JP2006312485A - 多層構造樹脂容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 化粧品・食品・医薬品容器として光沢があり外観や優れており、成型時に発生する成型屑や不良品等を成型工程で再使用することが可能であり、且つ多品種少量生産できるダイレクトブロー成型の多層構造樹脂容器を提供する。
【解決手段】熱可塑性合成樹脂をダイレクトブロー成型する少なくとも2層からなる多層構造の容器において、多層構造容器の全ての層にダイレクトブロー成型出来るポリエチレンテレフタレート樹脂を用いると共に、当該最外層部の透明ポリエチレンテレフタレート樹脂層に光輝性顔料を配合した樹脂、又は、当該外層部の透明ポリエチレンテレフタレート樹脂を透明に着色し、更に、最外層に接する内側のポリエチレンテレフタレートと異なる色に着色した樹脂を用いた従来の単層の容器では得られない光輝性、
光沢がある優れた外観や特性を多層化によって得ること可能にしたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、ダイレクトブロー成型による多層構造を有する樹脂容器に関するものであり、さらに詳しくは、トイレタリー製品、化粧品、食品、医薬品などに適切な外観が優れ、生産性、リサイクル性も優れた美麗な多層構造樹脂容器に関する。
従来より美麗な外観意匠を必要とする樹脂容器を得るには、次の方法がとられてきた。即ち、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PETと略す)による2軸延伸ブロー成型、多層ダイレクトブロー成型樹脂容器の最外層樹脂としてダイレクトブロー成型可能なPET,中間層に接着樹脂層、内層樹脂としてポリエチレン樹脂を用いた多層構造樹脂容器(例えば、特許文献1参照)、5〜20%の低密度ポリエチレン(以下、PEと略す)を含む透明なポリプロピレン(以下、PPと略す)から形成される外層と、パールエッセンスを含むPPから形成される中間層と、PPより形成される内層とを積層してなり、前記外層と前記中間層との厚さの比が1:1〜1:2であって、前記外層と前期内層の比が1:15〜1:20であることを特徴とするパール加飾多層容器(特許文献2参照)、外層にEVOH(エチレンービニルアルコール共重合体)を最外層に用い、内層にPEやPPなどのポリオレフイン系樹脂(以下、PO系樹脂と略す)を用いた多層構造の樹脂容器などが提案されている。
特開平6−106606号公報 特公平第3135952号
上記の従来技術のうち、2軸延伸ブロー成型PET容器は,容器の表面光沢は優れるが、容器を成型するには、国内に多いコールドパリソン成型方法を例に述べると、パリソンの射出成型機、また、パリソンを加熱するための加熱機、加熱され柔らかくなったパリソンをブロー成型するための2軸延伸ブロー成型機の各設備が必要になる。また、パリソンを射出成型するための成型用の金型、加熱後の2軸延伸ブロー成型用の金型が必要で、設備や金型費用がかさむため、これらの費用が償却出来るような生産量の多い製品に用途が限定される。また、生産量が少ない場合、2軸延伸ブロー成型PET容器が高価になる欠点があった。
2軸延伸ブロー成型した容器に光輝性顔料を付与するために塗装して使用しているものがある。2軸延伸ブロー成型のPET容器に光輝性を付与するためには、塗料に光輝性顔料を配合したものを塗装している。このため、製造工程や多くなり、効率が悪く、更にコスト高になる問題点がある。
透明なPETに直接配合した光輝性顔料の配合量や粒子の影響で透明度や表面光沢が失われ、高級感のある外観が損なわれることもある問題もある。
最外層に光沢のあるPET樹脂やEVOH樹脂を用いた多層容器の場合、当該、容器の内層の樹脂層には、PEなどPO系樹脂を用いるため、これらを多層成型した場合、樹脂同士の剥離を防ぐため、これらの樹脂の間に接着層を介在させる必要がある。しかし、接着層は内容物の影響で接着力が経時で劣化することがある。このため、接着剤の使用が限定される。また、接着剤によっては外層樹脂の透明性が損なわれるという問題が生じることがある。
更に、異種の樹脂からなる多層構造の容器でのダイレクトブロー成型容器の場合、成型工程で発生する成型屑は、それぞれの樹脂の溶融温度が異なるため製品容器の成型に再使用することが出来ず、樹脂の使用率が低下する。このため、廃棄物の発生が増えて環境に対する負荷になりかねないという問題もある。
PEの場合、光沢のない高密度PE容器の外層に、高密度PEに比べ光沢があり透明性の優れた低密度PEを用いたものがある。また、PEやPPは結晶性がありこの影響で透明性が劣るため、結晶の発生を妨げる基を重合する、または、樹脂や化学合成品をブレンドし、結晶の発生を妨げ、透明性を向上したPEまたはPPを最外層に使用しているものもある。併しながら、これらは透明性や使用時の容器の質感がかなり劣り、化粧品容器への実用が難しい場合がある。また、PEやPPは、化粧品原料や香料を透過ないし、吸着することもあり、化粧品容器などに使用を制限されることがある。
本発明は、以上のような諸種の問題を解決するためになされるものであって、化粧品容器などとして外観が頗る良好であると共に、従来、塗装を必要とした2軸延伸ブロー成型PET容器の外観を多層ダイレクトブロー成型でPET容器が効率的に成型出来る。また、外層のPET樹脂の透明性を確保すると共に、外層樹脂の光沢度を確保した多層構造樹脂容器の優れた外観を確保することを目的としたものである。本発明による場合は、成型設備や金型費用が2軸延伸ブロー成型のPETに比べ少量生産でも割安になるので、多品種少量生産のダイレクトブロー容器に対応することが出来る。また、外層のPET樹脂の透明性や表面光沢を確保することが出来る。
上記の目的を達成するための構成を詳述すれば、請求項1に係る発明は、熱可塑性合成樹脂をダイレクトブロー成型する多層構造の容器において、多層構造容器の全ての層にダイレクトブロー成型出来るPETを用いると共に、当咳最外層部の透明PET層が光輝性顔料を配合した光沢度(入射角60度)90%以上の多層構造樹脂容器である。
請求項2に係る発明は、熱可塑性合成樹脂をダイレクトブロー成型する多層構造の容器において、多層構造容器の全ての層にダイレクトブロー成型出来るPETを用いると共に、当該最外層部の透明PET層を透明に着色し、更に、最外層の内側に接するPETを最外層のPETと異なる色に着色したPETを用いることを特徴とする光沢度(入射角60度)が90%以上の多層構造容器である。
本発明に用いるPETは、一般に知られるダイレクトブロー成型出来るポリエステル系樹脂で、機能的誘導体の如き官能化合物の一種以上を共重合させたものであってもよい。ダイレクトブロー成型用のPETのIV値は、1.0〜1.4で、通常、1.2前後のものがブロー成型しやすいため用いられる。これらも成型技術やPETの合成技術の発展により今後変化してゆくものと予想されるが、本発明で使用するPETは、ダイレクトブロー成型できればいずれのものも使用することが出来る。
容器本体の最外層を形成する透明樹脂に配合する光輝性顔料は、例えば、組成:ガラスと二酸化チタン、組成:マイカフレークと二酸化チタン、組成:アルミフレークと酸化鉄、液晶構造による多面変色光輝材等がある。これらはシルバー色、シルバーから赤色に変色する多色干渉色、その他の干渉色を発する種々の種類がある。また、粒子の大きさは、粒子が小さい5ミクロンのものから大きいもの、例えば、90ミクロンのものもある。光輝性顔料は、パール色、金、銀、銅など金属色、干渉色を呈するもの、見る角度により2〜3色に色が変わるもの、また、3色以上に変色するも、液晶構造のものなど種々の種類が次々と開発されており定義が難しいが、ダイレクトブロー成型用PETに配合した場合、成型が出来、また、外観が優れたものであれば何れでもよい。
光輝性顔料の配合量は、外層樹脂の厚さやデザインにより変わる。最外層部の樹脂の厚さが厚い場合、透明性の悪いのもでも薄い厚さになると透明になる。また、外層が厚い場合は、透明性を確保するため、配合量を少なくすることが必要である。光輝性顔料の粒子の大きいものは、PETの透明性や表面の光沢を確保するため、また、優れた外観を確保するために配合量の少ないものが外観が好ましい。これに比べ、粒子径の小さいものは、粒子径の大きいものに比べ配合量が多くても透明性が確保されるので配合量が比較的多くても透明性が確保できる。併し、多層構造樹脂容器の最外層のPETの透明性や表面の光沢度が失われると容器の外観や立体感が損なわれ外観が好ましいものが得られない。更に、顔料の配合量、特に粒子が大きい場合、配合量が多くなると表面が荒れ、このため容器の外観が劣ってくる。従って、PET多層構造容器の優れた外観を確保するためには光輝性顔料の配合は限定されないが、表面の光沢度(入射角60度)は、90%以上、好ましくは100%以上が必要である。
請求項2に用いる最外層の透明樹脂の着色は、通常用いられる着色方法のいずれでもよい。最外層の樹脂の厚さやデザインにより必要な透明性は異なるので特に限定されないが、必要な外観を確保出来る透明性があればよい。光沢のある優れた外観を確保するため表面の光沢度(入射角60度)は、90%以上、好ましくは100%以上が必要である。
請求項2における最外層より内側の樹脂の着色は、必要により透明から不透明まで特に制約はなく一般に知られる着色方法の何れでもよい。しかし、黒色や暗い濃い色の場合、最外層の色が見えにくい、又は、消えて見えないのでこのような色は好ましくない。
本発明における多層構造樹脂容器とは、2層以上の樹脂層からなるダイレクトブロー成型容器であって、単一の層では得られない外観や特性を多層化によって得ることを可能としたものである。最外層は、透明なPETに光輝性顔料の配合、着色剤、あるいは無色を用い内層の色が見えるように透明に着色したものである。
多層構造樹脂容器の内層は、PETに着色材を添加し、必要とする色に着色したものである。請求項1の多層構造容器において内層の色は、光輝性顔料を生かし、必要とするデザインが得られる色に着色する。また、内層の色を無色透明にしてもよい。この場合、光輝性顔料の色が容器に充填した中味の色と光輝性顔料の色により総合的な製品の色を得ることが出来る。また、製品の使用過程で中味の残っている部分と中味を使って空間となった部分の色が分りやすく容器を設計することもできる。
請求項2の多層構造容器においては、異なる最外層の色と内層の色で必要な外観色を発色するように配慮して着色する。これにより深みのある美麗な外観の容器が得られる。また、多層構造樹脂容器の形状による最外層の肉厚のバラツキにより、又は、成型時のパリソンコントロールにより外層の肉厚を薄い部分から厚い部分まで意図して変えて成型することにより発現する濃淡のある微妙な色を容器のデザインに生かすことが出来る。
最外層のPETの優れた光沢を確保するには、通常のダイレクトブロー成型を応用して確保できる。従来から実施されてきた容器の表面のフレーム処理をしなくても表面光沢は十分確保出来る。
本発明による多層構造樹脂容器は、優れた表面光沢を維持し光輝性顔料の効果を生かすことが出来る。更に、最外層の透明PETの色と内層のPETの色を異なる色にすることによって立体感のある優れた外観の容器を得ることが出来る。また、従来の異なる樹脂層からなる多層構造容器の持つ生産工程発生する樹脂屑が再使用できない欠点を解消できる。また、従来の2軸延伸ブロー成型PETは、光輝性を容器の表面に付与するために塗装工程が必要であったが、本発明では、これが不要である。このため設備や製造工程が少なくなるため、安価に多品種少量生産が出来るなどの効果がある。また、最外層のPETの色を内層の色と組み合わせることによりこれまでにない深みのある立体的な外観の色が発現できる等多くの効果が得られる。
以下、添付図面について本発明の多層構造樹脂容器の具体的実施形態を詳細に説明する。なお、図1は、2層構造とした場合の部分断面図である。
容器本体は、PETのダイレクトブロー成型による2層構造となっており、容器本体を形成する樹脂は、全てダイレクトブロー成型出来るPET樹脂を用いたものである。製品の特性から美麗な容器の必要性に対応するため最外層に光輝性顔料を配合する。(請求項1)
また、最外層の透明PETを透明に着色し、更に最外層に接する内側のPET樹脂と異なる色に着色することにより深みのある立体的な外観の容器を得ることが出来る。また、最外層の厚さを不均一に吐出することにより立体的で、透明感があり、また、濃淡のある模様をブローボトルに付与することが出来る。なお、最外層に接する内層のPET樹脂に着色する場合、黒色や暗い濃い色などの内層のPETの色は、最外層に着色した着色効果が得られないので最外層の着色効果を生かせる色を選定する必要がある。(請求項2)
透明なダイレクトブロー成型用(PET−G6763)米国イーストマンケミカル社に表1の光輝性顔料及び着色材を配合し、表1に記載の厚さ0.54〜2.05mm×5cm×8.5cmのプレートを作成し、JISZ8722:[色の測定法−反射及び透過物体色]に準じて、測定器:マクベス社(米)CE7000により全光線透過率を測定した。また、JISZ8741「鏡面光沢度−測定方法」測定器:スガ試験機(株)社製デジタル変角光沢計UGV−5Dにより光沢度(入射角60度)を測定した。結果は表1の通りである。
Figure 2006312485
Figure 2006312485
透明PETに染料を配合したものは、配合率が高いほど表面の光沢度は少なくなる傾向がある。また、光輝性顔料を配合したものは、種類により光沢度は差があるが、干渉色、コールド、シルバーなどを呈する光輝性のある顔料を配合したPETは、光沢度が向上する。外−Haのプレートは、外観から明らかに厚さにより2層の樹脂の色が異なることを確認したが、全光線透過率の測定の結果からも樹脂の厚さにより透過率が異なることを確認した。
ダイレクトブロー成型用PET(PET−G:6763、米国イーストマンケミカル社)により2層構造樹脂容器を試作した結果を述べる。
[試作容器]
容 量:120cc
胴部断面形状:楕円形
高さ :110cm
容器構造 :最外層部2と内層部3にそれぞれダイレクトブロー成型用のPET−Gを使用した2層の容器。
内 層:第1表の資料No内−A:白色、資料No内−B:薄青色、資料No内−D:黒色(カーボンブラック:配合率0.2部)を用いた。
外 層:第1表の樹脂を用いた。
試作の組み合わせ:、
内層:内−Aと外層:外−E,外−F,外−Ha、外−J。
内層:内−Bと外層:外−E,外−F,外−J。
内層:内−Dと外層:外−C,外−E,外−F,外−Jで試作し、外観を観察した。
試作した容器(ボトル)の外観は、いずれも光沢と深みがあり、立体感のある単層の樹脂ボトルでは得られない優れた外観であった。また、成型時に発生する、成型屑を30%内層に配合して再使用できることを確認した。また、光輝性顔料の配合が必要な場合、2軸延伸ブロー成型のPET樹脂と違ってダイレクトブロー成型だけでボトルができるため、生産工程や塗装工程が必要ないため、工程が少なく、効率的であった。試作したボトルの表面の光沢度(入射角60度)を測定したが、第1表と同じであることを確認した。更に内層に表1の資料No:内−A(白色)、外層に資料No:外−Ha(薄い赤色)の厚みが変わる場合の外観を観察したが透明な薄い赤色の外層が厚い場合赤味が増し、また、外層が薄くなるほど薄い赤色になることを確認した。
現在、化粧品・トイレタリー製品ボトルに最も多く使用されるPO系樹脂、例えばPEは光沢がないため成型時に光沢を付与するため多層構造樹脂容器で表面加工される。この容器表面の光沢度の向上についてこれまで多くの特許が出願され、実用化されている。これらの容器と比較のため、表面光沢のある市販製品の高密度PEボトルなどのPO系樹脂ボトルの表面の光沢度(入射角60度)を前記
と同じ条件で測定した結果は次の通りである。
Figure 2006312485
表面光沢のある市販の製品容器の光沢度(入射角60度)を測定したがPO樹脂系のボトルやチューブの表面の光沢度とは、本発明の多層構造樹脂容器の光沢度に比べ比較にならないほど差がある。もちろん目視でもその差は明確に分るほど大きい。また、本発明の多層構造樹脂容器は、単層の容器では得られない優れた外観があり、生産性、再使用(リサイクル)性等も優れており、接着層も必要ないことを確認した。
本発明の多層構造樹脂容器の一実施例を示す概略断面図である。
符号の説明
1:容器本体
2:最外層部
3:内層部

Claims (2)

  1. 熱可塑性合成樹脂をダイレクトブロー成型する多層構造の容器において、多層構造樹脂容器の全ての層にダイレクトブロー成型出来るポリエチレンテレフタレート樹脂を用いると共に、当核最外層部の透明ポリエチレンテレフタレート樹脂層に光輝性顔料を配合した樹脂の光沢度(入射角60度)が90%以上の多層構造樹脂容器。
  2. 熱可塑性合成樹脂をダイレクトブロー成型する多層構造の容器において、多層構造樹脂容器の全ての層にダイレクトブロー成型出来るポリエチレンテレフタレート樹脂を用いると共に、当該最外層部の透明ポリエチレンテレフタレート樹脂層を透明に着色し、さらに最外層部に接する内層のポリエチレンテレフタレート樹脂と異なる色に着色をした樹脂を用いることを特徴とする光沢度(入射角60度)が90%以上の多層構造樹脂容器。
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