JP3601310B2 - パワーデバイスの駆動回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体電力変換器の主回路を構成する電流センス端子付のパワーデバイスの駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体電力変換器(以下、単に電力変換器と称する)においては、近年、1組または複数組の前記パワーデバイスとその駆動回路を1個のモジュールに内蔵し、このモジュールに該パワーデバイスそれぞれの過電流保護機能などを装備した、所謂、インテリジェント・パワー・モジュール(以下、単にIPMと称する)が採用されている。
【0003】
図4は、1組の前記パワーデバイスとその駆動回路からなるこの種の電力変換器の従来例を示す回路構成図である。
図4において、1は電流センス端子付のパワーデバイスとしてのIGBT、2はIGBT1の電流センス端子から流れる電流を検出する検出抵抗、3はIGBT1のオンに伴って、図示の主回路電源(V)から給電される負荷、10は入力される駆動信号に基づいてIGBT1をオン・オフさせる駆動回路である。
【0004】
この駆動回路10は図示の駆動回路電源(VDD)とIGBT1のエミッタ端子との間に直列に接続されるPチャネルのMOSFET11及びNチャネルのMOSFET12と、IGBT1のゲート端子とエミッタ端子との間に接続されるNチャネルのMOSFET13と、検出抵抗2の両端電圧が所定の値(V)を超えたときにその偏差を増幅し、前記駆動信号がIGBT1をオンさせる状態のときのみ、該増幅した出力がエネーブル(動作状態)となる電流検出回路14と、該駆動信号に基づいてMOSFET11,12をオン・オフさせるプリドライバ16,17からなる制御回路15とを備えている。
【0005】
図4に示した電力変換器においては、IGBT1にはコレクタ電流(数A〜数100A)に比例した微少電流(数ミリA以下)を出力する電流センス端子を備えており、通常の動作状態では、駆動回路10に入力される駆動信号のHigh/Lowに対応してIGBT1がオン/オフする。
また、IGBT1がオン期間中に、何らかの要因でIGBT1のコレクタ電流がその定格電流を大きく超えた状態では、検出抵抗2の両端電圧が所定の値(V)を超えることにより電流検出回路14が動作をしてMOSFET13を駆動し、その結果、IGBT1のゲート・エミッタ間電圧(VGE)が前記駆動回路電源VDDの値から減少し、電流検出回路14が内蔵する増幅器のゲインと、MOSFET11,13それぞれのオン抵抗の分圧比値と、IGBT1の電流センス部のトランスコンダクタンスと、検出抵抗2の抵抗値との積で表される伝達特性に基づいた値に収束し、前記要因が除去されない限り、この減少したVGEでIGBT1が駆動されてコレクタ電流を抑制し、定格電流を大きく超えた過電流からIGBT1が保護される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示した従来の電力変換器によると、前記駆動回路10を半導体集積回路で実現する場合、IGBT1がオン期間中に、検出抵抗2の両端電圧が所定の値(V)を超えたことを電流検出回路14が検知してその偏差増幅出力でMOSFET13を駆動して、IGBT1のゲート・エミッタ間電圧(VGE)を速やかに減少させ、IGBT1のコレクタ電流を速やかに抑制するためには、IGBT1のゲート容量に蓄積された電荷を高速に引き抜くことができる電流定格を有するMOSFET13が必要であり、その結果、MOSFET13のチップサイズはMOFET12と同等程度の大きさとなり、この駆動回路10を内蔵した半導体集積回路全体のチップサイズが大きくなり、歩留りの低下とチップコストの上昇を招いていた。
【0007】
この発明の目的は、上記問題点を解決するバワーデバイスの駆動回路を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、半導体電力変換器の主回路を構成する電流センス端子付のパワーデバイスの駆動回路であって、
該駆動回路には第1トランジスタと第2トランジスタと第3トランジスタと第4トランジスタと電流検出回路と制御回路とを備え、前記駆動回路の電源の一端と前記パワーデバイスのソース端子又はエミッタ端子との間に、第1トランジスタと第2トランジスタとを直列に接続すると共に、第3トランジスタと第4トランジスタとを直列に接続し、第1トランジスタと第2トランジスタの接続点と、前記パワーデバイスのゲート端子とを接続し、前記電流検出回路は前記パワーデバイスの電流センス端子とソース端子又はエミッタ端子との間に接続される検出抵抗の両端電圧が所定の値を超えたときにその偏差を増幅し、この増幅値を該パワーデバイスがオン状態のときのみ出力し、第3トランジスタと第4トランジスタの接続点と、前記電流検出回路の出力と、第2トランジスタのゲート端子又はベース端子とを接続し、前記制御回路は入力される駆動信号に基づいて第1トランジスタと第3トランジスタとを交互にオン・オフさせ、第1トランジスタをオンさせた時から所定の期間のみ第4トランジスタをオンさせて第2トランジスタをオフさせた後、前記パワーデバイスがオン期間中は前記電流検出回路の出力により第2トランジスタを駆動するものとする。
【0009】
この発明によれば、前記パワーデバイスのゲートを直接駆動する第1トランジスタと第2トランジスタとによって、定格電流範囲内での該パワーデバイスの通常のオン・オフ駆動ができるだけでなく、何らかの要因で定格電流を大きく超えた電流が流れた場合に、該パワーデバイスのゲート電圧を減少させて、この過大電流を抑制するために、別途第2トランジスタと同程度の大きさのトランジスタを備えることなく、前記電流検出回路が所定の値以上の過電流を検出して、その偏差を増幅した出力で第2トランジスタのゲート端子又はベース端子を直接駆動することにより、前記駆動回路の電源電圧を第1トランジスタと第2トランジスタで分圧した値が速やかに該パワーデバイスのゲートに印加されるようにして、該パワーデバイスのコレクタ電流又はドレイン電流を制限し保護する。また、この駆動回路を半導体集積回路に内蔵する際、該パワーデバイスのゲート電圧を減少させるための特別なトランジスタが不要になり、通常のゲート駆動出力段でこのゲート電圧を減少させる機能が実現できるため、チップサイズの増大を免れ、歩留り低下とチップコストの増大を回避できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、1組の電流センス端子付のパワーデバイスとその駆動回路からなるこの発明の第1の実施例を示す電力変換器の回路構成図であり、図4に示した従来例回路と同一機能を有するものには同一符号を付している。
すなわち図1に示す電力変換器においてはIGBT1と、検出抵抗2と、負荷3と、入力される駆動信号に基づいてIGBT1をオン・オフさせる駆動回路20とを備えている。
【0011】
この駆動回路20は第1トランジスタとしてのPチャネルのMOSFET11と、第2トランジスタとしてのNチャネルのMOSFET12と、第3トランジスタとしてのPチャネルのMOSFET21と、第4トランジスタとしてのNチャネルのMOSFET22と、検出抵抗2の両端電圧が所定の値(V)を超えたときにその偏差を増幅し、この増幅値を前記駆動信号がIGBT1をオンさせる状態のときのみ、その増幅した出力がエネーブル(動作状態)となる電流検出回路23と、プリドライバ16,プリドライバ25,前記駆動信号がLowからHighになったときに所定の時間MOSFET22をオンさせるワンショット回路26からなる制御回路24とから構成されている。
【0012】
図1に示した駆動回路20の動作を、図2に示す動作波形図を参照しつつ、以下に説明する。
図2(A)はIGBT1がオン期間中に検出抵抗2の両端電圧(図2A(ヘ)参照)が電流検出回路23の比較電圧(V)を超えない状態、すなわち定格電流範囲内でIGBT1がオンしている状態の動作波形図である。
【0013】
図2(A)において、先ず、駆動信号(図2A(イ)参照)がLowからHighに変化すると、プリドライバ16の出力(図2A(ロ)参照)は図示の如く変化し、MOSFET11はオン状態となる。このLowからHighに変化したことにより、ワンショット回路26も動作して、この動作期間(図2A(ハ)参照)だけMOSFET22がオン状態となり、その結果MOSFET12のゲート電圧が急速に0ボルトまで低下し(図2A(ニ)参照)、MOSFET12がオフすることで、IGBT1のゲート電圧(図2A(ホ)参照)が上昇して、IGBT1がターンオンをする。このとき、ワンショット回路26の動作時間はMOSFET12のゲート電圧が0ボルトになるまでの必要最小限の時間に設定すればよい。さらに、IGBT1がオン期間中に検出抵抗2の両端電圧(図2A(ヘ)参照)が電流検出回路23の比較電圧(V)を超えないので、図1に示した電流検出回路23の接点が前記駆動信号に基づいて閉路していても、その出力がゼロボルトのままなので、MOSFET12をオンさせることはない。
【0014】
次に、駆動信号(図2A(イ)参照)がHighからLowに変化すると、プリドライバ16の出力(図2A(ロ)参照)は図示の如く変化し、MOSFET11はオフ状態となり、プリドライバ25の出力によりMOSFET21がオン状態となり、その結果MOSFET12のゲート電圧(図2A(ニ)参照)が上昇して、MOSFET12がオン状態となり、IGBT1のゲート電圧(図2A(ホ)参照)が0ボルトまで下降して、IGBT1がターンオフをする。
【0015】
図2(B)はIGBT1がオン期間中に検出抵抗2の両端電圧(図2B(ヘ)参照)が電流検出回路23の比較電圧(V)を超えた状態、すなわち、何らかの要因でIGBT1のコレクタ電流がその定格電流を超えた状態の動作波形図である。
図2(B)において、駆動信号(図2B(イ)参照)がLowからHighに変化して、上述と同様の動作でIGBT1のゲート電圧(図2B(ホ)参照)が上昇して、IGBT1がターンオンすると、検出抵抗2の両端電圧(図2B(ヘ)参照)も増大し、この電圧が電流検出回路23の比較電圧(V)を超えると、このときMOSFET21,22は共にオフ状態で、且つ電流検出回路23の前記接点も閉路状態にあるので、検出抵抗2の両端電圧と比較電圧(V)との偏差を増幅した出力が電流検出回路23から出力され、この出力値によりMOSFET12を駆動することになり(図2B(ニ)参照)、その結果、前記駆動回路電源VDDの値から減少し、電流検出回路23が内蔵する増幅器のゲインと、MOSFET11,12それぞれのオン抵抗による分圧比と、IGBT1の電流センス部のトランスコンダクタンスと、検出抵抗2の抵抗値との積に基づいた値で収束し、前記要因が除去されない限り、IGBT1はこの減少したゲート電圧(図2B(ホ)参照)で駆動されてIGBT1のコレクタ電流が抑制され、定格を大きく超えた過電流から保護される。
【0016】
上述のIGBT1のコレクタ電流が抑制された状態で、駆動信号(図2B(イ)参照)がHighからLowに変化すると、プリドライバ16の出力(図2B(ロ)参照)は図示の如く変化し、MOSFET11はオフ状態となり、プリドライバ25の出力によりMOSFET21がオン状態となり、一方電流検出回路23は駆動信号(図2B(イ)参照)のLowが入力されて不動作状態なので、その結果、MOSFET12のゲート電圧(図2B(ニ)参照)が駆動回路電源の電圧(VDD)まで上昇して、MOSFET12がオン状態となり、IGBT1のゲート電圧(図2B(ホ)参照)が0ボルトまで下降して、IGBT1がターンオフをする。
【0017】
図3は、1組の電流センス端子付のパワーデバイスとその駆動回路からなるこの発明の第2の実施例を示す電力変換器の回路構成図であり、図1に示した第1の実施例回路と同一機能を有するものには同一符号を付している。
すなわち図3に示す電力変換器においてはIGBT1と、検出抵抗2と、負荷3と、入力される駆動信号に基づいてIGBT1をオン・オフさせる駆動回路30とを備え、この駆動回路30はMOSFET11と、MOSFET12と、MOSFET21と、MOSFET22と、電流検出回路23と、制御回路24と、比較器31と、ディレー回路32と、アラーム回路33と、アンド回路34とから構成されている。
【0018】
この種の電力変換器において、IGBT1のオン期間中に、何らかの要因でIGBT1のコレクタ電流がその定格電流を超えても、例えば1〜2マイクロ秒程度でその要因が消滅することがあり、この場合には、先述の如く電流検出回路23などによりIGBT1のコレクタ電流を抑制すれば、IGBT1の破損が防止できる。しかしながら、負荷3が短絡状態に陥ったときには前記コレクタ電流がIGBT1の短絡耐量以上流れることが予想されるので、この電力変換器の動作を停止させる、すなわちIGBT1のコレクタ電流を抑制状態から零にして、IGBT1の破損を防止する必要がある。図3に示した駆動回路30における比較器31,ディレー回路32,アラーム回路33,アンド回路34は上述の目的を達成するために備えられている。
【0019】
すなわち、比較器31は検出抵抗2の両端電圧が前記Vに達したときに動作をし、この動作の継続時間をディレー回路32が監視をし、該継続時間が所定の値(例えば、数マイクロ秒以上)を超えるとディレー回路32が動作をし、この出力をアラーム回路33に入力し、アラーム回路33では、一旦ディレー回路32が動作をすると、1〜数ミリ秒程度これを保持した過電流信号として、外部へ出力すると共に、この過電流信号と前記駆動信号の論理積をアンド回路33で演算することにより、このアンド回路では該駆動信号がHighで過電流信号が発生しているときには出力をLowにすることにより、IGBT1がターンオフ動作をして、IGBT1のコレクタ電流を零にする。
【0020】
上述の如く、過電流時にIGBT1のゲート電圧を減少させてコレクタ電流を制限して保護する機能を内蔵したパワーデバイスの駆動回路を半導体集積回路に内蔵する場合、従来はゲート駆動出力用トランジスタの他にそのゲート電圧を直接クランプするための大面積のトランジスタを必要としていたが、この駆動回路では余分な大面積のトランジスタが不要になり、チップサイズの増大を回避できる。
【0021】
【発明の効果】
この発明によれば、前記パワーデバイスのゲートを直接駆動する第1トランジスタと第2トランジスタとによって、定格電流範囲内での該パワーデバイスの通常のオン・オフ駆動ができるだけでなく、何らかの要因で定格電流を大きく超えた電流が流れた場合に、該パワーデバイスのゲート電圧を減少させて、該パワーデバイスのコレクタ電流又はドレイン電流を制限し損傷を防止する。
【0022】
また、この駆動回路を半導体集積回路に内蔵する際、該パワーデバイスのゲート電圧を減少させるための特別なトランジスタが不要になり、通常のゲート駆動出力段でこのゲート電圧を減少させる機能が実現できるため、チップサイズの増大を免れ、歩留り低下とチップコストの増大を回避でき、特に、電流センス端子付のパワーデバイスとその駆動回路とを一体化したIPMに対して好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例を示す電力変換器の回路構成図
【図2】図1の動作波形図
【図3】この発明の第2の実施例を示す電力変換器の回路構成図
【図4】従来例を示す電力変換器の回路構成図
【符号の説明】
1…IGBT、2…検出抵抗、3…負荷、10…駆動回路、11〜13…MOSFET、14…電流検出回路、15…制御回路、16,17…プリドライバ、20…駆動回路、21,22…MOSFET、23…電流検出回路、24…制御回路、25…プリドライバ、26…ワンショット回路、30…駆動回路、31…比較器、32…ディレー回路、33…アラーム回路、34…アンド回路。

Claims (1)

  1. 半導体電力変換器の主回路を構成する電流センス端子付のパワーデバイスの駆動回路であって、
    該駆動回路には第1トランジスタと第2トランジスタと第3トランジスタと第4トランジスタと電流検出回路と制御回路とを備え、
    前記駆動回路の電源の一端と前記パワーデバイスのソース端子又はエミッタ端子との間に、第1トランジスタと第2トランジスタとを直列に接続すると共に、第3トランジスタと第4トランジスタとを直列に接続し、
    第1トランジスタと第2トランジスタの接続点と、前記パワーデバイスのゲート端子とを接続し、
    前記電流検出回路は前記パワーデバイスの電流センス端子とソース端子又はエミッタ端子との間に接続される検出抵抗の両端電圧が所定の値を超えたときにその偏差を増幅し、この増幅値を該パワーデバイスがオン状態のときのみ出力し、
    第3トランジスタと第4トランジスタの接続点と、前記電流検出回路の出力と、第2トランジスタのゲート端子又はベース端子とを接続し、
    前記制御回路は入力される駆動信号に基づいて第1トランジスタと第3トランジスタとを交互にオン・オフさせ、第1トランジスタをオンさせた時から所定の期間のみ第4トランジスタをオンさせて第2トランジスタをオフさせた後、前記パワーデバイスがオン期間中は前記電流検出回路の出力により第2トランジスタを駆動することを特徴とするパワーデバイスの駆動回路。
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