JP2003301036A - 全芳香族ポリエステル粒状成形体及びそれを用いた全芳香族ポリエステルの製造方法 - Google Patents

全芳香族ポリエステル粒状成形体及びそれを用いた全芳香族ポリエステルの製造方法

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JP2003301036A
JP2003301036A JP2002108011A JP2002108011A JP2003301036A JP 2003301036 A JP2003301036 A JP 2003301036A JP 2002108011 A JP2002108011 A JP 2002108011A JP 2002108011 A JP2002108011 A JP 2002108011A JP 2003301036 A JP2003301036 A JP 2003301036A
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aromatic polyester
wholly aromatic
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prepolymer
granular
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Application number
JP2002108011A
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English (en)
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Takashi Ito
伊藤  隆
Hiroshi Sakurai
博志 櫻井
Masayuki Jokai
真之 畳開
Shunichi Matsumura
俊一 松村
Toyoaki Ishiwatari
豊明 石渡
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高重合度の芳香族ポリエステルを製造する際
にプロセスハンドリングの軽減と固相重合時間の短縮と
微粉末による収率の低下を防ぐ方法の提供。 【解決手段】 実質的に下記式(1) 【化1】 からなる繰り返し単位で表され、還元粘度0.05〜
0.3dL/g、DSCを用いて10℃/分の昇温速度
で測定した結晶融解熱量が0.5〜60J/gである全
芳香族ポリエステルで主に構成され、比表面積が0.0
01〜1m2/g、および嵩密度が0.4〜1.3g/
ccである全芳香族ポリエステル粒状成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は全芳香族ポリエステ
ル粒状成形体、その製造方法およびそれを用いた高重合
度の全芳香族ポリエステルの製造方法に関する。さらに
詳しくは色調の優れた高重合度の全芳香族ポリエステル
を短時間で、生産性よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、耐熱性が高く機械的強度の優れた
エンジニアリングプラスチックに対する要求性能が高ま
っている。非晶性エンジニアリングプラスチックの1つ
に芳香族ジオールと芳香族ジカルボン酸に由来する全芳
香族ポリエステルがある。例えば、芳香族ジオールとし
て2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸とイソフタル酸
からなる非晶性全芳香族ポリエステルは、比較的バラン
スの取れた特性を有しており、各種の用途に用いられて
いる。
【0003】これまで、全芳香族ポリエステルの溶融重
合による研究が多数行われてきた(特公昭38−262
99号公報、特開昭48−11394号公報、特開昭6
0−186529号公報、米国特許第4338422
号、米国特許第4360648号等)が、いずれも反応
後期に粘度が上昇し、高重合度のポリマーを得るのが困
難であった。そこで、全芳香族ポリエステルの固相重合
法が検討されている。固相重合法とは、溶融重合である
程度の重合度を有するプレポリマーを製造後、加熱処理
や溶剤処理等により結晶化させた後、固相で重合を続け
るといった方法である。
【0004】全芳香族ポリエステルの固相重合法として
は、芳香族ジオールと芳香族ジカルボン酸のジアリール
エステルとを重合させ、得られたプレポリマーを結晶化
させた後、固相重合を行う方法(特開平8−31934
6号公報、特開昭59−21888号公報、特開昭53
−43797号公報、特開昭53−54295号公報
等)、芳香族ジオールのエステル誘導体と芳香族ジカル
ボン酸等を反応させ、得られたプレポリマーを結晶化さ
せた後、固相重合を行う方法(特開昭57−2331号
公報、特開平5−331271号公報、特開平8−31
9346号公報等)が報告されている。しかし、これら
の方法はいずれも原料をあらかじめエステル化せねばな
らずコスト高になるといった問題があった。
【0005】上記を解決する方法として、芳香族ジオー
ルと芳香族ジカルボン酸、およびジアリールカーボネー
トからプレポリマーを作成し、得られたプレポリマーを
結晶化させた後、固相重合を行う方法(特公平7−94
540号公報、特公昭55−98224号公報等)があ
る。しかし、これらの方法においては、固相重合時に粉
末状の結晶性プレポリマーを用いており、プロセスでの
ハンドリングに大きな問題があった。また、粉末状の結
晶性プレポリマーを用いた固相重合法では、固相重合時
間の短縮に限界があった。
【0006】このように、従来知られている全芳香族ポ
リエステルの固相重合法では、安価にかつ高重合度のポ
リマーを短時間で得ることが実質的に困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、結晶化し
た低分子量の結晶性プレポリマーを粉砕等した後、圧縮
成形することで全芳香族ポリエステル粒状成形体とし、
これを用いることでプロセスでのハンドリングの問題と
固相重合時間の長時間化といった問題を同時に解決する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達
成するため、次の構成を有する。
【0009】第1に実質的に下記式(1)
【0010】
【化4】 [上記式中のAr1は置換されても良い芳香族基であ
り、Ar2、Ar3は各々置換されていてもよいフェニレ
ン基である。Xは、下記式(2)
【0011】
【化5】 (上記式(2)中のR1,R2,R3およびR4は、各々独
立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル
基、炭素数5または6のシクロアルキル基、炭素数6〜
12のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基
から選ばれる1つの基である。qは4〜10の整数を示
す。ただし複数個のR3およびR4は同一でも異なってい
てもよい。)で表わされる2価の有機基である。またY
は0〜17までの任意の数を表す。]からなる繰り返し
単位で表され、還元粘度0.05〜0.3dL/g、D
SCを用いて10℃/分の昇温速度で測定した結晶融解
熱量が0.5〜60J/gである全芳香族ポリエステル
で主に構成され、比表面積が0.001〜1m2/g、
および嵩密度が0.4〜1.3g/ccである全芳香族
ポリエステル粒状成形体である。
【0012】第2に実質的に下記式(3) HO−Ar2−X−Ar3−OH (3) [上記式中のAr2,Ar3,Xは上記式(1)中の説明
と同義である。]で表される芳香族ジオール(a)、下
記式(4) HOOC−Ar1−COOH (4) [上記式中のAr1は上記式(1)中の説明と同義であ
る。]で表される芳香族ジカルボン酸(b)およびジア
リールカーボネート(c)の3成分を、下記数式(ロ)
および(ハ) A:B:C=(1+X1):1:(2+X2) (ロ) 0.95≦C/(A+B)≦1.05 (ハ) [上記数式(ロ)および(ハ)中、Aは芳香族ジオール
(a)、Bは芳香族ジカルボン酸(b)、Cはジアリー
ルカーボネート(c)を各モル数である。X1およびX2
は0以上0.2以下までの任意の数を示す。]を同時に
満足するモル割合で用いて180℃以上の加熱下に溶融
重合させて、還元粘度が0.05〜0.3dL/gの範
囲内にある非晶性プレポリマーを調製する予備重合工
程、 非晶性プレポリマーを結晶化して、DSCを用いて
10℃/分の昇温速度で測定した結晶融解熱量が0.5
〜60J/gである結晶性プレポリマーを調製する結晶
化工程、 結晶性プレポリマーを0.01mm〜5mm以下の
粒子径に粉砕し粉砕化結晶性プレポリマーを、または結
晶性プレポリマーを細分し粒状結晶性プレポリマーを調
製する粉砕等工程、 粉砕化結晶性プレポリマーおよび/または粒状結晶
性プレポリマーから得た還元粘度0.05〜0.3dL
/g、かつDSCを用いて10℃/分の昇温速度で測定
した結晶融解熱量が0.5〜60J/gである結晶性プ
レポリマーの粉体および/または粒状物を圧縮成形し全
芳香族ポリエステル粒状成形体を製造する工程、をこの
順で行うことで構成されており、かつ粉砕化結晶性プレ
ポリマーおよび/または粒状結晶性プレポリマーの比表
面積(g)と全芳香族ポリエステル粒状成形体の比表面
積(h)の増加率{(h−g)/g}が0.5〜20倍
である全芳香族ポリエステル粒状成形体の製造方法であ
る。
【0013】第3に第1の項に記載の全芳香族ポリエス
テル粒状成形体を、該全芳香族ポリエステル粒状成形体
のガラス転移温度以上かつ融点より低い温度で、減圧下
または常圧下不活性ガス気流下にて、加熱することによ
り重合する全芳香族ポリエステルの製造方法についてで
ある。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明ついて詳細に説明す
る。
【0015】≪繰り返し単位≫まず本発明の全芳香族ポ
リエステル粒状成形体は実質的に下記式(1)
【0016】
【化6】 [上記式中のAr1は置換されても良い芳香族基であ
り、Ar2、Ar3は各々置換されていてもよいフェニレ
ン基である。Xは、下記式(2)
【0017】
【化7】 (上記式(2)中のR1,R2,R3およびR4は、各々独
立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル
基、炭素数5または6のシクロアルキル基、炭素数6〜
12のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基
から選ばれる1つの基である。qは4〜10の整数を示
す。ただし複数個のR3およびR4は同一でも異なってい
てもよい。)で表わされる2価の有機基である。またY
は0〜17までの任意の数を表す。]からなる繰り返し
単位で表される全芳香族ポリエステルで構成される。
【0018】該全芳香族ポリエステルは実質的に線状の
ポリマーであり、繰り返し単位(1)中のAr1は置換
されても良い芳香族基であるが、具体的にはフェニレン
基、ナフチレン基、ジフェニレン基、ジフェニレンエー
テル基、ジフェニレンスルホン基、ジフェニレンインダ
ン基等の炭素数6〜20の二価の芳香族基である。該芳
香族基はその水素原子の一部または全部を各々独立にメ
チル基等の炭素数1〜3のアルキル基や、塩素、フッ素
等のハロゲン原子等で置換された基を有していてもよ
い。好ましくは無置換のフェニレン基であり、より好ま
しくはm−フェニレン基とp−フェニレン基の混合であ
り、さらにより好ましくは下記数式(イ) 0.25≦IA/TA≦0.67 (イ) [上記数式中、IA、TAはそれぞれ全Ar1に対する
m−フェニレン基およびp−フェニレン基のモル分率を
表す。]を満足する範囲にすることである。
【0019】また上記式(1)中のAr2およびAr3
各々置換されてもよいフェニレン基である。例えばAr
2および/またはAr3のフェニレン基中の1つまたは複
数の水素原子の代わりにフッ素原子、塩素原子、臭素原
子等のハロゲン原子;メチル基、メトキシ基等の炭素数
1〜6のアルキル基若しくはアルコキシ基;およびシク
ロヘキシル基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数5〜
10のシクロアルキル基若しくはシクロアルコキシ基等
で置換されていてもよい。これらの中で無置換のフェニ
レン基がより好ましい。またXは下記式(2)
【0020】
【化8】 から選ばれる基を表わす。R1,R2,R3およびR4は具
体的には水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等
のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シ
クロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5または
6のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基等の炭
素数6〜12のアリール基;ベンジル基、フェネチル基
等の炭素数7〜12のアラルキル基等が挙げられる。q
は4〜10の整数を示す。ただし複数個のR3およびR4
は同一でも異なっていてもよい。
【0021】またYは0〜17までの任意の数を表す。
Yが0に近づくにつれ上記式(1)はカーボネート結合
を有さない完全な全芳香族ポリエステルに近づき、Yが
増えるにつれ完全な全芳香族ポリエステルから芳香族ポ
リカーボネートの共重合率の増加した全芳香族ポリエス
テルカーボネートになる。上述のように本発明の全芳香
族ポリエステルは、全芳香族ポリエステルのみならず、
全芳香族ポリエステルカーボネートも含まれていること
を示している。また本発明を有効に実施するためには該
全芳香族ポリエステルが非晶性となるように、Ar1
Ar2、Ar3、およびXの基を適切に選択することが好
ましい。また本発明においては実質的には上記式(1)
で表される繰り返し単位からなるが、本発明の効果を維
持できる範囲内(例えば全繰り返し単位に対して20モ
ル%以下)で、上述のAr1、Ar2、Ar3、およびX
に上述の説明に含まれていない基を有する繰り返し単位
を共重合した全芳香族ポリエステルであっても構わな
い。例えばAr1としてはメチレン基、エチレン基、ブ
チレン基等の炭素数1〜10までの脂肪族基若しくは
1,4−シクロヘキシレン基等の炭素数5〜10までの
脂環族基が、また2価の芳香族基Ar2―X−Ar3の代
わりにフェニレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜20
の全芳香族基、メチレン基、エチレン基、ブチレン基等
の炭素数1〜10までの脂肪族基、若しくは1,4−シ
クロヘキシレン基等の炭素数5〜10までの脂環族基が
好ましく挙げられる。
【0022】≪重合度≫本発明の全芳香族ポリエステル
粒状成形体の還元粘度は、0.05〜0.3dL/gの
範囲内にあることが必要である。すなわち、還元粘度が
0.05dL/gより低いと、その後の固相重合反応を
実施するのに十分な融点を有する結晶性プレポリマーを
得ることが困難である、または固相重合反応時に生成す
る揮発成分が多くなりすぎる等の問題点があるので好ま
しくない。また、0.3dL/gを超えると非晶性プレ
ポリマーが結晶化し難く、かつ得られた結晶性プレポリ
マーの結晶融解に伴う吸熱温度範囲の上端が高温となる
ため、高温重合による着色が起こり好ましくない。更に
は固相重合速度が遅くなり、目的とする高重合度の全芳
香族ポリエステルの製造に時間がかかりすぎ、場合によ
って着色、ゲル化等が生じるため、好ましくない。
【0023】本発明で用いられる全芳香族ポリエステル
粒状成形体の還元粘度は、全芳香族ポリエステルの組成
や最終的に必要とする重合度によって異なるが、好まし
い還元粘度は0.10〜0.25dL/gである。還元
粘度をこの範囲にするには非晶性プレポリマー、および
結晶性プレポリマーの段階からこの還元粘度の範囲とな
るようにプレポリマーを製造することが好ましい。
【0024】≪結晶性の評価≫また本発明の全芳香族ポ
リエステル粒状成形体の結晶化の判断は、DSCを用い
て行なった。即ちDSCを用いて10℃/分の昇温速度
で測定した結晶融解熱量が0.5〜60J/gの範囲の
値であることが必要である。結晶融解熱量が0.5J/
g未満のときは結晶化が殆ど起こっておらず、結晶性プ
レポリマーの融着が起こってしまう。また結晶融解熱量
が60J/gを超えるときは、結晶化が進みすぎて固相
重合速度が著しく遅くなるため、結果的に重合時間が長
くなり好ましくない。結晶融解熱量の好ましい範囲は1
〜50J/gであり、5〜30J/gが特に好ましい。
【0025】≪比表面積≫また本発明の全芳香族ポリエ
ステル粒状成形体の比表面積は0.001〜1m 2/g
である。0.001m2/gより小さいと全芳香族ポリ
エステル粒状成形体を用いた固相重合速度が遅くなり好
ましくない。1m2/gを超えると表面は多孔性あるいは
多孔性に類似した構造となり、全芳香族ポリエステル粒
状成形体の表面が崩れ微粉末が発生する問題点がある。
本発明のより好ましい比表面積の範囲は0.005〜
0.8m2/gであり、より好ましくは0.01〜0.
6m2/g、最も好ましいのは0.05〜0.4m2/g
の範囲である。なおこの比表面積の値はBET法により
Krガスを用いて測定したものである。
【0026】≪嵩密度≫該全芳香族ポリエステル粒状成
形体の嵩密度が0.4〜1.3g/ccの範囲にある必
要がある。嵩密度が0.4g/ccより小さいとき、全
芳香族ポリエステル粒状成形体から微粉末が生じやすく
好ましくない。一方、嵩密度が1.3g/ccより大き
いと、全芳香族ポリエステル粒状成形体を製造する際の
圧力により結晶性プレポリマーの主鎖切断等が起こり、
架橋等の副反応が起こり好ましくない。また、結果とし
て固相重合速度が遅くなり好ましくない。好ましい範囲
としては0.7〜1.2g/ccの範囲である。
【0027】≪結晶サイズ≫本発明の全芳香族ポリエス
テル粒状成形体は、X線回折法により測定した結晶サイ
ズが100〜230オングストロームであることが好ま
しい。結晶サイズは公知の方法で測定することができる
が、好ましくは広角X線回折法で測定し、反射法を用い
て得られたものである。具体的には結晶サイズD(オン
グストローム=10-10m)は下記数式(ホ) D=(K×λ)/(β×cosθ) (ホ) (上記数式中、K=1.0(定数)、λ=1.542オングストロ
ーム(X線波長)、β=半値幅(rad)、θ=ブラック角
を表す。)を用いて求められる。
【0028】≪粒状成形体の形状≫また本発明における
粉体、粒状物とは結晶化した結晶性プレポリマー化を細
かくしたものであれば特に限定しない。しかし本発明で
は結晶性プレポリマーを例えば粉砕等の手法により、得
られた形状が一定でないものを得た場合はこれを粉体と
称し、または例えばペレタイズや打ち抜き等の手法によ
り一定の形状に成形し細分したものを得た場合はこれを
粒状物と称する。これらはともに粉砕化結晶性プレポリ
マーおよび粒状結晶性プレポリマーの好ましい形状の具
体例として挙げられる。その粒状物の形状について特に
制限はないが例えばペレット、または顆粒等の形状にし
たものが好ましい。また特に粉体においては、さらに後
で述べるような全芳香族ポリエステル粒状成形体を一旦
成形し、これを再び粉砕化した粉体も含むものである。
必要に応じて、篩をかけて一定の粒子径範囲になるよう
に分級したものを用いても構わない。
【0029】全芳香族ポリエステル粒状成形体は上記粉
体、粒状物を加圧又は押出し加工等の加工を行い圧縮成
形したものを表す。この全芳香族ポリエステル粒状成形
体には一旦圧縮成形し、これを再び粉砕化した粉体も含
むものである。その成形体の形状はすべて一定の形状に
統一されていても、そうでなくても構わない。形状につ
いては特に限定はないが、通常ペレット状、球状、円柱
状、円板状、多角柱状、立方体状、直方体状、円筒状、
レンズ状等が具体的に挙げられる。
【0030】≪粒状成形体の粒子径≫該全芳香族ポリエ
ステル粒状成形体の粒子径は20mm以下であることが
好ましい。粒子径が大きいと圧縮成形時に十分に圧縮圧
力をかけることができず、十分な機械的強度を有した全
芳香族ポリエステル粒状成形体を得ることができない。
逆に小さすぎると空気を含みやすく成形不良、強度不足
の原因になる。好ましくは0.1mm〜10mmであ
る。さらに好ましくは0.2mm〜8mmである。また
粒子径が0.1mm未満の粉末が20重量%以下である
ことが好ましい。粒子径0.1mm未満の粉末(以下微
粉末と称することがある)が20重量%より多いと微粉
末が原因となる工程トラブルが生じ、ロスとなるので好
ましくない。より好ましくは10重量%以下、特に好ま
しくは7重量%以下である。微粉末が原因となる工程ト
ラブルとは具体的には、閉塞、磨耗、偏析、付着・凝
集、粉塵飛散、フラッシングなどである。微粉末による
工程トラブルで生じやすい閉塞は供給・排出、貯蔵、輸
送時に、磨耗は輸送、粉砕時に、偏析は貯蔵、付着・凝
集は輸送、供給・排出、集塵、粉砕時に、粉塵飛散は集
塵時に、フラッシングは供給・排出時に生じる。また特
に微粉末が伴うと、固相重合による製造プロセスにおい
ては不活性ガスにより微粉末が舞って微粉末の滞留時間
が長くなり、全芳香族ポリエステルの色相や組成に悪影
響を与える。さらに微粉末量が多いと、固相重合中に微
粉末が接着剤のような役割をはたし、全芳香族ポリエス
テル粒状成形体同士の接着、固相重合用の反応容器と全
芳香族ポリエステル粒状成形体の接着が起こることがあ
り好ましくない。本発明では上記のような工程トラブル
を製造プロセスハンドリングの問題と称している。なお
本発明によって得られる全芳香族ポリエステル粒状成形
体は上記の工程トラブルを解決できる。
【0031】≪末端基比≫さらに全芳香族ポリエステル
粒状成形体においては芳香族ヒドロキシ末端基濃度
(d)、アリールエステル末端基濃度(e)およびアリ
ールカーボネート末端基濃度(f)の合計に対する芳香
族ジヒドロキシ末端基濃度(f)の比率d/(d+e+
f)が0.01〜0.90であることが好ましい。該比
率が0.01未満であると、その後の固相重合の際にジ
アリールカーボネートの脱離反応が圧倒的に多くなり、
その結果固相重合速度が遅くなる問題が生じ好ましくな
い。また該比率が0.90を超えると、最終的に得られ
る高重合度の全芳香族ポリエステルにおける全末端基中
の芳香族ヒドロキシ末端基が多くなり、溶融時に着色し
やすいあるいは加水分解により分子量が低下しやすいな
どの問題が生じるので好ましくない。該比率のより好ま
しい範囲は0.10〜0.80、最も好ましい範囲は
0.30〜0.70である。
【0032】≪粒状成形体の製造方法≫次に本発明の全
芳香族ポリエステル粒状成形体の製造方法について説明
する。本発明の製造方法はまず予備重合工程として実質
的に下記式(3) HO−Ar2−X−Ar3−OH (3) [上記式中のAr2,Ar3,Xは上記式(1)中の説明
と同義である。]で表される芳香族ジオール(a)、下
記式(4) HOOC−Ar1−COOH (4) [上記式中のAr1は上記式(1)中の説明と同義であ
る。]で表される芳香族ジカルボン酸(b)およびジア
リールカーボネート(c)の3成分を、下記数式(ロ)
および(ハ) A:B:C=(1+X1):1:(2+X2) (ロ) 0.95≦C/(A+B)≦1.05 (ハ) [上記数式(ロ)および(ハ)中、Aは芳香族ジオール
(a)、Bは芳香族ジカルボン酸(b)、Cはジアリー
ルカーボネート(c)を各モル数である。X1およびX2
は0以上0.2以下までの任意の数を示す。]を同時に
満足するモル割合で用いて180℃以上の加熱下に溶融
重合させて、還元粘度が0.05〜0.3dL/gの範
囲内にある非晶性プレポリマーを調製する。
【0033】[芳香族ジオール]芳香族ジオールは上記
式(3)で表される化合物である。上記式(3)中、A
2、Ar3は各々置換されていてもよいフェニレン基で
あり、Xは2価の有機基であり、先の繰り返し単位の項
で挙げたような官能基を、具体的には挙げることができ
る。
【0034】このような芳香族ジオール(a)として
は、具体的には2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5
−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−
(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3,5−ジクロロ
−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が例示され、こ
れらのうち2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロパンが好ましい。また、これら芳香族
ジオールは、単独で用いても一度に2種以上を併用して
もよい。
【0035】[芳香族ジカルボン酸]芳香族ジカルボン
酸は上記式(4)で表される化合物である。具体的に
は、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6
−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、
ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ジフェニル−4、
4’−ジカルボン酸、ジフェニル−2,2’−ジカルボ
ン酸、ジフェニル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニ
ルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスル
ホン−4,4’−ジカルボン酸等が挙げられる。これら
は単独で用いても2種以上を併用してもよい。なかでも
これらの中でもはイソフタル酸とテレフタル酸の混合芳
香族ジカルボン酸を用いるのが好ましく、特に下記数式
(ホ)を満足するモル比で使用される。
【0036】 0.25≦ia/ta≦0.67 (ホ) [上記数式中、ia,taは、それぞれ用いるイソフタ
ル酸とテレフタル酸の各モル数である。] 上記数式(ホ)は、テレフタル酸のモル数に対するイソ
フタル酸のモル数の比を表している。ia/ta比が
0.67より大きいと、後述する非晶性プレポリマーの
結晶化に長時間を要し好ましくない。一方、ia/ta
比が0.25より小さいと非晶性プレポリマーの結晶化
は十分速いが、結晶性プレポリマーの結晶化が進行しす
ぎるため効率的な重合速度を確保するために、高温で予
備重合を行わなければならず、結果的に着色してしまい
好ましくない。
【0037】上記数式(ホ)において、0.33≦ia
/ta≦0.60の範囲が好ましく、さらには0.35
≦ia/ta≦0.58の範囲が特に好ましい。
【0038】[ジアリールカーボネート]ジアリールカ
ーボネート(c)としては、例えば、ジフェニルカーボ
ネート、ジ−p−トリルカーボネート、ジナフチルカー
ボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、フェ
ニル−p−トリルカーボネート等が挙げられるが、これ
らのうちジフェニルカーボネートが特に好ましい。ジア
リールカーボネートは上記記載以外の官能基で置換され
ている化合物を用いてもよく、また単独で使用しても2
種以上を併用してもよい。
【0039】[予備重合工程の条件]上記数式(ロ)
は、芳香族ジオール(a)と芳香族ジカルボン酸(b)
およびジアリールカーボネート(c)の仕込みモル比を
あらわしている。X1およびX2が0.2より大きいと、
プレポリマーの結晶化が著しく遅くなり好ましくない。
【0040】上記数式(ロ)中の、芳香族ジオール
(a)と芳香族ジカルボン酸(b)との比A:B=1:
1のとき、得られるポリマーは実質的に完全なる全芳香
族ポリエステルとなる。一方、芳香族ジオール(a)が
芳香族ジカルボン酸(b)より多いとき、具体的には、
A:B=1超〜1.2:1のとき、得られるポリマーは
全芳香族ポリエスエテルカーボネートとなる。
【0041】本発明で言う全芳香族ポリエステルとは、
全芳香族ポリエステルカーボネートも含有するのは先述
のとおりである。
【0042】一方、上記数式(ハ)は、芳香族ジオール
成分(a)と芳香族ジカルボン酸成分(b)とのモル数
の和に対するジアリールカーボネート(c)のモル数の
比を表わしている。この比C/(A+B)が0.95よ
り小さいと生成するポリマーの重合が遅くなり易く、ま
た、1.05より大きいと得られるポリマーの着色が激
しくなるので、何れも好ましくない。上記数式(ハ)に
おいて、0.96≦C/(A+B)≦1.04の範囲が
好ましく、さらには0.97≦C/(A+B)≦1.0
3の範囲が特に好ましい。
【0043】なお本発明の予備重合工程では、下記式
(5)
【0044】
【化9】 で表わされる特定のピリジン系化合物の存在下で反応を
行うことが好ましい。上記式(5)において、R5,R6
は、各々独立に、水素原子;メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘキシル基等の、炭素数1〜6のア
ルキル基;シクロヘプチル基、シクロヘキシル基等の、
炭素数5〜10のシクロアルキル基;フェニル基、ナフ
チル基等の炭素数6〜12のアリール基;およびベンジ
ル基、フェネチル基等の炭素数7〜12のアラルキル基
から選ばれる基である。あるいは、これらR5とR6は互
いに結合してそれらが結合している窒素原子と一緒にな
って5〜7員環を形成していてもよい。R7は炭素数1
〜6のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル
基、炭素数6〜12のアリール基および炭素数7〜12
のアラルキル基から選ばれる。nは1〜4の整数を示
す。R7の具体例は上記R5およびR6のアルキル基、シ
クロアルキル基、アリール基、アラルキル基で挙げた基
と同じ基を好ましい例として挙げることができる。
【0045】上記式(5)で示されるピリジン系化合物
としては、例えば、4−アミノピリジン、4−ジメチル
アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、4−ピ
ロリジノピリジン、4−ピペリジノピリジン、4−ピロ
リノピリジン、2−メチル−4−ジメチルアミノピリジ
ン等が挙げられる。これらのうち、4−ジメチルアミノ
ピリジン、4−ピロリジノピリジンが特に好ましい。
【0046】この予備重合反応においては、はじめに主
としてジアリールカーボネートが芳香族ジカルボン酸成
分および芳香族ジオール成分と反応してモノヒドロキシ
アリール類と炭酸ガスとを生じる。一般に芳香族ジカル
ボン酸は溶解性が低く融点も高いため、この初期の反応
が開始されるには高温を要し、また初期反応が終結する
には長時間を必要とした。このため、従来の方法では得
られるポリマーの色調が悪くなり該反応中における昇華
物の発生量が多かった。
【0047】しかし、上記式(5)で表わされるピリジ
ン系化合物を触媒に用いると、この初期の反応が非常に
低温で、しかも短時間で開始されることが判明した。そ
のため、反応に要する時間が短くなり、得られるポリマ
ーの色相が著しく改善されると推定される。
【0048】かかるピリジン系化合物の使用量に特に制
限はないが、その使用量を上記芳香族ジカルボン酸
(b)の100モルに対して、0.001モル〜10モ
ルの量とすることが好ましい。0.001モルより少な
いと該ピリジン系化合物の触媒としての効果が不十分と
なる。また、10モルより多いと得られるポリマーの物
性が低下することがあり好ましくない。より好ましく
は、0.005モル〜1モルである。また、かかるピリ
ジン系化合物を有機酸塩または無機酸塩の形で用いても
よい。
【0049】後述の固相重合工程での重合速度を速める
ためにこの時点で、従来公知のエステル交換触媒等を添
加し、併用することも可能である。かかるエステル交換
触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属
化合物、チタン系化合物、錫系化合物、ゲルマニウム系
化合物等の金属含有化合物と、含窒素塩基性化合物(但
し上記のピリジン系化合物を除く)、含燐塩基性化合物
等を挙げることができる。本発明の予備重合工程は、
上記の芳香族ジオール(a)と芳香族ジカルボン酸
(b)、そしてジアリールカーボネート(c)を180
℃以上の温度加熱下に予備重合させることにより行われ
る。この予備重合の温度は180℃以上とすることが必
要である。すなわち、180℃より温度が低いと、予備
重合の重合速度が遅くなり好ましくない。予備重合の重
合温度は、好ましくは200〜330℃、より好ましく
は220℃〜320℃である。他は公知の溶融重合の手
法により予備重合工程を実施することができ、非晶性プ
レポリマーを製造することができる。
【0050】これらの方法で製造した非晶性プレポリマ
ーは以下に説明する結晶化方法、粒状成形体を製造する
方法、固相重合方法を効率よく行うために全芳香族ポリ
エステル粒状成形体の項で説明したように還元粘度が
0.05〜0.30と低分子量になるように製造するの
が好ましい。このような低分子量にするには、予備重合
工程中の反応温度、反応系の内圧、および反応時間を適
切に選択する事によって製造することができる。
【0051】[結晶化工程]次に得られた非晶性プレポ
リマーの結晶化方法について説明する。上述のような方
法により得られた非晶性プレポリマーから、本発明の全
芳香族ポリエステル粒状成形体を得るにはこれを結晶化
させ、DSCを用いて10℃/分の昇温速度で測定した
結晶融解熱量が0.5〜60J/gの範囲にする。その
結晶化方法については1)結晶化溶媒を使用して結晶化
する方法、2)ガラス転移温度以上分解温度未満の温度
になるよう熱を加え、保持して結晶化させる加熱結晶化
による方法、3)溶融状態において剪断処理を行う方法
があり、これらの方法で非晶性プレポリマーを結晶化さ
せることができる。
【0052】結晶化溶媒を使用した非晶性プレポリマー
の結晶化方法の一般的な問題は微粉末が多量に発生する
ことである。すなわち溶媒の種類によっては、溶媒が非
晶性プレポリマーに接触した個所は素早く結晶化が進行
し、結晶化した部分が結晶化直後に剥がれ落ちることに
より微粉末が発生する。その結果表面は多孔性になるも
のと思われる。このような微粉末の粒子径を制御するこ
とは極めて困難であり、このような状態で固相重合を行
うと微粉末が舞い、滞留時間が長くなるため均一な重合
物を得ることができないばかりか、結晶性プレポリマー
同士の接着が発生し好ましくない。ゆえに本発明におい
てはこのような現象が起こらない溶媒を用いて結晶化さ
せる方法を好ましく例示することができる。
【0053】加熱結晶化による方法は、非晶性プレポリ
マーのガラス転移温度(Tg)以上、分解温度以下で加
熱しその状態を保持するする事によって結晶化する方法
である。加熱時間は加熱温度、非晶性プレポリマーの構
造によっても異なるが0.1〜50時間が好ましい。
【0054】溶融状態で剪断処理によって結晶化させる
方法では、好ましくは非晶性プレポリマーを例えば1軸
ルーダーを用いてTg以上分解温度以下に加熱し溶融状
態とし、さらにルーダーの回転軸の回転数を1〜60r
pmに設定し、滞留時間を1〜20分の範囲になるよう
にして溶融状態で剪断をかけることにより結晶化する方
法である。これらの方法により所望の物性の結晶性プレ
ポリマーが製造できる。
【0055】得られた結晶性プレポリマーは非晶性プレ
ポリマーと同様に還元粘度が0.05〜0.30dL/
gであり、DSCを用いて10℃/分の昇温速度で測定
した結晶融解熱量が0.5〜60J/gの範囲になるよ
うに製造されるのが好ましい。この範囲の結晶融解熱量
を実現するには加熱結晶化による方法では加熱温度、加
熱時間を、溶融状態で剪断処理を行なって結晶化させる
方法では加熱温度、ルーダーの回転軸の回転数、および
滞留時間を適切に選択する事によって実現できる。さら
に好ましい還元粘度の範囲は0.07〜0.25dL/
gであり、結晶融解熱量が1.0〜50J/gの範囲で
ある。
【0056】これら還元粘度と結晶化度がこの範囲から
外れると、全芳香族ポリエステル粒状成形体の重合度お
よび結晶性の評価の項で説明したような問題点が発生し
好ましくない。
【0057】[粉砕等工程]次に得られた結晶性プレポ
リマーを全芳香族ポリエステル粒状成形体を成形しやす
い程度の大きさ、即ち0.01〜5mm以下の粒子径に
粉砕または細分する。粉砕して得られたものを粉砕化結
晶性プレポリマーと、細分して得られたものを粒状結晶
性プレポリマーと称する。このような粉体または粒状物
を得るのに特に制限はないが、粉砕を行なう具体的な方
法としては、例えば通常用いられるハンマークラッシャ
ー等を用いて粉砕する方法を、細分する方法としては例
えば溶融状態で剪断処理を行なって結晶化する工程で同
時に一旦シート状に成形した後、ペレタイズするのと同
様な手法でそのシートを縦横に切断する方法を挙げるこ
とができる。
【0058】全芳香族ポリエステル粒状成形体を製造す
る前の結晶性プレポリマーを粉砕化した粉砕化結晶性プ
レポリマー、および粒状結晶性化プレポリマーの粒子径
は5mm以下であることが好ましい。粒子径が5mmよ
り大きいと全芳香族ポリエステル粒状成形体を圧縮成形
造粒する工程で十分に圧縮圧力をかけることができず、
十分な機械的強度を有した全芳香族ポリエステル粒状成
形体を得ることができない。逆に小さすぎると空気を含
みやすく成形不良、強度不足の原因になる。粒子径のよ
り好ましい範囲は0.1mm〜4.5mmである。さら
に好ましくは0.2mm〜1mmである。
【0059】また粒子径0.1mm未満の微粉末が20
重量%以下であることが好ましい。粒子径0.1mm未
満の微粉末が20重量%より多いと先述のような微粉末
による工程トラブルが生じ、ロスとなるので好ましくな
い。より好ましくは10重量%以下、特に好ましくは7
重量%以下である。
【0060】[圧縮成形]本発明における全芳香族ポリ
エステル粒状成形体を得る方法は、このようにして得ら
れた粉砕化結晶性プレポリマーおよび/または粒状結晶
性プレポリマー結晶性プレポリマーの粉体および/また
は粒状物を圧縮成形し、所望の物性を維持し、かつその
後におこなう固相重合工程において破壊されないような
方法であれば特に制限はない。具体的には、一般的な造
粒の工程で用いられている方法が好ましく挙げられ、押
出し造粒法、圧縮造粒法などがより好ましく挙げられ
る。押出し造粒法としてスクリュー方式、ロール型円筒
ダイス方式、ロール型円盤ダイス方式などが例示され
る。また圧縮造粒法として圧縮ロール方式、ブリケッテ
ィテング方式、打錠方式等が挙げられる。より具体的に
は錠剤成形機、圧縮ロール機およびブリケッティング機
からなる群から少なくとも1種選ばれる圧縮成形機を用
いて圧縮成形するのが好ましい。
【0061】圧縮成形を行う際の圧縮圧力は通常は1M
Pa〜700MPaが好ましい。1MPaより小さいと
全芳香族ポリエステル粒状成形体を輸送、供給・排出時
に多量に微粉末を伴い好ましくない。逆に700MPa
より大きいと圧縮成形機と全芳香族ポリエステル粒状成
形体の摩擦熱によって全芳香族ポリエステル粒状成形体
が溶融しやすく、成形不良を引き起こしやすい。好まし
くは10MPa〜500MPaである。さらに好ましく
は50MPa〜300MPaである。このような手法に
て圧縮成形を行なった後でも還元粘度、結晶融解熱量が
結晶性プレポリマーとほぼ同様の値の範囲を示すよう製
造することが必要である。
【0062】[比表面積変化]さらには該粉砕化結晶性
プレポリマーおよび/または粒状結晶性プレポリマーの
比表面積(g)と全芳香族ポリエステル粒状成形体の比
表面積(h)の増加率{(h−g)/g}が0.5〜2
0倍であることが必要である。圧縮成形し全芳香族ポリ
エステル粒状成形体にすることで比表面積が大きくなる
と、固相重合工程で発生するジアリールカーボネートに
由来するモノヒドロキシアリール化合物類を速やかに反
応系外に排出でき、結果的に固相重合速度が向上するの
で好ましい。なお比表面積の増加率が20倍より大きく
なると、圧縮成形時に結晶性プレポリマーの応力破壊が
起こりゲル化などの原因になるため好ましくない。より
好ましい範囲としては、2〜10倍、さら好ましくは
2.5〜8倍である。
【0063】[固相重合工程]次にこのようにして製造
した全芳香族ポリエステル粒状成形体を使用して固相重
合反応を進める。固相重合反応は固体状態を維持できる
ように、該全芳香族ポリエステル粒状成形体のガラス転
移温度(Tg)以上かつ融点より低い温度で、減圧下ま
たは常圧下にて全芳香族ポリエステル粒状成形体を加熱
することによって行う。この常圧下での固相重合反応は
不活性ガス気流下または不活性ガス雰囲気下で行うこと
が好ましい。このような手法を用いることによって高重
合度化し、還元粘度が0.30dL/gを越え2.0d
L/g以下の所望の分子量を有する高重合度の全芳香族
ポリエステルとなる。この重合反応は通常の溶融重合と
同様に加熱減圧下でも可能であるが、次に述べるように
常圧下不活性ガス気流下で重合を行い製造してもよい。
本発明の製造方法は還元粘度が0.30dL/gを越え
1.6dL/g以下の芳香族ポリエステルを製造する際
にさらに好ましく、0.30dL/gを越え1.55d
L/g以下の芳香族ポリエステルを製造する際に最も好
ましく採用できる。
【0064】常圧下の重合は前述のように不活性ガス気
流下で行われることが好ましい。その際に固相重合槽に
流通させる不活性ガスの種類としては、ヘリウム、アル
ゴン、窒素、二酸化炭素ガス等を例示できる。さらに不
活性ガスを流通させる方式には特に制限はないが、下部
に全芳香族ポリエステル粒状成形体の抜き出し口、不活
性ガス流通管及び不活性ガス噴出口を備え、上部に冷却
管及び原料流通管を備えた縦型反応装置を用いて、温度
調節装置で不活性ガスの温度を制御後、該反応装置に流
通させる方法が好ましい。不活性ガスは通常溶融重合の
反応当初から反応終了まで流通させる。該不活性ガスは
全芳香族ポリエステル粒状成形体に直接吹き込むように
供給するのが好ましい。通常、温度140〜350℃の
不活性ガスを流通させることによって実施される。上記
の不活性ガスの温度範囲内でも145〜330℃が更に
好ましく、150〜300℃が特に好ましい。この温度
がそのまま固相重合温度となる。固相重合温度は高い方
が重合速度の点では好ましいが、全芳香族ポリエステル
粒状成形体の融着を防ぐため、全芳香族ポリエステル粒
状成形体の融点より低い温度で実施する必要がある。ま
た、重合度の上昇と共に、全芳香族ポリエステル粒状成
形体の融点も上昇するため、融点の上昇に伴い順次固相
重合温度を上昇する方法も好ましく用いられる。
【0065】また不活性ガスの流量は、全芳香族ポリエ
ステル粒状成形体1kgあたり0.1〜1.7NL/分
が好ましく、0.3〜1.7NL/分が特に好ましく特
に0.5〜1.7NL/分が特に好ましい。流通量が上
記範囲より小さい場合、固相重合反応の進行が遅くな
り、重合時間が長くなり好ましくない。流通量が上記範
囲より大きい場合、熱エネルギーコストが高くなり好ま
しくない。
【0066】固相重合反応に要する時間は、通常、数時
間〜数十時間が好ましく採用される。重合時間が長すぎ
ると固相重合反応に使用する装置が大掛かりになり、設
備製造コストの点で好ましくない。固相重合反応中に、
全芳香族ポリエステル粒状成形体を機械的に攪拌する
か、あるいは気体流により攪拌してもよい。
【0067】本発明において使用される固相重合槽の形
式について特に制限はないが、下部に不活性ガス導入部
を有し上部に不活性ガス排出部を有する縦型反応装置、
回転式の反応装置等を好ましい形態として例示できる。
【0068】また減圧下で固相重合反応を行う場合は非
晶性プレポリマーを製造する時と同様に不活性ガス雰囲
気下あるいはごく微量の不活性ガス気流下で重合反応を
行うのが好ましい。圧力は低いほど重合の効率は高い
が、実用的な範囲を考慮すると概略5Pa〜30kP
a、好ましくは10Pa〜15kPa程度である。この
際に全芳香族ポリエステル粒状成形体を機械的にあるい
は気体流により撹拌しても良い。他は固相状態を維持で
きるように重合反応温度の条件を変更すること以外は通
常の溶融重合と同様な条件で行うことができる。重合反
応温度、時間については先述の常圧で重合する際と同様
な条件で行うことが好ましく採用できる。このようにし
て本発明の全芳香族ポリエステル粒状成形体から高重合
度の全芳香族ポリエステルを得ることができる。
【0069】≪特徴説明≫そこで要約すると本発明の全
芳香族ポリエステル粒状成形体は以下のような特徴を有
する。 1)固相重合速度を飛躍的に高めることができる。例え
ば圧縮成形する粉砕化結晶性プレポリマーの粉体および
/または粒状結晶性プレポリマーと、圧縮成形後の全芳
香族ポリエステル粒状成形体を比較すると、固相重合速
度はその粒子径が全芳香族ポリエステル粒状成形体の方
が大きいにも関わらず、全芳香族ポリエステル粒状成形
体の方が格段に上昇している点があげられる。この理由
は明確ではないが全芳香族ポリエステル粒状成形体の結
晶粒子が微細化していることが関連しているように推定
しているが詳細は明らかではない。
【0070】2)均一な固相重合物を得ることができ
る。粉体および/または粒状物を取り扱う製造プロセス
の問題としてハンドリングの問題を挙げたが、粉体およ
び/または粒状物を固相重合することで起きる問題がい
くつか生じる。一つは比表面積を高めるために加熱結晶
化を行う、または溶融時に剪断処理による結晶化により
作成した結晶性プレポリマーを粉砕する工程等において
は粒子径分布を有する事は避けられないことである。こ
のような粒子径分布の広さは副生するモノヒドロキシア
リール化合物の拡散速度の分布に直接関係するため、拡
散速度分布が広いと重合度分布の広い高重合度の全芳香
族ポリエステルが生じるという問題を生じる。しかし本
発明に従えば粒子径分布が広くても均一な重合度を有す
る高重合度の全芳香族ポリエステルを得ることが出来
る。この理由は明確ではないが圧縮成形加工によって粒
子にマイクロクラックが生じているためと思われる。
【0071】3)製造プロセスのハンドリングにかかる
問題の発生を大幅に抑制できる。微粉末によって発生し
やすいトラブルについては既に述べたとおりである。以
上のごとき固相重合法により製造された重合度の全芳香
族ポリエステル(以下,「全芳香族ポリエステル樹脂」
と称することがある)の還元粘度は0.6dL/g以上
であることが好ましい。これは重合終了後再溶融して得
られた非晶性全芳香族ポリエステルの還元粘度が0.6
dL/gより低いと、耐熱性、靭性が不十分であり好ま
しくないためである。実用上、還元粘度の上限は2.0
dL/g程度が好ましい。
【0072】本発明により得られた全芳香族ポリエステ
ル樹脂は色相が良く、ゲル成分も少なく成形性に優れた
ものとなるが、必要に応じて、芳香族ヒドロキシ末端基
の封鎖反応や溶融粘度の安定化を行うことができ、その
方が全芳香族ポリエステル樹脂の成形時の熱安定性や、
耐久安定性を向上させる上で好ましい。
【0073】本発明の固相重合工程で得られた結晶化し
た全芳香族ポリエステルは、再溶融することで非晶性の
全芳香族ポリエステルとして扱うことができる。再溶融
する際には、下記に述べるように、芳香族ヒドロキシ末
端基の改質をおこなっても何ら問題はない。
【0074】全芳香族ポリエステル樹脂の芳香族ヒドロ
キシ末端基の封鎖反応は、重合反応終了後の全芳香族ポ
リエステル樹脂を2軸押し出し機等の溶融混合設備を使
用し、例えば米国特許第5,696,222号記載の方
法に従いサリチル酸エステル系化合物を用いて必要に応
じて実施することができる。この場合サリチル酸エステ
ル系化合物の使用量は封止反応前の高重合度の全芳香族
ポリエステルにおける芳香族ヒドロキシ末端基の1化学
当量当たり0.8〜10モル、より好ましくは0.8〜
5モル、特に好ましくは0.9〜2モルの範囲が好まし
い。かかる量比で添加することにより、芳香族ヒドロキ
シ末端基の80モル%以上を好適に封鎖することができ
好ましい。
【0075】更に使用目的により、離型剤、耐熱安定
剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤等の各種添加
剤、ガラス繊維、鉱物、フィラーといった無機剤、アラ
ミド繊維などの有機剤、または本発明の全芳香族ポリエ
ステル樹脂以外の樹脂を末端基改質と同じく再溶融リメ
ルトの際、混合し樹脂組成物を得ることができる。その
樹脂組成物は成形用樹脂、フィルム、繊維等の用途に使
用可能である。
【0076】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これらの実施例によって限定されるものではな
い。なお、実施例中「部」は「重量部」を意味する。 1)還元粘度 還元粘度は、フェノール/1,1,2,2−テトラクロ
ロエタン混合溶媒(重量比60/40)中、濃度1.2
g/100mL、温度35℃でにウベローデ粘度管にて
測定した。 2)ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)、結晶融解
熱量 示査走査型熱量計(DSC)パーキンエルマーDSC7に
より、昇温速度10℃/分で測定してガラス転移温度
(Tg)、融点(Tm)を求めた。また、結晶融解熱量
は、結晶融解に対応するピーク部分の面積より算出し
た。具体的には以下のように算出する。図1のようなD
SC曲線において、結晶の融解の開始により、曲線がな
だらかな右下がりの直線から外れる点(図1中のX3)
から、結晶の融解が完了し、曲線が元のなだらかな右下
がりの直線に復帰した点(図1中のY3)までのDSC
曲線とX3,Y3間の直線で囲まれる部分の面積を算出
し、測定サンプル重量で除して求める。 3)比表面積 比表面積は、日本ベル(株)製高精度全自動ガス吸着装
置を使用してKrガスを用いて測定し、サンプルの重量
で除して求めた。また、結晶性プレポリマーの比表面積
は日本ベル社製BELSORP36を用い、液体窒素沸
点下におけるクリプトンの吸着量により評価した。 4)嵩密度 1000ccの金属製円筒容器にサンプルを入れ、余剰分
をすり落として秤量し、内容物の重量W(g)を求め、次
式により算出した。 嵩密度(g/cc)=W/1000 5)末端基濃度 末端基濃度はJEOLの核磁器共鳴装置(1H−NM
R)によって芳香族ヒドロキシ末端基、アリールエステ
ル末端基およびアリールカーボネート末端基に由来する
ピークの積分量と測定サンプル量から芳香族ヒドロキシ
末端基濃度(d)、アリールエステル末端基濃度(e)
およびアリールカーボネート末端基濃度(f)を算出し
た。 6)粒子径 圧縮成形前の結晶性プレポリマーの粒子径は、孔径が制
御された2つの篩を用い、篩分けにより作製した。例え
ば、1mm〜2mmの粒子径を得る場合、孔径2mmの
篩を通過した粒子中から、孔径1mmの篩を通過できな
い粒子を除外することによって作製した。以後、上述の
粒子を「1mm粒子径の粒子を除外した2mm粒子径の
粒子」と呼ぶことにする。また圧縮成形機を用いて全芳
香族ポリエステル粒状成形体を作製した場合にはその成
形機金型の凹部の大きさを全芳香族ポリエステル粒状成
形体の粒子径とした。 7)固相重合の収率 固相重合反応を行う前の全芳香族ポリエステル粒状成形
体または結晶性プレポリマーの重量を100%として、
固相重量終了後に重合器から取り出したサンプルの重量
を百分率で算出した。
【0077】[実施例1]テレフタル酸46.5部、イ
ソフタル酸19.9部、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン100.4部、ジフェニルカーボネ
ート179.9部、4−ジメチルアミノピリジン0.0
49部、炭酸カリウム0.016部を撹拌装置および窒
素導入口を備えた真空留出系を有する反応容器に入れ、
200℃で反応を開始した。なお、上記数式(イ),
(ロ)および(ハ)数値は次の通りであった。
【0078】IA/TA=0.429 X1=0.1 X2=0.1 C/(A+B)=1.0 30分後、220℃に昇温し、同温度にてフェノールの
留出を確認した後、系内を徐々に減圧した。反応開始か
ら4時間後、原料が均一に溶解していることを確認し
た。その後さらに、昇温、減圧し、反応開始から6時間
後、系内を300℃、133.4Pa(約10mmH
g)とした。同条件下にて10分間重合を行い、透明な
非晶性プレポリマーを得た。この予備重合で得た非晶性
プレポリマーの還元粘度は0.17dL/gであった。
【0079】得られた非晶性プレポリマーを陸亜(株)製
の一軸ルーダー(RY45−30JM7.5 1/1
5)に仕込み、210℃、47rpmでおよそ2分間、
溶融した非晶性プレポリマーに剪断処理を行うことで結
晶性プレポリマーを得た。得られた結晶性プレポリマー
は、DSCを用いて10℃/分で昇温した際の結晶融解
熱量が12.8J/gであった。
【0080】上記結晶性プレポリマーを粉砕して0.5
mm粒子径の粒子を除外した0.85mm粒子径の粒子
を得た。なお、この粉体の比表面積は0.049m2
gであった。該粉体を錠剤成形器を用い20MPaの圧
力を付与し、嵩密度1.01g/ccの全芳香族ポリエ
ステル粒状成形体を作製した。この全芳香族ポリエステ
ル粒状成形体の比表面積は0.225m2/gであり、
全芳香族ポリエステル粒状成形体製造前の4.6倍であ
った。得られた全芳香族ポリエステル粒状成形体は、D
SCを用いて10℃/分で昇温した際の結晶融解熱量が
12.0J/gであり、粒子径は10mmであった。ま
た末端基濃度の比率、Tg,Tm等の他の物性は表1に
示した。また、その表面を走査型電子顕微鏡で観察した
ところ、クラックがあることがわかった(図2、倍率;
500倍)。
【0081】該全芳香族ポリエステル粒状成形体を、真
空留出系を有する反応容器に入れ、66.7Pa(0.
5mmHg)下、200℃で3時間、220℃で4時間
加熱することで、還元粘度は0.89dL/g、結晶融
解に伴う吸熱温度範囲の上限が325℃の結晶化した全
芳香族ポリエステルを得た。この結晶化した全芳香族ポ
リエステルを、340℃で1分滞留させることで、還元
粘度は0.82dL/g、ガラス転移温度が194℃の
非晶性の全芳香族ポリエステルとなった。
【0082】[実施例2]実施例1で得られた非晶性プ
レポリマーを窒素雰囲気下220℃で2時間静置して結
晶性プレポリマーを得、さらに粉砕して0.5mm粒子
径の粒子を除外した0.85mm粒子径の粒子の粉砕化
結晶性プレポリマーを得た。得られた粉砕化結晶性プレ
ポリマーの還元粘度は0.17dL/g、DSCを用い
て10℃/分で昇温した際の結晶融解熱量が16.3J
/gであった。
【0083】ついで該粉砕化結晶性プレポリマーの粉体
を形状波型のローラー式圧縮成形機(フロイント産業
(株)ローラーコンパクターTF−MINI)を用い圧
縮圧力100MPaで圧縮を行い、得られた板状の成形
体をスクリーン径3〜5mmのハンマークラッシャー型
粉砕機を用いて粉砕し全芳香族ポリエステル粒状成形体
を得た。得られた該全芳香族ポリエステル粒状成形体の
還元粘度は0.17dL/g、DSCを用いて10℃/
分で昇温した際の結晶融解熱量が15.4J/gであ
り、比表面積は0.252m2/gあり、嵩密度は1.
02g/cc、粒子径はおおよそ3〜5mmであった。
また末端基濃度の比率、Tg,Tm等の他の物性は表1
に示した。
【0084】結晶化した該全芳香族ポリエステル粒状成
形体を、下部に不活性ガスの流出部分を有する円筒型の
反応容器に入れ、0.8NL/kg・分で窒素ガスの流
通下、200℃で3時間、その後220℃に昇温して3
時間、230℃で12時間固相重合反応を行った。得ら
れた高重合度の全芳香族ポリエステルの還元粘度は1.
516であった。
【0085】なお実施例1、2においては固相重合直前
の重量に対する、固相重合後の重量で表す固相重合の収
率はすべて99%以上であった。
【0086】[比較例1]実施例1で得られた非晶性プ
レポリマーを陸亜(株)製の一軸ルーダー(RY45−3
0 JM7.5 1/15)に仕込み、210℃、47
rpmでおよそ2分間非晶性プレポリマーに剪断を加え
ることで結晶性プレポリマーを得た。得られた結晶性プ
レポリマーは、DSCを用いて10℃/分の昇温速度で
測定した結晶融解熱量が12.8J/gであった。上記
結晶性プレポリマーを粉砕して0.5mm粒子径の粒子
を除外した0.85mm粒子径の粒子の粉砕化結晶性プ
レポリマーを得た。上記粉砕化結晶性ポリマー粒子の比
表面積は0.049m2/gであり、結晶融解熱量が1
2.0J/gであった。なお、末端基濃度の比率等の他
の物性は表1に示した。
【0087】該粉砕化結晶性プレポリマーを真空留出系
を有する反応容器に入れ、66.7Pa(0.5mmH
g)下、200℃で3時間、220℃で4時間加熱する
ことで、還元粘度は0.57dL/gの結晶化した全芳
香族ポリエステルを得た。なお、反応容器中に微粉末が
発生し、固相重合の収率は89%であった。
【0088】
【発明の効果】本発明によれば製造プロセスにおいて微
粉末によって起こる工程トラブルとハンドリングの問題
点を解消できるばかりか、重合速度の上昇によって固相
重合時間の短縮ができる。また得られた全芳香族ポリエ
ステル粒状成形体を用いた固相での重合反応により品質
の良好な高重合度の全芳香族ポリエステルを容易に製造
することができ、この高重合度の全芳香族ポリエステル
は色相、成形性が良好で、有用な成形品を与える。
【0089】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】DSC測定結果から結晶融解熱量を計算する際
のDSCチャートの模式図。
【図2】実施例1において得られた全芳香族ポリエステ
ル粒状成形体の表面の電子顕微鏡写真である。(500
倍)
【図3】比較例1において得られた結晶性プレポリマー
の粉体表断面の電子顕微鏡写真である。(500倍)
フロントページの続き (72)発明者 畳開 真之 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 (72)発明者 松村 俊一 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 (72)発明者 石渡 豊明 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4J029 AA08 AB01 AB04 AC02 AC03 AD01 AD08 AD10 AE01 BB13A BB13B BD09A BG08X CB05A CB06A CB10A CC05A CC06A CF08 CH02 DB13 HC05A JC231 KB02 KB03 KC02 KE05 KE12 KE15 KF02 KF04

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に下記式(1) 【化1】 [上記式中のAr1は置換されても良い芳香族基であ
    り、Ar2、Ar3は各々置換されていてもよいフェニレ
    ン基である。Xは下記式(2) 【化2】 (上記式(2)中のR1,R2,R3およびR4は、各々独
    立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル
    基、炭素数5または6のシクロアルキル基、炭素数6〜
    12のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基
    から選ばれる1つの基である。qは4〜10の整数を示
    す。ただし複数個のR3およびR4は同一でも異なってい
    てもよい。)で表わされる2価の有機基である。またY
    は0〜17までの任意の数を表す。]からなる繰り返し
    単位で表され、還元粘度0.05〜0.3dL/g、D
    SCを用いて10℃/分の昇温速度で測定した結晶融解
    熱量が0.5〜60J/gである全芳香族ポリエステル
    で主に構成され、比表面積が0.001〜1m2/g、
    および嵩密度が0.4〜1.3g/ccである全芳香族
    ポリエステル粒状成形体。
  2. 【請求項2】 X線回折法により測定した結晶サイズが
    100〜230オングストロームである請求項1記載の
    全芳香族ポリエステル粒状成形体。
  3. 【請求項3】 上記式(1)においてAr1がm−フェ
    ニレン基およびp−フェニレン基の混合からなり下記数
    式(イ) 0.25≦IA/TA≦0.67 (イ) [上記数式中、IA、TAはそれぞれ全Ar1に対する
    m−フェニレン基およびp−フェニレン基のモル分率を
    表す。]を満足する請求項1または2に記載の全芳香族
    ポリエステル粒状成形体。
  4. 【請求項4】 該全芳香族ポリエステル粒状成形体の粒
    子径が20mm以下である請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の全芳香族ポリエステル粒状成形体。
  5. 【請求項5】 該全芳香族ポリエステル粒状成形体中の
    芳香族ヒドロキシ末端基濃度(d)、アリールエステル
    末端基濃度(e)およびアリールカーボネート末端基濃
    度(f)の合計に対する芳香族ヒドロキシ末端基濃度
    (d)の比率d/(d+e+f)が0.01〜0.90
    である請求項1〜4のいずれか1項に記載の全芳香族ポ
    リエステル粒状成形体。
  6. 【請求項6】 実質的に下記式(3) HO−Ar2−X−Ar3−OH (3) [上記式中のAr2,Ar3,Xは上記式(1)中の説明
    と同義である。]で表される芳香族ジオール(a)、下
    記式(4) HOOC−Ar1−COOH (4) [上記式中のAr1は上記式(1)中の説明と同義であ
    る。]で表される芳香族ジカルボン酸(b)およびジア
    リールカーボネート(c)の3成分を、下記数式(ロ)
    および(ハ) A:B:C=(1+X1):1:(2+X2) (ロ) 0.95≦C/(A+B)≦1.05 (ハ) [上記数式(ロ)および(ハ)中、Aは芳香族ジオール
    (a)、Bは芳香族ジカルボン酸(b)、Cはジアリー
    ルカーボネート(c)を各モル数である。X1およびX2
    は0以上0.2以下までの任意の数を示す。]を同時に
    満足するモル割合で用いて180℃以上の加熱下に溶融
    重合させて、還元粘度が0.05〜0.3dL/gの範
    囲内にある非晶性プレポリマーを調製する予備重合工
    程、 非晶性プレポリマーを結晶化して、DSCを用いて
    10℃/分の昇温速度で測定した結晶融解熱量が0.5
    〜60J/gである結晶性プレポリマーを調製する結晶
    化工程、 結晶性プレポリマーを0.01mm〜5mm以下の
    粒子径に粉砕し粉砕化結晶性プレポリマーを、または結
    晶性プレポリマーを細分し粒状結晶性プレポリマーを調
    製する粉砕等工程、 粉砕化結晶性プレポリマーおよび/または粒状結晶
    性プレポリマーから得た還元粘度0.05〜0.3dL
    /g、かつDSCを用いて10℃/分の昇温速度で測定
    した結晶融解熱量が0.5〜60J/gである結晶性プ
    レポリマーの粉体および/または粒状物を圧縮成形し全
    芳香族ポリエステル粒状成形体を製造する工程、をこの
    順で行うことで構成されており、かつ粉砕化結晶性プレ
    ポリマーおよび/または粒状結晶性プレポリマーの比表
    面積(g)と全芳香族ポリエステル粒状成形体の比表面
    積(h)の増加率{(h−g)/g}が0.5〜20倍
    である全芳香族ポリエステル粒状成形体の製造方法。
  7. 【請求項7】 粉砕化結晶性プレポリマーおよび/また
    は粒状結晶性プレポリマーの比表面積(g)と全芳香族
    ポリエステル粒状成形体の比表面積(h)の増加率
    {(h−g)/g}が2〜10倍である請求項6に記載
    の全芳香族ポリエステル粒状成形体の製造方法。
  8. 【請求項8】 予備重合工程において下記式(5) 【化3】 [上記式(5)中、R5,R6は、各々独立に水素原子、
    炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10のシクロア
    ルキル基、炭素数6〜12のアリール基および炭素数7
    〜12のアラルキル基から選ばれる少なくとも1種の基
    であるか、あるいはR5とR6は互いに結合してそれらが
    結合している窒素原子と一緒になって5〜7員環を形成
    していても良い。R7は炭素数1〜6のアルキル基、炭
    素数5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜12のア
    リール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ば
    れる少なくとも1種の基である。nは0〜4の整数を示
    す。]で示されるピリジン系化合物の存在下で溶融重合
    を行う請求項6または7に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 結晶化工程において、非晶性プレポリマ
    ーにガラス転移温度以上分解温度未満の温度となるよう
    に熱を加えることによって結晶化させる請求項6〜8の
    いずれか1項に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 結晶化工程において、非晶性プレポリ
    マーを溶融状態において剪断処理を行うことによって結
    晶化させる請求項6〜8のいずれか1項に記載の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 圧縮成形する際に錠剤成形機、圧縮ロ
    ール機、およびブリケッティング機からなる群から少な
    くとも1種選ばれる圧縮成形機を用いて圧縮成形を行う
    請求項6〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 粉砕化結晶性プレポリマーおよび/ま
    たは粒状結晶性プレポリマー結晶性プレポリマーの粉体
    および/または粒状物の粒子径が5mm以下である請求
    項6〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の
    全芳香族ポリエステル粒状成形体を、該全芳香族ポリエ
    ステル粒状成形体のガラス転移温度以上かつ融点より低
    い温度で、減圧下または常圧下不活性ガス気流下にて、
    加熱することにより重合する全芳香族ポリエステルの製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005087838A1 (de) * 2004-03-12 2005-09-22 Bühler AG Verfahren zur herstellung eines teilkristallinen polykondensates
JP2011032464A (ja) * 2009-07-06 2011-02-17 Sumitomo Chemical Co Ltd 液晶ポリエステルの製造方法

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