JP2004059462A - オリゴチオフェン類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オリゴチオフェン類の製造方法に関する。オリゴチオフェン類は、化学工業および電子工業の分野で利用し得る機能性分子化合物として有用である。
【0002】
【従来の技術】
オリゴチオフェン類の製造方法としては、例えば、5,5’’−ジブロモ−2,2’:5’,2’’−テルチオフェンと2−ブロモ−5−メチルチオフェンのグリニヤール試薬を反応させることにより、5,5’’’’−ジメチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’−キンクエチオフェンを製造する方法等が知られている(特開平4−133351号公報)。しかしながら、この方法は、5,5’’−ジブロモ−2,2’:5’,2’’−テルチオフェンの2つのブロモ原子を5−メチルチオフェンに置換する反応であるため、副生成物である1つのブロモ原子のみが置換された化合物が生成し、収率が低いという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、工業的に有利にオリゴチオフェン類を製造する方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、下記に示すとおりのオリゴチオフェン類の製造方法を提供するものである。
項1. 一般式(1);
【0006】
【化4】
(式中、X1はハロゲン原子を示す。)
【0007】
で示されるテルチオフェン化合物と一般式(2);
【0008】
【化5】
(式中、X2はハロゲン原子を示す。nは、2〜6の整数を示す)
【0009】
で示されるオリゴチオフェン類のグリニヤール試薬を、触媒の存在下で反応させることを特徴とする一般式(3);
【0010】
【化6】
(式中、nは、前記と同様である。)
【0011】
で示されるオリゴチオフェン類の製造方法。
項2. 触媒が、ニッケル触媒またはパラジウム触媒である項1に記載のオリゴチオフェン類の製造方法。
項3. ニッケル触媒が、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)である項2に記載のオリゴチオフェン類の製造方法。項4. 一般式(1)で示されるテルチオフェン化合物が、5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェンまたは5−ヨード−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェンである項1〜3のいずれかに記載のオリゴチオフェン類の製造方法。
項5. 一般式(2)で示されるオリゴチオフェン類のグリニヤール試薬が、5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド、5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド、5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージドまたは5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージドである項1〜4のいずれかに記載のオリゴチオフェン類の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において原料として用いられる化合物は、一般式(1);
【0013】
【化7】
【0014】
で示されるテルチオフェン化合物である。
【0015】
上記一般式(1)中、X1はハロゲン原子を示す。
【0016】
上記ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0017】
上記一般式(1)で示される化合物の具体例としては、例えば、5−クロロ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン、5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン、5−ヨード−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン等が挙げられる。中でも、反応性が高いという観点から、5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン、5−ヨード−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェンが好適に用いられる。
【0018】
上記一般式(1)で示される化合物の製造方法としては、特に限定されず、5−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェンとN−ハロスクシンイミドを反応させる方法(特開平7−206599号公報)等が挙げられる。
【0019】
本発明において用いられるオリゴチオフェン類のグリニヤール試薬は、一般式(2);
【0020】
【化8】
【0021】
で示される化合物である。
【0022】
上記一般式(2)中、X2はハロゲン原子を示す。nは2〜6の整数を示す。
【0023】
上記ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0024】
上記一般式(2)で示される化合物の具体例としては、例えば、5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=クロリド(一般式(2)において、n=2、以下同じ)、5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5−イルマグネシウム=クロリド(n=3)、5’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クアテルチオフェン−5−イルマグネシウム=クロリド(n=4)、5’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’−キンクエチオフェン−5−イルマグネシウム=クロリド(n=5)、5’’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’−セクシチオフェン−5−イルマグネシウム=クロリド(n=6)、5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド(n=2)、5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド(n=3)、5’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クアテルチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド(n=4)、5’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’−キンクエチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド(n=5)、5’’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’−セクシチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド(n=6)、5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージド(n=2)、5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージド(n=3)、5’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クアテルチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージド(n=4)、5’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’−キンクエチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージド(n=5)、5’’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’−セクシチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージド(n=6)等が挙げられる。中でも、反応性が高いという観点から、5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド(n=2)、5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド(n=3)、5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージド(n=2)、5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージド(n=3)が好適に用いられる。
【0025】
上記オリゴチオフェン類のグリニヤール試薬の使用量は、特に限定されないが、一般式(1)で示されるテルチオフェン化合物に対して0.7〜5倍モル、好ましくは0.8〜3倍モルである。オリゴチオフェン類のグリニヤール試薬の使用量が0.7倍モル未満の場合、未反応物が多くなり、収率が低下するおそれがある。また、オリゴチオフェン類のグリニヤール試薬の使用量が5倍モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0026】
本発明において用いられる触媒としては、特に限定されず、例えば、塩化ニッケル(II)、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ジクロロニッケル(II)、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)、[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]ジクロロニッケル(II)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロニッケル(II)、ニッケル(II)アセチルアセトナート、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)等のニッケル触媒;テトラキス(トリフェニル)パラジウム(0)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ジクロロパラジウム(II)、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロパラジウム(II)、[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]ジクロロパラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、ビス(トリシクロヘキシル)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)ジブロモパラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)等のパラジウム触媒等が挙げられる。中でも、触媒活性が高いという観点から、ニッケル触媒が好適に用いられ、とりわけ、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)がさらに好適に用いられる。
【0027】
上記触媒の使用量は、特に限定されないが、一般式(1)で示されるテルチオフェン化合物に対して0.001〜0.3倍モル、好ましくは0.01〜0.2倍モルである。触媒の使用量が0.001倍モル未満の場合、反応が完結しにくくなるおそれがある。また、触媒の使用量が0.3倍モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0028】
反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル系溶媒;ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド系溶媒等が挙げられる。
【0029】
上記反応溶媒の使用量は、特に限定されないが、一般式(1)で示されるテルチオフェン化合物に対して、1〜600倍重量、好ましくは10〜200倍重量である。反応溶媒の使用量が1倍重量未満の場合、生成物が析出して攪拌が困難となるおそれがある。また、600倍重量を超える場合、使用量に見合う効果がなく容積効率が悪化し経済的でない。
【0030】
反応温度は、通常、−20〜200℃、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜120℃である。反応温度が−20℃未満の場合、反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が200℃を超える場合、副生成物が増加するため好ましくない。反応時間は、反応温度により異なるが、通常1〜30時間である。
【0031】
上記のようにして得られたオリゴチオフェン類は、反応液を冷却して析出させた後、ろ過することにより容易に単離することができる。
【0032】
本発明によって製造されるオリゴチオフェン類は一般式(3);
【0033】
【化9】
【0034】
で表される化合物である。
【0035】
上記一般式(3)中、nは、上記一般式(2)のnと同様である。
【0036】
上記オリゴチオフェン類の具体例としては、例えば、5,5’’’’−ジメチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’−キンクエチオフェン(一般式(3)において、n=2、以下同じ)、5,5’’’’’−ジメチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’−セクシチオフェン(n=3)、5,5’’’’’’−ジメチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’:5’’’’’,2’’’’’’−セプチチオフェン(n=4)、5,5’’’’’’’−ジメチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’:5’’’’’,2’’’’’’:5’’’’’’,2’’’’’’’−オクチチオフェン(n=5)、5,5’’’’’’’’−ジメチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’:5’’’’’,2’’’’’’:5’’’’’’,2’’’’’’’:5’’’’’’’,2’’’’’’’’−ノビチオフェン(n=6)が挙げられる。
【0037】
本発明において用いられる一般式(2)で示されるオリゴチオフェン類のグリニヤール試薬としては、特に限定されないが、例えば、一般式(4);
【0038】
【化10】
【0039】
で示されるオリゴチオフェン類とマグネシウムとを反応させることにより得られたものを用いることができる。
【0040】
上記一般式(4)中、X2、nは、上記一般式(2)のX2、nと同様である。
【0041】
上記一般式(4)で示されるオリゴチオフェン類の具体例としては、例えば、5−クロロ−5’−メチル−2,2’−ビチオフェン(一般式(4)において、n=2、以下同じ)、5−クロロ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(n=3)、5−クロロ−5’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クアテルチオフェン(n=4)、5−クロロ−5’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’−キンクエチオフェン(n=5)、5−クロロ−5’’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’−セクシチオフェン(n=6)、5−ブロモ−5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−(n=2)、5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(n=3)、5−ブロモ−5’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クアテルチオフェン(n=4)、5−ブロモ−5’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’−キンクエチオフェン(n=5)、5−ブロモ−5’’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’−セクシチオフェン(n=6)、5−ヨード−5’−メチル−2,2’−ビチオフェン(n=2)、5−ヨード−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(n=3)、5−ヨード−5’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クアテルチオフェン(n=4)、5−ヨード−5’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’−キンクエチオフェン(n=5)、5−ヨード−5’’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’−セクシチオフェン(n=6)等が挙げられる。中でも、反応性が高いという観点から、5−ブロモ−5’−メチル−2,2’−ビチオフェン(n=2)、5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(n=3)、5−ヨード−5’−メチル−2,2’−ビチオフェン(n=2)、5−ヨード−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(n=3)が好適に用いられる
上記マグネシウムの使用量は、特に限定されないが、一般式(4)で示されるオリゴチオフェン類に対して1.0〜5.0倍モル、好ましくは1.0〜3.0倍モルである。マグネシウムの使用量が1.0倍モル未満の場合、反応が完結しにくくなるおそれがある。また、マグネシウムの使用量が5.0倍モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0042】
反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル系溶媒;ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド系溶媒等が挙げられる。
【0043】
上記反応溶媒の使用量は、特に限定されないが、一般式(4)で示されるオリゴチオフェン類に対して、1〜100倍重量、好ましくは5〜50倍重量である。反応溶媒の使用量が1倍重量未満の場合、生成物が析出して攪拌が困難となるおそれがある。また、100倍重量を超える場合、使用量に見合う効果がなく容積効率が悪化し経済的でない。
【0044】
反応温度は、通常、−20〜200℃、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜120℃である。反応温度が−20℃未満の場合、反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が200℃を超える場合、副生成物が増加するため好ましくない。反応時間は、反応温度により異なるが、通常1〜30時間である。
【0045】
上記のようにして得られた一般式(2)で示されるオリゴチオフェン類のグリニヤール試薬は、単離することなく本発明に使用することができる。
【0046】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0047】
実施例1
攪拌機、温度計および冷却器を備え付けた300mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、5−ブロモ−5’−メチル−2,2’−ビチオフェン(一般式(4)において、n=2)26.7g(103ミリモル)、金属マグネシウム2.5g(103ミリモル)、テトラヒドロフラン175gを仕込み、25℃で2時間反応させ、5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド(一般式(2)において、n=2)のテトラヒドロフラン溶液を得た。
【0048】
攪拌機、滴下ロート、温度計および冷却器を備え付けた1L容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、テトラヒドロフラン260g、5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン32.1g(94ミリモル)、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)0.7g(1.2ミリモル)を仕込み、上記の5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミドのテトラヒドロフラン溶液を、25℃で1時間を要して滴下し、滴下終了後、25℃で8時間反応させた。
【0049】
反応終了後、反応溶液を冷却し、析出した生成物をろ過し、結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、減圧乾燥することにより、5,5’’’’−ジメチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’−キンクエチオフェン(一般式(3)において、n=2)13.1g(30ミリモル)を得た。5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェンに対する収率は32%であった。
【0050】
実施例2
攪拌機、滴下ロート、温度計および冷却器を備え付けた1L容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(一般式(4)において、n=3)22.9g(67ミリモル)、金属マグネシウム1.7g(70ミリモル)、テトラヒドロフラン130gを仕込み、25℃で2時間反応させ、5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド(一般式(2)において、n=3)のテトラヒドロフラン溶液を得た。
【0051】
次に、窒素雰囲気下で、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)0.4g(0.8ミリモル)を添加した後、5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン19.0g(56ミリモル)をテトラヒドロフラン155gに溶解した溶液を、25℃で1時間を要して滴下し、滴下終了後、50℃で8時間反応させた。
【0052】
反応終了後、反応溶液を冷却し、析出した生成物をろ過し、結晶をクロロホルムで洗浄し、減圧乾燥することにより、5,5’’’’’−ジメチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’−セクシチオフェン(一般式(3)において、n=3)14.6g(28ミリモル)を得た。5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェンに対する収率は50%であった。
【0053】
【発明の効果】
本発明によると、化学工業および電子工業の分野で利用し得る機能性分子化合物として有用な(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー類を工業的に有利に製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、オリゴチオフェン類の製造方法に関する。オリゴチオフェン類は、化学工業および電子工業の分野で利用し得る機能性分子化合物として有用である。
【0002】
【従来の技術】
オリゴチオフェン類の製造方法としては、例えば、5,5’’−ジブロモ−2,2’:5’,2’’−テルチオフェンと2−ブロモ−5−メチルチオフェンのグリニヤール試薬を反応させることにより、5,5’’’’−ジメチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’−キンクエチオフェンを製造する方法等が知られている(特開平4−133351号公報)。しかしながら、この方法は、5,5’’−ジブロモ−2,2’:5’,2’’−テルチオフェンの2つのブロモ原子を5−メチルチオフェンに置換する反応であるため、副生成物である1つのブロモ原子のみが置換された化合物が生成し、収率が低いという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、工業的に有利にオリゴチオフェン類を製造する方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、下記に示すとおりのオリゴチオフェン類の製造方法を提供するものである。
項1. 一般式(1);
【0006】
【化4】
(式中、X1はハロゲン原子を示す。)
【0007】
で示されるテルチオフェン化合物と一般式(2);
【0008】
【化5】
(式中、X2はハロゲン原子を示す。nは、2〜6の整数を示す)
【0009】
で示されるオリゴチオフェン類のグリニヤール試薬を、触媒の存在下で反応させることを特徴とする一般式(3);
【0010】
【化6】
(式中、nは、前記と同様である。)
【0011】
で示されるオリゴチオフェン類の製造方法。
項2. 触媒が、ニッケル触媒またはパラジウム触媒である項1に記載のオリゴチオフェン類の製造方法。
項3. ニッケル触媒が、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)である項2に記載のオリゴチオフェン類の製造方法。項4. 一般式(1)で示されるテルチオフェン化合物が、5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェンまたは5−ヨード−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェンである項1〜3のいずれかに記載のオリゴチオフェン類の製造方法。
項5. 一般式(2)で示されるオリゴチオフェン類のグリニヤール試薬が、5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド、5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド、5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージドまたは5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージドである項1〜4のいずれかに記載のオリゴチオフェン類の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において原料として用いられる化合物は、一般式(1);
【0013】
【化7】
【0014】
で示されるテルチオフェン化合物である。
【0015】
上記一般式(1)中、X1はハロゲン原子を示す。
【0016】
上記ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0017】
上記一般式(1)で示される化合物の具体例としては、例えば、5−クロロ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン、5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン、5−ヨード−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン等が挙げられる。中でも、反応性が高いという観点から、5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン、5−ヨード−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェンが好適に用いられる。
【0018】
上記一般式(1)で示される化合物の製造方法としては、特に限定されず、5−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェンとN−ハロスクシンイミドを反応させる方法(特開平7−206599号公報)等が挙げられる。
【0019】
本発明において用いられるオリゴチオフェン類のグリニヤール試薬は、一般式(2);
【0020】
【化8】
【0021】
で示される化合物である。
【0022】
上記一般式(2)中、X2はハロゲン原子を示す。nは2〜6の整数を示す。
【0023】
上記ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0024】
上記一般式(2)で示される化合物の具体例としては、例えば、5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=クロリド(一般式(2)において、n=2、以下同じ)、5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5−イルマグネシウム=クロリド(n=3)、5’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クアテルチオフェン−5−イルマグネシウム=クロリド(n=4)、5’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’−キンクエチオフェン−5−イルマグネシウム=クロリド(n=5)、5’’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’−セクシチオフェン−5−イルマグネシウム=クロリド(n=6)、5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド(n=2)、5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド(n=3)、5’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クアテルチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド(n=4)、5’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’−キンクエチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド(n=5)、5’’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’−セクシチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド(n=6)、5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージド(n=2)、5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージド(n=3)、5’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クアテルチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージド(n=4)、5’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’−キンクエチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージド(n=5)、5’’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’−セクシチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージド(n=6)等が挙げられる。中でも、反応性が高いという観点から、5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド(n=2)、5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド(n=3)、5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージド(n=2)、5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージド(n=3)が好適に用いられる。
【0025】
上記オリゴチオフェン類のグリニヤール試薬の使用量は、特に限定されないが、一般式(1)で示されるテルチオフェン化合物に対して0.7〜5倍モル、好ましくは0.8〜3倍モルである。オリゴチオフェン類のグリニヤール試薬の使用量が0.7倍モル未満の場合、未反応物が多くなり、収率が低下するおそれがある。また、オリゴチオフェン類のグリニヤール試薬の使用量が5倍モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0026】
本発明において用いられる触媒としては、特に限定されず、例えば、塩化ニッケル(II)、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ジクロロニッケル(II)、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)、[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]ジクロロニッケル(II)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロニッケル(II)、ニッケル(II)アセチルアセトナート、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)等のニッケル触媒;テトラキス(トリフェニル)パラジウム(0)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ジクロロパラジウム(II)、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロパラジウム(II)、[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]ジクロロパラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、ビス(トリシクロヘキシル)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)ジブロモパラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)等のパラジウム触媒等が挙げられる。中でも、触媒活性が高いという観点から、ニッケル触媒が好適に用いられ、とりわけ、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)がさらに好適に用いられる。
【0027】
上記触媒の使用量は、特に限定されないが、一般式(1)で示されるテルチオフェン化合物に対して0.001〜0.3倍モル、好ましくは0.01〜0.2倍モルである。触媒の使用量が0.001倍モル未満の場合、反応が完結しにくくなるおそれがある。また、触媒の使用量が0.3倍モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0028】
反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル系溶媒;ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド系溶媒等が挙げられる。
【0029】
上記反応溶媒の使用量は、特に限定されないが、一般式(1)で示されるテルチオフェン化合物に対して、1〜600倍重量、好ましくは10〜200倍重量である。反応溶媒の使用量が1倍重量未満の場合、生成物が析出して攪拌が困難となるおそれがある。また、600倍重量を超える場合、使用量に見合う効果がなく容積効率が悪化し経済的でない。
【0030】
反応温度は、通常、−20〜200℃、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜120℃である。反応温度が−20℃未満の場合、反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が200℃を超える場合、副生成物が増加するため好ましくない。反応時間は、反応温度により異なるが、通常1〜30時間である。
【0031】
上記のようにして得られたオリゴチオフェン類は、反応液を冷却して析出させた後、ろ過することにより容易に単離することができる。
【0032】
本発明によって製造されるオリゴチオフェン類は一般式(3);
【0033】
【化9】
【0034】
で表される化合物である。
【0035】
上記一般式(3)中、nは、上記一般式(2)のnと同様である。
【0036】
上記オリゴチオフェン類の具体例としては、例えば、5,5’’’’−ジメチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’−キンクエチオフェン(一般式(3)において、n=2、以下同じ)、5,5’’’’’−ジメチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’−セクシチオフェン(n=3)、5,5’’’’’’−ジメチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’:5’’’’’,2’’’’’’−セプチチオフェン(n=4)、5,5’’’’’’’−ジメチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’:5’’’’’,2’’’’’’:5’’’’’’,2’’’’’’’−オクチチオフェン(n=5)、5,5’’’’’’’’−ジメチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’:5’’’’’,2’’’’’’:5’’’’’’,2’’’’’’’:5’’’’’’’,2’’’’’’’’−ノビチオフェン(n=6)が挙げられる。
【0037】
本発明において用いられる一般式(2)で示されるオリゴチオフェン類のグリニヤール試薬としては、特に限定されないが、例えば、一般式(4);
【0038】
【化10】
【0039】
で示されるオリゴチオフェン類とマグネシウムとを反応させることにより得られたものを用いることができる。
【0040】
上記一般式(4)中、X2、nは、上記一般式(2)のX2、nと同様である。
【0041】
上記一般式(4)で示されるオリゴチオフェン類の具体例としては、例えば、5−クロロ−5’−メチル−2,2’−ビチオフェン(一般式(4)において、n=2、以下同じ)、5−クロロ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(n=3)、5−クロロ−5’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クアテルチオフェン(n=4)、5−クロロ−5’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’−キンクエチオフェン(n=5)、5−クロロ−5’’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’−セクシチオフェン(n=6)、5−ブロモ−5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−(n=2)、5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(n=3)、5−ブロモ−5’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クアテルチオフェン(n=4)、5−ブロモ−5’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’−キンクエチオフェン(n=5)、5−ブロモ−5’’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’−セクシチオフェン(n=6)、5−ヨード−5’−メチル−2,2’−ビチオフェン(n=2)、5−ヨード−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(n=3)、5−ヨード−5’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クアテルチオフェン(n=4)、5−ヨード−5’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’−キンクエチオフェン(n=5)、5−ヨード−5’’’’’−メチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’−セクシチオフェン(n=6)等が挙げられる。中でも、反応性が高いという観点から、5−ブロモ−5’−メチル−2,2’−ビチオフェン(n=2)、5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(n=3)、5−ヨード−5’−メチル−2,2’−ビチオフェン(n=2)、5−ヨード−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(n=3)が好適に用いられる
上記マグネシウムの使用量は、特に限定されないが、一般式(4)で示されるオリゴチオフェン類に対して1.0〜5.0倍モル、好ましくは1.0〜3.0倍モルである。マグネシウムの使用量が1.0倍モル未満の場合、反応が完結しにくくなるおそれがある。また、マグネシウムの使用量が5.0倍モルを超える場合、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
【0042】
反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル系溶媒;ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド系溶媒等が挙げられる。
【0043】
上記反応溶媒の使用量は、特に限定されないが、一般式(4)で示されるオリゴチオフェン類に対して、1〜100倍重量、好ましくは5〜50倍重量である。反応溶媒の使用量が1倍重量未満の場合、生成物が析出して攪拌が困難となるおそれがある。また、100倍重量を超える場合、使用量に見合う効果がなく容積効率が悪化し経済的でない。
【0044】
反応温度は、通常、−20〜200℃、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜120℃である。反応温度が−20℃未満の場合、反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が200℃を超える場合、副生成物が増加するため好ましくない。反応時間は、反応温度により異なるが、通常1〜30時間である。
【0045】
上記のようにして得られた一般式(2)で示されるオリゴチオフェン類のグリニヤール試薬は、単離することなく本発明に使用することができる。
【0046】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0047】
実施例1
攪拌機、温度計および冷却器を備え付けた300mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、5−ブロモ−5’−メチル−2,2’−ビチオフェン(一般式(4)において、n=2)26.7g(103ミリモル)、金属マグネシウム2.5g(103ミリモル)、テトラヒドロフラン175gを仕込み、25℃で2時間反応させ、5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド(一般式(2)において、n=2)のテトラヒドロフラン溶液を得た。
【0048】
攪拌機、滴下ロート、温度計および冷却器を備え付けた1L容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、テトラヒドロフラン260g、5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン32.1g(94ミリモル)、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)0.7g(1.2ミリモル)を仕込み、上記の5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミドのテトラヒドロフラン溶液を、25℃で1時間を要して滴下し、滴下終了後、25℃で8時間反応させた。
【0049】
反応終了後、反応溶液を冷却し、析出した生成物をろ過し、結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、減圧乾燥することにより、5,5’’’’−ジメチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’−キンクエチオフェン(一般式(3)において、n=2)13.1g(30ミリモル)を得た。5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェンに対する収率は32%であった。
【0050】
実施例2
攪拌機、滴下ロート、温度計および冷却器を備え付けた1L容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン(一般式(4)において、n=3)22.9g(67ミリモル)、金属マグネシウム1.7g(70ミリモル)、テトラヒドロフラン130gを仕込み、25℃で2時間反応させ、5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド(一般式(2)において、n=3)のテトラヒドロフラン溶液を得た。
【0051】
次に、窒素雰囲気下で、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)0.4g(0.8ミリモル)を添加した後、5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン19.0g(56ミリモル)をテトラヒドロフラン155gに溶解した溶液を、25℃で1時間を要して滴下し、滴下終了後、50℃で8時間反応させた。
【0052】
反応終了後、反応溶液を冷却し、析出した生成物をろ過し、結晶をクロロホルムで洗浄し、減圧乾燥することにより、5,5’’’’’−ジメチル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’:5’’’,2’’’’:5’’’’,2’’’’’−セクシチオフェン(一般式(3)において、n=3)14.6g(28ミリモル)を得た。5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェンに対する収率は50%であった。
【0053】
【発明の効果】
本発明によると、化学工業および電子工業の分野で利用し得る機能性分子化合物として有用な(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー類を工業的に有利に製造することができる。
Claims (5)
- 触媒が、ニッケル触媒またはパラジウム触媒である請求項1に記載のオリゴチオフェン類の製造方法。
- ニッケル触媒が、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)である請求項2に記載のオリゴチオフェン類の製造方法。
- 一般式(1)で示されるテルチオフェン化合物が、5−ブロモ−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェンまたは5−ヨード−5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェンである請求項1〜3のいずれかに記載のオリゴチオフェン類の製造方法。
- 一般式(2)で示されるオリゴチオフェン類のグリニヤール試薬が、5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド、5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5−イルマグネシウム=ブロミド、5’−メチル−2,2’−ビチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージドまたは5’’−メチル−2,2’:5’,2’’−テルチオフェン−5−イルマグネシウム=ヨージドである請求項1〜4のいずれかに記載のオリゴチオフェン類の製造方法。
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JP2002217397A JP2004059462A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | オリゴチオフェン類の製造方法 |
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Cited By (1)
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JP2010535823A (ja) * | 2007-08-14 | 2010-11-25 | バイエル・テクノロジー・サービシズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング | チオフェンオリゴマーの製造法 |
-
2002
- 2002-07-26 JP JP2002217397A patent/JP2004059462A/ja active Pending
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