JP2004055128A - 磁気記録媒体用ガラスディスク基板の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体用ガラスディスク基板の製造方法 Download PDF

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松野 好洋
Shinya Katayama
片山 慎也
Kensuke Matsuno
松野 賢介
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Abstract

【課題】本発明は、磁気ヘッド浮上量50nm程度の磁気ディスク装置に対しても適用可能な磁気記録媒体用ガラスディスク基板の効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】本磁気記録媒体用ガラスディスク基板の製造方法は、ガラスディスク基板の主表面の両面を、0.02μm〜0.2μmの粒径の砥粒を含む研磨スラリーと研磨パッドを用いて、片面につき0.014μm/分〜0.036μm/分の研削速度で同時に研磨し、その削減するガラス厚さを各研磨面につき0.15μm以上0.3μm以下で、且つ両研磨面における削減厚さの差異を0.15μm以下とし、当該各研磨面における原子間力顕微鏡により測定した12μm□当たりの凹凸の最大値と最小値の差異の平均を15nm以下にし、ガラスディスク基板を外径34mm、内径8mm、板厚0.381mmとしたときの反りが2μmを越えないようにする。
【選択図】   図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体用ガラスディスク基板を用いた磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気ディスク記憶装置の大容量化に伴って、記録密度の向上のために磁気ヘッド浮上量の低減が図られている。このためには平滑性に優れた磁気記録媒体が必要とされるが、通常の薄膜型磁気記録媒体においては磁性膜厚が0.5μm程度以下と薄く、基板の表面状態が磁気記録媒体の平滑性に著しく影響を及ぼすため、平滑性に優れた基板に対する要求が大きくなってきている。このような要求に対し、ガラスディスク基板は研磨によって比較的容易に表面の平滑化を図ることができるという特徴を有するため、磁気記録媒体用基板として採用され始めている。
【0003】
磁気記録媒体用ガラスディスク基板の加工は、通常、加工順に以下の工程からなり、この工程を経て製造されたガラスディスク基板は、磁気ヘッド浮上量が75nm程度の磁気ディスク装置に対して適用が可能である。
【0004】
1.円盤加工工程:板ガラスを円盤形状のガラスディスク基板に加工する工程ラップ工程
2.ラップ工程:ガラスディスク基板を所定の板厚に加工する工程
3.研磨工程:ガラスディスク基板の表面を研磨し平滑にする工程
4.化学強化工程:ガラスディスク基板に化学強化を施す工程
ここで、3.研磨工程は、通常、それ以前の工程においてガラスディスク基板に生じたクラック等の加工変質層を除去するための第一段階の研磨と、ガラスディスク基板の表面平滑性を所定のレベルにするための第二段階の研磨の2段階の研磨工程から構成されている。
【0005】
一方、3.研磨工程のうち上記第二段階の研磨を4.化学強化工程後に行う方法が知られている(例えば、特許文献1)。この理由は前記文献中では明らかにされていないが、ガラスディスク基板の表面をさらに平滑にすることを意図したものと推察される。
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−175219号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、さらに磁気ヘッド浮上量を低減するため、上記方法により化学強化後のガラスディスク基板をさらに研磨した場合には、より平滑な表面を有するガラスディスク基板を得ることはできるものの、ガラスディスク基板の反りが生じ易いことが判明した。このガラスディスク基板の反りは、磁気記録媒体の軸方向加速度の増大をもたらし、磁気ヘッドの浮上特性を劣化させて記録密度向上を阻害する要因となる。
【0008】
以上の事情に鑑み、本発明は、優れた平滑性を有し、反りも少なく、磁気ヘッド浮上量50nm程度の磁気ディスク装置に対しても適用可能な磁気記録媒体用ガラスディスク基板の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の磁気記録媒体用ガラスディスク基板の製造方法は、化学強化処理を施したガラスディスク基板の主表面を研磨し平滑にする磁気記録媒体用ガラスディスク基板の製造方法において、前記ガラスディスク基板の主表面の両面を、0.02μm〜0.2μmの粒径の砥粒を含む研磨スラリーと研磨パッドを用いて、片面につき0.014μm/分〜0.036μm/分の研削速度で同時に研磨し、その削減するガラス厚さを各研磨面につき0.15μm以上0.3μm以下で、且つ両研磨面における削減厚さの差異を0.15μm以下とし、当該各研磨面における原子間力顕微鏡により測定した12μm□当たりの凹凸の最大値と最小値の差異の平均を15nm以下にし、前記ガラスディスク基板を外径34mm、内径8mm、板厚0.381mmとしたときの反りが2μmを越えないようにしたことを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、請求項2記載の磁気記録媒体用ガラスディスク基板の製造方法は、化学強化処理を施したガラスディスク基板の主表面を研磨し平滑にする磁気記録媒体用ガラスディスク基板の製造方法において、前記ガラスディスク基板の主表面の両面を、0.02μm〜0.2μmの粒径の砥粒と研磨パッドを用いて同時に研磨し、その削減するガラス厚さを各研磨面につき0.1μm以上0.7μm以下とし、両研磨面における削減厚さの差異を0.15μm以下にし、当該各研磨面における原子間力顕微鏡により測定した12μm□当たりの凹凸の最大値と最小値の差異の平均を15nm以下にすることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の磁気記録媒体用ガラスディスク基板の製造方法は、請求項1又は2記載の磁気記録媒体用ガラスディスク基板の製造方法において、前記化学強化処理前のガラスディスク基板の各主表面を表面粗さRmax50nm未満とすることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
化学強化処理とは、使用するガラスのガラス転移点以下の温度領域において、ガラス表面近傍のイオンをより大きなイオン半径を有するイオンに置換してガラス表面に圧縮応力を発生させることをいい、例えば、ガラスを硝酸カリウム溶融塩中に浸漬させ、ガラス中のナトリウムイオンを前記溶融塩中のカリウムイオンに置換することにより行われる。
【0013】
本発明に用いることができるガラスは、化学強化処理が可能であれば特に制限はなく、ソーダ石灰ガラス、ホウ珪酸ガラス、アルミノホウ珪酸ガラス等を用いることができる。
【0014】
尚、本発明に使用できる研磨材としては、酸化セリウム、アルミナ砥粒、ダイヤモンド砥粒、コロイダルシリカ砥粒、酸化ジルコニウム砥粒等を挙げることができるが、研磨面の平滑性向上の観点から、無水硅酸の超微粒子をコロイド溶液としたコロイダルシリカ、酸化ジルコニウムの超微粒子等の遊離砥粒が望ましい。また、一般に砥粒の粒径が小さいほど表面平滑性は向上するが、一方では砥粒価格も上昇するため、本発明の実施には0.02μm〜0.2μmの粒径の砥粒が特に好ましい。さらには、砥粒の形状としては球形に近いものが平滑性向上の観点から好ましい。
【0015】
本発明によれば、ガラスディスク基板表面を研磨しガラス厚さを削減する量が、ガラスディスク基板の反りを一定値以上としない範囲以内でありながら一定の表面平滑性を確保するのに必要な範囲以上であるため、表面平滑性に優れ、かつ、反りの少ない化学強化ガラスディスク基板を製造することができる。
【0016】
化学強化処理を施したガラスディスク基板の応力分布は、図5に示すように、表面付近の圧縮応力が非常に大きい一方、表面から内部に進むと応力値が急激に減少する。このため、化学強化処理後のガラスディスク基板を研磨する場合には、ガラスディスク基板の研磨面間で削減するガラス厚さに差があると、この差異が微小であっても、研磨面間における応力のバランスがくずれて大きな曲げ応力が発生し、結果として、特に板厚が薄い磁気記録媒体用ガラスディスク基板にあっては、容易に反りの原因となる。
【0017】
この削減する厚さの差異はガラスディスク基板両面の研磨速度の差によって生じるため、研磨条件を基板両面で同一とするように留意する必要があるが、この条件を厳密に同一とすることは極めて困難であるため、上記反りを回避するためには削減するガラス厚さを一定値以下とせざるを得ない。
【0018】
しかし、削減する厚さを小さくしすぎると表面平滑性を失するおそれがある。特に、化学強化後のガラスディスク基板上には、本発明者が後述する実施例において確認したように、数十nmの突起が生じており、少なくともこの突起を取り除く程度には表面を研磨する必要があると考えられる。
【0019】
本発明によれば、化学強化処理後のガラスディスク基板の研磨により削減するガラス厚さとガラスディスク基板の表面平滑性または反りの関係を後述する実施例により確認し、削減厚さの差異を制御することにより、優れた表面平滑性を有しつつガラスディスク基板の反りも実用上支障のない範囲としたため、磁気ヘッド浮上量を低減し得るガラスディスク基板を効率的に製造することが可能である。
【0020】
また、本発明によれば、化学強化処理前のガラスディスク基板の各主表面を表面粗さRmax50nm未満とするので、ガラスディスク基板の化学処理後の研磨工程における生産効率を向上させることができる。
【0021】
【実施例】
(実施例1)
1.円盤加工工程
まず、40mm角、厚さ0.7mmのソーダライムシリケートガラスからなる板ガラスを、ダイヤモンド工具を用いて、外径34mm、内径8mmのドーナツ状に円盤加工してガラスディスク基板1とし、さらに、外周端面及び内周端面に所定の面取り加工を施した。
【0022】
2.ラップ工程
図6に示したラップ装置を用いてラップ工程を行った。ラップ砥粒としては粒度#1000のアルミナ砥粒25aを用い、研磨圧力を200g/cm程度に設定し、内側ギヤ21と外側ギヤ22とを回転させることにより、FRP製のキャリア23内に設置したガラスディスク基板1の両面をラッピングした。この加工により、ガラスディスク基板1の板厚を0.45mm、表面粗さをRmax2μm程度にした。
【0023】
3.研磨第1工程
図7に示した研磨装置を用いて、上記のラップ工程で発生したクラック等の加工変質層を除去した。ここで、図7に示した研磨装置は、図6に示したラップ装置における鋳鉄定盤24の代わりにその内表面にポリッシュ用パッド31を接着した定盤32を用いる点と、アルミナ砥粒の代わりに酸化セリウム砥粒を水と混合した研磨スラリー25bを用いる点のみがラップ装置と異なるが、他は同じである。この研磨第1工程は、ポリッシュ用パッド31として硬質パッド(スピードファム(株)社製ポリウレタンパッド;商品名MHC15A)を用い、以下の研磨条件で行った。
【0024】
研磨スラリー:酸化セリウム(平均粒径:約1.5μm)+水
研磨圧力:200g/cm
研磨時間:30分間
除去量:60μm(両面)
この研磨第1工程により、ガラスディスク基板1の表面粗さは、原子間力顕微鏡(デジタルインスツルメント(株)社製;商品名NanoScope:以下「AFM」という。)による表面12μm□あたりの凹凸の最大値と最小値の差異(以下単に「最大最小値」という。)で、平均18nm、最大35nm程度になった。凹凸の最大値と最小値の差異とは、上記AFMの測定パラメータ中のPeak,Valleyのことであり、それぞれ測定範囲内における凸部の最高値と凹部の最低値の差を示している。また、最大値最小値の差異の平均とは、複数回測定したものの平均をいう。
【0025】
また、ガラスディスク基板1の反りは、表面形状測定装置(ZYGO(株)社製;ZYGOMark 4)による測定から、平均約1μmであった。尚、本工程においては、表面粗さをRmax 50nm未満とすることが望ましい。研磨第2工程との関連において生産効率を上げる等の理由からである。ガラスディスク基板1の反りとは、上記表面形状測定装置において、ガラスディスク基板1を水平にスピンドル軸に装着したときの当該ガラスディスク全表面の最高点と最低点の差である。また、反りの平均とは、複数回測定したものの平均をいう。
【0026】
4.化学強化工程
ガラスディスク基板1を450℃に加熱した硝酸カリウム溶融塩中に20時間浸漬して化学強化処理を行い、表面に圧縮応力層を形成した。光学式測定機によれば、この応力層の厚みは約60μm、表面の圧縮応力は約60kgf/mmであった。
【0027】
この化学強化工程により、ガラスディスク基板1の表面粗さは、AFMによる12μm□の最大最小値が平均27nm、最大45nmとなり、表面平滑性は同工程前よりも悪化した。
【0028】
化学強化処理後のガラスディスク基板1の主表面をAFMにより観察したところ、当該表面には直径0.2μm程度、高さ数十nmの突起が多数存在していた。化学強化処理前のガラスディスク基板1にはこのような多数の突起は観察されないことから、この突起は化学強化処理に伴ってガラスディスク基板1上に発生したものである。
【0029】
図8に、この突起のうち最大級のものを含む研磨面の断面を示す。
【0030】
また、ガラスディスク基板1の反りは、前述の表面形状測定装置による測定から平均約1μmであり、化学強化処理前と同一であった。
【0031】
尚、本工程において形成する応力層の厚みはイオン交換時の温度・時間を制御することにより10μm〜200μmとすることが適当である。
【0032】
5.研磨第2工程
図1及び図2に示した研磨装置を用いて、一枚ごとにガラスディスク基板1の両面を同時に研磨した。即ち、ガラスディスク基板1を、ガイドローラ2a、2b、2cにより鉛直状態に保持し、ガラスディスク基板1の両側に対向して設けた定盤3a、3b上にそれぞれ両面テープで接着された研磨パッド4a、4bにより加圧しつつ、研磨液供給パイプ5から研磨スラリー6を供給しながらモーター7a、7bにより駆動ベルト8a、8bを介して研磨パッド4a、4bを回転させることによりガラスディスク基板1の両面を同時に研磨した。このとき、ガイドローラ2a、2b、2cが取り付けられた揺動治具9を上下に駆動させることにより、ガラスディスク基板1を揺動した。揺動幅10は、研磨・削減されるガラス厚が半径方向にほぼ一様になるように決定した。研磨パッド4a、4bの加圧はバネ式加圧治具11を用いて、保持台12、軸13を介して研磨パッド4a、4bをガラスディスク基板1に押し付けることにより行なった。また、研磨スラリー6は、研磨液タンク14からポンプ15によって供給した。
【0033】
研磨パッドとしては軟質パッド(スピードファム(株)社製スウェードパッド;商品名ポリテックス)を用い、以下の研磨条件で行った。
【0034】
研磨スラリー:酸化ジルコニウム(平均粒径:約0.2μm)+水
研磨圧力:100g/cm
研磨時間:4分間
ここで、この研磨条件における研磨速度は、片面につき約0.036μm/分であり、従って、この研磨第2工程におけるガラスディスク基板1の削減厚さは、片面につき約0.15μmであった。
【0035】
この工程は、上述の化学強化工程で発生した突起を除去すると同時に、研磨第1工程後にガラスディスク基板1の主表面に残存している微小な傷、凹凸等をも除去するものであり、この工程を経て製造したガラスディスク基板1の表面粗さは、前述のAFMにより測定した12μm□の最大最小値で、平均10nm、最大14nmと十分に小さいものであった。
【0036】
研磨後のガラスディスク基板1の主表面をAFMにより観察したところ、化学強化工程において発生した突起はほぼ除去できたことが確認されていた。
【0037】
図9に、研磨後の研磨面の断面を示す。
【0038】
また、ガラスディスク基板1の反りは、表面形状測定装置による測定から、平均約1.2μmであり、化学強化前より若干増大したが、許容値である2μmよりも小さいものであった。
【0039】
ここで、研磨第2工程を、複数枚ごとに研磨するいわゆるバッチ研磨により行わず、一枚ごとに研磨を行ういわゆる枚葉研磨により行なった理由は、研磨前のガラス厚さのばらつきを反映して各ガラスディスク基板の厚さの削減量にばらつきが生じるのを防止するためである。即ち、バッチ中板厚が薄いガラスディスク基板に対しては研磨力が十分に働かず、予定していた研磨が十分に行えなくなることを防ぐためである。
【0040】
全てのガラスディスク基板について板厚を測定し、板厚により選別したガラスディスク基板のみをバッチ研磨することによっても、研磨厚さのばらつきは防止できる。しかし、この方法は、全数について板厚を検査する必要があり、また、一定量のストックをもつ必要があるので生産効率上却って好ましくない。従って、本発明では、研磨第2工程として、枚葉研磨する装置によって削磨厚さを確実に一定範囲内に制御しながら研磨する工程を採用した。
【0041】
(実施例2)
図3は、実施例1において上記研磨第2工程におけるガラスディスク基板の削減厚さを種々に変えて得た各ガラスディスク基板1について、AFMにより測定した12μm□の最大最小値及び表面形状測定装置により測定した反りとガラスディスク基板1の削減厚さを示したものである。
【0042】
これより、表面の平滑性については、削減する厚さが0.05μm以上ではAFMの最大最小値が平均20nm以下となってかなり平滑な面が得られていることが、特に削減厚さが0.1μm以上ではAFMの最大最小値が平均15nm以下となり非常に平滑な面が得られていることがわかる。また、反りについては、削減する厚さが0.7μm以下であれば許容値である2μmを越えることはなく、特に削減厚さが0.3μm以下では1.4μm以下となり反りの少ない良好なガラスディスク基板が得られることがわかる。
【0043】
これは、削減厚さが0.05μm以下であると、前述の化学強化に伴って発生する突起及び研磨第1工程において残存した微細な傷や凹凸を十分に除去できないためであり、一方、削減厚さが0.7μmを越えると、両研磨面間の削減厚さの差異が大きくなり、それに起因する曲げ応力が増大するためである。
【0044】
以上より明らかなように、片面の削減厚さが0.05μm以上0.7μm以下の範囲内であれば、極めて平滑な表面を持ち、かつ、反りが十分小さな磁気記録媒用化学強化ガラスディスク基板を得ることができる。
【0045】
また、量産時の表面凹凸状態、反りのばらつき及び研磨時間の短縮の観点から、削減するガラス厚さは0.15μm以上0.3μm以下が特に好ましい。
【0046】
(実施例3)
研磨第二段階における研磨スラリーをコロイダルシリカ(平均粒径:約0.05μm)に変える以外は全て実施例1と同一条件でガラスディスク基板を作製した。ここで、この研磨条件における研磨速度は、各研磨面について約0.014μm/分であり、従って、この研磨第二段階における削減厚さは約0.06μmであった。
【0047】
本実施例によるガラスディスク基板の表面粗さは、AFMにより測定した12μm□の最大最小値で平均8nm最大10nmとさらに小さいものであった。また、ガラスディスク基板1の反りは、表面形状測定装置による測定から平均約1.1μmであり、化学強化前よりやや増大したが、許容値である2μmよりも小さいものであった。
【0048】
(実施例4)
外径34mm、内径8mm、板厚0.381mmの化学強化後のガラスディスク基板の片面のみを種々の厚さで削減・研磨し、この削減する厚さと発生する反りの大きさを表面形状測定装置により計測した結果を図4に示す。0.15μmの削減厚さの差により許容値である2μmを上回る反りが発生することがわかる。
【0049】
(実施例5)
次に、上記の実施例1によって得られたガラスディスク基板を用いて磁気記録媒体としての磁気ディスクを以下の方法により製造した。
【0050】
まず、実施例1により得たガラスディスク基板の主表面に、膜厚100nmのTi膜、膜厚150nmのCr膜、膜厚50nmのCo−Cr−Ta合金膜、膜厚20nmのC膜を順次スパッタリングにより成膜した。次に、パーフロロポリエーテル系の潤滑剤をその表面に塗布し、磁気ディスクを得た。ここで、Co−Ni−Cr合金膜は磁性膜であり、その下地層たるCr膜及びTi膜は磁性膜の磁気特性を向上させる下地膜であり、C膜は保護膜である。
【0051】
この磁気ディスク数枚について、グライドハイトテスター(イートン(社)社製;製品No.005G)を用いてタッチダウンハイト(以下「TDH」という。)を測定した。この測定の概略を図10に示す。即ち、磁気ディスク42を十分高速で回転させ、磁気ヘッド41を浮上させ、この状態で磁気ディスク42の回転数を徐々に下げて行き、磁気ディスク42と磁気ヘッド41との接触が生じ始めるところの磁気ヘッド42の浮上高さをもってTDHとした。接触の有無は、磁気ヘッドに取り付けたアコースティック・エミッションセンサーによって検出した。
【0052】
本実施例による磁気ディスクのTDHは、平均20nm、最大25nmであり、極めて良好なものであった。このような磁気ディスクは、生産時の種々のマージンを考慮しても、磁気ヘッドの浮上高さが50nm以下である磁気ディスク装置に対して容易に適用可能である。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、磁気ヘッド浮上高さを50nm程度とする磁気ディスク装置にも使用可能な磁気記録媒体に適するガラスディスク基板を効率的に生産することが可能である。
【0054】
特に、磁気ヘッド浮上量の低減に障害となるガラスディスク基板の反りを抑制し、優れた表面平滑性を実現できる化学強化後のガラス基板の効率的な研磨条件を明確にすることにより上記ガラスディスク基板を従来よりも効率よく製造する方法を実現した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に適した装置の模式図である。
【図2】本発明の実施に適した装置の研磨部分の模式図である。
【図3】化学強化処理後のガラスディスク基板のガラス板厚の削磨量と基板表面の平滑性、基板の反りとの関係を示す図である。
【図4】化学強化処理後のガラスディスク基板の片側だけを研磨したときの削減厚さと基板の反りの関係を示す図である。
【図5】化学強化処理を施したガラスの断面方向の応力分布を示す図である。
【図6】実施例のラップ工程で用いた装置要部の模式図である。
【図7】実施例の研磨第1工程で用いた装置要部の模式図である。
【図8】化学強化処理後のガラスディスク基板断面を原子間力顕微鏡で測定した結果を示す図である。
【図9】研磨第2工程後のガラスディスク基板断面を原子間力顕微鏡で測定した結果を示す図である。
【図10】タッチダウンハイト測定の概略を示す図である。
【符号の説明】
1 ガラスディスク基板
2a、2b、2c ガイドローラ
3 定盤
4a、4b 研磨パッド
5 研磨液供給パイプ
6a、6b 研磨スラリー
7a、7b モーター
8a、8b 駆動ベルト
9 揺動治具
10 揺動幅
11 バネ式加圧治具
12 保持台
13 軸
14 研磨液タンク
15 ポンプ
21 内側治具
22 外側治具
23 キャリア
24 鋳鉄定盤
25a アルミナ砥硫を含む研磨スラリー
25b 酸化セリウムを含む研磨スラリー
31 ポリッシュ用パッド
32 ポリッシュ用パッドを接着した定盤
41 磁気ヘッド
42 磁気ディスク

Claims (3)

  1. 化学強化処理を施したガラスディスク基板の主表面を研磨し平滑にする磁気記録媒体用ガラスディスク基板の製造方法において、前記ガラスディスク基板の主表面の両面を、0.02μm〜0.2μmの粒径の砥粒を含む研磨スラリーと研磨パッドを用いて、片面につき0.014μm/分〜0.036μm/分の研削速度で同時に研磨し、その削減するガラス厚さを各研磨面につき0.15μm以上0.3μm以下で、且つ両研磨面における削減厚さの差異を0.15μm以下とし、当該各研磨面における原子間力顕微鏡により測定した12μm□当たりの凹凸の最大値と最小値の差異の平均を15nm以下にし、前記ガラスディスク基板を外径34mm、内径8mm、板厚0.381mmとしたときの反りが2μmを越えないようにしたことを特徴とする磁気記録媒体用ガラスディスク基板の製造方法。
  2. 化学強化処理を施したガラスディスク基板の主表面を研磨し平滑にする磁気記録媒体用ガラスディスク基板の製造方法において、前記ガラスディスク基板の主表面の両面を、0.02μm〜0.2μmの粒径の砥粒と研磨パッドを用いて同時に研磨し、その削減するガラス厚さを各研磨面につき0.1μm以上0.7μm以下とし、両研磨面における削減厚さの差異を0.15μm以下にし、当該各研磨面における原子間力顕微鏡により測定した12μm□当たりの凹凸の最大値と最小値の差異の平均を15nm以下にすることを特徴とする磁気記録媒体用ガラスディスク基板の製造方法。
  3. 前記化学強化処理前のガラスディスク基板の各主表面を表面粗さRmax50nm未満とすることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記録媒体用ガラスディスク基板の製造方法。
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