JP2004059544A - 置換シクロペンタジエニル銅錯体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】蒸気圧が高く、気化が容易で銅薄膜を形成する際の薄膜形成速度の制御が容易で且つ高温で安定な有機金属化学気相蒸着(MOCVD)法に有用な置換シクロペンタジエニル銅錯体を提供することにあり、本化合物は、半導体デバイス中の銅配線に好適である。
【解決手段】一般式(R1nCp)Cu(PR2 3)(式中、R1はシリル基及び/又はシリル基含有炭化水素基、Cpはシクロペンタジエニル基、R2は炭化水素基、nは1〜5の整数を示す)で示される置換シクロペンタジエニル銅錯体であり、この化合物は、R1nCpLi(R1は前記に同じ)で示されるシクロペンタジエニルリチウム塩をClCu(PR2 3)で示されるホスフィン配位銅錯体に反応させることにより得ることができる。
【選択図】 選択図なし
【解決手段】一般式(R1nCp)Cu(PR2 3)(式中、R1はシリル基及び/又はシリル基含有炭化水素基、Cpはシクロペンタジエニル基、R2は炭化水素基、nは1〜5の整数を示す)で示される置換シクロペンタジエニル銅錯体であり、この化合物は、R1nCpLi(R1は前記に同じ)で示されるシクロペンタジエニルリチウム塩をClCu(PR2 3)で示されるホスフィン配位銅錯体に反応させることにより得ることができる。
【選択図】 選択図なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅薄膜層の形成に好適な銅錯体に関するものである。殊に高速高集積回路配線、すなわち、高速演算回路用の銅配線を化学蒸着法により形成させる際に用いるに好適な置換シクロペンタジエニル銅錯体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子産業の集積回路分野の製造技術において、高集積化かつ高速化の要求が高まっている。現在、集積回路の大部分にアルミニウム配線が使用されているが、高集積化及び高速化の要求にともなって、より電気抵抗が低く、マイグレーション耐性のある銅による配線技術が実用化されつつある。
【0003】
銅配線の形成技術については、0価のCuスパッタリング法と二価Cuの溶液メッキ法を組み合わせた方法と、主に一価Cuの有機金属錯体を用いた化学気相蒸着(以下MOCVDと記載)法とがある。しかしながら、前者のスパッタ法とメッキ法を組み合わせた方法では、0.15μm以下程度の小さい口径を有する深い溝に対する埋め込みが困難であることが判明してきた。これを解決する為にMOCVD法が用いられ、高い深さ/口径比(高アスペクト比)の溝や孔及び段差を凹凸が小さく平滑かつ良好な膜質で被覆することが可能となった。
【0004】
従前においては、MOCVD材料を蒸発させて基板上に蒸着させるために、200℃以上の加熱が必要であったが、近年、より低温(200℃以下)で蒸着可能なCu−MOCVD材料が望まれていた。
【0005】
この200℃以下の蒸着温度は、例えば、特許第2132693号にて提案されている化合物により実現されており、具体的にはヘキサフルオロアセチルアセトナート銅(I)ビニルトリメチルシランである。液状である為、供給量が液体流量計で制御可能であり、蒸気圧も比較的高く、従来の固体の化合物に比し、MOCVD材料として取扱いが容易となっている。
【0006】
しかしながら、ヘキサフルオロアセチルアセトナート銅(I)ビニルトリメチルシランは、気化のための長時間加熱によって徐々に分解し、Cu(O)の析出があったり、ビニルシラン化合物をその構造中有している為に、高温で長時間の気化操作を行うとそのオリゴマー及びポリマーが生成し、装置内の閉塞原因となる場合があった。
【0007】
一方、シクロペンタジエニル銅(I)トリアルキルホスフィン錯体をCu−MOCVD材料に用いる試みもなされている。例えば、F.A.CottonとT.J.Marksによって初めて合成されたハーフメタロセン銅錯体であるシクロペンタジエニル銅(I)トリエチルホスフィン(J.Am.Chem.Soc.91,7281(1969))は、USP4,948,623号でCu−MOCVD材料として用いられ、150℃〜215℃の温度で蒸着させている。
【0008】
しかしながら、シクロペンタジエニル銅(I)トリエチルホスフィンは、70℃近傍の比較的低い温度で長時間使用した場合でも0価銅の析出を伴う分解が起こり、安定性の問題を有していた。更に、本化合物の性状は固体であり、蒸発速度及び蒸着速度が固体粒子形状、粒度、粒度分布に依存するという問題点をも有していた。
【0009】
その他の液状シクロペンタジエニル銅(I)トリアルキルホスフィン銅錯体は、例えば、特開平10−287688号公報で提案されている。シクロペンタジエニル配位子としてエチルシクロペンタジエニル等のアルキルシクロペンタジエニル配位子を、トリアルキルホスフィン配位子としてトリイソプロピルホスフィンを用いている。しかしながら、本化合物も従来のシクロペンタジエニル銅(I)トリアルキルホスフィン銅錯体と同等の構造である為、70℃近傍の比較的低い温度で長時間使用した場合、0価銅の析出を伴う分解が起こるという安定性の問題を有している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、蒸気圧が高く気化が容易で銅薄膜形成速度の制御が容易で且つ高温で安定なMOCVD用銅錯体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、シリル基及び/又は、シリル基含有炭化水素基が置換したシクロペンタジエニル配位子を有するホスフィン銅化合物が熱的に安定であり、蒸気圧が高いことを見出し、この化合物がMOCVD材料として良質の銅薄膜を制御可能な速度で形成可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)
【0013】
【化4】
【0014】
で示される置換シクロペンタジエニル銅錯体を提供することにあり、本化合物は銅薄膜、特に半導体デバイス中の配線を形成するに有効なCu−MOCVD材料である。
【0015】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0016】
上記一般式(1)おいてR1は、シリル基及び/又は、シリル基含有炭化水素基である。
【0017】
シリル基としては、下記一般式(5)の
【0018】
【化5】
【0019】
を挙げることができる。
【0020】
具体的には、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ターシャリーブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、エチルメチルビニルシリル基、アリルジメチルシリル基、シクロヘキシルジメチルシリル基等のトリアルキルシリル基、フェニルジメチルシリル基等のアリールシリル基、エトキシジメチルシリル基等のアルコキシアルキルシリル基を例として挙げることができる。なお、R3は、同一であっても異なってもよい。
【0021】
シリル基含有炭化水素基としては、下記一般式(6)の
【0022】
【化6】
【0023】
を挙げることができる。
【0024】
具体的には、トリメチルシリルメチル基、3−トリメチルシリルエチル基、3−トリメチルシリルプロピル基等を例として挙げることができる。
【0025】
上記一般式(1)おいて、Cpは、シクロペンタジエニル基であり、上記のR1を1〜5個の範囲で置換したシクロペンタジエニル基を用いることができる。nが2以上の場合、R1は、同一であっても異なっても良い。
【0026】
上記一般式(1)おいて、R2は、炭化水素基であり、Pは、燐原子である。
【0027】
R2の炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、炭素数1〜20、好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アリールアルキル、アルキルアリール基、アルコキシ基等を挙げることができる。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert.−ブチル、n−ペンチル、tert.−アミル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、フェニル、トルイル、メトキシ、エトキシ等を挙げることができる。なお、R2は、同一であっても異なっても良い。
【0028】
上記一般式(1)の置換シクロペンタジエニル銅錯体の合成方法については、特に限定されるものではないが、例えば、シリル基及び/又は、シリル基含有炭化水素基を有するシクロペンタジエンをアルキルリチウムでリチオ化し、下記一般式(2)
【0029】
【化7】
【0030】
で示されるシクロペンタジエニルリチウム塩を調製した後、
下記一般式(3)
【0031】
【化8】
【0032】
で示されるホスフィン配位銅錯体に反応させ、調製することができる。
【0033】
上記一般式(2)のシクロペンタジエニルリチウム塩を得る際に用いるアルキルリチウムとしては、当該技術分野で使用されるものを用いることができる。例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、tert.−ブチルリチウム、フェニルリチウム等を用いることができる。
【0034】
上記一般式(3)のホスフィン配位銅錯体は、一価の銅ハライドと
下記一般式(4)
【0035】
【化9】
【0036】
のホスフィンを混合し、調製することができる。
【0037】
用いる銅(I)原料は、特に限定されるものではないが、塩化銅(I)、臭化銅(I)、沃化銅(I)等の銅(I)化合物を用いる方法、塩化銅(II)、臭化銅(II)、沃化銅(II)等の銅(II)化合物を還元剤等により還元した銅(I)化合物を用いる方法を採用することができる。
【0038】
本発明の銅化合物を合成する際の溶媒は、当該技術分野で使用されるものであれば特に限定されるものではない。例えば、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン、デセン−1等の不飽和炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類を挙げることができる。
【0039】
本発明の銅化合物を合成する際の反応温度については、特に限定されないが、生成する銅化合物が分解しない様な温度範囲で行うことが好ましい。通常、工業的に使用されている温度である−78〜200℃の範囲、好ましくは、−50〜150℃の範囲で行うことが好ましい。反応の圧力条件は、加圧下、常圧下、減圧下いずれであっても可能である。
【0040】
合成した銅化合物の精製法については特に限定されないが、減圧蒸留及びシリカ、アルミナ、高分子ゲルを用いたカラム分離精製を使用することができる。この際の操作は、当該有機金属化合物合成分野での方法に従って行えばよい。すなわち、脱水及び脱酸素された窒素又はアルゴン雰囲気下で行い、使用する溶媒及び精製用のカラム充填剤等は、予め脱水操作を施しておくことが好ましい。この操作により、生成する銅化合物の収量及び純度が向上する場合がある。
【0041】
本蒸着材料を用い銅配線を形成する方法については、特に限定されず、当該技術分野で一般的使用されるCVD装置(化学気相成長装置)を使用し、形成することができる。例えば、本発明の銅錯体をアルゴン、ヘリウム等の気化器ユニットで不活性ガスと混合加熱気化させ、分解反応ユニット中の熱したシリコン基板上に供給することで、銅錯体のシリル置換シクロペンタジエニル基及び置換ホスフィンが脱離し系外に排出され、平坦性の高い金属銅薄膜をシリコン基板上の形成することができる。
【0042】
以下に実施例を示すが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0043】
【実施例】
実施例1
トリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリターシャリーブチルホスフィン)銅(I)の調製
[トリメチルシリルシクロペンタジエニルリチウムの調製]
窒素気流下、攪拌装置を有する200mlのシュレンク管にトリメチルシリルシクロペンタジエン9.62g(69.6mmol)とテトラヒドロフラン100mlを仕込み、攪拌しつつ、−78℃に冷却した。これに滴下濾斗より、n−ブチルリチウム(1.58mol/L)のヘキサン溶液44.1ml(69.6mmol)を−78℃に保持しつつ、1時間で滴下した。滴下終了後、−78℃で1時間、室温で15時間攪拌した。反応終了の後、溶媒であるテトラヒドロフラン及びヘキサンを留去し、残った固体をn−ペンタンで洗浄し、目的物であるトリメチルシリルシクロペンタジエニルリチウム6.75g(46.8mmol)を得た。収率は、67.3%であった。
【0044】
[クロロ(トリターシャーリーブチルホスフィン)銅(I)の調製]
窒素気流、室温条件下、攪拌装置を有する50mlのシュレンク管にトリターシャリーブチルホスフィン2.01g(9.95mmol)とテトラヒドロフラン40mlを仕込み、攪拌しつつ、塩化銅(I)1.03g(10.4mmol)を添加し、17時間攪拌した。反応終了後、溶媒テトラヒドロフランを留去し、n−ペンタンで目的物であるクロロ(トリターシャーリーブチルホスフィン)銅(I)を抽出し、未反応の塩化銅(I)等の残渣を濾別除去した。濾液のn−ペンタンを留去し、目的物であるクロロ(トリターシャーリーブチルホスフィン)銅(I)2.85g(9.46mmol)を得た。収率は、95.1%で
あった。
【0045】
[トリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリターシャリーブチルホスフィン)銅(I)の調製]
窒素気流下、攪拌装置を有する50mlのシュレンク管に上記で調製したトリメチルシリルシクロペンタジエニルリチウム0.577g(4.00mmol)とクロロ(トリターシャーリーブチルホスフィン)銅(I)1.21g(4.00mmmol)を仕込み、−10℃に冷却し、テトラヒドロフラン40mlを添加した。−10℃で1時間、室温で15時間攪拌した後、溶媒のテトラヒドロフランを留去し、n−ペンタンで目的物であるトリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリターシャリーブチルホスフィン)銅(I)を抽出し、塩化リチウム等残渣を濾別除去した。濾液のn−ペンタンを留去し、目的物であるトリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリターシャリーブチルホスフィン)銅(I)1.24g(3.07mmol)を得た。収率は、76.8%であった(固体)。また、得られた目的物の元素分析、1H−NMR及びDSCによる分解温度測定結果は、以下の通りであった。
C20H41SiPCu wt%
Found(C58.6,H10.1,Si7.0,P8.0,Cu16.3)
Calcd(C59.5,H10.2,Si7.0,P7.7,Cu15.7)
1H−NMR δ0.13ppm(s,9H,Me3Si)、δ1.49(m,27H,P(t−Bu)3)、δ5.97ppm(m,4H,Cp)
分解温度 181℃。
【0046】
実施例2
トリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリイソプロピルホスフィン)銅(I)の調製
[トリメチルシリルシクロペンタジエニルリチウムの調製]
実施例1調製のトリメチルシリルシクロペンタジエニルリチウムを以下の調製に用いた。
【0047】
[クロロ(トリイソプロピルホスフィン)銅(I)の調製]
実施例1において、トリターシャリーブチルホスフィンに変えて、トリイソプロピルホスフィン4.13g(25.8mmol)としたこと及び塩化銅(I)の量を2.68g(27.1mmol)としたこと以外は、実施例1と同様にして、目的物であるクロロ(トリイソプロピルホスフィン)銅(I)を調製した。収量は、4.99g(19.2mmol)で、収率は、74.6%であった。
【0048】
[トリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリイソプロピルホスフィン)銅(I)の調製]
実施例1において、トリメチルシリルシクロペンタジエニルリチウムの量を1.15g(8.00mmol)としたこと及びクロロ(トリターシャーリーブチルホスフィン)銅(I)に変えて、クロロ(トリイソプロピルホスフィン)銅(I)2.07g(8.00mmol)としたこと以外は、実施例1と同様にして、目的物であるトリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリイソプロピルホスフィン)銅(I)を調製した。収量は、1.65g(4.58mmol)で、収率は、57.2%であった(液体)。得られた目的物の元素分析、1H−NMR及びDSCによる分解温度測定結果は、以下の通りであった。
C17H34SiPCu wt%
Found(C56.6,H9.1,Si7.9,P8.8,Cu17.6)
Calcd(C56.6,H9.4,Si7.8,P8.6,Cu17.6)
1H−NMR δ0.27ppm(s,9H,Me3Si)、δ1.49(m,21H,P(i−Pr)3)、δ6.06ppm(s,2H,Cp)、δ6.14ppm(s,2H,Cp)
分解温度 175℃。
【0049】
実施例3
トリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリメトキシホスフィン)銅(I)の調製
[トリメチルシリルシクロペンタジエニルリチウムの調製]
実施例1調製のトリメチルシリルシクロペンタジエニルリチウムを以下の調製に用いた。
【0050】
[クロロ(トリメトキシホスフィン)銅(I)の調製]
実施例1において、トリターシャリーブチルホスフィンに変えて、トリメトキシホスフィン11.9g(96.2mmol)としたこと及び塩化銅(I)の量を10.0g(101.0mmol)としたこと以外は、実施例1と同様にして、目的物であるクロロ(トリメトキシホスフィン)銅(I)を調製した。収量は、15.5g(69.3mmol)で、収率は、72.0%であった。
【0051】
[トリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリメトキシホスフィン)銅(I)の調製]
実施例1において、トリメチルシリルシクロペンタジエニルリチウムの量を1.44g(10.0mmol)としたこと及びクロロ(トリターシャーリーブチルホスフィン)銅(I)に変えて、クロロ(トリメトキシホスフィン)銅(I)2.23g(10.0mmol)としたこと以外は、実施例1と同様にして、目的物であるトリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリメトキシホスフィン)銅(I)を調製した。収量は、0.92g(2.82mmol)で、収率は、28.2%であった(液体)。得られた目的物の元素分析、1H−NMR及びDSCによる分解温度測定結果は、以下の通りであった。
C11H22О3SiPCu wt%
Found(C40.1,H6.8,О14.7,Si8.6,P9.2,Cu19.2)
Calcd(C40.7,H6.8,О14.8,Si8.7,P9.5,Cu19.6)
1H−NMR δ0.14ppm(s,9H,Me3Si)、δ3.68(m,9H,P(OMe)3)、δ5.99ppm(m,4H,Cp)
分解温度 172℃
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の顕著な効果が奏される。
【0053】
本発明の第一の効果としては、熱安定性が高く、室温で蒸気圧を有し、気化が容易で薄膜形成時の形成速度の制御が容易な置換シクロペンタジエニル銅錯体を提供することが可能となり、殊に銅配線用MOCVD材料として好適である。
【0054】
第二の効果としては、シリル基及び/又は、シリル基含有炭化水素基を有するシクロペンタジエンとホスフィンを配位子として有する置換シクロペンタジエニル銅(I)錯体を合成するにあたり、極めて効率的で、経済的な合成処方を提供することが可能となった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅薄膜層の形成に好適な銅錯体に関するものである。殊に高速高集積回路配線、すなわち、高速演算回路用の銅配線を化学蒸着法により形成させる際に用いるに好適な置換シクロペンタジエニル銅錯体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子産業の集積回路分野の製造技術において、高集積化かつ高速化の要求が高まっている。現在、集積回路の大部分にアルミニウム配線が使用されているが、高集積化及び高速化の要求にともなって、より電気抵抗が低く、マイグレーション耐性のある銅による配線技術が実用化されつつある。
【0003】
銅配線の形成技術については、0価のCuスパッタリング法と二価Cuの溶液メッキ法を組み合わせた方法と、主に一価Cuの有機金属錯体を用いた化学気相蒸着(以下MOCVDと記載)法とがある。しかしながら、前者のスパッタ法とメッキ法を組み合わせた方法では、0.15μm以下程度の小さい口径を有する深い溝に対する埋め込みが困難であることが判明してきた。これを解決する為にMOCVD法が用いられ、高い深さ/口径比(高アスペクト比)の溝や孔及び段差を凹凸が小さく平滑かつ良好な膜質で被覆することが可能となった。
【0004】
従前においては、MOCVD材料を蒸発させて基板上に蒸着させるために、200℃以上の加熱が必要であったが、近年、より低温(200℃以下)で蒸着可能なCu−MOCVD材料が望まれていた。
【0005】
この200℃以下の蒸着温度は、例えば、特許第2132693号にて提案されている化合物により実現されており、具体的にはヘキサフルオロアセチルアセトナート銅(I)ビニルトリメチルシランである。液状である為、供給量が液体流量計で制御可能であり、蒸気圧も比較的高く、従来の固体の化合物に比し、MOCVD材料として取扱いが容易となっている。
【0006】
しかしながら、ヘキサフルオロアセチルアセトナート銅(I)ビニルトリメチルシランは、気化のための長時間加熱によって徐々に分解し、Cu(O)の析出があったり、ビニルシラン化合物をその構造中有している為に、高温で長時間の気化操作を行うとそのオリゴマー及びポリマーが生成し、装置内の閉塞原因となる場合があった。
【0007】
一方、シクロペンタジエニル銅(I)トリアルキルホスフィン錯体をCu−MOCVD材料に用いる試みもなされている。例えば、F.A.CottonとT.J.Marksによって初めて合成されたハーフメタロセン銅錯体であるシクロペンタジエニル銅(I)トリエチルホスフィン(J.Am.Chem.Soc.91,7281(1969))は、USP4,948,623号でCu−MOCVD材料として用いられ、150℃〜215℃の温度で蒸着させている。
【0008】
しかしながら、シクロペンタジエニル銅(I)トリエチルホスフィンは、70℃近傍の比較的低い温度で長時間使用した場合でも0価銅の析出を伴う分解が起こり、安定性の問題を有していた。更に、本化合物の性状は固体であり、蒸発速度及び蒸着速度が固体粒子形状、粒度、粒度分布に依存するという問題点をも有していた。
【0009】
その他の液状シクロペンタジエニル銅(I)トリアルキルホスフィン銅錯体は、例えば、特開平10−287688号公報で提案されている。シクロペンタジエニル配位子としてエチルシクロペンタジエニル等のアルキルシクロペンタジエニル配位子を、トリアルキルホスフィン配位子としてトリイソプロピルホスフィンを用いている。しかしながら、本化合物も従来のシクロペンタジエニル銅(I)トリアルキルホスフィン銅錯体と同等の構造である為、70℃近傍の比較的低い温度で長時間使用した場合、0価銅の析出を伴う分解が起こるという安定性の問題を有している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、蒸気圧が高く気化が容易で銅薄膜形成速度の制御が容易で且つ高温で安定なMOCVD用銅錯体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、シリル基及び/又は、シリル基含有炭化水素基が置換したシクロペンタジエニル配位子を有するホスフィン銅化合物が熱的に安定であり、蒸気圧が高いことを見出し、この化合物がMOCVD材料として良質の銅薄膜を制御可能な速度で形成可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)
【0013】
【化4】
【0014】
で示される置換シクロペンタジエニル銅錯体を提供することにあり、本化合物は銅薄膜、特に半導体デバイス中の配線を形成するに有効なCu−MOCVD材料である。
【0015】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0016】
上記一般式(1)おいてR1は、シリル基及び/又は、シリル基含有炭化水素基である。
【0017】
シリル基としては、下記一般式(5)の
【0018】
【化5】
【0019】
を挙げることができる。
【0020】
具体的には、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ターシャリーブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、エチルメチルビニルシリル基、アリルジメチルシリル基、シクロヘキシルジメチルシリル基等のトリアルキルシリル基、フェニルジメチルシリル基等のアリールシリル基、エトキシジメチルシリル基等のアルコキシアルキルシリル基を例として挙げることができる。なお、R3は、同一であっても異なってもよい。
【0021】
シリル基含有炭化水素基としては、下記一般式(6)の
【0022】
【化6】
【0023】
を挙げることができる。
【0024】
具体的には、トリメチルシリルメチル基、3−トリメチルシリルエチル基、3−トリメチルシリルプロピル基等を例として挙げることができる。
【0025】
上記一般式(1)おいて、Cpは、シクロペンタジエニル基であり、上記のR1を1〜5個の範囲で置換したシクロペンタジエニル基を用いることができる。nが2以上の場合、R1は、同一であっても異なっても良い。
【0026】
上記一般式(1)おいて、R2は、炭化水素基であり、Pは、燐原子である。
【0027】
R2の炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、炭素数1〜20、好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アリールアルキル、アルキルアリール基、アルコキシ基等を挙げることができる。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert.−ブチル、n−ペンチル、tert.−アミル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、フェニル、トルイル、メトキシ、エトキシ等を挙げることができる。なお、R2は、同一であっても異なっても良い。
【0028】
上記一般式(1)の置換シクロペンタジエニル銅錯体の合成方法については、特に限定されるものではないが、例えば、シリル基及び/又は、シリル基含有炭化水素基を有するシクロペンタジエンをアルキルリチウムでリチオ化し、下記一般式(2)
【0029】
【化7】
【0030】
で示されるシクロペンタジエニルリチウム塩を調製した後、
下記一般式(3)
【0031】
【化8】
【0032】
で示されるホスフィン配位銅錯体に反応させ、調製することができる。
【0033】
上記一般式(2)のシクロペンタジエニルリチウム塩を得る際に用いるアルキルリチウムとしては、当該技術分野で使用されるものを用いることができる。例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、tert.−ブチルリチウム、フェニルリチウム等を用いることができる。
【0034】
上記一般式(3)のホスフィン配位銅錯体は、一価の銅ハライドと
下記一般式(4)
【0035】
【化9】
【0036】
のホスフィンを混合し、調製することができる。
【0037】
用いる銅(I)原料は、特に限定されるものではないが、塩化銅(I)、臭化銅(I)、沃化銅(I)等の銅(I)化合物を用いる方法、塩化銅(II)、臭化銅(II)、沃化銅(II)等の銅(II)化合物を還元剤等により還元した銅(I)化合物を用いる方法を採用することができる。
【0038】
本発明の銅化合物を合成する際の溶媒は、当該技術分野で使用されるものであれば特に限定されるものではない。例えば、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン、デセン−1等の不飽和炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類を挙げることができる。
【0039】
本発明の銅化合物を合成する際の反応温度については、特に限定されないが、生成する銅化合物が分解しない様な温度範囲で行うことが好ましい。通常、工業的に使用されている温度である−78〜200℃の範囲、好ましくは、−50〜150℃の範囲で行うことが好ましい。反応の圧力条件は、加圧下、常圧下、減圧下いずれであっても可能である。
【0040】
合成した銅化合物の精製法については特に限定されないが、減圧蒸留及びシリカ、アルミナ、高分子ゲルを用いたカラム分離精製を使用することができる。この際の操作は、当該有機金属化合物合成分野での方法に従って行えばよい。すなわち、脱水及び脱酸素された窒素又はアルゴン雰囲気下で行い、使用する溶媒及び精製用のカラム充填剤等は、予め脱水操作を施しておくことが好ましい。この操作により、生成する銅化合物の収量及び純度が向上する場合がある。
【0041】
本蒸着材料を用い銅配線を形成する方法については、特に限定されず、当該技術分野で一般的使用されるCVD装置(化学気相成長装置)を使用し、形成することができる。例えば、本発明の銅錯体をアルゴン、ヘリウム等の気化器ユニットで不活性ガスと混合加熱気化させ、分解反応ユニット中の熱したシリコン基板上に供給することで、銅錯体のシリル置換シクロペンタジエニル基及び置換ホスフィンが脱離し系外に排出され、平坦性の高い金属銅薄膜をシリコン基板上の形成することができる。
【0042】
以下に実施例を示すが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0043】
【実施例】
実施例1
トリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリターシャリーブチルホスフィン)銅(I)の調製
[トリメチルシリルシクロペンタジエニルリチウムの調製]
窒素気流下、攪拌装置を有する200mlのシュレンク管にトリメチルシリルシクロペンタジエン9.62g(69.6mmol)とテトラヒドロフラン100mlを仕込み、攪拌しつつ、−78℃に冷却した。これに滴下濾斗より、n−ブチルリチウム(1.58mol/L)のヘキサン溶液44.1ml(69.6mmol)を−78℃に保持しつつ、1時間で滴下した。滴下終了後、−78℃で1時間、室温で15時間攪拌した。反応終了の後、溶媒であるテトラヒドロフラン及びヘキサンを留去し、残った固体をn−ペンタンで洗浄し、目的物であるトリメチルシリルシクロペンタジエニルリチウム6.75g(46.8mmol)を得た。収率は、67.3%であった。
【0044】
[クロロ(トリターシャーリーブチルホスフィン)銅(I)の調製]
窒素気流、室温条件下、攪拌装置を有する50mlのシュレンク管にトリターシャリーブチルホスフィン2.01g(9.95mmol)とテトラヒドロフラン40mlを仕込み、攪拌しつつ、塩化銅(I)1.03g(10.4mmol)を添加し、17時間攪拌した。反応終了後、溶媒テトラヒドロフランを留去し、n−ペンタンで目的物であるクロロ(トリターシャーリーブチルホスフィン)銅(I)を抽出し、未反応の塩化銅(I)等の残渣を濾別除去した。濾液のn−ペンタンを留去し、目的物であるクロロ(トリターシャーリーブチルホスフィン)銅(I)2.85g(9.46mmol)を得た。収率は、95.1%で
あった。
【0045】
[トリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリターシャリーブチルホスフィン)銅(I)の調製]
窒素気流下、攪拌装置を有する50mlのシュレンク管に上記で調製したトリメチルシリルシクロペンタジエニルリチウム0.577g(4.00mmol)とクロロ(トリターシャーリーブチルホスフィン)銅(I)1.21g(4.00mmmol)を仕込み、−10℃に冷却し、テトラヒドロフラン40mlを添加した。−10℃で1時間、室温で15時間攪拌した後、溶媒のテトラヒドロフランを留去し、n−ペンタンで目的物であるトリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリターシャリーブチルホスフィン)銅(I)を抽出し、塩化リチウム等残渣を濾別除去した。濾液のn−ペンタンを留去し、目的物であるトリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリターシャリーブチルホスフィン)銅(I)1.24g(3.07mmol)を得た。収率は、76.8%であった(固体)。また、得られた目的物の元素分析、1H−NMR及びDSCによる分解温度測定結果は、以下の通りであった。
C20H41SiPCu wt%
Found(C58.6,H10.1,Si7.0,P8.0,Cu16.3)
Calcd(C59.5,H10.2,Si7.0,P7.7,Cu15.7)
1H−NMR δ0.13ppm(s,9H,Me3Si)、δ1.49(m,27H,P(t−Bu)3)、δ5.97ppm(m,4H,Cp)
分解温度 181℃。
【0046】
実施例2
トリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリイソプロピルホスフィン)銅(I)の調製
[トリメチルシリルシクロペンタジエニルリチウムの調製]
実施例1調製のトリメチルシリルシクロペンタジエニルリチウムを以下の調製に用いた。
【0047】
[クロロ(トリイソプロピルホスフィン)銅(I)の調製]
実施例1において、トリターシャリーブチルホスフィンに変えて、トリイソプロピルホスフィン4.13g(25.8mmol)としたこと及び塩化銅(I)の量を2.68g(27.1mmol)としたこと以外は、実施例1と同様にして、目的物であるクロロ(トリイソプロピルホスフィン)銅(I)を調製した。収量は、4.99g(19.2mmol)で、収率は、74.6%であった。
【0048】
[トリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリイソプロピルホスフィン)銅(I)の調製]
実施例1において、トリメチルシリルシクロペンタジエニルリチウムの量を1.15g(8.00mmol)としたこと及びクロロ(トリターシャーリーブチルホスフィン)銅(I)に変えて、クロロ(トリイソプロピルホスフィン)銅(I)2.07g(8.00mmol)としたこと以外は、実施例1と同様にして、目的物であるトリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリイソプロピルホスフィン)銅(I)を調製した。収量は、1.65g(4.58mmol)で、収率は、57.2%であった(液体)。得られた目的物の元素分析、1H−NMR及びDSCによる分解温度測定結果は、以下の通りであった。
C17H34SiPCu wt%
Found(C56.6,H9.1,Si7.9,P8.8,Cu17.6)
Calcd(C56.6,H9.4,Si7.8,P8.6,Cu17.6)
1H−NMR δ0.27ppm(s,9H,Me3Si)、δ1.49(m,21H,P(i−Pr)3)、δ6.06ppm(s,2H,Cp)、δ6.14ppm(s,2H,Cp)
分解温度 175℃。
【0049】
実施例3
トリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリメトキシホスフィン)銅(I)の調製
[トリメチルシリルシクロペンタジエニルリチウムの調製]
実施例1調製のトリメチルシリルシクロペンタジエニルリチウムを以下の調製に用いた。
【0050】
[クロロ(トリメトキシホスフィン)銅(I)の調製]
実施例1において、トリターシャリーブチルホスフィンに変えて、トリメトキシホスフィン11.9g(96.2mmol)としたこと及び塩化銅(I)の量を10.0g(101.0mmol)としたこと以外は、実施例1と同様にして、目的物であるクロロ(トリメトキシホスフィン)銅(I)を調製した。収量は、15.5g(69.3mmol)で、収率は、72.0%であった。
【0051】
[トリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリメトキシホスフィン)銅(I)の調製]
実施例1において、トリメチルシリルシクロペンタジエニルリチウムの量を1.44g(10.0mmol)としたこと及びクロロ(トリターシャーリーブチルホスフィン)銅(I)に変えて、クロロ(トリメトキシホスフィン)銅(I)2.23g(10.0mmol)としたこと以外は、実施例1と同様にして、目的物であるトリメチルシリルシクロペンタジエニル(トリメトキシホスフィン)銅(I)を調製した。収量は、0.92g(2.82mmol)で、収率は、28.2%であった(液体)。得られた目的物の元素分析、1H−NMR及びDSCによる分解温度測定結果は、以下の通りであった。
C11H22О3SiPCu wt%
Found(C40.1,H6.8,О14.7,Si8.6,P9.2,Cu19.2)
Calcd(C40.7,H6.8,О14.8,Si8.7,P9.5,Cu19.6)
1H−NMR δ0.14ppm(s,9H,Me3Si)、δ3.68(m,9H,P(OMe)3)、δ5.99ppm(m,4H,Cp)
分解温度 172℃
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の顕著な効果が奏される。
【0053】
本発明の第一の効果としては、熱安定性が高く、室温で蒸気圧を有し、気化が容易で薄膜形成時の形成速度の制御が容易な置換シクロペンタジエニル銅錯体を提供することが可能となり、殊に銅配線用MOCVD材料として好適である。
【0054】
第二の効果としては、シリル基及び/又は、シリル基含有炭化水素基を有するシクロペンタジエンとホスフィンを配位子として有する置換シクロペンタジエニル銅(I)錯体を合成するにあたり、極めて効率的で、経済的な合成処方を提供することが可能となった。
Claims (7)
- R1がトリアルキルシリル基である請求項1記載の置換シクロペンタジエニル銅錯体。
- R2が分岐鎖アルキル基である請求項1または請求項2に記載の置換シクロペンタジエニル銅錯体。
- 請求項1〜3のいずれかの項に記載の置換シクロペンタジエニル銅錯体を含有する蒸着材料。
- 請求項5記載の材料を用いて化学気相蒸着により半導体デバイスの銅配線を形成する方法。
- 請求項6記載の方法により得られた半導体デバイス。
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-
2002
- 2002-07-31 JP JP2002223490A patent/JP2004059544A/ja active Pending
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