JP2004067244A - 多層中空容器 - Google Patents

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Narikazu Kikuchi
菊池 成和
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Abstract

【課題】ポリオレフィンにフレーク状のアルミニウム、酸化鉄や酸化チタン等の酸化金属でコーティングした雲母等のパール顔料かメタリック顔料のいずれか、または双方を着色顔料と同じ層に練り込むと、光沢感のないざらついた艶消状の外観になってしまい、意匠性に欠けていた。
【解決手段】最外層がフレーク状のアルミニウム、酸化鉄や酸化チタン等の酸化金属でコーティングした雲母等のパール顔料かメタリック顔料のいずれか、または双方を添加したエチレン−ビニルアルコール共重合体層であり、最外層より一つ内側の層が変性ポリオレフィン0.01〜60重量%を含んだ不透明なオレフィン層である多層ダイレクトブロー容器とした。

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光沢感のある美麗な中空容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、美麗な外観を得るために、樹脂に酸化鉄や酸化チタン等の金属か酸化金属でコーティングした雲母やフレーク状のアルミニウム等の顔料を着色顔料とともに練り込んで真珠光沢状等の中空容器を得る等していた。それとは別に、パール顔料やメタリック顔料を添加したものではないが、外層をエチレン−ビニルアルコール共重合体とし、中間層を介してポリオレフィン層と積層したブローボトルが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のように、樹脂に酸化鉄や酸化チタン等の酸化金属でコーティングした雲母やフレーク状のアルミニウム等の顔料を着色顔料と同じ層に練り込むと、光沢感のないざらついた艶消状の外観になってしまい、意匠性に欠けていた。また、着色顔料によってパール顔料やメタリック顔料による光の反射が妨げられるため、パール顔料やメタリック顔料を多く入れる必要が有り、コストアップになっていた。そして、パール顔料やメタリック顔料を多く入れた場合は、着色顔料による色彩がパール顔料に阻害されて濁った色になってしまっていた。特に、ダイレクトブロー容器では原料コストや成形性の点からポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンを用いることが多いが、透明性に劣り、着色顔料を入れない場合でも艶消し状の外観になっており、パール顔料やメタリック顔料による意匠性を向上する効果が乏しかった。
【0004】
また、化粧料容器等の蓋に酸化金属でコーティングした雲母、フレーク状のアルミニウム等によるパール塗装やメタリック塗装をした金属製の物や射出成形した樹脂製の蓋にパール塗装またはメタリック塗装した物が有り、そのような蓋は鮮やかな色彩をもつパール調や金属光沢調で美麗な物である。一方、プラスチックのブロー成形等による中空容器では同じような色調・光沢の物を再現できなかったため、蓋体とのバランスが欠けていた。ブロー成形等、中空容器に蓋体と同じパール塗装やメタリック塗装をするとコスト高になる上、スクイズ変形した際に塗装にクラックが発生しやすい傾向がある。
【0005】
特公昭60−34461で開示されているもののように外層をエチレン−ビニルアルコール共重合体とし、中間層を介してポリオレフィン層と積層した物が知られているが、その外層にパール顔料やメタリック顔料を入れたとしても、着色した内層の色が中間層の接着性樹脂のくすんだ色を経て視覚されてしまい、鮮やかな色をだすことができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
最外層がフレーク状のアルミニウム、光輝性の強い雲母、銅粉、真鍮粉等のメタリック顔料または、酸化鉄や酸化チタン等の酸化金属でコーティングした雲母等のパール顔料のいずれか、または双方の顔料を添加したエチレン−ビニルアルコール共重合体層であり、最外層より一つ内側の層が着色顔料及び変性ポリオレフィン0.01〜60重量%を含んだ不透明なオレフィン層である中空容器とした。
【0007】
本発明に用いられるエチレン−ビニルアルコール共重合体は、特に限定されないが、エチレン含有率が20モル%〜60モル%であり、鹸化度95%以上とすることが好ましい。本発明に用いられる変性ポリオレフィンとしては、公知のものを制限なく利用できるが、ポリオレフィンをカルボン酸もしくはその誘導体と0.01〜5重量%グラフト重合させた物を用いることができる。本発明の中空容器の各層の厚みは特に限定されないが、外層を薄くしすぎるとEVOHによる艶やかな光沢感が落ち、厚くしすぎるとEVOHが白濁して光沢が落ちるため、外層を0.1mm〜1mmとするのが好ましく、特に0.2mm〜0.4mmとするとクリアコートをした時のような光沢感がでるので好ましい。
【0008】
上記最外層より一つ内側の層として変性ポリオレフィンを20重量%〜60重量%とし、着色顔料やその他の添加剤を含んだ非変性ポリオレフィンを40重量%〜80重量%とした場合は、層同士の接着性及び成形性や発色が良いので、特に好ましい。
【0009】
【作用】
透明または半透明なエチレン−ビニルアルコール共重合体層を通って不透明なオレフィン層で反射した光と、半透明なエチレン−ビニルアルコール共重合体層に含まれるパール顔料やメタリック顔料の効果がお互いに効果を阻害されることなく、鮮やかな発色を帯びたパール光沢や金属光沢状の容器、さらにはパール光沢と金属光沢を兼ね備えた中空容器を得ることができる。
【0010】
【実施例1】
桃色の着色顔料及び非変性ポリプロピレン60重量%とマイレン酸変性ポリオレフィン(商品名モディック・三菱化学製)40重量%をブレンドしたオレフィン層である内層とエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOHとする)99.5重量%及び雲母を酸化チタンによってコーティングした20μm〜100μmのパール顔料0.5重量%を原料とした外層を持つようにダイレクトブロー成形した。蓋体は、アルミニウム製のものとし、酸化金属でコーティングした雲母であるパール顔料及び着色材料によるパール塗装を行った。各層の厚みは、内層を0.6mmとし、外層を0.3mmとした。
【0011】
変性ポリオレフィンとしては、カルボン酸もしくはその誘導体とポリオレフィンとを0.01〜5重量%グラフト重合させた物を用いることができる。内層の非変性ポリオレフィンと変性ポリオレフィンの混合割合は、成形性や発色との兼ね合いにより、変性ポリオレフィンを60重量%以下とするのが好ましく、特に外層のEVOHとの接着性を向上させるために変性ポリオレフィンを20重量%〜60重量%とし、着色顔料やその他の添加剤を含んだ非変性ポリオレフィン及び着色顔料を40重量%〜80重量%とするのが好ましい。変性ポリオレフィンを20重量%未満とした場合、外層と内層で層間剥離が起こりやすくなり、変性ポリオレフィンが60重量%を超えると、発色性や成形性が悪くなる傾向がある。
【0012】
上記の実施例1の製法で作製したボトルは鮮やかな桃色とパール光沢を兼ね備えており、美麗な物であった。また、アルミニウム製の蓋体表面に行った塗装皮膜とよく似た外観となっており、違和感がなかった。
【0013】
【実施例2】
外層のパール顔料を外層の0.25重量%とし、フレーク状のアルミニウムであるメタリック顔料を外層の0.25重量%とした中空容器本体とした点と、蓋体を射出成形で作成した樹脂製とし、パール顔料とフレーク状のアルミニウムであるメタリック顔料双方を含む塗装皮膜を設けた物にした点の他は実施例1と同様にダイレクトブロー成形した。
【0014】
上記の実施例2の製法で作製したボトルは鮮やかな桃色とパール光沢及びメタリック調の光沢を兼ね備えており、美麗な物であった。また、アルミニウム製の蓋体表面に行った塗装皮膜とよく似た外観となっており、統一感があり、違和感がなかった。
【0015】
【発明の効果】
光透明または半透明なエチレン−ビニルアルコール共重合体層を通って不透明なオレフィン層で反射した光と、半透明なエチレン−ビニルアルコール共重合体層に含まれるパール顔料やメタリック顔料の効果がお互いに効果を阻害されることなく、鮮やかな発色を帯びたパール光沢及び金属光沢状の容器を得ることができる。

Claims (4)

  1. 最外層がパール顔料とメタリック顔料のいずれか、または双方を添加したエチレン−ビニルアルコール共重合体層であり、最外層より一つ内側の層が着色顔料及び変性ポリオレフィン0.01〜60重量%を含んだ不透明なオレフィン層である多層中空容器。
  2. 最外層を0.1mm〜1mmとした請求項1または2記載の中空容器。
  3. 最外層より一つ内側の層が変性ポリオレフィンを20重量%〜60重量%とし、着色顔料を含んだ非変性ポリオレフィンを40重量%〜80重量%とした請求項1または2記載の中空容器。
  4. パール顔料とメタリック顔料のいずれか、または双方を含んだ塗装皮膜を有する金属製または樹脂製の蓋体を備えた請求項1または2記載の中空容器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009062074A (ja) * 2007-09-07 2009-03-26 Kao Corp 多層容器
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