JP2004076501A - 基礎と壁体との接合構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コンクリート基礎10の基礎梁部11に配設されているアンカー鉄筋12の他端部12BをPCa壁板40の挿通孔41に挿通して定着させるようにしてコンクリート基礎10とPCa壁板40とを接合するようにした基礎と壁体との接合構造において、基礎梁部11に向けて拡がるテーパ孔として形成されているシース孔31を有するアジャスト部材30を基礎梁部11とPCa壁板40との間に設け、アンカー鉄筋12がこのシース孔31を貫通して挿通孔41に挿通されるようにし、これによりアンカー鉄筋12の立ち上がり位置の精度が悪くてもこの位置ずれをテーパ孔で吸収して台直しを不要とした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート基礎とコンクリート壁体との接合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば住宅等の建物において、コンクリート壁体としてプレキャストコンクリート板を用いる場合には、従来、コンクリート基礎構築時にその立上がり部にアンカー鉄筋を埋設しておき、アンカー鉄筋の突出部をプレキャストコンクリート壁板内の挿通孔内に挿入するようにしてコンクリート基礎の立上がり部上にプレキャストコンクリート壁板を配設した後、挿通孔内にグラウト材等を充填することにより基礎とプレキャストコンクリート壁板とを接合するようにした接合構造が広く採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の接合構造にあっては、コンクリート基礎の立上がり部を構築する際にコンクリートの打設圧などによりアンカー鉄筋の埋設位置がずれてしまう傾向を有しており、アンカー鉄筋の立ち上がり部をコンクリート基礎の所定の位置に精度よく埋設することが困難である。したがって、プレキャストコンクリート壁板内の挿通孔内にアンカー鉄筋を挿入してプレキャストコンクリート壁板をコンクリート基礎上に配設するときにプレキャストコンクリート壁板を所定の位置に設置することができない場合が生じる。このような場合には、アンカー鉄筋を曲折させて所定の位置に変更する台直しを行ってプレキャストコンクリート壁板を所要の位置に配設することが行われているが、このアンカー鉄筋の台直しに多大な手間がかかってしまう上に、アンカー鉄筋を曲折させることによりアンカー鉄筋の強度が劣化してしまうという問題点を有している。
【0004】
また、コンクリート基礎の立上がり部上に窓サッシ等が配設される場合には、この立上がり部上端部にサッシ用の欠込部を形成する必要があるので、立上がり部を構築するための施工が煩雑で手間がかかり、施工コストがかかってしまうという問題点を有している。
【0005】
さらに、立上がり部を現場で構築する際には、コンクリートの被り厚さを確保するため施工誤差を考慮して鉄筋がコンクリートを設計より若干厚く被るようにして施工が行われている。このためプレキャストコンクリート壁板と立上がり部との外側面に段差ができてしまい外観を損ねる上、プレキャストコンクリート壁板をタイル貼り仕上げにする場合には、段差のある立上がり部に外観上タイルを貼ることができず、この結果、コンクリート露出部分が多く威圧感のある仕上げになってしまうという問題点を有している。
【0006】
本発明の目的は、従来技術における上述の問題点を解決することができる基礎と壁体との接合構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の特徴は、コンクリート基礎の上にコンクリート壁板を用いた壁体を接合するため、前記コンクリート基礎に配設されているアンカー鉄筋の立ち上がり突出部を前記コンクリート壁板内に形成されている挿通孔に挿通して定着させ、前記コンクリート基礎と前記コンクリート壁板とを接合するようにした、基礎と壁体との接合構造であって、前記コンクリート基礎と前記コンクリート壁板との間に配設され、前記コンクリート壁板と共に前記壁体を構成する鉄筋コンクリート製のアジャスト部材を備え、該アジャスト部材内には前記挿通孔に対応して前記アンカー鉄筋を貫通させるため、内径寸法が前記アンカー鉄筋の立ち上がり位置の位置ずれを吸収できるようになっている中空孔が形成されており、前記アンカー鉄筋が前記中空孔及び前記挿通孔内において充填材によって定着されている点にある。
【0008】
アジャスト部材に形成されている中空孔は、アンカー鉄筋の立ち上がり位置の位置ずれを吸収できるようになっているので、アンカー鉄筋の立ち上がり位置が予定位置よりずれていても、これに拘らずコンクリート基礎上でアジャスト部材を予定位置に位置決めすることができる。この場合、中空孔を貫通するアンカー鉄筋を緩やかに曲げてコンクリート壁板内の挿通孔に挿通させることができる。この結果、アンカー鉄筋の埋設位置精度が低くても、アンカー鉄筋の台直しを特に必要とせず、コンクリート壁体をコンクリート基礎上の所要の位置にてコンクリート基礎と接合させることができる。接合後は、アジャスト部材とコンクリート壁板とが一体となってコンクリート壁体として機能する。
【0009】
なお、アジャスト部材とコンクリート基礎との間の接合をより強固にするため、さらに、コンクリート基礎に添えアンカー鉄筋を設けると共に、アジャスト部材内にこの添えアンカー鉄筋を貫通させるための別の中空孔を添えアンカー鉄筋の立ち上がり位置の位置ずれを吸収できるようになっている中空孔として設けておき、添えアンカー鉄筋を別の中空孔に通してここに定着させる構成を付加することもできる。なお、これらの中空孔は、対応するアンカー鉄筋の立ち上がり位置の位置ずれを吸収できるようにするため、内径寸法がコンクリート基礎に向かう方向に沿って拡大するテーパ孔となっている中空孔として形成することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例につき詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。図1は、本発明による接合構造を、住宅建物のコンクリート基礎10の上にPCa壁板40を用いてコンクリート壁体20を構築する場合に適用した例である。
【0012】
コンクリート基礎10は、地盤Gを掘削した根切り底G1上に厚肉のマット形式で鉄筋により補強されて構築されたマット基礎であり、コンクリート基礎10の周縁部には基礎梁としての強度を有するように所要の鉄筋(図示せず)が配設されて成る基礎梁部11が形成されている。本実施の形態では、コンクリート基礎10の周縁部にのみ基礎梁部11を形成した例を示したが、コンクリート基礎10全体が基礎梁の役目を有し基礎梁部を特定しない構造のコンクリート基礎の場合にも本発明を適用することができる。
【0013】
基礎梁部11には、コンクリート基礎10にコンクリート壁体20を接合するためのL字状のアンカー鉄筋12が埋設されており、アンカー鉄筋12の一端部12Aは基礎梁部11からコンクリート基礎10内で水平に延びて定着長さを有するよう埋設されており、アンカー鉄筋12の他端部12Bは基礎梁部11の上から鉛直方向に突出するように設けられている。さらに、基礎梁部11内に埋設されたアンカー鉄筋12近傍には、コンクリート壁体20をコンクリート基礎10にさらに堅固に固定するため棒状の添えアンカー鉄筋13が埋設されている。添えアンカー鉄筋13の一端部13Aは基礎梁部11内に所要の定着長さを有するよう埋設されており、添えアンカー鉄筋13の他端部13Bは基礎梁部11の上から鉛直方向に突出して設けられている。
【0014】
なお、アンカー鉄筋12及び添えアンカー鉄筋13は、コンクリート基礎10を構築する前に施された図示しない捨てコン上に墨出しし、アンカー鉄筋12及び添えアンカー鉄筋13が配設される位置にそれぞれガイドプレートを設置し、コンクリート基礎10を構築するための型枠上に目盛りが付されたライトゲージを渡してアンカー鉄筋12及び添えアンカー鉄筋13を所要の位置に仮止めした後、コンクリートを打設してコンクリート基礎10を構築することによりコンクリート基礎10の基礎梁部11内に埋設されている。
【0015】
コンクリート基礎10の基礎梁部11上にはコンクリート壁体20が構築されており、コンクリート壁体20はアンカー鉄筋12及び添えアンカー鉄筋13を用いることによりコンクリート基礎10と接合されている。コンクリート壁体20はPCa壁板40とアジャスト部材30とから成っており、アジャスト部材30はPCa壁板40とコンクリート基礎10との間に配設されている。
【0016】
図2には、アジャスト部材30の外観図が示されている。図1及び図2を参照して説明すると、アジャスト部材30はPCa壁板40の板厚よりも大きい厚さ寸法を有し、その高さ寸法は厚さ寸法よりも若干大きく、PCa壁板40と略同一の幅寸法を有する鉄筋コンクリートブロックの形態の部材であり、PCa壁板40の荷重を支持することができる強度を有している。なお、アジャスト部材30の寸法形状は上述した一例に限定されるものではなく、適宜の寸法形状とすることができる。アジャスト部材30内には、鉄筋コンクリート造の梁と同様に、長手方向に配筋されている上端筋と下端筋とにスパイラル筋又はスターラップが巻き付けられて設けられている。アジャスト部材30の配筋はPCa壁板40の配筋と同様にすることもできる。
【0017】
アジャスト部材30内には、PCa壁板40に形成されている挿通孔41に対応してアンカー鉄筋12を貫通させるためのシース孔31が形成されている。シース孔31はアンカー鉄筋12の進入口の内径が拡大されたテーパ孔となっており、PCa壁板40がアジャスト部材30上に位置決めして設置された状態において、シース孔31は挿通孔41に整列しており、アンカー鉄筋12はシース孔31を貫通して挿通孔41内に挿通されている。
【0018】
シース孔31の近傍には、添えアンカー鉄筋13を貫通させるための別のシース孔32が、シース孔31と同様のテーパ孔の形態にて形成されている。
【0019】
図2から判るように、本実施の形態では、アジャスト部材30には、シース孔31は4つ形成されておりシース孔32は2つ形成されているが、シース孔31、32の数及び位置は一例であり、本発明をこれに限定する趣旨ではない。なお、コンクリート基礎10とアジャスト部材30との間には敷きモルタル51が施されている。このように敷きモルタル51を施すことによりアジャスト部材30の位置、高さ精度をより確保することができる。
【0020】
アジャスト部材30に設けられているシース孔31はテーパ孔の形態に形成されているため、アンカー鉄筋12の立ち上がり部12Cの位置が基礎梁部11上で所定の立ち上がり位置からずれてしまっている場合であっても、アンカー鉄筋12をシース孔31に貫通させた状態で、アジャスト部材30を基礎梁部11上の所定の位置に設置することができる。この場合、アンカー鉄筋12の立ち上がり露出部はシース孔31内で緩やかに曲げられるようにして、シース孔31の出口側から突出させ、PCa壁板40の挿通孔41に挿通させることができる。したがって、アンカー鉄筋12の埋設施工精度が低くても、アンカー鉄筋12の台直しを行うことなくアジャスト部材30及びPCa壁板40を基礎梁部11上の所定の位置に構築することができる。
【0021】
シース孔32もテーパ孔の形態に形成されているため、添えアンカー鉄筋13の立ち上がり部13Cの位置が基礎梁部11上で所定の立ち上がり位置からずれてしまっている場合であっても、添えアンカー鉄筋13の台直しを行うことなしに、アジャスト部材30を所定の位置に設置した状態で添えアンカー鉄筋13をシース孔32に挿通させることができる。なお、これらのシース孔31、32はそれぞれアンカー鉄筋12及び添えアンカー鉄筋13を貫通させることができればどのような形態の中空孔であってもよく、例えばシース管を用いない単なる貫通孔の形態であってもよい。アンカー鉄筋12及び添えアンカー鉄筋13を貫通させるための中空孔の形状は、必ずしもテーパ孔の形態である必要はなく、例えば基礎側が太径の段付孔、アンカー鉄筋等の台直しを必要とさせないように貫通させる鉄筋の径よりも大きい径寸法であってテーパなしの貫通孔、その他の適宜の孔形状とすることができる。
【0022】
シース孔32の上端32Aには欠込部33が形成されており、添えアンカー鉄筋13の他端部13Bには金具を介してナットが締め付けられている。
【0023】
図3はシース孔32の上端部付近の拡大斜視図である。添えアンカー鉄筋13の他端部13Bの先端は欠込部33内に収められるように突出しており、他端部13Bには板状の座金14が挿通され、さらにナット15が螺着されて締め付けられることによって、アジャスト部材30はコンクリート基礎10の基礎梁部11上に仮固定されている。この結果、後工程でPCa壁板40をアジャスト部材30上に配設するときにアジャスト部材30は位置ずれを起こすことなしに安定してPCa壁板40を支持することができるようになっている。なお、本実施の形態では、アジャスト部材30をコンクリート基礎10にボルト固定する構成とされているが、アジャスト部材30をコンクリート基礎10に固定する手段はこれに限定されず、公知の適宜の手段とすることができる。
【0024】
座金14の平面形状は一方の組の対向する辺の長さがシース孔32の上端32Aの直径より大きく、他方の組みの対向する辺は上端32Aの直径より小さい長方形に形成されている。したがって、添えアンカー鉄筋13に挿通されている座金14はシース孔32の上端32A全てを覆うことなく欠込部33の底面33Aに押し付けられているため、後工程において上端32Aの座金14に覆われていない隙間からシース孔32内にグラウトモルタル等の充填材を流し込むことができる。
【0025】
PCa壁板40の挿通孔41と各シース孔31、32内にはグラウトモルタル52が充填されており、アンカー鉄筋12及び添えアンカー鉄筋13がグラウトモルタル52によりアジャスト部材30及びPCa壁板40に定着されている。このようにして、PCa壁板40はアジャスト部材30を介してコンクリート基礎10の基礎梁部11に堅固に接合されている。なお、PCa壁板40とアジャスト部材30との間にも敷きモルタル53が施されている。しかしながら、敷きモルタル53に代えて他の材料を施してもよいし、場合によっては省略することもできる。
【0026】
図1では、この住宅建物の躯体が構築された後に、コンクリート基礎10、アジャスト部材30、PCa壁板40それぞれの内側に断熱材201を貼り付け、壁仕上げ202、一階床部203が形成されている状態が示されている。
【0027】
コンクリート壁体20とコンクリート基礎10との接合構造を上述の如くすることにより、アンカー鉄筋12及び添えアンカー鉄筋13の各立ち上がり部12C、13Cの位置が予定位置からずれていても、台直しを行うことなくコンクリート壁体20を所定の位置に構築することができる。したがって、アンカー鉄筋12及び添えアンカー鉄筋13を折り曲げなくても済むので、アンカー鉄筋12、添えアンカー鉄筋13の強度が劣化する虞を低減することができる他、PCa壁板40からの力をコンクリート基礎10へスムーズに伝達することができ、建物全体へ悪影響を及ぼすのを防止することができる。また、アンカー鉄筋12及び添えアンカー鉄筋13の台直しを行う必要がないので、余計な手間がかからず施工コストの低減を図ることができる。
【0028】
また、コンクリート基礎10をマットスラブ形式とし、立ち上がり部の如きアジャスト部材30がプレキャスト化され後工程で取り付けられる構成としたので、コンクリート基礎10が単純な形状となり、コンクリート基礎10を構築するための型枠の組み立てや配筋等に煩雑を手間をかけずにコンクリート基礎10を容易に構築することができる。
【0029】
そしてコンクリート基礎10の上面はフラットな形状であるため、コンクリート基礎10の構築後にコンクリート基礎10上にクレーン等の揚重機を持ち込む場合、ステージ等を組むことなく揚重機を容易に乗り込ませることができるので、ステージにかかるコストを削減することができる上、安全性を確保することもできる。
【0030】
さらにコンクリート基礎10を構築する際に立ち上がり部を形成する必要がないのでコンクリートの二度打ちを行わずに済み、工期の短縮を図ることができる。そして、アジャスト部材30は工場で製作されるプレキャスト部材であるため、施工現場では所定の位置に設置するだけであるので施工品質を向上させることができる。
【0031】
また、コンクリート壁体20を構成しているPCa壁板40及びアジャスト部材30の両方をプレキャスト化したので、両者のコンクリート被り厚さを略同一とすることができる。この結果、PCa壁板40とアジャスト部材30とのそれぞれの外側面位置を一致させ、外側面の揃った段差のないコンクリート壁体20を構築することができる。したがって、PCa壁板40の外面上に例えばシャッターを取り付ける場合、そのシャッター枠はPCa壁板40下までかかって設けられるため従来では立ち上がり部に欠込部が形成されるが、本実施の形態によれば、図4に示すように、PCa壁板40とアジャスト部材30との外面は段差のない状態となっているため、欠込部を形成することなくシャッター枠204を容易に取り付けることができる。
【0032】
さらに、コンクリート壁体20をタイル仕上げとする場合、PCa壁板40とアジャスト部材30との外面が揃っているため、アジャスト部材30までタイルを貼り、コンクリート基礎10の一部だけ露出しているようにすることができるため、威圧感を殆ど与えることのない外観とすることができる。
【0033】
また、マット形式のコンクリート基礎10内に基礎梁部11が形成されているので、地盤Gの根切り量を削減することができると共に、平坦な根切り底G1とすることができるので、根切り作業を簡単に行うことができる。
【0034】
次に、図5を参照して本発明の他の実施の形態について説明する。図5に示したコンクリート壁体120は高さ調整欠込部134を有するアジャスト部材130とPCa壁板40とから成っている点において図1に示した場合と異なっている。したがって、図5の各部のうち図1の各部に対応する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0035】
欠込部133は、高さ調整欠込部134の高さ寸法分下方に形成されており、添えアンカー鉄筋113の他端部113Bの先端はシース孔132の上端132Aから突出して欠込部133内に収められている。添えアンカー鉄筋113の一端部113Aはコンクリート基礎10の基礎梁部11内で定着長さを有して埋設されている。そして高さ調整欠込部134の底面134A上に一階床部102が設けられている。
【0036】
図5に示した構成によれば、アジャスト部材130の高さ調整欠込部134の底面134A上に1階床部203が設けられているため、1種類のPCa壁板40を用いるだけでアジャスト部材130の高さ寸法の範囲内で1階の天井高さを変えることができる。したがって、所望の天井高さに合わせて複数種類のPCa壁板を製作する必要がなく、PCa壁板の製作コストを低減させることができる。また、天井高さに合わせて高さ寸法の大きいPCa壁板40を製作する必要がないので、PCa壁板40を工場から施工現場に輸送する場合に、道路交通法の高さ制限の輸送条件も問題とせずに済ませることができる。
【0037】
また、アジャスト部材30の上にサッシが取り付けらる場合には、予めサッシ用の欠込部を形成したアジャスト部材30を工場で製作するようにすることもできる。
【0038】
さらに、本実施の形態では、各シース孔31、32をテーパ孔の形態としたが、アンカー鉄筋12及び添えアンカー鉄筋13の各立ち上がり部12C、13Cの位置のずれを吸収することができる程度の直径寸法を有する円筒形状に形成してもよい。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、上述の如く、アンカー鉄筋の立ち上がり位置が予定の位置とずれていても、台直しを行うことなくコンクリート壁板を設置することができる。したがって、アンカー鉄筋の台直しを行う必要がないので、余計な手間がかからず施工コストの低減を図ることができる。また、アンカー鉄筋が折り曲げられるのを防ぐことができるので、アンカー鉄筋の強度が劣化する虞を低減することができる他、コンクリート壁板からの力をコンクリート基礎へスムーズに伝達することができ、建物全体へ悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0040】
さらに、アジャスト部材の上にサッシが取り付けらる場合には、予めサッシ用の欠込部を形成したアジャスト部材を工場で製作するようにすれば、施工現場でサッシ用の欠込部を形成する必要がないので、施工現場での作業量低減を図ることもできる。
【0041】
また、壁体を構成しているコンクリート壁板及びアジャスト部材の両方をプレキャスト化したので、両者のコンクリート被り厚さを略同一とすることができる。この結果、コンクリート壁板とアジャスト部材とのそれぞれの外側面位置を一致させ、外側面の揃った段差のない壁体を構築することができる。したがって、欠込部を形成することなくシャッター枠を容易に取り付けることができる。
【0042】
さらに、壁体をタイル仕上げとする場合、コンクリート壁板とアジャスト部材との外側面が揃っているため、アジャスト部材までタイルを貼りコンクリート基礎の一部だけ露出しているようにすることができるため、威圧感を殆ど与えることのない外観とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す断面図。
【図2】図1に示したアジャスト部材の外観図。
【図3】図1に示したシース孔の要部の拡大斜視図。
【図4】コンクリート壁体上にシャッターを取り付けた場合を説明するための断面図。
【図5】本発明の他の実施の形態を示す断面図。
【符号の説明】
10 コンクリート基礎
11 基礎梁部
12 アンカー鉄筋
12C、13C 立ち上がり部
13 添えアンカー鉄筋
20 コンクリート壁体
30 アジャスト部材
31、32 シース孔
40 PCa壁板
41 挿通孔
52 グラウトモルタル
Claims (3)
- コンクリート基礎の上にコンクリート壁板を用いた壁体を接合するため、前記コンクリート基礎に配設されているアンカー鉄筋の立ち上がり突出部を前記コンクリート壁板内に形成されている挿通孔に挿通して定着させ、前記コンクリート基礎と前記コンクリート壁板とを接合するようにした、基礎と壁体との接合構造であって、
前記コンクリート基礎と前記コンクリート壁板との間に配設され、前記コンクリート壁板と共に前記壁体を構成する鉄筋コンクリート製のアジャスト部材を備え、
該アジャスト部材内には前記挿通孔に対応して前記アンカー鉄筋を貫通させるため、内径寸法が前記アンカー鉄筋の立ち上がり位置の位置ずれを吸収できるようになっている中空孔が形成されており、
前記アンカー鉄筋が前記中空孔及び前記挿通孔内において充填材によって定着されていることを特徴とする基礎と壁体との接合構造。 - 前記中空孔が、内径寸法が前記コンクリート基礎に向かう方向に沿って拡大するテーパ孔となっている請求項1記載の基礎と壁体との接合構造。
- 前記アジャスト部材が、前記コンクリート基礎に設けられた添えアンカー鉄筋によって前記コンクリート基礎に固定されるようになっている請求項1又は2記載の基礎と壁体との接合構造。
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