JP2004076676A - 動弁装置およびこれを備えた内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】バルブを適正かつ円滑に制御し、優れた制御特性を保証する動弁装置およびこれを備えた内燃機関を提供する。
【解決手段】カム高さおよびカム作用角が連続的に変化するように形成され、カムシャフト11と一体回転するとともにその軸方向に相対移動可能に構成されたカム13と、カム13のカム面に押圧されてバルブ31を進退させるバルブリフタ21とを備える。バルブリフタの腕部はカムシャフト11の軸方向に配設されるとともに、揺動軸により揺動可能に支持され、腕部の一端側の動きを規制するバルブ休止機構を備える。カム13をスライド駆動するアクセル機構に機械的に連動して、バルブ休止機構によるバルブリフタの腕部に対する規制を解除するようにしたバルブ休止解除機構を有する。
【選択図】 図6
【解決手段】カム高さおよびカム作用角が連続的に変化するように形成され、カムシャフト11と一体回転するとともにその軸方向に相対移動可能に構成されたカム13と、カム13のカム面に押圧されてバルブ31を進退させるバルブリフタ21とを備える。バルブリフタの腕部はカムシャフト11の軸方向に配設されるとともに、揺動軸により揺動可能に支持され、腕部の一端側の動きを規制するバルブ休止機構を備える。カム13をスライド駆動するアクセル機構に機械的に連動して、バルブ休止機構によるバルブリフタの腕部に対する規制を解除するようにしたバルブ休止解除機構を有する。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車あるいは自動車などにおける内燃機関において、アクセル開度に応じてバルブのリフト量および作用角を無段に可変制御する動弁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の内燃機関において、以前より燃焼効率の向上を図るべく、種々の工夫あるいは提案等がなされてきている。バルブの開閉タイミングをずらして行なう可変位相方式に始まり、カム切換によるバルブリフトの可変制御やバルブ休止等が採用されてきた。なお、このカム切換方式は、低速用と高速用の2つのカムを用意し、エンジン出力に応じて作用角の小さいものから大きなものに切り換えるというものである。
【0003】
さらに最近では可変位相とカム切換の組合せが出始め、その後作用角およびリフト量を連続可変する3次元カムを使用する方式が提案されている。
たとえば、直打式円筒タペットの頂部に接触角変化に対する追従機構を設け、3次元カムを軸方向にスライドさせることにより、バルブリフト量を無段階に可変するものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の動弁装置において気筒あたり4つの吸排気バルブを備え、特に低中速時におけるスワールあるいはタンブルを生成すべくバルブ休止機構を持つものが知られている。このようなバルブ休止機構を持つものでは動弁装置の制御の加えて、その機構自体の駆動制御が必要になる。装置全体としてバルブを適正かつ円滑に制御するのは必ずしも容易でない。
また、装置の異常発生時、それに伴う損害を最少に留めて装置制御性を保全することは、安全動さを確保する上で極めて重要である。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑み、バルブを適正かつ円滑に制御し、優れた制御特性を保証する動弁装置およびこれを備えた内燃機関を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の動弁装置は、カム高さおよびカム作用角が連続的に変化するように形成され、カムシャフトと一体回転するとともにその軸方向に相対移動可能に構成されたカムと、前記カムのカム面に押圧されてバルブを進退させるバルブリフタとを備え、前記カムが前記カムシャフトの軸方向にスライドすることによりバルブリフト量およびバルブ作動角を連続無段に可変制御する動弁装置であって、前記バルブリフタの腕部は前記カムシャフトの軸方向に配設されるとともに、揺動軸により揺動可能に支持され、前記腕部の一端側の動きを規制するバルブ休止機構を備え、前記カムをスライド駆動するアクセル機構に機械的に連動して、前記バルブ休止機構による前記バルブリフタの腕部に対する規制を解除するようにしたバルブ休止解除機構を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の動弁装置において、前記バルブ休止解除機構は、前記バルブ休止機構のバルブ休止動作を解除するように作動するレリーズ部材と、前記アクセル機構のアクセルシャフトに設けた駆動部と、前記レリーズ部材と結合し前記駆動部によって駆動されるリンク部材とを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の動弁装置において、前記カムが前記カムシャフトの軸方向に沿って高回転域側へスライドすることで、前記レリーズ部材が前記バルブ休止機構のバルブ休止動作を解除するように作動することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の動弁装置は、カム高さおよびカム作用角が連続的に変化するように形成され、カムシャフトと一体回転するとともにその軸方向に相対移動可能に構成されたカムと、前記カムのカム面に押圧されてバルブを進退させるバルブリフタとを備え、前記カムが前記カムシャフトの軸方向にスライドすることによりバルブリフト量およびバルブ作動角を連続無段に可変制御する動弁装置であって、前記カムをスライド駆動するアクセル機構と、前記カムの前記カムシャフトの軸方向位置を検出するカム位置検出手段とを備え、前記カムが前記カムシャフトの軸方向に沿った所定範囲位置に位置するように、前記カム位置検出手段の検出信号により前記アクセル機構を制御することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の動弁装置において、前記カム位置検出手段は、シリンダヘッドと前記アクセル機構のフォーク部材との間に前記カムのスライド方向と平行に配設されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の内燃機関は、吸気バルブおよび排気バルブにより吸排気を制御するようにした内燃機関であって、吸気側または排気側に上記いずれかの動弁装置を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、この種のエンジンにおいてアクセル開度に応じてバルブリフト量および作用角を無段階可変制御する。この場合、気筒あたり4つの吸排気バルブを備え、バルブ休止機構を持つものにおいて、低中速時におけるスワールあるいはタンブルを生成することで燃焼効率を有効に高め、燃費や出力を大幅に向上することができる。かかるバルブ休止機構をバルブ休止解除機構によって的確に制御することで、適正かつ円滑なバルブ駆動制御を保証する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明による好適な実施の形態を説明する。
(第1の実施形態)
本発明による動弁装置は、自動二輪車あるいは四輪自動車に搭載される各種のガソリンエンジンに対して有効に適用可能であり、この実施形態ではたとえば図1に示すように自動二輪車のエンジンを例とする。
【0014】
ここで先ず、本実施形態に係る自動二輪車100の全体構成を説明する。図1において、鋼製あるいはアルミニウム合金材でなる車体フレーム101の前部には、ステアリングヘッドパイプ102によって左右に回動可能に支持された2本のフロントフォーク103が設けられる。フロントフォーク103の上端にはハンドルバー104が固定され、ハンドルバー104の両端にグリップ105を有する。フロントフォーク103の下部には前輪106が回転可能に支持されるとともに、前輪106の上部を覆うようにフロントフェンダ107が固定される。前輪106は、前輪106と一体回転するブレーキディスク108を有している。
【0015】
車体フレーム101の後部には、スイングアーム109が揺動可能に設けられるとともに、車体フレーム101とスイングアーム109の間にリヤショックアブソーバ110が装架される。スイングアーム109の後端には後輪111が回転可能に支持され、後輪111はチェーン112が巻回されたドリブンスプロケット113を介して、回転駆動されるようになっている。
【0016】
車体フレーム101に搭載されたエンジンユニット1(実線部)には、エアクリーナ114に結合する吸気管115から混合気が供給されるとともに、燃焼後の排気ガスが排気管116を通って排気される。エアクリーナ114は容量確保のためにエンジンユニット1の後方、かつ燃料タンク117およびシート118の下方にある大きなスペース内に設置される。そのため吸気管115はエンジンユニット1の後部側に結合させ、排気管116はエンジンユニット1の前部側に結合される。また、エンジンユニット1の上方には、燃料タンク117が搭載され、燃料タンク117の後方にシート118およびシートカウル119が連設される。
【0017】
ここで、エンジンユニット1のシリンダヘッド2乃至シリンダヘッドカバー2aの所定部位には、後述するアクセルモータ29が装着される。アクセルモータ29はたとえば図示例のように、シリンダヘッドカバー2aの側部に突設される。その場合、燃料タンク117の下部に設けた凹部内にアクセルモータ29部分が配設されるようになっており、燃料タンク117とシリンダヘッドカバー2aは相互に干渉しないように配置される。
【0018】
さらに図1において、120はヘッドランプ、121はスピードメータ、タコメータあるいは各種インジケータランプ等を含むメータユニット、122はステー123を介してハンドルバー104に支持されるバックミラーである。また、車体フレーム101の下部にはメインスタンド124が揺動自在に取付けられ、後輪111を接地させたり地面から浮かせたりできる。車体フレーム101は、前部に設けたヘッドパイプ102から後斜め下方へ向けて延設され、エンジンユニット1の下方を包むように湾曲した後、スイングアーム109の軸支部であるピボット109aを形成してタンクレール101aおよびシートレール101bに連結している。
【0019】
この車体フレーム101には、フロントフェンダ107との干渉を避けるべく車体フレームと平行にラジエータ125が設けられるとともに、このラジエータ125から車体フレーム101に沿って冷却水ホース126が配設され、排気管116と干渉することなくエンジンユニット1に連通している。
【0020】
つぎに、図2は本発明装置の要部側断面図、図3は図2のA−A線に沿う断面図である。この実施形態ではエンジンユニット1として、並列2気筒エンジンであって、各気筒ごとに吸気側(IN)および排気側(EX)にそれぞれ2つのバルブ(つまり4バルブ)を有している。シリンダ内で上下に往復動するピストンの上部にシリンダヘッド2が配置され、このシリンダヘッド2内に動弁装置が収容される。
【0021】
動弁装置は、気筒の列設方向に沿って配置されるカム/カムシャフトユニット10と、カム/カムシャフトユニット10の下側に配置されるタペットユニット20と、この例では吸気制御するバルブユニット30と、アクセル開度に応じてカムを変位させるアクセルシャフトユニット40と、必要に応じてバルブを休止させるバルブ休止ユニット50とを含んでいる。なお、バルブユニット30については、排気側も同様の構成であってよい。
【0022】
カム/カムシャフトユニット10において、カムシャフト11は、ベアリング12(図3)を介してシリンダヘッド2に回転自在に支持される。カムシャフト11にはその軸方向に後述するカム13がスライド可能に装着されるが、この例ではカムシャフト11はたとえば3条のボールスプライン11aを有し、そのガイドによってボール14を介して直線運動(リニアモーション)するようになっている。なお、カムシャフト11は中空構造とし、その中空内部に潤滑油路を形成してカム13等に注油することができる。
【0023】
カムシャフト11の一端にはスプロケット15が固着している。排気側のカムシャフト11Exの一端にもスプロケット15Exが固着しており、これらのスプロケット15,15Exとクランクシャフト(図示せず)の一端に固着するドライブスプロケット3との間には、図4に示すようにカムチェーン4が巻回装架される。なお、図4に示されるようにチェーンガイド5、チェーンテンショナ6およびテンショナアジャスタ7等を含み、これらによりカムチェーン4が適正走行するようになっている。
【0024】
ここで、カム13は「3次元カム」として構成され、各気筒に1つずつ設けられる。図3に示されるように長手方向(カムシャフト11の軸方向)に緩やかに傾斜するカム部が延設され、バルブリフト量を連続的に変化させる形状に成形されている。この場合、カム高さと同時にカム作用角およびリフトタイミングも変化し、すなわちバルブリフト量が大きくなるのに従ってカム作用角も大きくなり、さらにはバルブのリフトタイミングも変化させ得るように設定されている。
【0025】
タペットユニット20において、カム13に接触するようにピン22に支持されたタペットローラ21を有する。ピン22はカムシャフト11とは平行に、後述するスライダ23に固定されており、ニードルベアリング24を介してタペットローラ21を回転自在に支持する。なお、タペットローラ21はピン22の軸方向にはスライドしないように、スライダ23の内側に配置される。スライダ23は矩形の断面形状を持ち、タペットホルダ25に形成されたガイド孔25bにスライド可能に嵌合する(図5(a)、摺動ガイド:斜線部参照)。ガイド孔25bはバルブステムの軸方向に沿って形成されており、これによりタペットローラ21は、スライダ23を介してタペットホルダ25内部に収容されるかたちで浮動保持され、バルブステムの軸方向にのみ移動可能となる。
【0026】
スライダ23の下部にはピン22と直交してピン26が軸支され、このピン26にニードルベアリング27を介して天秤状腕部28(スイングアーム)が揺動可能に保持される。天秤状腕部28の両端には、タペットシム33と当接する押圧部28aが設けられるとともに、その外側面にタペットストッパ51との係合部として構成された嵌合凹部28bを有する。
【0027】
この例では天秤状腕部28の揺動支点であるピン26は、タペットローラ21の中心(ピン22)に対して下方にオフセットして配置される。このようにオフセットすることにより、天秤状腕部28は図3に示されるように下方に凸に湾曲した形態となっている。天秤状腕部28はタペットストッパ51によって規制されていないときには、カムシャフト11と平行を保ったまま上下動する。また、タペットストッパ51によって規制されているときには、嵌合凹部28bを支点として揺動可能となる。
【0028】
なお、本実施形態では排気側については、図2に示されるように平板状のカム13Ex(平面カム)とこれに当接する接触平面を持つ円板状のタペット21Exを有する。
【0029】
バルブユニット30において、それぞれのバルブステム31aがバルブガイド32によってガイドされる2つの吸気バルブ31を含んでいる。また、各バルブステム31aの端部には、天秤状腕部28の押圧部28aと当接するタペットシム33を有し、バルブリテーナ34とスプリングシート35の間にバルブスプリング36が装着される。
【0030】
アクセルシャフトユニット40において、カムシャフト11と平行に配置されたアクセルシャフト41と、アクセルシャフト41に固着するとともにカム13に連結するアクセルフォーク42を含んでいる。アクセルシャフト41はその軸方向にスライド可能にシリンダヘッド2によって支持され、一端側でネジリスプライン41a(図示省略)を介してドリブンギヤ43(ホイール)と係合している。ドリブンギヤ43は複列ボールベアリング44によって回転自在に支持され、アクセルモータ45の出力軸に固着したドライブギヤ46(ウォーム)と噛合する。
【0031】
アクセルモータ45は、アクセル変化(アクセル開度や加速・減速方向など)に対応してその出力軸が回転し、その回転はドライブギヤ46およびドリブンギヤ43を介して、アクセルシャフト41のスライド運動に変換される。この例ではアクセルモータ45はシリンダ軸線方向に沿って配置され、シリンダヘッドカバー2aによって覆われている。
【0032】
なお、たとえば自動二輪車の場合にあっては、アクセルグリップの回転操作量をアクセルモータ45の出力軸の回転量に対応させるようにしてもよい。また、アクセルモータ45を駆動する際、そのときの走行状況(出力)に合うようにコントローラ(図示せず)によって駆動制御されるようになっている。
【0033】
アクセルフォーク42は、ベアリング47を介してカム13の端部に回転自在に装着されたフォークガイド48と係合する。これによりアクセルシャフト41がその軸方向にスライドするのに連動もしくは同期して、カム13がカムシャフト11に沿ってスライドする。
【0034】
バルブ休止ユニット50において、2つの吸気バルブ31の一方を休止させるように構成されたタペットストッパ51を有する。タペットストッパ51は、シリンダヘッド2に形成されたガイド孔2bに内挿され、カムシャフト11と平行にスライド可能である。タペットストッパ51の一端には天秤状腕部28の嵌合凹部28bに係合可能な球状のストッパ部51aを有し、また他端には後述するフォークが係合するフォークガイド52が取り付けられている。ガイド孔2bには、ストッパ部51aを天秤状腕部28の嵌合凹部28b側へ付勢するリターンスプリング53が装着されている。
【0035】
駆動装置54は、カムシャフト11と平行に配置され、タペットストッパ51を駆動(後退駆動)するための駆動シャフト55を進退させる。駆動シャフト55にはフォーク56が結合しており、このフォーク56はタペットストッパ51のフォークガイド52と係合する。2つのタペットストッパ51は、駆動シャフト55によって相互に連結されており、同期作動するようになっている。
【0036】
ここで、カムシャフト11の他端には位相センサユニット60が設けられている。位相センサユニット60は、カムシャフト11の他端に植設されたピン61とこのピン61を検出して出力信号を得る位相センサ62を含んでいる。
【0037】
この実施形態において特に、カム13をスライド駆動するアクセル機構(アクセルシャフトユニット40)に機械的に連動して、バルブ休止機構(バルブ休止ユニット50)によるバルブリフタの天秤状腕部28に対する規制を解除するようにしたバルブ休止解除機構を有する。
【0038】
図6および図7は、バルブ休止解除機構の構成例を示している。図において、バルブ休止解除機構70は、バルブ休止ユニット50のバルブ休止動作を解除するように作動するレリーズ部材としてのレリーズアーム71と、アクセルシャフトユニット40のアクセルシャフト41に設けた駆動部72と、レリーズアーム71と結合し駆動部72によって駆動されるリンク部材73とを含む。
【0039】
レリーズアーム71およびリンク部材73は一体に形成され、シリンダヘッド2の適所に植設されたシャフト74のまわりに回動可能に支持される。レリーズアーム71の先端部は図7(a)に示されるように、天秤状腕部28とタペットストッパ51の間に介挿されるように配置される。この場合、レリーズアーム71の先端部に設けたU字状溝71aは、タペットストッパ51の球状ストッパ部51aの球径よりも大きく形成される。これによりタペットストッパ51がバルブ休止解除側へはつねにスライド可能となるようにした。
【0040】
また、リンク部材73の一端とシリンダヘッド2の間にスプリング75が張架され、該リンク部材73をアクセルシャフト41側へ付勢している。リンク部材73の一端にはアクセルシャフト41に対する当接部73aが立ち上がっており、該当接部73aに装着したローラ76がアクセルシャフト41(駆動部72)に当接するようになっている。なお、駆動部72はランプ部72aがテーパ状に形成されるとともに、アクセルシャフト41の軸方向に沿った全長に亘り同径である。
【0041】
上記の場合、カム13がカムシャフト11の軸方向に沿って高回転域側へスライドすることで、レリーズアーム71がバルブ休止機構のバルブ休止動作を解除するように作動する。
【0042】
上記構成において、アクセルグリップ(もしくはアクセルペダル)を操作するとアクセルモータ45が作動し、その出力軸の回転によりアクセルシャフト41がスライドする。たとえば、エンジン低速時には図3に示されるようにタペット21はカム13に対して、カム高さの低い部位に当接している。この状態で加速、すなわちアクセルを開くと、アクセルモータ45の作動によりドリブンギヤ43が回転して、アクセルシャフト41は図中、右方にスライドする。
【0043】
カム13はアクセルフォーク42を介して、アクセルシャフト41の動きに連動してカムシャフト13に沿って、同様に図中、右方にスライドする。なお、このときカム13のスライド量や速度は、アクセルの開度および開く速さに対応している。カム13のスライドによりタペット21は次第に、カム高さの高い部位に当接し、これによりバルブリフト量が増大する。一方、減速時にはアクセルを戻すことで、上記とは逆の動作でバルブリフト量を減少させる。
【0044】
ここで、上述した本発明の動弁装置あるいは内燃機関において特に、バルブ休止ユニット50はタペットストッパ51によって一方の吸気バルブ31を休止させることができる。このバルブ休止によりエンジンの低中速回転域において燃焼室内に吸気スワール流あるいはタンブル流を生成し、いわゆるリーンバーン化を可能にする。この場合、燃料の注入速度を速くすることで出力アップを図ることができる。バルブ休止ユニット50によるバルブ休止はエンジンの低中速回転域において効果的であり、中速乃至高回転域付近では駆動装置54によってタペットストッパ51を後退させることでバルブ休止を解除するようになっている。
【0045】
一方、エンジン回転数を上げるべくアクセルモータ45を駆動して、アクセルシャフト41をスライドさせると、図7のように駆動部72がリンク部材73のローラ76に当接する。これによりレリーズアーム71がシャフト74のまわりに回動し、タペットストッパ51を天秤状腕部28から後退させる。このように所定のバルブ開度になると、アクセルシャフトユニット40に機械的に連動するレリーズアーム71によってバルブ休止を解除することができる。
【0046】
したがって、たとえばバルブ休止ユニット50の駆動装置54によるバルブ休止解除が遅れた場合でも、アクセルシャフト41のスライドにより強制的にバルブ休止を解除することができる。このためタペットローラ22、吸気バルブ31あるいはエンジンのピストン等の破損を防ぎ、つねに安全かつ円滑な作動が確保される。また、上述のようにバルブ休止解除機構70において、バルブ休止を解除するに際してアクセルシャフト41自体の動作は停止しない。このためタペットストッパ51によるバルブ休止を解除した場合でもエンジン回転数(出力)の増加が一時的に止まることはなく、スムースな運転を保証することができる。
【0047】
上記の場合、駆動部72は同径に形成されているため、レリーズアーム71を介してバルブ休止解除状態に保持することができる。したがって、万一バルブ休止ユニット50の駆動装置54の保持機能が低下した場合でも、不用意にバルブ休止されることがないので安全動作を保証することができる。
【0048】
このようにバルブ休止解除機構70はアクセルシャフト41まわりに配設され、占有スペースが小さく、エンジン全体のコンパクト化や軽量化に効果的である。また、構造が簡素であるため作動の確実性が向上する。さらにカム13が高回転域側へスライドすることで、バルブ休止動作を解除するように作動するため、人為的スロットル操作に従ってエンジン回転はスムースに上昇し、運転感覚(ドライバビリティ、操作感等)が向上する。
【0049】
(第2の実施形態)
つぎに、本発明による第2の実施形態を説明する。なお、上述の第1の実施形態と同一または対応する部材には同一符号を用いて、図面を参照して説明する。図8は本実施形態に係る要部拡大断面図である。この実施形態における基本構成は実質的に第1の実施形態と同様であり、その説明を省略するものとする。
【0050】
ところで、この種の3次元カムを用いる動弁装置において、カムをスライド駆動するための負荷は比較的大きい。そのためアクセル操作でカムを直接駆動することが困難になることから通常、モータや油圧等をスライド駆動源としたフライバイワイヤ方式が採用される。その場合、たとえば断線やショートその他の異常が発生したときカムをバルブリフト量低側に制御し、エンジン停止させる。車両はその場で走行不能となるため、このような場合スタータモータにより脱出せざるを得ない。
【0051】
第2の実施形態において、カム13のカムシャフト11の軸方向位置を検出するカム位置検出手段とを備える。そして、カム13がカムシャフト11の軸方向に沿った所定範囲位置に位置するように、カム位置検出手段の検出信号によりアクセル機構を制御するものである。
【0052】
図8に示されるようにカム位置検出手段としてのカム位置検出ユニット80を備える。このカム位置検出ユニット80は、シリンダヘッド2とアクセルシャフトユニット40のアクセルフォーク42との間に、カム13のスライド方向と平行に配設される。この例ではシリンダヘッドカバー2aの適所に固定保持されたハウジング81と、ハウジング81内でスライド可能(カムシャフト11もしくはアクセルシャフト41方向)に挿入された制御シャフト82と、制御シャフト82内に埋設された摺動接点83,84とを含む。
【0053】
ハウジング81の一端にはキャップ85が被着し、該キャップ85からハウジング81内へアクセルケーブル86が挿通する。アクセルケーブル86の先端には所謂タイコ87が固着し、タイコ87は制御シャフト82の凹部88内に掛止される。制御シャフト82はリターンスプリング89によってアクセルフォーク42側へ付勢されるようになっている。
【0054】
摺動接点83の一端83aは、ハウジング81の内孔81aに沿って敷設された電極片90に摺接するようになっている。電極片90は、摺動接点83の他端83bの導通、非導通状態を検知し得るものであり、この接地状態によりアクセルコントローラが閉じ側にアクセルシャフトを駆動制御する。摺動接点84の一端84aは、ハウジング81の内孔81aに沿って敷設された電極片91に摺接するようになっている。電極片91は、摺動接点84の他端84bの導通、非導通状態を検知し得るものであり、この接地状態によりアクセルコントローラが開け側にアクセルシャフトを駆動制御する。摺動接点83,84の他端83b,84bはそれぞれアクセルフォーク42の内孔42aに摺接するようになっている。この内孔42aにはその途中で分割されている絶縁体92が装着されており、摺動接点83の他端83bと絶縁体92の間には図示のようにバルブリフト量低減側あそびS1が設定される。また、摺動接点84の他端84bと絶縁体92の間にバルブリフト量増加側あそびS2が設定される。なお、絶縁体92の両外側にはオイルシール93が装着される。
【0055】
ここで、図9は本発明の実施形態に係るシステム構成例を示している。このシステムでは接点83b,84b(ポジションスイッチ)によりカム13の位置を検出し、その検出信号が制御装置に入力される。制御装置はその入力信号に基きアクセルモータ45を駆動して、カム13を正規位置にスライドさせることができるようになっている。なお、図9において、TPSはスロットル・ポジションセンサ、WPSはウォータ・テンパラチャセンサである。
【0056】
第2の実施形態によれば万一、フライバイワイヤによる制御に異常が生じても、最低限のアクセルコントロールを可能にすることができる。すなわち、アクセル指示による正規のバルブリフト量となるカムスライド量よりも、実際のカムスライド量がバルブリフト量低減側あそびS1をオーバーすると、摺動接点83の他端83bが絶縁体92部分から外れて閉じ側リミットスイッチが作動する。そして、フライバイワイヤによる制御とは別系統で、カムスライド量をリフト量低減側に制御する。
【0057】
たとえば、始動時において特に低温環境下では機械的ロスが大きく、しかも車載バッテリの容量不足による電圧低下時にセルモータやフェーエルポンプ等を動時作動すると、アクセルコントローラが始動時のバルブリフト量増加を指示した後に、コントローラの制御不能レベルまで一瞬電圧が低下することがある。この場合アクセルモータが作動してコントロール値以上にカムがスライドしてしまう。そのままではエンジン始動は困難であるが、カムを正規位置まで復帰制御するために時間がかかり、その分排ガスが悪化するばかりか、始動し難くなる。このような異常時に上述のようにカムスライド量をリフト量低減側に制御することで、最低限のアクセルコントロールが可能になる。
【0058】
また、たとえば運転時において電気回路の断線あるいはショート等が発生した場合、フライバイワイヤ側のコントローラでは安全側(バルブリフト量小側)に制御することができるが、アクセルコントロールを行なって走行するのは不可能である。このような場合でも本システムによれば、多少バルブリフト量(出力)が変動するが、最低限の運転コントロールが可能になり、危険を回避することができる。
【0059】
このように異常発生時にカム13の制御不良を最小限に抑え、必要最低限の制御性を確保することができる。この場合、カム位置検出ユニット80(特に接点83b,84b)をカム13のスライド方向と平行に設定することで、カム13のどのスライド位置でも接点83b,84bの移動量を同一にすることができる。このため接点83b,84bの作動範囲をカム13の実寸と同じにでき、設定や管理が極めて容易になる。また、カムシャフト11とアクセルシャフト41の間にコンパクトに構成することができ、これらのシャフト類と平行に配置されるため加工、設置が簡単で済む。
【0060】
以上、本発明を種々の実施形態とともに説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
本発明装置は、複数の主要ユニット(カム/カムシャフトユニット10、タペットユニット20、バルブユニット30、アクセルシャフトユニット40およびバルブ休止ユニット50)を含んでおり、各実施形態ではそれらの典型的な組合せの例で説明した。これらの実施形態の場合の他、各主要ユニットは適宜その組合せ変更が可能であり、いずれの場合も上記実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0061】
また、各実施形態において、2気筒エンジンの場合の例を説明したが、本発明は1気筒または3気筒以上のエンジンに対しても有効に適用可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、この種のエンジンにおいてアクセル開度に応じてバルブリフト量、作動角およびリフトタイミングを無段階可変制御する。この場合、気筒あたり4つの吸排気バルブを備え、バルブ休止機構を持つものにおいて、低中速時におけるスワールあるいはタンブルを生成することで燃焼効率を有効に高め、燃費や出力を大幅に向上することができる。かかるバルブ休止機構をバルブ休止解除機構によって的確に制御することで、適正かつ円滑なバルブ駆動制御を保証する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用例に係る自動二輪車を示す図である。
【図2】本発明の動弁装置の要部側断面図である。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】本発明の動弁装置に係るカムシャフトの回転駆動系を示す図である。
【図5】本発明の実施形態におけるタペットガイド部および図3のB−B線に沿う断面図である。
【図6】本発明の動弁装置における特徴部分を示す要部断面図である。
【図7】図6のC−C線に沿う断面図およびレリーズアーム先端部まわりの構成図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における要部拡大断面図および(a)のD−D線に沿う断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるシステム構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 ピストン、2 シリンダヘッド、3 ドライブスプロケット、4 チェーン、5 チェーンガイド、6 チェーンテンショナ、7 テンショナアジャスタ、10 カム/カムシャフトユニット、11 カムシャフト、12 ベアリング、13 カム、15 スプロケット、20 タペットユニット、21 タペットローラ、22 ピン、23 スライダ、24 ニードルベアリング、25 タペットホルダ、26 ピン、27 ニードルベアリング、28 天秤状腕部、30 バルブユニット、31 吸気バルブ、32 バルブガイド、33 タペットシム、34 タペットリテーナ、35 スプリングシート、36 バルブスプリング、40 アクセルシャフトユニット、41 アクセルシャフト、42 アクセルフォーク、43 ドリブンギヤ、44 ボールベアリング、45 アクセルモータ、46 ドライブギヤ、50 バルブ休止ユニット、51 タペットストッパ、52 フォークガイド、53 リターンスプリング、54 駆動装置、55 駆動シャフト、56 フォーク、60 位相センサユニット、61 ピン、62位相センサ、70 バルブ休止解除機構、71 レリーズアーム、72 駆動部、73 リンク部材、74 シャフト、75 スプリング、76 ローラ、80 カム位置検出ユニット、81 ハウジング、82 制御シャフト、83,84 摺動接点、86 アクセルケーブル、89 リターンスプリング、90,91 電極片、92 絶縁体、100 自動二輪車、101 車体フレーム、102 ステアリングヘッドパイプ、103 フロントフォーク、104 ハンドルバー、106 前輪、108 ブレーキディスク、109 スイングアーム、110 リヤショックアブソーバ、111 後輪、112 チェーン、113 ドリブンスプロケット、114 エアクリーナ、115 吸気管、116 排気管、117 燃料タンク、118 シート、119 シートカウル、120 ヘッドランプ、121 メータユニット、125 ラジエータ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車あるいは自動車などにおける内燃機関において、アクセル開度に応じてバルブのリフト量および作用角を無段に可変制御する動弁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の内燃機関において、以前より燃焼効率の向上を図るべく、種々の工夫あるいは提案等がなされてきている。バルブの開閉タイミングをずらして行なう可変位相方式に始まり、カム切換によるバルブリフトの可変制御やバルブ休止等が採用されてきた。なお、このカム切換方式は、低速用と高速用の2つのカムを用意し、エンジン出力に応じて作用角の小さいものから大きなものに切り換えるというものである。
【0003】
さらに最近では可変位相とカム切換の組合せが出始め、その後作用角およびリフト量を連続可変する3次元カムを使用する方式が提案されている。
たとえば、直打式円筒タペットの頂部に接触角変化に対する追従機構を設け、3次元カムを軸方向にスライドさせることにより、バルブリフト量を無段階に可変するものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の動弁装置において気筒あたり4つの吸排気バルブを備え、特に低中速時におけるスワールあるいはタンブルを生成すべくバルブ休止機構を持つものが知られている。このようなバルブ休止機構を持つものでは動弁装置の制御の加えて、その機構自体の駆動制御が必要になる。装置全体としてバルブを適正かつ円滑に制御するのは必ずしも容易でない。
また、装置の異常発生時、それに伴う損害を最少に留めて装置制御性を保全することは、安全動さを確保する上で極めて重要である。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑み、バルブを適正かつ円滑に制御し、優れた制御特性を保証する動弁装置およびこれを備えた内燃機関を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の動弁装置は、カム高さおよびカム作用角が連続的に変化するように形成され、カムシャフトと一体回転するとともにその軸方向に相対移動可能に構成されたカムと、前記カムのカム面に押圧されてバルブを進退させるバルブリフタとを備え、前記カムが前記カムシャフトの軸方向にスライドすることによりバルブリフト量およびバルブ作動角を連続無段に可変制御する動弁装置であって、前記バルブリフタの腕部は前記カムシャフトの軸方向に配設されるとともに、揺動軸により揺動可能に支持され、前記腕部の一端側の動きを規制するバルブ休止機構を備え、前記カムをスライド駆動するアクセル機構に機械的に連動して、前記バルブ休止機構による前記バルブリフタの腕部に対する規制を解除するようにしたバルブ休止解除機構を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の動弁装置において、前記バルブ休止解除機構は、前記バルブ休止機構のバルブ休止動作を解除するように作動するレリーズ部材と、前記アクセル機構のアクセルシャフトに設けた駆動部と、前記レリーズ部材と結合し前記駆動部によって駆動されるリンク部材とを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の動弁装置において、前記カムが前記カムシャフトの軸方向に沿って高回転域側へスライドすることで、前記レリーズ部材が前記バルブ休止機構のバルブ休止動作を解除するように作動することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の動弁装置は、カム高さおよびカム作用角が連続的に変化するように形成され、カムシャフトと一体回転するとともにその軸方向に相対移動可能に構成されたカムと、前記カムのカム面に押圧されてバルブを進退させるバルブリフタとを備え、前記カムが前記カムシャフトの軸方向にスライドすることによりバルブリフト量およびバルブ作動角を連続無段に可変制御する動弁装置であって、前記カムをスライド駆動するアクセル機構と、前記カムの前記カムシャフトの軸方向位置を検出するカム位置検出手段とを備え、前記カムが前記カムシャフトの軸方向に沿った所定範囲位置に位置するように、前記カム位置検出手段の検出信号により前記アクセル機構を制御することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の動弁装置において、前記カム位置検出手段は、シリンダヘッドと前記アクセル機構のフォーク部材との間に前記カムのスライド方向と平行に配設されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の内燃機関は、吸気バルブおよび排気バルブにより吸排気を制御するようにした内燃機関であって、吸気側または排気側に上記いずれかの動弁装置を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、この種のエンジンにおいてアクセル開度に応じてバルブリフト量および作用角を無段階可変制御する。この場合、気筒あたり4つの吸排気バルブを備え、バルブ休止機構を持つものにおいて、低中速時におけるスワールあるいはタンブルを生成することで燃焼効率を有効に高め、燃費や出力を大幅に向上することができる。かかるバルブ休止機構をバルブ休止解除機構によって的確に制御することで、適正かつ円滑なバルブ駆動制御を保証する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明による好適な実施の形態を説明する。
(第1の実施形態)
本発明による動弁装置は、自動二輪車あるいは四輪自動車に搭載される各種のガソリンエンジンに対して有効に適用可能であり、この実施形態ではたとえば図1に示すように自動二輪車のエンジンを例とする。
【0014】
ここで先ず、本実施形態に係る自動二輪車100の全体構成を説明する。図1において、鋼製あるいはアルミニウム合金材でなる車体フレーム101の前部には、ステアリングヘッドパイプ102によって左右に回動可能に支持された2本のフロントフォーク103が設けられる。フロントフォーク103の上端にはハンドルバー104が固定され、ハンドルバー104の両端にグリップ105を有する。フロントフォーク103の下部には前輪106が回転可能に支持されるとともに、前輪106の上部を覆うようにフロントフェンダ107が固定される。前輪106は、前輪106と一体回転するブレーキディスク108を有している。
【0015】
車体フレーム101の後部には、スイングアーム109が揺動可能に設けられるとともに、車体フレーム101とスイングアーム109の間にリヤショックアブソーバ110が装架される。スイングアーム109の後端には後輪111が回転可能に支持され、後輪111はチェーン112が巻回されたドリブンスプロケット113を介して、回転駆動されるようになっている。
【0016】
車体フレーム101に搭載されたエンジンユニット1(実線部)には、エアクリーナ114に結合する吸気管115から混合気が供給されるとともに、燃焼後の排気ガスが排気管116を通って排気される。エアクリーナ114は容量確保のためにエンジンユニット1の後方、かつ燃料タンク117およびシート118の下方にある大きなスペース内に設置される。そのため吸気管115はエンジンユニット1の後部側に結合させ、排気管116はエンジンユニット1の前部側に結合される。また、エンジンユニット1の上方には、燃料タンク117が搭載され、燃料タンク117の後方にシート118およびシートカウル119が連設される。
【0017】
ここで、エンジンユニット1のシリンダヘッド2乃至シリンダヘッドカバー2aの所定部位には、後述するアクセルモータ29が装着される。アクセルモータ29はたとえば図示例のように、シリンダヘッドカバー2aの側部に突設される。その場合、燃料タンク117の下部に設けた凹部内にアクセルモータ29部分が配設されるようになっており、燃料タンク117とシリンダヘッドカバー2aは相互に干渉しないように配置される。
【0018】
さらに図1において、120はヘッドランプ、121はスピードメータ、タコメータあるいは各種インジケータランプ等を含むメータユニット、122はステー123を介してハンドルバー104に支持されるバックミラーである。また、車体フレーム101の下部にはメインスタンド124が揺動自在に取付けられ、後輪111を接地させたり地面から浮かせたりできる。車体フレーム101は、前部に設けたヘッドパイプ102から後斜め下方へ向けて延設され、エンジンユニット1の下方を包むように湾曲した後、スイングアーム109の軸支部であるピボット109aを形成してタンクレール101aおよびシートレール101bに連結している。
【0019】
この車体フレーム101には、フロントフェンダ107との干渉を避けるべく車体フレームと平行にラジエータ125が設けられるとともに、このラジエータ125から車体フレーム101に沿って冷却水ホース126が配設され、排気管116と干渉することなくエンジンユニット1に連通している。
【0020】
つぎに、図2は本発明装置の要部側断面図、図3は図2のA−A線に沿う断面図である。この実施形態ではエンジンユニット1として、並列2気筒エンジンであって、各気筒ごとに吸気側(IN)および排気側(EX)にそれぞれ2つのバルブ(つまり4バルブ)を有している。シリンダ内で上下に往復動するピストンの上部にシリンダヘッド2が配置され、このシリンダヘッド2内に動弁装置が収容される。
【0021】
動弁装置は、気筒の列設方向に沿って配置されるカム/カムシャフトユニット10と、カム/カムシャフトユニット10の下側に配置されるタペットユニット20と、この例では吸気制御するバルブユニット30と、アクセル開度に応じてカムを変位させるアクセルシャフトユニット40と、必要に応じてバルブを休止させるバルブ休止ユニット50とを含んでいる。なお、バルブユニット30については、排気側も同様の構成であってよい。
【0022】
カム/カムシャフトユニット10において、カムシャフト11は、ベアリング12(図3)を介してシリンダヘッド2に回転自在に支持される。カムシャフト11にはその軸方向に後述するカム13がスライド可能に装着されるが、この例ではカムシャフト11はたとえば3条のボールスプライン11aを有し、そのガイドによってボール14を介して直線運動(リニアモーション)するようになっている。なお、カムシャフト11は中空構造とし、その中空内部に潤滑油路を形成してカム13等に注油することができる。
【0023】
カムシャフト11の一端にはスプロケット15が固着している。排気側のカムシャフト11Exの一端にもスプロケット15Exが固着しており、これらのスプロケット15,15Exとクランクシャフト(図示せず)の一端に固着するドライブスプロケット3との間には、図4に示すようにカムチェーン4が巻回装架される。なお、図4に示されるようにチェーンガイド5、チェーンテンショナ6およびテンショナアジャスタ7等を含み、これらによりカムチェーン4が適正走行するようになっている。
【0024】
ここで、カム13は「3次元カム」として構成され、各気筒に1つずつ設けられる。図3に示されるように長手方向(カムシャフト11の軸方向)に緩やかに傾斜するカム部が延設され、バルブリフト量を連続的に変化させる形状に成形されている。この場合、カム高さと同時にカム作用角およびリフトタイミングも変化し、すなわちバルブリフト量が大きくなるのに従ってカム作用角も大きくなり、さらにはバルブのリフトタイミングも変化させ得るように設定されている。
【0025】
タペットユニット20において、カム13に接触するようにピン22に支持されたタペットローラ21を有する。ピン22はカムシャフト11とは平行に、後述するスライダ23に固定されており、ニードルベアリング24を介してタペットローラ21を回転自在に支持する。なお、タペットローラ21はピン22の軸方向にはスライドしないように、スライダ23の内側に配置される。スライダ23は矩形の断面形状を持ち、タペットホルダ25に形成されたガイド孔25bにスライド可能に嵌合する(図5(a)、摺動ガイド:斜線部参照)。ガイド孔25bはバルブステムの軸方向に沿って形成されており、これによりタペットローラ21は、スライダ23を介してタペットホルダ25内部に収容されるかたちで浮動保持され、バルブステムの軸方向にのみ移動可能となる。
【0026】
スライダ23の下部にはピン22と直交してピン26が軸支され、このピン26にニードルベアリング27を介して天秤状腕部28(スイングアーム)が揺動可能に保持される。天秤状腕部28の両端には、タペットシム33と当接する押圧部28aが設けられるとともに、その外側面にタペットストッパ51との係合部として構成された嵌合凹部28bを有する。
【0027】
この例では天秤状腕部28の揺動支点であるピン26は、タペットローラ21の中心(ピン22)に対して下方にオフセットして配置される。このようにオフセットすることにより、天秤状腕部28は図3に示されるように下方に凸に湾曲した形態となっている。天秤状腕部28はタペットストッパ51によって規制されていないときには、カムシャフト11と平行を保ったまま上下動する。また、タペットストッパ51によって規制されているときには、嵌合凹部28bを支点として揺動可能となる。
【0028】
なお、本実施形態では排気側については、図2に示されるように平板状のカム13Ex(平面カム)とこれに当接する接触平面を持つ円板状のタペット21Exを有する。
【0029】
バルブユニット30において、それぞれのバルブステム31aがバルブガイド32によってガイドされる2つの吸気バルブ31を含んでいる。また、各バルブステム31aの端部には、天秤状腕部28の押圧部28aと当接するタペットシム33を有し、バルブリテーナ34とスプリングシート35の間にバルブスプリング36が装着される。
【0030】
アクセルシャフトユニット40において、カムシャフト11と平行に配置されたアクセルシャフト41と、アクセルシャフト41に固着するとともにカム13に連結するアクセルフォーク42を含んでいる。アクセルシャフト41はその軸方向にスライド可能にシリンダヘッド2によって支持され、一端側でネジリスプライン41a(図示省略)を介してドリブンギヤ43(ホイール)と係合している。ドリブンギヤ43は複列ボールベアリング44によって回転自在に支持され、アクセルモータ45の出力軸に固着したドライブギヤ46(ウォーム)と噛合する。
【0031】
アクセルモータ45は、アクセル変化(アクセル開度や加速・減速方向など)に対応してその出力軸が回転し、その回転はドライブギヤ46およびドリブンギヤ43を介して、アクセルシャフト41のスライド運動に変換される。この例ではアクセルモータ45はシリンダ軸線方向に沿って配置され、シリンダヘッドカバー2aによって覆われている。
【0032】
なお、たとえば自動二輪車の場合にあっては、アクセルグリップの回転操作量をアクセルモータ45の出力軸の回転量に対応させるようにしてもよい。また、アクセルモータ45を駆動する際、そのときの走行状況(出力)に合うようにコントローラ(図示せず)によって駆動制御されるようになっている。
【0033】
アクセルフォーク42は、ベアリング47を介してカム13の端部に回転自在に装着されたフォークガイド48と係合する。これによりアクセルシャフト41がその軸方向にスライドするのに連動もしくは同期して、カム13がカムシャフト11に沿ってスライドする。
【0034】
バルブ休止ユニット50において、2つの吸気バルブ31の一方を休止させるように構成されたタペットストッパ51を有する。タペットストッパ51は、シリンダヘッド2に形成されたガイド孔2bに内挿され、カムシャフト11と平行にスライド可能である。タペットストッパ51の一端には天秤状腕部28の嵌合凹部28bに係合可能な球状のストッパ部51aを有し、また他端には後述するフォークが係合するフォークガイド52が取り付けられている。ガイド孔2bには、ストッパ部51aを天秤状腕部28の嵌合凹部28b側へ付勢するリターンスプリング53が装着されている。
【0035】
駆動装置54は、カムシャフト11と平行に配置され、タペットストッパ51を駆動(後退駆動)するための駆動シャフト55を進退させる。駆動シャフト55にはフォーク56が結合しており、このフォーク56はタペットストッパ51のフォークガイド52と係合する。2つのタペットストッパ51は、駆動シャフト55によって相互に連結されており、同期作動するようになっている。
【0036】
ここで、カムシャフト11の他端には位相センサユニット60が設けられている。位相センサユニット60は、カムシャフト11の他端に植設されたピン61とこのピン61を検出して出力信号を得る位相センサ62を含んでいる。
【0037】
この実施形態において特に、カム13をスライド駆動するアクセル機構(アクセルシャフトユニット40)に機械的に連動して、バルブ休止機構(バルブ休止ユニット50)によるバルブリフタの天秤状腕部28に対する規制を解除するようにしたバルブ休止解除機構を有する。
【0038】
図6および図7は、バルブ休止解除機構の構成例を示している。図において、バルブ休止解除機構70は、バルブ休止ユニット50のバルブ休止動作を解除するように作動するレリーズ部材としてのレリーズアーム71と、アクセルシャフトユニット40のアクセルシャフト41に設けた駆動部72と、レリーズアーム71と結合し駆動部72によって駆動されるリンク部材73とを含む。
【0039】
レリーズアーム71およびリンク部材73は一体に形成され、シリンダヘッド2の適所に植設されたシャフト74のまわりに回動可能に支持される。レリーズアーム71の先端部は図7(a)に示されるように、天秤状腕部28とタペットストッパ51の間に介挿されるように配置される。この場合、レリーズアーム71の先端部に設けたU字状溝71aは、タペットストッパ51の球状ストッパ部51aの球径よりも大きく形成される。これによりタペットストッパ51がバルブ休止解除側へはつねにスライド可能となるようにした。
【0040】
また、リンク部材73の一端とシリンダヘッド2の間にスプリング75が張架され、該リンク部材73をアクセルシャフト41側へ付勢している。リンク部材73の一端にはアクセルシャフト41に対する当接部73aが立ち上がっており、該当接部73aに装着したローラ76がアクセルシャフト41(駆動部72)に当接するようになっている。なお、駆動部72はランプ部72aがテーパ状に形成されるとともに、アクセルシャフト41の軸方向に沿った全長に亘り同径である。
【0041】
上記の場合、カム13がカムシャフト11の軸方向に沿って高回転域側へスライドすることで、レリーズアーム71がバルブ休止機構のバルブ休止動作を解除するように作動する。
【0042】
上記構成において、アクセルグリップ(もしくはアクセルペダル)を操作するとアクセルモータ45が作動し、その出力軸の回転によりアクセルシャフト41がスライドする。たとえば、エンジン低速時には図3に示されるようにタペット21はカム13に対して、カム高さの低い部位に当接している。この状態で加速、すなわちアクセルを開くと、アクセルモータ45の作動によりドリブンギヤ43が回転して、アクセルシャフト41は図中、右方にスライドする。
【0043】
カム13はアクセルフォーク42を介して、アクセルシャフト41の動きに連動してカムシャフト13に沿って、同様に図中、右方にスライドする。なお、このときカム13のスライド量や速度は、アクセルの開度および開く速さに対応している。カム13のスライドによりタペット21は次第に、カム高さの高い部位に当接し、これによりバルブリフト量が増大する。一方、減速時にはアクセルを戻すことで、上記とは逆の動作でバルブリフト量を減少させる。
【0044】
ここで、上述した本発明の動弁装置あるいは内燃機関において特に、バルブ休止ユニット50はタペットストッパ51によって一方の吸気バルブ31を休止させることができる。このバルブ休止によりエンジンの低中速回転域において燃焼室内に吸気スワール流あるいはタンブル流を生成し、いわゆるリーンバーン化を可能にする。この場合、燃料の注入速度を速くすることで出力アップを図ることができる。バルブ休止ユニット50によるバルブ休止はエンジンの低中速回転域において効果的であり、中速乃至高回転域付近では駆動装置54によってタペットストッパ51を後退させることでバルブ休止を解除するようになっている。
【0045】
一方、エンジン回転数を上げるべくアクセルモータ45を駆動して、アクセルシャフト41をスライドさせると、図7のように駆動部72がリンク部材73のローラ76に当接する。これによりレリーズアーム71がシャフト74のまわりに回動し、タペットストッパ51を天秤状腕部28から後退させる。このように所定のバルブ開度になると、アクセルシャフトユニット40に機械的に連動するレリーズアーム71によってバルブ休止を解除することができる。
【0046】
したがって、たとえばバルブ休止ユニット50の駆動装置54によるバルブ休止解除が遅れた場合でも、アクセルシャフト41のスライドにより強制的にバルブ休止を解除することができる。このためタペットローラ22、吸気バルブ31あるいはエンジンのピストン等の破損を防ぎ、つねに安全かつ円滑な作動が確保される。また、上述のようにバルブ休止解除機構70において、バルブ休止を解除するに際してアクセルシャフト41自体の動作は停止しない。このためタペットストッパ51によるバルブ休止を解除した場合でもエンジン回転数(出力)の増加が一時的に止まることはなく、スムースな運転を保証することができる。
【0047】
上記の場合、駆動部72は同径に形成されているため、レリーズアーム71を介してバルブ休止解除状態に保持することができる。したがって、万一バルブ休止ユニット50の駆動装置54の保持機能が低下した場合でも、不用意にバルブ休止されることがないので安全動作を保証することができる。
【0048】
このようにバルブ休止解除機構70はアクセルシャフト41まわりに配設され、占有スペースが小さく、エンジン全体のコンパクト化や軽量化に効果的である。また、構造が簡素であるため作動の確実性が向上する。さらにカム13が高回転域側へスライドすることで、バルブ休止動作を解除するように作動するため、人為的スロットル操作に従ってエンジン回転はスムースに上昇し、運転感覚(ドライバビリティ、操作感等)が向上する。
【0049】
(第2の実施形態)
つぎに、本発明による第2の実施形態を説明する。なお、上述の第1の実施形態と同一または対応する部材には同一符号を用いて、図面を参照して説明する。図8は本実施形態に係る要部拡大断面図である。この実施形態における基本構成は実質的に第1の実施形態と同様であり、その説明を省略するものとする。
【0050】
ところで、この種の3次元カムを用いる動弁装置において、カムをスライド駆動するための負荷は比較的大きい。そのためアクセル操作でカムを直接駆動することが困難になることから通常、モータや油圧等をスライド駆動源としたフライバイワイヤ方式が採用される。その場合、たとえば断線やショートその他の異常が発生したときカムをバルブリフト量低側に制御し、エンジン停止させる。車両はその場で走行不能となるため、このような場合スタータモータにより脱出せざるを得ない。
【0051】
第2の実施形態において、カム13のカムシャフト11の軸方向位置を検出するカム位置検出手段とを備える。そして、カム13がカムシャフト11の軸方向に沿った所定範囲位置に位置するように、カム位置検出手段の検出信号によりアクセル機構を制御するものである。
【0052】
図8に示されるようにカム位置検出手段としてのカム位置検出ユニット80を備える。このカム位置検出ユニット80は、シリンダヘッド2とアクセルシャフトユニット40のアクセルフォーク42との間に、カム13のスライド方向と平行に配設される。この例ではシリンダヘッドカバー2aの適所に固定保持されたハウジング81と、ハウジング81内でスライド可能(カムシャフト11もしくはアクセルシャフト41方向)に挿入された制御シャフト82と、制御シャフト82内に埋設された摺動接点83,84とを含む。
【0053】
ハウジング81の一端にはキャップ85が被着し、該キャップ85からハウジング81内へアクセルケーブル86が挿通する。アクセルケーブル86の先端には所謂タイコ87が固着し、タイコ87は制御シャフト82の凹部88内に掛止される。制御シャフト82はリターンスプリング89によってアクセルフォーク42側へ付勢されるようになっている。
【0054】
摺動接点83の一端83aは、ハウジング81の内孔81aに沿って敷設された電極片90に摺接するようになっている。電極片90は、摺動接点83の他端83bの導通、非導通状態を検知し得るものであり、この接地状態によりアクセルコントローラが閉じ側にアクセルシャフトを駆動制御する。摺動接点84の一端84aは、ハウジング81の内孔81aに沿って敷設された電極片91に摺接するようになっている。電極片91は、摺動接点84の他端84bの導通、非導通状態を検知し得るものであり、この接地状態によりアクセルコントローラが開け側にアクセルシャフトを駆動制御する。摺動接点83,84の他端83b,84bはそれぞれアクセルフォーク42の内孔42aに摺接するようになっている。この内孔42aにはその途中で分割されている絶縁体92が装着されており、摺動接点83の他端83bと絶縁体92の間には図示のようにバルブリフト量低減側あそびS1が設定される。また、摺動接点84の他端84bと絶縁体92の間にバルブリフト量増加側あそびS2が設定される。なお、絶縁体92の両外側にはオイルシール93が装着される。
【0055】
ここで、図9は本発明の実施形態に係るシステム構成例を示している。このシステムでは接点83b,84b(ポジションスイッチ)によりカム13の位置を検出し、その検出信号が制御装置に入力される。制御装置はその入力信号に基きアクセルモータ45を駆動して、カム13を正規位置にスライドさせることができるようになっている。なお、図9において、TPSはスロットル・ポジションセンサ、WPSはウォータ・テンパラチャセンサである。
【0056】
第2の実施形態によれば万一、フライバイワイヤによる制御に異常が生じても、最低限のアクセルコントロールを可能にすることができる。すなわち、アクセル指示による正規のバルブリフト量となるカムスライド量よりも、実際のカムスライド量がバルブリフト量低減側あそびS1をオーバーすると、摺動接点83の他端83bが絶縁体92部分から外れて閉じ側リミットスイッチが作動する。そして、フライバイワイヤによる制御とは別系統で、カムスライド量をリフト量低減側に制御する。
【0057】
たとえば、始動時において特に低温環境下では機械的ロスが大きく、しかも車載バッテリの容量不足による電圧低下時にセルモータやフェーエルポンプ等を動時作動すると、アクセルコントローラが始動時のバルブリフト量増加を指示した後に、コントローラの制御不能レベルまで一瞬電圧が低下することがある。この場合アクセルモータが作動してコントロール値以上にカムがスライドしてしまう。そのままではエンジン始動は困難であるが、カムを正規位置まで復帰制御するために時間がかかり、その分排ガスが悪化するばかりか、始動し難くなる。このような異常時に上述のようにカムスライド量をリフト量低減側に制御することで、最低限のアクセルコントロールが可能になる。
【0058】
また、たとえば運転時において電気回路の断線あるいはショート等が発生した場合、フライバイワイヤ側のコントローラでは安全側(バルブリフト量小側)に制御することができるが、アクセルコントロールを行なって走行するのは不可能である。このような場合でも本システムによれば、多少バルブリフト量(出力)が変動するが、最低限の運転コントロールが可能になり、危険を回避することができる。
【0059】
このように異常発生時にカム13の制御不良を最小限に抑え、必要最低限の制御性を確保することができる。この場合、カム位置検出ユニット80(特に接点83b,84b)をカム13のスライド方向と平行に設定することで、カム13のどのスライド位置でも接点83b,84bの移動量を同一にすることができる。このため接点83b,84bの作動範囲をカム13の実寸と同じにでき、設定や管理が極めて容易になる。また、カムシャフト11とアクセルシャフト41の間にコンパクトに構成することができ、これらのシャフト類と平行に配置されるため加工、設置が簡単で済む。
【0060】
以上、本発明を種々の実施形態とともに説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
本発明装置は、複数の主要ユニット(カム/カムシャフトユニット10、タペットユニット20、バルブユニット30、アクセルシャフトユニット40およびバルブ休止ユニット50)を含んでおり、各実施形態ではそれらの典型的な組合せの例で説明した。これらの実施形態の場合の他、各主要ユニットは適宜その組合せ変更が可能であり、いずれの場合も上記実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0061】
また、各実施形態において、2気筒エンジンの場合の例を説明したが、本発明は1気筒または3気筒以上のエンジンに対しても有効に適用可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、この種のエンジンにおいてアクセル開度に応じてバルブリフト量、作動角およびリフトタイミングを無段階可変制御する。この場合、気筒あたり4つの吸排気バルブを備え、バルブ休止機構を持つものにおいて、低中速時におけるスワールあるいはタンブルを生成することで燃焼効率を有効に高め、燃費や出力を大幅に向上することができる。かかるバルブ休止機構をバルブ休止解除機構によって的確に制御することで、適正かつ円滑なバルブ駆動制御を保証する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用例に係る自動二輪車を示す図である。
【図2】本発明の動弁装置の要部側断面図である。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】本発明の動弁装置に係るカムシャフトの回転駆動系を示す図である。
【図5】本発明の実施形態におけるタペットガイド部および図3のB−B線に沿う断面図である。
【図6】本発明の動弁装置における特徴部分を示す要部断面図である。
【図7】図6のC−C線に沿う断面図およびレリーズアーム先端部まわりの構成図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における要部拡大断面図および(a)のD−D線に沿う断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるシステム構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 ピストン、2 シリンダヘッド、3 ドライブスプロケット、4 チェーン、5 チェーンガイド、6 チェーンテンショナ、7 テンショナアジャスタ、10 カム/カムシャフトユニット、11 カムシャフト、12 ベアリング、13 カム、15 スプロケット、20 タペットユニット、21 タペットローラ、22 ピン、23 スライダ、24 ニードルベアリング、25 タペットホルダ、26 ピン、27 ニードルベアリング、28 天秤状腕部、30 バルブユニット、31 吸気バルブ、32 バルブガイド、33 タペットシム、34 タペットリテーナ、35 スプリングシート、36 バルブスプリング、40 アクセルシャフトユニット、41 アクセルシャフト、42 アクセルフォーク、43 ドリブンギヤ、44 ボールベアリング、45 アクセルモータ、46 ドライブギヤ、50 バルブ休止ユニット、51 タペットストッパ、52 フォークガイド、53 リターンスプリング、54 駆動装置、55 駆動シャフト、56 フォーク、60 位相センサユニット、61 ピン、62位相センサ、70 バルブ休止解除機構、71 レリーズアーム、72 駆動部、73 リンク部材、74 シャフト、75 スプリング、76 ローラ、80 カム位置検出ユニット、81 ハウジング、82 制御シャフト、83,84 摺動接点、86 アクセルケーブル、89 リターンスプリング、90,91 電極片、92 絶縁体、100 自動二輪車、101 車体フレーム、102 ステアリングヘッドパイプ、103 フロントフォーク、104 ハンドルバー、106 前輪、108 ブレーキディスク、109 スイングアーム、110 リヤショックアブソーバ、111 後輪、112 チェーン、113 ドリブンスプロケット、114 エアクリーナ、115 吸気管、116 排気管、117 燃料タンク、118 シート、119 シートカウル、120 ヘッドランプ、121 メータユニット、125 ラジエータ。
Claims (6)
- カム高さおよびカム作用角が連続的に変化するように形成され、カムシャフトと一体回転するとともにその軸方向に相対移動可能に構成されたカムと、前記カムのカム面に押圧されてバルブを進退させるバルブリフタとを備え、前記カムが前記カムシャフトの軸方向にスライドすることによりバルブリフト量およびバルブ作動角を連続無段に可変制御する動弁装置であって、
前記バルブリフタの腕部は前記カムシャフトの軸方向に配設されるとともに、揺動軸により揺動可能に支持され、前記腕部の一端側の動きを規制するバルブ休止機構を備え、
前記カムをスライド駆動するアクセル機構に機械的に連動して、前記バルブ休止機構による前記バルブリフタの腕部に対する規制を解除するようにしたバルブ休止解除機構を有することを特徴とする動弁装置。 - 前記バルブ休止解除機構は、前記バルブ休止機構のバルブ休止動作を解除するように作動するレリーズ部材と、前記アクセル機構のアクセルシャフトに設けた駆動部と、前記レリーズ部材と結合し前記駆動部によって駆動されるリンク部材とを含むことを特徴とする請求項1に記載の動弁装置。
- 前記カムが前記カムシャフトの軸方向に沿って高回転域側へスライドすることで、前記レリーズ部材が前記バルブ休止機構のバルブ休止動作を解除するように作動することを特徴とする請求項2に記載の動弁装置。
- カム高さおよびカム作用角が連続的に変化するように形成され、カムシャフトと一体回転するとともにその軸方向に相対移動可能に構成されたカムと、前記カムのカム面に押圧されてバルブを進退させるバルブリフタとを備え、前記カムが前記カムシャフトの軸方向にスライドすることによりバルブリフト量およびバルブ作動角を連続無段に可変制御する動弁装置であって、
前記カムをスライド駆動するアクセル機構と、前記カムの前記カムシャフトの軸方向位置を検出するカム位置検出手段とを備え、
前記カムが前記カムシャフトの軸方向に沿った所定範囲位置に位置するように、前記カム位置検出手段の検出信号により前記アクセル機構を制御することを特徴とする動弁装置。 - 前記カム位置検出手段は、シリンダヘッドと前記アクセル機構のフォーク部材との間に前記カムのスライド方向と平行に配設されることを特徴とする請求項4に記載の動弁装置。
- 吸気バルブおよび排気バルブにより吸排気を制御するようにした内燃機関であって、
吸気側または排気側に請求項1〜5のいずれか1項に記載の動弁装置を備えたことを特徴とする内燃機関。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002239770A JP2004076676A (ja) | 2002-08-20 | 2002-08-20 | 動弁装置およびこれを備えた内燃機関 |
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JP2002239770A Pending JP2004076676A (ja) | 2002-08-20 | 2002-08-20 | 動弁装置およびこれを備えた内燃機関 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009250078A (ja) * | 2008-04-03 | 2009-10-29 | Ozak Seiko Co Ltd | 燃料噴射ポンプ装置 |
JP2013234576A (ja) * | 2012-05-07 | 2013-11-21 | Suzuki Motor Corp | 内燃機関のカム角センサの取付構造 |
-
2002
- 2002-08-20 JP JP2002239770A patent/JP2004076676A/ja active Pending
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