JP2004048843A - 電圧駆動型パワー素子のドライブ回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゲートドライブ用エミッタ端子と主エミッタ端子をもつ電圧駆動型パワー素子のドライブに、スイッチングロスの増大を抑制しながらスイッチングノイズの低減を図る。上下短絡時の保護を容易にする。
【解決手段】IGBTの主エミッタ端子とゲート端子間に、分流動作電圧を設定するツェナーダイオードZDと、逆流阻止用ダイオードDとの直列回路構成のゲート電流分流回路を設け、IGBTのオン時に、エミッタ配線のインダクタンス分で発生する誘起電圧でゲート抵抗Rgを通したゲート電流を分流させてIGBTのオン時のスイッチングスピードを調整する。
ゲート電流分流回路にゲート電流の大きさをせ調整する抵抗、または分流タイミングを調整する可飽和リアクトルを追加した構成を含む。また、誘起電圧に応じてオン・オフ時の分流電流を調整するアンプ回路も含む。
【選択図】 図1
【解決手段】IGBTの主エミッタ端子とゲート端子間に、分流動作電圧を設定するツェナーダイオードZDと、逆流阻止用ダイオードDとの直列回路構成のゲート電流分流回路を設け、IGBTのオン時に、エミッタ配線のインダクタンス分で発生する誘起電圧でゲート抵抗Rgを通したゲート電流を分流させてIGBTのオン時のスイッチングスピードを調整する。
ゲート電流分流回路にゲート電流の大きさをせ調整する抵抗、または分流タイミングを調整する可飽和リアクトルを追加した構成を含む。また、誘起電圧に応じてオン・オフ時の分流電流を調整するアンプ回路も含む。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、IGBT、MOSFET等の電圧駆動型パワー素子をゲート電圧でオン・オフ制御するドライブ回路に係り、特にスイッチングスピードの調整方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
IGBT,MOSFET等の電圧駆動型パワー素子のドライブ回路は、代表的なパワー素子としてのIGBTに適用した場合を図7に示す。同図において、トランジスタTr1がONし、IGBTのゲートG−エミッタE(駆動)間にスレッショルドレベル以上の電圧が印加されることによってIGBTがONする。また、トランジスタTr2がONし、IGBTのG−E(駆動)間にスレッショルドレベル以下の電圧が印加されることによってIGBTがOFFする。
【0003】
このON/OFF動作は瞬時には行われず、図8に示すように、Vceが飽和レベルに達していない状態でコレクタ電流Icが流れる期間があり、このときにスイッチングロスを生じる。また、その高速スイッチングによって電流、電圧が急激に変化することからノイズを発生する。
【0004】
上記のスイッチングロスとノイズは、トレード・オフの関係にあり、スイッチングスピードを上げればロスは低減するがノイズが増大し、スイッチングスピードを下げればノイズは低減するがロスが増大する。
【0005】
従来、IGBTのスイッチンゲスピードは、図7のゲート抵抗Rgの抵抗値によって調整している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ゲート抵抗Rgを調整する従来方式では、スイッチング期間の全域でスイッチングスピードが固定され、電流、電圧の変化率が小さい領域、すなわち、ノイズが発生しない期間においてもスイッチングスピードを低下させスイッチングロスが発生する。
【0007】
また、図9に示すように、回路には配線に起因するインピーダンスが存在するが、このインピーダンスがIGBTのインピーダンスに比較して大きい場合には直列接続したIGBT1,IGBT2の上下短絡が発生すると、IGBTのVceが上昇せずに完全にONすることにより、短絡電流が増大し、パワー素子の保護が困難になる。
【0008】
本発明の目的は、スイッチングを遅らせることによるスイッチングロスの増大を抑制しながらスイッチングノイズの低減を図り、しかも、上下短絡時の保護を容易にする電圧駆動型パワー素子のドライブ回路を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
図10に示すように、パワー素子になるIGBT内部のエミッタ配線にはインダクタンス分が存在する。このインダクタンス分を通してパワー用主エミッタ端子にdi/dtの大きな電流が流れるとエミッタ配線に誘起電圧が生じる。通常、ゲート電位が主回路エミッタ電位に影響されるとIGBTの誤動作等の問題を生じるため、ゲートドライブ用エミッタ端子は主電流が流れないように、分離してパッケージ外部に引き出している。
【0010】
本発明は、上記のゲートドライブ用エミッタ端子と主エミッタ端子をもつ電圧駆動型パワー素子において、そのエミッタ配線のインダクタンス分で発生する誘起電圧を利用してゲート電流を分流させるゲート電流分流回路または電流制御アンプ回路を設けることで、前記の課題を解決したもので、以下の構成を特徴とする。
【0011】
(1)ゲートドライブ用エミッタ端子と主エミッタ端子をもつ電圧駆動型パワー素子を、ゲート抵抗を通して印加するゲート電圧でオン・オフ制御するドライブ回路であって、
前記主エミッタ端子とゲート端子間に設けられ、パワー素子のオン時に、ゲートドライブ用エミッタ端子と主エミッタ端子間を接続するエミッタ配線のインダクタンス分で発生する誘起電圧で前記ゲート抵抗を通したゲート電流を分流させてパワー素子のオン時のスイッチングスピードを調整するゲート電流分流回路を備えたことを特徴とする。
【0012】
(2)前記ゲート電流分流回路は、
・ゲート電流の分流動作電圧を設定するツェナーダイオードと、逆流阻止用ダイオードとの直列回路構成、
・ゲート電流の分流動作電圧を設定するツェナーダイオードと、逆流阻止用ダイオードと、分流させるゲート電流の大きさをせ調整する抵抗との直列回路構成、
・ゲート電流の分流動作電圧を設定するツェナーダイオードと、逆流阻止用ダイオードと、ゲート電流を分流させるタイミングを調整する可飽和リアクトルとの直列回路構成、
・ゲート電流の分流動作電圧を設定するツェナーダイオードと、逆流阻止用ダイオードと、ゲート電流を分流させるタイミングを調整する可飽和リアクトルと、分流させるゲート電流の大きさをせ調整する抵抗との直列回路構成、
のいずれか1つの回路構成にしたことを特徴とする。
【0013】
(3)ゲートドライブ用エミッタ端子と主エミッタ端子をもつ電圧駆動型パワー素子を、ゲート抵抗を通して印加するゲート電圧でオン・オフ制御するドライブ回路であって、
前記主エミッタ端子とゲート端子間に設けられ、パワー素子のオンまたはオフ時に、ゲートドライブ用エミッタ端子と主エミッタ端子間を接続するエミッタ配線のインダクタンス分で発生する誘起電圧の増減に応じて前記ゲート抵抗を通したゲート電流を分流させてパワー素子のオンまたはオフ時のスイッチングスピードを調整するゲート電流制御アンプ回路を備えたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態を示すドライブ回路図である。同図が図7と異なる部分は、IGBTのゲート端子Gと主エミッタ端子E間に逆流阻止用のダイオードDと、ゲート電流分流動作電圧を設定するツェナーダイオードZDを直列接続したゲート電流分流回路を追加した点にある。
【0015】
この構成において、IGBTのON時にエミッタ配線に誘起される電圧Veeが、ツェナーダイオードZDのツェナー電圧を超えると、ゲート電流分流回路にゲート電流が分流するため、IGBTのゲート電流が減少しスイッチングスピードが緩やかになる。そして、di/dtが大きな期間をすぎると、エミッタ配線に生じる電圧が小さくなるため、ツェナーダイオードZDに電流が流れなくなり、通常のゲート抵抗と同じとなる。
【0016】
このときの模式図を図2に示す。同図中、破線は従来のドライブ回路におけるコレクタ電流とエミッタ配線の誘起電圧およびゲート電流の各波形を示し、実線は本実施形態のドライブ回路による波形を示し、IGBTのON時のコレクタ電流の立ち上がりが緩やかになり、スイッチングロスの増大を抑制しながらスイッチングノイズの低減を図ることができる。
【0017】
また、IGBTを直列接続する回路構成において、上下のIGBT短絡発生時にIGBTのコレクタ電流として急峻な電流が流れるが、ゲート電流分流回路によりIGBTのゲート電荷を引き抜く動作を行うため、短絡電流の極端な増大を抑制することが可能となり、IGBTの保護が容易となる。
【0018】
(実施形態2)
図3は本発明の他の実施形態を示し、実施形態1のゲート電流分流回路として、ツェナーダイオードZDとダイオードDにさらに抵抗Rを直列に接続した構成とする。
【0019】
本実施形態によれば、実施形態1の作用効果に加えて、分流させるゲート電流の大きさを抵抗Rで調整可能となり、IGBTの動作特性やこれを使用した電力変換回路に要求される動作性能等に応じて、IGBTのスイッチングスピードを容易に調整することができる。
【0020】
(実施形態3)
図4は本発明の他の実施形態を示し、実施形態1のゲート電流分流回路の抵抗Rに代えて、可飽和リアクトルSTを直列に設けた構成とする。
【0021】
本実施形態によれば、実施形態1の作用効果に加えて、ゲート電流分流回路にゲート電流を分流させる動作タイミングを可飽和リアクトルSTの飽和動作タイミング(リアクトルSTに印加される電圧と時間の積で決まる)で調整することができる。これにより、ゲート電流分流回路の動作タイミングを確実にすることができる。
【0022】
(実施形態4)
図5は本発明の他の実施形態を示し、実施形態2,3を組み合わせた構成とする。すなわち、ゲート電流分流回路は、ツェナーダイオードZDとダイオードDと抵抗Rおよび可飽和リアクトルSTを直列に接続した構成とする。
【0023】
この構成により、実施形態1の作用効果に加えて、IGBTのスイッチングスピードとゲート電流分流回路の動作タイミングを調整することが可能になり、ドライブ回路を適用可能な素子および装置の範囲を広げることができる。
【0024】
(実施形態5)
図6は本発明の他の実施形態を示し、ゲート電流分流回路として、IGBTのエミッタ配線に誘起する電圧の増減に応じてゲート電流の分流度合いを制御するゲート電流制御アンプAMPとその電流制限抵抗Rを設ける。
【0025】
本実施形態において、パワー側の主エミッタ端子の電位に比較して駆動側のエミッタ端子の電位が高くなった場合はアンプAMPの出力が低下することで、IGBTのゲート電流を下げる。逆に、パワー側の主エミッタ端子の電位に比較して駆動側のエミッタ端子の電位が低くなった場合はアンプAMPの出力が上昇することで、IGBTのゲート電流を上げる。
【0026】
本実施形態によれば、アンプAMPを設けることにより、ゲート電流を任意に調整することができ、スイッチングロスの増大を抑制しながらスイッチングノイズの低減を図ること、及びIGBTの保護のためのゲート電流調整が確実、容易になる。
【0027】
なお、本実施形態では、IGBTのON/OFF時の両方のスイッチング動作時のゲート電流制御が可能となる。
【0028】
以上までの各実施形態は、電圧駆動型パワー素子として、IGBTの場合を示すが、MOSFET等の他の電圧駆動型パワー素子に適用して同等の作用効果を得ることができる。また、ドライブ回路はトランジスタTr1,Tr2でプッシュプル回路に構成するものに限られるものでない。
【0029】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、電圧駆動型パワー素子のエミッタ配線のインダクタンス分で発生する誘起電圧を利用してゲート電流を分流させるようにしたため、スイッチングロスの増大を抑制しながらスイッチングノイズの低減を図り、しかも、上下短絡時の保護を容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1を示すドライブ回路図。
【図2】実施形態1でのコレクタ電流とエミッタ配線に誘起する電圧の関係図。
【図3】本発明の実施形態2を示すドライブ回路図。
【図4】本発明の実施形態3を示すドライブ回路図。
【図5】本発明の実施形態4を示すドライブ回路図。
【図6】本発明の実施形態5を示すドライブ回路図。
【図7】従来のドライブ回路図。
【図8】スイッチングロス発生の模式図。
【図9】短絡時の模式図。
【図10】IGBTの内部配線の模式図。
【符号の説明】
Tr1,Tr2…トランジスタ
Rg…ゲート抵抗
ZD…ツェナーダイオード
D…ダイオード
R…抵抗
ST…可飽和リアクトル
AMP…アンプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、IGBT、MOSFET等の電圧駆動型パワー素子をゲート電圧でオン・オフ制御するドライブ回路に係り、特にスイッチングスピードの調整方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
IGBT,MOSFET等の電圧駆動型パワー素子のドライブ回路は、代表的なパワー素子としてのIGBTに適用した場合を図7に示す。同図において、トランジスタTr1がONし、IGBTのゲートG−エミッタE(駆動)間にスレッショルドレベル以上の電圧が印加されることによってIGBTがONする。また、トランジスタTr2がONし、IGBTのG−E(駆動)間にスレッショルドレベル以下の電圧が印加されることによってIGBTがOFFする。
【0003】
このON/OFF動作は瞬時には行われず、図8に示すように、Vceが飽和レベルに達していない状態でコレクタ電流Icが流れる期間があり、このときにスイッチングロスを生じる。また、その高速スイッチングによって電流、電圧が急激に変化することからノイズを発生する。
【0004】
上記のスイッチングロスとノイズは、トレード・オフの関係にあり、スイッチングスピードを上げればロスは低減するがノイズが増大し、スイッチングスピードを下げればノイズは低減するがロスが増大する。
【0005】
従来、IGBTのスイッチンゲスピードは、図7のゲート抵抗Rgの抵抗値によって調整している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ゲート抵抗Rgを調整する従来方式では、スイッチング期間の全域でスイッチングスピードが固定され、電流、電圧の変化率が小さい領域、すなわち、ノイズが発生しない期間においてもスイッチングスピードを低下させスイッチングロスが発生する。
【0007】
また、図9に示すように、回路には配線に起因するインピーダンスが存在するが、このインピーダンスがIGBTのインピーダンスに比較して大きい場合には直列接続したIGBT1,IGBT2の上下短絡が発生すると、IGBTのVceが上昇せずに完全にONすることにより、短絡電流が増大し、パワー素子の保護が困難になる。
【0008】
本発明の目的は、スイッチングを遅らせることによるスイッチングロスの増大を抑制しながらスイッチングノイズの低減を図り、しかも、上下短絡時の保護を容易にする電圧駆動型パワー素子のドライブ回路を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
図10に示すように、パワー素子になるIGBT内部のエミッタ配線にはインダクタンス分が存在する。このインダクタンス分を通してパワー用主エミッタ端子にdi/dtの大きな電流が流れるとエミッタ配線に誘起電圧が生じる。通常、ゲート電位が主回路エミッタ電位に影響されるとIGBTの誤動作等の問題を生じるため、ゲートドライブ用エミッタ端子は主電流が流れないように、分離してパッケージ外部に引き出している。
【0010】
本発明は、上記のゲートドライブ用エミッタ端子と主エミッタ端子をもつ電圧駆動型パワー素子において、そのエミッタ配線のインダクタンス分で発生する誘起電圧を利用してゲート電流を分流させるゲート電流分流回路または電流制御アンプ回路を設けることで、前記の課題を解決したもので、以下の構成を特徴とする。
【0011】
(1)ゲートドライブ用エミッタ端子と主エミッタ端子をもつ電圧駆動型パワー素子を、ゲート抵抗を通して印加するゲート電圧でオン・オフ制御するドライブ回路であって、
前記主エミッタ端子とゲート端子間に設けられ、パワー素子のオン時に、ゲートドライブ用エミッタ端子と主エミッタ端子間を接続するエミッタ配線のインダクタンス分で発生する誘起電圧で前記ゲート抵抗を通したゲート電流を分流させてパワー素子のオン時のスイッチングスピードを調整するゲート電流分流回路を備えたことを特徴とする。
【0012】
(2)前記ゲート電流分流回路は、
・ゲート電流の分流動作電圧を設定するツェナーダイオードと、逆流阻止用ダイオードとの直列回路構成、
・ゲート電流の分流動作電圧を設定するツェナーダイオードと、逆流阻止用ダイオードと、分流させるゲート電流の大きさをせ調整する抵抗との直列回路構成、
・ゲート電流の分流動作電圧を設定するツェナーダイオードと、逆流阻止用ダイオードと、ゲート電流を分流させるタイミングを調整する可飽和リアクトルとの直列回路構成、
・ゲート電流の分流動作電圧を設定するツェナーダイオードと、逆流阻止用ダイオードと、ゲート電流を分流させるタイミングを調整する可飽和リアクトルと、分流させるゲート電流の大きさをせ調整する抵抗との直列回路構成、
のいずれか1つの回路構成にしたことを特徴とする。
【0013】
(3)ゲートドライブ用エミッタ端子と主エミッタ端子をもつ電圧駆動型パワー素子を、ゲート抵抗を通して印加するゲート電圧でオン・オフ制御するドライブ回路であって、
前記主エミッタ端子とゲート端子間に設けられ、パワー素子のオンまたはオフ時に、ゲートドライブ用エミッタ端子と主エミッタ端子間を接続するエミッタ配線のインダクタンス分で発生する誘起電圧の増減に応じて前記ゲート抵抗を通したゲート電流を分流させてパワー素子のオンまたはオフ時のスイッチングスピードを調整するゲート電流制御アンプ回路を備えたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態を示すドライブ回路図である。同図が図7と異なる部分は、IGBTのゲート端子Gと主エミッタ端子E間に逆流阻止用のダイオードDと、ゲート電流分流動作電圧を設定するツェナーダイオードZDを直列接続したゲート電流分流回路を追加した点にある。
【0015】
この構成において、IGBTのON時にエミッタ配線に誘起される電圧Veeが、ツェナーダイオードZDのツェナー電圧を超えると、ゲート電流分流回路にゲート電流が分流するため、IGBTのゲート電流が減少しスイッチングスピードが緩やかになる。そして、di/dtが大きな期間をすぎると、エミッタ配線に生じる電圧が小さくなるため、ツェナーダイオードZDに電流が流れなくなり、通常のゲート抵抗と同じとなる。
【0016】
このときの模式図を図2に示す。同図中、破線は従来のドライブ回路におけるコレクタ電流とエミッタ配線の誘起電圧およびゲート電流の各波形を示し、実線は本実施形態のドライブ回路による波形を示し、IGBTのON時のコレクタ電流の立ち上がりが緩やかになり、スイッチングロスの増大を抑制しながらスイッチングノイズの低減を図ることができる。
【0017】
また、IGBTを直列接続する回路構成において、上下のIGBT短絡発生時にIGBTのコレクタ電流として急峻な電流が流れるが、ゲート電流分流回路によりIGBTのゲート電荷を引き抜く動作を行うため、短絡電流の極端な増大を抑制することが可能となり、IGBTの保護が容易となる。
【0018】
(実施形態2)
図3は本発明の他の実施形態を示し、実施形態1のゲート電流分流回路として、ツェナーダイオードZDとダイオードDにさらに抵抗Rを直列に接続した構成とする。
【0019】
本実施形態によれば、実施形態1の作用効果に加えて、分流させるゲート電流の大きさを抵抗Rで調整可能となり、IGBTの動作特性やこれを使用した電力変換回路に要求される動作性能等に応じて、IGBTのスイッチングスピードを容易に調整することができる。
【0020】
(実施形態3)
図4は本発明の他の実施形態を示し、実施形態1のゲート電流分流回路の抵抗Rに代えて、可飽和リアクトルSTを直列に設けた構成とする。
【0021】
本実施形態によれば、実施形態1の作用効果に加えて、ゲート電流分流回路にゲート電流を分流させる動作タイミングを可飽和リアクトルSTの飽和動作タイミング(リアクトルSTに印加される電圧と時間の積で決まる)で調整することができる。これにより、ゲート電流分流回路の動作タイミングを確実にすることができる。
【0022】
(実施形態4)
図5は本発明の他の実施形態を示し、実施形態2,3を組み合わせた構成とする。すなわち、ゲート電流分流回路は、ツェナーダイオードZDとダイオードDと抵抗Rおよび可飽和リアクトルSTを直列に接続した構成とする。
【0023】
この構成により、実施形態1の作用効果に加えて、IGBTのスイッチングスピードとゲート電流分流回路の動作タイミングを調整することが可能になり、ドライブ回路を適用可能な素子および装置の範囲を広げることができる。
【0024】
(実施形態5)
図6は本発明の他の実施形態を示し、ゲート電流分流回路として、IGBTのエミッタ配線に誘起する電圧の増減に応じてゲート電流の分流度合いを制御するゲート電流制御アンプAMPとその電流制限抵抗Rを設ける。
【0025】
本実施形態において、パワー側の主エミッタ端子の電位に比較して駆動側のエミッタ端子の電位が高くなった場合はアンプAMPの出力が低下することで、IGBTのゲート電流を下げる。逆に、パワー側の主エミッタ端子の電位に比較して駆動側のエミッタ端子の電位が低くなった場合はアンプAMPの出力が上昇することで、IGBTのゲート電流を上げる。
【0026】
本実施形態によれば、アンプAMPを設けることにより、ゲート電流を任意に調整することができ、スイッチングロスの増大を抑制しながらスイッチングノイズの低減を図ること、及びIGBTの保護のためのゲート電流調整が確実、容易になる。
【0027】
なお、本実施形態では、IGBTのON/OFF時の両方のスイッチング動作時のゲート電流制御が可能となる。
【0028】
以上までの各実施形態は、電圧駆動型パワー素子として、IGBTの場合を示すが、MOSFET等の他の電圧駆動型パワー素子に適用して同等の作用効果を得ることができる。また、ドライブ回路はトランジスタTr1,Tr2でプッシュプル回路に構成するものに限られるものでない。
【0029】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、電圧駆動型パワー素子のエミッタ配線のインダクタンス分で発生する誘起電圧を利用してゲート電流を分流させるようにしたため、スイッチングロスの増大を抑制しながらスイッチングノイズの低減を図り、しかも、上下短絡時の保護を容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1を示すドライブ回路図。
【図2】実施形態1でのコレクタ電流とエミッタ配線に誘起する電圧の関係図。
【図3】本発明の実施形態2を示すドライブ回路図。
【図4】本発明の実施形態3を示すドライブ回路図。
【図5】本発明の実施形態4を示すドライブ回路図。
【図6】本発明の実施形態5を示すドライブ回路図。
【図7】従来のドライブ回路図。
【図8】スイッチングロス発生の模式図。
【図9】短絡時の模式図。
【図10】IGBTの内部配線の模式図。
【符号の説明】
Tr1,Tr2…トランジスタ
Rg…ゲート抵抗
ZD…ツェナーダイオード
D…ダイオード
R…抵抗
ST…可飽和リアクトル
AMP…アンプ
Claims (3)
- ゲートドライブ用エミッタ端子と主エミッタ端子をもつ電圧駆動型パワー素子を、ゲート抵抗を通して印加するゲート電圧でオン・オフ制御するドライブ回路であって、
前記主エミッタ端子とゲート端子間に設けられ、パワー素子のオン時に、ゲートドライブ用エミッタ端子と主エミッタ端子間を接続するエミッタ配線のインダクタンス分で発生する誘起電圧で前記ゲート抵抗を通したゲート電流を分流させてパワー素子のオン時のスイッチングスピードを調整するゲート電流分流回路を備えたことを特徴とする電圧駆動型パワー素子のドライブ回路。 - 前記ゲート電流分流回路は、
・ゲート電流の分流動作電圧を設定するツェナーダイオードと、逆流阻止用ダイオードとの直列回路構成、
・ゲート電流の分流動作電圧を設定するツェナーダイオードと、逆流阻止用ダイオードと、分流させるゲート電流の大きさをせ調整する抵抗との直列回路構成、
・ゲート電流の分流動作電圧を設定するツェナーダイオードと、逆流阻止用ダイオードと、ゲート電流を分流させるタイミングを調整する可飽和リアクトルとの直列回路構成、
・ゲート電流の分流動作電圧を設定するツェナーダイオードと、逆流阻止用ダイオードと、ゲート電流を分流させるタイミングを調整する可飽和リアクトルと、分流させるゲート電流の大きさをせ調整する抵抗との直列回路構成、
のいずれか1つの回路構成にしたことを特徴とする請求項1に記載の電圧駆動型パワー素子のドライブ回路。 - ゲートドライブ用エミッタ端子と主エミッタ端子をもつ電圧駆動型パワー素子を、ゲート抵抗を通して印加するゲート電圧でオン・オフ制御するドライブ回路であって、
前記主エミッタ端子とゲート端子間に設けられ、パワー素子のオンまたはオフ時に、ゲートドライブ用エミッタ端子と主エミッタ端子間を接続するエミッタ配線のインダクタンス分で発生する誘起電圧の増減に応じて前記ゲート抵抗を通したゲート電流を分流させてパワー素子のオンまたはオフ時のスイッチングスピードを調整するゲート電流制御アンプ回路を備えたことを特徴とする電圧駆動型パワー素子のドライブ回路。
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JP (1) | JP2004048843A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010124627A (ja) * | 2008-11-20 | 2010-06-03 | Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial System Corp | ゲート回路 |
JP2011120381A (ja) * | 2009-12-03 | 2011-06-16 | Hitachi Automotive Systems Ltd | モータ制御装置 |
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