JP2004073120A - ベーカリー食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】上面にのみ開口を有する形状に成形したパン生地の開口部に製パン焼き込み用フィリングクリームを充填した後に加熱してなるベーカリー食品において、過度の粘り気がなく口溶けの良好で、平滑な焦げのないフィリング表面を呈するベーカリー食品を提供すること。
【解決手段】本発明は、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を含有する製パン焼き込みフィリングクリームを充填したベーカリー食品である。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明は、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を含有する製パン焼き込みフィリングクリームを充填したベーカリー食品である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベーカリー食品に関するものであり、詳しくは上面にのみ開口を有する形状に成形したパン生地の開口部に製パン焼き込み用フィリングクリームを充填した後、加熱してなるベーカリー食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
上面にのみ開口を有する形状に成形したパン生地の開口部に、カスタードクリームやフラワーペースト等の焼き込み用フィリングクリームを充填した後に加熱してなるベーカリー食品は、たとえば、プリンパン、エッグタルト等の名称で作られている。ここで使用される焼き込み用フィリングクリームは、たとえば、牛乳・卵・砂糖・クリーム等に、必要に応じ澱粉類を混合した水中油型乳化組成物や、あらかじめ、上記材料を用いて製造されたカスタードクリームやフラワーペーストが使用される。
【0003】
しかし、前者は液状であるため、例えば大手製パン業者のような大量生産ラインでは、加熱前の絞り工程で定量充填しにくいなど、扱いにくく、また、後者はゲル状であるが、加熱後の食感が過度の粘り気があり、かつ口溶けも悪く、また、加熱・冷却による粘度や硬さ変化がないため最終製品において、フィリングクリームの平滑な表面が得られないばかりか焦げを生じてしまう。とくにパン生地を用いる場合、パン生地は焼き菓子に比べ水分含量が高く、さらにイースト及び又は膨張剤を用いているため、例えば食パン生地では加熱後には体積が5〜7倍になるなど発酵時や加熱時の膨張力が高く、加熱時に焼き込みフィリングクリーム部分の固化する過程とパン生地が膨張固化する過程がほぼ同時に進行する。このため焼き込み用フィリングクリームの表面が盛り上がったり、焼き込み用フィリングクリームと生地側面との接面に間隙や皺が生じるなどにより、加熱後のフィリングクリーム表面を平滑にすることはきわめて困難であった。
【0004】
このため、たとえば、加熱したベーカリー食品を卓上などの平らな台上に逆さにおくことによって、ベーカリー食品表面を平らにする方法が古くから行われていた。しかし、この方法では粘着性の高いフィリングクリーム表面を有するベーカリー食品は台に付着してしまい商品価値を損なう場合が多く、また得られたベーカリー製品の生地部分の最高標位よりもフィリング表面標位が低い場合は表面平滑化の効果は得られない。
【0005】
また、特開平6−78725号公報では、生地に載置、あるいは充填する水中油型乳化組成物を凍結し、さらに、その表面に油脂層を設けることにより、パン生地への充填時の作業性を改善し、かつ、焦げつきや加熱時の流動性、食感の改良の試みがなされている。しかし、この方法では、フィリングをいったん冷凍する必要があり、そのためフィリングの重量や形状が一定になってしまい、さまざまな重量や形状のベーカリー食品に柔軟に対応できない。また、加熱初期に流動化し、加熱中に固化するため、加熱中のパン生地の膨張にも柔軟に対応できず、結果として平滑なフィリング表面が得られなかった。さらに、油脂層が最終製品のフィリング表面に残ってしまうため、良好な食感、風味が得られにくいという欠点もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上面にのみ開口を有する形状に成形したパン生地の開口部に製パン焼き込み用フィリングクリームを充填した後に加熱してなるベーカリー食品において、過度の粘り気がなく口溶けの良好で、平滑な焦げのないフィリング表面を呈するベーカリー食品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、特定の水中油型乳化組成物を含有する製パン焼き込み用フィリングクリームを使用することにより、上記課題を解決し得ることを知見し、本発明に到達した。
【0008】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、上面にのみ開口を有する形状に成形したパン生地の開口部に、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を含有する製パン焼き込みフィリングクリームを充填した後、焼成してなるベーカリー食品を提供するものである。
【0009】
また本発明は、上記の水中油型乳化組成物1ml中に、粒径が30μmより大きい澱粉粒子が、1×105個以上1×107個未満存在することを特徴とするベーカリー食品を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のベーカリー食品について詳述する。
本発明のベーカリー食品は、上面にのみ開口を有する形状に成形したパン生地の開口部に、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を含有する製パン焼き込み用フィリングクリームを充填した後、加熱してなることを特徴とし、ここで用いられる製パン焼き込み用フィリングクリームは粒径が30μmより大きい澱粉粒子、好ましくは粒径が50μmよりも大きい澱粉粒子を含む水中油型乳化組成物を含有する。
【0011】
上記の水中油型乳化組成物が、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含有しないと、製パン焼き込み用フィリングクリームに優れた食感を付与することができないので好ましくない。また、過度の粘り気がなく口溶けの良好で、平滑な焦げのない焼き込みフィリングクリーム表面を有するベーカリー食品が得られない。
尚、上記澱粉粒子の粒径の上限は、200μm以下とする。
【0012】
また、上記の水中油型乳化組成物1ml中に、上記の粒径が30μmより大きい澱粉粒子が、好ましくは1×105個以上1×107個未満、さらに好ましくは5×105個以上5×106個未満存在するものであるのがよい。さらに、上記の粒径が50μmより大きい澱粉粒子が、上記の水中油型乳化組成物1ml中に、好ましくは7×104個以上7×106個未満、さらに好ましくは3×105個以上4×106個未満存在するものであるのが望ましい。
【0013】
上記澱粉粒子の粒径と数の測定は、例えば以下のような方法により測定する。
まず、血球計測器であるJIS規格品の中央に多数の0.0025mm2の区画があるスライドグラスとカバーグラスを用意する。上記スライドグラスにヨウ素水溶液にて澱粉粒子を着色した水中油型乳化組成物または水中油型乳化組成物の希釈液(試料)を縦15区画×横15区画=225区画中に1〜3個程度の澱粉粒子が顕微鏡下で認められる程度になるように入れ、その225区画内にある澱粉粒子の粒径と粒径が30μmより大きい澱粉粒子数を測定する。ちなみにスライドグラスの1区画あたりの容積はスライドグラスとカバーグラスとの間に0.1mm厚の空間ができるので、0.00025mm3である。このような一連の測定を同一試料について50回行い、平均をとることにより、得られた値を澱粉粒子の粒径と数とする。同様の手段により50μmより大きい澱粉粒子の粒径と数を測定する。
【0014】
また、上記澱粉粒子の粒径とは、澱粉粒子の形状が球体であればその直径を指すものであり、楕円体であればその長径と短径の平均を表すものとする。
【0015】
次に上記の水中油型乳化組成物で用いることができる配合材料について説明する。
澱粉としては、上記の水中油型乳化組成物中において粒径が30μmより大きいものとなる澱粉を用いる。上記の粒径が30μmより大きいものとなる澱粉としては、上記の水中油型乳化組成物中において粒径が30μmより大きいものとなる澱粉であればどのような澱粉でも構わないが、例えば馬鈴薯由来の澱粉や、馬鈴薯澱粉の化工澱粉、各種餡類などがあげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。上記の化工澱粉とは、エステル化、エーテル化、リン酸架橋、アセチル化、ヒドロキシプロピル化等の化学変性処理をしたものや、アルファ化処理等の物理変性処理をした澱粉をいい、これらは単独または2種以上組合わせて用いることができる。また上記処理方法を2種以上重複して施した化工澱粉としても良い。
【0016】
上記の各種餡類としては、小豆、大豆、枝豆、いんげん豆、えんどう豆、そら豆などの豆類などから作られたものがあげられる。
【0017】
上記水中油型乳化組成物中の上記澱粉の含有量は、好ましくは0.3〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%、最も好ましくは3〜8重量%である。
【0018】
上記の水中油型乳化組成物は、融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している。上記の融点が37℃以上の熱可逆性ゲルを構成するゲル化剤としては、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン等があげられ、これらのゲル化剤の中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
【0019】
上記の水中油型乳化組成物では、上記ゲル化剤のうち、特にキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用するのが好ましい。キサンタンガムとローカストビーンガムとを併用する場合の両者の配合比率は、重量比率で、好ましくはキサンタンガム:ローカストビーンガム=30:70〜70:30、さらに好ましくは40:60〜60:40、最も好ましくは45:55〜55:45である。
【0020】
上記の水中油型乳化組成物中の上記ゲル化剤の含有量は、好ましくは0.001〜2重量%、さらに好ましくは0.001〜1重量%、最も好ましくは0.001〜0.7重量%である。
【0021】
上記の水中油型乳化組成物で用いる油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油、バターオイル等の各種植物油脂、動物油脂ならびにこれらを水素添加、分別およびエステル交換から選択される一または二以上の処理を施した加工油脂、油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品があげられる。上記油脂のうち、油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品を用いるのが好ましく、特に油脂として油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品のみを用いるのが好ましい。
【0022】
上記の油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品としては、生クリーム、ホイップクリーム、クリームチーズ、マスカルポーネ、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、部分脱脂乳、加工乳、クリーム、チーズ、バター、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、無糖練乳、加糖練乳、全粉乳、クリームパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、豆乳もしくはその加工品等があげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
【0023】
上記の水中油型乳化組成物では、生クリーム、クリームチーズ及びマスカルポーネの中から選ばれた1種または2種以上を用いるのが好ましい。特に生クリーム、クリームチーズ、マスカルポーネを冷凍処理したものを用いるのが好ましい。冷凍処理を施すことにより上記乳製品中の蛋白質が変性し、ポリペプチド鎖の疎水性官能基が分子表面に露出して遊離状態になるため、解凍後に蛋白質分子間架橋結合が生成し易い状態になり、これによって豊かな乳風味を有する水中油型乳化組成物となると考えられる。冷凍変性をさせるために、冷凍期間は7日間〜24ヶ月であることが望ましい。該冷凍期間が7日間より短いと、冷凍変性が不十分なため、その含有効果が十分に得られず、また24ヶ月を越えると、冷凍変性が過度となり溶解、乳化が困難となる。また、冷凍温度は−10℃以下とするのが望ましい。
【0024】
また、上記の油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品としては、好ましくは油分が3〜85重量%、さらに好ましくは油分が3〜70重量%、最も好ましくは油分が3〜60重量%である乳製品および/または乳製品類似食品を用いるのがよい。
【0025】
上記の油脂や油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品は、上記の水中油型乳化組成物中の油分が好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは3〜35重量%、最も好ましくは5〜20重量%となるように用いるのがよい。
【0026】
また、上記の水中油型乳化組成物中の水道水や天然水等の水の含有量は、好ましくは30〜80重量%、さらに好ましくは40〜75重量%、最も好ましくは45〜70重量%である。
【0027】
上記の水中油型乳化組成物は、糖類を含有することができる。斯かる糖類としては、例えば、上白糖、グラニュー糖、粉糖、双目糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつ、黒糖、糖蜜等があげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。上記の水中油型乳化組成物は、上記糖類を好ましくは0〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%、最も好ましくは3〜25重量%含有するのがよい。
【0028】
上記の水中油型乳化組成物は、乳化剤としてはレシチン等の天然の乳化剤や、以下に示した合成乳化剤を使用することができる。合成乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。上記の水中油型乳化組成物は、上記乳化剤を好ましくは0〜2重量%含有するのがよい。しかし、上記の水中油型乳化組成物では、風味や、また消費者の間に広まっている天然志向に応える意味で、上記の合成乳化剤を用いないほうがより好ましく、さらに好ましくは乳化剤を用いないのがよい。
【0029】
また、上記の水中油型乳化組成物は、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩等のリン酸塩を用いてもよいが、消費者の間に広まっている天然志向に応える意味で、上記のリン酸塩を用いないのが好ましい。
【0030】
上記の水中油型乳化組成物には、その他の材料としてコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、サゴヤシ澱粉等粒径が30μm以下の澱粉、脱脂乳、脱脂濃縮乳、糖脱脂練乳、加糖脱脂練乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、ホエープロテインコンセートレート、トータルミルクプロテイン等の油脂を含有しない乳製品、無機塩および有機酸塩、生卵黄、液卵黄、殺菌卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄および酵素処理卵黄などの卵製品、ゼラチン、グリシン、カカオおよびカカオ製品、コーヒーおよびコーヒー製品、果汁、ジャム、ナッツ加工品、その他各種食品素材全般、着香料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等の中から選ばれた1種または2種以上用いることができる。
【0031】
また上記の、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、サゴヤシ澱粉等粒径が30μm以下の澱粉、脱脂乳、脱脂濃縮乳、糖脱脂練乳、加糖脱脂練乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、ホエープロテインコンセートレート、トータルミルクプロテイン等の油脂を含有しない乳製品、生卵黄、液卵黄、殺菌卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄および酵素処理卵黄などの卵製品、ゼラチンの中から選ばれた1種類または2種類以上配合することで、融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによって形成されるゲル骨格を阻害し、食感の調整をすることができる。
【0032】
上記の粒径が30μm以下の澱粉は上記の水中油型乳化組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜3重量%含有するのがよい。
【0033】
上記の油脂を含有しない乳製品は上記の水中油型乳化組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜3重量%含有するのがよい。
【0034】
上記の卵製品は上記の水中油型乳化組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜7重量%、最も好ましくは1〜5重量%含有するのがよい。
【0035】
上記のゼラチンは上記の水中油型乳化組成物中、好ましくは0〜2重量%、さらに好ましくは0.05〜1重量%、最も好ましくは0.1〜0.5重量%含有するのがよい。
【0036】
次に上記の水中油型乳化組成物の製造方法について説明する。
まず、配合油脂の融点以上で、且つ水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度で、全原料を混合攪拌して予備乳化物を調製する。尚、配合油脂の融点以上とは、上記の水中油型乳化組成物において、例えば、植物油脂を用いた水中油型乳化物と生クリームを油脂として用いる場合は、植物油脂と生クリーム中の乳脂のうち、融点が高いほうの油脂の融点以上とする。
【0037】
例えば、水中油型乳化組成物の油脂として生クリームのみを用い、ゲル化剤としてキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用した場合、生クリームの品質にもよるが、配合油脂の融点は、28〜33℃程度である。また、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度は、水中油型乳化組成物のゲル化剤対水濃度、糖度、その他の配合材料等の影響にもよるが、50〜60℃程度である。ここでいう水中油型乳化組成物のゲル化開始温度は、溶融状態にある水中油型乳化組成物の温度を下げていったときに、ゲル化が開始する温度のことを示している。
【0038】
全原料を混合攪拌する際、油脂を使用する場合は、油脂および必要により油溶性成分を含有する油相と、水および必要により乳製品、砂糖、水溶性成分を含有する水相とを混合、攪拌し、予備乳化物を調製する。また、油分として油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品のみを使用し、油脂を使用しない場合は、水に、油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品ならびに必要により砂糖および水溶性成分を混合、攪拌し、予備乳化物を調製する。
【0039】
上記の予備乳化物を調製する際、澱粉や融点が37℃以上の熱可逆性ゲルを構成するゲル化剤は、水相および/または油相に添加することが可能であり、また水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加することも可能である。本発明では、上記の澱粉やゲル化剤は、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加することが好ましい。この場合、上記の澱粉やゲル化剤の一部を水相および/または油相に添加し、残りの澱粉やゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加してもよい。上記の澱粉やゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加せず、上記の澱粉やゲル化剤を水相および/または油相に添加した後、予備乳化物を製造すると、予備乳化物を均一に攪拌しにくく、均一に乳化させにくくなる。
【0040】
また、上記ゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加する場合、上記ゲル化剤を糖類等の水によく溶ける原料と混合して、予備乳化物に添加することにより、上記ゲル化剤がダマになるのを防止することができる。
【0041】
上記の水中油型乳化組成物では、上記の澱粉やゲル化剤を添加した後は均質化処理を行わないことが好ましい。これは均質化処理により、澱粉粒子が破壊されたり、ゲル化剤のゲル化力が低下しやすいためである。均質化が必要な場合は、上記ゲル化剤を添加する前に行うことが好ましい。均質化処理機としては、ホモゲナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等があげられる。尚、本発明では、製造の全工程を通じて均質化処理を行わないことが好ましい。
【0042】
次いで、上記予備乳化物を、水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度で殺菌または滅菌する。ここでいう水中油型乳化組成物のゲル融点とは、ゲル化した水中油型乳化組成物が融け始める温度を示している。例えば、ゲル化剤としてキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用した場合、水中油型乳化組成物のゲル融点は、水中油型乳化組成物のゲル化剤対水濃度、糖度、その他の配合材料等の影響にもよるが、50〜60℃程度である。
【0043】
上記殺菌または滅菌は、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式・チューブラー式・掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理、あるいは直火等の加熱調理により行うことができ、UHTによる加熱滅菌もしくは加熱殺菌を行うのが好ましい。
【0044】
そして、上記の殺菌または滅菌後、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以上の温度で容器に充填した後、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度まで冷却することにより、上記の水中油型乳化組成物が得られる。上記の容器への充填は、無菌充填をはじめとする衛生的な充填手法で行うのが好ましい。
【0045】
尚、本発明の水中油型乳化組成物の製造方法において、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度と、水中油型乳化組成物のゲル融点という言葉を用いているが、一般的にこの2つの温度が異なっている水中油型乳化組成物が多いことがわかっている。
【0046】
また、本発明で使用する製パン焼き込み用フィリングクリーム中の、上記の水中油型乳化組成物の含有量は、好ましくは5〜100重量%、更に好ましくは20〜100重量%、最も好ましくは30〜100重量%である。
【0047】
また、本発明で使用する製パン焼き込み用フィリングクリームには必要により、以下のような食品素材を用いることができる。例えば、強力粉、準強力粉、薄力粉、フランス粉、中力粉、グラハム粉、焙焼粉、ライ麦等の穀粉類、マーガリン、ショートニング、バター、液状油等の油脂類、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、黒糖、糖蜜、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつ等の糖類及び甘味料、全卵、卵黄、卵白、乾燥卵、乾燥卵黄、乾燥卵白等の卵類、原料アルコール、焼酎、ウオッカやブランデー等の蒸留酒、ワイン、日本酒、ビール等の醸造酒、各種リキュール、純生クリーム、ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)、植物性ホイップ用クリーム、チョコレート・ガナッシュ・カスタード風味のホイップ用クリーム等のクリーム類及びこれらのクリーム類をホイップしたもの、ケーキ用起泡剤、水、牛乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、調製粉乳、発酵乳、ヨーグルト、練乳、加糖練乳、全脂練乳、脱脂練乳、濃縮乳等の乳製品、ココナッツミルク、豆乳、寒天、カラギーナン、ファーセルラン、タマリンド種子多糖類、タラガム、カラヤガム、ペクチン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、トラガントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、プルラン、ジェランガム、アラビアガム、ゼラチン、加工澱粉等の増粘安定剤、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド、レシチン等の乳化剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、コーヒー、ナッツペースト、ココアマス、ココアパウダー、チョコレート、チョコレートペースト、抹茶、紅茶、香辛料、穀類、ハーブ、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材、コンソメ、ブイヨン、食品添加物等が挙げられる。
【0048】
本発明のベーカリー食品は上面にのみ開口を有する形状に成形したパン生地の開口部に、上記製パン焼き込み用フィリングクリームを充填した後、加熱して得る。
この製造方法によって製造される食品の具体例としては、プリンパン、パン・ド・プリン、スフレパン、グラタンパン、エッグタルト、タンタ、タンタオ、ナタ、ベレン、パスティス・デ・ナタ、ケイジャーダ等が挙げられる。
【0049】
本発明の製パン焼き込み用フィリングクリームのパン生地への充填量は、好ましくはパン生地100重量部に対して30〜300重量部、さらに好ましくは50〜150重量部、最も好ましくは80〜120重量部である。充填量が30重量部より少ないと、パン生地の膨張力により、製パン焼き込み用フィリングクリームの表面が平らになりにくく、また、クリームの水分蒸散が早く、焦げてしまう。反対に300重量部より多いと逆にフィリングクリーム充填部分底部のパン生地に火が入らず、生焼けになる危険性を生じる。
【0050】
次に本発明のベーカリー食品の製造方法について述べる。
本発明のベーカリー食品に使用されるパン生地としては、イースト及び又は膨張剤を含有するパン生地であればいずれでもよく、例えば、食パン、菓子パン、ハードロール、スイートロール、イーストドーナツ、フランスパン、ブリオッシュ、サバラン、デニッシュ・ペストリー、クロワッサン、イーストパイ、スコーン、イングリッシュマフィン、ワッフル、甘食、卵パン、パネトーネ、パン・デピス、マッサ・テンラ、マフィン、バンズ、ソフトロール、グリシーニ、コーヒーケーキ、シュトーレン、スイートバンズ、ピザ、中華まんじゅう、チャバタ、ピタ、ナンなどの生地があげられる。生地の材料、配合組成は特に限定されず、従来使用されているものでよく、必要により以下のような食品素材を用いることができる。例えば、強力粉、準強力粉、薄力粉、フランス粉、中力粉、グラハム粉、焙焼粉、ライ麦等の穀粉類、マーガリン、ショートニング、バター、液状油等の油脂類、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、黒糖、糖蜜、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつ、黒糖、糖蜜等の糖類および甘味料、全卵、卵黄、卵白、乾燥卵、乾燥卵黄、乾燥卵白等の卵類、原料アルコール、焼酎、ウオッカやブランデー等の蒸留酒、ワイン、日本酒、ビール等の醸造酒、各種リキュール、純生クリーム、ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)、植物性ホイップ用クリーム、チョコレート・ガナッシュ・カスタード風味のホイップ用クリーム等のクリーム類及びこれらのクリーム類をホイップしたもの、ケーキ用起泡剤、水、牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、調製粉乳、発酵乳、ヨーグルト、練乳、加糖練乳、全脂練乳、脱脂練乳、濃縮乳等の乳製品、ココナッツミルク、豆乳、寒天、カラギーナン、ファーセルラン、タマリンド種子多糖類、タラガム、カラヤガム、ペクチン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、トラガントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、プルラン、ジェランガム、アラビアガム、ゼラチン、加工澱粉等の増粘安定剤、コーンスターチ、小麦澱粉等の澱粉類、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド、レシチン等の乳化剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、コーヒー、ナッツペースト、ココアマス、ココアパウダー、チョコレート、チョコレートペースト、抹茶、紅茶、香辛料、穀類、ハーブ、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材、コンソメ、ブイヨン、食品添加物等が挙げられる。
【0051】
本発明のベーカリー食品に使用されるパン生地は、必要に応じロールイン油脂、あるいは呈味材としてシート状、チップ状のロールイン油脂やフラワーペースト類を含有することも可能である。
【0052】
これらの生地を層状に圧延後、必要に応じ、折り込み操作を行った後、適当な大きさにカットして型にいれる、あるいは生地中央を凹状に窪みを設ける、編み込み生地で皿状に成型するなど、上面にのみ開口を有する形状に成型し、さらに製パン焼き込み用フィリングクリームを充填する。
【0053】
ここで、上面にのみ開口を有する形状とは、焼成または蒸す前に、成型済生地に上部より貫孔を施すことなく製パン焼き込み用フィリングクリームを充填可能な形状であり、かつ、側面および下面から見た場合に開口を有しない形状をさす。これにより、本発明の製パン焼き込み用フィリングクリームが焼成または蒸し工程により軟化しても漏れ出すことなく最終ベーカリー食品を得ることが出来る。また、上面の開口は一つでも二個以上でも問題なく可能である。
【0054】
製パン焼き込み用フィリングクリームを充填後、または充填前に必要に応じ、レスト、リタード、および、または、ホイロ工程を行った後、焼成、または蒸すことによって、本発明のベーカリー食品を得る。
なお、ホイロ工程を経る場合、製パン焼き込み用フィリングクリームの生地への充填はホイロ後でもホイロ前でも可であるが、ベーカリー食品の形均整化や、ホイロ時、あるいは加熱時のパン生地底部の浮きあがり防止のためには、ホイロ前であることが好ましい。
【0055】
本発明のベーカリー食品の製造方法は、上記の製パン焼き込み用フィリングクリームを充填したパン生地を加熱し、製パン焼き込み用フィリングクリームを溶解させ、更に冷却して固化させることを特徴とする。このときの加熱温度は、上記の水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度とするのが好ましく、冷却温度は、上記の水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度とするのが好ましい。
【0056】
上記の加熱方法としては、直火による加熱、オーブンによる加熱、電子レンジによる加熱、蒸し器による加熱等が挙げられる。
上記の冷却方法としては、室温に放置することによる冷却、冷蔵庫に入れることによる冷却、冷凍庫に入れることによる冷却等が挙げられる。
【0057】
本発明のベーカリー食品は、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含有し、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を含有する製パン焼き込み用フィリングクリームが、加熱により溶解するので、冷却して固化したときに、パン生地の加熱膨張による形状変化にも係わらず、フィリングクリーム表面を平らなものとすることができる。
【0058】
また、本発明のベーカリー食品は、包丁でカットしたときに、上記の水中油型乳化組成物を含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が包丁に付着しにくいものである。
【0059】
【実施例】
以下に実施例および比較例をあげて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0060】
(水中油型乳化組成物Aの調製)
50℃に調温したパーム油4.7重量部と、水56.6重量部を50℃に昇温して攪拌しながらクリーム(油分47重量%、融点31℃)15重量部を添加して調製した水相とを予備乳化し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉3.5重量部と、あらかじめ砂糖20重量部、キサンタンガム0.1重量部およびローカストビーンガム0.1重量部を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0061】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Aを得た。得られた水中油型乳化組成物Aの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×106個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×105個/mlであり、油分は11.8重量%、配合油脂の融点は35℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0062】
(水中油型乳化組成物Bの調製)
水51.3重量部を50℃に昇温して攪拌しながら、クリーム(油分47重量%、融点31℃)25重量部を添加し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉3.5重量部と、あらかじめ砂糖20重量部、キサンタンガム0.1重量部およびローカストビーンガム0.1重量部を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0063】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Bを得た。得られた水中油型乳化組成物Bの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×106個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×105個/mlであり、油分は11.8重量%、配合油脂の融点は31℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0064】
(水中油型乳化組成物Cの調製)
水63.45重量部を50℃に昇温して攪拌しながら、冷凍処理したクリームチーズ(クリームチーズを3ヶ月冷凍保管したもので、油分60重量%、融点31℃)30重量部を添加して、予備乳化物を調整した。そしてこの予備乳化物をホモジナイザーH−20型(三和機械(株)製)によって1段目150kg/cm2、2段目10kg/cm2にて均質化処理を行った。そしてこの予備乳化物にリン酸架橋馬鈴薯澱粉4重量部と、あらかじめコーンスターチ2重量部、ゼラチン0.25重量部、キサンタンガム0.15重量部およびローストビーンガム0.15重量部を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0065】
次いで上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Cを得た。得られた水中油型乳化組成物Cの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×106個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数が8.5×105個/mlであり、油分は18重量%、配合油脂の融点は35℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0066】
実施例1
以下の配合と製法によりプリンパンを製造した。得られたプリンパンの製パン焼き込み用フィリングクリーム部分の表面は平らであった。得られたプリンパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Aを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
【0067】
<パン生地>
<生地配合> 準強力粉80重量部、薄力粉20重量部、イースト4重量部、イーストフード0.1重量部、上白糖15重量部、脱脂粉乳2重量部、食塩1.5重量部、練り込み用油脂(ショートニング)10重量部、全卵5重量部、水48重量部、ロールイン油脂40重量部
【0068】
<生地製法>ロールイン油脂と練り込み用油脂(ショートニング)以外の原料をミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速3分、中速2分ミキシング後、練り込み用油脂を投入し、さらに低速2分、中速3分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム30分とった後、リタード庫にて2℃16時間リタードした。この生地にシート状ロールイン油脂を載置し、包み込み、3つ折り2回後リタード2℃1時間、さらに3つ折り1回後、生地厚5mmに最終圧延を行ない、これをパン生地とした。
【0069】
<製パン焼き込み用フィリングクリームA>
水中油型乳化組成物A600重量部に植物性ホイップクリーム100重量部を加え、軽く混合した。
【0070】
<プリンパン製法>
パン生地を長さ100mm、幅100mmの正方形にカット成形し(55g)、上面最大直径105mm、底面最大直径50mm、深さ35mmの星型の窪みを有する展板に押し込んだ。この中に、製パン焼き込み用フィリングクリームAを40g絞り、35℃、相対湿度85%、60分のホイロ発酵後、200℃、18分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、プリンパンを得た。
【0071】
(比較例1)
実施例1において、製パン焼き込み用フィリングクリームを下記配合製法によって得られた同量のカスタードクリームに置き換えた他は実施例1と同様の方法により、プリンパンを製造した。カスタードクリームは熱可塑性ゲルではないため加熱によっても溶解しないため、得られたプリンパンのカスタードクリームの表面は凸凹しており、また一部に焦げ目もついていた。また得られたプリンパンを包丁でカットしたとき、包丁にカスタードクリームが付着してしまった。
【0072】
(カスタードクリームの調製)
牛乳61.3重量部、上白糖18.4重量部、薄力粉2.4重量部、コーンスターチ2.5重量部、卵黄15.4重量部を均一に混合後、加熱し、沸騰させ、カスタードクリームを得た。
【0073】
実施例2
以下の配合と製法によりプリンパンを製造した。得られたプリンパンの製パン焼き込み用フィリングクリーム部分の表面は平らであった。得られたプリンパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Aを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
【0074】
<パン生地>
<生地配合> 強力粉80重量部、薄力粉 20重量部、イースト6重量部、イーストフード0.1重量部、上白糖20重量部、脱脂粉乳5重量部、食塩1.5重量部、練り込み用油脂(ショートニング)20重量部、全卵20重量部、水40重量部
【0075】
<生地製法>練り込み用油脂以外の全原料を、ミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速3分、中速10分ミキシング後、練り込み用油脂を投入し、さらに低速2分、中速3分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム30分とった後、80gに分割、ベンチタイムを30分とり、これをパン生地とした。
【0076】
<製パン焼き込み用フィリングクリームB>
水中油型乳化組成物A600重量部に植物性ホイップクリーム100重量部を加え、軽く混合した。
【0077】
<プリンパン製法>
分割したパン生地(80g)を麺棒で直径120mmの円形に伸ばし、直径100mm、深さ20mmの紙ケースに押し込んだ。この窪みに、製パン焼き込み用フィリングクリームBを50g絞り、35℃、相対湿度85%、60分のホイロ発酵後、190℃、17分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、プリンパンを得た。
【0078】
実施例3
以下の配合と製法によりチーズプリンパンを製造した。得られたチーズプリンパンの製パン焼き込み用フィリングクリーム部分の表面は平らであった。得られたチーズプリンパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Bを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
【0079】
<パン生地>
<生地配合> 準強力粉80重量部、薄力粉20重量部、イースト4重量部、イーストフード0.1重量部、上白糖15重量部、脱脂粉乳2重量部、食塩1.5重量部、練り込み用油脂(ショートニング)10重量部、全卵5重量部、水48重量部、ロールイン油脂40重量部
【0080】
<生地製法>ロールイン油脂と練り込み用油脂(ショートニング)以外の原料をミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速3分、中速2分ミキシング後、練り込み用油脂を投入し、さらに低速2分、中速3分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム30分とった後、リタード庫にて2℃16時間リタードした。この生地にシート状ロールイン油脂を載置し、包み込み、3つ折り2回後リタード2℃1時間、さらに3つ折り1回後、生地厚5mmに最終圧延を行ない、これをパン生地とした。
【0081】
<製パン焼き込み用フィリングクリームC>
(配合)
クリームチーズ 250重量部
水中油型乳化組成物B 375重量部
植物性ホイップクリーム 125重量部
レモンジュース 15重量部
キルシュワッサー 15重量部
(製法)
1 室温に戻したクリームチーズをほぐし、攪拌した。
2 1に水中油型乳化組成物Bを3回に分けて、混合した。
3 2に植物性ホイップクリームを徐々に加え、混合した。
4 3にレモンジュースとキルシュワッサーを加え、混合した。
【0082】
<チーズプリンパン製法>
パン生地を長さ100mm、100mmの正方形にカット成形し(55g)、上面最大直径105mm、底面最大直径50mm、深さ35mmの星型の窪みを有する展板に押し込んだ。この中に、製パン焼き込み用フィリングクリームCを40g絞り、35℃、相対湿度85%、60分のホイロ発酵後、200℃、18分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、チーズプリンパンを得た。
【0083】
実施例4
以下の配合と製法によりチーズスフレパンを製造した。得られたチーズスフレパンの中詰めスフレ部分の表面は平らであった。得られたチーズスフレパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Bを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
【0084】
<パン生地>
<生地配合> 準強力粉80重量部、薄力粉20重量部、イースト4重量部、イーストフード0.1重量部、上白糖15重量部、脱脂粉乳2重量部、食塩1.5重量部、練り込み用油脂(ショートニング)10重量部、全卵5重量部、水48重量部、ロールイン油脂40重量部
【0085】
<生地製法>ロールイン油脂と練り込み用油脂(ショートニング)以外の原料をミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速3分、中速2分ミキシング後、練り込み用油脂を投入し、さらに低速2分、中速3分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム30分とった後、リタード庫にて2℃16時間リタードした。この生地にシート状ロールイン油脂を載置し、包み込み、3つ折り2回後リタード2℃1時間、さらに3つ折り1回後、生地厚5mmに最終圧延を行ない、これをパン生地とした。
【0086】
<製パン焼き込み用フィリングクリームD>
<アパレイユ>
(配合)
カマンベールクリーム 380重量部
レモン果汁 10重量部
水中油型乳化組成物B 400重量部
カマンベールチーズ香料 1重量部
卵白 80重量部
上白糖 60重量部
(製法)
1 カマンベールクリームとレモン果汁を練り合わせ軟らかくした。
2 1に水中油型乳化組成物Bとカマンベールチーズ香料を加え、均一に混合した。
3 卵白と上白糖にて六分立て程度のメレンゲを作り、メレンゲの1/3を2に加えて軽く混合し、残りのメレンゲを加え均一に混合した。
【0087】
<チーズスフレパン製法>
パン生地を長さ100mm、100mmの正方形にカット成形し(55g)、上面最大直径105mm、底面最大直径50mm、深さ35mmの星型の窪みを有する展板に押し込んだ。この中に、製パン焼き込み用フィリングクリームDを40g絞り、35℃、相対湿度85%、60分のホイロ発酵後、200℃、18分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、チーズスフレパンを得た。
【0088】
実施例5
以下の配合と製法によりグラタンパンを製造した。得られたグラタンパンの製パン焼き込み用フィリングクリーム部分の表面は平らであった。得られたグラタンパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Cを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
【0089】
<パン生地>
<生地配合> 準強力粉80重量部、薄力粉20重量部、イースト4重量部、イーストフード0.1重量部、上白糖15重量部、脱脂粉乳2重量部、食塩1.5重量部、練り込み用油脂(ショートニング)10重量部、全卵5重量部、水48重量部、ロールイン油脂40重量部
【0090】
<生地製法>ロールイン油脂と練り込み用油脂(ショートニング) 以外の原料をミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速3分、中速2分ミキシング後、練り込み用油脂を投入し、さらに低速2分、中速3分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム30分とった後、リタード庫にて2℃16時間リタードした。この生地にシート状ロールイン油脂を載置し、包み込み、3つ折り2回後リタード 2℃1時間、さらに3つ折り1回後、生地厚5mmに最終圧延を行ない、これをパン生地とした。
【0091】
<製パン焼き込み用フィリングクリームE>
<ホワイトソース>
(配合)
水中油型乳化組成物C 95.05重量部
植物性ホイップクリーム 4 重量部
食塩 0.5 重量部
チキンブイヨン 0.4 重量部
胡椒 0.05重量部
(製法)
1 水中油型乳化組成物Cと植物性ホイップクリームを鍋に入れ、火にかけ、60℃以上に加熱した。
2 1に食塩、チキンブイヨン、胡椒を加え、混合した。
【0092】
<冷製グラタンフィリング>
ホワイトソース 130重量部
(前項配合・製法で得られたもの)
マカロニ 50重量部
エビ 5重量部
ブロッコリー 8重量部
チーズ 7重量部
(製法)
1 エビは背わたをとり、茹でて殻をむいた。
2 ブロッコリーは小房にわけ、茹でた。
3 マカロニを茹でた。
【0093】
<グラタンパン製法>
パン生地を長さ100mm、100mmの正方形にカット成形し(55g)、上面最大直径105mm、底面最大直径50mm、深さ35mmの星型の窪みを有する展板に押し込んだ。この中に、製パン焼き込み用フィリングクリームEを40g絞り、35℃、相対湿度85%、60分のホイロ発酵後、200℃、18分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、グラタンパンを得た。
【0094】
実施例6
以下の配合と製法によりチョコプリンパンを製造した。得られたチョコプリンパンの製パン焼き込み用フィリングクリーム部分の表面は平らであった。得られたパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Bを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
【0095】
<パン生地>
<生地配合> 強力粉100重量部、イースト4重量部、イーストフード0.2重量部、上白糖15重量部、転化糖シロップ20重量部、脱脂粉乳2重量部、食塩1重量部、練り込み用油脂(ショートニング)10重量部、全卵12重量部、卵黄23重量部、水13重量部、ロールイン油脂45重量部
【0096】
<生地製法>ロールイン油脂以外の原料をミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速5分、中速3分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム30分とった後、リタード庫にて2℃16時間リタードした。
この生地にシート状ロールイン油脂を載置し、包み込み、4つ折り1回、3つ折り1回後リタード2℃1時間、さらに3つ折り1回後、生地厚5mmに最終圧延を行ない、これをパン生地とした。
【0097】
<製パン焼き込み用フィリングクリームF>
(配合)
水中油型乳化組成物B 210重量部
卵黄 70重量部
ガナッシュ 140重量部
オレンジキュラソー 5重量部
(製法)
全材料を十分に混合した。
【0098】
<チョコプリンパン製法>
直径105mm、深さ35mmのセルクルに油脂を塗布し、展板に並べ、パン生地を直径120mmの円形に打ち抜き、セルクルに押し込んだ。(62g)この中に、製パン焼き込み用フィリングクリームFを70g絞り、35℃、相対湿度85%、60分のホイロ発酵後、200℃、18分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、チョコプリンパンを得た。
【0099】
実施例7
以下の配合と製法によりチョコプリンパンを製造した。得られたチョコプリンパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Bを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
【0100】
<生地配合> 強力粉50重量部、薄力粉50重量部、イースト0.5重量部、イーストフード0.1重量部、食塩1.0重量部、練り込み用油脂(ショートニング)5重量部、全卵5重量部、水45重量部、ロールイン油脂60重量部
【0101】
<生地製法>ロールイン油脂以外の原料をミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速3分、中速3分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム30分とった後、リタード庫にて2℃16時間リタードした。
この生地にシート状ロールイン油脂を載置し、包み込み、4つ折り2回後リタード2℃1時間、さらに3つ折り2回後、生地厚2.5mmに最終圧延を行ない、これをパン生地とした。
【0102】
<製パン焼き込み用フィリングクリームG>
(配合)
水中油型乳化組成物B 150重量部
卵黄 30重量部
ガナッシュ 180重量部
濃縮乳 40重量部
クレーム・ド・カカオ 5重量部
(製法)
全材料を十分に混合した。
【0103】
<チョコプリンパン製法>
パン生地を長さ100mm、100mmの正方形にカット成形し(30g)、上面最大直径105mm、底面最大直径50mm、深さ35mmの星型の窪みを有する展板に押し込んだ。この中に、製パン焼き込み用フィリングクリームGを40g絞り、35℃、相対湿度85%、50分のホイロ発酵後、200℃、18分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、チョコプリンパンを得た。
【0104】
実施例8
以下の配合と製法によりチョコプリンパンを製造した。得られたパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Aを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
<生地配合> 強力粉70重量部、薄力粉30重量部、イースト6重量部、イーストフード0.1重量部、上白糖20重量部、脱脂粉乳5重量部、食塩1.5重量部、練り込み用油脂(ショートニング)20重量部、全卵20重量部、水40重量部
【0105】
<生地製法>全原料をミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速3分、中速10分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム60分とった後、リタード庫にて 2℃1時間リタードした。この生地を80gに分割し、ベンチタイムを30分とり、これをパン生地とした。
【0106】
<製パン焼き込み用フィリングクリームH>
水中油型乳化組成物A 200重量部
ガナッシュ 100重量部
卵白 100重量部
クレーム・ド・カカオ 10重量部
(製法)
全材料を十分に混合した。
【0107】
<プリンパン製法>
直径105mm、深さ35mmのセルクルに油脂を塗布し、展板に並べ、麺棒で直径120mmの円形に伸ばしたパン生地(80g)を押し込んだ。この中に、製パン焼き込み用フィリングクリームHを80g絞り、35℃、相対湿度85%、60分のホイロ発酵後、200℃、18分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、チョコプリンパンを得た。
【0108】
実施例9
以下の配合と製法によりプリンパンを製造した。得られたプリンパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Aを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
【0109】
<生地配合> 強力粉70重量部、薄力粉30重量部、イースト4重量部、イーストフード0.1重量部、上白糖12重量部、脱脂粉乳2重量部、食塩1.2重量部、練り込み用油脂(ショートニング)10重量部、水60重量部、ロールイン油脂40重量部
【0110】
<生地製法>ロールイン油脂と練り込み用油脂(ショートニング) 以外の原料をミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速3分、中速2分ミキシング後、練り込み用油脂を投入し、さらに低速2分、中速3分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム30分とった後、リタード庫にて2℃16時間リタードした。この生地にシート状ロールイン油脂を載置し、包み込み、3つ折り2回後リタード2℃1時間、さらに3つ折り1回後、生地厚5mmに最終圧延を行ない、これをパン生地とした。
【0111】
<製パン焼き込み用フィリングクリームI>
(配合)
水中油型乳化組成物A 300重量部
卵白 150重量部
オレンジキュラソー 5重量部
(製法)
全材料を十分に混合した。
【0112】
<プリンパン製法>
パン生地を長さ100mm、幅100mmの正方形にカット成形し(55g)、上面最大直径105mm、底面最大直径50mm、深さ35mmの星型の窪みを有する展板に押し込んだ。この中に、製パン焼き込み用フィリングクリームIを40g絞り、35℃、相対湿度85%、60分のホイロ発酵後、200℃、18分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、プリンパンを得た。
【0113】
実施例10
以下の配合と製法によりプリンパンを製造した。得られたプリンパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Bを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
【0114】
<生地配合> 強力粉50重量部、薄力粉50重量部、イースト4重量部、イーストフード0.1重量部、上白糖15重量部、脱脂粉乳2重量部、食塩1.2重量部、練り込み用油脂(ショートニング)10重量部、全卵10重量部、水40重量部、シート状フラワーペースト55重量部
【0115】
<生地製法>シート状フラワーペーストと練り込み用油脂(ショートニング) 以外の原料をミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速3分、中速3分ミキシング後、練り込み用油脂を投入し、さらに低速3分、中速3分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム30分とった後、リタード庫にて2℃16時間リタードした。この生地にシート状フラワーペーストを載置し、包み込み、3つ折り1回後リタード 2℃1時間後、生地厚5mmに最終圧延を行ない、これをパン生地とした。
【0116】
<製パン焼き込み用フィリングクリームJ>
(配合)
水中油型乳化組成物B 210重量部
卵黄 70重量部
卵白 140重量部
オレンジキュラソー 5重量部
(製法)
全材料を十分に混合した。
【0117】
<プリンパン製法>
パン生地を長さ100mm、100mmの正方形にカット成形し(55g)、上面最大直径105mm、底面最大直径50mm、深さ35mmの星型の窪みを有する展板に押し込んだ。この中に、製パン焼き込み用フィリングクリームJを40g絞り、35℃、相対湿度85%、60分のホイロ発酵後、200℃、18分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、プリンパンを得た。
【0118】
【発明の効果】
本発明によれば、上面にのみ開口を有する形状に成形したパン生地の開口部に焼き込み用フィリングクリームを充填した後に加熱してなるベーカリー食品において、過度の粘り気がなく口溶けの良好で、平滑な焦げのないフィリング表面を呈するベーカリー食品を製造することができる。
【0119】
また、本発明の食品の製造方法で得られたベーカリー食品は、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含有し、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物が加熱により溶解するので、更に冷却して固化したときに、その表面を平らなものとすることができる。
【0120】
更に、本発明の食品の製造方法で得られたベーカリー食品は、包丁でカットしたときに、上記の水中油型乳化組成物を含有する部分が包丁に付着しにくいものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベーカリー食品に関するものであり、詳しくは上面にのみ開口を有する形状に成形したパン生地の開口部に製パン焼き込み用フィリングクリームを充填した後、加熱してなるベーカリー食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
上面にのみ開口を有する形状に成形したパン生地の開口部に、カスタードクリームやフラワーペースト等の焼き込み用フィリングクリームを充填した後に加熱してなるベーカリー食品は、たとえば、プリンパン、エッグタルト等の名称で作られている。ここで使用される焼き込み用フィリングクリームは、たとえば、牛乳・卵・砂糖・クリーム等に、必要に応じ澱粉類を混合した水中油型乳化組成物や、あらかじめ、上記材料を用いて製造されたカスタードクリームやフラワーペーストが使用される。
【0003】
しかし、前者は液状であるため、例えば大手製パン業者のような大量生産ラインでは、加熱前の絞り工程で定量充填しにくいなど、扱いにくく、また、後者はゲル状であるが、加熱後の食感が過度の粘り気があり、かつ口溶けも悪く、また、加熱・冷却による粘度や硬さ変化がないため最終製品において、フィリングクリームの平滑な表面が得られないばかりか焦げを生じてしまう。とくにパン生地を用いる場合、パン生地は焼き菓子に比べ水分含量が高く、さらにイースト及び又は膨張剤を用いているため、例えば食パン生地では加熱後には体積が5〜7倍になるなど発酵時や加熱時の膨張力が高く、加熱時に焼き込みフィリングクリーム部分の固化する過程とパン生地が膨張固化する過程がほぼ同時に進行する。このため焼き込み用フィリングクリームの表面が盛り上がったり、焼き込み用フィリングクリームと生地側面との接面に間隙や皺が生じるなどにより、加熱後のフィリングクリーム表面を平滑にすることはきわめて困難であった。
【0004】
このため、たとえば、加熱したベーカリー食品を卓上などの平らな台上に逆さにおくことによって、ベーカリー食品表面を平らにする方法が古くから行われていた。しかし、この方法では粘着性の高いフィリングクリーム表面を有するベーカリー食品は台に付着してしまい商品価値を損なう場合が多く、また得られたベーカリー製品の生地部分の最高標位よりもフィリング表面標位が低い場合は表面平滑化の効果は得られない。
【0005】
また、特開平6−78725号公報では、生地に載置、あるいは充填する水中油型乳化組成物を凍結し、さらに、その表面に油脂層を設けることにより、パン生地への充填時の作業性を改善し、かつ、焦げつきや加熱時の流動性、食感の改良の試みがなされている。しかし、この方法では、フィリングをいったん冷凍する必要があり、そのためフィリングの重量や形状が一定になってしまい、さまざまな重量や形状のベーカリー食品に柔軟に対応できない。また、加熱初期に流動化し、加熱中に固化するため、加熱中のパン生地の膨張にも柔軟に対応できず、結果として平滑なフィリング表面が得られなかった。さらに、油脂層が最終製品のフィリング表面に残ってしまうため、良好な食感、風味が得られにくいという欠点もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上面にのみ開口を有する形状に成形したパン生地の開口部に製パン焼き込み用フィリングクリームを充填した後に加熱してなるベーカリー食品において、過度の粘り気がなく口溶けの良好で、平滑な焦げのないフィリング表面を呈するベーカリー食品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、特定の水中油型乳化組成物を含有する製パン焼き込み用フィリングクリームを使用することにより、上記課題を解決し得ることを知見し、本発明に到達した。
【0008】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、上面にのみ開口を有する形状に成形したパン生地の開口部に、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を含有する製パン焼き込みフィリングクリームを充填した後、焼成してなるベーカリー食品を提供するものである。
【0009】
また本発明は、上記の水中油型乳化組成物1ml中に、粒径が30μmより大きい澱粉粒子が、1×105個以上1×107個未満存在することを特徴とするベーカリー食品を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のベーカリー食品について詳述する。
本発明のベーカリー食品は、上面にのみ開口を有する形状に成形したパン生地の開口部に、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を含有する製パン焼き込み用フィリングクリームを充填した後、加熱してなることを特徴とし、ここで用いられる製パン焼き込み用フィリングクリームは粒径が30μmより大きい澱粉粒子、好ましくは粒径が50μmよりも大きい澱粉粒子を含む水中油型乳化組成物を含有する。
【0011】
上記の水中油型乳化組成物が、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含有しないと、製パン焼き込み用フィリングクリームに優れた食感を付与することができないので好ましくない。また、過度の粘り気がなく口溶けの良好で、平滑な焦げのない焼き込みフィリングクリーム表面を有するベーカリー食品が得られない。
尚、上記澱粉粒子の粒径の上限は、200μm以下とする。
【0012】
また、上記の水中油型乳化組成物1ml中に、上記の粒径が30μmより大きい澱粉粒子が、好ましくは1×105個以上1×107個未満、さらに好ましくは5×105個以上5×106個未満存在するものであるのがよい。さらに、上記の粒径が50μmより大きい澱粉粒子が、上記の水中油型乳化組成物1ml中に、好ましくは7×104個以上7×106個未満、さらに好ましくは3×105個以上4×106個未満存在するものであるのが望ましい。
【0013】
上記澱粉粒子の粒径と数の測定は、例えば以下のような方法により測定する。
まず、血球計測器であるJIS規格品の中央に多数の0.0025mm2の区画があるスライドグラスとカバーグラスを用意する。上記スライドグラスにヨウ素水溶液にて澱粉粒子を着色した水中油型乳化組成物または水中油型乳化組成物の希釈液(試料)を縦15区画×横15区画=225区画中に1〜3個程度の澱粉粒子が顕微鏡下で認められる程度になるように入れ、その225区画内にある澱粉粒子の粒径と粒径が30μmより大きい澱粉粒子数を測定する。ちなみにスライドグラスの1区画あたりの容積はスライドグラスとカバーグラスとの間に0.1mm厚の空間ができるので、0.00025mm3である。このような一連の測定を同一試料について50回行い、平均をとることにより、得られた値を澱粉粒子の粒径と数とする。同様の手段により50μmより大きい澱粉粒子の粒径と数を測定する。
【0014】
また、上記澱粉粒子の粒径とは、澱粉粒子の形状が球体であればその直径を指すものであり、楕円体であればその長径と短径の平均を表すものとする。
【0015】
次に上記の水中油型乳化組成物で用いることができる配合材料について説明する。
澱粉としては、上記の水中油型乳化組成物中において粒径が30μmより大きいものとなる澱粉を用いる。上記の粒径が30μmより大きいものとなる澱粉としては、上記の水中油型乳化組成物中において粒径が30μmより大きいものとなる澱粉であればどのような澱粉でも構わないが、例えば馬鈴薯由来の澱粉や、馬鈴薯澱粉の化工澱粉、各種餡類などがあげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。上記の化工澱粉とは、エステル化、エーテル化、リン酸架橋、アセチル化、ヒドロキシプロピル化等の化学変性処理をしたものや、アルファ化処理等の物理変性処理をした澱粉をいい、これらは単独または2種以上組合わせて用いることができる。また上記処理方法を2種以上重複して施した化工澱粉としても良い。
【0016】
上記の各種餡類としては、小豆、大豆、枝豆、いんげん豆、えんどう豆、そら豆などの豆類などから作られたものがあげられる。
【0017】
上記水中油型乳化組成物中の上記澱粉の含有量は、好ましくは0.3〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%、最も好ましくは3〜8重量%である。
【0018】
上記の水中油型乳化組成物は、融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している。上記の融点が37℃以上の熱可逆性ゲルを構成するゲル化剤としては、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン等があげられ、これらのゲル化剤の中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
【0019】
上記の水中油型乳化組成物では、上記ゲル化剤のうち、特にキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用するのが好ましい。キサンタンガムとローカストビーンガムとを併用する場合の両者の配合比率は、重量比率で、好ましくはキサンタンガム:ローカストビーンガム=30:70〜70:30、さらに好ましくは40:60〜60:40、最も好ましくは45:55〜55:45である。
【0020】
上記の水中油型乳化組成物中の上記ゲル化剤の含有量は、好ましくは0.001〜2重量%、さらに好ましくは0.001〜1重量%、最も好ましくは0.001〜0.7重量%である。
【0021】
上記の水中油型乳化組成物で用いる油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油、バターオイル等の各種植物油脂、動物油脂ならびにこれらを水素添加、分別およびエステル交換から選択される一または二以上の処理を施した加工油脂、油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品があげられる。上記油脂のうち、油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品を用いるのが好ましく、特に油脂として油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品のみを用いるのが好ましい。
【0022】
上記の油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品としては、生クリーム、ホイップクリーム、クリームチーズ、マスカルポーネ、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、部分脱脂乳、加工乳、クリーム、チーズ、バター、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、無糖練乳、加糖練乳、全粉乳、クリームパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、豆乳もしくはその加工品等があげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
【0023】
上記の水中油型乳化組成物では、生クリーム、クリームチーズ及びマスカルポーネの中から選ばれた1種または2種以上を用いるのが好ましい。特に生クリーム、クリームチーズ、マスカルポーネを冷凍処理したものを用いるのが好ましい。冷凍処理を施すことにより上記乳製品中の蛋白質が変性し、ポリペプチド鎖の疎水性官能基が分子表面に露出して遊離状態になるため、解凍後に蛋白質分子間架橋結合が生成し易い状態になり、これによって豊かな乳風味を有する水中油型乳化組成物となると考えられる。冷凍変性をさせるために、冷凍期間は7日間〜24ヶ月であることが望ましい。該冷凍期間が7日間より短いと、冷凍変性が不十分なため、その含有効果が十分に得られず、また24ヶ月を越えると、冷凍変性が過度となり溶解、乳化が困難となる。また、冷凍温度は−10℃以下とするのが望ましい。
【0024】
また、上記の油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品としては、好ましくは油分が3〜85重量%、さらに好ましくは油分が3〜70重量%、最も好ましくは油分が3〜60重量%である乳製品および/または乳製品類似食品を用いるのがよい。
【0025】
上記の油脂や油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品は、上記の水中油型乳化組成物中の油分が好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは3〜35重量%、最も好ましくは5〜20重量%となるように用いるのがよい。
【0026】
また、上記の水中油型乳化組成物中の水道水や天然水等の水の含有量は、好ましくは30〜80重量%、さらに好ましくは40〜75重量%、最も好ましくは45〜70重量%である。
【0027】
上記の水中油型乳化組成物は、糖類を含有することができる。斯かる糖類としては、例えば、上白糖、グラニュー糖、粉糖、双目糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつ、黒糖、糖蜜等があげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。上記の水中油型乳化組成物は、上記糖類を好ましくは0〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%、最も好ましくは3〜25重量%含有するのがよい。
【0028】
上記の水中油型乳化組成物は、乳化剤としてはレシチン等の天然の乳化剤や、以下に示した合成乳化剤を使用することができる。合成乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。上記の水中油型乳化組成物は、上記乳化剤を好ましくは0〜2重量%含有するのがよい。しかし、上記の水中油型乳化組成物では、風味や、また消費者の間に広まっている天然志向に応える意味で、上記の合成乳化剤を用いないほうがより好ましく、さらに好ましくは乳化剤を用いないのがよい。
【0029】
また、上記の水中油型乳化組成物は、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩等のリン酸塩を用いてもよいが、消費者の間に広まっている天然志向に応える意味で、上記のリン酸塩を用いないのが好ましい。
【0030】
上記の水中油型乳化組成物には、その他の材料としてコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、サゴヤシ澱粉等粒径が30μm以下の澱粉、脱脂乳、脱脂濃縮乳、糖脱脂練乳、加糖脱脂練乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、ホエープロテインコンセートレート、トータルミルクプロテイン等の油脂を含有しない乳製品、無機塩および有機酸塩、生卵黄、液卵黄、殺菌卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄および酵素処理卵黄などの卵製品、ゼラチン、グリシン、カカオおよびカカオ製品、コーヒーおよびコーヒー製品、果汁、ジャム、ナッツ加工品、その他各種食品素材全般、着香料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等の中から選ばれた1種または2種以上用いることができる。
【0031】
また上記の、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、サゴヤシ澱粉等粒径が30μm以下の澱粉、脱脂乳、脱脂濃縮乳、糖脱脂練乳、加糖脱脂練乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、ホエープロテインコンセートレート、トータルミルクプロテイン等の油脂を含有しない乳製品、生卵黄、液卵黄、殺菌卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄および酵素処理卵黄などの卵製品、ゼラチンの中から選ばれた1種類または2種類以上配合することで、融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによって形成されるゲル骨格を阻害し、食感の調整をすることができる。
【0032】
上記の粒径が30μm以下の澱粉は上記の水中油型乳化組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜3重量%含有するのがよい。
【0033】
上記の油脂を含有しない乳製品は上記の水中油型乳化組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜3重量%含有するのがよい。
【0034】
上記の卵製品は上記の水中油型乳化組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜7重量%、最も好ましくは1〜5重量%含有するのがよい。
【0035】
上記のゼラチンは上記の水中油型乳化組成物中、好ましくは0〜2重量%、さらに好ましくは0.05〜1重量%、最も好ましくは0.1〜0.5重量%含有するのがよい。
【0036】
次に上記の水中油型乳化組成物の製造方法について説明する。
まず、配合油脂の融点以上で、且つ水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度で、全原料を混合攪拌して予備乳化物を調製する。尚、配合油脂の融点以上とは、上記の水中油型乳化組成物において、例えば、植物油脂を用いた水中油型乳化物と生クリームを油脂として用いる場合は、植物油脂と生クリーム中の乳脂のうち、融点が高いほうの油脂の融点以上とする。
【0037】
例えば、水中油型乳化組成物の油脂として生クリームのみを用い、ゲル化剤としてキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用した場合、生クリームの品質にもよるが、配合油脂の融点は、28〜33℃程度である。また、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度は、水中油型乳化組成物のゲル化剤対水濃度、糖度、その他の配合材料等の影響にもよるが、50〜60℃程度である。ここでいう水中油型乳化組成物のゲル化開始温度は、溶融状態にある水中油型乳化組成物の温度を下げていったときに、ゲル化が開始する温度のことを示している。
【0038】
全原料を混合攪拌する際、油脂を使用する場合は、油脂および必要により油溶性成分を含有する油相と、水および必要により乳製品、砂糖、水溶性成分を含有する水相とを混合、攪拌し、予備乳化物を調製する。また、油分として油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品のみを使用し、油脂を使用しない場合は、水に、油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品ならびに必要により砂糖および水溶性成分を混合、攪拌し、予備乳化物を調製する。
【0039】
上記の予備乳化物を調製する際、澱粉や融点が37℃以上の熱可逆性ゲルを構成するゲル化剤は、水相および/または油相に添加することが可能であり、また水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加することも可能である。本発明では、上記の澱粉やゲル化剤は、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加することが好ましい。この場合、上記の澱粉やゲル化剤の一部を水相および/または油相に添加し、残りの澱粉やゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加してもよい。上記の澱粉やゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加せず、上記の澱粉やゲル化剤を水相および/または油相に添加した後、予備乳化物を製造すると、予備乳化物を均一に攪拌しにくく、均一に乳化させにくくなる。
【0040】
また、上記ゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加する場合、上記ゲル化剤を糖類等の水によく溶ける原料と混合して、予備乳化物に添加することにより、上記ゲル化剤がダマになるのを防止することができる。
【0041】
上記の水中油型乳化組成物では、上記の澱粉やゲル化剤を添加した後は均質化処理を行わないことが好ましい。これは均質化処理により、澱粉粒子が破壊されたり、ゲル化剤のゲル化力が低下しやすいためである。均質化が必要な場合は、上記ゲル化剤を添加する前に行うことが好ましい。均質化処理機としては、ホモゲナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等があげられる。尚、本発明では、製造の全工程を通じて均質化処理を行わないことが好ましい。
【0042】
次いで、上記予備乳化物を、水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度で殺菌または滅菌する。ここでいう水中油型乳化組成物のゲル融点とは、ゲル化した水中油型乳化組成物が融け始める温度を示している。例えば、ゲル化剤としてキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用した場合、水中油型乳化組成物のゲル融点は、水中油型乳化組成物のゲル化剤対水濃度、糖度、その他の配合材料等の影響にもよるが、50〜60℃程度である。
【0043】
上記殺菌または滅菌は、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式・チューブラー式・掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理、あるいは直火等の加熱調理により行うことができ、UHTによる加熱滅菌もしくは加熱殺菌を行うのが好ましい。
【0044】
そして、上記の殺菌または滅菌後、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以上の温度で容器に充填した後、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度まで冷却することにより、上記の水中油型乳化組成物が得られる。上記の容器への充填は、無菌充填をはじめとする衛生的な充填手法で行うのが好ましい。
【0045】
尚、本発明の水中油型乳化組成物の製造方法において、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度と、水中油型乳化組成物のゲル融点という言葉を用いているが、一般的にこの2つの温度が異なっている水中油型乳化組成物が多いことがわかっている。
【0046】
また、本発明で使用する製パン焼き込み用フィリングクリーム中の、上記の水中油型乳化組成物の含有量は、好ましくは5〜100重量%、更に好ましくは20〜100重量%、最も好ましくは30〜100重量%である。
【0047】
また、本発明で使用する製パン焼き込み用フィリングクリームには必要により、以下のような食品素材を用いることができる。例えば、強力粉、準強力粉、薄力粉、フランス粉、中力粉、グラハム粉、焙焼粉、ライ麦等の穀粉類、マーガリン、ショートニング、バター、液状油等の油脂類、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、黒糖、糖蜜、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつ等の糖類及び甘味料、全卵、卵黄、卵白、乾燥卵、乾燥卵黄、乾燥卵白等の卵類、原料アルコール、焼酎、ウオッカやブランデー等の蒸留酒、ワイン、日本酒、ビール等の醸造酒、各種リキュール、純生クリーム、ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)、植物性ホイップ用クリーム、チョコレート・ガナッシュ・カスタード風味のホイップ用クリーム等のクリーム類及びこれらのクリーム類をホイップしたもの、ケーキ用起泡剤、水、牛乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、調製粉乳、発酵乳、ヨーグルト、練乳、加糖練乳、全脂練乳、脱脂練乳、濃縮乳等の乳製品、ココナッツミルク、豆乳、寒天、カラギーナン、ファーセルラン、タマリンド種子多糖類、タラガム、カラヤガム、ペクチン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、トラガントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、プルラン、ジェランガム、アラビアガム、ゼラチン、加工澱粉等の増粘安定剤、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド、レシチン等の乳化剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、コーヒー、ナッツペースト、ココアマス、ココアパウダー、チョコレート、チョコレートペースト、抹茶、紅茶、香辛料、穀類、ハーブ、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材、コンソメ、ブイヨン、食品添加物等が挙げられる。
【0048】
本発明のベーカリー食品は上面にのみ開口を有する形状に成形したパン生地の開口部に、上記製パン焼き込み用フィリングクリームを充填した後、加熱して得る。
この製造方法によって製造される食品の具体例としては、プリンパン、パン・ド・プリン、スフレパン、グラタンパン、エッグタルト、タンタ、タンタオ、ナタ、ベレン、パスティス・デ・ナタ、ケイジャーダ等が挙げられる。
【0049】
本発明の製パン焼き込み用フィリングクリームのパン生地への充填量は、好ましくはパン生地100重量部に対して30〜300重量部、さらに好ましくは50〜150重量部、最も好ましくは80〜120重量部である。充填量が30重量部より少ないと、パン生地の膨張力により、製パン焼き込み用フィリングクリームの表面が平らになりにくく、また、クリームの水分蒸散が早く、焦げてしまう。反対に300重量部より多いと逆にフィリングクリーム充填部分底部のパン生地に火が入らず、生焼けになる危険性を生じる。
【0050】
次に本発明のベーカリー食品の製造方法について述べる。
本発明のベーカリー食品に使用されるパン生地としては、イースト及び又は膨張剤を含有するパン生地であればいずれでもよく、例えば、食パン、菓子パン、ハードロール、スイートロール、イーストドーナツ、フランスパン、ブリオッシュ、サバラン、デニッシュ・ペストリー、クロワッサン、イーストパイ、スコーン、イングリッシュマフィン、ワッフル、甘食、卵パン、パネトーネ、パン・デピス、マッサ・テンラ、マフィン、バンズ、ソフトロール、グリシーニ、コーヒーケーキ、シュトーレン、スイートバンズ、ピザ、中華まんじゅう、チャバタ、ピタ、ナンなどの生地があげられる。生地の材料、配合組成は特に限定されず、従来使用されているものでよく、必要により以下のような食品素材を用いることができる。例えば、強力粉、準強力粉、薄力粉、フランス粉、中力粉、グラハム粉、焙焼粉、ライ麦等の穀粉類、マーガリン、ショートニング、バター、液状油等の油脂類、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、黒糖、糖蜜、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつ、黒糖、糖蜜等の糖類および甘味料、全卵、卵黄、卵白、乾燥卵、乾燥卵黄、乾燥卵白等の卵類、原料アルコール、焼酎、ウオッカやブランデー等の蒸留酒、ワイン、日本酒、ビール等の醸造酒、各種リキュール、純生クリーム、ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)、植物性ホイップ用クリーム、チョコレート・ガナッシュ・カスタード風味のホイップ用クリーム等のクリーム類及びこれらのクリーム類をホイップしたもの、ケーキ用起泡剤、水、牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、調製粉乳、発酵乳、ヨーグルト、練乳、加糖練乳、全脂練乳、脱脂練乳、濃縮乳等の乳製品、ココナッツミルク、豆乳、寒天、カラギーナン、ファーセルラン、タマリンド種子多糖類、タラガム、カラヤガム、ペクチン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、トラガントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、プルラン、ジェランガム、アラビアガム、ゼラチン、加工澱粉等の増粘安定剤、コーンスターチ、小麦澱粉等の澱粉類、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド、レシチン等の乳化剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、コーヒー、ナッツペースト、ココアマス、ココアパウダー、チョコレート、チョコレートペースト、抹茶、紅茶、香辛料、穀類、ハーブ、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材、コンソメ、ブイヨン、食品添加物等が挙げられる。
【0051】
本発明のベーカリー食品に使用されるパン生地は、必要に応じロールイン油脂、あるいは呈味材としてシート状、チップ状のロールイン油脂やフラワーペースト類を含有することも可能である。
【0052】
これらの生地を層状に圧延後、必要に応じ、折り込み操作を行った後、適当な大きさにカットして型にいれる、あるいは生地中央を凹状に窪みを設ける、編み込み生地で皿状に成型するなど、上面にのみ開口を有する形状に成型し、さらに製パン焼き込み用フィリングクリームを充填する。
【0053】
ここで、上面にのみ開口を有する形状とは、焼成または蒸す前に、成型済生地に上部より貫孔を施すことなく製パン焼き込み用フィリングクリームを充填可能な形状であり、かつ、側面および下面から見た場合に開口を有しない形状をさす。これにより、本発明の製パン焼き込み用フィリングクリームが焼成または蒸し工程により軟化しても漏れ出すことなく最終ベーカリー食品を得ることが出来る。また、上面の開口は一つでも二個以上でも問題なく可能である。
【0054】
製パン焼き込み用フィリングクリームを充填後、または充填前に必要に応じ、レスト、リタード、および、または、ホイロ工程を行った後、焼成、または蒸すことによって、本発明のベーカリー食品を得る。
なお、ホイロ工程を経る場合、製パン焼き込み用フィリングクリームの生地への充填はホイロ後でもホイロ前でも可であるが、ベーカリー食品の形均整化や、ホイロ時、あるいは加熱時のパン生地底部の浮きあがり防止のためには、ホイロ前であることが好ましい。
【0055】
本発明のベーカリー食品の製造方法は、上記の製パン焼き込み用フィリングクリームを充填したパン生地を加熱し、製パン焼き込み用フィリングクリームを溶解させ、更に冷却して固化させることを特徴とする。このときの加熱温度は、上記の水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度とするのが好ましく、冷却温度は、上記の水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度とするのが好ましい。
【0056】
上記の加熱方法としては、直火による加熱、オーブンによる加熱、電子レンジによる加熱、蒸し器による加熱等が挙げられる。
上記の冷却方法としては、室温に放置することによる冷却、冷蔵庫に入れることによる冷却、冷凍庫に入れることによる冷却等が挙げられる。
【0057】
本発明のベーカリー食品は、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含有し、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を含有する製パン焼き込み用フィリングクリームが、加熱により溶解するので、冷却して固化したときに、パン生地の加熱膨張による形状変化にも係わらず、フィリングクリーム表面を平らなものとすることができる。
【0058】
また、本発明のベーカリー食品は、包丁でカットしたときに、上記の水中油型乳化組成物を含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が包丁に付着しにくいものである。
【0059】
【実施例】
以下に実施例および比較例をあげて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0060】
(水中油型乳化組成物Aの調製)
50℃に調温したパーム油4.7重量部と、水56.6重量部を50℃に昇温して攪拌しながらクリーム(油分47重量%、融点31℃)15重量部を添加して調製した水相とを予備乳化し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉3.5重量部と、あらかじめ砂糖20重量部、キサンタンガム0.1重量部およびローカストビーンガム0.1重量部を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0061】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Aを得た。得られた水中油型乳化組成物Aの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×106個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×105個/mlであり、油分は11.8重量%、配合油脂の融点は35℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0062】
(水中油型乳化組成物Bの調製)
水51.3重量部を50℃に昇温して攪拌しながら、クリーム(油分47重量%、融点31℃)25重量部を添加し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉3.5重量部と、あらかじめ砂糖20重量部、キサンタンガム0.1重量部およびローカストビーンガム0.1重量部を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0063】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Bを得た。得られた水中油型乳化組成物Bの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×106個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×105個/mlであり、油分は11.8重量%、配合油脂の融点は31℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0064】
(水中油型乳化組成物Cの調製)
水63.45重量部を50℃に昇温して攪拌しながら、冷凍処理したクリームチーズ(クリームチーズを3ヶ月冷凍保管したもので、油分60重量%、融点31℃)30重量部を添加して、予備乳化物を調整した。そしてこの予備乳化物をホモジナイザーH−20型(三和機械(株)製)によって1段目150kg/cm2、2段目10kg/cm2にて均質化処理を行った。そしてこの予備乳化物にリン酸架橋馬鈴薯澱粉4重量部と、あらかじめコーンスターチ2重量部、ゼラチン0.25重量部、キサンタンガム0.15重量部およびローストビーンガム0.15重量部を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0065】
次いで上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Cを得た。得られた水中油型乳化組成物Cの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×106個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数が8.5×105個/mlであり、油分は18重量%、配合油脂の融点は35℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0066】
実施例1
以下の配合と製法によりプリンパンを製造した。得られたプリンパンの製パン焼き込み用フィリングクリーム部分の表面は平らであった。得られたプリンパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Aを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
【0067】
<パン生地>
<生地配合> 準強力粉80重量部、薄力粉20重量部、イースト4重量部、イーストフード0.1重量部、上白糖15重量部、脱脂粉乳2重量部、食塩1.5重量部、練り込み用油脂(ショートニング)10重量部、全卵5重量部、水48重量部、ロールイン油脂40重量部
【0068】
<生地製法>ロールイン油脂と練り込み用油脂(ショートニング)以外の原料をミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速3分、中速2分ミキシング後、練り込み用油脂を投入し、さらに低速2分、中速3分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム30分とった後、リタード庫にて2℃16時間リタードした。この生地にシート状ロールイン油脂を載置し、包み込み、3つ折り2回後リタード2℃1時間、さらに3つ折り1回後、生地厚5mmに最終圧延を行ない、これをパン生地とした。
【0069】
<製パン焼き込み用フィリングクリームA>
水中油型乳化組成物A600重量部に植物性ホイップクリーム100重量部を加え、軽く混合した。
【0070】
<プリンパン製法>
パン生地を長さ100mm、幅100mmの正方形にカット成形し(55g)、上面最大直径105mm、底面最大直径50mm、深さ35mmの星型の窪みを有する展板に押し込んだ。この中に、製パン焼き込み用フィリングクリームAを40g絞り、35℃、相対湿度85%、60分のホイロ発酵後、200℃、18分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、プリンパンを得た。
【0071】
(比較例1)
実施例1において、製パン焼き込み用フィリングクリームを下記配合製法によって得られた同量のカスタードクリームに置き換えた他は実施例1と同様の方法により、プリンパンを製造した。カスタードクリームは熱可塑性ゲルではないため加熱によっても溶解しないため、得られたプリンパンのカスタードクリームの表面は凸凹しており、また一部に焦げ目もついていた。また得られたプリンパンを包丁でカットしたとき、包丁にカスタードクリームが付着してしまった。
【0072】
(カスタードクリームの調製)
牛乳61.3重量部、上白糖18.4重量部、薄力粉2.4重量部、コーンスターチ2.5重量部、卵黄15.4重量部を均一に混合後、加熱し、沸騰させ、カスタードクリームを得た。
【0073】
実施例2
以下の配合と製法によりプリンパンを製造した。得られたプリンパンの製パン焼き込み用フィリングクリーム部分の表面は平らであった。得られたプリンパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Aを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
【0074】
<パン生地>
<生地配合> 強力粉80重量部、薄力粉 20重量部、イースト6重量部、イーストフード0.1重量部、上白糖20重量部、脱脂粉乳5重量部、食塩1.5重量部、練り込み用油脂(ショートニング)20重量部、全卵20重量部、水40重量部
【0075】
<生地製法>練り込み用油脂以外の全原料を、ミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速3分、中速10分ミキシング後、練り込み用油脂を投入し、さらに低速2分、中速3分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム30分とった後、80gに分割、ベンチタイムを30分とり、これをパン生地とした。
【0076】
<製パン焼き込み用フィリングクリームB>
水中油型乳化組成物A600重量部に植物性ホイップクリーム100重量部を加え、軽く混合した。
【0077】
<プリンパン製法>
分割したパン生地(80g)を麺棒で直径120mmの円形に伸ばし、直径100mm、深さ20mmの紙ケースに押し込んだ。この窪みに、製パン焼き込み用フィリングクリームBを50g絞り、35℃、相対湿度85%、60分のホイロ発酵後、190℃、17分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、プリンパンを得た。
【0078】
実施例3
以下の配合と製法によりチーズプリンパンを製造した。得られたチーズプリンパンの製パン焼き込み用フィリングクリーム部分の表面は平らであった。得られたチーズプリンパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Bを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
【0079】
<パン生地>
<生地配合> 準強力粉80重量部、薄力粉20重量部、イースト4重量部、イーストフード0.1重量部、上白糖15重量部、脱脂粉乳2重量部、食塩1.5重量部、練り込み用油脂(ショートニング)10重量部、全卵5重量部、水48重量部、ロールイン油脂40重量部
【0080】
<生地製法>ロールイン油脂と練り込み用油脂(ショートニング)以外の原料をミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速3分、中速2分ミキシング後、練り込み用油脂を投入し、さらに低速2分、中速3分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム30分とった後、リタード庫にて2℃16時間リタードした。この生地にシート状ロールイン油脂を載置し、包み込み、3つ折り2回後リタード2℃1時間、さらに3つ折り1回後、生地厚5mmに最終圧延を行ない、これをパン生地とした。
【0081】
<製パン焼き込み用フィリングクリームC>
(配合)
クリームチーズ 250重量部
水中油型乳化組成物B 375重量部
植物性ホイップクリーム 125重量部
レモンジュース 15重量部
キルシュワッサー 15重量部
(製法)
1 室温に戻したクリームチーズをほぐし、攪拌した。
2 1に水中油型乳化組成物Bを3回に分けて、混合した。
3 2に植物性ホイップクリームを徐々に加え、混合した。
4 3にレモンジュースとキルシュワッサーを加え、混合した。
【0082】
<チーズプリンパン製法>
パン生地を長さ100mm、100mmの正方形にカット成形し(55g)、上面最大直径105mm、底面最大直径50mm、深さ35mmの星型の窪みを有する展板に押し込んだ。この中に、製パン焼き込み用フィリングクリームCを40g絞り、35℃、相対湿度85%、60分のホイロ発酵後、200℃、18分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、チーズプリンパンを得た。
【0083】
実施例4
以下の配合と製法によりチーズスフレパンを製造した。得られたチーズスフレパンの中詰めスフレ部分の表面は平らであった。得られたチーズスフレパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Bを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
【0084】
<パン生地>
<生地配合> 準強力粉80重量部、薄力粉20重量部、イースト4重量部、イーストフード0.1重量部、上白糖15重量部、脱脂粉乳2重量部、食塩1.5重量部、練り込み用油脂(ショートニング)10重量部、全卵5重量部、水48重量部、ロールイン油脂40重量部
【0085】
<生地製法>ロールイン油脂と練り込み用油脂(ショートニング)以外の原料をミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速3分、中速2分ミキシング後、練り込み用油脂を投入し、さらに低速2分、中速3分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム30分とった後、リタード庫にて2℃16時間リタードした。この生地にシート状ロールイン油脂を載置し、包み込み、3つ折り2回後リタード2℃1時間、さらに3つ折り1回後、生地厚5mmに最終圧延を行ない、これをパン生地とした。
【0086】
<製パン焼き込み用フィリングクリームD>
<アパレイユ>
(配合)
カマンベールクリーム 380重量部
レモン果汁 10重量部
水中油型乳化組成物B 400重量部
カマンベールチーズ香料 1重量部
卵白 80重量部
上白糖 60重量部
(製法)
1 カマンベールクリームとレモン果汁を練り合わせ軟らかくした。
2 1に水中油型乳化組成物Bとカマンベールチーズ香料を加え、均一に混合した。
3 卵白と上白糖にて六分立て程度のメレンゲを作り、メレンゲの1/3を2に加えて軽く混合し、残りのメレンゲを加え均一に混合した。
【0087】
<チーズスフレパン製法>
パン生地を長さ100mm、100mmの正方形にカット成形し(55g)、上面最大直径105mm、底面最大直径50mm、深さ35mmの星型の窪みを有する展板に押し込んだ。この中に、製パン焼き込み用フィリングクリームDを40g絞り、35℃、相対湿度85%、60分のホイロ発酵後、200℃、18分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、チーズスフレパンを得た。
【0088】
実施例5
以下の配合と製法によりグラタンパンを製造した。得られたグラタンパンの製パン焼き込み用フィリングクリーム部分の表面は平らであった。得られたグラタンパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Cを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
【0089】
<パン生地>
<生地配合> 準強力粉80重量部、薄力粉20重量部、イースト4重量部、イーストフード0.1重量部、上白糖15重量部、脱脂粉乳2重量部、食塩1.5重量部、練り込み用油脂(ショートニング)10重量部、全卵5重量部、水48重量部、ロールイン油脂40重量部
【0090】
<生地製法>ロールイン油脂と練り込み用油脂(ショートニング) 以外の原料をミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速3分、中速2分ミキシング後、練り込み用油脂を投入し、さらに低速2分、中速3分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム30分とった後、リタード庫にて2℃16時間リタードした。この生地にシート状ロールイン油脂を載置し、包み込み、3つ折り2回後リタード 2℃1時間、さらに3つ折り1回後、生地厚5mmに最終圧延を行ない、これをパン生地とした。
【0091】
<製パン焼き込み用フィリングクリームE>
<ホワイトソース>
(配合)
水中油型乳化組成物C 95.05重量部
植物性ホイップクリーム 4 重量部
食塩 0.5 重量部
チキンブイヨン 0.4 重量部
胡椒 0.05重量部
(製法)
1 水中油型乳化組成物Cと植物性ホイップクリームを鍋に入れ、火にかけ、60℃以上に加熱した。
2 1に食塩、チキンブイヨン、胡椒を加え、混合した。
【0092】
<冷製グラタンフィリング>
ホワイトソース 130重量部
(前項配合・製法で得られたもの)
マカロニ 50重量部
エビ 5重量部
ブロッコリー 8重量部
チーズ 7重量部
(製法)
1 エビは背わたをとり、茹でて殻をむいた。
2 ブロッコリーは小房にわけ、茹でた。
3 マカロニを茹でた。
【0093】
<グラタンパン製法>
パン生地を長さ100mm、100mmの正方形にカット成形し(55g)、上面最大直径105mm、底面最大直径50mm、深さ35mmの星型の窪みを有する展板に押し込んだ。この中に、製パン焼き込み用フィリングクリームEを40g絞り、35℃、相対湿度85%、60分のホイロ発酵後、200℃、18分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、グラタンパンを得た。
【0094】
実施例6
以下の配合と製法によりチョコプリンパンを製造した。得られたチョコプリンパンの製パン焼き込み用フィリングクリーム部分の表面は平らであった。得られたパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Bを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
【0095】
<パン生地>
<生地配合> 強力粉100重量部、イースト4重量部、イーストフード0.2重量部、上白糖15重量部、転化糖シロップ20重量部、脱脂粉乳2重量部、食塩1重量部、練り込み用油脂(ショートニング)10重量部、全卵12重量部、卵黄23重量部、水13重量部、ロールイン油脂45重量部
【0096】
<生地製法>ロールイン油脂以外の原料をミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速5分、中速3分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム30分とった後、リタード庫にて2℃16時間リタードした。
この生地にシート状ロールイン油脂を載置し、包み込み、4つ折り1回、3つ折り1回後リタード2℃1時間、さらに3つ折り1回後、生地厚5mmに最終圧延を行ない、これをパン生地とした。
【0097】
<製パン焼き込み用フィリングクリームF>
(配合)
水中油型乳化組成物B 210重量部
卵黄 70重量部
ガナッシュ 140重量部
オレンジキュラソー 5重量部
(製法)
全材料を十分に混合した。
【0098】
<チョコプリンパン製法>
直径105mm、深さ35mmのセルクルに油脂を塗布し、展板に並べ、パン生地を直径120mmの円形に打ち抜き、セルクルに押し込んだ。(62g)この中に、製パン焼き込み用フィリングクリームFを70g絞り、35℃、相対湿度85%、60分のホイロ発酵後、200℃、18分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、チョコプリンパンを得た。
【0099】
実施例7
以下の配合と製法によりチョコプリンパンを製造した。得られたチョコプリンパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Bを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
【0100】
<生地配合> 強力粉50重量部、薄力粉50重量部、イースト0.5重量部、イーストフード0.1重量部、食塩1.0重量部、練り込み用油脂(ショートニング)5重量部、全卵5重量部、水45重量部、ロールイン油脂60重量部
【0101】
<生地製法>ロールイン油脂以外の原料をミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速3分、中速3分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム30分とった後、リタード庫にて2℃16時間リタードした。
この生地にシート状ロールイン油脂を載置し、包み込み、4つ折り2回後リタード2℃1時間、さらに3つ折り2回後、生地厚2.5mmに最終圧延を行ない、これをパン生地とした。
【0102】
<製パン焼き込み用フィリングクリームG>
(配合)
水中油型乳化組成物B 150重量部
卵黄 30重量部
ガナッシュ 180重量部
濃縮乳 40重量部
クレーム・ド・カカオ 5重量部
(製法)
全材料を十分に混合した。
【0103】
<チョコプリンパン製法>
パン生地を長さ100mm、100mmの正方形にカット成形し(30g)、上面最大直径105mm、底面最大直径50mm、深さ35mmの星型の窪みを有する展板に押し込んだ。この中に、製パン焼き込み用フィリングクリームGを40g絞り、35℃、相対湿度85%、50分のホイロ発酵後、200℃、18分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、チョコプリンパンを得た。
【0104】
実施例8
以下の配合と製法によりチョコプリンパンを製造した。得られたパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Aを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
<生地配合> 強力粉70重量部、薄力粉30重量部、イースト6重量部、イーストフード0.1重量部、上白糖20重量部、脱脂粉乳5重量部、食塩1.5重量部、練り込み用油脂(ショートニング)20重量部、全卵20重量部、水40重量部
【0105】
<生地製法>全原料をミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速3分、中速10分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム60分とった後、リタード庫にて 2℃1時間リタードした。この生地を80gに分割し、ベンチタイムを30分とり、これをパン生地とした。
【0106】
<製パン焼き込み用フィリングクリームH>
水中油型乳化組成物A 200重量部
ガナッシュ 100重量部
卵白 100重量部
クレーム・ド・カカオ 10重量部
(製法)
全材料を十分に混合した。
【0107】
<プリンパン製法>
直径105mm、深さ35mmのセルクルに油脂を塗布し、展板に並べ、麺棒で直径120mmの円形に伸ばしたパン生地(80g)を押し込んだ。この中に、製パン焼き込み用フィリングクリームHを80g絞り、35℃、相対湿度85%、60分のホイロ発酵後、200℃、18分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、チョコプリンパンを得た。
【0108】
実施例9
以下の配合と製法によりプリンパンを製造した。得られたプリンパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Aを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
【0109】
<生地配合> 強力粉70重量部、薄力粉30重量部、イースト4重量部、イーストフード0.1重量部、上白糖12重量部、脱脂粉乳2重量部、食塩1.2重量部、練り込み用油脂(ショートニング)10重量部、水60重量部、ロールイン油脂40重量部
【0110】
<生地製法>ロールイン油脂と練り込み用油脂(ショートニング) 以外の原料をミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速3分、中速2分ミキシング後、練り込み用油脂を投入し、さらに低速2分、中速3分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム30分とった後、リタード庫にて2℃16時間リタードした。この生地にシート状ロールイン油脂を載置し、包み込み、3つ折り2回後リタード2℃1時間、さらに3つ折り1回後、生地厚5mmに最終圧延を行ない、これをパン生地とした。
【0111】
<製パン焼き込み用フィリングクリームI>
(配合)
水中油型乳化組成物A 300重量部
卵白 150重量部
オレンジキュラソー 5重量部
(製法)
全材料を十分に混合した。
【0112】
<プリンパン製法>
パン生地を長さ100mm、幅100mmの正方形にカット成形し(55g)、上面最大直径105mm、底面最大直径50mm、深さ35mmの星型の窪みを有する展板に押し込んだ。この中に、製パン焼き込み用フィリングクリームIを40g絞り、35℃、相対湿度85%、60分のホイロ発酵後、200℃、18分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、プリンパンを得た。
【0113】
実施例10
以下の配合と製法によりプリンパンを製造した。得られたプリンパンを包丁でカットしたとき、包丁に水中油型乳化組成物Bを含有する製パン焼き込み用フィリングクリーム部分が付着することはなかった。
【0114】
<生地配合> 強力粉50重量部、薄力粉50重量部、イースト4重量部、イーストフード0.1重量部、上白糖15重量部、脱脂粉乳2重量部、食塩1.2重量部、練り込み用油脂(ショートニング)10重量部、全卵10重量部、水40重量部、シート状フラワーペースト55重量部
【0115】
<生地製法>シート状フラワーペーストと練り込み用油脂(ショートニング) 以外の原料をミキサーボールに投入し、堅型ミキサー(関東ミキサー)を用いて低速3分、中速3分ミキシング後、練り込み用油脂を投入し、さらに低速3分、中速3分ミキシングした。得られた生地を、フロアタイム30分とった後、リタード庫にて2℃16時間リタードした。この生地にシート状フラワーペーストを載置し、包み込み、3つ折り1回後リタード 2℃1時間後、生地厚5mmに最終圧延を行ない、これをパン生地とした。
【0116】
<製パン焼き込み用フィリングクリームJ>
(配合)
水中油型乳化組成物B 210重量部
卵黄 70重量部
卵白 140重量部
オレンジキュラソー 5重量部
(製法)
全材料を十分に混合した。
【0117】
<プリンパン製法>
パン生地を長さ100mm、100mmの正方形にカット成形し(55g)、上面最大直径105mm、底面最大直径50mm、深さ35mmの星型の窪みを有する展板に押し込んだ。この中に、製パン焼き込み用フィリングクリームJを40g絞り、35℃、相対湿度85%、60分のホイロ発酵後、200℃、18分間、オーブンで焼成し、室温で2時間冷却し、プリンパンを得た。
【0118】
【発明の効果】
本発明によれば、上面にのみ開口を有する形状に成形したパン生地の開口部に焼き込み用フィリングクリームを充填した後に加熱してなるベーカリー食品において、過度の粘り気がなく口溶けの良好で、平滑な焦げのないフィリング表面を呈するベーカリー食品を製造することができる。
【0119】
また、本発明の食品の製造方法で得られたベーカリー食品は、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含有し、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物が加熱により溶解するので、更に冷却して固化したときに、その表面を平らなものとすることができる。
【0120】
更に、本発明の食品の製造方法で得られたベーカリー食品は、包丁でカットしたときに、上記の水中油型乳化組成物を含有する部分が包丁に付着しにくいものである。
Claims (2)
- 上面にのみ開口を有する形状に成形したパン生地の開口部に、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を含有する製パン焼き込み用フィリングクリームを充填した後、加熱してなることを特徴とするベーカリー食品。
- 上記の水中油型乳化組成物1ml中に、粒径が30μmより大きい澱粉粒子が、1×105個以上1×107個未満存在する請求項1記載のベーカリー食品。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002239799A JP2004073120A (ja) | 2002-08-20 | 2002-08-20 | ベーカリー食品 |
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JP2002239799A JP2004073120A (ja) | 2002-08-20 | 2002-08-20 | ベーカリー食品 |
Publications (1)
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JP2007295853A (ja) * | 2006-04-28 | 2007-11-15 | Fuji Oil Co Ltd | 層状パンの製造方法 |
JP2018201475A (ja) * | 2017-06-09 | 2018-12-27 | 株式会社明治 | 食品内包用チーズソース |
CN110692685A (zh) * | 2019-10-14 | 2020-01-17 | 福建达利食品科技有限公司 | 一种耐烤巧克力馅料及其制备方法 |
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2002
- 2002-08-20 JP JP2002239799A patent/JP2004073120A/ja active Pending
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