JP2004047770A - ウエーハのダイシング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダイシング用テープに接着したウエーハのダイシングを行なう際に、粘着性の切削屑の生起を防止可能としたウエーハのダイシング方法を提供する。
【解決手段】接着材によりウエーハ1をダイシング用テープに接着した後、少なくともダイシング時にウエーハ1がダイシング用テープ4から剥離しない程度に接着材の接着強度を低下させ、その後、ウエーハ1をダイシングする。特に、ウエーハ1のダイシングにおける切削溝6の形成位置に沿って接着材の接着強度を低下させる。また、接着材を紫外線硬化性接着材とし、接着材に紫外線を照射することにより同接着材の接着強度を低下させる。
【選択図】 図2
【解決手段】接着材によりウエーハ1をダイシング用テープに接着した後、少なくともダイシング時にウエーハ1がダイシング用テープ4から剥離しない程度に接着材の接着強度を低下させ、その後、ウエーハ1をダイシングする。特に、ウエーハ1のダイシングにおける切削溝6の形成位置に沿って接着材の接着強度を低下させる。また、接着材を紫外線硬化性接着材とし、接着材に紫外線を照射することにより同接着材の接着強度を低下させる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所要の半導体回路を形成したウエーハをダイシング装置でダイシングする場合におけるダイシング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体チップを製造する場合には、略円板状とした半導体基板からなるウエーハに多数個の半導体チップが同時に形成され、所要の製造工程の後にダイシング装置を用いてウエーハのダイシングを行なうことにより単体の半導体チップが形成されている。
【0003】
かかるダイシング装置によるウエーハのダイシングは、以下のように行なわれている。
【0004】
まず、図7(a)の断面模式図に示すように、ウエーハ101は、基材フィルム102の上面に接着層103を設けて構成したダイシング用テープ104に接着されて、同ダイシング用テープ104を介してダイシング装置のウエーハ載置テーブル(図示せず)に固定されている。
【0005】
ウエーハ101の固定後、ウエーハ載置テーブルを水平移動させることにより、図7(b)に示すように、ダイシング装置の回転する切削ブレード105によってウエーハ101には切削溝106が刻設され、同切削溝106を格子状に設けることにより半導体チップ107単体への切離、すなわちダイシングが行なわれている。
【0006】
その際に、接着層103には十分な接着力を有する接着材が用いられおり、切削ブレード105による切削時に半導体チップ107が接着層103から剥離して、ダイシング用テープ104上で各半導体チップ107が不揃いとなることを防止している。
【0007】
ダイシングによって半導体チップ107を形成した後、図7(c)に示すように、半導体チップ107を被着したダイシング用テープ104は紫外線照射部108に搬送され、同紫外線照射部108において、ダイシング用テープ104下方に位置させた紫外線照射装置109から接着層103に紫外線が照射されている。
【0008】
ここで、基材フィルム102には紫外線を透過可能とした素材、例えばポリオレフィン製フィルムが用いられるとともに、接着層103には紫外線硬化性を有する接着材、例えばアクリルが用いられており、ダイシング用テープ104の基材フィルム102側から所定波長の紫外線を所定強度で所定時間照射されることにより接着層103を硬化させて、接着層103の接着力を低下させている。
【0009】
接着層103の接着力を低下させた後、図7(d)に示すように、ダイシング用テープ104はチップ取出部110に搬送され、同チップ取出部110においてダイシング用テープ104の下方に位置させたニードルヘッド111を上昇させることにより、同ニードルヘッド111上端に立設した押上用ニードル112によって半導体チップ107は上方に押し上げられ、同半導体チップ107の上方に位置させた吸着ヘッド113で同半導体チップ107は吸着されて搬出されるべく構成している。
【0010】
かかるダイシング方法においては、図7(b)に示すように、切削ブレード105によって切削溝106が形成される場合に、半導体チップ107の完全な切離を行なうためにダイシング用テープ104の一部まで切削ブレード105で切り込みが行なわれており、切削ブレード105によって半導体チップ107部分の切削粉だけでなく、ダイシング用テープ104の切削粉も生成されている。
【0011】
そこで、切削にともなって生成された半導体チップ107部分の切削粉、及びダイシング用テープ104の切削粉を除去するとともに、切削作業にともなう切削ブレード105及び同切削ブレード105による切削領域の加熱を防止すべく、切削ブレード105による切削作業の際には、切削ブレード105及び同切削ブレード105による切削領域には高圧洗浄水が噴射されており、半導体チップ107部分の切削粉、及びダイシング用テープ104の切削粉が除去されるようにしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる切削作業において、ダイシング用テープが切削されることにより生成された切削粉のうち、ダイシング用テープの接着層部分の切削粉は強い粘着性を有しているため、同切削粉が切削ブレードあるいはウエーハ表面に粘着し、切削ブレードに目詰まりを生起させたり、あるいは半導体チップ上に切削粉を残留させたりするという問題があった。
【0013】
そのうえ、かかる粘着性を有する切削粉は、自身の粘着性によって他の切削粉と結合することにより結合粒径が拡大し、上記した切削ブレードへの付着による目詰まりや、半導体チップ上への切削粉の残留の影響をさらに大きくするという問題があった。
【0014】
特に、半導体チップが固体撮像素子である場合には、画素領域に切削粉が粘着することによって不良品となる場合があり、製造歩留りを低下させる原因ともなっていた。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決すべく、本発明のウエーハのダイシング方法では、接着材によりウエーハをダイシング用テープに接着した後、少なくともダイシング時にウエーハがダイシング用テープから剥離しない程度に接着材の接着強度を低下させ、その後、ウエーハをダイシングすることとした。
【0016】
また、ウエーハのダイシングにおける切削溝の形成位置に沿って接着材の接着強度を低下させること、接着材を紫外線硬化性接着材とし、接着材に紫外線を照射することにより同接着材の接着強度を低下させること、ウエーハには固体撮像素子を形成していることにも特徴を有するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の、ウエーハのダイシング方法では、ダイシングされるウエーハを接着材によりダイシング用テープに接着した後、少なくともダイシング時にウエーハがダイシング用テープから剥離しない程度にまで接着材の接着強度を低下させ、その後、ウエーハをダイシング用テープを介してダイシング装置に固定配設し、ダイシングを行なうものである。
【0018】
すなわち、ウエーハをダイシング用テープに接着するために用いる接着材としては、ダイシングの際にウエーハを固定でき得る最低限度の接着強度を有する接着材を使用するのが好ましいが、実際問題としてそのような接着材を見出すことは困難であり、そのため、接着強度が必要以上の大きい接着材が用いられているので、ダイシングの実施前にあらかじめ接着材の接着強度を少なくともダイシング時にウエーハがダイシング用テープから剥離しない程度にまで低下させることにより、ダイシングにともなって粘着力の強い切削粉が生起されることを防止しているものである。
【0019】
これにより、ダイシングの際にダイシング装置の切削ブレード及び同切削ブレードによる切削領域に噴射した高圧洗浄水によって切削粉を確実に除去することができ、切削ブレードにおける目詰まりの生起や、半導体チップ上への切削粉の残留を防止できる。
【0020】
特に、接着材の接着強度を低下させる際に、ウエーハのダイシングにおける切削溝の形成位置に沿って接着材の接着強度を低下させることによって、切削溝の形成位置以外に位置する接着材は十分な接着性を有しており、ダイシングされた半導体チップのダイシング用テープからの剥離を確実に防止できる。
【0021】
その一方で、切削溝の形成位置においては接着強度が消失する程度にまで接着強度を低下させることにより、切削ブレードによる切削を行なった際に粘着性のほとんど無い切削粉のみを生成することができるので、切削ブレードにおける目詰まりの生起や、半導体チップ上への切削粉の残留を、さらに確実に防止できる。
【0022】
また、接着材を紫外線硬化性接着材とし、接着材に紫外線を照射することにより同接着材の接着強度を低下させた場合には、接着強度低下処理を容易に行なうことができるとともに、接着強度低下処理を実施する領域を容易に、かつ精度よく選択して実施することができ、製造コストの上昇を抑止できる。
【0023】
また、ウエーハに固体撮像素子を形成した場合には、ダイシングによって単体状態に切離された固体撮像素子の画素領域に切削粉が残留することを防止することができるので、切削粉残留にともなう不良の生起を解消することができ、製造歩留りを向上させることができる。
【0024】
以下において、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳説する。
【0025】
図1は、本発明にかかるダイシング方法を説明する工程説明図である。ダイシングに際しては、図1(a)の断面模式図に示すように、まず、ウエーハ1をダイシング用テープ4に接着している。なお、ダイシング用テープ4はあらかじめ矩形枠状の固定フレーム(図示せず)に張設しており、通常は同固定フレームを用いて取り扱いを行なっている。
【0026】
ダイシング用テープ4には従来から使用されているダイシング用テープ4をそのまま用いており、ポリオレフィン製フィルムからなる基材フィルム2の上面にアクリルを塗布して接着層3を形成し、同接着層3によってウエーハ1を接着している。なお、本実施の形態では、接着層3の接着材として紫外線硬化性の接着材を用い、同接着材に紫外線を照射することにより接着材を硬化させ、接着強度を低下させるべく構成しているため、基材フィルム2には紫外線を透過可能としたポリオレフィン製フィルムを用い、接着層3を構成する接着材にはアクリルを用いているが、使用した接着材の接着強度を低下させる手段が紫外線照射以外であれば、接着強度低下手段に合わせた素材からなる基材フィルム2及び接着材を用いてよい。
【0027】
なお、接着材として紫外線硬化性の接着材を用いた場合には、紫外線の照射によって接着材を硬化させることにより接着材の接着強度を容易に低下させることができ、しかも、製造工程においてウエーハ1に対して行なわれる各種処理によって接着層3の接着強度に変動が生じることを防止でき、製造工程を安定化させることができる。
【0028】
ウエーハ1をダイシング用テープ4に接着した後、図1(b)に示すように、同ダイシング用テープ4を紫外線照射部A1に搬送し、同紫外線照射部A1において、ダイシング用テープ4下方に位置させた紫外線照射装置Aから接着層3に紫外線を照射している。
【0029】
紫外線の照射条件は、使用した接着材の種類、及び接着層3の厚み等の条件に適した条件で行ない、接着層3を硬化させて接着強度を低下させている。ただし、低下させた接着強度は、ダイシング装置によるダイシング処理の際に、ウエーハ1がダイシング用テープ4から剥離しない程度となるように、紫外線の照射強度と照射時間とを調整している。
【0030】
接着層3の接着強度低下処理を行なった後、ダイシング用テープ4を介してウエーハ1をダイシング装置のウエーハ載置テーブル(図示せず)に固定し、ウエーハ載置テーブルを水平移動させることにより、図1(c)に示すように、ダイシング装置の回転する切削ブレード5によってウエーハ1に切削溝6を刻設し、ダイシングを行なっている。
【0031】
ダイシングの際には、ウエーハ1を完全に切断すべく、切削ブレード5がダイシング用テープ4を20μm程度切り込むように設定しており、同切削ブレード5によるダイシング用テープ4の切削にともなってダイシング用テープ4上面の接着層3が切削され、接着層3の切削にともなって接着材からなる切削粉が生成される。
【0032】
ここで、接着層3の接着材からなる切削粉は、接着層3に接着強度低下処理を行なっていることによって粘着力が弱く、ウエーハ1部分の切削粉、及び基材フィルム2部分の切削粉と同様に、ダイシングの際に切削領域に噴射している高圧洗浄水によって容易に除去することができ、接着材からなる切削粉が切削ブレード5に粘着することによる目詰まりの生起や、ダイシングによって形成された半導体チップ7表面への付着の生起を防止できる。
【0033】
ダイシングによって半導体チップ7を形成した後、図1(d)に示すように、ダイシング用テープ4はチップ取出部B1に搬送し、同チップ取出部B1においてダイシング用テープ4の下方に位置させたニードルヘッド8を上昇させることにより、同ニードルヘッド8上端に立設した押上用ニードル9によって半導体チップ7を上方に押し上げ、同半導体チップ7の上方に位置させた吸着ヘッド10で同半導体チップ7を吸着して搬出している。
【0034】
ここで、接着層3は、先に行なった接着強度低下処理によって接着強度が低下しているため、ダイシング後に、再度、接着層3に接着強度低下処理を行なうことなくチップ取出部B1において半導体チップ7の取出しを行なうことができるので、従来と比較して作業工程を増加させることなく実施することができる。
【0035】
以下において、図2の工程説明図に基づいて他の実施形態について説明する。なお、以下において、上記した実施形態と同一構成部分については同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
【0036】
本実施形態においても、図2(a)の断面模式図に示すように、まず、ウエーハ1はダイシング用テープ4に接着している。
【0037】
その後、図2(b)に示すように、同ダイシング用テープ4を紫外線照射部A1に搬送し、同紫外線照射部A1において、ダイシング用テープ4下方に位置させた紫外線照射装置Aから接着層3に紫外線を照射している。
【0038】
この時、ダイシング用テープ4の下面側には投光溝11を設けた遮蔽体12を介設し、投光溝11によって形成される照射領域にのみ紫外線を照射している。紫外線の照射領域は、ウエーハ1に切削溝6を形成する切削溝形成領域13とし、同切削溝形成領域13部分の接着層3の接着材のみを硬化させ、図3に拡大して示すように、接着層3に接着強度を低下させた硬化領域14を形成している。
【0039】
本実施の形態において、遮蔽体12には紫外線を遮蔽する平板体を用い、図4に示すように、同遮蔽体12には所定の間隔で複数の投光溝11を設けている。投光溝11の配設間隔は、ウエーハ1に形成する切削溝6の配設間隔と略同一としている。
【0040】
特に、ウエーハ1のダイシングによって平面視正方形の半導体チップ7を形成する場合には、図4に示すように、直線形状の投光溝11を所定間隔で形成した遮蔽体12を用いて紫外線を遮光しながら1度目の紫外線照射を行ない、次いで、遮蔽体12を90°回転させて2度目の紫外線照射を行なうことにより、格子状に紫外線の照射領域を形成すべく構成している。
【0041】
なお、ウエーハ1に形成する半導体チップ7が、固体撮像素子のように一方の辺が他方の辺より長い長方形形状である場合には、1度目の遮光に用いる遮蔽体12と、2度目の遮光に用いる遮蔽体12とを別々とし、それぞれ異なる配設間隔で投光溝11を設けた遮蔽体12を使用している。
【0042】
遮蔽体12に形成する投光溝11の溝幅は、ダイシング装置の切削ブレード5によって形成される切削溝6の溝幅寸法よりも大きくしていることが望ましい。
【0043】
接着層3に形成した硬化領域14では、同硬化領域14以外の部分の接着層3が十分な接着性を有しているので、接着強度が消失する程度まで紫外線の照射を行なってもよく、紫外線の照射強度及び照射時間を厳密に管理することなく紫外線照射を実施できる。
【0044】
接着層3に硬化領域14を形成した後、ダイシング用テープ4を介してウエーハ1をダイシング装置のウエーハ載置テーブルに固定し、ウエーハ載置テーブルを水平移動させることにより、図2(c)に示すように、ダイシング装置の回転する切削ブレード5によってウエーハ1の切削溝形成領域13に切削溝6を刻設し、ダイシングを行なって半導体チップ7を形成している。
【0045】
ダイシングにおいて接着層3を切削する際には、先に形成した硬化領域14部分を切削するので、切削にともなって生成された硬化領域14の切削粉は粘着力をほとんど消失しており、ウエーハ1部分の切削粉、及び基材フィルム2部分の切削粉と同様に、ダイシングの際に切削領域に噴射している高圧洗浄水によって容易に除去することができ、接着材からなる切削粉が切削ブレード5に粘着することによる目詰まりの生起や、ダイシングによって形成された半導体チップ7表面への付着の生起を防止できる。
【0046】
ダイシングによって半導体チップ7を形成した後、図2(d)に示すように、半導体チップ7を被着したダイシング用テープ4は、再度、紫外線照射部A1に搬送し、同紫外線照射部A1において、ダイシング用テープ4下方に位置させた紫外線照射装置Aから接着層3全体に紫外線を照射して、接着層3全体の接着材を硬化させて同接着材の接着強度を低下させている。
【0047】
接着層3全体の接着強度を低下させた後、図2(e)に示すように、ダイシング用テープ4はチップ取出部B1に搬送し、同チップ取出部B1においてダイシング用テープ4の下方に位置させたニードルヘッド8を上昇させることにより、同ニードルヘッド8上端に立設した押上用ニードル9によって半導体チップ7を上方に押し上げ、同半導体チップ7の上方に位置させた吸着ヘッド10で同半導体チップ7を吸着して搬出している。
【0048】
本実施形態のように、切削溝6の形成される切削溝形成領域13に沿って接着層3の接着材の接着強度をあらかじめ低下させた硬化領域14を形成することにより、切削ブレード5による切削にともなって生成される接着層3の切削粉の接着強度を低下させて、粘着性を有する切削粉の生起を防止する一方で、硬化領域14以外の接着層3の接着材は十分な接着強度を有するので、ウエーハ1がダイシング用テープ4から剥離することを確実に防止できる。
【0049】
従って、硬化領域14においては、接着強度を消失させるまで紫外線を照射してもよく、紫外線照射時の作業管理を容易とすることができる。
【0050】
また、ウエーハ1に固体撮像素子を形成している場合には、ダイシングによって単体状態に切離された固体撮像素子の画素領域に切削粉が粘着して残留することを確実に防止することができるので、切削粉残留にともなう不良の生起を解消することができ、製造歩留りを向上させることができる。
【0051】
なお、硬化領域14の形成にあたっては、上記したように遮蔽体12を用いて紫外線を遮蔽して形成するだけでなく、図5に示すように、ダイシング用テープ4の基材フィルム2の裏面側に、紫外線を遮蔽する遮蔽材15を所要パターンに印刷して紫外線を遮蔽し、硬化領域14を形成すべく構成してもよい。この場合、硬化領域14の形成後、適宜の手段で遮蔽材15を除去することにより接着層3全体への紫外線の照射を可能としている。
【0052】
あるいは、図6に示すように、ダイシング用テープ4の基材フィルム2の裏面側に、遮蔽用パターン16を形成した遮蔽用フィルム17を重合させておき、同遮蔽用フィルム17の遮蔽用パターンによって紫外線を遮蔽し、硬化領域14を形成すべく構成してもよい。この場合、硬化領域14の形成後、基材フィルム2から遮蔽用フィルム17を剥離することにより接着層3全体への紫外線の照射を可能としている。
【0053】
あるいは、硬化領域14を形成すべく紫外線を照射する紫外線照射装置として、紫外線レーザーを照射可能とした紫外線照射装置を用い、紫外線レーザーを走査させることによって所定位置に硬化領域14を形成すべく構成してもよい。
【0054】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、接着材によりウエーハをダイシング用テープに接着した後、少なくともダイシング時にウエーハがダイシング用テープから剥離しない程度に接着材の接着強度を低下させ、その後、ウエーハをダイシングすることによって、ダイシングにともなってダイシング用テープの一部が切削されることによって生成された接着材部分の切削粉が粘着性を有することを防止でき、切削粉同士が結合することも防止できる。
【0055】
従って、ダイシングの際にダイシング装置の切削ブレード及び同切削ブレードによる切削領域に噴射した高圧洗浄水によって、ダイシングによって生じた切削粉を確実に除去することができ、切削ブレードにおける切削粉による目詰まりを防止できるので、切削ブレードによる切削状態を良好に保つことができ、ダイシングされた半導体チップの品質を安定させることができる。
【0056】
また、半導体チップ上への切削粉の残留を防止できるので、同半導体チップの品質を向上させることができるとともに、後工程での吸着ヘッドによる半導体チップのピックアップの際に、吸着ヘッドによって確実にピックアップを行なうことができる。
【0057】
請求項2記載の発明によれば、ウエーハのダイシングにおける切削溝の形成位置に沿って接着材の接着強度を低下させることによって、切削溝の形成位置以外に位置する接着材は十分な接着性を有しているので、ダイシングされた半導体チップがダイシング用テープから剥離することを確実に防止できる。
【0058】
しかも、切削溝の形成位置においては接着強度が消失する程度にまで接着強度を低下させてもよく、接着強度を低下させる処理を厳密な管理に基づいて行なう必要がないので、高コストの設備を用いることなく実施できる。
【0059】
請求項3記載の発明によれば、接着材を紫外線硬化性接着材とし、接着材に紫外線を照射することにより同接着材の接着強度を低下させることによって、接着強度低下処理を容易に実施することができるとともに、接着強度低下処理を実施する領域を容易に、かつ精度よく選択して実施することができ、製造コストの上昇を抑止できる。
【0060】
請求項4記載の発明によれば、ウエーハに固体撮像素子を形成した場合には、同固体撮像素子の画素領域に切削粉の付着が生じて黒点不良などの製品不良を生起すること防止でき、製造歩留りを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるダイシング方法を説明する工程説明図である。
【図2】他の実施形態のダイシング方法を説明する工程説明図である。
【図3】硬化領域を説明する説明図である。
【図4】遮蔽板の一例を示した説明図である。
【図5】遮蔽板以外の遮蔽形態の説明図である。
【図6】遮蔽板以外の遮蔽形態の説明図である。
【図7】従来のダイシング方法を説明する工程説明図である。
【符号の説明】
A 紫外線照射装置
A1 紫外線照射部
B1 チップ取出部
1 ウエーハ
2 基材フィルム
3 接着層
4 ダイシング用テープ
5 切削ブレード
6 切削溝
7 半導体チップ
8 ニードルヘッド
9 押上用ニードル
10 吸着ヘッド
11 投光溝
12 遮蔽体
13 切削溝形成領域
14 硬化領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、所要の半導体回路を形成したウエーハをダイシング装置でダイシングする場合におけるダイシング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体チップを製造する場合には、略円板状とした半導体基板からなるウエーハに多数個の半導体チップが同時に形成され、所要の製造工程の後にダイシング装置を用いてウエーハのダイシングを行なうことにより単体の半導体チップが形成されている。
【0003】
かかるダイシング装置によるウエーハのダイシングは、以下のように行なわれている。
【0004】
まず、図7(a)の断面模式図に示すように、ウエーハ101は、基材フィルム102の上面に接着層103を設けて構成したダイシング用テープ104に接着されて、同ダイシング用テープ104を介してダイシング装置のウエーハ載置テーブル(図示せず)に固定されている。
【0005】
ウエーハ101の固定後、ウエーハ載置テーブルを水平移動させることにより、図7(b)に示すように、ダイシング装置の回転する切削ブレード105によってウエーハ101には切削溝106が刻設され、同切削溝106を格子状に設けることにより半導体チップ107単体への切離、すなわちダイシングが行なわれている。
【0006】
その際に、接着層103には十分な接着力を有する接着材が用いられおり、切削ブレード105による切削時に半導体チップ107が接着層103から剥離して、ダイシング用テープ104上で各半導体チップ107が不揃いとなることを防止している。
【0007】
ダイシングによって半導体チップ107を形成した後、図7(c)に示すように、半導体チップ107を被着したダイシング用テープ104は紫外線照射部108に搬送され、同紫外線照射部108において、ダイシング用テープ104下方に位置させた紫外線照射装置109から接着層103に紫外線が照射されている。
【0008】
ここで、基材フィルム102には紫外線を透過可能とした素材、例えばポリオレフィン製フィルムが用いられるとともに、接着層103には紫外線硬化性を有する接着材、例えばアクリルが用いられており、ダイシング用テープ104の基材フィルム102側から所定波長の紫外線を所定強度で所定時間照射されることにより接着層103を硬化させて、接着層103の接着力を低下させている。
【0009】
接着層103の接着力を低下させた後、図7(d)に示すように、ダイシング用テープ104はチップ取出部110に搬送され、同チップ取出部110においてダイシング用テープ104の下方に位置させたニードルヘッド111を上昇させることにより、同ニードルヘッド111上端に立設した押上用ニードル112によって半導体チップ107は上方に押し上げられ、同半導体チップ107の上方に位置させた吸着ヘッド113で同半導体チップ107は吸着されて搬出されるべく構成している。
【0010】
かかるダイシング方法においては、図7(b)に示すように、切削ブレード105によって切削溝106が形成される場合に、半導体チップ107の完全な切離を行なうためにダイシング用テープ104の一部まで切削ブレード105で切り込みが行なわれており、切削ブレード105によって半導体チップ107部分の切削粉だけでなく、ダイシング用テープ104の切削粉も生成されている。
【0011】
そこで、切削にともなって生成された半導体チップ107部分の切削粉、及びダイシング用テープ104の切削粉を除去するとともに、切削作業にともなう切削ブレード105及び同切削ブレード105による切削領域の加熱を防止すべく、切削ブレード105による切削作業の際には、切削ブレード105及び同切削ブレード105による切削領域には高圧洗浄水が噴射されており、半導体チップ107部分の切削粉、及びダイシング用テープ104の切削粉が除去されるようにしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる切削作業において、ダイシング用テープが切削されることにより生成された切削粉のうち、ダイシング用テープの接着層部分の切削粉は強い粘着性を有しているため、同切削粉が切削ブレードあるいはウエーハ表面に粘着し、切削ブレードに目詰まりを生起させたり、あるいは半導体チップ上に切削粉を残留させたりするという問題があった。
【0013】
そのうえ、かかる粘着性を有する切削粉は、自身の粘着性によって他の切削粉と結合することにより結合粒径が拡大し、上記した切削ブレードへの付着による目詰まりや、半導体チップ上への切削粉の残留の影響をさらに大きくするという問題があった。
【0014】
特に、半導体チップが固体撮像素子である場合には、画素領域に切削粉が粘着することによって不良品となる場合があり、製造歩留りを低下させる原因ともなっていた。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決すべく、本発明のウエーハのダイシング方法では、接着材によりウエーハをダイシング用テープに接着した後、少なくともダイシング時にウエーハがダイシング用テープから剥離しない程度に接着材の接着強度を低下させ、その後、ウエーハをダイシングすることとした。
【0016】
また、ウエーハのダイシングにおける切削溝の形成位置に沿って接着材の接着強度を低下させること、接着材を紫外線硬化性接着材とし、接着材に紫外線を照射することにより同接着材の接着強度を低下させること、ウエーハには固体撮像素子を形成していることにも特徴を有するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の、ウエーハのダイシング方法では、ダイシングされるウエーハを接着材によりダイシング用テープに接着した後、少なくともダイシング時にウエーハがダイシング用テープから剥離しない程度にまで接着材の接着強度を低下させ、その後、ウエーハをダイシング用テープを介してダイシング装置に固定配設し、ダイシングを行なうものである。
【0018】
すなわち、ウエーハをダイシング用テープに接着するために用いる接着材としては、ダイシングの際にウエーハを固定でき得る最低限度の接着強度を有する接着材を使用するのが好ましいが、実際問題としてそのような接着材を見出すことは困難であり、そのため、接着強度が必要以上の大きい接着材が用いられているので、ダイシングの実施前にあらかじめ接着材の接着強度を少なくともダイシング時にウエーハがダイシング用テープから剥離しない程度にまで低下させることにより、ダイシングにともなって粘着力の強い切削粉が生起されることを防止しているものである。
【0019】
これにより、ダイシングの際にダイシング装置の切削ブレード及び同切削ブレードによる切削領域に噴射した高圧洗浄水によって切削粉を確実に除去することができ、切削ブレードにおける目詰まりの生起や、半導体チップ上への切削粉の残留を防止できる。
【0020】
特に、接着材の接着強度を低下させる際に、ウエーハのダイシングにおける切削溝の形成位置に沿って接着材の接着強度を低下させることによって、切削溝の形成位置以外に位置する接着材は十分な接着性を有しており、ダイシングされた半導体チップのダイシング用テープからの剥離を確実に防止できる。
【0021】
その一方で、切削溝の形成位置においては接着強度が消失する程度にまで接着強度を低下させることにより、切削ブレードによる切削を行なった際に粘着性のほとんど無い切削粉のみを生成することができるので、切削ブレードにおける目詰まりの生起や、半導体チップ上への切削粉の残留を、さらに確実に防止できる。
【0022】
また、接着材を紫外線硬化性接着材とし、接着材に紫外線を照射することにより同接着材の接着強度を低下させた場合には、接着強度低下処理を容易に行なうことができるとともに、接着強度低下処理を実施する領域を容易に、かつ精度よく選択して実施することができ、製造コストの上昇を抑止できる。
【0023】
また、ウエーハに固体撮像素子を形成した場合には、ダイシングによって単体状態に切離された固体撮像素子の画素領域に切削粉が残留することを防止することができるので、切削粉残留にともなう不良の生起を解消することができ、製造歩留りを向上させることができる。
【0024】
以下において、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳説する。
【0025】
図1は、本発明にかかるダイシング方法を説明する工程説明図である。ダイシングに際しては、図1(a)の断面模式図に示すように、まず、ウエーハ1をダイシング用テープ4に接着している。なお、ダイシング用テープ4はあらかじめ矩形枠状の固定フレーム(図示せず)に張設しており、通常は同固定フレームを用いて取り扱いを行なっている。
【0026】
ダイシング用テープ4には従来から使用されているダイシング用テープ4をそのまま用いており、ポリオレフィン製フィルムからなる基材フィルム2の上面にアクリルを塗布して接着層3を形成し、同接着層3によってウエーハ1を接着している。なお、本実施の形態では、接着層3の接着材として紫外線硬化性の接着材を用い、同接着材に紫外線を照射することにより接着材を硬化させ、接着強度を低下させるべく構成しているため、基材フィルム2には紫外線を透過可能としたポリオレフィン製フィルムを用い、接着層3を構成する接着材にはアクリルを用いているが、使用した接着材の接着強度を低下させる手段が紫外線照射以外であれば、接着強度低下手段に合わせた素材からなる基材フィルム2及び接着材を用いてよい。
【0027】
なお、接着材として紫外線硬化性の接着材を用いた場合には、紫外線の照射によって接着材を硬化させることにより接着材の接着強度を容易に低下させることができ、しかも、製造工程においてウエーハ1に対して行なわれる各種処理によって接着層3の接着強度に変動が生じることを防止でき、製造工程を安定化させることができる。
【0028】
ウエーハ1をダイシング用テープ4に接着した後、図1(b)に示すように、同ダイシング用テープ4を紫外線照射部A1に搬送し、同紫外線照射部A1において、ダイシング用テープ4下方に位置させた紫外線照射装置Aから接着層3に紫外線を照射している。
【0029】
紫外線の照射条件は、使用した接着材の種類、及び接着層3の厚み等の条件に適した条件で行ない、接着層3を硬化させて接着強度を低下させている。ただし、低下させた接着強度は、ダイシング装置によるダイシング処理の際に、ウエーハ1がダイシング用テープ4から剥離しない程度となるように、紫外線の照射強度と照射時間とを調整している。
【0030】
接着層3の接着強度低下処理を行なった後、ダイシング用テープ4を介してウエーハ1をダイシング装置のウエーハ載置テーブル(図示せず)に固定し、ウエーハ載置テーブルを水平移動させることにより、図1(c)に示すように、ダイシング装置の回転する切削ブレード5によってウエーハ1に切削溝6を刻設し、ダイシングを行なっている。
【0031】
ダイシングの際には、ウエーハ1を完全に切断すべく、切削ブレード5がダイシング用テープ4を20μm程度切り込むように設定しており、同切削ブレード5によるダイシング用テープ4の切削にともなってダイシング用テープ4上面の接着層3が切削され、接着層3の切削にともなって接着材からなる切削粉が生成される。
【0032】
ここで、接着層3の接着材からなる切削粉は、接着層3に接着強度低下処理を行なっていることによって粘着力が弱く、ウエーハ1部分の切削粉、及び基材フィルム2部分の切削粉と同様に、ダイシングの際に切削領域に噴射している高圧洗浄水によって容易に除去することができ、接着材からなる切削粉が切削ブレード5に粘着することによる目詰まりの生起や、ダイシングによって形成された半導体チップ7表面への付着の生起を防止できる。
【0033】
ダイシングによって半導体チップ7を形成した後、図1(d)に示すように、ダイシング用テープ4はチップ取出部B1に搬送し、同チップ取出部B1においてダイシング用テープ4の下方に位置させたニードルヘッド8を上昇させることにより、同ニードルヘッド8上端に立設した押上用ニードル9によって半導体チップ7を上方に押し上げ、同半導体チップ7の上方に位置させた吸着ヘッド10で同半導体チップ7を吸着して搬出している。
【0034】
ここで、接着層3は、先に行なった接着強度低下処理によって接着強度が低下しているため、ダイシング後に、再度、接着層3に接着強度低下処理を行なうことなくチップ取出部B1において半導体チップ7の取出しを行なうことができるので、従来と比較して作業工程を増加させることなく実施することができる。
【0035】
以下において、図2の工程説明図に基づいて他の実施形態について説明する。なお、以下において、上記した実施形態と同一構成部分については同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
【0036】
本実施形態においても、図2(a)の断面模式図に示すように、まず、ウエーハ1はダイシング用テープ4に接着している。
【0037】
その後、図2(b)に示すように、同ダイシング用テープ4を紫外線照射部A1に搬送し、同紫外線照射部A1において、ダイシング用テープ4下方に位置させた紫外線照射装置Aから接着層3に紫外線を照射している。
【0038】
この時、ダイシング用テープ4の下面側には投光溝11を設けた遮蔽体12を介設し、投光溝11によって形成される照射領域にのみ紫外線を照射している。紫外線の照射領域は、ウエーハ1に切削溝6を形成する切削溝形成領域13とし、同切削溝形成領域13部分の接着層3の接着材のみを硬化させ、図3に拡大して示すように、接着層3に接着強度を低下させた硬化領域14を形成している。
【0039】
本実施の形態において、遮蔽体12には紫外線を遮蔽する平板体を用い、図4に示すように、同遮蔽体12には所定の間隔で複数の投光溝11を設けている。投光溝11の配設間隔は、ウエーハ1に形成する切削溝6の配設間隔と略同一としている。
【0040】
特に、ウエーハ1のダイシングによって平面視正方形の半導体チップ7を形成する場合には、図4に示すように、直線形状の投光溝11を所定間隔で形成した遮蔽体12を用いて紫外線を遮光しながら1度目の紫外線照射を行ない、次いで、遮蔽体12を90°回転させて2度目の紫外線照射を行なうことにより、格子状に紫外線の照射領域を形成すべく構成している。
【0041】
なお、ウエーハ1に形成する半導体チップ7が、固体撮像素子のように一方の辺が他方の辺より長い長方形形状である場合には、1度目の遮光に用いる遮蔽体12と、2度目の遮光に用いる遮蔽体12とを別々とし、それぞれ異なる配設間隔で投光溝11を設けた遮蔽体12を使用している。
【0042】
遮蔽体12に形成する投光溝11の溝幅は、ダイシング装置の切削ブレード5によって形成される切削溝6の溝幅寸法よりも大きくしていることが望ましい。
【0043】
接着層3に形成した硬化領域14では、同硬化領域14以外の部分の接着層3が十分な接着性を有しているので、接着強度が消失する程度まで紫外線の照射を行なってもよく、紫外線の照射強度及び照射時間を厳密に管理することなく紫外線照射を実施できる。
【0044】
接着層3に硬化領域14を形成した後、ダイシング用テープ4を介してウエーハ1をダイシング装置のウエーハ載置テーブルに固定し、ウエーハ載置テーブルを水平移動させることにより、図2(c)に示すように、ダイシング装置の回転する切削ブレード5によってウエーハ1の切削溝形成領域13に切削溝6を刻設し、ダイシングを行なって半導体チップ7を形成している。
【0045】
ダイシングにおいて接着層3を切削する際には、先に形成した硬化領域14部分を切削するので、切削にともなって生成された硬化領域14の切削粉は粘着力をほとんど消失しており、ウエーハ1部分の切削粉、及び基材フィルム2部分の切削粉と同様に、ダイシングの際に切削領域に噴射している高圧洗浄水によって容易に除去することができ、接着材からなる切削粉が切削ブレード5に粘着することによる目詰まりの生起や、ダイシングによって形成された半導体チップ7表面への付着の生起を防止できる。
【0046】
ダイシングによって半導体チップ7を形成した後、図2(d)に示すように、半導体チップ7を被着したダイシング用テープ4は、再度、紫外線照射部A1に搬送し、同紫外線照射部A1において、ダイシング用テープ4下方に位置させた紫外線照射装置Aから接着層3全体に紫外線を照射して、接着層3全体の接着材を硬化させて同接着材の接着強度を低下させている。
【0047】
接着層3全体の接着強度を低下させた後、図2(e)に示すように、ダイシング用テープ4はチップ取出部B1に搬送し、同チップ取出部B1においてダイシング用テープ4の下方に位置させたニードルヘッド8を上昇させることにより、同ニードルヘッド8上端に立設した押上用ニードル9によって半導体チップ7を上方に押し上げ、同半導体チップ7の上方に位置させた吸着ヘッド10で同半導体チップ7を吸着して搬出している。
【0048】
本実施形態のように、切削溝6の形成される切削溝形成領域13に沿って接着層3の接着材の接着強度をあらかじめ低下させた硬化領域14を形成することにより、切削ブレード5による切削にともなって生成される接着層3の切削粉の接着強度を低下させて、粘着性を有する切削粉の生起を防止する一方で、硬化領域14以外の接着層3の接着材は十分な接着強度を有するので、ウエーハ1がダイシング用テープ4から剥離することを確実に防止できる。
【0049】
従って、硬化領域14においては、接着強度を消失させるまで紫外線を照射してもよく、紫外線照射時の作業管理を容易とすることができる。
【0050】
また、ウエーハ1に固体撮像素子を形成している場合には、ダイシングによって単体状態に切離された固体撮像素子の画素領域に切削粉が粘着して残留することを確実に防止することができるので、切削粉残留にともなう不良の生起を解消することができ、製造歩留りを向上させることができる。
【0051】
なお、硬化領域14の形成にあたっては、上記したように遮蔽体12を用いて紫外線を遮蔽して形成するだけでなく、図5に示すように、ダイシング用テープ4の基材フィルム2の裏面側に、紫外線を遮蔽する遮蔽材15を所要パターンに印刷して紫外線を遮蔽し、硬化領域14を形成すべく構成してもよい。この場合、硬化領域14の形成後、適宜の手段で遮蔽材15を除去することにより接着層3全体への紫外線の照射を可能としている。
【0052】
あるいは、図6に示すように、ダイシング用テープ4の基材フィルム2の裏面側に、遮蔽用パターン16を形成した遮蔽用フィルム17を重合させておき、同遮蔽用フィルム17の遮蔽用パターンによって紫外線を遮蔽し、硬化領域14を形成すべく構成してもよい。この場合、硬化領域14の形成後、基材フィルム2から遮蔽用フィルム17を剥離することにより接着層3全体への紫外線の照射を可能としている。
【0053】
あるいは、硬化領域14を形成すべく紫外線を照射する紫外線照射装置として、紫外線レーザーを照射可能とした紫外線照射装置を用い、紫外線レーザーを走査させることによって所定位置に硬化領域14を形成すべく構成してもよい。
【0054】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、接着材によりウエーハをダイシング用テープに接着した後、少なくともダイシング時にウエーハがダイシング用テープから剥離しない程度に接着材の接着強度を低下させ、その後、ウエーハをダイシングすることによって、ダイシングにともなってダイシング用テープの一部が切削されることによって生成された接着材部分の切削粉が粘着性を有することを防止でき、切削粉同士が結合することも防止できる。
【0055】
従って、ダイシングの際にダイシング装置の切削ブレード及び同切削ブレードによる切削領域に噴射した高圧洗浄水によって、ダイシングによって生じた切削粉を確実に除去することができ、切削ブレードにおける切削粉による目詰まりを防止できるので、切削ブレードによる切削状態を良好に保つことができ、ダイシングされた半導体チップの品質を安定させることができる。
【0056】
また、半導体チップ上への切削粉の残留を防止できるので、同半導体チップの品質を向上させることができるとともに、後工程での吸着ヘッドによる半導体チップのピックアップの際に、吸着ヘッドによって確実にピックアップを行なうことができる。
【0057】
請求項2記載の発明によれば、ウエーハのダイシングにおける切削溝の形成位置に沿って接着材の接着強度を低下させることによって、切削溝の形成位置以外に位置する接着材は十分な接着性を有しているので、ダイシングされた半導体チップがダイシング用テープから剥離することを確実に防止できる。
【0058】
しかも、切削溝の形成位置においては接着強度が消失する程度にまで接着強度を低下させてもよく、接着強度を低下させる処理を厳密な管理に基づいて行なう必要がないので、高コストの設備を用いることなく実施できる。
【0059】
請求項3記載の発明によれば、接着材を紫外線硬化性接着材とし、接着材に紫外線を照射することにより同接着材の接着強度を低下させることによって、接着強度低下処理を容易に実施することができるとともに、接着強度低下処理を実施する領域を容易に、かつ精度よく選択して実施することができ、製造コストの上昇を抑止できる。
【0060】
請求項4記載の発明によれば、ウエーハに固体撮像素子を形成した場合には、同固体撮像素子の画素領域に切削粉の付着が生じて黒点不良などの製品不良を生起すること防止でき、製造歩留りを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるダイシング方法を説明する工程説明図である。
【図2】他の実施形態のダイシング方法を説明する工程説明図である。
【図3】硬化領域を説明する説明図である。
【図4】遮蔽板の一例を示した説明図である。
【図5】遮蔽板以外の遮蔽形態の説明図である。
【図6】遮蔽板以外の遮蔽形態の説明図である。
【図7】従来のダイシング方法を説明する工程説明図である。
【符号の説明】
A 紫外線照射装置
A1 紫外線照射部
B1 チップ取出部
1 ウエーハ
2 基材フィルム
3 接着層
4 ダイシング用テープ
5 切削ブレード
6 切削溝
7 半導体チップ
8 ニードルヘッド
9 押上用ニードル
10 吸着ヘッド
11 投光溝
12 遮蔽体
13 切削溝形成領域
14 硬化領域
Claims (4)
- 接着材によりウエーハをダイシング用テープに接着した後、少なくともダイシング時にウエーハがダイシング用テープから剥離しない程度に接着材の接着強度を低下させ、その後、ウエーハをダイシングすることを特徴とするウエーハのダイシング方法。
- ウエーハのダイシングにおける切削溝の形成位置に沿って接着材の接着強度を低下させることを特徴とする請求項1記載のウエーハのダイシング方法。
- 接着材を紫外線硬化性接着材とし、接着材に紫外線を照射することにより同接着材の接着強度を低下させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のウエーハのダイシング方法。
- ウエーハには固体撮像素子を形成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のウエーハのダイシング方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002203756A JP2004047770A (ja) | 2002-07-12 | 2002-07-12 | ウエーハのダイシング方法 |
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JP2002203756A JP2004047770A (ja) | 2002-07-12 | 2002-07-12 | ウエーハのダイシング方法 |
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JP2004047770A true JP2004047770A (ja) | 2004-02-12 |
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ID=31709540
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JP (1) | JP2004047770A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008060393A (ja) * | 2006-08-31 | 2008-03-13 | Shibuya Kogyo Co Ltd | 板状物品のピックアップ装置 |
JP2016207820A (ja) * | 2015-04-22 | 2016-12-08 | 株式会社ディスコ | ウエーハの加工方法 |
WO2019202980A1 (ja) * | 2018-04-16 | 2019-10-24 | 東京エレクトロン株式会社 | 基板処理システム、基板処理方法及びコンピュータ記憶媒体 |
-
2002
- 2002-07-12 JP JP2002203756A patent/JP2004047770A/ja active Pending
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