JP4279228B2 - インクジェット記録紙用塗工液の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明において、沈降シリカは沈殿法によって製造されるシリカを総称するものである。かかる沈降シリカを得るための反応条件として、珪酸アルカリ水溶液中に鉱酸を2段階に分けて加え、シリカ沈殿物を析出させる反応であって、該珪酸アルカリ水溶液中に該水溶液の液温を30〜50℃に保持しながら,鉱酸を中和率が30〜60%になるように添加する第一酸添加処理を行い、次いで得られる反応液を80℃以上に昇温した後、反応液のpHが2〜4となるように鉱酸を添加する第二酸添加処理を行う工程よりなる方法が挙げられる。
前記の反応によって得られた反応液より、ろ過によって沈降シリカを分離し、必要に応じて洗浄し、脱水(液)して沈降シリカケークを得ることができる。その際、上記沈降シリカケークの洗浄には、一般には水が使用されるが、水と共に或いは水を使用しないで他の極性溶媒を使用することもできる。
本発明において、バインダーは塗工液調製に使用される公知の各種バインダーを用いることができる。代表的なバインダーを具体的に示せば、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ガゼイン、でんぷん、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。
そのうち、分散適性、塗料安定性の観点からポリビニルアルコール又はその誘導体が最も有効に使用されている。上記のポリビニルアルコール誘導体としては、カチオン変性ポリビニルアルコール又はノニオン変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、上記バインダーを2種類以上混合したバインダーも使用可能である。
本発明において、必要に応じて用いられる極性溶媒は、沈降シリカケークを構成する沈降シリカが分散可能なものであれば特に制限なく使用できる。代表的な極性溶媒を例示すれば水、メタノール、エタノール、2−プロパノールのようなアルコール類、エーテル類、ケトン類が使用できる。上記溶媒を2種類以上混合した分散媒も使用可能である。一般的には水が好適に使用される。
本発明において、塗工液は、前記反応により得られた沈降シリカから得られた沈降シリカケークを乾燥することなく、これと極性溶媒の混合物を分散機で分散処理し、さらに該分散液にバインダーを混合して、該沈降シリカの凝集粒子の平均粒子径を5〜15μmの範囲に調整することによって得られる。
(1−1)シリカケークAの調製
市販の珪酸ナトリウム、硫酸ナトリウム及び純水を反応槽中に珪酸ナトリウム濃度が5%、硫酸ナトリウム濃度が0.5%の溶液が形成されるように投入した。この溶液を40℃まで昇温し、22質量%硫酸を用いて中和率50%まで中和反応を行った後、反応槽中の温度を95℃に昇温した。この反応液に、pHが2〜4になるまで上記の硫酸を加えた。生成したシリカに濾過及び洗浄操作を繰り返し、脱水ケーク(水分85質量%)を得た。この脱水ケークを乾燥させて得られたシリカの比表面積は280m2/gであった。
市販の珪酸ナトリウム、硫酸ナトリウム及び純水を反応槽中に珪酸ナトリウム濃度が5%、硫酸ナトリウム濃度が0.5%の溶液が形成されるように投入した。この溶液を40℃まで昇温し、22質量%硫酸を用いて中和率35%まで中和反応を行った後、反応槽中の温度を95℃に昇温した。この反応液に、pHが2〜4になるまで上記の硫酸を加えた。生成したシリカに濾過及び洗浄操作を繰り返し、脱水ケーク(水分83質量%)を得た。この脱水ケークを乾燥させて得られたシリカの比表面積は180m2/gであった。
(2−1)BET比表面積
シリカケークを乾燥器(120℃)に入れて乾燥した後、マイクロメリティクス社製のアサップ2010を使用して、窒素吸着量を測定し、相対圧0.2における1点法の値を採用した。
シリカケークを105℃に保温した乾燥器中に2時間入れ、水分乾燥前後の重量から算出した。
(3−1)塗工液中の凝集粒子の直径をコールターマルチサイザー(ベックマン・コールター社製)により測定した粒子径のデーターを基に、それぞれの粒子径の存在割合を積算した積算曲線を作成し、該積算曲線から積算割合が50%となる径(50%径)を求め、平均粒子径とした。
(4−1)記録紙の光沢性
表面の光沢性インクジェット記録用光沢紙の表面の光沢性を目視で観察し、下記の基準で判定した。
インクジェットプリンタ(エプソン社製、PM950C)を用いてマゼンダインクでベタ印刷を行い、印字直後から5秒毎に印刷した印字面に市販の上質紙を貼り合わせ、上質紙にインクが転写しなくなるまでの時間の測定を行い、記録紙の吸液性を下記の基準で評価した。
○:5〜10秒
△:10〜15秒
×:15秒以上
実施例1
純水200gに、シリカ濃度が10質量%になるようにシリカケークAを加え、プロペラミキサーで攪拌することにより予備混合を行い、シリカスラリーを得た。得られたシリカスラリー300gをホモジナイザー(イカ製、ホモジナイザーT−25)を用いて20000rpmで20分間分散してシリカ濃度10質量%の分散シリカスラリーを得た。この分散シリカスラリー60gと10質量%のポリビニルアルコール水溶液(クラレ製、PVA117)30gとをプロペラミキサーで撹拌・混合し、塗工液を得た。この塗工液をバーコーダーで塗工量が20g/m2になるように上質紙の表面に塗布し、40℃の条件下で全体の含水率が30%になるまで静置し、その後加熱したキャストドラムに加圧して密着させ乾燥を行い、インクジェット記録紙を作成した。得られた塗工液、記録紙の物性を表1に示した。
シリカケークをシリカケークBとした以外は、実施例1と同様にして沈降シリカ分散液及び塗工液を得た。得られた塗工液の物性を表1に示した。
ホモジナイザーによる分散時間を60分間とした以外は、実施例1と同様にして塗工液及び記録紙を得た。得られた塗工液、記録紙の物性を表1に示した。
ホモジナイザーによる分散時間を5分間とした以外は、実施例1と同様にして塗工液及び記録紙を得た。得られた塗工液、記録紙の物性を表1に示した。
ホモジナイザーを用いる代わりに、高圧ホモジナイザー(ナノマイザー社製、ナノマイザーLA−31)を用いて処理圧力78MPaで微粒化処理した以外は、実施例1と同様にして塗工液及び記録紙を得た。得られた塗工液、記録紙の物性を表1に示した。
シリカケークAを120℃に保持した乾燥器に20時間置いて乾燥後、さらに室内に24時間放置した。これを気流粉砕機で粉砕して、水分を6質量%含有するシリカ粉末を得た。純水402g中に上記シリカ粉末48gを徐々に添加しながら、プロペラミキサーで攪拌することにより予備混合を行い、シリカスラリーを得た。ホモジナイザー(イカ製、ホモジナイザーT−25)20000rpmで10分間分散してシリカ濃度10質量%のシリカスラリーを得た。この沈降シリカ分散液60gと10質量%のポリビニルアルコール水溶液(クラレ製、PVA117)30gとをプロペラミキサーで撹拌・混合し、塗工液を得た。この塗工液をバーコーダーで塗工量が20g/m2になるように上質紙の表面に塗布し、40℃の条件下で全体の含水率が30%になるまで静置し、その後加熱したキャストドラムに加圧して密着させ乾燥を行い、塗工層を作成した。得られた塗工液、記録紙の物性を表1に示した。
Claims (3)
- 珪酸アルカリ水溶液中に該水溶液の液温を30〜50℃に保持しながら、鉱酸を中和率が30〜60%になるように添加し、次いで得られる反応液を80℃以上に昇温した後、反応液のpHが2〜4となるように鉱酸を添加して沈降シリカを得る工程、該沈降シリカから沈降シリカケークを得る工程、該沈降シリカケークを乾燥することなく極性溶媒に分散する工程、及び該分散液にバインダーを混合する工程を有する、分散された沈降シリカの凝集粒子の平均粒子径が5〜15μmの範囲に調整されたインクジェット記録紙用塗工液の製造方法。
- 沈降シリカから沈降シリカケークを得る工程が、反応により生じた沈降シリカをろ過、水洗、脱水して水分含有率70〜90質量%の沈降シリカケークとする工程である請求項1記載のインクジェット記録紙用塗工液の製造方法。
- 請求項1又は2記載の方法で塗工液を製造し、ついで該塗工液を基紙上に塗工するインクジェット記録紙の製造方法。
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