JP4753955B2 - 焼きばめ式工具ユニット及びその焼きばめ式工具ユニットに使用される工具ホルダ並びに回転工具 - Google Patents
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Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼きばめ式工具ユニット及びその焼きばめ式工具ユニットに使用される工具ホルダ並びに回転工具に関し、特に、回転動力の伝達力の向上を図ると共に回転工具を工具ホルダに挿入する際の作業性の向上を図ることができる焼きばめ式工具ユニット及びその焼きばめ式工具ユニットに使用される工具ホルダ並びに回転工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、加工における回転工具の振れ精度を向上させるべく、焼きばめ式工具ユニットが用いられている。焼きばめ式工具ユニットは、回転工具の円筒接続部を挿入可能なチャック部を有する工具ホルダを備え、その工具ホルダのチャック部に回転工具の円筒接続部を焼きばめすることで回転工具を保持すると共に、その保持された回転工具に回転動力を伝達するものである。
【0003】
この焼きばめ式工具ユニットによれば、回転工具を挟持するだけの場合と比較して、回転工具に対する把持力の増加を図ると共に、保持される回転工具の偏心を抑制することで加工における振れ精度の向上を図ることができる。
【0004】
しかしながら、被加工物から受ける加工負荷が大きい場合や、例えば、タップのように円筒接続部の直径が刃部の谷径よりも小さくなければならないという制約を受ける場合には、焼きばめだけでは十分な把持力が得られず、回転工具と工具ホルダとの間に滑りが生じることがあった。
【0005】
このため、例えば、特開2002−355727号公報では、工具ホルダに保持された回転工具の工具ホルダに対する相対回転を規制するためのロックピンを備えることで、被加工物から受ける加工負荷が大きい場合でも、回転工具と工具ホルダとの間に滑りを生じさせることなく、確実に回転工具を保持することができる焼きばめ式工具ユニットが開示されている。
[特許文献1]特開2002−355727号公報
[発明の開示]
[発明が解決しようとする課題]
[0006]
しかしながら、上述した従来の焼きばめ式工具ユニットでは、回転工具の円筒接続部を工具ホルダのチャック部に挿入した後、回転工具を工具ホルダに対して周方向に回転させつつロックピンと係合させるため、被加工物から受ける加工負荷が正逆方向において共に大きい場合、例えば、被加工物を塑性変形させてめねじを形成する盛上げタップでは、正逆方向どちらか一方の加工負荷に対して規制力が得られず、その結果、回転工具と工具ホルダとの間に滑りが生じることで、回転動力を伝達することができなくなるという問題点があった。
[0007]
また、ロックピンが回転工具の軸心に対してオフセットされた位置に設けられているので、ロックピンによって回転工具と工具ホルダとの周方向の相対位置が決まってしまい、回転工具を工具ホルダのチャック部に挿入する際には、その都度、挿入する方向を確認しなければならず、作業性が悪いという問題点があった。
[0008]
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、回転動力の伝達力の向上を図ると共に回転工具を工具ホルダに挿入する際の作業性の向上を図ることができる焼きばめ式工具ユニット及びその焼きばめ式工具ユニットに使用される工具ホルダ並びに回転工具を提供することを目的としている。
[課題を解決するための手段]
[0009]
この目的を解決するために請求項1記載の焼きばめ式工具ユニットは、軸心を有する円柱状に形成される円筒接続部を有する回転工具と、前記回転工具の円筒接続部を挿入可能な円柱状の中空部が中空に設けられるチャック部を有する工具ホルダとを備え、前記回転工具の円筒接続部を前記工具ホルダのチャック部に焼きばめすることで前記回転工具を前記工具ホルダに保持させる焼きばめ式工具ユニットにおいて、
前記回転工具は、前記円筒接続部の先端に設けられると共に径方向に向けて突出したマージン部を有する刃部を備えると共に、被加工物を塑性変形させてめねじを形成する盛上げタップであって、前記円筒接続部は、その円筒接続部の側端面に設けられると共に、円筒接続部の軸心方向からみて略矩形状に形成される第1係合部を備え、前記第1係合部は、その中心を円筒接続部の軸心と一致させることで前記円筒接続部の軸心に対して軸対称に配設されると共に、前記矩形状の各辺をマージン部の突出方向に対応して延伸させており、前記工具ホルダは、前記チャック部に設けられると共に前記第1係合部と係合する第2係合部を備え、前記第2係合部は、前記第1係合部と係合するように前記チャック部の軸心からみて矩形状に形成されると共に、前記チャック部の軸心に対して軸対称に配設され、前記回転工具の円筒接続部が前記工具ホルダのチャック部に挿入された場合に、前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに係合することで、被加工物から受ける加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用する場合に、前記工具ホルダに保持された前記回転工具の前記工具ホルダに対する相対回転が規制されるように構成されている。
[0010]
請求項2記載の焼きばめ式工具ユニットは、請求項1記載の焼きばめ式工具ユニットにおいて、前記円筒接続部と前記刃部との間を前記円筒接続部から刃部の方向で径方向に拡大させて形成し、前記刃部を前記チャック部と非接触の状態で前記回転工具の円筒接続部を前記工具ホルダのチャック部に焼きばめし、前記第1係合部は、前記円筒接続部の側端面に凸設された突起物であると共に、前記第2係合部は、前記中空部の奥端面に凹設される凹溝であって、前記第2係合部の凹溝の底側の面は、前記第1係合部の突起物と接触可能なように、前記突起物に沿って形成される。
[0011]
請求項3記載の焼きばめ式工具ユニットは、請求項1記載の焼きばめ式工具ユニットにおいて、前記円筒接続部と前記刃部との間を前記円筒接続部から刃部の方向で径方向に拡大させて形成し、前記刃部を前記チャック部と非接触の状態で前記回転工具の円筒接続部を前記工具ホルダのチャック部に焼きばめし、前記第1係合部は、前記円筒接続部の側端面に凹設された係合溝であると共に、前記第2係合部は、前記チャック部に穿設され、前記チャック部の外部と前記中空部とを貫通すると共に、互いに前記チャック部の軸心に対して軸対称に設けられる一対の貫通孔に挿通された状態で前記チャック部に離脱不能に固定される軸状部材であって、前記第1係合部の係合溝の底側の面は、前記第2係合部の軸状部材と接触可能なように、前記軸状部材に沿って形成される。
[0012]
請求項4記載の焼きばめ式工具ユニットは、請求項1記載の焼きばめ式工具ユニットにおいて、前記第1係合部は、前記円筒接続部の側端面に凸設された突起物であると共に、前記第2係合部は、前記チャック部に穿設され、前記チャック部の外部と前記中空部とを貫通すると共に、互いに前記チャック部の軸心に対して軸対称に螺刻される一対の貫通孔に螺挿されることで前記チャック部に固定される係合ねじであって、前記貫通孔に螺挿された一対の係合ねじは、前記チャック部の軸心と直交して配設されると共に、前記突起物を前記チャック部の軸心に対して軸対称に挟持する。
請求項5記載の焼きばめ式工具ユニットは、請求項1から4に記載の焼きばめ式工具ユニットにおいて、前記工具ホルダは、コレットにより加工機械へ保持されるように構成されている。
請求項6記載の工具ホルダは、請求項1から5に記載の焼きばめ式工具ユニットに使用されるものである。
請求項7記載の回転工具は、請求項1から5に記載の焼きばめ式工具ユニットに使用されるものである。
[発明の効果]
[0013]
請求項1記載の焼きばめ式工具ユニットによれば、被加工物を塑性変形させてめねじを形成するために、被加工物から受ける加工負荷が特に大きく、その加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用してしまう盛上げタップの円筒接続部に第1係合部を備えていると共に工具ホルダのチャック部に第1係合部と係合する第2係合部を備えているので、盛上げタップを工具ホルダに保持させるために盛上げタップの円筒接続部を工具ホルダのチャック部に挿入した場合には、それら第1係合部と第2係合部とが互いに係合して、工具ホルダに保持された盛上げタップの工具ホルダに対する相対回転が規制される。その結果、被加工物から受ける加工負荷が大きい場合でも、盛上げタップと工具ホルダとの間に滑りを生じさせることなく、確実に盛上げタップを保持することができるという効果がある。
[0014]
また、盛上げタップの円筒接続部を工具ホルダのチャック部に挿入するだけで、第1係合部と第2係合部とが互いに係合するように構成されているので、被加工物から受ける加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用する場合でも、盛上げタップと工具ホルダとの間に滑りを生じさせることなく、回転動力の伝達力の向上を図ることができるという効果がある。
[0015]
また、盛上げタップの第1係合部が円筒接続部の軸心に対して軸対称に設けられているので、例えば、軸心に対してオフセットされた位置に設けられている場合と比較して、盛上げタップを工具ホルダのチャック部に挿入する方向性が1方向のみに限定されず、少なくとも2の方向性を持たせることができ、作業性の向上を図ることができるという効果がある。
[0016]
また、盛上げタップの第1係合部が円筒接続部の軸心に対して軸対称に設けられていれば、回転工具及び工具ホルダの構造を簡略化することができ、その分、製造コストの低減を図ることができるという効果がある。
[0017]
更に、第1係合部を回転工具の円筒接続部の側端面に設けることで、回転工具と工具ホルダとが焼きばめされる範囲、即ち、回転工具の円筒接続部に設ける場合と比較して、焼きばめ面積を拡大することができ、その分、工具ホルダの回転工具に対する把持力の増加を図ることができるという効果がある。
[0018]
請求項2記載の焼きばめ式工具ユニットによれば、請求項1記載の焼きばめ式工具ユニットの奏する効果に加え、第1係合部と第2係合部との接触面積を増加させて確実に盛上げタップを保持することができ、盛上げタップと工具ホルダとの滑りを効率よく防止することができるという効果がある。
請求項3記載の焼きばめ式工具ユニットによれば、請求項1記載の焼きばめ式工具ユニットの奏する効果に加え、第1係合部と第2係合部との接触面積を増加させて確実に盛上げタップを保持することができ、盛上げタップと工具ホルダとの滑りを効率よく防止することができるという効果がある。
請求項4記載の焼きばめ式工具ユニットによれば、請求項1記載の焼きばめ式工具ユニットの奏する効果に加え、盛上げタップの円筒接続部を工具ホルダのチャック部に焼きばめした後、一対の係合ねじを離脱可能に固定することで、盛上げタップの工具ホルダに対する周方向のがたつきを抑制することができるという効果がある。
請求項5記載の焼きばめ式工具ユニットによれば、請求項1から4に記載の焼きばめ工具ユニットの奏する効果に加え、刃部が設けられる先端部のみを超合金等で構成することで、工具コストの低下を図ることができるという効果がある。
[0019]
請求項6記載の工具ホルダによれば、請求項1から5に記載の焼きばめ式工具ユニットに使用される工具ホルダと同様の効果を奏することができる。
[0020]
請求項7記載の回転工具によれば、請求項1から5に記載の焼きばめ式工具ユニットに使用される回転工具と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
[0021]
[図1]本発明の第1実施の形態における焼きばめ式工具ユニットの正面図である。
[図2](a)は盛上げタップの正面図であり、(b)は、図2(a)の矢印IIb方向から視た盛上げタップの側面図である。
a)は被転造素材の正面図であり、(b)は部品の正面図である。
[0021]
[図3](a)は工具ホルダの正面図であり、(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線における工具ホルダの断面図である。
[図4]本発明の第2実施の形態における焼きばめ式工具ユニットの正面図である。
[図5](a)は盛上げタップの正面図であり、(b)は、図5(a)の矢印Vb方向から視た盛上げタップの側面図である。
[図6](a)は工具ホルダの正面図であり、(b)は、図6(a)のVIb−VIb線における工具ホルダの断面図である。
【図7】本発明の第3実施の形態における焼きばめ式工具ユニットの正面図である。
【図8】(a)は盛上げタップの正面図であり、(b)は、図8(a)の矢印VIIIb方向から視た盛上げタップの側面図である。
【図9】(a)は工具ホルダの正面図であり、(b)は、図9(a)のIXb−IXb線における工具ホルダの断面図である。
【図10】本発明の第4実施の形態における焼きばめ式工具ユニットの正面図である。
【図11】(a)は工具ホルダの正面図であり、(b)は、図11(a)のXIb−XIb線における工具ホルダの断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1,30,70,110 焼きばめ式工具ユニット
10,40,80 盛上げタップ(回転工具、盛上げタップ)
11 円筒接続部
11a 第1係合部
11b,11c 係合溝(第1係合部)
20,50,90,120 工具ホルダ
22,92 チャック部
22a,92a 中空部(チャック部の一部)
22b 第2係合部
60,100 係合ピン(第2係合部)
130 係合ねじ(第2係合部)
O1 円筒接続部の軸心
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、焼きばめ式工具ユニット1の全体構成について、図1を参照して概略説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における焼きばめ式工具ユニット1の正面図である。また、図1では、盛上げタップ10が工具ホルダ20に保持された状態が図示されている。なお、図1では、工具ホルダ20の一部が断面視されていると共に軸方向長さが省略され図示されている。
【0025】
焼きばめ式工具ユニット1は、図1に示すように、盛上げタップ10と工具ホルダ20とを備え、盛上げタップ10の円筒接続部11を工具ホルダ20のチャック部22に焼きばめすることで盛上げタップ10を工具ホルダ20に保持させると共に、後述する第1係合部11aと第2係合部22bとが互いに係合することで、工具ホルダ20に保持された盛上げタップ10の工具ホルダ20に対する相対回転を規制することができるように構成されている。
【0026】
次いで、図2を参照して、盛上げタップ10の詳細構成について説明する。図2(a)は盛上げタップ10の正面図であり、図2(b)は、図2(a)の矢印IIb方向から視た盛上げタップ10の側面図である。
【0027】
盛上げタップ10は、図2に示すように、円筒接続部11と、その円筒接続部11の先端側(図2(a)右側)に設けられる刃部12とを備え、円筒接続部11に工具ホルダ20を介して加工機械(図示せず)の回転動力を付与することで被加工物の下穴(図示せず)にめねじを形成するための工具である。
【0028】
円筒接続部11は、後述する工具ホルダ20のチャック部22に焼きばめすることで盛上げタップ10を工具ホルダ20に保持させるための部位であり、図2に示すように、高速度工具鋼から構成され、軸心O1を有する円柱状に形成されている。また、円筒接続部11の側端面(図2(a)左側端面)には、第1係合部11aが凸設されている。なお、円筒接続部11は、高速度工具鋼に限られず、超硬合金から構成されていても良い。
【0029】
第1係合部11aは、後述する工具ホルダ20の第2係合部22bと係合することで盛上げタップ10の工具ホルダ20に対する相対回転を規制するための部位であり(図1参照)、図2に示すように、正面視略矩形状かつ側面視略矩形状に形成される柱状体の突起物として構成されていると共に、その中心を軸心O1と一致させることで軸心O1に対して軸対称に配設されている。
【0030】
刃部12は、被加工物の下穴を螺進することでめねじを転造するための部位であり、食付き部12aと完全山部12bとを備えている。また、刃部12の外周面には、油溝13が軸心O1に対して略平行に凹設されており、刃部12には径方向へ向けて突出したマージン部14が設けられている。
【0031】
食付き部12aは、刃部12を被加工物の下穴に食い付かせるための部位、いわゆる食付き部であり、刃部12の先端側(図2(a)右側)へ向かうにつれ外径が小径となるようにテーパ状に形成されている。
【0032】
完全山部12bは、食付き部12aによって転造されためねじの仕上げを行うための部位であり、被加工物の下穴に転造すべきめねじの形状と略同一形状に形成されている。
【0033】
油溝13は、被加工物の下穴にタッピングオイルを供給するための部位であり、食付き部12aから完全山部12bへかけて延設されていると共に略直線状に形成されている。なお、油溝13は、食付き部12aから完全山部12bへかけて延設されている必要はなく、刃部12の一部のみに設けられていても良い。また、略直線状に限られず、螺旋状に形成されていても良い。
【0034】
マージン部14は、被加工物の下穴に食い込んで被加工物を塑性変形させることによりめねじを転造するための部位であり、軸心O1と略平行に設けられている。
【0035】
次いで、図3を参照して、工具ホルダ20の詳細構成について説明する。図3(a)は工具ホルダ20の正面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線における工具ホルダ20の断面図である。なお、図3(a)では、工具ホルダ20の一部が断面視されていると共に軸方向長さが省略され図示されている。
【0036】
工具ホルダ20は、図3に示すように、シャンク部21と、そのシャンク部21に連設されるチャック部22とを備え、シャンク部21を加工機械に保持させると共にチャック部22に盛上げタップ10を保持することで盛上げタップ10に加工機械の回転動力を伝達するための工具ホルダである。
【0037】
シャンク部21は、工具ホルダ20を加工機械に保持させるための部位であり、図3(a)に示すように、軸心O2を有する円錐状に形成されている。
【0038】
チャック部22は、焼きばめにより盛上げタップ10を保持するための部位であり、図3(a)に示すように、被加工物との干渉を避けるべく工具ホルダ20の先端側(図3(a)右側)へ向かうにつれ外径が小径となるテーパ状に形成されている。また、チャック部22には、軸心O2と軸心を一致させて円柱状の中空部22aが中空に設けられていると共に、その中空部22aの奧端面(図3(a)左側端面)には、第2係合部22bが凹設されている。
【0039】
中空部22aは、盛上げタップ10の円筒接続部11を挿入するための部位であり(図1参照)、常温において盛上げタップ10の円筒接続部11の直径よりも小径に形成されている。また、チャック部22が加熱された場合には、熱膨張により直径が拡大されることで盛上げタップ10の円筒接続部11が挿入可能となる一方、盛上げタップ10の円筒接続部11が挿入された状態でチャック部22が冷却された場合には、熱収縮により直径が縮小されることで盛上げタップ10を離脱不能に保持することができる。
【0040】
第2係合部22bは、盛上げタップ10の第1係合部11aと係合することで盛上げタップ10の工具ホルダ20に対する相対回転を規制するための部位であり(図1参照)、図3に示すように、第1係合部11aと係合する凹溝として構成されていると共に、その中心を軸心O2と一致させることで軸心O2に対して軸対称に配設されている。
【0041】
ここで、第2係合部22bと盛上げタップ10の第1係合部11aとを係合させる場合には、盛上げタップ10を略180°回転させつつ挿入するだけで、第2係合部22bと盛上げタップ10の第1係合部11aとを容易に係合させることができる。
【0042】
上記のように構成された焼きばめ式工具ユニット1によれば、盛上げタップ10の円筒接続部11に第1係合部11aを備えていると共に工具ホルダ20のチャック部22(中空部22a)に第1係合部11aと係合する第2係合部22bを備えているので、盛上げタップ10を工具ホルダ20に保持させるために盛上げタップ10の円筒接続部11を工具ホルダ20のチャック部22(中空部22a)に挿入した場合には、それら第1係合部11aと第2係合部22bとが互いに係合して、工具ホルダ20に保持された盛上げタップ10の工具ホルダ20に対する相対回転が規制される。その結果、被加工物から受ける加工負荷が大きい場合でも、盛上げタップ10と工具ホルダ20との間に滑りを生じさせることなく、確実に盛上げタップ10を保持することができる。
【0043】
また、盛上げタップ10の円筒接続部11を工具ホルダ20のチャック部22(中空部22a)に挿入するだけで、第1係合部11aと第2係合部22bとが互いに係合するように構成されているので、被加工物から受ける加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用する場合でも、盛上げタップ10と工具ホルダ20との間に滑りを生じさせることなく、回転動力の伝達力の向上を図ることができる。
【0044】
また、盛上げタップ10の第1係合部11aが円筒接続部11の軸心O1に対して軸対称に設けられているので、例えば、軸心O1に対しオフセットされた位置に設けられている場合と比較して、盛上げタップ10を工具ホルダ20のチャック部22(中空部22a)に挿入する方向性が1方向のみに限定されず、少なくとも2の方向性を持たせることができ、作業性の向上を図ることができる。
【0045】
また、盛上げタップ10の第1係合部11aが円筒接続部11の軸心O1に対して軸対称に設けられていれば、盛上げタップ10及び工具ホルダ20の構造を簡略化することができ、その分、製造コストの低減を図ることができる。
【0046】
更に、本実施の形態では、第1係合部11aが盛上げタップ10の円筒接続部11の側端面に設けられているので、盛上げタップ10と工具ホルダ20とが焼きばめされる範囲、即ち、盛上げタップ10の円筒接続部11に設ける場合と比較して、焼きばめ面積を拡大することができ、その分、工具ホルダ20の盛上げタップ10に対する把持力の増加を図ることができる。
【0047】
また、被加工物を塑性変形させてめねじを形成するために、被加工物から受ける加工負荷が特に大きく、その加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用してしまう盛上げタップ10に対しても、工具ホルダ20との間に滑りを生じさせることなく、確実に保持することで、有効に回転動力の伝達力の向上を図ることができる。
【0048】
ここで、上述のように構成された焼きばめ式工具ユニット1を用いて被加工物の下穴へめねじを転造する転造試験について説明する。なお、転造試験は、転造中の盛上げタップ10に発生する切削トルクを測定する試験である。
【0049】
また、転造試験には、本実施の形態で説明した焼きばめ式工具ユニット1(以下、「本発明品」と、称す。)と、第1係合部11a及び第2係合部22bを有さない焼きばめ式工具ユニット(以下、「従来品」と、称す。)とを用いて行った。なお、本発明品及び従来品は、どちらも刃部の呼び径が14.0mm、ピッチが2.0mmで構成されると共に円筒接続部の直径が10.5mmで構成される盛上げタップが用いられ、盛上げタップと工具ホルダとの締め代が0.015mmで焼きばめされるように構成されている。
【0050】
転造試験の結果によれば、従来品は、切削トルクが77Nmに達した時点において、盛上げタップと工具ホルダとの間に滑りが生じた。これに対し、本発明品は、盛上げタップ10と工具ホルダ20との間に滑りが生じることなく、被加工物の下穴へめねじを形成することができた。
【0051】
次に、図4を参照して、第2実施の形態における焼きばめ式工具ユニット30について説明する。第1実施の形態における焼きばめ式工具ユニット1は、盛上げタップ10に凸設された第1係合部11aと、工具ホルダ20に凹設された第2係合部22bとが係合することで盛上げタップ10の工具ホルダ20に対する相対回転を規制するように構成されていたが、第2実施の形態における焼きばめ式工具ユニット30は、盛上げタップ40に凹設された係合溝11bと、工具ホルダ50に配設された係合ピン60とが係合することで盛上げタップ40の工具ホルダ50に対する相対回転を規制するように構成されている。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
図4は、本発明の第2実施の形態における焼きばめ式工具ユニット30の正面図である。また、図4では、盛上げタップ40が工具ホルダ50に保持された状態が図示されている。なお、図4では、工具ホルダ50の一部が断面視されていると共に軸方向長さが省略され図示されている。
【0053】
焼きばめ式工具ユニット30は、図4に示すように、盛上げタップ40と工具ホルダ50とを備え、盛上げタップ40の円筒接続部11を工具ホルダ50のチャック部22に焼きばめすることで盛上げタップ40を工具ホルダ50に保持させると共に、後述する係合溝11bと係合ピン60とが互いに係合することで、工具ホルダ50に保持された盛上げタップ40の工具ホルダ50に対する相対回転を規制することができるように構成されている。
【0054】
次いで、図5を参照して、盛上げタップ40の詳細構成について説明する。図5(a)は盛上げタップ40の正面図であり、図5(b)は、図5(a)の矢印Vb方向から視た盛上げタップ40の側面図である。
【0055】
盛上げタップ40は、円筒接続部11に工具ホルダ50を介して加工機械(図示せず)の回転動力を付与することで被加工物の下穴(図示せず)にめねじを形成するための工具であり、図5に示すように、円筒接続部11の側端面(図5(a)左側端面)には、係合溝11bが凹設されている。
【0056】
係合溝11bは、後述する工具ホルダ50の係合ピン60と係合することで盛上げタップ40の工具ホルダ50に対する相対回転を規制するための部位であり、図5に示すように、正面視略矩形状かつ側面視略矩形状に形成される凹溝として構成されていると共に、その中心を軸心O1と一致させることで軸心O1に対して軸対称に配設されている。
【0057】
次いで、図6を参照して、工具ホルダ50の詳細構成について説明する。図6(a)は工具ホルダ50の正面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb−VIb線における工具ホルダ50の断面図である。なお、図6では、工具ホルダ50の一部が断面視されていると共に軸方向長さが省略され図示されている。
【0058】
工具ホルダ50は、シャンク部21を加工機械に保持させると共にチャック部22に盛上げタップ40を保持することで盛上げタップ40に加工機械の回転動力を伝達するための工具ホルダであり、図6に示すように、チャック部22には、穴部22c,22dが穿設されている。
【0059】
穴部22c,22dは、後述する係合ピン60を挿通するための部位であり、図6に示すように、チャック部22の外部と中空部22aとを貫通する断面円形状の貫通孔としてそれぞれ構成されていると共に、互いに軸線O2に対して軸対称に設けられている。
【0060】
係合ピン60は、盛上げタップ40の係合溝11bと係合することで盛上げタップ40の工具ホルダ50に対する相対回転を規制するための部材であり(図4参照)、穴部22c,22dの直径と略同一直径の軸状部材から構成されている。この係合ピン60は、穴部22c,22dに挿通された状態で両端部がかしめられることで、チャック部22に離脱不能に固定される。また、上述したように、穴部22c,22dが軸線O2に対して互いに軸対称に設けられているので、穴部22c,22dに挿通された係合ピン60は、軸線O2と直交して配設される。
【0061】
ここで、係合ピン60と盛上げタップ40の係合溝11bとを係合させる場合には、盛上げタップ40を略180°回転させつつ挿入するだけで、係合ピン60と盛上げタップ40の係合溝11bとを容易に係合させることができる。
【0062】
上記のように構成された焼きばめ式工具ユニット30によれば、盛上げタップ40の円筒接続部11に係合溝11bを備えていると共に工具ホルダ50のチャック部22(中空部22a)に係合溝11bと係合する係合ピン60を備えているので、盛上げタップ40を工具ホルダ50に保持させるために盛上げタップ40の円筒接続部11を工具ホルダ50のチャック部22(中空部22a)に挿入した場合には、それら係合溝11bと係合ピン60とが互いに係合して、工具ホルダ50に保持された盛上げタップ40の工具ホルダ50に対する相対回転が規制される。その結果、被加工物から受ける切削抵抗が大きい場合でも、盛上げタップ40と工具ホルダ50との間に滑りを生じさせることなく、確実に盛上げタップ40を保持することができる。
【0063】
また、盛上げタップ40の円筒接続部11を工具ホルダ50のチャック部22(中空部22a)に挿入するだけで、係合溝11bと係合ピン60とが互いに係合するように構成されているので、被加工物から受ける加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用する場合でも、盛上げタップ40と工具ホルダ50との間に滑りを生じさせることなく、回転動力の伝達力の向上を図ることができる。
【0064】
また、盛上げタップ40の係合溝11bが円筒接続部11の軸心O1に対して軸対称に設けられているので、例えば、軸心O1に対しオフセットされた位置に設けられている場合と比較して、盛上げタップ40を工具ホルダ50のチャック部22(中空部22a)に挿入する方向性が1方向のみに限定されず、少なくとも2の方向性を持たせることができ、作業性の向上を図ることができる。
【0065】
また、盛上げタップ40の係合溝11bが円筒接続部11の軸心O1に対して軸対称に設けられていれば、盛上げタップ40及び工具ホルダ50の構造を簡略化することができ、その分、製造コストの低減を図ることができる。
【0066】
更に、本実施の形態では、係合溝11bが盛上げタップ40の円筒接続部11の側端面に設けられているので、盛上げタップ40と工具ホルダ50とが焼きばめされる範囲、即ち、盛上げタップ40の円筒接続部11に設ける場合と比較して、焼きばめ面積を拡大することができ、その分、工具ホルダ50の盛上げタップ40に対する把持力の増加を図ることができる。
【0067】
また、被加工物を塑性変形させてめねじを形成するために、被加工物から受ける加工負荷が特に大きく、その加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用してしまう盛上げタップ40に対しても、工具ホルダ50との間に滑りを生じさせることなく、確実に保持することで、有効に回転動力の伝達力の向上を図ることができる。
【0068】
次に、図7を参照して、第3実施の形態における焼きばめ式工具ユニット70について説明する。第1及び第2実施の形態における焼きばめ式工具ユニット1,30は、工具ホルダ20,50が直に加工機械へ保持されるように構成されていたが、第3実施の形態における焼きばめ式工具ユニット70は、工具ホルダ90がコレット等により加工機械へ保持されるように構成されている。即ち、焼きばめ式工具ユニット70がスローアウェイ工具となる。これにより、刃部が設けられる先端部のみを超硬合金等で構成することで、工具コストの低下を図ることができる。なお、第1及び第2実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0069】
図7は、本発明の第3実施の形態における焼きばめ式工具ユニット70の正面図である。また、図7では、盛上げタップ80が工具ホルダ90に保持された状態が図示されている。なお、図7では、工具ホルダ90の一部が断面視されていると共に軸方向長さが省略され図示されている。
【0070】
焼きばめ式工具ユニット70は、図7に示すように、盛上げタップ80と工具ホルダ90とを備え、盛上げタップ80の円筒接続部11を工具ホルダ90のチャック部92に焼きばめすることで盛上げタップ80を工具ホルダ90に保持させると共に、係合溝11cと係合ピン100とが互いに係合することで、工具ホルダ90に保持された盛上げタップ80の工具ホルダ90に対する相対回転を規制することができるように構成されている。
【0071】
次いで、図8を参照して、盛上げタップ80の詳細構成について説明する。図8(a)は盛上げタップ80の正面図であり、図8(b)は、図8(a)の矢印VIIIb方向から視た盛上げタップ80の側面図である。
【0072】
盛上げタップ80は、円筒接続部11に工具ホルダ90を介して加工機械(図示せず)の回転動力を付与することで被加工物の下穴(図示せず)にめねじを形成するための工具であり、図8に示すように、円筒接続部11の側端面(図8(a)左側端面)には、係合溝11cが凹設されている。
【0073】
係合溝11cは、後述する工具ホルダ90の係合ピン100と係合することで盛上げタップ80の工具ホルダ90に対する相対回転を規制するための部位であり、図8に示すように、断面半円状に形成される凹溝として構成されていると共に、その中心を軸心O1と一致させることで軸心O1に対して軸対称に配設されている。
【0074】
また、本実施の形態では、断面半円状に形成された係合溝11cの直径が円筒接続部11の直径に対して50%に設定されている。これにより、係合溝11cを断面半円状に形成すると共に、その直径を円筒接続部11の直径に対して50%に設定することで、係合ピン100との接触面積の拡大を図り、その分、被加工物から受ける加工負荷による応力を分散させて、盛上げタップ80の強度を確保することができる。なお、係合溝11cの直径は、円筒接続部の直径に対して50%以上に設定することが好ましい。
【0075】
次いで、図9を参照して、工具ホルダ90の詳細構成について説明する。図9(a)は工具ホルダ90の正面図であり、図9(b)は、図9(a)のIXb−IXb線における工具ホルダ90の断面図である。なお、図9では、工具ホルダ90の一部が断面視されていると共に軸方向長さが省略され図示されている。
【0076】
工具ホルダ90は、図9に示すように、シャンク部91と、そのシャンク部91に連設されるチャック部92とを備え、シャンク部91をコレット等により加工機械に保持させると共にチャック部92に盛上げタップ80を保持することで盛上げタップ80に加工機械の回転動力を伝達するための工具ホルダである。
【0077】
シャンク部91は、工具ホルダ90をコレット等により加工機械に保持させるための部位であり、図9(a)に示すように、軸心O3を有する円柱状に形成されている。
【0078】
チャック部92は、焼きばめにより盛上げタップ80を保持するための部位であり、図9(a)に示すように、軸心O3と軸心を一致させて円柱状の中空部92aが中空に設けられていると共に、穴部92b,92cが穿設されている。
【0079】
中空部92aは、盛上げタップ80の円筒接続部11を挿入するための部位であり(図7参照)、常温において盛上げタップ80の円筒接続部11の直径よりも小径に形成されている。また、チャック部92が加熱された場合には、熱膨張により直径が拡大されることで盛上げタップ80の円筒接続部11が挿入可能となる一方、盛上げタップ80の円筒接続部11が挿入された状態でチャック部92が冷却された場合には、熱収縮により直径が縮小されることで盛上げタップ80を離脱不能に保持することができる。
【0080】
穴部92b,92cは、後述する係合ピン100を挿通するための部位であり、図9に示すように、チャック部92の外部と中空部92aとを貫通する断面円形状の貫通孔としてそれぞれ構成されていると共に、互いに軸線O3に対して軸対称に設けられている。
【0081】
係合ピン100は、盛上げタップ80の係合溝11cと係合することで盛上げタップ80の工具ホルダ90に対する相対回転を規制するための部材であり(図7参照)、穴部92b,92cの直径と略同一直径の軸状部材から構成されている。この係合ピン100は、穴部92b,92cに挿通された状態で両端部がかしめられることで、チャック部92に離脱不能に固定される。また、上述したように、穴部92b,92cが軸線O3に対して互いに軸対称に設けられているので、穴部92b,92cに挿通された係合ピン100は、軸線O3と直交して配設される。
【0082】
ここで、係合ピン100と盛上げタップ80の係合溝11cとを係合させる場合には、盛上げタップ80を略180°回転させつつ挿入するだけで、係合ピン100と盛上げタップ80の係合溝11cとを容易に係合させることができる。
【0083】
上記のように構成された焼きばめ式工具ユニット70によれば、盛上げタップ80の円筒接続部11に係合溝11cを備えていると共に工具ホルダ90のチャック部92(中空部92a)に係合溝11cと係合する係合ピン100を備えているので、盛上げタップ80を工具ホルダ90に保持させるために盛上げタップ80の円筒接続部11を工具ホルダ90のチャック部92(中空部92a)に挿入した場合には、それら係合溝11cと係合ピン100とが互いに係合して、工具ホルダ90に保持された盛上げタップ80の工具ホルダ90に対する相対回転が規制される。その結果、被加工物から受ける切削抵抗が大きい場合でも、盛上げタップ80と工具ホルダ90との間に滑りを生じさせることなく、確実に盛上げタップ80を保持することができる。
【0084】
また、盛上げタップ80の円筒接続部11を工具ホルダ90のチャック部92(中空部92a)に挿入するだけで、係合溝11cと係合ピン100とが互いに係合するように構成されているので、被加工物から受ける加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用する場合でも、盛上げタップ80と工具ホルダ90との間に滑りを生じさせることなく、回転動力の伝達力の向上を図ることができる。
【0085】
また、盛上げタップ80の係合溝11cが円筒接続部11の軸心O1に対して軸対称に設けられているので、例えば、軸心O1に対しオフセットされた位置に設けられている場合と比較して、盛上げタップ80を工具ホルダ90のチャック部92(中空部92a)に挿入する方向性が1方向のみに限定されず、少なくとも2の方向性を持たせることができ、作業性の向上を図ることができる。
【0086】
また、盛上げタップ80の係合溝11cが円筒接続部11の軸心O1に対して軸対称に設けられていれば、盛上げタップ80及び工具ホルダ90の構造を簡略化することができ、その分、製造コストの低減を図ることができる。
【0087】
更に、本実施の形態では、係合溝11cが盛上げタップ80の円筒接続部11の側端面に設けられているので、盛上げタップ80と工具ホルダ90とが焼きばめされる範囲、即ち、盛上げタップ80の円筒接続部11に設ける場合と比較して、焼きばめ面積を拡大することができ、その分、工具ホルダ90の盛上げタップ80に対する把持力の増加を図ることができる。
【0088】
また、被加工物を塑性変形させてめねじを形成するために、被加工物から受ける加工負荷が特に大きく、その加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用してしまう盛上げタップ80に対しても、工具ホルダ90との間に滑りを生じさせることなく、確実に保持することで、有効に回転動力の伝達力の向上を図ることができる。
【0089】
次に、図10を参照して、第4実施の形態における焼きばめ式工具ユニット110について説明する。第3実施の形態における焼きばめ式工具ユニット70は、盛上げタップ80に凹設された係合溝11cと、工具ホルダ90に配設された係合ピン100とが係合することで盛上げタップ80の工具ホルダ90に対する相対回転を規制するように構成されていたが、第4実施の形態における焼きばめ式工具ユニット110は、盛上げタップ10に凸設された第1係合部11aと、工具ホルダ120に配設された係合ねじ130とが係合することで盛上げタップ10の工具ホルダ120に対する相対回転を規制するように構成されている。なお、第1,第2及び第3実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、本実施の形態における盛上げタップ10は、第1実施の形態における盛上げタップ10と同一の工具である。
【0090】
図10は、本発明の第4実施の形態における焼きばめ式工具ユニット110の正面図である。また、図10では、盛上げタップ10が工具ホルダ120に保持された状態が図示されている。なお、図10では、工具ホルダ120の一部が断面視されていると共に軸方向長さが省略され図示されている。
【0091】
焼きばめ式工具ユニット110は、図10に示すように、盛上げタップ10と工具ホルダ120とを備え、盛上げタップ10の円筒接続部11を工具ホルダ120のチャック部92に焼きばめすることで盛上げタップ10を工具ホルダ120に保持させると共に、第1係合部11aと係合ねじ130とが互いに係合することで、工具ホルダ120に保持された盛上げタップ10の工具ホルダ120に対する相対回転を規制することができるように構成されている。
【0092】
次いで、図11を参照して、工具ホルダ120の詳細構成について説明する。図11(a)は工具ホルダ120の正面図であり、図11(b)は、図11(a)のXIb−XIb線における工具ホルダ120の断面図である。なお、図11では、工具ホルダ120の一部が断面視されていると共に軸方向長さが省略され図示されている。
【0093】
工具ホルダ120は、シャンク部91をコレット等により加工機械に保持させると共にチャック部92に盛上げタップ10を保持することで盛上げタップ10に加工機械の回転動力を伝達するための工具ホルダであり、図11に示すように、チャック部92には、ねじ部92d,92eが穿設されている。
【0094】
ねじ部92d,92eは、後述する係合ねじ130を螺挿するための部位であり、図11に示すように、チャック部92の外部と中空部92aとを貫通すると共にめねじが内周面に螺刻された断面円形状の貫通孔としてそれぞれ構成されていると共に、互いに軸線O3に対して軸対称に設けられている。
【0095】
係合ねじ130は、盛上げタップ10の第1係合部11aと係合することで盛上げタップ10の工具ホルダ120に対する相対回転を規制するための止めねじであり(図10参照)、ねじ部92d,92eに対応したおねじが外周面に設けられた軸状部材から構成されている。この係合ねじ130は、ねじ部92d,92eに螺挿されることで、チャック部92に固定される。また、上述したように、ねじ部92d,92eが軸線O3に対して互いに軸対称に設けられているので、ねじ部92d,92eに螺挿された係合ねじ130は、軸線O3と直交して配設される。なお、本実施の形態では、係合ねじ130が六角穴付き止めねじにより構成されている。
【0096】
ここで、係合ねじ130と盛上げタップ10の第1係合部11aとを係合させる場合には、盛上げタップ10を略180°回転させつつ挿入するだけで、係合ねじ130と盛上げタップ10の第1係合部11aとを容易に係合させることができる。
【0097】
上記のように構成された焼きばめ式工具ユニット110によれば、盛上げタップ10の円筒接続部11に第1係合部11aを備えていると共に工具ホルダ120のチャック部92(中空部92a)に第1係合部11aと係合する係合ねじ130を備えているので、盛上げタップ10を工具ホルダ120に保持させるために盛上げタップ10の円筒接続部11を工具ホルダ120のチャック部92(中空部92a)に挿入した場合には、それら第1係合部11aと係合ねじ130とが互いに係合して、工具ホルダ120に保持された盛上げタップ10の工具ホルダ120に対する相対回転が規制される。その結果、被加工物から受ける切削抵抗が大きい場合でも、盛上げタップ10と工具ホルダ120との間に滑りを生じさせることなく、確実に盛上げタップ10を保持することができる。
【0098】
また、盛上げタップ10の円筒接続部11を工具ホルダ120のチャック部92(中空部92a)に挿入するだけで、第1係合部11aと係合ねじ130とが互いに係合するように構成されているので、被加工物から受ける加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用する場合でも、盛上げタップ10と工具ホルダ120との間に滑りを生じさせることなく、回転動力の伝達力の向上を図ることができる。
【0099】
また、盛上げタップ10の第1係合部11aが円筒接続部11の軸心O1に対して軸対称に設けられているので、例えば、軸心O1に対しオフセットされた位置に設けられている場合と比較して、盛上げタップ10を工具ホルダ120のチャック部92(中空部92a)に挿入する方向性が1方向のみに限定されず、少なくとも2の方向性を持たせることができ、作業性の向上を図ることができる。
【0100】
また、盛上げタップ10の第1係合部11aが円筒接続部11の軸心O1に対して軸対称に設けられていれば、盛上げタップ10及び工具ホルダ120の構造を簡略化することができ、その分、製造コストの低減を図ることができる。
【0101】
更に、本実施の形態では、工具ホルダ120の係合ねじ130がねじ部92d,92eに螺挿されることでチャック部92に固定されるので、盛上げタップ10の円筒接続部11を工具ホルダ120のチャック部92に焼きばめした後、係合ネジ130を更にねじ込むことで、盛上げタップ10の工具ホルダ120に対する周方向へのがたつきを抑制することができる。その結果、更なる回転動力の伝達力の向上を図ることができる。
【0102】
また、被加工物を塑性変形させてめねじを形成するために、被加工物から受ける加工負荷が特に大きく、その加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用してしまう盛上げタップ10に対しても、工具ホルダ120との間に滑りを生じさせることなく、確実に保持することで、有効に回転動力の伝達力の向上を図ることができる。
【0103】
なお、本実施の形態では、盛上げタップ10の第1係合部11aに対応させて係合ねじ130の呼び径を設定したが、盛上げタップ10の工具ホルダ120に対する相対回転を規制する規制力を増加させるために、係合ねじ130の呼び径を更に大きくしても良い。この場合には、係合ねじ130の端面全体が第1係合部11aに当接されるように、第1係合部11aの形状を変更することが好ましい。
【0104】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0105】
例えば、上記第1実施の形態では、盛上げタップ10の第1係合部11aが正面視略矩形状かつ側面視略矩形状に形成される柱状体の突起物として構成されると共に、工具ホルダ20の第2係合部22bが第1係合部11aと係合する凹溝として構成される場合を説明したが、第1係合部11a及び第2係合部22bの形状は必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、第1係合部11aを側面視正三角形状に形成される三角柱状体の突起物として構成すると共に、第2係合部22bを第1係合部11aと係合する凹溝として構成しても良い。
【0106】
これにより、第1係合部11aと第2係合部22bとを係合させる場合には、盛上げタップ10を略120°回転させつつ挿入することで第1係合部11aと第2係合部22bとを容易に係合させることができる。即ち、盛上げタップ10を工具ホルダ20のチャック部22(中空部22a)に挿入する方向性が3方向に増加するので、更なる作業性の向上を図ることができる。
【0107】
また、上記第2実施の形態では、盛上げタップ40の係合溝11bが正面視略矩形状かつ側面視略矩形状に形成される1の凹溝として構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、その凹溝と直交して十文字状に正面視略矩形状かつ側面視略矩形状に形成される凹溝を追加して構成しても良い。
【0108】
これにより、係合溝11bと係合ピン60とを係合させる場合には、盛上げタップ40を略90°回転させつつ挿入することで係合溝11bと係合ピン60とを容易に係合させることができる。即ち、盛上げタップ40を工具ホルダ50のチャック部22(中空部22a)に挿入する方向性が4方向に増加するので、更なる作業性の向上を図ることができる。
【0109】
また、上記第1実施の形態では、盛上げタップ10の第1係合部11aが正面視略矩形状かつ側面視略矩形状に形成される柱状体の突起物として構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、正面視略台形状かつ側面視略矩形状に形成される柱状体の突起物として構成しても良い。
【0110】
これにより、盛上げタップ10の工具ホルダ20に対する周方向へのがたつきを抑制することができ、回転動力の伝達力の向上を図ることができると共に、盛上げタップ10を工具ホルダ20のチャック部22(中空部22a)に挿入する場合に、第1係合部11aと第2係合部22bとを容易に係合させることができる。
【0111】
また、上記第2実施の形態では、盛上げタップ40の係合溝11bが正面視略矩形状かつ側面視略矩形状に形成される凹溝として構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、正面視略台形状かつ側面視略矩形状に形成される凹溝として構成しても良い。
【0112】
これにより、盛上げタップ40の工具ホルダ50に対する周方向へのがたつきを抑制することができ、回転動力の伝達力の向上を図ることができると共に、盛上げタップ40を工具ホルダ50のチャック部22(中空部22a)に挿入する場合に、係合溝11bと係合ピン60とを容易に係合させることができる。
【0001】
本発明は、焼きばめ式工具ユニット及びその焼きばめ式工具ユニットに使用される工具ホルダ並びに回転工具に関し、特に、回転動力の伝達力の向上を図ると共に回転工具を工具ホルダに挿入する際の作業性の向上を図ることができる焼きばめ式工具ユニット及びその焼きばめ式工具ユニットに使用される工具ホルダ並びに回転工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、加工における回転工具の振れ精度を向上させるべく、焼きばめ式工具ユニットが用いられている。焼きばめ式工具ユニットは、回転工具の円筒接続部を挿入可能なチャック部を有する工具ホルダを備え、その工具ホルダのチャック部に回転工具の円筒接続部を焼きばめすることで回転工具を保持すると共に、その保持された回転工具に回転動力を伝達するものである。
【0003】
この焼きばめ式工具ユニットによれば、回転工具を挟持するだけの場合と比較して、回転工具に対する把持力の増加を図ると共に、保持される回転工具の偏心を抑制することで加工における振れ精度の向上を図ることができる。
【0004】
しかしながら、被加工物から受ける加工負荷が大きい場合や、例えば、タップのように円筒接続部の直径が刃部の谷径よりも小さくなければならないという制約を受ける場合には、焼きばめだけでは十分な把持力が得られず、回転工具と工具ホルダとの間に滑りが生じることがあった。
【0005】
このため、例えば、特開2002−355727号公報では、工具ホルダに保持された回転工具の工具ホルダに対する相対回転を規制するためのロックピンを備えることで、被加工物から受ける加工負荷が大きい場合でも、回転工具と工具ホルダとの間に滑りを生じさせることなく、確実に回転工具を保持することができる焼きばめ式工具ユニットが開示されている。
[特許文献1]特開2002−355727号公報
[発明の開示]
[発明が解決しようとする課題]
[0006]
しかしながら、上述した従来の焼きばめ式工具ユニットでは、回転工具の円筒接続部を工具ホルダのチャック部に挿入した後、回転工具を工具ホルダに対して周方向に回転させつつロックピンと係合させるため、被加工物から受ける加工負荷が正逆方向において共に大きい場合、例えば、被加工物を塑性変形させてめねじを形成する盛上げタップでは、正逆方向どちらか一方の加工負荷に対して規制力が得られず、その結果、回転工具と工具ホルダとの間に滑りが生じることで、回転動力を伝達することができなくなるという問題点があった。
[0007]
また、ロックピンが回転工具の軸心に対してオフセットされた位置に設けられているので、ロックピンによって回転工具と工具ホルダとの周方向の相対位置が決まってしまい、回転工具を工具ホルダのチャック部に挿入する際には、その都度、挿入する方向を確認しなければならず、作業性が悪いという問題点があった。
[0008]
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、回転動力の伝達力の向上を図ると共に回転工具を工具ホルダに挿入する際の作業性の向上を図ることができる焼きばめ式工具ユニット及びその焼きばめ式工具ユニットに使用される工具ホルダ並びに回転工具を提供することを目的としている。
[課題を解決するための手段]
[0009]
この目的を解決するために請求項1記載の焼きばめ式工具ユニットは、軸心を有する円柱状に形成される円筒接続部を有する回転工具と、前記回転工具の円筒接続部を挿入可能な円柱状の中空部が中空に設けられるチャック部を有する工具ホルダとを備え、前記回転工具の円筒接続部を前記工具ホルダのチャック部に焼きばめすることで前記回転工具を前記工具ホルダに保持させる焼きばめ式工具ユニットにおいて、
前記回転工具は、前記円筒接続部の先端に設けられると共に径方向に向けて突出したマージン部を有する刃部を備えると共に、被加工物を塑性変形させてめねじを形成する盛上げタップであって、前記円筒接続部は、その円筒接続部の側端面に設けられると共に、円筒接続部の軸心方向からみて略矩形状に形成される第1係合部を備え、前記第1係合部は、その中心を円筒接続部の軸心と一致させることで前記円筒接続部の軸心に対して軸対称に配設されると共に、前記矩形状の各辺をマージン部の突出方向に対応して延伸させており、前記工具ホルダは、前記チャック部に設けられると共に前記第1係合部と係合する第2係合部を備え、前記第2係合部は、前記第1係合部と係合するように前記チャック部の軸心からみて矩形状に形成されると共に、前記チャック部の軸心に対して軸対称に配設され、前記回転工具の円筒接続部が前記工具ホルダのチャック部に挿入された場合に、前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに係合することで、被加工物から受ける加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用する場合に、前記工具ホルダに保持された前記回転工具の前記工具ホルダに対する相対回転が規制されるように構成されている。
[0010]
請求項2記載の焼きばめ式工具ユニットは、請求項1記載の焼きばめ式工具ユニットにおいて、前記円筒接続部と前記刃部との間を前記円筒接続部から刃部の方向で径方向に拡大させて形成し、前記刃部を前記チャック部と非接触の状態で前記回転工具の円筒接続部を前記工具ホルダのチャック部に焼きばめし、前記第1係合部は、前記円筒接続部の側端面に凸設された突起物であると共に、前記第2係合部は、前記中空部の奥端面に凹設される凹溝であって、前記第2係合部の凹溝の底側の面は、前記第1係合部の突起物と接触可能なように、前記突起物に沿って形成される。
[0011]
請求項3記載の焼きばめ式工具ユニットは、請求項1記載の焼きばめ式工具ユニットにおいて、前記円筒接続部と前記刃部との間を前記円筒接続部から刃部の方向で径方向に拡大させて形成し、前記刃部を前記チャック部と非接触の状態で前記回転工具の円筒接続部を前記工具ホルダのチャック部に焼きばめし、前記第1係合部は、前記円筒接続部の側端面に凹設された係合溝であると共に、前記第2係合部は、前記チャック部に穿設され、前記チャック部の外部と前記中空部とを貫通すると共に、互いに前記チャック部の軸心に対して軸対称に設けられる一対の貫通孔に挿通された状態で前記チャック部に離脱不能に固定される軸状部材であって、前記第1係合部の係合溝の底側の面は、前記第2係合部の軸状部材と接触可能なように、前記軸状部材に沿って形成される。
[0012]
請求項4記載の焼きばめ式工具ユニットは、請求項1記載の焼きばめ式工具ユニットにおいて、前記第1係合部は、前記円筒接続部の側端面に凸設された突起物であると共に、前記第2係合部は、前記チャック部に穿設され、前記チャック部の外部と前記中空部とを貫通すると共に、互いに前記チャック部の軸心に対して軸対称に螺刻される一対の貫通孔に螺挿されることで前記チャック部に固定される係合ねじであって、前記貫通孔に螺挿された一対の係合ねじは、前記チャック部の軸心と直交して配設されると共に、前記突起物を前記チャック部の軸心に対して軸対称に挟持する。
請求項5記載の焼きばめ式工具ユニットは、請求項1から4に記載の焼きばめ式工具ユニットにおいて、前記工具ホルダは、コレットにより加工機械へ保持されるように構成されている。
請求項6記載の工具ホルダは、請求項1から5に記載の焼きばめ式工具ユニットに使用されるものである。
請求項7記載の回転工具は、請求項1から5に記載の焼きばめ式工具ユニットに使用されるものである。
[発明の効果]
[0013]
請求項1記載の焼きばめ式工具ユニットによれば、被加工物を塑性変形させてめねじを形成するために、被加工物から受ける加工負荷が特に大きく、その加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用してしまう盛上げタップの円筒接続部に第1係合部を備えていると共に工具ホルダのチャック部に第1係合部と係合する第2係合部を備えているので、盛上げタップを工具ホルダに保持させるために盛上げタップの円筒接続部を工具ホルダのチャック部に挿入した場合には、それら第1係合部と第2係合部とが互いに係合して、工具ホルダに保持された盛上げタップの工具ホルダに対する相対回転が規制される。その結果、被加工物から受ける加工負荷が大きい場合でも、盛上げタップと工具ホルダとの間に滑りを生じさせることなく、確実に盛上げタップを保持することができるという効果がある。
[0014]
また、盛上げタップの円筒接続部を工具ホルダのチャック部に挿入するだけで、第1係合部と第2係合部とが互いに係合するように構成されているので、被加工物から受ける加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用する場合でも、盛上げタップと工具ホルダとの間に滑りを生じさせることなく、回転動力の伝達力の向上を図ることができるという効果がある。
[0015]
また、盛上げタップの第1係合部が円筒接続部の軸心に対して軸対称に設けられているので、例えば、軸心に対してオフセットされた位置に設けられている場合と比較して、盛上げタップを工具ホルダのチャック部に挿入する方向性が1方向のみに限定されず、少なくとも2の方向性を持たせることができ、作業性の向上を図ることができるという効果がある。
[0016]
また、盛上げタップの第1係合部が円筒接続部の軸心に対して軸対称に設けられていれば、回転工具及び工具ホルダの構造を簡略化することができ、その分、製造コストの低減を図ることができるという効果がある。
[0017]
更に、第1係合部を回転工具の円筒接続部の側端面に設けることで、回転工具と工具ホルダとが焼きばめされる範囲、即ち、回転工具の円筒接続部に設ける場合と比較して、焼きばめ面積を拡大することができ、その分、工具ホルダの回転工具に対する把持力の増加を図ることができるという効果がある。
[0018]
請求項2記載の焼きばめ式工具ユニットによれば、請求項1記載の焼きばめ式工具ユニットの奏する効果に加え、第1係合部と第2係合部との接触面積を増加させて確実に盛上げタップを保持することができ、盛上げタップと工具ホルダとの滑りを効率よく防止することができるという効果がある。
請求項3記載の焼きばめ式工具ユニットによれば、請求項1記載の焼きばめ式工具ユニットの奏する効果に加え、第1係合部と第2係合部との接触面積を増加させて確実に盛上げタップを保持することができ、盛上げタップと工具ホルダとの滑りを効率よく防止することができるという効果がある。
請求項4記載の焼きばめ式工具ユニットによれば、請求項1記載の焼きばめ式工具ユニットの奏する効果に加え、盛上げタップの円筒接続部を工具ホルダのチャック部に焼きばめした後、一対の係合ねじを離脱可能に固定することで、盛上げタップの工具ホルダに対する周方向のがたつきを抑制することができるという効果がある。
請求項5記載の焼きばめ式工具ユニットによれば、請求項1から4に記載の焼きばめ工具ユニットの奏する効果に加え、刃部が設けられる先端部のみを超合金等で構成することで、工具コストの低下を図ることができるという効果がある。
[0019]
請求項6記載の工具ホルダによれば、請求項1から5に記載の焼きばめ式工具ユニットに使用される工具ホルダと同様の効果を奏することができる。
[0020]
請求項7記載の回転工具によれば、請求項1から5に記載の焼きばめ式工具ユニットに使用される回転工具と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
[0021]
[図1]本発明の第1実施の形態における焼きばめ式工具ユニットの正面図である。
[図2](a)は盛上げタップの正面図であり、(b)は、図2(a)の矢印IIb方向から視た盛上げタップの側面図である。
a)は被転造素材の正面図であり、(b)は部品の正面図である。
[0021]
[図3](a)は工具ホルダの正面図であり、(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線における工具ホルダの断面図である。
[図4]本発明の第2実施の形態における焼きばめ式工具ユニットの正面図である。
[図5](a)は盛上げタップの正面図であり、(b)は、図5(a)の矢印Vb方向から視た盛上げタップの側面図である。
[図6](a)は工具ホルダの正面図であり、(b)は、図6(a)のVIb−VIb線における工具ホルダの断面図である。
【図7】本発明の第3実施の形態における焼きばめ式工具ユニットの正面図である。
【図8】(a)は盛上げタップの正面図であり、(b)は、図8(a)の矢印VIIIb方向から視た盛上げタップの側面図である。
【図9】(a)は工具ホルダの正面図であり、(b)は、図9(a)のIXb−IXb線における工具ホルダの断面図である。
【図10】本発明の第4実施の形態における焼きばめ式工具ユニットの正面図である。
【図11】(a)は工具ホルダの正面図であり、(b)は、図11(a)のXIb−XIb線における工具ホルダの断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1,30,70,110 焼きばめ式工具ユニット
10,40,80 盛上げタップ(回転工具、盛上げタップ)
11 円筒接続部
11a 第1係合部
11b,11c 係合溝(第1係合部)
20,50,90,120 工具ホルダ
22,92 チャック部
22a,92a 中空部(チャック部の一部)
22b 第2係合部
60,100 係合ピン(第2係合部)
130 係合ねじ(第2係合部)
O1 円筒接続部の軸心
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、焼きばめ式工具ユニット1の全体構成について、図1を参照して概略説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における焼きばめ式工具ユニット1の正面図である。また、図1では、盛上げタップ10が工具ホルダ20に保持された状態が図示されている。なお、図1では、工具ホルダ20の一部が断面視されていると共に軸方向長さが省略され図示されている。
【0025】
焼きばめ式工具ユニット1は、図1に示すように、盛上げタップ10と工具ホルダ20とを備え、盛上げタップ10の円筒接続部11を工具ホルダ20のチャック部22に焼きばめすることで盛上げタップ10を工具ホルダ20に保持させると共に、後述する第1係合部11aと第2係合部22bとが互いに係合することで、工具ホルダ20に保持された盛上げタップ10の工具ホルダ20に対する相対回転を規制することができるように構成されている。
【0026】
次いで、図2を参照して、盛上げタップ10の詳細構成について説明する。図2(a)は盛上げタップ10の正面図であり、図2(b)は、図2(a)の矢印IIb方向から視た盛上げタップ10の側面図である。
【0027】
盛上げタップ10は、図2に示すように、円筒接続部11と、その円筒接続部11の先端側(図2(a)右側)に設けられる刃部12とを備え、円筒接続部11に工具ホルダ20を介して加工機械(図示せず)の回転動力を付与することで被加工物の下穴(図示せず)にめねじを形成するための工具である。
【0028】
円筒接続部11は、後述する工具ホルダ20のチャック部22に焼きばめすることで盛上げタップ10を工具ホルダ20に保持させるための部位であり、図2に示すように、高速度工具鋼から構成され、軸心O1を有する円柱状に形成されている。また、円筒接続部11の側端面(図2(a)左側端面)には、第1係合部11aが凸設されている。なお、円筒接続部11は、高速度工具鋼に限られず、超硬合金から構成されていても良い。
【0029】
第1係合部11aは、後述する工具ホルダ20の第2係合部22bと係合することで盛上げタップ10の工具ホルダ20に対する相対回転を規制するための部位であり(図1参照)、図2に示すように、正面視略矩形状かつ側面視略矩形状に形成される柱状体の突起物として構成されていると共に、その中心を軸心O1と一致させることで軸心O1に対して軸対称に配設されている。
【0030】
刃部12は、被加工物の下穴を螺進することでめねじを転造するための部位であり、食付き部12aと完全山部12bとを備えている。また、刃部12の外周面には、油溝13が軸心O1に対して略平行に凹設されており、刃部12には径方向へ向けて突出したマージン部14が設けられている。
【0031】
食付き部12aは、刃部12を被加工物の下穴に食い付かせるための部位、いわゆる食付き部であり、刃部12の先端側(図2(a)右側)へ向かうにつれ外径が小径となるようにテーパ状に形成されている。
【0032】
完全山部12bは、食付き部12aによって転造されためねじの仕上げを行うための部位であり、被加工物の下穴に転造すべきめねじの形状と略同一形状に形成されている。
【0033】
油溝13は、被加工物の下穴にタッピングオイルを供給するための部位であり、食付き部12aから完全山部12bへかけて延設されていると共に略直線状に形成されている。なお、油溝13は、食付き部12aから完全山部12bへかけて延設されている必要はなく、刃部12の一部のみに設けられていても良い。また、略直線状に限られず、螺旋状に形成されていても良い。
【0034】
マージン部14は、被加工物の下穴に食い込んで被加工物を塑性変形させることによりめねじを転造するための部位であり、軸心O1と略平行に設けられている。
【0035】
次いで、図3を参照して、工具ホルダ20の詳細構成について説明する。図3(a)は工具ホルダ20の正面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線における工具ホルダ20の断面図である。なお、図3(a)では、工具ホルダ20の一部が断面視されていると共に軸方向長さが省略され図示されている。
【0036】
工具ホルダ20は、図3に示すように、シャンク部21と、そのシャンク部21に連設されるチャック部22とを備え、シャンク部21を加工機械に保持させると共にチャック部22に盛上げタップ10を保持することで盛上げタップ10に加工機械の回転動力を伝達するための工具ホルダである。
【0037】
シャンク部21は、工具ホルダ20を加工機械に保持させるための部位であり、図3(a)に示すように、軸心O2を有する円錐状に形成されている。
【0038】
チャック部22は、焼きばめにより盛上げタップ10を保持するための部位であり、図3(a)に示すように、被加工物との干渉を避けるべく工具ホルダ20の先端側(図3(a)右側)へ向かうにつれ外径が小径となるテーパ状に形成されている。また、チャック部22には、軸心O2と軸心を一致させて円柱状の中空部22aが中空に設けられていると共に、その中空部22aの奧端面(図3(a)左側端面)には、第2係合部22bが凹設されている。
【0039】
中空部22aは、盛上げタップ10の円筒接続部11を挿入するための部位であり(図1参照)、常温において盛上げタップ10の円筒接続部11の直径よりも小径に形成されている。また、チャック部22が加熱された場合には、熱膨張により直径が拡大されることで盛上げタップ10の円筒接続部11が挿入可能となる一方、盛上げタップ10の円筒接続部11が挿入された状態でチャック部22が冷却された場合には、熱収縮により直径が縮小されることで盛上げタップ10を離脱不能に保持することができる。
【0040】
第2係合部22bは、盛上げタップ10の第1係合部11aと係合することで盛上げタップ10の工具ホルダ20に対する相対回転を規制するための部位であり(図1参照)、図3に示すように、第1係合部11aと係合する凹溝として構成されていると共に、その中心を軸心O2と一致させることで軸心O2に対して軸対称に配設されている。
【0041】
ここで、第2係合部22bと盛上げタップ10の第1係合部11aとを係合させる場合には、盛上げタップ10を略180°回転させつつ挿入するだけで、第2係合部22bと盛上げタップ10の第1係合部11aとを容易に係合させることができる。
【0042】
上記のように構成された焼きばめ式工具ユニット1によれば、盛上げタップ10の円筒接続部11に第1係合部11aを備えていると共に工具ホルダ20のチャック部22(中空部22a)に第1係合部11aと係合する第2係合部22bを備えているので、盛上げタップ10を工具ホルダ20に保持させるために盛上げタップ10の円筒接続部11を工具ホルダ20のチャック部22(中空部22a)に挿入した場合には、それら第1係合部11aと第2係合部22bとが互いに係合して、工具ホルダ20に保持された盛上げタップ10の工具ホルダ20に対する相対回転が規制される。その結果、被加工物から受ける加工負荷が大きい場合でも、盛上げタップ10と工具ホルダ20との間に滑りを生じさせることなく、確実に盛上げタップ10を保持することができる。
【0043】
また、盛上げタップ10の円筒接続部11を工具ホルダ20のチャック部22(中空部22a)に挿入するだけで、第1係合部11aと第2係合部22bとが互いに係合するように構成されているので、被加工物から受ける加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用する場合でも、盛上げタップ10と工具ホルダ20との間に滑りを生じさせることなく、回転動力の伝達力の向上を図ることができる。
【0044】
また、盛上げタップ10の第1係合部11aが円筒接続部11の軸心O1に対して軸対称に設けられているので、例えば、軸心O1に対しオフセットされた位置に設けられている場合と比較して、盛上げタップ10を工具ホルダ20のチャック部22(中空部22a)に挿入する方向性が1方向のみに限定されず、少なくとも2の方向性を持たせることができ、作業性の向上を図ることができる。
【0045】
また、盛上げタップ10の第1係合部11aが円筒接続部11の軸心O1に対して軸対称に設けられていれば、盛上げタップ10及び工具ホルダ20の構造を簡略化することができ、その分、製造コストの低減を図ることができる。
【0046】
更に、本実施の形態では、第1係合部11aが盛上げタップ10の円筒接続部11の側端面に設けられているので、盛上げタップ10と工具ホルダ20とが焼きばめされる範囲、即ち、盛上げタップ10の円筒接続部11に設ける場合と比較して、焼きばめ面積を拡大することができ、その分、工具ホルダ20の盛上げタップ10に対する把持力の増加を図ることができる。
【0047】
また、被加工物を塑性変形させてめねじを形成するために、被加工物から受ける加工負荷が特に大きく、その加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用してしまう盛上げタップ10に対しても、工具ホルダ20との間に滑りを生じさせることなく、確実に保持することで、有効に回転動力の伝達力の向上を図ることができる。
【0048】
ここで、上述のように構成された焼きばめ式工具ユニット1を用いて被加工物の下穴へめねじを転造する転造試験について説明する。なお、転造試験は、転造中の盛上げタップ10に発生する切削トルクを測定する試験である。
【0049】
また、転造試験には、本実施の形態で説明した焼きばめ式工具ユニット1(以下、「本発明品」と、称す。)と、第1係合部11a及び第2係合部22bを有さない焼きばめ式工具ユニット(以下、「従来品」と、称す。)とを用いて行った。なお、本発明品及び従来品は、どちらも刃部の呼び径が14.0mm、ピッチが2.0mmで構成されると共に円筒接続部の直径が10.5mmで構成される盛上げタップが用いられ、盛上げタップと工具ホルダとの締め代が0.015mmで焼きばめされるように構成されている。
【0050】
転造試験の結果によれば、従来品は、切削トルクが77Nmに達した時点において、盛上げタップと工具ホルダとの間に滑りが生じた。これに対し、本発明品は、盛上げタップ10と工具ホルダ20との間に滑りが生じることなく、被加工物の下穴へめねじを形成することができた。
【0051】
次に、図4を参照して、第2実施の形態における焼きばめ式工具ユニット30について説明する。第1実施の形態における焼きばめ式工具ユニット1は、盛上げタップ10に凸設された第1係合部11aと、工具ホルダ20に凹設された第2係合部22bとが係合することで盛上げタップ10の工具ホルダ20に対する相対回転を規制するように構成されていたが、第2実施の形態における焼きばめ式工具ユニット30は、盛上げタップ40に凹設された係合溝11bと、工具ホルダ50に配設された係合ピン60とが係合することで盛上げタップ40の工具ホルダ50に対する相対回転を規制するように構成されている。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
図4は、本発明の第2実施の形態における焼きばめ式工具ユニット30の正面図である。また、図4では、盛上げタップ40が工具ホルダ50に保持された状態が図示されている。なお、図4では、工具ホルダ50の一部が断面視されていると共に軸方向長さが省略され図示されている。
【0053】
焼きばめ式工具ユニット30は、図4に示すように、盛上げタップ40と工具ホルダ50とを備え、盛上げタップ40の円筒接続部11を工具ホルダ50のチャック部22に焼きばめすることで盛上げタップ40を工具ホルダ50に保持させると共に、後述する係合溝11bと係合ピン60とが互いに係合することで、工具ホルダ50に保持された盛上げタップ40の工具ホルダ50に対する相対回転を規制することができるように構成されている。
【0054】
次いで、図5を参照して、盛上げタップ40の詳細構成について説明する。図5(a)は盛上げタップ40の正面図であり、図5(b)は、図5(a)の矢印Vb方向から視た盛上げタップ40の側面図である。
【0055】
盛上げタップ40は、円筒接続部11に工具ホルダ50を介して加工機械(図示せず)の回転動力を付与することで被加工物の下穴(図示せず)にめねじを形成するための工具であり、図5に示すように、円筒接続部11の側端面(図5(a)左側端面)には、係合溝11bが凹設されている。
【0056】
係合溝11bは、後述する工具ホルダ50の係合ピン60と係合することで盛上げタップ40の工具ホルダ50に対する相対回転を規制するための部位であり、図5に示すように、正面視略矩形状かつ側面視略矩形状に形成される凹溝として構成されていると共に、その中心を軸心O1と一致させることで軸心O1に対して軸対称に配設されている。
【0057】
次いで、図6を参照して、工具ホルダ50の詳細構成について説明する。図6(a)は工具ホルダ50の正面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb−VIb線における工具ホルダ50の断面図である。なお、図6では、工具ホルダ50の一部が断面視されていると共に軸方向長さが省略され図示されている。
【0058】
工具ホルダ50は、シャンク部21を加工機械に保持させると共にチャック部22に盛上げタップ40を保持することで盛上げタップ40に加工機械の回転動力を伝達するための工具ホルダであり、図6に示すように、チャック部22には、穴部22c,22dが穿設されている。
【0059】
穴部22c,22dは、後述する係合ピン60を挿通するための部位であり、図6に示すように、チャック部22の外部と中空部22aとを貫通する断面円形状の貫通孔としてそれぞれ構成されていると共に、互いに軸線O2に対して軸対称に設けられている。
【0060】
係合ピン60は、盛上げタップ40の係合溝11bと係合することで盛上げタップ40の工具ホルダ50に対する相対回転を規制するための部材であり(図4参照)、穴部22c,22dの直径と略同一直径の軸状部材から構成されている。この係合ピン60は、穴部22c,22dに挿通された状態で両端部がかしめられることで、チャック部22に離脱不能に固定される。また、上述したように、穴部22c,22dが軸線O2に対して互いに軸対称に設けられているので、穴部22c,22dに挿通された係合ピン60は、軸線O2と直交して配設される。
【0061】
ここで、係合ピン60と盛上げタップ40の係合溝11bとを係合させる場合には、盛上げタップ40を略180°回転させつつ挿入するだけで、係合ピン60と盛上げタップ40の係合溝11bとを容易に係合させることができる。
【0062】
上記のように構成された焼きばめ式工具ユニット30によれば、盛上げタップ40の円筒接続部11に係合溝11bを備えていると共に工具ホルダ50のチャック部22(中空部22a)に係合溝11bと係合する係合ピン60を備えているので、盛上げタップ40を工具ホルダ50に保持させるために盛上げタップ40の円筒接続部11を工具ホルダ50のチャック部22(中空部22a)に挿入した場合には、それら係合溝11bと係合ピン60とが互いに係合して、工具ホルダ50に保持された盛上げタップ40の工具ホルダ50に対する相対回転が規制される。その結果、被加工物から受ける切削抵抗が大きい場合でも、盛上げタップ40と工具ホルダ50との間に滑りを生じさせることなく、確実に盛上げタップ40を保持することができる。
【0063】
また、盛上げタップ40の円筒接続部11を工具ホルダ50のチャック部22(中空部22a)に挿入するだけで、係合溝11bと係合ピン60とが互いに係合するように構成されているので、被加工物から受ける加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用する場合でも、盛上げタップ40と工具ホルダ50との間に滑りを生じさせることなく、回転動力の伝達力の向上を図ることができる。
【0064】
また、盛上げタップ40の係合溝11bが円筒接続部11の軸心O1に対して軸対称に設けられているので、例えば、軸心O1に対しオフセットされた位置に設けられている場合と比較して、盛上げタップ40を工具ホルダ50のチャック部22(中空部22a)に挿入する方向性が1方向のみに限定されず、少なくとも2の方向性を持たせることができ、作業性の向上を図ることができる。
【0065】
また、盛上げタップ40の係合溝11bが円筒接続部11の軸心O1に対して軸対称に設けられていれば、盛上げタップ40及び工具ホルダ50の構造を簡略化することができ、その分、製造コストの低減を図ることができる。
【0066】
更に、本実施の形態では、係合溝11bが盛上げタップ40の円筒接続部11の側端面に設けられているので、盛上げタップ40と工具ホルダ50とが焼きばめされる範囲、即ち、盛上げタップ40の円筒接続部11に設ける場合と比較して、焼きばめ面積を拡大することができ、その分、工具ホルダ50の盛上げタップ40に対する把持力の増加を図ることができる。
【0067】
また、被加工物を塑性変形させてめねじを形成するために、被加工物から受ける加工負荷が特に大きく、その加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用してしまう盛上げタップ40に対しても、工具ホルダ50との間に滑りを生じさせることなく、確実に保持することで、有効に回転動力の伝達力の向上を図ることができる。
【0068】
次に、図7を参照して、第3実施の形態における焼きばめ式工具ユニット70について説明する。第1及び第2実施の形態における焼きばめ式工具ユニット1,30は、工具ホルダ20,50が直に加工機械へ保持されるように構成されていたが、第3実施の形態における焼きばめ式工具ユニット70は、工具ホルダ90がコレット等により加工機械へ保持されるように構成されている。即ち、焼きばめ式工具ユニット70がスローアウェイ工具となる。これにより、刃部が設けられる先端部のみを超硬合金等で構成することで、工具コストの低下を図ることができる。なお、第1及び第2実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0069】
図7は、本発明の第3実施の形態における焼きばめ式工具ユニット70の正面図である。また、図7では、盛上げタップ80が工具ホルダ90に保持された状態が図示されている。なお、図7では、工具ホルダ90の一部が断面視されていると共に軸方向長さが省略され図示されている。
【0070】
焼きばめ式工具ユニット70は、図7に示すように、盛上げタップ80と工具ホルダ90とを備え、盛上げタップ80の円筒接続部11を工具ホルダ90のチャック部92に焼きばめすることで盛上げタップ80を工具ホルダ90に保持させると共に、係合溝11cと係合ピン100とが互いに係合することで、工具ホルダ90に保持された盛上げタップ80の工具ホルダ90に対する相対回転を規制することができるように構成されている。
【0071】
次いで、図8を参照して、盛上げタップ80の詳細構成について説明する。図8(a)は盛上げタップ80の正面図であり、図8(b)は、図8(a)の矢印VIIIb方向から視た盛上げタップ80の側面図である。
【0072】
盛上げタップ80は、円筒接続部11に工具ホルダ90を介して加工機械(図示せず)の回転動力を付与することで被加工物の下穴(図示せず)にめねじを形成するための工具であり、図8に示すように、円筒接続部11の側端面(図8(a)左側端面)には、係合溝11cが凹設されている。
【0073】
係合溝11cは、後述する工具ホルダ90の係合ピン100と係合することで盛上げタップ80の工具ホルダ90に対する相対回転を規制するための部位であり、図8に示すように、断面半円状に形成される凹溝として構成されていると共に、その中心を軸心O1と一致させることで軸心O1に対して軸対称に配設されている。
【0074】
また、本実施の形態では、断面半円状に形成された係合溝11cの直径が円筒接続部11の直径に対して50%に設定されている。これにより、係合溝11cを断面半円状に形成すると共に、その直径を円筒接続部11の直径に対して50%に設定することで、係合ピン100との接触面積の拡大を図り、その分、被加工物から受ける加工負荷による応力を分散させて、盛上げタップ80の強度を確保することができる。なお、係合溝11cの直径は、円筒接続部の直径に対して50%以上に設定することが好ましい。
【0075】
次いで、図9を参照して、工具ホルダ90の詳細構成について説明する。図9(a)は工具ホルダ90の正面図であり、図9(b)は、図9(a)のIXb−IXb線における工具ホルダ90の断面図である。なお、図9では、工具ホルダ90の一部が断面視されていると共に軸方向長さが省略され図示されている。
【0076】
工具ホルダ90は、図9に示すように、シャンク部91と、そのシャンク部91に連設されるチャック部92とを備え、シャンク部91をコレット等により加工機械に保持させると共にチャック部92に盛上げタップ80を保持することで盛上げタップ80に加工機械の回転動力を伝達するための工具ホルダである。
【0077】
シャンク部91は、工具ホルダ90をコレット等により加工機械に保持させるための部位であり、図9(a)に示すように、軸心O3を有する円柱状に形成されている。
【0078】
チャック部92は、焼きばめにより盛上げタップ80を保持するための部位であり、図9(a)に示すように、軸心O3と軸心を一致させて円柱状の中空部92aが中空に設けられていると共に、穴部92b,92cが穿設されている。
【0079】
中空部92aは、盛上げタップ80の円筒接続部11を挿入するための部位であり(図7参照)、常温において盛上げタップ80の円筒接続部11の直径よりも小径に形成されている。また、チャック部92が加熱された場合には、熱膨張により直径が拡大されることで盛上げタップ80の円筒接続部11が挿入可能となる一方、盛上げタップ80の円筒接続部11が挿入された状態でチャック部92が冷却された場合には、熱収縮により直径が縮小されることで盛上げタップ80を離脱不能に保持することができる。
【0080】
穴部92b,92cは、後述する係合ピン100を挿通するための部位であり、図9に示すように、チャック部92の外部と中空部92aとを貫通する断面円形状の貫通孔としてそれぞれ構成されていると共に、互いに軸線O3に対して軸対称に設けられている。
【0081】
係合ピン100は、盛上げタップ80の係合溝11cと係合することで盛上げタップ80の工具ホルダ90に対する相対回転を規制するための部材であり(図7参照)、穴部92b,92cの直径と略同一直径の軸状部材から構成されている。この係合ピン100は、穴部92b,92cに挿通された状態で両端部がかしめられることで、チャック部92に離脱不能に固定される。また、上述したように、穴部92b,92cが軸線O3に対して互いに軸対称に設けられているので、穴部92b,92cに挿通された係合ピン100は、軸線O3と直交して配設される。
【0082】
ここで、係合ピン100と盛上げタップ80の係合溝11cとを係合させる場合には、盛上げタップ80を略180°回転させつつ挿入するだけで、係合ピン100と盛上げタップ80の係合溝11cとを容易に係合させることができる。
【0083】
上記のように構成された焼きばめ式工具ユニット70によれば、盛上げタップ80の円筒接続部11に係合溝11cを備えていると共に工具ホルダ90のチャック部92(中空部92a)に係合溝11cと係合する係合ピン100を備えているので、盛上げタップ80を工具ホルダ90に保持させるために盛上げタップ80の円筒接続部11を工具ホルダ90のチャック部92(中空部92a)に挿入した場合には、それら係合溝11cと係合ピン100とが互いに係合して、工具ホルダ90に保持された盛上げタップ80の工具ホルダ90に対する相対回転が規制される。その結果、被加工物から受ける切削抵抗が大きい場合でも、盛上げタップ80と工具ホルダ90との間に滑りを生じさせることなく、確実に盛上げタップ80を保持することができる。
【0084】
また、盛上げタップ80の円筒接続部11を工具ホルダ90のチャック部92(中空部92a)に挿入するだけで、係合溝11cと係合ピン100とが互いに係合するように構成されているので、被加工物から受ける加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用する場合でも、盛上げタップ80と工具ホルダ90との間に滑りを生じさせることなく、回転動力の伝達力の向上を図ることができる。
【0085】
また、盛上げタップ80の係合溝11cが円筒接続部11の軸心O1に対して軸対称に設けられているので、例えば、軸心O1に対しオフセットされた位置に設けられている場合と比較して、盛上げタップ80を工具ホルダ90のチャック部92(中空部92a)に挿入する方向性が1方向のみに限定されず、少なくとも2の方向性を持たせることができ、作業性の向上を図ることができる。
【0086】
また、盛上げタップ80の係合溝11cが円筒接続部11の軸心O1に対して軸対称に設けられていれば、盛上げタップ80及び工具ホルダ90の構造を簡略化することができ、その分、製造コストの低減を図ることができる。
【0087】
更に、本実施の形態では、係合溝11cが盛上げタップ80の円筒接続部11の側端面に設けられているので、盛上げタップ80と工具ホルダ90とが焼きばめされる範囲、即ち、盛上げタップ80の円筒接続部11に設ける場合と比較して、焼きばめ面積を拡大することができ、その分、工具ホルダ90の盛上げタップ80に対する把持力の増加を図ることができる。
【0088】
また、被加工物を塑性変形させてめねじを形成するために、被加工物から受ける加工負荷が特に大きく、その加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用してしまう盛上げタップ80に対しても、工具ホルダ90との間に滑りを生じさせることなく、確実に保持することで、有効に回転動力の伝達力の向上を図ることができる。
【0089】
次に、図10を参照して、第4実施の形態における焼きばめ式工具ユニット110について説明する。第3実施の形態における焼きばめ式工具ユニット70は、盛上げタップ80に凹設された係合溝11cと、工具ホルダ90に配設された係合ピン100とが係合することで盛上げタップ80の工具ホルダ90に対する相対回転を規制するように構成されていたが、第4実施の形態における焼きばめ式工具ユニット110は、盛上げタップ10に凸設された第1係合部11aと、工具ホルダ120に配設された係合ねじ130とが係合することで盛上げタップ10の工具ホルダ120に対する相対回転を規制するように構成されている。なお、第1,第2及び第3実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、本実施の形態における盛上げタップ10は、第1実施の形態における盛上げタップ10と同一の工具である。
【0090】
図10は、本発明の第4実施の形態における焼きばめ式工具ユニット110の正面図である。また、図10では、盛上げタップ10が工具ホルダ120に保持された状態が図示されている。なお、図10では、工具ホルダ120の一部が断面視されていると共に軸方向長さが省略され図示されている。
【0091】
焼きばめ式工具ユニット110は、図10に示すように、盛上げタップ10と工具ホルダ120とを備え、盛上げタップ10の円筒接続部11を工具ホルダ120のチャック部92に焼きばめすることで盛上げタップ10を工具ホルダ120に保持させると共に、第1係合部11aと係合ねじ130とが互いに係合することで、工具ホルダ120に保持された盛上げタップ10の工具ホルダ120に対する相対回転を規制することができるように構成されている。
【0092】
次いで、図11を参照して、工具ホルダ120の詳細構成について説明する。図11(a)は工具ホルダ120の正面図であり、図11(b)は、図11(a)のXIb−XIb線における工具ホルダ120の断面図である。なお、図11では、工具ホルダ120の一部が断面視されていると共に軸方向長さが省略され図示されている。
【0093】
工具ホルダ120は、シャンク部91をコレット等により加工機械に保持させると共にチャック部92に盛上げタップ10を保持することで盛上げタップ10に加工機械の回転動力を伝達するための工具ホルダであり、図11に示すように、チャック部92には、ねじ部92d,92eが穿設されている。
【0094】
ねじ部92d,92eは、後述する係合ねじ130を螺挿するための部位であり、図11に示すように、チャック部92の外部と中空部92aとを貫通すると共にめねじが内周面に螺刻された断面円形状の貫通孔としてそれぞれ構成されていると共に、互いに軸線O3に対して軸対称に設けられている。
【0095】
係合ねじ130は、盛上げタップ10の第1係合部11aと係合することで盛上げタップ10の工具ホルダ120に対する相対回転を規制するための止めねじであり(図10参照)、ねじ部92d,92eに対応したおねじが外周面に設けられた軸状部材から構成されている。この係合ねじ130は、ねじ部92d,92eに螺挿されることで、チャック部92に固定される。また、上述したように、ねじ部92d,92eが軸線O3に対して互いに軸対称に設けられているので、ねじ部92d,92eに螺挿された係合ねじ130は、軸線O3と直交して配設される。なお、本実施の形態では、係合ねじ130が六角穴付き止めねじにより構成されている。
【0096】
ここで、係合ねじ130と盛上げタップ10の第1係合部11aとを係合させる場合には、盛上げタップ10を略180°回転させつつ挿入するだけで、係合ねじ130と盛上げタップ10の第1係合部11aとを容易に係合させることができる。
【0097】
上記のように構成された焼きばめ式工具ユニット110によれば、盛上げタップ10の円筒接続部11に第1係合部11aを備えていると共に工具ホルダ120のチャック部92(中空部92a)に第1係合部11aと係合する係合ねじ130を備えているので、盛上げタップ10を工具ホルダ120に保持させるために盛上げタップ10の円筒接続部11を工具ホルダ120のチャック部92(中空部92a)に挿入した場合には、それら第1係合部11aと係合ねじ130とが互いに係合して、工具ホルダ120に保持された盛上げタップ10の工具ホルダ120に対する相対回転が規制される。その結果、被加工物から受ける切削抵抗が大きい場合でも、盛上げタップ10と工具ホルダ120との間に滑りを生じさせることなく、確実に盛上げタップ10を保持することができる。
【0098】
また、盛上げタップ10の円筒接続部11を工具ホルダ120のチャック部92(中空部92a)に挿入するだけで、第1係合部11aと係合ねじ130とが互いに係合するように構成されているので、被加工物から受ける加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用する場合でも、盛上げタップ10と工具ホルダ120との間に滑りを生じさせることなく、回転動力の伝達力の向上を図ることができる。
【0099】
また、盛上げタップ10の第1係合部11aが円筒接続部11の軸心O1に対して軸対称に設けられているので、例えば、軸心O1に対しオフセットされた位置に設けられている場合と比較して、盛上げタップ10を工具ホルダ120のチャック部92(中空部92a)に挿入する方向性が1方向のみに限定されず、少なくとも2の方向性を持たせることができ、作業性の向上を図ることができる。
【0100】
また、盛上げタップ10の第1係合部11aが円筒接続部11の軸心O1に対して軸対称に設けられていれば、盛上げタップ10及び工具ホルダ120の構造を簡略化することができ、その分、製造コストの低減を図ることができる。
【0101】
更に、本実施の形態では、工具ホルダ120の係合ねじ130がねじ部92d,92eに螺挿されることでチャック部92に固定されるので、盛上げタップ10の円筒接続部11を工具ホルダ120のチャック部92に焼きばめした後、係合ネジ130を更にねじ込むことで、盛上げタップ10の工具ホルダ120に対する周方向へのがたつきを抑制することができる。その結果、更なる回転動力の伝達力の向上を図ることができる。
【0102】
また、被加工物を塑性変形させてめねじを形成するために、被加工物から受ける加工負荷が特に大きく、その加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用してしまう盛上げタップ10に対しても、工具ホルダ120との間に滑りを生じさせることなく、確実に保持することで、有効に回転動力の伝達力の向上を図ることができる。
【0103】
なお、本実施の形態では、盛上げタップ10の第1係合部11aに対応させて係合ねじ130の呼び径を設定したが、盛上げタップ10の工具ホルダ120に対する相対回転を規制する規制力を増加させるために、係合ねじ130の呼び径を更に大きくしても良い。この場合には、係合ねじ130の端面全体が第1係合部11aに当接されるように、第1係合部11aの形状を変更することが好ましい。
【0104】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0105】
例えば、上記第1実施の形態では、盛上げタップ10の第1係合部11aが正面視略矩形状かつ側面視略矩形状に形成される柱状体の突起物として構成されると共に、工具ホルダ20の第2係合部22bが第1係合部11aと係合する凹溝として構成される場合を説明したが、第1係合部11a及び第2係合部22bの形状は必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、第1係合部11aを側面視正三角形状に形成される三角柱状体の突起物として構成すると共に、第2係合部22bを第1係合部11aと係合する凹溝として構成しても良い。
【0106】
これにより、第1係合部11aと第2係合部22bとを係合させる場合には、盛上げタップ10を略120°回転させつつ挿入することで第1係合部11aと第2係合部22bとを容易に係合させることができる。即ち、盛上げタップ10を工具ホルダ20のチャック部22(中空部22a)に挿入する方向性が3方向に増加するので、更なる作業性の向上を図ることができる。
【0107】
また、上記第2実施の形態では、盛上げタップ40の係合溝11bが正面視略矩形状かつ側面視略矩形状に形成される1の凹溝として構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、その凹溝と直交して十文字状に正面視略矩形状かつ側面視略矩形状に形成される凹溝を追加して構成しても良い。
【0108】
これにより、係合溝11bと係合ピン60とを係合させる場合には、盛上げタップ40を略90°回転させつつ挿入することで係合溝11bと係合ピン60とを容易に係合させることができる。即ち、盛上げタップ40を工具ホルダ50のチャック部22(中空部22a)に挿入する方向性が4方向に増加するので、更なる作業性の向上を図ることができる。
【0109】
また、上記第1実施の形態では、盛上げタップ10の第1係合部11aが正面視略矩形状かつ側面視略矩形状に形成される柱状体の突起物として構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、正面視略台形状かつ側面視略矩形状に形成される柱状体の突起物として構成しても良い。
【0110】
これにより、盛上げタップ10の工具ホルダ20に対する周方向へのがたつきを抑制することができ、回転動力の伝達力の向上を図ることができると共に、盛上げタップ10を工具ホルダ20のチャック部22(中空部22a)に挿入する場合に、第1係合部11aと第2係合部22bとを容易に係合させることができる。
【0111】
また、上記第2実施の形態では、盛上げタップ40の係合溝11bが正面視略矩形状かつ側面視略矩形状に形成される凹溝として構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、正面視略台形状かつ側面視略矩形状に形成される凹溝として構成しても良い。
【0112】
これにより、盛上げタップ40の工具ホルダ50に対する周方向へのがたつきを抑制することができ、回転動力の伝達力の向上を図ることができると共に、盛上げタップ40を工具ホルダ50のチャック部22(中空部22a)に挿入する場合に、係合溝11bと係合ピン60とを容易に係合させることができる。
Claims (7)
- 軸心を有する円柱状に形成される円筒接続部を有する回転工具と、前記回転工具の円筒接続部を挿入可能な円柱状の中空部が中空に設けられるチャック部を有する工具ホルダとを備え、前記回転工具の前記円筒接続部を前記工具ホルダの前記チャック部に焼きばめすることで前記回転工具を前記工具ホルダに保持させる焼きばめ式工具ユニットにおいて、
前記回転工具は、前記円筒接続部の先端に設けられると共に径方向に向けて突出したマージン部を有する刃部を備えると共に、被加工物を塑性変形させてめねじを形成する盛上げタップであって、
前記円筒接続部は、その円筒接続部の側端面に設けられると共に、前記円筒接続部の軸心方向からみて略矩形状に形成される第1係合部を備え、
前記第1係合部は、その中心を前記円筒接続部の軸心と一致させることで前記円筒接続部の軸心に対して軸対称に配設されると共に、前記矩形状の各辺をマージン部の突出方向に対応して延伸させており、
前記工具ホルダは、前記チャック部に設けられると共に前記第1係合部と係合する第2係合部を備え、
前記第2係合部は、前記1係合部と係合するように前記チャック部の軸心からみて矩形状に形成されると共に、前記チャック部の軸心に対して軸対称に配設され、
前記回転工具の前記円筒接続部が前記工具ホルダの前記チャック部に挿入された場合に、前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに係合することで、被加工物から受ける加工負荷が周方向に対し正逆両方向に作用する場合に、前記工具ホルダに保持された前記回転工具の前記工具ホルダに対する相対回転が規制されるように構成されていることを特徴とする焼きばめ式工具ユニット。 - 前記円筒接続部と前記刃部との間を前記円筒接続部から刃部の方向で径方向に拡大させて形成し、
前記刃部を前記チャック部と非接触の状態で前記回転工具の前記円筒接続部を前記工具ホルダの前記チャック部に焼きばめし、
前記第1係合部は、前記円筒接続部の側端面に凸設された突起物であると共に、前記第2係合部は、前記中空部の奥端面に凹設される凹溝であって、
前記第2係合部の凹溝の底側の面は、前記第1係合部の突起物と接触可能なように、前記突起物に沿って形成されることを特徴とする請求項1記載の焼きばめ式工具ユニット。 - 前記円筒接続部と前記刃部との間を前記円筒接続部から刃部の方向で径方向に拡大させて形成し、
前記刃部を前記チャック部と非接触の状態で前記回転工具の前記円筒接続部を前記工具ホルダの前記チャック部に焼きばめし、
前記第1係合部は、前記円筒接続部の側端面に凹設された係合溝であると共に、前記第2係合部は、前記チャック部に穿設され、前記チャック部の外部と前記中空部とを貫通すると共に、互いに前記チャック部の軸心に対して軸対称に設けられる一対の貫通孔に挿通された状態で前記チャック部に離脱不能に固定される軸状部材であって、
前記第1係合部の係合溝の底側の面は、前記第2係合部の軸状部材と接触可能なように、前記軸状部材に沿って形成されることを特徴とする請求項1記載の焼きばめ式工具ユニット。 - 前記第1係合部は、前記円筒接続部の側端面に凸設された突起物であると共に、前記第2係合部は、前記チャック部に穿設され、前記チャック部の外部と前記中空部とを貫通すると共に、互いに前記チャック部の軸心に対して軸対称に螺刻される一対の貫通孔に螺挿されることで前記チャック部に固定される係合ねじであって、
前記貫通孔に螺挿された一対の係合ねじは、前記チャック部の軸心と直交して配設されると共に、前記突起物を前記チャック部の軸心に対して軸対称に挟持することを特徴とする請求項1記載の焼きばめ式工具ユニット。 - 前記工具ホルダは、コレットにより加工機械へ保持されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の焼きばめ式工具ユニット。
- 請求項1から5のいずれかに記載の焼きばめ式工具ユニットに使用されるものであることを特徴とする工具ホルダ。
- 請求項1から5のいずれかに記載の焼きばめ式工具ユニットに使用されるものであることを特徴とする盛上タップ。
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