JP2004076857A - 部材の接続構造及び接続装置 - Google Patents

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Takeshi Komine
小峰 毅
Hidemori Kawashita
川下 英盛
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Abstract

【課題】簡単な構造で、部材同士を軸心方向及び回転方向に精度良く位置決めして接続可能な部材の接続構造、及び接続装置を提供する。
【解決手段】第1の部材1の軸部14に、該軸心方向に対し略垂直方向に開口された第1の挿入穴16を形成し、第2の部材2に、軸部14が挿入される凹部43を形成し、軸部14を凹部34に挿入して、端面19と端面38を当接させた際に、第1の挿入穴16に連通する第2の挿入穴36を形成し、第1の挿入穴16は、ボルト3のテーパ部51が当接可能なテーパ面17を有し、第2の挿入穴36は、ボルト3の雄螺子部63が螺合する雌螺子部37を有し、少なくとも第1の挿入穴16に、ボルト3の円筒部52に当接するガイド部を設けた。
【選択図】    図7

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、第1の部材の軸部を、第2の部材の凹部に挿入し、前記両部材の端面を当接させた状態で、クランプ部材により当該両部材を接続する部材の接続構造、及び接続装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、第1の部材の軸部を、第2の部材の凹部に挿入し、前記両部材の端面を当接させた状態で、クランプ部材により当該両部材を接続するものとして、様々な構造が、各種分野で提案されている。
【0003】
例えば、実公昭52−54074号公報には、前述したような接続構造を備えた中ぐりヘッドが開示されている。この中ぐりヘッドは、長手軸に対して直角になる、研磨肩部が接続軸の端面に当接し、中ぐりヘッドが接続軸の穴の中に突出する円筒状の固定栓を有し、この固定栓が長手軸に対して横方向にある円錐穴を有した構造を備えている。この中ぐりヘッドは、前記円錐穴に円錐接続旋回部を有し、接続軸の螺子穴に通してあって、中ぐりヘッドの刃に対してある角度ずらされた付属螺子が偏心して係合し、中ぐりヘッドが接続軸の端面の方へ引っ張られるよう構成されている。
【0004】
また、特公平6−57326号公報には、前述したような接続構造を備えた工具システムの工具部品結合装置が開示されている。この工具部品結合装置では、工具部品が円筒状の固定用ピンを有し、対応する連結軸の円筒穴の中に延びている。前記連結軸は、この連結軸の長手方向軸にほぼ直角に配置される交差螺子穴を有し、前記固定用ピンが該固定用ピンの長手方向軸にほぼ直角に配置されて該交差螺子穴に直線的に整列し得る交差テーパ穴を有している。また、前記工具部品の肩部を対応する連結軸の円筒穴部前面へ楔効果によって引き付けるべく該交差螺子穴を貫通して連結軸の中にねじ込まれる差込み螺子の先端部が該交差テーパ穴の中に係合されている。そして、前記交差テーパ穴にほぼ直角配置で固定用ピンの軸にもほぼ直交する、中に滑動挿入される回り止めピンを滑動可能に納める円筒状交差穴を、前記固定用ピンに設け、回り止めピンのテーパ状の両端部が、該回り止めピンの軸心方向外方に行くに従って幅が狭くなる前記連結軸のテーパ穴(凹み)の中へと延びた構造を備えている。
【0005】
そしてまた、実開平4−128105号公報には、一方側の部材に嵌着される回り止めピンを他方側の端面に形成されるスリット溝に嵌合し、回り止め拘束すると共に、先端にテーパ部を有するクランプボルトにより両部材を連結した工具等の継ぎ足し構造が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
実公昭52−54074号公報に記載されている中ぐりヘッドは、接続軸に対し、螺子一つで軸心方向と回転方向の両方の位置決めを行うことができる。この中ぐりヘッドは、該中ぐりヘッドと接続軸との端面を突き合せることによって、この接続軸との軸心方向の位置決めを規制しているため、軸心方向については正確に位置決めすることができる。しかしながら、接続軸との回転方向の位置決めは、曲率の違う円錐穴と円錐接続旋回部とで規制するため、狂いが生じやすく、正確に位置決めすることが困難である。
【0007】
また、特公平6−57362号公報に記載されている工具部品結合装置は、実公昭52−54074号公報に開示されている技術に対し、回転方向のトルクを強化するよう発明されたものである。この工具部品結合装置では、トルクを伝達する回り止めピンと、連結軸のテーパ穴(凹み)の寸法を正確に加工する必要があり、回り止めピンの両端のテーパ部と、前記テーパ穴(凹み)との間にクリアランスが生じる。したがって、回転方向の位置決めを正確に行うことが困難である。
【0008】
そしてまた、実開平4−128105号公報に記載されている継ぎ足し構造では、回り止めピンが円筒形であるため、テーパ形状の物と比較して加工が容易であるが、取付け用のクランプボルトとの回転方向の位置関係を正確に加工しなければならず、回転方向に狂いが生じやすく、正確に位置決めすることが困難である。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点を解決することを課題とするものであり、簡単な構造で、部材同士を軸心方向及び回転方向に精度良く位置決めして接続可能な部材の接続構造、及び接続装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明は、第1の部材の軸部に、該軸心方向に対し略垂直方向に開口された第1の挿入穴を形成し、第2の部材に、前記軸部が挿入される凹部を形成すると共に、前記軸部を当該凹部に挿入して前記両部材の端面を当接させた際に、前記第1の挿入穴に連通する第2の挿入穴を形成し、前記両挿入穴にクランプ部材を挿入して前記両部材を接続する部材の構造であって、前記クランプ部材は、基端側に形成された雄螺子部と、先端側に形成されたテーパ部と、当該雄螺子部とテーパ部との間に形成された円筒部と、を有し、前記第1の挿入穴は、前記クランプ部材のテーパ部が当接可能なテーパ面を有し、前記第2の挿入穴は、前記クランプ部材の雄螺子部が螺合する雌螺子部を有し、少なくとも前記第1の挿入穴に、前記クランプ部材の円筒部に当接するガイド部を設けた部材の接続構造を提供するものである。
【0011】
この部材の接続構造によれば、第1の部材の軸部を第2の部材の凹部に挿入した際に、前記両部材の端面が当接するため、軸心方向の位置決めを正確に行える。さらに、ガイド部がクランプ部材の円筒部に当接するため、回転方向の移動を規制することができ、回転方向の位置決めも正確に行うことができる。
【0012】
また、前記第1の挿入穴に設けられたガイド部は、前記軸部の回転方向両側に形成された平面部を備えることができる。
【0013】
そしてまた、前記第1の挿入穴に設けられたガイド部は、前記第1の挿入穴と同軸に形成され、底面が前記軸心方向に長い長円状の筒状溝から構成することもできる。
【0014】
さらにまた、前記第1の挿入穴は、前記軸部の軸心側に前記テーパ面が設けられ、当該軸部の外周面側に前記ガイド部が設けられていてもよい。
【0015】
また、前記ガイド部は、前記第1の挿入穴及び第2の挿入穴に設けられ、当該第2の挿入穴に設けられたガイド部は、前記第1の挿入穴に設けられたガイド部に隣接可能であると共に、当該第2の挿入穴と同軸に形成され、前記クランプ部材の円筒部に当接する円筒溝から構成することもできる。この円筒溝の内周面は、例えばブッジュ等により構成することもできる。
【0016】
そしてまた、前記第1の部材は、例えば、刃物あるいは刃物を保持する工具ホルダであり、前記第2の部材は、例えば、機械の主軸に接続される接続部を備えて構成してもよい。
【0017】
また、本発明は、軸部を備えた第1の部材と、当該軸部が挿入される凹部を備えた第2の部材と、前記第1の部材と第2の部材を固定するクランプ部材と、を備えた部材の接続装置であって、前記第1の部材は、前記軸部の該軸心方向に対し略垂直方向に開口された第1の挿入穴と、前記軸部を前記第2の部材の凹部に挿入した際に、当該第2の部材の端面に当接する当接面と、を備え、前記第2の部材は、前記第1の部材の軸部を当該凹部に挿入して、当該第1の部材の当接面を第2の部材の端面に当接させた際に、前記第1の挿入穴に連通する第2の挿入穴を備え、前記クランプ部材は、基端側に形成された雄螺子部と、先端側に形成されたテーパ部と、当該雄螺子部とテーパ部との間に形成された円筒部と、を備え、前記第1の挿入穴は、前記クランプ部材のテーパ部が当接可能なテーパ面と、前記クランプ部材の円筒部に当接するガイド部と、を備え、前記第2の挿入穴は、前記クランプ部材の雄螺子部が螺合する雌螺子部を備え、前記クランプ部材を、前記連通した第1の挿入穴及び第2の挿入穴に挿入して前記雄螺子部と雌螺子部を螺合させ、当該クランプ部材を締め付けた際に、当該クランプ部材のテーパ部が、前記テーパ面の前記軸心方向であって第2の部材側に当接すると共に、前記クランプ部材の円筒部が、前記ガイド部の前記軸部の回転方向両側に当接する部材の接続装置を提供するものである。
【0018】
この部材の接続装置によれば、第1の部材の軸部を第2の部材の凹部に挿入した際に、前記第1の部材の当接面が第2の部材の端面に当接するため、軸心方向の位置決めを正確に行える。さらに、クランプ部材の円筒部が、ガイド部の前記軸部の回転方向両側に当接するため、回転方向の移動を規制することができ、回転方向の位置決めも正確に行うことができる。
【0019】
また、本発明にかかる部材の接続装置は、前記第2の挿入穴が、前記クランプ部材の円筒部に当接するガイド部をさらに備え、前記クランプ部材を、前記連通した第1の挿入穴及び第2の挿入穴に挿入して前記雄螺子部と雌螺子部を螺合させ、当該クランプ部材を締め付けた際に、当該クランプ部材のテーパ部が、前記テーパ面の前記軸心方向であって第2の部材側に当接すると共に、前記クランプ部材の円筒部が、前記両ガイド部の前記軸部の回転方向両側に当接する構成を備えることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好適な実施形態にかかる部材の接続構造について図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる部材の接続構造によって接続される第1の部材を示す一部断面図、図2は、本発明の実施の形態1にかかる部材の接続構造によって接続される第2の部材を示す一部断面図、図3は、図1に示す第1の部材の一部平面図、図4は、図2に示す第2の部材の一部平面図、図5は、第1の部材の軸部を第2の部材の凹部に挿入する過程を示す断面図、図6は、第1の部材の軸部を第2の部材の凹部に挿入した状態を示す断面図、図7は、図6に示す第1の部材と第2の部材をクランプ部材により固定した状態を示す断面図、図8は、図7に示すVIII−VIII線に沿った断面図である。
【0021】
実施の形態1にかかる部材の接続構造は、特に図7に示すように、第1の部材1に形成されている軸部14を、第2の部材2に形成されている凹部34に挿入し、これら両部材1及び2を、クランプ部材としてのボルト3で固定して接続するものである。
【0022】
図1、図3、図5〜図8に示すように、第1の部材1は工具ホルダであり、コレット10が挿入されるコレット挿入穴11が形成された工具ホルダ本体12と、工具ホルダ本体12のコレット挿入穴11とは反対側に形成されたフランジ部13と、フランジ部13から突出形成された軸部14と、工具ホルダ本体12のコレット挿入穴11が形成されている側の端部を締め付けるナット15と、を備えて構成されている。
【0023】
フランジ部13の軸部14側の端面19は、第1の部材1の軸部14を、第2の部材2の凹部34に挿入した際に、第2の部材2の凹部34が形成されている側の端面38に当接される当接面となっている。
【0024】
軸部14は、工具ホルダ本体12の径より小さい径を有する円筒形状を備えている。この軸部14には、軸心O方向(図1参照)に対し略垂直方向に開口された第1の挿入穴16が開口されている。この第1の挿入穴16には、後に詳述するボルト3のテーパ部51及び円筒部52が挿入される。
【0025】
第1の挿入穴16は、軸心O側に形成され、特に図3に示すように、平面視で、軸心O方向が長い長円状に開口されると共に、軸心Oに近づくにしたがって径が小さくなる長円錐形状(図1参照)を備えた長円錐部21と、第1の挿入穴16の軸部14外周側に形成され、特に図3に示すように、平面視で、軸心O方向が長い長円状に開口された筒状溝からなる長円筒部22と、から構成されている。この長円錐部21の内周面が、ボルト3のテーパ部51が当接可能であるテーパ面17となっている。
【0026】
また、長円筒部22は、軸部14の回転方向両側(図8における左右両側)に形成された両平面部の間の距離が、ボルト3の円筒部52の径とほぼ同一に形成されており、この両平面部が、ボルト3の円筒部52に当接可能なガイド部18となり、第1の部材1が第2の部材2に対し、相対的に回転することを防止する。
【0027】
一方、第2の部材2は、図2及び図4〜図8に示すように、一端に第1の部材1の軸部14が挿入される凹部34が形成されている円筒形の接続本体32と、接続本体32の凹部34が形成された側とは反対側に形成されたフランジ部33と、フランジ部33から突出形成され、図示しない機械主軸に形成されたテーパ穴に挿入されて、機械主軸に接続される接続部としてのテーパシャンク部35と、を備えて構成されている。
【0028】
接続本体32の内部には、その軸心Oに対し同心円に凹部34が開口されており、この凹部34には、第1の部材1の軸部14が挿入される。接続本体32には、軸心O方向(図2参照)に対し略垂直方向に開口された第2の挿入穴36が開口されている。この第2の挿入穴36は、特に図4に示すように、平面視で、円状に開口された略円筒形状を備えており、その内壁には、ボルト3の雄螺子部53に螺合する雌螺子部37が形成されている。この第2の挿入穴36は、第1の部材1の軸部14を、第2の部材2の凹部34に挿入し、フランジ部13の端面19を接続本体32の端面38に当接させた際に、第1の挿入穴16に連通可能な位置に開口されているが、図6に示すように、その軸心Pが、第1の挿入穴16の軸心Pより若干端面38から離れる方向(図6における左側)に偏心して形成されている。
【0029】
ボルト3は、先端側(第1の挿入穴16及びこれに連通された第2の挿入穴36に挿入された際に、軸心O(O)側となる)にテーパ部51が形成されている。このテーパ部51は、第1の挿入穴16のテーパ面17に当接可能となっている。また、基端側(前記先端側とは反対側)には、第2の挿入穴36に形成された雌螺子部37に螺合する雄螺子部53が形成されている。さらに、テーパ部51と雄螺子部53との間には、第1の挿入穴16のガイド部18に当接可能な円筒部52が形成されている。
【0030】
次に、この構成を備えた第1の部材1と第2の部材2を、ボルト3によって接続固定する具体的動作について説明する。
【0031】
先ず、第2の部材2の凹部34に第1の部材1の軸部14を挿入し、第1の部材1の端面19を第2の部材2の端面38に当接させ(突き合わせ)、第1の挿入穴16と第2の挿入穴36を連通させる。
【0032】
次に、連通した第1の挿入穴16と第2の挿入穴36にボルト3を挿入し、ボルト3の雄螺子部53を第2の挿入穴36に形成されている雌螺子部37に螺合させてボルト3を締め付ける。この時、第2の挿入穴36の軸心Pが第1の挿入穴の軸心Pより、図6における左側に偏心しているため、ボルト3の締め付けにより、第1の部材1を図6における左側に移動させる力が働き、第1の部材1の端面19と、第2の部材2の端面38とが確実に当接する。また、ボルト3のテーパ部51は、図7に示すように、第1の挿入穴16のテーパ面17の図7における左側に確実に当接する。これによって、第1の部材1と第2の部材2との軸心方向の位置決めが確実になされる。
【0033】
一方、ボルト3の円筒部52は、図8に示すように、ガイド部18に当接する。これによって、第1の部材1と第2の部材2との回転方向の位置決めが確実に行われる。
【0034】
なお、実施の形態1では、第1の部材1として工具ホルダとし、第2の部材2に、機械主軸のテーパ穴に挿入されて、機械主軸に接続される接続部を設けた場合について説明したが、これに限らず、本発明にかかる部材の接続構造、あるいは接続装置は、接続すると相対的に回転する可能性がある部材同士の接続に好適に採用することができる。
【0035】
また、実施の形態1では、ボルト3によって1箇所で固定する場合について説明したが、これに限らず、第1の部材1と第2の部材の固定箇所は、複数等、任意に決定することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2にかかる部材の接続構造について図面を参照して説明する。
【0036】
図9は、本発明の実施の形態2にかかる部材の接続構造によって接続される第2の部材を示す一部断面図、図10は、第1の部材と第2の部材をクランプ部材により固定した状態を示す断面図、図11は、図10に示すXI−XI線に沿った断面図である。
【0037】
なお、実施の形態2では、実施の形態1で説明した部材と同様の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0038】
図9〜図11に示すように、実施の形態2にかかる部材の接続構造と、実施の形態1にかかる部材の接続構造との異なる点は、第2の部材2に形成された第2の挿入穴76の構成と、ボルト4の構成である。
【0039】
第2の挿入穴76は、接続本体32の軸心O方向(図9参照)に対し略垂直方向に開口され、後に詳述するボルト4の雄螺子部93が挿入される。この第2の挿入穴76は、図9に示すように、軸心O側に形成された小径円筒部81と、第2の部材2の外周面側に小径円筒部81と連通して形成された大径円筒部82と、から構成されている。小径円筒部81は、ボルト4の円筒部92の径とほぼ同じ径を備え、小径円筒部81の内周面に円筒部92が接触して挿入可能となっている。すなわち、小径円筒部81の内周面がガイド部78となっている。また、大径円筒部82には、ボルト4の雄螺子部93に螺合する雌螺子部77が形成されている。
【0040】
この第2の挿入穴76も、実施の形態1で説明した第2の挿入穴36と同様に、第1の部材1の軸部14を、第2の部材2の凹部34に挿入し、フランジ部13の端面19を接続本体32の端面38に当接させた際に、第1の挿入穴16に連通可能な位置に開口されているが、その軸心が、第1の挿入穴16の軸心より若干端面38から離れる方向に偏心して形成されている。
【0041】
ボルト4は、先端側(第1の挿入穴16及びこれに連通された第2の挿入穴36に挿入された際に、軸心O(O)側となる)にテーパ部51が形成されている。このテーパ部51は、第1の挿入穴16のテーパ面17に当接可能となっている。また、基端側(前記先端側とは反対側)には、第2の挿入穴76に形成された雌螺子部77に螺合する雄螺子部93が形成されている。この雄螺子部93は、実施の形態1で説明したボルト3の雄螺子部53より短く構成されている。さらに、テーパ部51と雄螺子部93との間には、第1の挿入穴16のガイド部18及び第2の挿入穴76のガイド部78に当接可能な円筒部92が形成されている。この円筒部92は、ボルト3の円筒部52より長く構成されている。
【0042】
次に、この構成を備えた第1の部材1と第2の部材2を、ボルト4によって接続固定する具体的動作について説明する。
【0043】
先ず、実施の形態1と同様に、第2の部材2の凹部34に第1の部材1の軸部14を挿入し、第1の部材1の端面19を第2の部材2の端面38に当接させ、第1の挿入穴16と第2の挿入穴76を連通させる。
【0044】
次に、連通した第1の挿入穴16と第2の挿入穴76にボルト4を挿入し、ボルト4の雄螺子部93を第2の挿入穴76に形成されている雌螺子部77に螺合させてボルト4を締め付ける。この時、第2の挿入穴76の軸心が第1の挿入穴の軸心に対し、前述したように偏心しているため、第1の部材1の端面19と、第2の部材2の端面38とが確実に当接する。また、ボルト4のテーパ部51は、図10に示すように、第1の挿入穴16のテーパ面17の図10における左側に確実に当接する。これによって、第1の部材1と第2の部材2との軸心方向の位置決めが確実になされる。
【0045】
一方、ボルト4の円筒部92は、図11に示すように、ガイド部18及びガイド部78に当接する。これによって、第1の部材1と第2の部材2との回転方向の位置決めが確実に行われる。
【0046】
なお、実施の形態2では、第2の挿入穴76を、小径円筒部81と、大径円筒部82とから構成した場合について説明したが、これに限らず、第2の挿入孔76は、例えば、図12に示すように、第2の挿入穴76を大径円筒部82から構成し、小径円筒部81に対応する部分に、リング状のブッシュ84を配設して、ボルト4の円筒部92に当接可能となるように、その内径を小さくしてもよい。この場合、ブッシュ84の内周面が、ガイド部78となる。
【0047】
また、ブッシュ84は、リング状に限らず、小径円筒部81に対応する部分の内壁に沿って、所望の間隔をあけて複数設置してもよい。
【0048】
そしてまた、図13に示すように、第2の挿入穴76を、大径円筒部82と、小径円筒部81に対応する部分に形成されると共に、大径円筒部82より径がさらに大きな円筒部86と、から構成し、円筒部86の内周面に、大径円筒部82より内側に突出するリング状のブッシュ85を配設して、ボルト4の円筒部92に当接可能となるように、その内径を小さくしてもよい。この場合、ブッシュ85の内周面が、ガイド部78となる。
【0049】
また、ブッシュ85は、リング状に限らず、円筒部86の内壁に沿って、所望の間隔をあけて複数設置してもよい。
【0050】
なお、実施の形態1及び2は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定するものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、第1の部材の軸部を第2の部材の凹部に挿入した際に、前記両部材の端面が当接するため、軸心方向の位置決めを正確に行なうことができる。さらに、少なくとも第1の挿入穴に形成されたガイド部がクランプ部材の円筒部に当接するため、両部材同士の回転方向への相対移動を規制することができ、回転方向の位置決めも正確に行うことができる。この結果、簡単な構造で、軸心方向及び回転方向の位置決めを確実に行うことができる部材の接続構造及び接続装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる部材の接続構造によって接続される第1の部材を示す一部断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる部材の接続構造によって接続される第2の部材を示す一部断面図である。
【図3】図1に示す第1の部材の一部平面図である。
【図4】図2に示す第2の部材の一部平面図である。
【図5】第1の部材の軸部を第2の部材の凹部に挿入する過程を示す断面図である。
【図6】第1の部材の軸部を第2の部材の凹部に挿入した状態を示す断面図である。
【図7】図6に示す第1の部材と第2の部材をクランプ部材により固定した状態を示す断面図である。
【図8】図7に示すVIII−VIII線に沿った断面図である。
【図9】本発明の実施の形態2にかかる部材の接続構造によって接続される第2の部材を示す一部断面図である。
【図10】第1の部材と第2の部材をクランプ部材により固定した状態を示す断面図である。
【図11】図10に示すXI−XI線に沿った断面図である。
【図12】本発明の実施の形態2にかかる他の実施形態の一部を示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態2にかかる他の実施形態の一部を示す断面図である。
【符号の説明】
1  第1の部材
2  第2の部材
3、4  ボルト
13  フランジ部
14  軸部
16  第1の挿入穴
17  テーパ面
18、78  ガイド部
19、38  端面
34  凹部
36、76  第2の挿入穴
37、77  雌螺子部
51  テーパ部
52、92  円筒部
53、93  雄螺子部

Claims (9)

  1. 第1の部材の軸部に、該軸心方向に対し略垂直方向に開口された第1の挿入穴を形成し、第2の部材に、前記軸部が挿入される凹部を形成すると共に、前記軸部を当該凹部に挿入して前記両部材の端面を当接させた際に、前記第1の挿入穴に連通する第2の挿入穴を形成し、前記両挿入穴にクランプ部材を挿入して前記両部材を接続する部材の構造であって、
    前記クランプ部材は、基端側に形成された雄螺子部と、先端側に形成されたテーパ部と、当該雄螺子部とテーパ部との間に形成された円筒部と、を有し、
    前記第1の挿入穴は、前記クランプ部材のテーパ部が当接可能なテーパ面を有し、
    前記第2の挿入穴は、前記クランプ部材の雄螺子部が螺合する雌螺子部を有し、
    少なくとも前記第1の挿入穴に、前記クランプ部材の円筒部に当接するガイド部を設けた部材の接続構造。
  2. 前記第1の挿入穴に設けられたガイド部は、前記軸部の回転方向両側に形成された平面部を備えてなる請求項1記載の部材の接続構造。
  3. 前記第1の挿入穴に設けられたガイド部は、前記第1の挿入穴と同軸に形成され、底面が前記軸心方向に長い長円状の筒状溝からなる請求項1または請求項2記載の部材の接続構造。
  4. 前記第1の挿入穴は、前記軸部の軸心側に前記テーパ面が設けられ、当該軸部の外周面側に前記ガイド部が設けられてなる請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の部材の接続構造。
  5. 前記ガイド部は、前記第1の挿入穴及び第2の挿入穴に設けられ、当該第2の挿入穴に設けられたガイド部は、前記第1の挿入穴に設けられたガイド部に隣接可能であると共に、当該第2の挿入穴と同軸に形成され、前記クランプ部材の円筒部に当接する円筒溝からなる請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の部材の接続構造。
  6. 前記円筒溝の内周面は、ブッシュからなる請求項5記載の部材の接続構造。
  7. 前記第1の部材は、刃物あるいは刃物を保持する工具ホルダであり、前記第2の部材は、機械の主軸に接続される接続部を備えてなる請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の部材の接続構造。
  8. 軸部を備えた第1の部材と、当該軸部が挿入される凹部を備えた第2の部材と、前記第1の部材と第2の部材を固定するクランプ部材と、を備えた部材の接続装置であって、
    前記第1の部材は、前記軸部の該軸心方向に対し略垂直方向に開口された第1の挿入穴と、前記軸部を前記第2の部材の凹部に挿入した際に、当該第2の部材の端面に当接する当接面と、を備え、
    前記第2の部材は、前記第1の部材の軸部を当該凹部に挿入して、当該第1の部材の当接面を第2の部材の端面に当接させた際に、前記第1の挿入穴に連通する第2の挿入穴を備え、
    前記クランプ部材は、基端側に形成された雄螺子部と、先端側に形成されたテーパ部と、当該雄螺子部とテーパ部との間に形成された円筒部と、を備え、
    前記第1の挿入穴は、前記クランプ部材のテーパ部が当接可能なテーパ面と、前記クランプ部材の円筒部に当接するガイド部と、を備え、
    前記第2の挿入穴は、前記クランプ部材の雄螺子部が螺合する雌螺子部を備え、
    前記クランプ部材を、前記連通した第1の挿入穴及び第2の挿入穴に挿入して前記雄螺子部と雌螺子部を螺合させ、当該クランプ部材を締め付けた際に、当該クランプ部材のテーパ部が、前記テーパ面の前記軸心方向であって第2の部材側に当接すると共に、前記クランプ部材の円筒部が、前記ガイド部の前記軸部の回転方向両側に当接する部材の接続装置。
  9. 前記第2の挿入穴は、前記クランプ部材の円筒部に当接するガイド部をさらに備え、
    前記クランプ部材を、前記連通した第1の挿入穴及び第2の挿入穴に挿入して前記雄螺子部と雌螺子部を螺合させ、当該クランプ部材を締め付けた際に、当該クランプ部材のテーパ部が、前記テーパ面の前記軸心方向であって第2の部材側に当接すると共に、前記クランプ部材の円筒部が、前記両ガイド部の前記軸部の回転方向両側に当接する請求項8記載の部材の接続装置。
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