしまうが、形状可変ミラーが正のパワーと負のパワーの両方を持つことで変形量が抑えられて、偏心収差の発生を抑制し、且つ、良好な光学性能を得ることができる。
また、可変ミラー409は、ミラー面の変形の際にミラー面を形成する薄膜の周辺部が輪帯状の部材に固定されるように構成すると良い。
そして、ミラー面の中央付近が変位するように構成するとよい。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、少なくとも1つ以上の接合レンズを有するように構成されている。即ち、図1の実施形態の光学系809では、レンズ群804,805はそれぞれ接合レンズで構成され、レンズ群806は接合レンズを有している。
このように構成すれば、各レンズ群で発生する色収差を良好に補正することができ、さらに光学系のコンパクト化にも寄与することができる。
さらに、可変ミラー409には、フォーカスだけでなく、手ブレ補正、製造誤差の補正、変倍等の機能を合わせて持たせても良い。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、可変ミラーによる軸上主光線の折り曲げ角をθとしたときに、ある状態で次の条件式(1)を満足することが望ましい。
10° < θ < 67° …(1)
条件式(1)の下限値を下回ると、折り曲げられた光束同士が干渉して、光学設計が困難になる。一方、条件式(1)の上限値を上回ると、偏心収差が大きくなり結像性能が低下する。
なお、軸上主光線とは、物体中心を出て絞り中心を通り、像中心に到達する光線のことを指す。通常、軸上主光線を光軸と呼ぶ。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、ある状態で次の条件式(1')を満足するのが好ましい。
15° < θ < 56° …(1')
このように構成すれば、光学設計や結像性能に関しより良い結果が得られる。
本発明の実施に適用可能であって、より高精度な用途の光学系及びそれを用いた光学装置では、ある状態で次の条件式(1")を満足するのが好ましい。
20° < θ < 47° …(1")
このように構成すれば、光学設計や結像性能に関しさらに良い結果が得られる。
なお、図2、図3に示すように可変ミラ−に対向するプリズム面あるいは光学素子面がある場合には、式(1)、式(1')、式(1")の代わりに次式(2),(2'),(2")を満足するようにしても良い。
10° < θ/npr < 67° …(2)
15° < θ/npr < 56° …(2')
20° < θ/npr < 47° …(2")
但し、nprは可変ミラーに対向するプリズム(図2の実施形態ではプリズム820、図3の実施形態ではプリズム830,831)あるいはその他の光学素子の屈折率である。
図2は本発明の他の実施形態にかかる可変ミラーを用いた撮像光学系の概略構成図、図3は本発明のさらに他の実施形態にかかる可変ミラーを用いた撮像光学系の概略構成図である。
図2の撮像光学系818は、凹レンズ801と、曲面プリズム820と、可変ミラー409−1と、レンズ群804と、接合レンズを備えたレンズ群805と、可変ミラー409−2と曲面ミラー823とレンズ群807と、撮像素子408とで構成されている。
図3の撮像光学系は、曲面プリズム830と、可変ミラー409−1と、曲面プリズム831と、可変ミラー409−2と、撮像素子408とを有して構成されている。なお、図3中、846は電子回路、411は可変ミラー409−1,409−2に備わる電極に印加する電圧を変化させる可変抵抗器を備えた駆動回路、424は振れセンサーである。
図2の光学系において、曲面プリズム820、曲面ミラー823は、すべての光学面が回転対称な面で構成されている。また、曲面プリズム820は、反射面824を有している。但し、820の光学面は回転対称な面、又は自由曲面を含んでいてもよい。
また、図3の光学系において、曲面プリズム830,831は、その光学面が回転非対称な面、又は自由曲面を含んでいる。また、曲面プリズム830,831は、それぞれ反射面834−1,834−2を有している。
なお、回転対称な面には平面を含むものとする。
光軸折り曲げ部が2つの反射面で構成される場合、可変ミラーによる軸上主光線の折り曲げ角θ,もう一つの反射面による光軸の偏向角φの値は、機械設計上、次式を満足することが望ましい。図1、図2、図3の実施形態の光学系のように折り曲げられた光軸が交叉する場合は、
45° ≦ θ/npr + φ ≦ 130° …(3)
を満足することが望ましい。
60° ≦ θ/npr + φ ≦ 115° …(3')
を満足すれば、なお良い。なお、可変ミラー409に対向するプリズムあるいは光学素子がない時はnpr=1とする。
折り曲げられた光軸が図3のように交叉しない場合は、同様の理由で、
90° ≦ θ/npr + φ ≦ 220° …(4)
を満足することが望ましい。
75° ≦ θ/npr + φ ≦ 205° …(4')
を満足すれば、なお良い。
図4は本発明のさらに他の実施形態にかかる可変ミラーを用いた表示光学系の概略構成図である。
図4の表示光学系は、表示素子864と、プリズム862と、可変ミラー409−2と、接合レンズを備えたレンズ群805と、レンズ群804と、プリズム861,860と可変ミラー409−1と、凹レンズ801を有して構成されている。プリズム860とプリズム861とは、低屈折率の接着剤で接合されている。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置においては、光束同士の干渉を避けるため、機械設計上、可変ミラーでない反射面による光軸の偏向角φは次式を満足すると良い。
光軸が交叉しない場合は、
25° ≦ φ ≦ 75° …(5)
を満足することが望ましい。
また、式(5)の代わりに
30° ≦ φ ≦ 60° …(5')
を満足すれば、なお良い。
光軸が交叉する場合は、
105° ≦ φ ≦ 155° …(6)
を満足することが望ましい。
また、式(6)の代わりに
120° ≦ φ ≦ 150° …(6')
を満足すれば、なお良い。
また、図1の光学系のように2つの反射面で光軸折曲部が形成されている場合は、
39° ≦ θ ≦ 46° …(7)
39° ≦ φ ≦ 46° …(8)
を満足するように、θ、φを選べば、機械設計的に特に有利な光学系となる。
式(7),(8)の代わりに
30° ≦ θ ≦ 60° …(7')
30° ≦ φ ≦ 60° …(8')
を満足するようにしてもかなりの効果がある。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、可変ミラーよりも像側のレンズ群、すなわち前記可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率をβ1としたときに、ある状態で次の条件式(9)を満足することが望ましい。但し、図1のような変倍光学系の場合にはβ1の絶対値が最も小さい状態におけるβ1の値が下記式(9)を満足すればよい。
0.05 < |β1| < 1.1 …(9)
条件式(9)の下限値を下回ると、可変ミラー以降のレンズ群の倍率が低すぎるので、可変ミラーにおけるフォーカス感度が低下し、フォーカシングに必要な可変ミラーの変形量が増大してしまう。一方、条件式(9)の上限値を上回ると、レンズ群の倍率が高すぎるので可変ミラーで発生する偏心収差が拡大され、満足な光学性能を得ることが難しくなる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、ある状態で次の条件式(9')を満足するのが好ましい。
0.1 < |β1| < 0.8 …(9')
このように構成すれば、光学性能を確保し、且つ、可変ミラーの変形量を適正な範囲で抑えられるので、より良い結果が得られる。
さらに高精度な光学系では、ある状態で次の条件式(9")を満足するのが好ましい。
0.17 < |β1| < 0.5 …(9")
このように構成すれば、さらに光学性能を確保し、且つ、可変ミラーの変形量をより適正な範囲で抑えられるので、さらに良い結果が得られる。
さらに、
0.2 < |β1| < 0.35 …(9"')
とすれば、なお一層よい。
第1の反射面(例えば、図1の実施形態ではミラー802)から、物体側の最も近い透過型の光学面(図1の実施形態では凹レンズ801の像側の面)までの長さをL1とする。
第1の反射面から第2の反射面(図1の実施形態では可変ミラー409の反射面)までの長さをL2とする。
最も後方の反射面(図1の実施形態では可変ミラー409)からその反射面に最も近い後群の透過型の光学面(図1の実施形態ではレンズ群804の物体側の面)までの長さをLBとする。
なお、図1の実施形態のような変倍光学系の場合は、レンズ群804は動くため、最も可変ミラー409に近付いたときのレンズ群804の位置でもって長さLBを決めるものとする。そして、これらの長さLを、
L = L1+L2+L3+…+LB …(10)
とする。
なお、レンズ群(図1の実施形態ではレンズ群801)と、レンズ群(図1の実施形態ではレンズ群804)との間に挟まれた反射面の数が2より大きい場合でも、長さLは、次式(10)によって定義される。
また、反射面が1つの場合でも、式(10)及び以下の式(11)、式(11')、式(11")は、本発明において適用できる。
このとき、次式(11)を満足することが望ましい。
2 < |L/fw| < 25 …(11)
ここで、fwは光学系の焦点距離であり、例えば図1の実施形態のような変倍光学系809の場合は広角状態(つまり最も焦点距離の絶対値の小さい状態)での焦点距離である。なお、fwを計算する場合、反射型の光学特性可変素子の面形状は平面とみなして計算するものとする。
|L/fw|の値が式(11)の下限値を下回ると、光束のケラレなどのために、反射面を配置することが困難になる。一方、|L/fw|の値が式(11)の上限値を上回ると、レンズ全体の寸法が増える、収差の補正が困難になる、等の問題が生ずる。
なお、
4 < |L/fw| < 15 …(11')
とすれば、さらに良い。
また、Fnoが暗い光学系の場合は、
0.7< |L/fw| < 50 …(11")
を満たせば、実用上良い。
なお、図2の実施形態のような光学系818の場合、L1,L2,LBは、図示した部分の長さを示すものとする。
光学系818には、光軸折り曲げ部が2つ、821と822とあるが、それぞれについて長さL1,L2,LBは定義される。
また、本発明では、長さL1,L2,・・・,LBを計るとき、曲面プリズム820の可変ミラー409と対向する面825は、曲面、平面の如何を問わず本発明でいうところの透過型の光学面とは見なさないものとする。すなわち、本発明では、光路上、可変ミラーに前後する透過型の光学面であっても同一の透過面を構成する面についは、上記長さの基準から除いている。
また、図2の実施形態では、面825は回転対称面で構成されている。
また、図3の実施形態のように、2つの自由曲面プリズム830,831を含む光学系の場合は、図3に示したように長さL1,L2,LBを定義する。
即ち、面825を除き、自由曲面プリズム830,831の曲面をレンズ面と見なして、長さL1,L2,LBを計るものとする。
なお、図3の実施形態は、携帯電話用のデジタルカメラ光学系の構成例である。
また、図4の実施形態は、光軸折り曲げ部を2つ有する表示光学系の構成例である。低屈折率の接着剤の面863は、透過と全反射の2つの機能を有している。
図5は本発明の更に他の実施形態にかかるレンズ後方に光軸折り曲げ部を持つズーム撮像光学系の概略構成図である。
図5の実施形態の撮像光学系は、凹レンズ801と、レンズ群804と、差都合レンズを備えたレンズ群805と、レンズ群806と、可変ミラー409と、ミラー870と、レンズ871と、ローパスフィルターや赤外カットフィルターなどのフィルター群872と、撮像素子408とで構成されている。図5の光学系において、凹レンズ801、レンズ群804,805,806、ミラー870,レンズ871、フィルター群872は、すべての光学面が回転対称な面で構成されている。
なお、凹レンズ801、レンズ群804〜806の鏡枠を沈胴式(スライド式)にすれば、撮像光学系を利用しない時に全長を小さくすることができ便利である。
図1、図2、図3、図5の例では、いずれも反射型の光学特性可変素子と結像面の位置関係が固定されているのが特徴である。このようにすると、光学系が製作し易くて良い。
また、図1、図2、図3の例では、結像面と最も物体側の光学素子の位置関係が固定されている。このようにすると、光学装置が強固になるのでよい。
なお、いずれかの光学素子の位置関係が結像素子に対して固定されていても同様の効果がある。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、可変ミラーの物体側に負パワーのレンズ群を有し、該レンズ群の焦点距離をf1、光学系の焦点距離をfとしたときに、ある状態で、次の条件式(12)を満足することが望ましい。
−10.0 < f1/f < −0.15 …(12)
このように構成すれば、形状可変ミラーの小型化、低コスト化、及び良好な光学性能を得ることができる。即ち、条件式(12)の下限値を下回ると、負レンズ群の負パワーが非常に弱くなり、広角端における形状可変ミラーの軸外光線高を小さくすることができず、形状可変ミラーの大型化につながり、コスト高を招く。一方、条件式(12)の上限値を上回ると、負レンズ群の負パワーが強くなりすぎ、そのレンズ群で発生するコマ収差や倍率の色収差を補正することが困難になる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、ある状態で次の条件式(12')を満足するのが好ましい。
−4.5 < f1/f < −0.4 …(12')
このように構成すれば、良好な光学性能を確保し、且つ、さらに形状可変ミラーの小型化を実現できる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーの最大変形量をmd、光学系の焦点距離をfとしたときに、所定の状態で次の条件式(13)を満足することを特徴としている。
0 < |md/f| < 0.3 …(13)
但し、本発明では、光学系の焦点距離fは、形状可変ミラーの反射面が平面形状である場合における光学系の焦点距離として定義する。
このように構成すれば、形状可変ミラーの変形量を適正な範囲に抑えることができる。即ち、上記条件式(13)の上限値を上回ると、形状可変ミラーの変形量が大きくなりすぎて偏心収差の発生量が増大し、所望の光学性能を満足することが難しくなる。さらに、製造上の難易度が高くなる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、所定の状態で次の条件式(13')を満足するのが好ましい。
0 < |md/f| < 0.1 …(13')
このように構成すれば、さらに偏心収差の発生量を抑えることができる。
さらに、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、所定の状態で次の条件式(13")を満足するのが好ましい。
0 < |md/f| < 0.03 …(13")
このように構成すれば、さらに良好に偏心収差の発生量を抑えることができる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーの最大変形量をmd、形状可変ミラーにおける光学的に有効な反射面の面積をSmとしたときに、所定の状態で次の条件式(14)を満足することを特徴としている。
0 < md2/Sm < 5.0×10-4 …(14)
このように構成すれば、形状可変ミラーの変形量を適正な範囲に抑えることができる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、所定の状態で次の条件式(14')を満足するのが好ましい。
0 < md2/Sm < 1.0×10-4 …(14')
このように構成すれば、さらに良好に形状可変ミラーの変形量を適正範囲に抑えることができる。
また、本発明の実施に適用可能な可変ミラーを含んだ光学系は、可変ミラーの駆動方式が電圧駆動方式(例えば、静電駆動、圧電効果の利用など)の場合は、可変ミラーの焦点距離を変える時に可変ミラーに印加する電圧をVm(Volt)としたときに、所定の状態で次の条件式(15)を満足することが望ましい。
0 ≦ |Vm| < 500 …(15)
このように構成すれば、空気放電の危険性を低減させ、且つ、形状可変ミラーの変形量を大きくすることができる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、可変ミラーによって焦点距離を変える際に、可変ミラーの駆動方式が電圧駆動方式の場合は、可変ミラーに印加する電圧をVm(Volt)としたときに、所定の状態で次の条件式(15')を満足するのが好ましい。
0 ≦ |Vm| < 300 …(15')
このように構成すれば、消費電力を低減させることができるので、さらに良い光学系及び光学装置を提供できる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーのパワーに比例する量をφDM、光学系の焦点距離をfとしたときに、所定の状態で次の条件式(16)を満足することが望ましい。
0 ≦ |φDM×f| < 1.00 …(16)
但し、前記形状可変ミラーのパワーに比例する量φDMは、前記形状可変ミラーの偏心方向(Y方向)面内でのパワーに比例する量φDMyと、それと直交する方向(X方向)面内でのパワーに比例する量φDMxとの平均値であり、φDM=(φDMx+φDMy)/2と定義される。なお、本願では、後述するパワー成分であるC4,C6を用いて、φDMx=C4,φDMy=C6で定義される。
このように構成すれば、形状可変ミラーのフォーカシング作用を満足に得ることができ、さらに形状可変ミラーで発生する偏心収差を適正な範囲で抑えることができる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、所定の状態で次の条件式(16')を満足するのが好ましい。
0 ≦ |φDM×f| < 0.50 …(16')
このように構成すれば、さらに形状可変ミラーで発生する偏心収差を抑えることができる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、所定の状態で次の条件式(16")を満足するのが好ましい。
0 ≦ |φDM×f| < 0.10 …(16")
このように構成すれば、さらに良好に形状可変ミラーで発生する偏心収差を抑えることができる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、前記可変ミラーによって遠点にフォーカシングした際に、可変ミラーが、フォーカシングした状態のパワーよりもさらに小さいパワーの状態に変形できることが望ましい。
このように構成すれば、コントラスト方式のオートフォーカスを行うことが可能になる。即ち、可変ミラーが遠点合焦時よりも小さいパワーになることで、合焦位置検出時の遠点における像のボケ具合を調節することができる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、前記可変ミラーによって近点にフォーカシングした際に、可変ミラーが、フォーカシングした状態のパワーよりもさらに大きいパワーの状態に変形できることが望ましい。
このように構成すれば、コントラスト方式のオートフォーカスを行うことが可能になる。即ち、可変ミラーが近点合焦時よりも大きいパワーになることで、合焦位置検出時の近点における像のボケ具合を調節することができる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、前記可変ミラーによって物体距離が無限大の物点にフォーカシングした際に、可変ミラーの形状が平面ではなく、ゼロよりも大きなパワーを持つ凹面形状に変形することが望ましい。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、可変ミラーの物体側に配置された負パワーのレンズ群が、1枚の凹レンズで構成されていることが望ましい。
このように構成すれば、可変ミラーから物体側のレンズが1枚だけとなるので、コンパクトで薄型の光学系を実現することができる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、光学系の全長をCj、光学系の焦点距離をfとしたときに、ある状態で次の条件式(17)を満足することが望ましい。
1.0 < Cj/f < 60.0 …(17)
条件式(17)の上限値を上回ると、光学系の全長が長くなりすぎ、コンパクト化が困難になる。一方、条件式(17)の下限値を下回ると、コンパクト化は達成できるが、レンズ群の配置が制限され、十分な光学性能を得ることができない。
なお、CJは折り曲げられた光軸を伸ばして計った最も物体側の光学素子から結像面までの距離である。表示装置の場合は表示素子から最も像寄りの光学素子面までの距離である。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、ある状態で次の条件式(17')を満足するのが好ましい。
3.0 < Cj/f < 40.0 …(17')
このように構成すれば、コンパクトな光学系でありながら、より高い光学性能を得ることができる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、ある状態で次の条件式(17")を満足するのが好ましい。
5.0 < Cj/f < 23.0 …(17")
このように構成すれば、コンパクトな光学系でありながら、さらに良い光学性能を得ることができる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つのレンズにシフトを加え、そのシフト量をδ、光学系の焦点距離をfとしたときに、所定の状態で次の条件式(18)を満足することが望ましい。
0.0 ≦ |δ/f| < 1.00 …(18)
このように構成すれば、レンズに加える偏心量を適正な範囲で抑えることができ、可変ミラーのパワーが弱い場合と強い場合の光学性能のバランスを取ることができる。ここでのシフト量δとは、シフトを加えたレンズの中心軸と光学系のZ軸との距離として定義される量である。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、所定の状態で次の条件式(18')を満足するのが好ましい。
0.0 ≦ |δ/f| < 0.50 …(18')
このように構成すれば、遠点合焦時と近点合焦時の性能をさらに良くすることができる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、所定の状態で次の条件式(18")を満足するのが好ましい。
0.0 ≦ |δ/f| < 0.25 …(18")
このように構成すれば、遠点合焦時と近点合焦時の性能をさらにより一層良くすることができる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つのレンズあるいは撮像面にティルトを加え、そのティルト量をεとしたときに、所定の状態で次の条件式(19)を満足することが望ましい。
0.0° ≦ |ε| < 20° …(19)
このように構成すれば、レンズに加える偏心量を適正な範囲で抑えることができ、形状可変ミラーのパワーが弱い場合と強い場合の光学性能のバランスを取ることができる。なお、ティルト量εとは、ティルトを加えたレンズあるいは撮像面の中心軸と光学系のZ軸との傾き角として定義される量である。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、所定の状態で次の条件式(19')を満足するのが好ましい。
0.0° ≦ |ε| < 10° …(19')
このように構成すれば、遠点合焦時と近点合焦時の性能をさらに良くすることができる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、所定の状態で次の条件式(19")を満足するのが好ましい。
0.0° ≦ |ε| < 5.5° …(19")
このように構成すれば、遠点合焦時と近点合焦時の性能をさらにより一層良くすることができる。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、それぞれのレンズあるいは撮像面に加えたティルト量の絶対値の中で、撮像面のティルト量の絶対値が最大となるようにすることが望ましい。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、撮像面に加えたティルトの方向が、可変ミラーと平行に近づく方向であることが望ましい。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーの変形によって発生する偏心収差を補正するために少なくとも1つのレンズあるいは撮像面にシフト及びティルトを加えた光学系において、それぞれのシフトがある一つの平面内で行われ、かつ、ティルトの回転軸がその平面に垂直であることが望ましい。
また、本発明の実施に適用可能な光学系及びそれを用いた光学装置は、明るさ絞りが可変ミラーよりも像側に配置されていることが望ましい。
また、本発明の光学系及びそれを用いた光学系は、可変ミラーより後方に凹レンズを1枚以上有するのが望ましい。
このように構成すれば、軸上の色収差、倍率の色収差を良好に補正することができる。
また、可変ミラーより後方の凹レンズの枚数を2枚あるいは3枚以上とすれば、なお良い。
ここで、本願における座標系、面形状について定義する。
軸上主光線とは、物体中心を出て絞り中心を通り、像中心に到達する光線のことを指す。通常、軸上主光線を光軸と呼ぶ。
次に、本発明の実施に適用可能な光学系の中の形状可変ミラーの反射面の形状、即ち、以下の式(a)で定義される自由曲面(FFS)について述べることにする。この定義式のZ軸が自由曲面の軸となる。
ここで、上記(a)式の第1項は球面項、第2項は自由曲面項である。
球面項中、
c:頂点の曲率
k:コーニック定数(円錐定数)
r=√(X2+Y2
N:2以上の自然数
m:0以上の整数
n:0以上の整数
である。
自由曲面項は、
但し、Cj(jは2以上の整数)は係数である。
上記自由曲面は、一般的には、X−Z面、Y−Z面共に対称面を持つことはないが、Xの奇数次項を全て0にすることによって、Y−Z面と平行な対称面が1つだけ存在する自由曲面となる。また、Yの奇数次項を全て0にすることによって、X−Z面と平行な対称面が1つだけ存在する自由曲面となる。
また、上記の回転非対称な曲面形状の面である自由曲面は、他の定義式として、Zernike多項式により定義できる。この面の形状は以下の式(b)により定義する。その定義式(b)のZ軸がZernike多項式の軸となる。回転非対称面の定義は、X−Y面に対するZの高さの極座標で定義され、RはX−Y面内のZ軸からの距離、AはZ軸回りの方位角で、Z軸から測った回転角で表せられる。
X=R×cos(A)
Y=R×sin(A)
Z=D2
+D3Rcos(A)+D4Rsin(A)
+D52cos(2A)+D6(R2−1)+D72sin(2A)
+D83cos(3A)+D9(3R3−2R)cos(A)+D10(3R3−2R)sin(A)
+D113sin(3A)+D124cos(4A)+D13(4R4−3R2)cos(2A)
+D14(6R4−6R2+1)+D15(4R4−3R2)sin(2A)+D164sin(4A)
+D175cos(5A)+D18(5R5−4R3)cos(3A)
+D19(10R5−12R3+3R)cos(A)
+D20(10R5−12R3+3R)sin(A)
+D21(5R5−4R3)sin(3A) +D225sin(5A)
+D236cos(6A)+D24(6R6−5R4)cos(4A)
+D25(15R6−20R4+6R2)cos(2A)
+D26(20R6−30R4+12R2−1)
+D27(15R6−20R4+6R2)sin(2A)
+D28(6R6−5R4)sin(4A)+D296sin(6A)・・・・・・
・・・(b)
但し、Dm(mは2以上の整数)は係数である。なお、X軸方向に対称な光
学系として設計するには、D4,D5,D6,D10,D11,D12,D13,D14,D20,D21,D22…を利用する。
上記定義式は、回転非対称な曲面形状の面の例示のために示したものであり、他のいかなる定義式に対しても同じ効果が得られることは言うまでもない。数学的に同値ならば他の定義で曲面形状を表してもよい。
本発明の実施においては、前記(a)式の中のXの奇数時の項を全て0とすることで、Y-Z面と平行な対称面を持つ自由曲面としている。
なお、非球面形状は、光軸方向をZ、光軸に直行する方向をYにとり、円錐係数をk、非球面係数をa、b、c、dとしたとき、次式(c)で表される。
Z=(Y2/r)/[1+{1−(1+k)・(Y/r)21/2
+ay4+by6+cy8+dy10・・・ ・・・(c)
なお、上記数値データに関する説明は、本発明の各実施の形態及び各実施例の数値データに共通である。
以下の各実施例中、“ASP”は非球面、“FFS”は自由曲面、“DM”は形状可変ミラーを表す。データに記載されていない非球面、自由曲面等に関する項は0である。屈折率、アッベ数はともにd線(波長587.56nm)に対するものを表記してある。長さの単位はmm、角度の単位はdegである。また、各実施例では、最像面側に3枚又は2枚の平行平板を挿入しているが、これは撮像素子のカバー用のカバーガラス、このカバーガラスの前方のローパスフィルター、さらに前方のIRカットフィルターを想定したものである。なお。IRカットフィルターをローパスフィルターにコーティングして作製すると2枚の平行平板になる。
各実施例において、物体面における座標系のZ軸は、物体中心を通り、物体面に垂直な直線で定義されている。このZ軸と直交する方向をY軸とし、このY軸、Z軸と右手直交座標系を構成する軸をX軸とする。また、光軸は物体面中心と絞り中心あるいは射出瞳を通る光線の通り道で定義する。従って、光軸は形状可変ミラーの変形と共に変化することになるが、その変化はわずかである場合が多い。従って、各実施例ではZ軸と光軸が略一致している。
偏心面は、その座標系の原点から、その面の面頂位置のシフト(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向をそれぞれX、Y、Z)と、その面の中心軸(自由曲面については、前記(a)式のZ軸)のX軸、Y軸、Z軸それぞれを中心とするティルト(それぞれα、β、γ(deg))で与えられる。偏心を行うときの座標系の原点は、偏心を行う面をk面としたとき、k−1面の面頂位置からZ軸方向に面間隔の分だけ移動した点とする。偏心の順序は、Xシフト、Yシフト、Zシフト、αティルト、βティルト、γティルトの順である。なお、その場合αとβの正は、X軸、Y軸それぞれをマイナス側から見たときの反時計回り方向を、γの正はZ軸をマイナス方向から見たときの時計回り方向で定義する。
なお、各実施例において、偏心はディセンタアンドリターン(以下DAR)とディセンタオンリー(以下DEO)の2種類がある。DARによる偏心では、k面が偏心していたとき、k+1面以降の座標系が、偏心前のk面の座標系と一致する。k+1面の面頂位置は、偏心前のk面の面頂位置からZ軸方向に面間隔の分だけ移動した点として定義する。一方、DEOでは、k面が偏心していたとき、k+1面以降の座標系は、偏心後のk面の座標系と一致する。k+1面の面頂位置は、偏心後のk面の面頂位置からZ軸方向に面間隔の分だけ移動した点として定義する。
また、反射面の座標系のZ軸正方向は、表面から裏面側に向かう方向になる。
従って、反射面がXY多項式で表される自由曲面形状に変形している場合、パワー成分に対応するC4、C6が正のとき、凸面ミラーになる。つまり、負のパワーを持つミラーになる。逆に、パワー成分に対応するC4、C6が負のとき、凹面ミラーになる。つまり、正のパワーを持つミラーになる。
また、光線が反射面で反射された後の光学系の座標系は、反射前の座標系をX軸中心に180°回転させたものとして定義する。これによって、常に光学系のZ軸正方向に沿って光線が進行することになる。
前記形状可変ミラーは、遠点から近点までフォーカシングするためにパワーを変えることができるが、コントラスト方式のオートフォーカスを行うために遠点合焦時よりも弱いパワーの状態、及び近点合焦時よりも強いパワーの状態を取れるように設計されている。以下の各実施例では、遠点合焦時よりも弱いパワーの状態を遠点余裕、近点合焦時よりも強いパワーの状態を近点余裕と定義している。つまり、形状可変ミラーは遠点余裕、遠点、近点、近点余裕の4状態が存在することになる。
なお、以下の各数値実施例における形状可変ミラーは、実際の製作時の製造誤差による像面のZ方向のずれ、及び温度変化による像面のZ方向のずれを考慮して、フォーカス範囲の前後に変形量の余裕を持たせた設計になっている。
上記のように、形状可変ミラーにフォーカシングの機能をもたせることにより、メカ的な駆動を行わずにフォーカシングできるので、鏡枠構造が簡単になり、小型化、低コスト化を実現することができる。さらに、フォーカシング時のモータの駆動音がなくなるメリットがある。
図6〜図8は本発明の光学装置に適用可能な光学系の実施例1の概略構成を示すY−Z断面図であり、図6は広角端、図7は標準、図8は望遠端の状態を示している。
なお、図6〜図8では便宜上、普通の平面ミラーによる光路の折り曲げを省略して示してあるが、実施例1の光学系では、図1に示した実施形態の光学系のように普通の平面ミラーで45度、可変ミラーで45度光路を折り曲げている。
また、後述するレンズデータにおいても、普通の平面ミラーを省略して示してあるが、実際には、平面ミラーは、可変ミラ−の前方8.25mmの位置に設けられている。
また、実施例1の形状可変ミラーは、遠点から近点をフォーカシングするためにパワーを変えることができるが、コントラスト方式のオートフォーカスを行うために遠点合焦時よりも弱いパワーの状態、及び近点合焦時よりも強いパワーの状態を取ることができるように設計されている。実施例1においては、遠点合焦時よりも弱いパワーの状態を遠点余裕、近点合焦時よりも強いパワーの状態を近点余裕と定義している。
つまり、実施例1における形状可変ミラーは、遠点余裕、遠点、近点、近点余裕の4状態それぞれに、変倍の広角端、中間状態、望遠端の3状態が存在するので、全部で12状態が存在することになる。
遠点余裕、遠点、近点、近点余裕の4状態では、物体距離、撮像面位置が異なる。
なお、実施例1における形状可変ミラーは、実際の製作時の製造誤差による像面のZ方向のずれ、及び温度変化による像面のZ方向のずれを考慮して、フォーカス範囲の前後に変形量の余裕を持たせた設計になっている。
また、図6〜図8における形状可変ミラーは、便宜上、ミラー面のみを図示してある。
実施例1の光学系は、物体側から順に、負のパワーを有する固定レンズ群G1と、形状可変ミラーDMと、正のパワーを有する移動レンズ群G2と、絞りSと、負のパワーを有する固定レンズ群G3と、正のパワーを有する移動レンズ群G4と、正のパワーを有する固定レンズ群G5とを有して構成されている。図6〜図8中、符号FLはフィルター群、Iは像面である。なお、フィルター、撮像素子のカバーガラス等も光学素子の一種である。
固定レンズ群G1は、メニスカス凹レンズL1で構成されている。移動レンズ群G2は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と両凸レンズL22との接合レンズで構成されている。固定レンズ群G3は、メニスカス凹レンズL31と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL32との接合レンズで構成されている。移動レンズ群G4は、両凸レンズL41と、両凸レンズL42と両凹レンズL43との接合レンズと、両凹レンズL44とで構成されている。固定レンズ群G5は、両凸レンズL5で構成されている。
また、実施例1の光学系は、移動レンズ群G2と移動レンズ群G4とが移動することで、変倍作用を持たせている。また、形状可変ミラーDMの反射面を形成する薄膜が変形することで、無限遠から近点300mmまでフォーカシングを行うことができるようになっている。
形状可変ミラーの薄膜が平面から曲面に変形すると、ミラー面の反射によって偏心収差が発生し、特に形状可変ミラーDMの変形量が大きい至近合焦時に偏心収差は増大して発生する。このため、実施例1の光学系において遠点から近点まで良好な光学性能を得るために、レンズ群あるいは撮像面にシフト及びティルトの偏心を加えて、フォーカシング時の偏心収差の発生をバランスさせている。図8に偏心の方向を矢印で示した。
実施例1の光学系によれば、メカ的な駆動を行わずにフォーカシングできるので、鏡枠構造が簡単になり、小型化、低コスト化を実現することができる。さらに、フォーカシング時のモーターの駆動音がなくなるメリットがある。
次に、実施例1の光学系を構成する光学部材の数値データを示す。
数値データ1
焦点距離 : 4.4mm(広角)〜13.2mm(望遠),7.6mm(標準)
開放Fナンバー : 2.8(広角)〜3.3(標準)〜5.1(望遠)
撮像面のサイズ : 4.0mm×3.0mm(X方向×Y方向)
動くレンズ間隔は (広角)−(標準)−(望遠)の順である。

普通の平面ミラーのデータは省略してあるが、平面ミラーの位置は可変ミラ−の前方8.25mmのところである。普通の平面ミラーによる光軸の折り曲げ角は45度である。

面番号 曲率半径 面間隔 偏心 屈折率 アッベ数
物体面 ∞ D0
1(仮想面) ∞ 0.00 偏心(1)
2 25.67 1.00 偏心(2) 1.7804 49.4
3 ASP[1] 0.00
4(仮想面) ∞ 21.40
5 ∞ 0.00
6 ∞ 0.00
7 ∞ 0.00 偏心(3)
8(DM) FFS[1] 0.00 偏心(4)
9 ∞ 0.00 偏心(3)
10 ∞ 12.10
11 ∞ 0.00 偏心(5)
12 ∞ 0.00 偏心(5)
13 ∞ D13
14 ASP[2] 0.85 偏心(6) 1.6575 33.3
15 11.71 1.92 偏心(6) 1.6499 55.3
16(絞り面) ASP[3] D16 偏心(6)
17 107.24 1.00 偏心(7) 1.7929 41.2
18 7.42 1.56 偏心(7) 1.8491 24.0
19 14.93 0.43 偏心(7)
20 ∞ D20 偏心(5)
21 ASP[4] 2.36 偏心(8) 1.4900 70.0
22 ASP[5] 0.89 偏心(8)
23 14.22 2.34 偏心(8) 1.5213 65.7
24 -12.93 6.96 偏心(8) 1.6812 30.1
25 13.00 1.22 偏心(8)
26 -6.56 0.68 偏心(8) 1.8299 27.9
27 ASP[6] D27 偏心(8)
28 ∞ 0.00 偏心(5)
29 9.33 2.30 偏心(9) 1.4908 69.2
30 ASP[7] 1.11 偏心(9)
31 ∞ 1.44 1.5477 62.8
32 ∞ 0.10
33 ∞ 0.60 1.5163 64.1
34 ∞ D34
35 ∞ 0.00
像 面(CCD)∞ 0.00 偏心(10)
非球面係数
非球面[1]
曲率半径 7.97
k= 0
a=-3.7265×10-5 b=-3.7143×10-6 c= 9.6404×10-8
d=-1.7897×10-9

非球面[2]
曲率半径 30.43
k= 0
a= 1.5944×10-7 b=-1.4815×10-7 c=-2.3155×10-9
d= 1.2125×10-11 f= 6.5516×10-13 g=-1.2053×10-14
h= 3.1653×10-16

非球面[3]
曲率半径 -43.58
k= 0
a=-2.2905×10-6 b= 4.2783×10-7 c=-5.0313×10-8
d= 1.5611×10-9

非球面[4]
曲率半径 7.13
k= 0
a=-2.7501×10-4 b= 1.4112×10-5 c=-1.3354×10-6
d= 4.7311×10-8

非球面[5]
曲率半径 -27.43
k= 0
a=-6.0572×10-6 b= 2.0804×10-5 c=-1.7300×10-6
d= 6.5271×10-8

非球面[6]
曲率半径 20.39
k= 0
a= 4.5682×10-4 b= 4.0088×10-4 c=-1.0421×10-4
d= 1.0827×10-5 e=-6.0757×10-20 f=-4.7038×10-22
g=-3.6419×10-24 h=-2.8197×10-26

非球面[7]
曲率半径 -8.48
k= 0
a= 5.4589×10-4 b=-6.3342×10-5 c= 6.8699×10-6
d=-2.7683×10-7 e= 8.4003×10-10 f= 1.2201×10-10
g= 4.3140×10-13 h=-3.7503×10-19
FFS[1]
状態1:広角 遠点余裕(∞)
状態2:標準 遠点余裕(∞)
状態3:望遠 遠点余裕(∞)
以上3状態ではC4〜C21はすべて0
Y=0 Z=0

状態4:広角 遠点(∞)
C4=-2.4991×10-4 C6=-2.4856×10-4 C8= 0
C10= 2.1950×10-6 C11= 3.7858×10-7 C13= 1.8474×10-6
C15= 7.7107×10-7 C17= 7.4499×10-8 C19=-5.0041×10-8
C21=-7.2560×10-8
Y=0 Z=0.00701

状態5:標準 遠点(∞)
C4=-7.7223×10-5 C6=-6.4819×10-5 C8= 0
C10=-5.5783×10-8 C11=-1.3297×10-6 C13=-3.0304×10-6
C15=-1.3026×10-6 C17=-1.1664×10-8 C19=-9.8164×10-8
C21= 1.8441×10-9
Y=0 Z=0.00335

状態6:望遠 遠点(∞)
C4=-3.3000×10-5 C6=-2.7793×10-5 C8= 0
C10= 2.0771×10-7 C11=-9.6247×10-7 C13=-1.6125×10-6
C15=-7.5417×10-7 C17=-1.5207×10-9 C19=-3.2815×10-8
C21=-1.7174×10-8
Y=0 Z=0.00168

状態7:広角 近点(300mm)
C4=-4.0436×10-4 C6=-3.8705×10-4 C8= 0
C10=-1.9545×10-6 C11= 5.0250×10-7 C13= 3.3615×10-6
C15= 3.6734×10-7 C17= 4.0646×10-8 C19=-2.3559×10-8
C21= 6.4612×10-8
Y=0 Z=0.01157

状態8:標準 近点(300mm)
C4=-2.3916×10-4 C6=-1.9966×10-4 C8= 0
C10=-1.0627×10-6 C11=-6.0727×10-7 C13=-2.6157×10-6
C15=-1.4758×10-6 C17=-6.7566×10-8 C19=-1.3145×10-7
C21= 3.5131×10-8
Y=0 Z=0.00759

状態9:望遠 近点(300mm)
C4=-1.9462×10-4 C6=-1.6127×10-4 C8= 0
C10=-2.1866×10-6 C11=-2.0560×10-7 C13=-1.4147×10-6
C15=-8.7102×10-7 C17=-1.3124×10-7 C19=-1.1803×10-7
C21= 7.2285×10-8
Y=0 Z=0.00588

状態10:広角 近点余裕(300mm)
C4=-6.9241×10-4 C6=-5.8388×10-4 C8=-5.9904×10-6
C10=-5.8969×10-6 C11= 1.8998×10-6 C13= 2.9095×10-6
C15=-1.2509×10-6 C17=6.1178×10-6 C19= 4.5179×10-7
C21= 1.9494×10-7
Y=0 Z=0.01901

状態11:標準 近点余裕(300mm)
C4=-3.4651×10-4 C6=-2.8937×10-4 C8=-3.5487×10-6
C10=-3.5184×10-6 C11= 1.4147×10-6 C13=-1.0992×10-7
C15=-3.7014×10-8 C17= 9.6527×10-8 C19=-3.1169×10-8
C21= 1.1631×10-7
Y=0 Z=0.00899

状態12:望遠 近点余裕(300mm)
C4=-2.4485×10-4 C6=-2.0300×10-4 C8=-2.2660×10-6
C10=-3.2087×10-6 C11= 2.4419×10-7 C13=-1.1076×10-6
C15=-7.0219×10-7 C17= 1.4929×10-8 C19=-6.1649×10-9
C21= 1.0607×10-7
Y=0 Z=0.00698
偏心量
偏心[1] (DEO)
状態1:広角 遠点余裕(∞)
状態2:標準 遠点余裕(∞)
X= 0.00 Y= 0.00 Z= 0.00
α= 0.07 β= 0.00 γ= 0.00
(状態1、2に共通)

状態3:望遠 遠点余裕(∞)
X= 0.00 Y= 0.00 Z= 0.00
α= 0.11 β= 0.00 γ= 0.00

状態4:広角 遠点(∞)
X= 0.00 Y= 0.00 Z= 0.00
α= 0.08402 β= 0.00 γ= 0.00

状態5:標準 遠点(∞)
X= 0.00 Y= 0.00 Z= 0.00
α= 0.00 β= 0.00 γ= 0.00

状態6:望遠 遠点(∞)
X= 0.00 Y= 0.00 Z= 0.00
α= 0.09 β= 0.00 γ= 0.00

状態7:広角 近点(300mm)
X= 0.00 Y= 0.00 Z= 0.00
α= 0.01 β= 0.00 γ= 0.00

状態8:標準 近点(300mm)
X= 0.00 Y= 0.00 Z= 0.00
α= 0.04 β= 0.00 γ= 0.00

状態9:望遠 近点(300mm)
X= 0.00 Y= 0.00 Z= 0.00
α= 0.03 β= 0.00 γ= 0.00

状態10:広角 近点余裕(300mm)
X= 0.00 Y= 0.00 Z= 0.00
α= 0.05 β= 0.00 γ= 0.00

状態11:標準 近点余裕(300mm)
X= 0.00 Y= 0.00 Z= 0.00
α= 0.06 β= 0.00 γ= 0.00

状態12:望遠 近点余裕(300mm)
X= 0.00 Y= 0.00 Z= 0.00
α= 0.10 β= 0.00 γ= 0.00

偏心[2] (DEO)
X= 0.00 Y= 0.00 Z= 0.00
α= -0.112485 β= 0.00 γ= 0.00

偏心[3] (DEO)
X= 0.00 Y= 0.00 Z= 0.00
α= 22.50 β= 0.00 γ= 0.00

偏心[4] (DAR)
状態1:広角 遠点余裕(∞)
状態2:標準 遠点余裕(∞)
X= 0.00 Y(FFS[1]に記載) Z(FFS[1]に記載)
α= -0.030508 β= 0.00 γ= 0.00

偏心[5] (DAR)
X= 0.00 Y= 0.00 Z= 0.00
α= 0.00 β= 0.00 γ= 0.00

偏心[6] (DAR)
X= 0.00 Y= -0.005637 Z= 0.00
α= 0.00 β= 0.00 γ= 0.00

偏心[7] (DAR)
X= 0.00 Y= 0.027831 Z= 0.00
α= 0.00 β= 0.00 γ= 0.00

偏心[8] (DAR)
X= 0.00 Y= -0.000581 Z= 0.00
α= 0.00 β= 0.00 γ= 0.00

偏心[9] (DAR)
X= 0.00 Y= 0.002028 Z= 0.00
α= 0.00 β= 0.00 γ= 0.00

偏心[10] (DAR)
X= 0.00 Y= 0.00 Z= 0.00
α= 0.575351 β= 0.00 γ= 0.00

但し、第4面の座標系は第1面の座標系と同じである。また、第5面以後の座標系は第4面から順に定義していくものとする。
物体距離
遠点余裕 遠点 近点 近点余裕
D0 ∞ ∞ 300.00 300.00

像面距離
状態 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
D34 0.60 0.62 0.68 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.40 0.38 0.32

ズーム間隔
広角 標準 望遠
D13 10.19 0.00 0.00
D16 0.20 10.39 10.39
D20 8.79 6.77 0.10
D27 0.11 2.13 8.80
なお、以下の条件式は図6〜図8に示した実施例1の光学系にあてはまる。これらの条件式は、少なくとも一つの状態において満たされていればよい。
条件式(1),(1'),(1"),(2),(2'),(2"),(9),(9'),(9"),(12),(12'),(10),(11),(11'),(11"),(3),(3'),(4),(4')、(5),(5'),(6),(6'),(7),(8),(7'),(8')、(13),(13'),(13"),(14),(14'),(15),(15'),(16),(16'),(16"),(17),(17'),(17"),(18),(18'),(18"),(19),(19'),(19")
実施例1において、焦点距離fの値は、数値データに記載の通り、4.4mm(広角)〜13.2mm(望遠)、7.6mm(標準)である。
可変ミラーの最大変形量mdの値(mm)は、第8面の偏心量Zの値に等しい。
条件式(14),(14')の形状可変ミラーにおける光学的に有効な反射面の面積Smの値は、85mm2 (半径5.2mmのほぼ円形)である。
条件式(15),(15')の形状可変ミラーに印加する電圧Vmの値は、状態によって変化するが、0〜200Vである。
条件式(16),(16'),(16")の形状可変ミラーΦDMの値は、ΦDM=(1/2)*(C4+C6)である。また、φDMx=C4,φDMy=C6である。
条件式(12),(12')の可変ミラーの物体側に配置された負パワーのレンズ群の焦点距離f1の値は、−15.1768である。
可変ミラーにおける軸上主光線の折り曲げ角θの値は、45°である。
条件式(9)〜(9")の可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率β1は、広角−0.29、標準−0.51、望遠−0.87である。
条件式(17)〜(17")の光学系の全長Cj(折り曲げた光路を伸ばした長さ)は、79.045mmである。
なお、上述のように、本発明の各条件式は、光学系の少なくとも一つの状態で満たされていればよい。
次に、実施例1における条件式のパラメータ値を示す。
1=12.15
2=8.25
B=11.0
L=32.4
fw=4.401
L/fw=7.36
θ = 45°
φ = 45°
npr=1
θ/npr+φ =90°
f1/f= −3.45 (広角)
= −2.0 (標準)
= −1.15 (望遠)
md=19ミクロン(広角近点余裕)
9ミクロン(標準近点余裕)
7ミクロン(望遠近点余裕)
md/f=0.0043(広角近点余裕)
md2/Sm=0.00000425(広角近点余裕)
Cj/f=17.96(広角)
以上の実施例に示したように、撮像素子を除けば光学素子のシフト量δ、ティルト量εの値は小さいので、これらを0として製作しても実用上は問題にならない場合もある。
以上の実施例1では、形状可変ミラーを用いた光学系について述べた。しかしながら、形状可変ミラーの代わりに形状が変わらない平面ミラーあるいは曲面ミラーを用いた光学系の場合でも、特に支障をきたさない限り前述の条件式及び制限等を適用してよい。なぜならばミラーを用いた屈曲光学系における小型化のメリットはそのまま保たれるからである。
また、実施例1における光学系では、レンズ群中に反射面を有する構成の光学系について説明したが、反射型光学特性可変光学素子のかわりに屈折型の光学特性可変光学素子、例えば、可変焦点レンズ等を用いて構成しても、小型化、低コスト化、省電力化、作動音の静音化等の効果を得ることが可能である。各種条件式も近軸理論が多いのでほぼ可変焦点レンズの場合でも成り立つ。さらに、可変形状面を有しない可変焦点ミラーを以上の実施例に用いても良い。なお、可変焦点ミラーは可変ミラーの一種である。可変焦点ミラーについては、その一例を図34を用いて後述する。
上記光学系は、フィルムカメラ、デジタルカメラ、テレビカメラ、携帯端末用のカメラ、携帯電話の撮像装置、監視カメラ、ロボットの眼、電子内視鏡等に適用可能である。
なお、以上の説明では、光学系として撮像光学系を想定しているが、物体面と像面を入れ替えた構成とすることにより、プロジェクター等の投影光学系として使用することができ、この投影光学系を用いた光学装置を作製することができる。
次に、上記本発明の光学装置に用いる光学系に適用可能な可変ミラー、可変焦点レンズ等、光学特性可変光学素子の構成例について説明する。
図9は上記本発明の光学装置に用いる光学系に適用可能な光学特性可変光学素子として形状可変ミラーの一構成例を示す概略図である。
図9の構成例では、形状可変ミラー409は、変形する基板409jの上に形成されたアルミコーティング等で作られた薄膜(反射面)409aと、基板409jの下側に設けられた電極409kとの3層構造の周辺部が輪帯状の支持台423に支持されるとともに、電極409kとは間隔を設けて支持台423に取付けられた複数の電極409bと、各電極409bにそれぞれ接続されて駆動回路として機能する複数の可変抵抗器411aと、可変抵抗器411bと電源スイッチ413を介して電極409kと電極409b間に接続された電源412と、複数の可変抵抗器411aの抵抗値を制御するための演算装置414とで構成されており、演算装置414には、さらに温度センサー415、湿度センサー416及び距離センサー417が接続されて、これらは図示のように1つの光学装置の一部を構成している。なお、変形する基板409jは、薄膜でもよいし、板状でもよい。
可変ミラーの反射面は、演算装置414による制御により、平面でなくてもよく、球面、回転対称非球面の他、光軸に対して偏心した球面、平面、回転対称非球面、あるいは、対称面を有する非球面、対称面を1つだけ有する非球面、対称面のない非球面、自由曲面、微分不可能な点又は線を有する面等、いかなる形状にも制御される。以下、これらの面を総称して拡張曲面という。薄膜409aで形成される反射面により光線は矢印のように反射される。
前記薄膜409aは、例えば、P.Rai-choudhury編、Handbook of Michrolithography, Michromachining and Michrofabrication, Volume 2:Michromachining and Michrofabrication,P495,Fig.8.58, SPIE PRESS刊やOptics Communication, 140巻(1997年)P187〜190に記載されているメンブレインミラーのように、複数の電極409bと電極409kの間に電圧が印加されると、静電気力により薄膜409aが変形してその面形状が変化するようになっている。
なお、電極409bの形は、例えば図11、図12に示すように、薄膜409aの変形のさせ方に応じて、同心分割、矩形分割にして、選べばよい。
上記のように、反射面としての薄膜409aの形状は、結像性能が最適になるように演算装置414からの信号により各可変抵抗器411aの抵抗値を変化させることにより制御される。すなわち、演算装置414へ、温度センサー415、湿度センサー416及び距離サンサー417から周囲温度及び湿度並びに物体までの距離に応じた大きさの信号が入力され、演算装置414は、これらの入力信号に基づき周囲の温度及び湿度条件と物体までの距離、あるいは電子ズームのための画像処理装置303からの指令に基づき、薄膜409aの形状が決定されるような電圧を電極409bに印加するように、各変抵抗器411aの抵抗値を決定するための信号を出力する。このように、薄膜409aは電極409bに印加される電圧すなわち静電気力で変形させられ、その形状は状況により非球面を含む様々な拡張曲面の形状をとる。なお、距離センサー417はなくてもよく、その場合、例えば不図示の固体撮像素子408からの像の信号の高周波成分が略最大になるように物体距離を算出し、可変ミラーを変形させるようにすればよい。可変ミラー409はリソグラフィーを用いて作ると加工精度がよく、良い品質のものが得られやすく、良い。
また、変形する基板409jをポリイミドあるいは商品名サイトップ(旭硝子(株)製)等の合成樹脂で製作すれば、低電圧でも大きな変形が可能であるので好都合である。
図9の構成例では変形する基板409jをはさんで反射面としての薄膜409aと変形する電極409kを別に設けて一体化しているので、製造法がいくつか選べるメリットがある。また反射面としての薄膜409aを導電性の薄膜としてもよい。このようにすると、変形する電極409kを兼ねることができ、両者が1つになるので、構造が簡単になるメリットがある。
可変ミラーの反射面の形状は自由曲面にするのが良い。なぜなら収差補正が容易にでき、有利だからである。
また、図9の構成例では、演算装置414、温度センサー415、湿度センサー416、距離センサー417を設け、温湿度変化、物体距離の変化等も可変ミラー409で補償するようにしたが、そうではなくてもよい。つまり、温度センサー415、湿度センサー416、距離センサー417を省いても良い。
図10は可変ミラー409の他の構成例を示す概略図である。
本構成例の可変ミラーは、反射面としての薄膜409aと電極409bとの間に圧電素子409cが介装されていて、これらが支持台423上に設けられている。そして、圧電素子409cに加わる電圧を各電極409b毎に変えることにより、圧電素子409cに部分的に異なる伸縮を生じさせて、薄膜409aの形状を変えることができるようになっている。電極409bの形は、図11に示すように、同心分割であってもよいし、図12に示すように、矩形分割であってもよく、その他、適宜の形のものを選択することができる。図10中、424は演算装置414に接続された振れ(ブレ)センサーであって、例えばこの構成例の光学装置をデジタルカメラに用いる場合には、デジタルカメラの振れを検知し、振れによる像の乱れを補償するように薄膜409aを変形させるべく、演算装置414及び可変抵抗器を内蔵した駆動回路411を介して電極409bに印加される電圧を変化させる。このとき、温度センサー415、湿度センサー416及び距離センサー417からの信号も同時に考慮され、ピント合わせ、温湿度補償等が行われる。この場合、薄膜409aには圧電素子409cの変形に伴う応力が加わるので、薄膜409aの厚さはある程度厚めに作られて相応の強度を持たせるようにするのがよい。
なお、駆動回路411は、電極409bの数に対応して複数配置する構成に限らず、1つの駆動回路でもって複数の電極409bを制御する構成にしてもよい。
図13は可変ミラー409のさらに他の構成例を示す概略構成図である。
本構成例の可変ミラーは、薄膜409aと電極409bの間に介置される圧電素子が逆方向の圧電特性を持つ材料で作られた2枚の圧電素子409c及び409c’で構成されている。すなわち、圧電素子409cと圧電素子409c’が強誘電性結晶で作られ、結晶軸の向きが互いに逆になるように配置される。この場合、圧電素子409cと圧電素子409c’は電圧が印加されると逆方向に伸縮するので、薄膜409aを変形させる力が、図10に示した1層構造の場合よりも強くなり、結果的にミラー表面の形を大きく変えることができるという利点がある。
圧電素子409c,409c’に用いる材料としては、例えばチタン酸バリウム、ロッシエル塩、水晶、電気石、リン酸二水素カリウム(KDP)、リン酸二水素アンモニウム(ADP)、ニオブ酸リチウム等の圧電物質、同物質の多結晶体、同物質の結晶、PbZrO3とPbTiO3の固溶体の圧電セラミックス、二フッ化ポリビニール(PVDF)等の有機圧電物質、上記以外の強誘電体等があり、特に有機圧電物質はヤング率が小さく、低電圧でも大きな変形が可能であるので、好ましい。なお、これらの圧電素子を利用する場合、厚さを不均一にすれば、上記構成例において薄膜409aの形状を適切に変形させることも可能である。
また、圧電素子409c,409c’の材料としては、ポリウレタン、シリコンゴム、アクリルエラストマー、PZT、PLZT、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の高分子圧電体、シアン化ビニリデン共重合体、ビニリデンフルオライドとトリフルオロエチレンの共重合体等が用いられる。
圧電性を有する有機材料や、圧電性を有する合成樹脂、圧電性を有するエラストマー等を用いると可変ミラー面の大きな変形が実現できてよい。
なお、図10、図14に示す圧電素子409cに、例えば、アクリルエラストマー、シリコンゴム等の電歪材料を用いる場合には、1層構造の圧電素子409cを別の基板409c−1と電歪材料409c−2とを貼り合わせた2層構造にしてもよい。
図14は可変ミラー409のさらに他の構成例を示す概略図である。
本構成例の可変ミラーは、圧電素子409cが薄膜409aと電極409dとにより挟持され、薄膜409aと電極409dとの間に演算装置414により制御される駆動回路425aを介して電圧が印加されるようになっており、さらにこれとは別に、支持台423上に設けられた電極409bにも演算装置414により制御される駆動回路425bを介して電圧が印加されるように構成されている。したがって、本構成例では、薄膜409aは電極409dとの間に印加される電圧と電極409bに印加される電圧による静電気力とにより二重に変形され得、上記実施例に示した何れのものよりもより多くの変形パターンが可能であり、かつ、応答性も速いという利点がある。
そして、薄膜409a、電極409d間の電圧の符号を変えれば、可変ミラーを凸面にも凹面にも変形させることができる。その場合、大きな変形を圧電効果で行ない、微細な形状変化を静電気力で行なってもよい。また、凸面の変形には圧電効果を主に用い、凹面の変形には静電気力を主に用いてもよい。なお、電極409dは電極409bのように複数の電極から構成されてもよい。この様子を図14に示した。なお、本願では、圧電効果と電歪効果、電歪をすべてまとめて圧電効果と述べている。従って、電歪材料も圧電材料に含むものとする。
図15は可変ミラー409のさらに他の構成例を示す概略図である。
本構成例の可変ミラーは、電磁気力を利用して反射面の形状を変化させ得るようにしたもので、支持台423の内部底面上には永久磁石426が、頂面上には窒化シリコン又はポリイミド等からなる基板409eの周縁部が載置固定されており、基板409eの表面にはアルミニウム等の金属コートで作られた薄膜409aが付設されていて、可変ミラー409を構成している。基板409eの下面には複数のコイル427が配設されており、これらのコイル427はそれぞれ駆動回路428を介して演算装置414に接続されている。したがって、各センサー415,416,417,424およびその他からの信号によって演算装置414において求められる光学系の変化に対応した演算装置414からの出力信号により、各駆動回路428から各コイル427にそれぞれ適当な電流が供給されると、永久磁石426との間に働く電磁気力で各コイル427は反発又は吸引または吸着され、基板409e及び反射面として機能する薄膜409aを変形させる。
この場合、各コイル427はそれぞれ異なる量の電流を流すようにすることもできる。また、コイル427は1個でもよいし、永久磁石426を基板409eに付設しコイル427を支持台423の内部底面側に設けるようにしてもよい。また、コイル427はリソグラフィー等の手法で作るとよく、さらに、コイル427には強磁性体よりなる鉄心を入れるようにしてもよい。
この場合、薄膜コイル427の巻密度を、図16に示すように、場所によって変化させたコイル428’とすることにより、基板409e及び薄膜409aに所望の変形を与えるようにすることもできる。また、コイル427は1個でもよいし、また、これらのコイル427には強磁性体よりなる鉄心を挿入してもよい。
図17は可変ミラー409のさらに他の構成例を示す概略図である。
本構成例の可変ミラーでは、基板409eは鉄等の強磁性体で作られており、反射膜としての薄膜409aはアルミニウム等からなっている。この場合、薄膜409a側にコイルを設けなくても、磁力によって薄膜409aを変形させることができるから、構造が簡単で、製造コストを低減することができる。また、電源スイッチ413を、各コイル427の電流の流れる方向を切換え可能にする切換え兼用の電源開閉用スイッチで置換すれば、コイル427に流れる電流の方向を変えることができ、基板409e及び薄膜409aの形状を自由に変えることができる。
図18は本構成例におけるコイル427の一配置例を示し、図19はコイル427の他の配置例を示しているが、これらの配置は、図15に示した構成例にも適用することができる。なお、図20はコイル427の配置を図19に示したように放射状とした場合に適する永久磁石426の一配置例を示している。図20に示すように、棒状の永久磁石426を放射状に配置すれば、図15に示した構成例に比べて、微妙な変形を基板409e及び薄膜409aに与えることができる。また、このように電磁気力を用いて基板409e及び薄膜409aを変形させる場合(図15及び図17の構成例)は、静電気力を用いた場合よりも低電圧で駆動できるという利点がある。
以上いくつかの可変ミラーの構成例を述べたが、薄膜409aで変形されるミラーの形を変形させるのに、図14の構成例に示すように、2種類以上の力を用いてもよい。つまり静電気力、電磁力、圧電効果、磁歪、流体の圧力、電場、磁場、温度変化、電磁波等のうちから2つ以上を同時に用いて反射面を形成する薄膜を変形させてもよい。つまり2つ以上の異なる駆動方法を用いて光学特性可変光学素子を作れば、大きな変形と微細な変形とを同時に実現でき、精度の良い鏡面が実現できる。
図21は本発明のさらに他の実施例に係る、光学装置に適用可能な可変ミラー409を用いた撮像系、例えば携帯電話のデジタルカメラ、カプセル内視鏡、電子内視鏡、パソコン用デジタルカメラ、PDA用デジタルカメラ等に用いられる撮像系の概略構成図である。
本実施例の撮像系は、可変ミラー409と、レンズ902と、固体撮像素子408と、制御系103とで一つの撮像ユニット104を構成している。本実施例の撮像ユニット104では、レンズ102を通った物体からの光は可変ミラー409で集光され、固体撮像素子408の上に結像する。可変ミラー409は、光学特性可変光学素子の一種であり、可変焦点ミラーとも呼ばれている。
本実施例によれば、物体距離が変わっても可変ミラー409を変形させることでピント合わせをすることができ、レンズをモータ等で駆動する必要がなく、小型化、軽量化、低消費電力化の点で優れている。また、撮像ユニット104は本発明の撮像系としてすべての実施例で用いることができる。また、可変ミラー409を複数用いることで変倍の撮像系、光学系を作ることができる。
なお、図21では、制御系103にコイルを用いたトランスの昇圧回路を含む制御系の構成例を示している。特に積層型圧電トランスを用いると、小型化できてよい。昇圧回路は電気を用いる可変ミラー、可変焦点レンズに用いることができるが、特に静電気力、圧電効果を用いる場合の可変ミラー、可変焦点レンズに有用である。なお可変ミラー409でピント合わせを行うためには、たとえば固体撮像素子408に物体像を結像させ可変ミラー409の焦点距離を変化させつつ物体像の高周波成分が最大になる状態を見つければよい。高周波成分を検出するには、たとえば固体撮像素子408にマイクロコンピュータ等を含む処理装置を接続し、その中で高周波成分を検出すればよい。
なお、レンズ902を後述の可変焦点レンズで置き換えても良い。同様に上記の効果が得られる。この場合、可変ミラー409は通常のミラーでも良い。
またレンズ902と可変焦点レンズを併用しても良い。
図22は可変ミラーのさらに他の構成例を示し、マイクロポンプ180で流体161を出し入れし、支持台189aの上部に張った膜で形成されるミラー面を変形させる可変ミラー188の概略図である。本実施例によれば、ミラー面を大きく変形させることが可能になるというメリットがある。図中、168は支持台189a内の流体161の量を、マイクロポンプ180とともに制御する制御装置であり、この制御装置168とマイクロポンプ180は、膜189の変形を制御するので、実施の形態の駆動回路304に相当する構成となる。
マイクロポンプ180は、例えば、マイクロマシンの技術で作られた小型のポンプで、電力で動くように構成されている。
マイクロマシンの技術で作られたポンプの例としては、熱変形を利用したもの、圧電材料を用いたもの、静電気力を用いたものなどがある。
図23は図22に示したマイクロポンプ180の構成例を示す概略図である。
本構成例のマイクロポンプ180では、振動板181は静電気力、圧電効果等の電気力により振動する。図23では静電気力により振動する例を示しており、図23中、182,183は電極である。また、点線は変形した時の振動板181を示している。振動板181の振動に伴い、2つの弁184,185が開閉し、流体161を右から左へ送るようになっている。
図22で示した可変ミラー188では、反射面を構成する膜189が流体161の量に応じて凹凸に変形することで、可変ミラーとして機能する。流体としては、シリコンオイル、空気、水、ゼリー、等の有機物、無機物を用いることができる。
なお、静電気力、圧電効果を用いた可変ミラー、可変焦点レンズなどにおいては、駆動用に高電圧が必要になる場合がある。その場合には、例えば図21に示すように、昇圧用のトランス、あるいは圧電トランス等を用いて制御系を構成するとよい。
また、反射面を形成する薄膜409a又は膜189は、支持台423あるいは支持台189aなどの輪帯状部分の上部などの変形しない部分に設けておくと、可変ミラーの反射面の形状を干渉計等で測定する場合に、基準面として使うことができ便利である。
図24は各実施の形態で述べた本発明の光学装置に適用可能な光学系を構成するレンズ、あるいはレンズ群の一部を、可変焦点レンズに置き換えて構成することにより、前記レンズあるいはレンズ群を光軸方向にズーミングしなくて済む構成とする可変焦点レンズの原理的構成を示す図である。この可変焦点レンズ511は、第1,第2の面としてのレンズ面508a,508bを有する第1のレンズ512aと、第3,第4の面としてのレンズ面509a,509bを有する第2のレンズ512bと、これらレンズ間に透明電極513a,513bを介して設けた高分子分散液晶層514とで構成される第3のレンズ512cとを有し、入射光を第1,第3,第2のレンズ512a,512c,512bを経て収束させるものである。透明電極513a,513bは、スイッチ515を介して交流電源516に接続して、高分子分散液晶層514に交流電圧を選択的に印加するようにする。なお、高分子分散液晶層514は、それぞれ液晶分子517を含む球状、多面体等の任意の形状の多数の微小な高分子セル518を有して構成し、その体積は、高分子セル518を構成する高分子および液晶分子517がそれぞれ占める体積の和に一致させる。
ここで、高分子セル518の大きさは、例えば球状とする場合、その平均の直径Dを、使用する光の波長をλとするとき、例えば、
2nm≦D≦λ/5 …(20)
とする。すなわち、液晶分子517の大きさは、2nm程度以上であるので、平均の直径Dの下限値は、2nm以上とする。また、Dの上限値は、可変焦点レンズ511の光軸方向における高分子分散液晶層514の厚さtにも依存するが、λに比べて大きいと、高分子の屈折率と液晶分子517の屈折率との差により、高分子セル518の境界面で光が散乱して高分子分散液晶層514が不透明になってしまうため、後述するように、好ましくはλ/5以下とする。可変焦点レンズが用いられる光学製品によっては高精度を要求しない場合もあり、そのときDはλ以下でよい。なお、高分子分散液晶層514の透明度は、厚さtが厚いほど悪くなる。
また、液晶分子517は、例えば、一軸性のネマティック液晶分子を用いる。この液晶分子517の屈折率楕円体は、図25に示すような形状となり、
ox=noy=no …(21)
である。但し、noは常光線の屈折率を示し、noxおよびnoyは、常光線を含む面内での互いに直交する方向の屈折率を示す。
ここで、図24に示すように、スイッチ515をオフ、すなわち高分子分散液晶層514に電界を印加しない状態では、液晶分子517が様々な方向を向いているので、入射光に対する高分子分散液晶層514の屈折率は高く、屈折力の強いレンズとなる。これに対し、図26に示すように、スイッチ515をオンとして高分子分散液晶層514に交流電圧を印加すると、液晶分子517は、屈折率楕円体の長軸方向が可変焦点レンズ511の光軸と平行となるように配向するので、屈折率が低くなり、屈折力の弱いレンズとなる。
なお、高分子分散液晶層514に印加する電圧は、例えば、図27に示すように、可変抵抗器519を用いることにより段階的あるいは連続的に変化させることもできる。このようにすれば、印加電圧が高くなるにつれて、液晶分子517は、その楕円長軸が徐々に可変焦点レンズ511の光軸と平行となるように配向するので、屈折力を段階的あるいは連続的に変えることができる。
ここで、図24に示す状態、すなわち高分子分散液晶層514に電圧を印加しない状態での、液晶分子517の平均屈折率nLC'は、図25に示すように、屈折率楕円体の長軸方向の屈折率をnzとすると、およそ
(nox+noy+nz)/3≡nLC' …(22)
となる。また、上記(21)式が成り立つときの平均屈折率nLCは、nzを異常光線の屈折率neと表して、
(2no+ne)/3≡nLC …(23)
で与えられる。このとき、高分子分散液晶層514の屈折率nAは、高分子セル518を構成する高分子の屈折率をnPとし、高分子分散液晶層514の体積に占める液晶分子517の体積の割合をffとすると、マックスウェル・ガーネットの法則により、
A=ff・nLC'+(1−ff)nP …(24)
で与えられる。
したがって、図27に示すように、レンズ512aおよび512bの内側の面、すなわち高分子分散液晶層514側の面の曲率半径を、それぞれR1およびR2とすると、高分子分散液晶層で構成される第3のレンズ512cの焦点距離f1は、
1/f1=(nA−1)(1/R1−1/R2) …(25)
で与えられる。なお、R1およびR2は、曲率中心が像点側にあるとき、正とする。また、レンズ512aおよび512bの外側の面による屈折は除いている。つまり、高分子分散液晶層514のみによるレンズ512cの焦点距離が、(25)式で与えられる。
また、常光線の平均屈折率を、
(nox+noy)/2=no' …(26)
とすれば、図26に示す状態、すなわち高分子分散液晶層514に電圧を印加した状態での、高分子分散液晶層514の屈折率nBは、
B=ff・no'+(1−ff)nP …(27)
で与えられるので、この場合の高分子分散液晶層514のみによるレンズ512cの焦点距離f2は、
1/f2=(nB−1)(1/R1−1/R2) …(28)
で与えられる。なお、高分子分散液晶層514に、図26に示す状態における電圧よりも低い電圧を印加する場合の焦点距離は、(25)式で与えられる焦点距離f1と、(28)式で与えられる焦点距離f2との間の値となる。
上記(25)および(28)式から、高分子分散液晶層514による焦点距離の変化率は、
|(f2−f1)/f2|=|(nB−nA)/(nA−1)| …(29)
で与えられる。したがって、この変化率を大きくするには、|nB−nA|を大きくすればよい。ここで、
B−nA=ff(no'−nLC') …(30)
であるから、|no'−nLC'|を大きくすれば、変化率を大きくすることができる。実用的には、nBが、1.3〜2程度であるから、
0.01≦|no'−nLC'|≦10 …(31)
とすれば、ff=0.5のとき、高分子分散液晶層514による焦点距離を、0.5%以上変えることができるので、効果的な可変焦点レンズを得ることができる。
なお、|no'−nLC'|は、液晶物質の制限から、10を超えることはできない。
次に、上記(21)式の上限値の根拠について説明する。「Solar Energy Materials and Solar Cells」31巻,Wilson and Eck,1993, Eleevier Science Publishers B.v.発行の第197 〜214 頁、「Transmission variation using scattering/transparent switching films 」には、高分子分散液晶の大きさを変化させたときの透過率τの変化が示されている。そして、かかる文献の第206 頁、図6には、高分子分散液晶の半径をrとし、t=300μm、ff=0.5、nP=1.45、nLC=1.585、λ=500nmとするとき、透過率τは、理論値で、r=5nm(D=λ/50、D・t=λ・6μm(但し、Dおよびλの単位はnm、以下も同じ))のときτ≒90%となり、r=25nm(D=λ/10)のときτ≒50%になることが示されている。
ここで、例えば、t=150μmの場合を推定してみると、透過率τがtの指数関数で変化すると仮定して、t=150μmの場合の透過率τを推定してみると、r=25nm(D=λ/10、D・t=λ・15μm)のときτ≒71%となる。また、t=75μmの場合は、同様に、r=25nm(D=λ/10、D・t=λ・7.5μm)のときτ≒80%となる。
これらの結果から、
D・t≦λ・15μm …(32)
であれば、τは70%〜80%以上となり、レンズとして十分実用になる。したがって、例えば、t=75μmの場合は、D≦λ/5で、十分な透過率が得られることになる。
また、高分子分散液晶層514の透過率は、nPの値がnLC'の値に近いほど良くなる。一方、no'とnPとが異なる値になると、高分子分散液晶層514の透過率は悪くなる。図24に示した状態と図26に示した状態とで、平均して高分子分散液晶層514の透過率が良くなるのは、
P=(no'+nLC')/2 …(33)
を満足するときである。
ここで、可変焦点レンズ511は、レンズとして使用するものであるから、図24の状態でも、図26の状態でも、透過率はほぼ同じで、かつ高い方が良い。そのためには、高分子セル518を構成する高分子の材料および液晶分子517の材料に制限があるが、実用的には、
o'≦nP≦nLC' …(34)
とすればよい。
上記(33)式を満足すれば、上記(32)式は、さらに緩和され、
D・t≦λ・60μm …(35)
であれば良いことになる。なぜなら、フレネルの反射則によれば、反射率は屈折率差の2乗に比例するので、高分子セル518を構成する高分子と液晶分子517との境界での光の反射、すなわち高分子分散液晶層514の透過率の減少は、およそ上記の高分子と液晶分子517との屈折率の差の2乗に比例するからである。
以上は、no'≒1.45、nLC'≒1.585の場合であったが、より一般的に定式化すると、
D・t≦λ・15μm・(1.585−1.45)2/(nu−nP2 …(36)
であればよい。但し、(nu−nP2は、(nLC'−nP2と、(no'−nP2のうち、大きい方である。
また、可変焦点レンズ511の焦点距離変化を大きくするには、ffの値が大きい方が良いが、ff=1では、高分子の体積がゼロとなり、高分子セル518を形成できなくなるので、
0.1≦ff≦0.999 …(37)
とする。一方、ffは、小さいほど透過率τは向上するので、上記(36)式は、好ましくは、
4×10-6〔μm〕2≦D・t≦λ・45μm・(1.585−1.45)2/(nu−nP)2 …(38)
とする。なお、tの下限値は、図24から明らかなように、t=Dで、Dは、上述したように2nm以上であるので、D・tの下限値は、(2×10-3μm)2、すなわち4×10-6〔μm〕2となる。
なお、物質の光学特性を屈折率で表す近似が成り立つのは、「岩波科学ライブラリー8 小惑星がやってくる」向井正著,1994,岩波書店発行の第58頁に記載されているように、Dが10nm〜5nmより大きい場合である。また、Dが500λを越えると、光の散乱は幾何学的となり、高分子セル518を構成する高分子と液晶分子517との界面での光の散乱がフレネルの反射式に従って増大するので、Dは、実用的には、
7nm≦D≦500λ …(39)
とする。
図28は、図27に示す可変焦点レンズ511を、本発明の実施の形態にかかる光学装置の中で、明るさ絞り521と撮像素子との間に用いた撮像光学系、例えば一例として、デジタルカメラ用の撮像光学系に用いた例を示す図である。この撮像光学系においては、物体(図示せず)の像を、絞り521、可変焦点レンズ511およびレンズ522を介して、例えばCCDよりなる固体撮像素子523上に結像させる。なお、図28では、液晶分子の図示を省略してある。
このように構成された撮像光学系によれば、可変抵抗器519により可変焦点レンズ511の高分子分散液晶層514に印加する交流電圧を調整して、可変焦点レンズ511の焦点距離を変えることより、可変焦点レンズ511およびレンズ522を光軸方向に移動させることなく、例えば、無限遠から600mmまでの物体距離に対して、連続的に合焦させることが可能となる。
図29は図27に示した可変焦点レンズと同様に、本発明の実施の形態にかかる光学装置の中で、撮像光学系の焦点距離を可変にするように用いられる可変焦点回折光学素子の一構成例を示す図である。
本構成例の可変焦点回折光学素子531は、平行な第1,第2の面532a,532bを有する第1の透明基板532と、光の波長オーダーの溝深さを有する断面鋸歯波状のリング状回折格子を形成した第3の面533aおよび平坦な第4の面533bを有する第2の透明基板533とを有し、入射光を第1,第2の透明基板532,533を経て出射させるものである。第1,第2の透明基板532,533間には、図24に示した構成例において説明したのと同様に、透明電極513a,513bを介して高分子分散液晶層514を設け、透明電極513a,513bをスイッチ515を経て交流電源516に接続して、高分子分散液晶層514に交流電圧を印加するようにする。
このような構成において、可変焦点回折光学素子531に入射する光線は、第3の面533aの格子ピッチをpとし、mを整数とすると、
psinθ=mλ …(40)
を満たす角度θだけ偏向されて出射される。また、溝深さをh、透明基板33の屈折率をn33とし、kを整数とすると、
h(nA−n33)=mλ …(41)
h(nB−n33)=kλ …(42)
を満たせば、波長λで回折効率が100%となり、フレアの発生を防止することができる。
ここで、上記(41)式および(42)式の両辺の差を求めると、
h(nA−nB)=(m−k)λ …(43)
が得られる。したがって、例えば、λ=500nm、nA=1.55、nB=1.5とすると、
0.05h=(m−k)・500nm
となり、m=1,k=0とすると、
h=10000nm=10μm
となる。この場合、透明基板533の屈折率n33は、上記(41)式から、n33=1.5であればよい。また、可変焦点回折光学素子531の周辺部における格子ピッチpを10μmとすると、θ≒2.87°となり、Fナンバーが10のレンズを得ることができる。
このように構成された可変焦点回折光学素子531は、高分子分散液晶層514への印加電圧のオン・オフで光路長が変わるので、例えば、ピント調整を行うのに用いたり、レンズ系全体の焦点距離等を変えるのに用いることができる。
なお、この実施形態において、上記(41)〜(43)式は、実用上、
0.7mλ≦h(nA−n33)≦1.4mλ …(44)
0.7kλ≦h(nB−n33)≦1.4kλ …(45)
0.7(m−k)λ≦h(nA−nB)≦1.4(m−k)λ …(46)
を満たせば良い。
また、ツイストネマティック液晶を用いる可変焦点レンズもある。図30および図31はこの場合の可変焦点眼鏡550の構成を示す図である。可変焦点レンズ551は、レンズ552および553と、これらレンズの内面上にそれぞれ透明電極513a,513bを介して設けた配向膜539a,539bと、これら配向膜間に設けたツイストネマティック液晶層554とを有して構成されており、その透明電極513a,513bを可変抵抗器519を経て交流電源516に接続して、ツイストネマティック液晶層554に交流電圧を印加するようにして構成されている。
このような構成において、ツイストネマティック液晶層554に印加する電圧を高くすると、液晶分子555は、図31に示すように、ホメオトロピック配向となり、図30に示す印加電圧が低いツイストネマティック状態の場合に比べて、ツイストネマティック液晶層554の屈折率は小さくなり、焦点距離が長くなる。
ここで、図30に示すツイストネマティック状態における液晶分子555の螺旋ピッチPは、光の波長λに比べて同じ程度か十分小さくする必要があるので、例えば、
2nm≦P≦2λ/3 …(47)
とする。なお、この条件式の下限値は、液晶分子の大きさで決まり、上限値は、入射光が自然光の場合に、図30の状態でツイストネマティック液晶層554が等方媒質として振る舞うために必要な値である。また、この条件式の上限値を満たさないと、可変焦点レンズ551は偏光方向によって焦点距離の異なるレンズとなり、そのために二重像が形成されてぼけた像しか得られなくなる。但し、それほど高精度を要求しない場合には式(47)の上限値は3λとして良い。
さらに精度を要求しない用途では上限値を5λとして良い。
図32(a)は本発明の実施の形態にかかる光学装置に用いる光学系に配置可能な可変偏角プリズムの一構成例を示す図である。この可変偏角プリズム561は、第1,第2の面562a,562bを有する入射側の第1の透明基板562と、第3,第4の面563a,563bを有する出射側の平行平板状の第2の透明基板563とを有する。入射側の透明基板562の内面(第2の面)562bは、フレネル状に形成し、この透明基板562と出射側の透明基板563との間に、図24に示した構成例において説明したのと同様に、透明電極513a,513bを介して高分子分散液晶層514を設ける。透明電極513a,513bは、可変抵抗器519を経て交流電源516に接続し、これにより高分子分散液晶層514に交流電圧を印加して、可変偏角プリズム561を透過する光の偏角を制御するようにする。なお、図32(a)に示す構成例では、透明基板562の内面562bをフレネル状に形成したが、例えば、図32(b)に示すように、透明基板562および563の内面を相対的に傾斜させた傾斜面を有する通常のプリズム状に形成することもでき、あるいは図29に示した構成例のような回折格子状に形成することもできる。回折格子状に形成する場合には、上記の(40)式〜(46)式が同様にあてはまる。
このように構成された可変偏角プリズム561は、例えば、TVカメラ、デジタルカメラ、フィルムカメラ、双眼鏡等の光学系の中に用いることによりブレ防止用として有効に用いることができる。この場合、可変偏角プリズム561の屈折方向(偏向方向)は、上下方向とするのが望ましいが、さらに性能を向上させるためには、2個の可変偏角プリズム561を偏向方向を異ならせて、例えば図33に示すように、上下および左右の直交する方向で屈折角を変えるように配置するのが望ましい。なお、図32および図33に示す構成例では、液晶分子の図示を省略してある。
図34は本発明の実施の形態にかかる光学装置の光学系の中で、可変ミラー409の替わりに用いる可変焦点ミラー、すなわち、可変焦点レンズの一方のレンズ面に反射膜を設けて形成した可変焦点ミラーの構成例を示す図である。
本構成例の可変焦点ミラー565は、第1,第2の面566a,566bを有する第1の透明基板566と、第3,第4の面567a,567bを有する第2の透明基板567とを有する。第1の透明基板566は、平板状またはレンズ状に形成して、内面(第2の面)566bに透明電極513aを設け、第2の透明基板567は、内面(第3の面)567aを凹面状に形成して、該凹面上に反射膜568を施し、さらにこの反射膜568上に透明電極513bを設ける。透明電極513a,513b間には、図24に示した構成例において説明したのと同様に、高分子分散液晶層514を設け、これら透明電極513a,513bをスイッチ515および可変抵抗器519を経て交流電源516に接続して、高分子分散液晶層514に交流電圧を印加するようにする。なお、図34では、液晶分子の図示を省略してある。
このような構成によれば、透明基板566側から入射する光線は、反射膜568により高分子分散液晶層514を折り返す光路となるので、高分子分散液晶層514の作用を2回もたせることができると共に、高分子分散液晶層514への印加電圧を変えることにより、反射光の焦点位置を変えることができる。この場合、可変焦点ミラー565に入射した光線は、高分子分散液晶層514を2回透過するので、高分子分散液晶層514の厚さの2倍をtとすれば、上記の各式を同様に用いることができる。なお、透明基板566または567の内面を、図29に示した構成例のような回折格子状にして、高分子分散液晶層514の厚さを薄くすることもできる。このようにすれば、散乱光をより少なくできる利点がある。
なお、以上の説明では、液晶の劣化を防止するため、電源として交流電源516を用いて、液晶に交流電圧を印加するようにしたが、直流電源を用いて液晶に直流電圧を印加するようにすることもできる。また、液晶分子の方向を変える方法としては、電圧を変化させること以外に、液晶にかける電場の周波数、液晶にかける磁場の強さ・周波数、あるいは液晶の温度等を変化させることによってもよい。以上に説明した高分子分散液晶は液状ではなく固体に近いものもあるので、その場合はレンズ512a,512bの一方、透明基板532、レンズ538、レンズ552,553の一方、図32(a)の構成例における透明基板563、図32(b)の構成例における透明基板562,563の一方、透明基板566,567の一方はなくてもよい。
以上、図24から図34の構成例で述べたような、媒質の屈折率が変化することで光学素子の焦点距離等が変化するタイプの光学素子は、形状が変化しないため機械設計が容易である、機械的構造が簡単になる等のメリットがある。
図35は可変焦点レンズ140を、本発明の実施の形態にかかる光学装置の中で、撮像素子408の前方に用いた撮像光学系の一構成例を示す図である。撮像光学系は撮像ユニット141として用いることができる。
本構成例では、レンズ102と可変焦点レンズ140とで、撮像レンズを構成している。そして、この撮像レンズと撮像素子408とで撮像ユニット141を構成している。可変焦点レンズ140は、透明部材142と一対の電極145との間に密閉された圧電性のある合成樹脂等の柔らかい透明物質143とで、光を透過する流体あるいはゼリー状物質144を挟んで構成されている。
流体あるいはゼリー状物質144としては、シリコンオイル、弾性ゴム、ゼリー、水等を用いることができる。透明物質143の両面には透明電極145が設けられており、回路103’を介して電圧を加えることで、透明物質143の圧電効果により透明物質143が変形し、可変焦点レンズ140の焦点距離が変わるようになっている。
従って、本構成例によれば、物体距離が変わった場合でも光学系をモータ等で動かすことなくフォーカスができ、小型、軽量、消費電力が少ない点で優れている。
なお、図35中、145は透明電極、146は流体をためるシリンダーである。また、透明物質143の材質としては、ポリウレタン、シリコンゴム、アクリルエラストマー、PZT、PLZT、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の高分子圧電体、シアン化ビニリデン共重合体、ビニリデンフルオライドとトリフルオロエチレンの共重合体等が用いられる。
圧電性を有する有機材料や、圧電性を有する合成樹脂、圧電性を有するエラストマー等を用いると可変焦点レンズ面の大きな変形が実現できてよい。
可変焦点レンズには透明な圧電材料を用いるとよい。
なお、図35の構成例において、可変焦点レンズ140は、シリンンダー146を設けるかわりに、図36に示すように、透明部材142に対して平行な位置にリング状の支援部材147を設け、透明部材142と支援部材147との距離を維持した状態としてシリンダー146を省略した構造にしてもよい。
図36の構成例では、支援部材147と透明部材142との間には、一対の電極145間に密閉された透明物質143と、外周側が変形可能な部材148で覆われた流体あるいはゼリー状物質144とが介挿されており、透明物質143に電圧をかけることによって、透明物質143が変形しても、図37に示すように、可変焦点レンズ140全体の体積が変わらないように変形するため、シリンダー146が不要になる。なお、図36、図37中、148は変形可能な部材で、弾性体、アコーディオン状の合成樹脂または金属等でできている。
図35、図36に示す構成例では、電圧を逆に印加すると透明物質143は逆向きに変形するので凹レンズにすることも可能である。
なお、透明物質143に電歪材料、例えば、アクリルエラストマー、シリコンゴム等を用いる場合は、透明物質143を透明基板と電歪材料を貼り合わせた構造にするとよい。
図38は本発明の実施の形態にかかる光学装置の撮像光学系の中に挿入可能な可変焦点レンズのさらに他の構成例に係る、マイクロポンプ160で流体161を出し入れし、レンズ面を変形させる可変焦点レンズ162の概略図である。
マイクロポンプ160は、例えば、マイクロマシンの技術で作られた小型のポンプで、電力で動くように構成されている。流体161は、透明基板163と、弾性体164との間に挟まれている。図38中、165は弾性体164を保護するための透明基板で、設けなくてもよい。
マイクロマシンの技術で作られたポンプの例としては、熱変形を利用したもの、圧電材料を用いたもの、静電気力を用いたものなどがある。
そして、図23で示したようなマイクロポンプ180を、例えば、図38に示す可変焦点レンズに用いるマイクロポンプ160のように、2つ用いればよい。
なお、静電気力、圧電効果を用いた可変焦点レンズなどにおいては、駆動用に高電圧が必要になる場合がある。その場合には、昇圧用のトランス、あるいは圧電トランス等を用いて制御系を構成するとよい。
特に積層型圧電トランスを用いると小型化できてよい。
図39は本発明の実施の形態にかかる光学装置の光学系に適用可能な光学特性可変光学素子の他の構成例であって、圧電材料200を用いた可変焦点レンズ201の概略構成図である。
圧電材料200には透明物質143と同様の材料が用いられており、圧電材料200は、透明で柔らかい基板202の上に設けられている。なお、基板202には、合成樹脂、有機材料を用いるのが望ましい。
本構成例においては、2つの透明電極59を介して電圧を圧電材料200に加えることで圧電材料200は変形し、図39に示す状態においては凸レンズとしての作用を持っている。
なお、基板202の形をあらかじめ凸状に形成しておき、かつ、2つの透明電極59のうち、少なくとも一方の電極の大きさを基板202と異ならせておく、例えば、一方の透明電極59を基板202よりも小さくしておくと、電圧を切ったときに、図40に示すように、2つの透明電極59が対向する所定部分だけが凹状に変形して凹レンズの作用を持つようになり、可変焦点レンズとして動作する。
このとき基板202は、流体161の体積が変化しないように変形するので、液溜168が不要になるというメリットがある。
本構成例では、流体161を保持する基板の一部分を圧電材料で変形させて、液溜168を不要としたところに大きなメリットがある。
なお、図38に示した構成例にも言えることであるが、透明基板163,165はレンズとして構成しても、或いは平面で構成してもよい。
図41は本発明の実施の形態にかかる光学装置の光学系に適用可能な光学特性可変光学素子のさらに他の構成例であって圧電材料からなる2枚の薄板200A,200Bを用いた可変焦点レンズの概略構成図である。
本構成例の可変焦点レンズによれば、薄板200Aと200Bの材料の方向性を反転させることで、変形量を大きくし、大きな可変焦点範囲が得られるというメリットがある。
なお、図41中、204はレンズ形状の透明基板である。
本構成例においても、紙面の右側の透明電極59は基板202よりも小さく形成されている。
なお、図39〜図41の構成例において、基板202、薄板200,200A,200Bの厚さを不均一にして、電圧を掛けたときの変形のさせかたをコントロールしてもよい。
そのようにすれば、レンズの収差補正等もすることができ、便利である。
図42は本発明の実施の形態にかかる光学装置の光学系に適用可能な可変焦点レンズのさらに他の構成例を示す概略構成図である。
本構成例の可変焦点レンズ207は、例えばシリコンゴムやアクリルエラストマー等の電歪材料206を用いて構成されている。
このように構成された可変焦点レンズ207は、電圧が低いときには、図42に示すように、凸レンズとして作用し、電圧を上げると、図43に示すように、電歪材料206が上下方向に伸びて左右方向に縮むので、焦点距離が伸びる。従って、可変焦点レンズとして動作する。
従って、本構成例の可変焦点レンズによれば、大電源を必要としないので消費電力が小さくて済むというメリットがある。
以上述べた図35〜図43に示した可変焦点レンズに共通して言えるのは、レンズとして作用する媒質の形状が変化することで、可変焦点を実現していることである。屈折率が変化する可変焦点レンズに比べて、焦点距離変化の範囲が自由に選べる、大きさが自由に選べる、等のメリットがある。
図44は本発明の実施の形態にかかる光学装置の光学系に適用可能な光学特性可変光学素子のさらに他の構成例であってフォトメカニカル効果を用いた可変焦点レンズの概略構成図である。
本構成例の可変焦点レンズ214は、透明弾性体208,209でアゾベンゼン210が挟まれており、アゾベンゼン210には、透明なスペーサー211を経由して紫外光が照射されるようになっている。
図44中、212,213はそれぞれ中心波長がλ1,λ2の例えばLED、半導体レーザ等の光源である。
本構成例において、中心波長がλ1の紫外光が図45(a)に示すトランス型のアゾベンゼンに照射されると、アゾベンゼン210は、図45(b)に示すシス型に変化して体積が減少する。このため、可変焦点レンズ214の形状は薄くなり、凸レンズ作用が減少する。
一方、中心波長がλ2の可視光がシス型のアゾベンゼン210に照射されると、アゾベンゼン210はシス型からトランス型に変化して、体積が増加する。このため、可変焦点レンズ214の形状は厚くなり、凸レンズ作用が増加する。
このようにして、本構成例の光学素子214は可変焦点レンズとして作用する。
また、可変焦点レンズ214では、透明弾性体208,209の空気との境界面で光が全反射するので外部に光がもれず、効率がよい。
図46は本発明の実施の形態にかかる光学装置の光学系に適用可能な可変ミラーのさらに他の構成例を示す概略構成図である。本構成例では、デジタルカメラの撮像光学系に用いられるものとして説明する。なお、図46中、411は可変抵抗器を内蔵した駆動回路、414は演算装置、415は温度センサー、416は湿度センサー、417は距離センサー、424は振れセンサーである。
本構成例の可変ミラー45は、支持台423で外周側が支持されたアクリルエラストマー等の有機材料からなる電歪材料453と間を隔てて分割電極409bを設け、電歪材料453の上に順に電極452、変形可能な基板451を設け、さらにその上に入射光を反射するアルミニウム等の金属の薄膜からなる反射膜450を設けた4層構造として構成されている。
このように構成すると、分割電極409bを電歪材料453と一体化した場合に比べて、反射膜450の面形状が滑らかになり、光学的に収差を発生させにくくなるというメリットがある。
なお、変形可能な基板451と電極452の配置は逆でも良い。
また、図46中、449は光学系の変倍を行なう釦であり、可変ミラー45は、釦449を使用者が押すことで反射膜450の形を変形させて、変倍をすることができるように演算装置414を介して制御されている。
なお、アクリルエラストマー等の有機材料からなる電歪材料のかわりに既に述べたチタン酸バリウム等の圧電材料を用いてもよい。
なお、本発明の光学装置に適用可能な可変ミラーに共通して言えることであるが、反射面の変形する部分を反射面に垂直な方向から見た時の形は、軸上光線の入射面の方向に長い形状、たとえば楕円、卵形、多角形、等 にするのが良い。なぜなら、図21に示した構成例のように、可変ミラーは斜入射で用いる場合が多いが、このとき発生する収差を抑えるためには、反射面の形状は回転楕円面、回転放物面、回転双曲面に近い形が良く、そのように可変ミラーを変形させる為には、反射面の変形する部分を反射面に垂直な方向から見た時の形を、軸上光線の入射面の方向に長い形状にしておくのが良いからである。
図47(a),(b)は本発明の実施の形態にかかる光学装置の光学系に適用可能な電磁駆動型の可変ミラーの構造を示した図である。
図47(b)は反射膜の反対側から見た図であり、変形部材にコイル(電極)が設けられて駆動回路から電流を流すことで永久磁石の磁場とで電磁力を生じ、ミラー形状が変化するようになっている。
コイルは薄膜コイル等を用いると製作が容易で、かつ、剛性を下げられるのでミラーが変形し易くて良い。
最後に、本発明で用いる用語の定義を述べておく。
光学装置とは、光学系あるいは光学素子を含む装置のことである。光学装置単体で機能しなくてもよい。つまり、装置の一部でもよい。
光学装置には、撮像装置、観察装置、表示装置、照明装置、信号処理装置、光情報処理装置等が含まれる。
撮像装置の例としては、フィルムカメラ、デジタルカメラ、PDA用デジタルカメラ、ロボットの眼、レンズ交換式デジタル一眼レフカメラ、テレビカメラ、動画記録装置、電子動画記録装置、カムコーダ、VTRカメラ、携帯電話のデジタルカメラ、携帯電話のテレビカメラ、電子内視鏡、カプセル内視鏡、車載カメラ、人工衛星のカメラ、惑星探査機のカメラ、宇宙探査機のカメラ、監視装置のカメラ、各種センサーの眼、録音装置のデジタルカメラ、人工視覚、レーザ走査型顕微鏡等がある。デジカメ、カード型デジカメ、テレビカメラ、VTRカメラ、動画記録カメラ、携帯電話のデジタルカメラ、携帯電話のテレビカメラ、車載カメラ、人工衛星のカメラ、惑星探査機のカメラ、宇宙探査機のカメラ、録音装置のデジタルカメラなどはいずれも電子撮像装置の一例である。
観察装置の例としては、顕微鏡、望遠鏡、眼鏡、双眼鏡、ルーペ、ファイバースコープ、ファインダー、ビューファインダー、コンタクトレンズ、眼内レンズ、人工視覚等がある。
表示装置の例としては、液晶ディスプレイ、ビューファインダー、ゲームマシン(ソニー社製プレイステーション)、ビデオプロジェクター、液晶プロジェクター、頭部装着型画像表示装置(head mounted display:HMD)、PDA(携帯情報端末)、携帯電話、人工視覚等がある。
照明装置の例としては、カメラのストロボ、自動車のヘッドライト、内視鏡光源、顕微鏡光源等がある。
信号処理装置の例としては、携帯電話、パソコン、ゲームマシン、光ディスクの読取・書込装置、光計算機の演算装置、光インターコネクション装置、光情報処理装置、PDA等がある。
情報発信装置とは、携帯電話、固定式の電話、ゲームマシン、テレビ、ラジカセ、ステレオ等のリモコンや、パソコン、パソコンのキーボード、マウス、タッチパネル等の何らかの情報を入力し、送信することができる装置を指す。
撮像装置のついたテレビモニター、パソコンのモニター、ディスプレイも含むものとする。
情報発信装置は、信号処理装置の中に含まれる。
撮像素子は、例えばCCD、撮像管、固体撮像素子、写真フィルム等を指す。また、平行平面板はプリズムの1つに含まれるものとする。観察者の変化には、視度の変化を含むものとする。被写体の変化には、被写体となる物体距離の変化、物体の移動、物体の動き、振動、物体のぶれ等を含むものとする。
拡張曲面の定義は以下の通りである。
球面、平面、回転対称非球面のほか、光軸に対して偏心した球面、平面、回転対称非球面、あるいは対称面を有する非球面、対称面を1つだけ有する非球面、対称面のない非球面、自由曲面、微分不可能な点、線を有する面等、いかなる形をしていても良い。反射面でも、屈折面でも、光になんらかの影響を与えうる面ならば良い。
本発明では、これらを総称して拡張曲面と呼ぶことにする。
光学特性可変光学素子とは、可変焦点レンズ、可変ミラー、面形状の変わる偏向プリズム、頂角可変プリズム、光偏向作用の変わる可変回折光学素子、つまり可変HOE,可変DOE等を含む。
可変焦点レンズには、焦点距離が変化せず、収差量が変化するような可変レンズも含むものとする。可変ミラーには、焦点距離が変化せず、収差量が変化するようなミラー、可変焦点レンズに反射面を設けたミラー、形状の変わらない可変焦点ミラー、形状の変わる形状可変ミラー等を含むものとする。
要するに、光学素子で、光の反射、屈折、回折等の光偏向作用が変化しうるものを光学特性可変光学素子と呼ぶ。
以上説明したように、本発明の光学系及びそれを用いた光学装置は、特許請求の範囲に記載された発明の他に、次に示すような特徴も備えている。
(1)複数の回転対称な透過型光学面と、反射型の光学特性可変光学素子を備え、前記反射型の光学特性可変光学素子が2つの前記回転対称な透過型光学面の間の光路に配置され、次の式(11")を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
0.7< |L/fw| < 50 …(11")
但し、L=L1+L2+・・・Ln・・・+LBであり、前記光学特性可変光学素子を挟んで前後に位置する面であり、かつ、同一の透過面を構成しない2つの前記回転対称な透過型光学面の間の光路内において、L1は物体側から第1番目の反射面と該第1番目の反射面から物体側に最も近い透過型光学面までの距離、L2は第1番目の反射面から第2番目の反射面までの距離、Lnは第n−1番目の反射面から第n番目の反射面までの距離、LBは最も後方の反射面と該最も後方の反射面から像側に最も近い透過型光学面までの距離である。但し、該像側に最も近い透過型光学面が移動する場合には該光学面が前記光学特性可変光学素子に最も近付いたときの距離である。fwは光学系の焦点距離であり、焦点距離の変化する光学系の場合には最も短い状態(焦点距離の絶対値の小さい状態)の焦点距離である。
(2)反射面の総数が2以上であることを特徴とする請求項1又は上記(1)に記載の光学系。
(3)2つ以上の反射面が連続して存在することを特徴とする請求項1、上記(1)、(2)のいずれかに記載の光学系。
(4)光軸が交叉することを特徴とする請求項1、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の光学系。
(5)光軸が交叉しないことを特徴とする請求項1、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の光学系。
(6)反射面の総数が2以上であることを特徴とする請求項2に記載の光学系。
(7)2つ以上の反射面が連続して存在することを特徴とする請求項2又は上記(6)に記載の光学系。
(8)光軸が交叉することを特徴とする請求項2、上記(6)、(7)のいずれかに記載の光学系。
(9)光軸が交叉しないことを特徴とする請求項2、上記(6)、(7)のいずれかに記載の光学系。
(10)前記反射型の光学特性可変光学素子の直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率β1が次の式(9)を満足することを特徴とする請求項1、2、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の光学系。
0.05 < |β1| < 1.1 …(9)
(11)前記反射型の光学特性可変光学素子の物体側に負パワーのレンズ群を有し、該負パワーのレンズ群の焦点距離をf1、光学系の焦点距離をfとしたとき、次の式(12)を満足することを特徴とする請求項1、2、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の光学系。
−10.0 < f1/f < −0.15 …(12)
(12)前記反射型の光学特性可変光学素子によって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つのレンズにシフトを加え、又は、少なくとも1つのレンズあるいは撮像面にティルトを加え、そのシフト量をδ、又は、そのティルト量をεとし、光学系の焦点距離をfとしたとき、次の式(18)又は式(19)を満足することを特徴とする請求項1、2、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の光学系。
0.0 ≦ |δ/f| < 1.00 …(18)
0.0° ≦ |ε| < 20° …(19)
(13)回転非対称な光学面を含む複数の光学面と、反射型の光学特性可変光学素子を備え、前記反射型の光学特性可変光学素子が2つの前記光学面の間の光路に配置されるとともに、前記反射型の光学特性可変光学素子と対向する光学面を有し、前記反射型の光学特性可変光学素子による光軸の偏向角θが次の式(1)又は式(2)を満足することを特徴とする光学系。
10° < θ < 67° …(1)
10° < θ/npr < 67° …(2)
但し、nprは反射型の光学特性可変光学素子に対向する光学面を有する光学素子の屈折率である。
(14)前記反射型の光学特性可変光学素子が2つの透過型光学面の間の光路に配置され、次の式(11")を満足することを特徴とする請求項3又は上記(13)に記載の光学系。
0.7< |L/fw| < 50 …(11")
但し、L=L1+L2+・・・Ln・・・+LBであり、前記光学特性可変光学素子を挟んで前後に位置する面であり、かつ、同一の透過面を構成しない2つの前記透過型光学面の間の光路内において、L1は物体側から第1番目の反射面と該第1番目の反射面から物体側に最も近い透過型光学面までの距離、L2は第1番目の反射面から第2番目の反射面までの距離、Lnは第n−1番目の反射面から第n番目の反射面までの距離、LBは最も後方の反射面と該最も後方の反射面から像側に最も近い透過型光学面までの距離である。但し、該像側に最も近い透過型光学面が移動する場合には該光学面が前記光学特性可変光学素子に最も近付いたときの距離である。fwは光学系の焦点距離であり、焦点距離の変化する光学系の場合には最も短い状態(焦点距離の絶対値の小さい状態)の焦点距離である。
(15)反射面の総数が2以上であることを特徴とする請求項3又は上記(13)に記載の光学系。
(16)2つ以上の反射面が連続して存在することを特徴とする請求項3、上記(13)〜(15)のいずれかに記載の光学系。
(17)光軸が交叉することを特徴とする請求項3、上記(13)〜(16)のいずれかに記載の光学系。
(18)光軸が交叉しないことを特徴とする請求項3、上記(13)〜(16)のいずれかに記載の光学系。
(19)反射面の総数が2以上であることを特徴とする請求項4に記載の光学系。
(20)2つ以上の反射面が連続して存在することを特徴とする請求項4又は上記(19)に記載の光学系。
(21)光軸が交叉することを特徴とする請求項4、上記(19)、(20)のいずれかに記載の光学系。
(22)光軸が交叉しないことを特徴とする請求項4、上記(19)、(20)のいずれかに記載の光学系。
(23)前記反射型の光学特性可変光学素子の直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率β1が次の式(9)を満足することを特徴とする請求項3、上記(13)〜(22)のいずれかに記載の光学系。
0.05 < |β1| < 1.1 …(9)
(24)前記反射型の光学特性可変光学素子の物体側に負パワーのレンズ群を有し、該負パワーのレンズ群の焦点距離をf1、光学系の焦点距離をfとしたとき、次の式(12)を満足することを特徴とする請求項3、上記(13)〜(22)のいずれかに記載の光学系。
−10.0 < f1/f < −0.15 …(12)
(25)前記反射型の光学特性可変光学素子がその間に配置される、2つの前記光学面は、いずれも回転対称な曲面であり、反射型の光学特性可変光学素子の前後の光路に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の光学系。
(26)2つの光学面の光路間に挟まれた反射面を2面有し、そのうちの一方の反射面が反射型の光学特性可変光学素子であり、他方の反射面による光軸の偏向角をφとしたとき、次の式(3)又は式(4)を満足することを特徴とする光学系。
45° ≦ θ/npr + φ ≦ 130° …(3)
90° ≦ θ/npr + φ ≦ 220° …(4)
但し、θは前記反射型の光学特性可変光学素子による光軸の偏向角、nprは反射型の光学特性可変光学素子に対向する光学面を有する光学素子の屈折率である。
(27)2つの光学面の光路間に挟まれた反射面を2面有し、そのうちの一方の反射面が反射型の光学特性可変光学素子であり、他方の反射面による光軸の偏向角をφとしたとき、次の式(3)又は式(4)を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学系。
45° ≦ θ/npr + φ ≦ 130° …(3)
90° ≦ θ/npr + φ ≦ 220° …(4)
但し、θは前記反射型の光学特性可変光学素子による光軸の偏向角、nprは反射型の光学特性可変光学素子に対向する光学面を有する光学素子の屈折率である。
(28)2つの光学面の光路間に挟まれた反射面を2面有し、そのうちの一方の反射面が反射型の光学特性可変光学素子であり、他方の反射面による光軸の偏向角をφとしたき、次の式(5)又は式(6)を満足することを特徴とする光学系。
25° ≦ φ ≦ 75° …(5)
105° ≦ φ ≦ 155° …(6)
(29)2つの光学面の光路間に挟まれた反射面を2面有し、そのうちの一方の反射面が反射型の光学特性可変光学素子であり、他方の反射面による光軸の偏向角をφとしたとき、次の式(5)又は式(6)を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学系。
25° ≦ φ ≦ 75° …(5)
105° ≦ φ ≦ 155° …(6)
(30)前記反射型の光学特性可変光学素子の光学面の周辺部が固定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学系。
(31)変倍光学系であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学系。
(32)前記反射型の光学特性可変光学素子よりも後方のレンズ群に凹レンズが2枚以上備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学系。
(33)ある状態で、次の式(12)、式(13)、式(14)、式(15)、式(16)、式(17)のいずれかを満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学系。
−10.0 < f1/f < −0.15 …(12)
0 < |md/f| < 0.3 …(13)
0 < md2/Sm < 5.0×10-4 …(14)
0 ≦ |Vm| < 500 …(15)
0 ≦ |φDM×f| < 1.00 …(16)
1.0 < Cj/f < 60.0 …(17)
但し、f1は前記反射型の光学特性可変光学素子の物体側に負パワーのレンズ群を有する場合における該負パワーのレンズ群の焦点距離、fは前記反射型の光学特性可変光学素子の反射面が平面形状である場合における光学系の焦点距離、mdは前記反射型の光学特性可変光学素子の最大変形量、Smは前記反射型の光学特性可変光学素子における光学的に有効な反射面の面積、Vmは前記反射型の光学特性可変光学素子における駆動方式が電圧駆動方式の場合において焦点距離を変える時に該反射型の光学特性可変光学素子に印加する電圧、φDMは前記反射型の光学特性可変光学素子のパワーに比例する量、Cjは光学系の全長である。
(34)光軸折り曲げ部が光路上に少なくとも2箇所備えられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学系。
(35)2つの反射面からなる光軸折り曲げ部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学系。
(36)2つの反射面からなる光軸折り曲げ部が光路上に少なくとも2箇所備えられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学系。
(37)次の式(7')及び式(8')を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学系。
30° ≦ θ ≦ 60° …(7')
30° ≦ φ ≦ 60° …(8')
但し、θは前記反射型の光学特性可変光学素子による軸上主光線の折り曲げ角、φは2つの光学面の光路間に挟まれた反射面を2面有し、そのうちの一方の反射面が反射型の光学特性可変光学素子である場合における、他方の反射面による光軸の偏向角である。
(38)上記(1)〜(37)のいずれかに記載の光学系を含むことを特徴とする光学装置。
(39)回転対称な光学面を含む複数の光学面と、反射型の光学特性可変光学素子を備え、前記反射型の光学特性可変光学素子が2つの前記光学面の間の光路に配置され、前記反射型の光学特性可変光学素子による光軸の偏向角θが次の式(1)を満足することを特徴とする光学系。
10° < θ < 67° …(1)
(40)回転対称な曲面の光学面が、反射型の光学特性可変光学素子の後方にある請求項3に記載の光学系を備え、前記反射型の光学特性可変光学素子が2つの前記光学面の間の光路に配置され、前記反射型の光学特性可変光学素子による光軸の偏向角θが次の式(1)を満足することを特徴とする光学系。
10° < θ < 67° …(1)
(41)前記反射型の光学特性可変光学素子の後方に配置された回転対称な透過型光学面が曲面である請求項2又は4に記載の光学系。
(42)回転対称な光学面と反射型の光学特性可変光学素子とからなる請求項2又は4に記載の光学系。
(43)回転対称な反射面を有する請求項4に記載の光学系。
(44)回転非対称な光学面を2面以上有する請求項4に記載の光学系。
(45)結像面と反射型光学特性可変光学素子の位置関係が固定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学系。
(46)結像面と、いずれかの光学素子の位置関係が固定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学系。
(47)結像面と最も物体寄りの光学素子の位置関係が固定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学系。
(48)一部の光学素子が移動することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学系。
(49)光学素子のシフト偏心、ティルト偏心が0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学系。
(50)撮像素子を備え、該撮像素子のティルト偏心が0でないことを特徴とする請求項1〜4、上記(49)のいずれかに記載の光学系。
(51)反射型光学特性可変素子を光学特性可変素子で置き換えた請求項1〜4、上記(1)〜(50)のいずれかに記載の光学系。
(52)反射型光学特性可変素子を反射型の光学素子で置き換えた請求項1〜4、上記(1)〜(50)のいずれかに記載の光学系。
(53)上記(39)〜(52)のいずれかに記載の光学系を備えた光学装置。
本発明の一実施形態にかかる可変ミラー409を用いたズーム撮像光学系の概略構成図である。 本発明の他の実施形態にかかる可変ミラーを用いた撮像光学系の概略構成図である。 本発明のさらに他の実施形態にかかる可変ミラーを用いた撮像光学系の概略構成図である。 本発明のさらに他の実施形態にかかる可変ミラーを用いた表示光学系の概略構成図である。 本発明の更に他の実施形態にかかるレンズ後方に光軸折り曲げ部を持つズーム撮像光学系の概略構成図である。 本発明の光学装置に適用可能な光学系の実施例1の概略構成を示すY−Z断面図であり、広角端の状態を示している。 本発明の光学装置に適用可能な光学系の実施例1の概略構成を示すY−Z断面図であり、標準の状態を示している。 本発明の光学装置に適用可能な光学系の実施例1の概略構成を示すY−Z断面図であり、望遠端の状態を示している。 本発明の光学装置に用いる光学系に適用可能な光学特性可変光学素子として形状可変ミラーの一構成例を示す概略図である。 可変ミラー409の他の構成例を示す概略図である。 図9及び図10の可変ミラーに用いる電極の一形態を示す説明図である。 図9及び図10の可変ミラーに用いる電極の他の形態を示す説明図である。 可変ミラー409のさらに他の構成例を示す概略図である。 可変ミラー409のさらに他の構成例を示す概略図である。 可変ミラー409のさらに他の構成例を示す概略図である。 図15の構成例における薄膜コイル427の巻密度の状態を示す説明図である。 可変ミラー409のさらに他の構成例を示す概略図である。 図17の構成例におけるコイル427の一配置例を示す説明図である。 図17の構成例におけるコイル427の他の配置例を示す説明図である。 図15に示した構成例において、コイル427の配置を図19に示した構成例のようにした場合に好適な永久磁石426の配置を示す説明図である。 本発明の光学装置の光学系に適用可能な可変ミラー409の概略構成図である。 可変ミラーのさらに他の構成例に係る、マイクロポンプ180で流体161を出し入れし、レンズ面を変形させる可変形状鏡188の概略構成図である。 マイクロポンプの一構成例を示す概略構成図である。 本発明の光学装置の光学系に適用可能な可変焦点レンズの原理的構成を示す図である。 一軸性のネマティック液晶分子の屈折率楕円体を示す図である。 図24に示す高分子分散液晶層に電界を印加状態を示す図である。 図24に示す高分子分散液晶層への印加電圧を可変にする場合の一構成例を示す図である。 本発明の光学装置に可変焦点レンズを用いたデジタルカメラ用の撮像光学系の一構成例を示す図である。 本発明の光学装置の光学系に適用可能な可変焦点回折光学素子の一構成例を示す図である。 ツイストネマティック液晶を用いる可変焦点レンズを有する可変焦点眼鏡の構成例を示す図である。 図30に示すツイストネマティック液晶層への印加電圧を高くしたときの液晶分子の配向状態を示す図である。 本発明の光学装置の光学系に適用可能な可変偏角プリズムの二つの構成例を示す図である。 図32に示す可変偏角プリズムの使用態様を説明するための図である。 本発明の光学装置の光学系に適用可能な可変焦点レンズとして機能できる可変焦点ミラーの一構成例を示す図である。 本発明の光学装置の光学系に他の構成例の可変焦点レンズ140を用いた撮像光学系の概略構成図である。 図35の構成例における可変焦点レンズの変形例を示す説明図である。 図36の可変焦点レンズが変形した状態を示す説明図である。 本発明の光学装置の光学系に適用可能な可変焦点レンズのさらに他の構成例に係る、マイクロポンプ160で流体161を出し入れし、レンズ面を変形させる可変焦点レンズ162の概略図である。 本発明の光学装置の光学系に適用可能な光学特性可変光学素子の他の構成例であって圧電材料200を用いた可変焦点レンズ201の概略図である。 図39の変形例に係る可変焦点レンズの状態説明図である。 本発明の光学装置の光学系に適用可能な光学特性可変光学素子のさらに他の構成例であって圧電材料からなる2枚の薄板200A,200Bを用いた可変焦点レンズの概略図である。 本発明の光学装置の光学系に適用可能な可変焦点レンズのさらに他の構成例を示す概略図である。 図42の構成例に係る可変焦点レンズの状態説明図である。 本発明の光学装置の光学系に適用可能な光学特性可変光学素子のさらに他の構成例であってフォトニカル効果を用いた可変焦点レンズの概略図である。 図44の構成例に係る可変焦点レンズに用いるアゾベンゼンの構造を示す説明図であり、(a)はトランス型、(b)はシス型を示している。 本発明の光学装置の光学系に適用可能な可変ミラーのさらに他の構成例を示す概略図である。 本発明の実施の形態にかかる光学装置の光学系に適用可能な電磁駆動型の可変ミラーの構造を示した図であり、(a)は側面図、(b)は反射膜の反対側から見た図である。
符号の説明
45、188、409、409−1、409−2 可変ミラー
59、145、513a、513b 透明電極
102、512a、512b、512c、522、552,553、871、902 レンズ
103 制御系
104,141 撮像ユニット
140、162、201、207、214、511、551 可変焦点レンズ
142 透明部材
143 透明物質
144 ゼリー状物質
146 シリンダー
147 支援部材
160、180 マイクロポンプ
161 流体
163、165、202、204、532、533、562、563、566、567 透明基板
164 弾性体
168 制御装置
181 振動板
182、182、409b、409k、452 電極
184、185 弁
189 膜
189a、423 支持台
200 圧電材料
200A、200B 薄板
208、209 透明弾性体
210 アゾベンゼン
211 スペーサー
206、409c−2,453 電歪材料
303 画像処理装置
304、411、425、425b、428、846 駆動回路
408、522 固体撮像素子
409a 薄膜
409c、409c’ 圧電素子
409c−1、409e、409j、451 基板
411a、411b、519 可変抵抗器
412,516 電源
413 電源スイッチ
414 演算装置
415 温度センサー
416 湿度センサー
417 距離センサー
424 振れセンサー
426 永久磁石
427、428’ コイル
449 釦
450、568 反射膜
508a、508b、509a、509b レンズ面
514 高分子分散液晶層
515 スイッチ
516 交流電源
517 液晶分子
518 高分子セル
521 明るさ絞り
531 可変焦点回折光学素子
531a、531b、533a、533b、562a、562b、563a、563b、566a、566b、567a、567b 面
539a、539b 配向膜
554 ツイストネマティック液晶層
555 液晶分子
561 可変偏角プリズム
562b 透明基板562の内面
565 可変焦点ミラー
566b 透明基板566の内面
567a 透明基板567の内面
800 光軸
801 凹レンズ
802、870 ミラー
803 レンズ系
804、805、806、807 レンズ群
808、872、FL フィルター群
809 ズーム撮像光学系
820,830、831 曲面プリズム
823 曲面ミラー
824、834−1、834−2 反射面
825 曲面プリズム820の可変ミラー409と対向する面
860、861 プリズム
863 低屈折率の接着剤の面
DM 形状可変ミラー
FL フィルター群
G1、G3 負のパワーを有する固定レンズ群
G2、G4 正のパワーを有する移動レンズ群
G5 正のパワーを有する固定レンズ群
I 像面
L1 メニスカス凹レンズ
L21 物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ
L22、L41、L42、L5 両凸レンズ
L31 メニスカス凹レンズ
L32 物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ
L43、L44 両凹レンズ
S 絞り

Claims (5)

  1. 複数の回転対称な光学面と、1つあるいは複数の反射型の光学特性可変光学素子とからなり、前記反射型の光学特性可変光学素子が2つの前記回転対称な光学面の間の光路に配置され、前記反射型の光学特性可変光学素子による光軸の偏向角θが次の式(1)又は式(2)を満足することを特徴とする光学系。
    10° < θ < 67° …(1)
    10° < θ/npr < 67° …(2)
    但し、nprは反射型の光学特性可変光学素子に対向する光学面を有する光学素子の屈折率である。
  2. 複数の回転対称な透過型光学面と、反射型の光学特性可変光学素子を備え、前記反射型の光学特性可変光学素子が2つの前記回転対称な透過型光学面の間の光路に配置され、次の式(11")を満足することを特徴とする光学系。
    0.7< |L/fw| < 50 …(11")
    但し、L=L1+L2+・・・Ln・・・+LBであり、前記光学特性可変光学素子を挟んで前後に位置する面であり、かつ、同一の透過面を構成しない2つの前記回転対称な透過型光学面の間の光路内において、L1は物体側から第1番目の反射面と該第1番目の反射面から物体側に最も近い透過型光学面までの距離、L2は第1番目の反射面から第2番目の反射面までの距離、Lnは第n−1番目の反射面から第n番目の反射面までの距離、LBは最も後方の反射面と該最も後方の反射面から像側に最も近い透過型光学面までの距離である。但し、該像側に最も近い透過型光学面が移動する場合には該光学面が前記光学特性可変光学素子に最も近付いたときの距離である。fwは光学系の焦点距離であり、焦点距離の変化する光学系の場合には最も短い状態(焦点距離の絶対値の小さい状態)の焦点距離である。
  3. 回転非対称な光学面を含む複数の光学面と、反射型の光学特性可変光学素子を備え、前記反射型の光学特性可変光学素子が2つの前記光学面の間の光路に配置され、前記反射型の光学特性可変光学素子による光軸の偏向角θが次の式(1)を満足することを特徴とする光学系。
    10° < θ < 67° …(1)
  4. 回転非対称な光学面を含み、複数の透過型の光学面を有し、反射型の光学特性可変光学素子を備え、前記反射型の光学特性可変光学素子が2つの前記光学面の間の光路に配置され、次の式(11")を満足することを特徴とする光学系。
    0.7< |L/fw| < 50 …(11")
    但し、L=L1+L2+・・・Ln・・・+LBであり、前記光学特性可変光学素子を挟んで前後に位置する面であり、かつ、同一の透過面を構成しない2つの前記透過型光学面の間の光路内において、L1は物体側から第1番目の反射面と該第1番目の反射面から物体側に最も近い透過型光学面までの距離、L2は第1番目の反射面から第2番目の反射面までの距離、Lnは第n−1番目の反射面から第n番目の反射面までの距離、LBは最も後方の反射面と該最も後方の反射面から像側に最も近い透過型光学面までの距離である。但し、該像側に最も近い透過型光学面が移動する場合には該光学面が前記光学特性可変光学素子に最も近付いたときの距離である。fwは光学系の焦点距離であり、焦点距離の変化する光学系の場合には最も短い状態(焦点距離の絶対値の小さい状態)の焦点距離である。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の光学系を含むことを特徴とする光学装置。
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