JP2004075459A - 変性シリカ分散液及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アミノ基含有シランカップリング剤で表面処理されており、且つ、平均粒子径が1μm以下であるシリカ粒子からなる変性シリカ分散液を、シリカ粒子を極性溶媒中に分散せしめる分散工程、シリカ粒子を極性溶媒中でアミノ基含有シランカップリング剤により表面処理する表面処理工程、及び極性溶媒中に分散されたシリカ粒子の平均粒子径を1μm以下とする微粉砕工程からなる製造方法により製造する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録紙用の塗工液、金属表面処理剤等の各種コーティング剤の原料として有用な新規な変性シリカ分散液に関する。詳しくは、透明性が高く、平滑なコーティング層を形成することが可能であり、しかも分散液自体の粘度が低い変性シリカ分散液を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリカ分散液は、紙、フィルム、金属、樹脂、ガラス等の表面に吸液性、耐食性、光沢性、ガスバリア性、親水性等を付与するための各種コーティング剤として使用されている。
【0003】
シリカ分散液中のシリカ粒子は、本来分散安定性に乏しいため、アミノ基含有シランカップリング剤やカチオン性樹脂を用いてシリカ表面をカチオン化し、分散安定性を高めた変性シリカ分散液が種々提案されている。
【0004】
特に、インクジェット記録紙の分野においては、インクジェット記録用インクに含まれるアニオン性の染料を強固に定着できるため、該変性シリカ分散液が好適に使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述した各種コーティング層を形成させる際には、該コーティング層の透明性や平滑さを要求される場合が多く、例えばインクジェット記録紙の用途においては、高い印字濃度を発揮させるため、インク吸収層が透明で平滑であることが必須となっている。
【0006】
かかる透明で平滑なコーティング層を得るためには、分散液中のシリカの粒子径を小さくすることが重要である。
【0007】
そのため、特開2000−239536号公報に記載されているように、カチオン性樹脂でカチオン化したシリカを微粉砕して平均粒子径を200nm未満としたシリカを含有するカチオン性樹脂変性シリカ分散液が提案されている。
【0008】
しかしながら、カチオン性樹脂を用いてシリカ粒子をカチオン化した場合にはシリカ分散液が増粘する傾向にあり、特に該分散液中のシリカ濃度が高い場合にはかかる増粘が顕著になる場合があった。
【0009】
一方、特開2001−97710号公報においては、アミノ基含有シランカップリング剤でカチオン化された低粘度なシリカ分散液が開示されているが、該分散液中のシリカ粒子は微粉砕されておらず、透明性が充分ではなかった。
【0010】
すなわち、透明性等の品質に優れたコーティング層を得ることができ、且つシリカ濃度が高い場合においても分散液自体の粘度が低くハンドリングが容易な変性シリカ分散液はこれまでに無かった。
【0011】
また、本発明者らによる実験の結果、特開2001−97710号公報に記載の分散液において、シリカ粒子を微分散させることは困難であることが分かった。
【0012】
したがって、本発明の目的は、透明性が高く、平滑なコーティング層を形成することが可能であり、しかもシリカ濃度が高い場合においても分散液自体の粘度が低い変性シリカ分散液及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アミノ基含有シランカップリング剤で表面処理されたシリカからなる変性シリカ分散液において、該分散液中のシリカ粒子の平均粒子径を1μm以下とすること及び表面処理を極性溶媒中で行うことによって、透明性が高く、しかも低粘度な変性シリカ分散液が容易に得られることを見出した。
【0014】
すなわち、本発明は、極性溶媒中にシリカを分散せしめた分散液であって、該分散液中のシリカ粒子がアミノ基含有シランカップリング剤で表面処理されており、且つ、その平均粒子径が1μm以下であることを特徴とする変性シリカ分散液およびその製造方法に関するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明において用いるシリカは、特に限定されず、乾式シリカ、沈降法シリカ、ゲル法シリカ等の公知のシリカを原料として用いることができる。また、これらのシリカを混合して用いても良い。
【0016】
前記例示したシリカの中でも、乾式シリカを用いることが、特に得られる変性シリカ分散液の透明性等の特性を向上せしめることができるので好ましい。
【0017】
本発明において用いられる乾式シリカは、四塩化珪素などのシラン系ガスを酸水素炎中で燃焼させて得られるものであり、フュームドシリカとも称されている。
【0018】
該乾式シリカは、一般に、BET法による比表面積が30〜500m2/gの範囲のものが入手可能であり、本発明に好適に使用できるが、コーティング層の透明性の点からは比表面積が50m2/g以上、低粘度な変性シリカ分散液を得るためには400m2/g以下であることが好ましい。特に好適な比表面積の範囲は100〜300m2/gである。
【0019】
また、本発明において、変性シリカ分散液中のシリカの濃度は好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜30重量%である。
【0020】
変性シリカ分散液中のシリカの濃度を10重量%以上とすることによって、該分散液の貯蔵および輸送に関るコストを低減でき、40重量%以下とすることによって、変性シリカ分散液の粘度の上昇を抑えることができる。
【0021】
本発明においては、変性シリカ分散液のシリカ濃度が高い場合においても該分散液の粘度が低くなるように、シリカ粒子はアミノ基含有シランカップリング剤で表面処理されている。本発明において用いられるアミノ基含有シランカップリング剤は、特に限定されず、表面処理剤として従来公知のものを使用できる。
【0022】
具体的に例示すれば、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3―ジメチル―ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン及びN−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等が挙げられる。
【0023】
前記例示したアミノ基含有シランカップリング剤の中でも、価格や取り扱いの容易さ等を勘案すると、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等の3−アミノプロピルトリアルコキシシラン類が最も好ましい。
【0024】
アミノ基含有シランカップリング剤によるシリカ粒子表面へのアミノ基の導入量は、特に限定されないが、シリカ粒子を充分にカチオン化し、シリカ濃度が高濃度であっても粘度の低い変性シリカ分散液とし、該分散液中のシリカ粒子の分散安定性、インクジェット記録用紙に用いた場合のインク定着性等の所期の効果を得るためには、アミノ基含有シランカップリング剤によるアミノ基の導入量をシリカ粒子の表面積に対して0.4μmol/m2以上とすることが好ましい。また、アミノ基含有シランカップリング剤は一般に高価であるため、変性シリカ分散液を安価に提供するためには、該アミノ基含有シランカップリング剤によるアミノ基の導入量をシリカ粒子の表面積に対して5μmol/m2以下とすることが好ましい。更に0.4〜2μmol/m2であることが特に好ましい。該アミノ基の導入量は5μmol/m2を超えても良いが、コストの割には顕著な効果の増大は見られない。
【0025】
本発明において用いられる極性溶媒は、シリカが分散し易い極性溶媒が特に制限なく使用される。中でも、水が最も好ましい。勿論、水以外にもメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エーテル類、ケトン類などの極性溶媒が使用できる。また、水と上記極性溶媒との混合溶媒も使用することができる。
【0026】
なお、本発明において、変性シリカ分散液の安定性等の物性をさらに向上させるために、本発明の効果を損なわない範囲で、カチオン性樹脂や界面活性剤等の添加剤を添加してもよい。
【0027】
本発明の変性シリカ分散液において、透明性が高く、平滑なコーティング層を得るためには、該分散液中のシリカ粒子の平均粒子径が1μm以下であることが必須であり、好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.2μm以下である。
【0028】
また、平均粒子径の下限値は特に限定されないが、微粉砕にかかるコストや、インクジェット記録用紙に用いた場合のインク吸収性を勘案すると、好ましくは0.01μm以上、特に好ましくは0.05μm以上とすることが望ましい。
【0029】
なお、本発明における平均粒子径とは、光散乱回折式の粒度分布測定装置によって求められる体積基準算術平均径である。
【0030】
本発明の変性シリカ分散液は、シリカ粒子を極性溶媒中に分散せしめる分散工程、シリカをアミノ基含有シランカップリング剤で表面処理する表面処理工程、及び分散液中のシリカ粒子の平均粒子径を1μm以下とする微粉砕工程からなる製造方法によって製造することができる。なお後述するように、分散工程と表面処理工程とが同時に行なわれてもよい。
【0031】
上記分散工程においては、シリカ粒子を極性溶媒中に分散せしめる。その際に用いる分散機は特に制限されず、プロペラ羽根、タービン羽根、パドル翼を有する一般撹拌機、ディスパーミキサー等の高速回転遠心放射型撹拌機、ホモジナイザー、ホモミキサー、ウルトラミキサー等の高速回転せん断型撹拌機、コロイドミル、プラネタリーミキサー、吸引式分散機などの分散機を適宜用いることができる。
【0032】
前記例示した分散機の中でも、強力なせん断力を有する分散機を用いることは、後の微粉砕工程にかかる負担を低減できるため好適である。強力なせん断力を有する分散機としては、高速せん断型撹拌機や、プロペラ羽根及びパドル翼に更に高速せん断型撹拌機を組み合わせた複合型分散機、プラネタリーミキサーと高速回転遠心放射型撹拌機又は高速回転せん断型撹拌機を組み合わせた複合型分散機等が挙げられる。
【0033】
上記表面処理工程は、シリカ表面に均一にアミノ基を導入することが可能な方法であれば、特に制限なく採用できる。具体的には、シリカ粉末を容器に入れ、加熱・攪拌しながらアミノ基含有シランカップリング剤を導入して表面処理する乾式法、あるいは、極性溶媒中でシリカとアミノ基含有シランカップリング剤とを混合して表面処理する湿式法等が挙げられる。
【0034】
上記表面処理方法の中でも、極性溶媒中でシリカとアミノ基含有シランカップリング剤とを接触・反応せしめて表面処理を施す湿式法が、平均粒子径1μm以下のシリカ粒子を含有する変性シリカ分散液を容易に得ることができるため、特に好適である。
【0035】
上記の極性溶媒中に分散されているシリカ粒子を1μm以下とする微粉砕工程に用いる粉砕機は、特に制限されず、高圧ホモジナイザー、ビーズミル、サンドミル、超音波ホモジナイザー等などの湿式粉砕機を適宜用いることができる。
【0036】
前記例示した湿式粉砕機の中でも、高圧ホモジナイザーは、1μm以下の平均粒子径を有する変性シリカ分散液を効率よく、しかも再現性良く得ることができ、好適である。高圧ホモジナイザーを用いる微粉砕方法としては、シリカ分散液を処理圧力30MPa以上で対向衝突させる方法、或いはオリフィスの入口側と出口側の差圧が30MPa以上の条件でオリフィスを通過させる方法が挙げられる。
【0037】
上記したように、本発明の変性シリカ分散液を製造するには、表面処理を極性溶媒中で行う湿式法による表面処理工程とすることが好ましい。湿式法による表面処理工程とすることにより、平均粒子径1μm以下のシリカ粒子を含有する変性シリカ分散液を容易に得ることができる。かかる湿式法で表面処理を行う製造方法としては、粉末状のシリカを極性溶媒中に分散せしめ、該分散液とアミノ基含有シランカップリング剤とを混合して極性溶媒中でシリカを表面処理した後、乾燥させることなく該分散液中のシリカ粒子を微粉砕して平均粒子径を1μm以下とする方法、極性溶媒中に予めアミノ基含有シランカップリング剤を溶解せしめた溶液と、粉末状のシリカとを混合して極性溶媒中で表面処理を行うと共にシリカ粒子の分散を行った後、乾燥させることなく該分散液中のシリカ粒子を微粉砕して平均粒子径を1μm以下とする方法、あるいは、粉末状のシリカを極性溶媒中に分散せしめ、該分散液中のシリカ粒子を微粉砕して平均粒子径を1μm以下とした後、乾燥させることなく該微粉砕されたシリカ粒子を含む分散液とアミノ基含有シランカップリング剤とを混合してシリカを極性溶媒中で表面処理する方法を採用することができる。
【0038】
本発明において、変性シリカ分散液のpHは特に限定されないが、安全面、設備にかかる負担等を勘案するとpHを2以上、分散液の安定性を勘案するとpHを6以下に調整することが好ましい。特に好ましいpHの範囲は2.5〜5である。
【0039】
しかしながら、アミノ基含有シランカップリング剤の多くは塩基性であって、該シランカップリング剤で処理された変性シリカ分散液は上記pH範囲よりも高いpHを呈する場合が多いため、pH調整剤により、分散液のpHを上記範囲内に調整することが望ましい。
【0040】
かかるpH調整剤は特に限定されないが、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸が好適に使用できる。
【0041】
また、該pH調整剤によりpHを調整する方法は、特に限定されないが、予めアミノ基含有シランカップリング剤、pH調整剤、及び極性溶媒を混合した混合液を調製しておき、表面処理の際に該混合液とシリカ分散液とを混合して表面処理すると同時にpHを調整すると、分散液のゲル化や凝集塊を生じることなく、安定して製造することができ、好適である。
【0042】
【実施例】
以下に、本発明を具体的に説明するため、実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらの実施例のみに制限されるものではない。
【0043】
変性シリカ分散液に関する物性の測定方法及び評価方法は、以下の通りである。
【0044】
(1)変性シリカ分散液中のシリカ表面に導入されたアミノ基の定量
変性シリカ分散液を遠心分離機(シグマ社製、MODEL3630)によって、回転数16500rpmの条件で2時間遠心分離を行った。遠心分離後の沈殿を回収し、乾燥してシリカ粉末を得た。該シリカ粉末に含まれる窒素量(N)を、微量窒素分析装置(三菱化成工業製、TN−10)を用いて測定し、下式によりシリカ表面に導入されたアミノ基の量を求めた。
【0045】
A=N/(14×S)
但し、Aはシリカ表面に導入されたアミノ基の量(μmol/m2)を表し、Nはシリカに含まれる窒素量(ppm)を表し、SはシリカのBET法による比表面積(m2/g)を表す。
【0046】
(2)粒度分布及び平均粒子径の測定
光散乱回折式の粒度分布測定装置(コールター製、コールターLS−230)を用いて、シリカの屈折率1.458、分散媒として用いている水の屈折率1.332の条件で粒度分布を測定した。得られた粒度分布から体積基準算術平均径を算出し、この体積基準算術平均径を平均粒子径とした。
【0047】
(3)変性シリカ分散液の粘度の測定
変性シリカ分散液300mLを300mLのトールビーカーに採取し、B型粘度計(トキメック製、BL)を用いて変性シリカ分散液の粘度を測定した。ローターの回転数は60rpm、測定温度は25℃とした。
【0048】
(4)変性シリカ分散液のpHの測定
変性シリカ分散液の25℃におけるpHを、pH計(堀場製作所製、F−12)を用いて測定した。
【0049】
(5)変性シリカ分散液を用いたコーティング層の評価
変性シリカ分散液と、ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA117)の10重量%水溶液とを、シリカ100重量部に対してポリビニルアルコール50重量部となるように混合し、コーティング液を得た。
【0050】
該コーティング液を、予め親水化処理した透明PETフィルム(帝人デュポンフィルム社製、535−100ミクロン)の表面に、バーコーターを用いて塗布し、乾燥させてコーティング層を得た。
【0051】
該コーティング層の評価は、透明性及び光沢度を目視で観察することにより行った。
【0052】
◎:透明性、光沢度共にきわめて良好である。
○:透明性、光沢度共に良好である。
△:透明性、光沢度が劣る。
×:コーティング層にざらつきがあり、透明感が無い。
【0053】
実施例1
3−アミノプロピルトリエトキシシラン21重量部と4.4重量%の塩酸79重量部とを混合し、アミノ基含有シランカップリング剤及びpH調整剤を含有する溶液を得た。以後、この溶液をA液と表す。
【0054】
次に、比表面積が200m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−102)とイオン交換水とを混合し、ホモジナイザー(イカ製、ウルトラタラックスT−50)を用いて強攪拌し、シリカ濃度が21重量%のシリカ分散液2000gを得た(分散工程)。以後、この分散液をB液と表す。
【0055】
B液をそのまま強攪拌しながら、A液140gを滴下し、湿式法でシリカ粒子を表面処理した(表面処理工程)。
【0056】
該表面処理されたシリカ分散液の全量を、高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力80MPaでオリフィスを1回通過させ(微粉砕工程)、本発明の変性シリカ分散液を得た。
【0057】
得られた変性シリカ分散液の物性を表1に示す。
【0058】
実施例2
シリカとして、比表面積が300m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−30)を用いる以外は、実施例1と同様にして本発明の変性シリカ分散液を得た。
【0059】
得られた変性シリカ分散液の物性を表1に示す。
【0060】
実施例3
A液の添加量を80gとする以外は、実施例1と同様にして本発明の変性シリカ分散液を得た。
【0061】
得られた変性シリカ分散液の物性を表1に示す。
【0062】
実施例4
実施例1において、B液を高圧ホモジナイザーによる微粉砕工程に供した後、A液を添加して表面処理する以外は、実施例1と同様にして本発明の変性シリカ分散液を得た。すなわち、本実施例では分散工程、微粉砕工程、表面処理工程の順で変性シリカ分散液を製造した。
【0063】
得られた変性シリカ分散液の物性を表1に示す。
【0064】
実施例5
A液の組成を3−アミノプロピルトリエトキシシラン32重量部、7.8重量%の塩酸68重量部とし、B液中のシリカ濃度を32重量%とする以外は、実施例1と同様にして本発明の変性シリカ分散液を得た。
【0065】
得られた変性シリカ分散液の物性を表1に示す。
【0066】
比較例1
高圧ホモジナイザーによる微粉砕工程を行わない以外は、実施例1と同様にして、変性シリカ分散液を得た。
【0067】
得られた変性シリカ分散液の物性を表1に示す。
【0068】
比較例2
比表面積が200m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−102)400g、平均分子量が10000のポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液(濃度50重量%)40g、及びイオン交換水1560gを混合し、ホモジナイザー(イカ製、ウルトラタラックスT−50)を用いて強攪拌し、シリカ粒子をカチオン性樹脂でカチオン化した後に、実施例1と同様の微粉砕工程に供し、カチオン性樹脂でカチオン化されたシリカ分散液を得た。
【0069】
得られたカチオン性樹脂でカチオン化されたシリカ分散液の物性を表1に示す。
【0070】
比較例3
比表面積が200m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−102)600g、平均分子量が10000のポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液(濃度50重量%)60g、及びイオン交換水1340gを混合する以外は、比較例2と同様にして、カチオン性樹脂でカチオン化されたシリカ分散液を得た。
【0071】
この分散液は、増粘が著しく、ゲル状であった。
【0072】
得られたカチオン性樹脂でカチオン化されたシリカ分散液の物性を表1に示す。
【0073】
比較例4
比表面積が200m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−102)100重量部を容器に入れ、窒素雰囲気下で攪拌しながら3−アミノプロピルトリエトキシシラン7重量部を滴下した。攪拌を継続しながら、120℃で1時間反応させ、乾式法で表面処理されたシリカ粉末を得た(表面処理工程)。
【0074】
0.21重量%の希塩酸80重量部に、上記表面処理されたシリカ粉末20重量部を添加し、ホモジナイザー(イカ製、ウルトラタラックスT−50)を用いて強攪拌してシリカ濃度が20重量%のシリカ分散液を得た(分散工程)。
【0075】
該表面処理されたシリカ分散液を、高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力80MPaでオリフィスを1回通過させ(微粉砕工程)、変性シリカ分散液を得た。
【0076】
この変性分散液におけるシリカ粒子の平均粒子径は、8.0μmであり、該分散液からなるコーティング層は透明性、光沢度が不充分であった。なお、該分散液中のシリカの平均粒子径を1μm以下とするためには、高圧ホモジナイザーによる処理を4回繰り返して行う必要があった。
【0077】
得られた変性シリカ分散液の物性を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
表1から、本発明の変性シリカ分散液(実施例1〜5)はシリカが高濃度であっても粘度が低く、該変性シリカ分散液を用いることによって、透明性が高く、平滑なコーティング層を形成できることが理解される。
【0080】
実施例1及び3と比較例1及び4との比較より、平均粒子径が1μm以下である本発明の変性シリカ分散液は、該変性シリカ分散液を用いて形成したコーティング層の透明性及び光沢度がきわめて良好であることが分かる。
【0081】
また、実施例1と比較例2、及び実施例5と比較例3の比較より、アミノ基含有シランカップリング剤で表面処理された変性シリカ分散液は、シリカ濃度が高い場合においてもカチオン性樹脂を用いた変性シリカ分散液に比較して粘度が低く、ハンドリングが容易であることが分かる。
【0082】
さらに、実施例1及び4と比較例4との比較より、本発明の変性シリカ分散液を製造する方法を、表面処理工程を極性溶媒中で行う製造方法とすることにより、高圧ホモジナイザーによる微粉砕を1回行っただけで、シリカ粒子の平均粒子径が1μm以下の本発明の変性シリカ分散液を効率よく製造できることが理解される。
【0083】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明の変性シリカ分散液は従来のものと比較して、透明性が高く、平滑なコーティング層を形成することが可能であり、しかもシリカ濃度が高い場合においても分散液自体の粘度が低いためハンドリングが容易である。
【0084】
このようなシリカ分散液は、特にインクジェット記録紙用の塗工液、金属表面処理用のコーティング剤に好適に使用することができる。
Claims (4)
- 極性溶媒中にシリカを分散せしめた分散液であって、該分散液中のシリカ粒子がアミノ基含有シランカップリング剤で表面処理されており、且つ、その平均粒子径が1μm以下であることを特徴とする変性シリカ分散液。
- シリカ粒子が、50〜400m2/gのBET比表面積を有する乾式シリカである請求項1記載の変性シリカ分散液。
- アミノ基含有シランカップリング剤によるアミノ基の導入量が、シリカ粒子の表面積に対して0.4〜5μmol/m2である請求項1及び2記載の変性シリカ分散液。
- シリカ粒子を極性溶媒中に分散せしめる分散工程、シリカ粒子をアミノ基含有シランカップリング剤で表面処理する表面処理工程、及び極性溶媒中に分散されたシリカ粒子の平均粒子径を1μm以下とする微粉砕工程からなる変性シリカ分散液の製造方法であって、前記表面処理工程を極性溶媒中で行うことを特徴とする変性シリカ分散液の製造方法。
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