JP2004075734A - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents
芳香族ポリカーボネートの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004075734A JP2004075734A JP2002234514A JP2002234514A JP2004075734A JP 2004075734 A JP2004075734 A JP 2004075734A JP 2002234514 A JP2002234514 A JP 2002234514A JP 2002234514 A JP2002234514 A JP 2002234514A JP 2004075734 A JP2004075734 A JP 2004075734A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aromatic polycarbonate
- granular material
- group
- polymerization
- temperature
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
Abstract
【解決手段】非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマー、結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマー、圧縮粒状物、プレヒーティング処理圧縮粒状物(圧縮粒状物にプレヒーティング処理を行ったもの)の順に製造し、最後に固相重合工程により重合し、芳香族ポリカーボネートを製造する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は芳香族ポリカーボネートの製造方法に関する。より詳細には非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマー、結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマー、圧縮粒状物、プレヒーティング圧縮粒状物、芳香族ポリカーボネートの順序で順に製造する芳香族ポリカーボネートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐熱性、機械物性に優れた材料として従来よりCD(コンパクトディスク)、光ディスク、レンズなどの光学用途やエンジニアリングプラスチックとして自動車分野、電気電子分野、各種容器等さまざまな分野で利用されている。
【0003】
かかる芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法としては従来よりホスゲンと芳香族ジヒドロキシ化合物を、水及び水と混合しない溶剤中で重合させる界面重合法、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート結合形成性化合物とをエステル交換触媒の存在下に加熱溶融反応させる溶融重縮合法などが利用されている。
【0004】
一方、低分子量の芳香族ポリカーボネート(これらはポリカーボネートのオリゴマーあるいはプレポリマーと称されることがある)を結晶させた後、これを真空下あるいは不活性ガス流通下において固相で重合させて高分子量の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する方法もよく知られている。例えば、特開平1−158033号公報、特開平3―223330号公報では、ポリカーボネートのプレポリマーを固相重合によって高重合度化する技術が開示されている。これらには、有機溶剤等を使用してポリカーボネートのプレポリマーを結晶化させることに関する一般的な記載がある。このように溶融重縮合と固相重合とを組み合わせる方法は、色相、成型性が良好な高分子量(高重合度)の芳香族ポリカーボネートが得られるという利点がある。またポリカーボネートのプレポリマーの溶融物に剪断をかけて結晶化させる方法がWO98/45351に開示されている。
【0005】
しかしながら、こうしたポリカーボネートのプレポリマーの結晶化方法は工業的利用には未だ問題を有しているのが現状である。すなわち溶剤結晶化による方法による方法は別途結晶化に使用される溶媒の回収プロセスが必要になるため設備が大掛かりになる上、結晶化に使用する溶媒は通常、同時にポリカーボネートのプレポリマーにクラックを起こすことが多い上、結晶化工程において微粉末が生じ工程トラブルが発生しやすい問題を生じている。また加熱結晶化法は単に一定温度でポリカーボネートのプレポリマーを保持するだけであるが結晶化には最短でも一時間程度の保持が必要であり、生産性が悪い問題点を有する。一方剪断をかけ結晶化させる方法は短時間に結晶化させることができるが、こうして結晶化させたポリカーボネートのプレポリマーをそのまま固相重合にかけても重合時間が多大にかかるため好ましくない。そこで重合時間を短縮して好適に用いる事ができる方法が望まれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、固相重合速度の上昇のみならず、固相重合時に固着現象を生じにくくハンドリングが容易な圧縮粒状物の製造方法および、その圧縮粒状物を用いて芳香族ポリカーボネートを製造する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成するため、次の構成を有する。
第1に、実質的に上記式(1)であらわされる繰り返し単位で表わされる固有粘度[η]が0.10〜0.38、ヒドロキシ末端基量(a)とアリールカーボネート末端基量(b)の和に対するヒドロキシ末端基量の比率(a)/((a)+(b))が0.01〜0.5の非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーを製造する工程、
【0008】
第2に該非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーを結晶化し、結晶化度10%〜60%、比表面積が0.001〜0.2m2/g未満の結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーを製造する工程、
【0009】
第3に該結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーを圧縮圧力が1MPa〜700MPaの範囲で圧縮成形し、嵩密度0.1〜1.3g/ccの圧縮粒状物を製造する工程、
【0010】
第4に該圧縮粒状物を室温〜圧縮粒状物の融点未満の温度下でプレヒーティング処理を行い、プレヒーティング処理後の圧縮粒状物が下記式(2)
膨張率=(V2−V1)/V1 (2)
[上記数式においてV1はプレヒーティング処理前の圧縮粒状物の体積を、V2はプレヒーティング処理後の圧縮粒状物の体積をあらわす。]
から算出される膨張率が2%〜20%の範囲であるプレヒーティング処理圧縮粒状物を製造する工程、
【0011】
第5にプレヒーティング処理圧縮粒状物を該非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーのガラス転移温度(Tg)以上かつ下記式(3)
(T+10)≦Tmi (3)
(上記数式において、固相重合時の重合温度をT[℃]、プレヒーティング処理圧縮粒状物の融点に対応する吸熱ピークの開始温度をTmi[℃]とする)
を満たす温度で、減圧下、または常圧下かつ不活性ガス気流下にて、加熱し固相重合する工程
をこの順序で順次行う芳香族ポリカーボネートの製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明ついて詳細に説明する。
(A)非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマー製造工程
本発明の製造方法で用いられる非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーは実質的に下記式(1)
【0013】
【化2】
【0014】
[上記式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、Wは炭素数2〜20のアルキリデン基、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基又はスルホン基である。]
であらわされる。
【0015】
上記式(1)中、R1,R2,R3およびR4は具体的には水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。Wは具体的にはエチリデン基、プロピリデン基、ブチリデン基等の炭素数2〜20のアルキリデン基;メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の炭素数1〜20のアルキレン基;シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基等の炭素数5〜15のシクロアルキリデン基;1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等の炭素数5〜15のシクロアルキレン基;エーテル基、スルホキシド基、スルフィド基、スルホン基などが挙げられる。
【0016】
また本発明の効果に影響のない範囲内において他の繰り返し単位からなる芳香族ポリカーボネートが共重合されていても良い。例えばヒドロキノン、レゾルシノール、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等を共重合した芳香族ポリカーボネートが共重合する好ましい成分として挙げられる。また「実質的に」とは全繰り返し単位中少なくとも70モル%以上が上記式(1)であることを表している。中でもより好ましくは下記式(4)
【0017】
【化3】
【0018】
で表される繰り返し単位で表される非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーである。
【0019】
また該非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの固有粘度[η]は0.10〜0.38である。好ましくは0.10〜0.30、より好ましくは0.12〜0.25のものが使用される。ここで言う固有粘度[η]は、ジクロロメタン溶液にて温度20℃で測定した粘度から算出される値である。本発明で使用する該非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの固有粘度[η]が上記範囲より低いと、固相重合を実施するのに十分な融点を有する結晶化物を得ることが困難である、または固相重合時に生成する揮発成分が多くなりすぎる問題があるので、好ましくない。一方固有粘度[η]が上記範囲を超えると、固相重合速度が遅くなり、目的とする固有粘度の芳香族ポリカーボネートの製造に時間がかかりすぎる、また場合によって着色、ゲル化等が生じるため、好ましくない。
【0020】
また該非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーにおいては、ヒドロキシ末端基量(a)とアリールカーボネート末端基量(b)の和に対するヒドロキシ末端基量の比率(a)/((a)+(b))は0.01〜0.5の範囲である。該比率がこの範囲を下回ると固相重合の際に代表的なカーボネート結合性化合物として用いられる炭酸ジアリールカーボネートの脱離反応が圧倒的に多くなり、その結果固相重合速度が遅くなる問題が生じ好ましくない。該比率がこの範囲を超えると、最終的に得られる芳香族ポリカーボネートの末端基中のヒドロキシ末端基が多くなり、溶融時に着色しやすいあるいは加水分解により分子量が低下しやすいなどの問題が生じるので好ましくない。該比率の範囲はより好ましくは0.3〜0.45の範囲である。
【0021】
次に該非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの製造方法を詳細に説明する。該非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの製造方法は上記の様な特性を満たせば特に限定はない。例えば芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート結合性化合物をエステル交換触媒の存在下加熱溶融反応させる溶融重合法、または固相重合法、また芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンなどから反応させる界面重合法等が挙げられるが、固有粘度、先述の末端基量の比率を考慮すると、溶融重合法による製造がより好ましい。
【0022】
本願発明で使用される該芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノールAと略す。)、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等およびその芳香環に例えばアルキル基、アリール基等が置換されたものがあげられる。これらは単独で用いても2種以上併用しても良い。なかでもビスフェノールAが最も好ましく用いられる。
【0023】
また、該カーボネート結合性化合物としてはハロゲン化カルボニル化合物または炭酸ジエステルが具体的に挙げられる。より具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上併用しても良い。なかでもジフェニルカーボネートが最も好ましく用いられる。すなわち該芳香族ジヒドロキシ化合物と該カーボネート結合性化合物の組み合わせとしてはビスフェノールAとジフェニルカーボネートの組み合わせであり、これらの化合物を溶融重合して得られる非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーが最も好ましい。
【0024】
また該エステル交換触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、チタン系化合物、錫系化合物、ゲルマニウム系化合物等の金属含有化合物と、含窒素塩基性化合物、含燐塩基性化合物等を挙げることができる。
【0025】
具体的にはアルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸チウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ルビジウム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ルビジウム、亜硝酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム、シアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸セシウム、カプロン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素ジカリウム、リン酸水素ジリチウム、ビスフェノールAのジナトリウム塩、ジカリウム塩、ジリチウム塩、モノナトリウム塩、モノカリウム塩、ナトリウムカリウム塩、ナトリウムリチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等が挙げられる。
【0026】
アルカリ土類金属化合物としては水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、ビスフェノールAのマグネシウム塩、ビスフェノールAのカルシウム塩が挙げられる。
【0027】
チタン系化合物としてはテトラフェノキシチタン、ブトキシトリフェノキシチタン、ジブトキシジフェノキシチタン、テトラブチルチタン、テトラクレゾキシチタン等が挙げられる。
【0028】
錫系化合物としては、酢酸第一錫、ジ−n−ブチル錫ジアセテート、ジ−n−ブチル錫ジラウレートが挙げられ、ゲルマニウム系化合物としては、酸化ゲルマニウムが挙げられる。
【0029】
また含窒素塩基性化合物としては
(a)テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(Bu4NOH)、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(Ph−CH2(Me)3NOH)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール、アラルキル基等を有するアンモニウムヒドロキシド類、
(b)テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムフェノキシド、テトラブチルアンモニウム炭酸塩、ベンジルトリメチルアンモニウム安息香酸塩ヘキサデシルトリメチルアンモニウムエトキシド等のアルキル、アリール、アラルキル基等を有する塩基性アンモニウム塩、
(c)トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ヘキサデシルジメチルアミン等の第三級アミン、及び
(d)テトラメチルアンモニウムボロハイドライド(Me4NBH4)、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド(Bu4NBH4)、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Bu4NBPh4)、テトラメチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Me4NBPh4)等を挙げることができる。
【0030】
また含燐塩基性化合物としては、
(a)テトラメチルホスホニウムヒドロキシド(Me4POH)、テトラエチルホスホニウムヒドロキシド(Et4POH)、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド(Bu4POH)、ベンジルトリメチルホスホニウムヒドロキシド(Ph−CH2(Me)3POH)、ヘキサデシルトリメチルホスホニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール、アラルキル基等を有するホスホニウムヒドロキシド類、及び
(b)テトラメチルホスホニウムボロハイドライド(Me4PBH4)、テトラブチルホスホニウムボロハイドライド(Bu4PBH4)、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボレート(Bu4PBPh4)、テトラメチルホスホニウムトラフェニルボレート(Me4PBPh4)等を挙げることができる。
【0031】
これらのエステル交換触媒は単独で用いても2種以上併用しても良い。さらにこれらのエステル交換触媒としては、上記の如き金属含有化合物を含有する触媒系が好ましく使用できるが、これらの金属含有化合物は、カーボネート結合を分解する能力もまた有するため、重合反応速度の触媒能をできうる限り保持しつつ、その使用量を抑えることが好ましい。
【0032】
この目的を達成するためには、上記の金属含有化合物の触媒のうちアルカリ金属化合物を使用し、さらに含窒素塩基性化合物及び/又は含燐塩基性化合物を併用し、アルカリ金属元素の使用量を芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して1×10−8〜5×10−5モルの範囲になるように使用することが好ましい。より好ましくは5×10−8〜3×10−6モル、特に好ましくは7×10−8〜2×10−6モルである。さらに含窒素塩基性化合物及び含燐塩基性化合物の使用量は芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して1×10−5〜5×10−3モルの範囲になるように使用することが好ましい。より好ましくは2×10−5〜5×10−4モル、特に好ましくは5×10−5〜5×10−4モルである。
【0033】
上記範囲を逸脱すると、得られる芳香族ポリカーボネートの諸物性に悪影響を及ぼしたり、またエステル交換反応が十分に進行せず、後に実施する固相重合工程で充分な高分子量の芳香族ポリカーボネートが得られないことがある。
【0034】
溶融重合法好ましくは、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを、好ましくはエステル交換触媒の存在下、加熱溶融反応させる溶融重縮合法により製造される。この場合の重合原料仕込みモル比としては、重合反応装置の形式や大きさ等にも多少依存するが、炭酸ジエステル/芳香族ジヒドロキシ化合物のモル比として概略1.07/1〜0.9/1である。更にこれらの混合物を常圧およびまたは減圧不活性ガス雰囲気下で加熱しながら攪拌して、生成するアルコールまたは芳香族モノヒドロキシ化合物を留出させることで行われる。その反応温度は生成物の沸点等により異なるが、反応により生成するアルコールまたは芳香族モノヒドロキシ化合物を除去するため通常120〜350℃の範囲であり、金属不純物の少ない非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーを得るために好ましくは180〜280℃の範囲であり、さらに好ましくは、250〜270℃の範囲である。反応系の内圧は、好ましくは26.6kPa(200mmHg)以下であり、より好ましくは13.3kPa(100mmHg)以下である。必要に応じて内部にごく微量の不活性ガスを流通させて反応系内気相中の留出成分濃度を減少させる方法も好ましく採用できる。反応時間はおおよそ30分〜10時間である。
【0035】
また界面重合法にて製造する場合は、芳香族ジヒドロキシ化合物を水に溶解しジクロロメタンなどの有機溶媒と接触させ、さらに分子量調節剤の存在下ホスゲンを吹き込むことにより製造できる。触媒として3級アミン、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、含窒素複素環化合物及びその塩、イミノエーテル及びその塩、アミド基を有する化合物等が使用される。界面重合法では反応の際に生じる塩酸などのハロゲン化水素の捕捉剤として多量のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属が使用される。そのため製造後の非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマー中に、こうした不純物が残留しないように充分な洗浄や精製を行うことが好ましい。
【0036】
これらの方法で製造した非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーは以下に説明する結晶化方法、固相重合方法等を効率よく行うために前述のように固有粘度[η]が0.10〜0.38と比較的低分子量になるように製造するのが好ましい。
【0037】
(B)結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマー製造工程
つぎに得られた非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの結晶化方法について説明する。上述のような方法により得られるのは非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーであり、これを結晶化させる工程を次に実施する。その結晶化方法については1)結晶化溶媒を使用して結晶化する方法、2)ガラス転移温度以上融点以下の温度に加熱保持して結晶化させる加熱結晶化による方法、3)剪断付与によってプレポリマーを結晶化させる方法が特開平3−223330号公報、WO98/45351に開示されている。結晶化溶媒を使用した結晶化プレポリマーの一般的な製造方法の問題は微粉体が多量に発生することである。すなわち溶媒の種類によっては溶媒が非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーに接触した個所は素早く結晶化が進行し、結晶部が剥がれ落ちることにより微粉が発生する。このような現象が発生する元では得られる結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの粒子径を制御することは極めて困難であり、このような状態で固相重合を行うと微粉が舞い均一な重合物を得ることができないばかりか、結晶化物同士の固着が発生し好ましくない。一方加熱結晶化による方法は、非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーを温度一定にして保持することによる結晶化方法であり、極めて簡単な操作で結晶化することができる。剪断付与によって結晶化させる方法は加熱結晶化による方法と比較して結晶化時間を大幅に短縮できるといった点が長所である。剪断付与する方法は溶融状態で実施するのが好ましい。
【0038】
これら結晶化方法の中で溶融状態において剪断付与によって結晶化する方法、または熱を加えることによって結晶化する加熱結晶化方法が好ましく採用される。このような操作にて得られた結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーは固有粘度[η]が0.10〜0.38と比較的低分子量になるように製造するのが好ましく、さらに好ましい固有粘度の範囲は0.10〜0.30である。
【0039】
またこのような操作により得られた本発明の結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの結晶化度は10〜60%である。特に一般的なPET(ポリエチレンテレフタレート)固相重合ではホッパー型固相重合が使用されており、このような系では重合槽下部には相当な荷重が掛かり、結晶化度が低い状態では非晶部がこの荷重に耐えられなくなり変形して固着の原因となり得る。よって本発明における結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーについてもこのような設備でも行うためには、結晶化度が10%未満では固相重合中に粒子同士が固着する可能性が高くなり好ましくなく、結晶化度が60%を超えるのものは製造が実質的に困難である。結晶化度は15〜50%が好ましく、より好ましくは18〜40%である。
【0040】
また本発明の結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの比表面積は0.001〜0.2m2/g未満である。0.001m2/gより小さい場合は後で行う固相重合工程の速度が低下して好ましくない。本発明では固相重合の際には特開平3−223330号公報のような大きな比表面積を必ずしも必要としない。このような大きな比表面積を有するプレポリマー等を達成するには多孔性にするなどの複雑なプロセスを必要とする。本発明の好ましい比表面積の範囲は、0.001〜0.15m2/gであり、より好ましくは0.005〜0.10m2/gの範囲である。比表面積をこの範囲に保つことによって本発明の結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーは非多孔性を達成することができる。なお、この比表面積の値はBET法によりKrガスを用いて測定したものである。
【0041】
さらに得られた結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーは圧縮粒状物を成形しやすい程度の大きさの粉体又は粒状体にするのが好ましい。このような粉体または粒状体を得るのに、特に制限はないがハンマークラッシャー等を用いて粉砕することが最も一般的に行われる。また必要に応じて更に分級操作を行っても良い。
【0042】
(C)圧縮粒状物製造工程
また本発明における圧縮粒状物製造工程に使用する結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーは(B)の工程で得られたプレポリマーを細かくしたものであれば特に限定はしないが、結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーを粉砕等の手法により得た粉体のもの、または一定の形状に成形をした粒状体が好ましく挙げられる。その形状について得に制限はないが例えばペレット、または顆粒等の形状にしたものが好ましい。さらに後で述べるような圧縮粒状物を一旦成形し、これを再び粉砕化したものも含む。必要に応じて、篩をかけて一定の粒径範囲になるように分級したものを用いても構わない。
【0043】
圧縮粒状物を得る前の結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの粉体及び粒状体の平均粒子径は10mm以下の範囲であることが好ましい。粒子径が大きいと圧縮粒状物を得る工程で十分に圧縮圧力をかけることができず、十分な機械的強度を有した圧縮粒状物を得ることができない。逆に小さすぎると空気を含みやすく成形不良、強度不足の原因になる。好ましくは0.1mm〜8mmである。さらに好ましくは0.2mm〜1mmである。また0.1mm未満の粉粒体が50wt%以下であることが好ましい。0.1mm未満の粉体が50wt%より多いと粉体のトラブルが生じ、ロスとなるので好ましくない。より好ましくは30wt%以下、特に好ましくは20wt%以下である。
【0044】
圧縮粒状物は上記粉体、粒状体を加圧又は押出し加工等の加工を行い一体となったものをあらわす。形状はすべて一定の形状に統一されていても、そうでなくても構わない。形状については特に限定はないが、通常ペレット状、球状、円柱状、円板状、多角柱状、立方体状、直方体状、円筒状、レンズ状等が具体的に挙げられる。その圧縮粒状物の平均粒子径は10mm以下の範囲であることが好ましい。粒子径が大きいと十分に圧縮圧力をかけることができず、十分な機械的強度を有した圧縮粒状物を得ることができない。逆に小さすぎると空気を含みやすく成形不良、強度不足の原因になる。好ましくは0.1mm〜8mmである。さらに好ましくは0.2mm〜1mmである。また0.1mm未満の粉体等が50wt%以下であることが好ましい。0.1mm未満の微粉体が50wt%より多いと微粉体が原因となるトラブルが生じ、ロスとなるので好ましくない。より好ましくは30wt%以下、特に好ましくは20wt%以下である。微粉体が原因となるトラブルとは具体的には、閉塞、磨耗、偏析、付着・凝集、粉塵飛散、フラッシングなどである。微粉体トラブルで生じやすい閉塞は供給・排出、貯蔵、輸送時に、磨耗は輸送、粉砕時に、偏析は貯蔵、付着・凝集は輸送、供給・排出、集塵、粉砕時に、粉塵飛散は集塵時に、フラッシングは供給・排出時に生じる。また特に微粉が伴うと、固相重合プロセスにおいては不活性ガスにより微粉が舞って微粉の滞留時間が長くなり樹脂の色相や組成に影響を与え樹脂の品質に悪影響を及ぼす。さらに微粉量が多いと、固相重合中にプレポリマー同士の固着、固相重合用反応容器へのプレポリマーの固着があり好ましくない。本発明によって得られる圧縮粒状物は上記のトラブルを解決できる。
【0045】
また得られる圧縮粒状物の比表面積は0.001〜2.0m2/g以下であることが好ましい。より好ましい比表面積の範囲は、0.001〜0.2m2/g未満であり、さらに好ましくは0.005〜0.17m2/g、最も好ましいのは0.05〜0.15m2/gの範囲である。この範囲外の比表面積では複雑なプロセスを必要となる等の問題があることは先述のとおりである。
【0046】
本発明の圧縮粒状物の嵩密度は0.1〜1.3g/ccの範囲であることが好ましい。0.1g/cc未満の圧縮粒状物は圧縮圧力が小さく粉体が発生しやすいことがある。また1.3g/ccを超える圧縮粒状物は圧縮圧力が大きく比表面積が小さいため固相重合速度が低下して好ましくない。より好ましくは0.4〜1.2g/ccの範囲である。
【0047】
本発明における圧縮粒状物を得る方法は、このようにして得られた粉体又は粒状体が凝集させ、その後におこなう固相重合工程において破壊されないような手法で製造する方法であれば特に制限はないが、一般的な造粒の方法が好ましく挙げられ、押出し造粒法、圧縮造粒法などがより好ましく挙げられる。押出し造粒法としてスクリュー方式、ロール型円筒ダイス方式、ロール型円盤ダイス方式などが例示される。また圧縮造粒法として圧縮ロール方式、ブリケッテング方式、打錠方式、コンパクター方式等が挙げられる。より具体的には錠剤成形機や圧縮成形機を用いて造粒するのが好ましい。圧縮造粒法を用いる際の圧縮圧力は通常は1MPa〜700MPaであることが好ましい。1MPaより小さいと粒状成形体を輸送、供給・排出時に多量に粉体を伴い好ましくない。逆に700MPaより大きいと圧縮成形機と結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの摩擦熱によって粉体等が溶融しやすく、成形不良を引き起こしやすい。より好ましくは10MPa〜500MPaである。さらに好ましくは50MPa〜300MPaである。またこれらの造粒操作を行う際には室温〜結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの融点以下で行うこともまた好ましい態様の1つである。より好ましくは(結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーのガラス転移点−70℃)〜(結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーのガラス転移点+70℃)、さらに好ましくは(結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーのガラス転移点−20℃)〜(結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーのガラス転移点+20℃)の温度下で造粒操作を行うことである。このようにして得られた圧縮粒状物は以下のような特徴を有する。
【0048】
1)固相重合速度を飛躍的に高めることができる。
例えば造粒する前の粉体もしくは粒状体と、それを造粒等の操作を行い得られた圧縮粒状物の固相重合速度は粒径が大きいにも関わらず、圧縮粒状物の固相重合速度のほうが格段に重合速度が上昇している点があげられる。この理由は明確ではないが圧縮により粒子が微細化し固相重合速度が上昇していることが挙げられる。
【0049】
2)均一な固相重合物を得ることができる。
粉体を取り扱うプロセスの問題としてプロセスハンドリングの問題を挙げたが、粉体を固相重合することで起きる問題がいくつか生じる。一つは比表面積を高めるために加熱結晶化、剪断結晶化により作成した結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーを粉砕する工程においては如何様にも粒子径分布を有する事は避けがたいことである。このような粒子径分布の広さは副生するフェノールが結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの拡散速度の分布にも直接関係するため重合度のまちまちな製品が生じるという問題を有する。しかし本発明方法に従えば粒子径分布が広くても均一な固相重合物を得ることが出来ることが大きな特徴である。この理由は明確ではないが圧縮処理によって粒子にマイクロクラックが生じているためと思われる。
【0050】
(D)プレヒーティング処理圧縮粒状物製造工程
次にこのようにして製造した圧縮粒状物を使用して固相重合反応を進めることになるが、この時に圧縮粒状物同士が固着を起こさないようにしなければならない。本発明では固相重合速度上昇のみならず、こうした固着現象を防止して安定して高重合度の芳香族ポリカーボネートを得る方法を提供するものである。以下詳細に説明する。
【0051】
既に公知であるPET固相重合では結晶化を十分に進行させるのにプレヒーティング処理は必須な操作であるが、PET固相重合品の場合は基本的に熱結晶化プロセスのため結晶化は均一に進行し、結晶融点もシャープである。しかしながら芳香族ポリカーボネートの場合、元来非晶性の樹脂であり、熱結晶化法では結晶化時間が膨大にかかり、プロセス上シンプルではあるがこのような理由から熱結晶化法を使用して行うことは実用上好ましくない。一方WO98/45351のように剪断結晶化法が知られている。このように剪断を印加させ結晶化させる方法は短時間で、かつ溶媒を用いずに結晶化度を上昇することができるので好ましい。しかしこの方法による結晶化物は結晶構造に多数の欠陥が見られるためか、非常にブロードな結晶融点を有しており、このままではエステル交換が比較的効率よく進行し始める温度では、プレポリマー同士が固着を生じ易く安定した固相重合を進める事はできない。さらにこのような結晶化物は比表面積が小さく固相重合速度が小さいと言った問題があった。
【0052】
そこで我々は固相重合速度が遅いという問題を解決する手段として前記のように結晶化した芳香族ポリカーボネートプレポリマーに圧縮圧力を印加して製造した圧縮粒状物を用いることで固相重合速度を高める事を見出した。しかしながらこのようにプレポリマーに圧縮圧力を印加すると結晶化度の低下のみならず、さらにブロード化し結晶融点のTmi(結晶融点の吸熱ピークの出始めの温度)が低温にまでシフトするといった問題があった。さらに通常のPETの固相重合では熱を加え温度を上げる結晶化が進行しペレットが収縮するのに対し、圧縮粒状物の場合は熱を印加すると膨張率が大きく、そのまま固相重合槽に投入すると固相重合槽内で膨張し固着する事が問題となる事を確認した。
【0053】
そこで我々は鋭意研究の結果、圧縮粒状物を一定範囲の温度下でプレヒーティング処理を施しその時の膨張率が以下の点を満たし、かつ後述のようにガラス転移温度とTmiで規定される温度条件範囲内で固相重合を行うと、固相重合工程に限らず、固着を起こさずに固相重合後もハンドリングを向上させることができる事を見出した。すなわち圧縮粒状物を室温〜圧縮粒状物の融点未満の温度下でプレヒーティング処理を行う。プレヒーティング処理の時間は特に制限はないが、好ましくは10分〜3時間、より好ましくは15分〜2時間、更に好ましくは20分から1.5時間である。
【0054】
該圧縮粒状物を、プレヒーティング処理後の圧縮粒状物(プレヒーティング処理理圧縮粒状物と称する)が下記式(2)
膨張率=(V2−V1)/V1 (2)
[上記数式においてV1はプレヒーティング処理前の圧縮粒状物の体積を、V2はプレヒーティング処理後の圧縮粒状物の体積をあらわす。]
から算出される膨張率が2%〜20%の範囲であるプレヒーティング処理圧縮粒状物を製造する工程を加える事で固着現象を起こさない事を見出した。
【0055】
膨張率は通常2%から20%の範囲である。膨張率がこれ以下であると十分に応力が開放されておらず固着する。逆にこれ以上の範囲は十分に圧縮圧力が印加されておらず、機械的強度が小さく多量の粉体を伴い好ましくない。好ましくは7%〜15%である。また膨張率は通常は圧縮粒状物およびプレヒーティング処理圧縮粒状物を直方体等の体積計算が容易な形状に近似して、それぞれの計算を行うのが好ましい。しかし例えばプレヒーティング処理前後の圧縮粒状物の形状が帯状であり、かつその断面が矩形の場合は実質的に体積膨張が圧縮方向である厚み方向の膨張のみに限定される場合があり、その際には下記式(5)
膨張率=(D2−D1)/D1 (5)
[上記数式においてD1はプレヒーティング処理前の圧縮粒状物の圧縮方向の厚みをD2はプレヒーティング処理後の圧縮粒状物の圧縮方向の厚みをあらわす。]
のように厚さ方向の変化のみで膨張率を計算することもあり得る。また同様に圧縮粒状物の形状が帯状であり、かつその断面が楕円形状の場合はその短軸方向が圧縮方向となる場合が多いので下記式(6)
膨張率=(R−r)/r (6)
[上記数式においてrはプレヒーティング処理前の圧縮粒状物の圧縮方向の厚みをRはプレヒーティング処理後の圧縮粒状物の圧縮方向の厚みをあらわす。]
であらわすこともある。
【0056】
またプレヒーティングは粒子同士が固着させずに、かつ圧縮粒状物が破壊されない程度に行う事が可能な装置が好ましく、例えば流動層乾燥機などの多量の不活性気体で固着を防止できるもの、タンブラー型乾燥機などの機械的に固着を壊して固着を防止できる装置を用いることが好ましくが挙げられる。
【0057】
(E)固相重合工程
固相重合反応は固体状態を維持できるように、該非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーのガラス転移温度(Tg)以上かつ下記式(3)
(T+10)≦Tmi (3)
[上記数式において、固相重合時の重合温度をT[℃]、プレヒーティング処理後の圧縮粒状物の融点に対応する吸熱ピークの開始温度をTmi[℃]とする。]
を満たす重合温度T以下の温度で、減圧下、または常圧下不活性ガス気流下にて加熱することによって重合反応を行う。そうして高分子量化し、固有粘度[η]が0.38超〜1.0の所望分子量を有する高分子量の芳香族ポリカーボネートとなる。なお重合温度の上限は(T+10)≦Tmiの範囲である。この範囲より高いと固着があり好ましくない。また非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーのガラス転移温度未満では重合温度が低すぎて固相重合を行う利点はない。より好ましくは(T+15)℃≦Tmi、最も好ましいのは(T+20)℃≦Tmiの範囲である。具体的には重合温度は180℃〜250℃であることが好ましく、より好ましくは190℃〜240℃、最も好ましくは200℃〜230℃である。
【0058】
また、固相重合が進行し重合度の上昇と共に、プレヒーティング処理圧縮粒状物の融点(Tm)およびTmiも上昇するため、重合が進行するにしたがって重合温度を上記式(3)の範囲内で上昇させて固相重合を行うことは効率的な固相重合を行うことができるので好ましい。
【0059】
この重合反応は通常の溶融重合法と同様に加熱減圧下でも可能であるが、次に述べるように常圧下かつ不活性ガス気流下で重合を行い製造してもよい。
【0060】
常圧重合は前述のとおり不活性ガス気流下で行われる。固相重合槽に流通させる不活性ガスの種類としては、ヘリウム、アルゴン、窒素、二酸化炭素ガス等を例示できる。さらに不活性ガスを流通させる方式には特に制限はないが、下部にポリマー抜き出し口、不活性ガス流通管及び不活性ガス噴出口を備え、上部に冷却管及び原料流通管を備えた縦型反応装置を用いて、温度調節装置で不活性ガスの温度を制御後、該反応装置に流通させる方法が好ましい。不活性ガスは通常溶融重縮合の反応当初から反応終了まで流通させる。該不活性ガスはプレヒーティング処理圧縮粒状物に直接吹き込むように供給するのが好ましい。通常、固相重合時の温度としてはこの不活性ガスの温度がそのまま固相重合の温度となる。よって温度は上述の範囲内に設定し、流通させることによって実施される。上記の不活性ガスの温度範囲内でも効率的な重合を行うためには得られる芳香族ポリカーボネートの物性に影響がない範囲内で高めの温度で行うことが好ましい。
【0061】
また不活性ガスの流量は、該プレヒーティング処理圧縮粒状物1Kgあたり0.1NL/分以上、より好ましくは0.2NL/分以上100NL/分以下の流量、特に1〜50NL/分が特に好ましい。流量が上記範囲より小さい場合、固相重合反応の進行が遅くなり、重合時間が長くなり好ましくない。流量が上記範囲より大きい場合、熱エネルギーコストが高くなり好ましくない。
【0062】
本発明では固相重合槽に流通する不活性ガス流量と、非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの溶融重合槽に流通される不活性ガス流量は必ずしも同量である必要はない。2基以上で並列実施されている固相重合槽から排出される不活性ガスを非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの溶融重合槽に導入してもよく、またこれを再び固相重合槽に導入する方法も好ましい。その際には、不活性ガス中に気体状の反応留出物が含まれているので、これをある一定量以下まで除去した上で導入する方法が好ましく採用できる。さらに固相重合槽から排出した不活性ガスを一部別用途に使用してもよい。このようにして固相重合反応を進めるが、固相重合工程から排出される不活性ガスは多くの場合上記の温度範囲内にあるので、そのまま溶融重合工程に使用できる。また必要に応じて不活性ガスの温度調整をした上で溶融重合工程に供給してもよい。なお、固相重合槽からの不活性ガス排出量と溶融重縮合槽に供給する不活性ガス量とがバランスせず、固相重合で排出されるガス量が過剰な場合は、過剰分を他の用途に利用してもよく、ガス量が不足する場合は、排出ガスに新たな不活性ガスを補充して溶融重合工程に供給すればよい。
【0063】
固相重合に要する時間は、通常、数時間〜数十時間が採用される。重合時間が長すぎると固相重合に使用する装置が大掛かりになり、設備製造コストの点で好ましくない。固相重合中に、プレヒーティング処理圧縮粒状物を機械的に攪拌するか、あるいは気体流により攪拌してもよい。
【0064】
本発明において使用される固相重合槽の形式について特に制限はないが、下部に不活性ガス導入部を有し上部に不活性ガス排出部を有する縦型反応装置、回転式の反応装置等を好ましい形態として例示できる。
【0065】
また減圧下で固相重合を行う場合は非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーを製造する時と同様に不活性ガス雰囲気の減圧下あるいはごく微量の不活性ガス気流下で重合を行うのが好ましい。圧力は低いほど、重合の効率は高いが、実用的な範囲を考慮すると概略1〜30kPa、好ましくは5〜15kPa程度である。この際にプレヒーティング処理圧縮粒状物を機械的にあるいは気体流により撹拌しても良い。反応温度、時間については先述の常圧で重合する際と同様な条件で行うことが好ましく採用できる。
【0066】
以上のごとき固相重合により製造された所望の重合度の芳香族ポリカーボネート(以下,「ポリカーボネート樹脂」ということがある)は、色相が良く、ゲル成分も少なく成形性に優れたものとなるが、必要に応じて、末端ヒドロキシ基の封鎖反応や溶融粘度の安定化を行うことができ、その方がポリカーボネート樹脂の成形時の熱安定性や、耐久安定性を向上させる上で好ましい。
【0067】
(F)固相重合後の処理等
また本発明においては必要に応じて、ポリカーボネート樹脂の末端ヒドロキシ基の封鎖反応を行うことができる。該封鎖反応としては、固相重合反応終了後のポリカーボネート樹脂を2軸押し出し機等のポリマーの溶融混合設備を使用し、例えば米国特許第5,696,222号記載の方法に従いサリチル酸エステル系化合物により末端ヒドロキシル基を封鎖することができる。この場合、サリチル酸エステル系化合物の使用量は封鎖反応前のポリマーにおける末端ヒドロキシル基の1化学当量当たり0.8〜10モル、より好ましくは0.8〜5モル、特に好ましくは0.9〜2モルの範囲がよい。かかる量比で添加することにより、末端ヒドロキシル基の80モル%以上を好適に封鎖することができる。
【0068】
本発明により製造されるポリカーボネート樹脂は、使用目的により、離型剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤等の各種添加剤、ガラス繊維、鉱物、フィラーといった無機剤、アラミド繊維などの有機剤、または本発明のポリカーボネート樹脂以外のポリマーを混合し樹脂組成物を得ることができる。その樹脂組成物は成形用樹脂、フィルム、繊維等の用途に使用可能である。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、固相重合速度の上昇のみならず、固相重合時にポリマー同士の固着現象を生じさせず安定して品質の良好な高重合度のポリカーボネート樹脂を容易に製造することができ、この樹脂は色相、成形性が良好で、有用な成形品を与える。
【0070】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
1)固有粘度[η]
得られた芳香族ポリカーボネートをジクロロメタン溶液として、20℃でウベローデ粘度管にて測定した。
2)ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)
示査走査型熱量計(DSC)パーキンエルマーDSC7により、昇温速度20℃/分で測定してガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)を求めた。また、結晶融解のエンタルピー(ΔH)は、結晶融解に対応する部分の面積より算出した。3)結晶化度
結晶化度は、DSC測定によって得られたΔHから、100%結晶化ポリカーボネートのΔHをジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス;パートB:ポリマー・フィジックス(J.Polym.Sci.:B:Polym.Phys.)1979年第25巻1511〜1517ページを参考にして109.8J/gとして計算した。
4)比表面積
比表面積は、日本ベル(株)製高精度全自動ガス吸着装置を使用してKrガスを用いて測定し、サンプルの重量で除して求める。
5)嵩密度
1000ccの金属製円筒容器に凝集粒状体を入れ、余剰分をすり落として秤量し、内容物の重量W(g)を求め、次式により算出した。
嵩密度(g/cc)=W/1000
6)末端基量と末端基量の比率
末端基量はJEOLの核磁器共鳴装置(NMR)によってアリールカーボネート末端基量(b)とヒドロキシ末端基量(a)の積算を行い、その積分量からそれぞれの末端基量を見積もった。その後以下の式を用いて比率を算出した。
末端基量の比率=(a)/((a)+(b))
7)固着評価テスト
図1に示す固着評価装置(直径80mm)にサンプル300gを仕込み、サンプル温度が200℃に達した所で、ピストンに錘15kgを加え12hr固相重合を行った。重合後に固着評価装置下部を外し排出されたサンプルの固着度を観察した。
8)膨張率
本実施例においては、圧縮粒状物の形状が帯状でありかつその断面が矩形の場合は実質的に体積膨張が圧縮方向である厚み方向の膨張のみに限定される場合に対応するので膨張率は上記式(5)に従って計算を行った。
【0071】
[実施例1]
(I)非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの製造
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン228重量部、ジフェニルカーボネート223重量部及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.009重量部及びビスフェノールAジナトリウム塩0.00014重量部を攪拌装置、減圧装置、蒸留塔等を具備した反応装置に仕込み、180℃窒素雰囲気下で30分攪拌し溶解した。次いで、昇温と同時に徐々に減圧下とし、最終的に220℃、30mmHg(4.0kPa)とした。この時点で、得られた非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの固有粘度[η]は0.17、ガラス転移温度(Tg)は116℃であり、(a)/((a)+(b))=0.36であった。また透明であることと結晶融解ピークが観察されないことから非晶性であった。
(II)結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマー製造例
このようにして得られた非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーをヒーター温度180℃に設定した(株)陸亜製RY45−30−IM7.5型一軸ルーダー(L/D=40)で剪断をかけながら結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーを吐出した。この結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーをDSCにより測定するとTm225℃、結晶化度26%であり、固有粘度は0.17であった。ついで吐出物を粉砕機にかけ結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの粉体を得た。この粉体を分級し0.425〜0.84mm粒径の結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの粉体の比表面積を測定すると0.0247m2/gであった。
(III)(プレヒーティング処理)圧縮粒状物の製造例
該結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの粉体を形状波型の圧縮成形機を用い圧縮圧力100MPaで圧縮を行い圧縮粒状物を得た。得られた板状の圧縮粒状物をスクリーン径3〜5mmのハンマークラッシャー型破砕機を用いて粉砕し圧縮粒状物を得た。得られた圧縮粒状物の固有粘度は0.17、結晶化度は26%であり、このポリカーボネートの圧縮粒状物は平均粒径2.8〜3.3mmであり、板状のフレークの形態であった。このものの比表面積は0.15m2/gであり、嵩密度は0.54g/ccであった。またDSCで測定したところ結晶融点のピークがブロードであった(図2参照)。またTmi:160℃、Tm:224℃であった。
【0072】
その後この圧縮粒状物を窒素温度200℃で1時間プレヒーティングを行った。その時DSCを測定するとプレヒーティング前に比べてシャープな結晶融点ピークを有しており(図3参照)、Tmi:215℃、Tm:239℃、結晶化度:26%、膨張率:9%であるプレヒーティング処理圧縮粒状物を得た。
(IV)固相重合工程
このようにして作成したプレヒーティング処理圧縮粒状物を、下部に不活性ガスの流出部分を有する図1のような円筒型の反応容器に入れ、錘を印加して0.8NL/cm2・分で窒素ガスの流通下、固相重合時の重合温度200℃で12時間、図1に示すような評価装置を使用して評価を行ったところ、固着の無い芳香族ポリカーボネートの圧縮粒状物を得た。結果を表1に示した。
【0073】
[実施例2、3]
粒径をそれぞれ4〜5.6mm、3.3〜4.0mmにした以外は実施例1と同様な操作で行った。その結果固着の無い芳香族ポリカーボネートの圧縮粒状物を得た。結果を表1に示した。
【0074】
[実施例4]
実施例1の(II)の工程で得られた結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの粉体(比表面積0.0247m2/g)をポケットサイズ4.8×1.2mmのブリケッティング型圧縮成形機を用い圧縮圧力100MPaで圧縮を行い圧縮粒状物を得た。その後スクリーン径2〜5mmのハンマークラッシャー型破砕機を用いて粉砕しピロー型の圧縮粒状物を得た。粒径はポケットサイズと同じく4.8×1.2mmであった。得られた圧縮粒状物の固有粘度は0.17、結晶化度は25%であった。この圧縮粒状物の比表面積は0.15m2/gであり、嵩密度は0.53g/ccであった。またDSCで測定したところ結晶融点のピークがブロードであった(図2参照)。またTmi:160℃、Tm:224℃であった。
【0075】
その後この圧縮粒状物を窒素温度200℃で1時間プレヒーティングを行った。その時DSCを測定するとプレヒーティング前に比べてシャープな結晶融点ピークを有しており(図3参照)、Tmi:215℃、Tm:237℃、結晶化度:26%、膨張率:9%であるプレヒーティング処理圧縮粒状物を得た。このようにして作成したプレヒーティング処理圧縮粒状物を、下部に不活性ガスの流出部分を有する図1のような円筒型の反応容器に入れ、錘を印加して0.8NL/cm2・分で窒素ガスの流通下、固相重合時の重合温度200℃で12時間、図1に示すような評価装置を使用して評価を行ったところ、固着の無い芳香族ポリカーボネートの圧縮粒状物を得た。結果を表1に示した。
【0076】
[比較例1]
実施例1でプレヒーティング操作を行わない圧縮粒状物を実施例1と同様な操作で固着評価テストを行ったところ興し(おこし)状態のものが得られ、芳香族ポリカーボネートの圧縮粒状物が固着していることがわかった。結果を表1に示した。
【0077】
[比較例2]
参考例で得られた低分子量芳香族ポリカーボネートをヒーター温度180℃に設定した(株)陸亜製RY45−30−IM7.5型一軸ルーダー(L/D=40)で剪断をかけながら結晶状態のプレポリマーを吐出した。このプレポリマーをDSCにより測定するとTm225℃、結晶化度23%であり、固有粘度は0.17であった。ついで吐出物を粉砕機で結晶化物を粉砕し2.8〜3.3mmの粒状物を得た。このようにして作成した粒状物を、圧縮粒状物を製造することなく、下部に不活性ガスの流出部分を有する円筒型の反応容器に入れ、0.8NL/cm2・分で窒素ガスの流通下、固相重合時の重合温度200℃で12時間、図1に示すような評価装置を使用して評価を行ったところ、固着の無い芳香族ポリカーボネートを得た。しかしながら重合度は[η]=0.22しか重合しなかった。結果を表1に示した。
【0078】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で固着評価を行う際に使用する装置の模式図である。
【図2】本発明における圧縮粒状物(プレヒーティング処理前)のDSCチャートの一例である。
【図3】本発明におけるプレヒーティング処理圧縮粒状物(プレヒーティング処理後)のDSCチャートの一例である。
【符号の説明】
1:錘
2:ストッパー
3:焼結金属
4:窒素抜け穴
5:サンプル(圧縮粒状物等)
6:装置下部
7:ピストン
8:温度計
Claims (6)
- (A)実質的に下記式(1)
で表わされる固有粘度[η]が0.10〜0.38、ヒドロキシ末端基量(a)とアリールカーボネート末端基量(b)の和に対するヒドロキシ末端基量の比率(a)/((a)+(b))が0.01〜0.5の非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーを製造する工程、
(B)該非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーを結晶化し、結晶化度10%〜60%、比表面積が0.001〜0.2m2/g未満の結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーを製造する工程、
(C)該結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーを圧縮圧力が1MPa〜700MPaの範囲で圧縮成形し、嵩密度0.1〜1.3g/ccの圧縮粒状物を製造する工程、
(D)該圧縮粒状物を室温〜圧縮粒状物の融点未満の温度下でプレヒーティング処理を行い、プレヒーティング処理後の圧縮粒状物が下記式(2)
膨張率=(V2−V1)/V1 (2)
[上記数式においてV1はプレヒーティング処理前の圧縮粒状物の体積を、V2はプレヒーティング処理後の圧縮粒状物の体積をあらわす。]
から算出される膨張率が2%〜20%の範囲であるプレヒーティング処理圧縮粒状物を製造する工程、
(E)プレヒーティング処理圧縮粒状物を該非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーのガラス転移温度(Tg)以上かつ下記式(3)
(T+10)≦Tmi (3)
[上記数式において、固相重合時の重合温度をT[℃]、プレヒーティング処理圧縮粒状物の融点に対応する吸熱ピークの開始温度をTmi[℃]とする。]
を満たす温度で、減圧下、または常圧下かつ不活性ガス気流下にて、加熱し固相重合する工程
をこの順序で順次行う芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 該結晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーの結晶化度が15〜50%であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 該圧縮粒状物の比表面積が0.001〜2.0m2/g以下である請求項1または2に記載の製造方法。
- 該圧縮粒状物の比表面積が0.001〜0.2m2/g未満である請求項1または2に記載の製造方法。
- 該非晶性芳香族ポリカーボネートプレポリマーが、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート結合性化合物とを溶融重合して得られたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 該芳香族ジヒドロキシ化合物がビスフェノールAであり、該カーボネート結合性化合物がジフェニルカーボネートである請求項5に記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002234514A JP2004075734A (ja) | 2002-08-12 | 2002-08-12 | 芳香族ポリカーボネートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002234514A JP2004075734A (ja) | 2002-08-12 | 2002-08-12 | 芳香族ポリカーボネートの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004075734A true JP2004075734A (ja) | 2004-03-11 |
Family
ID=32019304
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002234514A Pending JP2004075734A (ja) | 2002-08-12 | 2002-08-12 | 芳香族ポリカーボネートの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004075734A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2034337A1 (en) | 2006-06-05 | 2009-03-11 | Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. | Optical lens |
-
2002
- 2002-08-12 JP JP2002234514A patent/JP2004075734A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2034337A1 (en) | 2006-06-05 | 2009-03-11 | Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. | Optical lens |
EP2034337B1 (en) * | 2006-06-05 | 2013-07-31 | Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. | Optical lens |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0403657B1 (en) | A porous, crystallized, aromatic polycarbonate prepolymer, a porous, crystallized aromatic polycarbonate, and production methods | |
US5214073A (en) | Porous, crystallized, aromatic polycarbonate prepolymer, a porous, crystallized aromatic polycarbonate, and production methods | |
CN102725329B (zh) | 制备微细球形聚碳酸酯粉末的方法和用其制备高分子量聚碳酸酯树脂的方法 | |
JP3756812B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネートプレポリマーおよびそれを用いた芳香族ポリカーボネートの製造方法 | |
TW500740B (en) | Method of crystallizing low-molecular polycarbonate and process for producing polycarbonate resin from the same | |
JP2004075734A (ja) | 芳香族ポリカーボネートの製造方法 | |
JP3732797B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネートプレポリマーの圧縮粒状物および高重合度芳香族ポリカーボネートの製造方法 | |
JP4723138B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネート粒状成形体及びそれを用いたポリカーボネートの製造方法 | |
JP4765748B2 (ja) | ポリエステル粒子の製造方法及びポリエステル樹脂粒子の製造方法 | |
WO2007116416A2 (en) | Plant with reactor internals coated with low surface energy materials and production of polyester resin using same | |
JP2546724B2 (ja) | ポリカーボネートプレポリマー多孔体とその製造方法、及びそれを用いる芳香族ポリカーボネートの製造方法 | |
JP3999620B2 (ja) | ポリエステル樹脂の製造方法 | |
EP1490422B1 (en) | Recycle process for polycondensation resins | |
US9029482B2 (en) | Method for preparing polycondensation resin | |
JP2003506542A (ja) | ポリカーボネートプレポリマーの結晶化法 | |
JP3754654B2 (ja) | 安定化された芳香族ポリカーボネートの製造方法 | |
JP2003301036A (ja) | 全芳香族ポリエステル粒状成形体及びそれを用いた全芳香族ポリエステルの製造方法 | |
JP3898542B2 (ja) | 重縮合系樹脂のリサイクル法 | |
WO1997019975A1 (en) | Processes for the production of polycarbonate | |
JP2003094435A (ja) | 結晶性芳香族ポリカーボネート粒状成形体の製造方法 | |
JP3920136B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネートの製造方法 | |
KR102203151B1 (ko) | 폴리카보네이트의 제조방법 | |
JP2002265590A (ja) | 低分子量芳香族ポリカーボネートの結晶化方法 | |
JP3995544B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネート粉粒体の製造方法 | |
JP3617733B2 (ja) | ポリカーボネートの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041019 |
|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20060703 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060711 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060905 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20070116 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |