JP2004059605A - 調光発色組成物および光学素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱刺激により可逆的に発色、消色が可能な膜を形成することができ、発色材料(体積変調型発色高分子ゲル粒子)が液体と組み合わされてなる、発色材料が安定に分散保持されている調光発色組成物および光学素子を提供する。
【解決手段】調光発色組成物は、(1)熱刺激により体積を変調させて発色性を変化させることができる体積変調型発色感熱ゲル粒子、(2)該体積変調型発色感熱ゲル粒子を分散保持するための親水性樹脂、(3)該親水性樹脂に含有させることができ、且つ前記体積変調型発色感熱ゲル粒子に吸脱着されることができる溶媒、並びに、(4)該体積変調型発色感熱ゲル粒子の分散を促進するための分散剤を含有する。該調光発色組成物を基板間に挟んだ状態で保持させて光学素子とする。
【選択図】 なし
【解決手段】調光発色組成物は、(1)熱刺激により体積を変調させて発色性を変化させることができる体積変調型発色感熱ゲル粒子、(2)該体積変調型発色感熱ゲル粒子を分散保持するための親水性樹脂、(3)該親水性樹脂に含有させることができ、且つ前記体積変調型発色感熱ゲル粒子に吸脱着されることができる溶媒、並びに、(4)該体積変調型発色感熱ゲル粒子の分散を促進するための分散剤を含有する。該調光発色組成物を基板間に挟んだ状態で保持させて光学素子とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
液体の吸脱着により収縮・膨潤を可逆的に繰返すことができる高分子ゲル調光材料と液体を含有する調光発色組成物に関し、詳しくは、熱刺激により可逆的に液体を吸脱着して発色、消色を繰返すことができる調光発色組成物であって、膜を形成することが可能であって、高分子ゲル調光材料の分散性および保持性に優れた調光発色組成物、および該調光発色組成物を用いた光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
外部から熱刺激を与えることによって膨潤・収縮による体積変化が可能な高分子製のゲル粒子(「体積変調型感熱ゲル粒子」と呼ぶ、或いは単に、「ゲル粒子」と呼ぶことがある)に顔料を含有させてなるゲル粒子(「高分子ゲル調光材料」、単に、「発色材料」と呼ぶことがある)を、液体と組み合わせて得た調光発色組成物は、該液体の吸脱着による高分子ゲル調光材料の膨潤、収縮する状態変化により、光を吸収する面積が変化し、それに伴い発色材料の光吸収能が変化して発色することが特開平11−236559号公報により知られている。
【0003】
図1は、前記従来の高分子ゲル調光材料の発色原理を示す図である。図1(a)は膨潤状態の発色材料(高分子ゲル調光材料)13を粒子状形態として表したものである。図1(a)において、顔料10はゲル粒子12中に含有されて発色材料13を形成している。図1(a)ではゲル粒子12は膨潤しているため、各顔料10粒子間の距離は開き、光14を効率良く吸収するため、ゲル粒子12と顔料10からなる発色材料13の光吸収効率は高くなり、発色材料13は発色する。
【0004】
一方、図1(b)は収縮状態の発色材料13を表す。図1(b)において、ゲル粒子12が収縮することで光14を吸収する面積が小さくなり、光吸収量が低下する。該ゲル粒子12の体積収縮によって、顔料10は顔料密度が高まり、顔料10の凝集が引き起こされる。これによって、飽和吸収濃度以上の顔料濃度となり、顔料10の単位量当たりの光吸収量が低下し、結果として発色材料13の光吸収効率が低下する。
【0005】
つまり、顔料10が凝集することによって一定以上大きさの凝集体を形成すると、凝集体の表面に存在する顔料10Aは光を吸収するが凝集体内部の顔料10Bは光吸収に関与しなくなり、顔料10の単位量当たりの光吸収量が低下してしまうと考えられている。また、ゲル粒子12が収縮すると不均一な構造を形成し膨潤時に比べて光散乱性が高まることも知られ、特にゲル粒子12の表面における光散乱によって顔料10の光吸収能力や色純度を低下させるとも考えられている。これらの作用が複合化されてゲル粒子12の膨潤時と収縮時で大きな光吸収量の差が生じ、これによって発色材料13の色濃度が変化するものと考えられている。つまり、顔料10を含有するゲル粒子12からなる発色材料13の体積変化によって発色濃度を種々制御することができる。
【0006】
図2に、前記従来の調光発色組成物を用いた光学素子を示す。図2の光学素子は、発色材料13と液体15とからなる調光発色組成物20を一対の刺激付与手段22を設けた基板24間をスペーサー26を介して挟持して調光層を形成した構成からなり、この図では、発色状態(ゲル粒子12が膨張している状態)を示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の発色組成物は、膨潤・収縮による体積変化が可能なゲル粒子に顔料を含有させてなる発色材料を、液体と組み合わたものにすぎず、発色材料の分散保持性が悪いため、該発色組成物中において発色材料が均一に分散された状態で安定して保持されていないという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、熱刺激により可逆的に発色、消色が可能な膜を形成することができ、発色材料が安定に分散保持されている調光発色組成物、および該調光発色組成物を用いた光学素子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するための本発明の調光発色組成物は、(1)熱刺激により体積を変調させて発色性を変化させることができる高分子ゲル調光材料、(2)該高分子ゲル調光材料を分散保持するための親水性樹脂、(3)該親水性樹脂に含有させることができ、且つ前記高分子ゲル調光材料に吸脱着されることができる液体、並びに、(4)該高分子ゲル調光材料の分散を促進するための分散剤を含有することを特徴とする。
【0010】
本発明の調光発色組成物を、一対の基板間に挟んだ状態で保持して調光層を形成して光学素子とすることができる。
【0011】
本発明の調光発色組成物を用いた光学素子の調光層における高分子ゲル調光材料(単に、「発色材料」と呼ぶことがある。)は、膨潤・収縮による体積変化が可能な高分子製のゲル粒子(「体積変調型感熱ゲル粒子」と呼ぶ、或いは、単に、「ゲル粒子」と呼ぶことがある)に顔料、染料および光散乱材から選ばれた1種以上、好ましくは顔料を含有させてなるものであって、熱刺激(温度変化)によって液体を吸収或いは放出し、体積変化(膨潤或いは収縮)する。
【0012】
それによって調光層における高分子ゲル調光材料の光を吸収する面積が変化すると同時に高分子ゲル調光材料の光吸収効率が変わり、調光層は光学濃度が変化し発色する特性を示す。即ち、ゲル粒子中に含まれる顔料は、ゲル粒子の膨潤時には拡散状態をとり、収縮時は凝集状態をとる。このような顔料の拡散、凝集により、図1を用いて前記に説明した従来技術と同様な高分子ゲル調光材料の発色原理に基づき、各状態におけるゲル粒子に含まれる色材としての顔料の光吸収能が変化し、色濃度が変化して発色が生ずる。特に、ゲル粒子の膨潤状態の光吸収効率が、収縮時に比べて高い。これは、高分子ゲル調光材料の膨潤時における、高分子ゲル調光材料中の顔料の光を吸収する能率が収縮時に比べてより大きくなることを示す。
【0013】
本発明は、高分子ゲル調光材料100重量部に対し、分散剤として、陰イオン性界面活性剤0.1〜10重量部、且つ非イオン性界面活性剤0〜10重量部を組み合わせることが高分子ゲル調光材料の分散を促進するために望ましく、さらに好ましくは、陰イオン性界面活性剤0.1〜3重量部、且つ非イオン性界面活性剤2〜5重量部である。
【0014】
陰イオン性界面活性剤が10重量部を超えると、調光発色組成物の粘度が高く、高分子ゲル調光材料の分散性が悪くなる。また、非イオン性界面活性剤が2重量部未満であると、調光発色組成物の粘度が高く、高分子ゲル調光材料の分散性が悪くなり、5重量部を超えると硬化状態が悪くなる。陰イオン性界面活性剤の量が増加するにつれて、相転移温度が高くなるので、相転移温度を高めに設定したい場合には3重量部以上を添加してもよい。
【0015】
なお、陰イオン性界面活性剤或いは非イオン性界面活性剤を使用せずに、陽イオン性界面活性剤を用いた場合には、高分子ゲル調光材料の分散性が悪く、また調光発色組成物全体の硬化状態もよくない。
【0016】
【発明の実施の形態】
高分子ゲル調光材料(発色材料)
高分子ゲル調光材料(発色材料)は、体積変調型感熱ゲル粒子(高分子ゲル粒子)に、染料、顔料や光散乱剤などの調光用材料を含有させたものである。
【0017】
i)体積変調型感熱ゲル粒子(高分子ゲル粒子)
体積変調型感熱ゲル粒子(高分子ゲル粒子)を構成する材料は、温度変化により水素結合性の変化、膨潤液体との溶媒和の変化や結晶構造の変化等による相転移特性を有する高分子ゲルである。つまり温度変化により、液体中における高分子ゲルの膨潤体としての体積が可逆的に変化する性質をもつものである。
【0018】
このような高分子ゲルを例示すれば、LCST(下限臨界共融温度)やUCST(上限臨界共融温度)をもつ高分子の架橋体、互いに水素結合する2成分の高分子ゲルのIPN体(相互侵入網目構造体)や結晶性などの凝集性の側鎖をもつ高分子ゲルなどが好ましい。
【0019】
LCSTゲルは、高温において凝縮し、IPNゲルや結晶性ゲルは逆に高温で膨張する特性をもっている。LCSTゲルの具体例としては、ポリ〔N−イソプロピルアクリルアミド〕などのポリ〔N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体;N−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルなどから選択される1種以上との共重合体の架橋体やその塩;ポリビニルメチルエーテルの架橋体;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのアルキル置換セルロース誘導体の架橋体などが挙げられる。
【0020】
一方、IPNゲルの具体例としては、ポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体の架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とからなるIPN体およびその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩したもの);(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体を含む共重合体の架橋体と(メタ)アクリル酸を含む共重合体の架橋体からなるIPN体およびその部分中和物などが挙げられる。
【0021】
また、結晶性ゲルとしてはオクチル基、デシル基、ラウリル基、ステアリル基などの長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体の架橋やその塩;コレステリル系モノマあるいは芳香族系モノマと(メタ)アクリル酸との共重合体の架橋体やその塩が挙げられる。
【0022】
さらに、温度変化に応じて複数の相転移点を示すゲルも好ましく使用できる。このようなゲルとしては例えば、ポリ〔N−イソプロピルアクリルアミド〕などのポリ〔N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とのIPN体などが挙げられる。これらのゲルは、温度上昇にともない膨潤−縮小−膨潤という 2つの相転移点を示すことが知られている。
【0023】
なお上記において、「(メタ)アクリル」なる記述は、アクリルおよびメタアクリルのようないずれも含むことを意味する。
【0024】
高分子ゲルの刺激による体積変化量については大きいものが調光特性上、好ましく、膨潤時および収縮時の体積比が5以上、好ましくは10以上、より好ましくは15以上のものである。
【0025】
また、体積変化を示す温度(相転移温度)は高分子ゲルの構造、組成により設計が可能である。なお、好ましい相転移温度の範囲は−30℃〜300℃の範囲から選択され、特に好ましくは−10℃〜200℃の範囲である。高分子ゲルはそれ自身でも体積変化にともない光散乱性が変化するという調光能を示すが、より大きな調光特性や色変化を発現するために調光用材料を高分子ゲルに添加することが好ましい。
【0026】
添加する調光用材料としては、染料、顔料や光散乱材などが挙げられる。また調光用材料は高分子ゲルに物理的あるいは化学的に固定化されることが好ましい。
【0027】
染料の好適な具体例としては、例えば、黒色のニグロシン系染料や赤、緑、青、シアン、マゼンタ、イエローなどのカラー染料であるアゾ染料、アントラキノン系染料、インジゴ系染料、フタロシアニン系染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ベリノン染料などが挙げられ、特に光吸収係数が高いものが望ましい。例えば、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、24、26、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、157、C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、19、23、25、29、38、44、79、127、144、245、C.I.ベイシックイエロー1、2、11、34、C.I.フードイエロー4、C.I.リアクティブイエロー37、C.I.ソルベントイエロー6、9、17、31、35、100、102、103、105、C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、85、87、89、92、97、106、111、114、115、118、134、158、186、249、254、289、C.I.ベイシックレッド1、2、9、12、14、17、18、37、C.I.フードレッド14、C.I.リアクティブレッド23、180、C.I.ソルベントレッド5、16、17、18、19、22、23、143、145、146、149、150、151、157、158、C.I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、41、71、76、78、86、87、90、98、163、165、199、202、C.I.アシッドブルー1、7、9、22、23、25、29、40、41、43、45、78、80、82、92、93,127、249、C.I.ベイシックブルー1、3、5、7、9、22、24、25、26、28、29、C.I.フードブルー2、C.I.ソルベントブルー22、63、78、83〜86、191、194、195、104、C.I.ダイレクトブラック2、7、19、22、24、32、38、51、56、63、71、74、75、77、108、154、168、171、C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、29、31、44、48、50、52、94、C.I.ベイシックブラック2、8、C.I.フードブラック1、2、C.I.リアクティブブラック31、C.I.フードバイオレット2、C.I.ソルベントバイオレット31、33、37、C.I.ソルベントグリーン24、25、C.I.ソルベントブラウン3、9等が挙げられる。これらの染料は、単独で使用してもよく、さもなければ所望とする色を得るために混合して使用してもよい。
【0028】
また、染料を高分子ゲルに固定化するために、不飽和二重結合基などの重合可能な基を有した構造の染料や、高分子ゲルと反応可能ないわゆる反応性染料などが好ましく使用される。また、高分子ゲル中に含有させる染料の好ましい濃度は、3重量%から50重量%の範囲であり、特に好ましくは5重量%から30重量%の範囲である。このように染料濃度は少なくとも高分子ゲルの乾燥あるいは収縮状態において飽和吸収濃度以上であることが望ましい。ここで、飽和吸収濃度以上とは、特定の光路長のもとに置ける染料濃度と、光学濃度(あるいは光吸収量)の関係が一次直線の関係から大きく乖離するような高い染料濃度の領域を示す。
【0029】
一方、顔料および光散乱材の好適な具体例としては、黒色顔料であるブロンズ粉、チタンブラック、各種カーボンブラック(チャネルブラック、ファーネスブラック等)、白色顔料である酸化チタン、シリカなどの金属酸化物、炭酸カルシウムや金属粉などの光散乱材料やカラー顔料である例えば、フタロシアニン系のシアン顔料、ベンジジン系のイエロー顔料、ローダミン系のマゼンタ顔料、あるいはこの他にもアントラキノン系、アゾ系、アゾ金属錯体、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベリレン系、インジゴ系、イソインドリノン系、キナクリドン系、アリルアミド系などの各種顔料や光散乱材を挙げることができる。
【0030】
例えば、イエロー系顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントイエロー112、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、111、128、129、147、168等が好適に用いられる。
【0031】
またマゼンタ系顔料としては、縮合アゾ系化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ベリレン化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0032】
シアン系顔料としては銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキカゴウブツ等が利用できる。具体的には、例えば顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15;1、15;2、15;3、15;4、60、62、66等が好適に利用できる。
【0033】
また、使用する顔料や光散乱材の粒径は、1次粒子の平均粒径で0.001μm〜1μmのものが好ましく、とくに0.01μm〜0.5μmのものが好ましい。該粒径が0.01μm以下では、高分子ゲルから顔料や光散乱材の流出が起こりやすく、また、0.5μm 以上では発色特性が悪くなる恐れを生じるためである。
【0034】
また、前記したように顔料や光散乱材は高分子ゲル中に含有され、高分子ゲルから流出しないことが必要である。そのためには高分子ゲルの架橋密度を最適化して、顔料や光散乱材を高分子網目中に物理的に閉じ込めること、高分子ゲルとの電気的、イオン的、その他物理的な相互作用が高い顔料や光散乱材を用いること、表面を化学修飾した顔料や光散乱材を用いることなどが好ましい。例えば、表面を化学修飾した顔料や光散乱材としては、表面にビニル基などの不飽和基や不対電子(ラジカル)などの高分子ゲルと化合結合する基を導入したものや、高分子材料をグラフト結合したものなどが挙げられる。
【0035】
高分子ゲル中に含有される顔料や光散乱材の量は、染料と同様に少なくとも液体を含まない状態の高分子ゲル中において、飽和吸収濃度以上(あるいは飽和光散乱濃度以上)の濃度が好ましい。
【0036】
前記顔料や光散乱材の量を飽和吸収濃度以上(あるいは飽和光散乱濃度以上)にするためには、顔料や光散乱材の光吸収係数や光散乱係数にも依存するが、一般には3重量%〜95重量%の範囲が好ましく、より好ましくは、5重量%〜80重量%の範囲である。顔料(あるいは光散乱材)の濃度が3重量%以下であると、飽和吸収濃度以上(あるいは飽和光散乱濃度以上)とはならず高分子ゲルの体積変化にともなう調光特性が得られない。一方、濃度が95重量%以上の場合は高分子ゲルの応答速度や体積変化量が低下してしまう恐れがある。
【0037】
このような調光用材料を含む高分子ゲルは、架橋前の高分子に調光用材料を均一に分散、混合した後に架橋する方法や、重合時に高分子前駆体モノマ組成物に光調光用材料を添加して重合する方法によって製造することができる。重合時において顔料や光散乱材を添加する場合には前記したように重合性基や不対電子(ラジカル)をもつ顔料や光散乱材を使用し、高分子ゲルに化学結合することも好ましく実施される。
【0038】
また、調光用材料は本発色材料中に極力均一に分散されていることが好ましい。特に、高分子への分散に際して、機械的混練法、撹拌法やあるいは分散剤などを利用して均一に分散させることが望ましい。
【0039】
上記に列挙した高分子ゲルの形状は特に限定しないが、応答速度や加工性の容易性からは粒子状であることが好ましい。粒子状としては球体、立方体、楕円体、多面体、多孔質体、繊維状、星状、針状、中空状などのものが適用できる。粒子の好ましい大きさは、その液体を含まない状態において平均粒径で0.1μm〜1mmの範囲、より好ましくは1μm〜500μmの範囲である。粒径が0.1μm以下であると粒子のハンドリングが困難になる、優れた光学特性が得られないなどの問題を生じる。一方、粒径が1mmよりも大きくなると、体積変化に要する応答速度が大幅に遅くなってしまうなどの問題を生じる。
【0040】
また、これらの粒子は高分子ゲルを物理的粉砕法によって粉砕する方法や架橋前の高分子を物理的粉砕法や科学的粉砕法によって粒子化した後に架橋してゲルとする方法、あるいは乳化重合法、分散重合法などの粒子化重合法などの一般的な方法によって製造することができる。
【0041】
なお、高分子を架橋させるためには、種々の架橋剤(多官能性化合物)を重合時あるいは重合後に添加し反応させる、あるいは高分子に電子線、γ線などの放射線を照射する、加熱する、さらには過酸化物を添加するなどの一般的な方法が適用できる。
【0042】
また、刺激応答による体積変化特性をより高速にするために、従来技術と同様に高分子ゲルを多孔質化して液体の出入りを向上させることも好ましい。一般に膨潤した高分子ゲルを凍結乾燥する方法で多孔質化することができる。
【0043】
親水性樹脂
本発明の調光発色組成物においてマトリクス樹脂として親水性樹脂を用いる理由は、高分子ゲル調光材料(発色材料)を分散保持させるためであり、且つ熱刺激により高分子ゲル調光材料が収縮するときに脱着される水を親水性樹脂に吸収させ親水性樹脂領域と高分子ゲル調光材料領域との界面近傍での屈折率差による光散乱を防止し、且つ熱刺激により親水性樹脂および該親水性樹脂の近傍に存在する水を高分子ゲル調光材料へ供給するためである。
【0044】
ところで、高分子ゲル調光材料を含有する本発明の調光発色組成物を用いて発光素子の調光層を形成した場合、調光層中の高分子ゲル調光材料が収縮すると、該高分子ゲル粒子の周辺近傍には該高分子ゲル粒子から放出された水が存在することになる。一般的に、該高分子ゲル粒子近傍の水領域と、調光層における高分子ゲル調光材料を分散保持させるためのマトリックス樹脂領域との界面で屈折率差による光散乱が生じて調光層の透明性が損なわれ、不透明で白濁した状態になることがある。一般に高分子樹脂の屈折率と水の屈折率との間に差が生じるが、できるだけ水に近づけることで屈折率差が解消されるので、マトリックス樹脂として親水性樹脂を用いた場合には、該樹脂中に水分を含有させることにより収縮した該高分子ゲル粒子近傍の水(高分子ゲル粒子から放出される水)との屈折率差が小さくできるため、高分子ゲル粒子収縮時の調光層の前記光散乱を防止でき透明性が損なわれない。
【0045】
親水性樹脂は緩やかに架橋しているものが高分子ゲル調光材料の分散保持性を向上させるために望ましい。もし、調光層の親水性樹脂が強固に架橋されていると調光層の可撓性が減少し剛性が高くなり、フィルム巻取加工等の適性を失い、また、調光層が割れたりすることになるので好ましくない。
【0046】
本発明では親水性樹脂であれば特に限定されないが、例えば、カゼイン、ゼラチン、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、水溶性アルキッド、ポリビニルエーテル、ポリマレイン酸共重合体、ポリエチレンイミン等が挙げれる。前記各樹脂に緩やかな架橋を導入するには、ビニル基、エポキシ基、アミノ基等の反応性基をもたせることが望ましい。
【0047】
緩やかな架橋を導入した親水性樹脂には、例えば、次式(1)で表される光二量化水溶性樹脂が挙げられる。
【0048】
【化2】
【0049】
前記式(1)で表される光二量化水溶性樹脂は、次式(2)で表される化合物に紫外線を照射することにより得ることができる。
【0050】
【化3】
【0051】
液体
次に本発明の組成物に高分子ゲルとともに使用される液体について説明する。本発明の調光発色組成物に使用できる液体は刺激付与により高分子ゲルに吸脱する性質のもので、前記高分子ゲルを膨潤可能なものである。液体として好ましいものを例示すれば、水、電解質水溶液;メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン類;エーテル類;エステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、アセトニトリル、プロピレンカーボネート等の脂肪族系有機溶媒や;N−メチルピロリドン等の芳香族系有機溶媒などやそれらの混合物が使用できる。また、液体には、必要に応じて各種高分子、酸、アルカリ、塩、界面活性剤、分散安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤などの安定剤などを添加しても構わない。
【0052】
本発明の調光発色組成物においては、高分子ゲルと液体との好ましい混合比の範囲は重量比で1:2000〜1:1(高分子ゲル:液体)である。
【0053】
分散剤
本発明の調光発色組成物に含ませることができる分散剤として、陰イオン性界面活性剤および/又は非イオン性界面活性剤を用いることができ、好ましくは、高分子ゲル調光材料100重量部に対し、陰イオン性界面活性剤0〜2重量部、且つ非イオン性界面活性剤1〜3重量部を組み合わせることが高分子ゲル調光材料の分散を促進するために望ましい。
【0054】
i)陰イオン性界面活性剤
陰イオン性界面活性剤には、例えば、混合脂肪酸ソーダ石鹸、半硬化牛脂脂肪酸ソーダ石鹸、ステアリン酸ソーダ石鹸、半硬化牛脂脂肪酸カリ石鹸、オレイン酸カリ石鹸、ヒマシ油カリ石鹸、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテル、ジスルフォン酸ナトリウム、アルキルリン酸カリウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、アルカンスルフォン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウムが挙げられる。
【0055】
ii)非イオン性界面活性剤
非イオン性界面活性剤には、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、自己乳化型グリセロールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
【0056】
基板
一軸または二軸延伸ポリエチレンテレフタレート等の結晶性ポリマー;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート等の非結晶性ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ナイロン等のポリアミド;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂等を用いて成形したフィルム、シート又は板が挙げられる。
【0057】
【実施例】
〔実施例1〕
(感熱応答性高分子ゲル作製方法)
感熱応答性高分子ゲルの粒子を以下のようなプロセスにより製造した。N−イソプロピルアクリルアミド(3.5758g)、メチレンビスアクリルアミド(0.0072g)、マイクロカプセル化カーボンブラック分散液(6.2722g、大日本インキ化学工業社製、MC black 082−E、顔料分14.3%含有)の水(19.1630g)溶液に15分間窒素を通し溶存酸素を除いた。この溶液に対して過硫酸アンモニウム(29.9mg)の水(0.5106g)溶液を加えて撹拌し均一に溶解させた。75mm径の3枚羽根の撹拌翼を取り付けた2Lのセパラブルフラスコにソルビタンモノステアレート(第一工業製薬社製、6.00g)のシクロヘキサン(1.2L)溶液を入れ、さらに先に調製したN−イソプロピルアクリルアミドの顔料分散液を加え、窒素を流してフラスコ内部全体を窒素置換した。ウォーターバスを用いてこのフラスコ全体を25℃に保ち、撹拌翼を800rpmで15分間回転させて水相をシクロヘキサン中に懸濁、分散させた。撹拌翼の回転数を250rpmにして、この分散液に対してテトラメチルエチレンジアミン(0.8ml)のシクロヘキサン(3.2ml)溶液を加えて、反応を開始させ、25℃に保ったまま250rpmで2時間重合した。得られた重合体の粒子をトルエン、ジメチルホルムアミド、水で十分に洗浄し、未反応のモノマー、分散剤等を除いた。このようにして感熱応答性高分子ゲル粒子を作製した。得られた感熱応答性高分子ゲル粒子は室温(25℃、膨潤状態)での体積平均粒径が30μmであった。この感熱応答性高分子ゲル粒子は約34℃に相転移温度を有していた。すなわち、本高分子ゲル粒子は相転移点よりも高い温度では収縮し、低い温度では膨潤する。また、その変化量は直径の変化で約2.5倍、すなわち、体積変化量は約16倍であった。
【0058】
(調光発色組成物の調製)
前記工程で得られた高分子ゲル粒子1g(水を含有した状態であり、ゲル正味が0.03g、水が0.97g)および架橋性ポリビニルアルコール樹脂(SbQ−PVA SPP−S13:商品名、東洋合成社製)1gを用い、陰イオン性界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(ネオペレックスF−25:商品名、花王社製、25重量%水溶液)が高分子ゲル粒子に対し0重量%、1重量%、2重量%、4重量%、6重量%となるように、また、非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン高級アルコールエーテル(エマルゲン707:商品名、花王社製)が高分子ゲル粒子に対し0重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%となるように下記の表1に示す各成分の組み合わせで混合して、各種配合割合の調光発色組成物とした。各種配合割合の調光発色組成物のインキ粘度、分散性、硬化状態を調べた。その結果を下記の表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
表1中のインキ粘度について、「高」は、10,000Pa・s超える、「中」は10,000〜5,000Pa・s、「低い」は5,000Pa・s未満を示す。分散性について、「×」は調光発色組成物において高分子ゲル調光材料の凝集体が50個以上ある場合、「△」は5〜50個ある場合、「○」は5〜0個ある場合を示す。
【0061】
表1中の硬化状態は、UV硬化(30mW/cm2 、2分程度)後の架橋性樹脂の硬化によるゲル含有組成物全体の硬化状態を観察したものであり、「○」は固形状態で流動性がない場合、「△」は半固形状態だが流動性が無い場合、「×」は液状で流動性がある場合を示す。
【0062】
表1によれば、高分子ゲル調光材料100重量部に対し、陰イオン性界面活性剤0〜2重量部、且つ非イオン性界面活性剤1〜3重量部を組み合わせることが高分子ゲル調光材料の分散を促進するために望ましいことが分かる。
【0063】
(調光シートの作製手順)
上下基板の一方の188μm厚 PETフィルム基板上に、100μm厚のスペーサシートを基板周辺部に設けた。この基板に、スクリーン印刷法によって、膜厚100μmで塗布した。
【0064】
調光層を設けたフィルムに対し、対向フィルムとして、188μm厚 PETフィルム基板を貼り合わせた後、上下基板の端面部にUV硬化型接着剤を塗布し、UV照射して端面を封止した。
【0065】
上記手法にて作製した黒色調光シートは、20℃で透過率が20%であったが、35℃以上に加熱すると消色し、40℃に保温すると透過率は80%となった。再び20℃付近まで降温すると透過率が低くなり、20%となった。同様に昇温40℃と降温20℃を100回以上繰り返しても可逆的に透過率変化を再現した。
【0066】
〔実施例2〕
感熱高分子ゲル作製方法は前記実施例1と同じようにした。
【0067】
(調光発色組成物の調製)
前記工程で得られた高分子ゲル粒子1g(水を含有した状態であり、ゲル正味が0.03g、水が0.97g)および架橋性ポリビニルアルコール樹脂(SbQ−PVA SPP−S13:商品名、東洋合成社製)1gを用い、陰イオン性界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(ネオペレックスF−25:商品名、花王社製、25重量%水溶液)が高分子ゲル粒子に対し2重量%となるように、また、非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン高級アルコールエーテル(エマルゲン707:商品名、花王社製)が高分子ゲル粒子に対し3重量%となるように混合して、調光発色組成物とした。
【0068】
(調光シートの作製手順)
上下基板の一方の188μm厚 PETフィルム上に、粒径100μmのスペーサを散布した。この基板に、ダイコート法によって、上記調光発色組成物を膜厚100μmで塗布した。調光層を設けたフィルムに対し、対向フィルムとして、188μm厚 PETフィルム基板を貼り合わせた後、上下基板の端面部にUV硬化型接着剤を塗布し、UV照射して端面を封止した。
【0069】
上記手法にて作製した青色調光シートは、20℃で透過率が20%であったが、35℃以上に加熱すると消色し、40℃に保温すると透過率は80%となった。再び20℃付近まで降温すると透過率が低くなり、20%となった。同様に昇温40℃と降温20℃を100回以上繰り返しても可逆的に透過率変化を再現した。
【0070】
調光発色組成物の配合例
下記の配合割合で、混合して調光発色組成物を作製した。
〔実施例3〕
光学素子の製造
前記実施例で調製した調光発色組成物をPET(50μm)フィルム基板上にブレードコート法により100μmの厚さに塗布することにより調光層を形成した後、該調光層上にPET(50μm)フィルムを重ね合わ、メタルハライド光源によりUV照射を30mW/cm2 、120秒で光硬化を行った。得られたラミネートシートの端部をUV架橋型接着剤で封止した。このラミネートシートは、20℃で透過率が80%であったが、35℃以上に加熱すると着色し、40℃に保温すると透過率は20%となった。再び20℃付近まで降温すると透過率が高くなり80%となった。同様に昇温40℃と降温20℃を100回以上繰り返しても可逆的に透過率変化を再現した。
【0071】
【発明の効果】
本発明の調光発色組成物は、高分子ゲル調光材料が親水性樹脂に安定して分散保持されている。該調光発色組成物を膜に形成した場合には、熱刺激により可逆的に発色および消色を可能にすることができる。
【0072】
本発明の調光発色組成物を光学素子の発色層として形成する場合、従来の応用分野として挙げられる調光窓(従来の調光方式として、フォトクロミック型、液晶散乱駆動型、エレクトロクロミズム型)を例にして比較すると、本発明では、従来の調光方式に比べて、透過率変化率を大きくとれる、耐光性が高い、温度に依存した自律応答性がある等の従来の調光方式にない特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の発色材料(高分子ゲル調光材料)の発色原理を示す図である。(a)は膨潤状態の発色材料(高分子ゲル調光材料)を粒子状形態として表し、(b)は収縮状態を表す。
【図2】従来の発色材料(高分子ゲル調光材料)を用いた光学素子を示す。
【符号の説明】
10 顔料
12 高分子ゲル
13 発色材料(高分子ゲル調光材料)
14 光
15 液体
20 発色組成物
22 刺激付与手段
24 基板
26 スペーサー
【発明が属する技術分野】
液体の吸脱着により収縮・膨潤を可逆的に繰返すことができる高分子ゲル調光材料と液体を含有する調光発色組成物に関し、詳しくは、熱刺激により可逆的に液体を吸脱着して発色、消色を繰返すことができる調光発色組成物であって、膜を形成することが可能であって、高分子ゲル調光材料の分散性および保持性に優れた調光発色組成物、および該調光発色組成物を用いた光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
外部から熱刺激を与えることによって膨潤・収縮による体積変化が可能な高分子製のゲル粒子(「体積変調型感熱ゲル粒子」と呼ぶ、或いは単に、「ゲル粒子」と呼ぶことがある)に顔料を含有させてなるゲル粒子(「高分子ゲル調光材料」、単に、「発色材料」と呼ぶことがある)を、液体と組み合わせて得た調光発色組成物は、該液体の吸脱着による高分子ゲル調光材料の膨潤、収縮する状態変化により、光を吸収する面積が変化し、それに伴い発色材料の光吸収能が変化して発色することが特開平11−236559号公報により知られている。
【0003】
図1は、前記従来の高分子ゲル調光材料の発色原理を示す図である。図1(a)は膨潤状態の発色材料(高分子ゲル調光材料)13を粒子状形態として表したものである。図1(a)において、顔料10はゲル粒子12中に含有されて発色材料13を形成している。図1(a)ではゲル粒子12は膨潤しているため、各顔料10粒子間の距離は開き、光14を効率良く吸収するため、ゲル粒子12と顔料10からなる発色材料13の光吸収効率は高くなり、発色材料13は発色する。
【0004】
一方、図1(b)は収縮状態の発色材料13を表す。図1(b)において、ゲル粒子12が収縮することで光14を吸収する面積が小さくなり、光吸収量が低下する。該ゲル粒子12の体積収縮によって、顔料10は顔料密度が高まり、顔料10の凝集が引き起こされる。これによって、飽和吸収濃度以上の顔料濃度となり、顔料10の単位量当たりの光吸収量が低下し、結果として発色材料13の光吸収効率が低下する。
【0005】
つまり、顔料10が凝集することによって一定以上大きさの凝集体を形成すると、凝集体の表面に存在する顔料10Aは光を吸収するが凝集体内部の顔料10Bは光吸収に関与しなくなり、顔料10の単位量当たりの光吸収量が低下してしまうと考えられている。また、ゲル粒子12が収縮すると不均一な構造を形成し膨潤時に比べて光散乱性が高まることも知られ、特にゲル粒子12の表面における光散乱によって顔料10の光吸収能力や色純度を低下させるとも考えられている。これらの作用が複合化されてゲル粒子12の膨潤時と収縮時で大きな光吸収量の差が生じ、これによって発色材料13の色濃度が変化するものと考えられている。つまり、顔料10を含有するゲル粒子12からなる発色材料13の体積変化によって発色濃度を種々制御することができる。
【0006】
図2に、前記従来の調光発色組成物を用いた光学素子を示す。図2の光学素子は、発色材料13と液体15とからなる調光発色組成物20を一対の刺激付与手段22を設けた基板24間をスペーサー26を介して挟持して調光層を形成した構成からなり、この図では、発色状態(ゲル粒子12が膨張している状態)を示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の発色組成物は、膨潤・収縮による体積変化が可能なゲル粒子に顔料を含有させてなる発色材料を、液体と組み合わたものにすぎず、発色材料の分散保持性が悪いため、該発色組成物中において発色材料が均一に分散された状態で安定して保持されていないという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、熱刺激により可逆的に発色、消色が可能な膜を形成することができ、発色材料が安定に分散保持されている調光発色組成物、および該調光発色組成物を用いた光学素子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するための本発明の調光発色組成物は、(1)熱刺激により体積を変調させて発色性を変化させることができる高分子ゲル調光材料、(2)該高分子ゲル調光材料を分散保持するための親水性樹脂、(3)該親水性樹脂に含有させることができ、且つ前記高分子ゲル調光材料に吸脱着されることができる液体、並びに、(4)該高分子ゲル調光材料の分散を促進するための分散剤を含有することを特徴とする。
【0010】
本発明の調光発色組成物を、一対の基板間に挟んだ状態で保持して調光層を形成して光学素子とすることができる。
【0011】
本発明の調光発色組成物を用いた光学素子の調光層における高分子ゲル調光材料(単に、「発色材料」と呼ぶことがある。)は、膨潤・収縮による体積変化が可能な高分子製のゲル粒子(「体積変調型感熱ゲル粒子」と呼ぶ、或いは、単に、「ゲル粒子」と呼ぶことがある)に顔料、染料および光散乱材から選ばれた1種以上、好ましくは顔料を含有させてなるものであって、熱刺激(温度変化)によって液体を吸収或いは放出し、体積変化(膨潤或いは収縮)する。
【0012】
それによって調光層における高分子ゲル調光材料の光を吸収する面積が変化すると同時に高分子ゲル調光材料の光吸収効率が変わり、調光層は光学濃度が変化し発色する特性を示す。即ち、ゲル粒子中に含まれる顔料は、ゲル粒子の膨潤時には拡散状態をとり、収縮時は凝集状態をとる。このような顔料の拡散、凝集により、図1を用いて前記に説明した従来技術と同様な高分子ゲル調光材料の発色原理に基づき、各状態におけるゲル粒子に含まれる色材としての顔料の光吸収能が変化し、色濃度が変化して発色が生ずる。特に、ゲル粒子の膨潤状態の光吸収効率が、収縮時に比べて高い。これは、高分子ゲル調光材料の膨潤時における、高分子ゲル調光材料中の顔料の光を吸収する能率が収縮時に比べてより大きくなることを示す。
【0013】
本発明は、高分子ゲル調光材料100重量部に対し、分散剤として、陰イオン性界面活性剤0.1〜10重量部、且つ非イオン性界面活性剤0〜10重量部を組み合わせることが高分子ゲル調光材料の分散を促進するために望ましく、さらに好ましくは、陰イオン性界面活性剤0.1〜3重量部、且つ非イオン性界面活性剤2〜5重量部である。
【0014】
陰イオン性界面活性剤が10重量部を超えると、調光発色組成物の粘度が高く、高分子ゲル調光材料の分散性が悪くなる。また、非イオン性界面活性剤が2重量部未満であると、調光発色組成物の粘度が高く、高分子ゲル調光材料の分散性が悪くなり、5重量部を超えると硬化状態が悪くなる。陰イオン性界面活性剤の量が増加するにつれて、相転移温度が高くなるので、相転移温度を高めに設定したい場合には3重量部以上を添加してもよい。
【0015】
なお、陰イオン性界面活性剤或いは非イオン性界面活性剤を使用せずに、陽イオン性界面活性剤を用いた場合には、高分子ゲル調光材料の分散性が悪く、また調光発色組成物全体の硬化状態もよくない。
【0016】
【発明の実施の形態】
高分子ゲル調光材料(発色材料)
高分子ゲル調光材料(発色材料)は、体積変調型感熱ゲル粒子(高分子ゲル粒子)に、染料、顔料や光散乱剤などの調光用材料を含有させたものである。
【0017】
i)体積変調型感熱ゲル粒子(高分子ゲル粒子)
体積変調型感熱ゲル粒子(高分子ゲル粒子)を構成する材料は、温度変化により水素結合性の変化、膨潤液体との溶媒和の変化や結晶構造の変化等による相転移特性を有する高分子ゲルである。つまり温度変化により、液体中における高分子ゲルの膨潤体としての体積が可逆的に変化する性質をもつものである。
【0018】
このような高分子ゲルを例示すれば、LCST(下限臨界共融温度)やUCST(上限臨界共融温度)をもつ高分子の架橋体、互いに水素結合する2成分の高分子ゲルのIPN体(相互侵入網目構造体)や結晶性などの凝集性の側鎖をもつ高分子ゲルなどが好ましい。
【0019】
LCSTゲルは、高温において凝縮し、IPNゲルや結晶性ゲルは逆に高温で膨張する特性をもっている。LCSTゲルの具体例としては、ポリ〔N−イソプロピルアクリルアミド〕などのポリ〔N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体;N−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルなどから選択される1種以上との共重合体の架橋体やその塩;ポリビニルメチルエーテルの架橋体;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのアルキル置換セルロース誘導体の架橋体などが挙げられる。
【0020】
一方、IPNゲルの具体例としては、ポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体の架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とからなるIPN体およびその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩したもの);(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体を含む共重合体の架橋体と(メタ)アクリル酸を含む共重合体の架橋体からなるIPN体およびその部分中和物などが挙げられる。
【0021】
また、結晶性ゲルとしてはオクチル基、デシル基、ラウリル基、ステアリル基などの長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体の架橋やその塩;コレステリル系モノマあるいは芳香族系モノマと(メタ)アクリル酸との共重合体の架橋体やその塩が挙げられる。
【0022】
さらに、温度変化に応じて複数の相転移点を示すゲルも好ましく使用できる。このようなゲルとしては例えば、ポリ〔N−イソプロピルアクリルアミド〕などのポリ〔N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とのIPN体などが挙げられる。これらのゲルは、温度上昇にともない膨潤−縮小−膨潤という 2つの相転移点を示すことが知られている。
【0023】
なお上記において、「(メタ)アクリル」なる記述は、アクリルおよびメタアクリルのようないずれも含むことを意味する。
【0024】
高分子ゲルの刺激による体積変化量については大きいものが調光特性上、好ましく、膨潤時および収縮時の体積比が5以上、好ましくは10以上、より好ましくは15以上のものである。
【0025】
また、体積変化を示す温度(相転移温度)は高分子ゲルの構造、組成により設計が可能である。なお、好ましい相転移温度の範囲は−30℃〜300℃の範囲から選択され、特に好ましくは−10℃〜200℃の範囲である。高分子ゲルはそれ自身でも体積変化にともない光散乱性が変化するという調光能を示すが、より大きな調光特性や色変化を発現するために調光用材料を高分子ゲルに添加することが好ましい。
【0026】
添加する調光用材料としては、染料、顔料や光散乱材などが挙げられる。また調光用材料は高分子ゲルに物理的あるいは化学的に固定化されることが好ましい。
【0027】
染料の好適な具体例としては、例えば、黒色のニグロシン系染料や赤、緑、青、シアン、マゼンタ、イエローなどのカラー染料であるアゾ染料、アントラキノン系染料、インジゴ系染料、フタロシアニン系染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ベリノン染料などが挙げられ、特に光吸収係数が高いものが望ましい。例えば、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、24、26、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、157、C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、19、23、25、29、38、44、79、127、144、245、C.I.ベイシックイエロー1、2、11、34、C.I.フードイエロー4、C.I.リアクティブイエロー37、C.I.ソルベントイエロー6、9、17、31、35、100、102、103、105、C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、85、87、89、92、97、106、111、114、115、118、134、158、186、249、254、289、C.I.ベイシックレッド1、2、9、12、14、17、18、37、C.I.フードレッド14、C.I.リアクティブレッド23、180、C.I.ソルベントレッド5、16、17、18、19、22、23、143、145、146、149、150、151、157、158、C.I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、41、71、76、78、86、87、90、98、163、165、199、202、C.I.アシッドブルー1、7、9、22、23、25、29、40、41、43、45、78、80、82、92、93,127、249、C.I.ベイシックブルー1、3、5、7、9、22、24、25、26、28、29、C.I.フードブルー2、C.I.ソルベントブルー22、63、78、83〜86、191、194、195、104、C.I.ダイレクトブラック2、7、19、22、24、32、38、51、56、63、71、74、75、77、108、154、168、171、C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、29、31、44、48、50、52、94、C.I.ベイシックブラック2、8、C.I.フードブラック1、2、C.I.リアクティブブラック31、C.I.フードバイオレット2、C.I.ソルベントバイオレット31、33、37、C.I.ソルベントグリーン24、25、C.I.ソルベントブラウン3、9等が挙げられる。これらの染料は、単独で使用してもよく、さもなければ所望とする色を得るために混合して使用してもよい。
【0028】
また、染料を高分子ゲルに固定化するために、不飽和二重結合基などの重合可能な基を有した構造の染料や、高分子ゲルと反応可能ないわゆる反応性染料などが好ましく使用される。また、高分子ゲル中に含有させる染料の好ましい濃度は、3重量%から50重量%の範囲であり、特に好ましくは5重量%から30重量%の範囲である。このように染料濃度は少なくとも高分子ゲルの乾燥あるいは収縮状態において飽和吸収濃度以上であることが望ましい。ここで、飽和吸収濃度以上とは、特定の光路長のもとに置ける染料濃度と、光学濃度(あるいは光吸収量)の関係が一次直線の関係から大きく乖離するような高い染料濃度の領域を示す。
【0029】
一方、顔料および光散乱材の好適な具体例としては、黒色顔料であるブロンズ粉、チタンブラック、各種カーボンブラック(チャネルブラック、ファーネスブラック等)、白色顔料である酸化チタン、シリカなどの金属酸化物、炭酸カルシウムや金属粉などの光散乱材料やカラー顔料である例えば、フタロシアニン系のシアン顔料、ベンジジン系のイエロー顔料、ローダミン系のマゼンタ顔料、あるいはこの他にもアントラキノン系、アゾ系、アゾ金属錯体、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベリレン系、インジゴ系、イソインドリノン系、キナクリドン系、アリルアミド系などの各種顔料や光散乱材を挙げることができる。
【0030】
例えば、イエロー系顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントイエロー112、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、111、128、129、147、168等が好適に用いられる。
【0031】
またマゼンタ系顔料としては、縮合アゾ系化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ベリレン化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0032】
シアン系顔料としては銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキカゴウブツ等が利用できる。具体的には、例えば顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15;1、15;2、15;3、15;4、60、62、66等が好適に利用できる。
【0033】
また、使用する顔料や光散乱材の粒径は、1次粒子の平均粒径で0.001μm〜1μmのものが好ましく、とくに0.01μm〜0.5μmのものが好ましい。該粒径が0.01μm以下では、高分子ゲルから顔料や光散乱材の流出が起こりやすく、また、0.5μm 以上では発色特性が悪くなる恐れを生じるためである。
【0034】
また、前記したように顔料や光散乱材は高分子ゲル中に含有され、高分子ゲルから流出しないことが必要である。そのためには高分子ゲルの架橋密度を最適化して、顔料や光散乱材を高分子網目中に物理的に閉じ込めること、高分子ゲルとの電気的、イオン的、その他物理的な相互作用が高い顔料や光散乱材を用いること、表面を化学修飾した顔料や光散乱材を用いることなどが好ましい。例えば、表面を化学修飾した顔料や光散乱材としては、表面にビニル基などの不飽和基や不対電子(ラジカル)などの高分子ゲルと化合結合する基を導入したものや、高分子材料をグラフト結合したものなどが挙げられる。
【0035】
高分子ゲル中に含有される顔料や光散乱材の量は、染料と同様に少なくとも液体を含まない状態の高分子ゲル中において、飽和吸収濃度以上(あるいは飽和光散乱濃度以上)の濃度が好ましい。
【0036】
前記顔料や光散乱材の量を飽和吸収濃度以上(あるいは飽和光散乱濃度以上)にするためには、顔料や光散乱材の光吸収係数や光散乱係数にも依存するが、一般には3重量%〜95重量%の範囲が好ましく、より好ましくは、5重量%〜80重量%の範囲である。顔料(あるいは光散乱材)の濃度が3重量%以下であると、飽和吸収濃度以上(あるいは飽和光散乱濃度以上)とはならず高分子ゲルの体積変化にともなう調光特性が得られない。一方、濃度が95重量%以上の場合は高分子ゲルの応答速度や体積変化量が低下してしまう恐れがある。
【0037】
このような調光用材料を含む高分子ゲルは、架橋前の高分子に調光用材料を均一に分散、混合した後に架橋する方法や、重合時に高分子前駆体モノマ組成物に光調光用材料を添加して重合する方法によって製造することができる。重合時において顔料や光散乱材を添加する場合には前記したように重合性基や不対電子(ラジカル)をもつ顔料や光散乱材を使用し、高分子ゲルに化学結合することも好ましく実施される。
【0038】
また、調光用材料は本発色材料中に極力均一に分散されていることが好ましい。特に、高分子への分散に際して、機械的混練法、撹拌法やあるいは分散剤などを利用して均一に分散させることが望ましい。
【0039】
上記に列挙した高分子ゲルの形状は特に限定しないが、応答速度や加工性の容易性からは粒子状であることが好ましい。粒子状としては球体、立方体、楕円体、多面体、多孔質体、繊維状、星状、針状、中空状などのものが適用できる。粒子の好ましい大きさは、その液体を含まない状態において平均粒径で0.1μm〜1mmの範囲、より好ましくは1μm〜500μmの範囲である。粒径が0.1μm以下であると粒子のハンドリングが困難になる、優れた光学特性が得られないなどの問題を生じる。一方、粒径が1mmよりも大きくなると、体積変化に要する応答速度が大幅に遅くなってしまうなどの問題を生じる。
【0040】
また、これらの粒子は高分子ゲルを物理的粉砕法によって粉砕する方法や架橋前の高分子を物理的粉砕法や科学的粉砕法によって粒子化した後に架橋してゲルとする方法、あるいは乳化重合法、分散重合法などの粒子化重合法などの一般的な方法によって製造することができる。
【0041】
なお、高分子を架橋させるためには、種々の架橋剤(多官能性化合物)を重合時あるいは重合後に添加し反応させる、あるいは高分子に電子線、γ線などの放射線を照射する、加熱する、さらには過酸化物を添加するなどの一般的な方法が適用できる。
【0042】
また、刺激応答による体積変化特性をより高速にするために、従来技術と同様に高分子ゲルを多孔質化して液体の出入りを向上させることも好ましい。一般に膨潤した高分子ゲルを凍結乾燥する方法で多孔質化することができる。
【0043】
親水性樹脂
本発明の調光発色組成物においてマトリクス樹脂として親水性樹脂を用いる理由は、高分子ゲル調光材料(発色材料)を分散保持させるためであり、且つ熱刺激により高分子ゲル調光材料が収縮するときに脱着される水を親水性樹脂に吸収させ親水性樹脂領域と高分子ゲル調光材料領域との界面近傍での屈折率差による光散乱を防止し、且つ熱刺激により親水性樹脂および該親水性樹脂の近傍に存在する水を高分子ゲル調光材料へ供給するためである。
【0044】
ところで、高分子ゲル調光材料を含有する本発明の調光発色組成物を用いて発光素子の調光層を形成した場合、調光層中の高分子ゲル調光材料が収縮すると、該高分子ゲル粒子の周辺近傍には該高分子ゲル粒子から放出された水が存在することになる。一般的に、該高分子ゲル粒子近傍の水領域と、調光層における高分子ゲル調光材料を分散保持させるためのマトリックス樹脂領域との界面で屈折率差による光散乱が生じて調光層の透明性が損なわれ、不透明で白濁した状態になることがある。一般に高分子樹脂の屈折率と水の屈折率との間に差が生じるが、できるだけ水に近づけることで屈折率差が解消されるので、マトリックス樹脂として親水性樹脂を用いた場合には、該樹脂中に水分を含有させることにより収縮した該高分子ゲル粒子近傍の水(高分子ゲル粒子から放出される水)との屈折率差が小さくできるため、高分子ゲル粒子収縮時の調光層の前記光散乱を防止でき透明性が損なわれない。
【0045】
親水性樹脂は緩やかに架橋しているものが高分子ゲル調光材料の分散保持性を向上させるために望ましい。もし、調光層の親水性樹脂が強固に架橋されていると調光層の可撓性が減少し剛性が高くなり、フィルム巻取加工等の適性を失い、また、調光層が割れたりすることになるので好ましくない。
【0046】
本発明では親水性樹脂であれば特に限定されないが、例えば、カゼイン、ゼラチン、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、水溶性アルキッド、ポリビニルエーテル、ポリマレイン酸共重合体、ポリエチレンイミン等が挙げれる。前記各樹脂に緩やかな架橋を導入するには、ビニル基、エポキシ基、アミノ基等の反応性基をもたせることが望ましい。
【0047】
緩やかな架橋を導入した親水性樹脂には、例えば、次式(1)で表される光二量化水溶性樹脂が挙げられる。
【0048】
【化2】
【0049】
前記式(1)で表される光二量化水溶性樹脂は、次式(2)で表される化合物に紫外線を照射することにより得ることができる。
【0050】
【化3】
【0051】
液体
次に本発明の組成物に高分子ゲルとともに使用される液体について説明する。本発明の調光発色組成物に使用できる液体は刺激付与により高分子ゲルに吸脱する性質のもので、前記高分子ゲルを膨潤可能なものである。液体として好ましいものを例示すれば、水、電解質水溶液;メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン類;エーテル類;エステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、アセトニトリル、プロピレンカーボネート等の脂肪族系有機溶媒や;N−メチルピロリドン等の芳香族系有機溶媒などやそれらの混合物が使用できる。また、液体には、必要に応じて各種高分子、酸、アルカリ、塩、界面活性剤、分散安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤などの安定剤などを添加しても構わない。
【0052】
本発明の調光発色組成物においては、高分子ゲルと液体との好ましい混合比の範囲は重量比で1:2000〜1:1(高分子ゲル:液体)である。
【0053】
分散剤
本発明の調光発色組成物に含ませることができる分散剤として、陰イオン性界面活性剤および/又は非イオン性界面活性剤を用いることができ、好ましくは、高分子ゲル調光材料100重量部に対し、陰イオン性界面活性剤0〜2重量部、且つ非イオン性界面活性剤1〜3重量部を組み合わせることが高分子ゲル調光材料の分散を促進するために望ましい。
【0054】
i)陰イオン性界面活性剤
陰イオン性界面活性剤には、例えば、混合脂肪酸ソーダ石鹸、半硬化牛脂脂肪酸ソーダ石鹸、ステアリン酸ソーダ石鹸、半硬化牛脂脂肪酸カリ石鹸、オレイン酸カリ石鹸、ヒマシ油カリ石鹸、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテル、ジスルフォン酸ナトリウム、アルキルリン酸カリウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、アルカンスルフォン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウムが挙げられる。
【0055】
ii)非イオン性界面活性剤
非イオン性界面活性剤には、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、自己乳化型グリセロールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
【0056】
基板
一軸または二軸延伸ポリエチレンテレフタレート等の結晶性ポリマー;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート等の非結晶性ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ナイロン等のポリアミド;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂等を用いて成形したフィルム、シート又は板が挙げられる。
【0057】
【実施例】
〔実施例1〕
(感熱応答性高分子ゲル作製方法)
感熱応答性高分子ゲルの粒子を以下のようなプロセスにより製造した。N−イソプロピルアクリルアミド(3.5758g)、メチレンビスアクリルアミド(0.0072g)、マイクロカプセル化カーボンブラック分散液(6.2722g、大日本インキ化学工業社製、MC black 082−E、顔料分14.3%含有)の水(19.1630g)溶液に15分間窒素を通し溶存酸素を除いた。この溶液に対して過硫酸アンモニウム(29.9mg)の水(0.5106g)溶液を加えて撹拌し均一に溶解させた。75mm径の3枚羽根の撹拌翼を取り付けた2Lのセパラブルフラスコにソルビタンモノステアレート(第一工業製薬社製、6.00g)のシクロヘキサン(1.2L)溶液を入れ、さらに先に調製したN−イソプロピルアクリルアミドの顔料分散液を加え、窒素を流してフラスコ内部全体を窒素置換した。ウォーターバスを用いてこのフラスコ全体を25℃に保ち、撹拌翼を800rpmで15分間回転させて水相をシクロヘキサン中に懸濁、分散させた。撹拌翼の回転数を250rpmにして、この分散液に対してテトラメチルエチレンジアミン(0.8ml)のシクロヘキサン(3.2ml)溶液を加えて、反応を開始させ、25℃に保ったまま250rpmで2時間重合した。得られた重合体の粒子をトルエン、ジメチルホルムアミド、水で十分に洗浄し、未反応のモノマー、分散剤等を除いた。このようにして感熱応答性高分子ゲル粒子を作製した。得られた感熱応答性高分子ゲル粒子は室温(25℃、膨潤状態)での体積平均粒径が30μmであった。この感熱応答性高分子ゲル粒子は約34℃に相転移温度を有していた。すなわち、本高分子ゲル粒子は相転移点よりも高い温度では収縮し、低い温度では膨潤する。また、その変化量は直径の変化で約2.5倍、すなわち、体積変化量は約16倍であった。
【0058】
(調光発色組成物の調製)
前記工程で得られた高分子ゲル粒子1g(水を含有した状態であり、ゲル正味が0.03g、水が0.97g)および架橋性ポリビニルアルコール樹脂(SbQ−PVA SPP−S13:商品名、東洋合成社製)1gを用い、陰イオン性界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(ネオペレックスF−25:商品名、花王社製、25重量%水溶液)が高分子ゲル粒子に対し0重量%、1重量%、2重量%、4重量%、6重量%となるように、また、非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン高級アルコールエーテル(エマルゲン707:商品名、花王社製)が高分子ゲル粒子に対し0重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%となるように下記の表1に示す各成分の組み合わせで混合して、各種配合割合の調光発色組成物とした。各種配合割合の調光発色組成物のインキ粘度、分散性、硬化状態を調べた。その結果を下記の表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
表1中のインキ粘度について、「高」は、10,000Pa・s超える、「中」は10,000〜5,000Pa・s、「低い」は5,000Pa・s未満を示す。分散性について、「×」は調光発色組成物において高分子ゲル調光材料の凝集体が50個以上ある場合、「△」は5〜50個ある場合、「○」は5〜0個ある場合を示す。
【0061】
表1中の硬化状態は、UV硬化(30mW/cm2 、2分程度)後の架橋性樹脂の硬化によるゲル含有組成物全体の硬化状態を観察したものであり、「○」は固形状態で流動性がない場合、「△」は半固形状態だが流動性が無い場合、「×」は液状で流動性がある場合を示す。
【0062】
表1によれば、高分子ゲル調光材料100重量部に対し、陰イオン性界面活性剤0〜2重量部、且つ非イオン性界面活性剤1〜3重量部を組み合わせることが高分子ゲル調光材料の分散を促進するために望ましいことが分かる。
【0063】
(調光シートの作製手順)
上下基板の一方の188μm厚 PETフィルム基板上に、100μm厚のスペーサシートを基板周辺部に設けた。この基板に、スクリーン印刷法によって、膜厚100μmで塗布した。
【0064】
調光層を設けたフィルムに対し、対向フィルムとして、188μm厚 PETフィルム基板を貼り合わせた後、上下基板の端面部にUV硬化型接着剤を塗布し、UV照射して端面を封止した。
【0065】
上記手法にて作製した黒色調光シートは、20℃で透過率が20%であったが、35℃以上に加熱すると消色し、40℃に保温すると透過率は80%となった。再び20℃付近まで降温すると透過率が低くなり、20%となった。同様に昇温40℃と降温20℃を100回以上繰り返しても可逆的に透過率変化を再現した。
【0066】
〔実施例2〕
感熱高分子ゲル作製方法は前記実施例1と同じようにした。
【0067】
(調光発色組成物の調製)
前記工程で得られた高分子ゲル粒子1g(水を含有した状態であり、ゲル正味が0.03g、水が0.97g)および架橋性ポリビニルアルコール樹脂(SbQ−PVA SPP−S13:商品名、東洋合成社製)1gを用い、陰イオン性界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(ネオペレックスF−25:商品名、花王社製、25重量%水溶液)が高分子ゲル粒子に対し2重量%となるように、また、非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン高級アルコールエーテル(エマルゲン707:商品名、花王社製)が高分子ゲル粒子に対し3重量%となるように混合して、調光発色組成物とした。
【0068】
(調光シートの作製手順)
上下基板の一方の188μm厚 PETフィルム上に、粒径100μmのスペーサを散布した。この基板に、ダイコート法によって、上記調光発色組成物を膜厚100μmで塗布した。調光層を設けたフィルムに対し、対向フィルムとして、188μm厚 PETフィルム基板を貼り合わせた後、上下基板の端面部にUV硬化型接着剤を塗布し、UV照射して端面を封止した。
【0069】
上記手法にて作製した青色調光シートは、20℃で透過率が20%であったが、35℃以上に加熱すると消色し、40℃に保温すると透過率は80%となった。再び20℃付近まで降温すると透過率が低くなり、20%となった。同様に昇温40℃と降温20℃を100回以上繰り返しても可逆的に透過率変化を再現した。
【0070】
調光発色組成物の配合例
下記の配合割合で、混合して調光発色組成物を作製した。
〔実施例3〕
光学素子の製造
前記実施例で調製した調光発色組成物をPET(50μm)フィルム基板上にブレードコート法により100μmの厚さに塗布することにより調光層を形成した後、該調光層上にPET(50μm)フィルムを重ね合わ、メタルハライド光源によりUV照射を30mW/cm2 、120秒で光硬化を行った。得られたラミネートシートの端部をUV架橋型接着剤で封止した。このラミネートシートは、20℃で透過率が80%であったが、35℃以上に加熱すると着色し、40℃に保温すると透過率は20%となった。再び20℃付近まで降温すると透過率が高くなり80%となった。同様に昇温40℃と降温20℃を100回以上繰り返しても可逆的に透過率変化を再現した。
【0071】
【発明の効果】
本発明の調光発色組成物は、高分子ゲル調光材料が親水性樹脂に安定して分散保持されている。該調光発色組成物を膜に形成した場合には、熱刺激により可逆的に発色および消色を可能にすることができる。
【0072】
本発明の調光発色組成物を光学素子の発色層として形成する場合、従来の応用分野として挙げられる調光窓(従来の調光方式として、フォトクロミック型、液晶散乱駆動型、エレクトロクロミズム型)を例にして比較すると、本発明では、従来の調光方式に比べて、透過率変化率を大きくとれる、耐光性が高い、温度に依存した自律応答性がある等の従来の調光方式にない特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の発色材料(高分子ゲル調光材料)の発色原理を示す図である。(a)は膨潤状態の発色材料(高分子ゲル調光材料)を粒子状形態として表し、(b)は収縮状態を表す。
【図2】従来の発色材料(高分子ゲル調光材料)を用いた光学素子を示す。
【符号の説明】
10 顔料
12 高分子ゲル
13 発色材料(高分子ゲル調光材料)
14 光
15 液体
20 発色組成物
22 刺激付与手段
24 基板
26 スペーサー
Claims (7)
- (1)熱刺激により体積を変調させて発色性を変化させることができる高分子ゲル調光材料、
(2)該高分子ゲル調光材料を分散保持するための親水性樹脂、
(3)該親水性樹脂に含有させることができ、且つ前記高分子ゲル調光材料に吸脱着されることができる液体、並びに、
(4)該高分子ゲル調光材料の分散を促進するための分散剤、
を含有することを特徴とする調光発色組成物。 - 前記分散剤は、高分子ゲル調光材料100重量部に対し、陰イオン性界面活性剤0.1〜10重量部、且つ非イオン性界面活性剤0〜10重量部である請求項1記載の調光発色組成物。
- 前記高分子ゲル調光材料は、高分子製のゲル粒子中に飽和吸収濃度以上の顔料、染料および光散乱材から選ばれた1種以上を含有したものであり、熱刺激により体積を変調させて液体を吸脱着して膨潤、収縮を可逆的に行うことができることを特徴とする請求項1又は2記載の調光発色組成物。
- 前記親水性樹脂が架橋性親水性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の調光発色組成物。
- 前記液体が、水、電解質水溶液、有機溶媒から選ばれた1種以上である請求項1乃至5のいずれか1項記載の調光発色組成物。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の調光発色組成物を基板間に挟んだ状態で保持させてなる光学素子。
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JP2002215730A JP2004059605A (ja) | 2002-07-24 | 2002-07-24 | 調光発色組成物および光学素子 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101905133B1 (ko) | 2016-09-26 | 2018-10-08 | 주식회사 하성이노스 | 구동전압이 낮은 조광필름용 자외선 경화형 조성물 및 이에 의해 형성된 조광필름 |
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2002
- 2002-07-24 JP JP2002215730A patent/JP2004059605A/ja active Pending
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