JP2004061551A - 調光シート - Google Patents

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Noritaka Egashira
江頭 典孝
Atsushi Baba
馬場 淳
Tatsuya Tsuboi
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Abstract

【課題】可撓性のフィルム状の基板間に調光層を形成しても、均質な厚みを保持することができる調光層を有する調光シートを提供する。
【解決手段】刺激、例えば、電圧、電流、電界、熱、光等の刺激を与えることによって、発色性を変化させることができる調光シートであり、該調光シートの構成は、調光材料を含んだ調光層2を基板フィルム1間に挟んだ状態で保持させてなる積層構造の調光シートであって、ドット状の複数個の均質なスペーサー3が互いに一定間隔で基板フィルム1間に設けられ、基板フィルム1間の距離が、該スペーサー3により一定に保持されている。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
刺激により調光することができる、特に、熱刺激により発色性を変化させることができる積層構造の調光シートに関し、熱線反射ウィンドウ、調光カーテン、調光パーティション、投影スクリーン、大面積反射型掲示板、交通表示、車両窓材に有用な調光シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
外部からの、刺激、例えば、電圧、電流、電界、熱、光等の刺激を与えることによって、物質の状態を変化させる性質を利用した調光層を形成してなる調光シートは従来知られている。
【0003】
例えば、電極間に液晶材料を含む組成物からなる調光層を挟んだ調光シートは、電気刺激により調光できるシートして、特開平5−5863号公報、特開平5−80308号公報、特開平9−26567号公報として知られている。また、電極間に固体電解質膜を挟んだ調光シートは、特開平5−61074号公報として知られている。また、発熱体の両面に温度によって色が変化するサーモクロミック材料を積層し、通電によって発熱体の発熱を制御することにより、調光するシートは特開平5−66426号公報により知られている。
【0004】
また、例えば、外部から熱刺激を与えることによって膨潤・収縮による体積変化が可能な高分子製のゲル粒子(「体積変調型感熱ゲル粒子」と呼ぶ、或いは単に、「ゲル粒子」と呼ぶことがある)に顔料を含有させてなるゲル粒子(「体積変調型発色感熱ゲル粒子」、単に、「発色材料」と呼ぶことがある)を、液体と組み合わせて得た調光発色組成物は、該液体の吸脱着による体積変調型発色感熱ゲル粒子の膨潤、収縮する状態変化により、光を吸収する面積が変化し、それに伴い発色材料の光吸収能が変化して発色することが特開平11−236559号公報により知られている。
【0005】
図1は、前記従来の体積変調型発色組成物の発色原理を示す図である。図1(a)は膨潤状態の発色材料13を粒子状形態として表したものである。図1(a)において、顔料10はゲル粒子12中に含有されて発色材料13を形成している。図1(a)ではゲル粒子12は膨潤しているため、各顔料10粒子間の距離は開き、光14を効率良く吸収するため、ゲル粒子12と顔料10からなる発色材料13の光吸収効率は高くなり、発色材料13は発色する。
【0006】
一方、図1(b)は収縮状態の発色材料13を表す。図1(b)において、ゲル粒子12が収縮することで光14を吸収する面積が小さくなり、光吸収量が低下する。該ゲル粒子12の体積収縮によって、顔料10は顔料密度が高まり、顔料10の凝集が引き起こされる。これによって、飽和吸収濃度以上の顔料濃度となり、顔料10の単位量当たりの光吸収量が低下し、結果として発色材料13の光吸収効率が低下する。
【0007】
つまり、顔料10が凝集することによって一定以上大きさの凝集体を形成すると、凝集体の表面に存在する顔料10Aは光を吸収するが凝集体内部の顔料10Bは光吸収に関与しなくなり、顔料10の単位量当たりの光吸収量が低下してしまうと考えられている。また、ゲル粒子12が収縮すると不均一な構造を形成し膨潤時に比べて光散乱性が高まることも知られ、特にゲル粒子12の表面における光散乱によって顔料10の光吸収能力や色純度を低下させるとも考えられている。これらの作用が複合化されてゲル粒子12の膨潤時と収縮時で大きな光吸収量の差が生じ、これによって発色材料13の色濃度が変化するものと考えられている。つまり、顔料10を含有するゲル粒子12からなる発色材料13の体積変化によって発色濃度を種々制御することができる。
【0008】
図2に、前記従来の調光発色組成物を用いた調光シートを示す。図2の調光シートは、発色材料13と溶媒15とからなる調光発色組成物20を一対の刺激付与手段22を設けた基板24間をスペーサー26を介して挟持して調光層を形成した構成からなり、この図では、発色状態(ゲル粒子12が膨張している状態)を示している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の調光シートには、基板間に挟持されている調光層の端部はスペーサーを介した構造となっているが、
発色材料と溶媒とからなる調光発色組成物を可撓性のフィルム状の基板間に挟持して調光層を形成した場合には、外部からの圧力等で均質な調光層の厚みを保持することが困難であるという問題があった。例えば、スペーサービーズを導入する方法が考えられるが、スペーサービーズの偏在化により調光膜としての均質性を損なうことがあった。
【0010】
そこで本発明は、可撓性のフィルム状の基板間に調光層を形成しても、均質な厚みを保持することができる調光層を有する調光シートを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記した問題点を解決するための本発明の調光シートは、刺激、例えば、電圧、電流、電界、熱、光等の刺激を与えることによって、発色性を変化させることができる調光シートであり、該調光シートの構成は、調光材料を含んだ調光層を基板フィルム間に挟んだ状態で保持させてなる積層構造の調光シートであって、ドット状の複数個の均質なスペーサーが互いに一定間隔で基板フィルム間に設けられ、基板フィルム間の距離が、該スペーサーにより一定に保持されていることを特徴とする。
【0012】
本発明は上記構成を採用することによって、フレキシブルな調光シートであっても、調光層を一定の厚みに保つことが可能となり、光学的に安定した調光シートとすることができる。
【0013】
本発明の均質な厚みを保持することができる調光層を有する調光シートは、調光層にクロミック材料、液晶材料、調光発色組成物等を用いたものに適用できるがこれらに限定されない。
【0014】
【発明の実施の形態】
図3は、本発明の調光シートにおける代表的な層構成の一例である。図3において、1は基板フィルムであり、3は基板フィルムに等間隔に設けられた均質なスペーサーであり、2は基板フィルム1、1間に設けられた調光層である。
【0015】
以下の説明は、主として、調光層に体積変調型発色感熱ゲル粒子を用いた調光シートを例にして説明するが、調光層にクロミック材料、液晶材料等の材料を使用しても同様に本発明は適用できる。
【0016】
スペーサーの形状
ドット状スペーサーの形状は、平面形状(2次元)が円形、三角形、四角形、多角形等の何れでもよく、調光シートの厚み方向の形状が柱状、半錐状(頂点に至る迄の部位で底面と平行にカットされたもの)の何れでもよい。
【0017】
スペーサーの高さは、80〜200μmが好ましい。ドットピッチは、用いる基板フィルム及び調光層の材質により異なるが、少なくとも、調光層の厚みを一定に確保することができる程度の厚みとする。
【0018】
スペーサー材料
スペーサーを形成する材料には、硬化系材料が選ばれる。印刷後に適当な硬化処理を施すことによって、基板への接着性が発現し、また、スペーサー構造の物理的強度アップが行える。
【0019】
スペーサーに使用可能な材料としては、熱、光などの外部エネルギーにより架橋等により高分子量化またはネットワーク化することで熱的物理的強度があるものなら使用可能である。具体的には、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂材料に、必要に応じて無機材料を添加したり、着色材を導入することができる。
【0020】
印刷法によるスペーサーの形成
スペーサーの形成に好ましい印刷法は、スクリーン印刷、ディスペンサ印刷が挙げられるが、処理速度の観点ではスクリーン印刷が好ましい。スクリーン印刷版には厚膜塗布用にメタルマスクが用いられ、マスクの厚みはスペーサーとなる孔の大きさでほぼ決まる。スペーサーの形状は特定されず、任意に選ぶことができる。例えば、ドット状のスペーサーを形成する場合では、高さは50〜200μmの任意の高さのスペーサーを形成するのに、メタル版の厚みは100〜400μm程度で、且つドットの径が100〜1000μmのものを選択することにより、スペーサーの高さを任意に調整することができる。スペーサーとなるインキ材料はインキ粘度にも影響を受けるため上記条件と合わせて設定する必要がある。
【0021】
調光シートの製造プロセス例
体積変調型発色感熱ゲル粒子を用いた調光シートを例にして説明すると、基板(例えば、PETフィルム)上に、上記スペーサー材料を印刷にて、例えば、スクリーン印刷にて印刷し、UV硬化させることにより、スペーサーを形成する。次に、スペーサー印刷されたPETフィルム上に、下記の体積変調型発色感熱ゲル粒子(色素材料)を用いてコンマコート法にて、調光層を塗布形成する。次いで、調光層上にPETフィルムをラミネートした後、PETフィルムを介して該調光層をUV硬化処理し、適当なサイズに断裁することによりシート状に加工する。
【0022】
基板
一軸または二軸延伸ポリエチレンテレフタレート等の結晶性ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート等の非結晶性ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン等のポリアミド等を用いて成形したフィルム、シート又は板が挙げられる。
【0023】
体積変調型発色感熱ゲル粒子
体積変調型発色感熱ゲル粒子(発色材料)は、熱刺激により体積変化が可能な高分子製の体積変調型感熱ゲル粒子(ゲル粒子)に顔料を含有させてなる発色材料である。
【0024】
i)体積変調型感熱ゲル粒子
体積変調型感熱ゲル粒子(ゲル粒子)を構成する材料には、LCST(下限臨界共融温度)をもつ高分子の架橋体や互いに水素結合する2成分の高分子ゲルのIPN(相互侵入網目構造体)などが好ましい。前者は、高温において収縮し、後者は逆に高温で膨潤する特性をもっている。前者の具体的な化合物としては、ポリN−イソプロピルアクリルアミドなどのポリ[N−アルキル置換(メタ)アクリルアミドの架橋体]や、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸およびその金属塩、または(メタ)アクリルアミド、または(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどの2成分以上の共重合体の架橋体、ポリビニルメチルエーテルの架橋体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのアルキル置換セルロース誘導体の架橋体などが挙げられる。一方、後者の化合物としては、ポリ(メタ)アクリルアミドの架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体からなるIPN体およびその部分中和体(アクリル酸単位を部分的に金属塩化したもの)、ポリ(メタ)アクリルアミドを主成分とする共重合体の架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体からなるIPN体およびその部分中和体などが挙げられる。より好ましくは、ポリ〔N−アルキル置換アルキルアミドの架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミドの架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とのIPN体およびその部分中和体などが挙げられる。
【0025】
ii)顔料
体積変調型感熱ゲル粒子(ゲル粒子)内に含有される顔料としては、無機系顔料、有機系顔料などが好ましい。具体例としては、酸化チタンなどの金属酸化物、ブロンズ粉、カーボンブラックやアントラキノン系、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、インジゴ系などの各顔料などが挙げられ、特に光吸収係数が高いものが望ましい。また、顔料の粒径は、1次粒子の平均粒径で0.001μm〜1μmのものが好ましい。特に好ましい粒径は0.01μm〜0.5μmのものである。これは粒径が0.01μm以下では体積変調型感熱ゲル粒子からの溶出が起こりやすく、また、0.5μm以上では発色濃度が低下する恐れが生じるためである。
【0026】
また、これらの色材において、分子内に酸基、水酸基、アミノ基、チオール基、ハロゲン基、ニトロ基、カルボニル基など極性基をもち、高分子ゲル内において色材濃度が高い場合に凝集体を形成しやすい特性のものも好ましく使用される。
【0027】
本発明では、顔料は体積変調型感熱ゲル粒子中に含有され、該粒子から溶出しないことが好ましい。顔料の溶出を防止するためには、使用する体積変調型感熱ゲル粒子の網目よりも大きな粒径の顔料を用いること、体積変調型感熱ゲル粒子との電気的、イオン的、その他物理的な相互作用が高い顔料を用いること、表面を化学修飾した顔料を用いることが好ましい。表面を化学修飾した顔料としては例えば、表面にビニル基などの不飽和基や不対電子(ラジカル)などの体積変調型感熱ゲル粒子との化学結合する基を導入したものや、高分子材料をグラフトした顔料などが挙げられる。
【0028】
体積変調型感熱ゲル粒子中に含有される顔料の量は、飽和吸収濃度以上の濃度が必要である。ここで、飽和吸収濃度以上とは、一般的な高い吸収係数を有する顔料を用いる場合において体積変調型感熱ゲル粒子が収縮した、すなわち外的刺激によりほとんど液体を吸収していない状態、或いは乾燥状態の体積変調型感熱ゲル粒子中における、一つの指標として各々の顔料粒子同士の平均間隔が(1/2)・λ・・・・・(1)〔λ:光の波長〕以下となるように含有されている状態であることが好ましい。
【0029】
体積変調型感熱ゲル粒子においてこのような間隔で顔料粒子が含有されている状態を形成すると、波長λの光が顔料粒子間に侵入できなくなるため顔料粒子の光吸収の働きが1粒子的なものから、集合体的なものに変化し、光吸収の効率が変化するものとなる。このように顔料粒子が集合体的な光吸収特性を示す状態になる状態を飽和吸収濃度以上の顔料を含む状態と呼ぶ。また、飽和吸収濃度以上という定義を別の特性で表現すれば、特定の光路長のもとにおける顔料濃度と光学濃度(あるいは光吸収量)の関係が1次直線の関係から大きく乖離するような顔料濃度である。したがって、可視光の波長に対して、飽和吸収濃度以上になるためには、可視光波長λは400nm〜800nmの範囲であるので、乾燥状態の体積変調型感熱ゲル粒子中で、顔料粒子の間隔は、0.2μm以下となることが好ましい。また、顔料粒子と体積変調型感熱ゲル粒子との比重が同一であり、かつ、顔料粒子の平均粒径が0.1μm以下である場合には、飽和吸収濃度以上となるためには、顔料の好ましい濃度としては、顔料が乾燥状態の体積変調型感熱ゲル粒子中に約3重量%以上含有されることが1つの目安となる。しかしながら、これは1つの目安であって、顔料の粒径や吸光係数によって種々変化するものである。
【0030】
このような飽和吸収濃度以上の状態を実現するためには、顔料の吸光係数にも依存するが体積変調型感熱ゲル粒子に含有させる顔料濃度は一般に5重量%〜95重量%の範囲が好ましく、より好ましくは10重量%〜95重量%の範囲である。顔料の濃度が5重量%以下であると、飽和吸収濃度以上とはならず体積変調型発色感熱ゲル粒子(発色材料)の体積変化による色濃度変化が現れなくなり、さらに十分なコントラストを得るためには調光層の厚みが厚くなるなどの問題が生じ、一方、顔料の濃度が95重量%以上の場合、高分子ゲルの膨潤・収縮が応答よく進行しにくくなり、発色材料体積変調型発色感熱ゲル粒子の刺激応答特性や体積変化量が低下してしまう恐れがある。
【0031】
本発明における体積変調型発色感熱ゲル粒子は、架橋前の高分子に顔料を均一に分散、混合した後に架橋する方法や重合時に高分子前駆体モノマ組成物に顔料を添加して重合する方法によって製造することができる。重合時において顔料を添加する場合には前記したように重合性基や不対電子(ラジカル)をもつ顔料を使用し、化学結合することも好ましい。また、顔料は発色材料中に極力均一に分散されていることが好ましい。特に、高分子への分散に際して、機械的混練法、攪拌法やあるいは分散剤などを利用して均一に分散させることが望ましい。
【0032】
親水性樹脂
本発明の調光シートの調光層におけるマトリクス樹脂として親水性樹脂を用いる理由は、体積変調型発色感熱ゲル粒子(発色材料)を分散保持させるためであり、且つ熱刺激により体積変調型発色感熱ゲル粒子が収縮するときに脱着される水を親水性樹脂に吸収させ親水性樹脂領域と体積変調型発色感熱ゲル粒子領域との界面近傍での屈折率差による光散乱を防止し、且つ熱刺激により親水性樹脂及び該親水性樹脂の近傍に存在する水を体積変調型発色感熱ゲル粒子へ供給するためである。
【0033】
ところで、調光発色組成物を用いて調光シートの調光層を形成した場合、調光層中の体積変調型発色感熱ゲル粒子が収縮すると、該ゲル粒子の周辺近傍には該ゲル粒子から放出された水が存在することになる。一般的に、該ゲル粒子近傍の水領域と、調光層における体積変調型発色感熱ゲル粒子を分散保持させるためのマトリックス樹脂領域との界面で屈折率差による光散乱が生じて調光層の透明性が損なわれ、不透明で白濁した状態になることがある。一般に高分子樹脂の屈折率と水の屈折率との間に差が生じるが、できるだけ水に近づけることで屈折率差が解消されるので、マトリックス樹脂として親水性樹脂を用いた場合には、該樹脂中に水分を含有させることにより収縮した該ゲル粒子近傍の水(ゲル粒子から放出される水)との屈折率差が小さくできるため、ゲル粒子収縮時の調光層の前記光散乱を防止でき透明性が損なわれない。
【0034】
親水性樹脂は緩やかに架橋しているものが体積変調型発色感熱ゲル粒子の分散保持性を向上させるために望ましい。もし、調光層の親水性樹脂が強固に架橋していると調光層の可撓性が減少し剛性が高くなり、フィルム巻取加工等の適性を失い、また、調光層が割れたりすることになるので好ましくない。
【0035】
本発明では親水性樹脂であれば特に限定されないが、例えば、カゼイン、ゼラチン、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、水溶性アルキッド、ポリビニルエーテル、ポリマレイン酸共重合体、ポリエチレンイミン等が挙げれる。前記各樹脂に緩やかな架橋を導入するには、ビニル基、エポキシ基、アミノ基等の反応性基をもたせることが望ましい。
【0036】
緩やかな架橋を導入した親水性樹脂には、例えば、次式(1)で表される光二量化水溶性樹脂が挙げられる。
【0037】
【化1】
Figure 2004061551
【0038】
前記式(1)で表される光二量化水溶性樹脂は、次式(2)で表される化合物に紫外線を照射することにより得ることができる。
【0039】
【化2】
Figure 2004061551
【0040】
溶媒
本発明の調光発色組成物に含ませることができる溶媒には、水、電解質水溶液、アルコール、ケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、アセトニトリル、プロピレンカーボネートなどやキシレン、トルエンなどの芳香族系溶媒およびそれらの混合物が挙げられる。また、溶媒には体積変調型発色感熱ゲル粒子に吸脱着する界面活性剤、溶液のpH変化を促進するためのビオロゲン誘導体などの酸化還元剤、酸、アルカリ、塩、および分散安定剤、酸化防止や紫外線吸収などの安定剤などを添加してもよい。
【0041】
分散剤
本発明の調光発色組成物に含ませることができる分散剤として、陰イオン性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤を用いることができ、好ましくは、体積変調型発色感熱ゲル粒子100重量部に対し、陰イオン性界面活性剤0〜2重量部、且つ非イオン性界面活性剤1〜3重量部を組み合わせることが体積変調型発色感熱ゲル粒子の分散を促進するために望ましい。
【0042】
i)陰イオン性界面活性剤
陰イオン性界面活性剤には、例えば、混合脂肪酸ソーダ石鹸、半硬化牛脂脂肪酸ソーダ石鹸、ステアリン酸ソーダ石鹸、半硬化牛脂脂肪酸カリ石鹸、オレイン酸カリ石鹸、ヒマシ油カリ石鹸、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテル、ジスルフォン酸ナトリウム、アルキルリン酸カリウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、アルカンスルフォン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウムが挙げられる。
【0043】
ii)非イオン性界面活性剤
非イオン性界面活性剤には、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、自己乳化型グリセロールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
【0044】
【実施例】
[実施例1]
(調光組成物の調製)
体積変調型発色感熱ゲル粒子として、カーボンブラック顔料(Caboiet300:商品名、昭和キャボット社製)を含有させた平均粒子径が30μmのポリ−N−イソプロピルアクリルアミドゲル粒子1g(水を含有した状態であり、ゲル正味が0.03g、水が0.97g)及び架橋性ポリビニルアルコール(SbQ−PVA SPP−S13:商品名、東洋合成社製)1gを用い、陰イオン系界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオペレックスF−25:商品名、花王社製、25重量%水溶液)がゲル粒子に対し1重量%、また、非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン高級アルコールエーテル(エマルゲン707:商品名、花王社製)がゲル粒子に対し3重量%となるように混合し、調光組成物とした。
【0045】
(調光シート作製手順)
1)188μm厚 PETフィルム上に、UV硬化樹脂(3057B:商品名、スリーボンド社製)を用いて、ドットの径が1mm、各ドットピッチが6mm、各ドット高さが100μmとなるようにスクリーン印刷した後、UV照射(30mW/cm2 、5分)して硬化させ、ドットスペーサシートを作製した。
【0046】
対向フィルムとなる188μm厚 PETシート上に、コンマコート法によって前記工程で得られた調光組成物を膜厚100μmとなるように塗布した後、上記ドットスペーサシートをラミネートして、調光層厚みが100μmの調光シートを作製した。
【0047】
作製した調光シートに対し、メタルハライド光源を用いUV照射(30mW/cm2 、2分)し、架橋型ポリビニルアルコールを硬化させ、感熱ゲルをポリビニルアルコール樹脂中に分散保持させた。
【0048】
任意の大きさに断裁した後、断裁した端面に、UV硬化樹脂を塗布して硬化・封止した。
【0049】
2)188μm厚 PETフィルム上に、UV硬化樹脂(3057B:商品名、スリーボンド社製)を用いて、ドットの系が1mm、各ドットピッチが10mm、各ドット高さが150μmとなるようにスクリーン印刷した後、UV照射(30mW/cm2 、5分)して硬化させ、ドットスペーサシートを作製した。
【0050】
上記ドットスペーサシートと対向フィルムとなる188μm厚 PETシート上に記フィルム上に、変性ナイロン系ヒートシール剤(FS175R972:商品名、東亜合成社製)を塗布、乾燥し、ヒートシール層を形成した。
【0051】
ヒートシール層を設けた188μm厚 PETシート上に、ダイコート法によって調光組成物を膜厚150μmとなるように塗布した後、上記ドットスペーサシートをラミネートして、調光層厚みが150μmの調光シートを作製した。
【0052】
作製した調光シートに対し、メタルハライド光源を用いUV照射(30mW/cm2 、2分)し、架橋型ポリビニルアルコールを硬化させ、感熱ゲルをポリビニルアルコール樹脂中に分散保持させた。
【0053】
ヒートシーラーを用いて、上下基板の両側から熱圧(100℃、3秒、0.7kg/cm2 )を加え、シート内側に設けた上下ヒートシール層を接着し、任意の大きさで調光ゲル層を封止した。封止領域上またはその外周を断裁し、調光シートを得た。
【0054】
[実施例2]
ポリウレタン樹脂(タケネートD−140NW:商品名、武田薬品工業社製、固形分75重量%)50g、光安定剤(TINUVINE−123:商品名、チバガイギー社製、高分子量タイプヒンダードアミン系化合物)、フォトロクミック材料としてスピロベンゾピラン系化合物(SP−1:商品名、(株)日本感光色素研究所製)2.5g、ポリビニルアルコール(PVA−217EE:商品名、クラレ社製)10g、純水300gを混合し、水溶液中に前記フォトクロミック材料を分散、乳化した後、20%ヘキサメチレンジアミン水溶液1.05gを添加して界面重合を行い、カプセル化した。遠心分離洗浄後、凍結乾燥によってカプセル化したフォトクロミック材料を粉末として得た。
【0055】
カプセル化したフォトクロミック粉末30g、ポリビニルアルコール樹脂20g、純水80gを混合、分散し、フォトクロミック調光組成物とした。
【0056】
前記工程で得られたフォトクロミック調光組成物を用いて、前記実施例1の「調光シート作製手順」と同じ方法を行い、調光シートを得た。
【0057】
[実施例3]
サーモクロミック材料を内包したメラミン系樹脂を殻材とする平均粒径3μの微小カプセル(ダイサーモDR−35 バイオレットC(TM)S:商品名、大日精化工業(株)製)10g、ポリビニルアルコール(PVA−217EE:商品名、クラレ社製)10g、架橋剤(DIAZO−PG:商品名、東洋合成工業社製、ジアゾ系化合物)1g、純水100gを混合、分散し、サーモクロミック調光組成物とした。
【0058】
前記工程で得られたサーモクロミック調光組成物を用いて、前記実施例1の「調光シート作製手順」と同じ方法を行い、調光 前記工程で得られたフォトクロミック調光組成物を用いて、前記実施例1の「調光シート作製手順」と同じ方法を行い、調光シートを得た。
【0059】
【発明の効果】
本発明の調光シートは、ドット状の複数個の均質なスペーサーが互いに一定間隔で基板フィルム間に設けられ、基板フィルム間の距離が、該スペーサーにより一定に保持されているので、フレキシブルな調光シートであっても、調光層を一定の厚みに保つことが可能となり、光学的に安定した調光シートとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の体積変調型発色組成物の発色原理を示す図である。(a)は膨潤状態の発色材料(体積変調型発色感熱ゲル粒子)を粒子状形態として表し、(b)は収縮状態を表す。
【図2】従来の体積変調型発色組成物を用いた調光シートを示す。
【図3】本発明の調光シートにおける代表的な層構成の一例である。
【符号の説明】
1   基板フィルム
2   調光層
3   スペーサー
10  顔料
12  高分子ゲル(体積変調型感熱ゲル粒子)
13  発色材料(体積変調型発色感熱ゲル粒子)
14  光
15  溶媒
20  発色組成物
22  刺激付与手段
24  基板
26  スペーサー

Claims (5)

  1. 調光材料を含んだ調光層を基板フィルム間に挟んだ状態で保持させてなる積層構造の調光シートであって、ドット状の複数個の均質なスペーサーが互いに一定間隔で基板フィルム間に設けられ、基板フィルム間の距離が、該スペーサーにより一定に保持されていることを特徴とする調光シート。
  2. 前記調光材料は、熱刺激により体積を変調させて発色性を変化させることができる調光発色組成物である請求項1記載の調光シート。
  3. 前記スペーサーは印刷により形成されている請求項1又は2記載の調光シート。
  4. 前記印刷はスクリーン印刷である請求項3記載の調光シート。
  5. 前記スペーサーの高さは80〜200μmである請求項1乃至4の何れか1項記載の調光シート。
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