JP2002265590A - 低分子量芳香族ポリカーボネートの結晶化方法 - Google Patents

低分子量芳香族ポリカーボネートの結晶化方法

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JP2002265590A
JP2002265590A JP2001061482A JP2001061482A JP2002265590A JP 2002265590 A JP2002265590 A JP 2002265590A JP 2001061482 A JP2001061482 A JP 2001061482A JP 2001061482 A JP2001061482 A JP 2001061482A JP 2002265590 A JP2002265590 A JP 2002265590A
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Hirotaka Suzuki
啓高 鈴木
Shunichi Matsumura
俊一 松村
Toyoaki Ishiwatari
豊明 石渡
Kazuteru Kono
一輝 河野
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 未結晶低分子量芳香族ポリカーボネートが融
着を起こしにくく、効率的に結晶化させる方法、及びそ
の方法で結晶化したポリカーボネートを用いて所望の固
有粘度を有するポリカーボネート樹脂を製造する方法を
提供する。 【解決手段】 固有粘度が0.05〜0.38の未結晶
低分子量芳香族ポリカーボネート(好ましくは溶融重縮
合により製造されたもの)を、モノヒドロキシ化合物と
水の混合液に65〜110℃において接触させて結晶化
する。この結晶化物をその融点より低い温度で減圧下又
は常圧の不活性ガス気流下で加熱して高重合度化させて
所望の固有粘度をもつポリカーボネート樹脂を製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体の未結晶低分
子量芳香族ポリカーボネートの結晶化及びそれを利用し
たポリカーボネート樹脂の製造方法に関するものであ
る。更に詳しくは、回収工程の設計、並びに短時間での
結晶化が容易で、かつ重合時に融着を起こさない結晶化
方法ならびにそれを利用して色相が良好でゲル成分の少
ない高分子量のポリカーボネート樹脂を効率良く高い生
産性で製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は、透明
性、耐熱性、機械物性に優れた材料として、従来よりC
D(コンパクトディスク)、光ディスク、レンズ等の光
学用途や、エンジニアリングプラスチックとして、自動
車分野、電気電子用途、各種容器等、様々な分野で利用
されている。
【0003】かかる芳香族ポリカーボネート樹脂の製造
方法としては、従来より、ホスゲンと芳香族ジヒドロキ
シ化合物を水、及び水と混合しない溶剤中で重合させる
界面重合法と、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネー
ト結合形成性化合物とをエステル交換触媒の存在下に加
熱溶融反応させる溶融重縮合法が、よく知られている方
法である。
【0004】一方、固体の未結晶低分子量芳香族ポリカ
ーボネート(以下プレポリマーと称する)を結晶化させ
た後、これを固相重合して高分子量のポリカーボネート
樹脂を製造する方法もよく知られている。この固相重合
法に関し、例えば、特公平7−094546号公報に
は、低分子量のポリカーボネートの末端基比率、結晶化
方法、結晶化後のオリゴマーの結晶化度等に関して開示
されており、オリゴマーの結晶化方法に関しては、加熱
結晶化法、溶媒処理法が記載されている。加熱結晶化法
としては、オリゴマーをそのガラス転移温度(Tg)以
上でかつ溶融し始める温度未満の温度で加熱保持する方
法が示されている。また、溶媒処理法としては、オリゴ
マーを溶媒に溶解させた後析出させ結晶化させる方法、
オリゴマーに対する溶解力の小さな溶媒、例えばアセト
ン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等に浸漬する方法
が示されている。
【0005】しかしながら、こうした未結晶低分子量芳
香族ポリカーボネートの結晶化方法は、工業的利用には
未だ問題を有しているのが現状である。即ち、加熱結晶
化法は、単に一定温度でオリゴマーを保持するだけであ
るが、結晶化には最短でも1時間程度の加熱保持が必要
であり、生産性が悪く、エネルギーコストが増大すると
いう問題点を有する。また、溶剤結晶化法は、加熱結晶
化方法に比べ結晶化所要時間はかなり短くすることが出
来るが、別途結晶化に使用した溶剤の回収プロセスが必
要となるため設備が大掛かりになる上、結晶化に使用す
る溶媒は、通常、同時にポリカーボネートにクラックを
起こすことが多い為、得られる結晶化ポリカーボネート
が脆く微粉末化しやすい問題点を有している。結晶化ポ
リカーボネートが微粉末化すると取り扱いが困難になる
だけでなく、ポリカーボネート樹脂の分子分布が大きく
なる、ロットごとに分子量分布にばらつきができるとい
った問題がでてくる。
【0006】一方、結晶化に使用する溶媒中に低分子量
ポリカーボネートが溶解してしまうことを低減する為に
溶媒と希釈剤との混合物中でポリカーボネートを結晶化
する方法が提案されている(米国特許第5864006
号)。この方法を用いると、確かに、溶媒へのポリマー
の溶解は軽減できるが、結晶化が非常に遅くなる為、結
晶化する前に粒子同士が融着し易くなり、これを防止す
る為に大量の溶媒を必要とするという新たな問題が生じ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
のような従来法の問題を解消し、プレポリマーを効率的
に結晶化させる方法と、それを利用したポリカーボネー
ト樹脂の効率的な製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述の課題
を達成すべく鋭意検討の結果、プレポリマーを特定の粒
径に造粒し、従来良溶媒であるため結晶化溶媒としては
使用に適さないと考えられてきたモノヒドロキシ化合物
と水の混合液を65〜110℃においてに加熱した混合
溶媒に接触させると、驚くべきことに従来法の如き問題
を伴わず、効率的に十分な結晶化度を有するプレポリマ
ーの製造を達成でき、しかも、溶剤回収が容易となるこ
と、そして、この方法で結晶化したプレポリマーを用い
て固相重合を行うことによって、色相が良好であるポリ
カーボネート樹脂を製造し得ることを見出し、本発明を
完成した。即ち、本発明における第1の発明は、主たる
繰り返し単位が下記式(1)
【0009】
【化3】
【0010】[上記式(1)中、R1、R2、R3及びR4
は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数
1〜10のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基
又は炭素数6〜20のアリール基であり、Wは炭素数2
〜10のアルキリデン基、炭素数1〜15のアルキレン
基、炭素数7〜20のアリール置換アルキレン基、炭素
数3〜15のシクロアルキリデン基、炭素数3〜15の
シクロアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシ
ド基、又はスルホン基である。]で表わされる、固有粘
度[η]が0.05〜0.38の固体の未結晶低分子量
芳香族ポリカーボネートを、モノヒドロキシ化合物と水
の混合液に65〜110℃において接触させて結晶化さ
せることを特徴とする低分子量芳香族ポリカーボネート
の結晶化方法である。
【0011】また、第2の発明は、上記の方法で結晶化
させたプレポリマーを、その融点以下の温度で、減圧下
あるいは常圧の不活性ガス気流下にて、加熱することに
よって高重合度化することにより、良質のポリカーボネ
ート樹脂を効率的に製造する方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の方法について詳述
する。
【0013】本発明でいう「芳香族ポリカーボネート」
とは、主たるポリマー繰り返し単位が、下記式(1)
【0014】
【化4】
【0015】[上記式(1)中、R1、R2、R3及びR4
は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数
1〜10のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基
又は炭素数6〜20のアリール基であり、Wは炭素数2
〜10のアルキリデン基、炭素数1〜15のアルキレン
基、炭素数7〜20のアリール置換アルキレン基、炭素
数3〜15のシクロアルキリデン基、炭素数3〜15の
シクロアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシ
ド基、又はスルホン基である。]で表わされる熱可塑性
重合体である。具体的にR1、R2、R3及びR4はメチル
基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、ベンジル
基、2−フェニル−2−プロピル基、フェニル基、α−
ナフチル基、β−ナフチル基等を例示することができ
る。また、R1、R2、R3及びR4の全部もしくは一部が
水素原子又は塩素や臭素などのハロゲン原子であっても
よい。
【0016】一方、Wは、炭素数2〜10のアルキリデ
ン基、炭素数1〜15のアルキレン基、炭素数7〜20
のアリール置換アルキレン基、炭素数3〜15のシクロ
アルキリデン基、炭素数3〜15のシクロアルキレン基
である。かかるアルキリデン基としては、エチリデン
基、2,2−プロピリデン基、2,2−ブチリデン基等
が例示できる。アルキレン基としては、メチレン基、エ
チレン基、1,3−プロピレン基等が例示できる。シク
ロアルキリデン基としては、1,1−シクロペンチリデ
ン基、1,1−シクロヘキシリデン基、9,9−フルオ
リデン基等が例示できる。
【0017】該芳香族ポリカーボネートは、一般に、芳
香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート結合形成性化合
物との溶融重縮合によって製造される熱可塑性重合体で
あり、この重合体の製造に使用される芳香族ジヒドロキ
シ化合物としては、下記式(2)
【0018】
【化5】
【0019】[上記式(2)中、R1、R2、R3、R4
びWは、上記式(1)におけるものと同じである]で示
される化合物が好ましく用いられる。
【0020】ここで、R1、R2、R3及びR4の例示とし
ては上記式(1)で挙げた置換基と同じものがあげられ
る。一方、Wについての例示としては上記式(1)で挙
げた置換基と同じものがあげられる。
【0021】このような芳香族ジヒドロキシ化合物の具
体例としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘ
プタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジク
ロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、4,4'−ジヒ
ドロキシフェニル−1,1'−m−ジイソプロピルベン
ゼン、4,4'−ジヒドロキシフェニル−9,9−フル
オレン等のビス(4−ヒドロキシアリール)アルカン
類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペ
ンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1−メチル
−1−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(ジメチル−
4−ヒドロキシフェニル)メチル−シクロヘキサン、4
−[1−〔3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチ
ルシクロヘキシル〕−1−ネチルエチル]−フェノー
ル、4,4'−〔1−メチル−4−(1−メチルエチ
ル)−1,3−シクロヘキサンジイル〕ビスフェノー
ル、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)フルオレン、2,2,2',2'−テトラヒドロ−
3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロ
ビス−〔1H−インデン〕−6,6'−ジオール等のビ
ス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;ビス(4
−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキ
シ−3,5−ジクロロフェニル)エーテル、4,4’−
ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル等
のジヒドロキシアリールエーテル類;4,4'−ジヒド
ロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシ
−3,3'−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒド
ロキシジアリールスルフィド類;4,4'−ジヒドロキ
シジフェニルスルホキシド、4,4'−ジヒドロキシ−
3,3'−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒド
ロキシジアリールスルホキシド類;4,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシ−
3,3'−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキ
シジアリールスルホン類;が挙げられる。これらは1種
のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0022】なかでも、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン[通称「ビスフェノールA」]が、
モノマーとしての安定性、更にはそれに含まれる不純物
の量が少ない物の入手が容易である点、等より本発明の
方法で使用するに特に好適な芳香族ジヒドロキシ化合物
として挙げられる。
【0023】本発明における芳香族ポリカーボネート中
には、ガラス転移温度の制御、流動性の向上、屈折率の
アップ、結晶性の向上、あるいは複屈折の低減等の光学
的性質の制御等を目的として、必要に応じ、上記芳香族
ジヒドロキシ化合物以外の各種モノマーを1種又は2種
以上を含有(共重合)させることも可能なことは言うま
でもない。
【0024】これらの共重合成分の具体例としては、
(i)脂肪族ジヒドロキシ化合物類、例えば、エチレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール、2,2−ジメチル−1,3−プ
ロパンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレ
ングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、ポリテトラメチレングリコール等、(i
i)ジカルボン酸類、例えば、コハク酸、イソフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、シ
クロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸等、あるいは
(iii)オキシ酸類、例えば、p−ヒドロキシ安息香
酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、乳酸等、(i
v)上記式(2)にふくまれない芳香族ジヒドロキシ化
合物類、例えば、4,4'−ジヒドロキシジフェニル−
3,3'−イサチン、3,6−ジヒドロキシ−9,9−
ジメチルキサンテン、レゾルシン、3−メチルレゾルシ
ン、3−エチルレゾルシン、3−ブチルレゾルシン、3
−t−ブチルレゾルシン、3−フェニルレゾルシン、3
−クミルレゾルシン、ヒドロキノン、2−メチルヒドロ
キノン、2−エチルヒドロキノン、2−ブチルヒドロキ
ノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2−フェニルヒド
ロキノン、2−クミルヒドロキノン、4,4’−ジヒド
ロキシジフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジ
ヒドロキシジフェニル等が挙げられる。
【0025】一方、カーボネート結合形成性化合物とし
ては、溶融重縮合法でポリカーボネートオリゴマーを製
造する場合には、炭酸ジエステルが用いられる。
【0026】該炭酸ジエステルの具体例としては、ジフ
ェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(2
−クロロフェニル)カーボネート、m−クレシルカーボ
ネート、ジナフチルカーボネート、ビス(4−ビフェニ
ル)カーボネート等のジアリールカーボネート、ジメチ
ルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカー
ボネートのジアルキルカーボネート、ジシクロヘキシル
カーボネート等のジシクロアルキルカーボネートを挙げ
ることができる。これらのうち、ジフェニルカーボネー
トが、反応性、得られる樹脂の着色に対する安定性、更
にはコストの点より最も好ましい。
【0027】また、界面重合法でポリカーボネートオリ
ゴマーを製造する場合には、カーボネート結合形成性化
合物として、通常ホスゲンが用いられる。
【0028】本発明方法が適用される低分子量芳香族ポ
リカーボネートは、好ましくは、上記の芳香族ジヒドロ
キシ化合物と炭酸ジエステルを、好ましくはエステル交
換触媒の存在下、加熱溶融反応させる溶融重縮合法によ
り製造される。この場合の重合原料仕込みモル比として
は、重合反応装置の形式や大きさ等にも多少依存する
が、カーボネート結合形成性化合物/芳香族ジヒドロキ
シ化合物のモル比として概略1.07/1〜0.9/1
である。
【0029】溶融重縮合反応による芳香族ポリカーボネ
ート、特に低分子量芳香族ポリカーボネート(オリゴマ
ー又はプレポリマー)の製造において、エステル交換触
媒が使用可能である。エステル交換触媒としては、アル
カリ金属化合物を含有する触媒系、テトラブチルチタネ
ート等のチタン系触媒、酢酸第一錫、ジブチル錫ジアセ
テート等の錫系化合物、酸化ゲルマニウム等のゲルマニ
ウム系化合物、酢酸カルシウム等のアルカリ土類金属化
合物等を挙げることができる。これらのうち、重合反応
速度、反応時の着色等の点で塩基性エステル交換触媒が
好ましく使用され、なかでも、アルカリ金属化合物を含
有する触媒系が特に好ましく使用される。
【0030】上記の触媒として好適に使用されるアルカ
リ金属化合物としては、例えば、アルカリ金属の水酸化
物、炭化水素化合物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸
塩、亜硫酸塩、シアン酸塩チオシアン酸塩、脂肪族カル
ボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、水素化硼素塩、安息香
酸塩燐酸水素化物、ビスフェノール又はフェノールの塩
等が挙げられる。
【0031】これらの具体例としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリ
ウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、
酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、硝酸ナ
トリウム、硝酸カリウム、硝酸ルビジウム、硝酸リチウ
ム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ルビジ
ウム、亜硝酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリ
ウム、亜硫酸リチウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸
カリウム、シアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウ
ム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム、チ
オシアン酸セシウム、カプロン酸ナトリウム、ラウリン
酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸
カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウ
ム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、
水素化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、
安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチ
ウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素ジカリウ
ム、リン酸水素ジリチウム、ビスフェノールAのジナト
リウム塩、ジカリウム塩、ジリチウム塩、モノナトリウ
ム塩、モノカリウム塩、ナトリウムカリウム塩、ナトリ
ウムリチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム
塩、リチウム塩等が挙げられる。
【0032】溶融重合反応の触媒としては、上記の如き
アルカリ金属元素を含有する触媒系が使用できるが、ア
ルカリ金属化合物は、カーボネート結合を分解する能力
もまた有するため、重合反応速度の触媒能をできうる限
り保持しつつ、その使用量を抑えることが好ましい。
【0033】この目的を達成するためには、上記アルカ
リ金属化合物等の塩基性エステル交換触媒とともに、塩
基性窒素化合物及び/又は塩基性リン化合物を併用し、
アルカリ金属元素量を芳香族ジヒドロキシ化合物1モル
に対して1×10-8〜5×10-5モルの範囲に保つこと
が好ましい。上記範囲を逸脱すると、得られる芳香族ポ
リカーボネートの諸物性に悪影響を及ぼしたり、またエ
ステル交換反応が十分に進行せず、高分子量のポリカー
ボネートが得られないことがある。ポリカーボネート中
の触媒系由来のアルカリ金属元素量をかかる量範囲で使
用することによりポリカーボネートの製造を効率的に生
産性良く実施し得るとともに、得られるポリカーボネー
トの物性も本発明の目的を達成する上で好ましいものと
なる。
【0034】ここで塩基性エステル交換触媒とともに触
媒として併用される塩基性窒素化合物の具体例として
は、例えば、(a)テトラメチルアンモニウムヒドロキ
シド(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒド
ロキシド(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウム
ヒドロキシド(Bu4NOH)、ベンジルトリメチルア
ンモニウムヒドロキシド(Ph−CH2(Me)3NO
H)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシ
ド等のアルキル、アリール、アラルキル基等を有するア
ンモニウムヒドロキシド類、(b)テトラメチルアンモ
ニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムフェノキ
シド、テトラブチルアンモニウム炭酸塩、ベンジルトリ
メチルアンモニウム安息香酸塩ヘキサデシルトリメチル
アンモニウムエトキシド等のアルキル、アリール、アラ
ルキル基等を有する塩基性アンモニウム塩、(c)トリ
エチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルア
ミン、ヘキサデシルジメチルアミン等の第三級アミン、
及び(d)テトラメチルアンモニウムボロハイドライド
(Me4NBH4)、テトラブチルアンモニウムボロハイ
ドライド(Bu4NBH4)、テトラブチルアンモニウム
テトラフェニルボレート(Bu4NBPh4)、テトラメ
チルアンモニウムテトラフェニルボレート(Me4NB
Ph4)等の塩基性塩等を挙げることができる。
【0035】また、触媒として併用される塩基性リン化
合物の具体例としては、例えば、(a)テトラメチルホ
スホニウムヒドロキシド(Me4POH)、テトラエチ
ルホスホニウムヒドロキシド(Et4POH)、テトラ
ブチルホスホニウムヒドロキシド(Bu4POH)、ベ
ンジルトリメチルホスホニウムヒドロキシド(Ph−C
2(Me)3POH)、ヘキサデシルトリメチルホスホ
ニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール、アラルキ
ル基等を有するホスホニウムヒドロキシド類、及び
(b)テトラメチルホスホニウムボロハイドライド(M
4PBH4)、テトラブチルホスホニウムボロハイドラ
イド(Bu4PBH4)、テトラブチルホスホニウムテト
ラフェニルボレート(Bu4PBPh4)、テトラメチル
ホスホニウムトラフェニルボレート(Me4PBPh4
等の塩基性塩類等を挙げることができる。
【0036】上記の塩基性窒素化合物及び塩基性リン化
合物は、塩基性窒素原子あるいは塩基性リン原子が芳香
族ジヒドロキシ化合物の1モルに対し、1×10-5〜5
×10-4当量となる割合で用いるのが好ましい。より好
ましい使用割合は、同じ基準に対し2×10-5〜5×1
-4当量となる割合である。特に好ましい割合は、同じ
基準に対し5×10-5〜4×10-4当量となる割合であ
る。
【0037】本発明の方法においては、未結晶低分子量
芳香族ポリカーボネート(以下プレポリマー称する)と
して、固有粘度[η]が0.05〜0.38、好ましく
は0.12〜0.37、のものが使用される。なお、本
発明で言う芳香族ポリカーボネートの固有粘度[η]
は、ジクロロメタン溶液にて温度20℃で測定した粘度
から算出される値である。
【0038】本発明で使用するプレポリマーの固有粘度
[η]が上記範囲より低いと、固相重合反応を実施する
のに十分な融点を有する結晶化物を得ることが困難であ
る、または固相重合反応時に生成する揮発成分が多くな
りすぎる問題があるので、好ましくない。一方、固有粘
度[η]が上記範囲を超えると、プレポリマーの製造に
時間がかかりすぎ、場合によって着色、ゲル化等が生じ
るため、好ましくない。
【0039】プレポリマーは、固体で結晶化度がほぼ0
%の完全非晶状態のもの、あるいはそれに近い非晶状態
の低分子量芳香族ポリカーボネートである。固体状態で
取り扱うことで、溶融状態で取り扱うことに比べ、結晶
化時に接触させるモノヒドロキシ化合物と水の混合液の
温度管理が容易になり、安定且つ効率的に結晶化を行う
ことが出来る。また該プレポリマーを溶融重縮合反応で
製造する場合には、反応直後の溶融状態にあるポリカー
ボネートオリゴマーを冷却固化させた後、粉砕機にか
けて適当な大きさの粒径に分級する方法、回転刃を用
いて温水中でカッティングする方法等により好適に製造
される。
【0040】本発明方法によれば、このようなプレポリ
マーを結晶化する際、結晶化溶媒としてモノヒドロキシ
化合物と水の混合液を用い、該混合液に65〜110℃
において接触させて結晶化させる。
【0041】ここで、モノヒドロキシ化合物としては、
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロ
パノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2‐メチ
ル−2ブタノール等の脂肪族アルコール類;シクロヘキ
サノール等の脂環族アルコール類;フェノール、ベンジ
ルアルコール、フェネチルアルコール、o−クロロフェ
ノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノー
ル、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾー
ル、1−ナフトール、2−ナフトール等の芳香族ヒドロ
キシ化合物を用いることが出来る。
【0042】これらの中でも、メタノール、エタノー
ル、1−プロパノール、2−プロパノール、フェノール
が好ましく、とりわけフェノールが最も好ましい。また
これらのモノヒドロキシ化合物は単独で使用しても、複
数の混合物で使用してもよい。
【0043】該混合物におけるこれらのモノヒドロキシ
化合物の含有量は、10重量%以上90重量%以下、好
ましくは10重量%以上50重量%以下の範囲が適当で
ある。該混合物中のモノヒドロキシ化合物の含有量が1
0重量%以下の範囲では、プレポリマーの結晶化が十分
に進行せず、固相重合の際、粒子同士の融着を招く。ま
た、該混合物中のモノヒドロキシ化合物が90重量%の
範囲では、プレポリマーの多くが該混合液に溶解してし
まうといった問題を生じる。プレポリマーの結晶化を該
混合液に浸漬させて行う場合には、モノヒドロキシ化合
物と水の混合液は均質な溶液状に限らず、分散液の状態
にあるものでもよいが、均質であることが望ましい。ま
た、このときの該混合液の温度は65〜110℃が好ま
しいが、プレポリマーの結晶化時間や到達する結晶化
度、あるいは該混合物の均一性を考慮すると90℃〜1
10℃であることが好ましい。
【0044】本発明者らの研究によればフェノールと水
の混合液では、水を含むことによってフェノール単独の
場合に比べて結晶化処理時のプレポリマーの溶出が抑制
されるばかりでなく、結晶化が促進されるという特異な
効果が認められることが判明した。その結果結晶化後の
プレポリマーが融着を起こしにくく、固相重合を効率良
く進めることができる。この効果はフェノールの含有量
が10重量%〜50重量%の範囲で特に顕著である。
【0045】上記の如く固体の未結晶低分子量芳香族ポ
リカーボネートを、温度範囲と組成範囲の該混合液によ
って結晶化させることによって、従来困難であった融着
し難い結晶化プレポリマーの作成を容易ならしめること
が可能となった。
【0046】本発明方法において、溶融重縮合法を経て
プレポリマーを製造する場合には、その製造に使用され
るカーボネート結合形成性化合物が芳香族ジヒドロキシ
化合物と反応して生じるモノヒドロキシ化合物と結晶化
に使用するモノヒドロキシ化合物とが、同一であること
が好ましい。これにより製品のポリカーボネート樹脂に
不純物が混入する可能性が低くなり、回収プロセスも組
み易くなるという利点が生じる。
【0047】例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とジフ
ェニルカーボネートとを溶融重縮合反応させると反応時
にフェノールが発生するが、これに水を加えたものを結
晶化溶媒として用いると、製品のポリカーボネート樹脂
に不純物の混入が少なくなり、しかも、回収が容易とい
うメリットが生まれる。この場合、フェノールとして、
溶融重縮合工程から排出されるものを利用することも出
来る。
【0048】本発明方法において、プレポリマーとモノ
ヒドロキシ化合物と水の混合液に接触させる方法として
は、(I)プレポリマーを粉砕・分級後、上記モノヒド
ロキシ化合物と水の混合液に浸漬させる方法、(II)プ
レポリマーを上記モノヒドロキシ化合物と水の混合液に
浸漬後、もしくは浸漬しながら造粒する方法、(III)
溶融状態の低分子量芳香族ポリカーボネートを造粒しな
がら固化させ、その後上記モノヒドロキシ化合物と水の
混合液に浸漬させる方法、等が挙げられる。
【0049】上記(I)の場合、低分子量ポリカーボネ
ートを溶融状態から水中又は熱水中にストランド状で引
き出して固化した後、裁断機、回転刃等によって所定の
長さに切断・造粒し、その後、上記モノヒドロキシ化合
物と水の混合液の液流中に落下させて結晶化し、液流に
よって固−液分離装置まで搬送する方法を好ましい様態
として例示できる。
【0050】上記(II)の場合、重合後の低分子量ポリ
カーボネートを水中又は熱水中に吐出して固体にした
後、上記モノヒドロキシ化合物と水の混合液中へストラ
ンド状に押し出して、ストランドと刃を垂直に設置した
裁断機、回転刃等によって所定の長さに切断・造粒する
方法を好ましい様態として例示できる。
【0051】また、上記(III)の場合、溶融状態の低
分子量ポリカーボネートを、液中カッターを用いて熱水
中で固化・裁断し、その後モノヒドロキシ化合物と水の
混合液に浸漬する方法を好ましい様態として例示でき
る。
【0052】プレポリマーを浸漬させる際のモノヒドロ
キシ化合物と水の混合液の量は、特に制限はないが、プ
レポリマーの0.5〜50重量倍が好ましい。0.5重
量倍以下ではプレポリマーが浸漬するのに十分ではな
く、粒子同士が溶解して凝集してしまう。逆に50重量
倍以上では大量の液を扱うことになるため、プロセス上
好ましくない。
【0053】プレポリマーの該混合液への浸漬の時間
は、モノヒドロキシ化合物と水の混合物の種類、濃度、
温度によっても異なるが、一般に2分〜60分程度が適
当である。
【0054】本発明方法では、上記の溶媒処理によって
プレポリマーの結晶化を実質的に同一の分子構造を保ち
つつ行うことが可能である。ここで「実質的に同一の分
子構造」とは、ポリマーの主たる繰り返し単位が同一で
あることを指し、末端基の構造、ヒドロキシ末端といっ
た末端基の構成比や副反応で生成するような分岐の程度
といったポリマーの主たる繰り返し構造とは本質的に関
係しない部分に多少の差異があっても差し支えないこと
を意味する。この結晶化プレポリマーの固有粘度[η]
には特に制限はないが、固有粘度[η]は0.15〜
1.7が好ましく、より好ましくは0.25〜1.5で
ある。
【0055】こうして得られた結晶化プレポリマーは結
晶化の進行度合いにより、結晶化温度以上の温度に加熱
して結晶化を促進するのが好ましい場合もある。こうし
た追加の熱処理は、結晶化プレポリマー同士が再融着し
ない範囲で実施され、固相重合温度でも融着しない程度
まで、結晶化を進行させる必要がある。この際、結晶化
温度によっては多少の重合度の上昇が起こり得る。
【0056】以上の如き本発明の方法で結晶化させたプ
レポリマーは、必要に応じて、結晶化溶媒の除去・回収
を行う。これには、通常、遠心分離機のような固−液分
離装置と熱風乾燥機等が使用される。
【0057】本発明方法で結晶化溶媒として使用するモ
ノヒドロキシ化合物と水の混合液はプレポリマーにクラ
ックを発生させることが殆どなく、たとえポリマー中に
微量残留してもポリマー物性や後の固相重合工程に悪影
響を及ぼすことが少ない。
【0058】以上の如き本発明の方法で結晶化させたプ
レポリマーは、固体状態のまま、該結晶化物の融点以下
の温度で、減圧下あるいは不活性ガス気流下にて加熱さ
れ、固相重合が行われ高重合度の芳香族ポリカーボネー
トとなる。
【0059】固相重合温度としては180〜250℃程
度が適当である。重合速度の点では高温が好ましいが、
結晶化プレポリマーの融着を防ぐため、その融点より低
い温度で実施する必要がある。また、重合度の上昇と共
に、結晶化プレポリマーの融点も上昇するため、融点の
上昇に伴い順次固相重合温度を上昇する方法も好ましく
用いられる。重合時間としては通常数時間〜数十時間が
採用される。
【0060】また、使用される不活性ガスとしては、ヘ
リウム、アルゴン、窒素ガス等を例示できる。減圧下で
重合反応を行う際の減圧度としては、圧力が低いほど重
合の効率は高いが、実用的な範囲を考慮すると、概略1
Pa〜30kPa、好ましくは5Pa〜15kPa程度
である。この固相重合中に、結晶化プレポリマーを機械
的にあるいは気体流により攪拌してもよい。
【0061】このような固相重合は、芳香族ポリカーボ
ネートの固有粘度[η]が0.3〜1.7となるまで行
うことが好ましい。
【0062】以上のごとき固相重合により製造された芳
香族ポリカーボネート樹脂は、色相が良く、ゲル成分も
少なく成形性に優れたものとなる。
【0063】本発明方法により製造される芳香族ポリカ
ーボネート樹脂は、使用目的により、離型剤、耐熱安定
剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤等の各種添加
剤、ガラス繊維、鉱物、フィラーといった無機剤、ま
た、ポリカーボネート樹脂以外のポリマーを混合するこ
とにより、成形用樹脂、フィルム、繊維として、従来か
らのポリカーボネート樹脂の用途に使用可能である。
【0064】
【発明の効果】本発明方法によれば、プレポリマーをモ
ノヒドロキシ化合物と水の混合液に65〜110℃にお
いて接触させて結晶化させることにより、複雑な回収系
を必要とせず、また粉末等の発生を伴うことなく効率的
に結晶化させることが出来る。得られた結晶化プレポリ
マーは固相重合時に融着し難く、効率的に固相重合を行
うことができる。その結果良好な高重合度のポリカーボ
ネート樹脂を容易に製造することができ、この樹脂は色
相、成形性が良好で、有用な成形品を与える。
【0065】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0066】1)芳香族ポリカーボネートの固有粘度
[η] ジクロロメタン中、20℃でウベローデ粘度管にて測定
した。
【0067】2)ガラス転移温度(Tg)、融点 パーキンエルマーDSC7により、昇温速度10℃/分
で測定してガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)を求
めた。また、結晶融解のエンタルピー(ΔH)は、結晶
融解に対応する部分の面積より算出した。
【0068】3)結晶化度 結晶化度は、DSC測定によって得られたΔHから、1
00%結晶化ポリカーボネートのΔHをジャーナル・オ
ブ・ポリマー・サイエンス;パートB:ポリマー・フィ
ジックス(J.Polym.Sci.:B:Poly
m.Phys.)1979年第25巻1511〜151
7ページを参考にして109.8J/gとして計算し
た。
【0069】4)粘度平均分子量 粘度平均分子量Mvは、上記1)によって求められた固
有粘度[η]を元にして、マーク−ホーウインクの粘度式
と呼ばれる下記式(3)を用いて算出した。なお、マー
ク−ホーウインク定数K、並びにαはシュネル氏の値を
採用した。 [η]=KMvα (3) (Mv=粘度平均分子量、K=1.23×10-4、α=
0.83)
【0070】5)結晶化プレポリマーの融着評価法 底面積40.7cm2、高さ20cmの金属製の円筒容
器に粒径を0.84〜2.00mmに揃えた結晶化プレ
ポリマー20gを入れて最密充填させた。これに32
8.7gのおもりを乗せて容器全体を150℃、1時間
保持した時のおもりの沈降(mm)によって融着の評価
を行った。
【0071】[参考例1:未結晶低分子量芳香族ポリカ
ーボネートの合成例]2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン228重量部、ジフェニルカーボネー
ト223重量部及びテトラメチルアンモニウムヒドロキ
シド0.009重量部及びビスフェノールAジナトリウ
ム塩0.00014重量部を攪拌装置、減圧装置及び蒸
留塔等を備えた反応装置に仕込み、180℃窒素雰囲気
下で30分攪拌し溶解した。次いで、昇温と同時に徐々
に減圧下とし、発生するフェノールを留去しながら反応
させ、最終的に220℃、30mmHgとした。この時
点で、得られたプレポリマーの固有粘度[η]は0.1
5、粘度平均分子量が5230、ガラス転移温度(T
g)は116℃であった。
【0072】[参考例2]参考例1で得られたプレポリ
マーについて、粉砕・分級し、2.00〜3.35mm
の粒径範囲のものを採取した。これについて上記融着評
価を行ったところ、おもりが17mm沈降し、融着が認
められた。
【0073】[実施例1]上記の参考例1で得られたプ
レポリマーを粉砕・分級し、2.00〜3.35mmの
粒径範囲のものを採取した。この30重量部を、フェノ
ール/水=2/8(重量比)からなる100℃の混合液
中に、30分間浸漬させて結晶化処理を行った。浸漬後
混合液を濾別し、100℃で16時間乾燥させて、固有
粘度[η]0.15、融点222.3℃、結晶化度2
6.5%の結晶化プレポリマーを得た。上記融着評価を
行ったところおもりは沈降せず、融着は認められなかっ
た。
【0074】[実施例2]浸漬時間を10分にした以外
は実施例1と同様に行った。このようにして固有粘度
[η]0.15、融点219.5℃、結晶化度18.6
%の結晶化プレポリマーを得た。上記融着評価を行った
ところおもりは沈降せず、融着は認められなかった。
【0075】[実施例3]実施例1で得られた結晶化プ
レポリマー30gを200mlのフラスコにいれ、0.
4kPa(3mmHg)の減圧下、150℃から固相重
合を始めた。240℃まで段階的に昇温し、合計35時
間固相重合を続けたところ、固有粘度[η]が0.5
7、粘度平均分子量Mvが26200、融点276℃の
芳香族ポリカーボネート樹脂が得られた。
【0076】[実施例4]実施例2で得られた結晶化プ
レポリマー30gを200mlのフラスコにいれ、0.
4kPa(3mmHg)の減圧下、150℃から固相重
合を始めた。240℃まで段階的に昇温し、合計42時
間固相重合を続けたところ、固有粘度[η]が0.3
9、粘度平均分子量Mvが16650、融点248℃の
芳香族ポリカーボネート樹脂が得られた。
【0077】[実施例5]実施例3で得られた結晶化プ
レポリマー30gを200mlのフラスコにいれ、0.
4kPa(3mmHg)の減圧下、150℃から固相重
合を始めた。240℃まで段階的に昇温し、合計47時
間固相重合を続けたところ、固有粘度[η]が0.5
0、粘度平均分子量Mvが22400、融点270℃の
芳香族ポリカーボネート樹脂が得られた。
【0078】[実施例6]上記の参考例1で得られたプ
レポリマー500重量部を、2軸ルーダー中220℃で
溶融混合後、溶融物を80℃の熱水中に押し出しながら
回転刃で裁断した。次いでこれをフェノール/水=2/
8(重量比)からなる100℃の中に、30分間浸漬さ
せた。浸漬後混合溶液を濾別し、100℃で16時間乾
燥させて、固有粘度[η]0.15、融点223.1
℃、結晶化度23.5%の結晶化プレポリマーを得た。
上記融着評価を行ったところおもりは沈降せず、融着は
認められなかった。
【0079】この結晶化プレポリマー30gを200m
lのフラスコにいれ、0.4kPa(3mmHg)の減
圧下、150℃から固相重合を始めた。240℃まで段
階的に昇温し、合計35時間固相重合を続けたところ、
固有粘度[η]が0.31、粘度平均分子量Mvが12
300、融点258℃の芳香族ポリカーボネート樹脂が
得られた。
【0080】[実施例7]実施例6記載の結晶化プレポ
リマー20gを内容積が300mlの窒素ガスが流通可
能なガラス容器に入れ、窒素流量を4L毎分にし、15
0℃から固相重合を始めた。240℃まで段階的に昇温
し、合計35時間固相重合を続けたところ、固有粘度
[η]が0.33、粘度平均分子量Mvが18700、
融点254℃の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られ
た。
【0081】[比較例1]上記の参考例1で得られたオ
リゴマー500重量部を2000重量部のアセトンに攪
拌しながら30分間浸漬し、吸引濾過でアセトンを除去
後120℃で2時間乾燥し、固有粘度[η]0.15、
融点220.0℃、結晶化度22%の結晶化オリゴマー
を得た。この結晶化方法では600μm以下の微粉末が
150重量部発生したので、その後の固相重合工程では
非常に取り扱いにくいものであった。また、結晶化チッ
プ表面には大きなクラックが発生しており、容易に微粉
末化するものであった。
【0082】[比較例2]上記の参考例1で得られたプ
レポリマー500重量部を、2軸ルーダー中220℃で
溶融混合後、フェノール/水=2/8(重量比)からな
る60℃の混合液中に、冷却固化する前にストランド状
に押し出して回転刃で裁断した。その後上記の混合溶液
に5分間浸漬した。混合溶液を濾別し、100℃で16
時間乾燥させて、固有粘度[η]0.15、融点22
1.9℃、結晶化度13.7%の結晶化プレポリマーを
得た。上記融着評価を行ったところおもりは10mm沈
降し、融着が認められた。
【0083】この結晶化プレポリマー30gを200m
lのフラスコにいれ、3mmHgの減圧下、150℃か
ら固相重合を始めた。240℃まで段階的に昇温し、合
計30時間固相重合を続けたところ、固有粘度[η]が
0.32、粘度平均分子量Mvが13200、融点23
9℃のポリカーボネート樹脂が得られた。しかし融着が
起こっていたので大きな塊の状態でポリマーが製造さ
れ、その後のチップ化工程に投入出来なかった。
【0084】[比較例3]上記の参考例1で得られたプ
レポリマーを粉砕し、0.84〜2.00mmの粒径範
囲のものを採取した。この30重量部を、フェノール/
水=2/8(重量比)からなる60℃の混合液中に、3
0分間浸漬させた。浸漬後混合液を濾別し、100℃で
16時間乾燥させて、固有粘度[η]0.15、融点2
19.9℃、結晶化度12.0%の結晶化プレポリマー
を得た。上記融着評価を行ったところおもりは15mm
沈降し、融着が認められた。この結晶化プレポリマーを
用いて固相重合を行うと大きな塊の状態でポリマーが製
造された。そのためチップ化工程に投入出来なかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石渡 豊明 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 (72)発明者 河野 一輝 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4J029 AA09 AB05 AB07 AC01 AE01 AE04 AE05 BB12A BB12B BB12C BH02 DB11 DB12 DB13 FA07 HC04A KC02 KE05 KH03 KH05 KH08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主たる繰り返し単位が下記式(1) 【化1】 [上記式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ
    独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のア
    ルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基又は炭素数6
    〜20のアリール基であり、Wは炭素数2〜10のアル
    キリデン基、炭素数1〜15のアルキレン基、炭素数7
    〜20のアリール置換アルキレン基、炭素数3〜15の
    シクロアルキリデン基、炭素数3〜15のシクロアルキ
    レン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキシド基又はスル
    ホン基である。]で表わされる固有粘度[η]が0.0
    5〜0.38の固体の未結晶低分子量芳香族ポリカーボ
    ネートを、モノヒドロキシ化合物と水の混合液に65〜
    110℃において接触させて結晶化させることを特徴と
    する低分子量芳香族ポリカーボネートの結晶化方法。
  2. 【請求項2】 低分子量芳香族ポリカーボネートが、芳
    香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート結合形成性化合
    物とを溶融重縮合したものであることを特徴とする請求
    項1に記載の低分子量芳香族ポリカーボネートの結晶化
    方法。
  3. 【請求項3】 低分子量芳香族ポリカーボネートが、下
    記式(2) 【化2】 [上記式(2)中、R1、R2、R3、R4及びWは、上記
    式(1)におけるものと同じである。]で表わされる芳
    香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮
    合したものであることを特徴とする請求項1または請求
    項2記載の低分子量芳香族ポリカーボネートの結晶化方
    法。
  4. 【請求項4】 モノヒドロキシ化合物がフェノールであ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載
    の低分子量芳香族ポリカーボネートの結晶化方法。
  5. 【請求項5】 該混合液におけるフェノール含有率が1
    0重量%以上90重量%以下であることを特徴とする請
    求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 該混合液におけるフェノール含有率が1
    0重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 浸漬する該混合液の温度が90℃〜11
    0℃である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 固体の未結晶低分子量芳香族ポリカーボ
    ネートを、請求項1〜請求項7のいずれかの方法で結晶
    化させた結晶化物を、該結晶化物の融点より低い温度
    で、減圧下あるいは常圧の不活性ガス気流下にて加熱
    し、低分子量ポリカーボネートを高重合度化することを
    特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
  9. 【請求項9】 減圧下あるいは常圧の不活性ガス気流下
    の加熱により固有粘度[η]が0.3〜1.7のポリカ
    ーボネートを製造することを特徴とする請求項8に記載
    のポリカーボネート樹脂の製造方法。
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