JP4257286B2 - インクジェット記録紙用塗工液に適したシリカ粉末の製造方法 - Google Patents

インクジェット記録紙用塗工液に適したシリカ粉末の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、インク吸収速度が速く、なおかつ高い接着強度を有するインクジェット記録紙を作製するために使用されるインクジェット記録紙用塗工液に適したシリカ粉末の製造方法、及び該シリカ粉末を用いたインクジェット記録紙用塗工液の製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、微細なインク滴を飛翔させて記録紙上に画像形成させるものであり、飛翔させるインクの色やその濃度を変えることにより、フルカラー化が容易で、銀塩写真に迫る高画質を簡便に得る方法として普及している。近年、さらに適応範囲を広げるために印刷速度を向上させる試みがなされている。
インクジェット記録紙は、紙などの支持体の片面又は両面に、インク吸収を目的としたインク受理層である塗工層が形成されており、その塗工層の構成成分は、主にインクを吸収する素材であるインクジェット記録紙用填料(以下、単に填料ともいう。)よりなる塗工層形成材料及び有機バインダーである。
インクジェット記録紙は塗工層形成材料と有機バインダーとを混合して得られる塗工液を、支持体上に塗布・乾燥させて作製されている。この塗工層形成材料としては、湿式シリカ及び乾式シリカなどが使用されている。
一般に、高速での印刷を必要とする場合には、一次粒子が強固に凝集した湿式シリカ粉末が使用されることが多い。即ち、湿式シリカ粉末を使用することにより、塗工層には塗工液の乾燥時に形成される凝集粒子間の比較的大きな空隙と凝集粒子内の微細な細孔とを存在させることができる。そして、印刷時に飛翔したインクは速やかにかかる凝集粒子間の空隙に吸収され、その後、徐々にインクが凝集粒子内部の細孔に拡散し、保持され画像形成が終了する。
このため塗工層中に凝集粒子間の空隙が形成しやすい湿式シリカ粉末を使用したインクジェット記録紙はインク吸収速度が速いと言う特徴がある。
一方、高速でインクジェット印刷を行なうためには、インクジェット記録紙を素早く搬送することが必要であるが、紙面の塗工層における接着強度が低い場合には、インクジェット記録紙の搬送時に、塗工層の一部が脱落し、更に、この脱落した粉がプリンターの搬送ロールに付着して搬送ロールが滑りやすくなり、紙送りがスムーズに出来なくなる場合がある。このようなことから、搬送時の塗工層の脱落のない、言い換えれば、塗工層と基材或いは、塗工層内における填料とバインダーとの接着強度の高いインクジェット記録紙が要求されている。
塗工層の脱落を改善するため、填料に対して使用する有機バインダーの比率を高めることが考えられる。しかし、有機バインダーの比率を高めた場合、凝集粒子間の空隙を減少させ、なおかつ凝集粒子内の細孔にまで有機バインダーが侵入するため、形成される塗工層におけるインク吸収性能が著しく低下する。
また、接着強度を向上させる方法として、インク吸収性に優れる湿式シリカに加え、接着強度が高い顔料、例えば、カオリン、タルク、炭酸カルシウム等の無機顔料を使用することも検討されている。ところが、これらの無機顔料はインクの吸収性に劣るため有効な量で添加することはできず、やはり接着強度とインクジェット印刷の品質を両立させることは困難である。
そこで、塗工層形成材料であるシリカと有機バインダーとの相互作用の大きさに着目した検討も行なわれている。例えば、気相法シリカを中心としたシリカにおいて、特定の範囲の孤立シラノール基の量を調整することによって有機バインダーとの相互作用を調整し、ひび割れの少ないインクジェット記録紙を作製する方法が示されている(特許文献1参照)。
しかしながら、上記方法の孤立シラノール基の調整は、主として乾式シリカを使用した場合の塗工液粘度の増大を抑え、粗大粒子の生成を抑制してひび割れの少ないインクジェット記録紙を製造することを示唆するものである。そのため、上記技術を湿式法によって得られるシリカに適用した場合、前記塗工層における接着強度の向上に対しては十分でなく、改良の余地があった。
また、上記特許文献1には、凝集粒子間の空隙を有するがためにインク吸収速度が極めて速く、しかも、かかる空隙を有しつつも接着高度が高いインクジェット記録紙を製造する課題については、一切記述がない。
特開2004−2159号公報
従って、本発明の目的は、湿式シリカを填料として塗工層を形成したとき、塗工層における接着強度が高く、しかも、該湿式シリカが元来有する、早いインク吸収速度が阻害されないインクジェット記録紙を得ることが可能なインクジェット記録紙用塗工液に適したシリカ粉末の製造方法、及び該シリカ粉末を用いたインクジェット記録紙用塗工液の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、塗工層の填料として使用する湿式シリカを加熱処理することにより、その強熱減量を特定の範囲に調整し、且つ、特定の比表面積を有する湿式シリカ粉末を使用し、該湿式シリカ粉末と有機バインダー及び極性溶媒との混合液からなる塗工液を調製することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、200〜500m /gの比表面積を有する原料湿式シリカ粉末を、温度500〜1200℃の火炎に0.5〜5秒間接触させる、強熱減量が2質量%以下であり、比表面積が180m/g以上、400m/g未満のシリカ粉末の製造方法である
また、本発明は、上記シリカ粉末を用いたインクジェット記録紙用塗工液の製造方法をも提供する。
本発明のインクジェット記録紙用塗工液によれば、前記特定の湿式シリカ粉末を使用することによって、塗工層における接着強度が高く、しかも、該湿式シリカが元来有する特性である、インク吸収速度が極めて速いという特性を併せ持つ塗工層を形成することができ、これにより、高速印刷を行なった場合においても、インクの混色等のない高い品質のインクジェット印刷が可能で、しかも、塗工層の脱落による搬送性の低下を防ぐことが可能である。
(湿式シリカ粉末)
本発明において、湿式シリカ粉末は、珪酸ソーダと鉱酸及び塩類を水溶液中で反応させて得られるシリカ粉末の総称であり、ゲル法シリカ、沈殿法シリカ(あるいは沈降法シリカ)とを含むものである。
上記ゲル法シリカは、珪酸ソーダと鉱酸とを主に酸性領域で混合させて得られた珪酸ゾルを、三次元の網目構造を形成するように重合させ、混合液をゲル化させた後に、洗浄し乾燥させたものである。
一方、沈殿法シリカは珪酸ソーダに鉱酸を添加することにより、比較的大きな一次粒子を形成させた後に、二次凝集粒子を形成させる。この二次凝集粒子を沈殿させることにより混合液と分離し、この沈殿物を洗浄・乾燥させたものである。また、いずれの方法による乾燥物も、必要に応じて解砕、粉砕して粒度を調整することができる。
本発明に使用する湿式シリカの比表面積は、180m/g以上、400m/g未満であることが必要である。即ち、比表面積が180m/gより小さい湿式シリカを使用した場合、得られるインクジェット記録紙にインクジェット印刷を行なうと、シリカの一次粒子が大きいため、光を散乱しやすいために画像濃度が低くなり、所望の品質の画像が得られない。また、湿式シリカの比表面積が400m/g以上の場合、凝集粒子内の空隙が減少し、インクジェット記録紙のインク吸収速度が遅くなり、高速での印刷時には混色等の問題を生じ、所望の品質の画像が得られない。
本発明において、使用する湿式シリカは強熱減量が2質量%以下、特に、0.05〜1.5質量%であることが必要である。
尚、本発明における強熱減量は、後述する実施例において具体的に示すが、105℃から1000℃での温度域でシリカ粒子が放出する水の総和量である。このような水としては、物理吸着水、化学結合水およびシリカ表面の脱水縮合により生成する水を含むものであり、特定の強度でシリカ表面に結合しているものである。
湿式シリカの強熱減量が、2質量%を超える場合、これを使用して得られるインクジェット記録紙は、湿式シリカ粉末と有機バインダーとの接着強度を高めることができず、取扱い時に塗工層の剥がれがおき、本発明の目的を達成することができない。
前記範囲に強熱減量を調整した湿式シリカが前記効果を発揮する作用機構は定かではないが、接着強度の高いインクジェット記録紙は、使用する湿式シリカと有機バインダーとが、湿式シリカ表面のシラノール基を介して化学的に結合した場合に得られると考えられるため、強熱減量を抑えること、すなわち、シリカ表面のシラノール基に特定の強度で結合している水を制限することによって、結合している水を除去し、シリカ表面のシラノール基が効率よく有機バインダーと反応できるようになったものと推定している。
尚、本発明において特定される強熱減量の範囲は、前記特許文献1に記載された孤立シラノール基の数に対して完全な相関はないが、一応にしてかかる範囲を上回るものであり、この点においても技術思想が相違するものであることが明らかである。また、特許文献1には、湿式シリカにおいての具体例は記載されていない。
本発明の湿式シリカ粉末は、必要に応じてさまざまな元素を含むことができる。例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、チタン、鉄、ホウ素等を例示することが出来る。
但し、上記の元素の含有量は、酸化物換算で1質量%以下であることが好ましく、その総和は3質量%以下であることが、得られる塗工液を使用して形成される塗工層のインクの吸収速度を低下させないために好ましい。
このうち、特に、アルミニウムについては、有機バインダーとの相互作用を阻害する恐れがあるため少ないことが好ましく、0.3質量%以下に調整することが好ましい。
本発明に使用する湿式シリカ粉末の平均粒子径は特に制限されないが、平均粒子径が大きくなり過ぎると、得られる塗工液により形成されるインクジェット記録紙の表面にざらつき感を与える上、インクが凝集粒子にそって広がるフェザリング現象が起こり易く、好ましくない。また、平均粒子径が小さくなるに連れて塗工層中の粒子間空隙が小さくなり、インクジェット記録紙のインク吸収速度が低下する。このような観点から、本発明において使用する湿式シリカの好ましい凝集粒子径としては、0.5〜20μm、好ましくは、0.5〜10μm、さらに好ましくは、1〜5μmである。
また、本発明に使用する湿式シリカ粉末の細孔容積は特に制限されないが、細孔容積が小さくなると粒子内へのインク吸収能力が低下し、インクジェット記録紙を作製した場合、十分な品質の印刷は得られない。このため細孔容積としては0.7ml/g以上、好ましくは、1.5〜5.0ml/gであることが好ましい。
更に、本発明に使用する湿式シリカ粉末の最頻細孔径は特に制限されないが、最頻細孔径が小さくなるとインクを吸収出来なくなり、最頻細孔径が大きくなりすぎると画像の滲みの原因になる。このため、本発明に使用する湿式シリカの最頻細孔径の範囲としては6nm〜45nmが好ましい。
(湿式シリカ粉末の製造方法)
本発明において使用する湿式シリカ粉末は、原料となる湿式シリカ粉末(以下、単に原料湿式シリカ粉末ともいう。)を後述する方法によって熱処理することにより得ることができる。この場合、熱処理によってその比表面積は若干、一般には1〜2割減少するので、該原料湿式シリカ粉末は、目的とする比表面積より減少量を勘案して選択すればよい。一般には、200〜500m/gの比表面積を有する原料湿式シリカ粉末が使用される。また、前記湿式シリカ粉末の特性のうち、比表面積、細孔容積、最頻細孔径等は、原料湿式シリカ粉末の特性に左右されるため、該原料湿式シリカ粉末は、目的とする特性に合致するものが適宜選択される。
本発明において湿式シリカ粉末の熱処理方法は、火炎と接触せしめることによって加熱する方法である。
の方法は、バーナーの火炎に原料湿式シリカ粉末を通過させることによって加熱する方法が挙げられる。この場合、火炎温度、接触時間は、原料湿式シリカ粉末の種類により多少異なるが、火炎温度は500〜1200℃、特に、600〜1000℃、また、接触時間は、0.5〜5秒、特に、0.5〜3秒の範囲より目的とする前記強熱減量となるように加熱することが好ましい。
上記熱処理の方法のうち、原料湿式シリカ粉末を火炎に通過させる方法が本発明において好適である。また、熱処理に際して、原料湿式シリカ粉末は予め目的とする粒子径に粉砕しておき、熱処理後は粉砕を行わないことが、得られる湿式シリカ粉末の強熱減量値を上昇させないために好ましい。
本発明において、このようにして特定の範囲に強熱減量を調整した湿式シリカは、保存条件によっては、熱処理後に強熱減量の値が前記範囲を超えて変化する恐れがあるため、強熱減量の調整後には、できるだけ速やかに塗工液の調製に使用することが好ましい。
(極性溶媒)
本発明において用いられる極性溶媒は、従来の湿式シリカ粉末を使用した塗工液の調製に使用されていたものが特に制限なく使用される。かかる極性溶媒としては、水が最も好ましい。勿論、水以外にもメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エーテル類、ケトン類などの極性溶媒が使用でき、また、水と上記極性溶媒との混合溶媒も好適に使用できる。
(有機バインダー)
本発明において用いられる、有機バインダーも特に制限されないが、湿式シリカ粉末シリカのもつ表面シラノール基と水素結合を形成するものが一般に使用される。かかる有機バインダーとしては、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチンを挙げることができる。このうち特に好ましい有機バインダーとしてポリビニルアルコールを挙げることが出来る。
尚、ポリビニルアルコールには、さまざまな分子量、鹸化度および化学的な変性を施したものが市販されており、そのいずれも好適に使用することが出来る。また、前記の有機バインダーは、1種類あるいは2種類以上を混合して使用することが出来る。
塗工液調製前の有機バインダーの使用の形態としては、液状のもの、固形のもの、を使用することが可能であるが、いずれにしても極性溶媒中に溶解させて使用するのが一般的である。
液状にして使用する場合、有機バインダーの濃度は特に制限されないが、高いことが好ましく、有機バインダーの濃度が5質量%以上のものが好ましく使用される。
(塗工液の調製)
本発明のインクジェット記録紙用塗工液は、前記湿式シリカ粉末、有機バインダー及び極性溶媒を混合、分散させて調製される。かかる塗工液の調製方法は、特に制限されるものではないが、操作性の観点から、予め湿式シリカ粉末を極性溶媒に分散させたシリカ分散液と、予め有機バインダーを極性溶媒中に溶解させた有機バインダー液とを混合する方法が好ましい。
上記湿式シリカ粉末を極性溶媒中に分散して使用する態様において、この分散液中の湿式シリカの濃度は、特に制限はされないが、支持体上に塗布乾燥することから、高いことが好ましい。具体的には、10質量%以上、特に、15〜30質量%であることが好ましい。
湿式シリカ粉末を極性溶媒中に分散させる方法は特に制限されないが、プロペラ羽根、タービン羽根、パドル翼等を有する一般攪拌機、ディスパーミキサー等の高速回転遠心放射型攪拌機、ホモジナイザー、ホモミキサー、ウルトラミキサー等の高速回転せん断型攪拌機、コロイドミル、プラネタリーミキサー、吸引式分散機などの分散機、更に、上記の高速回転せん断型撹拌機とプロペラ羽根及びパドル翼を組み合わせた複合型分散機、プラネタリーミキサーと高速回転遠心放射型撹拌機又は高速せん断型撹拌機を組み合わせた複合分散機等が挙げられる。
また、湿式シリカ粉末の分散液に、本発明で示した湿式シリカ粉末以外の填料として、他のシリカ粉末、具体的には、上記範囲外の湿式シリカ粉末、乾式シリカ粉末を併用しても良い。その量は、特に制限されないが、本発明の効果を得るためには全填料中の20質量%以下とすることが好ましく、さらに10質量%以下がより好ましい。
また、前記湿式シリカ分散液のpHは特に制限されないが、通常pH=2〜10の範囲で調製される。
本発明のインクジェット記録紙用塗工液の調製においては、前記特定の範囲の強熱減量の湿式シリカ粉末は、調製時にかかる値を有するものであれば効果を発揮することが出来るが、湿式シリカ分散液調製後、該強熱減量値があまり上昇しないうちに速やかに有機バインダーと混合することが望ましい。即ち、湿式シリカ分散液中のシリカ粒子表面は、極性溶媒により徐々にではあるが、強熱減量値が上昇し、本発明の効果を低下させるおそれがある。
従って、前記湿式シリカ粉末を極性溶媒に分散後、8時間以内に有機バインダーと混合し塗工液を調製することが好ましく、さらには支持体への塗布乾燥も分散液調製から24時間以内に行なうことが好ましい。
上記湿式シリカ分散液と有機バインダーとを混合し、塗工液を得る方法は特に制限されない。すなわち湿式シリカ分散液を攪拌しながら有機バインダーを加える場合、有機バインダーに湿式シリカ分散液を加える方法、さらには湿式シリカ分散液に固形の有機バインダーを添加し混合液を加熱して有機バインダーを溶解することも可能である。
また、湿式シリカ分散液の調製時の温度、該分散液の有機バインダーとの混合時の温度も特に制限されないが、湿式シリカ粉末の強熱減量値の上昇を抑制するため、低温で混合することが好ましく、通常は50℃以下で混合することが望ましい。
前記塗工液には、必要に応じてインク定着剤、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、耐水化剤、界面活性剤、湿潤紙力増強剤、表面サイズ剤等の助剤を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜添加することが可能で、これらの助剤は湿式シリカ分散液、有機バインダー、極性溶媒のいずれかに予め添加しておいても良いし、混合液を調製したのちに添加しても良い。
湿式シリカと有機バインダーとの混合は、任意の比率で行なうことが出来る。有機バインダーの混合比率が低い場合には、十分な接着強度を有するインクジェット記録紙を得ることは困難である。一方、有機バインダーの混合比率が高くなると接着強度は向上するものの、インク吸収性が著しく低下し、所望のインクジェット記録用紙を得ることは難しい。
本発明においては、湿式シリカと有機バインダーとの混合比率は、湿式シリカ粉100重量部に対し有機バインダー10〜50重量%が好ましい。
(塗工液の使用)
本発明の塗工液を使用して塗工する支持体は特に限定されない。本発明の塗工液を使用することができる支持体としては、上質紙、ハガキ、印画紙原紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、クラフト紙、合成紙、レジンコート紙、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム等が挙げられる。
また、本発明の塗工液を用いて、インク吸収層となる塗工層を支持体に設けるための塗布方法も公知の方法を採用することが出来る。例えば、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、カーテンコーター等の各装置を使用することが出来る。
また、本発明の塗工液を用いたインクジェット記録紙においては、支持体及び塗工層形成後に、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置で表面処理し光沢を高めることも可能である。
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。
なお、実施例及び比較例に掲載した測定値は、以下の方法により求めたものである。
(1)比表面積の測定
窒素吸着による簡易型BET式比表面積計にて測定した。
(2)強熱減量の測定
(予備乾燥)
湿式シリカ3gを80℃の乾燥器で24時間予備乾燥したのち、105℃に保った乾燥器で2時間乾燥させ、その後、乾燥器から取り出し、デシケーター中で放冷した。
(強熱減量の測定)
予備乾燥を行なった湿式シリカ約2gを予め恒量にした磁製るつぼに、0.1mgの桁まで量り取った(秤量値W1)。この磁製るつぼを電気炉で加熱し、1000℃に到達後2時間強熱した。強熱後のるつぼをデシケーター中で室温まで放冷し、0.1mgの桁まで量った。(秤量値W2)
(強熱減量の算出)
強熱減量は下記式により算出した。
強熱減量(質量%)=(W1−W2)×100/W1
(3)アルミニウム含有量の測定
湿式シリカ粉を乾燥し、蛍光X線法により測定した。
(4)細孔容積及び最頻細孔径の測定
湿式シリカ粉を乾燥し、水銀圧入法による細孔径分布を、CARLO ERBA社製の細孔径分布測定器ポロシメータ−2000型を使用して測定した。
なお、最頻細孔径は、500nm以下の細孔径における最大の頻度を示す細孔径を示す。
(5)平均粒子径の測定
少量のシリカ粉末をメタノール溶液に添加し、超音波分散機で3分間分散する。この溶液をコールターカウンター粒度分布計(ベックマンコールター社製)で測定した。なお、本発明において平均粒子径とは概粒度分布計により測定しデータを基に、それぞれの粒子径の存在割合を積算した積算曲線から求めた50質量%径のことである。
(6)インクジェット記録紙の評価
A.インクジェット記録紙の接着強度の評価
インクジェット記録紙の塗工面に、市販の粘着テープ(ニチバン製、18mm幅)を長さ5cmに切断し、一定の押圧で貼付した。1分間、この状態を保持した後に、片端から180°方向に剥離した。剥離後のテープへの塗工層の剥離量を下記3段階に目視で判定した。
○:塗工層の剥離は認められない
△:塗工層の剥離は認められるが、極めて少ない
×:塗工層の剥離が認められ、実用上問題となるレベルである
尚、△以上を合格とした。
B.インクジェット記録紙のインク吸収速度の測定
インクジェット記録紙の塗工面に市販のインクジェップリンター(エプソン社製、PM−G800)を用いて、黒色のべた印刷を行なった。印刷終了後、15秒間乾燥させた後、印刷部に上質紙をあて一定圧力の加重をかけて1分間保持した。その後、上質紙を除き、上質紙へのインクの移り具合を目視で判定した。
○:インク移りは認められない
△:インク移りが僅かに認められるが、極めて少ない
×:インク移りが認められ、実用上問題となるレベルである
尚、△以上を合格とした。
C.印字濃度
インクジェット記録紙の塗工面に市販のインクジェップリンター(エプソン社製、PM−G800)を用いて、黒色のべた印刷を行なった。インクジェット記録紙を乾燥させた後、色濃度計(Kolimorgen Instrument Corporation社製マクベスRD918)で黒色の色濃度を測定した。
尚、印字濃度が1.6以上の値を合格とした。
実施例1
市販の珪酸ソーダ(SiO/NaOモル比3.0、SiO28.3質量%)6.3mにNaSO(NaOとしての含有量2.1質量%)9.6m、水25.4mを55mの攪拌翼付き蒸気加熱方式の反応槽に入れて、液温35℃で22%硫酸を2.3m添加し、第一段目の中和を行った。次いで液中に蒸気を吹き込みながら液温を95℃まで昇温した。ここで液温を95℃に保ちながら攪拌のみを継続して7分間熟成を行った。その後、該液中に22%硫酸2.1mを100分間で添加し反応を終了した。次いで、この溶液をろ過、水洗し乾燥した。その後、この乾燥品を粉砕して、比表面積320m/g、強熱減量3.8質量%、アルミニウム含有量0.2質量%、細孔容積3.4ml/g、最頻細孔径9nm、平均粒径4.0μmの原料湿式シリカ粉末を得た。この湿式シリカ粉を650℃の火炎中で2秒間熱処理した。
得られた湿式シリカ粉末は、比表面積300m/g、強熱減量1.4質量%であった。その他の物性は、殆んど原料湿式シリカ粉末と同様であった。
この湿式シリカ100gに純水500gを加え、さらに分散剤として0.05%のポリアクリル酸ナトリウム水溶液300gを添加し、ホモディスパーを用いて分散した。分散終了後、10分後に、この湿式シリカ分散液と10%ポリビニルアルコール(クラレ社製、クラレ117)水溶液450gとをプロペラミキサーにて攪拌・混合し、塗工液を作成した。
調整した塗工液の一部を採取し、坪量80g/mの上質紙上に塗工量が8g/mとなるように塗工後、乾燥し、インクジェット記録紙を作成した。
このインクジェット記録紙の接着強度、インク吸収速度、色濃度の測定を行なった。この結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、加熱処理を行なわず、強熱減量を調整していない湿式シリカを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行なってインクジェット記録紙を作製した。このインクジェット記録紙の評価結果を表1に示す。なお、この湿式シリカの物性測定値は実施例1に原料湿式シリカ粉末として記載した値である。
実施例2
実施例1において、沈殿法による珪酸ソーダと硫酸との反応系に水酸化アルミニウムを所定量添加して比表面積310m/g、強熱減量5.6質量%、アルミニウム含有量0.6質量% 細孔容積3.2ml/g、最頻細孔径5.0μm、平均粒径10nmの原料湿式シリカ粉末を得た。
この原料湿式シリカ粉末を実施例1と同様の操作に火炎中で熱処理を行い、塗工液の調製及び塗工を行なってインクジェット記録紙を作製した。このインクジェット記録紙の評価結果を表1に示す。
尚、本実施例において、強熱減量が調製された湿式シリカ粉末は、比表面積280m/g、強熱減量1.3質量%であった。その他の物性は、殆んど原料湿式シリカ粉末と同様であった。
実施例3
実施例2において、加熱処理に用いた火炎の温度を550℃に変えた以外は、実施例2と同様の操作を行なってインクジェット記録紙を作製した。このインクジェット記録紙の評価結果を表1に示す。
尚、強熱減量が調製された湿式シリカは、比表面積290m/g、強熱減量1.8質量%であった。その他の物性は、殆んど原料湿式シリカ粉末と同様であった。
実施例4
実施例2において、加熱処理に用いた火炎の温度を850℃に変えて、比表面積230m/g、強熱減量が0.4質量%である強熱減量を調整した湿式シリカを使用した以外は実施例2と同等の操作によりインクジェット記録紙を作製した。このインクジェット記録紙の評価結果を表1に示す。その他の物性は、殆んど原料湿式シリカ粉末と同様であった。
比較例2
実施例2において、珪酸ソーダへ添加する第一段目の硫酸の添加量を1.3mとし、その後添加する硫酸の量を3.1mとした以外は実施例2と同様の操作を行ってインクジェット記録紙を作製した。
このインクジェット記録紙の評価結果を表1に示す。なお、本実施例で得られた原料シリカ粉末は、比表面積は180m/g、強熱減量4.3質量%、細孔容積4.1ml/g、最頻細孔径13nm、平均粒径5.0μmであった。また、熱処理により得られた強熱減量が調整された湿式シリカ粉末は、比表面積160m/g、強熱減量1.5質量%であり、その他の物性は、殆んど原料湿式シリカ粉末と同様であった。
比較例3
実施例2において、昇温後の液温を80℃に変えた以外は実施例2と同様の操作を行ってインクジェット記録紙を作製した。このインクジェット記録紙の評価結果を表1に示す。なお、原料シリカ粉末の比表面積520m/g、強熱減量4.5質量%、細孔容積2.8ml/g、最頻細孔径8nm、平均粒径4.5μmであった。また、熱処理により得られた強熱減量が調整された湿式シリカ粉末は、比表面積450m/g、強熱減量1.8質量%であり、その他の物性は、殆んど原料湿式シリカ粉末と同様であった。
実施例5
22%硫酸に市販の珪酸ソーダ(SiO/NaOモル比3.0、SiO28.3質量%)を添加し、液全体をゲル化させた。このゲルを解砕して純水中に投入し洗浄を行った。その後、このゲルを乾燥・粉砕して、比表面積390m/g、強熱減量3.0質量%、アルミニウム含有量0.1質量%、細孔容積2.1ml/g、最頻細孔径7nm、平均粒径6.2μmの原料湿式シリカ(ゲル法シリカ)粉末を得た。
この湿式シリカ粉をこの湿式シリカ粉を650℃の火炎中で2秒間加熱処理し、比表面積340m/g、強熱減量1.5%の強熱減量が調整された湿式シリカ粉を得た。その他の物性は殆ど原料湿式シリカ粉末と同様であった。
この湿式シリカを使用し、実施例1と同様の操作により、インクジェット記録紙を作製した。このインクジェット記録紙の評価結果を表1に示す。
Figure 0004257286
実施例1〜5で得られたインクジェット記録紙は、いずれも接着強度が高く、インク吸収速度が速く、印字濃度が高いことがわかる。
これに対し、比較例1で得られたインクジェット記録紙は、接着強度が低いものであった。また、比較例2および比較例3で得られたインクジェット記録紙は、接着強度は高いものの、インク吸収速度が遅いあるいは印字濃度が低いため、印刷品質の高いインクジェット記録紙が得られないことがわかる。
本発明のインクジェット記録紙用塗工液は、インクジェット用記録紙をはじめ、フィルム・樹脂・ガラス・金属等にガスバリヤ性、耐食性、親水性、光沢性、吸液性、絶縁性等を付与するための各種コーティング剤や半導体ウェハーやIC研磨剤、エマルジョンの安定化剤等の材料として利用可能である。

Claims (4)

  1. 200〜500m /gの比表面積を有する原料湿式シリカ粉末を、温度500〜1200℃の火炎に0.5〜5秒間接触させる、強熱減量が2質量%以下であり、比表面積が180m/g以上、400m/g未満のシリカ粉末の製造方法
  2. 原料湿式シリカ粉末を火炎に接触する前に、所望の粒子径に粉砕しておく請求項1記載の製造方法
  3. インクジェット記録紙用填料の製造方法である請求項1又は2記載の製造方法
  4. 請求項1又は2記載の製造方法でシリカ粉末を得、ついで該シリカ粉末を有機バインダー及び極性溶媒と混合するインクジェット記録紙用塗工液の製造方法
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