JP2004054122A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】薄膜にしてもマイクロクラックを生成させない電子写真感光体用塗布液を用いて中間層を形成することで高速機や高画質機に使用しても画像欠陥を生じない電子写真感光体を提供すること、更にはこの電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することである。
【解決手段】支持体から順に中間層と感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の中間層用塗布液が、導電性粒子、重量平均分子量Mwを3500〜6000とした結着樹脂及び平均粒径を0.6〜4.0μmとした球状樹脂微粉末を混合分散させたものを含有し、該電子写真感光体が前記中間層用塗布液を用いて形成した中間層を有することを特徴とする電子写真感光体、該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体から順に中間層と感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の中間層用塗布液が、導電性粒子、重量平均分子量Mwを3500〜6000とした結着樹脂及び平均粒径を0.6〜4.0μmとした球状樹脂微粉末を混合分散させたものを含有し、該電子写真感光体が前記中間層用塗布液を用いて形成した中間層を有することを特徴とする電子写真感光体、該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、支持体上に中間層を有する電子写真感光体、この電子写真感光体を具備したプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体は、基本的には支持体と支持体上に形成された感光層とから成っている。しかし、支持体の欠陥の被覆、感光層の塗工性向上、感光層と支持体との接着性改良、感光層の電気的破壊に対する保護、帯電性の向上、支持体から感光層への電荷注入性の改良等のために感光層と支持体との間に中間層を設けることが有効である。従って、電子写真感光体における中間層は、被覆性、接着性、機械的強度、適当な導電性と電気的バリア性等の多くの機能が要求される。
【0003】
従来から中間層としては、以下のタイプのものが提案されている。
(1)導電性フィラーの含有しない樹脂薄膜
(2)導電性フィラーの含有した樹脂薄膜
(3)上記(2)の薄膜の上に、上記(1)の薄膜を積層したもの
【0004】
上記(1)の薄膜は導電性フィラーを含有しないため膜の抵抗が高く、しかも支持体上の欠陥を被覆するために厚膜にして用いなければならない。そのために、初期及び繰り返し使用時の残留電位が高くなるという欠点をもっており、上記(1)の薄膜の実用化のためには支持体上の欠陥を小さくし、中間層の膜厚を非常に薄くする必要がある。
【0005】
一方、上記(2)及び(3)の薄膜は、導電性フィラーを分散することによって適当な導電性を付与できる利点はあるが、導電性フィラーの分散性が悪いと、中間層の抵抗や誘電率等の電気特性が変化し、電位特性や画像性に大きな影響を与える。また、フィラーの分散性が悪いと、膜の表面平滑性が悪くなり、塗工欠陥の原因になる。更に、フィラーの分散が悪いと支持体との密着性や機械的強度も低下する。
【0006】
これまでに中間層の導電性フィラーとして、金属(特開昭58−181054号公報)や金属酸化物(特開昭54−151843号公報)、金属窒化物(特開平1−118848号公報)等が開示されている。ところが、従来の導電性フィラーを中間層のフィラーとして用いた電子写真感光体では、温度や湿度等の環境依存性が大きく、低温低湿から高温高湿の全環境下に対して常に安定した電位特性及び画像特性を有する感光体を作製することが困難であった。このように、環境の変化によって感光体の特性が変化してしまうのは、導電性フィラーの分散性が悪いためと考えられる。そこで、特許第3118129号公報では、より分散性に優れたフィラーとして、導電性被覆層を有する硫酸バリウム微粒子からなる粉体が開示されている。
【0007】
ところで、感光体を用いた複写機、プリンターの中でも、レーザービームを応用している場合、レーザー光の干渉と言われる現象を生じ、画像上に所謂干渉縞を生ずる。この干渉縞を防止するために、各種の技術が検討されているが、最も有効な技術の一つとして、支持体を粗面化する方法は既に知られている。支持体を粗面化する方法としては、化学的方法(エッチング等)、機械的方法(サンドブラストやバイトによる研削等)が知られているが、それぞれ公害問題、生産安定性、生産コストに難があるばかりか、表面粗度のバラツキも大きく、特性のコントロールに難がある。表面が不規則に粗くなった場合には、部分的に電荷の注入、ピンホール等を生じ、黒ポチ、白ポチ、カブル等の画像欠陥を起こし、実用としては未だ不十分な段階である。
【0008】
一方、中間層を利用する方法も知られている。すなわち、粗大な不規則形状粒子の添加、あるいは凝集性の大きな不規則形状微粒子と添加する溶剤の組み合せで、中間層の塗膜にゆず肌、セル構造(ベナードセル)を発生させる。異なった種類の樹脂を加えて不均一界面を形成する等の方法で粗面化する技術が知られているが、いずれも表面粗度のコントロールが効かず、前記の画像欠陥の原因となっている。
【0009】
なかでも粗大な不規則形状粒子の添加、凝集性の大きな不規則形状微粒子の添加は比較的表面粗度のコントロールも容易であり、有効な技術であるが、やはり、表面に不規則な粗大欠陥を生じ、画像上に黒ポチやカブリ等の大きな問題が発生しているのが現状である。実際に平均粒径が1〜2μm以上の粗大な不規則形状粒子の添加は、中間層表面を有効に粗面化できるが、このような粒子は一般に沈降し易く、分散によって調製した塗布液の中で均一な状態を保つことが難しく、安定した表面性を得ることが困難であるのが現状である。
【0010】
また、平均粒径が0.5μm以下の不規則形状微粒子では、一般に結着樹脂溶液の中に均一に分散された場合、表面を粗面化する効果を有しない。しかしながら、凝集性の大きな不規則形状粒子の場合、また、粒子と結着樹脂の親和性が比較的悪い場合には、微粒子の凝集により塗工面を粗面化することが可能である。しかし、この場合には、凝集度のコントロールは非常に困難であり、表面に不規則に大きな欠陥を生ずるばかりか、塗布液中にも微粒子の凝集を生じ、安定した表面粗度を得ることが非常に困難であり、実用上に大きな障害となっているのが現状である。
【0011】
そこで、これらの問題を解決するために、中間層に球状樹脂微粉末を含有させる方法が特公平4−78991号公報に開示されている。しかし、この方法では加熱乾燥後冷却を行った際に、結着樹脂と球状樹脂微粉末の間に熱膨張率による収縮差を生じ、ミクロボイドやクラックを発生することが分った。
【0012】
そこで、特許第2707341号公報では、球状樹脂粉体の樹脂として、レゾール型フェノール樹脂を選択し、塗膜の加熱乾燥冷却時の熱収縮による中間層中のミクロボイドやクラックを防止する方法も開示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
近年、高速機だけでなく、カラーレーザープリンターやカラー複写機等の高画質機の開発が盛んに進められている。それらに搭載される電子写真感光体には、より一層の高感度化のほか、画像上ではゴーストが発生しないことが求められている。そこで、中間層を薄膜化し、中間層の抵抗を下げることは有効な手段の一つである。また、低コスト化を目的として中間層を薄膜化する場合もある。このように、抵抗制御や低コスト化の目的で中間層を薄膜化にすると、塗膜の加熱乾燥後にベナードセルに酷似したマイクロクラックを発生する場合がある。これは、肉眼で観察できる場合とできない場合があるが、肉眼で観察できる場合に前記感光体の画像を出力させると、ゆず肌状の欠陥画像となる。また、肉眼で観察できなくても、近年の高速機や高画質機である複写機、カラーレーザープリンター等に使用した場合、黒ポチやゆず肌状の欠陥画像となることがある。
【0014】
本発明の目的は、薄膜にしてもマイクロクラックを生成させない電子写真感光体用塗布液を使用して中間層を形成することで、高速機や高画質機に使用しても画像欠陥を生じない電子写真感光体を提供すること、更にはこの電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、支持体から順に中間層と感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の中間層用塗布液が、導電性粒子、重量平均分子量Mwを3500〜6000とした結着樹脂及び平均粒径を0.6〜4.0μmとした球状樹脂微粉末を混合分散させたものを含有し、該電子写真感光体が前記中間層用塗布液を用いて形成した中間層を有することを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0016】
また、本発明に従って、上記電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の電子写真感光体は、支持体上に支持体側から順に中間層と感光層とを有する。中間層にはフィラーとして、導電性粒子からなる粉体を含有する。導電性粒子紛体としては、酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化スズ等の金属酸化物を主体とした導電性顔料が代表的であり、酸化スズや酸化アンチモン等の被覆層を設けることができる。また、前記金属酸化物や硫酸バリウム等の無機物のコアに酸化スズや酸化亜鉛等の被覆層を設けることもできる。その他にもポリアセチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリピロール、ポリチオクエン等の有機物のコアにLiClO4等の被覆層を設けた物質、金属フタロシアニン(M−PC)、M−PCを主鎖に含むポリマー及びこれらにI2、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)の被覆層を設けた物質等を挙げることができる。更に、中間層の抵抗を制御したり、塗料の白色度を高めるために、他の顔料を併用することも有効であり、その例として被覆層を有しない通常の酸化チタン粉体を挙げることができる。
【0018】
本発明の中間層に用いられる結着樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリビニルアセタール、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂及びポリエステル樹脂等が好ましい。これらの樹脂は単独でも、二種以上を組合せて用いてもよい。これらの樹脂は、支持体に対する接着性が良好であると共に、成膜後の耐溶剤性が良好である。
【0019】
ところで、問題のマイクロクラックは、後述の球状樹脂同士の凝集が原因で生成する。特に、中間層を薄膜にした場合、添加されている球状樹脂微粉末の分散状態が問題となってくる。分散がうまく行われていないと、塗布液中で球状樹脂粒子同士の凝集が起こり、塗布後の乾燥時すなわち塗膜形成時に凝集体界隈でマイクロクラックとなり易い。
【0020】
また、結着樹脂として熱硬化樹脂が使用されることが多いが、その加熱乾燥時、すなわち硬化反応時に生成する縮合水もマイクロクラックの生成と大きな関わりを持つ。加熱乾燥による塗膜形成時に、縮合水が塗膜中に多く存在すると、一般に疎水性を有する球状樹脂微粉末の分散状態が悪くなり、均一な塗膜形成の妨げになると考えられる。この場合もマイクロクラックが形成され易くなる。生成する縮合水の量は、塗布液の分散時に使用する熱硬化樹脂の分子量が小さいほど、多くなってくる。
【0021】
そこで、結着樹脂の分子量を重量平均分子量Mwで3500〜6000とし、好ましくは3800〜5500とすることで、フィラーや球状樹脂微粉末等の被分散成分との密着力が高くなり、塗布液中での分散状態が良好となり、中間層が薄膜になっても塗膜形成時の球状樹脂微粉末の凝集が抑制される。また、加熱乾燥時に生成する縮合水の量を少なくすることができる。重量平均分子量Mwが3500より小さいと、被分散成分との密着力が不足し易いだけでなく、熱硬化時に生成する縮合水の量も多くなる傾向にあるため、中間層を薄膜にすると、マイクロクラック生成に対する抑制効果が十分でない場合がある。更に、重量平均分子量Mwが6000より大きくなってくると、分散時の液粘度が高過ぎ、分散不良を引き起こし易く、この場合も中間層を薄膜にするとマイクロクラックを生成させる可能性がある。一方、分散がうまくいったとしても干渉縞が発生する可能性が高くなってくる。更に、このような結着樹脂の中でも、経時変化で縮合が進んでいくものは、使用前の分子量が大き過ぎると使用までの保管期間が短くなってしまい、実用的でない。
【0022】
本発明における重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)によるクロマトグラムを用いて、次の条件で測定される。すなわち、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。なお、THFへの溶解度が低い場合は、溶媒としてDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)を使用することもある。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムは、1×103〜2×106の分子量領域を適確に測定するためには、市販のポリスチレンゲルカラムを単独又は複数組合せて用いるのがよい。
【0023】
中間層の球状樹脂微粉末に用いられる硬化型樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。シリコーン樹脂としては、熱加硫型シリコーンゴム、室温硬化型シリコーンゴム、シリコーンレジン、変性シリコーンレジンが用いられる。メラミン樹脂としては、メラミンとシアヌル酸の縮合物、メラミンとホルムアルデヒドの重縮合物が用いられる。尿素樹脂としては、メチロール尿素の重縮合物が用いられる。アクリル樹脂としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メチル及びアクリル酸エチル等の一官能性モノマーと、ジビニルベンゼンやトリビニルベンゼン等の多官能性モノマーとの共重合体が用いられる。スチレン樹脂としては、スチレン、メチルスチレン及びクロロスチレン等の一官能性モノマーと、ジビニルベンゼンやトリビニルベンゼン等の多官能性モノマーとの共重合体等が用いられる。以上、球状樹脂微粉末に用いられる樹脂を例示したが、本発明の樹脂はこれらに限定されるものではない。
【0024】
本発明の球状樹脂微粉末の形状は、球状の粒子が用いられる真球状や楕円球状が好ましく、不規則な形状の粒子は不適当である。更に、前記分子量を示す結着樹脂を使用した場合、球状樹脂微粉末の平均粒径は0.6〜4.0μmであり、好ましくは1.0〜2.0μmであることによって前述の効果はより大きなものとなる。すなわち、フィラーや球状樹脂微粉末等の被分散成分との密着力が高くなり、塗布液中での分散状態が良好となり、塗膜形成時の球状樹脂微粉末の凝集が抑制される。平均粒径が0.6μmより小さければ、有機結着樹脂と溶剤中に分散させた場合に、球状樹脂微粉末と前記結着樹脂の親和性が良い場合には塗工面の粗面化効果が得られず、干渉縞の原因となる。粗面化効果が得られるのは、球状樹脂微粉末の凝集性が大きい場合、球状樹脂微粉末と結着樹脂との親和性が悪い場合に、塗膜中で球状樹脂微粉末の凝集を生じ、その効果で面が粗れる場合である。しかし、このような場合には、球状樹脂微粉末の凝集によってマイクロクラックが発生し易くなるだけでなく、塗膜面にも不規則な凹凸が多くなり、画質を著しく低下させる原因となる。また、塗布液の安定性、生産性を低下させる原因にもなる。逆に、平均粒径が4.0μmを超え、本発明の分子量を示す結着樹脂と共に使用した場合、球状樹脂微粉末の分散性が低下し、擬似的に凝集した状態になり易く、中間層を薄膜にすると凝集体の近傍でマイクロクラックが発生する可能性がある。更に、6μmを超えてくると、マイクロクラックが凝集体の近傍でより発生し易くなるばかりでなく、塗工面の粗さが大きくなり、その上に積層させる層(電荷発生層等)塗膜に微細なハジキやブツ等を生じ、画像上に白ポチ、黒ポチ等の欠陥を発生させる原因となる。
【0025】
本発明の平均粒径の測定は、以下の方法で行うことができる。球状樹脂微粉末を走査型電子顕微鏡で観察し、各粒子の直径を測定し、20点の平均値をとる。この操作を3回繰り返し、更に平均値をもって平均粒径とする。但し、粉末の粒径の分布が大きい場合には予めよく振って均一にすることが必要である。
【0026】
球状樹脂微粉末の添加量は、中間層の全質量に対して0.5〜30質量%が好ましく、特に好ましくは2〜10質量%で用いられる。添加量が0.5質量%未満では感光体の耐久性、機械的強度が十分でなく、また30質量%を超えると画像欠陥を生ずることがある。
【0027】
中間層は、例えば浸漬あるいはマイヤーバー等による溶剤塗布で形成することができる。
【0028】
フィラーの分散性を向上させるために、フィラー表面をカップリング剤(シランカップリング剤やチタンカップリング剤等)あるいはシリコーンオイル等の処理剤で処理してもよい。また、上記処理剤を中間層のバインダー中に含有させてもよい。
【0029】
中間層の厚みは0.1〜30μmが好ましく、特には0.5〜20μmが好ましい。
【0030】
中間層には、シリコーンオイルや各種界面活性剤等の表面エネルギー低下剤を含有させることができ、これにより塗膜欠陥が小さい均一塗膜面を得ることができる。
【0031】
中間層の分散液の作製方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル及びコロイドミル等が挙げられる。
【0032】
本発明の感光層は単一層でもよいし、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層で構成される積層構造でもよい。感光層が単一層の場合、電荷発生材料と電荷輸送材料を同一層に含有して、同一層内で光キャリアの生成及び移動を行う。感光層が積層構造の場合、電荷発生材料を含有する電荷発生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層との積層順は、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順でもよいし、その逆でもよい。
【0033】
電荷発生材料としては、例えばアゾ系顔料(例えばモノアゾ、ビスアゾ及びトリスアゾ等)、金属及び無金属のフタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料(例えばインジゴ及びチオインジゴ等)、キノン系顔料(例えばアントアントロン及びピレンキノン等)、ペリレン系顔料(例えばペリレン酸無水物及びペリレン酸イミド等)、スクワリウム系色素、ピリリウム、チアピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素等が挙げられる。また、セレン、セレン−テルルあるいはアモルファスシリコン等の無機材料も、電荷発生材料として使用することができる。
【0034】
電荷輸送材料としては、電子輸送材料と正孔輸送材料がある。電子輸送材料としては、例えば2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、クロラニル及びテトラシアノキノジメタン等が挙げられる。正孔輸送材料としては、例えば多環芳香族化合物(例えばピレン、アントラセン等)、複素環化合物(例えばカルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、ピラゾリン、チアジアゾール、トリアゾール等)、ヒドラゾン系化合物(例えばp−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N、N−ジフェニルヒドラゾン、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール等)、スチリル系化合物(例えば、α−フェニル−4’−N,N−ジアミノスチルベン、5−[4−(ジ−p−トリルアミノ)ベンジリデン]−5H−ジベンゾ[a,d]ジシクロヘプテン等)、ベンジジン系化合物及びトリアリールアミン系化合物等が挙げられる。
【0035】
感光層が単一層の場合、感光層の厚みは5〜100μmが好ましく、更には10〜60μmが好ましい。単一層の感光層には、電荷発生材料及び電荷輸送材料を各々の10〜70質量%が好ましく、更には20〜70質量%含有するのが好ましい。
【0036】
感光層が積層構造の場合、電荷発生層の厚みは0.001〜5μmが好ましく、更には0.05〜2μmが好ましく、電荷輸送層の厚みは1〜40μmが好ましく、更には10〜30μmが好ましい。電荷発生層には、電荷発生材料を10〜100質量%が好ましく、更には40〜100質量%含有するのが好ましい。電荷輸送層には、電荷輸送材料を20〜80質量%が好ましく、更には30〜70質量%含有するのが好ましい。
【0037】
本発明の電子写真感光体は、感光層に使用する材料を真空蒸着あるいは適当な結着樹脂と組合せて支持体上に成膜して得られる。
【0038】
感光層の結着樹脂としては、例えば、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ酢酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル樹脂又はセルロース系樹脂等が好ましく用いられる。
【0039】
感光層の材料の種類によっては、中間層から感光層にフリーキャリアが注入されることがあり、感光体の帯電能が低下し、画像特性に大きな影響を及ぼす。この様な場合には、必要に応じて中間層と感光層との間に電気的バリア性を有するバリア層(例えば適当な樹脂薄膜)を設けることによってこのフリーキャリアの注入を効果的に抑制することができる。バリア層としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸、カゼイン、でんぷん等の水溶性樹脂や、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンやポリグルタミン酸エステル等の樹脂を用いることができる。特に、塗工性、密着性、耐溶剤性、電気的バリア性及び抵抗等の点でポリアミドがバリア層として好ましい。ポリアミドとしては、溶液状態で塗布できるような低結晶性もしくは非結晶性の共重合ナイロン等が適当である。バリア層の厚みは、0.1〜2μmが好ましい。
【0040】
本発明の電子写真感光体においては、感光層上に保護層を設けてもよい。保護層は主に樹脂で構成される。保護層を構成する材料としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリサルホン、ポリアリルエーテル、ポリアセタール、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂及びブチラール樹脂等が挙げられる。保護層の膜厚は0.05〜15μmが好ましく、特には1〜10μmが好ましい。
【0041】
支持体はアルミニウム、アルミニウム合金、銅、チタン、ステンレス等の金属や合金、又は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン等の高分子材料、更には、硬質紙等の材料を用いて製造することができる。支持体の形状は、円筒状、ベルト状あるいはシート状が好ましい。支持体を構成する材料の体積抵抗が高い場合には、導電処理をする必要がある。導電処理は、支持体上に導電性薄膜を形成したり、あるいは支持体内に導電性物質を分散させて行うことができる。
【0042】
図1に本発明の塗布液を用いて中間層を形成した電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す。
【0043】
図1において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された露光光4を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に対し、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0044】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材7に、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー画像が転写手段6により順次転写されていく。
【0045】
トナー画像の転写を受けた転写材7は、電子写真感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0046】
像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化される。近年、クリーナレスシステムも研究され、転写残りトナーを直接、現像器等で回収することもできる。更に、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0047】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも1つを電子写真感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール等の案内手段12を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0048】
また、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動又は液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0049】
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも幅広く適用し得るものである。
【0050】
【実施例】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は質量部を意味する。
【0051】
(実施例1)
<中間層用塗布液の調製>
酸化スズの被覆層を有する導電性酸化チタン粉末(被覆率70%)150部、アクリル樹脂(Mw=4200)65部及び球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm)13.5部を2−メトキシ−1−プロパノール70部の溶剤に混合し、サンドミルにより約8時間分散し、塗布液を得た。
【0052】
<感光体の作製>
上記塗布液を外径30mm、長さ260mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬法によって塗布し、140℃で30分間加熱硬化して、膜厚が12μmの中間層を形成した。
【0053】
次に、下記式で示されるオキシチタニウムフタロシアニン顔料4部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BX−1、積水化学工業製)2部、シクロヘキサノン34部からなる溶液をサンドミルで8時間分散した後、テトラヒドロフラン60部を加えて電荷発生層用の分散液を調合した。この分散液を上記の中間層の上に浸漬塗布し、80℃で10分間加熱乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0054】
【化1】
【0055】
次いで、下記式で示されるトリアリールアミン化合物50部と、
【0056】
【化2】
ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ−200、三菱瓦斯化学製)50部をモノクロロベンゼン400部に溶解した溶液を、前記電荷発生層の上に浸漬塗布し、120℃で1時間加熱乾燥して、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。
【0057】
<評価>
塗膜表面のマイクロクラックの有無については、上記の方法で中間層のみを塗布したシリンダー表面を走査型電子顕微鏡で観察し、次のように評価した。
◎:球状樹脂の分布が均一
○:球状樹脂の分布がやや不均一
△:球状樹脂の分布がやや不均一で、一部にマイクロクラックがある
×:球状樹脂の分布が不均一で、マイクロクラックがある
【0058】
その結果、表1に示すように実施例1の塗膜表面にマイクロクラックは発生していなかった。
【0059】
また、作製した電子写真感光体は、キヤノン(株)製複写機GP40(1200dpi)に装着し、中間層の抵抗が高くなる低温低湿(15℃/15%RH)の環境下で電子写真特性の評価を行った。その結果、この電子写真感光体は、表1に示すように低温低湿において、暗部電位(VD)と明部電位(VL)との間に大きな差を形成することができ、十分なコントラストを得ることができた。また、同環境の画像評価として、A4サイズのハーフトン、ベタ白及びベタ黒画像をそれぞれ複写したが、マイクロクラック起因と考えられる画像欠陥はなく、非常に優れた画質の画像が得られた。
【0060】
(実施例2〜12)
実施例1の中間層を、下記の塗布液を用いて形成した中間層に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜12のそれぞれの電子写真感光体を作製した。
【0061】
<実施例2の中間層用塗布液>
酸化アンチモン20%含有の酸化スズ粉末 120部
アクリル樹脂(Mw=4200) 70部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 90部
【0062】
<実施例3の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率82%)
アクリル樹脂(Mw=4200) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0063】
<実施例4の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率55%)
アクリル樹脂(Mw=4200) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
シリコーンオイル 0.015部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0064】
<実施例5の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率55%)
アクリル樹脂(Mw=5400) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0065】
<実施例6の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率55%)
アクリル樹脂(Mw=3500) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0066】
<実施例7の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率55%)
アクリル樹脂(Mw=4200) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径3.8μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0067】
<実施例8の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率55%)
アクリル樹脂(Mw=4200) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径0.6μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0068】
<実施例9の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率55%)
エポキシ樹脂(Mw=5800) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0069】
<実施例10の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率55%)
エポキシ樹脂(Mw=3600) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0070】
<実施例11の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率82%)
レゾール型フェノール樹脂(Mw=3900) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0071】
<実施例12の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率82%)
ノボラック型フェノール樹脂(Mw=4800) 60部
ヘキサメチレンテトラミン 3部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0072】
こうして作製した各電子写真感光体について、実施例1と同様に評価した。その結果、表1に示すように中間層の塗膜表面にマイクロクラックは発生していなかった。また、これらの電子写真感光体は、表1に示すように低温低湿において、暗部電位(VD)と明部電位(VL)との間に大きな差を形成することができ、十分なコントラストを得ることができた。また、同環境の画像評価では実施例9にて非常に薄い干渉縞が見られたが、マイクロクラック起因と考えられる致命的画像欠陥はなかった。その他の実施例でもマイクロクラック起因と考えられる致命的欠陥のない非常に優れた画質の画像が得られた。
【0073】
(実施例13)
実施例3の中間層の上に、
共重合ナイロン樹脂(商品名:CM8000、東レ(株)製) 10部
メタノール 60部
ブタノール 40部
上記溶液を浸漬塗布し、90℃で10分間加熱乾燥して膜厚0.5μmのバリア層を形成した以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
【0074】
作製した電子写真感光体について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。低温低湿における暗部電位(VD)と明部電位(VL)との差は問題なく、十分なコントラストを得ることができた。また、同環境の画像評価においても欠陥のない良好な画像が得られた。
【0075】
(比較例1〜3、参考例1)
実施例1の中間層を、下記の塗布液を用いて形成した中間層に代えた以外は、実施例1と同様にして比較例1〜3、参考例1のそれぞれの電子写真感光体を作製した。こうして作製した各電子写真感光体について、実施例1と同様に評価した。
【0076】
<比較例1の中間層用塗布液>
酸化アンチモン20%含有の酸化スズ粉末 120部
アクリル樹脂(Mw=980) 70部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 90部
【0077】
<比較例2の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率82%)
アクリル樹脂(Mw=3500) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径0.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0078】
<比較例3の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率82%)
アクリル樹脂(Mw=3500) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径6.4μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0079】
<参考例1の中間層用塗布液>
酸化アンチモン20%含有の酸化スズ粉末 120部
アクリル樹脂(Mw=7500) 70部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 90部
結果を表1に示す。比較例1及び3では、中間層の塗膜表面にマイクロクラックが観察され、それに伴ってゆず肌の画像欠陥も発生した。また、比較例3では黒ポチ、白ポチも発生していた。比較例2では、中間層の塗膜表面にわずかにマイクロクラックが見られ、画像評価ではゆず肌と黒ポチが発生していた。
【0080】
参考例1では、球状樹脂の分布がやや不均一であったが、中間層の塗膜表面にマイクロクラックは確認できなかった。しかし、塗膜表面の光沢性が良好であるがために画像に干渉縞が発生していた。
【0081】
【表1】
【0082】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、塗布液中における球状樹脂同士の凝集を防止し、薄膜にしてもマイクロクラックを生成させない中間層用塗布液を用いて中間層を形成することで高速機や高画質機に使用しても画像欠陥を生じない電子写真感光体を提供すること、更にはこの電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、支持体上に中間層を有する電子写真感光体、この電子写真感光体を具備したプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体は、基本的には支持体と支持体上に形成された感光層とから成っている。しかし、支持体の欠陥の被覆、感光層の塗工性向上、感光層と支持体との接着性改良、感光層の電気的破壊に対する保護、帯電性の向上、支持体から感光層への電荷注入性の改良等のために感光層と支持体との間に中間層を設けることが有効である。従って、電子写真感光体における中間層は、被覆性、接着性、機械的強度、適当な導電性と電気的バリア性等の多くの機能が要求される。
【0003】
従来から中間層としては、以下のタイプのものが提案されている。
(1)導電性フィラーの含有しない樹脂薄膜
(2)導電性フィラーの含有した樹脂薄膜
(3)上記(2)の薄膜の上に、上記(1)の薄膜を積層したもの
【0004】
上記(1)の薄膜は導電性フィラーを含有しないため膜の抵抗が高く、しかも支持体上の欠陥を被覆するために厚膜にして用いなければならない。そのために、初期及び繰り返し使用時の残留電位が高くなるという欠点をもっており、上記(1)の薄膜の実用化のためには支持体上の欠陥を小さくし、中間層の膜厚を非常に薄くする必要がある。
【0005】
一方、上記(2)及び(3)の薄膜は、導電性フィラーを分散することによって適当な導電性を付与できる利点はあるが、導電性フィラーの分散性が悪いと、中間層の抵抗や誘電率等の電気特性が変化し、電位特性や画像性に大きな影響を与える。また、フィラーの分散性が悪いと、膜の表面平滑性が悪くなり、塗工欠陥の原因になる。更に、フィラーの分散が悪いと支持体との密着性や機械的強度も低下する。
【0006】
これまでに中間層の導電性フィラーとして、金属(特開昭58−181054号公報)や金属酸化物(特開昭54−151843号公報)、金属窒化物(特開平1−118848号公報)等が開示されている。ところが、従来の導電性フィラーを中間層のフィラーとして用いた電子写真感光体では、温度や湿度等の環境依存性が大きく、低温低湿から高温高湿の全環境下に対して常に安定した電位特性及び画像特性を有する感光体を作製することが困難であった。このように、環境の変化によって感光体の特性が変化してしまうのは、導電性フィラーの分散性が悪いためと考えられる。そこで、特許第3118129号公報では、より分散性に優れたフィラーとして、導電性被覆層を有する硫酸バリウム微粒子からなる粉体が開示されている。
【0007】
ところで、感光体を用いた複写機、プリンターの中でも、レーザービームを応用している場合、レーザー光の干渉と言われる現象を生じ、画像上に所謂干渉縞を生ずる。この干渉縞を防止するために、各種の技術が検討されているが、最も有効な技術の一つとして、支持体を粗面化する方法は既に知られている。支持体を粗面化する方法としては、化学的方法(エッチング等)、機械的方法(サンドブラストやバイトによる研削等)が知られているが、それぞれ公害問題、生産安定性、生産コストに難があるばかりか、表面粗度のバラツキも大きく、特性のコントロールに難がある。表面が不規則に粗くなった場合には、部分的に電荷の注入、ピンホール等を生じ、黒ポチ、白ポチ、カブル等の画像欠陥を起こし、実用としては未だ不十分な段階である。
【0008】
一方、中間層を利用する方法も知られている。すなわち、粗大な不規則形状粒子の添加、あるいは凝集性の大きな不規則形状微粒子と添加する溶剤の組み合せで、中間層の塗膜にゆず肌、セル構造(ベナードセル)を発生させる。異なった種類の樹脂を加えて不均一界面を形成する等の方法で粗面化する技術が知られているが、いずれも表面粗度のコントロールが効かず、前記の画像欠陥の原因となっている。
【0009】
なかでも粗大な不規則形状粒子の添加、凝集性の大きな不規則形状微粒子の添加は比較的表面粗度のコントロールも容易であり、有効な技術であるが、やはり、表面に不規則な粗大欠陥を生じ、画像上に黒ポチやカブリ等の大きな問題が発生しているのが現状である。実際に平均粒径が1〜2μm以上の粗大な不規則形状粒子の添加は、中間層表面を有効に粗面化できるが、このような粒子は一般に沈降し易く、分散によって調製した塗布液の中で均一な状態を保つことが難しく、安定した表面性を得ることが困難であるのが現状である。
【0010】
また、平均粒径が0.5μm以下の不規則形状微粒子では、一般に結着樹脂溶液の中に均一に分散された場合、表面を粗面化する効果を有しない。しかしながら、凝集性の大きな不規則形状粒子の場合、また、粒子と結着樹脂の親和性が比較的悪い場合には、微粒子の凝集により塗工面を粗面化することが可能である。しかし、この場合には、凝集度のコントロールは非常に困難であり、表面に不規則に大きな欠陥を生ずるばかりか、塗布液中にも微粒子の凝集を生じ、安定した表面粗度を得ることが非常に困難であり、実用上に大きな障害となっているのが現状である。
【0011】
そこで、これらの問題を解決するために、中間層に球状樹脂微粉末を含有させる方法が特公平4−78991号公報に開示されている。しかし、この方法では加熱乾燥後冷却を行った際に、結着樹脂と球状樹脂微粉末の間に熱膨張率による収縮差を生じ、ミクロボイドやクラックを発生することが分った。
【0012】
そこで、特許第2707341号公報では、球状樹脂粉体の樹脂として、レゾール型フェノール樹脂を選択し、塗膜の加熱乾燥冷却時の熱収縮による中間層中のミクロボイドやクラックを防止する方法も開示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
近年、高速機だけでなく、カラーレーザープリンターやカラー複写機等の高画質機の開発が盛んに進められている。それらに搭載される電子写真感光体には、より一層の高感度化のほか、画像上ではゴーストが発生しないことが求められている。そこで、中間層を薄膜化し、中間層の抵抗を下げることは有効な手段の一つである。また、低コスト化を目的として中間層を薄膜化する場合もある。このように、抵抗制御や低コスト化の目的で中間層を薄膜化にすると、塗膜の加熱乾燥後にベナードセルに酷似したマイクロクラックを発生する場合がある。これは、肉眼で観察できる場合とできない場合があるが、肉眼で観察できる場合に前記感光体の画像を出力させると、ゆず肌状の欠陥画像となる。また、肉眼で観察できなくても、近年の高速機や高画質機である複写機、カラーレーザープリンター等に使用した場合、黒ポチやゆず肌状の欠陥画像となることがある。
【0014】
本発明の目的は、薄膜にしてもマイクロクラックを生成させない電子写真感光体用塗布液を使用して中間層を形成することで、高速機や高画質機に使用しても画像欠陥を生じない電子写真感光体を提供すること、更にはこの電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、支持体から順に中間層と感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の中間層用塗布液が、導電性粒子、重量平均分子量Mwを3500〜6000とした結着樹脂及び平均粒径を0.6〜4.0μmとした球状樹脂微粉末を混合分散させたものを含有し、該電子写真感光体が前記中間層用塗布液を用いて形成した中間層を有することを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0016】
また、本発明に従って、上記電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の電子写真感光体は、支持体上に支持体側から順に中間層と感光層とを有する。中間層にはフィラーとして、導電性粒子からなる粉体を含有する。導電性粒子紛体としては、酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化スズ等の金属酸化物を主体とした導電性顔料が代表的であり、酸化スズや酸化アンチモン等の被覆層を設けることができる。また、前記金属酸化物や硫酸バリウム等の無機物のコアに酸化スズや酸化亜鉛等の被覆層を設けることもできる。その他にもポリアセチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリピロール、ポリチオクエン等の有機物のコアにLiClO4等の被覆層を設けた物質、金属フタロシアニン(M−PC)、M−PCを主鎖に含むポリマー及びこれらにI2、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)の被覆層を設けた物質等を挙げることができる。更に、中間層の抵抗を制御したり、塗料の白色度を高めるために、他の顔料を併用することも有効であり、その例として被覆層を有しない通常の酸化チタン粉体を挙げることができる。
【0018】
本発明の中間層に用いられる結着樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリビニルアセタール、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂及びポリエステル樹脂等が好ましい。これらの樹脂は単独でも、二種以上を組合せて用いてもよい。これらの樹脂は、支持体に対する接着性が良好であると共に、成膜後の耐溶剤性が良好である。
【0019】
ところで、問題のマイクロクラックは、後述の球状樹脂同士の凝集が原因で生成する。特に、中間層を薄膜にした場合、添加されている球状樹脂微粉末の分散状態が問題となってくる。分散がうまく行われていないと、塗布液中で球状樹脂粒子同士の凝集が起こり、塗布後の乾燥時すなわち塗膜形成時に凝集体界隈でマイクロクラックとなり易い。
【0020】
また、結着樹脂として熱硬化樹脂が使用されることが多いが、その加熱乾燥時、すなわち硬化反応時に生成する縮合水もマイクロクラックの生成と大きな関わりを持つ。加熱乾燥による塗膜形成時に、縮合水が塗膜中に多く存在すると、一般に疎水性を有する球状樹脂微粉末の分散状態が悪くなり、均一な塗膜形成の妨げになると考えられる。この場合もマイクロクラックが形成され易くなる。生成する縮合水の量は、塗布液の分散時に使用する熱硬化樹脂の分子量が小さいほど、多くなってくる。
【0021】
そこで、結着樹脂の分子量を重量平均分子量Mwで3500〜6000とし、好ましくは3800〜5500とすることで、フィラーや球状樹脂微粉末等の被分散成分との密着力が高くなり、塗布液中での分散状態が良好となり、中間層が薄膜になっても塗膜形成時の球状樹脂微粉末の凝集が抑制される。また、加熱乾燥時に生成する縮合水の量を少なくすることができる。重量平均分子量Mwが3500より小さいと、被分散成分との密着力が不足し易いだけでなく、熱硬化時に生成する縮合水の量も多くなる傾向にあるため、中間層を薄膜にすると、マイクロクラック生成に対する抑制効果が十分でない場合がある。更に、重量平均分子量Mwが6000より大きくなってくると、分散時の液粘度が高過ぎ、分散不良を引き起こし易く、この場合も中間層を薄膜にするとマイクロクラックを生成させる可能性がある。一方、分散がうまくいったとしても干渉縞が発生する可能性が高くなってくる。更に、このような結着樹脂の中でも、経時変化で縮合が進んでいくものは、使用前の分子量が大き過ぎると使用までの保管期間が短くなってしまい、実用的でない。
【0022】
本発明における重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)によるクロマトグラムを用いて、次の条件で測定される。すなわち、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。なお、THFへの溶解度が低い場合は、溶媒としてDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)を使用することもある。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムは、1×103〜2×106の分子量領域を適確に測定するためには、市販のポリスチレンゲルカラムを単独又は複数組合せて用いるのがよい。
【0023】
中間層の球状樹脂微粉末に用いられる硬化型樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。シリコーン樹脂としては、熱加硫型シリコーンゴム、室温硬化型シリコーンゴム、シリコーンレジン、変性シリコーンレジンが用いられる。メラミン樹脂としては、メラミンとシアヌル酸の縮合物、メラミンとホルムアルデヒドの重縮合物が用いられる。尿素樹脂としては、メチロール尿素の重縮合物が用いられる。アクリル樹脂としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メチル及びアクリル酸エチル等の一官能性モノマーと、ジビニルベンゼンやトリビニルベンゼン等の多官能性モノマーとの共重合体が用いられる。スチレン樹脂としては、スチレン、メチルスチレン及びクロロスチレン等の一官能性モノマーと、ジビニルベンゼンやトリビニルベンゼン等の多官能性モノマーとの共重合体等が用いられる。以上、球状樹脂微粉末に用いられる樹脂を例示したが、本発明の樹脂はこれらに限定されるものではない。
【0024】
本発明の球状樹脂微粉末の形状は、球状の粒子が用いられる真球状や楕円球状が好ましく、不規則な形状の粒子は不適当である。更に、前記分子量を示す結着樹脂を使用した場合、球状樹脂微粉末の平均粒径は0.6〜4.0μmであり、好ましくは1.0〜2.0μmであることによって前述の効果はより大きなものとなる。すなわち、フィラーや球状樹脂微粉末等の被分散成分との密着力が高くなり、塗布液中での分散状態が良好となり、塗膜形成時の球状樹脂微粉末の凝集が抑制される。平均粒径が0.6μmより小さければ、有機結着樹脂と溶剤中に分散させた場合に、球状樹脂微粉末と前記結着樹脂の親和性が良い場合には塗工面の粗面化効果が得られず、干渉縞の原因となる。粗面化効果が得られるのは、球状樹脂微粉末の凝集性が大きい場合、球状樹脂微粉末と結着樹脂との親和性が悪い場合に、塗膜中で球状樹脂微粉末の凝集を生じ、その効果で面が粗れる場合である。しかし、このような場合には、球状樹脂微粉末の凝集によってマイクロクラックが発生し易くなるだけでなく、塗膜面にも不規則な凹凸が多くなり、画質を著しく低下させる原因となる。また、塗布液の安定性、生産性を低下させる原因にもなる。逆に、平均粒径が4.0μmを超え、本発明の分子量を示す結着樹脂と共に使用した場合、球状樹脂微粉末の分散性が低下し、擬似的に凝集した状態になり易く、中間層を薄膜にすると凝集体の近傍でマイクロクラックが発生する可能性がある。更に、6μmを超えてくると、マイクロクラックが凝集体の近傍でより発生し易くなるばかりでなく、塗工面の粗さが大きくなり、その上に積層させる層(電荷発生層等)塗膜に微細なハジキやブツ等を生じ、画像上に白ポチ、黒ポチ等の欠陥を発生させる原因となる。
【0025】
本発明の平均粒径の測定は、以下の方法で行うことができる。球状樹脂微粉末を走査型電子顕微鏡で観察し、各粒子の直径を測定し、20点の平均値をとる。この操作を3回繰り返し、更に平均値をもって平均粒径とする。但し、粉末の粒径の分布が大きい場合には予めよく振って均一にすることが必要である。
【0026】
球状樹脂微粉末の添加量は、中間層の全質量に対して0.5〜30質量%が好ましく、特に好ましくは2〜10質量%で用いられる。添加量が0.5質量%未満では感光体の耐久性、機械的強度が十分でなく、また30質量%を超えると画像欠陥を生ずることがある。
【0027】
中間層は、例えば浸漬あるいはマイヤーバー等による溶剤塗布で形成することができる。
【0028】
フィラーの分散性を向上させるために、フィラー表面をカップリング剤(シランカップリング剤やチタンカップリング剤等)あるいはシリコーンオイル等の処理剤で処理してもよい。また、上記処理剤を中間層のバインダー中に含有させてもよい。
【0029】
中間層の厚みは0.1〜30μmが好ましく、特には0.5〜20μmが好ましい。
【0030】
中間層には、シリコーンオイルや各種界面活性剤等の表面エネルギー低下剤を含有させることができ、これにより塗膜欠陥が小さい均一塗膜面を得ることができる。
【0031】
中間層の分散液の作製方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル及びコロイドミル等が挙げられる。
【0032】
本発明の感光層は単一層でもよいし、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層で構成される積層構造でもよい。感光層が単一層の場合、電荷発生材料と電荷輸送材料を同一層に含有して、同一層内で光キャリアの生成及び移動を行う。感光層が積層構造の場合、電荷発生材料を含有する電荷発生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層との積層順は、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順でもよいし、その逆でもよい。
【0033】
電荷発生材料としては、例えばアゾ系顔料(例えばモノアゾ、ビスアゾ及びトリスアゾ等)、金属及び無金属のフタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料(例えばインジゴ及びチオインジゴ等)、キノン系顔料(例えばアントアントロン及びピレンキノン等)、ペリレン系顔料(例えばペリレン酸無水物及びペリレン酸イミド等)、スクワリウム系色素、ピリリウム、チアピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素等が挙げられる。また、セレン、セレン−テルルあるいはアモルファスシリコン等の無機材料も、電荷発生材料として使用することができる。
【0034】
電荷輸送材料としては、電子輸送材料と正孔輸送材料がある。電子輸送材料としては、例えば2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、クロラニル及びテトラシアノキノジメタン等が挙げられる。正孔輸送材料としては、例えば多環芳香族化合物(例えばピレン、アントラセン等)、複素環化合物(例えばカルバゾール、インドール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、ピラゾリン、チアジアゾール、トリアゾール等)、ヒドラゾン系化合物(例えばp−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N、N−ジフェニルヒドラゾン、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール等)、スチリル系化合物(例えば、α−フェニル−4’−N,N−ジアミノスチルベン、5−[4−(ジ−p−トリルアミノ)ベンジリデン]−5H−ジベンゾ[a,d]ジシクロヘプテン等)、ベンジジン系化合物及びトリアリールアミン系化合物等が挙げられる。
【0035】
感光層が単一層の場合、感光層の厚みは5〜100μmが好ましく、更には10〜60μmが好ましい。単一層の感光層には、電荷発生材料及び電荷輸送材料を各々の10〜70質量%が好ましく、更には20〜70質量%含有するのが好ましい。
【0036】
感光層が積層構造の場合、電荷発生層の厚みは0.001〜5μmが好ましく、更には0.05〜2μmが好ましく、電荷輸送層の厚みは1〜40μmが好ましく、更には10〜30μmが好ましい。電荷発生層には、電荷発生材料を10〜100質量%が好ましく、更には40〜100質量%含有するのが好ましい。電荷輸送層には、電荷輸送材料を20〜80質量%が好ましく、更には30〜70質量%含有するのが好ましい。
【0037】
本発明の電子写真感光体は、感光層に使用する材料を真空蒸着あるいは適当な結着樹脂と組合せて支持体上に成膜して得られる。
【0038】
感光層の結着樹脂としては、例えば、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ酢酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル樹脂又はセルロース系樹脂等が好ましく用いられる。
【0039】
感光層の材料の種類によっては、中間層から感光層にフリーキャリアが注入されることがあり、感光体の帯電能が低下し、画像特性に大きな影響を及ぼす。この様な場合には、必要に応じて中間層と感光層との間に電気的バリア性を有するバリア層(例えば適当な樹脂薄膜)を設けることによってこのフリーキャリアの注入を効果的に抑制することができる。バリア層としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸、カゼイン、でんぷん等の水溶性樹脂や、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンやポリグルタミン酸エステル等の樹脂を用いることができる。特に、塗工性、密着性、耐溶剤性、電気的バリア性及び抵抗等の点でポリアミドがバリア層として好ましい。ポリアミドとしては、溶液状態で塗布できるような低結晶性もしくは非結晶性の共重合ナイロン等が適当である。バリア層の厚みは、0.1〜2μmが好ましい。
【0040】
本発明の電子写真感光体においては、感光層上に保護層を設けてもよい。保護層は主に樹脂で構成される。保護層を構成する材料としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリサルホン、ポリアリルエーテル、ポリアセタール、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂及びブチラール樹脂等が挙げられる。保護層の膜厚は0.05〜15μmが好ましく、特には1〜10μmが好ましい。
【0041】
支持体はアルミニウム、アルミニウム合金、銅、チタン、ステンレス等の金属や合金、又は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン等の高分子材料、更には、硬質紙等の材料を用いて製造することができる。支持体の形状は、円筒状、ベルト状あるいはシート状が好ましい。支持体を構成する材料の体積抵抗が高い場合には、導電処理をする必要がある。導電処理は、支持体上に導電性薄膜を形成したり、あるいは支持体内に導電性物質を分散させて行うことができる。
【0042】
図1に本発明の塗布液を用いて中間層を形成した電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す。
【0043】
図1において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された露光光4を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に対し、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0044】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材7に、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー画像が転写手段6により順次転写されていく。
【0045】
トナー画像の転写を受けた転写材7は、電子写真感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0046】
像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化される。近年、クリーナレスシステムも研究され、転写残りトナーを直接、現像器等で回収することもできる。更に、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0047】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも1つを電子写真感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール等の案内手段12を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0048】
また、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動又は液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0049】
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも幅広く適用し得るものである。
【0050】
【実施例】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は質量部を意味する。
【0051】
(実施例1)
<中間層用塗布液の調製>
酸化スズの被覆層を有する導電性酸化チタン粉末(被覆率70%)150部、アクリル樹脂(Mw=4200)65部及び球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm)13.5部を2−メトキシ−1−プロパノール70部の溶剤に混合し、サンドミルにより約8時間分散し、塗布液を得た。
【0052】
<感光体の作製>
上記塗布液を外径30mm、長さ260mmのアルミニウムシリンダー上に浸漬法によって塗布し、140℃で30分間加熱硬化して、膜厚が12μmの中間層を形成した。
【0053】
次に、下記式で示されるオキシチタニウムフタロシアニン顔料4部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BX−1、積水化学工業製)2部、シクロヘキサノン34部からなる溶液をサンドミルで8時間分散した後、テトラヒドロフラン60部を加えて電荷発生層用の分散液を調合した。この分散液を上記の中間層の上に浸漬塗布し、80℃で10分間加熱乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0054】
【化1】
【0055】
次いで、下記式で示されるトリアリールアミン化合物50部と、
【0056】
【化2】
ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ−200、三菱瓦斯化学製)50部をモノクロロベンゼン400部に溶解した溶液を、前記電荷発生層の上に浸漬塗布し、120℃で1時間加熱乾燥して、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。
【0057】
<評価>
塗膜表面のマイクロクラックの有無については、上記の方法で中間層のみを塗布したシリンダー表面を走査型電子顕微鏡で観察し、次のように評価した。
◎:球状樹脂の分布が均一
○:球状樹脂の分布がやや不均一
△:球状樹脂の分布がやや不均一で、一部にマイクロクラックがある
×:球状樹脂の分布が不均一で、マイクロクラックがある
【0058】
その結果、表1に示すように実施例1の塗膜表面にマイクロクラックは発生していなかった。
【0059】
また、作製した電子写真感光体は、キヤノン(株)製複写機GP40(1200dpi)に装着し、中間層の抵抗が高くなる低温低湿(15℃/15%RH)の環境下で電子写真特性の評価を行った。その結果、この電子写真感光体は、表1に示すように低温低湿において、暗部電位(VD)と明部電位(VL)との間に大きな差を形成することができ、十分なコントラストを得ることができた。また、同環境の画像評価として、A4サイズのハーフトン、ベタ白及びベタ黒画像をそれぞれ複写したが、マイクロクラック起因と考えられる画像欠陥はなく、非常に優れた画質の画像が得られた。
【0060】
(実施例2〜12)
実施例1の中間層を、下記の塗布液を用いて形成した中間層に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜12のそれぞれの電子写真感光体を作製した。
【0061】
<実施例2の中間層用塗布液>
酸化アンチモン20%含有の酸化スズ粉末 120部
アクリル樹脂(Mw=4200) 70部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 90部
【0062】
<実施例3の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率82%)
アクリル樹脂(Mw=4200) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0063】
<実施例4の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率55%)
アクリル樹脂(Mw=4200) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
シリコーンオイル 0.015部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0064】
<実施例5の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率55%)
アクリル樹脂(Mw=5400) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0065】
<実施例6の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率55%)
アクリル樹脂(Mw=3500) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0066】
<実施例7の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率55%)
アクリル樹脂(Mw=4200) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径3.8μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0067】
<実施例8の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率55%)
アクリル樹脂(Mw=4200) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径0.6μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0068】
<実施例9の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率55%)
エポキシ樹脂(Mw=5800) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0069】
<実施例10の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率55%)
エポキシ樹脂(Mw=3600) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0070】
<実施例11の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率82%)
レゾール型フェノール樹脂(Mw=3900) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0071】
<実施例12の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率82%)
ノボラック型フェノール樹脂(Mw=4800) 60部
ヘキサメチレンテトラミン 3部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0072】
こうして作製した各電子写真感光体について、実施例1と同様に評価した。その結果、表1に示すように中間層の塗膜表面にマイクロクラックは発生していなかった。また、これらの電子写真感光体は、表1に示すように低温低湿において、暗部電位(VD)と明部電位(VL)との間に大きな差を形成することができ、十分なコントラストを得ることができた。また、同環境の画像評価では実施例9にて非常に薄い干渉縞が見られたが、マイクロクラック起因と考えられる致命的画像欠陥はなかった。その他の実施例でもマイクロクラック起因と考えられる致命的欠陥のない非常に優れた画質の画像が得られた。
【0073】
(実施例13)
実施例3の中間層の上に、
共重合ナイロン樹脂(商品名:CM8000、東レ(株)製) 10部
メタノール 60部
ブタノール 40部
上記溶液を浸漬塗布し、90℃で10分間加熱乾燥して膜厚0.5μmのバリア層を形成した以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
【0074】
作製した電子写真感光体について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。低温低湿における暗部電位(VD)と明部電位(VL)との差は問題なく、十分なコントラストを得ることができた。また、同環境の画像評価においても欠陥のない良好な画像が得られた。
【0075】
(比較例1〜3、参考例1)
実施例1の中間層を、下記の塗布液を用いて形成した中間層に代えた以外は、実施例1と同様にして比較例1〜3、参考例1のそれぞれの電子写真感光体を作製した。こうして作製した各電子写真感光体について、実施例1と同様に評価した。
【0076】
<比較例1の中間層用塗布液>
酸化アンチモン20%含有の酸化スズ粉末 120部
アクリル樹脂(Mw=980) 70部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 90部
【0077】
<比較例2の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率82%)
アクリル樹脂(Mw=3500) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径0.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0078】
<比較例3の中間層用塗布液>
酸化亜鉛の被覆層を有する硫酸バリウム微粒子粉末 130部
(被覆率82%)
アクリル樹脂(Mw=3500) 60部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径6.4μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 100部
【0079】
<参考例1の中間層用塗布液>
酸化アンチモン20%含有の酸化スズ粉末 120部
アクリル樹脂(Mw=7500) 70部
球状シリコーン樹脂微粉末(平均粒径1.5μm) 12部
2−メトキシ−1−プロパノール 90部
結果を表1に示す。比較例1及び3では、中間層の塗膜表面にマイクロクラックが観察され、それに伴ってゆず肌の画像欠陥も発生した。また、比較例3では黒ポチ、白ポチも発生していた。比較例2では、中間層の塗膜表面にわずかにマイクロクラックが見られ、画像評価ではゆず肌と黒ポチが発生していた。
【0080】
参考例1では、球状樹脂の分布がやや不均一であったが、中間層の塗膜表面にマイクロクラックは確認できなかった。しかし、塗膜表面の光沢性が良好であるがために画像に干渉縞が発生していた。
【0081】
【表1】
【0082】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、塗布液中における球状樹脂同士の凝集を防止し、薄膜にしてもマイクロクラックを生成させない中間層用塗布液を用いて中間層を形成することで高速機や高画質機に使用しても画像欠陥を生じない電子写真感光体を提供すること、更にはこの電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段
Claims (13)
- 支持体から順に中間層と感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の中間層用塗布液が、導電性粒子、重量平均分子量Mwを3500〜6000とした結着樹脂及び平均粒径を0.6〜4.0μmとした球状樹脂微粉末を混合分散させたものを含有し、該電子写真感光体が前記中間層用塗布液を用いて形成した中間層を有することを特徴とする電子写真感光体。
- 前記中間層用塗布液が、更にシリコーンオイルを含有する請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記導電性粒子が被覆層を有する金属酸化物である請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記被覆層が酸化スズ又は酸化アンチモンであり、かつ前記金属酸化物が酸化チタンである請求項3に記載の電子写真感光体。
- 前記導電性粒子が無機物又は有機物のコアを含有する請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記導電性粒子のコアが硫酸バリウムである請求項5に記載の電子写真感光体。
- 前記結着樹脂の重量平均分子量Mwが3800〜5500である請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記球状樹脂微粉末の平均粒径が1.0〜2.0μmである請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記球状樹脂微粉末が球状シリコーン樹脂微粉末である請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記結着樹脂が、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂及びポリエステル樹脂からなる群より選ばれたものである請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記中間層と前記感光層との間にバリア層を有する請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の電子写真感光体を、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段、静電潜像の形成された電子写真感光体をトナーで現像する現像手段及び転写工程後の電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも1つの手段と共に一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の電子写真感光体、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した電子写真感光体に対し露光を行い静電潜像を形成する露光手段、静電潜像の形成された電子写真感光体にトナーで現像する現像手段及び電子写真感光体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段を備えることを特徴とする電子写真装置。
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- 2002-07-23 JP JP2002214166A patent/JP2004054122A/ja active Pending
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